JP4152036B2 - 住宅用ユニット地下室の設置方法 - Google Patents

住宅用ユニット地下室の設置方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、住宅用ユニット地下室の設置方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、容積率基準の緩和などにより地下室付きの住宅を建てるケースが増えつつある。
【0003】
従来、住宅の地下室は、現場施工型のコンクリート地下室が大半を占めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のコンクリート地下室では、長期間にわたって穴の中で工事を行う必要があり、施工に時間がかかるという問題があった。
【0005】
また、特開平6−287966号公報の地下室設置構造では、地下室と地下室下方の基礎との固定については特に配慮されてなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記の問題点を解消し、容易に設置および施工を行うことのできる住宅用ユニット地下室の設置方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項に記載された発明では、ユニット建物の下部に対してユニット地下室を構成可能な鋼製箱型地下ユニットを、掘削穴に設けられた地下室用基礎の上に設置し、鋼製箱型地下ユニットの内側から前記鋼製箱型地下ユニットの底面部に設けられた基礎固定座部と地下室用基礎との間の固定作業を行って鋼製箱型地下ユニットを地下室用基礎に固定すると共に、鋼製箱型地下ユニットのコーナー部近傍の側面に取付けられた補助柱部材と地下室用基礎との間の固定作業を行う住宅用ユニット地下室の設置方法としたことを特徴としている。
【0012】
このように構成された請求項1にかかる発明によれば、前記鋼製箱型地下ユニットの内側から地下室用基礎への固定作業を行うことができ、以て、掘削穴の余掘りの幅を狭くすることができる。また、鋼製箱型地下ユニットのコーナー部近傍の側面に取付けられた補助柱部材と地下室用基礎との間を固定することができる。
【0019】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の具体的な実施の形態1について、図示例と共に説明する。
【0020】
図1〜図17は、この発明の実施の形態1を示すものである。
【0021】
まず、構成を説明すると、ユニット建物1は、妻方向長さを桁方向長さに比して長く設定される複数の箱型建物ユニット10…によって主に構成されている。これらの箱型建物ユニット10…は、所定のモジュール寸法に規格化されたものとして工場で生産され、これらの建物ユニット10…を建築現場へ搬送して組み合わせボルトで締結することにより、ユニット建物1の上部構造体11(上屋)を短期間で構築し得るようになっている。
【0022】
この建物ユニット10は、図1に示すように、金属製の一対の天井梁10a,10a及び一対の妻梁10b,10bで構成された略矩形形状の天井枠10cと、金属製の一対の床梁10d,10d及び一対の妻梁10e,10eで構成された略矩形形状の床枠10fとを、ジョイントピース10g…を介して、各々四本の中空の柱材10h…の上,下端部に接合してなる略箱型形状のラーメン構造体の周囲に、内,外壁面部材10iを貼設したものである。
【0023】
また、この上部構造体11(上屋)の下方には、上部構造体11を構成する前記箱型建物ユニット10と略同一モジュール寸法の箱型鋼製地下ユニットとしての端部用の箱型鋼製地下ユニット12が一対埋設されることにより、地下構造体13(ユニット地下室)が形成されている。
【0024】
この端部用の箱型鋼製地下ユニット12は、図2に示すように、上面部12bと、底面部12fと、対向する一対の妻側側面12cと、一方の桁側側面12dと、桁側側面12dに対向するユニット間連結用の開口部12aとを備えており、開口部12aどうしを当接させた状態で連結されている。上面部12b、底面部12f、妻側側面12c、桁側側面12dなどの壁面部分は、それぞれ鋼板製外板部材14と、この鋼板製外板部材14に対し所定の間隙を有して平行に配置される内壁部材15と、これらの鋼板製外板部材14及び内壁部材15との間の空間に介在される複数のH字型鋼材16…、及びユニット間連結用の開口部12aの周縁に設けられるCチャネル型鋼材17と、上記空間に充填された遮音材18等とから主に構成されている。
【0025】
