JP7492402B2 - 壁体構造物及び壁体構造物の施工方法 - Google Patents

壁体構造物及び壁体構造物の施工方法 Download PDF

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Description

この発明は、壁体構造物及び壁体構造物の施工方法に関する。
従来、コンクリート基礎へ柱を設置する技術として、特許文献1が開示されている。特許文献1のコンクリート基礎用レベルセッターは、その長手方向両端にアンカーボルトに結合される固定部を、その長手方向中央付近に雌ねじ部をそれぞれ有し、基礎コンクリートに埋設される埋込みプレートと、前記雌ねじ部に上向き姿勢にねじ込まれ、柱下端を受止め支持するレベル出し用ボルトとを備えている。
特許文献1のコンクリート基礎用レベルセッターを用いて柱を設置するには、アンカーボルトの上端部を突出させ、その下部が埋設されるよう基礎コンクリートを打設し、この基礎コンクリート内に埋込みプレートを埋設するとともに、レベル出し用ボルトを基礎コンクリートの上面より突出させ、レベル出し用ボルトを柱下端の設計高さに高さ調整する。このため、柱の下端のベースプレートを設置する前に、設置個所全体の測量を行い、レベル出し用ボルトの高さの突出長を事前に把握する必要がある。このため、柱を設置するために事前測量を行わなければならず、設置に時間がかかるという問題点があった。
ここで、壁体構造物の一例として、高架橋の縁に沿った地覆部や高欄基礎などの構造躯体に支柱とパネルとが一体となった防音パネルが立設され、高架橋内の線路や道路から発生する騒音が周囲に漏れるのを防止する防音パネルユニットからなる防音壁が知られている。
例えば特許文献2には、防音パネルまたは防音板からなる壁体と、左右縦材と、ベース部とを備えており、壁体、左右縦材およびベース部が一体化されていることを特徴とする防音壁構成部材が開示されている。
また、特許文献3には、防音パネル又は防音板を有する壁体と、フランジを有するベース部とからなり、該壁体と該ベース部のフランジとが機械的に締結されることを特徴とする防音壁構成部材が開示されている。
特許文献2、3の開示技術では、ベース部をアンカーボルト等によりコンクリート基礎に固定し、壁体を立設するものである。しかしながら、アンカーボルト等を固定するコンクリート基礎は、隣接するコンクリート基礎との継ぎ目による段差や、コンクリート基礎表面に形成される水切り勾配や、既設の壁体を撤去した際に生じる凹凸等の不陸が形成される場合がある。不陸が形成されるコンクリート基礎にベース部を固定してしまうと、ベース部に固定される壁体が傾いて立設される等、所望の位置に設置することが難しい。この点、特許文献2、3の開示技術では、不陸が形成される面に設置することについて、何ら考慮されていない。特に、防音壁等の壁体が鉄道橋、道路橋等の橋梁において、コンクリート基礎に水切り勾配などの傾斜がある場合、傾斜面に沿って壁体が傾いてしまうといった問題がある。また、既設壁体を撤去して交換する際、コンクリート基礎の壁体設置面を補修せずに凸凹状態のままとなる場合、壁体の設置状態が不安定になり、加えて、壁体とコンクリート面に隙間が生じてしまう。さらに、橋梁へ壁体を設置もしくは交換する際、車両近くで作業を行うため、鉄道や道路の規制時間短縮や作業員の安全面確保などを理由に、コンクリート基礎に不陸が形成される場合であっても、短時間で壁体を所望の位置に設置する技術が求められている。
特開2001-59226号公報 特開2015-10452号公報 特開2019-7193号公報
この発明は、上記問題に鑑みて為されたもので、その目的は、コンクリート基礎に不陸が形成される場合であっても、壁体構造物をコンクリート基礎へ載せた後に不陸調整ができ、事前測量を行うことなく容易に設置することが可能となる壁体構造物及び壁体構造物の施工方法を提供することにある。
