JP3448669B2 - ラノリン脂肪酸エステル類、化粧料及び外用薬 - Google Patents

ラノリン脂肪酸エステル類、化粧料及び外用薬

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JP3448669B2
JP3448669B2 JP14203993A JP14203993A JP3448669B2 JP 3448669 B2 JP3448669 B2 JP 3448669B2 JP 14203993 A JP14203993 A JP 14203993A JP 14203993 A JP14203993 A JP 14203993A JP 3448669 B2 JP3448669 B2 JP 3448669B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ラノリン脂肪酸のエス
テル類、より詳しくは、ラノリン脂肪酸(以下「LF」
と略す)から分離されたヒドロキシ脂肪酸(以下「H
Y」と略す)及び非ヒドロキシ脂肪酸類(以下「NH」
と略す)のそれぞれのエステル類、殊にステロールエス
テル、糖エステル、2エチルヘキサノールエステル、高
級アルコールエステル及び多価アルコールエステルから
選ばれるエステル及び之等を用いた化粧料及び外用薬に
関する。
【0002】
【従来技術とその課題】例えば、羊毛の表面に分泌され
る羊毛脂を鹸化分解して得られるLFは、その約2/3
がイソ及びアンテイソの非ヒドロキシ脂肪酸からなり、
残りの約1/3がヒドロキシ脂肪酸で、通常の天然脂肪
酸に多く見られるノルマル脂肪酸は非常に少なく、偶数
酸と奇数酸とをほぼ同程度の割合で含有している。
【0003】LF中に約30〜35%の割合で含まれる
炭素数10〜36のヒドロキシ脂肪酸の主成分は、炭素
数16のα−ヒドロキシ脂肪酸である。乳酸、クエン
酸、酒石酸等の短鎖のヒドロキシ脂肪酸は、乳化性、保
湿性等に優れている他、アトピー性皮膚炎、魚燐癬、老
化によるシワ減らし等に効能が認められているが、上記
の如き長鎖のヒドロキシ脂肪酸の作用は全く知られてい
ない。また、LF中に含まれる他のヒドロキシ脂肪酸で
あるω−ヒドロキシ脂肪酸は、角質層の水分保持機能の
重要な鍵とされるo−アシルセラミド類(o−acylcera
mides )の構成成分であるが、該ω−ヒドロキシ脂肪酸
及びその低級アルコールエステル自体の作用は知られて
いない。
【0004】α−ヒドロキシ脂肪酸、ω−ヒドロキシ脂
肪酸及び之等のエステル等の誘導体は、医薬品、化粧
品、外用薬等の分野を初め、界面活性剤、ワックス、潤
滑用グリース等の分野において各種の用途に用いられ、
その利用は今後ますます増大するものと考えられる。
【0005】従来、LFは、ラノリンアルコールに比べ
て、その独特の獣臭と色の濃さゆえに、化粧品業界では
むしろ敬遠されがちであった。そこで、これらの問題点
を克服し、しかもその構成成分である上記ヒドロキシ脂
肪酸と非ヒドロキシ脂肪酸とを分離する技術及びその用
途開発が、斯界で望まれている。
【0006】本発明者らは鋭意研究の結果、先に斯界で
望まれているLFの獣臭と色の濃さを克服し、しかもそ
の構成成分であるヒドロキシ脂肪酸(HY)と非ヒドロ
キシ脂肪酸(NH)とを分離する工業的実施に適した新
しい技術を提供することに成功した〔特願平4−311
6845号〕。
【0007】この方法は、LF及びその低級アルコール
エステルをホウ酸エステルに変換して減圧蒸留して、ヒ
ドロキシ脂肪酸類(HY)及び非ヒドロキシ脂肪酸類
(NH)を分離し、上記HYのホウ酸エステルを加水分
解してHYを得、更に上記HYを引続き減圧蒸留により
精製して、α−ヒドロキシ脂肪酸(以下「ALF」と略
す)とω−ヒドロキシ脂肪酸(以下「WHY」と略す)
とを分離するものであった。
【0008】本発明者等は引続く研究の結果、上記HY
及びNHのそれぞれを特定のエステル誘導体とする時に
は、之等誘導体がいずれもそれ等に特有の物性を有し、
これに基いて化粧品及び外用薬として、優れた特徴を有
することを見出だし、ここに本発明を完成するに至っ
た。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明によれば、
炭素数10〜30のイソ型脂肪酸30〜45重量%、炭
素数11〜31のアンテイソ型脂肪酸30〜50重量
%、炭素数10〜30のノルマル型脂肪酸10〜30重
量%を含有し、上記イソ型脂肪酸とアンテイソ型脂肪酸
との合計が少なくとも60重量%であり且つヒドロキシ
脂肪酸の含有量が10%未満であるラノリン由来の非ヒ
ドロキシ脂肪酸及び炭素数14以上のα−ヒドロキシ脂
肪酸を少なくとも60重量%含み、この内ノルマル型α
−ヒドロキシ脂肪酸が50〜70重量%、イソ型α−ヒ
ドロキシ脂肪酸が10〜30重量%及びアンテイソ型α
−ヒドロキシ脂肪酸が0〜15重量%であり且つω−ヒ
ドロキシ脂肪酸の含有量が0〜15%であるラノリン由
来のヒドロキシ脂肪酸のそれぞれのステロールエステ
ル、糖エステル、2エチルヘキサノールエステル、高級
アルコールエステル及び多価アルコールエステルから選
ばれるエステル類並びに之等を含む化粧料及び外用薬が
提供される。
【0010】以下、本発明エステルにつき詳述すれば、
該エステルを構成するNH及びHYは、本発明者等の先
の出願に係わる方法により得ることができる。
【0011】該方法(以下「本発明方法」という)にお
いて、原料として用いられるLFとしては、ラノリンか
ら通常の一般的方法により分離されたもの、これを通常
の方法に従い精製したもののいずれでもよく、また予め
通常の方法に従い、その構成成分の一部、例えばω−ヒ
ドロキシ脂肪酸分を分離回収した残りや非ヒドロキシ脂
肪酸分等を回収した残り等であってもよい。該LFの炭
素数1〜4の低級アルコールエステルには、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール、イソブタノール等のアルコールエステルが含
まれ、之等は上記LFを常法に従いエステル化すること
により得られる。更に本発明の原料は、上記LFとその
エステルとの混合物であってもよい。
【0012】本発明方法では、まず上記ラノリン脂肪酸
類をホウ酸処理してこれに含まれるHY、即ちヒドロキ
シ脂肪酸及びその低級アルコールエステル、の水酸基を
ホウ酸エステル化する。このホウ酸処理に用いられるホ
ウ酸としては、例えば、ホウ酸(H3 BO3 )、無水ホ
ウ酸(B2 3 )等が挙げられ、コストの面からはホウ
酸が好ましい。このホウ酸処理は、原料脂肪酸類に対し
て約0.5〜5倍当量(原料脂肪酸類の水酸基価により
求めた反応当量を基準とする、以下同じ)、好ましくは
約1〜3倍当量のホウ酸を用い、約50〜150℃、好
ましくは約100〜120℃程度の温度下で、約0.5
〜8時間を要して実施される。上記ホウ酸エステル化反
応は、常圧下でも、減圧下でも実施できるが、通常10
0トール以下、好ましくは約30〜1トールの減圧条件
下で脱水して実施するのが望ましく、上記ホウ酸処理に
より、原料ラノリン脂肪酸類中のHYはホウ酸エステル
化される。
【0013】本発明方法では、次に減圧蒸留を行ない、
HYのホウ酸エステル成分とNHとを分離する。この減
圧蒸留は通常の方法に従い実施できる。その際採用され
る減圧度は、一般的には1トール以下であり、好ましく
は約0.5〜0.001トールの範囲内で選択される。
蒸留温度は、一般的には約250℃以下、好ましくは約
120〜200℃の範囲内で選択され、この蒸留温度は
蒸留収率に影響を与え、上記範囲内では蒸留収率が約7
0%以下、通常約30〜60%の範囲となり、本発明の
優れた分離効果が発揮される。即ち、蒸留温度を上記範
囲内で適宜選択することにより、色、融点、精製純度等
において満足な性質を有する所望のHY及びNHを容易
に分離、回収できる。
