JP2981558B2 - 可逆的熱発色性組成物、それを用いた記録媒体および記録方法 - Google Patents

可逆的熱発色性組成物、それを用いた記録媒体および記録方法

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JP2981558B2 JP35507891A JP35507891A JP2981558B2 JP 2981558 B2 JP2981558 B2 JP 2981558B2 JP 35507891 A JP35507891 A JP 35507891A JP 35507891 A JP35507891 A JP 35507891A JP 2981558 B2 JP2981558 B2 JP 2981558B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子供与性呈色性化合
物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した可逆
的熱発色性組成物に関するものである。また本発明は、
この組成物を用いた可逆的感熱記録媒体、表示体、それ
らの製造方法、記録方法、表示方法及び表示装置に関す
るものである。さらに、本発明は、前記組成物を利用し
た可逆的多色感熱記録媒体、多色表示体、情報記録媒体
及び光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子供与性呈色性化合物(以下、
発色剤とも言う)と電子受容性化合物(以下、顕色剤と
も言う)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広
く知られ、電子計算機のアウトプット、ファクシミリ、
自動券売機、科学計測機のプリンター、CRT医療計測
用プリンター等に広範囲に応用されている。しかし、従
来の製品はいずれもその発色が不可逆的なもので、発色
と消色を交互に繰り返し行わせることはできない。一
方、特許公報によれば、発色剤と顕色剤との間の発色反
応を利用した感熱記録媒体において、発色と消色を可逆
的に行わせるものもいくつか提案されている。例えば、
特開昭60−193691号によれば、顕色剤として没
食子酸とフロログルシノールとの組合せを用いたものが
示されている。このものを熱発色させて得られる発色体
は水又は水蒸気で消色するものである。しかし、この感
熱記録媒体の場合、その耐水化に困難が伴う上に記録保
存性に難点があり、さらに発色体を消色させるための消
色装置が大型になるという問題がある。特開昭61−2
37684号には、顕色剤にフェノールフタレン、チモ
ールフタレン、ビスフェノール等の化合物を用いた書換
形光記録媒体が示されている。このものは、これを加熱
し徐冷することにより発色体を形成し、一方、発色体を
発色濃度よりもいったん高い温度に加熱した後、急冷す
ることにより消色させることができる。しかし、この記
録媒体の場合、その発色及び消色の工程が複雑である
上、発色体を消色させて得られる消色体に未だ幾分の着
色が見られ、コントラストの良い発色画像を得ることが
できない。特開昭62−140881号、特開昭62−
138568号及び特開昭62−138556号には、
発色剤と顕色剤とカルボン酸エステルの三成分からなる
可逆発色組成物が示されている。このものは低温で完全
着色状態、高温で完全消色状態を示し、それらの中間温
度で着色又は消色状態を保持させることができるもの
で、この媒体にサーマルヘッドで印字することにより、
着色地肌(発色体)の上に白色文字(消色体)を記録す
ることができる。従って、この記録媒体の場合、記録さ
れる画像がネガ画像であることから、その用途が限定さ
れる上、記録画像の保存のために画像を特定の温度範囲
内に保持する必要がある。特開平2−188294号及
び特開平2−188293号には、それぞれ発色剤に対
して、顕色作用と減色作用を可逆的に行う没食子酸と高
級脂肪族アミンとの塩、またはビス(ヒドロキシフェニ
ル)酢酸又は酪酸と高級脂肪族アミンとの塩を用いた可
逆性感熱記録媒体が示されている。このものは、特定温
度以上への加熱および急冷で発色し、同様の温度への加
熱および徐冷で消色する。しかしその顕色作用と減色作
用とは競争的に起るため、これらの作用を熱的に制御す
ることがむずかしく、良好な画像コントラストが得られ
にくい。以上のように、発色剤と顕色剤との反応を利用
した従来の可逆的感熱記録媒体は種々の問題点を含み、
実用上満足できるものではなかった。
【0003】本発明者らは、先に、特定のフルオラン化
合物とアスコルビン酸−6−O−アシル誘導体とを主成
分とする可逆性記録材料を提案した(特開昭63−17
3684号)。この記録材料は、一時的に90℃以上の
高温に加熱することにより発色状態とすることができ、
さらに65〜90℃の範囲の高温に再び加熱することに
より消色状態とすることができるものであり、熱だけで
記録と消去が繰り返せるという特徴を持っていた。しか
し、この記録材料の発色状態は、必ずしも安定とは言い
難く、たとえば、発色状態の記録媒体面に水などが付着
するとすぐに消色して画像が消えてしまったり、高湿下
で保存すると消色が進み画像濃度が低下していくという
問題があった。さらに、再加熱による消色も十分とは言
えず、地肌部と同じレベルまでは濃度が下らず、画像残
りの問題もあった。したがって、実用化のためにはこれ
らの問題点を解決する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、発色剤と顕
色剤との間の反応を利用した可逆的熱発色性組成物にお
いて従来技術に見られる前記の問題点を解決し、発色と
消色を加熱のみで容易に行なわせることができ、しかも
その発色状態と消色状態を常温において安定に保持する
ことが可能で、かつ消色温度が発色温度より低い可逆的
熱発色組成物を提供することを課題とする。また本発明
は上記の組成物を用いて、安定した発色状態と消し残り
のない消色状態が得られ、発色と消色の繰り返しが安定
して行なえる可逆的感熱記録媒体および表示体を提供す
るとともに、それら記録媒体および表示体を用いる記録
方法および表示方法と、表示装置を提供し、さらに上記
の組成物を用いた多色表示体、情報記録媒体および光記
録媒体を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するために、先ず、発色剤であるフルオラン化合
物とアスコルビン酸−6−O−アシル誘導体の可逆的発
色現象について、各種の見地から研究を進めた。当初、
この現象は、特定のフルオラン化合物に対し、顕色剤と
しては一般的な、たとえばフェノール性水酸基を持つ化
合物ではなく、特殊な構造を持つアスコルビン酸を組合
わせた場合についてのみ現われたため、アスコルビン酸
の顕色能を持つ構造、すなわちカルボニル基に隣接した
ビニレン基の炭素に水酸基を持つ構造に注目したが、発
色、消色のメカニズムはわからなかった。その後、アス
コルビン酸の顕色能を持つ部分だけでなく、分子全体の
構造へと見方を変えて更に研究を進めた結果、特にアシ
ル基部分の脂肪族基の長さにより消色性が変化すること
を見出した。そこで、この長鎖構造に着目し、様々な化
合物を用いて研究したところ、可逆的な発色消色現象
が、アスコルビン酸−6−O−アシル誘導体だけでな
く、多くの化合物についても発現することがわかった。
その結果結論として、長鎖構造をもつ顕色剤を用いた発
色状態の組成物を、顕色剤と発色剤が溶融・混合して発
色する温度より低い温度へ再加熱したときに起る消色
は、顕色剤が単独で結晶化して発色剤と分離するためで
あることを解明し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明によれば、電子供与性呈色性
化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した
熱発色性組成物であり、溶融温度以上への加熱で発色
し、溶融温度以下への加熱で消色する可逆的熱発色性組
成物であって、電子受容性化合物として、ホスホン酸
合物、脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール化合物
であって、炭素数12以上の脂肪族基を持つ化合物を用
いるとともに、この電子受容性化合物と電子供与性呈色
性化合物を加熱・溶融、急冷して得た発色状態の混合物
の示差走査熱量分析または示差熱分析における昇温過程
で、発熱ピークを示す電子受容性化合物と電子供給性呈
色性化合物の組合せを用いることを特徴とし、溶融温度
以上への一時的加熱により発色状態をとり、溶融温度よ
り低い温度への一時的加熱により消色状態をとることが
可能な可逆的熱発色性組成物が提供される。また、本発
明によれば、この組成物を利用した各種の記録媒体、表
示体、記録方法及び表示装置が提供される。本発明の可
逆的熱発色性組成物の発色状態は、常温において安定し
てその状態を保持できるものであり、また、発色状態の
再加熱によって得られる消色状態も常温において安定に
存在し、しかもその消色の程度は極めてすぐれている。
【0007】本発明の可逆的熱発色性組成物に用いられ
る顕色剤は、基本的に分子内に発色剤を発色させること
ができる顕色能を示す構造と、分子間の凝集力をコント
ロールする長い脂肪族鎖状構造部分を合わせ持つ化合物
であり、炭素数12以上の脂肪族基を持つホスホン酸
合物、脂肪族カルボン酸化合物あるいはフェノール化合
物である。脂肪族基は、直鎖状または分枝状のアルキル
基、アルケニル基が包含され、ハロゲン、アルコキシ
基、エステル基等の置換基を有していてもよい。
【0008】ホスホン酸化合物としては、下記一般式
(1)で表わされる化合物が用いられる。 R1−PO(OH)2 (1) (ただし、R1は炭素数12以上の脂肪族基を表わす)
一般式(1)で表わされる有機リン酸化合物の具体例と
しては、たとえば以下のものが挙げられる。ドデシルホ
スホン酸、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホス
ホン酸、オクタデシルホスホン酸、エイコシルホスホン
酸、ドコシルホスホン酸、テトラコシルホスホン酸、ヘ
キサコシルホスホン酸、オクタコシルホスホン酸等。
【0009】脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一
般式(2)で表わされるα−ヒドロキシ脂肪酸類が用い
られる。 R−CH(OH)−COOH (2) (ただし、Rは炭素数12以上の脂肪族基を表わす)
一般式(2)で表わされるα−ヒドロキシ脂肪族カルボ
ン酸化合物としては、たとえば以下のものが挙げられ
る。α−ヒドロキシドデカン酸、α−ヒドロキシテトラ
デカン酸、α−ヒドロキシヘキサデカン酸、α−ヒドロ
キシオクタデカン酸、α−ヒドロキシペンタデカン酸、
α−ヒドロキシエイコサン酸、α−ヒドロキシドコサン
酸、α−ヒドロキシテトラコサン酸、α−ヒドロキシヘ
キサコサン酸、α−ヒドロキシオクタコサン酸等。
【0010】脂肪族カルボン酸化合物としては、ハロゲ
ン元素で置換された炭素数12以上の脂肪族基を持つ脂
肪族カルボン酸化合物で、その少なくともα位またはβ
位の炭素にハロゲン元素を持つものが用いられる。この
ような化合物の具体例としては、たとえば以下のものを
挙げることができる。2−ブロモヘキサデカン酸、2−
ブロモヘプタデカン酸、2−ブロモオクタデカン酸、2
−ブロモエイコサン酸、2−ブロモドコサン酸、2−ブ
ロモテトラコサン酸、3−ブロモオクタデカン酸、3−
ブロモエイコサン酸、2,3−ジブロモオクタデカン
酸、2−フルオロドデカン酸、2−フルオロテトラデカ
ン酸、2−フルオロヘキサデカン酸、2−フルオロオク
タデカン酸、2−フルオロエイコサン酸、2−フルオロ
ドコサン酸、2−ヨードヘキサデカン酸、2−ヨードオ
クタデカン酸、3−ヨードヘキサデカン酸、3−ヨード
オクタデカン酸、パーフルオロオクタデカン酸等。
【0011】脂肪族カルボン酸化合物としては、炭素鎖
中にオキソ基を持つ炭素数12以上の脂肪族基を有する
脂肪族カルボン酸化合物で、その少なくともα位、β位
またはγ位の炭素がオキソ基となっているものが用いら
れる。このような化合物の具体例としては、たとえば以
下のものを挙げることができる。2−オキソドデカン
酸、2−オキソテトラデカン酸、2−オキソヘキサデカ
ン酸、2−オキソオクタデカン酸、2−オキソエイコサ
ン酸、2−オキソテトラコサン酸、3−オキソドデカン
酸、3−オキソテトラデカン酸、3−オキソヘキサデカ
ン酸、3−オキソオクタデカン酸、3−オキソエイコサ
ン酸、3−オキソテトラコサン酸、4−オキソヘキサデ
カン酸、4−オキソオクタデカン酸、4−オキソドコサ
ン酸等。
【0012】脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一
般式(3)で表わされる二塩基酸が用いられる。 (ただし、Rは炭素数12以上の脂肪族基を表わし、
Xは酸素原子またはイオウ原子を表わし、Xが酸素原子
の場合はnは1、またXがイオウ原子の場合はnは1ま
たは2を表わす)一般式(3)で表わされる二塩基酸の
具体例としては、たとえば、以下のものが挙げられる。
2−(ドデシルオキシ)こはく酸、2−(テトラデシル
オキシ)こはく酸、2−(ヘキサデシルオキシ)こはく
酸、2−(オクタデシルオキシ)こはく酸、2−(エイ
コシルオキシ)こはく酸、2−(ドコシルオキシ)こは
く酸、2−(テトラコシルオキシ)こはく酸、2−(ド
デシルチオ)こはく酸、2−(テトラデシルチオ)こは
く酸、2−(ヘキサデシルオキシ)こはく酸、2−(オ
クタデシルチオ)こはく酸、2−(エイコシルチオ)こ
はく酸、2−(ドコシルチオ)こはく酸、2−(テトラ
コシルチオ)こはく酸、2−(ドデシルジチオ)こはく
酸、2−(テトラデシルジチオ)こはく酸、2−(ヘキ
サデシルジチオ)こはく酸、2−(オクタデシルジチ
オ)こはく酸、2−(エイコシルジチオ)こはく酸、2
−(ドコシルジチオ)こはく酸、2−(テトラコシルジ
チオ)こはく酸等。
【0013】脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一
般式(4)で表わされる二塩基酸が用いられる。 (ただし、R,R,Rは水素又は脂肪族基を表わ
し、このうち少なくとも1つは炭素数12以上の脂肪族
基である)一般式(4)で表わされる二塩基酸の具体例
としては、たとえば以下のものが挙げられる。ドデシル
こはく酸、トリデシルこはく酸、テトラデシルこはく
酸、ペンタデシルこはく酸、オクタデシルこはく酸、エ
イコシルこはく酸、ドコシルこはく酸、2,3−ジヘキ
サデシルこはく酸、2,3−ジオクタデシルこはく酸、
2−メチル−3−ドデシルこはく酸、2−メチル−3−
テトラデシルこはく酸、2−メチル−3−ヘキサデシル
こはく酸、2−メチル−3−ドデシルこはく酸、2−エ
チル−3−ドデシルこはく酸、2−プロピル−3−ドデ
シルこはく酸、2−オクチル−3−ヘキサデシルこはく
酸、2−テトラデシル−3−オクタデシルこはく酸等。
【0014】脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一
般式(5)で表わされる二塩基酸が用いられる。 (ただし、R,Rは水素又は脂肪族基を表わし、こ
のうち少なくとも1つは炭素数12以上の脂肪族基であ
る)一般式(5)で表わされる二塩基酸の具体例として
は、たとえば以下のものが挙げられる。ドデシルマロン
酸、テトラデシルマロン酸、ヘキサデシルマロン酸、オ
クタデシルマロン酸、エイコシルマロン酸、ドコシルマ
ロン酸、テトラコシルマロン酸、ジドデシルマロン酸、
ジテトラデシルマロン酸、ジヘキサデシルマロン酸、ジ
オクタデシルマロン酸、ジエイコシルマロン酸、ジドコ
シルマロン酸、メチルオクタデシルマロン酸、メチルエ
イコシルマロン酸、メチルドコシルマロン酸、メチルテ
トラコシルマロン酸、エチルオクタデシルマロン酸、エ
チルエイコシルマロン酸、エチルドコシルマロン酸、エ
チルテトラコシルマロン酸等。
【0015】脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一
般式(6)で表わされる二塩基酸が用いられる。 (ただし、Rは炭素数12以上の脂肪族基を表わし、
nは0または1を表わし、mは1,2または3を表わ
し、nが0の場合、mは2または3であり、nが1の場
合はmは1または2を表わす)一般式(6)で表わされ
る二塩基酸の具体例としては、たとえば以下のものが挙
げられる。2−ドデシルグルタル酸、2−ヘキサデシル
グルタル酸、2−オクタデシルグルタル酸、2−エイコ
シルグルタル酸、2−ドコシルグルタル酸、2−ドデシ
ルアジピン酸、2−ペンタデシルアジピン酸、2−オク
タデシルアジピン酸、2−エイコシルアジピン酸、2−
ドコシルアジピン酸等。
【0016】脂肪族カルボン酸化合物としては、長鎖脂
肪酸によりアシル化されたクエン酸などの三塩基酸も用
いられる。その具体例としては、たとえば以下のものが
挙げられる。
【0017】フェノール化合物としては、下記一般式
(7)で表わされる化合物が用いられる。
【化1】 (ただし、Yは−S−,−O−,−CONH−又は−C
OO−を表わし、R10は炭素数12以上の脂肪族基を
表わし、nは1,2または3の整数である)。一般式
(7)で表わされるフェノール化合物の具体例として
は、たとえば以下のものが挙げられる。p−(ドデシル
チオ)フェノール、p−(テトラデシルチオ)フェノー
ル、p−(ヘキサデシルチオ)フェノール、p−(オク
タデシルチオ)フェノール、p−(エイコシルチオ)フ
ェノール、p−(ドコシルチオ)フェノール、p−(テ
トラコシルチオ)フェノール、p−(ドデシルオキシ)
フェノール、p−(テトラデシルオキシ)フェノール、
p−(ヘキサデシルオキシ)フェノール、p−(オクタ
デシルオキシ)フェノール、p−(エイコシルオキシ)
フェノール、p−(ドコシルオキシ)フェノール、p−
(テトラコシルオキシ)フェノール、p−ドデシルカル
バモイルフェノール、p−テトラデシルカルバモイルフ
ェノール、p−ヘキサデシルカルバモイルフェノール、
p−オクタデシルカルバモイルフェノール、p−エイコ
シルカルバモイルフェノール、p−ドコシルカルバモイ
ルフェノール、p−テトラコシルカルバモイルフェノー
ル、没食子酸ヘキサデシルエステル、没食子酸オクタデ
シルエステル、没食子酸エイコシルエステル、没食子酸
ドコシルエステル、没食子酸テトラコシルエステル等。
【0018】本発明の可逆的感熱発色性組成物は、基本
的に前記顕色剤に対して発色剤を組合せることによって
構成されるものである。本発明で用いる発色剤は電子供
与性を示すものであり、それ自体無色あるいは淡色の染
料前駆体であり、特に限定されず、従来公知のもの、た
とえばトリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラ
ン系化合物、フェノチアジン系化合物、ロイコオーラミ
ン系化合物、インドリノフタリド系化合物などが用いら
れる。その発色剤の具体例を以下に示す。
【0019】本発明に用いる好ましい発色剤として下記
一般式(8)または(9)の化合物がある。
【化2】
【化3】 (ただし、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル
基、Rは炭素数1〜6のアルキル基、シクロヘキシル
基または置換されていてもよいフェニル基を示す。フェ
ニル基に対する置換基としては、メチル基、エチル基な
どのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコ
キシ基またはハロゲン等が示される。Rは水素、炭素
数1〜2のアルキル基、アルコキシ基またはハロゲンを
表わす。Rは水素、メチル基、ハロゲンまたは置換さ
れていてもよいアミノ基を表わす。アミノ基に対する置
換基としては、例えば、アルキル基、置換されていても
よいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基を
示す。ここでの置換基はアルキル基、ハロゲン、アルコ
キシ基などである)。このような発色剤の具体例として
は、たとえば次の化合物が挙げられる。
【0020】 3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、 3−ジメチルアミノ−6,7−ジメチルフルオラン、 3−ジエチルアミノ−7−クロルフルオラン、 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラ
ン、 3−(N−プロピル−N−メチル)アミノ−6−メチル
−7−フェニルアミノフルオラン、 3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノ
フルオラン、 3−(N−n−プロピル−N−イソプロピル)アミノ−
6−メチル−7−フェニルアミノフルオラン、 3−(N−エチル−N−sec−ブチル)アミノ−6−
メチル−7−フェニルアミノフルオラン、 3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルフ
ェニル)アミノフルオラン、 3−(N−n−アミル−N−エチル)アミノ−6−メチ
ル−7−フェニルアミノフルオラン、 3−n−オクチルアミノ−7−(p−クロルフェニル)
アミノフルオラン、 3−n−パルミチルアミノ−7−(p−クロルフェニ
