JP3458447B2 - 吸油膨潤防止機能性油脂、複合菓子用チョコレート及び複合菓子 - Google Patents
吸油膨潤防止機能性油脂、複合菓子用チョコレート及び複合菓子Info
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Description
脂、複合菓子用チョコレート及び複合菓子に関する発明
である。
脂、砂糖を主原料とした焼き菓子類に、チョコレートを
コーティングやサンド等した複合菓子製品があるが、焼
き菓子中に含まれるマーガリン、ショートニング等の液
体油脂成分がチョコレートに移行し、ビスケット(移行
元)の白変やチョコレート(移行先)の軟化が発生する
現象があり、この様な現象は、複合焼き菓子の製品価値
を著しく低下させる。
ンター側からシェル側へ液体油脂が移行し、シェル側
(移行先)の軟化やベトつき、センター側(移行元)の
ボソつき、口溶けの悪化などとなって、やはり製品価値
の著しい低下をもたらす。
(移行)現象」として、例えば、文献Confectionaly Pr
oduction, G.Talbot,et al,April,256頁,(1990年)や特
公昭61─47491,特開昭63─126457,特開昭64─60325,特
開平 5─192081等で言及されている。それらは移行元油
脂相(例えば焼き菓子ならマーガリン及びショートニン
グ、シェルモールドチョコレートならばセンタークリー
ム)に対して添加剤等を用いることにより移行元油脂相
の結晶を微細化することで固液分離を抑制し、その結
果、液体油の自由度を下げて移行を防止しようとするも
のであったり、予め移行することを前提として設計する
考え方であったりするもので、また、移行現象そのもの
の機構乃至メカニズムをよく解明しその原因に対して直
接的に講じられた対策という訳ではなかった。
の機構に関する研究中に、油脂移行は、油脂相の液体油
が、それと接するチョコレートの油脂中にある細孔に浸
透していく現象であること、移行先の特定の領域の細孔
径がその浸透量に影響すること、等を突き止め(特開平
5−292886号)、また油脂移行が起こる場合、移
行先の油脂が吸油して膨潤の生じていることが判った。
なく、移行先油脂の制御により液体油のマイグレーショ
ンを防止し得るのでないかという従来とは異なる解決手
段を着想し、油脂が移行して来るのを防止する能力とし
て吸油膨潤防止機能の有無で油脂を探索し、これを用い
て複合菓子用チョコレートへの油脂移行を防止するこ
と、また油脂移行の生じない複合菓子を得ることを課題
として検討を行う中で、本発明に到達した。
20〜24の飽和脂肪酸を構成脂肪酸とする1,3 位飽和2位
不飽和型グリセリドを有効成分とする吸油膨潤防止機能
性油脂、炭素数20〜24の飽和脂肪酸を構成脂肪酸とする
1,3 位飽和2位不飽和型グリセリドを油脂成分中に含有
する吸油膨潤防止機能を有する複合菓子用チョコレー
ト、並びに、該チョコレートを、焼き菓子と組み合わせ
てなる複合菓子、及び、該チョコレートをシェルとし、
内側にセンタークリームを含有するシェルモールドタイ
プチョコレートである。
肪酸を構成脂肪酸とする1,3 位飽和2位不飽和型グリセ
リドを有効成分とする吸油膨潤防止機能性油脂、であ
る。
肪酸とする1,3 位飽和2位不飽和型グリセリド及びその
製造法自体は、米国特許第4241054号、特開昭6
2─6635号、特開昭63─240745号明細書等
に公知であり、それらのいずれの方法に基づいてでも製
造することができる。
機能性油脂としての上記グリセリドの用途は教示されて
おらず該用途は本発明をもって嚆矢とする。即ち米国特
許第4241054号においては、カカオ脂のかわりに
使用する肛門漏出防止剤として、特開昭62─6635
号ではファットブルーム防止剤として、特開昭63─2
40745号では、テンパリング省略乃至簡易化剤或い
は自体保形性を失うような高温に置かれた後ももとのつ
やのあるチョコレートに復帰させる剤として、各々の用
途用法が開示されているが、吸油膨潤防止機能性油脂と
しての用途は記載されていない。
来のように移行元油脂相に使用される油脂( 例えば特開
昭63─126457参照)ではなく、反対の移行先油脂相に使
用される油脂であり、機能としては、低固体脂側(液体
油を多く含む側)の油脂相に接して、そこから油脂が移
行し吸油膨潤してくるのを防止する機能を有する油脂で
あり、ファットブルーム防止やテンパリング省略乃至簡
易化剤の機能とは関係がない。
20〜24の飽和脂肪酸を構成脂肪酸とするジ飽和1不飽和
型グリセリドであっても、不飽和脂肪酸が1または3位
に結合しているグリセリドはチョコレートに用いてブル
