JP6845301B1 - 床版取替え構造および床版取替え方法 - Google Patents

床版取替え構造および床版取替え方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6845301B1
JP6845301B1 JP2019219812A JP2019219812A JP6845301B1 JP 6845301 B1 JP6845301 B1 JP 6845301B1 JP 2019219812 A JP2019219812 A JP 2019219812A JP 2019219812 A JP2019219812 A JP 2019219812A JP 6845301 B1 JP6845301 B1 JP 6845301B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
main girder
slab
steel
floor slab
bridge
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019219812A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021088873A (ja
Inventor
冨永 知徳
知徳 冨永
耕一 横関
耕一 横関
和彦 瀬谷
和彦 瀬谷
竹内 大輔
大輔 竹内
太郎 利根川
太郎 利根川
健 岡部
健 岡部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2019219812A priority Critical patent/JP6845301B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6845301B1 publication Critical patent/JP6845301B1/ja
Publication of JP2021088873A publication Critical patent/JP2021088873A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Abstract

【課題】鋼床版の横リブを容易かつ強固に主桁ウエブに結合できるともに、主桁と鋼床版との間で橋軸方向にせん断力を確実に伝達することができる橋梁の構造および床版取替え方法を提供する。【解決手段】鉄筋コンクリート床版14の、主桁上フランジ11bの上面側に設けられている部分以外を除去して残置されてなるコンクリート床版残置部21と、主桁上フランジ11bの上面側に設けられている部分以外を除去してなるコンクリート除去領域Rと、コンクリート除去領域Rに、コンクリート床版残置部21に被せるように配設された鋼床版30とを備え、鋼床版30は、デッキプレート31の下面側に配設され、橋幅方向の一端面または両端面が直近の主桁11の主桁ウエブ11aのウエブ面と対向する横リブ33を有し、横リブ33の端部が直近の主桁ウエブ11aに剛結合され、主桁11と鋼床版30とが第1せん断力伝達部材50によって結合されている。【選択図】図4

