JP4584490B2 - 可逆性感熱記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した可逆性感熱発色組成物を用い、熱エネルギーを制御することにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子供与性呈色性化合物(以下、発色剤またはロイコ染料ともいう)と電子受容性化合物(以下、顕色剤ともいう)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く知られており、ファクシミリ、ワードプロセッサー、科学計測機などの出力用紙として、また、最近ではプリペイドカードやポイントカード等の磁気記憶部を有する感熱カードとしても広く使用されている。しかし、これらの実用化されている従来の記録媒体はいずれも不可逆的な発色であり、一度記録した画像を消去して繰り返して使用することはできない。
【0003】
一方、特許公報によれば、発色と消色を可逆的に行なうことができる記録媒体も提案されており、たとえば、顕色剤として没食子酸とフロログルシノールの組み合わせを用いるもの(特開昭60−193691号公報に記載)、顕色剤にフェノールフタレインやチモールフタレインなどの化合物を用いるもの(特開昭61−237684号公報に記載)、発色剤と顕色剤とカルボン酸エステルの均質相溶体を記録層に含有するもの(特開昭62−138556号公報、特開昭62−138568号公報、特開昭62−140881号公報等に記載)、顕色剤にアスコルビン酸誘導体を用いるもの(特開昭63−173684号公報に記載)、顕色剤にビス(ヒドロキシフェニル)酢酸または没食子酸と高級脂肪族アミンとの塩を用いるもの(特開平2−188293号公報、特開平2−188294号公報等に記載)などが開示されている。
【0004】
さらに本発明者らは、先に特開平5−124360号公報において顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基をもつ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール化合物を用い、これと発色剤であるロイコ染料とを組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行なわせることができ、しかもその発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能であり、しかも発色と消色を繰り返すことが可能な可逆性感熱発色組成物およびこれを記録層に用いた可逆性感熱記録媒体を提案した。またその後、長鎖脂肪族炭化水素基をもつフェノール化合物について特定の構造の使用(特開平6−210954号公報に記載)が提案されている。
【0005】
これらの材料を用いて作製された可逆性感熱記録媒体は、サーマルヘッドによる発色や、ホットスタンプなどによる消去ができ、繰り返しての発色/消色が可能なものである。
しかし、これらの可逆性感熱記録媒体は、実用条件下で印字・消去を繰り返して行なうことにより打痕・キズ等が生じる、あるいは光によりロイコ染料が劣化し着色してしまうといった耐久性、耐光性の面での問題を有していた。
【0006】
このような問題に対して、特開平8−224960号公報、特開平9−207437号公報などには、紫外線吸収構造を有するポリマーを保護層に添加する方法が記載されている。しかし、これらの方法では多数回の使用により打痕が発生し、繰り返し使用回数が少数回に制限されてしまうという問題を有していた。
この理由としては、これらの方法では、用いられる紫外線吸収性ポリマーが架橋状態にないため耐熱性が不充分であり、そのため印字に必要な熱エネルギーを加えた際の媒体の劣化が大きく、それにより打痕が発生してしまうと考えらる。
また、特開2001−30630号公報には、イソシアネート化合物と架橋しうる特定の紫外線吸収剤を用いることが記載されている。しかしながら、紫外線吸収剤が低分子化合物であるために、充分な耐光性を得るために多量の紫外線吸収剤を添加した場合には未架橋のものが残り、ブリードアウトしてしまったり、さらには繰り返し印字や消去を行なった際には発色および消色に悪影響を及ぼす問題を有していた。また、低分子紫外線吸収剤を架橋させるために大量の架橋剤を用いることにより、未架橋の低分子紫外線吸収剤の量を減らすことによりこれらの問題を低減することは可能であるが、他の樹脂成分などを減量させてしまうため、層の耐久性や耐熱性を低下させてしまい繰り返し使用した際に問題を生じる。
また、これらの問題を起こさない程度に添加量を減らした場合には、太陽光などの光による地肌部の着色などがあり、満足できるものではなかった。
このような問題を有しているため、耐光性と耐久性を同時に満たす可逆性感熱記録媒体を提供するには至っていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、耐光性に優れ、かつ耐久性に優れた可逆性感熱記録媒体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題を解決するため、鋭意検討を行なった結果、第1に、記録媒体中に紫外線吸収性ポリマーを用い、記録媒体表面の光沢度が40%以下であるとき、これらの課題を解決できることを見い出した。