ーム防止効果はあるけれども、吸油膨潤防止機能の有効
成分とならないばかりか、共存する2位不飽和型グリセ
リドの機能をむしろ阻害する。
構成脂肪酸とするジ飽和1不飽和型グリセリドのうち、
2位不飽和型グリセリドは2位飽和型グリセリドに比べ
て多量に存在すべきであり、当該グリセリドが、1,3
位に選択的に作用する酵素を用いてエステル交換して得
る場合は目的の機能性油脂に使用できるけれども、ソデ
ィウムメチラートの如きアルカリ金属触媒によるエステ
ル交換では2位飽和型グリセリドが2位不飽和型グリセ
リドの倍量生成するので、目的の機能性油脂を得ること
ができない。
はあっても、カカオ脂やその代用脂の主成分たる1,3 位
飽和2位不飽和型グリセリド、即ち飽和脂肪酸の炭素数
が16〜18と短いグリセリドは、吸油膨潤防止機能の有効
成分とならない。そして20〜24の飽和脂肪酸を構成脂肪
酸とする1,3 位飽和2位不飽和型グリセリドも含めて、
これら1,3 位飽和2位不飽和型グリセリドは安定結晶型
の粉末の形状で、溶かさずにチョコレート製造に用いる
と、テンパリングを省略ないし簡易化する作用があるも
のの、そのような使用法では吸油膨潤防止機能の表れ方
に乏しく、この発明では他のグリセリドと共融状態で使
用されるのがむしろよい。
となる炭素数20〜24の飽和脂肪酸を構成脂肪酸とする1,
3 位飽和2位不飽和型グリセリドは、1残基のみが炭素
数20〜24の飽和脂肪酸であるよりは2残基とも炭素数20
〜24の飽和脂肪酸であるグリセリドである方が好まし
く、また不飽和脂肪酸としてはリノール酸やリノレン酸
であるグリセリドであるよりもオレイン酸であるグリセ
リドである方が好ましい。また資源的入手の容易性から
は、炭素数20〜24の飽和脂肪酸の内では炭素数22即ちベ
ヘン酸がよい。
肪酸を構成脂肪酸とする1,3 位飽和2位不飽和型グリセ
リドの典型例は1,3─ジベヘノイル,2─オレイルグ
リセリド(以下「BOB」ということがある)である
が、一部、BOSt(Stはステアリン酸残基)、AO
A、BLB(Lはリノール酸またはリノレン酸残基)で
あることができる。
おける当該機能性を示すための有効量は上記グリセリド
が当該機能性油脂中に、0.1 〜20重量% 含有されている
のがよく、最も好ましくは2〜7重量%含まれているの
がよい。多過ぎるとチョコレートに用いて粘性が上昇し
作業性が低下する。尤も、複合菓子用チョコレート等に
調製する前であって、後に他の油脂例えばカカオ脂や他
のハードバターと混合前である場合には、もっと高い量
含まれていることを妨げない。
料としてのハードバターそのものであることもでき、そ
の場合は、炭素数16〜18の飽和脂肪酸を構成脂肪酸とす
る1,3 位飽和2位不飽和型グリセリドが主成分の油脂組
成物であって、当該組成物中上記炭素数20〜24の飽和脂
肪酸を構成脂肪酸とする1,3 位飽和2位不飽和型グリセ
リドが2〜20%好ましくは3〜10% 含むものとす
る。
酸を構成脂肪酸とする1,3 位飽和2位不飽和型グリセリ
ドを油脂成分中に含有する吸油膨潤防止機能を有する複
合菓子用チョコレートである。
明らかなように、チョコレート油分中0.1 〜20重量% 含
有されているのがよく、最も好ましくは2〜7重量%含
まれているのがよい。
よって製造することができるが、炭素数20〜24の飽和脂
肪酸を構成脂肪酸とする1,3 位飽和2位不飽和型グリセ
リドは結晶転移速度が通常のチョコレート油脂に比べる
と遅いので、公知のシード剤(特開昭62─13653
0,特開昭64─60330,特開平2─406)を使
用してチョコレートを製造してもよい。
ートを、焼き菓子と組み合わせてなる複合菓子、及び、
該チョコレートをシェルとし、内側にセンタークリーム
を含有するシェルモールドタイプチョコレートである。
原料としたビスケット等であり、また組合せは、焼き菓
子をチョコレート中に埋没したりあるいは該焼き菓子類
にチョコレート類をコーティングまたはサンドされるな
ど特に複合の態様は問わない。
により何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例
において「%」及び「部」はいずれも重量に対するもの
である。
ルエステルを1,3位に特異性を有するリパーゼ酵素剤
を用いてエステル交換し、エチルエステルを留去した
後、溶剤分別により得た高融点画分を精製して、炭素数
20〜24の飽和脂肪酸を1,3 位に有するグリセリド含量が
68%の油脂(以下この油脂を「BOB脂」という)を得
た。
用いる「B2 O脂」は、ハイオレイックヒマワリ油とベ
ヘン酸エチルエステルをソディウムメチラートを用いて
エステル交換し、エチルエステルを留去した後、溶剤分