Description

本発明は、床版取替え構造および床版取替え方法に関する。
高速道路等に使用される橋梁では、老朽化した道路の床版を取り替える必要が生じる場合がある。従来、橋梁のRC床版(鉄筋コンクリート床版)を新しい床版に取り替える場合、まず既存の鉄筋コンクリート床版を除去する。次に、主桁の主桁上フランジを完全に平滑化したうえで、スタッドを打ち直したり、また、RC床版を鋼床版と取り替える場合には主桁の主桁上フランジにボルト穴を開けたりするようにしている。
しかし、従来の工法には以下のような課題がある。(1)スタッドのついた鉄筋コンクリート床版を撤去してフランジを平滑化するのは非常に労力と時間を要する。(2)スタッドの間のコンクリートを除去するときは、騒音、振動、粉じんの問題が生じる可能性がある。(3)鉄筋コンクリート床版を除去すると、橋梁の死荷重が半分以下となるために、桁のたわみが減少し、元と同じ路線計画高を維持するための各種寸法調整を要する。(4)床版を今の基準に従って新設すると、元の構造よりも重量が増加する。そのために、桁や橋脚、場合によっては杭の補強が必要となる(厚さだけでなく幅も広げる必要がある)。
このような課題を解決するための橋梁の床版取替え方法の一例として例えば特許文献1に記載の方法が知られている。特許文献1に記載の床版取替え方法では、橋梁の主桁に支持されて敷設されている鉄筋コンクリート床版を鋼床版に取り替えるために、鉄筋コンクリート床版を除去した位置に鋼床版を配する橋梁の床版取替方法において、前記鉄筋コンクリート床版の下方に、前記主桁に適宜な間隔に配して床版支持ブラケットを取り付け、前記主桁の上フランジに位置した部分の鉄筋コンクリート床版を除いた他の部分を除去して主桁の上フランジ部分に残留部を設け、前記除去した鉄筋コンクリート床版に替えて、前記残留部を回避して配した横リブを有する鋼床版の該横リブを配して、該横リブを前記床版支持ブラケットに載置して取り付けている。
特開2016−194215号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載の床版取替え方法では、以下のような問題があった。
ここで、コンクリート床版が取り替えを要するほど傷んでいる橋梁の多くは交通量が多いケースであり、コンクリート床版を取り替える際に交通量を制限したり、交通止めを行う必要があった。そのため、コンクリートの床版の取り替える際の交通制限にかかる必要時間が短いことが求められており、その点で改善の余地があった。
そして、特許文献1では、主桁のウエブに床版支持ブラケットを溶接等によって取り付けている。そのため、床版支持ブラケットの取り付けに手間がかかるとともに、鋼床版の横リブを床版支持ブラケットに溶接等によって取り付けているので、この横リブに対する取り付けにも手間がかかる。
また、鋼床版の横リブは床版支持ブラケットに載置して当該床版支持ブラケットに取り付けられているが、基本的にこの床版支持ブラケットは片持ち梁として主桁に取り付けられている。そのため、鋼床版の重量を支える床版支持ブラケットは大きな強度を有する必要がある。
また、床版支持ブラケットを介してのみ主桁に取り付けられているので、主桁と鋼床版との間で橋軸方向にせん断力を伝達するのが困難である。そのために鋼床版と主桁との一体構造の橋梁となり難く、橋梁としての強度が不足する虞がある。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、鋼床版の横リブを容易かつ強固に主桁のウエブに結合できるともに、橋梁としての剛性を確保でき、さらに、主桁と鋼床版との間で橋軸方向にせん断力を確実に伝達することができる床版取替え構造および床版取替え方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る床版取替え構造は、橋梁の主桁に支持されて敷設されている鉄筋コンクリート床版の少なくも一部を鋼床版に取り替えてなる橋梁の床版取替え構造であって、前記鉄筋コンクリート床版の少なくとも一部のうち、前記主桁の主桁上フランジの上面側に設けられている部分以外を除去して残置されてなるコンクリート床版残置部と、前記鉄筋コンクリート床版の少なくとも一部を、前記コンクリート床版残置部を露出状態で除去してなるコンクリート除去領域に、前記コンクリート床版残置部に被せるように配設された鋼床版と、を備え、前記鋼床版は、デッキプレートの下面側において橋幅方向に配設され、橋幅方向の一端面または両端面の少なくとも一部が直近の前記主桁の主桁ウエブのウエブ面と対向する構造的に連続した横リブを有し、前記横リブが当該横リブの橋幅方向の端部において、当該端部に直近の前記主桁ウエブに剛結合され、前記主桁と前記鋼床版とが橋軸方向にせん断力を伝達するせん断力伝達部材によって結合され、前記せん断力伝達部材は、橋軸方向に長尺で、かつ橋軸方向を含む平面を有する板状部材からなり、前記せん断力伝達部材は、上下方向の一端が前記デッキプレートの下面に接合された縦リブに固定され、他端が前記主桁ウエブに固定されていることを特徴としている。
本発明では、鋼床版は、デッキプレートの下面側において橋幅方向に配設され、橋幅方向の一端面または両端面の少なくとも一部が直近の前記主桁の主桁ウエブのウエブ面と対向する横リブを有し、前記横リブが当該横リブの橋幅方向の端部において、当該端部に直近の前記主桁ウエブに剛結合されているので、つまり、従来と異なり鋼床版の横リブの端部が床版支持ブラケットを介することなく、直接、主桁ウエブに剛結合されているので、鋼床版は合理的な横リブ断面で設計することが可能となる。その結果、従来のような床版支持ブラケットを用いた場合と比較して構造重量を低減することが可能となる。
また、主桁と前記鋼床版とが橋軸方向にせん断力を伝達するせん断力伝達部材によって結合されているので、主桁と鋼床版との間で橋軸方向にせん断力を確実に伝達することができ、確実に鋼床版と主桁が合成化された構造とすることができる。
さらに、本発明では、コンクリート床版残置部に鋼床版を被せるように配設することができるので、除去する鉄筋コンクリート床版のうち主桁上フランジの上面のコンクリートを全部除去することがない。そのため、コンクリート床版残置部として残置したまま鋼床版を配設することができ、鉄筋コンクリート床版から鋼床版への床版取替えにかかる作業時間を低減することができる。
また、この場合には、デッキプレートにおけるコンクリート床版残置部の上方に位置する部分が縦リブを介してせん断力伝達部材によって主桁ウエブに固定されているので、デッキプレートに生じるたわみを減少させることができ、舗装の損傷を抑制することで舗装の寿命を向上できる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記横リブは、一般部と、前記主桁ウエブに剛接合される主桁取付け部と、に分割されていることを特徴としてもよい。
この場合には、主桁ウエブに対する横リブの主桁取付け部の上下方向の位置を調整して接合することができるので、横リブを備えた鋼床版を設置する際に鋼床版の縦方向位置を所望の位置に調整することができる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記横リブは、一般部と、前記主桁ウエブに剛接合される主桁取付け部と、前記コンクリート除去領域で橋幅方向に延びる横リブ補強部と、に分割されていることを特徴としてもよい。
この場合には、コンクリート除去領域で橋幅方向に延びる横リブ補強部が横リブに設けられているので、鋼床版に取り替える施工時における鋼床版の剛性を確保することができ、容易に施工を行うことができる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記鋼床版の前記デッキプレートの下面側に配設された縦リブのうち、橋幅方向で前記主桁上フランジを挟んだ両側に位置する一対の大縦リブが少なくとも横リブとの交差位置で他の前記縦リブより10%以上突出長が長くなるように形成されたことを特徴としてもよい。
この場合には、他の縦リブより10%以上突出長が長く剛性が増加された大縦リブを主桁の近傍に配置することで、この大縦リブと横リブとの交差部で生じる発生応力を低減し、疲労性能を向上することができる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記コンクリート床版残置部は、少なくとも被りコンクリートが除去された状態で残置されていることを特徴としてもよい。
この場合には、コンクリート床版残置部の上部の被りコンクリートを除去するのみでよいので、主桁上フランジに立設されているスタッド間のコンクリートを除去する必要がない。スタッド間のコンクリートは非常に除去に手間を要するため、当該コンクリートを残置することで、除去作業の手間を大幅に削減できる。そして、上部の被りコンクリートを除去することにより、路面高さを調整するための空間を確保し、新旧路面高さを合わせることが可能になるとともに、鋼床版の上に存在するアスファルト部の撤去を容易に行うことができる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記コンクリート除去領域に配設されている鋼床版に予め舗装部が施工され、前記鋼床版と、当該鋼床版に隣り合う前記鉄筋コンクリート床版との間に仮止め板が架け渡され、前記仮止め板の上面側に、仮舗装部が前記舗装部および前記鉄筋コンクリート床版上の舗装部とほぼ面一に施工されていることを特徴としてもよい。
この場合には、仮止め板の上面側に、仮舗装部が、鋼床版の舗装部および既設の鉄筋コンクリート床版上の舗装部とほぼ面一に施工されているので、既設の鉄筋コンクリート床版の舗装部と更新された(取り替えられた)鋼床版の舗装部を連続させることができる。このため、床版の取り替えの際に行っていた車線規制を解除して一時的に車両を走行させることができる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記主桁ウエブに前記横リブの横リブ取付部がボルト結合され、この横リブ取付部に前記横リブの端部がボルト結合されていることを特徴としてもよい。
この場合には、主桁ウエブにボルト結合された横リブ取付部材に横リブの端部がボルト結合されているので、横リブの端部を当該端部に直近の主桁ウエブに容易かつ確実に剛結合できる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記主桁上フランジと前記横リブ取付部との間の前記主桁ウエブの上下方向の長さは、前記主桁ウエブの224mm以上であることを特徴としてもよい。
この場合には、主桁ウエブにおける主桁上フランジに接合された部分における応力範囲を小さくし、主桁の耐疲労特性を向上させることができる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記横リブ取付部を複数備えることを特徴としてもよい。
この場合には、複数の横リブ取付部材全体で所定の曲げ耐力およびせん断耐力となるように構成できるため、複数の横リブ取付部材の1つ当たりの質量を軽くすることができる。これにより、各横リブ取付部材を作業者が人力で容易に運ぶことができる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記せん断力伝達部材は、前記縦リブにボルト締結により固定された第1片と、前記主桁ウエブにボルト締結により固定された第2片と、前記第1片および前記第2片にそれぞれ連なる連結片と、を備えることを特徴としてもよい。
この場合には、デッキプレートにおけるコンクリート床版残置部の上方に位置する部分が縦リブを介してせん断力伝達部材によって主桁ウエブに固定されているので、デッキプレートに生じるたわみを減少させることができ、舗装の損傷を抑制することで舗装の寿命を向上できる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記せん断力伝達部材は、前記第1片、前記第2片、及び前記連結片によってU断面形状に湾曲して形成され、両端部の前記第1片と前記第2片とを橋幅方向に向けた状態で配置され、前記第1片が前記主桁ウエブに固定され、前記第2片が前記縦リブに固定されていることを特徴としてもよい。
この場合には、U断面形状に湾曲して形成されたせん断力伝達部材のうち第1片がボルト締結により主桁ウエブに固定される位置と、第2片がボルト締結により縦リブに固定される位置と、が上下方向において同等であるため、せん断力伝達部材に水平面に沿う軸線周りのモーメントが生じるのが抑制される。このため、せん断力伝達部材がモーメントに耐える必要が少なくなり、せん断力伝達部材を軽量化することができる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記デッキプレートの下面には、前記主桁の上方で橋軸方向に延びる補助縦リブが設けられ、前記せん断力伝達部材は、前記第1片、前記第2片、及び前記連結片によってU断面形状に湾曲して形成され、両端部の前記第1片と前記第2片とを上下方向に向けた状態で前記主桁の左右両側に回り込むように配置され、前記第1片が前記主桁ウエブに固定され、前記第2片が前記補助縦リブに固定されていることを特徴としてもよい。
この場合には、デッキプレートにおけるコンクリート床版残置部の上方に位置する部分が補助縦リブを介してU断面形状に湾曲したせん断力伝達部材によって主桁ウエブに固定されているので、デッキプレートに生じるたわみを減少させることができ、舗装の損傷を抑制することで舗装の寿命を向上できる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記鋼床版は、前記デッキプレートの下面側において、橋幅方向に配設された前記横リブと、橋軸方向に配設された縦リブと、を有し、前記縦リブのうち、橋幅方向で前記主桁上フランジを挟んだ両側に位置する一対の大縦リブが他の前記縦リブより突出長が長くなるように形成され、前記せん断力伝達部材は、一対のフランジ材とウエブ材とを備えてH断面形状に形成され、前記ウエブ材を横向きにして配置され、一方の前記フランジ材が前記大縦リブにボルト締結により固定され、他方の前記フランジ材が前記主桁ウエブにボルト締結により固定されていることを特徴としてもよい。
この場合には、デッキプレートに設けられる大縦リブと主桁ウエブとがH断面形状に形成されたせん断力伝達部材によって固定され、せん断力伝達部材がH断面形状で曲面を有していないことから、効率よくせん断力を伝達し、主桁の発生応力を低減することができる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記鋼床版は、前記デッキプレートの下面側において、橋幅方向に配設された前記横リブと、橋軸方向に配設された縦リブと、を有し、前記縦リブのうち、橋幅方向で前記主桁上フランジを挟んだ両側に位置する一対の大縦リブが他の前記縦リブより突出長が長くなるように形成され、前記せん断力伝達部材は、一対のフランジ材とウエブ材とを備えて形成され、前記ウエブ材を横向きにして配置され、一方の前記フランジ材が前記ウエブ材から上方に延びて前記大縦リブにボルト締結により固定され、他方の前記フランジ材が前記主桁ウエブにボルト締結により固定されていることを特徴としてもよい。
この場合には、デッキプレートに設けられる大縦リブと主桁ウエブとがせん断力伝達部材によって固定され、せん断力伝達部材がH断面形状で曲面を有していないことから、効率よくせん断力を伝達し、主桁の発生応力を低減することができる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記鋼床版は、前記デッキプレートの下面側において、橋幅方向に配設された前記横リブと、橋軸方向に配設された縦リブと、を有し、前記縦リブのうち、橋幅方向で前記主桁上フランジを挟んだ両側に位置する一対の大縦リブが他の前記縦リブより突出長が長くなるように形成され、前記横リブには、前記大縦リブが係合可能なスリットが形成され、前記スリットに前記大縦リブが係合された状態で、前記大縦リブが前記横リブに対して全周溶接により接合されていることを特徴としてもよい。
この場合には、横リブに形成されたスリットに係合された大縦リブがスリットを介して横リブに対して全周溶接により接合されることにより、応力集中が溶接部で低減し、鋼床版としての疲労強度を向上させることができる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記鋼床版は、前記デッキプレートの下面側において、橋幅方向に配設された前記横リブと、橋軸方向に配設された縦リブと、を有し、前記縦リブのうち、橋幅方向で前記主桁上フランジを挟んだ両側に位置する一対の大縦リブが他の前記縦リブより突出長が長くなるように形成され、前記横リブは、前記コンクリート除去領域で橋幅方向に延びる横リブ補強部を有することを特徴としてもよい。
この場合には、コンクリート除去領域で橋幅方向に延びる横リブ補強部が横リブに設けられているので、鋼床版に取り替える施工時における鋼床版の剛性を確保することができるため、容易に施工を行うことができる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、橋軸方向に隣り合う前記横リブ補強部同士の間には、橋幅方向に延びる横リブ補強板が設けられている横リブ補強板が設けられていることを特徴としてもよい。
この場合には、鋼床版のデッキプレートが横リブ補強部だけでなく、横リブ補強部同士の間に設けられる横リブ補強板によってデッキプレートの剛性が高められてたわみが低減することにより、舗装の損傷を抑制することができる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記横リブ補強部は、前記デッキプレートの下面における前記一対の大縦リブ同士の間には、橋幅方向に沿って延びるフランジ部材であり、前記フランジ部材の両端が前記大縦リブにボルト接合されていることを特徴としてもよい。
この場合には、横リブ補強部として設けられるフランジ部材がボルト接合により大縦リブに接合されているので、溶接レスの構造となることから、鋼床版としての疲労強度を向上させることができる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記デッキプレートは、前記一対の大縦リブ同士の間の前記コンクリート除去領域に位置する部分が増厚された増厚部を有することを特徴としてもよい。
この場合には、デッキプレートにおいて一対の大縦リブ同士の間で補強間隔が広く、剛性が低い部分を増厚部で増厚することで、デッキプレートの剛性が高められてたわみが低減することにより、舗装の損傷を抑制することができる。
また、例えば板状部材をデッキプレートの上下に配置することにより増厚部を容易に設けることができるので、施工性の向上を図ることができる。なお、増厚した部分の板厚tは、上記補強間隔をbとすると、t≧0.037×bとなるように設定される。
また、本発明に係る床版取替え構造は、増厚部は、前記デッキプレートの上面に配設される板状の上カバープレートであることを特徴としてもよい。
この場合には、デッキプレートにおけるコンクリート床版残置部の上方に位置する部分に配設される上カバープレートによって、この部分に生じるたわみを減少させることができ、舗装の損傷を抑制することで舗装の寿命を向上できる。上カバープレートは、大縦リブの幅よりも大きな幅として、大縦リブの外側でボルトでデッキプレートに設置される。なお、上カバープレートも大縦リブ間隔をbとしたとき、板厚tがt≧0.037×bとなるように設定することがよい。
また、本発明に係る床版取替え構造は、増厚部は、前記デッキプレートの下面に配設される板状の下カバープレートであることを特徴としてもよい。
この場合には、デッキプレートにおけるコンクリート床版残置部の上方に位置する部分に配設される下カバープレートによって、この部分に生じるたわみを減少させることができ、舗装の損傷を抑制することで舗装の寿命を向上できる。
また、デッキプレートの下面側に下カバープレートが配置されるため、デッキプレートの上面に敷設されるアスファルトの薄くなる部分を少なくすることができる。なお、下カバープレートも大縦リブ間隔をbとしたとき、板厚tがt≧0.037×bとなるように設定することがよい。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記下カバープレートは、前記デッキプレートの下面に沿って配置される横板部と、横板部の橋幅方向の両端部から下方に延びる縦板部と、を有していることを特徴としてもよい。
この場合には、デッキプレートにおけるコンクリート床版残置部の上方に位置する部分に配設される横板部と一対の縦板部とからなる下カバープレートによって、この部分に生じるたわみを減少させることができ、舗装の損傷を抑制することで舗装の寿命を向上できる。
また、デッキプレートの下面側に下カバープレートが配置されるため、デッキプレートの上面に敷設されるアスファルトの薄くなる部分を少なくすることができる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記増厚部は、前記デッキプレートに対して上方から皿型高力ボルトを使用してボルト接合されていることを特徴としてもよい。
この場合には、デッキプレートの上方から締結されるボルトが皿型高力ボルトであるので、皿型高力ボルトにおける上方への突出量を最小化することができる。そのため、増厚部の上面又はデッキプレートの上面に敷設されるアスファルトへのボルトの貫入量を最小に抑えることができる。したがって、アスファルトにおける厚みの薄い部分を少なくすることができ、舗装の耐久性や耐水性を向上することができる。
