JP2019056268A - 防音パネルユニット、防音パネルユニットの施工方法、防音壁の補修方法 - Google Patents

防音パネルユニット、防音パネルユニットの施工方法、防音壁の補修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】端尺部や特殊部の製造が容易で、且つ、損傷した場合の補修が短時間で安価にできる防音パネルユニット、防音パネルユニットの施工方法、及び防音壁の補修方法を提供する。【解決手段】両端が折り返された縦リブが形成された鋼製防音パネルが複数枚接合された防音パネルユニット1において、前記鋼製防音パネルを、構造躯体に固定支持される固定パネル2(2’)と、固定パネル2に少なくとも一側端が連結される中間パネル3と、の2種類のパネルから構成し、固定パネル2同士、及び固定パネル2と中間パネル3とを、それぞれ乾式接合する。【選択図】図2

Description

本発明は、外側両端が折り返された縦リブが形成されて支柱とパネルとが一体となった鋼製防音パネルが複数枚接合された防音パネルユニットに関する。
従来、高架橋の縁に沿った地覆部や高欄基礎などの構造躯体に支柱とパネルとが一体となった防音パネルが立設され、高架橋内の線路や道路から発生する騒音が周囲に漏れるのを防止する防音パネルユニットからなる防音壁が知られている。
例えば、特許文献1には、鉄筋コンクリート構造物の上面に固定される固定部と、コンクリート構造物に対して起立するパネル部と、を備えたプレキャストコンクリート製防音パネルを、前記上面にアンカーボルトによって列状に固定して構成するプレキャストコンクリート製防音壁において、前記上面と前記固定部下面との間に、設置方向に沿って止水材を介在させたことを特徴とするプレキャストコンクリート製防音壁及びその施工方法が開示されている(特許文献1の特許請求の範囲の請求項1,4、明細書の段落[0005]〜[0023]、図面の図1,図2等参照)。
しかし、特許文献1に開示されたプレキャストコンクリート製防音壁及びその施工方法は、コンクリート製の防音壁であるため重量が重くクレーンなどの揚重機が無ければ設置が困難であり、狭隘な場所では設置できないだけでなく、コストアップの要因となるという問題があった。また、特許文献1に開示されたプレキャストコンクリート製防音壁は、コンクリート製の防音壁であるため、経年劣化等によりパネル表面が剥離するおそれがあり、剥離片の落下事故が生じるおそれがあるという問題もあった。
また、特許文献2には、防音部2と、防音部2の下部に設けられた建築物躯体14への取付部3を有するFRP製防音壁1であって、防音部2は少なくともパネル部4を有し、パネル部4の単位面積当たりの重量が5kg/m2以上10kg/m2未満である防音壁が開示されている(特許文献2の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0016]〜[0036]、図面の図1,図2等参照)。
特許文献2に記載の防音壁は、必要な遮音性能を確保しながら軽量性を最大限発揮し、使用材料を最小化することができるため、製造コストを安くすることができるとされている。また、FRP製であるため、コンクリート製の防音パネルのように、表面剥離の問題も生じない。
しかし、特許文献2に記載の防音壁は、FRP製であるため通常金型が必要であり、通常の1ユニットで収まらない端尺部や、コーナー部、曲面部、勾配部などの特殊部の製造や施工が困難であるという問題があった。また、特許文献2に記載の防音壁は、FRP製であるため、バラストの衝突や事故などにより、防音壁の一部が損傷した場合、その付近一帯の防音壁の1ユニットを全部取り替える必要があり、不経済であるという問題もあった。
特開2000−144648号公報 特開2013−204234号公報
そこで、本発明は、前述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、端尺部や特殊部の製造が容易で、且つ、損傷した場合の補修が短時間で安価にできる防音パネルユニット、防音パネルユニットの施工方法、及び防音壁の補修方法を提供することにある。