【0014】かくして得られるNHには、未反応のホウ
酸やHYのホウ酸エステルが一部混入する場合がある
が、之等は後述するHYの脱ホウ酸と同様の方法に従い
除去でき、またHYのホウ酸エステルは、これを常法に
従い加水分解反応等により脱ホウ酸することができる。
【0015】上記加水分解反応は、一般的な加水分解反
応と同様にして実施できる。より具体的には、例えばメ
チルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のア
ルコール類やアセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソプロピルケトン等のケトン類と水とを組合わせた溶媒
を用いて実施できる。またこの加水分解反応は、処理す
べきHYのホウ酸エステルを予め水不混和性の適当な溶
媒、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン
等に溶解し、これから上記溶媒を用いて所望成分を抽出
することによっても実施できる。
【0016】得られたHYは、重要な用途のあるALF
とWHYとを含有しており、本発明者らの研究によれ
ば、之等は上記加水分解後の減圧蒸留により、それぞれ
分離収得できる。かかるALF及びWHYの分離は、例
えば上記NHとHYとの分離と同様にして減圧蒸留によ
り実施でき、その際採用できる減圧度、蒸留温度、適当
な蒸留収率等も上記と同様である。即ち、減圧度は約1
トール以下、好ましくは約0.5〜0.001トールの
範囲内であり、蒸留温度は約250℃以下、好ましくは
約120〜200℃の範囲内であり、このとき蒸留収率
は約60%以下、好ましくは約20〜50%となる。こ
の減圧蒸留では、蒸留温度が低く、蒸留収率が低い程、
得られる留分中のALF含量は高くなり、逆に蒸留温度
が高く、蒸留収率が高い程、WHYの回収率が高くな
る。
【0017】かくして、本発明方法で得られる各成分の
脂肪酸組成、物性は以下のごとくまとめることができ
る。
【0018】〈NH〉下式Iで表されるイソ型脂肪酸3
0〜45%、下式IIで表されるアンテイソ型脂肪酸3
0〜50%、下式IIIで表されるノルマル型脂肪酸1
0〜30%を含有し、上記イソ型脂肪酸とアンテイソ型
脂肪酸との合計量が少なくとも60%であり且つヒドロ
キシ脂肪酸の含有量が10%未満である。
【0019】特に上記NH中、遊離形態のNHは、融点
(日本化粧品原料基準に基く第2法による)がほぼ25
〜55℃の範囲にあり、酸価(AV)がほぼ140〜2
10の範囲にあり且つSVがほぼ160〜210の範囲
にある。
【0020】
【化1】
【0021】〈HY〉炭素数14以上のα−ヒドロキシ
脂肪酸を少なくとも60%含み、この内下式IVで表さ
れるノルマル型α−ヒドロキシ脂肪酸が50〜70%、
下式Vで表されるイソ型α−ヒドロキシ脂肪酸が10〜
30%及び下式VIで表されるアンテイソ型α−ヒドロ
キシ脂肪酸が0〜15%で且つω−ヒドロキシ脂肪酸の
含有量が0〜15%である。SVはほぼ160〜210
の範囲にあり、遊離形態のHYの融点(日本化粧品原料
基準に基く第4法による)は40℃を越え、ほぼ50〜
85℃の範囲にある。
【0022】
【化2】
【0023】〈ALF〉炭素数14以上のα−ヒドロキ
シ脂肪酸を少なくとも60%含有し、この内上式IVの
ノルマル型脂肪酸が50〜70%、上式Vのイソ型脂肪
酸が10〜30%及び上式VIのアンテイソ型脂肪酸が
0〜15%で、ω−ヒドロキシ脂肪酸は0〜5%、SV
はほぼ165〜210の範囲、融点(遊離形態、上記第
4法による)は40℃を越え、ほぼ55〜85℃の範囲
にある。
【0024】かくして、本発明方法によれば、LFから
簡単な操作で効率よく、HY及びNHを高純度に分離、
精製でき、また、上記HYから、水酸基の位置の異なる
ALF及びWHYを濃縮して高純度に分離、精製でき
る。こうして得られた各脂肪酸成分は、天然資源から供
給されるものであるに加えて、淡色でほぼ無臭である。
しかもNHは水酸基を含まない主として分岐鎖を持つ物
質からなり、HYは極性基である水酸基を持つ物質から
なり、精製されたALFはヒドロキシ脂肪酸中のα位に
水酸基を持つ物質であり、またWHYは末端ω位に水酸
基を持つ物質である。
【0025】本発明のエステルは、上記遊離形態のHY
及びNHに適当なアルコール類を反応させることにより
製造でき、また之等HY及びNHの低級アルコールエス
テルのエステル交換反応によっても製造できる。之等の
エステルには、ステロールエステル、糖エステル、2エ
チルヘキサノールエステル、高級アルコールエステル及
び多価アルコールエステルが包含される。
【0026】以下、本発明エステルにつき順次詳述すれ
ば、まずステロールエステルは、動物起源、植物起源、
合成による各種のステロールを用いて製造できる。かか
るステロールの代表例としては、例えばコレステロー
ル、ラノステロール、ジヒドロラノステロール及び之等
の混合物としてのイソコレステロール、シトステロー
ル、スチグマステロール、カンペステロール、フィトス
テロール、デスモステロール、7−デヒドロコレステロ
ール及び之等の還元物等を例示でき、之等は単独でも2
種以上混合しても使用できる。
【0027】上記ステロールを用いた本発明エステルの
合成反応の条件としては、従来公知のエステル化反応の
条件を広く採用でき、例えば無触媒又はパラトルエンス
ルホン酸、塩化錫等の触媒の存在下に、脂肪酸減量及び
ステロール混合物を約100〜250℃程度に加熱すれ
ばよい。該反応の終点は、酸価を測定することにより知
ることができる。
【0028】また、前述したHY、NHが低級アルキル
エステルの形態の場合は、該脂肪酸低級アルキルエステ
ルとステロールとを必要に応じてナトリウムメチラート
等のエステル交換触媒の存在下にエステル交換反応させ
ることによっても、目的とするステロールエステルを得
ることができる。
【0029】糖エステルとしては、例えばグルコース、
フルクトース、マンニット、ソルビトール、ソルビタン
等の単糖類やデンプン糖、蔗糖等の少糖類のエステルを
例示できる。之等の糖エステルも、公知の各種方法に準
じて製造できる。例えば水酸化ナトリウム等を触媒とし
て使用して、原料脂肪酸とソルビット等の糖類とを混合
し、窒素ガス気流下で攪拌しながら加熱すれば、反応温
度約190℃で所望のソルビットエステルが、230〜
250℃付近で所望のソルビタンエステルが得られる。
また、蔗糖エステルの場合は、ジメチルホルムアミド
(DMF)やジメチルスルホキシド(DMSO)等の溶
媒を用いる方法や、少量の乳化剤の共存下に原料脂肪酸
と糖とを微細なエマルジョン形態として反応させる所謂
ミクロエマルジョン法等によっても所望のエステルを得
ることができる。
【0030】2エチルヘキサノールエステルの場合のエ
ステル化条件も、従来公知のエステル化反応の条件と同
様でよく、例えば無触媒又はパラトルエンスルホン酸等
の触媒の存在下に原料脂肪酸と2エチルヘキサノールと
の混合物を約100〜180℃程度に加熱すればよい。
また脂肪酸の低級アルコールエステルを使用してナトリ
ウムメチラート等のエステル交換触媒の存在下にエステ
ル交換反応させることによっても所望のエステルを製造
できる。
【0031】高級アルコールエステルには、炭素数12
以上の脂肪族アルコールのエステルが包含され、その製
造は、前述した各種エステルと同様にして行なうことが
できる。該エステルの製造に用いられるアルコール成分
は、飽和でも不飽和でもよく、直鎖状でも分岐鎖状でも
よい。分岐鎖状アルコールの具体例としては、例えば下
式VII及びVIIIで表わされるイソアルコール及び
アンテイソアルコール;之等の混合物であるラノリンア
ルコールHH(ラノリンアルコールから溶剤分別により
得られるステロールを含まない脂肪族高級アルコール及
びグリコール混合物、吉川製油社製);合成分岐アルコ