また、本発明に係る床版取替え構造は、前記鋼床版は、前記デッキプレートの下面側において、橋幅方向に配設された前記横リブと、橋軸方向に配設された縦リブと、を有し、前記縦リブのうち、橋幅方向で前記主桁上フランジを挟んだ両側に位置する一対の大縦リブが他の前記縦リブより突出長が長くなるように形成され、前記大縦リブには、前記横リブを配置する箇所における前記コンクリート除去領域の両側に位置する一部分を切り欠いた切欠開口部が形成されていることを特徴としてもよい。
この場合には、鋼床版を主桁上の所定位置に配置した後で、大縦リブに形成された切欠開口部を使用してコンクリート床版残置部の上部のコンクリート除去領域に容易にアクセスすることが可能となる。そのため、コンクリート除去領域に対して切欠開口部を通じて大縦リブの外側から作業を行うことができ、例えばパネル間継手を形成することができ、道路示方書のボルト間隔の項目を満足することができると共に、ボルト締結作業の効率を向上できる。
また、本発明に係る橋梁の床版取替え方法は、橋梁の主桁に支持されて敷設されている鉄筋コンクリート床版の一部を鋼床版に取り替える橋梁の床版取替え方法であって、前記鋼床版は、デッキプレートの下面側において橋幅方向に配設された横リブを有し、前記横リブの橋幅方向の一端面または両端面の少なくとも一部が直近の前記主桁の主桁ウエブのウエブ面と対向しており、前記鉄筋コンクリート床版のうち、前記主桁の主桁上フランジの上面側に設けられている部分以外を除去することにより、コンクリート除去領域を設けるとともに前記主桁上フランジの上面側にコンクリート床版残置部を残置する鉄筋コンクリート床版除去工程と、前記コンクリート除去領域に、鋼床版を前記コンクリート床版残置部に被せるように配設する鋼床版配設工程と、前記横リブを当該横リブの端部において、当該端部に直近の前記主桁ウエブに剛結合する横リブ剛結合工程と、前記主桁と前記鋼床版とを橋軸方向にせん断力を伝達するせん断力伝達部材によって結合し、前記せん断力伝達部材を、橋軸方向に長尺で、かつ橋軸方向を含む平面を有する板状部材とする鋼床版結合工程と、を含み、前記せん断力伝達部材は、上下方向の一端を前記デッキプレートの下面に接合された縦リブに固定し、他端を前記主桁ウエブに固定するようにしたことを特徴としている。
本発明では、鋼床版は、デッキプレートの下面側において橋幅方向に配設され、橋幅方向の一端面または両端面の少なくとも一部が直近の前記主桁の主桁ウエブのウエブ面と対向する横リブを有し、前記横リブが当該横リブの橋幅方向の端部において、当該端部に直近の前記主桁ウエブに剛結合されているので、つまり、従来と異なり鋼床版の横リブの端部が床版支持ブラケットを介することなく、直接主桁ウエブに剛結合されているので、鋼床版は合理的な横リブ断面で設計することが可能となる。その結果、従来のような床版支持ブラケットを用いた場合と比較して構造重量を低減することが可能となる。
また、主桁と前記鋼床版とが橋軸方向にせん断力を伝達するせん断力伝達部材によって結合されているので、主桁と鋼床版との間で橋軸方向にせん断力を確実に伝達することができ、確実に鋼床版と主桁が合成化された構造とすることができる。
また、本発明に係る橋梁の床版取替え方法は、前記鉄筋コンクリート床版除去工程において、コンクリート床版残置部の上部の被りコンクリートを除去することを特徴としてもよい。
この場合には、コンクリート床版残置部の上部の被りコンクリートを除去するのみでよいので、主桁上フランジに立設されているスタッド間のコンクリートを除去する必要がない。スタッド間のコンクリートは非常に除去に手間を要するため、当該コンクリートを残置することで、除去作業の手間を大幅に削減できる。なお、上部の被りコンクリートを除去するのは、路面高さを調整するための空間を確保すると共に、鋼床版の上に存在するアスファルト部の撤去を容易化するためである。
また、コンクリート床版残置部をハンチ高さの中で、主桁上フランジの添接板およびボルトに接触しない高さで水平方向にスタッドや鉄筋ごと切断することもできる。この場合、鉄筋コンクリート床版を橋軸方向、横軸方向と切断することとは独立して切断を行うことができるため、橋軸方向の切断回数を減少させることができる。
また、本発明に係る橋梁の床版取替え方法は、前記鋼床版に、当該鋼床版の高さを調整可能な高さ調整ボルトが前記コンクリート床版残置部に当接可能に螺合され、前記鋼床版配設工程の後に、前記高さ調整ボルトを回すことによって、前記鋼床版の高さを調整することを特徴としてもよい。
このような床版取替え方法によれば、高さ調整ボルトを回すことによって、鋼床版の高さを調整できるので、鋼床版の高さを、狙った位置に、例えば取り替え以前の鉄筋コンクリート床版の高さと等しくすることができる。つまり、現場において路面計画高を調整できる。
また、本発明に係る橋梁の床版取替え方法は、前記鋼床版配設工程の後に、前記鋼床版と前記主桁上フランジと前記コンクリート床版残置部との間に、不定形材料を充填することを特徴としてもよい。
この場合には、鋼床版と主桁上フランジとコンクリート床版残置部との間に、不定形材料を充填するので、コンクリート床版残置部の鉄筋、前記間(空間)に露出する鋼床版の下面、主桁上フランジの上面等の腐食を防止できる。
なお、この不定形材料には大きな強度を求める必要はない。そもそもコンクリート床版残置部も、十分な施工技術の無かった時代に打設されたコンクリートであり、さらに、長期間共用されていたことから、確実な設計が可能なだけの強度を保証することは困難であるため、そこに充填する不定形材料に大きな強度を求めなくてもよい。
また、本発明に係る橋梁の床版取替え方法は、前記コンクリート除去領域に配設されている鋼床版に舗装部が施工されており、前記鋼床版配設工程の後に、前記鋼床版と、当該鋼床版に隣り合い、かつ当該鋼床版に取り替えられていない鉄筋コンクリート床版との間に仮止め板を架け渡し、前記仮止め板の上面側に、前記舗装部および前記鉄筋コンクリート床版上の舗装部とほぼ面一に仮舗装部を施工することを特徴としてもよい。
この場合には、仮止め板の上面側に、仮舗装部が、鋼床版の舗装部および既設の鉄筋コンクリート床版上の舗装部とほぼ面一に施工されているので、既設の鉄筋コンクリート床版の舗装部と更新された(取り替えられた)鋼床版の舗装部を連続させることができる。このため、床版の取り替えの際に行っていた車線規制を解除して一時的に車両を走行させることができる。
また、本発明に係る橋梁の床版取替え方法は、前記主桁ウエブに横リブ取付部をボルト結合しておき、前記鋼床版配設工程の後に、前記横リブ取付部に前記横リブをボルト結合することを特徴としてもよい。
この場合には、主桁ウエブにボルト結合された横リブ取付部材に横リブの端部がボルト結合されているので、横リブの端部を当該端部に直近の主桁ウエブに容易かつ確実に剛結合できる。
また、本発明に係る橋梁の床版取替え方法は、前記主桁上フランジと前記横リブ取付部との間の前記主桁ウエブの上下方向の長さは、前記主桁ウエブの224mm以上であることを特徴としてもよい。
この場合には、主桁ウエブにおける主桁上フランジに接合された部分における応力範囲を小さくし、主桁の耐疲労特性を向上させることができる。
また、本発明に係る橋梁の床版取替え方法は、前記主桁ウエブに複数の前記横リブ取付部をボルト結合しておき、前記鋼床版配設工程の後に、前記複数の横リブ取付部に前記横リブをそれぞれボルト結合することを特徴としてもよい。
この場合には、複数の横リブ取付部材全体で所定の曲げ耐力およびせん断耐力となるように構成できるため、複数の横リブ取付部材の1つ当たりの質量を軽くすることができる。これにより、各横リブ取付部材を作業者が人力で容易に運ぶことができる。
本発明の床版取替え構造および床版取替え方法によれば、鋼床版の横リブを容易かつ強固に主桁のウエブに結合できるともに、橋梁としての剛性を確保でき、さらに、主桁と鋼床版との間で橋軸方向にせん断力を確実に伝達することができる。
本発明の第1実施形態による床版取替え方法を説明するためのもので、床版取替え前の橋梁を斜め上方から見た斜視図である。ただし、片側の車線のみを示している。 図1に示す床版取替え前の橋梁を斜め下方から見た斜視図である。 鋼床版を設置した状態を示すもので、(a)は橋梁を斜め下方から見た斜視図、(b)は橋梁の正面図である。 鋼床版を主桁に接合する接合部分の構成を示す橋軸方向から見た縦断面図である。 図4に示す接合部分の要部を拡大した縦断面図であって、コンクリート床版残置部上のコンクリート除去領域にモルタルを充填した状態の図である。 図5に示すせん断力伝達部材の構成を示す断面図である。 床版取替え方法の作業フローチャートである。 横リブ取付部を示すもので、(a)は横リブ取付部の斜視図、(b)は(a)におけるA矢視図である。 横リブ取付部を主桁ウエブに取り付けた状態を示す要部の断面図である。 横リブ取付部を主桁ウエブに取り付けた状態を示すもので、(a)は橋梁を斜め下方から見た斜視図、(b)は右側の主桁の横リブ取付部を含む断面図である。 鉄筋コンクリート床版の一部を除去した状態を示すもので、橋梁を斜め上方から見た斜視図である。 鉄筋コンクリート床版の一部を除去した状態を示すもので、橋梁を斜め下方から見た斜視図である。 鋼床版を設置した状態を示すもので、(a)は橋梁を斜め上方から見た斜視図、(b)は仮止め板を設置した状態を示す橋梁を斜め上方から見た斜視図である。 コンクリート床版残置部を含む要部を示すもので、(a)は断面図、(b)は充填材を充填した状態を示す断面図である。 横リブを主桁ウエブに剛結合した状態を示すもので、(a)は斜め下方から見た斜視図、(b)は側面図である。 図3(a)における要部の斜視図である。 図15(a)における要部の平断面図である。 (a)は鋼床版とそれに隣り合う鉄筋コンクリート床版とを示す要部の断面図、(b)は鋼床版と鉄筋コンクリート床版との間に仮止め板を仮設して、仮舗装を施した状態を示す要部の断面図である。 第1実施形態において、次の鋼床版を設置する方法を説明するためのもので、コンクリート除去領域を設けた状態を示す斜め上方から見た斜視図である。 コンクリート除去領域を設けた状態を示す斜め下方から見た斜視図である。 次の鋼床版を設置した状態を示す斜め上方から見た斜視図である。 次の鋼床版を設置した状態を示す斜め下方から見た斜視図である。 パネル間継手によって橋軸方向に隣り合う鋼床版を接合した状態を示す正断面図である。 他方側の車線の鉄筋コンクリート床版の一部除去した状態を示すもので、橋梁を斜め上方から見た斜視図である。 他方側の車線の鉄筋コンクリート床版の一部を除去した状態を示すもので、コンクリート除去領域における正断面図である。 他方側の車線側に鋼床版を設置した状態を示すもので、橋梁を斜め上方から見た斜視図である。 他方側の車線側に鋼床版を設置した状態を示すもので、当該鋼床版における正断面図である。 鋼床版と鉄筋コンクリート床版との間に仮止め板を仮設して、仮舗装を施した状態を示す正断面図である。 本発明の第2実施形態による鋼床版と主桁とが第2せん断力伝達部材によって接合された状態を示すもので、橋梁を斜め下方から見た斜視図である。 図29をさらに詳細に示した斜視図である。 図29に示す鋼床版を主桁に接合する接合部分の構成を示す橋軸方向から見た縦断面図である。 図30に示す第2せん断力伝達部材の構成を示す斜視図である。 本発明の第3実施形態による鋼床版を主桁に接合する接合部分の構成を示す斜め橋軸方向から見た斜視図である。 図33の鋼床版と主桁の接合構造を示す橋軸方向から見た縦断面図であって、(a)は大縦リブと横リブとの接合前の図、(b)は大縦リブと横リブとの接合後の図である。 図33の鋼床版と主桁の接合構造を橋軸方向から見た縦断面図であって、充填材を充填する前の状態を示す図である。 図33の鋼床版と主桁の接合構造を橋軸方向から見た縦断面図であって、充填材を充填した後の状態を示す図である。 図36に示すA−A線断面図であって、鋼床版と主桁の接合構造の横断面図である。 本発明の第4実施形態による鋼床版を主桁に接合する接合部分の構成を示す斜め橋軸方向から見た斜視図である。 図38の鋼床版と主桁の接合構造を橋軸方向で下方から見た斜視図である。 本発明の第5実施形態による鋼床版を主桁に接合する接合部分の構成を示す斜め橋軸方向から見た斜視図である。 図40の鋼床版と主桁の接合構造を橋軸方向から見た縦断面図である。 図41に示すB−B線断面図であって、鋼床版と主桁の接合構造の横断面図である。 本発明の第6実施形態による鋼床版を主桁に接合する接合部分の構成を示す斜め橋軸方向から見た斜視図である。 図43の鋼床版と主桁の接合構造を橋軸方向から見た縦断面図である。 第7実施形態の第1変形例による鋼床版を主桁に接合する接合部分の構成を示す斜め橋軸方向から見た斜視図である。 図45の鋼床版と主桁の接合構造を橋軸方向から見た縦断面図である。 本発明の第7実施形態による鋼床版を主桁に接合する接合部分の構成を示す斜め橋軸方向から見た斜視図である。 図47の鋼床版と主桁の接合構造を橋軸方向で上方から見た要部斜視図である。 図47の鋼床版と主桁の接合構造を橋軸方向から見た縦断面図である。 本発明の第8実施形態による鋼床版を主桁に接合する接合部分の構成を示す斜め橋軸方向から見た斜視図である。 図50の鋼床版と主桁の接合構造を橋軸方向から見た縦断面図である。 図50の鋼床版と主桁の接合構造を横断面方向に切断した要部斜視図である。 第8実施形態の第2変形例による鋼床版を主桁に接合する接合部分の構成を示す斜め橋軸方向から見た斜視図である。 本発明の第9実施形態による鋼床版を主桁に接合する接合部分の橋軸方向から見た縦断面図である。 第9実施形態の第3変形例による鋼床版を主桁に接合する接合部分の橋軸方向から見た縦断面図である。 本発明の第10実施形態による鋼床版を主桁に接合する接合部分の構成を示す斜め下方から見た斜視図である。 図56に示す鋼床版を主桁に接合する接合部分の大縦リブに形成された切欠開口部を示す要部斜視図である。 図57をさらに詳細に示した斜視図であって、一部破断した図である。
以下、本発明の実施形態による床版取替え構造および床版取替え方法について、図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1及び図2に示すように、本第1実施形態による床版取替え構造は、橋梁10の主桁11に支持されて敷設されている鉄筋コンクリート床版14の一部を鋼床版30(図3(a)、(b)、及び図13(a)、(b)参照))に取り替える構造である。つまり、第1実施形態による床版取替え構造1(図4参照)は、橋幅方向(図1においてX方向)に隣り合う主桁11、11の間隔が3m程度あり、橋幅方向Xに鉄筋コンクリート床版14の一部を切断して、新設の鋼床版30に取り替える場合に適用される。
図1及び図2は鋼床版30に取替える前の橋梁10(ただし、片側の車線(図に示すものの場合、片側2車線)のみ)を示すもので、図1は斜め上方から見た斜視図、図2は斜め下方から見た斜視図である。
図1及び図2に示すように、橋梁(橋梁の構造)10は、主桁11、横桁12、対傾構13および鉄筋コンクリート床版14を備えている。
主桁11は、H形鋼またはI形鋼によって形成され、橋軸方向(図1においてZ方向)に延在して設けられている。なお、図に示すものの場合、両車線合わせて全部で6本の主桁が設けられている中で、片側の車線の3本のみが示されている。これらの主桁11は、橋幅方向X(橋軸方向Zと直交する水平方向)に所定間隔で配置されている。主桁11は、主桁ウエブ11aと、主桁上フランジ11bと、主桁下フランジ11eと、を有している。なお、主桁11は、図示しない橋台や橋脚の間に架設されている。
横桁12は、H形鋼またはI形鋼によって形成され、橋幅方向Xに延在し、かつ隣り合う主桁11,11間に架設されている。横桁12の端部は、主桁ウエブ11aに溶接やボルト止め等によって結合されている。横桁12は、橋軸方向Zに所定間隔で複数配置されているが、図2では橋梁10の一部を図示しているので、橋幅方向Xに延在する2本の横桁12が設けられている。
対傾構13は、風や地震等の横荷重に抵抗するためのもので、上弦材、下弦材、縦材および斜材等からなるトラス構造となっている。対傾構13は隣り合う主桁11,11間に架設され、ガセット等によって主桁11に結合されている。また、対傾構13は、橋軸方向Zに所定間隔で複数配置されているが、図2では橋梁10の一部を図示しているので、橋幅方向Xに延在する2つの対傾構13が設けられ、これら対傾構13が橋軸方向Zに離間し、かつ横桁12を挟む位置に設けられている。
鉄筋コンクリート床版14は、内部に鉄筋が縦横に配筋されており、当該鉄筋コンクリート床版14の下面から突出する凸条(ハンチ部)14aが橋軸方向Zに延在している。本実施形態において凸条14aは、橋幅方向Xに所定間隔で3つ形成されている。これら3つの凸条14aは、3本の主桁11の直上に位置しており、主桁上フランジ11bに設置固定されている。主桁上フランジ11bの上面11c(図4参照)には、図示しないスタッドが橋幅方向Xおよび橋軸方向Zにそれぞれ所定間隔で複数立設され、これらスタッドが鉄筋コンクリート床版14のコンクリートと結合されている。また、鉄筋コンクリート床版14は、橋幅方向Xの両端部にそれぞれ地覆14bが設けられ、一方の端部に高欄14cが設けられている。さらに、鉄筋コンクリート床版14の上面には、アスファルト等で形成された舗装部15が地覆14b,14b間において施工されている。
次に、鉄筋コンクリート床版14の一部を取り替える新設の鋼床版30の構成について具体的に説明する。
鋼床版30は、図3(a)、(b)に示すように、デッキプレート31と、デッキプレート31の下面31aに溶接等によって接合された複数の縦リブ32と、縦リブ32に直角に配置された横リブ33と、を備えている。デッキプレート31の上面31bには、予め舗装部34が施工されている。橋幅方向Xにおいてデッキプレート31の外周縁部31cは、舗装部34の外周縁部34aより外側に突出している。
複数の縦リブ32は、それぞれ橋軸方向Zに延在するとともに、橋幅方向Xにおいて所定間隔で平行に設けられている。図4乃至図6に示すように、これら複数の縦リブ32のうち主桁上フランジ11bを橋幅方向Xに挟むようにして配置されている2つの縦リブ32は他の縦リブ32より下方に突出し、下端部が主桁上フランジ11bの下面よりも十分に下方に延出する大縦リブ32A,32Aとなっている。
一対の大縦リブ32Aは、力学的な作用としては鋼床版30の縦リブとして作用し、主桁11のウエブの一部として、第1せん断力伝達部材50を通じて鋼床版30と主桁11との間の橋軸方向Zのせん断力の伝達する作用を有する。また、その他の機能としては、コンクリート床版残置部21の周囲を覆い、鋼床版30との間に後述する充填材47(不定形材料)を充填するにあたっての型枠の一部として機能する。
そして、鉄筋コンクリート床版14の一部が除去されたコンクリート除去領域Rにおいて、新設の鋼床版30をコンクリート床版残置部21に被せるように配設する場合、大縦リブ32A,32Aが右側の主桁11の主桁上フランジ11bを橋幅方向Xに挟むようにして配設されている。このとき、主桁上フランジ11bの橋幅方向Xの端部と、この端部と対向している大縦リブ32A,32Aの橋幅方向Xの面との間には隙間があるので、図6に示すように、この隙間にシール材36を嵌め込む。また、大縦リブ32A,32Aの主桁上フランジ11bと対向する面から、シール材36の下面と主桁上フランジ11bの下面とにわたって、コンクリート型枠、防水、防蝕のためのチタン箔37が貼り付けられている。
なお、本実施形態では、大縦リブ32Aが他の縦リブ32よりも十分に下方に突出した状態で設けられているが、必ずしもこのような長さで突出される必要はなく、主桁上フランジ11bの上面11cよりも下方であればよい。これは型枠としての役割を容易に果たし得るためである。また、型枠の設置の方式によっては、主桁上フランジ11bの上面11cよりも上であってもかまわない。
横リブ33は、図3(b)及び図4に示すように、デッキプレート31の下面31a側において、橋幅方向Xに延びて配設され、かつ橋幅方向Xの一端面または両端面の少なくとも一部が直近の主桁11の主桁ウエブ11aのウエブ面と対向して設けられている。
具体的には、デッキプレート31の下面31aには、橋幅方向Xに延在する2つの横リブ33(33A,33B)が主桁11を挟んで溶接等によって接合されている。
鋼床版30における橋幅方向Xの紙面右側の横リブ33Aは、図5に示すように、主桁11から一定距離までは下端部が略水平方向に形成され、さらに主桁11から離れた位置においては、この主桁11から離れるにしたがって、下端部が次第にデッキプレート31側に近づくように傾斜した態様の板体状に形成されている。これは、横リブ33Aとしての必要高さよりも、主桁11への接合部のための必要高さが大きいためにこのような形状となっている。そのため、接合部近傍での高さで一様の高さにしてもよい。そして、この横リブ33Aの橋幅方向Xの一端面(つまり、主桁11側の端面)の一部が直近(紙面右側)の主桁ウエブ11aの右側のウエブ面と対向している。なお、横リブ33Aの下端面にはフランジ33bが固定されている。
なお、以下でいう右側とは、本明細書の表示面に向かって右側のことを意味する。左側についても同様である。
横リブ33Aは、デッキプレート31の短辺の長さ方向(橋軸方向Z)の略中央部に配置されており、この横リブ33Aに縦リブ32が直交して配置され、それらの交差部が溶接されている。なお、鋼床版30間の接合部での発生応力を減少させるには、デッキプレート31の長さ方向の略1/3の部分に配置することも有効な手段である。