本発明に係る壁体構造物は、コンクリート基礎に固定される壁体構造物であって、第1平面方向に沿う主面を有する壁体本体部と、前記壁体本体部の下部に接合されるベース部と、を備え、前記ベース部は、板状のベースプレートと、前記ベースプレートをコンクリート基礎に締結するための締結部材と、前記ベースプレートに貫通されるとともに前記ベースプレートの下面からの突出長を調整するための調整部材と、を有し、前記調整部材は、下端部が前記コンクリート基礎の上面に接触され、前記ベースプレートの上面側に、前記調整部材を構成するボルトの頭部が配置されることを特徴とする。
本発明に係る壁体構造物の施工方法は、コンクリート基礎に固定される壁体構造物の施工方法であって、板状のベースプレートと、前記ベースプレートをコンクリート基礎に締結される締結部材と、前記ベースプレートに貫通される調整部材と、を有する、第1平面方向に沿う主面を有する壁体本体部の下部に接合するためのベース部における前記ベースプレートを前記締結部材により締結する締結工程を備え、前記締結工程では、前記調整部材を構成するボルトの頭部が前記ベースプレートの上面側に配置された前記ボルトを螺合して前記調整部材における前記ベースプレートの下面からの突出長を調整し、前記調整部材の下端部を前記コンクリート基礎に接触させ、前記ベースプレートを前記締結部材により前記コンクリート基礎に締結することを特徴とする。
本発明によれば、コンクリート基礎に不陸が形成される場合であっても、壁体構造物をコンクリート基礎へ載せた後に不陸調整が可能となり、事前測量を行うことなく容易に壁体構造物を設置することが可能となる。
図1は、実施形態に係る壁体構造物の一例を示す斜視図である。 図2は、実施形態に係る壁体構造物の一例を音源側から示す背面図である。 図3(a)は、実施形態に係る壁体構造物の一例を示す平面図であり、図3(b)は、実施形態に係る壁体構造物の一例を示す底面図である。 図4(a)は、実施形態に係る壁体構造物の一例を音源側から示す拡大背面図であり、図4(b)は、実施形態に係る壁体構造物の一例を民地側から示す拡大正面図である。 図5は、実施形態に係る壁体構造物の施工方法の第1例を説明するための背面図であって、図5(a)は、コンクリート基礎の上側に設置した一のベース部を示す図であり、図5(b)は、一の壁体本体部が接合されるベース部をコンクリート基礎に締結した状態を示す図である。 図6は、実施形態に係る壁体構造物の施工方法の第1例を説明するための背面図であって、図6(a)は、一の壁体本体部に隣接して設置した他の壁体本体部を示す図であり、図6(b)は、一の壁体本体部と他の壁体本体部とを連結材により連結した状態を示す図である。 図7は、実施形態に係る壁体構造物の施工方法の第2例を説明するための背面図であって、図7(a)は、コンクリート基礎の上側に設置した一のベース部を示す図であり、図7(b)は、ベース部に接合された一の壁体本体部を示す図である。 図8は、実施形態に係る壁体構造物の施工方法の第2例を説明するための背面図であって、図8(a)は、一の壁体本体部と他の壁体本体部とを並べ連結材により連結する前の状態を示す図であり、図8(b)は、一の壁体本体部と他の壁体本体部とを連結材により連結し、各々のベース部をコンクリート基礎に締結した状態を示す図である。 図9(a)は、調整部材の第1変形例を示す図であり、図9(b)は、調整部材の第2変形例を示す図である。 図10(a)は、壁体本体部の第1変形例を示す平面図であり、図10(b)は、壁体本体部の第2変形例を示す平面図であり、図10(c)は、壁体本体部の第3変形例を示す平面図である。 図11(a)は、間詰め材の第1変形例を示す底面図であり、図11(b)は、間詰め材の第2変形例を示す底面図である。 図12(a)は、ベース部の第1変形例を示す平面図であり、図12(b)は、間詰め材の第3変形例を示す底面図である。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、上下方向を上下方向Zとし、上下方向Zと交差、例えば直交する1つの平面方向を第1平面方向Xとし、上下方向Z及び第1平面方向Xのそれぞれと交差、例えば直交する別の平面方向を第2平面方向Yとする。また、各図において、共通する部分については、共通する参照符号を付し、重複する説明は省略する。