第1発明に係る防音パネルユニットは、両端が折り返された縦リブが形成された鋼製防音パネルが複数枚接合された防音パネルユニットであって、前記鋼製防音パネルは、構造躯体に固定支持される固定パネルと、前記固定パネルに少なくとも一側端が連結される中間パネルと、の2種類のパネルからなり、前記固定パネル同士、及び前記固定パネルと前記中間パネルとは、それぞれ乾式接合されていることを特徴とする。
第2発明に係る防音パネルユニットは、第1発明において、前記固定パネルが少なくとも左右一対設けられ、これらの一対の前記固定パネル間にすくなくとも1枚の前記中間パネルが設けられていることを特徴とする。
第3発明に係る防音パネルユニットは、第1発明又は第2発明において、前記縦リブは、上方へ行くに従って幅が小さくなるように形成されていることを特徴とする。
第4発明に係る防音パネルユニットは、第1発明〜第3発明のいずれかの発明において、前記縦リブは、前記構造躯体の騒音源側へ折り返されているとともに、前記中間パネルの前記縦リブの突端には、前記中間パネルの隣接するパネル側へ折り返された脱落防止リブが形成されていることを特徴とする。
第5発明に係る防音パネルユニットは、第1発明〜第4発明のいずれかの発明において、前記構造躯体に設けられたアンカーボルトにより締結されるベースプレートを前記固定パネルと別部材として備え、前記ベースプレートは、前記固定パネルの前記縦リブと着脱自在に接合されていることを特徴とする。
第6発明に係る防音パネルユニットは、第5発明において、前記ベースプレートは、前記ベースプレートとは別部材である押え金具を介して前記アンカーボルトに締結されていることを特徴とする。
第7発明に係る防音パネルユニットは、第1発明〜第6発明のいずれかの発明において、前記固定パネル及び前記中間パネルは、パネル部分に防音材が装着可能に構成されていることを特徴とする。
第8発明に係る防音パネルユニットの施工方法は、第1発明〜第7発明のいずれかの発明に係る防音パネルユニットを前記構造躯体に設置する防音パネルユニットの施工方法であって、前記防音パネルユニットを施工区間内において次々に設置して行き、既に設置した前記防音パネルユニットと施工区間の残りの端尺部分を現地で実測した上、実測した端尺部分の長さに基づいて前記中間パネルの幅だけを変更して前記端尺部分に前記防音パネルユニットを設置することを特徴とする。
第9発明に係る防音壁の補修方法は、第1発明〜第7発明のいずれかの発明に係る防音パネルユニットを備える防音壁を補修する防音壁の補修方法であって、損傷した前記鋼製防音パネルを除く前記鋼製防音パネルを立設したまま、損傷した当該鋼製防音パネルのみを前記鋼製防音パネル同士の乾式接合を取り外して入れ替えることを特徴とする。
第1発明〜第9発明によれば、鋼製防音パネルは、固定パネルと中間パネルの2種類のパネルからなり、前記固定パネル同士、及び前記固定パネルと前記中間パネルとは、ボルト接合やリベット接合などの乾式接合でそれぞれ分離可能に接合されているので、鋼製の中間パネルの幅や形状を変えるだけで、端尺部や特殊部の製造が容易である。また、鋼製の防音パネルであるとともに、各パネルが乾式接合で分離可能に構成されているので、損傷した場合の補修がその部分のパネルを交換するだけで済み、メンテナンスが容易で損傷した場合の補修が短時間で安価にすることができる。
その上、第1発明〜第9発明によれば、鋼製の防音パネルであるので、コンクリート製の防音パネルと比べて、軽量であり、設置が容易であるとともに、表面剥離の問題も生じない。
特に、第2発明によれば、支柱を設置しなくても防音パネルの設置が可能となるだけでなく、各パネルが分離可能に構成されているので、損傷した場合の補修がその部分のパネルを交換するだけで済み、短時間で安価にすることができる。また、鋼製の中間パネルの幅や形状を変えるだけで、防音壁全体の長さ調整が可能で調整が容易で、鋼板なので、現地加工も可能である。
特に、第3発明によれば、作用する曲げモーメントが小さい部分の縦リブの折り返しを小さくし、部材の軽量化を達成することができる。
特に、第4発明によれば、外部への足場を設置することなく中間パネルの修理や調整、交換及び取付を容易にするとともに、橋梁の外側への中間パネルの脱落を確実に防ぐことができる。
特に、第5発明によれば、ベースプレートが着脱自在となっており、ベースプレートにリブが形成されていないことでパネルの足元に溜まる水を排水し易くして耐久性を向上させることができる。