また、大縦リブ32Aは、主桁上フランジ11bとは反対側の面が、横リブ33Aの一端面と対向し、かつ大縦リブ32Aの延在方向と横リブ33Aの延在方向とが直交するように当該横リブ33Aの一端面に当接されたうえで、この横リブ33Aと溶接によって接合されている。さらに、大縦リブ32Aの一端部は、主桁上フランジ11bの下面よりも下方に延出していて、主桁ウエブ11aのウエブ面と対向した状態となっている。
図3(b)及び図4に示すように、鋼床版30の橋幅方向Xで左側の横リブ33Bは、矩形板状に形成された一般部と、橋幅方向Xの両端部に設けられて当該一般部からそれぞれ下方に突出する突出部33cとを一体に有する板体状に形成されている。突出部33cは、その下端側が、横リブ33Bの延在方向の両端側に向かうにしたがって次第に下方側に突出する板体状に形成されている。したがって、横リブ33Bの両端およびその近傍は、突出部33cにより、延在方向の両端部に向かうに従って漸次鉛直方向の長さが大きくなる形状となっている。
また、横リブ33Bの両端部33dは、それぞれ直近の主桁ウエブ11aのウエブ面と対向している。このような横リブ33Bはデッキプレート31の短辺の長さ方向の略中央部に配置、つまり横リブ33Aの延長上に配置されており、横リブ33Bに前記縦リブ32が直交して配置され、それらの交差部が溶接されている。
次に、第1実施形態において、鉄筋コンクリート床版14を鋼床版30に取り替える橋梁の床版取替え構造1について、図4乃至図6に基づいて説明する。
橋梁の床版取替え構造は、鉄筋コンクリート床版14の少なくとも一部のうち、主桁11の主桁上フランジ11bの上面側に設けられている部分以外を除去して残置されてなるコンクリート床版残置部21と、鉄筋コンクリート床版14の少なくとも一部を、コンクリート床版残置部21を露出状態で除去してなるコンクリート除去領域Rに、コンクリート床版残置部21に被せるように配設された鋼床版30と、を備えている。
さらに、鋼床版30は、デッキプレート31の下面31a側において橋幅方向Xに配設され、橋幅方向Xの一端面または両端面の少なくとも一部が直近の主桁11の主桁ウエブ11aのウエブ面と対向する構造的に連続した横リブ33を有し、横リブ33が当該横リブ33の橋幅方向Xの端部において、当該端部に直近の主桁ウエブ11aに剛結合され、主桁11と鋼床版30とが橋軸方向Zにせん断力を伝達するZ断面形状の第1せん断力伝達部材50によって結合された構成となっている。
また、コンクリート除去領域Rには、一対の大縦リブ32A、32A同士の間においてモルタル等の充填材47(不定形材料)が充填されている。
コンクリート床版残置部21は、図6に示すように、主桁11上に設けられる鉄筋コンクリート床版14(図13(a)、(b)参照)の鉄筋コンクリートを除去したときにほぼ一定の厚さに残置された部分である。コンクリート床版残置部21は、例えばコンクリートカッタ等を使用して鉄筋コンクリート床版14内に埋設されている定着鉄筋も同時に略水平方向に沿って上下に切断し、上側の鉄筋コンクリートを取り除いた時に残置されたものである。そのため、コンクリート床版残置部21内には、切断後の定着鉄筋(図示省略)が埋設されたまま残った状態となっている。
なお、本実施形態では、主桁上フランジ11bの上面11cのコンクリート床版残置部21と、鋼床版30(対向する一対の大縦リブ32A、32Aと、デッキプレート31)と、によって囲まれる領域をコンクリート除去領域Rとする。コンクリート除去領域Rの内側に充填材47が充填される。
本実施形態では、図5に示すように、主桁上フランジ11bと横リブ取付部16(後述する)との間の主桁ウエブ11aの上下方向の長さL1は、224mm以上である。 この長さL1は、主桁ウエブ11aの厚さの38倍以下であることが好ましい。これは、主桁上フランジ11bと主桁ウエブ11aとの間の溶接部に発生する応力が、疲労の生じないレベルまで十分に低減されるためである。
また、厚肉断面のウエブなども製作されるようになっており、この場合には1600mmの桁高で9mmの板厚とした場合のリブ取付部材の長さL1である224mmを、最低限の離間距離として設定する。よって、主桁上フランジ11bと主桁ウエブ11aとの間の応力を低減するには、長さL1として224mm以上の間隔を確保すれば適切であると言える。
また、座屈のことを考慮に入れると、道路橋示方書に記載されているように、主桁ウエブ11aに高強度鋼SBHSを使った場合の座屈耐力の低減が無いレベルの最大限の無補剛区間幅として、板厚の38倍を設定することが設計的にも適切な上限値である。
第1せん断力伝達部材50は、図6に示すように、主桁11と鋼床版30との間において橋軸方向Zのせん断力を相互に伝達するもので、例えば矩形板状のSBHS鋼材からなる鋼板を折り曲げることによって形成され、第1固定板50a、第2固定板50bおよび連結板50cを一体に備えている。また、第1固定板50aおよび第2固定板50bには、それぞれ後述するボルト51,52を挿通可能なボルト穴50dが橋軸方向Zに離間して設けられている。
なお、第1せん断力伝達部材50は、SBHS鋼材以外でも、例えばSUSや鋳鉄によって形成してもよい。また、本実施の形態においては、第1せん断力伝達部材50はクランク状(断面略Z状)に成形されているが、主桁11と鋼床版30とを橋軸方向Zにせん断力を伝達可能に結合できれば、設計・施工上の必要に応じて別の形状を持ってもよい。第1せん断力伝達部材50はせん断力を伝達するのが役割であるので、設計的には必要な断面積を確保できていればよい。
第1固定板50aおよび第2固定板50bは橋軸方向Zに長尺な矩形板状に形成されるとともに、板面(表面)が上下方向および橋軸方向Zに広がっている。また、第1固定板50aと第2固定板50bとはそれらの長辺および短辺が等しくなっているとともに、橋幅方向Xに平行に離間している。第1固定板50aと第2固定板50bとの短辺の長さは異なっていてもよいが、長辺の長さは等しいほうが好ましい。
連結板50cは、第1固定板50aと第2固定板50bとを連結するものであり、橋軸方向Zに長尺な矩形板状に形成されるとともに、板面(表面)が水平方向に広がっている。
また、連結板50cはその長辺の長さが第1固定板50aおよび第2固定板50bの長辺の長さと等しくなっており、連結板50cの一方の長辺部が第1固定板50aの下方の長辺部に連接され、連結板50cの他方の長辺部が第2固定板50bの上方の長辺部に連接されている。また、連結板50cの短辺の長さは、主桁上フランジ11bの幅方向の縁部と主桁ウエブ11aのウエブ面までの水平距離とほぼ等しくなっている。
なお、第1せん断力伝達部材50の橋軸方向Zの長さは適宜決定される。第1せん断力伝達部材50におけるせん断抵抗断面の総断面積が主桁ウエブ11aと同じ断面積を保有していれば、鋼床版30と主桁11との間でせん断力のやりとりを可能とし、結果として鋼床版30と主桁11を一体に挙動する合成化を可能とする。
次に、上述した構成の橋梁10の主桁11に支持されて敷設されている鉄筋コンクリート床版14の一部を新設の鋼床版30に取り替える施工方法について、図7の施工フローを参照しながら詳細に説明する。
先ず、準備工程(図7のステップS1)として、橋梁10の下に、図示しない全面吊足場を設置し、この全面吊足場から、新設の鋼床版30の設置(取替え)の際に干渉する部材の撤去、改良、仕上げ(一部グラインダー作業)を行う。なお、検査等のためなどに全面足場が予め設置されている場合は、その足場を使って同じ作業を行うことができる。
次に、図3(b)及び図4に示すように、主桁ウエブ11aの上部に横リブ取付部16を高力ボルト45によってボルト結合する。この場合、鉄筋コンクリート床版14の下面側で作業を行って横リブ取付部16を主桁ウエブ11aにボルト結合する(ステップS2)。
横リブ取付部16は、図8(a)、(b)、及び図9に示すように、断面T形に形成され、矩形板状の固定プレート16aと、この固定プレート16aの幅方向中央部に、当該固定プレート16aの板面から直角方向に突設させた矩形板状の連結プレート16bとを有している。固定プレート16aと連結プレート16bとは上下方向の長さが等しくなっており、連結プレート16bの固定プレート16aからの突出長さは、後述する鋼床版30の横リブ33の端面に連結プレート16bの先端面が当接可能となるような長さに設定されている。この横リブ取付部16は、横リブ33を構造的に連続化させるための部材であり、引張ボルト接合によって主桁ウエブ11aに取り付けられ、また、鋼床版30の横リブ33とは2面せん断の摩擦接合により接続される。
また、固定プレート16aにはボルト孔16cが複数設けられ、連結プレート16bにはボルト孔16dが複数設けられている。
横リブ取付部16は、新設の鋼床版30を取り替える部位の下方に位置する主桁ウエブ11aのウエブ面に固定プレート16aを当接させてボルト結合することによって取り付ける。本実施形態では、図10(a)において右側の主桁11と中央部の主桁11との間において鉄筋コンクリート床版14の一部を鋼床版30に取り替えるので、図9に示すように、右側の主桁11の主桁ウエブ11aの両ウエブ面に、当該主桁ウエブ11aの厚さ方向の中央部を境として横リブ取付部16を略左右対称的に取り付け、中央部の主桁11の主桁ウエブ11aの、右側の主桁11側を向くウエブ面に横リブ取付部16を取り付ける。
なお、図9において、右側の横リブ取付部16の方が左側の横リブ取付部16より上下方向の長さが長く、かつ、右側の横リブ取付部16の下端が左側の横リブ取付部16の下端より下方に突出している。これは、横リブ33Aの主桁ウエブ11a側の端部の上下方向の長さが、横リブ33Bの主桁ウエブ11a側の端部の上下方向の長さより長く、かつ、横リブ33Aの下端が横リブ33Bの下端より下方に突出していることによるものである(図3(b)参照)。したがって、横リブ33Aの主桁ウエブ11a側の端部の上下方向の長さと、横リブ33Bの主桁ウエブ11a側の端部の上下方向の長さとが等しい場合、右側の横リブ取付部16の上下方向の長さと左側の横リブ取付部16の上下方向の長さとが等しくてもよい。
また、右側の主桁ウエブ11aのウエブ面に横リブ取付部16を結合する場合、ウエブ面の塗装を剥離したうえで、高力ボルトによる通常の摩擦接合によって結合する。つまり、図9に示すように、主桁ウエブ11aには、前記ボルト孔16cと対応した位置にボルト孔11fが設けられ、ボルト孔11fと、主桁ウエブ11aの両ウエブ面にそれぞれ当接された横リブ取付部16,16の固定プレート16aのボルト孔16c,16cに高力ボルト18を挿通し、当該高力ボルト18にナットを螺合して締め付けることによって、主桁ウエブ11aのウエブ面に横リブ取付部16を結合する。
このとき、横リブ取付部16の固定プレート16aには、あらかじめ工場で孔あけ加工がなされ、ボルト孔16cが設けられている一方で、主桁ウエブ11aには、結合作業を行う前の段階ではボルト孔11fは設けられていない。横リブ取付部16を適切な位置に仮設置し、そのボルト孔16cをテンプレートとして、主桁ウエブ11aに現場で図示しない携帯式ボール盤のような器具を用いて穴あけ加工を行う。結合作業時においては、各部材間で位置ずれが生じる可能性がありボルト孔16cの位置を調節する必要があるが、この方式によって横リブ取付部16と主桁ウエブ11aとのボルト孔の相対的な位置調節が可能となる。
また、中央部の主桁ウエブ11aのウエブ面に横リブ取付部16を結合する場合も同様にして行う。
また、中央部の主桁ウエブ11aの反対側(左側の主桁11側)のウエブ面には、中央部の主桁11と左側の主桁11とに支持されて敷設されている鉄筋コンクリート床版14の一部を新設の鋼床版30に取り替える際に、同様にして横リブ取付部16を取り付ける。
なお、横リブ取付部16を主桁11に取り付けた後、図11に示すように、必要に応じて、上部交通の車線規制を行う(ステップS3)。車線規制を行う場合、路面の幅方向(橋幅方向X)の中央部に仮設ガード17を橋軸方向Zに所定間隔で立設する。図11は、右側の1車線を規制したものを示していて、仮設ガード17より左側が車両通行帯であり、右側が工事帯となっている。
次に、工事帯において、図4及び図5に示すように、鉄筋コンクリート床版14の一部のうち、橋軸方向Zの所定の幅内において主桁上フランジ11bの上面11c側に設けられている部分(コンクリート床版残置部21)を残した領域(コンクリート除去領域R)を除去することで、鉄筋コンクリート床版14の一部にコンクリート除去領域を形成する。
これは例えば宮地エンジニアリング株式会社のM−SR工法のように、鉄筋コンクリート床版14と主桁上フランジ11bの上面11cとの間を狙って、主桁上フランジ11bと平行にワイヤーソーを水平に進行させて鉄筋コンクリート床版14を主桁上フランジ11bを切り離すことが行われている。この工法では、ワイヤーソーを主桁上フランジ11bに接触させられないために、このコンクリート除去領域Rにおいて主桁上フランジ11bの上面11c側にコンクリート床版残置部21が残置されることになる。
すなわち、図11及び図13(a)、(b)に示すように、橋幅方向Xの右側に位置する主桁11と中央部に位置する主桁11との間に位置する鉄筋コンクリート床版14の橋軸方向Zにおける所定部位を、後述する鋼床版30の平面視形状や大きさ(この実施形態の場合、平面視略矩形状)に応じて、コンクリートカッタによって切断し、撤去する(ステップS4)。
この際、上述したように主桁上フランジ11bの上面11c側に設けられているコンクリート床版残置部21以外の部分を除去して空間(コンクリート除去領域R)を形成する。本実施形態では、主桁11の主桁上フランジ11bの上面11c側に所定厚さのコンクリート床版残置部21を残置する。
また、このとき、コンクリート除去領域Rにおいて、コンクリート除去領域Rと橋幅方向Xに隣り合う鉄筋コンクリート床版14の部分については、主桁11の主桁上フランジ11bの上面11c側において図13(a)、(b)に示す舗装部15の一部を橋軸方向Zに沿って除去し、コンクリート除去領域Rに沿う縁部を露出させる。さらに、主桁11,11間に位置し、コンクリート除去領域Rと橋軸方向Zにおいて隣り合う鉄筋コンクリート床版14の部分については、橋幅方向Xに沿って舗装部15を除去し、コンクリート除去領域Rに沿う一対の縁部を露出させる。
このようにして鉄筋コンクリート床版14の所定部位を平面視略矩形状に切断することで形成された矩形状のコンクリート除去領域Rの平面視における橋軸方向Zの長さは、取り替えられる新設の鋼床版30の平面視における橋軸方向Zの長さより若干長く設定される。また、図11に示すように、鉄筋コンクリート床版14の所定部位を平面視で略矩形状に切断する場合、右側の地覆14bおよび高欄14cを含めて切断するので、コンクリート除去領域Rの橋幅方向Xの外側(右側)が開放されている。
次に、図14(a)に示すように、コンクリート除去領域Rに、新設の鋼床版30をコンクリート床版残置部21に被せるように配設して、一旦仮置きする。つまり、鋼床版30を主桁上フランジ11bの上方及び側方に間隔をあけて配設する。この場合、大縦リブ32A,32A間にコンクリート床版残置部21を橋幅方向Xにおいて挟み込むようにして配置することによって、鋼床版30を仮置きする(ステップS6)。
そして、平面視矩形状のコンクリート除去領域Rに、新設の鋼床版30をコンクリート床版残置部21に被せるように配設する際には、図14(a)、(b)に示すように、大縦リブ32A,32Aが主桁11の主桁上フランジ11bを橋幅方向Xに挟むようにして配設する。
なお、図6に示すように、主桁上フランジ11bの橋幅方向Xの端部と、この端部と対向している大縦リブ32A,32Aの橋幅方向Xの面との間には隙間があるので、この隙間にシール材36を嵌め込む。また、大縦リブ32A,32Aの主桁上フランジ11bと対向する面から、シール材36の下面と主桁上フランジ11bの下面とにわたって、コンクリート型枠、防水、防蝕のためのチタン箔37を貼り付ける。
また、鋼床版30には、図14(a)、(b)に示すように、鋼床版30の高さを調整可能な高さ調整ボルト40がコンクリート床版残置部21の上面21aに当接可能に螺合されている。すなわち、右側の主桁11の主桁上フランジ11b上のコンクリート床版残置部21の上方に位置するデッキプレート31の部位には、ねじ孔41が設けられており、このねじ孔41に高さ調整ボルト40が螺合され、高さ調整ボルト40の先端部(下端部)がコンクリート床版残置部21の上面21aに当接している。このような高さ調整ボルト40はデッキプレート31の橋軸方向Zの縁部で、かつ主桁11の上方に複数設けられている。そして、鋼床版配設工程の後に、高さ調整ボルト40を適宜正逆方向に回すことによって、鋼床版30を昇降させて高さを調整する。すなわち、鋼床版30の舗装部34の上面と、鉄筋コンクリート床版14の舗装部15の上面とがほぼ面一となるように、鋼床版30の高さを調整する(ステップS7)。
次に、鋼床版30の横リブ33を当該横リブ33の橋幅方向Xの端部において、当該端部に直近の主桁ウエブ11aに剛結合する(ステップS8)。図15(a)、(b)、及び図16に示すように、横リブ33A,33Bを、これらの横リブ33A,33Bにおける橋幅方向Xの端部の一端面を主桁ウエブ11aのウエブ面と対向させた状態において、横リブ33A,33Bの橋幅方向Xの端部33e,33eを直近の主桁ウエブ11a,11aに剛結合する。これによって、鋼床版30の床版作用に伴う交通荷重起因の発生応力を低減することができる。すなわち、同じ高さの横リブ33でも、主桁ウエブ11a,11aに剛結合することで鋼床版30に発生する応力が小さくなり,疲労寿命を十分に確保することが可能となる。
具体的に、本実施形態においては、横リブ33Bについては、その橋幅方向Xの端部33eの一端33dを主桁ウエブ11aのウエブ面と対向させた状態において、図17に示すように、中央部の主桁11の主桁ウエブ11aに固定された横リブ取付部16の連結プレート16bの先端面に当接させたうえで、この端部33eと連結プレート16bをその両面側からスプライスプレート42,42で挟み付け、高力ボルト45とナット45aによって摩擦接合する。これにより、横リブ33Bを当該横リブ33Bの橋幅方向Xの左側の端部33eにおいて、この端部33eに直近の主桁ウエブ11aに剛結合する。
また、同様にして、横リブ33Bの橋幅方向Xの右側の端部33eを右側の主桁11の主桁ウエブ11aに固定された横リブ取付部16の連結プレート16bの先端部に、スプライスプレート42,42および高力ボルト45とナット45aを用いて剛結合する。
連結プレート16bには、図8(a)、(b)に示すように、予め工場等において複数のボルト孔16dが形成され、スプライスプレート42にも、図16及び図17に示すように、予め工場等において複数のボルト孔42cが形成されている。
そして、同軸に配置されているボルト孔42c,16d,42cおよびボルト孔42c,33g,42cにそれぞれ高力ボルト45を挿通したうえで、この高力ボルト45にナット45aを螺合して締め付けることによって、横リブ33Bを当該横リブ33Bの橋幅方向Xの端部33eにおいて、当該端部33eを直近の主桁ウエブ11aに摩擦接合により剛結合する。なお、図16では、高力ボルト45の図示を省略している。
また、同様にして、図15(a)、(b)に示すように、横リブ33Aについては、その橋幅方向Xの一端部33eの一端33dを主桁ウエブ11aのウエブ面と対向させた状態において、右側の主桁11の主桁ウエブ11aに固定された横リブ取付部16の連結プレート16bの先端面に当接したうえで、端部33eと連結プレート16bをその両面側からスプライスプレート42,42で挟み付け、高力ボルト45によって締結することで、横リブ33Bを当該横リブ33Aの端部33eにおいて、当該端部33eに直近の主桁ウエブ11aに剛結合する。
また、このような高力ボルトによる摩擦接合構造においても、横リブ33Aの橋幅方向Xの端部33eの表面が接合されるスプライスプレート42の面および連結プレート16bの表面が接合されるスプライスプレート42の面にアルミニウム等の金属溶射による摩擦面処理が工場等によって施されている。
次に、図5及び図6に示すように、鋼床版30と主桁上フランジ11bとコンクリート床版残置部21との間に、充填材47を充填する。このとき、高さ調整ボルト40はねじ孔41から取り外すことなく、デッキプレート31等に予め設けられた充填孔(図示省略)から主桁上フランジ11bやコンクリート床版残置部21が収容されている大縦リブ32A,32Aの間の空間内に充填材47を充填する(ステップS8)。なお、高さ調整ボルト40は、充填材47が十分に硬化してから取り外してもよいし、充填材47内に埋設させて残置してもよい。なお、充填材47の充填は省略してもよいし、工程によっては、せん断力伝達部材の取付後でもよい。とくに、コンクリート床版残置部21の上のデッキプレート31を増厚又はカバープレート設置をした場合には省略することが容易である。
上述したように、大縦リブ32A,32Aが主桁上フランジ11bを橋幅方向Xに挟むようにして配設され、主桁上フランジ11bと大縦リブ32A、32Aとの間の隙間にシール材36(図6参照)が嵌め込まれているので、ねじ孔41から充填された充填材47は、鋼床版30のデッキプレート31と、主桁上フランジ11bと、シール材36と、大縦リブ32A,32Aとによって囲まれた空間(コンクリート除去領域R)に隙間なく行き渡って当該隙間を埋める。これによって、コンクリート床版残置部21の上鉄筋、デッキプレート31の下面および主桁上フランジ11bの上面11c等の腐食を防止できる。
なお、本実施形態では、不定形材料として充填材47を採用しているが、充填材47以外でも無収縮の樹脂、ゴムラテックスなど、急速硬化性、流動性があるものを使用できる。