このうち、上面部12b(天井)、底面部12f(床)、妻側側面12c(両側壁)、桁側側面12dを構成する鋼板製外板部材14は、当接辺どうしを溶接することにより水密性を有する箱体とされ、十分な止水性能を得られるようにされている。また、鋼板製外板部材14の外面には、超厚膜型半永久防錆防食システム塗装などの表面処理が施されている。
【0026】
更に、底面部12fの鋼板製外板部材14には、図10に示すように、内側から地下室用基礎25aに対する固定作業が可能な基礎固定座部として、ボルト挿通孔12eが直接的に設けられている。
【0027】
H字型鋼材16およびCチャネル型鋼材17は、各々、上面部12b(天井)、底面部12f(床)、妻側側面12c(両側壁)に対して周回状に配設され、側面視ロ字状を呈するように溶接などで接続されることによりロ字状鉄骨フレームを構成している。このロ字状鉄骨フレームと鋼板製外板部材14との間は溶接などにより固定されている。
【0028】
特に、ユニット間連結用の開口部12aの周縁に設けられるCチャネル型鋼材17によるロ字状鉄骨フレーム48(連結フランジ)の背面部17bには、図16、図17に示すように、内側から連結作業が可能な相互連結部として、ボルト挿通孔17aが設けられている。
【0029】
前記内壁部材15は、工場で予め取付けるようにしても、現場で取付けるよううにしても良い。なお、内壁部材15を工場で予め取付ける場合には、地下室用基礎25aに対する固定作業や、箱型鋼製地下ユニット12相互の連結作業が行えるよう、部分的に取外し可能としておく。
【0030】
また、前記端部用の箱型鋼製地下ユニット12の上面部12bの四隅のコーナ部には、前記箱型建物ユニットを連結する四本の固定ボルト19…が溶接などにより立設されている。
【0031】
この端部用の箱型鋼製地下ユニット12のコーナ部近傍の妻側側面12cには、前記鋼板製外板部材14に溶接される補助柱部材20,20が設けられている。この補助柱部材20は、前記端部用の箱型鋼製地下ユニット12の高さと略同じ高さ方向長さを有する長尺形状を呈して、下端部を地下室用基礎25aに固定されると共に、上端部20aに立設された固定ボルト20bを前記箱型建物ユニット10の下縁部に連結し得るように構成されている。
【0032】
更に、この端部用の箱型鋼製地下ユニット12のコーナ部近傍の桁側側面12dには、前記鋼板製外板部材14にボルト部材27及びナット部材28(図10参照)によって着脱自在となる補助柱部材21,21が設けられている。この補助柱部材21は、前記端部用の箱型鋼製地下ユニット12の高さと略同じ高さ方向長さを有する長尺形状を呈して、下端部を地下室用基礎25aに固定されると共に、上端部21aに立設された固定ボルト21bを前記箱型建物ユニット10の下縁部に連結し得るように構成されている。
【0033】
また、一方の端部用の箱型鋼製地下ユニット12は、上面部12bの所定位置に階段23の上部開口24が形成されている。
【0034】
図1中、符号25は掘削穴の底面部、26は地下室用基礎25aから突設されたアンカーの固定ボルトである。
【0035】
次に、この実施の形態1の作用について説明する。
【0036】
図2中に示すように、建設現場において、地盤調査、及び整地が行われた後、土留め、根切り、山留めが行われる。掘削幅は、桁端面より400mm、妻端面より200mmである。
【0037】
掘削された掘削穴の底面部25には、砕石が敷き詰められて、充分転圧作業が行われ、捨てコンクリートが打たれる。捨てコンクリートは、厚さ50mm以上とし、Fc135kg/平方cm以上としている。
【0038】
この上に、配筋及びアンカーセットが行われて、固定ボルト26…の突設位置が決定される。そして、厚さ300〜500mm、Fc180kg/平方cm以上となるように生コンクリートが打たれた後、空練りモルタルが、厚さ25mmでレベル調整を行いながら敷き込まれ、地下室用基礎25aが形成される。
【0039】
次に、前記端部用の箱型鋼製地下ユニット12,12が、上面視で、前記上部構造体11の箱型建物ユニット10,10の投影面積内に入るように載置される。
【0040】
前記内壁部材15は、工場で予め取付けるようにしても、現場で取付けるよううにしても良い。なお、内壁部材15を工場で予め取付ける場合には、地下室用基礎25aに対する固定作業や、箱型鋼製地下ユニット12相互の連結作業が行えるよう、部分的に取外し可能としておく。
【0041】