特に、第6発明によれば、応力が集中するアンカー付近の押え金物を別部材とすることで、さらに軽量化を図ることができる。
特に、第7発明によれば、防音効果を高めることができるとともに、製品を現地設置後に、さらなる騒音低減が可能となる。このため、設置後の音環境の改善が可能である。
特に、第8発明によれば、端尺部分を現地で実測した上、実測した端尺部分の長さに基づいて前記中間パネルの幅だけを変更して前記端尺部分に前記防音パネルユニットを設置することができるので、施工が容易で短時間で設置が可能であり、設置コストを低減することができる。
特に、第9発明によれば、損傷した前記鋼製防音パネルを除く前記鋼製防音パネルを立設したまま、損傷した当該鋼製防音パネルのみを前記鋼製防音パネル同士の乾式接合を取り外して入れ替えることができるので、損傷した場合の補修がその部分のパネルを交換するだけで済み、メンテナンスが容易で損傷した場合の補修が短時間で安価にすることができ、ランニングコストを低減することができる。
本発明の実施形態に係る防音パネルユニットを示す内側斜視図である。 同上の防音パネルユニットの構成を示す分解斜視図である。 同上の防音パネルユニットを示す外側斜視図である。 同上の防音パネルユニットにパンチングメタルを装着した状態を示す内側正面図である。 図4の防音パネルユニットを示す平面図である。 図4の防音パネルユニットを示すA−A線断面図である。 同上の防音パネルユニットに装着するパンチングメタルのみを示す図であり、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)が側面図である。 同上の防音パネルユニットの固定パネルと中間パネルの組み合せを示す模式図である。 図8の防音パネルユニットの組み合せの別の実施形態を示す模式図である。 同上の防音パネルユニットの中間パネルの脱着を示す斜視図である。 同上の防音パネルユニットの中間パネルの脱落防止リブを拡大して示す斜視図である。 同上の防音パネルユニットのパネル同士のリベット接合の断面を拡大して示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る防音パネルユニットの施工方法のユニット搬入据付工程を示す工程説明図である。 同上の防音パネルユニットの施工方法の押え金具装着工程を示す工程説明図である。 同上の防音パネルユニットの施工方法のボルト締結工程及び次のユニットのユニット搬入据付工程を示す工程説明図である。 同上の防音パネルユニットの施工方法が完了し、防音壁ができ上がった状態を示す斜視図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る防音パネルユニット、防音パネルユニットの施工方法、及び防音壁の補修方法について詳細に説明する。
先ず、図1〜図7を用いて、本発明の実施形態に係る防音パネルユニット1について説明する。
本実施形態に係る防音パネルユニット1は、鉄道橋や道路橋などの橋梁の縁に沿って設けられる高欄として設置され、線路や道路から発生する騒音が周囲に漏れるのを防止する防音壁を構成するものである。
図1は、本発明の実施形態に係る防音パネルユニット1を示す内側斜視図であり、図2は、防音パネルユニット1の構成を示す分解斜視図であり、図3は、防音パネルユニットを示す外側斜視図である。図1〜図3に示すように、本実施形態に係る防音パネルユニット1は、支柱とパネルとが一体となった鋼製防音パネルが3枚接合された防音パネルユニットであり、固定パネル2と中間パネル3の2種類のパネルから主に構成されている。
固定パネル2及び中間パネル3は、いずれも縦長な長方形(矩形)状の高耐食性めっき鋼板からなる鋼板の外側両端を折り返して縦リブが形成された鋼製防音パネルである。また、固定パネル2及び中間パネル3は、外側両端に縦リブを形成して水平断面コの字状とすることにより、パネルに曲げ剛性を担保して、支柱がなくても立設可能とし、支柱を構造躯体に埋設する工程を省略して工期を短縮するものである。
その上、支柱がない鋼製の防音パネルとすることにより、コンクリート製の防音パネルと比べて軽量であり、設置が容易となる。また、表面剥離の問題も解消することができる。さらに、鋼板なので、切断や溶接等も容易であり現地加工も容易である。なお、防音パネルユニット1(固定パネル2及び中間パネル3)は、縦長な長方形(矩形)状で説明するが、これに限定されず、横長な長方形(矩形)状でも正方形状としても実施することができる。