このような充填材47の充填作業は、後述する鋼床版結合工程の後に行ってもよい。また、全体作業効率化のために、何パネル分かの鋼床版30の施工後にまとめて充填してもよい。鋼床版30に作用する死荷重および活荷重(交通荷重)は、設計的には横リブ33を通じて主桁ウエブ11aに伝達されるためである。
本実施形態では、図6に示すように、主桁11と鋼床版30とを、橋軸方向Zのせん断力を相互に伝達する第1せん断力伝達部材50によって結合する(ステップS10)。これにより、主桁11から鋼床版30に向けて橋軸方向Zのせん断力を伝達できる。
第1せん断力伝達部材50を、鋼床版30の下側に、連結板50cが水平に向き、かつ第1固定板50aおよび第2固定板50bが連結板50cから鉛直に突出した状態で配置する。そして、第1せん断力伝達部材50の第1固定板50aを鋼床版30の大縦リブ32Aに当接させたうえで、大縦リブ32Aに高力ボルト51によって結合し、第2固定板50bを主桁ウエブ11aに当接させたうえで、当該主桁ウエブ11aにボルト52によって結合する。また、第1せん断力伝達部材50の連結板50cは主桁上フランジ11bの下面側に、この主桁上フランジ11bと離間した状態で配置する。このようにして、主桁11と鋼床版30とを橋軸方向Zにせん断力を伝達する第1せん断力伝達部材50によって結合する。このとき、右側(ずれる側)の大縦リブ32Aと右側(ずれる側)の第1せん断力伝達部材50の第1固定板50aとの間にライナープレート60を介在させることで、主桁11に対する鋼床版30の橋幅方向Xの寸法誤差を吸収するようにしてもよい。
次に、図13(b)及び図18(a)、(b)に示すように、鋼床版30と、この鋼床版30に橋幅方向X及び橋軸方向Zにおいて隣り合う鉄筋コンクリート床版14との間に仮止め板55を架け渡し、この仮止め板55の上面側に、仮舗装部56を鋼床版30の上面に予め設けられている舗装部34および鉄筋コンクリート床版14上の舗装部15とほぼ面一に施工する(ステップS9)。仮止め板55は、一時的に鉄筋コンクリート床版14と鋼床版30との間、あるいは隣接する鋼床版間を連続させることにより、道路の陥没状態を抑止して車両の通行を可能ならしめる機能を有している。
すなわち、前述の鉄筋コンクリート床版除去工程によって、鋼床版30が配設されているコンクリート除去領域Rを囲む鉄筋コンクリート床版14の周縁部分のうち、橋幅方向Xに隣り合う部分は、主桁11の主桁上フランジ11bの上面側において舗装部15の一部が除去されて、鉄筋コンクリート床版14の橋幅方向Xにおいてコンクリート除去領域Rに隣接する縁部が露出した状態となっている。また、主桁11,11間に位置し、橋軸方向Zに隣り合う部分の鉄筋コンクリート床版14は、橋幅方向Xに沿って舗装部15の一部が除去されて、鉄筋コンクリート床版14の橋軸方向Zにおいてコンクリート除去領域Rに隣接する縁部が露出した状態となっている。
一方、鋼床版30のデッキプレート31の外周縁部31cは舗装部34の外周縁部より外側に突出しており、この突出している外周縁部31cにボルト孔31dが複数設けられている。
また、橋幅方向X及び橋軸方向Zにおいて、鋼床版30の外周縁部31cと鉄筋コンクリート床版14の橋軸方向Zおよび橋幅方向Xに沿う縁部(外周縁部32c)との間には隙間Sが設けられている。
そして、図18(b)に示すように、デッキプレート31の外周縁部31cと鉄筋コンクリート床版14の橋軸方向Zに沿う外周縁部32cとに前記隙間Sを跨ぐようにして、仮止め板55を架け渡す。この仮止め板55にはボルト孔55bが設けられており、当該ボルト孔55bが前記ボルト孔31dと同軸となるように、仮止め板55を架け渡す。そして、ボルト孔55b,31dにボルト57を挿通して、ナット57aによって締め付けることによって、仮止め板55を固定したうえで、仮止め板55の上面側に、仮舗装部56を鋼床版30の上面に予め設けられている舗装部34および鉄筋コンクリート床版14上の舗装部15とほぼ面一に施工する。
このようにして施工された床版取替え構造は、図19に示すように、鉄筋コンクリート床版14の少なくとも一部のうち、主桁11の主桁上フランジ11bの上面側に設けられている部分以外を除去して残置されてなるコンクリート床版残置部21と、鉄筋コンクリート床版14の少なくとも一部を、コンクリート床版残置部21を露出状態で除去してなるコンクリート除去領域R(図4参照)に、コンクリート床版残置部21に被せるように配設された鋼床版30とを備えている。
また、鋼床版30は、図4に示すように、デッキプレート31の下面側において橋幅方向Xに配設され、橋幅方向Xの一端面または両端面の少なくとも一部が直近の主桁11の主桁ウエブ11aのウエブ面と対向する横リブ33(33A,33B)を有しており、横リブ33が当該横リブ33の端部33eにおいて、当該端部33eに直近の主桁ウエブ11aに、横リブ取付部16によって剛結合されている。
また、主桁11と鋼床版30とが橋軸方向Zにせん断力を伝達するせん断力伝達部材50及び充填材47を介して結合されている。
また、鋼床版30と主桁上フランジ11bとコンクリート床版残置部21との間に、充填材47が充填されている。さらに、図18(b)に示すように、鋼床版30と、当該鋼床版30に隣り合う鉄筋コンクリート床版14との間に仮止め板55が架け渡され、仮止め板55の上面側に、仮舗装部56が鋼床版30の舗装部34および鉄筋コンクリート床版14上の舗装部15とほぼ面一に施工されている。
このようにして、1つの鋼床版30の取り替えが終了した後、一時交通規制を解除して、工事帯を通行可能とする(ステップS10)。
2つめの鋼床版30の取り替えを行う場合、基本的に上述した工程を順次繰り返すことによって行う。ただし、各工程の詳細な説明は省略する。
まず、図20及び図21に示すように、工事帯において、先に取り換えた(新設した)鋼床版30と橋軸方向Zにおいて隣接する鉄筋コンクリート床版14の一部のうち、橋軸方向Zの所定の幅内において主桁上フランジ11bの上面側に設けられている部分以外を除去することで、鉄筋コンクリート床版14の一部にコンクリート除去領域Rを設けるとともに、当該コンクリート除去領域Rにおいて主桁上フランジ11bの上面側にコンクリート床版残置部21を残置する。また、主桁ウエブ11aの上部に横リブ取付部16を高力ボルトによってボルト結合する。
次に、図22及び図23に示すように、コンクリート除去領域Rに、次の鋼床版30をコンクリート床版残置部21(図5参照)に被せるように配設するとともに、高さ調整ボルト40(図14(a)、(b)参照)によって、鋼床版30の高さを調整する。
次に、鋼床版30の横リブ33を当該横リブ33の端部において、当該端部に直近の主桁ウエブ11aに、横リブ取付部16によって剛結合する。
また、この段階において、図23に示すように、隣り合う鋼床版30,30同士はパネル間継手35を使用して高力ボルト46によって接合する。このパネル間継手35は、2面せん断のボルト摩擦接合によって隣接する鋼床版30,30どうしを一体化するものである。このパネル間継手35によって、鋼床版30のデッキプレート31の橋軸方向Z(図24参照)および橋軸直角方向、さらに縦リブ32、大縦リブ32A(図24参照)のそれぞれが2面せん断のボルト摩擦接合によって接合される。なお、パネル間継手35を設ける場合には、先だって存在する仮止め板55が存在する場合には、その仮止め板55は撤去する。
また、図24に示すように、橋軸方向Z(図24において紙面と直交する方向)に隣り合う鋼床版30,30どうしを接合するパネル間継手35は、デッキプレート31の上面側に設けられて、鋼床版30の長辺方向(橋幅方向X)に延在する継手プレート35aと、デッキプレート31の下面側において橋幅方向Xに隣り合う縦リブ32,32間および縦リブ32と大縦リブ32Aとの間にそれぞれ設けられて、継手プレート35aより短い複数の継手プレート35bとを備えている。そして、継手プレート35aと継手プレート35bとによって、隣り合う鋼床版30,30のデッキプレート31,31が挟み付けられ、高力ボルト46によって締結することで、鋼床版30,30どうしが接合されている。
また、橋軸方向Zに隣り合う鋼床版30,30の縦リブ32,32どうしおよび大縦リブ32A,32Aどうしを接合するパネル間継手35は、2枚の継手プレート35c,35cを備えている。継手プレート35cは橋軸方向Zに隣り合う鋼床版30,30の接合部を跨ぐようにして配置されている。そして、継手プレート35c,35cによって、橋軸方向Zに隣り合う鋼床版30,30の縦リブ32,32および大縦リブ32A,32Aがそれぞれ挟み付けられ、高力ボルト46によって締結することで、鋼床版30,30どうしが接合されている。
また、橋幅方向Xに隣り合う鋼床版30,30どうしを接合するパネル間継手35は、2枚の継手プレート(図示省略)を備えている。この継手プレートは橋幅方向Xに隣り合う鋼床版30,30の接合部を跨ぐように配置されるとともに、鋼床版30の短辺方向に沿って延在している。そして、継手プレートによって、橋幅方向Xに隣り合う鋼床版30,30のデッキプレート31,31がそれぞれ挟み付けられ、高力ボルト46によって締結することで、鋼床版30,30どうしが接合されている。
最後に、今回取り替えた鋼床版30と、この鋼床版30に橋幅方向Xおよび橋軸方向Zにおいて隣り合う鉄筋コンクリート床版14との間に仮止め板55を架け渡し、この仮止め板55の上面側に、仮舗装部56を鋼床版30の上面に予め設けられている舗装部34および鉄筋コンクリート床版14上の舗装部15とほぼ面一に施工する(図18参照)。
このようにして次の(2つめの)鋼床版30を取り替えた後、同様にして必要な数の鋼床版30を次々に取り替えることによって、橋軸方向Zに所望な距離だけ鉄筋コンクリート床版14に替えて新たな鋼床版30を新設する。以上のようにして、片側2車線のうち一方側の車線について橋軸方向Zにおいて所望な距離だけ新な鋼床版30を新設する。
また、一方側の車線について橋軸方向Zに所望な距離だけ鉄筋コンクリート床版14に替えて新たな鋼床版30を新設した後、図25に示すように、片側2車線のうちの他方側の車線(図25において左側の車線)についても同様にして既設の鉄筋コンクリート床版14に替えて新たな鋼床版30を新設する。
図25では、一方側の車線において取り替えた鋼床版30が2枚記載されているが、実際は橋軸方向Zにおいて鋼床版30は所定数だけ連続して施工(新設)されている。
なお、他方側の車線において、鋼床版30を新設する場合、一方側の車線において、鋼床版30を新設した場合と同様にして鋼床版30を新設するので、以下ではその方法を簡単に説明する。
片側2車線のうちの他方側の車線において、鉄筋コンクリート床版14に替えて新たな鋼床版30を新設する場合、準備工程として、全面足場の設置や干渉する部材の撤去を行った後、鉄筋コンクリート床版14の下面側で、所定の主桁11の主桁ウエブ11aの上部に横リブ取付部16を高力ボルトによってボルト結合する作業を行う。
そして、他方側の車線について上部交通を規制(図示せず)した後、図25及び図26に示すように、他方側の車線の鉄筋コンクリート床版14の少なくとも一部のうち、主桁11の主桁上フランジ11bの上面側に設けられている部分以外を除去することで、鉄筋コンクリート床版14の少なくとも一部にコンクリート除去領域Rを設けるとともに、このコンクリート除去領域Rにおいて主桁上フランジ11bの上面側にコンクリート床版残置部21を残置する(鉄筋コンクリート床版除去工程)。
次に、図27及び図28に示すように、コンクリート除去領域Rに、鋼床版30をコンクリート床版残置部21に被せるように配設する。次に、横リブ33を当該横リブ33の橋幅方向Xの両端部において、当該両端部に直近の主桁ウエブ11aに横リブ取付部16によって剛結合する。なお、予め主桁ウエブ11aに横リブ取付部16をボルト結合しておく。また、横リブ取付部16に横リブ33をボルト結合する場合、横リブ取付部16と横リブ33の端部とをスプライスプレート42によって挟み付けるとともに高力ボルトによって締結する。
次に、鋼床版30と、当該鋼床版30に隣り合う鉄筋コンクリート床版14との間に仮止め板55を架け渡し、仮止め板55の上面側に、仮舗装部56を鋼床版30の上面側の舗装部34および鉄筋コンクリート床版14上の舗装部とほぼ面一に施工する。また、前記鋼床版(他方側の車線の鋼床版)30と、一方側の車線に設置されている鋼床版30との間にはパネル間継手を取り付けて相互に接合し、パネル間継手の上面側に、仮舗装部56を橋幅方向Xに隣り合う鋼床版30の上面側の舗装部34とほぼ面一に施工する。
そして、橋梁において予定していた区間において鋼床版30の取り替えが終了することによって、工事全体を終了する。
なお、他方側の車線においても、前記鉄筋コンクリート床版除去工程において、コンクリート床版残置部21の上部の被りコンクリート22を除去する。
また、鋼床版30に、この鋼床版30の高さを調整可能な高さ調整ボルト40がコンクリート床版残置部21に当接可能に螺合され、鋼床版配設工程の後に、高さ調整ボルト40を回すことによって、鋼床版30の高さを調整する。
さらに、鋼床版配設工程の後に、鋼床版30と主桁上フランジ11bとコンクリート床版残置部21との間に、充填材47を充填する。
以上説明した床版取替え構造および床版取替え方法によれば、鋼床版30は、デッキプレート31の下面側において橋幅方向Xに配設され、橋幅方向Xの一端面または両端面の少なくとも一部が直近の主桁11の主桁ウエブ11aのウエブ面と対向する横リブ33(33A,33B)を有し、横リブ33が当該横リブ33の端部において、当該端部に直近の主桁ウエブ11aに剛結合されている。つまり、従来と異なり鋼床版30の横リブ33の端部が床版支持ブラケットを介することなく、直接主桁ウエブ11aに剛結合されているので、鋼床版30と主桁11とが一体構造の橋梁となって、橋梁としての剛性を確実に確保できるとともに、主桁ウエブ11aへの床版支持ブラケットの取り付けの手間や、床版支持ブラケットへの鋼床版の横リブの取り付けの手間を削減できる。
また、主桁11と鋼床版30とが橋軸方向Zにせん断力を伝達する第1せん断力伝達部材50によって結合されているので、主桁11と鋼床版30との間で橋軸方向Zにせん断力を確実に伝達することができる。
横リブ33が主桁ウエブ11aに剛結合されることで、後孔方式であれば施工時の横リブ33の上下方向の位置調整を容易に行うことができる。もちろん、施工時の横リブ33の位置調整の必要性が小さいことがわかっていれば、先孔方式として工場等で孔を形成しておくことで、施工現場での施工時間・手間を削減することもできる。
また、コンクリート床版残置部21の上部の被りコンクリート22を除去すればよいため、主桁上フランジ11bに立設されているスタッド間のコンクリートを除去する必要がない。スタッド間のコンクリートは非常に除去に手間を要するため、当該コンクリートを残置することで、除去作業の手間を大幅に削減できる。なお、上部の被りコンクリート22を除去するのは、路面高さを調整するための空間を確保すると共に、鋼床版30の上に存在するアスファルト部の撤去を容易化するためである。
また、コンクリート床版残置部21をハンチ高さの中で、主桁上フランジ11bの添接板およびボルトに接触しない高さで水平方向にスタッドや鉄筋ごと切断することもできる。この場合、鉄筋コンクリート床版を橋軸方向Z、橋幅方向X(横軸方向)と切断することとは独立して切断を行うことができるため、橋軸方向Zの切断回数を減少させることができる。
また、主桁上フランジ11b上にコンクリート床版残置部21を残置するので、鉄筋コンクリート床版14の一部を除去した場合において、主桁11の座屈を抑制できる。
さらに、高さ調整ボルト40を回すことによって、鋼床版30の高さを調整できるので、鋼床版30の高さを、取り替えていない鉄筋コンクリート床版14や先に設置した鋼床版30の高さと等しくすることができる。つまり、現場において路面計画高を調整できる。
また、鋼床版30と主桁上フランジ11bとコンクリート床版残置部21との間に、充填材47を充填するので、コンクリート床版残置部21の鉄筋、前記間(空間)に露出する鋼床版30の下面、主桁上フランジ11bの上面等の腐食を防止できる。
また、鋼床版30と、当該鋼床版30に隣り合う鉄筋コンクリート床版14との間に仮止め板55を架け渡し、この仮止め板55の上面側に、仮舗装部56が、鋼床版30の舗装部34および既設の鉄筋コンクリート床版14上の舗装部15とほぼ面一に施工されているので、既設の鉄筋コンクリート床版14の舗装部15と更新された(取り替えられた)鋼床版30の舗装部34を連続させることができる。このため、床版の取り替えの際に行っていた車線規制を解除して一時的に車両を走行させることができる。
さらに、主桁ウエブ11aにボルト結合された横リブ取付部16に横リブ33の端部がボルト結合されているので、横リブ33の端部を当該端部に直近の主桁ウエブ11aに容易かつ確実に剛結合できる。
また、スプライスプレート42のボルト孔42cの周囲における接合面に金属溶射(アルミニウム溶射)による摩擦面処理を施しているので、高力ボルト摩擦接合に必要な摩擦係数を確保し、高力ボルト45の本数を最小化することができる。
加えて、既設の鉄筋コンクリート床版14を、当該鉄筋コンクリート床版14より遥かに軽い鋼床版30に取り替えるので、鋼床版30を鉄筋コンクリート床版14より橋幅方向外側に突出させることできる、つまり、道路の路肩幅を大きくすることができる。
本実施形態では、コンクリート床版残置部21に鋼床版30を被せるように配設することができるので、除去する鉄筋コンクリート床版14のうち主桁上フランジ11bの上面11cのコンクリートを全部除去することがない。そのため、コンクリート床版残置部21として残置したまま鋼床版30を配設することができ、鉄筋コンクリート床版14から鋼床版30への床版取替えにかかる作業時間を低減することができる。
上述のように本実施形態による床版取替え構造および床版取替え方法では、鋼床版30の横リブ33を容易かつ強固に主桁ウエブ11aに結合できるともに、橋梁としての剛性を確保でき、さらに、主桁11と鋼床版30との間で橋軸方向Zにせん断力を確実に伝達することができる。
次に、本発明の床版取替え構造および床版取替え方法の他の実施形態について、添付図面に基づいて説明するが、上述の第1実施形態と同一又は同様な部材、部分には同一の符号を用いて説明を省略し、第1実施形態と異なる構成について説明する。
(第2実施形態)
第2実施形態による床版取替え構造1Aは、図29乃至図31に示すように、橋梁10Bとして、第1実施形態の橋梁10の横リブ取付部16(図4参照)に代えて上下に複数(ここでは2つ)の横リブ取付部70を備え、上述したZ断面形状の第1せん断力伝達部材50に代えてU断面形状の第2せん断力伝達部材72を備えた構成となっている。
これら横リブ取付部70は、橋幅方向Xで主桁11の主桁ウエブ11aを挟んだ左右両側にスプライスプレート78を使用してボルト締結により固定されている。
第2実施形態の横リブ33は、符号33A、33Bの一般部と、横リブ取付部70と、に分割されている。
図30及び図32に示すように、横リブ33を橋軸方向Zに挟んだ両側の主桁11のそれぞれに一対の第2せん断力伝達部材72、72が配置されている。主桁ウエブ11aを挟んだ両側に配置される各第2せん断力伝達部材72は、第1片72aと、第2片72bと、第1片72a及び第2片72bを連結する連結片72cと、を有し、上述したように例えば鋼板からなる板状部材を橋軸方向Zから見て下に突となるU断面形状に湾曲させて形成されている。第2せん断力伝達部材72は、一端の第1片72aが大縦リブ32Aに高力ボルト84により固定され、他端の第2片72bが主桁ウエブ11aに高力ボルト84により固定されている。第1片72aは、大縦リブ32Aの外側に重なって配置されている。
このように第2実施形態では、第2せん断力伝達部材72を主桁11および鋼床版30の大縦リブ32Aに固定することで、主桁11に対して鋼床版30が橋幅方向Xに位置ずれたときに、上述したライナープレート60、61(図6参照)等を用いて対応しやすくなる。
また、第2実施形態では、横リブ取付部70が横リブ33の一般部(符号33A、33B)と分割されていて、横リブ取付部70を備えていない鋼床版30を上方から主桁11の所定位置に配置した後で横リブ取付部70によって主桁11と横リブ33A、33Bとが接合される。そのため、横リブ取付部70が対向する横リブ33A、33B同士の間に大きく張り出すことがなく、鋼床版30の設置の際にコンクリート床版残置部21に干渉することなく下降させて所定の位置に配置することができる。
(第3実施形態)
図33に示す第3実施形態による床版取替え構造1Bは、構造的に連続した横リブ38を設けた構成のものである。第3実施形態の横リブ38は、一般部38Aと、主桁取付け部38Bと、コンクリート除去領域Rに橋幅方向Xに延びる横リブ補強部38Cと、に分割されている。
ここで、第3実施形態による床版取替え構造1Bにおいても、図示は省略されているが、上述したせん断力伝達部材が配置されている。また、図33では、主桁上フランジ11b上のコンクリート床版残置部21が省略されている。
そして、本実施形態では、鋼床版30のデッキプレート31の下面側に配設された縦リブ32のうち、橋幅方向Xで主桁上フランジ11bを挟んだ両側に位置する一対の大縦リブ32Aが他の縦リブ32より10%以上突出長が長くなるように形成されている。これにより、他の縦リブより10%以上突出長が長く剛性が増加された大縦リブ32Aを主桁11の近傍に配置することで、この大縦リブ32Aと横リブ38との交差部で生じる発生応力を低減することができる。
