JPH0517347Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、自動車の前部車体構造に関し、詳し
くは、フロントサスペンシヨン装置の構成部材た
るスタビライザを車体に取付ける場合の補強構造
の改良に関する。

（従来の技術） 一般に、自動車の前部車体構造においては、そ
の剛性を確保するために、ホイールエプロンの下
部に、該ホイールエプロンと閉断面を形成する断
面略コ字状のフロントフレームが接合されてい
る。特に、実開昭61−169774号公報では、上記フ
ロントフレームの閉断面内にレインフオースメン
トを設けて、剛性をより高めることが開示されて
いる。

また一方、前輪を車体に懸架するフロントサス
ペンシヨン装置の一つの構成部材たるスタビライ
ザを車体に取付ける場合、該スタビライザは、通
常、上記フロントフレームの下面に取付けられ
る。この場合、フロントフレームの閉断面内に、
スタビライザ取付部を補強するスタビレインフオ
ースメントを配設することもある。

（考案が解決しようとする問題点） ところが、上記従来のスタビレインフオースメ
ントは、単に裏当て材としてフロントフレームの
下面部に当接しているにすぎず、その補強効果は
充分なものではないのが現状である。

本考案はかかる点に鑑みてなされたものであ
り、その目的とするところは、特に、上述のスタ
ビレインフオースメントによる補強構造を適切に
改良し、スタビライザの支持剛性およびホイール
エプロンとフロントフレームとの接合強度を効果
的に高めることにある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本考案の解決手段
は、ホイールエプロンの下部に、該ホイールエプ
ロンと閉断面を形成する断面略コ字状のフロント
フレームが接合され、該フロントフレームの下面
にスタビライザが取付けられた自動車の前部車体
構造において、次のような構成とする。

すなわち、上記フロントフレームの閉断面内に
は上記スタビライザの取付部に対応してスタビレ
インフオースメントが配設されており、該スタビ
レインフオースメントは、フロントフレームの下
面部に当接する水平面部の左右両側縁に側壁部を
有し、該両側壁部はそれぞれホイールエプロンお
よびフロントフレームの側面部に固定される構成
としたものである。

（作用） 上記の構成により、本考案では、フロントフレ
ームの閉断面内に配設されたスタビレインフオー
スメントは、フロントフレームの下面部に当接す
る水平面部でもつて単に裏当て材として補強効果
を発揮するだけでなく、該水平面部の両側縁にホ
イールエプロンおよびフロントフレームの側面部
に各々固定された側壁部を有していることによつ
て、ホイールエプロンとフロントフレームとの結
合を強固にするという補強効果をも発揮する。こ
の補強効果は、スタビライザからの荷重をフロン
トフレームとホイールエプロンとに効果的に分散
して、その支持剛性を高めることができるととも
に、フロントフレームとホイールエプロンとの接
合強度を高めて接合剥離等を防止することができ
る。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図ないし第３図は本考案の一実施例に係る
自動車の前部車体構造を示し、１はエンジンルー
ム２と車室３とを仕切るダツシユパネル、４はエ
ンジンルーム２の側壁を構成するホイールエプロ
ンであつて、該ホイールエプロン４の上部にはサ
スペンシヨンタワー部５が形成されているととも
に、ホイールエプロン４の下部には車体前後方向
に延びるフロントフレーム６が設けられている。

上記フロントフレーム６は、側面部６ａと該側
面部６ａの上下端より各々外方（ホイールエプロ
ン４側）に延びる上面部６ｂ及び下面部６ｃとを
有する断面略コ字状のものであつて、ホイールエ
プロン４に対し、上面部６ｂ及び下面部６ｃの各
先端部に折曲げ形成したフランジ部６ｄ，６ｄで
接合され、該ホイールエプロン４と車体前後方向
に延びる閉断面７を形成するようになつている。
上記フロントフレーム６の下面（つまり下面部６
ｃの外面）には、フロントサスペンシヨン装置の
構成部材たるスタビライザ１６が取付ブラケツト
１７を介して取付けられている。

ここで、フロントサスペンシヨン装置の構成
は、その一例を第４図に示す。該サスペンシヨン
装置は、左右の各前輪（図示せず）に対応して、
前輪及びブレーキ装置１１を支持するナツクル部
材１２と、該ナツクル部材１２の下部を車体側の
クロスメンバ１３に連結するサンペンシヨンアー
ム１４と、下部が上記ナツクル部材１２の上部に
連結され前輪の上下振動を減衰抑制するストラツ
ト１５とを備えている。上記ストラツト１５の上
部は、ホイールエプロン４のサペンシヨンタワー
部５（第２図参照）に取付けられるようになつて
いる。また、サスペンシヨン装置は、車幅方向に
延びるスタビライザ１６を備えており、該スタビ
ライザ１６は、その両端部に形成された各アーム
１６ａの基端が車体側たるフロントフレーム６下
面に取付けられているとともに、上記各アーム１
６ａの先端が上記サスペンシヨンアーム１４に連
結されていて、該サスペンシヨンアーム１４ない
し前輪の上下振動を捩り剛性でもつて抑制するよ
うになつている。

