JP3598179B2 - 吸音体の取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等の走行に伴う騒音を遮音、吸音するために、主として橋梁や高架道路等の高架構造物の桁裏面に取付けられる吸音体の取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば高架道路等の高架構造物の桁裏面には、その下を通行する車両の騒音が桁裏面で反射して周囲に騒音が漏れるのを防止するために、また同時に桁裏面の美粧化を図るために、長手方向に延びる筒状の吸音体が幅方向に適宜間隔をおいて並行に配置されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記吸音体の取付としては、一般にはまず構造物の桁裏面に幅方向に延びる H型鋼からなる横桁材を所定間隔毎に取付け、この横桁材に防音体を一個一個ボルト止めしていくことにより行われている。しかしながら防音体を一個一個横桁材にボルト止めして取付けるのは手間であり、また防音体は一般的には重いものであり、かかる取付方法ではボルト止めする際には、ボルト止めする作業者とは別に防音体等を支える作業者が必要であり、しかも全てのボルトを締めつけるまでは、その支える作業者は手を離すことができず、特に桁裏面等の如く下からの作業の場合では、落下する恐れがあり、安全性にも問題がある。
【0004】
そこで特開平7−127021号公報に記載される如く、横桁材に受金具を突設すると共に、防音体の両端部の上面に取付金具を形成し、この取付金具を受金具の上面に載せて固定することにより、仮止めが可能で且つ落下の恐れがないようになされた取付方法も提案されているが、防音体を一個一個横桁材にボルト止めして取付ける手間は解消されていない。
【0005】
また特開平7−180118号公報には、互いに並行に配設された複数本のルーバー構成部材をつなぎ部材により互いに接合して被覆用ルーバーパネルとし、このルーバーパネルを桁裏面に下から支えながらボルト止めすることにより、複数のルーバー構成部材を同時に取付けるようにすることも提案されているが、この取付方法ではボルト止めする際に、上記した取付方法と同様にボルト止めする作業者とは別にルーバーパネルを支える作業者が必要であり、しかも全てのボルトを締めつけるまでは、ルーバーパネルを支える作業者は手を離すことができず、また作業中に落下する恐れもあり、作業性のみならず安全性にも問題が残っている。
【0006】
そこで本発明は上記の如き問題を解決し、作業性および安全性を向上させた防音体の取付構造を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわちこの発明に係る防音体の取付構造は、高架構造物の桁裏面に取付けられる吸音体の取付構造であって、両端部より長手方向に取付金具が突設されたパネル本体の下面に、複数の吸音体が適宜間隔をおいて互いに並行に配設されて吸音パネルユニットが形成され、前記取付金具をそれぞれ対向する横桁材の凹溝内に支持させることにより、吸音パネルユニットが横桁材間に取付けられるようになされ、前記取付金具は、取付端部から下方に垂下部が延び、さらに垂下部より長手方向に先端部が延び、前記先端部が横桁材の凹溝内に挿入支持されると共に、パネル本体が垂下部の高さ分だけ嵩上げされて、パネル本体の上面が横桁材の上面とほぼ面一になるようになされたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、複数の吸音体が適宜間隔をおいて互いに並行に配設された吸音パネルユニットを横桁材間に取付けることにより、複数の吸音体を一度に取付けることができる。またこの吸音パネルユニットは、それを構成するパネル本体の両端部より突設された取付金具を横桁材の凹溝内に支持させて取付けるので、作業中に吸音パネルユニットを支える必要がなく、また落下する恐れも解消される。
又パネル本体の上面が横桁材の上面とほぼ面一になされているので、この上を足場としてメンテナンスの際に作業者がつまずくことなく、安全に走行できる。
【0009】
本発明における吸音体は、適宜吸音材が内装されたり、共鳴室が形成される等して吸音性や遮音性等の防音性が具備されたものであり、その形状は一般的には筒状となされているが、特に限定されるものではない。
【0010】
また本発明において、取付金具は予めパネル本体に固定されていてもよいが、予めパネル本体の長手方向に対して摺動可能となされていれば、取付金具を長手方向に摺動させつつ横桁材の凹溝内に挿入することにより支持させることができるので、支持させる際の作業が容易となる。
【0011】
さらに本発明において、吸音パネルユニットにより取付けられた吸音体が、破損等により落下しないように、吸音体の落下を防止する落下防止ワイヤーが、吸音体に取付けられているのが好ましい。