床版取替え構造1Bにおける横リブ38と大縦リブ32Aとの接合は、図34(a)、(b)に示すように、横リブ38におけるコンクリート床版残置部21の橋幅方向Xの両側の上端38aに下方に延びる一対のスリット38bを形成し、このスリット38bに大縦リブ32Aを進入させてスリット38bと大縦リブ32Aとを全周溶接することにより接合している。図34(b)の符号Wは溶接部を示している。このとき、横リブ38の上端38aとデッキプレート31とは非溶接とし、デッキプレート31の疲労性能の低下を防ぐことができる。
例えば、横リブ補強部38Cの厚みは9mmもあれば十分であり、このときのスリット38bのスリット幅は20mmに設定することができる。そのため、スリット38bの施工方法としては、例えば昼間の交通量が多い時間帯に、桁下のハンチ部分の橋幅方向Xの側面から橋幅方向Xに貫通するコンクリートコア孔(図示省略)を形成しておき、このコンクリートコア孔を目掛けて鉄筋コンクリート床版を撤去する前に上から2本コンクリートカットを入れることで容易にスリット38bを設けることができる。なお、充填材47を充填しない場合には、コンクリートの連続性を担保する必要がないので、主桁上フランジ11bの上面11cが露出する範囲まで前記コンクリートコア孔を形成することができ、より大きな横リブ補強部38Cを設けることが可能となる。
第3実施形態による床版取替え構造1Bでは、図35乃至図37に示すように、コンクリート床版残置部21が配置されるコンクリート除去領域Rを通過する横リブ38の横リブ補強部38Cを配置し、コンクリート除去領域Rにモルタル等の充填材47(不定形材料)を充填することにより、鋼床版30の取り扱いが容易になると共に、鋼床版30の発生応力を大きく低減させる効果を有する。
また、この場合には、コンクリート除去領域Rで橋幅方向Xに延びる横リブ補強部38Cが横リブ38に設けられているので、鋼床版30に取り替える施工時における鋼床版30の剛性を確保することができ、容易に施工を行うことができる。
さらに、第3実施形態では、横リブ38に形成されたスリット38bに係合された大縦リブ32Aがスリット38bを介して横リブ38に対して全周溶接により接合されることにより、応力集中が溶接部で低減し、鋼床版30としての疲労強度を向上させることができる。
(第4実施形態)
図38及び図39に示すように、第4実施形態による床版取替え構造1Cは、上述した第3実施形態の横リブ38の横リブ補強部38Cに代えてI形状フランジ8A(横リブ補強部、フランジ部材)を、一対の大縦リブ32A、32A同士の間のコンクリート除去領域Rに配設した構造となっている。I形状フランジ8Aは、断面視矩形で橋幅方向Xに沿って帯状に延びるフランジ本体81と、フランジ本体81の長さ方向の両端部81aのそれぞれから橋軸方向Zの両方に突出する接合片82と、を有している。第4実施形態でも、上記の第3実施形態と同様に主桁上フランジ11bの上面11cに所定の厚みで重なるようにコンクリート床版残置部21が残置されている。
ここで、第4実施形態による床版取替え構造1Cにおいても、図示は省略されているが、上述したせん断力伝達部材が配置されている。なお、図38及び図39では、コンクリート除去領域Rに充填される充填材(不定形材料)は省略されている。
I形状フランジ8Aは、両端部81a、81aがデッキプレート31における一対の大縦リブ32A、32Aに対して不図示のボルト締結により接合され、かつデッキプレート31の下面31aに接した状態で固定されている。
本第4実施形態の床版取替え構造1Cでは、床版を取り替える際に、鋼床版30を配置することで、デッキプレート31の下面31aで一対の大縦リブ32A、32A同士の間に設けられるI形状フランジ8Aがコンクリート床版残置部21の上方のコンクリート除去領域Rに配置されることになる。そして、コンクリート除去領域Rに充填された充填材に埋設される。
第4実施形態による床版取替え構造1Cでは、コンクリート床版残置部21を挟んだ両側に位置する大縦リブ32Aに対してI形状フランジ8Aをボルト接合することにより、大縦リブ32AとI形状フランジ8Aの接合部に高い疲労性能をもたせることができる。また、第4実施形態では、疲労強度の向上に加え、デッキプレート31のたわみを減少することができる。
また、第4実施形態の場合には、横リブ補強部として設けられるI形状フランジ8Aがボルト接合により大縦リブ32Aに接合されているので、溶接レスの構造となることから、鋼床版30としての疲労強度を向上させることができる。
(第5実施形態)
次に、図40乃至図42に示す第5実施形態による床版取替え構造1Dは、上述した第3実施形態の橋軸方向Zに隣り合う横リブ38における横リブ補強部38C(第1横リブ補強部)同士の間に複数の横リブ補強板8B(横リブ補強部)を配置した構造となっている。すなわち、横リブ補強板8Bは、横リブ38の一般部38Aに対して橋幅方向Xに連続する位置に配置される横リブ補強部38Cとは橋軸方向Zに異なる位置に設けられている。横リブ補強部38Cと複数の横リブ補強板8Bは、橋軸方向Zに所定間隔をあけて配列されている。
ここで、第5実施形態による床版取替え構造1Dにおいても、図示は省略されているが、上述したせん断力伝達部材が配置されている。また、第5実施形態においても、主桁上フランジ11bの上面11cに所定の厚みで重なるようにコンクリート床版残置部21が残置されている。なお、図40乃至図42では、コンクリート床版残置部21ならびに、コンクリート除去領域Rに充填される充填材(不定形材料)は省略されている。
横リブ補強板8Bは、横リブ補強部38Cと同形状をなし、上端8aがデッキプレート31の下面31aに溶着されて、その下面31aから下方に垂れ下がるように突設されている。また、第2横リブ補強部5Cは、橋幅方向Xの両端部8c、8cが大縦リブ32Aには接続されていない。
第5実施形態による床版取替え構造1Dでは、鉄筋コンクリート床版を鋼床版30に取り替える際に、鋼床版30を配置することで、デッキプレート31の下面31aで一対の大縦リブ32A、32A同士の間に設けられる横リブ38の横リブ補強部38C及び複数の横リブ補強板8Bがコンクリート床版残置部21の上方のコンクリート除去領域Rに配置され、コンクリート除去領域Rに充填される充填材に埋設される。
第5実施形態による床版取替え構造1Dでは、デッキプレート31の下面31aにおけるコンクリート除去領域Rに面する部分、すなわち一対の大縦リブ32A、32A同士の間において、横リブ補強部38C及び複数の横リブ補強板8Bによって補強された構造となる。そのため、鋼床版30の剛性を向上することができ、デッキプレート31の発生応力とたわみによる変形を低減させることができ、舗装の損傷を抑制することができ、舗装の耐久性を向上させることができる。
(第6実施形態)
図43及び図44に示すように、第6実施形態による床版取替え構造1Eは、デッキプレート31におけるコンクリート床版残置部21の左右両側に位置する一対の大縦リブ32A、32A同士の間の位置で増厚した構成である。具体的には、デッキプレート31の上面31bに平板状の鋼板からなる上カバープレート39A(増厚部)を載置することで増厚した構成となっている。上カバープレート39Aは、橋幅方向Xの両端で溶接によりデッキプレート31の上面31bに固定されている。図43及び図44における符号W1のテーパ部分は溶接部を示している。
ここで、第6実施形態による床版取替え構造1Eにおいても、図示は省略されているが、上述したせん断力伝達部材が配置されている。図43及び図44では、コンクリート除去領域Rに充填される充填材(不定形材料)は省略されている。
なお、上カバープレート39Aのデッキプレート31に対する固定手段としては、上述したような溶接に限定されることはなく複数のボルト(図示省略)の締結による固定手段を採用することも可能である。
上カバープレート39Aは、予めデッキプレート31の上面31bに固定されている。第6実施形態の床版取替え構造1Eでは、既設のコンクリート床版から鋼床版30に取替える際には、上カバープレート39Aを予め取り付けてある鋼床版30を主桁11上に配置した後、コンクリート除去領域Rに充填材を充填する。
ここで、増厚した上カバープレート39Aの板厚tは、上記補強間隔をbとすると、t≧0.037×bとなるように設定される。
第6実施形態による床版取替え構造1Eでは、上カバープレート39Aを設けることで、コンクリート床版残置部21(コンクリート除去領域R)の上方における鋼床版30の剛性を高めることができ、変形と発生応力とたわみによる変形を低減させることができ、舗装の耐久性を向上させることができる。
また、上カバープレート39Aを設けることによる増厚に伴うテーパ区間の溶接部W1に対する影響を最小にすることができる。
(第1変形例)
図45及び図46に示すように、第1変形例は、上述した第6実施形態のデッキプレート31上に設けられる上カバープレート39Aを皿型高力ボルト390を使用してボルト締結により固定する構造となっている。上カバープレート39Aの橋幅方向Xの両側には、ボルト孔393(図46参照)が橋軸方向Zに間隔をあけて複数形成されている。デッキプレート31にもボルト孔393に対応する位置に複数のボルト孔31eが形成されている。上カバープレート39Aは、ボルト孔393、31eを上方から挿通させてデッキプレート31の下面31a側からナット394を螺合させることによってボルト締結されている。皿型高力ボルト390の頭面390aは、上カバープレート39Aの上面39aとほぼ面一となるように設けられている。
第1変形例では、皿型高力ボルト390を使用することで上カバープレート39A上に突出する突出量を最小限に抑えることができる。そのため、デッキプレート31の上面31bに敷設されるアスファルトへのボルトの貫入量を最小に抑えることができる。したがって、アスファルトにおける厚みの薄い部分を少なくすることができ、舗装の耐久性や耐水性を向上することができる。
(第7実施形態)
図47乃至図49に示すように、第7実施形態による床版取替え構造1Fは、上述した第2実施形態による第2せん断力伝達部材72に代えて、デッキプレート31と主桁11とを接続する一対のU断面形状の第3せん断力伝達部材75を設けた構成である。
デッキプレート31の下面31aには、一対の大縦リブ32A、32A同士の間の中央部に橋軸方向Zに延びる補助縦リブ32Bが設けられている。補助縦リブ32Bの下方に向けて延びる突出長は、大縦リブ32Aの突出長よりも小さく、鋼床版30を設置した際に、コンクリート床版残置部21に干渉しない突出量に設定されている。
第3せん断力伝達部材75は、U断面形状に湾曲し、両端部75a、75aに取付片75A、75Bが設けられている。一対の第3せん断力伝達部材75は、それぞれ主桁11の左右両側を回り込むように配置されている。第3せん断力伝達部材75は、両端部75a、75aが上下方向に向けて配置され、上取付片75A(第2片)が補助縦リブ32Bにボルト締結により固定され、下取付片75B(第1片)が主桁11の主桁ウエブ11aにボルト締結により固定されている。主桁上フランジ11b及びコンクリート床版残置部21は、第3せん断力伝達部材75に形成されるU断面の凹状部によって囲まれた状態で配置されている。
第7実施形態の床版取替え構造1Fでは、既設のコンクリート床版から鋼床版30に取替える際に、鋼床版30を配置した後、コンクリート除去領域Rにおいて第3せん断力伝達部材75を設けて主桁11とデッキプレート31を接合する。その後、コンクリート除去領域Rに充填材を充填することで、第3せん断力伝達部材75が充填される充填材に埋設される。
第7実施形態による床版取替え構造1Fでは、U断面形状に湾曲した第3せん断力伝達部材75を設けて主桁11の主桁ウエブ11aとデッキプレート31の補助縦リブ32Bを介して接合することで、コンクリート床版残置部21上のデッキプレート31部分の剛性を高めることができ、デッキプレート31に生じる変形と発生応力とたわみによる変形を低減させることができ、舗装の耐久性を向上させることができる。したがって、舗装の損傷を抑制することで舗装の寿命を向上できる。
また、第7実施形態では、第3せん断力伝達部材75の伝達効率を向上させ、せん断力伝達部材の重量を軽減することができる。
このように第3せん断力伝達部材75を主桁11および鋼床版30の補助縦リブ32Bに固定することで、主桁11に対して鋼床版30が橋幅方向Xに位置ずれたときに、上述したライナープレート60、61等を用いて対応しやすくなる。
(第8実施形態)
次に、図50乃至図52に示す第8実施形態による床版取替え構造1G、及び図53に示す変形例(第1変形例)による床版取替え構造1Hは、上述した第6実施形態の床版取替え構造1Eと同様に、デッキプレート31におけるコンクリート床版残置部21の左右両側に位置する大縦リブ32A、32A同士の間を増厚した構成である。
図50乃至図52に示す床版取替え構造1Gは、上記第6実施形態ではデッキプレート31の上面31bに上カバープレート39Aを配置した構成としているが、デッキプレート31の下面31aに平板状で鋼板からなる第1下カバープレート39Bを重ねた状態で配置されている。つまり、大縦リブ32A、32A間は、デッキプレート31と第1下カバープレート39Bとの2枚の板状部材が積層されている。
ここで、第8実施形態による床版取替え構造1G及び第1変形例による床版取替え構造1Hにおいても、図示は省略されているが、上述したせん断力伝達部材が配置されている。図50乃至図53では、コンクリート除去領域Rに充填される充填材(不定形材料)は省略されている。
第1下カバープレート39Bは、予めデッキプレート31の下面31aに固定されている。第8実施形態の床版取替え構造1Gでは、既設のコンクリート床版から鋼床版30に取替える際には、第1下カバープレート39B(増厚部)を予め取り付けてある鋼床版30を主桁11上に配置した後、コンクリート除去領域Rに充填材を充填することで、第1下カバープレート39Bが充填される充填材に埋設される。
ここで、増厚した上カバープレート39Aの板厚tは、上記補強間隔をbとすると、t≧0.037×bとなるように設定される。
第8実施形態による床版取替え構造1Gでは、第1下カバープレート39Bを設けることで、コンクリート床版残置部21の上方における鋼床版30の剛性を高めることができ、変形と発生応力とたわみによる変形を低減させることができ、舗装の耐久性を向上させることができる。
また、第8実施形態では、第1下カバープレート39Bが添接板の機能を兼ねることとなるので、接合される鋼床版30、30同士の結合力を向上させることができる。
さらに、この場合には、デッキプレート31の下面31a側に第1下カバープレート39Bが配置されるため、デッキプレート31の上面31bに敷設されるアスファルトの薄くなる部分を少なくすることができる。
また、デッキプレート31の下方に位置する第1下カバープレート39Bをボルト締結により固定する場合には、不図示の平頭ボルトを使用することでデッキプレート31上に突出する突出部の高さを抑えることができる。そのため、デッキプレート31の上面31bに敷設されるアスファルトの薄くなる部分を少なくすることができ、舗装の耐久性を向上することができる。
(第2変形例)
図53に示す第8実施形態の変形例(第2変形例)による床版取替え構造1Hは、上述した第6実施形態の第1下カバープレート39Bに代えて、下向きに開口するコ字状の板状部材からなる第2下カバープレート39C(増厚部)を大縦リブ32A、32A同士の間のデッキプレート31の下面31aに配置した構成のものである。
第2下カバープレート39Cは、デッキプレート31の下面31aに沿って配置される横板部391と、横板部391の橋幅方向Xの両端部から下方に延びる縦板部392と、を有している。横板部391は、一対の大縦リブ32A、32A同士の間隔と一致する橋幅方向Xの長さ寸法を有し、デッキプレート31に対して溶接により固定されている。一対の縦板部392は、それぞれ大縦リブ32Aに対して溶接により固定されている。
第2変形例による床版取替え構造1Hでは、縦板部392を備えた第2下カバープレート39Cによってデッキプレート31が補強されるので、上述した第6実施形態の床版取替え構造1Eよりもさらにデッキプレート31の発生応力が低くなる。そのため、第2カバープレート39Cを疲労を懸念することなく溶接によりデッキプレート31や大縦リブ32Aに固定することができる。
(第9実施形態)
図54に示す第9実施形態による床版取替え構造1Iは、上述した第2実施形態による第2せん断力伝達部材72に代えて、鋼床版30と主桁11とを接続し、主桁11の両側に配置される一対のH断面形状の第4せん断力伝達部材76を設けた構成である。この第4せん断力伝達部材76としては、圧延H形鋼でも、ビルトアップ材でもよい。
第4せん断力伝達部材76は、主桁11の主桁ウエブ11aと大縦リブ32Aとの間に介在し、主桁ウエブ11aと大縦リブ32Aとを接合している。第4せん断力伝達部材76は、一対のフランジ材761、761と、ウエブ材762と、を備えてH断面形状に構成されている。第4せん断力伝達部材76は、ウエブ材762を横向きにして配置され、一方のフランジ材761が大縦リブ32Aにボルト締結により固定され、他方のフランジ材761が主桁ウエブ11aにボルト締結により固定されている。
第9実施形態の床版取替え構造1Iでは、既設のコンクリート床版から鋼床版30に取替える際に、鋼床版30を配置した後、コンクリート除去領域Rにおいて一対の第4せん断力伝達部材76を設けて主桁11と大縦リブ32Aとを接合する。その後、コンクリート除去領域Rに充填材を充填することで、第4せん断力伝達部材76が充填された充填材に埋設される。
第9実施形態による床版取替え構造1Iでは、第4せん断力伝達部材76を設けて主桁11と鋼床版30とを接合することで、コンクリート床版残置部21上のデッキプレート31部分の剛性を高めることができる。つまり、第4せん断力伝達部材76がH断面形状で曲面を有していないことから、デッキプレート31に生じる変形と発生応力とたわみによる変形を低減させることができ、舗装の耐久性を向上させることができる。つまり、舗装の損傷を抑制することで舗装の寿命を向上できる。
また、第9実施形態では、第4せん断力伝達部材76の伝達効率を向上させ、せん断力伝達部材の重量を軽減することができる。
(第3変形例)
図55に示す第9実施形態の変形例(第3変形例)による床版取替え構造は、上述した第9実施形態の第4せん断力伝達部材76の一方のフランジ材761の形状を代えた第5せん断力伝達部材77を適用したものである。
第5せん断力伝達部材77は、主桁ウエブ11aと大縦リブ32Aとを接合している。第5せん断力伝達部材77は、内フランジ材771と、外フランジ材772と、ウエブ材773と、を備えている。内フランジ材771は、ウエブ材773に対して両側に延びている。外フランジ材772は、ウエブ材773に対して片側(上側)にのみ延びている。第5せん断力伝達部材77は、ウエブ材773を横向きにして配置され、一方の外フランジ材772が大縦リブ32Aの外面32bに重なって配置されて大縦リブ32Aにボルト締結により固定され、他方の内フランジ材771が主桁ウエブ11aにボルト締結により固定されている。
(第10実施形態)
図56乃至図58に示すように、第10実施形態による床版取替え構造1Jは、横リブ38を配置する箇所におけるコンクリート床版残置部21を部分的(図56乃至図58の符号21b)に大きく除去し、一対の大縦リブ32A、32Aにおける大きめの除去部21bの両側に位置する部分を切り欠いた切欠開口部32aを形成した構成となっている。切欠開口部32aは、大縦リブ32Aの下端から半円状に切り欠いた形状をなしている。そして、切欠開口部32aを通じて前記除去部21bと大縦リブ32Aの外側とが連通している。
第10実施形態による床版取替え構造1Jでは、例えば主桁11上の所定位置に鋼床版30を配置した後に大きな除去部21bに横リブ補強部を固定する作業を行う場合に、大縦リブ32Aの切欠開口部32aを使用して大縦リブ32Aの外側から除去部21bの上方に手を挿入して、コンクリート除去領域Rに容易にアクセスすることができる。そのため、鋼床版30、30同士の接合部を橋軸方向Zにコンクリート床版残置部21上で鋼床版30同士を接合するためのボルト摩擦接合を形成することができる。
以上、本発明による床版取替え構造および床版取替え方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1、1A〜1J 床版取替え構造
8A I形状フランジ(横リブ補強部、フランジ部材)
8B 横リブ補強板(横リブ補強部)
10 橋梁(橋梁の構造)
11 主桁
11a 主桁ウエブ
11b 主桁上フランジ
11c 上面
14 鉄筋コンクリート床版
16 横リブ取付部
21 コンクリート床版残置部
30 鋼床版
31 デッキプレート
31a 下面
31b 上面
32 縦リブ
32A 大縦リブ
33(33A,33B) 横リブ
34 舗装部
38 横リブ
38A 一般部
38B 主桁取付け部
38C 横リブ補強部
38b スリット
39A 上カバープレート(増厚部)
39B 第1下カバープレート(増厚部)
39C 第2下カバープレート(増厚部)
47 充填材(不定形材料)
50 第1せん断力伝達部材
72 第2せん断力伝達部材
75 第3せん断力伝達部材
75A 上取付片(第2片)
75B 下取付片(第1片)
76 第4せん断力伝達部材
77 第5せん断力伝達部材
390 皿型高力ボルト
391 横板部
392 縦板部
761 フランジ材
762 ウエブ材
771 内フランジ材
772 外フランジ材
773 ウエブ材
R コンクリート除去領域
X 橋幅方向
Z 橋軸方向