壁体構造物100は、図1及び図2に示すように、第1平面方向Xに沿って複数並設される。壁体構造物100は、例えば、防音パネルや防風パネルであり、民地側Aと音源側Bとを隔てるようにして設けられる。音源側Bは、鉄道等の所定の音が発生する領域であり、民地側Aは、音源側Bから発生した音を防音すべき領域である。防音パネルである壁体構造物100が複数並設されて防音壁や防風壁が構築される。壁体構造物100は、鉄道橋、道路橋等の橋梁の地覆に設置され、壁体本体部1と、ベース部2と、連結材4と、間詰め材5と、間詰め材7と、を備える。
壁体本体部1は、防音性を有するとともに、支柱とパネルとが一体となったいわゆる支柱一体型の防音パネルである。
壁体本体部1は、図3(a)、図3(b)、図4(a)及び図4(b)に示すように、鋼製の防音パネルであり、例えば平面視でコ字状の溝形鋼等が用いられる。壁体本体部1は、第1平面方向Xに延びる主面であるウェブ11と、ウェブ11の端部から第2平面方向Yに延びる一対のフランジ12、13と、を有する。
壁体本体部1は、フランジ12、13がベース部2にボルトやリベット等の機械式接合部材6により接合固定される。フランジ12、13は、第1平面方向Xに沿って互いに近づく方向に延びる第1延伸部14、15と、第1延伸部14、15から第2平面方向Yに沿ってウェブ11に近づく方向に延びる第2延伸部16、17と、を有する。壁体本体部1は、フランジ12、13の第2延伸部16、17がベース部2に接合固定される。
ベース部2は、壁体本体部1の下部に接合される。ベース部2は、ベースプレート20と、ベースフランジ21と、締結部材22と、調整部材3と、を有する。
ベースプレート20は、鋼製で板状に形成される。ベースプレート20には、一対のベースフランジ21が設けられる。
ベースフランジ21は、ベースプレート20から上方に延びて形成される。壁体本体部1の第2延伸部16、17にそれぞれボルトやリベット等の機械式接合部材6により接合固定される。
締結部材22は、ベースプレート20を例えば橋梁における地覆等であるコンクリート基礎9に締結するためのものである。締結部材22は、アンカーボルト221と、アンカーナット222と、を有する。アンカーボルト221は、ベースプレート20に形成されるアンカー孔20cの内側に設けられる。締結部材22は、ベースプレート20の上面20bに押さえプレート29が設けられる。押さえプレート29は、アンカー孔20cよりも大きく形成される。締結部材22は、押さえプレート29を介して、アンカーボルト221にアンカーナット222を螺合することにより、ベースプレート20をコンクリート基礎9に締結する。
調整部材3は、ベースプレート20に貫通され、下端部31がコンクリート基礎9の上面に接触される。調整部材3は、ベースプレート20のレベルを調整するものである。調整部材3は、ベースプレート20の下面20aからの突出長を調整可能であり、例えばボルトが用いられる。このとき、ベースプレート20には、調整部材3が内側に配置される貫通孔20dが形成され、貫通孔20dの内面は、調整部材3が螺合可能に形成される。
調整部材3は、第2平面方向Yに複数配置され、ベースプレート20の中心Pを通り、第1平面方向Xに沿う第1基準面Lを挟んで両側に配置される。また、調整部材3は、第1平面方向Xに複数配置され、ベースプレート20の中心Pを通り第2平面方向Yに沿う第2基準面Mを挟んで両側に配置される。調整部材3は、ベースプレート20に例えば4か所に配置される。
連結材4は、第1平面方向Xにおいて隣接する複数の壁体本体部1を連結する。連結材4は、第1平面方向Xに沿って延びて形成され、例えば鋼板が用いられる。連結材4は、L型鋼等であってもよい。連結材4は、壁体本体部1の上下方向Zの中央よりも上側に設けられる。連結材4は、一の壁体本体部1の他方のフランジ13の第1延伸部15と、他の壁体本体部1の一方のフランジ12の第1延伸部14と、をボルトやリベット等の機械式接合部材6により連結する。連結材4により複数の壁体本体部1を連結することにより、各々の壁体本体部1のウェブ11の通りを合わせることができる。
