JP3646467B2 - 転がり軸受 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸受の潤滑剤中に水が混入するおそれがある環境下で使用される転がり軸受、例えば、鉄鋼材料用圧延機のワークロールやバックアップロールのロールネック軸受、鉄鋼材料用連続鋳造設備のガイドロール軸受、自動車のエンジン用の水ポンプ軸受、製紙機械ドライヤロール用軸受、自動車ホイール用軸受に係り、特に、水が軸受内に侵入しても優れた耐久寿命を備える転がり軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、転がり軸受の耐久寿命は、潤滑剤中に水分が混入すると低下する。例えば,わずか100ppm 程度の水が混入するだけで、32〜48%も耐久寿命が低下することが知られている(参考文献;Schatzberg,P.and Felsen,I.M.: Effects of water and oxygen during rolling contact lubrication,Wear,12(1968),pp.331-342 およびSchatzberg,P.and Felsen,I.M.:Influence of wateron fatigue failure location and surface alteration during rolling-contact lubrication,Journal of Lubrication Technology,ASME Trans.F,91,2(1969),pp.301-307) 。
【0003】
従って、圧延機用ロールネック軸受や水ポンプ軸受等のように水と接触する湿潤環境下で使用される軸受では、耐久寿命の低下を防止するため、潤滑剤中に水が侵入しないような密封対策が従来から施される。
【0004】
その対策の例としては、圧延機用ロールネック軸受の密封方法として開示されている特公昭55−22648号公報や特開昭59−223103号公報等に記載されている、接触型シール構造や非接触型シール構造がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような密封対策を採用した軸受は、採用しないものに比べて密封性が向上してグリース(潤滑剤)の流失対策としては功を奏するものの、湿潤環境下での軸受の耐久寿命対策という観点からみると不十分である。
【0006】
即ち、接触型シール構造を持つ軸受においては、軸受の温度が下がるときに軸受内の空気が収縮して外部の水分が軸受内に吸引されて潤滑剤に水が混入する。また、非接触型シール構造を持つ軸受においては、水がシールの隙間から侵入して潤滑剤に混入してしまうという問題がある。
【0007】
上述のように、わずか100ppm の水分が潤滑剤中に混入しても32%〜48%も耐久寿命が低下するため、水の混入を皆無としない限り耐久寿命に関してはシールの効果が無い。
【0008】
従来、なぜ水がこのように大きく転がり軸受の寿命を低下させるか不明であった(例えば、文献;Ioannides,E.and Jacobson,B. :Dirty lubricants-reduced bearing life,Ball Bearing Journal,special '89(1989),pp.22-27 )。このため、密封対策以外の寿命延長策は無く、もっぱら上述のような密封シールの性能向上により水の侵入を防ごうとするのが従来の主な対策であり、十分な対策効果を得ることができなかった。
【0009】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、電気化学的な見地から、軸受の潤滑剤中に水が侵入しても優れた耐久寿命を備える転がり軸受を提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の転がり軸受は、軌道輪及び転動体を、Ni4.5重量%以下Cu0.50重量%以下、Crが3.5重量%以下、Moが1.5重量%以下、Mnが1.5重量%以下、炭素濃度が1.1重量%以下、Siが0.5重量%以下、酸素濃度が15ppm以下であって、残部がFeおよび不可避成分からなる合金鋼を素材としてそれぞれ作製する転がり軸受において、
素材中のCu当量を下記(2)式のように定義したときに、非回転側軌道輪を構成する素材のCu当量よりも、回転側軌道輪と転動体を構成する素材のCu当量の平均値の方が高いことを特徴としている。
【0011】
Figure 0003646467
本願発明のCu等量は上記(2)式より%を単位とするが、以降の説明では略して説明する。
【0012】
但し、好ましくは、非回転側の軌道輪を構成する素材のCu当量よりも、回転側の軌道輪と転動体を構成する素材のCu当量の平均値の方が、0.075以上高いこと、即ち非回転側軌道輪を構成する素材のCu当量の2倍値よりも、回転側軌道輪と転動体を構成する素材のCu当量の和の方が、0.15以上高いことが好ましい。
【0013】
本願発明者らは、転がり軸受の疲労現象への水の影響について研究し、対象とする転がり軸受の疲労現象は軌道輪と転動体の金属接触による接触腐食(galvanic corrosion)に伴う水素脆性に支配され、この現象が生ずるところに転動によるクラックが生じ破損(剥離)することを見いだした。また、腐食すること自身は、このクラック発生に直接影響しないことも見いだした。さらに、主な破損部位が非回転側軌道輪であることも見いだした。
【0014】
そして、本発明では、水が存在する環境でありながら主な破損部位である非回転側軌道輪の耐食性を上げるのではなく、逆に、転動体を構成する素材又は回転側軌道輪を構成する素材の少なくとも一方と非回転側軌道輪を構成する素材との間の相対的な化学成分の調整により、非回転側軌道輪側のCu当量を転動体や回転側軌道輪側よりも相対的に小さくして、つまり電気化学的に卑にすることで、当該非回転側軌道輪を全面腐食させて、非回転側軌道輪の内部への水素の侵入を抑制することで寿命延長を図ったものである。
【0015】
次に、詳説する。