(固定パネル)
固定パネル2は、防音パネルユニット1の左右の端部に配置され、地覆や高欄基礎などの構造躯体に固定支持されるパネルであり、中間パネル3は、固定パネル2に接合されることにより固定支持されるパネルである。なお、固定パネル2の構造躯体への固定は、後述のベースプレート4と押え金具5を用いて、構造躯体に突設又は埋設されて設置されたアンカーにボルト接合することにより行う。
図2に示すように、固定パネル2は、縦長な長方形(矩形)状のパネル本体20と、このパネル本体20の両側端が橋梁の内側へ折り返された縦リブ21,22など、から構成されている。
縦リブ21,22は、図2に示すように、パネル本体20の曲げ剛性を向上させるために折り返された左右対称の補強リブであり、上方へ行くに従って幅が小さくなるように台形状に形成されている。また、この縦リブ21,22の突端は、パネル本体20の内側へさらに折り返された折反し片21a,22aが形成されている。
なお、防音パネルユニット1と隣接するパネルユニットと係合させる場合は、縦リブ22の突端が外側へ折り返された折反し片22a’となった固定パネル2’とすると好ましい。また、固定パネル2の板厚は、1.6mm〜2.3mmを使用することができる。
その上、縦リブ22間の空間を、人間が入ることが可能なサイズにした場合、防音パネルの施工時などにおける作業車両等からの退避スペースや、通信付帯設備や標識などを取り付ける空間にも利用することができる。
(中間パネル)
中間パネル3は、図2に示すように、縦長な長方形(矩形)状のパネル本体30と、このパネル本体30の両側端が橋梁の内側へ折り返された縦リブ31,32など、から構成されている。
この縦リブ31,32も、固定パネル2と同様に、パネル本体30の曲げ剛性を向上させるために折り返された左右対称の補強リブであり、上方へ行くに従って幅が小さくなるように台形状に形成されている。また、この縦リブ31,32の突端には、パネル本体30の外側へさらに折り返された脱落防止リブ31a,32aが形成されている(図11も参照)。また、中間パネル3の板厚は、1.6mm〜2.3mmを使用することができる。その上、縦リブ22間の空間を、人間が入ることが可能なサイズにした場合、防音パネルの施工時などにおける作業車両等からの退避スペースや、通信付帯設備や標識などを取り付ける空間にも利用することができる。
(ベースプレート)
ベースプレート4は、図2に示すように、高耐食性めっき鋼板からなる厚さ4.5mm程度の鋼板を折り曲げ加工して、上面と正面の2面が開放された箱状に形成した部材である。このベースプレート4の底面プレートには、アンカーを挿通する2つのアンカー孔4aが穿設されている。また、底面プレートには不陸調整及び躯体と防音パネルユニット1間を電流が流れないようにするためにゴムが接着されている。
そして、ベースプレート4の側面プレートには、後述のパンチングメタル7を差し込む欠き込み4bが形成され、ベースプレート4の背面プレートには、後述のパンチングメタル7を載置する折返し片4cが形成されている。また、ベースプレート4の板厚は、4.5mm〜9mmを使用することができる。
(押え金具)
押え金具5は、ベースプレート4内に収まる大きさの厚さ12mm程度の長方形(矩形)状の鋼板であり、応力が集中するアンカー付近をパネル材(固定パネル2と中間パネル3)と別部材とするために設けた部材である。このように、押え金具5をパネル材と別部材とすることで、パネル材を薄板化して防音パネルユニット1全体の軽量化を図るためである。また、押え金具5の板厚は、9mm〜16mmを使用することができる。
(笠木)
笠木6は、2.3mm厚の高耐食性めっき鋼板を断面コの字状に折り曲げた笠木であり、この笠木6は、固定パネル2,2’と中間パネル3の上端を揃えて補強する機能を有している。図3に示すように、防音パネルユニット1は、笠木6により、固定パネル2,2’と中間パネル3の上端が揃えられて、橋梁の外側の面が面一となるように設置される。
また、笠木6の板厚は、1.6mm〜2.3mmを使用することができる。
(防音材)