間詰め材5は、例えばEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)等のゴム弾性体が用いられ、コンクリート基礎9の上面に形成される不陸に追従するように変形可能なものである。間詰め材5は、壁体本体部1の下端面に配置され、コンクリート基礎9の上面に接触される。間詰め材5は、ウェブ11の第1平面方向Xの一端部から他端部まで連続的に形成される。
間詰め材7は、例えばEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)等のゴム弾性体が用いられ、コンクリート基礎9の上面に形成される不陸に追従するように変形可能なものである。間詰め材7は、ベースプレート20の下面20aの外周に底面視コ字状に配置され、コンクリート基礎9の上面に接触される。
グラウト材8は、ベースプレート20とコンクリート基礎9との間に充填され、充填後所定の時間経過後に硬化する例えばセメント系材料等が用いられる。グラウト材8は、ベースプレート20の開口部20eから充填される。グラウト材8は、壁体本体部1の下端面の間詰め材5と、ベースプレート20の下面20aの底面視コ字状の間詰め材7とにより囲われる。
次に、第1実施形態に係る壁体構造物の施工方法の第1例について説明する。
壁体構造物の施工方法は、第1平面方向Xに沿う主面を有する壁体本体部1の下部に接合するためのベース部2におけるベースプレート20を締結部材22によりコンクリート基礎9に締結する締結工程と、締結したベースプレート20とコンクリート基礎9との間にグラウト材8を充填する充填工程と、を備える。
図5(a)に示すように、締結工程では、先ずコンクリート基礎9にアンカーボルト221を打ち込む。そして、締結工程では、打ち込んだアンカーボルト221に、ベースプレート20のアンカー孔20cを通し、コンクリート基礎9の上側にベースプレート20を配置する。このベースプレート20は、下面20aにコ字状の間詰め材7が配置されており、この間詰め材7をコンクリート基礎9の上面に接触させる。
そして、締結工程では、ベースプレート20に貫通された調整部材3におけるベースプレート20の下面20aからの突出長を調整し、調整部材3の下端部31をコンクリート基礎9の上面に接触させる。このとき、例えばベースプレート20が水平となるように、各々の調整部材3の突出長を調整する。
次に、図5(b)に示すように、締結工程では、ベースプレート20の上面20bに押さえプレート29を設置し、アンカーボルト221にアンカーナット222を螺合させる。これにより、コンクリート基礎9に接触された調整部材3の下端部31から反力が得られるため、ベースプレート20が締結部材22によりコンクリート基礎9に締結される。
次に、締結工程では、締結したベース部2-1に壁体本体部1-1を接合する。このとき、壁体本体部1-1の下端面には、間詰め材5が配置されており、この間詰め材5をコンクリート基礎9の上面に接触させる。
そして、締結工程では、上述した手順を繰り返し、図6(a)に示すように、一の壁体本体部1-1に第1平面方向Xに隣接して、他のベース部2-2と、他の壁体本体部1-2を、設置する。
そして、図6(b)に示すように、締結工程では、一の壁体本体部1-1と、これに隣接する他の壁体本体部1-2とを、連結材4によりを連結し、各々の壁体本体部1-1、1-2のウェブ11同士の通りを調整する。
次に、充填工程では、各々のベース部2におけるベースプレート20とコンクリート基礎9との間にグラウト材8を充填し、グラウト材8を硬化させる。以上により、壁体構造物の施工方法が完了する。