ル)アミノフルオラン、 3−ジ−n−オクチルアミノ−7−(p−クロルフェニ
ル)アミノフルオラン、 3−(N−n−アミル−N−
n−ブチル)アミノ−7−(p−メチルカルボニルフェ
ニル)アミノフルオラン、 3−(N−エチル−N−n−ヘキシル)アミノ−7−フ
ェニルアミノフルオラン、
【0021】本発明において好ましく用いられる他の発
色剤の具体例を示すと、以下の通りである。 3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリ
ド、 3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジ
メチルアミノフタリド(別名クリスタルバイオレットラ
クトン)、 3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジ
エチルアミノフタリド、 3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ク
ロルフタリド、 3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリ
ド、 3−(N−P−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチ
ル−7−アニリノフルオラン、 3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラ
ン、 3−{N−(3′−トリフルオルメチルフェニル)アミ
ノ}−6−ジエチルアミノフルオラン、2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−7−(o−ク
ロルアニリノ)キサンチル}安息香酸ラクタム、 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロ
ロメチルアニリノ)フルオラン、 3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フル
オラン、 3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フル
オラン、 3−N−メチル−N−アミルアミノ−6−メチル−7−
アニリノフルオラン、 3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチ
ル−7−アニリノフルオラン、 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオ
ラン、 3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−
(N,N−ジベンジアルミノ)フルオラン、 ベンゾロイコメチレンブルー、 6′−クロロ−8′−メトキシ−ベンゾインドリノース
ピロピラン、 6′−ブロモ−2′−メトキシ−ベンゾインドリノース
ピロピラン、 3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジメトキシアミノフェ
ニル)−3−(2′−メトキシ−5′−クロルフェニ
ル)フタリド、 3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジメチルアミノフェニ
ル)−3−(2′−メトキシ−5′−ニトロフェニル)
フタリド、 3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジエチルアミノフェニ
ル)−3−(2′−メトキシ−5′−メチルフェニル)
フタリド、 3−(2′−メトキシ−4′−ジメチルアミノフェニ
ル)−3−(2′−ヒドロキシ−4’−クロル−5′−
メトキシフェニル)フタリド、 3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメ
チルアニリン)フルオラン、 3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル
−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、 3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチ
ルアミノフルオラン、 3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(α−フェニル
エチルアミノ)フルオラン、 3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェ
ニルエチルアミノ)フルオラン、 3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフ
ェニルアミノ)フルオラン、 3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニル
エチルアミノ)フルオラン、 3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、 3−(N−メチル−N−イソプロピルアミノ)−6−メ
チル−7−アニリノフルオラン、 3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレンスピロ
(9,3′)−6′−ジメチルアミノフタリド、 3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−
5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4′−ブロ
モフルオラン、 3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオ
ラン、 3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ
−6−メチル−7−アニリノフルオラン、 3−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ−
6−メチル−7−アニリノフルオラン、 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−
4′,5′−ベンゾフルオラン、 3−N−メチル−N−イソブチルアミノ−6−メチル−
7−アニリノフルオラン、 3−N−エチル−N−イソアミルアミノ−6−メチル−
7−アニリノフルオラン、 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2′,4′−
ジメチルアニリノ)フルオラン、
【0022】 3−シクロヘキシルアミノ−6−ブロモフルオラン、 3−ジエチルアミノ−7−クロルフルオラン、 3−ジエチルアミノ−7−ブロモフルオラン、 3−ジプロピルアミノ−7−クロルフルオラン、 3−ピロリジノ−6−クロル−7−フェニルアミノ−フ
ルオラン、 3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−(m−トリフロ
ロメチルフェニル)アミノ−フルオラン、 3−シクロヘキシルアミノ−6−クロル−7−(o−ク
ロルフェニル)アミノ−フルオラン、 3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−(2′,3′ジ
クロルフェニル)アミノ−フルオラン、 3−ジブチルアミノ−6−クロル−7−エトキシエチル
アミノ−フルオラン、 3−ジエチルアミノ−7−(o−ブロモフェニル)アミ
ノ−フルオラン、 3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロフェニル)ア
ミノ−フルオラン、 3−(2′−メトキシ−4′−ジメチルアミノフェニ
ル)−3−(2′−ヒドロキシ−4′−クロル−5′−
クロルフェニル)フタリド、 3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジメチルアミノフェニ
ル)−3−(2′−メトキシ−5′−クロルフェニル)
フタリド、2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−ク
ロルフェニル)アミノ−キサンチル}安息香酸ラクタ
ム、 3−N−エチル−N−イソアミルアミノ−7−クロルフ
ルオラン、 3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−m−トリフロロ
メチルアニリノフルオラン、 3−ピロリジノ−6−メチル−7−m−トリフロロメチ
ルアニリノフルオラン 3−(N−シクロヘキシル−N−メチル)アミノ−6−
メチル−7−m−トリフロロメチルアニリノフルオラ
ン、 3−モルホリノ−7−(N−n−プロピル−N−m−ト
リフロロメチルフェニル)アミノフルオラン、
【0023】 3−(N−メチル−N−フェニルアミノ)−7−アミノ
−フルオラン、 3−(N−エチル−N−フェニルアミノ)−7−アミノ
−フルオラン、 3−(N−プロピル−N−フェニルアミノ)−7−アミ
ノ−フルオラン、 3−{N−メチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−7−アミノ−フルオラン、 3−{N−エチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−7−アミノ−フルオラン、 3−{N−プロピル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−7−アミノ−フルオラン、 3−{N−メチル−N−(p−エチルフェニル)アミ
ノ}−7−アミノ−フルオラン、 3−{N−エチル−N−(p−エチルフェニル)アミ
ノ}−7−アミノ−フルオラン、 3−{N−プロピル−N−(p−エチルフェニル)アミ
ノ}−7−アミノ−フルオラン、 3−{N−メチル−N−(2′,4′−ジメチルフェニ
ル)アミノ}−7−アミノ−フルオラン、 3−{N−エチル−N−(2′,4′−ジメチルフェニ
ル)アミノ}−7−アミノ−フルオラン、 3−{N−プロピル−N−(2′,4′−ジメチルフェ
ニル)アミノ}−7−アミノ−フルオラン、 3−{N−メチル−N−(p−クロルフェニル)アミ
ノ}−7−アミノ−フルオラン、 3−{N−エチル−N−(p−クロルフェニル)アミ
ノ}−7−アミノ−フルオラン、 3−{N−プロピル−N−(p−クロルフェニル)アミ
ノ}−7−アミノ−フルオラン、 3−(N−メチル−N−フェニルアミノ)−7−メチル
アミノ−フルオラン、 3−(N−エチル−N−フェニルアミノ)−7−メチル
アミノ−フルオラン、 3−(N−プロピル−N−フェニルアミノ)−7−メチ
ルアミノ−フルオラン、 3−{N−メチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−7−エチルアミノ−フルオラン、 3−{N−エチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−7−ベンジルアミノ−フルオラン、 3−{N−メチル−N−(2′,4′−ジメチルフェニ
ル)アミノ}−7−メチルアミノ−フルオラン、 3−{N−エチル−N−(2′,4′−ジメチルフェニ
ル)アミノ}−7−エチルアミノ−フルオラン、 3−{N−メチル−N−(2′,4′−ジメチルフェニ
ル)アミノ}−7−ベンジルアミノ−フルオラン、 3−{N−エチル−N−(2′,4′−ジメチルフェニ
ル)アミノ}−7−ベンジルアミノ−フルオラン、 3−(N−メチル−N−フェニルアミノ)−7−ジメチ
ルアミノ−フルオラン、 3−(N−エチル−N−フェニルアミノ)−7−ジメチ
ルアミノ−フルオラン、 3−{N−メチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−7−ジエチルアミノ−フルオラン、 3−{N−エチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−7−ジエチルアミノ−フルオラン、 3−(N−メチル−N−フェニルアミノ)−7−ジプロ
ピルアミノフルオラン、 3−(N−エチル−N−フェニルアミノ)−7−ジプロ
ピルアミノフルオラン、 3−{N−メチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−7−ジベンジルアミノ−フルオラン、 3−{N−エチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−7−ジベンジルアミノ−フルオラン、 3−{N−エチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−7−ジ(p−メチルベンジル)アミノ−フルオラ
ン、 3−{N−メチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−7−アセチルアミノ−フルオラン、 3−{N−エチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−7−ベンゾイルアミノーフルオラン、 3−{N−メチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−7−(o−メトキシベンゾイル)アミノ−フルオ
ラン、 3−{N−メチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−6−メチル−7−フェニルアミノ−フルオラン、 3−{N−メチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−6−t−ブチル−7−(p−メチルフェニル)ア
ミノ−フルオラン、 3−(N−エチル−N−フェニルアミノ)−6−メチル
−7−(N−エチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ−フルオラン、 3−{N−プロピル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−6−メチル−7−{N−メチル−N−(p−メチ
ルフェニル)アミノ}−フルオラン、 3−{N−エチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−5−メチル−7−ベンジルアミノ−フルオラン、 3−{N−エチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−5−クロロ−7−ジベンジルアミノ−フルオラ
ン、 3−{N−メチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−5−メトキシ−7ージベンジルアミノ−フルオラ
ン、 3−{N−エチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−6−メチルーフルオラン、 3−{N−エチル−N−(p−メチルフェニル)アミ
ノ}−5−メトキシ−フルオラン、
【0024】 3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、 3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−7,8−
ベンゾフルオラン、 3−(N−エチル−N−n−オクチルアミノ)−7,8
−ベンゾフルオラン、 3−N,N−ジブチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラ
ン、 3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−7,
8−ベンゾフルオラン、 3−(N−エチル−N−P−メチルフェニルアミノ)−
7,8−ベンゾフルオラン、 3−N,N−ジアリルアミノ−7,8−ベンゾフルオラ
ン、 3−(N−エトキシエチル−N−エチルアミノ)−7,
8−ベンゾフルオラン等。
【0025】次に本発明の可逆的熱発色性組成物の発色
・消色現象について説明する。図1に前記した発色状態
組成物の発色濃度と温度の関係を示す。この図の横軸は
温度を示し、縦軸は発色濃度を示している。図中Aは常
温で消色状態にある組成物を示し、Bはこの組成物が加
熱・溶融状態にあり発色した状態を示す。また、Cは常
温にあるこの組成物の発色状態を示している。はじめこ
の組成物がAの状態にあるとし、この状態から昇温して
いくと、混合・溶融(共融)しはじめる温度Tで濃度
が上りBの状態に達する。Bの状態から冷却すると、こ
の発色状態を維持したまま、常温に戻りCに達する(図
中の実線の経路)。Cの状態から再び昇温していくと、
温度Tで濃度が低下し、ついには消色状態となりDに
達する。Dの状態から冷却し降温するとそのまま消色状
態Aに戻る(図中の鎖線の経路)。図1に示された温度
は発色開始温度であり、Tは消色開始温度であ
る。また、TからTまでの温度が消色温度領域とな
る。図1からもわかるように、本発明による組成物が示
す発色・消色現象の特徴は、溶融して発色する温度より
低い温度領域に消色温度範囲があり、常温発色状態から
この範囲に加熱することにより消色できることである。
また、発色と消色の現象は異なる温度への加熱と冷却を
交互に行なうことによって繰り返すことができる。な
お、図1は本発明の組成物の代表的な発色と消色の仕方
を示したものであり、発色開始温度及び消色開始温度は
用いる材料の組合わせで異なる。また、溶融して発色し
ている状態Bの濃度と、その状態から冷却して得た発色
状態Cにおける濃度は必らずしも一致するものではな
く、異なる場合もある。たとえば、顕色剤と発色剤の組
合せによっては溶融状態Bにおける発色濃度がきわめて
低いが、冷却過程で濃度が高くなり室温では高濃度の発
色状態を呈する組成物もある。
【0026】本発明の可逆的熱発色性組成物の発色は、
組成物を構成する顕色剤と発色剤が加熱によって共融
し、分子どうしが接触反応して形成した発色体を、室温
まで冷却することにより得られるものである。この組成
物は、溶融温度より低温側に消色温度領域を持つため、
溶融・発色状態から発色を保持したまま冷却して常温に
するには、一般的には急冷であることが好ましい。徐冷
になると消色温度領域を通るときに消色が起き、濃度が
低下することが多い。したがって、急冷された状態の発
色濃度に対し、徐冷されたときの発色濃度は相対的に低
くなるので、このような冷却速度の違いを利用して発色
状態と消色状態を区別して形成することができる。発色
剤分子は顕色剤分子と相互作用し、ラクトン環が開環し
て発色するものと考えられる。したがって、溶融状態か
ら急冷された状態の組成物は、発色剤分子と顕色剤分子
が反応して形成された発色体分子を含んでいる。また、
材料の組合せ、組成比および発色させる条件によって
は、発色体分子の他に発色には直接関与していない顕色
剤分子および発色剤分子を含む場合もある。本発明の組
成物の昇温における発色状態は、これらの分子間に凝集
力が働き固化した状態にある。長鎖脂肪族基を持たない
顕色剤を用い、従来の可逆性を示さない感熱発色組成物
は、発色状態が凝集した固体とはならない場合が多い。
【0027】本発明の組成物は、発色状態では凝集した
固体となっている。この状態の凝集構造には何らかの規
則性を示す場合が多い。規則性の程度は、非常に規則性
の高い場合もあるし、あまり規則性の高くない場合もあ
り、これは顕色剤と発色剤の組合わせや量比あるいは冷
却条件に依存する。このような凝集構造の形成は、基本
的には発色剤を発色させている顕色剤分子の長鎖構造部
分、および直接的には発色剤を発色させていない顕色剤
分子の長鎖構造部分の間に働く凝集力が、主に作用して
いるものと推定され、このような凝集構造を形成してい
ることが、本発明の組成物の消色現象と関係しているも
のと推定される。本発明の組成物における発色状態の凝
集構造を示す例として、顕色剤にオクタデシルホスホン
酸、発色剤に3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルフ
ェニル)アミノフルオランを用い、両者を175℃に加
熱・溶融後、急冷して得た発色状態のX線回折図を図2
に示す。図2(a)は顕色剤/発色剤の比が5/1(モ
ル比)、図2(b)は2/1(モル比)の場合である。
図2(a)の5/1発色状態は、低角度側の規則的な強
いピークの存在から明確なラメラ構造(層状構造)を形
成していることがわかる。この構造の層間隔の起源は、
顕色剤分子の長鎖構造の集合にあるものと考えられる。
また同図の21.6゜付近には長鎖アルキル基間の規則
性を示すブロードな回折ピークが認められることから、
アルキル鎖はある程度方向がほぼそろった凝集状態にあ
ることを示している。一方、図2(b)の発色状態は、
低角度側のピークが図2(a)に比べ弱く、ラメラ構造
は明確ではないが、21.6゜のピークが図2(a)の
場合と同様に存在することから、アルキル鎖は方向のほ
ぼそろった凝集状態を作っていることを示している。前
に述べたように凝集構造の規則性は材料によっても変化
するが、本発明で特定された顕色剤を用いて得られた発
色状態では、おおむね共通してこのアルキル鎖の凝集構
造が観測される。
【0028】本発明の可逆的熱発色性組成物は、その発
色状態を特定の温度域領に加熱することにより消色させ
ることができる。この消色過程では、発色状態の凝集構
造が以下に示すように変化し、最終的に発色体から顕色