すなわち、支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱及び/又は加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態を形成しうる可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、記録媒体中に紫外線吸収性ポリマーを用い、該ポリマーが架橋された状態にあり、かつ記録媒体表面の光沢度が40%以下であるとき、耐光性と繰り返し耐久性に優れた可逆性感熱記録媒体が得られることを見い出した。なお、本発明でいう記録媒体表面の光沢度とは、JIS Z8741法に基づく60度入射による鏡面光沢度測定方法により求めたものである。
【0009】
また第2に、記録媒体中に紫外線吸収性ポリマーを用い、記録媒体表面の摩擦係数が0.2以下であるとき、これらの課題を解決できることを見い出した。
すなわち、支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱及び/又は加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態を形成しうる可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、記録媒体中に紫外線吸収性ポリマーを用い、記録媒体表面の摩擦係数が0.2以下であるとき、耐光性と繰り返し耐久性に優れた可逆性感熱記録媒体が得られることを見い出した。
【0010】
更に第3として、水酸基価20以上の紫外線吸収性ポリマーを用いることにより、これらの課題を解決できることを見い出した。
すなわち、支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱及び/又は加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態を形成しうる可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、水酸基価が20以上である紫外線吸収性ポリマーを含有することにより、耐光性と繰り返し耐久性に優れた可逆性感熱記録媒体が得られることを見い出した。
【0011】
したがって上記課題は、つぎの第1群の本発明、第2群の本発明、第3群の本発明により達成される。
即ち上記課題は、第1群の本発明の(1)「支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱及び/又は加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態を形成しうる可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、架橋状態にある紫外線吸収性ポリマーを含有した保護層を有し、表面の光沢度が40%以下であることを特徴とする可逆性感熱記録媒体」、(2)「前記保護層中に有機及び/又は無機フィラーを含有することを特徴とする前記第(1)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(3)「前記フィラーの含有量が固形分比で保護層樹脂100重量部に対して5〜50であることを特徴とする前記第(2)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(4)「前記フィラーがカルシウムコートされていることを特徴とする前記第(2)項又は第(3)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(5)「熱可逆性記録部と情報記憶部とを有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれか1に記載の可逆性感熱記録媒体」、(6)「前記情報記憶部が、磁気記録層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリのいずれか少なくとも1種であることを特徴とする前記第(5)項に記載の可逆性感熱記録媒体」によって達成される。
【0012】
また、上記課題は、第2群の本発明の(7)「支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱及び/又は加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態を形成しうる可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、架橋状態にある紫外線吸収性ポリマーを含有した保護層を有し、表面の摩擦係数が0.2以下であることを特徴とする可逆性感熱記録媒体」、(8)「前記保護層中にシリコングラフトポリマーを含有することを特徴とする前記第(7)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(9)「前記シリコングラフトポリマーが架橋状態にあることを特徴とする前記第(8)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(10)「前記紫外線吸収性ポリマーおよび/またはシリコングラフトポリマーが、イソシアネートにより架橋されていることを特徴とする前記第(7)項乃至第(9)項のいずれか1に記載の可逆性感熱記録媒体」、(11)「前記紫外線吸収性ポリマーが保護層中に含有されることを特徴とする前記第(7)項乃至第(10)項のいずれか1に記載の可逆性感熱記録媒体」、(12)「熱可逆性記録部と情報記憶部とを有することを特徴とする前記第(7)項乃至第(11)項のいずれか1に記載の可逆性感熱記録媒体」、(13)「前記情報記憶部が、磁気記録層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリのいずれか少なくとも1種であることを特徴とする前記第(12)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(14)「表面の光沢度が40%以下であることを特徴とする前記第(7)項乃至第(13)項のいずれか1に記載の可逆性感熱記録媒体」によって達成される。