次に、防音パネルユニット1のオプション部材である防音材として、パンチングメタル7及びこのパンチングメタル7に装着する吸音材について説明する。そもそも、前述の防音パネルユニット1は、吸音材が無くても単独で鋼板の重さにより透過損失を大きくして遮音する単層の遮音壁を構成する。しかし、本実施形態に係る防音パネルユニット1は、防音効果を高めるとともに、設置後の音環境の改善を可能とするため、パンチングメタル7を嵌め込んで、その中に吸音材を追加可能とするものである。
図4は、防音パネルユニット1にパンチングメタル7を装着した状態を示す内側正面図であり、図5は、その平面図、図6は、そのA−A線断面図である。また、図7は、防音パネルユニットに装着するパンチングメタル7のみを示す図であり、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)が側面図である。
図7(a)に示すように、パンチングメタル7は、0.6mm厚程度の長方形状の耐候性メッキ鋼板や二枚の鋼板の間に樹脂をサンドイッチさせた鋼板などに多数の孔が穿設された鋼板からなり、(b)(c)に示すように、四辺の縁が折り返されて25mm厚程度の吸音材を装着するスペースを確保している。
吸音材としては、発泡ポリウレタンフォームなどの発泡樹脂やグラスウールなどの繊維材が好適に用いられ、パンチングメタル7の孔を通過した騒音を乱反射して減衰することにより吸音する材料であれば適宜用いられるものである。
パンチングメタル7は、図示しない吸音材が貼着された状態で、図4、図5に示すように、固定パネル2,2’と中間パネル3にそれぞれ装着される。パンチングメタル7の固定は、図6に示すように、パンチングメタル7が前述のベースプレート4の欠き込み4bに差し込まれて、折返し片4cの上に載置されたうえ、L形アングル70で止め付けられている。なお、符号71は、後述のリベットの干渉を防ぐためのリベット干渉部切欠き71である。また、パンチングメタル7や鋼板のみを遮音材として装着してもよい。また、吸音材と遮音材の両方を装着しても良い。このように、吸音材のみ、遮音材のみ、吸音材と遮音材を追加するなど防音材の様々な対応で装着可能である。
次に、図8、図9を用いて、本発明に係る防音パネルユニットの固定パネル2と中間パネル3の配置について説明する。図8は、防音パネルユニットの固定パネルと中間パネルの組み合せを示す模式図であり、図9は、防音パネルユニットの組み合せの別の実施形態を示す模式図である。
前述のように、固定パネル2は、構造躯体に固定支持されるパネルであり、中間パネル3は、固定パネル2に接合されることにより固定支持されるパネルである。よって、図8(a)に示すように、3枚の鋼製防音パネルのうち、両外側を構造躯体に固定する固定パネル2として、その中間を中間パネル3とするのが基本形である。
しかし、図8(b)に示すように、防音パネルユニットを4枚の鋼製防音パネルから構成し、中間の2枚を前述の中間パネル3としてもよい。両端の固定パネル2で構造躯体に固定支持するとともに、中間パネル3の一方を固定パネル2で固定でき、笠木6で一体化できるからである。
また、図8(c)に示すように、防音パネルユニットを5枚の鋼製防音パネルから構成し、そのうち両端を固定パネル2とするとともに、中央に固定パネル2を配し、それらの間を中間パネル3としてもよい。要するに、本発明に係る防音パネルユニットは、固定パネル2が構造躯体に固定支持され、中間パネル3の少なくとも一側が固定パネル2に接続支持される構造であればよい。
そして、図9(a)に示す防音パネルユニット1の固定パネル2と中間パネル3の幅が同じ等間隔の直線状の配置を基本形とすると、防音壁の施工範囲の端部となる防音パネルユニットでは、図9(b)に示すように、中間パネル3の幅で長さ調整が可能である。この場合、固定パネル2は、全く同じ構成であるため、固定パネル2の製造ラインはそのまま使用できる。また、中間パネルも、中間パネル3の幅を調整した(図示形態では切り詰めた)中間パネル3’とするだけで、製造可能である。しかも、鋼製パネルであるため、切り詰めのための切断、溶接がFRPパネルと比べて格段に容易である。