剤分子が分離・結晶化して顕色剤単独の結晶を作り、安
定した消色状態となる。図2(a)を求めるのに使用し
た組成物と同一組成の発色状態組成物について、消色過
程での構造変化を検討するため、室温から消色温度範囲
までにわたって、X線回折データの温度変化を調べ図3
に示した。図3(a)は低角度側の変化であり、図3
(b)は高角度側の変化である。この組成物の消色温度
は60℃付近であるが、この温度までに低角度側にある
層状構造を示すピークは徐々に消失し、高角度側の長鎖
部分の規則性を示すピークが強くなる。消色温度では、
発色状態に見られたピークとは異なる顕色剤単独結晶の
ピークが現われる。このX線回折データの温度変化か
ら、発色状態の組成物凝集体は消色過程で層状構造を崩
しながら、顕色剤の長鎖部分をより規則的に凝集させて
いき、さらに長鎖部分のパッキングとして安定な状態で
ある顕色剤単独の結晶を形成して消色するメカニズムが
推定される。このように本発明では、凝集した発色状態
の形成とその消色過程に対し、顕色剤の長鎖部分が大き
な役割を果していることが明白であり、これが本発明の
可逆的熱発色性組成物の特徴である。
【0029】本発明の可逆的熱発色性組成物は、上記の
過程で消色するため、顕色剤の長鎖部分の長さによって
消色温度の制御が可能である。これは長鎖部分の長さの
変化により、その凝集力や運動性が変化するためであ
る。たとえば、代表的顕色剤であるアルキルホスホン酸
を、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルフェニル)
アミノフルオランと組合わせた発色状態の組成物に対し
て、ホスホン酸のアルキル基の長さと、消色温度領域の
関係を図4に示す。図4は発色状態の組成物を昇温して
いったとき、その組成物を透過する光の量の変化を測定
したもので、初期の発色状態の透過光量を1.0として
表わしたものである。したがって、この図ではカーブが
立上がる温度が消色開始温度であり、低下して初期と同
じになる温度が発色開始温度である。なお、図4におい
てそれぞれのカーブに付けたP12〜P22の数字はア
ルキル鎖の炭素数を表わす。各ホスホン酸を用いた組成
物の消色開始温度は、鎖長が長くなるほど高温側に移
り、同時に発色開始温度も高温側へ移り、結果として消
色温度領域が高温側へずれていくことがわかる。
【0030】本発明の顕色剤を用い、これに適切な発色
剤を組合わせた本発明の組成物は、安定な発色状態と、
発色温度より低い温度での加熱によって得られる消色状
態をとる。本発明の組成物は、良好な消色性を示すと共
に発色状態の安定性も高い。従来技術に示した顕色剤と
してアスコルビン酸−6−O−アシル誘導体を用いた組
成物は、一応の消色性は示すが、発色状態の安定性は本
発明の組成物に比べて低い。たとえば、水の付着や高湿
時の保存では、本発明の組成物は濃度低下が起きにくい
が、前記従来の組成物では濃度低下が著しい。この特性
の差は主に顕色剤の構造に起因するものである。アスコ
ルビン酸−6−O−アシル誘導体は水に対する親和性が
高い。このことは、水を吸着したり、結晶中に水分子を
取り込みやすいことを意味するが、これは発色状態にあ
る組成物膜の接触角が本発明の組成物膜より小さいこと
からも明らかである。発色状態、すなわち、発色剤に顕
色剤が作用しているところに水分子が接近すると、顕色
剤と水分子との親和性が高い場合には、顕色剤と発色剤
との結合が切断され、顕色剤が水分子と結びついてしま
うため、結果的に消色状態となってしまう。この点、本
発明に用いる顕色剤はアスコルビン酸−6−O−アシル
誘導体に比べて水に対する親和性が低いため、水の付着
や高湿保存に対しても安定な発色状態を形成する。
【0031】本発明の可逆的熱発色性組成物は、基本的
に長鎖構造を持つ前記の顕色剤とロイコ染料(発色剤)
とを組合せた組成物であり、個々の顕色剤に対して好ま
しい発色剤が存在する。本発明の可逆的熱発色性組成物
に用いる顕色剤と発色剤の組合せは、両者を溶融温度以
上に加熱して得られる発色状態の組成物を、溶融温度よ
り低い温度へ加熱したときに起きる消色しやすさ、すな
わち消色性と、発色状態の色調などの特性により適当に
選択される。このうち消色性については、その組合わせ
によって得られた発色状態の組成物の示差熱分析(DT
A)、または示差走査熱量分析(DSC)における昇温
過程に現われる発熱ピークの有無によって判断できる。
この発熱ピークは本発明を特徴づける消色現象と対応す
るものであり、消色性の良好な組合わせを選択する基準
となる。
【0032】顕色剤と発色剤の組合せからなる組成物に
ついて、そのDTAまたはDSCの測定結果と消色性の
関係を示す具体的な例を示す。たとえば、顕色剤として
オクタデシルホスホン酸を用い、発色剤として3−ジブ
チルアミノ−7−(o−クロルフェニル)アミノフルオ
ランを用い、両者を175℃で溶融・混合した後、急冷
して得た発色状態の組成物のDSC測定結果を図5に示
す。図5において、1はDSCの測定線を示し、2は温
度測定線を示し、3は発熱ピークを示す。DSC線1の
発熱ピーク3と吸熱ピーク4の現われ方は、測定条件に
より多少異なる。図5には同じ組成物について、4℃/
分で昇温した場合〔図5(a)〕と、10℃/分で昇温
した場合〔図5(b)〕を示した。発熱ピークは図5
(a)の方が明瞭なので、以下においてはこの図5
(a)に基づいて説明する。この発色状態の組成物は7
0℃に再加熱することにより良好な消色を起こす。一
方、本発明の顕色剤とは異なり、従来から一般的な感熱
記録媒体に用いられている顕色剤である2,2−ビス
(p−ヒドロキシフェニル)プロパンと、前記と同じ発
色剤との組合せの組成物を用い、同様にして得た発色状
態の組成物のDSC測定結果を図6に示す。この組合せ
の組成物は、いかなる温度への再加熱によっても消色は
起こらない。図5と図6の比較から明白なように、オク
タデシルホスホン酸を用いた場合には、昇温過程に明瞭
な発熱ピーク3があり、2,2−ビス(p−ヒドロキシ
フェニル)プロパンではこの発熱ピークがなく、消色性
の有無が発熱ピークの有無と対応していることがわか
る。なお、DSC測定における吸発熱ピークは、一般的
に測定条件により明瞭でシャープなピークになる場合と
そうでない場合があり、適切な測定条件を選択する必要
がある。
【0033】次に、デシルホスホン酸を顕色剤として用
いたときのDSC測定結果を図7に示す。同じホスホン
酸であってもアルキル鎖長が短かくなると発熱ピークは
認められず、したがってこの場合も再加熱によって消色
は起こらない。さらに、オクタデシルホスホン酸を顕色
剤として、図5の場合とは異なる発色剤である3−ジエ
チルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオラ
ンを用いた組成物について、同様のDSC測定結果を図
8に示す。この場合、図5のように明瞭な発熱ピークは
認められない。この組成物は再加熱による消色はほとん
ど起らない。図8の組成物に用いた発色剤である3−ジ
エチルアミノ−6−メチル−7−フェニルアミノフルオ
ランに対し、顕色剤を変えて2−(エイコシルチオ)こ
はく酸を用いたときのDSC測定結果を図9に示す。こ
の組成物は昇温過程に明瞭な発熱ピーク3があることか
ら分るように、70℃への再加熱により良好な消色性を
示す。以上の結果から分るように、本発明の顕色剤と適
切な発色剤との組み合わせの組成物によって得られる発
色状態は、溶融温度(発色温度)より低い温度への再加
熱により良好な消色性を示す。そして、その顕色剤に適
合した発色剤の選択は、DTAまたはDSCの測定結果
に基づいて容易に行なえることが分る。
【0034】本発明の可逆的熱発色性組成物を構成する
発色剤と顕色剤の割合は、使用する化合物の物性によっ
て適切な比率を選択する必要がある。その範囲はおおむ
ね、モル比で発色剤1に対し顕色剤が1〜20の範囲で
あり、好ましくは2〜10の範囲であり、重量比では発
色剤1に対して顕色剤が0.5〜5、好ましくは2〜4
である。この範囲より顕色剤が少なくとも、また多くて
も発色状態の濃度が低くなり実用上の問題となる。ま
た、上記の好ましい範囲にあっても、発色剤と顕色剤の
割合によって消色特性は変化し、比較的顕色剤が多い場
合には消色開始温度が低くなり、比較的少ない場合には
消色が温度に対してシャープになる。したがって、この
割合は用途や目的に応じて適当に選択しなければならな
い。更にまた、このような発色剤と顕色剤の組成比によ
る発色・消色性の変化は、用いる発色剤と顕色剤の組合
せによって大きく変化するので、それぞれに対して適し
た混合比を調べる必要がある。とくに、この組成物を記
録媒体として用いる場合には、単に添加量の比だけでは
なく、記録層中における顕色剤と発色剤の分布を考慮し
なければならない。したがって、記録媒体では最適な添
加量の比が上記の範囲にあるとは限らない。本発明の可
逆的熱発色性組成物は、基本的に前記の顕色剤と発色剤
によって成り立つものであるが、種々の特性、たとえば
消色性や保存性などの改善を目的として、顕色剤の結晶
化をコントロールする効果のある添加剤を含有させるこ
とができる。
【0035】次に、本発明の可逆的熱発色性組成物を用
いた可逆的感熱記録媒体について説明する。なお、以下
の説明において本発明の記録媒体は、表示体も包含する
ものである。本発明の可逆的感熱記録媒体は、前記の可
逆的熱発色性組成物を含む記録層を支持体上に設けたも
のである。記録媒体の基本的構成の1例を図10に示
す。図中、1は支持体、2は記録層、3は保護層、4は
アンダーコート層を表わす。ここで用いられる支持体と
しては、たとえば、紙、合成紙、プラスチックフィルム
あるいはこれらの複合体、ガラス板などであり、記録層
を保持できるものであればよい。記録層は、前記の可逆
的熱発色性組成物が存在すれば、どのような態様のもの
でもよい。通常よく行なわれるように、層としての形態
をとらせるために、必要に応じてバインダー樹脂を用い
て顕色剤と発色剤を保持することができる。バインダー
樹脂としては、たとえばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニ
ル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、
スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、
芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネー
ト、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エス
テル類、アクリル酸共重合体、マレイン酸共重合体、ポ
リビニルアルコールなどがある。顕色剤および発色剤
は、マイクロカプセル中に内包して用いることができ
る。顕色剤、発色剤のマイクロカプセル化は、コアセル
ベーション法、界面重合法、インサイチュ重合法など公
知の方法によって行なうことができる。記録層の形成
は、従来公知の方法に従い、発色剤および顕色剤をバイ
ンダー樹脂と共に水または有機溶剤により均一に分散も
しくは溶解して、これを支持体上に塗布・乾燥すること
によって行なう。またバインダー樹脂を用いない場合、
顕色剤と発色剤を混合・溶融して膜とし、冷却して記録
層とすることができる。記録層のバインダー樹脂の役割
は、発色・消色の繰り返しによって可逆的熱発色性組成
物を均一に分散させた状態を保持することにある。特
に、発色時の熱印加で組成物が集合して不均一化するこ
とが多いから、バインダー樹脂は耐熱性の高いものが好
ましい。
【0036】次に記録層の形成にあたり、特に有用なバ
インダー樹脂の使用例について示す。バインダー樹脂と
してフェノキシ樹脂または芳香族ポリエステルを用いる
ことにより、記録層の繰り返し耐久性を向上させること
ができる。これは、これら樹脂の優れた耐熱性の為、サ
ーマルヘッド等で印加される熱、圧力に対して耐久性が
向上し、また機械的強度及び硬度が大きい為変形しにく
く、バインダー樹脂中の発色剤と顕色剤との反応で形成
される発色体の破損を防止し、高濃度画像を維持できる
ものと推測される。感熱記録層のバインダー樹脂にフェ
ノキシ樹脂を用いた場合、繰り返しによる発色濃度の低
下がなく、安定した消色性を示す記録層を得ることがで
きる。その上フェノキシ樹脂は透明性が良く、機械的に
安定で成膜性が良いことに加えて高温での熱安定性が良
いため、サーマルヘッド等を用いて記録−消去を繰り返
す場合のように圧力下で加熱する場合においても、バイ
ンダー樹脂の変形が少なく、そのため記録層の耐久性が
向上し、画像欠陥を防ぐことができる。一方、芳香族ポ
リエステルを用いた場合は、芳香族ポリエステルの透明
性の良さ及び成膜性の良さに加えて、強さや硬さのため
に、サーマルヘッド等を用いて記録−消去を繰り返すよ
うな熱と共に圧力を加える場合においても、バインダー
樹脂の変形が少ないから記録層の耐熱性が向上し、画像
欠陥を防止することができる。
【0037】本発明の可逆的感熱記録媒体の記録層にバ
インダー樹脂として好ましく用いられるフェノキシ樹脂
は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから得ら
れる高分子量樹脂であり、耐熱性に優れている。フェノ
キシ樹脂には、例えばユニオンカーバイド社製PKH
C、PKHJ、PKHHなどがある。また、芳香族ポリ
エステルとしては次のような一般式で示されるものが好
ましい。
【0038】
【化4】
【0039】(前記式中、R,Rはアルキル、シク
ロアルキルを示し、R,Rはアルキル、アルコキ
シ、ハロゲンを示す)前記芳香族ポリエステルには、例
えばユニカチ(株)製の商品名のU−100、U−40
0、P−100、P−1001、U−1060、U−4
015、U−5001、U−6000等がある。本発明
では、これらの1種でも使用できるが、2種以上混合し
て使用してもよい。
【0040】本発明の可逆的感熱記録媒体の記録層に
は、顕色剤、発色剤のバインダー樹脂として硬化性樹脂
を用いることができる。この硬化性樹脂には、熱硬化性
樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等が包含さ
れるが、バインダー樹脂としてこれらの硬化性樹脂を用
いた場合、支持体等の上に、未架橋、或いは一部架橋し
た、即ち最終架橋前の状態の低分子化合物、或いは高分
子化合物である硬化性樹脂を塗布し、熱や、光、電子線
等のエネルギー線によって、最終架橋状態を形成させ硬
化させることにより、これら硬化性樹脂は、記録層中で
は硬化した状態で存在する。このような硬化性樹脂を用
いることにより、サーマルヘッド等のように圧力を加
え、同時に加熱するような加熱手段による画像形成−消
去の繰り返しに対する耐久性が向上し、しかも高濃度な
画像を形成できる可逆的感熱記録媒体を得ることができ
る。本発明で記録層のバインダー樹脂として用いられる
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹
脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、キシレン樹脂、
グアナミン樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエス
テル樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ウレタン樹脂、ポ
リ−p−ヒドロキシ安息香酸、マレイン酸樹脂、メラミ
ン樹脂、ユリア樹脂などが挙げられる。また、紫外線硬
化性樹脂としては、紫外線照射により重合反応を起し、
硬化樹脂となるモノマー又はオリゴマー(又はプレポリ
マー)であれば全て使用できる。このようなモノマー又
はオリゴマーとしては、(ポリ)エステルアクリレー
ト、(ポリ)ウレタンアクリレート、エポキシアクリレ
ート、ポリブタジエンアクリレート、シリコーンアクリ
レート、メラミンアクリレート等がある。(ポリ)エス
テルアクリレートとしては、1,6−ヘキサジオール、
プロピレングリコール(ポリプロピレンオキサイド)、
ジエチレングリコール等の多価アルコールと、アジピン
酸、無水フタル酸、トリメリット酸等の多塩基酸とアク
リル酸とを反応させたものなどがある。その例を(a)
〜(c)に示す。
【0041】(a)アジピン酸/1,6−ヘキサンジオ
ール/アクリル酸
【化5】 (b)無水フタル酸/ポリプロピレンオキサイド/アク
リル酸
【化6】 (c)トリメット酸/ジエチレングリコール/アクリル
【化7】
【0042】(ポリ)ウレタンアクリレートは、トリレ
ンジイソシアネート(TDI)のようなイソシアネート
を基を有する化合物にヒドロキシ基を有するアクリレー
トを反応させたものである。その例を(d)に示す。
尚、HEAは2−ヒドロキシエチルアクリレート、HD
Oは1,6−ヘキサンジオール、ADAはアジピン酸を
各々示す。 (d)HEA/TDI/HDO/ADA/HDO/TD
I/HEA
【化8】
【0043】エポキシアクリレートは、その構造から大
別してビスフェノールA型、ノボラック型、脂環型があ
り、これらエポキシ樹脂のエポキシ基をアクリル酸でエ
ステル化して官能基をアクリロイル基としたものであ
る。その例を(e)〜(g)に示す。 (e)ビスフェノールA−エピクロルヒドリン型/アク
リル酸
【化9】 (f)フェノールノボラック−エピクロルヒドリン型/
アクリル酸
【化10】 (g)脂環型/アクリル酸
【化11】
【0044】ポリブタジエンアクリレートは、末端OH
基含有1,2−ポリブタジエンにイソシアネートや1,
2−メルカプトエタノール等を反応させてから、更にア
クリル酸等を反応させたものである。その例を(h)に
示す。 (h)
【化12】
【0045】シリコーンアクリレートは、例えば、有機
官能性トリメトキシシランとシラノール基含有ボリシロ
キサンとの縮合反応(脱メタノール反応)によりメタク
リル変性したものであり、その例を(i)に示す。 (i)
【化13】
【0046】本発明においては、バインダー樹脂として
水性エマルジョン化疎水性高分子を用いることができ
る。本発明の顕色剤の場合、従来一般に用いられている
水溶性高分子をバインダー樹脂として用いると、該樹脂
は分散性が悪い上に塗布液の発泡や増粘が起り、濾過性
も悪化し、塗布液を紙支持体に塗布乾燥した時に、発色
濃度が低く、しかも発色と消色の可逆性も損なわれると
いう問題のあることが判明した。本発明によれば、この
ような問題は水性エマルジョン化疎水性高分子を用いる
ことにより解決される。水性エマルジョン化された疎水
性高分子としては、例えば、ポリアクリル酸エステル、
ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニ
ル−塩化ビニル共重合体、スチレンーブタジエン共重合
体、アクリロニトリルーブタジエン共重合体、スチレン
ーアクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、ポリウレタン等が挙げられる。これらの疎水
性高分子の水性エマルジョンのpHは6.0〜9.0に
保持される。6.0未満のPHでは塗布液のかぶりの発
生が生じ、一方、9.0を超えると記録層の発色性が低
下する。水性エマルジョン化疎水性高分子に対しては、
慣用の水溶性高分子を併用することができる。水溶性高
分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ヒドロ
キシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、
メチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、澱粉、ポリア
クリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル
アミド、各種マレイン酸共重合体、各種アクリル酸共重
合体等が挙げられる。水溶性高分子を併用する場合、疎
水性高分子の使用量は、バインダー樹脂の全量に対して
50重量%以上になるように規定するのがよい。本発明
において、バインダー樹脂の使用割合は、発色剤1重量
部に対して0.5〜10重量部、好ましくは2〜5重量
部である。
【0047】本発明の可逆的感熱記録媒体において、そ
の耐光性は、光安定化剤を記録層中に含有させることに
より向上させることができる。本発明に使用される光安
定化剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止
剤、一重項酸素の消光剤、スーパーオキシドアニオンの
消光剤等が挙げられる。
【0048】紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−
ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メ
トキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オク
トキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシル
オキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−
4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2, 2′,