【0013】
さらに上記課題は、第3群の本発明の(15)「支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱及び/又は加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態を形成しうる可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、水酸基価が20以上である紫外線吸収性ポリマーを含有し、該ポリマーが架橋状態にあることを特徴とする可逆性感熱記録媒体」、(16)「前記可逆性感熱記録層上にさらに保護層を有し、前記ポリマーが該保護層中に含有されることを特徴とする前記第(15)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(17)「前記紫外線吸収ポリマーのTgが50℃以上であることを特徴とする前記第(15)項又は第(16)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(18)「前記紫外線吸収ポリマーの紫外線吸収成分含有量が50%以上であることを特徴とする前記第(15)項乃至第(17)項のいずれか1に記載の可逆性感熱記録媒体」、(19)「前記紫外線吸収ポリマーの重量平均分子量が10000以上であることを特徴とする前記第(15)項乃至第(18)項のいずれか1に記載の可逆性感熱記録媒体」、(20)「前記紫外線吸収ポリマーの紫外線吸収成分がベンゾトリアゾール骨格を有していることを特徴とする前記第(15)項乃至第(18)項のいずれか1に記載の可逆性感熱記録媒体」、(21)「前記紫外線吸収ポリマーがイソシアネート化合物によって架橋状態にあることを特徴とする前記第(15)項乃至第(20)項のいずれか1に記載の可逆性感熱記録媒体」、(22)「前記イソシアネート化合物がヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト型又はビューレット型又はトリマー型であることを特徴とする前記第(21)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(23)「熱可逆性記録部と情報記憶部とを有することを特徴とする前記第(15)項乃至第(22)項のいずれか1に記載の可逆性感熱記録媒体」、(24)「前記情報記憶部が、磁気記録層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリのいずれか少なくとも1種であることを特徴とする前記第(23)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(25)「表面の光沢度が40%以下であることを特徴とする前記第(15)項乃至第(24)項のいずれか1に記載の可逆性感熱記録媒体」、(26)「表面の摩擦係数が0.2以下であることを特徴とする前記第(25)項に記載の可逆性感熱記録媒体」によって達成される。
【0014】
以下、本発明の可逆性感熱記録媒体について詳しく説明する。
[第1群の本発明]
第1群の本発明の可逆性感熱記録媒体は、上記のように、架橋された状態にある紫外線吸収性ポリマーを用いることにより耐光性・耐久性に優れたものとなる。さらに本発明者らは、種々の検討を行ない、光沢度が40%以下であるとき特に耐久性に優れたものとなることを見い出した。
【0015】
第1群の本発明の可逆性感熱記録媒体において、媒体表面の光沢度は、用いる樹脂の種類により決まってくるが、ここでフィラーの添加量を増やすことによりもしくは粒径を大きくすることにより光沢度を下げることができる。逆に光沢度を上げる場合は、添加量を減らす、あるいは粒径を小さくすればよい。本発明ではこれらの条件を検討することにより種々の光沢度を持つ可逆性感熱記録媒体を作製・評価し、記録媒体表面の光沢度が40%以下のとき耐光性・耐久性に優れることを見い出した。
【0016】
第1群の本発明で用いられる紫外線吸収性ポリマーとしては、熱・紫外線・電子線などによって架橋可能なポリマーが用いられ、イソシアネートにより架橋可能な水酸基を含有するものが特に好ましい。
また、第1群の本発明に用いられる紫外線吸収性ポリマーに含まれる紫外線吸収構造の例としては、サリシレート構造、シアノアクリレート構造、ベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造などがあるが、好ましくはベンゾフェノン構造、ベンゾトリアゾール構造を有するものが用いられ、特に好ましくはベンゾトリアゾール構造を有するものである。
【0017】
さらに本発明の可逆性感熱記録媒体においては、紫外線吸収性ポリマーがイソシアネート化合物により架橋状態にあるとき、より耐久性に優れたものとなる。該イソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト型又はビューレット型又はトリマー型が好ましく用いられる。ここで媒体表面の光沢度を40%以下に限定することにより予想外に耐久性が向上することを見い出した。これは発熱ヘッドとのマッチング性が向上し、かつ消去跡や打痕が目立たなくなるためと考えられる。
【0018】
また、本発明の可逆性感熱記録媒体は、保護層中にフィラーを含有することにより記録媒体表面と記録媒体を発色させるデバイスとのマッチング性が良好となり、耐久性に優れたものとなる。