また、図9(c)に示すように、曲面部分や、図9(d)に示すように、コーナー部分(直角部分)に、防音パネルユニットを設置する場合でも、中間パネル3”や中間パネル3#という中間パネルを役物とするだけで様々な場合に対応することができる。このため、本発明に係る防音パネルユニットは、端尺部や特殊部の製造が容易である。
<固定パネルと中間パネルの接合>
次に、図10〜図12を用いて、固定パネル2と中間パネル3の接合方法について説明する。図10は、防音パネルユニット1の中間パネル3の脱着を示す斜視図である。また、図11は、防音パネルユニット1の中間パネル3の脱落防止リブを拡大して示す斜視図であり、図12は、防音パネルユニットのパネル同士のリベット接合の断面を拡大して示す斜視図である。
図10に示すように、中間パネル3は、固定パネル2と固定パネル2’との間に嵌め込まれ、図12に示すように、リベットRBでリベット接合されている。勿論、中間パネル3と固定パネル2,2’との接合は、リベット接合に限られず、ボルトとナットのボルト接合やクリップ止めなど他の乾式接合で接合されていても構わない。要するに、溶接など湿式の接合で後から分離するのに時間の掛かる接合でなければよい。
また、図11に示すように、中間パネル3の縦リブ31,32の突端には、パネル本体30の外側へさらに折り返された脱落防止リブ31a,32aが形成されている。そして、脱落防止リブ31a,32aは、固定パネル2の縦リブ22の折反し片22a,固定パネル2’の縦リブ21の折反し片21aに当接させて、その脱落防止リブ31a,32aと折反し片21a,22aをリベットRBでリベット接合している。
このため、例え、リベットRBが外れたとしても、脱落防止リブ31a,32aで中間パネル3が、固定パネル2,2’の折反し片21a,22aで掛け止められることとなり、橋梁の外側へ中間パネル3が脱落する事故を防ぐことができる。また、これは、防音パネルユニット1の施工時だけでなく、防音パネルユニット1の一部を取り替えたり修繕したりする補修時においても同様のことが言える。
以上のように、本実施形態に係る防音パネルユニット1によれば、固定パネル2,2’と中間パネル3の2種類のパネルからなり、これらのパネルの接合が、リベット接合などの乾式接合でそれぞれ分離可能に接合されている。このため、鋼製の中間パネル3の幅や形状を変えるだけで、端尺部や特殊部の製造が容易である。その上、本実施形態に係る防音パネルユニット1によれば、鋼製の防音パネルであるので、コンクリート製の防音パネルと比べて、軽量であり、設置が容易であるとともに、表面剥離の問題も生じない。
<防音パネルユニットの施工方法>
次に、図13〜図16を用いて、本発明の実施形態に係る防音パネルユニットの施工方法について詳細に説明する。鉄筋コンクリート製の構造躯体である橋梁の地覆C1に前述の防音パネルユニット1を設置する場合を例示して説明する。
図13は、本発明の実施形態に係る防音パネルユニットの施工方法のユニット搬入据付工程を示す工程説明図である。図13に示すように、本実施形態に係る防音パネルユニットの施工方法では、先ず、前述の防音パネルユニット1を地覆C1上に搬入して予め地覆C1に埋設されて立設されたアンカーボルトABに差し込んで据え付けるユニット搬入据付工程を行う。
具体的には、図13に示すように、防音パネルユニット1は、予め工場等で、前述の固定パネル2,2’と中間パネル3をリベットRBで接合し、笠木6及びベースプレート4等を溶接等で接合して一体化しておく。そして、ワイヤーロープL等を用いて、クレーンなどの揚重機で一体化した防音パネルユニット1を吊上げ、ベースプレート4のアンカー孔4aにアンカーボルトABを差し込んで地覆C1上に防音パネルユニット1を据え付ける。
勿論、クレーンなどの揚重機を使用せずに、固定パネル2,2’や中間パネル3をバラバラに人力で持ち込んで、現地で組立てもよいことは云うまでもない。但し、クレーンなどの揚重機を設置できる場合は、作業効率が向上するため好ましい。
図14は、本実施形態に係る防音パネルユニットの施工方法の押え金具装着工程を示す工程説明図である。図14に示すように、本実施形態に係る防音パネルユニットの施工方法では、次に、前工程で据え付けた防音パネルユニット1に、前述の押え金具5を装着してボルト止めする押え金具装着工程を行う(図15も参照)。