4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒド
ロキシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−オキシベンジルベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−クロロベンゾフェノン、2−
ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−メトキシ−4′−メチルベンゾフェノン、2−
ヒドロキシ−4−n−ヘプトキシベンゾフェノン、2−
ヒドロキシ−3,6−ジクロル−4−メトキシベンゾフ
ェノン、2−ヒドロキシ−3,6−ジクロル−4−エト
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒド
ロキシ−3−メチルアクリルオキシ)プロポキシベンゾ
フェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−
(2−ヒドロキシ−5−トリル)ベンゾトリアゾール、
2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチル
フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ
−3−tert−ブチル−5−トリル)ベンゾトリアゾ
ール、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,
5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベン
ゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert
ブチル−5−トリル)−5−クロロベンゾトリアゾー
ル、2−(2−ヒドロキシ−5−エトキシフェニル)ベ
ンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸
収剤、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサ
リシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレー
ト、カルボキシフェニルサリシレート、トリルサリシレ
ート、ドデシルフェニルサリシレートなどのサリチル酸
フェニルエステル系紫外線吸収剤、あるいはp−メトキ
シベンジリデンマロン酸ジメチルエステル、2−エチル
ヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレ
ート、エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアク
リレート、3,5−ジ−tert−ブチル−p−ヒドロ
キシ安息香酸、紫外線により転位してベンゾフェノンと
なるレゾシノールモノベンゾエート、2′,4′−ジ−
tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシベンゾエート等がある。
【0049】酸化防止剤、老化防止剤としては、例え
ば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−クレゾール、
2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、スチ
レン化フェノール、2,2′−メチレンビス(4−メチ
ル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−イ
ソプロピリデンビスフェノール、2,6−ビス(2−ヒ
ドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジ
ル)−4−クレゾール、4,4′−チオビス−(3−メ
チル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス
−{メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシハイドロシンナメート)}メタン、p−ヒドロ
キシフェニル−3−ナフチルアミン、2,2,4−トリ
メチル−1,2−ジヒドロキノリン、チオビス(β−ナ
フトール)、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト
ベンズイミダゾール、アルドール−2−ナフチルアミ
ン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリ
ジル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジルベンゾエート、ジラウリル−3,3′−チ
オジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジ
ブロミネート、トリス(4−ノニルフェニル)ホスファ
イト等がある。
【0050】一重項酸素の消光剤としては、カロテン
類、色素類、アミン類、フェノール類、ニッケル錯体
類、スルフィド類等がある。これらの具体例としては、
例えば、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタ
ン、β−カロテン、1,3−シクロヘキサジエン、2−
ジエチルアミノメチルフラン、2−(N−メチル)アニ
リノフラン、9−ジエチルアミノメチルアントラセン、
5−ジエチルアミノメチル−6−フェニル−3,4−ジ
ヒドロキシピラン、ニッケルジメチルジチオカルバメー
ト、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケル
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−o
−エチルホスホナート、ニッケル3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル−o−ブチルホスホナー
ト、ニッケル{2,2′−チオビス(4−t−オクチル
フェノラート)}(n−ブチルアミン)、ニッケル
{2,2′−チオビス(4−t−オクチルフェノラー
ト)}(2−エチルヘキシルアミン)、ニッケルビス
{2,2′−チオビス(4−t−オクチルフェノラー
ト)}、ニッケルビス{2,2′−スルホンビス(4−
オクチルフェノラート)}、ニッケルビス(2−ヒドロ
キシ−5−メトキシフェニル−N−n−ブチルアルドイ
ミン)、ニッケルビス(ジチオベンジル)、ニッケルビ
ス(ジチオビアセチル)等がある。スーパーオキシドア
ニオンの消光剤としては、スーパーオキシドジスムター
ゼとコバルト〔III〕及びニッケル〔II〕の錯体等
があるが、これらの例が本発明を限定するものではな
い。これらは単独又は2種以上混合して使用される。
【0051】本発明の可逆的感熱記録媒体のヘッドマッ
チング性は、記録層中に、有機又は無機フィラー及び滑
剤を含有させることにより向上させることができる。本
発明に使用される有機フィラーとしては、ポリオレフィ
ン粒子、ポリスチレン粒子、尿素−ホルムアルデヒド樹
脂粒子、プラスチック微小中空球体等が挙げられる。無
機フィラーとしては、水酸化アルミニウム、重質及び軽
質炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸バリウ
ム、シリカゲル、コロイダルシリカ(10〜50n
m)、アルミナゲル(10〜200nm)、活性白土、
タルク、クレー、カオリナイト、焼成カオリナイト、ケ
イソウ土、合成カオリナイト、ジルコニウム化合物、ガ
ラス微小中空球体等が挙げられる。滑剤としては、ワッ
クス類があり、例えばステアリン酸アミド、ステアリン
酸亜鉛、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウ
リン酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、メチレ
ンビスステアリルアミド、メチロールステアリルアミ
ド、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、更に
は、高級アルコール、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステ
ル、シリコーン系化合物等が挙げられる。これらは、単
独又は2種以上混合して使用される。その添加量はバイ
ンダー樹脂に対し、1〜50重量%程度である。
【0052】本発明においては、耐薬品性、耐水性、耐
摩擦性、耐光性及びヘッドマッチング性にすぐれた感熱
記録媒体を得るために、記録層の上面に保護層を設ける
ことができる。この保護層には、水溶性高分子や疎水性
高分子化合物の水性エマルジョンを主体として形成され
た被膜や、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等の硬
化性樹脂を主体として形成した被膜等が包含される。
尚、保護層の形成に、これら硬化性樹脂を用いた場合、
記録層の上に、未架橋、或いは一部架橋した、即ち最終
架橋前の状態の低分子化合物、或いは高分子化合物であ
る硬化性樹脂を塗布し、熱や、光、電子線等のエネルギ
ー線によって、最終架橋状態を形成させ硬化させること
により、これら硬化性樹脂は、保護層中では硬化した状
態で存在する。このような保護層の形成により、有機溶
剤、可塑剤、油、汗、水等の接触によっても、温度変化
による画像の形成及び消去を問題なく繰り返すことので
きる記録媒体を得ることができる。また保護層中に光安
定化剤を含有させることにより、画像及び地肌の耐光性
が著しく改良された記録媒体を得ることができ、さらに
保護層に有機又は無機フィラー及び滑剤を含有させるこ
とにより、サーマルヘッド等との接触で生ずるスティッ
キングなどの問題もなく、信頼性及びヘッドマッチング
性にすぐれた感熱記録媒体を得ることができる。ここで
用いられる有機または無機のフィラーおよび滑剤には、
たとえば前記した記録層に用いるものと同様のものがあ
げられる。
【0053】次に、本発明の感熱記録媒体の保護層につ
いて詳述する。保護層被膜形成用の水溶性高分子及び高
分子水性エマルジョンは、その種類は制限されず、従来
公知の種々のものを用いることができる。水溶性高分子
の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール、変
性ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、セルロ
ース誘導体(メチルセルロース、メトキシセルロース、
ヒドロキシエチルヤルロース等)、カゼイン、ゼラチ
ン、ポリビニルピロリドン、スチレン−無水マレイン酸
共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、
ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、メチル
ビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、カルボキシ
変性ポリエチレン、ポリビニルアルコール/アクリルア
ミドブロック共重合体、メラミンーホルムアルデヒド樹
脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。水性
エマルジョン用高分子としては、例えば、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、ス
チレン/ブタジエン/アクリル系共重合体、ポリアクリ
ル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニ
ル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢
酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらは、単独もし
くは混合して使用され、更に必要に応じては硬化剤を添
加して樹脂を硬化させても良い。
【0054】紫外線硬化性樹脂としては、その種類は制
限されず、従来公知の種々のものを用いることができ
る。紫外線硬化性樹脂を使用する時には、溶剤等を使用
する場合があるが、この場合の溶剤としては、例えば、
テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、クロロホルム、四塩化炭素、エタノー
ル、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチ
ル、トルエン、ベンゼン等の有機溶剤が挙げられる。ま
た、これらの溶剤の代わりに、取り扱いを容易にするた
め反応性希釈剤として光重合性モノマーを使用すること
ができる。
【0055】光重合性モノマーとしては、2−エチルヘ
キシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ブ
トキシエチルアクリレート、ネオペンチルグリコールジ
アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレー
ト、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチ
ロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリット
トリアクリレート等が挙げられる。保護層に用いられる
紫外線硬化性樹脂としては、紫外線照射により重合反応
を起こし、硬化して樹脂となるモノマーまたはオリゴマ
ーあるいはプレポリマーであれば全て使用でき、たとえ
ば、前記の記録層に関して示した樹脂と同様の樹脂を用
いることができる。
【0056】保護層の塗工方法、塗工量には特別な制限
はないが、塗工量については、保護層としての性能及び
経済性を考慮すると、記録媒体上に塗布厚が0.1〜2
0μmの範囲、更に望ましくは塗布厚が0.5〜10μ
mの範囲が、保護層としての性能が充分発揮され、記録
媒体の性能を落さない厚さ範囲である。更に、本発明の
感熱記録媒体の耐光性向上は、光安定化剤を保護層中に
含有させることによっても達成される。本発明に使用さ
れる光安定化剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、
老化防止剤、一重項酸素の消光剤、スーパーオキシドア
ニオンの消光剤が用いられる。これらは前記記録層に関
して示したものと同様のものが用いられる。
【0057】本発明の可逆的感熱記録媒体では、支持体
と記録層との間にアンダーコート層を設けることができ
る。記録媒体の作成に当っては、支持体上に前記の顕色
剤、発色剤および樹脂を含む溶液、分散液からなる塗布
液を塗布するが、このときの塗布特性の改善、支持体へ
のしみ込みの防止のためアンダーコート層が必要になる
場合がある。また、記録媒体の記録時には、加熱により
溶融した発色体が、支持体に吸着してしまう場合があ
る。このような支持体へのしみ込みや、吸着が起こって
しまうと、消色が十分に行なわれなくなることがあり、
画像残りの原因となる。これらの現象は下記のアンダー
コート層を設けることにより解決できる。アンダーコー
ト層は記録層塗布液の溶剤に対し、溶解あるいは膨潤し
ないものであることが好ましい。記録層に用いる樹脂
が、有機溶剤可溶性の樹脂で塗布液に有機溶剤を用いる
場合には、有機溶剤に対し溶解、膨潤しない水溶性高分
子のアンダーコート層が好ましい。また記録層が水溶性
高分子またはエマルジョンを用いた水系の塗布液で形成
される場合には、耐水性の樹脂たとえばポリ塩化ビニ
ル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ
カーボネート、アクリル樹脂などを用いるか、水溶性樹
脂と耐水化剤を用いることが好ましい。また、アンダー
コート層としては、疎水性高分子エマルジョンによって
形成された層も用いられる。
【0058】疎水性高分子エマルジョンとしては、スチ
レン/ブタジエン共重合体ラテックス、アクリロニトリ
ル/ブタジエン/スチレン共重合体ラテックスの他、酢
酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、スチ
レン/アクリル酸エステル共重合体、エチレン/酢酸ビ
ニル共重合体、アクリル酸共重合体、ポリウレタン樹脂
等のエマルジョンが挙げられる。一方、前記水溶性高分
子としては例えば、ポリビニルアルコール、デンプンお
よびその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセ
ルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソー
ダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル
酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エス
テル/メタクリル酸共重合体、スチレン/無水マレイン
酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸
共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸
ソーダ、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。水溶性高
分子を耐水化させるための耐水化剤としては、前記水溶
性高分子と縮合あるいは架橋反応等をして硬化させ耐水
化せしめるものであればよく、例えば、ホルムアルデヒ
ド、グリオキザール、クロム明ばん、メラミン、メラミ
ン/ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミ
ド−エピクロルヒドリン樹脂等が挙げられる。このよう
に、アンダーコート層の形成に硬化作用を有する耐水化
剤を併用した硬化性樹脂を用いた場合、支持体上に、未
架橋、或いは一部架橋した、即ち最終架橋前の状態の低
分子化合物或いは高分子化合物である硬化性樹脂を塗布
し、熱や、光、電子線等のエネルギー線によって、最終
架橋状態を形成させ硬化させることにより、硬化性樹脂
は、アンダーコート層中では硬化状態で存在する。特に
スチレン/ブタジエン共重合体ラテックス、ポリ塩化ビ
ニリデン又はポリ酢酸ビニルのエマルジョンを用いるこ
とが好ましい。これらの耐水化剤は水溶性高分子に対し
て20〜100重量%の割合で添加されるのが好まし
い。
【0059】本発明の記録層中に含まれる可逆的熱発色
性組成物は、一時的な溶融により発色状態となり、この
発色状態を溶融温度より低い温度へ再加熱することによ
り消色状態となるものである。消色は発色状態から顕色
剤が分離・結晶化することによって起こるものであるた
め、消色温度に保たれる時間が短かすぎると消色が十分
でなく、画像残りとなることがある。したがって、高速
でも完全な消色を実現するために、記録媒体の支持体と
記録層との間に断熱層を設けて保温効果を持たせてやる
ことが好ましい。また、この断熱層はアンダーコート層
と兼用することができる。さらに支持体自体に断熱性の
支持体を用いることも好ましい。
【0060】本発明において、前記断熱層としては、以
下のものを用いることができるが、これに限定されるも
のではない。 (1)化学合成物断熱材からなる断熱層 ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフオーム、塩化ビ
ニルフオーム、プラスチックコルゲート等。 (2)中空体微粒子を樹脂層に分散させた断熱層 中空体微粒子としては以下のようなものが挙げられる。
ガラス、セラミックス、プラスチックス等の種々の材質
で形成された微小中空体。例えば、ガラス微小中空体と
しては、硼硅酸塩ガラスのマイクロフェアー例えばグラ
パーベル社製Microsel M等がアルミノシリケ
ート系微小中空体としては低発泡射出成形用及び標準射
出成形用プレミックス、例えば日本フェライト社製、F
illite等がある。このほか、加熱発泡性の微小中
空体としては発泡性プラスチックフィラーであるが、こ
の発泡性プラスチックフィラーは熱可融性物質を殼と
し、内部に低沸点溶剤を含有する中空状のプラスチック
フィラーであり、加熱により発泡する。このプラスチッ
クフィラーの殼となる熱可塑性樹脂としては、ポリスチ
レン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸
ビニル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリ
ル、ポリブタジエン及びそれらの共重合体が挙げられ
る。また殼内に含まれる発泡剤としては、プロパン、イ
ソブタン、ネオペンタン、石油エーテル等がある。この
ような発泡性プラスチックフィラとしては、例えば、松
本油脂社製のミクロパール、ケマノード社製のExpa
ncel等がある。
【0061】中空体微粒子はバインダーと共に用いら
れ、熱膨張性微小球の場合には支持体上に塗布する前に
すでに中空体微粒子としたものも用いることができる
が、塗工時に加熱・発泡させて中空化することもでき
る。発泡時の粒子径は10〜100μm、好ましくは1
0〜50μmである。断熱性に有効な厚みとしては0.