潤滑剤中に水が混入すると、転動体と軌道輪との間に良好な油膜が形成され難くなり、転動体と軌道輪とは金属接触を起こすようになり、それらの表面は化学的に活性になる。特に、荷重が強く負荷される最大応力負荷圏では、転動体と軌道輪とは完全に直接接触した状態になり、著しい化学的活性状態にある。
【0016】
そして、水を介して金属接触した部分では腐食を起こし、接触部の転動体や軌道輪の鉄が鉄イオンとなって水に溶解する。ここで、鉄イオンを出すのは接触部の電気化学的に卑な部位である。鉄鋼材料には、必ず元素の偏析があるので、転動体と軌道輪がたとえ同一チャージ・同一鋼種で作られたとしても、必ず卑な部位と貴な部位を持つ。
【0017】
この接触腐食のカソード反応とアノード反応は、以下の通りである。
アノード反応では、下式のように、鉄が水中でイオン化し、そのイオン化した鉄が水と反応して水素イオンを発生する(腐食反応)。
【0018】
Fe→F2+ + 2e-
2++ 2H2 O → Fe(OH)2 +2H+ ・・・(3)
ただし、鉄イオンと水の反応は複雑で、生成物は必ずしもFe(OH)2 ではないが、水素イオンを必ず発生する。
【0019】
一方、カソード反応では、下式のように、上記鉄のイオン化反応により発生した電子が水素イオンと反応し、水素原子として鋼内に吸収されて、水素脆性を生じる。
【0020】
2H+ + 2e- →2H(表面に吸着)
2H(表面に吸着)→2H(鋼内部へ吸収)・・・(4)
ここで、水素原子の表面への吸着や内部への吸着が活発に起こるのは、▲1▼転動体と軌道輪の金属接触により、表面に酸化膜がないこと(吸着促進)や▲2▼転がりによる繰り返し応力が結晶格子の面間隔を広げたり狭めたりして水素原子の拡散速度を速めること(吸収促進)のためである。
【0021】
そして、水素脆性が生じると、即ち、水素が原子状態で材料(鋼)内部に侵入し、不可避的に存在する転位や非金属介在物(特に素地との密着性の悪い非金属介在物,例えば酸化物系非金属介在物)にトラップ(非金属介在物では水素分子化つまりガス化した状態でトラップされる)されて脆化すると、さらなる腐食反応の進行に伴いクラックを発生し破損に至る。つまり、カソード反応側でのみクラックによる破損が起こる。ここで、カソード反応側となるのは、電気化学的に貴な部位である。
【0022】
また、上記現象は、軸受が静止しているときに比べ、回転している場合に顕著になるが、それは上記▲1▼,▲2▼の二つの理由に加えて腐食反応で水酸化鉄を生成するアノード反応において軸受の回転により水酸化鉄が系外に放出されるためにアノード反応が促進されるからである。
【0023】
このように、顕著な水素吸収反応は水が存在する中で転動体と軌道輪とが強く金属接触する最大応力負荷圏近傍で軸受が回転しているときに起こる。回転中の転がり軸受の中で水素濃度が最も高くなるのは、非回転側軌道輪の最大応力負荷圏近傍である。
【0024】
その理由は、非回転側軌道輪は、静止して最大応力負荷圏が変化せず、その一定位置の最大応力負荷圏近傍の軌道面でのみ水素を吸収するのに対し、転動体や回転側軌道輪では最大応力負荷部分が回転により移動するので、水素が発生しても転動面全体や軌道面全体で分担して吸収し水素吸収の受容面が大きいため、非回転側軌道輪に比べて水素脆性の影響が分散される。従って、転動体や回転側軌道輪では水素脆性の影響が少ない。
【0025】
以上のことから、潤滑剤に水が混入するような湿潤環境下で使用される従来の転がり軸受では、主に、非回転側軌道輪での最大応力負荷圏近傍の軌道面でのカソード反応により破損(剥離)が生じることを見いだした。
【0026】
また、Niは電気化学的に鉄よりも貴であり鉄の素地中に良く固溶するので、Niを含有する鋼は、Niを含有しない鋼或いはNiを少なく含有する鋼に比べて電気化学的に貴となる。また、同様に、Cuも鋼の素地中に固溶し、その鋼の電気化学的な貴度を高くする。
【0027】
そこで、本願発明においては、水が存在する中で転動体と軌道輪との間に金属接触があることを逆に利用して、Cu当量を相違させるという相対的な化学成分の調整により、転動体又は回転側軌道輪を、非回転側軌道輪よりも電気化学的に貴とし、これによって、非回転側軌道輪側では積極的にアノード反応を、転動体又は回転側軌道輪側ではカソード反応を、つまり、非回転側軌道輪でアノード反応を発生させてむしろ積極的に腐食させ、カソード反応による水素吸収を転動体及び回転側軌道輪の広い受容面に分散させることで局部的な水素濃度の上昇を避ける。この結果、軸受全体は、水が存在する環境下であっても耐久寿命が向上する。
【0028】
次に、非回転側軌道輪の水素吸収量ΔHabを、非回転側軌道輪、回転側軌道輪、及び転動体の電気化学的順位との関係において定量的に述べる。
ここで、電気化学的順位とは、貴卑の関係を定量化したもので、金属の標準電極電位のように数値が大きいほど貴であるとする。また、非回転側軌道輪(以下、非回と略して称す)、回転側軌道輪(以下、回と略して称す)、及び転動体(以下,転と略して称す)の電気化学的順位をE(非回)、E(回)及びE(転)とする。
【0029】
なお、ここで回転側軌道輪と転動体と非回転側軌道輪は、この順に直列で導通のある状態で繋がっており、かつ、周囲には水が存在することを前提としており、この3つの金属が直列に接触する接触腐食を考えている。
【0030】
E(非回)=E(回)であるとき、例えば、回転側と非回転側が同一の鋼材でできているときに、ΔHabは単純に、
ΔHab = −k・{E(転)−E(非回)}
但し、 kは比例定数で正の値
で表される。
【0031】
しかしながら、E(回)、E(非回)、E(転)が全て異なるときは単純ではない。例えば、E(回)>E(非回)>E(転)(貴→卑)のときに、回転側軌道輪はカソードで、転動体はアノードであることは明らかであるが、非回転側軌道輪がアノードとなるのか、カソードとなるかは簡単ではない。
【0032】
そこで、本発明の発明者らは、その点も含め、ΔHabとE(非回)、E(回)、E(転)の定量的関係を調査した。
その結果、ΔHabは、次式で与えられることがわかった。
【0033】
ΔHab = −k・[{E(回)−E(非回)}+ {E(転)−E(非回)}]
これより、非回転側軌道輪をアノードとするためには、ΔHab<0、即ち、
Figure 0003646467
でなければならないことが分かる。
【0034】