ール、例えばヘキサデシルアルコール(エッソスタンダ
ード社製)、エヌジェコール160A、160B、18
1A、200A及び200C(いずれも新日本理化社
製)、ファインオキソコール1800(日産化学社
製)、オクチルドデカノール(ヘンケル社製)等を例示
できる。
【0032】
【化3】
【0033】また、多価アルコールエステルとは、炭素
数10以下であって且つ1分子中に水酸基を2個以上を
有する糖以外のアルコールのエステルをいう。これに
は、例えば代表的にはグリセリンエステル、ペンタエリ
スリットエステル、ジペンタエリスリットエステル及び
トリメチロールプロパンエステルが包含される。
【0034】之等多価アルコールエステルも、前記各エ
ステル誘導体と同様にして製造できる。例えばグリセリ
ンエステルの製造は、J.A.O.C.S., vol.62, 1575, 1985
に記載の方法に従うことができる。またペンタエリスリ
ットエステル及びジペンタエリスリットエステルは、窒
素気流下に、約200〜250℃、好ましくは約230
〜240℃で加熱攪拌することにより製造できる。
【0035】かくして得られる本発明エステルは、それ
ぞれ、その原料であるラノリン由来の特定の脂肪酸に基
く特徴を有していると共に、各原料アルコール成分に由
来する特徴をも加えられており、いずれも外用薬及び化
粧料として有用である。
【0036】即ち、本発明エステルは、それぞれ単独で
或は2種以上を組合わせて、医薬や医薬部外品等の外用
薬や、皮膚用化粧料、頭髪用化粧料及びメイクアップ用
化粧料等の化粧料に配合できる。ここで頭髪用化粧料
は、毛髪に用いる化粧料を意味し、具体的にはヘアート
ニック、ヘアーローション、ヘアークリーム、シャンプ
ー、リンス等を包含する。メイクアップ用化粧料は特に
顔に塗布してメイクアップを施すための化粧料を意味
し、具体的にはファンデーション、口紅、マスカラ、ア
イシャドー等を含む。皮膚用化粧料は、上記以外の身体
部位に使用される化粧料を意味し、具体的にはクリー
ム、乳液、入浴剤等がこれに含まれる。
【0037】本発明エステルを外用薬及び化粧料に配合
することにより発揮される効果につき述べれば、例えば
本発明のHYのコレステロールエステルは、乳化性、抱
水性及び保湿性に優れており、一方NHのコレステロー
ルエステルは皮膚になじみ易く、しかも皮膚に吸収され
易く皮膚上になんらベタツキを残さない。
【0038】本発明NHのグリセリンエステル及びHY
のグリセリンエステルは、之等を外用薬用基剤、皮膚化
粧料や頭髪化粧料に配合することにより、肌の滑らかさ
や髪の櫛通りの良さ等の肌質感、髪質感を与えることが
できる。しかも、之等はラノリン或いはラノリンアルコ
ールに起因するアレルギーの問題を克服し得る。
【0039】特に、NHは通常のLFに見られるような
水酸基に起因するラクトンやラクチドの形成がないため
に、配合されたものは経時的に安定な化粧料を与えるこ
とができる。LFをNHとHYに分画することにより、
従来の分画していないLFを混合物のままグリセリンエ
ステルとするよりも、それぞれの脂肪酸の特長を生かし
た、しっとり感やさっぱり感を与えることができ、従来
にない外用薬用基剤、皮膚化粧料や頭髪化粧料を得るこ
とができる。
【0040】本発明NHの2エチルヘキサノールエステ
ルは、NHの特徴を維持したままで、非極性基油に対す
る相溶性を改善されており、比重、粘度が低く、皮膚に
吸収されやすく、また化粧料の油性成分として使用する
場合に皮膚上にベタツキを残さずサラッとした軽い感じ
を与え得る。一方、本発明HYの2エチルヘキサノール
エステルは、HYの特徴を維持したままで、極性溶剤に
対する相溶性を改善され、皮膚に馴染みやすく、柔軟性
と潤いを付与できる特徴がある。
【0041】本発明NH及びHYのペンタエリスリット
エステルやジペンタエリスリットエステルは、ラノリン
アルコールにみられる如きアレルギーの問題がなく、N
H及びHYのそれぞれの特徴を生かして、殊に皮膚に対
する優れた延展性、皮膚への馴染み、さっぱり感、しっ
とり感等を与え得、また髪に対しては櫛通りのよさ等を
与え得、更に得られる化粧料等の経時的安定性をも保証
する。
【0042】本発明NH及びHYの糖エステルは、その
モノエステル含量を自由に調製でき、種々のHLBを有
する安全な界面活性剤として、化粧料及び外用薬に適宜
配合できる。
【0043】更に、本発明NH及びHYの高級アルコー
ルエステルは、雲り点が低く、皮膚に対する優れた延展
性(のび)を付与し、また各種極性溶媒に対する相溶性
にも優れており、皮膚呼吸を妨げない低温流動性に富む
エステルとして、化粧料分野で常用されている流動パラ
フィンに代替して有効利用できる。
【0044】之等本発明エステルを利用した外用薬及び
化粧料の具体例及び之等の有する高かについては、後記
実施例に詳述する。
【0045】本発明エステルの外用薬及び化粧料として
の利用は、常法に従うことができ、之等エステルの配合
量は、特に限定されるものではないないが、通常外用薬
では、約0.1〜50%(重量%、以下同じ)、好まし
くは約10%迄、クリームタイプの化粧料では約0.1
〜50%、好ましくは約15%迄、非水系のメイクアッ
プ化粧料では約0.1〜80%、好ましくは約1〜40
%、水系のメイクアップ化粧料では約0.1〜50%、
非水系のオイルタイプの頭髪化粧料では約0.1〜90
%、非水系クリームタイプの頭髪化粧料では0.1〜5
0%、その他のシャンプー、リンス等では約0.1〜1
0%とされるのが適当である。
【0046】
【実施例】本発明を以下の参考例及び実施例によって更
に詳しく説明するが、之等実施例は本発明の範囲を限定
するものではない。また、各例により得られる生成物の
物性は、日本化粧品原料基準に基き求められたものであ
り、融点は特記しない限り上記基準の第2法(上昇融
点)によるものとする。
【0047】まず、参考例1〜6としてラノリン脂肪酸
類の分離法の例を挙げる。
【0048】参考例1 674.3gのラノリン脂肪酸メチルエステル(水酸基
価49.4)に45.2gのホウ酸(H3 BO3 )を加
え、減圧下、110℃で6時間反応させた。次に、この
反応物354.2gを減圧蒸留(蒸留温度170℃、減
圧度0.1トール)して、主留分として141.2g
(回収率39.9重量%)の非ヒドロキシ脂肪酸メチル
エステル(S1)を、残渣として213.0g(回収率
60.1重量%)のヒドロキシ脂肪酸メチルエステルの
ホウ酸エステルを得た。
【0049】更に、上記ヒドロキシ脂肪酸メチルエステ
ルのホウ酸エステルを加水分解後、水洗してホウ酸を除
去し、ヒドロキシ脂肪酸メチルエステル(S2)を得
た。
【0050】上記で得られたS1(水洗により混入する
ホウ酸を除去したもの)及びS2の分析結果を次に示
す。但し、臭いの評価は、10人の評価者による官能試
験によって行い、原料ラノリン脂肪酸の評価を基準とし
て、以下のように判定した(評価者の平均点による表
示)。
【0051】◎…著しい改善が認められ、ほぼ無臭であ
る ○…改善は見られるが、ラノリン脂肪酸特有の臭いが感
じられる ×…改善が認められない また純度は、ガスクロマトグラフィー分析による。
【0052】<非ヒドロキシ脂肪酸メチルエステル(S
1)>色調(GH)=1以下、酸価=0.2、SV=1
95.8、水酸基価=4.4、曇り点=21℃、不鹸化
物=0.4重量%、臭=◎、純度=90.3重量% <ヒドロキシ脂肪酸メチルエステル(S2)>色調(G
H)=18以上、酸価=1.3、SV=169.6、水
酸基価=83.2、融点=47.6℃ 参考例2 参考例1のラノリン脂肪酸メチルエステル4750gに
318.7gのホウ酸を加え、同様に反応させた。次
に、この反応物4840gを減圧蒸留(蒸留温度190
℃、減圧度0.01トール)して、主留分として250
0g(回収率51.7重量%)の非ヒドロキシ脂肪酸メ
チルエステルを、残渣として2340g(回収率48.