本発明で用いられるフィラーは、有機フィラー/無機フィラーの何れかもしくは両方を同時に用いてもかまわないが、好ましくはシリカが用いられ、特に好ましくはカルシウムがコーティング又は複合化されたシリカ粒子が用いられる。
【0019】
本発明で用いられる紫外線吸収構造を有するポリマーの基本骨格は、紫外線吸収性基を含む単量体と官能基を含む単量体の共重合体である。その重合形態は、線状高分子、分岐高分子、星形高分子、櫛形高分子、樹枝型高分子、環状型高分子、カテナ高分子などがある。そして共重合体であれば、ブロック共重合体、グラフト共重合体、星形共重合体、ランダム共重合体のいずれでもよく、特に限定されるものではないが、中でもブロック共重合体、グラフト共重合体が特に好ましく用いられる。
【0020】
本発明で用いられる紫外線吸収性ポリマー中に含まれる紫外線吸収性基は、好ましくはベンゾフェノン構造、ベンゾトリアゾール構造のものが用いられ、特に好ましくはベンゾトリアゾール構造のものが用いられる。このうち、ベンゾフェノン構造の具体例としては、これに限られるものではないが、2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メチル−2−アクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0021】
ベンゾトリアゾール構造の具体例としては、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(アクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−t−ブチル−3'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−メチル−5′−(アクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−5−クロロベンゾリトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5− シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5− クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−メチル−5′−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(アクロイルオキシブチル)フェニル]−5−メチルベンゾトリアゾール、[2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(アクリロイルオキシエトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリイルオキシロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0022】
官能基を含む単量体としては、例えば、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、メタクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、中でもヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレートなどが特に好ましく用いられる。
【0023】
さらに、塗膜強度や耐熱性向上のために、紫外線吸収性基を含む単量体と官能基を含む単量体の共重合体に下記に示す単量体を共重合させてもよい。例えば、スチレン、メチルメタクリレート、スチレン−ブタジエン、スチレン−イソブチレン、エチレン酢酸ビニル、酢酸ビニル、メタアクリルニトリル、ビニルアルコール、ビニルプロリドン、アクリロニトリルなどのモノマー群、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソエチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールペンタ(メタ)アクリレート、ホスファゼンヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらに限られるものではない。また、好ましくはスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートなどが用いられる。
また、必要に応じて2種以上を併用することもできるが、特にヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等を共重合させ水酸基を有した紫外線吸収性ポリマーが好ましく、前述のようにこれらをイソシアネート系架橋剤と架橋させて用いることができる。
【0024】
第1群の本発明において用いられる有機/無機フィラーの例としては、従来公知の有機/無機フィラーが単独または混合して用いられる。好ましくは有機フィラーとしては、例えばシリコン系フィラー、フッ素系フィラー、アクリル系フィラー、ポリアミド系フィラー、エポキシ樹脂フィラー、熱硬化樹脂中空球、ポリエチレンワックス、セラック、木粉、コルク粉末、等が挙げらる。