言葉で表現すると、回転側軌道輪と転動体との電気化学的順位の平均値より非回転側軌道輪の電気化学的順位が低ければ(卑であれば)、非回転側軌道輪はアノードとなる。
【0035】
次に、数値限定の理由等について説明する。
CuやNiは鋼の素地中に固溶し、上述の如く鋼の電気化学的な貴度を高める。また、CuはNiよりも電気化学的に貴であり、かつ、素地中により固溶するので、Cuの方がNiよりも電気化学的に貴度を高める効果は大きい。
【0036】
本発明者等の研究によれば、上記貴度を高める効果においてNiはCuの約3割であった。このため、鋼の電気化学的順位のパラメータとして、Cu当量を、〔Cuの重量%〕+0.3×〔Niの重量%〕と定義した。なお、上述の電気化学的順位EとCu当量とは正比例の関係にある。
【0037】
そして、理論的には,つまり化学成分的に鋼が均質であれば、転動体及び回転側軌道輪のCu当量の和が非回転側軌道輪のCu当量の2倍値よりも相対的に高ければ、非回転側軌道輪の水素濃度上昇は防げるはずであるが、実際にはNiやCuなどの偏析があるため異なるおそれがある。
【0038】
実験により、転動体及び回転側軌道輪のCu当量の和と非回転側軌道輪のCu当量の2倍値との差(ΔCueq.max)と、非回転側軌道輪の最大応力負荷圏の水素濃度上昇値との関係を調査したところ、転動体及び回転側軌道輪のCu当量の和が非回転側軌道輪のCu当量の2倍値よりも高くなるほど非回転側軌道輪での水素吸収は起こりずらくなり、つまり本発明の作用・効果が発揮され、さらにCu当量の差(ΔCueq.max)が0.15以上大きくなると非回転側軌道輪での水素吸収が停止することを確認した。
【0039】
従って、非回転側の軌道輪を構成する素材のCu当量の2倍値よりも、回転側の軌道輪及び転動体を構成する素材のCu当量の和の方を0.15以上高く設定することが好ましい。つまり、このCu当量差(ΔCueq.max)を0.15以上,高くすることで、潤滑剤に水が混入するような場合であっても、潤滑剤中に水がない通常の転がり軸受と同じ耐久寿命とすることができる。
【0040】
ここで、CuやNiの含有可能な範囲からCu当量の最大値は1.85となるので、上記Cu当量の差は3.70を超えることはない。
また、Niを4.5重量%以下としたのは、4.5重量%を越えると、軸受(用鋼)として必要な硬さHRC58を下回るからである。
【0041】
また、Cuを0.50重量%以下としたのは、0.50重量%を超えると熱間加工性を低下させてしまうためである。
また、Cr,Mo,Mnを素材中に含有させておくことが好ましい。この場合、Crは3.5重量%以下に、Moは1.5重量%以下に、Mnは1.5重量%以下にそれぞれ設定すると良い。
【0042】
即ち、Crは、3.5重量%を超えると表面にCrを含む緻密な酸化鉄被膜を生成するので転がり面での部分的な酸化鉄被膜破壊が発生する可能性がある。従って、それが局部腐食を促進する可能性があるので、Crは3.5重量%以下が好ましい。Moは、1.5重量%を超えると偏析による異常組織が発生し製造中に割れを生じてしまうから1.5重量%以下が好ましい。Mnについても、1.5重量%を超えると偏析による異常組織が発生し製造中に割れを生じてしまうから1.5重量%以下が好ましい。
【0043】
このとき、Moは電気化学的に素材の貴度を高くさせ、Crは電気化学的に素材の貴度を低下させるが、いずれも炭化物を形成しやすく、また、上述のような含有可能な範囲では、それらのCu当量への効果は無視しうるものとして扱うことができる。また、Mnの増加は、電気化学的に素材の貴度を低下させ且つ均一に分布すれば鋼を全面腐食側にもっていくが、Mnは鋼内での偏析、特に、MnS系介在物周辺の素地中での濃度低下を起こしやすく、現実には局部腐食を引き起こすため、上記含有可能な範囲内に限定され、この範囲のMnでは、Cu当量への効果は無視しうるものとして扱うことができる。
【0044】
また、素材の炭素濃度については、1.1重量%を超えると初晶の巨大炭化物が発生し転がり疲れ強さを低下させてしまうので、素材中の炭素濃度は1.1重量%以下とするのが望ましい。
【0045】
このとき、非回転側軌道輪を構成する素材の炭素濃度を、0.35重量%以下にすることが望ましい。浸炭又は浸炭窒化される非回転側軌道輪の軌道面には50MPa以上の大きさの圧縮残留応力を生じるので、水素吸収による破損を仮に水素脆性フレーキングと呼ぶとすると、耐水素脆性フレーキング性が向上し、潤滑剤中に水が混入しない場合と同じ寿命値が得られる上記Cu当量の差(ΔCueq.max)の臨界値を0.15から0.10まで低下することができる。
【0046】
また素材の酸素濃度を15ppm 以下にすることが望ましい。
上述のごとく、上記Cu当量差が0より大きく、0.15より小さいときは、非回転側軌道輪にも若干の水素脆性が起こりうるので、それへの耐性を持つことが必要である。水素脆性は、水素原子が、主に酸化物系非金属介在物と素地との境界の空隙においてガス化し、その圧力の高まりによりクラックが容易に発生し早期破損を起こす現象なので、酸化物系非金属介在物の大きさや数を低減することが効果的な対策となる。従って、非回転側軌道輪を構成する素材の酸素濃度を15ppm 以下にすることが望ましい。上記Cu当量差(ΔCueq.max)が1.5より大きくなると、回転側軌道輪や転動体でも若干の水素脆性が起こりうるので、それらへの耐性を持つことが必要である。従って、上記と同じ理由により回転側軌道輪や転動体を構成する素材の酸素濃度を15ppm 以下にすることが望ましい。以上より軌道輪や転動体を構成する素材の酸素濃度を15ppm 以下にすることが望ましい。
【0047】
またこのとき、非回転側軌道輪の酸素濃度を9ppm 以下にすることが更に望ましい。9ppm 以下にすると、水素原子がガス化し水素脆性フレーキングの起点となる場所である介在物の大きさや数を減少できるため、耐水素脆性フレーキング性が向上する。この結果、潤滑剤中に水が混入しない場合と同じ寿命値が得られる上記Cu当量の差の臨界値を0.15から0.10までに低下することができる。
【0048】
さらに、非回転側軌道輪の酸素濃度を9ppm 以下にすると共に炭素濃度も0.35%以下にすると、両方の相乗効果により、潤滑剤中に水が混入しない場合と同じ寿命値が得られる上記Cu当量の差の臨界値を0.15から0.05までに低下することができる。