3重量%)のヒドロキシ脂肪酸メチルエステルのホウ酸
エステルを得た。之等を参考例1と同様に精製し、非ヒ
ドロキシ脂肪酸メチルエステル(S3)及びヒドロキシ
脂肪酸メチルエステル(S4)を得た。上記で得られた
S3及びS4を、参考例1と同様にして分析した結果を
次に示す。
【0053】<非ヒドロキシ脂肪酸メチルエステル(S
3)>色調(GH)=3、酸価=0.1、SV=17
3.1、水酸基価=15.1、POV=3.1、融点=
30.6℃、不鹸化物=0.8重量%、臭=◎、純度=
89.1重量%、ヒドロキシ脂肪酸含有量=3.3重量
% 〈ヒドロキシ脂肪酸メチルエステル(S4)>色調(G
H)=18以上、酸価=2.5、SV=140.1、水
酸基価=104.0、融点=43.6℃、純度=63.
0重量% 参考例3 参考例2で得たヒドロキシ脂肪酸メチルエステルのホウ
酸エステル500gを、1000mlのノルマルヘキサ
ンに加熱溶融させ、その後、300mlの含水メタノー
ルで4回洗浄してホウ酸エステルを分解し、ホウ酸を除
去した後、ノルマルヘキサンを回収して、390gのヒ
ドロキシ脂肪酸メチルエステル(水酸基価104.0)
を得た。
【0054】上記のヒドロキシ脂肪酸メチルエステルを
減圧蒸留(蒸留温度160℃、減圧度0.1トール)
し、主留分として130.7g(回収率33.5重量
%)のα−ヒドロキシ脂肪酸メチルエステル(S13)
を、残渣として259.3g(回収率66.5重量%)
のω−ヒドロキシ脂肪酸メチルエステル(S14)を得
た。
【0055】<α−ヒドロキシ脂肪酸メチルエステル
(S13)>色調(GH)=1以下、酸価=1.1、S
V=180.1、水酸基価=164.3、融点=33.
6℃、不鹸化物=3.2重量%、臭=◎、純度=81.
0% <ω−ヒドロキシ脂肪酸メチルエステル(S14)>色
調(GH)=18以上、酸価=2.5、SV=119.
8、水酸基価=68.1、融点=50.8℃ 参考例4 参考例3で残渣として得られたω−ヒドロキシ脂肪酸メ
チルエステル200gを減圧蒸留(蒸留温度200℃、
減圧度0.1トール)し、主留分として14.6g(回
収率7.3重量%)のω−ヒドロキシ脂肪酸メチルエス
テル(S15)と185.4gの蒸留残渣を得た。
【0056】<ω−ヒドロキシ脂肪酸メチルエステル
(S15)>色調(GH)=11、酸価=0.8、SV
=120.0、水酸基価=90.3、融点=80.4
℃、臭=◎、純度=52.4重量% 参考例5 参考例2で得た非ヒドロキシ脂肪酸メチルエステル(S
3)、参考例3で得たα−ヒドロキシ脂肪酸メチルエス
テル(S13)及び参考例4で得たω−ヒドロキシ脂肪
酸メチルエステル(S15)のそれぞれを、苛性ソーダ
水溶液で加水分解し、それぞれ非ヒドロキシ脂肪酸(S
19)、α−ヒドロキシ脂肪酸(S20)及びω−ヒド
ロキシ脂肪酸(S21)を得た。各分析値を以下に示
す。
【0057】<非ヒドロキシ脂肪酸(S19)>色調
(GH)=1以下、酸価=177.8、SV=188.
3、水酸基価=11.0、融点=48.9℃、純度=9
2.0重量%、ヒドロキシ脂肪酸含有量=2.4重量% <α−ヒドロキシ脂肪酸(S20)>色調(GH)=
3、酸価=171.3、水酸基価=151.9、融点=
79.6℃、透明融点=75.4℃、鹸化価=183.
6 <ω−ヒドロキシ脂肪酸(S21)>色調(GH)=
9、酸価=110.5、水酸基価=101.5、融点=
115.8℃ 参考例6 融点54.9℃のラノリン脂肪酸をメチルエステル化し
て酸価0.6、鹸化価165.3、水酸基価44.2、
不鹸化物価1.8%、色調(GH)14の原料メチルエ
ステルを得た。この原料メチルエステル18.7kgに
ホウ酸0.62kgを加え、参考例1と同様にしてホウ
酸エステルを調製した。これを減圧蒸留(蒸留温度19
0℃、0.05トール)し、非ヒドロキシ脂肪酸メチル
エステル画分53%と、残渣としてヒドロキシ脂肪酸メ
チルエステル8.8kg(47%)を得た。残渣のホウ
酸エステルを加水分解してホウ酸を除去し、色調(G
H)18以上、酸価1.3、水酸基価78.1、融点5
6.9℃のヒドロキシ脂肪酸メチルエステルを得た。
【0058】このヒドロキシ脂肪酸メチルエステル5.
5kgを減圧蒸留(蒸留温度160℃、0.05トー
ル)し、α−ヒドロキシ脂肪酸メチルエステル1.4k
gを得た。更にこれを参考例5と同様にして加水分解し
て、次のα−ヒドロキシ脂肪酸(S22)を得た。
【0059】<α−ヒドロキシ脂肪酸(S22)>色調
(GH)=4−、酸価=184.2、水酸基価=16
9.4、鹸化価=174.6、融点=70.3℃、透明
融点=76.5℃、不鹸化物=1.4重量%、純度=8
2.8重量% 上記各参考例で得られた脂肪酸の組成を、ガスクロマト
グラフィー分析により調べた結果を表1及び表2に示
す。
【0060】尚、以下の表及び例では配合成分を下記記
号にて表示する場合がある。
【0061】GLYMSA モノステアリン酸グリセリル POBZ パラオキシ安息香酸エステル GLY グリセリン PG プロピレングリコール MCWAX マイクロクリスタリンワックス EtOH95 95%エタノール EOBA20 ポリオキシエチレン(20)ベヘニルエーテル EOTOAS60 ポリオキシエチレン(60)テトラオレイン酸ソ
ルビット LA ラノリンアルコール P70 流動パラフィン MOEO ポリオキシエチレンモノオレイン酸エステル TEA トリエタノールアミン CHO コレステロール ODL 軟質ラノリン脂肪酸オクチルドデシル TCP 酢酸d−α−トコフェロール MSEOS モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビ
タン(EO20) OALC オレイルアルコール CLEH 高融点ラノリン脂肪酸コレステロールエステ
ル LEEO3 ポリエキシエチレンラウリルエーテル(3E.