1〜50μm程度が好ましく、特に0.2〜20μmが
好ましい。本発明において、断熱性支持体として合成紙
を用いることができるが、本発明の目的に適した合成紙
は、内部紙化方式で製造されたミクロボイドを含有する
ものが好ましい。
【0062】本発明の可逆的感熱記録媒体は、支持体上
に顕色剤と発色剤を含む記録層が形成されている。しか
し、この可逆的感熱記録媒体は、微細な電子受容性化合
物がバインダー樹脂中に分散されている為、表面及び内
部が不均一になっている。この記録層は、記録層空隙に
存在する空気と記録層との屈折率の差が大きい為、光の
散乱が生じて不透明な状態となっている。このような記
録層では、オーバーヘッドプロジェクターなど光透過性
を要する画像記録体としては使用できない。本発明で
は、透明性支持体を用いるとともに記録層上に保護層
設けることによって、透明性を向上させることもでき
る。即ち、常温で屈折率が1.45〜1.60の範囲に
ある樹脂を記録層上に均一に塗布、乾燥(硬化)するこ
とにより、記録層の空隙及び凹凸がなくなり平滑化さ
れ、光の散乱が減り、透明な熱可逆的記録媒体が得られ
る。このような目的のために設ける保護層は上記の条件
を満足すればどのようなものでも使用できる。前に述べ
た保護層と同様、必要に応じ種々の添加剤を含有させて
も良い。記録層の透明化は、記録媒体の製造方法を工夫
することによっても達成可能である。すなわち、前記し
た常法に従って記録層を形成させた後、少なくとも1回
の発色とそれに続く消色を行なうか、あるいは記録層の
塗布後の乾燥を、溶融発色温度以上で行なって乾燥と同
時に発色させ、次いで消色することにより透明化するこ
とができる。
【0063】本発明の可逆的感熱記録媒体は、記録時に
サーマルヘッドによって熱を画像状に印加して行なうこ
とができるが、このとき記録層が熱と圧力によってサー
マルヘッドに粘着し、記録層の一部がはがれ、画像欠陥
を生じたり、サーマルヘッドの走行不良を生じる場合が
ある。このようなスティッキング現象を防止するために
は、記録層や保護層に高分子カチオン系導電剤を含有さ
せることが好ましい。
【0064】高分子カチオン系導電剤は従来公知の物質
であり、アミノ基を有する高分子を原料として用い、そ
のアミノ基を第4級アンモニウム基に変換することによ
って得られるが、第4級アンモニウム基を有するオレフ
ィン性不飽和単量体と不飽和単量体とを共重合させるこ
とによって得ることが好ましい。次に、共重合で得られ
る高分子カチオン系導電剤を、それに用いる単量体を含
めて詳述する。
【0065】(第4級アンモニウム基含有オレフィン性
不飽和単量体) この単量体としては、次の一般式で表わされるものが好
ましく用いられる。 前記式中、Rは水素又はメチル基であり、Aは炭素数
1〜4のアルキレン基又は炭素数1〜4のヒドロキシア
ルキレン基であり、R、Rは炭素数1〜4のアルキ
ル基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、
は炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のヒド
ロキシアルキル基又はアラルキル基である。Xは対アニ
オンを示す。 である。本発明で用いる好ましい単量体の具体例を前記
一般式(11)との関連で次表に示す。
【0066】
【表1】
【0067】第4級アンモニウム基を有する単量体の例
には、前記一般式(11)で表されるものの他、ビニル
ベンジル系モノマー、例えば、ビニルベンジルトリアル
キルアンモニウム塩(ビニルベンジルトリメチルアンモ
ニウムクロライド等)、ジアルキルジアリル系ビニルモ
ノマー、例えば、ジアルキルジアリルアンモニウム塩
(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド等)、ビニ
ルモノマーの第4級化物、例えば、ビニルイミダソリン
及びビニルピリジンの第4級化物等が挙げられる。
【0068】(不飽和単量体) 前記第4級アンモニウム基を有する単量体と共重合され
る単量体としては、各種ビニルモノマーが用いられる。
このようなものとしては、例えば、アクリル酸アルキ
ル、メタクリル酸アルキル、クロトン酸アルキル、イタ
コン酸モノ(又はジ)アルキル等の不飽和アルキルエス
テル類、スチレン、メチルスチレン、クロルスチレン等
の芳香族不飽和単量体類、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル等の不飽和ニトリル類、エチレン、塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン等のオレフィン及びハロオレフィン
類、酢酸ビニル等のビニルエステル類等が挙げられる。
更に、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽
和酸、不飽和酸アミド、不飽和酸アミドのN−メチロー
ル化物、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ
アルキル(メタ)アクリレート等の官能基を有する不飽
和単量体等が挙げられる。
【0069】前記第4級アンモニウム基を有するオレフ
ィン性不飽和単量体(A)と不飽和単量体(B)との共
重合体において、単量体(A)の使用割合は5〜95重
量%、好ましくは10〜50重量%であり、単量体
(B)の使用割合は95〜5重量%、好ましくは90〜
40重量%である。単量体(A)の使用割合が5重量%
より少なくなると高分子の導電性が劣り、95重量%を
越えるようになると高分子の皮膜強度が弱くなる。共重
体の数平均分子量は2,000〜150,000、好ま
しくは10,000〜100,000である。数平均分
子量が2,000より小さくなると高分子の皮膜強度が
弱くなり、150,000を越えるようになると高分子
波液の粘度が高くなり、塗布作業性が悪くなる。前記の
如き共重合体からなる高分子カチオン系導電剤として
は、市販されているものを用いることができる。例え
ば、エレコンド50B〔綜研化学(株)〕、ケミスタッ
ト6300、8800、5500〔三洋化成(株)〕、
コンダクティブポリマーC−280(カルゴン社)、ゴ
ーセイファイマーC−760〔日本合成(株)〕等とし
て入手可能である。
【0070】高分子カチオン系導電剤を感熱記録層自体
に混入する場合は、その添加量は一般に1〜20重量
%、好ましくは3〜15重量%である。高分子カチオン
系導電剤をオーバーコート層に混入する場合は、下記に
示すような要領で行われる。この場合、感熱記録層の表
面に設けられるオーバーコート層は帯電防止機能だけで
なく、スティッキング防止層としての機能も兼ね備えて
いる。オーバーコート層は、高分子カチオン系導電剤の
みを用いて形成し得る他、これを従来のスティッキング
防止層に添加することによって形成することもできる。
本発明で用いる高分子カチオン系導電剤は、特に、シリ
コーン樹脂や、弗素樹脂、リン酸エステル、ポリオキシ
エチレン系活性剤等のスティッキング防止剤と併用する
のが有利である。オーバーコート層を感熱記録層の表面
上に形成するには、高分子カチオン系導電剤、またはこ
れと一般のスティッキング防止剤とを、水または有機溶
剤に総固形分が0.1〜2重量%程度になるように溶解
あるいは分散し、これをフィルム表面に固形分付着量が
0.001〜0.5g/mになるように塗布・乾燥す
る。この固形分付着量が少な過ぎると、形成されるステ
ィッキング防止層の導電性及びスティッキング防止性が
劣るようになり、一方、多過ぎると、サーマルヘッドに
より製版する時に、その固形分がサーマルヘッドに付着
し、サーマルヘッド汚れが発生し易くなる。高分子カチ
オン系導電剤を従来の融着防止剤と共に用いる場合、高
分子カチオン系導電剤の使用割合は融着防止剤1重量部
に対し、0.05〜2重量部の割合である。
【0071】高分子カチオン系導電剤を含む記録層また
保護層を有する記録媒体は次の方法により得られる。 (1)記録層自体に高分子カチオン系導電剤を添加する
方法可逆的感熱記録媒体を構成する発色剤及び顕色剤
を、バインダー樹脂と共に有機溶剤により均一に分散も
しくは溶解し、これに高分子カチオン系導電剤を添加し
たものを支持体上に塗布乾燥して目的の感熱記録層を形
成する。 (2)記録層上に高分子カチオン系導電剤を含有してい
保護層を設ける方法可逆的感熱記録媒体を構成する発
色剤及び顕色剤を、バインダー樹脂と共に有機溶剤によ
り均一に分散もしくは溶解したものを支持体上に塗布・
乾燥して感熱記録層を形成する。次いで、弗素系または
シリコーン系離型剤を含有していてもよい高分子カチオ
ン系導電剤の溶液を塗布乾燥して保護層を形成する。
【0072】次に本発明の可逆的感熱記録方法および表
示方法について説明する。本発明の可逆的感熱記録方法
および表示方法は、前記の可逆的熱発色性組成物を用い
た記録媒体及び表示体に対し、記録層中の発色剤と顕色
剤を一時的に溶融温度以上に加熱することにより発色状
態を得る工程と、発色状態の記録層を溶融温度以下に加
熱することにより消色状態を得る工程からなるものであ
る。
【0073】本発明の記録媒体または表示体に形成され
る画像には、消色状態の地肌部に対し発色状態の画像を
形成したものと、逆に発色状態の地肌部に対し消色状態
の画像を形成したものがある。どちらの場合にも画像状
に熱を印加するときは、熱ペン、サーマルヘッド、レー
ザー光加熱など部分的に熱を加えられる手段を用いれば
よい。また、全面消色あるいは全面発色を行なう場合は
ヒートローラー、全面ヒーターなどに接触させるか、温
風を吹き付けるか、加熱された恒温槽内に入れるか、赤
外線を照射するなどの方法がある。もちろんサーマルヘ
ッドで全面に熱を加えてもよい。図11に本発明の記録
方法の説明図を示す。図11(A)は記録工程を示す説
明図、図11(B)は消色工程を示す説明図である。図
中、1は支持体、2は記録層、4はサーマルヘッド、5
は加熱ロールを示す。記録媒体および表示体の記録層
は、前記の発色・消色現象の説明どおり、顕色剤と発色
剤が溶融して発色する温度より低温側に消色温度領域を
持つ。そして、それぞれの材料の組合わせにより消色温
度、発色温度は変化するので、それに合わせて発熱体の
温度、印加エネルギーの調節を行なう。発色状態の記録
層を消色温度に加熱し消色状態を作る場合、発色状態を
作った条件により消色性が異なる場合があり、特に、溶
融状態からの冷却が急冷になるほど消色性が低下する場
合がある。このような場合は、発色時の冷却速度をコン
トロールすることが好ましい。例えば、サーマルヘッド
により発色状態を作るときには次の方法により解決でき
る。発色状態を作るための加熱手段としてサーマルヘッ
ドを用い、これとは別の加熱手段により、記録層全体を
溶融温度以下の温度に加熱しながら、サーマルヘッドに
より画像状に熱を加えて溶融温度以上として画像状の発
色状態を得る。この方法によって、溶融状態からの冷却
速度がゆるやかになり、発色状態の消色性は良好なもの
となる。具体的な方法としては、サーマルヘッドに対し
て記録媒体をはさむように設置されるプラテンロールを
温度制御可能なものとする方法がある。プラテンロール
の温度は発色開始温度以下に設定されるが、溶融状態か
らの冷却時に消色温度領域を通過する時間が長くなりす
ぎないように、消色温度領域より低温に設定するのが好
ましい。表面温度制御用のプラテンロールは種々ある
が、金属芯金を中空にしてその内部に加熱用ランプを設
けたものがある。また、加熱用ランプの代りに面抵抗体
や電子冷却加熱素子を設け、摺動通電部を介してプラテ
ンロールを通電発熱又は冷却する方式のものあるいは温
度制御されたロールを圧着させてプラテンロールを加熱
・冷却させる温度制御方式のものがある。
【0074】本発明の表示装置は、可逆的感熱記録層を
有する表示体と、発色状態を形成するために、記録層中
の発色剤と顕色剤が一時的に溶融温度以上になるように
記録層に対し画像状または全面に熱を印加する手段と、
発色状態にある記録層を消色状態にするために、一時的
に溶融温度より低い温度になるように記録層に対して全
面又は画像状に熱を印加する手段を備えたものである。
また、上記の表示体はエンドレスベルト状の表示体にす
るのが好ましく、この場合には画像の形成と消去が表示
体の一方向への移動だけで効率的に行なうことができ
る。図12に、本発明の表示装置の1つについての構成
概念図を示す。図中、1はエンドレスの可逆的感熱記録
媒体からなる表示体、2は表示体1の表示部を加熱する
ためのサーマルヘッド、3は表示体1の表示部を選択的
にあるいは全体にわたって加熱して消去するためのサー
マルヘッド、4、5は表示体1を回転させるためのロー
ラーである。この装置においては、表示体1を図中矢印
の方向に回転させながら、サーマルヘッド2、3を用い
て情報の記録、消去を行なう。このように情報の記録、
消去の基本動作を独立した部位で行い、表示体1を周期
的に回転させて表示動作を行わせることにより、シンプ
ルな装置構成で大画面表示を行うサーマルディスプレイ
を実現することが可能となる。
【0075】図13は本発明の投影表示装置の構成概念
図であり、図中1はエンドレスの可逆的感熱記録媒体か
らなる表示体、2はスクリーン、3は記録用サーマルヘ
ッド、4は消去用サーマルヘッド、5は光源、6、7は
投影用レンズである。この装置においては、表示体1を
図中矢印の方向に周期的に回転させながらサーマルヘッ
ド3、4を用いて情報の記録、消去を行う。そして、記
録された情報は光源5、投影用レンズ6、7からなる光
学系によりスクリーン上に投影される。このように情報
の記録、消去の基本動作を独立した部位で行い、表示体
1を周期的に回転させて表示動作を行わせることによ
り、シンプルな構成で大画面表示を行う投影表示装置を
実現することが可能となる。
【0076】本発明の多色表示体は、支持体上に前記の
可逆的熱発色性組成物を含有する記録層を備えたもので
あり、記録層には色相の異なる可逆的熱発色性組成物2
種以上を、ストライプ状、マトリックス状など規則的な
配列パターンで配置したものである。本発明の可逆的熱
発色性組成物は、加熱温度の違いにより、可逆的に発色
状態と消色状態をとらせることができる。また、この組
成物の発色状態の色相は、その中に含まれる発色剤によ
って変化し、発色剤の選択によって様々な色に発色する
組成物が得られる。本発明の多色表示体は、支持体の上
に異なる色相に発色する組成物を含む記録層が、表示体
の面内にストライプ状、マトリックス状等の規則的なパ
ターンで配列されている。図14〜図17は、本発明の
多色表示体とその記録層の配列パターン、およびその配
列パターンによる発色の様子を示したものである。図1
4は、多色表示体を上部から見たものである。発色色相
が異なる記録層の配置を示すものであり、図14(a)
はストライプ状、図14(b)、図14(c)はマトリ
ックス状の規則的なパターンで配置されている。図14
の場合では、例えば斜線を付けた部分と付けない部分は
異なる色に発色する記録層を示す。この多色表示体に用
いる支持体は、光を透過させて画像を見る場合や投影す
る場合には透明な支持体を用いる。これには、例えばポ
リエステルフィルムのようなプラスチックフィルムを用
いることができる。反射画像として見る場合には白色の
支持体、例えば、フィルム中に白色顔料を分散させたも
のや、フィルム上に同様の白色の層を設けた支持体を用
いればよい。支持体上に、異なる色に発色する記録層を
規則的なパターンで配置するには、各記録層の材料、す
なわち、本発明の可逆的熱発色性組成物とバインダー樹
脂を含む混合物を、スクリーン印刷などの印刷手段を用
いて記録層を形成すればよい。
【0077】次に、このような多色表示体を用いた画像
形成について説明する。図15はストライプ状に配置さ
れた異なる2色に発色する表示体に対し、サーマルヘッ
ドのライン走査により各ストライプ状記録層に対して画
像状に選択的に熱を加え、多色画像を形成したものであ
る。図15に示す画像の2つの文字(RとC)は、それ
ぞれ異なるストライプ状記録層が発色しており、異なる
色の画像となっている。また、文字の重なった部分は2
色両方が交互に発色した状態にあり、見る距離に対して
このストライプのピッチが十分に細かければ、この2色
の混合色に発色しているように見える。したがって、こ
の場合画面上では3色の画像が表示されていることにな
る。
【0078】図16は、異なる3色に発色する記録層を
マトリックス状に配置した例であり、図17は、同じく
3色をストライプ状に配置した例である。図16の各色
に発色するマトリックス状パターンを構成する画素の大
きさは、サーマルヘッドの一画素の大きさまで小さくす
ることができる。このマトリックスを、例えば三原色で
ある赤(R)、緑(G)、青(B)に発色する記録層に
よって構成すれば、三色だけでなくフルカラーの画像も
形成できる。これは、例えば各色について複数個の画素
を含む部分を一単位とし、その中で各色の発色画素数を
変えることによって各単位ごとに階調性を持たせれば良
い。図17の場合は、ストライプ状の各ラインを三原色
に発色する記録層とし、そのラインの一部をサーマルヘ
ッドで選択的に発色させて画素とすることにより、同様
に多色画像あるいはフルカラー画像が形成できる。
【0079】本発明の記録媒体及び表示体には、前記の
可逆的感熱記録層と他の記録層が同じ支持体上に設置さ
れた複合型のものも含まれる。例えば、その代表的な例
は可逆的感熱記録層と磁気記録層を持つ記録媒体であ
る。従来の磁気記録のプリペイドカード、クレジットカ
ード、預貯金カードあるいはノート類は磁気記録部分だ
けで、記録の内容は磁気読取機を通して始めて知ること
ができた。磁気記録層と共に本発明の感熱可逆感熱記録
層を備えていれば、必要な情報を可視化することができ
るので、プリペイドカードの残額表示などが容易に行な
えるので便利である。特に本発明の記録層では、種々の
色の表示や多色表示も可能であり、従来のこの種の複合
化された記録媒体に用いられる記録層よりも著しく優れ
ている。
【0080】本発明の可逆的感熱記録層と磁気記録層の
複合化された記録媒体について具体的に説明する。同一
の支持体上に上記二種類の記録層が区分されて配置され
ていてもよく、また支持体の片面に磁気記録層を設け、
更に他の面に可逆的感熱記録層を設けてもよいが、記録
面積やデサイン上の問題から考えれば、支持体上に磁気
記録層を設け、その上に可逆的熱記録層を設けた積層型
の記録媒体が好ましい。図18(a)に示したように、
支持体1上に設けた磁気記録層2上に直接可逆的感熱記
録層3を設けることにより、同一スペースに磁気記録と
画像記録を独立に行なうことができる。磁気記録では、
磁気ヘッドから磁気記録層までの距離は、磁気での書込
み消去、読取りを支障なく行なうためには約10μm以
下であることが望ましい。したがって、図18(b)に
示したように画像記録層上にさらに保護層4を設けた
り、或いは磁気記録層と画像記録層、画像記録層と保護
層との間に接着層などの中間層を設けるなどした場合に
は、それらの合計が約10μm以下、好ましくは8μm
以下であることが必要である。本発明に用いる磁気記録
層は、磁性材料を真空蒸着、スパッタリングなどの方法
で付着・堆積させるか、或いは磁性材料をバインダー樹
脂と共に塗布することによって形成することができる。
磁性材料としては、鉄、コバルト、ニッケル、及びそれ
らの合金や化合物など慣用の磁性材料が挙げられる。ま
たバインダー樹脂としては、これも慣用の各種熱硬化性
樹脂、放射線硬化樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられ
る。保護層材料としては慣用の上記樹脂類、透明金属酸
化物等の無機材料が挙げられる。溶剤を用いての塗布で
は溶剤が画像記録層に対して影響のないような溶剤と材
料を選択することが必要である。
【0081】本発明の可逆的熱発色性組成物は、以上の
説明から明らかなように可逆的感熱記録媒体および表示
体の記録層の材料として最適なものであるが、この組成
物の用途はこれらに限定されるものではなく、可逆的な
発色現象を生かした様々の用途がある。例えば、電子写
真記録用のトナー、インクジェット記録用のインク或い
は熱転写記録用のインク層などの画像形成材料に用るこ