すなわち、前記予め工場内で溶接により箱型鋼製地下ユニット12の妻側側面12cに固着された補助柱部材20,20に加えて、更に、箱型鋼製地下ユニット12の桁側側面12dに前記補助柱部材21,21を図10に示すように、複数のボルト部材27及びナット部材28で固定する。そして、前記底面部25の地下室用基礎25aから立設される固定ボルト26…を、図9及び図10に示すように、前記箱型鋼製地下ユニット12の底面部12fに設けられた基礎固定座部としてのボルト挿通孔12e…及び、補助柱部材21のボルト挿通孔21cに挿通させて、ナット部材29…によって固定させる。このように、箱型鋼製地下ユニット12の内側から地下室用基礎25aに対する固定作業を簡単に行わせることができる。尚、必要な場合には、前記内壁部材15を部分的に取外して作業を行い、作業終了後に元に戻しておくようにする。
【0042】
また、図16、図17に示すように、前記箱型鋼製地下ユニット12の開口部12aどうしを水膨張性防水シール材などのシール材52を介して当接させ、開口部12aの周縁に設けられるCチャネル型鋼材17によるロ字状鉄骨フレーム48(連結フランジ)のシール材52を介して相互に面接触される背面部17bに設けられた相互連結部としてのボルト挿通孔17a間をボルト部材50およびナット部材51を用いて連結する。このように、箱型鋼製地下ユニット12の内側から連結作業を簡単に行わせることができる。尚、必要な場合には、前記内壁部材15を部分的に取外して作業を行い、作業終了後に元に戻しておくようにする。
【0043】
この際、箱型鋼製地下ユニット12の上部を地上の基礎36,37と同じ高さ分だけ地面から突出させるようにすることにより、箱型鋼製地下ユニット12の上部を地上の基礎36,37として使用することが可能となる。そして、掘削穴の余掘部分をラップルコンクリートで埋め戻す。
【0044】
次に、図1に示すように、前記上部構造体11の一階部分の前記箱型建物ユニット10…が、前記地下室を構成する前記端部用の箱型鋼製地下ユニット12の上面部12bの周囲に載置される。この際、箱型建物ユニット10の床枠10fの周囲を構成する床梁10d及び妻梁10eが、箱型鋼製地下ユニット12の上面部12bの周縁部分と上面視で一致するように載置される。
【0045】
そして、図3に示す図1のA−A方向矢視図、および、図4に示す図3のC−C方向矢視図のように、箱型鋼製地下ユニット12の上面部12bのコーナ部から立設された固定ボルト19に前記妻梁10eのボルト挿通孔を挿通させ、更に必要に応じ、レベル調整用亜鉛メッキ鋼板31などのスペーサを介在させて、ナット部材30によって締結している。このため、図4に示すように、妻側側面12cのCチャネル鋼材17は、前記妻梁10fと上面視方向で一致している。また、図5に示す図3のD−D方向矢視図のように、妻側側面12cのCチャネル鋼材17は、前記桁梁10dと上面視方向で一致している。
【0046】
そして、図7に示す図1のE−E方向矢視図では、前記桁側側面12dに連結された前記補助柱部材21の固定ボルト21bが、桁側側面12dから側方へ突出した位置で、この端部用箱型地下ユニット22の上部に配設される前記箱型建物ユニット10の桁方向に隣接して配設される他の箱型建物ユニット10を連結して、下方から支持する。すなわち、図8に示す図7のF−F方向矢視図のようにこの隣接配置される箱型建物ユニット10の妻梁10eは、前記補助柱部材21内の強度部材であるCチャネル鋼材17と上面視方向で一致している。
【0047】
また、図11に示す図1のI−I方向断面図では、前記端部用の箱型鋼製地下ユニット12の桁側側面12dに位置するCチャネル鋼材17も、前記桁梁10dと上面視方向で一致され、固定具32及びボルト部材33で固定されている。
【0048】
そして、図12に示す図1のJ−J方向矢視図では、予め溶接で、鋼板製外板材14に固定された補助柱部材20の固定ボルト20bが、妻側側面12dから側方へ突出した位置で、この端部用の箱型鋼製地下ユニット12の上部に配設される前記箱型建物ユニット10の妻方向に隣接して配設される他の箱型建物ユニット10を連結して、下方から支持する。すなわち、図13に示す図12のK−K方向矢視図のようにこの隣接配置される箱型建物ユニット10の床梁10dは、前記補助柱部材21内の強度部材であるCチャネル鋼材17と上面視方向で一致している。
【0049】
また、図14に示す図1のL−L方向矢視図のように、隣接配置される箱型建物ユニット10の妻梁10eは、前記鋼板製外板材14に固定された支持部材34の上面部34aに載置されると共に、この支持部材34と上面視方向で一致され、固定具32及びボルト部材33で固定されている。
【0050】