O.) LEEO23 ポリエキシエチレンラウリルエーテル(23E.
O.) LDEAM ラウリン酸ジエタノールアミド BEALC ベヘニルアルコール TOEOS ポリオキシエチレン(40)テトラオレイン酸
ソルビット BHT 酸化防止剤 BG 1,3-ブチレングリコール PAB 防腐・殺菌剤 CEALC セチルアルコール SS6.5 ショ糖ステアレート(HLB=6.5 ) HYECE ヒドロキシエチルセルロース LHSAM ラウリル硫酸アンモニウム LADBE ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン PPG5 PPG 5 Ceteth 10 Phosphate PROTE 動物性蛋白加水分解物
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】以下にステロールエステルの製造例及びこ
れを配合した化粧料の調製例(実施例1〜5)を示す。
【0065】製造例1 撹拌機、温度計、窒素ガス吹込み管及び水分離器を備え
た2Lの4ツ口フラスコに参考例5の非ヒドロキシ脂肪
酸(S19)を300gとコレステロール370gを仕
込み、次いで触媒としてパラトルエンスルホン酸を非ヒ
ドロキシ脂肪酸仕込量の1%加え、窒素ガス吹込下によ
く撹拌しつつ減圧下に120〜200℃で約5時間反応
させた。反応終了後、触媒を炭酸ソーダで中和し、活性
白土を用いて脱色後濾過して白土と触媒を除去し、次い
で200℃で減圧下に水蒸気を吹き込んで脱臭を行な
い、同時に微量残存する未反応のコレステロールを除去
して目的とする非ヒドロキシ脂肪酸のコレステロールエ
ステル(S24)592.4gを得た。
【0066】製造例2 製造例1記載のフラスコに参考例5のα−ヒドロキシ脂
肪酸(S20)300gとコレステロール367.3g
を加え、製造例1と同様にして目的とするα−ヒドロキ
シ脂肪酸コレステロールエステル(S25)542.0
gを得た。得られたS24及びS25の一般性状を表3
に示す。
【0067】
【表3】
【0068】実施例1 W/O型スキンクリームの調製 S25 1.0% レシチン 0.5 ワセリン 15.0 YOFCO FE−1(注1) 10.0 水 残部 (注1):分子蒸留ラノリン脂肪酸と2−オクチルドデ
カノールとのエステルを分別、精製した液状油(吉川製
油社製)。
【0069】上記各成分を用いて、良好な性状のW/O
型スキンクリームを調製した。
【0070】実施例2 O/W型乳液の調製 S24 0.2% P70 8.0 レシチン 2.0 水 残部 上記各成分を用いて、良好な性状のW/O型乳液を調製
した。
【0071】実施例3 スキンケアクリーム S25 1.5% 白色ペトロラタム 1.5 YOFCO FE−101(注2) 1.5 ビーズワックス 2.0 ステアリン酸 10.0 TEA 1.5 GLY 8.0 マグネシウムステアレート 20.0 水 残部 (注2):分子蒸留ラノリン脂肪酸と2−オクチルドデ
カノールとのエステルを分別、精製した固形部のペース
ト状油(吉川製油社製)。
【0072】上記各成分を用いて、良好な性状のスキン
ケアクリームを調製した。
【0073】実施例4 コールドクリーム P70 50.0% 密ロウ 15.0 S24 5.0 ホウ砂 0.8 水 残部 香料 適量 上記各成分を用いて、良好な性状のコールドクリームを
調製した。
【0074】実施例5 口紅 オレイルアルコール 25.6% セタノール 5.0 ヒマシ油 31.0 密ロウ 6.0 ペトロラタム 5.0 カルナバワックス 5.0 S25 4.0 ラノリン 10.0 エオシン酸 0.4 顔料 8.0 香料 適量 上記各成分を用いて、良好な性状の口紅を調製した。
【0075】本発明化粧料の性能を知る一端として試料
S24の製品について女性10人に試用試験を依頼し
た。試験方法は就寝前に試料を手の甲に塗布し、塗布時
の試料の拡張性、皮膚への吸収性及び皮膚表面に残る好
ましくない油状の感触の有無等について及び翌日起床時
の皮膚表面の滑らかさ、しなやかさやしっとりした潤い
等の感触についての感想を調査した結果ほぼ全員が塗布
時の皮膚への吸収性がよいため不快な液状感触を残さな
い点、及び起床時の皮膚表面の感触の良さを認めてお
り、本発明の所期の目的が達成されていることが判っ
た。
【0076】以下、本発明2エチルヘキサノールエステ
ルの製造例を、ラノリン脂肪酸を原料とした同エステル
の製造例(比較例1)と共に示し、次いで之等を配合し
た化粧料の調製例(実施例6〜9)を示す。
【0077】製造例3 撹拌機、温度計、窒素ガス吹込み管、検水管を備えた1
Lの4つ口フラスコに非ヒドロキシ脂肪酸(S19)を
316g、2エチルヘキサノールを143g仕込み、触
媒としてパラトルエンスルホン酸を5g加え、窒素ガス
吹込み下に撹拌しながら100〜150℃で5時間反応
させた。反応終了後、触媒を炭酸ソーダで中和し、活性
白土を用いて脱色後濾過し、次いで150℃で減圧下に
水蒸気を吹き込んで脱臭を行ない目的とする非ヒドロキ
シ脂肪酸2エチルヘキサノールエステル(S26)40
5gを得た。
【0078】製造例4 製造例3に記載のフラスコにα−ヒドロキシ脂肪酸メチ
ル(参考例3と同様にして得たもの、酸価0.9、けん
化価175.4、水酸基価167.9、融点32.4
℃)を320g、2エチルヘキサノールを143g仕込
み、触媒としてナトリウムメチラート2gを加え、窒素
ガス吹込み下に撹拌しながら100〜150℃で5時間
反応させた。反応終了後、触媒を常法の水洗により除去
し、活性白土を用いて脱色後濾過し、次いで150℃で
減圧下に水蒸気を吹き込んで脱臭を行い目的とするα−
ヒドロキシ脂肪酸2エチルヘキサノールエステル(S2
7)400gを得た。
【0079】比較例1 非ヒドロキシ脂肪酸(S19)に代え、蒸留ラノリン脂
肪酸(酸価187、水酸基価42.7、融点49.2)
300gを用いた以外は、製造例3と同じ条件にて反
応、精製を行った。蒸留ラノリン脂肪酸の2エチルヘキ
サノールエステル(S28)の収量は390gであっ
た。
【0080】表4に上記製造例3、製造例4及び比較例
1で製造した各エステルの一般分析値並びに比重及び粘
度を示す。
【0081】
【表4】
【0082】非ヒドロキシ脂肪酸のエステルは比重、粘
度が低く化粧料の油性成分として使用する場合ベタツキ
を残さずサラッとした軽い感じを与える。
【0083】表5には製造例3、製造例4及び比較例1
で製造した各エステルの溶剤、油脂及び流動パラフィン
に対する相溶性(5g/100ml)を示す。
【0084】
【表5】
【0085】表5のエステルの相溶性テスト結果から、
非ヒドロキシ脂肪酸の2エチルヘキサノールエステルは
低温においても非極性の流動パランフィンとの相溶性が
良く、一方α−ヒドロキシ脂肪酸の2エチルヘキサノー
ルエステルは極性溶剤に対する溶解性が高く、含水エタ
ノール(95.0%エタノール)とも良く相溶した。通
常、実際の処方に際しては可溶化剤を使用するため、配
合時には更に相溶性は良くなる。
【0086】実施例6 クリームの調製 スクワラン 23.0% セタノール 7.0 コレステロール 2.0 S27 10.0 酢酸dl−α−トコフェロール 0.2 モノステアリン酸ソルビタン 3.5 モノステアリン酸ポリオキシエチ レンソルビタン(EO20モル) 6.5 プロピレングリコール 5.0 パラオキシ安息香酸エステル 0.2 香料 微量 精製水 42.6 合計 100.0 上記組成のクリームを調製した。得られたクリームは良