とができ、これにより消去可能な画像が容易に形成でき
る。また、ヒートモードの書き替え可能型光記録媒体の
記録層材料にも適している。
【0082】本発明の組成物を使った光記録媒体につい
て以下に具体的に説明する。光記録媒体は、支持体上に
本発明の可逆的熱発色性組成物を含む記録層を設け、小
さく集光したレーザー光を照射することにより発色或い
は消色したスポットを形成して、情報を記録するもので
ある。記録層が記録に用いる光を吸収する場合は、記録
層中に吸収された光が熱エネルギーとなり記録層を加熱
する。記録層が、光を吸収しない場合には、記録層に接
するか、近傍に光吸収層を別に設けれけばよい。この層
は、光熱変換層として働き、発生する熱が記録層に伝わ
り、記録層が加熱される。また、記録層中に光を吸収し
て熱に変える光熱変換物質を添加しても同様に記録が可
能である。図19は、本発明の光記録媒体の基本的構成
を示すものである。図19(a)は、支持体1上に記録
層(ヒートモード光記録層)3を設けたものであり、こ
の場合には必要に応じ記録層(ヒートモード光記録層)
3中に光熱変換物質を添加する。図19(b)は、支持
体1上に光熱変換層2を設け、さらにその上に記録層
(ヒートモード光記録層)3を設けたものである。また
図19(c)は、図19(b)の光記録媒体の上にさら
に保護層4を設けたものである。本発明で用いる光記録
媒体の光熱変換層は、例えば白金、チタン、シリコン、
クロム、ニッケル、ゲルマニウム、アルミニウムなどの
金属または半金属の層を用いればよく、光の一部を反射
する反射層と兼用することができ、反射光を用いて再生
する場合には構成上特に有利である。また、光熱変換に
用いる光吸収剤としては、例えば、アゾ系色素、シアニ
ン系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色
素、スクアリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナ
フタロシアニン系色素、ナフトキノン系色素、ポルフィ
リン系色素、インジゴ系色素、ジチオール錯体系色素、
アズレニウム系色素、キノンイミン系色素、キノンジイ
ミン系色素などを用いることができ、光吸収剤は記録、
消去に用いる光の波長により選択される。
【0083】本発明の光記録媒体の製造に当たり、記録
層を形成するには次のような方法がある。記録層を発色
剤と顕色剤とバインダー樹脂を用いて形成させる場合に
は、適当な溶剤にこれらを溶解して塗布・乾燥すること
により設けることができる。また、これらの材料を樹脂
溶液中でボールミルなどを用い分散して塗布することも
できる。これらの方法においては、その塗布にはスピン
コート、ディッピングなどの通常の塗布方法が使用でき
るので製造上有利である。樹脂を用いずに記録層を形成
する場合には、次のような方法をとることができる。加
熱した支持体上に発色剤と顕色剤を混合溶融させた融液
を薄膜状に保持し、その状態から冷却することにより記
録層が形成できる。このようにして形成した記録層は分
散状態ではなく結晶状の膜であるため高密度な記録に適
している。本発明の光記録媒体を用いた記録方式は、発
色剤と顕色剤による発色を用いるものであるが、これに
は2つのケースがある。1つは、消色状態の記録層に発
色状態のスポットを作り記録する場合で、もう1つは発
色状態の記録層に消色状態のスポットを作り記録する場
合である。発色状態のスポットを作って記録する場合に
は、次のようにして記録層を全面消色し初期状態とす
る。即ち、溶融混合状態で発色した状態から徐冷し、消
去温度をゆっくり通過させ、全面消色した状態を得る。
また、溶融混合状態で発色した状態から急冷して、いっ
たん全面発色状態とし、その後、消色温度まで昇温冷却
することによって全面消色した状態を得ることができ
る。後者の方法は全面均一な状態が得られやすく、高密
度な記録を行なうためには好ましい。消色状態のスポッ
トを作って記録する場合には、溶融混合状態で発色した
状態から急冷して全面発色状態とすればよい。本発明の
記録層の発色・消色と温度の関係(図1)からわかるよ
うに、発色はある温度以上に加熱・冷却されればよく、
消色はこれより低いある一定温度域に加熱・冷却する必
要がある。したがって、照射条件としては発色状態を作
るほうが許容範囲が広い。一般に高速性を要求される記
録の形成は、発色状態の形成によって行なうほうがシス
テムを組みやすい。本発明の光記録媒体の基板には、一
般的に用いられるガラス板やアクリル樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂などのプラスチック板が使用できる。保護層
には、ガラスまたは樹脂などの記録光、再生光、消去光
に対し透明な層が使用できる。また、このようなレーザ
ー光による記録は、高密度な画像形成にも応用できる。
例えば高密度のディスプレーや投影型の大型ディスプレ
ーには好適である。
【0084】
【発明の効果】本発明の顕色剤と発色剤の組合わせによ
る可逆的熱発色性組成物は、加熱温度によって発色状態
と消色状態が容易に形成でき、その両状態とも室温で安
定して存在できる。また、この発色と消色は繰り返し行
なうことができる。さらに発色の色は発色剤の種類によ
り変えることができ、目的に応じ選択できる。消色の起
きる温度領域と発色温度は顕色剤と発色剤との組合わせ
を変えることにより任意に選択でき、目的に応じて使い
分けることができる。本発明の可逆的感熱記録媒体およ
び表示体は、上記可逆的熱発色性組成物を使用している
ので画像コントラストが高く、消色性が良いため消色時
の画像残りもなく高品質の画像形成が可能である。本発
明の記録層上に保護層を設けた可逆的感熱記録媒体およ
び表示体は、耐薬品性、耐水性、耐摩擦性、耐光性に優
れている。また、この記録媒体および表示体は、サーマ
ルヘッドなどの加熱装置と接触するような状況下で繰り
返し使用しても損傷を受けにくく、そのため画像品質の
低下が少なく、また走行性も良好なため画像形成時のト
ラブルが起きにくい。本発明の保護層中に、硬化性樹脂
を含有させた可逆的感熱記録媒体および表示体は、繰り
返し耐久性が向上し、しかも高濃度の画像が形成でき
る。本発明の記録層中に又は保護層中に、フィラー又は
滑剤を含有させた可逆的感熱記録媒体および表示体は、
スティッキッグなどの問題もなく、ヘットマッチング性
が向上する。本発明の記録層中又は保護層中に、高分子
カチオン系導電剤を含有させた可逆的感熱記録媒体およ
び表示体は、表面の帯電が防止されるためサーマルヘッ
ドに対する走行性が改善され、繰り返し使用の耐久性が
向上する。本発明の透明支持体を用いた、或いは更に樹
脂層を設けた可逆的感熱記録媒体および表示体と、本発
明の製造方法によって得られる透明性の高い記録媒体お
よび表示体は、オーバーヘッドプロジェクターなど透過
光による表示のための原稿として有利な記録媒体であ
る。本発明の白色支持体を用いた可逆的感熱記録媒体お
よび表示体は、画像の表示を反射画像として見ることが
できる。本発明の記録層と保護層との間に中間層を設け
た可逆的記録媒体および表示体は、記録層と保護層との
接着性等が向上する。本発明の情報記録媒体は、上記可
逆的感熱記録層と磁気記録層を合わせ持つため、情報の
記録だけでなく、必要に応じてその情報の一部を可視化
して表示でき、プリペイドカードなどの記録媒体として
有利である。本発明の多色表示体によれば、発色色相の
異なる上記可逆的熱発色性組成物を微細な規則的パター
ン状に配置し、サーマルヘッドで各画像を選択的に発色
させるために、容易に高品質な多色画像が形成できる。
本発明の記録方法および表示方法は、上記可逆的感熱記
録媒体を用いるものであり、発色と消色が起きる温度の
違いを利用しているため、温度のコントロールだけで容
易に画像形成と消去ができる。
【0085】
【実施例】以下、本発明を実施例によって、さらに詳細
に説明する。なお、実施例中の「部」および「%」はい
ずれも重量を基準とするものである。
【0086】実施例1 発色剤として、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロ
フェニル)アミノフルオランを用い、顕色剤として表2
に示す長鎖アルキル基を持つホスホン酸を用いて本発明
の組成物を以下のように作製した。まず発色剤と顕色剤
を1:2の混合比(モル比)となるように秤量し、乳鉢
で粉砕・混合した。厚さ1.2mmのガラス板をホット
プレート上で温度170℃に加熱した。このガラス板上
に、上記の混合物を少量のせて溶融させた。混合物は溶
融と同時に発色し黒色となった。続いて、溶融混合物の
上からカバーグラスをかぶせ、融液を一様な厚さに広
げ、すぐにガラス板ごと全体を用意しておいた氷水中に
沈め、急冷した。降温後、すぐに氷水中から取り出し、
付着した水を除き、薄膜状の発色した本発明の組成物を
得た。次に、この組成物の発色・消色特性を調べるた
め、以下のような測定を行なった。光学顕微鏡の試料台
上に試料加熱装置を設置し、上記の発色状態の組成物試
料をセットし、室温から昇温速度4℃/分で昇温しなが
ら観察した。また同時に、顕微鏡の光源から試料を通過
し接眼部に到達する光量の変化を測定した。この結果、
組成物がある温度で消色すると同時に光量が増加し、さ
らに昇温を続けると再び溶融する温度で再発色すること
を確認した。また、透過光量の変化から消色開始温度を
求めた。炭素数12から22の直鎖アルキル基を持つホ
スホン酸を用い、得られた発色状態の組成物について透
過光量の温度変化を測定し、図4の結果を得た。図の透
過光量は、初期発色状態を1.0として表示したもので
ある。この図より、各ホスホン酸とも消色する温度領域
を持ち、消色開始温度はアルキル鎖長が長くなるほど高
温側にずれることがわかる。各ホスホン酸の消色開始温
度を表2に示す。
【0087】
【表2】
【0088】上記のホスホン酸を用いた発色状態の各組
成物のDSC測定を行ったところ、これらの組成物は、
すべて、DSCの昇温過程で溶融温度領域より低い温度
で発熱ピークを持つことが確認された。次に、オクタデ
シルホスホン酸を用いた混合比2/1(顕色剤/発色
剤:モル比)の発色状態の組成物を消色温度領域の70
℃まで同様に昇温し、続いてこの温度から室温まで降温
したときの透過光量の温度変化を図20に示す。この図
から70℃の消色状態の組成物は、降温してもその消色
状態を保っていることがわかる。オクタデシルホスホン
酸を用い、発色剤との混合比を変えた発色状態の組成物
について、透過光量の温度変化を図21に示す。図21
に示した各数値は混合比を示す。これらの混合比におい
ても、組成物は明確な消色温度領域を示すことがわか
る。
【0089】比較例1 顕色剤としてデシルホスホン酸を用いた以外は実施例1
と同様にして発色状態の組成物を作成した。ただし顕色
剤/発色剤比は2/1(モル比)とした。この組成物の
透過光量の温度変化を図22の曲線(a)に示す。この
図から分るように、この組成物は透過光量の増加する温
度領域がなく、また目視でも消色は観察されなかった。
また、顕色剤としてオクタデシルホスホン酸を用い、発
色剤として3−(N−n−プロピル−N−メチル)アミ
ノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを用いて同様
にして作成した発色状態の組成物の透過光量の温度変化
を観察し、図22の曲線(b)に示す。この組成物の場
合も昇温過程で消色は起きなかった。上記2種の発色状
態の組成物(a)、(b)について、そのDSCを測定
した結果を図7および図8に示す。これらの図から分る
ように、両者ともDSCの昇温過程に発熱ピークは認め
られなかった。
【0090】実施例2 顕色剤として2−(エイコシルチオ)こはく酸を用い、
発色剤として表3に示すフルオラン化合物を用い、混合
比2/1(顕色剤/発色剤:モル比)で実施例1と同様
にして発色状態の組成物を作成した。これらの発色状態
の組成物について透過光量の温度変化を図23に示す。
また、この図から求めた消色開始温度を表3に示す。こ
れらの組成物も、明確な消色温度領域を持ち、可逆的な
熱発色性組成物であることがわかる。
【0091】
【表3】
【0092】上記の2−(エイコシルチオ)こはく酸を
用いた発色状態の組成物のDSC測定結果を図24に示
す。この図から、これらの組成物は昇温過程で発熱ピー
クを示すことがわかる。
【0093】比較例2 顕色剤として2,2−ビス−p−ヒドロキシフェニルプ
ロパンを用い、発色剤として実施例2で用いた6種のフ
ルオラン化合物を用いた以外は実施例2と同様にして発
色状態の組成物を作成した。これらの組成物について実
施例1と同様に透過光量の温度変化を調べたが、すべて
の組成物に消色温度領域はなく、発色状態のままであっ
た。発色剤に3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルフ
ェニル)アミノフルオランを使った組成物の光透過量の
温度変化を図22に曲線(c)として示す。また、この
発色状態の組成物のDSC測定を行なったところ、昇温
過程に発熱ピークは認められなかった。そのDSC測定
結果の例を図6に示す。
【0094】実施例3 長鎖構造を持つ顕色剤と発色剤からなる本発明の可逆的
熱発色性組成物を含む記録層を作成するため、下記表4
に示す組成物をボールミルを用いて粒径1〜4μmまで
粉砕・分散して記録層形成用塗布液を調製した。ここで
用いた顕色剤と発色剤の組合わせを表4に示す。上記組
成の各塗布液を、厚さ100μmのポリエステルフィル
ム上にワイヤーバーを用いい塗布し、乾燥して膜厚約
6.0μmの記録層を持つ本発明の可逆的感熱記録媒体
を作成した。これらの記録媒体を、加熱条件を温度13
0℃、圧力1kg/cm 、1秒間として熱傾斜試験機
(東洋精機製作所製)の発熱体に接触させて、発色状態
とし、発色濃度を測定した。濃度の測定にはマクベス濃
度計RD−918を使用した(以下の実施例はすべて同
じ)。各記録媒体の発色濃度を表5に示す。次に、この
発色した記録媒体を表5に示した消色温度の恒温槽中に
約20秒間入れて消色させ、消色濃度を測定した。各記
録媒体の消色濃度を表5に示す。さらに、上記の発色操
作と消色操作を10回繰り返して行ない、発色の可逆性
を調べたところ、実施例のすべての組合わせについて発
色消色の繰り返しが可能であることを確認できた。
【0095】
【表4−(1)】
【0096】
【表4−(2)】
【0097】
【表4−(3)】
【0098】
【表4−(4)】
【0099】
【表4−(5)】
【00100】
【表4−(6)】
【00101】
【表4−(7)】
【00102】
【表4−(8)】
【00103】
【表4−(9)】
【00104】
【表4−(10)】
【0105】
【表5−(1)】
【0106】
【表5−(2)】
【0107】
【表5−(3)】
【0108】
【表5−(4)】
【0109】
【表5−(5)】
【0110】
【表5−(6)】
【0111】実施例4 本発明の可逆的熱発色性組成物を含む記録層を作製する
ため、下記表6の組成物を撹拌・溶解して塗布液を調製
した。ここで用いた顕色剤と発色剤の組合わせを表6に
示す。
【0112】
【表6】
【0113】この塗布液を厚さ100μmのポリエステ
ルフィルム上にワイヤーバーを用いて塗布し、110℃
で乾燥して膜厚約8μmの記録層を持つ本発明の可逆的
感熱記録媒体を作成した。各記録層は、乾燥温度が発色
温度以上であるため発色状態となった。全体を消色状態
とするため、表7に示す消色温度のオーブン中に10秒
間入れた。これらの記録媒体へ感熱プリンター(リコー
製CUVAX−MC50)を用いサーマルヘッドによる
印字を行なった。すべての記録媒体は透明な地肌部に対
し鮮明な発色画像が得られた。これらの記録媒体に形成
された画像はオーバーヘッドプロジェクターで鮮明な投
影画像として見ることができた。記録媒体上の画像の発
色濃度と、前記と同じ消色操作により得られた消色状態
の濃度を表7に示す。この発色画像形成と消色は繰り返
して行なうことができた。
【0114】
【表7】
【0115】実施例5 表8に示す顕色剤と発色剤および樹脂を含む組成物を用
い、実施例1と同様にして記録層形成用塗布液を調製し
た。表8に示す白色支持体上に、塗布液をワイヤーバー
で塗布し、乾燥して膜厚約7μmの記録層を作成し、本
発明の可逆的感熱記録媒体を得た。
【0116】
【表8】
【0117】この記録媒体へ感熱プリンターを用いてサ
ーマルヘッドによる印字を行なったところ、すべての記
録媒体は白色の地肌部に対して鮮明な黒色の画像が形成
できた。この画像の発色濃度を表9に示す。また、これ
らの画像は、表9に示す消色温度に設定した熱ローラー
に通すことによって消色状態に戻すことができた。消色
後の濃度を表9に示す。この発色画像形成と消色は、繰
り返して行なうことができた。
【0118】
【表9】
【0119】実施例6 表10に示す発色剤、顕色剤およびフェノキシ樹脂を含
む組成物を、ボールミルを用いて粒径1〜4μmまで粉
砕・分散して記録層形成用塗布液を調製した。
【0120】
【表10】
【0121】上記組成の各塗布液を、厚さ100μmの
ポリエステルフィルム上にワイヤーバーを用いて塗布
し、乾燥して約7μmの記録層を持つ本発明の可逆的感
熱記録媒体を作成した。これらの記録媒体に対し、8d
ot/mmのサーマルヘッドを用い印加電力1.0W印
加パルス巾1.2msecで印字した。また印字した記
録媒体を表10に示す各記録媒体の消色温度に加熱した
ホットプレートに20秒間接触させた。この印字と消色
の操作を10回繰り返して行ない、印字後の発色濃度を
測定した。各記録媒体の1回目と10回目の発色濃度と
消色濃度を表11に示す。この結果から、これらの本発
明の記録媒体は、繰り返しによっても高い発色濃度と低
い消色濃度を維持し、良好な画像品質を保つことがわか
る。また、これらの記録媒体は、印字操作においてステ
ィッキングによる記録層の損傷もなく、良好な走行性を
示した。
【0122】
【表11】
【0123】実施例7 表12に示す発色剤、顕色剤および芳香族ポリエステル
樹脂を含む組成物を用いた以外は、実施例6と同様にし
て本発明の感熱記録媒体を作製した。
【0124】
【表12】
【0125】各記録媒体に対して、実施例6と同様にサ
ーマルヘッドによる印字と消色を繰り返して行ない発色
濃度、消色濃度を測定した。各記録媒体の1回目と10
回目の発色濃度と消色濃度を表13に示す。この結果か
ら、これらの本発明の記録媒体は、発色・消色の繰り返
しによっても高い発色濃度と低い消色濃度を維持し、良
好な画像品質を保持しうることがわかる。また、これら
の記録媒体は、印字操作においてスティッキングによる
記録層の損傷もなく、良好な走行性を示した。
【0126】
【表13】
【0127】実施例8 表14に示す顕色剤、発色剤および樹脂を含む組成物を
ボールミルを用いて粒径1〜4μmまで粉砕して記録層
形成用塗布液を調製した。この塗布液を厚さ100μm
のポリエステルフィルム上に塗布し、乾燥して、膜厚約
5μmの記録層を形成した。さらに表14に示す硬化方
法及び条件により処理して本発明の可逆的感熱記録媒体
を作製した。なお、熱硬化性樹脂を用いた実施例8−
1、8−2では、硬化熱処理の1段目で発色状態となる
が、2段目の熱処理で消色する。
【0128】
【表14】
【0129】各記録媒体について、実施例6と同様にサ
ーマルヘッドによる印字と消色を繰り返して行ない、発
色濃度と消色濃度を測定した。各記録媒体の1回目と1
0回目の発色濃度と消色濃度を表15に示す。この結果
より、これらの本発明の記録媒体は、発色・消色の繰り
返しによっても高い発色濃度と低い消色濃度を維持し、
良好な画像品質を保つことがわかる。また、これらの記
録媒体は、印字操作においてスティッキングによる記録
層の損傷もなく、良好な走行性を示した。
【0130】
【表15】
【0131】実施例9 表16に示す発色剤と顕色剤の組合わせについて、下記
の処方に基づく組成物をそれぞれボールミルで粒径1〜
4μmまで粉砕・分散してA液、B液、C液を調製し
た。 A液 発色剤 10部 ポリビニルアルコール10%水溶液 10部 水 30部 B液 顕色剤 10部 ポリビニルアルコール10%水溶液 10部 水 30部 C液 炭酸カルシウム 10部 メチルセルロース 10部 水 30部 次に、A液、B液、C液の各30部を混合して記録層形