【0049】
なお、潤滑剤中に水が混入しない環境下での転がり軸受に生じる通常の転がり疲労では、上述のような水素による材料(鋼)の脆化やクラック発生はないので、従来の転がり軸受においては、軌道輪や転動体の化学成分は主に焼入れ性や硬さや通常の転がり疲労の強化から決定され、二つの軌道輪や転動体との間に相対的化学成分差は考慮されていない。このため、従来、例えば鉄鋼用圧延機のワークロールやバックアップロール用のロールネック軸受においては、軌道輪である内輪・外輪は共に、転動体と同程度或いはより高い焼入れ性を必要とするので、焼入れ性向上元素であるNi濃度については、軌道輪側のNi濃度は転動体のNi濃度と同等か或いはより高く設定される。一方、Cuは、焼入れ性に関係なく少ないほど良い不純物として扱われ、従来、軌道輪と転動体との間で相対的許容差等は考慮されていない。
【0050】
従って、従来の鉄鋼用圧延機ロールネック軸受を、潤滑剤中に水が混入するような湿潤環境下で使用すると、転動体と軌道輪のNiが同程度のときは転動体と軌道輪との金属接触部でNiの偏析による接触腐食が発生し、軌道輪の軌道面の電気化学的に貴な部分及び転動体の転動面の電気化学的に貴な部分で水分中の水素イオンを水素原子に変えて吸収し、水素吸収面が常に固定された非回転側軌道輪で水素脆性により破損(剥離)を生じるか、あるいは、軌道輪が転動体よりも高Niのときは転動体と軌道輪の接触部で、軌道輪よりも電気化学的に卑な転動体の優先的な腐食反応(鉄のイオン化)により発生した電子が、軌道輪の軌道面で水中の水素イオンと反応し、水素脆性により、水素吸収面が常に固定された非回転側軌道輪での破損(剥離)を生じる。勿論、後者の方が、より短寿命となる。
【0051】
また、従来の鉄鋼材料用連続鋳造設備のガイドロール、自動車ホイール、自動車用水ポンプや製紙機械ドライヤロール用軸受などにおいても、軌道輪は転動体と同程度の焼入れ性の鋼で作製されるため、同様に、非回転側軌道輪で破損(剥離)が生じる。
【0052】
この水素吸収による破損である水素脆性フレーキングを軸受部品の各材料単独の改良により防止又は遅延させようとすると、▲1▼腐食を抑制し水素発生量そのものを減少させる。▲2▼水素の透過し難い被膜を非回転側軌道輪表面に形成し内部への水素侵入を抑制することが考えられる。
【0053】
しかし上述のように腐食を抑制するための軸受の密封対策は効果が低いので、材料学的な面から上記▲1▼▲2▼の効果を得るためには、先ずは、ステンレス鋼の使用が考えられる。しかし、湿潤潤滑下で使用される転がり軸受の潤滑は不良であるので、転動体と軌道輪との間の金属接触によりステンレス鋼表面の不働態被膜は局部的に破壊され、その部分のみが腐食して腐食ピットを形成し、それを起点として破損(剥離)を発生するため、効果が低い。また、ステンレス鋼は低合金鋼に比べて素材コスト及び熱処理コスト等の製造コストが上昇するので現実への適用は困難である。次に、次善の策として、▲1▼の効果を得るためには、含Cu鋼又は含Cu,P鋼(例えば,JIS G3114,3125)の適用が考えられるが、▲1▼の腐食の抑制が不十分で効果は低い。
【0054】
さらに、両軌道輪の軌道面の残留オーステナイト濃度や転動体の転動面の残留オーステナイト濃度の間の相対的な関係から、下記式で示す残留オーステナイト濃度差(ΔγR max )を、0より大きく、好ましくは3以上に設定すると、さらに確実に軸受の耐久寿命が向上する。
【0055】
Figure 0003646467
従って、上述の作用を考慮すると、水が混入する潤滑下では、好ましくは、
Cu当量差(ΔCueq.max)が0.15以上で、且つΔγR max が3以上とするのが好ましい。
【0056】
ここで、Cu当量差(ΔCueq.max)の最大値は3.70である。また、軌道面や転動面の残留オーステナイト濃度は5〜45体積%の範囲にある必要があるため、上記ΔγR max の最大値は、45+45−2×5=80となる。
【0057】
従って、Cu当量差が0.15〜3.70で且つΔγR max が3〜80である範囲が、本発明として望ましい範囲となる。
さらに、通常、現実の使用時では、回転側軌道輪は間欠的に回転することを考慮すると、非回転側軌道輪のCu当量は0.18以上にすることが望ましい。
【0058】
即ち、Cu当量差≧0.15で、且つΔγR max ≧3、さらに、非回転側軌道輪のCu当量≧0.18とすることが望ましい。
【0059】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
例えば、転がり軸受である円錐ころ軸受は、軌道輪である内輪1及び外輪2の間に転動体である複数のコロ3が介装されて構成される(後述の図1参照)。
【0060】
そして、例えば内輪1に回転軸4が取り付けられ、外輪2をハウジング5に固定して設置され、回転軸4が回転することで軸受は作動する。
この場合、内輪1が回転側の軌道輪となり、外輪2が非回転側の軌道輪となる。
【0061】
上記内輪1、外輪2、及びコロ3を構成する素材は、4.5重量%以下のNi、0.5重量%以下のCuを含有する合金鋼から作製され、外輪2のCu当量の2倍値よりもコロ3と内輪1のCu当量の和の方が高くなるように設定されている。ここで、外輪2のNi濃度やCu濃度はゼロでも構わないが、内輪1又はコロ3のうちの少なくとも一方は、必然的にNi又はCuを含有することが必要である。
【0062】
例えば、素材のNi濃度が同じ値とした場合に、コロ3を構成する素材のCu含有量を0.25重量%とし、内輪1と外輪2のCu含有量を0.08重量%とすることで実現される。
【0063】
このように、従来と発想の転換を図り、Cuの含有量に換算したCu当量について、コロ3と内輪1のCu当量の和を、非回転側軌道輪である外輪2のCu当量の2倍値よりも高く設定することで、潤滑剤中に水が侵入するような湿潤環境下であっても、通常の環境下つまり潤滑剤に水が混入しないような環境下で使用される転がり軸受と同等の耐久寿命を持たせることが可能となる。
【0064】
なお、上記実施の形態では、ころ軸受を例に説明しているが、玉軸受であってもよい。