好なつやのあるW/O型のクリームであり、長期にわた
り安定で、かつ肌馴染みの良い優れた使用感であった。
【0087】実施例7 ヘアークリームの調製 油相 ミツロウ 3.0% 流動パラフィン 15.0 マイクロクリスタリンワックス 5.0 ベヘニルアルコール 1.0 S26 15.0 EOBA20 2.0 EOTOAS60 1.0 ステアリン酸モノグリセリンエステル 2.5 酸化防止剤 適量 水相 1,3−ブチレングリコール 5.0% 防腐・殺菌剤 適量 香料 適量 精製水を加えて 100.0% 上記組成のヘアークリームを調製した。得られたヘヤー
クリームはきめの細かい乳液状のW/O型クリームであ
り、長期間安定であり、使用に際してベト付かず、ソフ
トな感じを与えた。
【0088】実施例8 ヘアーオイルの調製 流動パラフィン(70秒) 33.0% ヒマシ油 33.0 S26 34.0 香料 適量 香料可溶化剤 適量 色素、酸化防止剤 適量 上記組成のヘアーオイルを調製した。得られたヘアオイ
ルは使用に際してベト付かず、適度の光沢を与えた。
【0089】実施例9 軟膏状油性ファンデーションの
調製 基剤 流動パラフィン 13.0% S27 15.0 オクチルドデカノール 7.0 酢酸ラノリン 4.0 マイクロクリスタリンワックス 12.0 セレシン 7.0 ステアリン酸モノエタノールアミド 2.0 酸化防止剤、防腐剤、殺菌剤 適量 顔料 酸化チタン 15.0 タルク 15.0 カオリン 6.0 無機顔料 4.0 香料 適量 上記組成の軟膏状油性ファンデーションを調製した。得
られた油性ファンデーションは皮膚へののび、付着性が
良く、化粧くずれがしなかった。
【0090】本発明品と従来品とを比較するため、実施
例6、7、8及び9において用いたS26及びS27
を、S28に置き換えた対応する比較品2、3、4及び
5を試作し、その使用感を比較した。
【0091】比較試験は、実施例6及び実施例9で得た
本発明品については10人の女性を対象に試用試験を行
い、使用時の使用感を比較した。また、実施例7及び実
施例8で得た本発明品については10人の男性を対象に
試用試験を行い、使用時の使用感を比較した。
【0092】その結果、実施例6及び実施例9の本発明
品は、全員の女性が皮膚になじみ易く、しなやかで、し
っとりした潤い感があることを認めた。また、実施例7
及び実施例8の本発明品は、全員の男性が、ベタ付きが
なく、サラッとした使用感を認めた。
【0093】以下、ペンタエリスリットエステル及びジ
ペンタエリスリットエステルの製造例及びこれを配合し
た化粧料の調製例(実施例10〜12)を示す。
【0094】製造例5 製造例1と同じ装置を用いて非ヒドロキシ脂肪酸(参考
例5と同様にして得られたもの、酸価202.4、ケン
化価203.7、水酸基価14.9、融点35.7℃)
150g(0.56モル)とペンタエリスリット38.
1g(0.28モル)を窒素気流下に加熱攪拌し、22
0℃〜240℃で2〜3時間反応し、酸価が2以下にな
るのを確認した後、80℃まで放冷し、活性白土4g、
濾過助剤0.5gを添加して、この温度を維持したまま
約30分間攪拌を続けた。その後、加圧濾過により非ヒ
ドロキシ脂肪酸ペンタエリスリットエステル(S29)
178gを得た。また、脂肪酸をラノリン脂肪酸(L
F)に代えて同様にして、ラノリン脂肪酸ペンタエリス
リットエステル(LFP)を得た。
【0095】製造例6 製造例5と同様にして、同非ヒドロキシ脂肪酸150g
(0.56モル)とジペンタエリスリット47.4g
(0.19モル)を窒素気流下に加熱攪拌し、220℃
〜240℃で2〜3時間反応し、酸価が2以下になるの
を確認した後、80℃まで放冷し、活性白土4g、濾過
助剤0.5gを添加してこの温度を維持したまま約30
分攪拌を続け、その後加圧濾過により非ヒドロキシ脂肪
酸ジペンタエリスリットエステル(S30)187.5
gを得た。
【0096】製造例7 製造例5と同様にしてにα−ヒドロキシ脂肪酸(S2
2)150g(0.49モル)とペンタエリスリット3
4.0g(0.25モル)を加え、製造例5と同様に反
応させ、α−ヒドロキシ脂肪酸ペンタエリスリットエス
テル(S31)168gを得た。
【0097】製造例8 製造例5と同様にしてS22の150g(0.49モ
ル)とジペンタエリスリット40.6g(0.16モ
ル)を加え、製造例5と同様に反応させ、α−ヒドロキ
シ脂肪酸ジペンタエリスリットエステル(S32)17
5gを得た。
【0098】上記製造例5、6、7及び8で得られた各
エステルの分析値を表6に示す。
【0099】
【表6】
【0100】実施例10 製造例5、6、7及び8で得た各エステルを乳化剤とし
て用い、W/Oクリーム用乳化剤としての性能評価を行
なうために下記処方でクリームを作り、その安定性及び
使用感をテストした。結果を表7に示す。
【0101】但し使用感は、10人の評価者による官能
試験(評価者の平均点による表示)で評価したものであ
り、該評価は非ヒドロキシ脂肪酸とα−ヒドロキシ脂肪
酸とに分画していないラノリン脂肪酸のペンタエリスリ
ットエステル(LFP)を配合した場合を基準として、
次のことを示す。
【0102】◎…著しい改善が認められる ○…LFPを配合した場合とほぼ同じ ×…改善が認められない 〈クリーム処方〉 油性成分A 乳化剤 20.0% セチルアルコ−ル 15.0 オゾケライト 30.0 固形パラフィン 20.0 ワセリン 20.0 パラフィン油 250.0 水相B 硫酸マグネシウム 5.0 グリセリン 30.0 水 608.0 香料 2.0 製法:油性成分A、水相Bをそれぞれ別々に加えて70
℃に加温し、Aを攪拌しながら、Bを徐々に添加する。
暫く攪拌を行なった後、ホモミキサーで均一に乳化し、
攪拌しながら室温まで冷却する。
【0103】
【表7】
【0104】実施例11 エモリエントローション、クリーム及び口紅の処方にS
29からS32をそれぞれ配合し、また比較例としてL
FP又はLAを代わりに配合した例を表8、表9及び表
10にそれぞれ示す。
【0105】
【表8】
【0106】製法:A、Bをそれぞれ別々に加えて70
℃に加温し、Aを攪拌しながら、Bを徐々に添加する。
暫く攪拌を行なった後、ホモミキサーで均一に乳化し、
攪拌しながら室温まで冷却する。
【0107】
【表9】
【0108】製法:エモリエントローションの配合1に
同じ。
【0109】
【表10】
【0110】製法:基剤成分を混合し加熱溶解して均一
にする。これに顔料を加えてロールミルでねり均一に分
散させた後、再融解し脱泡して容器に流し込み急冷して
固める。
【0111】上記処方で調整したエモリエントローショ
ン、クリーム及び口紅を10人の評価者に使用して貰
い、官能試験の結果(評価者の平均点による表示)を表
11に示した。
【0112】
【表11】
【0113】実施例12 ヘアソリッド及びヘアクリームの配合に、S29からS
32をそれぞれ配合し、その使用感をLFP、LAを代
わりに配合して作成した比較例7及び8と対比した。結
果を表12及び表13にそれぞれ示す。
【0114】
【表12】
【0115】
【表13】
【0116】上記で調整したヘアソリッド及びヘアロー
ションを女性(年齢19〜55)10名及び男性(年齢
20〜65)10名に使用させて調べた。配合品と比較
品の結果を表14に示す。
【0117】
【表14】
【0118】以下、グリセリンエステルの製造例、得ら
れたエステルを配合した化粧料の処方例(実施例13〜
14)を示す。
【0119】尚、非ヒドロキシ脂肪酸とグリセリン或い