成用塗布液とし、表16に示す支持体上に乾燥付着量5
g/mとなるように塗布し、乾燥後カレンダー掛けを
行ない本発明の記録媒体とした。各記録媒体について、
実施例3と同様に発色および消色操作を行なった。その
結果、表16に示す発色濃度と消色濃度が得られた。ま
た、この発色と消色は繰り返し行なうことができた。
【0132】
【表16】
【0133】実施例10 表17に示す発色剤、顕色剤および水性エマルジョン化
された疎水性高分子を含む組成物をそれぞれボールミル
で粒径1〜4μmまで粉砕・分散して塗布液とし、これ
を上質紙(48g/m)上に、乾燥付着量5g/m
となるように塗布し、乾燥後カレンダー掛けを行ない、
本発明の記録媒体とした。
【0134】
【表17】
【0135】各記録媒体について、実施例3と同様に発
色および消色操作を行なった。その結果、表18に示す
発色濃度と消色濃度が得られた。また、発色と消色は繰
り返し行なうことができた。
【0136】
【表18】
【0137】実施例11 厚さ100μmのポリエステルフィルム上に表19に示
す記録層を設けた。これらの記録層は実施例3で用いた
ものと同じものである。これらの各記録層の上に表19
に示す材料及び処方の保護層形成用塗布液をワイヤーバ
ーを用い膜厚4〜5μmとなるように塗布し、乾燥して
本発明の保護層を有する可逆的感熱記録媒体を作製し
た。なお、実施例11−3、11−4については、保護
層形成用塗布液をボールミルで充分粉砕・混合した後に
塗布した。
【0138】
【表19】
【0139】これらの各記録媒体について、実施例6と
同様にしてサーマルヘッドで印字し、発色濃度を測定し
た。印字した記録媒体を表23に示す消色温度のヒート
ローラーを通して消色した。この発色と消色の操作を5
0回繰り返して行ない、画像品質、耐摩擦性、走行性に
ついて評価した。また、耐日光性、耐蛍光灯性、耐水
性、耐薬品性について評価した。評価は次のようにして
行なった。 画像品質 :画像のコントラスト、かすれ、にじみ等について目視で評価 耐摩擦性 :サーマルヘッドのこすれによるキズの有無、程度について目視で 評価 走行性 :印時中のサーマルヘッドによるスティッキングの有無、程度を評 価 耐日光性 :印字画像を太陽光下3日間暴露し、色調変化、濃度変化により評 価 耐蛍光灯性:印字画像を5000luxの蛍光灯下に120時間暴露し、色調 変化、濃度変化により評価 耐水性 :記録媒体を水中に浸漬し、室温で12時間放置し安定性を目視で 評価 耐薬品性 :記録媒体にエチルアルコールを付着させ、室温で15分間放置し 安定性を目視で評価 また、保護層を設けなかった記録媒体についても、同様
に評価し、結果を表23にまとめた。表23の結果か
ら、保護層を設けることによって上記の各特性が向上す
ることがわかる。
【0140】実施例12 厚さ100μmのポリエステルフィルム上に表20に示
す記録層を設けた。これらの記録層は実施例3で用いた
ものと同じものである。これらの各記録層の上に表20
に示す材料及び処方の保護層形成用塗布液をボールミル
で充分に粉砕・分散した後、ワイヤーバーを用いて塗布
し、加熱・乾燥後、80W/cmの紫外線ランプを照射
して硬化させ、膜厚4〜5μmの保護層を持つ本発明の
可逆的感熱記録媒体を作製した。
【0141】
【表20】
【0142】これらの記録媒体について実施例11と同
様に評価し、結果を表23に示した。表23の結果から
保護層を設けることによって実施例11に記載した各特
性が向上することがわかる。
【0143】実施例13 厚さ100μmのポリエステルフィルム上に表21に示
す記録層を設けた。これらの記録層は実施例3で用いた
ものと同じである。これらの各記録層の上に表21に示
す材料及び処方の保護層形成用塗布液をボールミルで充
分に粉砕・分散した後、ワイヤーバーを用いて塗布し、
加熱・乾燥後、エレクトロカーテン型電子線照射装置
(ESI社製 CB:150型)を使用し、3Mrad
の照射線量で硬化させ、膜厚2〜4μmの保護層を持つ
本発明の可逆的感熱記録媒体を作製した。
【0144】
【表21】
【0145】これらの記録媒体について実施例11と同
様に評価し、結果を表23に示した。表23の結果か
ら、保護層を設けることによって実施例11に記載した
各特性が向上することがわかる。
【0146】実施例14 厚さ100μmのポリエステルフィルム上に表22に示
す記録層を設けた。これらの記録層は実施例3で用いた
ものと同じものである。これらの記録層の上に表22に
示す組成の保護層形成用塗布液をボールミルで充分に粉
砕・分散した後ワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥した
後、120℃のオーブン中で1時間、さらに70℃のオ
ーブン中で48時間熱処理して硬化させ、膜厚4〜5μ
mの保護層を持つ本発明の可逆的感熱記録媒体を作成し
た。これらの記録媒体について実施例11と同様に評価
し、結果を表23に示した。表23の結果から、保護層
を設けることによって実施例11に記載した各特性が向
上することがわかる。
【0147】
【表22】
【0148】
【表23】
【0149】実施例15 支持体として52g/mの上質紙を用い、表24に示
す材料及び処方のアンダーコート層形成用塗布液を乾燥
付着量4g/mとなるように塗布し、キャレンダー掛
けを行なってアンダーコート層を設け、さらに、その上
に表24に示す記録層を設けた。これらの記録層は実施
例3または9で用いたものと同じである。
【0150】
【表24】
【0151】このようにして作成したアンダーコート層
を有する本発明の可逆的感熱記録媒体に対し、実施例3
と同様にして熱を印加し、発色状態を作り、さらに表2
4に示す消色温度に再加熱して消色状態を作った。発色
状態と消色状態の濃度を測定した結果を表24に示す。
アンダーコート層を設けなかった場合の結果は表16の
実施例9−1、9−2である。これらの結果より、アン
ダーコート層を設けることにより消色濃度が低下し、消
し残りのない良好な消色状態が得られることがわかる。
【0152】実施例16 表25に示す組成の断熱性アンダーコート層形成用塗布
液を充分に分散した後、表25に示す支持体上に塗布・
乾燥して断熱性アンダーコート層を設け、さらにその上
に表25に示す記録層を設けた。これらの記録層は実施
例3または9で用いたものと同じである。
【0153】
【表25】
【0154】このようにして作製した断熱性アンダーコ
ート層を有する本発明の可逆的感熱記録媒体に対し、実
施例3と同様にして熱を印加して発色状態を作り、さら
に表25に示す消色温度に再加熱して消色状態を作っ
た。発色状態と消色状態の濃度を測定した結果を表25
に示す。この結果より、断熱性アンダーコート層を設け
た記録媒体は良好な消色性を示すことがわかる。また、
表25には断熱性支持体である発泡白色PETフィルム
を用いた記録媒体についての結果も示した。この場合も
断熱性アンダーコート層存在時と同様に良好な消色性を
示すことがわかる。
【0155】実施例17 実施例11、12、13、14で作製した記録層の上に
保護層を設けた記録媒体について次のようにして透明性
を調べた。また、比較のため保護層を設けなかった記録
媒体についても透明性を調べた。反射型オーバーヘッド
プロジェクター(リコー製OHP312R)を用いて、
記録媒体を投影し、スクリーン上での明るさ(照度)を
測定した。結果を表26に示す。
【0156】
【表26】
【0157】表26より、記録層上に保護層を設けた場
合、記録層のみの場合に比べ透明性が高く、スクリーン
に透影される地肌部が明るいことがわかる。したがっ
て、この保護層を設けた記録媒体を用いればオーバーヘ
ッドプロジェクターにより投影される画像のコントラス
トを高くできる。
【0158】実施例18 下記組成物をボールミルで粒径1〜4μmまで粉砕・分
散させて塗布液を調製した後、膜厚100μmの透明ポ
リエステルフィルムに乾燥後の膜厚5.0μmとなるよ
うに塗布し、各々所定温度で2分間乾燥した。 3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロフェニル)アミノフルオラン 14部 オクタデシルホスホン酸 42部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 (ユニオンカーバイド社製 VYHH) 42部 メチルエチルケトン 210部 トルエン 210部 120℃、140℃乾燥品は、乾燥時に発色したため、
乾燥後70℃に10分間加熱して消色させた。これらを
波長500nmで透過率測定を行ない、その後、60℃
及び80℃の乾燥品については、120℃1分間で発色
させ、次いで70℃10分間で消色させて再度透過率を
測った。その結果を表27に示す。
【0159】
【表27】 注:透過率は100μpmのポリエステルフィルム込み
であり、ポリエステルフィルム単体の透過率は85.6
%である。No.3、4はNo.1同様にいずれも透明
性は充分であった。
【0160】実施例19 下記組成物を50℃で加熱・溶融した後、50℃に保っ
たまま60℃で加温した膜厚100μmの透明ポリエス
テルフィルムに、乾燥後の厚さ5.0μmになるように
塗布し、各々所定温度で2分間乾燥した。 3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロフェニル) アミノフルオラン 3部 オクタデシルホスホン酸 10部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30部 (ユニオンカーバイド社製VYHH) THF(テトラヒドロフラン) 160部 トルェン 1.5部 120℃及び140℃乾燥品は乾燥時に発色したため、
乾燥後70℃に10分間加熱して消色させた。これら乾
燥品の透過率を波長500nmで測定した。その結果を
表28に示す。乾燥温度60℃及び80℃では、オクタ
デシルホスホン酸の結晶が析出して表面が平滑でなくな
り、これを120℃2分間で発色させ次いで70℃10
分間で消色させても平滑性は充分でなかった。
【0161】
【表28】 No.3、4は充分な透明性を示したが、No.1、2
については加熱処理後も不充分な透明性であった。
【0162】実施例20 下記組成物を用い、実施例18と同様にして塗布液を調
製した。この塗布液を用いて実施例18と同様にして記
録媒体を作り、その光透過率を測定した。その結果を表
29に示す。 3−ジエチルアミノ−7−クロルフルオラン 10部 α−ヒドロキシオクタデカノイック酸 30部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 (ユニオンカーバイド社製、VYHH) 30部 THF 170部 トルエン 100部
【0163】
【表29】
【0164】実施例21 下記組成物を用い、実施例18と同様にして塗布液を調
製した。この塗布液を用いて実施例18と同様にして記
録媒体を作り、その光透過率を測定した。その結果を表
30に示す。 3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルフェニル) アミノフルオラン 3部 エイコシルホスホン酸 9部 エチルセルロース(関東化学株式会社製) 18部 THF 130部 トルエン 32部
【0165】
【表30】
【0166】実施例22 3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルフェニル) アミノフルオラン 10部 オクタデシルホスホン酸 30部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(ユニオンカーバイト社製VYHH)30部 高分子カチオン系導電剤 (綜研化学社製エレコンド505、固形分50%) 5部 テトラヒドロフラン 250部 イソプロピルアルコール 20部 よりなる溶液を75μm厚のポリエステルフィルム表面
にワイヤーバーを用いて塗布し、加熱・乾燥し、塗布厚
が約6μmの可逆的感熱記録シートを得た。このように
して作製した記録シートを熱傾斜試験機(東洋精機製作
所製)を用いて、圧力2kg/cm、時間1秒の条件
下で印字して発色温度領域及び発色濃度を測定(マクベ
ス濃度計D−918)した結果、100℃以上で濃度
1.50の高濃度の黒色画像が得られた。次に、この印
字された可逆的感熱記録シートを75℃の恒温槽に5秒
間入れたところ、画像は完全に消去され、元の白色の状
態に戻った。この発色及び消色の可逆的な挙動は再現性
があり、このテストを10回繰り返したが機能の低下は
見られなかった。
【0167】実施例23 3−{N−エチル−N−(p−メチルフェニル)アミノ}−6− メチル−7−フェニルアミノ−フルオラン 10部 α−ヒドロキシオクタデカノイック酸 30部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(ユニオンカーバイド社製VYHH)30部 高分子カチオン系導電剤(日本純薬社製MAC) 5部 テトラヒドロフラン 250部 イソプロピルアルコール 20部 よりなる溶液を記録層形成用塗布液とし実施例22と同
様にしてポリエステルフィルム上に記録層を形成し可逆
的感熱記録シートを得た。このようにして作製した記録
シートについて実施例22と同様の試験を行ったとこ
ろ、100℃以上で濃度1.51の黒色に発色し75℃
での消色条件で完全に消去していた。このシートを用い
てワードプロセッサー(リコーマイリポートN−1)に
よりサーマルヘッドで印字したところ、発色濃度1.5
3の鮮明な黒色印字がえられた。この印字した記録シー
トは通常の使用条件下では安定であり、消去は75℃に
設定した加熱ロール機に通すことによって容易に行なわ
れ、消去されて残像のない元の白色状態に戻り、繰り返
し使用による機能の低下は認められなかった。
【0168】実施例24 3−ジエチルアミノ−7−クロロ−フルオラン 10部 オクタデシルチオリンゴ酸 30部 塩化ビニリデンーアクリロニトリル共重合体 (ダウケミカル社製 サラン F310) 30部 高分子カチオン系導電剤 (三洋化成社製ケミスタット6300、固形分3%) 7部 テトラヒドロフラン 250部 トルエン 20部 よりなる溶液を使用し、実施例22と同様にしてポリエ
ステルフィルム上に記録層を形成させて可逆的感熱記録
シートを得た。得られた記録シートを用いて感熱プリン
ター(リコ−製CUVAX MC−50)により印字し
たところピンクの鮮明な画像が得られた。この印字した
記録シートを75℃に設定した加熱ロール機に通したと
ころ印字画像は消去され、元の白色の記録シートにもど
った。再び同様の印字、消去を繰り返したが同様の結果
が再現された。
【0169】比較例3 実施例22〜24のそれぞれから高分子カチオン系導電
剤を除いた以外は実施例22〜24と同様にして可逆的
感熱記録層を形成させ、可逆的感熱記録シートとした。
これらのシートの表面抵抗を、20℃、60%相対湿度
の条件下で測定(横河ヒューレットパッカード社製:
高抵抗計)した結果、上記実施例22〜24のシートの
表面抵抗はいずれも10Ωオーダーであったが、高分
子カチオン系導電剤を含まないものはいずれも1014
Ωオーダーの高抵抗値を示し、非常に帯電し易くフィル
ムの貼り付きがあり取扱に不都合であった。
【0170】実施例25 3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルフェニル)アミノ −フルオラン 10部 オクタデシルホスホン酸 30部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 (ユニオンカーバイト社製VYHH) 30部 テトラヒドロフラン 250部 イソプロピルアルコール 20部 よりなる溶液を75μm厚のポリエステルフィルム表面にワイヤーバーを用いて 塗布し、加熱・乾燥し、塗布厚約6μmの可逆的感熱記録層を設け、この上にさ らに、 弗素樹脂(ダイキン工業社製ダイフロンMF413、固形分3%) 33部 高分子カチオン系導電剤(綜研化学社製エレコンド508) 1部 イソプロピルアルコール 40部 水 26部 よりなる保護層形成液を塗布し、乾燥後の固形分付着量
が0.1g/m保護層を形成した。
【0171】実施例26 実施例25と同様にしてポリエステルフィルム支持体上
に感熱記録層を設け、この上にさらに、 シリコーングラフトポリマー (東亜合成化学社製 アロンXS705) 1部 高分子カチオン系導電剤(三洋化成社製ケミスタット6300) 1部 イソプロピルアルコール 68部 水 30部 よりなる保護層形成液を塗布し、乾燥後の固形分付着量
が0.05g/m保護層を形成した。
【0172】実施例27 実施例25と同様にしてポリエステルフィルム支持体上
に感熱記録層を設け、この上にさらに シリコーンアクリル樹脂 (東レシリコーン社製SR2400、固形分50%) 2部 硬化触媒(東レシリコーン社製SPX242AC) 0.1部 高分子カチオン系導電剤(日本純薬社製MAC) 0.5部 イソプロピルアルコール 95部 水 2部 よりなる保護層形成液を塗布し、乾燥後の固形分付着量
が0.05g/m保護層を形成した。
【0173】比較例4 実施例25〜27のそれぞれの保護層形成液から高分子
カチオン系導電剤を除いた以外は、実施例25〜27と
同様にしてそれぞれの対応する比較例の可逆的感熱記録
シートを作製した。実施例25〜27と同様の条件で表
面抵抗を測定した結果、上記実施例25〜27の記録シ
ートの表面抵抗はいずれも10Ωオーダーであり、ス
ティッキング防止性及びOHP用マーカーによる加筆性
共に良好であったが、比較例のものの表面抵抗はいずれ
も1014Ωオーダーであった。またスティッキング防
止性は変わりなかったが、加筆性は不良であった。
【0174】実施例28 100μmの厚さのポリエステルフィルム上に、次の処
方液をワイヤーバーで塗布・乾燥し約10μmの厚さの
磁気記録層を設け、さらにカレンダー掛けして表面を平
滑にした。 γ−Fe 10部 塩化ビニル−酢酸ビニルービニルアルコール共重合体 2部 (米UCC社、VAGH) ジイソシアネート10%トルエン溶液 2部 (日本ポリウレタン社製コロネートL) メチルエチルケトン 43部 トルエン 43部 この上に次の記録層形成用塗布液を塗布し、70℃で1
0分間乾燥して、厚さがそれぞれ、5,8,10μmの
記録層を設けた。 (28−1) 3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロフェニル) アミノフルオラン 14部 ヘキサデシルホスホン酸 42部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(米UCC社製、VYHH) 42部 メチルエチルケトン 210部 トルエン 210部 (28−2) 3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロフェニル) アミノフルオラン 3部 エイコシルホスホン酸 9部 ポリスチレン(試薬) 18部 THF 130部 トルエン 32部 (28−3) 3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン 10部 α−ヒドロキシオクタデカノイック酸 30部 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(米UCC社製,VYHH) 30部 メチルエチルケトン 170部 トルエン 100部 (28−4〜28−6) 実施例22〜24の画像記録層の上に、エポキシアクリ
レート系紫外線硬化性樹脂(大日本インキ化学社製ユニ
デイックC7−127)を塗布・硬化させ、1μmの厚
さの保護層を設けた。前記のようにして得られた各感熱
記録シートに対し、サーマルヘッドを用いて50mJ/
mmのエネルギーで画像を形成し、そのときの画像濃
度を測定した。また、磁気ヘッドを用いて記録を行な
い、その記録を、画像記録層のないときの記録と、読取
り出力レベルで比較した。結果を表31に示す。