【0013】
さらに本発明において、パネル本体面にエキスパンドメタル等の網状体が敷設されていれば、桁裏面に鳥等が侵入するのを防止することができる。
【0014】
さらにまた本発明において、パネル本体内にさらに吸音材が充填されていれば、吸音体のみならずこのパネル本体でも吸音されるので、防音効果がより向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
すなわち図1は本発明の実施の一形態を示す概略図、図2は主要部の側面図、図3はパネル本体への吸音体の取付状態を示す分解斜視図、図4は落下防止ワイヤーの取付状態を示す斜視図、図5は吸音パネルユニットの横桁材への取付状態を示す断面図、図6は吸音パネルユニットの横桁材への取付状態を示す分解斜視図である。
【0016】
図面において1は橋梁や高架道路等の高架構造物であり、2はこの高架構造物1の桁裏面に取付けられた支持部材であり、3は支持部材2に取付けられた横桁材であり、横桁材3は両側面に凹溝31が形成された断面エ字型を呈し、高架構造物1の幅方向に延び、かつ高架構造物1の長手方向に後述の吸音パネルユニット4のほぼ長さ間隔毎に複数設けられている。なお高架構造物1の側面には桁裏面を側面より隠蔽する化粧板21が取付けられている。
【0017】
4は相対向する横桁材3間に取付けられた吸音パネルユニットであり、吸音パネルユニット4は、パネル本体5と、このパネル本体5の下面に適宜間隔をおいて互いに並行に配設された複数の筒状の吸音体6とから構成されている。
【0018】
前記パネル本体5は、外周に枠体51が取付けられ、上下面に例えばエキスパンドメタル等の網状体52が敷設され、その上下の網状体52間に例えばグラスウール等の吸音材53が充填され、防音性を具備させると共に桁裏面に鳥等が侵入するのを防止している。一方吸音体6は、例えば筒状内に適宜吸音材が内装されたり、共鳴室が形成される等して吸音性や遮音性等の防音性が具備されたものである。
【0019】
パネル本体5への吸音体6の取付構造をさらに詳細に説明すると、まず吸音体6の上面に長手方向に取付溝61が形成され、その取付溝61の両端部にそれぞれ取付ボルト62の頭部が摺動可能に嵌入され、またパネル本体5の両端部の下面には前記取付ボルト62とほぼ対応する位置に断面矩形状の短筒体54がそれぞれ取付けられている。そして前記取付ボルト62に、立ち上げ片71が左右に形成されたコ字状の支持具7の底面72が貫通されてナット63により螺着され、次いでこの支持具7の左右の立ち上げ片71が短筒体54の外側面に下から挟み込むように嵌入され、さらに横から貫通された支持ボルト73によりボルト止めされることにより取付けられている。この支持具7を短筒体54に嵌入する際、互いの位置が合っていない場合は、前記取付ボルト62を取付溝61に沿って摺動させることにより適宜位置合わせをすることができる。
【0020】
なおパネル本体5に取付けられた吸音体6には、さらに破損等により落下しないように、パネル本体5またはパネル本体5を貫通して横桁材3に支持された落下防止ワイヤー8が取付けられている。またパネル本体5の下面に取付けられる吸音体6の数は特に限定されるものではないが、吸音体6の数を多くすると重量が重くなって逆に作業性や安全性に問題が生じてくるため、通常は5個程度を1ユニットとしている。
【0021】
かようにしてパネル本体5の下面に複数の吸音体6が取付けられて吸音パネルユニット4が形成されるが、この吸音パネルユニット4の横桁材3への取付構造は、パネル本体5の両端部下面にボルト止めされた取付金具9が、前記両端部より長手方向に突設され、この取付金具9の先端部91が横桁材3の凹溝31内に挿入支持されることにより取付けられるようになされている。
【0022】
この場合、取付金具9の取付端部92に穿設された取付孔93が長孔となされ、この長孔の取付孔93に取付ボルト96を挿入してパネル本体5の下面にボルト止めすることにより、取付金具9はパネル本体5の長手方向に対して摺動可能に取付けられている。そして取付金具9を横桁材3の凹溝31内に挿入支持させる際には、まず前記取付ボルト96を緩めておき、取付金具9を長手方向に摺動させつつ横桁材3の凹溝31内に挿入支持させると共に、先端部91に穿設された取付孔94を凹溝31内の取付孔32に位置合わせし、この両取付孔94,32に支持ボルト97を貫通させてボルト止めされるようになされている。
【0023】
なお取付金具9は、取付端部92から下方に垂下部95が延び、さらに垂下部95より長手方向に先端部91が延びている。かように垂下部95が設けられている理由は、取付金具9の先端部91を横桁材3の凹溝31内に挿入支持させた際、パネル本体5を垂下部95の高さ分だけ嵩上げして、パネル本体5の上面が横桁材3の上面とほぼ面一になるようにするためである。
【0024】