本実施形態によれば、第1平面方向Xに沿う主面を有する壁体本体部1と、壁体本体部1の下部に接合されるベース部2と、を備え、ベース部2は、板状のベースプレート20と、ベースプレート20をコンクリート基礎9に締結するための締結部材22と、ベースプレート20に貫通されるとともにベースプレート20の下面20aからの突出長を調整するための調整部材3と、を有し、調整部材3は、下端部がコンクリート基礎9の上面に接触される。これにより、調整部材3の突出長を調整してベースプレート20が水平となるように調整することができる。このため、コンクリート基礎9に不陸が生じる場合であっても、壁体本体部1をコンクリート基礎9へ載せた後に不陸調整することができ、事前測量を行うことなく、ベース部2に接合される壁体本体部1を所望の位置に容易に設置することが可能となる。
本実施形態によれば、調整部材3は、第2平面方向Yに複数配置される。これにより、ベースプレート20の第2平面方向Yに対する傾斜を調整することができる。このため、コンクリート基礎9が第2平面方向Yに対して傾斜する不陸が形成される場合であっても、ベース部2に接合される壁体本体部1を所望の位置に容易に設置することが可能となる。特に、コンクリート基礎9の壁体設置面に凸凹箇所や水切り勾配などが存在する場合に有用である。
更に本実施形態によれば、ベースプレート20の中心Pを通り、第1平面方向Xに沿う第1基準面Lを挟んで両側に配置される。第1基準面Lを挟んで両側の調整部材3のうちの何れか一方の調整部材3を調整するだけで、ベースプレート20の第2平面方向Yに対する傾斜を調整することができる。このため、コンクリート基礎9が第2平面方向Yに対して傾斜する不陸が形成される場合であっても、ベース部2に接合される壁体本体部1を所望の位置に容易に設置することが可能となる。
本実施形態によれば、調整部材3は、第1平面方向Xに複数配置される。これにより、第1平面方向Xに複数配置された調整部材3のうちの何れか一の調整部材3を調整するだけで、ベースプレート20の第1平面方向Xに対する傾斜を調整することができる。このため、コンクリート基礎9が第1平面方向Xに対して傾斜する不陸が形成される場合であっても、ベース部2に接合される壁体本体部1を所望の位置に容易に設置することが可能となる。特に、コンクリート基礎9の壁体設置面に凸凹箇所、橋軸方向へ勾配や段差が存在する場合に有用である。
更に本実施形態によれば、ベースプレート20の中心Pを通り、第2平面方向Yに沿う第2基準面Mを挟んで両側に配置される。第2基準面Mを挟んで両側の調整部材3のうちの何れか一方の調整部材3を調整するだけで、ベースプレート20の第1平面方向Xに対する傾斜を調整することができる。このため、コンクリート基礎9が第1平面方向Xに対して傾斜する不陸が形成される場合であっても、ベース部2に接合される壁体本体部1を所望の位置に容易に設置することが可能となる。
本実施形態によれば、ベースプレート20とコンクリート基礎9との間にグラウト材8が充填される。これにより、ベースプレート20とコンクリート基礎9との間に水が浸入するのを防止することができる。このため、ベースプレート20の腐食を抑制することができ、壁体構造物100の耐久性を向上させることが可能となる。
本実施形態によれば、壁体本体部1は、下端面に間詰め材5が設けられ、間詰め材5がコンクリート基礎9の上面に接触される。これにより、壁体本体部1の下端面と、コンクリート基礎9の上面との間に隙間が生じるのを抑制することができる。このため、壁体本体部1の下端面とコンクリート基礎9の上面との間からの水漏れや音漏れを抑制することが可能となる。
本実施形態によれば、グラウト材8は、間詰め材5と、間詰め材7とにより囲われる。これにより、充填されるグラウト材8が間詰め材5と間詰め材7とにより囲われる領域から漏出するのを防止することができる。
本実施形態によれば、ベースプレート20は、上面20bに設けられる押さえプレート29を介して締結部材22によりコンクリート基礎9に固定される。これにより、アンカー孔20cを大きくすることができる。このため、コンクリート基礎9の所定の位置にアンカーボルト221を打ち込めない場合であっても、アンカーボルト221の打ち込み位置をずらして打ち込むことが可能となる。