別により得た中融点画分を精製して得られたもので、炭
素数20〜24の飽和脂肪酸2分子とオレイン酸1分子がラ
ンダムに分布した混酸基グリセリドを約68%含む。
造)
量%になるように加えた吸油膨潤防止機能性油脂を調製
した。
比較として、BOB脂のかわりにB2 O脂を同量加えた
油脂を、各々テンパリングし、次に記す吸油膨潤試験を
行った。結果は添付図面(図面代用写真)に示すが、本
例の油脂は、対照及び比較に比して、抜群の吸油膨潤防
止機能を示した。
異が生じないよう、SOSグリセリドの安定化結晶粉末
を含むショートニングタイプのシード剤を油脂に対し
0.2%使用した。
た試験油脂を、内径5mmΦのガラス管に一端からの長
さが6cmになるように流し込み、15℃で20分間放置
することにより冷却固化し、これを20℃で1週間エー
ジングする。これをガラス管から押し出して棒状検体を
得る。この棒状検体を、着色した液体油(オレイン酸含
量80%のハイオレイックヒマワリ油に0.5%Sud
an IVを溶解してある)をいれたビーカー上に懸下
し、検体下端が液体油に接する位置で固定し、1サイク
ル/日の温度変化(18℃と27℃で各半日づつ保持)
に1週間さらし、その後の棒状検体に着色液体油が吸収
され膨潤した状態を観察する。
ドタイプチョコレートの製造)
ェル:センター=5:5) のチョコレートを常法に従っ
て試作し、17℃と28℃の1サイクル/日×1週間の保存
条件下での油脂移行試験を行った。
レート及びセンタークリームからヘキサンで油分を抽出
しその量の増減により評価した。
とし、代わりにカカオ脂を用いたものをBとし比較し
た。
脂はシェルチョコレートの油分の増加が抑制されること
から軟化、陥没といった油脂移行に特有の現象を抑制す
ると共にセンタークリームの油分の減少が生じない為に
そのボソつきが生じない。従ってBOB脂を用いること
により作成初期に近い良好な状態が維持される。
ドタイプチョコレートの製造)
ェル:センター=5:5) のチョコレートを試作し、17
℃と28℃の間を1サイクル/日×1週間の保存条件下で
の油脂の移行を調べた。
ークリームの油分の増減(抽出量)により評価した。
とし、代わりにココアバターを用いたものをB、B2 O
脂を用いたものをCとして比較検討した。
脂はシェルチョコレートの油分の増加が抑制されること
から軟化、陥没といった油脂移行に特有の現象を抑制す
ると共にセンタークリームの油分の減少が生じない為に
そのボソつきが生じず柔らかい状態が維持される。尚C
の非対称型油脂は対称型油脂とは明らかにその効果に於
いて差を有しておりBOB脂のみが油脂移行防止に対し
て有効である。
の製造)
スケットの表面が埋もれない程度にチョコレートに埋没
して複合焼き菓子を作成した。この製品を17と28℃の間
を2サイクル/日の条件で2週間保存するテストを行っ
た。尚、BOB脂の代わりにココアバターを用いたもの
をコントロールとした。
ビスケット部分に白色化または斑点等の現象が観察され
たが、BOB脂を用いた場合はその様な現象は一切観察
されず良好な状態が維持された。
の製造)
減じた0.5部は安定結晶型の粉末にして、コンチング
後のチョコレート生地冷却途中の約35℃で融解するこ
となく加え、かつ実質的にテンパリングは殆ど行うこと
なくチョコレートを製造した。その他は実施例5と同様
にビスケットとの複合食品を製造したが、同じ2サイク
ル/日の条件で2週間保存するテストを行ったところ、
コントロールは15サイクル目でビスケット部分に白色化
または斑点等の現象が観察されたのに対し、本例製品を
用いた場合はその様な現象は一切観察されず良好な状態
が維持された。
移行が生じた場合の移行元の油脂相にではなく移行先の
油脂中に含まれることにより、油脂移行を防止できる。
これにより、油脂含有食品であるビスケット、クッキ
ー、シェルタイプチョコレート等に於ける白変、軟化、
ボソつき等の現象を防止することが出来、外観上の損失
及び口溶けの悪化も伴わず、長期間に渡って極めて良好
な状態が保持される。
て示す正面図。
す正面図。
果を示す正面図。
果を示す正面図。
Claims (3)
- 【請求項1】炭素数20〜24の飽和脂肪酸を構成脂肪酸と
する1,3 位飽和2位オレイン酸型グリセリドを油脂成分
中に含有する吸油膨潤防止機能を有する複合菓子用チョ
コレート。 - 【請求項2】請求項1記載のチョコレートと、焼き菓子
とを組み合わせてなる複合菓子。 - 【請求項3】請求項1記載のチョコレートをシェルと
し、内側にセンタークリームを含有する複合菓子。
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