はヒドロキシ脂肪酸とグリセリンとのエステル化反応に
よれば、モノ−、ジ−、トリ−及び之等の混合エステル
が得られる。一般的方法によれば、モノエステル30〜
90%、ジエステル30〜50%及びトリエステル1〜
15%からなる組成のエステルが得られる。
【0120】製造例9 製造例1と同様の装置を用いて製造例5と同じ非ヒドロ
キシ脂肪酸120gを窒素気流下に加熱溶解し、ヨウ化
テトラエチルアンモニウム1.11gを添加した。温度
が106℃に到達したらグリシドール49.7gを約3
時間かけて添加した。添加終了後、反応温度を106〜
110℃に維持し反応の熟成を行なった。反応終了後、
80℃まで放冷し活性白土5g、濾過助剤1.2gを添
加して約30分攪拌後、加圧濾過し、非ヒドロキシ脂肪
酸グリセライド(S33)160gを得た。
【0121】同様にして脂肪酸をラノリン脂肪酸に代え
てラノリン脂肪酸グリセライド(LFGL)を得た。
【0122】製造例10 製造例1に記載のフラスコに非ヒドロキシ脂肪酸(S1
9)120gとグリセリン18.4gを200℃で5時
間反応した後、製造例9と同様に加圧濾過し、非ヒドロ
キシ脂肪酸グリセライド(S34)101.6gを得
た。
【0123】製造例11 脂肪酸を非ヒドロキシ脂肪酸メチルエステル(参考例2
と同様にして得たもの、けん化価194.4、水酸基価
19.3、曇点19.0℃)120gにグリセリン1
4.0gを加え、ナトリウムメチラート1.6gを触媒
として添加し、150〜200℃で4時間反応させた
後、製造例1と同様に加圧濾過し、非ヒドロキシ脂肪酸
グリセライド(S35)72gを得た。
【0124】製造例12 脂肪酸をS22の120gに代えグリシドール45.3
gを使用した以外は、製造例1と同じ条件で反応させ、
同様に加圧濾過を行いαーヒドロキシ脂肪酸グリセライ
ド(S36)158gを得た。
【0125】製造例13 製造例9と同様にしてヒドロキシ脂肪酸(参考例2と同
様にして得たもの、酸価184.9、水酸基価165.
0、融点63.3℃)120gにグリセリン19.1g
を加え、窒素気流下、160〜200℃で3時間反応し
た後、加圧濾過を行ないヒドロキシ脂肪酸グリセリド
(S37)92.8gを得た。
【0126】製造例14 製造例1に記載のフラスコにヒドロキシ脂肪酸メチルエ
ステル(参考例2と同様にして得たもの、けん化価17
9.5、水酸基価111.4、融点28.0℃)120
gにグリセリン38.9gを加え、製造例3と同様に反
応を行ないヒドロキシ脂肪酸グリセリド(S38)9
3.0gを得た。
【0127】製造例9から製造例14で得られた各エス
テルの分析値を表15に示す。
【0128】
【表15】
【0129】また製造例9から製造例14で得られたサ
ンプルについて、水溶性試験を行なうために水添加時の
状態を観察した。結果を表16に示す。試験はサンプル
2gをビーカー中で加熱溶解し、70℃の蒸留水100
mlを添加後、その温度を保って約1時間攪拌し、その
後放冷して行なった。
【0130】
【表16】
【0131】尚、ステアリン酸モノグリセリド(GLYMSA)
としては、花王(株)製エキセルを使用した。
【0132】実施例13 S33からS38及び比較としてLFGL及びLAを用
いてハンドクリーム、クレンジングクリーム及び口紅に
配合した例を表17、表18及び表19にそれぞれ示
す。
【0133】
【表17】
【0134】製法:A、Bをそれぞれ別々に加えて70
℃に加温し、Aを攪拌しながら、Bを徐々に添加する。
暫く攪拌を行なった後、ホモミキサーで均一に乳化し、
攪拌しながら室温まで冷却する。
【0135】
【表18】
【0136】製法:ハンドクリームの配合1に同じ。
【0137】
【表19】
【0138】製法:基剤成分を混合し加熱溶解して均一
にする。これに顔料を加えてロールミルでねり均一に分
散させた後、再融解し脱泡して容器に流し込み急冷して
固める。
【0139】上記処方で調整したハンドクリーム、クレ
ンジングクリーム及び口紅を10人の評価者に使用して
もらい、官能試験の結果(評価者の平均点による表示)
を表20に示した。
【0140】
【表20】
【0141】実施例14 下記表21記載の処方の液体整髪料に、S33からS3
8、LFGL及びLAのそれぞれを配合し、その使用感
を検討した。
【0142】
【表21】
【0143】製法:表21の成分を充分攪拌混合後、濾
過して製品とする。
【0144】上記で調整した液体整髪料を女性(年齢1
9〜55)10名及び男性(年齢20〜65)10名に
使用させて調べた。配合品と比較品の結果を表22に示
す。
【0145】
【表22】
【0146】以下、本発明ショ糖エステルの製造例を挙
げ、次いで之等を配合した化粧料の調製例(実施例15
〜16)を示す。
【0147】製造例15 ショ糖342gに非ヒドロキシ脂肪酸メチルエステル
(参考例2と同様にして製造したもの、GH=1−、A
V=0.3、SV=194.4、OHV=19.3、C
P=19℃、IV=4.9、ヒドロキシ脂肪酸含有量=
4.98%)96gを加え、混合物をDMF1.5lに
溶かし、60℃に加温後、ナトリウムメチラート0.0
7モルを触媒として加え、60℃で3時間反応させ、次
いで、10〜20mmHgにて沸騰湯浴上でDMFの2
/3を留去し、残液を350mlのヘキサンで8回抽出
し、未反応のメチルエステルを除去した。抽出残液を5
倍容のアセトンで希釈し、未反応のショ糖を沈澱させ、
除去し、アセトンを留去し、4倍量の水に溶かした後、
5%食塩水を加え、90℃に加温し、上層に分離した粗
ショ糖エステル(100g)を分離し乾燥した。これを
シリカゲルカラムクロマトにより更に精製して、ショ糖
エステル(S39)62gをIPA分画として得た。
【0148】上記において用いた脂肪酸成分をα−ヒド
ロキシ脂肪酸メチルエステルに代え、同様にしてα−ヒ
ドロキシ脂肪酸のショ糖エステル(S40)を得た。
【0149】得られた各エステルの組成をTLC−FI
D(イアトロスキャン、ヤトロン社)により分析した。
【0150】上記エステル組成と共に、S39及びS4
0の一般分析値及び性状を表23に示す。
【0151】
【表23】
【0152】また表24にS39及びS40の各種溶媒
に対する相溶性を示す。但し表中SCは透明溶解を、STは
半透明溶解を、P は部分溶解(濁り又は1部に沈澱有
り)を、S は固化を、I は不溶をそれぞれ示す。
【0153】
【表24】
【0154】上記ショ糖エステルは反応条件を代えるこ
とによりモノエステル含有量を変化させ得、種々のHL
Bのものを調製できる。ショ糖エステルは食品工業分野
においては安全な親水性の乳化剤として多く使われてい
るが、それ以外にも皮膚科学的に無害であり、生体に対
して無毒であり、目的に応じた界面活性を有するものを
得られる等の理由で化粧品用の界面活性剤として使用す
ることができる。
【0155】実施例15 O/Wエマルジョンの調製 下記各配合処方にてO/Wエマルジョンを調製した。
【0156】
【表25】
【0157】製法:HYECE を精製水及びPGに溶かし、8
0℃に加熱する。またP70 、CEALC及びショ糖エステル
を混ぜ撹拌しながら80℃に加熱する。上記油相に上記
水相を徐々に加え、混合終了後15分撹拌した後撹拌し
ながら冷却して、クリームを得る。
【0158】かくして、光沢のある安定なエマルジョン
が得られ、このものはこの種O/Wエマルジョンにあり
がちな放置後の粒子生成も認められなかった。
【0159】実施例16 コンディショニングシャンプ
ーの調製 下記各配合成分を緩く加熱しながら混合し、pHを6.