また、上記説明では、内輪1側が回転する軸受で説明しているが、外輪2側が回転する構成のものであってもよい。この場合には、外輪2が回転側の軌道輪となり、内輪1が非回転側の軌道輪となる。
【0065】
【実施例】
次に、第1実施例について説明する。
実際に、円錐ころ軸受を、各軌道輪(外輪2及び内輪1)や転動体(コロ3)を構成する素材(鋼)のCu濃度やNi濃度等を色々と変更して複数個,作製し、寿命試験を行った。なお、各軸受のCu濃度やNi濃度等は、後述の表1、表2、及び表3内に示している。
【0066】
また、円錐ころ軸受の諸元は次の通りである。
呼び番号 :HR32017XJ
軸受内径 :85mm
軸受外径 :130mm
組立幅 :29mm
基本動定格荷重 :143000N
また、二つの軌道輪のうち、内輪1を回転側の軌道輪、外輪2を非回転側の軌道輪とする。
【0067】
そして、寿命試験は、図1に示すような寿命試験機を用いて、下記の条件で行った。つまり、外輪2をハウジング5に固定し、後述の潤滑条件のもとで、内輪1に嵌め込んだ回転軸4を高速で回転する。
【0068】
各諸元は次に通りである。
ラジアル荷重Fr :35750N
アキシャル荷重FS :15680N
内輪回転数 :1500rpm
潤滑 :純グリース潤滑又は水混入グリース潤滑
・純グリース潤滑時のグリース量:60g
・水混入グリース潤滑時のグリース量:60g、水混入量:10cc/時間
但し、水は、空気と一緒に霧状に軸受に吹き付ける。
【0069】
上記条件による寿命試験の結果を、下記表1、表2、及び表3に示す。
なお、表1は、比較のために作製した軸受のものであり、表2及び表3は本願発明に基づき作製した軸受である。
【0070】
【表1】
Figure 0003646467
【0071】
【表2】
Figure 0003646467
【0072】
また、表中、
Cueq. :各軸受部品のCu当量
ΔCueq.CA :コロ3のCu当量から外輪2のCu当量を差し引いた値
ΔCueq.BA :内輪1のCu当量から外輪2のCu当量を差し引いた値
ΔCueq.max:ΔCueq.CA とΔCueq.BA と和(或いは、コロ3のCu当量と内輪1のCu当量の和から外輪2のCu当量の2倍値を差し引いた値と定義しても良い)
である。
【0073】
ここで、寿命評価は、各軸受とも、先ず純グリース中での90%残存寿命(L10pg)を求め、次いで、上述の水混入グリース潤滑中で90%残存寿命(L10wg)を求めて、下記式による寿命相対値により実施した。
【0074】
Figure 0003646467
なお、各軸受の表面硬さはHRC58〜64である。浸炭処理をしてある軸受の表面炭素濃度は0.8〜1.1重量%である。浸炭窒化処理をしてある軸受の表面炭素濃度は0.8〜1.1重量%で、表面窒素濃度は0.05〜0.3重量%である。ずぶ焼入れしてある軸受の表面残留オーステナイトは5〜15体積%である。浸炭処理してある軸受及び浸炭窒化処理してある軸受の表面残留オーステナイトは5〜45体積%である。
【0075】
そして、寿命試験に先立ち、上記表1及び表2に示す軸受と表3の軸受A,Hの各1個を上記試験条件で10時間試験を行い、試験終了時の外輪2(非回転側軌道輪)の最大応力負荷圏±10°以内の位置での鋼中の水素濃度を測定し、新品時からの水素濃度の増分ΔH(ppm )を測定した。そして、その水素濃度の増分ΔH(ppm )とΔCueq.maxとの関係を求めてみると、図2(代表値で示す)に示す結果が得られた。
【0076】
この図2から分かるように、ΔCueq.maxが大きくなるほど水素濃度の増分ΔHは低下し、特にΔCueq.maxが0より大きくなると、0ppm に近づき、ΔCueq.maxが0.15以上ではΔHは0ppm となる、つまり水素濃度上昇がなくなる。
【0077】
この結果から、ΔCueq.maxをゼロより大きく、好ましくは0.15以上の大きさとすることで、非回転側軌道輪の最大応力負荷圏での水素吸収をほぼゼロ又はゼロにでき、潤滑剤に水が混入しても耐久寿命の低下が抑えられる。
【0078】
実際に、ΔCueq.maxと寿命相対値との関係を図示してみると、図3に示すような結果が得られる(代表値で示す)。即ち、ΔCueq.maxをゼロより大きくすると寿命相対値は急激に上昇し、ΔCueq.maxを0.15以上の大きさにすると、水混入グリース潤滑中での寿命値は、純グリース中での寿命値と同じ(寿命相対値=100)になることが分かる。
【0079】
このように、潤滑剤中に水が混入する環境下で使用される転がり軸受では、転動体と回転側軌道輪のCu当量Cueq. =〔Cuの重量%〕+0.3×〔Niの重量%〕の和が、非回転側軌道輪のCu当量Cueq. の2倍値よりも高いと急激に寿命が向上し、さらに0.15以上高いと、非回転側軌道輪の最大応力負荷圏での水素濃度上昇が無くなり、潤滑剤中に水が混入しても、純グリース中での寿命値と同じ値(寿命相対値=100)に保持できることが分かる。
【0080】
なお、ΔCueq.maxが0より大きく0.15より小さいときの非回転側軌道輪への水素吸収を遅延させるため、そしてまた、ΔCueq.maxが1.5より大きく3.70以下のときの回転側軌道輪や転動体への水素吸収を遅延させるために、軌道輪や転動体の結晶粒度を微細にすることが好ましい。このため、それぞれの素材のAl濃度を0.02重量%以上、N濃度を0.005重量%以上にすることが好ましい。
【0081】
次に、第2実施例について説明する。
表3中の軸受番号A及びHの外輪2(非回転側軌道輪)を構成する素材の炭素濃度及び酸素濃度を変えて作製した軸受A1〜A6及びH1〜H6を使用して、上記第1実施例と同じ寿命試験を行ったところ、下記表3に示すような結果を得た。
【0082】
【表3】
Figure 0003646467
【0083】
また、上記軸受A,A1,A2,A3については、外輪2の軌道面(最表面)の残留応力を測定したところ、最大値で下記表4に示す結果が得られた。
【0084】
【表4】
Figure 0003646467
【0085】
この表4から分かるように、非回転側軌道輪を構成する素材の炭素濃度が小さくなるほど、圧縮残留応力が大きくなることが分かる。