本実施形態によれば、複数の壁体本体部1と、複数の壁体本体部1を連結する連結材4と、を更に備える。これにより、隣接する壁体本体部1のウェブ11同士の通りを調整することができる。このため、壁体構造物100の外観を良くし、視線誘導効果を発揮させることが可能となる。
本実施形態によれば、壁体本体部1は、防音性を有する防音パネルである。これにより、壁体構造物100を民地側Aと音源側Bとを隔てる防音壁や防風壁として具現させることができる。特に、事前測量を行うことなく設置することができるため、防音壁や防風壁に用いられる壁体構造物100が鉄道橋、道路橋等の橋梁における地覆としての不陸調整が必要なコンクリート基礎9に設置される場合、好適に用いることができる。
本実施形態によれば、第1平面方向Xに沿う主面を有する壁体本体部1の下部に接合するためのベース部2におけるベースプレート20を締結部材22によりコンクリート基礎9に締結する締結工程を備え、締結工程では、調整部材3におけるベースプレート20の下面20aからの突出長を調整し、調整部材3の下端部31をコンクリート基礎9に接触させ、ベースプレート20を締結部材22により締結する。これにより、ベースプレート20を水平に調整することができる。このため、コンクリート基礎9に不陸が生じる場合であっても、ベース部2に接合される壁体本体部1を所望の位置に容易に設置することが可能となる。
次に、第1実施形態に係る壁体構造物の施工方法の第2例について説明する。
壁体構造物の施工方法は、第1平面方向Xに沿う主面を有する壁体本体部1の下部に接合するためのベース部2におけるベースプレート20を締結部材22によりコンクリート基礎9に締結する締結工程と、締結したベースプレート20とコンクリート基礎9との間にグラウト材を充填する充填工程と、を備える。
図7(a)に示すように、締結工程では、先ずコンクリート基礎9にアンカーボルト221を打ち込む。そして、締結工程では、打ち込んだアンカーボルト221に、ベースプレート20のアンカー孔20cを通し、コンクリート基礎9の上側にベースプレート20を配置する。このベースプレート20は、下面20aにコ字状の間詰め材7が配置されており、この間詰め材7をコンクリート基礎9の上面に接触させる。
そして、締結工程では、ベースプレート20に貫通された調整部材3におけるベースプレート20の下面20aからの突出長を調整し、調整部材3の下端部31をコンクリート基礎9の上面に接触させる。このとき、例えばベースプレート20が水平となるように、各々の調整部材3の突出長を調整する。
次に、図7(b)に示すように、締結工程では、コンクリート基礎9の上側に配置したベース部2-1に壁体本体部1-1を接合する。このとき、壁体本体部1-1の下端面には、間詰め材5が配置されており、この間詰め材5をコンクリート基礎9の上面に接触させる。
そして、締結工程では、上述した手順を繰り返し、図8(a)に示しますように、一の壁体本体部1-1に第1平面方向Xに隣接して、他のベース部2-2と、他の壁体本体部1-2を、設置する。
そして、図8(b)に示しますように、締結工程では、一の壁体本体部1-1と、これに隣接する他の壁体本体部1-2とを、連結材4によりを連結し、各々の壁体本体部1-1、1-2のウェブ11同士の通りを調整する。
次に、締結工程では、ベースプレート20の上面に押さえプレート29を設置し、アンカーボルト221にアンカーナット222を螺合させる。これにより、コンクリート基礎9に接触された調整部材3の下端部31から反力が得られるため、ベースプレート20が締結部材22によりコンクリート基礎9に締結される。
次に、充填工程では、各々のベース部2におけるベースプレート20とコンクリート基礎9との間にグラウト材8を充填し、グラウト材8を硬化させる。以上により、壁体構造物の施工方法が完了する。
本実施形態によれば、締結工程では、調整部材3におけるベースプレート20の下面20aからの突出長を調整し、調整部材3の下端部31をコンクリート基礎9に接触させ、ベースプレート20を締結部材22により締結する。