更に、図15に示す図1のM−M矢視図では、前記端部用の箱型鋼製地下ユニット12の各Cチャネル型鋼材17,17に、上部に載置される箱型建物ユニット10のコーナ部の各床梁及び妻梁が、上面視方向で一致するように載置されている。また、各補助柱部材20又は21,21の上部には、各々四方から突き合わされる箱型建物ユニット10,10が載置されて支持される。
【0051】
このように、前記上部構造体11の下方には、上部構造体11を構成する箱型建物ユニット10と略同一モジュール寸法の端部用の箱型鋼製地下ユニット12が埋設されることにより、地下室35が形成される。
【0052】
この実施の形態1によれば、ユニット建物1の下部に対してユニット地下室13を構成可能な鋼製箱型地下ユニット12を、掘削穴に設けられた地下室用基礎25aの上に設置し、鋼製箱型地下ユニット12の内側から前記鋼製箱型地下ユニット12の底面部12fに設けられた基礎固定座部12eの固定作業を行って鋼製箱型地下ユニット12を地下室用基礎25aに固定することにより、鋼製箱型地下ユニット12の内側からの固定作業が可能となるため、掘削穴の余掘りの幅を狭くすることができる。
【0053】
この際、ボルト締結構造としたので、簡単に鋼製箱型地下ユニット12と地下室用基礎25aとを固定することができる。
【0054】
また、ユニット建物1の下部に対してユニット地下室13を構成可能な複数の鋼製箱型地下ユニット12を、ユニット間連結用の開口部12aを当接させた状態で配置し、鋼製箱型地下ユニット12の内側から前記ユニット間連結用の開口部12aに設けられた相互連結部17aの連結作業を行って鋼製箱型地下ユニット12間を連結することにより、鋼製箱型地下ユニット12の内側からの連結作業が可能となるため、安全性を向上することができる。また、狭小地への設置が可能となる。
【0055】
この際、ボルト締結構造としたので、簡単に鋼製箱型地下ユニット12どうしを相互連結することができる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1の発明によれば、鋼製箱型地下ユニット内側から地下室用基礎への固定作業を行うことができ、以て、掘削穴の余掘りの幅を狭くすることができる。また、鋼製箱型地下ユニットのコーナー部近傍の側面に取付けられた補助柱部材と地下室用基礎との間を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の全体の構成を説明する分解斜視図である。
【図2】図1の地下構造体の一部断面斜視図である。
【図3】図1中A−A線に沿った位置での矢視図である。
【図4】図3中C−C線に沿った位置での断面図である。
【図5】図3中D−D線に沿った位置での断面図である。
【図6】図1中B−B線に沿った位置での断面図である。
【図7】図1中E−E線に沿った位置での断面図である。
【図8】図7中F−F線に沿った位置での断面である。
【図9】図1中G−G線に沿った位置での断面図である。
【図10】図1中H−H線に沿った位置での断面図である。
【図11】図1中I−I線に沿った位置での断面図である。
【図12】図1中J−J線矢視図である。
【図13】図12中K−K線に沿った位置での断面図である。
【図14】図1中L−L線に沿った位置での断面図である。
【図15】図1中M−M線に沿った位置での断面図である。
【図16】図1中N−N線に沿った位置での断面図である。
【図17】図16中O−O線に沿った位置での断面図である。
【符号の説明】
1 ユニット建物
12 鋼製箱型地下ユニット
12a 開口部
12e 基礎固定座部(ボルト挿通孔)
12f 底面部
13 ユニット地下室
17 Cチャネル型鋼材
17a 相互連結部(ボルト挿通孔)
17b 背面部
25 掘削穴(掘削穴の底面部)
25a 地下室用基礎
26 固定ボルト
29 ナット部材
48 ロ字状鉄骨フレーム
50 ボルト部材
51 ナット部材

Claims (1)

  1. ユニット建物の下部に対してユニット地下室を構成可能な鋼製箱型地下ユニットを、掘削穴に設けられた地下室用基礎の上に設置し、鋼製箱型地下ユニットの内側から前記鋼製箱型地下ユニットの底面部に設けられた基礎固定座部と地下室用基礎との間の固定作業を行って鋼製箱型地下ユニットを地下室用基礎に固定すると共に、鋼製箱型地下ユニットのコーナー部近傍の側面に取付けられた補助柱部材と地下室用基礎との間の固定作業を行うことを特徴とする住宅用ユニット地下室の設置方法。
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