なお本形態では、前記した如くパネル本体5内に吸音材53が充填されて、吸音体のみならずこのパネル本体でも吸音させることにより、防音効果をより向上させているが、この防音効果を確認するために、下面に吸音体6が取付けられたパネル本体5にエキスパンドメタルからなる網状体52のみ付設した場合と、本形態の如く下面に吸音体6が取付けられたパネル本体5内にさらに吸音材53が網状体52間に充填された場合との残響室法吸音率をそれぞれ測定し、その結果を前者の場合を表1に、本形態による後者の場合を表2に、それぞれ表した。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
上記結果より、本形態の如く下面に吸音体6が取付けられたパネル本体5内にさらに吸音材53が充填された場合には、防音効果をより向上されることが確認される。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の吸音体が適宜間隔をおいて互いに並行に配設された吸音パネルユニットを横桁材間に取付けることにより、複数の吸音体を一度に取付けることができる。またこの吸音パネルユニットは、それを構成するパネル本体の両端部より突設された取付金具を横桁材の凹溝内に支持させて取付けるので、吸音パネルユニットを持ち上げて取付金具を横桁材の凹溝内に支持させた後は、作業中に吸音パネルユニットを支える必要がなく、また落下する恐れも解消される。
又パネル本体の上面が横桁材の上面とほぼ面一になされているので、この上を足場としてメンテナンスの際に作業者がつまずくことなく、安全に走行できる。
【0029】
また本発明において、パネル本体の長手方向に対して摺動可能となされていれば、取付金具を長手方向に摺動させつつ横桁材の凹溝内に挿入することにより支持させることができるので、支持させる際の作業も容易となる。
【0030】
さらに本発明において、パネル本体に取付けられた吸音体に、落下を防止する落下防止ワイヤーが取付けられていれば、破損等において吸音体が落下するのを防止できる。
【0032】
さらに本発明において、パネル本体面にエキスパンドメタル等の網状体が付設されていれば、桁裏面に鳥等が侵入するのを防止することができる。
【0033】
さらに本発明において、パネル本体内にさらに吸音材が充填されていれば、吸音体のみならずこのパネル本体でも吸音されるので、防音効果をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す概略図である。
【図2】主要部の側面図である。
【図3】パネル本体への吸音体の取付状態を示す分解斜視図である。
【図4】落下防止ワイヤーの取付状態を示す斜視図である。
【図5】吸音パネルユニットの横桁材への取付状態を示す断面図である。
【図6】吸音パネルユニットの横桁材への取付状態を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 高架構造物
2 支持部材
21 化粧板
3 横桁材
31 凹溝
32 取付孔
4 吸音パネルユニット
5 パネル本体
51 枠体
52 網状体
53 吸音材
54 短筒体
6 吸音体
61 取付溝
62 取付ボルト
63 ナット
7 支持具
71 立ち上げ片
72 底面
73 支持ボルト
8 落下防止ワイヤー
9 取付金具
91 先端部
92 取付端部
93 長孔の取付孔
94 先端部の取付孔
95 垂下部
96 取付端部の取付ボルト
97 先端部の支持ボルト
Claims (5)
- 高架構造物の桁裏面に取付けられる吸音体の取付構造であって、両端部より長手方向に取付金具が突設されたパネル本体の下面に、複数の吸音体が適宜間隔をおいて互いに並行に配設されて吸音パネルユニットが形成され、前記取付金具をそれぞれ対向する横桁材の凹溝内に支持させることにより、吸音パネルユニットが横桁材間に取付けられるようになされ、前記取付金具は、取付端部から下方に垂下部が延び、さらに垂下部より長手方向に先端部が延び、前記先端部が横桁材の凹溝内に挿入支持されると共に、パネル本体が垂下部の高さ分だけ嵩上げされて、パネル本体の上面が横桁材の上面とほぼ面一になるようになされたことを特徴とする吸音体の取付構造。
- 取付金具がパネル本体の長手方向に対して摺動可能となされたことを特徴とする請求項1記載の吸音体の取付構造。
- 吸音体の落下を防止する落下防止ワイヤーが、吸音体に取付けられていることを特徴とする請求項1または2記載の吸音体の取付構造。
- 前記パネル本体面に網状体が敷設されたことを特徴とする請求項1、2または3記載の吸音体の取付構造。
- 前記パネル本体内にさらに吸音材が充填されたことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の吸音体の取付構造。
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