0〜6.5に調節して、コンディショニングシャンプー
を調製した。
【0160】
【表26】
【0161】ショ糖エステルを配合することにより刺激
性がなく櫛通り、髪の湿潤性に優れたシャンプーを得る
ことができる。
【0162】以下、本発明高級アルコールエステルの製
造例を挙げ、次いで之等を配合した化粧料の調製例(実
施例17〜20)を示す。
【0163】製造例16 製造例1と同様にして、非ヒドロキシ脂肪酸(参考例5
と同様にして製造したNH、酸価=206.4、ケン化
価=208.6、GH=2、OHV=23.3、融点=
33.6)100gと、エヌジェコール200A 11
4g及びパラトルエンスルホン酸1gを仕込み、95〜
100℃で4時間反応させた。反応後、触媒及び未反応
のNHを中和、脱酸、水洗して、非ヒドロキシ脂肪酸の
エヌジェコールエステル(S41)200gを得た。
【0164】また上記脂肪酸を本発明α−ヒドロキシ脂
肪酸に代え、同様にしてα−ヒドロキシ脂肪酸のエヌジ
ェコールエステル(S42)179gを得た。
【0165】更に上記においてアルコール成分としてオ
レイルアルコール98.6gを用いて同様にして、非ヒ
ドロキシ脂肪酸のオレイルアルコールエステル(S4
3)188gを得た。得られた各エステルの一般分析値
を表27に示す。
【0166】
【表27】
【0167】各エステルの所定温度下での、各種溶媒と
の相溶性(1g/20ml)を表28(相溶性を示す略
号は表24に同じ)に示す。
【0168】
【表28】
【0169】S41の曇り点(CP)は−10℃以下と
非常に低く、皮膚に塗布した時の感触も伸びがあり、軽
い感じを与える。S42も7℃と同様に低いCPを持つ
と共に、極性の溶媒、オイルに対する相溶性がS41よ
り優れる特徴がある。従って、之等のエステルは通常の
基油としてだけでなく、低温流動性に富むエステルとし
て、流動点が約−12℃の流動パラフィンの代わりに用
いて、相溶性に優れるだけでなく、流動パラフィンに比
し水蒸気透過性に優れ、皮膚呼吸を妨げない非常に優れ
た化粧料を得ることができる。
【0170】また化粧料の配合処方にオリーブ油等の植
物油、オレイルアルコール等の極性のある成分を用いる
場合には、之等との相溶性の点からS42を選ぶ方がい
い場合もある。
【0171】実施例17 バニシングクリームの調製 表29に示す処方にてバニシングクリームを調製した。
即ち、表29に示すA及びBをそれぞれ別々に混合し、
70℃に加温し、AをBに攪拌しながら徐々に添加し、
しばらく攪拌を行った後、ホモミキサーで均一に乳化
し、攪拌しながら室温まで冷却した。
【0172】
【表29】
【0173】実施例18 スキンクリームの調製 実施例1において、YOFCO FE−1に代えて、上
記で得たS41及びS42のそれぞれを配合して、W/
O型スキンクリームを調製した。
【0174】実施例19 ファンデーション及び口紅の
調製 S41及びS42のそれぞれを用い、下記処方にて油性
軟膏型ファンデーション、乳液状ファンデーション及び
口紅を調製した。
【0175】油性軟膏型ファンデーションは、顔料を混
合し、別に基剤を混合し加熱融解して均一にした後、該
融解した基剤に顔料を加え、混合物をロールミルで練
り、調色した後、撹拌しながら室温まで冷却し、容器に
入れて放冷して調整した。
【0176】乳液状ファンデーションは、下記1〜5に
より調整した。
【0177】1.顔料を調製し、よく混合、粉砕する。
【0178】2.別に基剤Aを混合し加熱融解する。
【0179】3.基剤Bは、精製水を70℃にし、これ
にベントナイトを加え、これに予めプロピレングリコー
ルに分散させたカルボキシルメチルセルロースナトリウ
ムを加えて溶解し、これにトリエタノールアミンを加え
て溶解し、調製する。4.1の顔料を3の基剤Bに撹拌
しながら加える。加え終ったらコロイドミルに通す。
【0180】5.4の顔料分散液を75℃、2の基剤A
を80℃に加熱した後、2を4に撹拌しながら加えた
後、そのまま撹拌しながら室温まで冷却する。
【0181】また、口紅は、基剤を混合し加熱融解して
均一にし、これに顔料を加えてロールミルで混練し均一
に分散させた後、再融解し脱泡して容器に流し込み入れ
急冷して固めることにより調整した。
【0182】 かくして得られた各化粧料は、パネラーによる試用の結
果、クリームの状態、肌へののび及び使用感のいずれに
おいても良好なものであった。
【0183】実施例20 ヘアークリームの調製 S41及びS42のそれぞれを用いて、下記処方により
ヘアークリームを調製した。即ち、Aを混合し80℃加
温溶解し、別にBを約85℃にし、撹拌しながらBにA
を加え、そのまま室温まで冷却してヘアークリームを調
製した。
【0184】 かくして得られたクリームのパネラーによる試用結果
は、髪のつや、櫛通り性及び使用感のいずれにおいても
良好であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61K 7/075 A61K 7/075 7/48 7/48 (31)優先権主張番号 特願平4−257101 (32)優先日 平成4年8月11日(1992.8.11) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 大崎 雅勝 兵庫県加古川市野口町北野(番地なし) 吉川製油株式会社内 (56)参考文献 特開 昭53−18738(JP,A) 特開 昭54−49336(JP,A) 特開 昭60−199809(JP,A) 特開 昭60−239406(JP,A) 特開 平4−164014(JP,A) 特開 昭60−126211(JP,A) 特開 平4−108711(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/00 - 7/50

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素数10-30のイソ型脂肪酸30-45重量
    %、炭素数11-31のアンテイソ型脂肪酸30-50重量%、炭
    素数10-30のノルマル型脂肪酸10-30重量%を含有し、上
    記イソ型脂肪酸とアンテイソ型脂肪酸との合計が少なく
    と60重量%であり且つヒドロキシ脂肪酸の含有量が10%
    未満であるラノリン由来の非ヒドロキシ脂肪酸の、ステ
    ロールエステル、糖エステル、2エチルヘキサノールエ
    ステル、高級アルコールエステル及び多価アルコールエ
    ステルから選ばれるエステル類を含む化粧料及び外用
  2. 【請求項2】 炭素数14以上のα-ヒドロキシ脂肪酸を
    少なくとも60重量%含み、この内ノルマル型α-ヒドロ
    キシ脂肪酸が50-70重量%、イソ型α-ヒドロキシ脂肪酸
    が10-30重量%及びアンテイソ型α-ヒドロキシ脂肪酸が
    0-15重量%であり且つω-ヒドロキシ脂肪酸の含有量が0
    -15重量%であるラノリン由来のヒドロキシ脂肪酸の、
    ステロールエステル、糖エステル、2エチルヘキサノー
    ルエステル、高級アルコールエステル及び多価アルコー
    ルエステルから選ばれるエステル類を含む化粧料及び外
    用薬
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