Claims (32)

  1. 橋梁の主桁に支持されて敷設されている鉄筋コンクリート床版の少なくも一部を鋼床版に取り替えてなる橋梁の床版取替え構造であって、
    前記鉄筋コンクリート床版の少なくとも一部のうち、前記主桁の主桁上フランジの上面側に設けられている部分以外を除去して残置されてなるコンクリート床版残置部と、
    前記鉄筋コンクリート床版の少なくとも一部を、前記コンクリート床版残置部を露出状態で除去してなるコンクリート除去領域に、前記コンクリート床版残置部に被せるように配設された鋼床版と、を備え、
    前記鋼床版は、デッキプレートの下面側において橋幅方向に配設され、橋幅方向の一端面または両端面の少なくとも一部が直近の前記主桁の主桁ウエブのウエブ面と対向する構造的に連続した横リブを有し、前記横リブが当該横リブの橋幅方向の端部において、当該端部に直近の前記主桁ウエブに剛結合され、
    前記主桁と前記鋼床版とが橋軸方向にせん断力を伝達するせん断力伝達部材によって結合され、
    前記せん断力伝達部材は、橋軸方向に長尺で、かつ橋軸方向を含む平面を有する板状部材からなり、
    前記せん断力伝達部材は、上下方向の一端が前記デッキプレートの下面に接合された縦リブに固定され、他端が前記主桁ウエブに固定されていることを特徴とする橋梁の床版取替え構造。
  2. 前記横リブは、一般部と、前記主桁ウエブに剛接合される主桁取付け部と、に分割されていることを特徴とする請求項1に記載の床版取替え構造。
  3. 前記横リブは、一般部と、前記主桁ウエブに剛接合される主桁取付け部と、前記コンクリート除去領域で橋幅方向に延びる横リブ補強部と、に分割されていることを特徴とする請求項1に記載の床版取替え構造。
  4. 前記鋼床版の前記デッキプレートの下面側に配設された縦リブのうち、橋幅方向で前記主桁上フランジを挟んだ両側に位置する一対の大縦リブが少なくとも横リブとの交差位置で他の前記縦リブより10%以上突出長が長くなるように形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の床版取替え構造。
  5. 前記コンクリート床版残置部は、少なくとも被りコンクリートが除去された状態で残置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の床版取替え構造。
  6. 前記コンクリート除去領域に配設されている鋼床版に予め舗装部が施工され、前記鋼床版と、当該鋼床版に隣り合う前記鉄筋コンクリート床版との間に仮止め板が架け渡され、
    前記仮止め板の上面側に、仮舗装部が前記舗装部および前記鉄筋コンクリート床版上の舗装部とほぼ面一に施工されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の床版取替え構造。
  7. 前記主桁ウエブに前記横リブの横リブ取付部がボルト結合され、この横リブ取付部に前記横リブの端部がボルト結合されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の床版取替え構造。
  8. 前記主桁上フランジと前記横リブ取付部との間の前記主桁ウエブの上下方向の長さは、前記主桁ウエブの224mm以上であることを特徴とする請求項7に記載の床版取替え構造。
  9. 前記横リブ取付部を複数備えることを特徴とする請求項7又は8に記載の床版取替え構造。
  10. 前記せん断力伝達部材は、
    前記縦リブにボルト締結により固定された第1片と、
    前記主桁ウエブにボルト締結により固定された第2片と、
    前記第1片および前記第2片にそれぞれ連なる連結片と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の床版取替え構造。
  11. 前記せん断力伝達部材は、前記第1片、前記第2片、及び前記連結片によってU断面形状に湾曲して形成され、両端部の前記第1片と前記第2片とを橋幅方向に向けた状態で配置され、前記第1片が前記主桁ウエブに固定され、前記第2片が前記縦リブに固定されていることを特徴とする請求項10に記載の床版取替え構造。
  12. 前記デッキプレートの下面には、前記主桁の上方で橋軸方向に延びる補助縦リブが設けられ、
    前記せん断力伝達部材は、前記第1片、前記第2片、及び前記連結片によってU断面形状に湾曲して形成され、両端部の前記第1片と前記第2片とを上下方向に向けた状態で前記主桁の左右両側に回り込むように配置され、前記第1片が前記主桁ウエブに固定され、前記第2片が前記補助縦リブに固定されていることを特徴とする請求項10に記載の床版取替え構造。
  13. 前記鋼床版は、前記デッキプレートの下面側において、橋幅方向に配設された前記横リブと、橋軸方向に配設された縦リブと、を有し、
    前記縦リブのうち、橋幅方向で前記主桁上フランジを挟んだ両側に位置する一対の大縦リブが他の前記縦リブより突出長が長くなるように形成され、
    前記せん断力伝達部材は、一対のフランジ材とウエブ材とを備えてH断面形状に形成され、
    前記ウエブ材を横向きにして配置され、一方の前記フランジ材が前記大縦リブにボルト締結により固定され、他方の前記フランジ材が前記主桁ウエブにボルト締結により固定されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の床版取替え構造。
  14. 前記鋼床版は、前記デッキプレートの下面側において、橋幅方向に配設された前記横リブと、橋軸方向に配設された縦リブと、を有し、
    前記縦リブのうち、橋幅方向で前記主桁上フランジを挟んだ両側に位置する一対の大縦リブが他の前記縦リブより突出長が長くなるように形成され、
    前記せん断力伝達部材は、一対のフランジ材とウエブ材とを備えて形成され、
    前記ウエブ材を横向きにして配置され、一方の前記フランジ材が前記ウエブ材から上方に延びて前記大縦リブにボルト締結により固定され、他方の前記フランジ材が前記主桁ウエブにボルト締結により固定されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の床版取替え構造。
  15. 前記鋼床版は、前記デッキプレートの下面側において、橋幅方向に配設された前記横リブと、橋軸方向に配設された縦リブと、を有し、
    前記縦リブのうち、橋幅方向で前記主桁上フランジを挟んだ両側に位置する一対の大縦リブが他の前記縦リブより突出長が長くなるように形成され、
    前記横リブには、前記大縦リブが係合可能なスリットが形成され、
    前記スリットに前記大縦リブが係合された状態で、前記大縦リブが前記横リブに対して全周溶接により接合されていることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の床版取替え構造。
  16. 前記鋼床版は、前記デッキプレートの下面側において、橋幅方向に配設された前記横リブと、橋軸方向に配設された縦リブと、を有し、
    前記縦リブのうち、橋幅方向で前記主桁上フランジを挟んだ両側に位置する一対の大縦リブが他の前記縦リブより突出長が長くなるように形成され、
    前記横リブは、前記コンクリート除去領域で橋幅方向に延びる横リブ補強部を有することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の床版取替え構造。
  17. 橋軸方向に隣り合う前記横リブ補強部同士の間には、橋幅方向に延びる横リブ補強板が設けられている横リブ補強板が設けられていることを特徴とする請求項16に記載の床版取替え構造。
  18. 前記横リブ補強部は、前記デッキプレートの下面における前記一対の大縦リブ同士の間には、橋幅方向に沿って延びるフランジ部材であり、
    前記フランジ部材の両端が前記大縦リブにボルト接合されていることを特徴とする請求項16又は17に記載の床版取替え構造。
  19. 前記デッキプレートは、前記一対の大縦リブ同士の間の前記コンクリート除去領域に位置する部分が増厚された増厚部を有することを特徴とする請求項16乃至18のいずれか1項に記載の床版取替え構造。
  20. 増厚部は、前記デッキプレートの上面に配設される板状の上カバープレートであることを特徴とする請求項19に記載の床版取替え構造。
  21. 増厚部は、前記デッキプレートの下面に配設される板状の下カバープレートであることを特徴とする請求項19又は20に記載の床版取替え構造。
  22. 前記下カバープレートは、前記デッキプレートの下面に沿って配置される横板部と、横板部の橋幅方向の両端部から下方に延びる縦板部と、を有していることを特徴とする請求項21に記載の床版取替え構造。
  23. 前記増厚部は、前記デッキプレートに対して上方から皿型高力ボルトを使用してボルト接合されていることを特徴とする請求項19乃至22のいずれか1項に記載の床版取替え構造。
  24. 前記鋼床版は、前記デッキプレートの下面側において、橋幅方向に配設された前記横リブと、橋軸方向に配設された縦リブと、を有し、
    前記縦リブのうち、橋幅方向で前記主桁上フランジを挟んだ両側に位置する一対の大縦リブが他の前記縦リブより突出長が長くなるように形成され、
    前記大縦リブには、前記横リブを配置する箇所における前記コンクリート除去領域の両側に位置する一部分を切り欠いた切欠開口部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至23のいずれか1項に記載の床版取替え構造。
  25. 橋梁の主桁に支持されて敷設されている鉄筋コンクリート床版の一部を鋼床版に取り替える橋梁の床版取替え方法であって、
    前記鋼床版は、デッキプレートの下面側において橋幅方向に配設された横リブを有し、前記横リブの橋幅方向の一端面または両端面の少なくとも一部が直近の前記主桁の主桁ウエブのウエブ面と対向しており、
    前記鉄筋コンクリート床版のうち、前記主桁の主桁上フランジの上面側に設けられている部分以外を除去することにより、コンクリート除去領域を設けるとともに前記主桁上フランジの上面側にコンクリート床版残置部を残置する鉄筋コンクリート床版除去工程と、
    前記コンクリート除去領域に、鋼床版を前記コンクリート床版残置部に被せるように配設する鋼床版配設工程と、
    前記横リブを当該横リブの端部において、当該端部に直近の前記主桁ウエブに剛結合する横リブ剛結合工程と、
    前記主桁と前記鋼床版とを橋軸方向にせん断力を伝達するせん断力伝達部材によって結合し、前記せん断力伝達部材を、橋軸方向に長尺で、かつ橋軸方向を含む平面を有する板状部材とする鋼床版結合工程と、
    を含み、
    前記せん断力伝達部材は、上下方向の一端を前記デッキプレートの下面に接合された縦リブに固定し、他端を前記主桁ウエブに固定するようにしたことを特徴とする橋梁の床版取替え方法。
  26. 前記鉄筋コンクリート床版除去工程において、コンクリート床版残置部の上部の被りコンクリートを除去することを特徴とする請求項25に記載の橋梁の床版取替え方法。
  27. 前記鋼床版に、当該鋼床版の高さを調整可能な高さ調整ボルトが前記コンクリート床版残置部に当接可能に螺合され、
    前記鋼床版配設工程の後に、前記高さ調整ボルトを回すことによって、前記鋼床版の高さを調整することを特徴とする請求項25又は26に記載の橋梁の床版取替え方法。
  28. 前記鋼床版配設工程の後に、前記鋼床版と前記主桁上フランジと前記コンクリート床版残置部との間に、不定形材料を充填することを特徴とする請求項25乃至27のいずれか1項に記載の橋梁の床版取替え方法。
  29. 前記コンクリート除去領域に配設されている鋼床版に舗装部が施工されており、
    前記鋼床版配設工程の後に、前記鋼床版と、当該鋼床版に隣り合い、かつ当該鋼床版に取り替えられていない鉄筋コンクリート床版との間に仮止め板を架け渡し、
    前記仮止め板の上面側に、前記舗装部および前記鉄筋コンクリート床版上の舗装部とほぼ面一に仮舗装部を施工することを特徴とする請求項25乃至28のいずれか1項に記載の橋梁の床版取替え方法。
  30. 前記主桁ウエブに横リブ取付部をボルト結合しておき、前記鋼床版配設工程の後に、前記横リブ取付部に前記横リブをボルト結合することを特徴とする請求項25乃至29のいずれか1項に記載の橋梁の床版取替え方法。
  31. 前記主桁上フランジと前記横リブ取付部との間の前記主桁ウエブの上下方向の長さは、前記主桁ウエブの224mm以上であることを特徴とする請求項30に記載の橋梁の床版取替え方法。
  32. 前記主桁ウエブに複数の前記横リブ取付部をボルト結合しておき、前記鋼床版配設工程の後に、前記複数の横リブ取付部に前記横リブをそれぞれボルト結合することを特徴とする請求項30又は31に記載の橋梁の床版取替え方法。
JP2019219812A 2019-12-04 2019-12-04 床版取替え構造および床版取替え方法 Active JP6845301B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019219812A JP6845301B1 (ja) 2019-12-04 2019-12-04 床版取替え構造および床版取替え方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019219812A JP6845301B1 (ja) 2019-12-04 2019-12-04 床版取替え構造および床版取替え方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6845301B1 true JP6845301B1 (ja) 2021-03-17
JP2021088873A JP2021088873A (ja) 2021-06-10