そして、上記表3に基づき、ΔCueq.maxが0.10である軸受番号A,A1,A2,A3の各外輪2の素材の炭素濃度と寿命相対値との関係を図示してみると図4に示すようになる。この図4から分かるように、炭素濃度が下がるにしたがって寿命相対値が上昇し、炭素濃度が0.4以下で寿命相対値がほぼ100となり、さらに炭素濃度が0.35重量%以下では寿命相対値が100、つまり水混入グリース潤滑中での寿命値が純グリース中での寿命値と同じになることが分かる。
【0086】
これは、軌道表面の残留応力が50MPa以上の圧縮応力となり、水素脆性フレーキングが抑制されたためである。このように、非回転側軌道輪を構成する素材の炭素濃度が0.4重量%以下,好ましくは0.35重量%以下である場合には、水素脆性フレーキングを抑制できる有効な圧縮残留応力が軌道面に生じ、ΔCueq.maxが0.10以上で、水混入グリース潤滑中での寿命が純グリース中での寿命と同じになる。
【0087】
なお、非回転側軌道輪を構成する素材の低炭素濃度化が、水混入グリース潤滑中での長寿命化に有効であるのは、ΔCueq.maxが0.10以上0.15未満のときであり、ΔCueq.maxが0.15以上のときは何の影響もないことは言うまでもない。
【0088】
また、ΔCueq.maxが0.10である軸受A,A4,A5,A6について外輪2素材の酸素濃度と寿命相対値との関係を図示すると図5のようになる。
この図5から分かるように、酸素濃度が下がるにしたがって、寿命相対値は上昇し、酸素濃度が10ppm 以下でほぼ寿命相対値が100に近づき、さらに酸素濃度が9ppm 以下で寿命相対値が100となる、つまり水混入グリース潤滑中での寿命値は純グリース中での寿命値と同等になることがわかる。
【0089】
これは、水素原子がガス化し水素脆性フレーキングの起点となる場所である介在物の大きさや数が減少するためである。このように非回転側軌道輪を構成する素材酸素濃度を、10ppm 以下、好ましくは9ppm 以下に設定すると、水素原子がガス化し水素脆性フレーキングの起点となる場所である介在物の大きさや数が減少することで、耐水素脆性フレーキング性が向上するため、ΔCueq.maxが0.10以上で、水混入グリース潤滑中での寿命値が純グリース中での寿命値と同等になる。
【0090】
なお、非回転側軌道輪を構成する素材の低酸素濃度化が、水混入グリース潤滑中での長寿命化に有効であるのは、ΔCueq.maxが0.10以上0.15未満のときであり、ΔCueq.maxが0.15以上のときは何らの影響もないことは言うまでもない。
【0091】
なお、製鋼法としては、RH脱ガス法によるよりも、ESR法やVAR法によるほうが、同じ酸素濃度であっても介在物が微細となり耐水素脆性が著しく強化されるので、ΔCueq.maxが負のときでも高い寿命相対値が得られる。例えば、非回転側軌道輪の酸素濃度が9ppm 以下で製鋼法がVAR法ならば、ΔCueq.maxが−0.3以上において、90以上の寿命相対値を得られる。また、ESR法ならばΔCueq.maxが−0.2以上において90以上の寿命相対値を得られる。なお、VAR法やESR法は、ΔCueq.maxが0.15以上の範囲で寿命相対値に影響がないことはいうまでもない。
【0092】
さらに、ΔCueq.maxが0.05である軸受H,H1,H2,H3,H4について外輪2素材の炭素濃度及び酸素濃度と寿命相対値との関係を図示すると図6のようになる。図6中の数値は、寿命相対値を示している。
【0093】
この図6から分かるように、炭素濃度及び酸素濃度が下がるに従って寿命相対値は上昇し、炭素濃度が0.4重量%以下,好ましくは0.35%重量以下且つ酸素濃度が10ppm 以下,好ましくは9ppm 以下で、寿命相対値は100、つまり水混入グリース潤滑中での寿命は、純グリース中での寿命と同等になることがわかる。
これは、表面の50MPa以上の大きさの圧縮残留応力により、水素脆性フレーキングが抑制され、かつ、水素原子がガス化し水素脆性フレーキングの起点となる場所である介在物の大きさや数が減少するためである。
【0094】
このように、非回転側軌道輪を構成する素材の炭素濃度が0.4重量%以下,好ましくは0.35重量%以下で、且つ酸素濃度が10ppm 以下,好ましくは9ppm 以下であると、軌道表面の50MPa以上の大きさの圧縮残留応力の存在と、水素原子がガス化し水素脆性フレーキングの起点となる場所である介在物の大きさや数が減少するため、耐水素脆性フレーキング性が向上するので、ΔCueq.maxを0.05以上に設定することで、水混入グリース潤滑中での寿命値は純グリース中での寿命値と同じになる。
【0095】
なお、非回転側軌道輪を構成する素材の低炭素濃度化と低酸素濃度化の同時実施が、水混入グリース潤滑中での長寿命化に有効であるのは、ΔCueq.maxが0.05以上、0.15未満のときであり、ΔCueq.maxが0.15以上のときは、何の影響もないことは言うまでもない。
【0096】
また、ΔCueq.maxが0より大きく0.15より小さいときの非回転側軌道輪への水素吸収を遅延させるため、そしてまた、ΔCueq.maxが1.5より大きく3.70以下のときの回転側軌道輪や転動体への水素吸収を遅延させるために、軌道輪や転動体の結晶粒度を微細にすることが好ましい。このため、それぞれの素材のAl濃度を0.02重量%以上、N濃度を0.005重量%以上にすることが好ましい。
【0097】
さらに、素材炭素濃度を低くすると浸炭時間が長くなるので、必要に応じて960℃以上での高温浸炭を行い浸炭時間延長を防ぐことができるが、その際は、0.05〜0.20重量%のNb又はVを添加した素材を用いることが望ましい。
【0098】
次に、第3実施例について説明する。
本実施例は、上述の表2に示した軸受番号Q,U,及びRについて、外輪の軌道面の残留オーステナイト濃度、内輪の軌道面の残留オーステナイト濃度、及びコロの転動面の残留オーステナイト濃度の組合せを種々,変更して、水が混入する潤滑下における軸受の寿命を評価したものである。
【0099】
さらに、別途、外輪、内輪、及びコロを、下記表5に示す成分の素材鋼で作成し、且つ、熱処理により外輪の軌道面の残留オーステナイト濃度、内輪の軌道面の残留オーステナイト濃度、コロの転動面の残留オーステナイト濃度の組合せを種々,変更した軸受Z1〜Z4を用意して、当該軸受Z1〜Z4についても水混入する潤滑下における寿命を評価した。