このように、壁体構造物の施工方法の第1例に示すように、ベースプレート20を調整部材3により水平に調整した上で、ウェブ11の通りを調整することもできるし、第2例に示すように、ウェブ11の通りを調整した上で、ベースプレート20を調整部材3により水平に調整することもできる。このため、施工の順序を現場の状況に合わせて選択することができ、施工の自由度をより高くすることが可能となる。
図9(a)に示すように、第1変形例に係る調整部材3は、ベースプレート20の下面20aに、調整部材3が螺合可能なナット32が設けられる。図9(b)に示すように、第2変形例に係る調整部材3は、ベースプレート20の下面からの突出長を調整可能なものとして、ボルト以外にピンを用いてもよい。
図10(a)に示すように、第1変形例に係る壁体本体部1は、第2延伸部16と第2延伸部17とを繋ぐ繋ぎ部18を有していてもよい。図10(b)に示すように、第2変形例に係る壁体本体部1は、第2延伸部16、17が第2平面方向Yに沿ってウェブ11から遠ざかる方向に延びて形成されてもよい。図10(c)に示すように、第3変形例に係る壁体本体部1は、第1延伸部14、15、第2延伸部16、17が省略されてもよい。
図11(a)に示すように、第1変形例に係る間詰め材5は、壁体本体部1の下端面において、ウェブ11の第1平面方向Xの一端部から他端部まで連続的に形成される。このとき、間詰め材7は、省略されてもよい。図11(b)に示すように、第2変形例に係る間詰め材5は、壁体本体部1の下端面において、ウェブ11の第1平面方向Xの一端部と他端部とに間隔を空けて一対設けられる。間詰め材7は、第1平面方向Xの一端部と他端部とに設けられた一対の間詰め材5と、第1平面方向Xで重なるように、ベースプレート20の下面20aに設けられてもよい。
図12(a)に示すように、壁体構造物100は、一対のベースプレート20-1、20-2を有していてもよい。このとき、一方のベースプレート20-1は、一方のフランジ12の第2延伸部16に接合され、他方のベースプレート20-2は、他方のフランジ13の第2延伸部17に接合される。調整部材3-1は、一方のベースプレート20-1の中心P1を通り、第2平面方向Yに沿う第2基準面M1を挟んで、ベースフランジ21-1の反対側に設けられる。このとき、調整部材3-2は、他方のベースプレート20-2の中心P2を通り、第2平面方向Yに沿う第2基準面M2を挟んで、ベースフランジ21-2の反対側に設けられる。
なお、図示は省略するが、調整部材3-1は、一方のベースプレート20-1の中心P1を通り、第2平面方向Yに沿う第2基準面M1を挟んで、ベースフランジ21-1側に設けられたとき、調整部材3-2は、他方のベースプレート20-2の中心P2を通り、第2平面方向Yに沿う第2基準面M2を挟んで、ベースフランジ21-2側に設けられてもよい。
図12(b)に示すように、一方のベースプレート20-1の下面20aには、間詰め材7-1が設けられ、他方のベースプレート20-2の下面20aには、間詰め材7-2が設けられる。間詰め材5は、壁体本体部1の下端面において、ウェブ11の一端部と、他端部と、その間の中央部に設けられる。間詰め材7-1は、第1平面方向Xの一端部と中央部とに設けられた2つの間詰め材5と、第1平面方向Xで重なるように、一方のベースプレート20-1の下面20aに設けられる。間詰め材7-2は、第1平面方向Xの他端部と中央部とに設けられた2つの間詰め材5と、第1平面方向Xで重なるように、他方のベースプレート20-2の下面20aに設けられる。
以上、この発明の実施形態を説明したが、実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。さらに、この発明は、上記の実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記の実施形態は、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
100 :壁体構造物