Family

ID=74860908

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019219812A Active JP6845301B1 (ja) 2019-12-04 2019-12-04 床版取替え構造および床版取替え方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6845301B1 (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5858308A (ja) * 1981-10-02 1983-04-06 日本鋼管株式会社 鋼床版パネルによる橋梁床版の複旧方法
JP5878657B1 (ja) * 2015-03-31 2016-03-08 三井造船株式会社 橋梁の床版支持構造と床版取替方法
JP2017122356A (ja) * 2016-01-08 2017-07-13 Jfeスチール株式会社 コンクリート床版の張替え用鋼床版およびコンクリート床版の張替え工法
JP2018091062A (ja) * 2016-12-05 2018-06-14 鹿島建設株式会社 コンクリート床版の撤去方法及びコンクリート床版の新設方法
JP2018096184A (ja) * 2016-12-16 2018-06-21 学校法人五島育英会 鋼床版インスタント橋

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5858308A (ja) * 1981-10-02 1983-04-06 日本鋼管株式会社 鋼床版パネルによる橋梁床版の複旧方法
JP5878657B1 (ja) * 2015-03-31 2016-03-08 三井造船株式会社 橋梁の床版支持構造と床版取替方法
JP2017122356A (ja) * 2016-01-08 2017-07-13 Jfeスチール株式会社 コンクリート床版の張替え用鋼床版およびコンクリート床版の張替え工法
JP2018091062A (ja) * 2016-12-05 2018-06-14 鹿島建設株式会社 コンクリート床版の撤去方法及びコンクリート床版の新設方法
JP2018096184A (ja) * 2016-12-16 2018-06-21 学校法人五島育英会 鋼床版インスタント橋

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021088873A (ja) 2021-06-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3867149B2 (ja) 橋梁の鋼床版構造および鋼床版補強工法
JP6097965B2 (ja) 橋梁用コンクリートプレキャスト床版の施工方法
JP6757834B1 (ja) 床版構造および床版取替え方法
JP4625763B2 (ja) 主桁とプレキャスト床版の合成構造
KR20140102640A (ko) 파형 금속 플레이트 및 이 파형 금속 플레이트를 통합한 오버헤드 구조물
JP6785347B1 (ja) 床版構造および床版取替え方法
JP2008063803A (ja) 内リブ付形鋼を用いた合成床版、合成床版橋又は合成桁橋
JP2007023714A (ja) 形鋼を用いた合成床版、合成床版橋又は合成桁橋、及び、その施工方法
JP6180376B2 (ja) 合成桁の床版取替工法における主桁仮受け方法と、合成桁の床版取替工法と、合成桁の床版取替工法における主桁仮受け構造
JP2872346B2 (ja) プレハブ床版の設置工法
JP5274927B2 (ja) 箱桁の接合構造及び箱桁の接合方法
JP2001342611A (ja) 橋 桁
JP4897643B2 (ja) 鉄筋コンクリート合成鋼床版桁橋
JP5273556B2 (ja) 道路橋の拡幅構造及び道路橋の拡幅工法
CN114000408A (zh) 预制装配式桥面结构及其施工方法
JP5661011B2 (ja) 橋梁用上部工の製造方法、橋梁及び橋梁用上部工
JP6655746B2 (ja) 橋梁の構造および床版取替え方法
JP6845301B1 (ja) 床版取替え構造および床版取替え方法
JP2000017613A (ja) 波形鋼板ウエブ桁の接続方法
KR20140065338A (ko) 콘크리트 블록과 강재블록으로 구성되며 블록들의 연결부 접합면 상단의 이격거리와 하단의 이격거리 차이를 이용하여 거더에 프리스트레스를 도입할 수 있는 연속지간 하이브리드 거더
US10920382B2 (en) Bridge decking and installation
JP7010709B2 (ja) プレハブ構造およびコンクリート構造物の構築方法
JP2023166116A (ja) 床版取替え構造および床版取替え方法
JP7374607B2 (ja) 道路用の床版およびその施工方法
JP4411654B2 (ja) 補強部材付き合成床版

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20191224

RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426

Effective date: 20200319

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200319

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200413

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200413

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20200521

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200602

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200721

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200929

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210126

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210225

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6845301

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250