そして、上記フロントフレーム６のスタビライ
ザ１６取付部においては、該フロントフレーム６
の閉断面７内にスタビレインフオースメント２１
が配設されている。該スタビレインフオースメン
ト２１は、第５図および第６図に詳示するよう
に、フロントフレーム６の下面部６ｃに当接する
水平面部２１ａと、該水平面部２１ａの左右両側
縁より各々上方に折曲げられた２つの側壁部２１
ｂ，２１ｃとを有している。上記水平面部２１ａ
には、取付ブラケツト１７をボルト２２止めする
ための一対のナツト２３，２３が固着されてお
り、また、上記一方の側壁部２１ｂはホイールエ
プロン４に、他方の側壁部２１ｃはフロントフレ
ーム６の側面部６ａにそれぞれスポツト溶接又は
ボルト止めにより固定されている。

尚、第３図中、２４はフロントフレーム６の上
面部６ｂから下面部６ｃに貫通して設けられたス
タツドボルトであつて、該スタツドボルド２４に
よりクロスメンバ１３がフロントフレーム６に取
付けられるようになつている（第４図参照）。

したがつて、上記実施例においては、フロント
フレーム６のスタビライザ１６取付部に対応して
該フロントフレーム６の閉断面７内に配設された
スタビレインフオースメント２０は、従来の如く
単にフロントフレーム６の下面部６ｃに当接する
水平面部２１ａでもつて裏当て材として補強効果
を発揮するだけでなく、水平面部２１ａの左右両
側縁に側壁部２１ｂ，２１ｃを有し、該両側壁部
２１ｂ，２１ｃが各々ホイールエプロン４および
フロントフレーム６の側面部６ａに固定されてい
ることによつて、ホイールエプロン４とフロント
フレーム６との結合を強固なものにする補強効果
をも発揮することができる。すなわち、スタビラ
イザ１６からフロントフレーム６の下面部６ｃに
かかる荷重は、上記スタビレインフオースメント
２１によつてホイールエプロン４およびフロント
フレーム６の側面部等つまりフロントフレーム６
の閉断面７全体に効果的に分散して支持されるの
で、スタビライザ１６の支持剛性を高めることが
できる。また、上記スタビレインフオースメント
２１によりホイールエプロン４とフロントフレー
ム６との接合強度が高められ、溶接剥離等を確実
に防止することができる。

（考案の効果） 以上の如く、本考案における自動車の前部車体
構造によれば、フロントフレームの閉断面内に配
設されたスタビレインフオースメントが、裏当て
材としての補強効果のみならず、ホイールエプロ
ンとフロントフレームとの結合を強固にする補強
効果をも発揮することができるので、スタビライ
ザ支持剛性およびホイールエプロンとフロントフ
レームとの接合強度を大幅に高めることができ
る。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は
第３図の−線における拡大断面図、第２図は
自動車の前部車体構造の全体構成を示す斜視図、
第３図はフロントフレームの配設状態を示す一部
切開側面部である。第４図はフロントサスペンシ
ヨン装置の構成を示す斜視図であり、第５図およ
び第６図はそれぞれスタビレインフオスーメント
の平面図および側面図である。 ４……ホイールエプロン、６……フロントフレ
ーム、７……閉断面、１６……スタビライザ、２
１……スタビレインフオースメント、２１ａ……
水平面部、２１ｂ，２１ｃ……側壁部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ホイールエプロンの下部に、該ホイールエプロ
   ンと閉断面を形成する断面略コ字状のフロントフ
   レームが接合され、該フロントフレームの下面に
   スタビライザが取付けられた自動車の前部車体構
   造において、上記フロントフレームの閉断面内に
   は上記スタビライザの取付部に対応してスタビレ
   インフオースメントが配設されており、スタビレ
   インフオースメントは、フロントフレームの下面
   部に当接する水平面部の左右両側縁に側壁部を有
   し、該両側壁部はそれぞれホイールエプロンおよ
   びフロントフレームの側面部に固定されているこ
   とを特徴とする自動車の前部車体構造。