具体的には、図14に示すように、前工程で据え付けた防音パネルユニット1のベースプレート4の上に、押え金具5を載置し、インパクトレンチ等でナットを締め付け、アンカーボルトABに押え金具5を介して防音パネルユニット1を地覆C1に固定する(図15も参照)。
図15は、本実施形態に係る防音パネルユニットの施工方法のボルト締結工程及び次のユニットのユニット搬入据付工程を示す工程説明図である。図15に示すように、本実施形態に係る防音パネルユニットの施工方法では、次に、地覆C1に固定した防音パネルユニット1の隣に次の防音パネルユニット1をアンカーボルトABに差し込んで据え付けるユニット搬入据付工程を行う。
以降は、前述のユニット搬入据付工程、押え金具装着工程、ボルト締結工程の各工程を繰り返し、防音パネルユニット1を次々施工して行く。このように、防音パネルユニット1を施工区間内において次々に設置して行き、既に設置した防音パネルユニット1と施工区間の残りの端尺部分を現地で実測した上、実測した端尺部分の長さに基づいて中間パネル3の幅だけを変更した防音パネルユニット1’を端尺部分に設置する。すると、図16に示すように、防音パネルユニットの施工、即ち、防音壁の工事が完了する。図16は、本実施形態に係る防音パネルユニットの施工方法が完了し、防音壁ができ上がった状態を示す斜視図である。
このように、本実施形態に係る防音パネルユニットの施工方法によれば、端尺部分を現地で実測した上、防音パネルユニット1’を設置することができるので、施工が容易で短時間で設置が可能であり、設置コストを低減することができる。これに比べて、従来のFRP製の防音パネルでは、通常金型が必要であり、通常の1ユニットで収まらない端尺部や、コーナー部、曲面部、勾配部などの特殊部の製造や施工が極めて困難であり、特殊部は、後から、特注の鋼製パネルやコンクリート製のパネルとすることが行われていた。このため、コスト的にも不経済であり、工期も長くなっていた。
<防音壁の補修方法>
次に、図10、図12、図16を用いて、本発明の実施形態に係る防音壁の補修方法について簡単に説明する。
図16に示すような防音パネルユニット1が並設された防音壁の状態から、経年劣化や線路から弾かれたバラストの飛来、車両の衝突などの事故により、防音壁の一部が損傷する場合がある。そのような場合、本実施形態に係る防音壁の補修方法では、防音パネルユニット1が鋼製の防音パネルであるため、補修が極めて容易である。例えば、バラストが当たった程度であれば、ハンマー等で叩くなどして簡単に元に戻し、防錆塗装などを施すだけで補修作業が終了する。しかし、従来のFRP製の防音パネルでは、現地での補修作業は殆ど不可能であり、損傷した部分の付近一帯の防音壁の1ユニットを全部取り替える必要があり、不経済であった。
また、現地での補修ができないような損傷の激しい場合であっても、前述のように、防音パネルユニット1は、固定パネル2と中間パネル3の接合が、図12に示したように、乾式のリベット接合等で接合されているため、固定パネル2と中間パネル3との分離が容易である。このため、例えば、中間パネル3のみが損傷した場合、図10に示すように、図12に示すリベットRBや笠木6を切断して、簡単に中間パネル3を取り外すことができる。
また、固定パネル2が損傷した場合であっても、中間パネル3と固定パネル2との接合を解除し、隣接する固定パネル2,2’との接合を解除すれば、固定パネル2を取り外すこともできる。このとき、リベットRBや笠木6の切断も橋梁上で行うことができる。このため、補修のための足場を設置する必要がなく、極めて経済的である。
また、前述のように、脱落防止リブ31a,32aは、固定パネル2の縦リブ22の折反し片22a,固定パネル2’の縦リブ21の折反し片21aに当接させて、その脱落防止リブ31a,32aと折反し片21a,22aをリベットRBでリベット接合されている。このため、補修の際に、橋梁の外側への中間パネル3が脱落するのを確実の防ぐことができる。
このように、本実施形態に係る防音壁の補修方法によれば、防音パネルユニット1の一部が損傷した場合の補修がその部分のパネルを交換するだけで済み、メンテナンスが容易で損傷した場合の補修が短時間で安価にすることができる。
以上、本発明の実施形態に係る防音パネルユニット、防音パネルユニットの施工方法、及び防音壁の補修方法について、詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎない。よって、上述した実施形態及び、図示した実施形態により、本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