1 :壁体本体部
11 :ウェブ
12 :フランジ
13 :フランジ
14 :第1延伸部
15 :第1延伸部
16 :第2延伸部
17 :第2延伸部
18 :繋ぎ部
2 :ベース部
20 :ベースプレート
20a :下面
20b :上面
20c :アンカー孔
20d :貫通孔
20e :開口部
21 :ベースフランジ
22 :締結部材
221 :アンカーボルト
222 :アンカーナット
29 :押さえプレート
3 :調整部材
31 :下端部
32 :ナット
4 :連結材
5 :間詰め材
6 :機械式接合部材
7 :間詰め材
8 :グラウト材
9 :コンクリート基礎
A :民地側
B :音源側
L :第1基準面
M :第2基準面
X :第1平面方向
Y :第2平面方向
Z :上下方向

Claims (11)

  1. コンクリート基礎に固定される壁体構造物であって、
    第1平面方向に沿う主面を有する壁体本体部と、前記壁体本体部の下部に接合されるベース部と、を備え、
    前記ベース部は、
    板状のベースプレートと、
    前記ベースプレートをコンクリート基礎に締結するための締結部材と、
    前記ベースプレートに貫通されるとともに前記ベースプレートの下面からの突出長を調整するための調整部材と、を有し、
    前記調整部材は、下端部が前記コンクリート基礎の上面に接触され
    前記ベースプレートの上面側に、前記調整部材を構成するボルトの頭部が配置されること
    を特徴とする壁体構造物。
  2. 前記ボルトは、前記ベースプレートに形成される貫通孔の内面に螺合されること
    を特徴とする請求項1記載の壁体構造物。
  3. 前記調整部材は、前記第1平面方向に交わる第2平面方向に複数配置されること
    を特徴とする請求項1又は2記載の壁体構造物。
  4. 前記調整部材は、前記第1平面方向に複数配置されること
    を特徴とする請求項1~3の何れか1項記載の壁体構造物。
  5. 前記ベースプレートと前記コンクリート基礎との間にグラウト材が充填されること
    を特徴とする請求項1~の何れか1項記載の壁体構造物。
  6. 前記壁体本体部は、下端面に間詰め材が設けられ、前記間詰め材が前記コンクリート基礎の上面に接触されること
    を特徴とする請求項1~の何れか1項記載の壁体構造物。
  7. 前記ベース部は、前記ベースプレートの上面に設けられる押さえプレートを有し、前記押さえプレートに前記締結部材が貫通されること
    を特徴とする請求項1~の何れか1項記載の壁体構造物。
  8. 複数の前記壁体本体部と、
    複数の前記壁体本体部を連結する連結材を更に備えること
    を特徴とする請求項1~の何れか1項記載の壁体構造物。
  9. 前記壁体本体部は、防音性を有する防音パネルであること
    を特徴とする請求項1~の何れか1項記載の壁体構造物。
  10. コンクリート基礎に固定される壁体構造物の施工方法であって、
    板状のベースプレートと、前記ベースプレートをコンクリート基礎に締結される締結部材と、前記ベースプレートに貫通される調整部材と、を有する、第1平面方向に沿う主面を有する壁体本体部の下部に接合するためのベース部における前記ベースプレートを前記締結部材により締結する締結工程を備え、
    前記締結工程では、
    前記調整部材を構成するボルトの頭部が前記ベースプレートの上面側に配置された前記ボルトを螺合して前記調整部材における前記ベースプレートの下面からの突出長を調整し、前記調整部材の下端部を前記コンクリート基礎に接触させ、
    前記ベースプレートを前記締結部材により前記コンクリート基礎に締結すること
    を特徴とする壁体構造物の施工方法。
  11. 前記締結工程では、前記ベースプレートに形成される貫通孔の内面に前記ボルトを螺合すること
    を特徴とする請求項10記載の壁体構造物の施工方法。
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