【0100】
ここで、本実施例の試験条件や試験方法は、上記第1実施例と同じである。
【0101】
【表5】
Figure 0003646467
【0102】
上記評価の条件及び試験結果である、各試験軸受についての軌道面や転動面の残留オーステナイト濃度、熱処理方法、寿命相対値などを、下記表6及び表7に示す。なお、寿命相対値は、第1実施例における寿命相対値と同じ定義を使用している。
【0103】
【表6】
Figure 0003646467
【0104】
【表7】
Figure 0003646467
【0105】
ここで、表6中、γR 濃度とは、各表面の残留オーステナイト濃度を表し、
ΔγR max とは、下記式で与えられる回転側軌道輪(内輪)の軌道面及びコロの転動面と、非回転側軌道輪(外輪)の軌道面との間の残留オーステナイト濃度の相対値である。
【0106】
ΔγR max =(内輪軌道面のγR 濃度)+(コロの転動面のγR 濃度)−2×(外輪軌道面のγR 濃度)
ここで、上記軌道面や転動面の残留オーステナイト濃度を決める因子は、主に以下の▲1▼〜▲5▼であり、主にこれらの因子を調整することで、任意の残留オーステナイト濃度に設定することができる。
【0107】
▲1▼マルテンサイト変態の開始温度(Ms点)。
これが低い程、残留オーステナイト濃度は高くなる。
ここで、マルテンサイト変態の開始温度(Ms点)は、素材鋼の化学成分や、浸炭又は浸炭窒化により付加される炭素や窒素濃度、焼入れ処理前の金属組織、焼入れ処理の温度や保持時間により決定される。
【0108】
そして、例えば、素材鋼のMn濃度が多くなる程、浸炭等により付加される炭素等が多くなる程、焼入れ処理前の金属組織でいえば既に浸炭して残留オーステナイト濃度が高くなっている程または炭化物径が小さい程、焼入れ処理の温度が高い程、焼入れ処理の保持時間が長くなる程、それぞれ残留オーステナイト濃度は高くなる。
【0109】
▲2▼焼入れの時の冷却速度。
これが遅い程、残留オーステナイト濃度は高くなる。
▲3▼焼入れ戻し処理の温度や保持時間。
【0110】
処理温度が低い程、また、保持時間が短い程、残留オーステナイト濃度は高くなる。
▲4▼サブゼロ処理(深冷処理)。
【0111】
この処理の温度が高い程、また、保持時間が短い程、さらにはサブゼロ処理を施さない方が、残留オーステナイト濃度は高くなる。
▲5▼残留オーステナイトとマルテンサイトに応力誘起変態させるショットピーニング。これを実施しない方が高くなる。
【0112】
そして、上記表6及び表7に示す各軸受の寿命相対値を検討すると、
ΔγR max 値(単位は、体積%)が、0以下になると、寿命相対値が100を確保できなくなり、一方、3以上では、確実に寿命相対値が100を確保できることが分かる。
【0113】
即ち、軸受の水混入潤滑下での寿命を、残留オーステナイト濃度の相対値から評価すると、寿命相対値として100を確保するには、上記ΔγR max 値を、0より大きく、確実に寿命相対値を100とするには3以上に設定することが好ましいことが分かる。
【0114】
従って、上記第1実施例及び第2実施例の検討結果を加味すると、水が混入する潤滑下では、好ましくは、ΔCueq.maxが0.15以上で、且つΔγR max が3以上である必要がある。
【0115】
ここで、ΔCueq.maxの最大値について考察するに、本発明に係る素材鋼のNi濃度及び
Cu濃度の各上限値は、それぞれ4.5重量%及び0.5重量%であるから、上記ΔCueq.maxの最大値は3.70となる。
【0116】
また、ΔγR max の最大値について考察するに、軌道面や転動面の残留オーステナイト濃度は5〜45体積%の範囲にある必要があるため、
上記ΔγR max の最大値は、45+45−2×5=80となる。
【0117】
従って、ΔCueq.maxとΔγR max との関係における、寿命相対値が100を確保できる範囲は、図7中、矩形枠内の斜線部分となる。
即ち、ΔCueq.maxが0.15〜3.70で且つΔγR max が3〜80である領域が、寿命相対値が100となる領域であり、その範囲が、本発明として望ましい範囲である。
【0118】
なお、軌道面や転動面の残留オーステナイト濃度が5体積%未満になると、潤滑剤中に鉄粉等の異物が混入した場合に、寿命の低下が著しくなる。また、軌道面や転動面の残留オーステナイト濃度が45体積%を越えると、必要な硬さHRC58を下回る。このため、上述のように、軌道面や転動面の残留オーステナイト濃度は、5〜45体積%に設定する必要がある。
【0119】
ずぶ焼処理の場合は、割れ発生を防止するために、残留オーステナイト濃度の上限を15体積%とすることが望ましい。
また、浸炭処理してある外輪,内輪,及びコロの軌道面や転動面の炭素濃度は、0.8〜1.1重量%とするのが望ましい。これは、炭素濃度が0.8重量%未満では、転がり疲れ強さ(転がり寿命)が著しく低下し、また、1.1重量%を越えると、部品のチャンファー(角)部に粗大な炭化物を生じるので、耐衝撃性が著しく低下するためである。
【0120】
また、浸炭窒化処理してある外輪,内輪,及びコロの軌道面や転動面の炭素濃度は、0.8〜1.1重量%とし、窒素濃度は、0.05〜0.3重量%とするのが望ましい。炭素濃度の範囲については、上記炭素処理の場合と同じ理由からである。また、窒素濃度は、0.3重量%を越えると、残留オーステナイト濃度が45体積%を越えやすくなり、また、0.05重量%未満では、浸炭窒化の効果,すなわち残留オーステナイトの増量効果がなくなる。このようなことから、上記範囲の値とする。
【0121】
なお、各部品の軌道面や転動面の硬さは、HRCで58〜64である。本願発明の対象とする低合金鋼では、軌道面や転動面の硬さは、HRC64以下となる。
【0122】
次に、第4実施例について説明する。
上記表6及び表7に示した軸受のうち、寿命相対値が100となる軸受Q′,Q1,U′,U1,R′,R1,Z1,Z2について、上記第1実施例と同じ試験機を用いて試験を行った。
【0123】
但し、試験条件の一部は、上記第1実施例とは異なる。すなわち、試験機を24時間毎に間欠運転する点が異なる。