特に、構造躯体としてコンクリート製の地覆を例示して説明したが、コンクリート構造物に限られず、鋼製の橋梁にも適用できることは云うまでもない。要するに、アンカー等で防音パネルユニットを固定可能な構造躯体であれば本発明を適用することできる。
1,1’:防音パネルユニット
2,2’:固定パネル
20:パネル本体
21,22:縦リブ
21a,22a,22a’:折返し片
23:充填材
3,3’:中間パネル
30:パネル本体
31,32:縦リブ
31a,32a:脱落防止リブ
RB:リベット
4:ベースプレート
4a:アンカー孔
4b:欠き込み
4c:折返し片
40:レベル計本体
5:押え金具
6:笠木
7:パンチングメタル(遮音材)
70:L形アングル
71:リベット干渉部切欠き
C1:地覆(構造躯体)
AB:アンカーボルト

Claims (9)

  1. 両端が折り返された縦リブが形成された鋼製防音パネルが複数枚接合された防音パネルユニットであって、
    前記鋼製防音パネルは、構造躯体に固定支持される固定パネルと、前記固定パネルに少なくとも一側端が連結される中間パネルと、の2種類のパネルからなり、
    前記固定パネル同士、及び前記固定パネルと前記中間パネルとは、それぞれ乾式接合されていること
    を特徴とする防音パネルユニット。
  2. 前記固定パネルが少なくとも左右一対設けられ、これらの一対の前記固定パネル間にすくなくとも1枚の前記中間パネルが設けられていること
    を特徴とする請求項1に記載の防音パネルユニット。
  3. 前記縦リブは、上方へ行くに従って幅が小さくなるように形成されていること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の防音パネルユニット。
  4. 前記縦リブは、前記構造躯体の騒音源側へ折り返されているとともに、
    前記中間パネルの前記縦リブの突端には、前記中間パネルの隣接するパネル側へ折り返された脱落防止リブが形成されていること
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の防音パネルユニット。
  5. 前記構造躯体に設けられたアンカーボルトにより締結されるベースプレートを前記固定パネルと別部材として備え、前記ベースプレートは、前記固定パネルの前記縦リブと着脱自在に接合されていること
    を特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の防音パネルユニット。
  6. 前記ベースプレートは、前記ベースプレートとは別部材である押え金具を介して前記アンカーボルトに締結されていること
    を特徴とする請求項5に記載の防音パネルユニット。
  7. 前記固定パネル及び前記中間パネルは、パネル部分に防音材が装着可能に構成されていること
    を特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の防音パネルユニット。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の防音パネルユニットを前記構造躯体に設置する防音パネルユニットの施工方法であって、
    前記防音パネルユニットを施工区間内において次々に設置して行き、既に設置した前記防音パネルユニットと施工区間の残りの端尺部分を現地で実測した上、実測した端尺部分の長さに基づいて前記中間パネルの幅だけを変更して前記端尺部分に前記防音パネルユニットを設置すること
    を特徴とする防音パネルユニットの施工方法。
  9. 請求項1ないし7のいずれかに記載の防音パネルユニットを備える防音壁を補修する防防音壁の補修方法であって、
    損傷した前記鋼製防音パネルを除く前記鋼製防音パネルを立設したまま、損傷した当該鋼製防音パネルのみを前記鋼製防音パネル同士の乾式接合を取り外して入れ替えること
    を特徴とする防音壁の補修方法。
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