【0175】
【表31】
【0176】比較例5 顕色剤としてアスコルビン酸−6−O−オクタデシル、
発色剤として3−ジブチルアミノ−7−(o−クロルフ
ェニル)アミノフルオランを用い、それ以外は実施例3
と同様にして感熱記録媒体を作成した。この記録媒体は
実施例3と同じ条件で発色、消色操作を行なうと、発色
濃度1.70、消色濃度0.46(消色温度70℃)と
なり、可逆性が認められた。次に、このアスコルビン酸
誘導体を用いた該感熱記録媒体と、同様にして作製した
実施例3に示す本発明の記録媒体について、発色状態の
耐水性を比較した。すなわち、記録媒体に実施例3と同
様な方法で熱を印加して初期発色濃度を測定した。続い
て、これらの記録媒体を20℃の水中に5分間浸漬し、
浸漬後の発色濃度を測定した。水に浸漬する前後の発色
濃度を表32に示す。
【0177】
【表32】 (注)これらの記録媒体は、いずれも発色剤として3−
ジブチルアミノ−7−(o−クロルフェニル)アミノフ
ルオランを用いている。
【0178】表32の結果より、顕色剤にアスコルビン
酸誘導体を用いた従来の記録媒体は発色状態の耐水性が
低く、水との接触によりすぐに著しい濃度低下を起こす
のに対し、本発明の記録媒体はほとんど濃度が低下せ
ず、耐水性が高いことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱発色性組成物の発色、消色と温度の
関係を示す。
【図2】本発明の可逆的熱発色性組成物の凝集状態を示
すX線回折図である。この図において、(a)は顕色剤
/発色剤がモル比で5/1のX線回折図、(b)は顕色
剤/発色剤がモル比で2/1のX線回折図を示す。
【図3】本発明の可逆的熱発色性組成物の昇温消色過程
におけるX線回折の変化を示す図である。この図におい
て、(a)は低角度側の変化を示し、(b)は高角度側
の変化を示す。
【図4】本発明の可逆的熱発色性組成物中に含まれる顕
色剤のアルキル鎖長によって、該発色性組成物の発色温
度が変化する状況を、光透過度と温度の関係で示した図
である。
【図5】本発明の可逆的熱発色性組成物のDSC測定図
を示す図である。この図において、(a)は昇温速度が
4℃/分での測定図、(b)は昇温速度が10℃/分で
の測定図である。
【図6】従来の感熱記録媒体に用いられる組成物のDS
C測定図である。
【図7】アルキル鎖の短かい顕色剤を用いた組成物のD
SC測定図である。
【図8】可逆性のない顕色剤と発色剤を組合わせた組成
物のDSC測定図である。
【図9】本発明の可逆的熱発色性組成物の他のDSC測
定図である。
【図10】本発明の可逆的感熱記録媒体の構成図であ
る。
【図11】本発明の可逆的感熱記録媒体の記録と消色を
示す説明図である。この図において、(A)は発色工程
説明図、(B)は消色工程説明図である。
【図12】本発明の可逆的感熱記録表示体を用いた表示
装置の構成概念図である。
【図13】本発明の可逆的感熱記録表示体を用いた投影
表示装置の構成概念図である。
【図14】本発明の多色表示体において、色相の異なる
可逆的感熱記録層が規則的パターンで配列されている多
色表示体の記録層表面を示す説明図である。この図にお
いて、(a)は記録層がストライプ状に配設された説明
図、(b)及び(c)は記録層がマトリックス状に配置
された説明図である。
【図15】ストライプ状に配列した発色色相の異なる記
録層で形成された発色画像により表示された多色画像の
例を示す図である、
【図16】異なる3色に発色する記録層をマトリックス
状に配置した例を示す図である。
【図17】異なる3色に発色する記録層をストライプ状
に配置した例を示す図である。
【図18】本発明の可逆的感熱記録層と磁気記録層を合
わせ持つ複合化された情報記録媒体の構成図である。こ
の図において、(a)は支持体上に磁気記録層を介して
感熱記録層を積層した構成図、(b)はさらにその上に
保護層を設けた構成図である。
【図19】本発明の組成物を使用する光記録媒体の基本
的な構成図である。この図において、(a)は支持体上
に記録層(ヒートモード光記録層)を設けた構成図、
(b)は支持体上に光熱変換層を設け、その上に記録層
(ヒートモード層)を設けた構成図、(c)は(b)の
上に保護層を設けた構成図である。
【図20】本発明の発色性組成物の発色状態から消色状
態を得る過程を示す光透過度と温度との関係図である。
【図21】顕色剤、発色剤の混合比率を変えた本発明の
組成物の光透過度と温度との関係図である。
【図22】比較例組成物の光透過度と温度との関係図で
ある。
【図23】本発明の可逆的熱発色性組成物の光透過度と
温度との関係図である。
【図24】本発明の図23に示した可逆的熱発色性組成
物の発色状態にある組成物が示すDSC測定図である。
【符号の説明】
(図1) A 常温で消色状態にある組成物 B 加熱・溶融して発色状態の組成物 C 常温下でも発色した状態にある組成物 D 加熱下に消色状態にある組成物 T 発色開始温度 T 消色開始温度 (図5、図6、図7、図8、図9) 1 DSC測定線 2 温度測定線 3 発熱ピーク 4 吸熱ピーク (図10) 1 支持体 2 記録層 3 保護層 4 アンダーコート層 (図11) 1 支持体 2 未発色の記録層 3 発色した記録層 4 サーマルヘッド 5 加熱ロール (図12) 1 支持体 2、3 サーマルヘッド 4、5 ローラー (図13) 1 表示体 2 スクリーン 3 記録用サーマルヘッド 4 消去用サーマルヘッド 5 光源 6、7 投影用レンズ (図18) 1 支持体 2 磁気記録層 3 感熱記録層 4 保護層 (図19) 1 支持体 2 光熱変換層 3 記録層 4 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平3−138476 (32)優先日 平3(1991)5月14日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−155440 (32)優先日 平3(1991)5月31日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−185242 (32)優先日 平3(1991)6月29日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−195997 (32)優先日 平3(1991)7月10日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−198901 (32)優先日 平3(1991)7月12日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−229572 (32)優先日 平3(1991)8月15日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−258552 (32)優先日 平3(1991)9月10日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平3−258553 (32)優先日 平3(1991)9月10日 (33)優先権主張国 日本(JP) 早期審査対象出願 (72)発明者 後藤 寛 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 丸山 勝次 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 久保 敬司 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 江間 英昭 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 山口 岳人 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 久保山 浩紀 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 澤村 一郎 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 谷口 圭司 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 昭60−264285(JP,A) 特開 昭57−167380(JP,A) 特開 平3−224784(JP,A) 特開 昭63−173684(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41M 5/28 - 5/34

Claims (39)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子供与性呈色性化合物と電子受容性化
    合物との間の発色反応を利用した熱発色性組成物であ
    り、溶融温度以上への加熱で発色し、溶融温度以下への
    加熱で消色する可逆的熱発色性組成物であって、電子受
    容性化合物としてホスホン酸化合物、脂肪族カルボン酸
    化合物またはフェノール化合物であって、炭素数12以
    上の脂肪族基を持つ化合物を用いるとともに、この電子
    受容性化合物と電子供与性呈色性化合物を加熱・溶融、
    急冷して得た発色状態の混合物の示差走査熱量分析また
    は示差熱分析における昇温過程で発熱ピークを示す電子
    受容性化合物と電子供与性呈色性化合物の組合せを用い
    ることを特徴とする可逆的熱発色性組成物。
  2. 【請求項2】 前記電子受容性化合物として、下記一般
    式(1)で表わされるホスホン酸化合物を用いることを
    特徴とする請求項1の可逆的熱発色性組成物。 R1−PO(OH)2 (1) (ただし、R1は炭素数12以上の脂肪族基を表わす)
  3. 【請求項3】 前記電子受容性化合物として、下記一般
    式(2)で表わされるα−ヒドロキシ脂肪族カルボン酸
    化合物を用いることを特徴とする請求項1の可逆的熱発
    色性組成物。 R2−CH(OH)−COOH (2) (ただし、R2は炭素数12以上の脂肪族基を表わす)
  4. 【請求項4】 前記電子受容性化合物として、ハロゲン
    元素で置換された炭素数12以上の脂肪族基を有する脂
    肪族カルボン酸化合物であって、その少なくともα位ま
    たはβ位の炭素にハロゲン元素を持つ脂肪族カルボン酸
    を用いることを特徴とする請求項1の可逆的熱発色性組
    成物。
  5. 【請求項5】 前記電子受容性化合物として、炭素鎖中
    にオキソ基を持つ炭素数12以上の脂肪族基を有する脂
    肪族カルボン酸化合物であって、その少なくともα位、
    β位またはγ位の炭素がオキソ基となっていることを特
    徴とする請求項1の可逆的熱発色性組成物。
  6. 【請求項6】 前記電子受容性化合物として、下記一般
    式(3)で表わされる脂肪族カルボン酸化合物を用いる
    ことを特徴とする請求項1の可逆的熱発色性組成物。 R3−Xn−CH−COOH (3) | CH2−COOH (ただし、R3は炭素数12以上の脂肪族基を表わし、
    Xは酸素原子またはイオウ原子を表わし、Xが酸素原子
    の場合はnは1、またXがイオウ原子の場合はnは1ま
    たは2を表わす)
  7. 【請求項7】 前記電子受容性化合物として、下記一般
    式(4)で表わされる脂肪族カルボン酸化合物を用いる
    ことを特徴とする請求項1の可逆的熱発色性組成物。 R5 | R4−C−COOH (4) | R5−CH−COOH (ただし、R4,R5,R6は水素又は脂肪族基を表わ
    し、このうち少なくとも1つは炭素数12以上の脂肪族
    基である)
  8. 【請求項8】 前記電子受容性化合物として、下記一般
    式(5)で表わされる脂肪族カルボン酸化合物を用いる
    ことを特徴とする請求項1の可逆的熱発色性組成物。 R7 COOH \ / C (5) / \ R8 COOH (ただし、R7,R8は水素又は脂肪族基を表わし、この
    うち少なくとも1つは炭素数12以上の脂肪族基であ
    る)
  9. 【請求項9】 前記電子受容性化合物として、下記一般
    式(6)で表わされる脂肪族カルボン酸化合物を用いる
    ことを特徴とする請求項1の可逆的熱発色性組成物。 (CH2)nCOOH / R9−CH (6) \ (CH2)mCOOH (ただし、R9は炭素数12以上の脂肪族基を表わし、
    nは0または1を表わし、mは1,2または3を表わ
    し、nが0の場合、mは2または3であり、nが1の場
    合はmは1または2を表わす)
  10. 【請求項10】 前記電子受容性化合物として、下記一
    般式(7)で表わされるフェノール化合物を用いること
    を特徴とする請求項1の可逆的熱発色性組成物。 【化1】 (ただし、R10は炭素数12以上の脂肪族基を表わし、
    Yは−S−、−O−、−CONH−又は−COO−を表
    わし、nは1〜3の整数を表わす)
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかの可逆的熱
    発色性組成物を含む記録層を支持体上に設けたことを特
    徴とする可逆的感熱記録媒体または表示体。
  12. 【請求項12】 前記記録層中にフィラーを含有させた
    ことを特徴とする請求項11の可逆的感熱記録媒体また
    は表示体。
  13. 【請求項13】 前記記録層中に高分子カチオン系導電
    剤を含有させたことを特徴とする請求項11又は12の
    可逆的感熱記録媒体または表示体。
  14. 【請求項14】 記録層上に保護層を設けたことを特徴
    とする請求項11〜13のいずれかの可逆的感熱記録媒
    体または表示体。
  15. 【請求項15】 前記保護層中に、硬化性樹脂を含有さ
    せたことを特徴とする請求項14の可逆的感熱記録媒体
    または表示体。
  16. 【請求項16】 前記保護層中にフィラーを含有させた
    ことを特徴とする請求項14又は15の可逆的感熱記録
    媒体または表示体。
  17. 【請求項17】 前記保護層中に滑剤を含有させたこと
    を特徴とする請求項14〜16のいずれかの可逆的感熱
    記録媒体または表示体。
  18. 【請求項18】 前記保護層中に高分子カチオン系導電
    剤を含有させたことを特徴とする請求項14〜17のい
    ずれかの可逆的感熱記録媒体または表示体。
  19. 【請求項19】 支持体として透明なものを用いること
    を特徴とする請求項11〜18のいずれかの可逆的感熱
    記録媒体または表示体。
  20. 【請求項20】 支持体として白色のものを用いること
    を特徴とする請求項11〜18のいずれかの可逆的感熱
    記録媒体または表示体。
  21. 【請求項21】 前記記録層と前記保護層との間に、中
    間層を設けたことを特徴とする請求項14〜20のいず
    れかの可逆的感熱記録媒体または表示体。
  22. 【請求項22】 請求項11〜21の可逆的感熱記録媒
    体に磁気記録層を設けたことを特徴とする情報記録媒
    体。
  23. 【請求項23】 支持体に対して、可逆的感熱記録層と
    磁気記録層とが同じ側にあることを特徴とする請求項2
    2の情報記録媒体。
  24. 【請求項24】 支持体上の同一面上に、可逆的感熱記
    録層と磁気記録層とを設けたことを特徴とする請求項2
    3の情報記録媒体。
  25. 【請求項25】 支持体上に磁気記録層を設け、更にそ
    の上に可逆的感熱記録層を設けたことを特徴とする請求
    項23の情報記録媒体。
  26. 【請求項26】 支持体及び磁気記録層を除く他の全て
    の層の厚さの合計が、10μm以下であることを特徴と
    する請求項22〜25の情報記録媒体。
  27. 【請求項27】 請求項22〜26の情報記録媒体を主
    構成要素として用いた、プリペードカード、クレジット
    カード、預貯金カード、またはノートいずれかの情報記
    録媒体。
  28. 【請求項28】 支持体上に請求項1〜10のいずれか
    の可逆的熱発色性組成物を含む記録層を設けてなり、該
    記録層は色相の異なる2種以上の可逆的熱発色性組成物
    をストライプ状、マトリックス状など規則的な配列パタ
    ーンで配設したものであることを特徴とする可逆的多色
    感熱記録媒体または多色表示体。
  29. 【請求項29】 請求項11〜21のいずれかの可逆的
    感熱記録媒体または表示体を製造する方法において、可
    逆的感熱記録層形成後に少なくとも1回の発色とそれに
    続く消色を行なう工程を含む可逆的感熱記録媒体または
    表示体の製造方法。
  30. 【請求項30】 請求項29の方法において、可逆的感
    熱記録層形成のために電子供与性呈色性化合物と電子受
    容性化合物を含む塗布液を塗布し、これらの化合物の溶
    融温度未満で乾燥した後、少なくとも1回の発色とそれ
    に続く消色を行なうことを特徴とする方法。
  31. 【請求項31】 請求項29の方法において、可逆的感
    熱記録層塗布液を塗布し溶融温度以上で乾燥することに
    より乾燥と同時に発色を行ない、次いで消色を行なうこ
    とを特徴とする方法。
  32. 【請求項32】 請求項11〜28のいずれかの可逆的
    感熱記録媒体、表示体、または情報記録媒体を用い、可
    逆的感熱記録層中の電子供与性呈色性化合物と電子受容
    性化合物を一時的に溶融温度以上に加熱することにより
    発色状態を得る工程を含む可逆的感熱記録方法または表
    示方法。
  33. 【請求項33】 請求項11〜28のいずれかの可逆的
    感熱記録媒体、表示体、または情報記録媒体の発色状態
    の可逆的感熱記録層を、電子供与性呈色性化合物と電子
    受容性化合物の溶融温度より低い温度に一時的に加熱す
    ることにより消色状態を得る工程を含む可逆的感熱記録
    方法または表示方法。
  34. 【請求項34】 請求項11〜28のいずれかの可逆的
    感熱記録媒体または表示体または情報記録媒体を用い、
    可逆的感熱記録層中の電子供与性呈色性化合物と電子受
    容性化合物を、一時的に溶融温度以上に加熱することに
    より発色状態を得る工程と、発色状態の可逆的感熱記録
    層を、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物の溶
    融温度より低い温度に一次的に加熱することにより消色
    状態を得る工程からなる可逆的感熱記録方法または表示
    方法。
  35. 【請求項35】 前記加熱を画像状及び/又は全面に行
    なうことを特徴とする請求項32〜34のいずれかの可
    逆的感熱記録方法または表示方法。
  36. 【請求項36】 画像状の加熱を、熱ペン、サーマルヘ
    ッド、またはレーザー光によって行なうことを特徴とす
    る請求項35の可逆的感熱記録方法または表示方法。
  37. 【請求項37】 全面の加熱を、ヒートローラー、ヒー
    ター、温風、恒温槽、赤外線、またはサーマルヘッドに
    よって行なうことを特徴とする請求項36の可逆的感熱
    記録方法または表示方法。
  38. 【請求項38】 可逆的感熱記録層の全面をサーマルヘ
    ッドとは別の加熱手段により溶融温度以下に加熱すると
    共にサーマルヘッドにより画像状に加熱して溶融温度以
    上とし、画像状の発色状態を得ることを特徴とする請求
    項32又は34の可逆的感熱記録方法または表示方法。
  39. 【請求項39】 前記可逆的感熱記録層全面を加熱する
    手段として、温度制御可能なプラテンローラーを用いる
    ことを特徴とする請求項38の可逆的感熱記録方法また
    は表示方法。
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