このとき、試験機を停止している間は、注水も負荷も実施しないが、運転中に注水された水分が試験軸受の下部に残存する。この残存する水分が、コロと外輪の接触部のうち卑な側を腐食させる。また、運転を再開すると、コロが上記腐食部を通過するごとに振動を発生するようになり、実用上種々の問題が生じる。例えば、圧延機のワークロールのロールネック軸受の場合には、被圧延材の板厚の精度が低下する。
【0124】
上記腐食は、外輪(非回転側軌道輪)のCu当量(Cueq. )の絶対値を増やすことで抑制することができる。このとき重要なことは、ΔCueq.maxを0.15以上に維持しながら外輪のCueq. を増やす必要があることである。そうでないと、上述のごとく、運転中に外輪(非回転側軌道輪)が水素を吸収し早期剥離を引き起こす原因となるからである。
【0125】
ここで、上記腐食及び剥離についての評価を、運転中の回転軸4(図1参照)に生じた振動加速度に基づき評価した。即ち、振動評価を試験開始後240〜264時間の間に行い、且つ運転中に回転軸4に生じた上下方向の振動加速度の平均値についての各軸受間の相対比較を求めたところ、表8のようになった。ここで、軸受U′の振動加速度平均値を基準(=1)とした。
【0126】
【表8】
Figure 0003646467
【0127】
この表8から分かるように、外輪のCueq. が0.01や0.02である軸受R′,R1,Z1,Z2における振動加速度は、外輪のCueq. が0.18以上の軸受Q′,Q1,U′,U1における振動加速度の約8倍もある。一方、外輪のCueq. が0.18の軸受Q′,Qにおける振動加速度と、外輪のCueq. が0.57の軸受U′,U1における振動加速度には差がない。
【0128】
一般に、軸受は、本実施例のように間欠的に作動されるのであるから、外輪を非回転側軌道輪とした場合には、外輪のCueq. を0.18以上にすることが軸受の耐久寿命上,望ましいことが分かる。
【0129】
さらに、上記第3実施例の検討を加味すると、ΔCueq.max≧0.15で、且つΔγR .max ≧3、さらに非回転側軌道輪(外輪)のCueq. ≧0.18とすることが、実際の,水が混入する潤滑下におる軸受の耐久寿命上,更に好ましいことがわかる。
【0130】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明の転がり軸受は、軌道輪や転動体を構成する素材中のCuやNiの割合を調整するという簡単な手段で、潤滑剤中に水が混入するような雰囲気で使用しても優れた耐久寿命を持つという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る軸受及びその寿命試験機の構造を説明するための図である。
【図2】Cu当量の差ΔCueq.maxと外輪の最大応力負荷圏近傍での水素濃度上昇分との関係を示す図である。
【図3】Cu当量の差ΔCueq.maxと寿命相対値との関係を示す図である。
【図4】ΔCueq.maxが0.10の場合における、非回転側軌道輪を構成する素材の炭素濃度と寿命相対値との関係を示す図である。
【図5】ΔCueq.maxが0.10の場合における、非回転側軌道輪を構成する素材の酸素濃度と寿命相対値との関係を示す図である。
【図6】ΔCueq.maxが0.05の場合における、非回転側軌道輪を構成する素材の炭素濃度及び酸素濃度と寿命相対値の関係を示す図である。
【図7】ΔCueq.maxとΔγR max との間の関係における寿命相対値100を確保できる範囲を示す図である。
【符号の説明】
1 内輪(回転側の軌道輪)
2 外輪(非回転側の軌道輪)
3 コロ(転動体)
4 回転軸
5 ハウジング

Claims (5)

  1. 軌道輪及び転動体を、Ni4.5重量%以下Cu0.50重量%以下、Crが3.5重量%以下、Moが1.5重量%以下、Mnが1.5重量%以下、炭素濃度が1.1重量%以下、Siが0.5重量%以下、酸素濃度が15ppm以下であって、残部がFeおよび不可避成分からなる合金鋼を素材としてそれぞれ作製する転がり軸受において、
    素材中のCu当量を下記(1)式のように定義したときに、非回転側軌道輪を構成する素材のCu当量よりも、回転側軌道輪と転動体を構成する素材のCu当量の平均値の方が高いことを特徴とする転がり軸受。
    Cu当量(%)=〔素材中のCuの重量%〕
    +0.3×〔素材中のNiの重量%〕・・・(1)
  2. 残留オーステナイト濃度差Δγr.max を下記式のように定義したとき、当該残留オーステナイト濃度差Δγr.max は0より大きいことを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
    Δγr.max =(前記回転側軌道輪の軌道面の残留オーステナイト濃度)
    +(前記転動体の転動面の残留オーステナイト濃度)
    −2×(前記非回転側軌道輪の軌道面の残留オーステナイト濃度)
  3. 前記回転側軌道輪を構成する素材のCu当量と転動体を構成する素材のCu当量との和は、前記非回転側軌道輪を構成する素材のCu当量の2倍値よりも0.15以上高く、且つ、前記非回転側軌道輪を構成する素材のCu当量を0.18以上とすると共に、前記残留オーステナイト濃度差Δγr.max を3以上としたことを特徴とする請求項に記載の転がり軸受。
  4. 前記各軌道輪の軌道面及び転動体の転動面の残留オーステナイト濃度を5〜45体積%とし、浸炭処理してある前記軌道面及び転動面の炭素濃度を0.8〜1.1重量%としたことを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の転がり軸受。
  5. 前記各軌道輪の軌道面及び転動体の転動面の残留オーステナイト濃度を5〜45体積%とし、浸炭窒化処理してある前記軌道面及び転動面は、炭素濃度が0.8〜1.1重量%及び窒素濃度が0.05〜0.3重量%であることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の転がり軸受。
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