無機フィラーとしてはシリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化ジルコニア、酸化スズ、酸化セリウム、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化ビスマス、酸化ニッケル、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化トリウム、酸化ハフニウム、酸化モリブデン、鉄フェライト、ニッケルフェライト、コバルトフェライト、チタン酸バリウム、チタン酸カリウムのような金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;無水ケイ酸、含水ケイ酸、含水ケイ酸アルミ二ウム、含水ケイ酸カルシウムなどのケイ酸塩;アルミナ、酸化鉄などの水酸化物;硫化亜鉛、硫酸バリウムのような金属硫化物あるいは硫酸化合物;チタンカーバイド、シリコンカーバイド、モリブデンカーバイド、タングステンカーバイド、タンタルカーバイドのような金属炭化物;窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化ジルコニウム、窒化バナジウム、窒化チタニウム、窒化ニオブ、窒化ガリウムのような金属窒化物、タルク、カオリン、クレー等が挙げられるが、耐久性の点から無機フィラーが好ましく用いられ、特に好ましくは発色/消色特性への影響からカルシウムでコーティングまたは複合化された無機フィラーが用いられる。
【0025】
本発明に用いられるロイコ染料としては、この種の可逆性感熱記録媒体に用いられる化合物を1種または2種以上用いることができ、たとえば、フタリド化合物、アザフタリド化合物、フルオラン化合物など公知の染料前駆体である。
【0026】
また、記録層中に用いられるは顕色剤としては、代表例として、たとえば特開平5−124360号公報、特開平6−210954号公報、特開平10−95175号公報などに記載されている化合物が挙げられる。ここで用いる顕色剤は、分子内にロイコ染料を発色させる顕色能をもつ構造、たとえばフェノール性水酸基、カルボン酸基、リン酸基などと、分子間の凝集力を制御する構造、たとえば長鎖炭化水素基が連結した構造を一つ以上もつ化合物である。連結部分にはヘテロ原子を含む2価以上の連結基を介していても良く、また長鎖炭化水素基中にも同様の連結基および/または芳香族基が含まれていても良い。このような可逆性顕色剤の具体例は、たとえば特開平9−290563号公報、特開平11−188969号公報に記載に示されている。
【0027】
図1は、本発明の可逆性感熱記録媒体の発色濃度と温度との関係を示したものである。
これらのロイコ染料および顕色剤を用いた可逆性記録層は、図1に示すプロセスで発色・消色する。初期の消色状態(A)を加熱すると温度T1以上でロイコ染料と顕色剤が溶融混合して発色し(B)、この状態を急冷すると発色状態が固定される。発色状態(C)を加熱すると、発色温度より低い温度T2で消色し、冷却すれば初期と同様の消色状態となる。
【0028】
このように記録層は加熱温度および加熱後の冷却速度の制御によって記録消去ができる。この記録層による印字は、コントラストが高く優れた画像品質が得られる。また、保存安定性や印字消去の繰り返し耐久性にも優れ、本発明の可逆性感熱記録媒体として特に適している。この記録層を用いた可逆性記録媒体の印字は通常の感熱記録と同様にサーマルヘッドで行なうことができ、消去は温度制御されたヒートローラ、セラミックヒータ等の発熱体およびサーマルヘッドなどによってできるため、小型で簡易な記録装置で使用できる。
【0029】
本発明の可逆性感熱記録媒体はロイコ染料、顕色剤および発色消色制御剤は樹脂とともに記録層を形成する。このとき用いられる樹脂は支持体上にこれらの材料を結着できれば良く、従来公知の樹脂が広く用いられる。なかでも、繰り返し時の耐久性を向上させるため、熱や紫外線、電子線などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられ、とくにイソシアネート化合物などを架橋剤として用いた熱硬化型の樹脂がとくに好ましく用いられる。
【0030】
また、本発明においては発色感度の向上、耐久性の向上、耐光性の向上等のためにアンダー層や保護層、バック層などを設けても良く、これらの層中には樹脂とともに、有機/無機フィラー、紫外線吸収剤、滑材、着色顔料などを用いることができるが、前記シリコングラフトポリマーを保護層中に含有するとき本発明の可逆性感熱記録媒体は特に耐久性に優れたものとなる。
【0031】
本発明の可逆性感熱記録媒体の支持体としては、記録層を保持できればよく、好ましくは、紙、合成紙、PETフィルム等が用いられる。また、これらの支持体を介して他のものに貼り付けて用いても良い。
【0032】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、熱可逆性記録部と情報記録部の両方を設けることにより、情報記憶部に記憶された情報を熱可逆性記録部に表示することで、特別な装置がなくても情報を確認することができ、利便性が向上する。その際に用いられる記憶部は磁気記録層、磁気ストライプ、IC記録部、光メモリなどが好ましく用いられる。
【0033】
また、これらのものはその用途に応じた形に加工することができ、カード状、シート状、ロール状などに加工される。カード状に加工されたものについてはプリペイドカードやポイントカードさらにはクレジットカードなどへの応用が挙げられ、また、シート状に加工されたものは、A4サイズなど一般文書サイズに加工された場合、印字/消去装置を用いることにより、試し印字はもちろんのこと、回覧文書や会議資料など一時出力用途などに広く用いることができる。さらに、ロール状に加工されたものは、印字/消去部を有した装置に組み込まれるなどして、表示板・掲示板または電子黒板に用いることができる。このような表示装置は塵、ゴミなどの発生がないため、クリーンルームなどに好ましく用いることができる。
【0034】
[第2群の本発明]
第2群の本発明の可逆性感熱記録媒体は、上記のように、架橋された状態にある紫外線吸収性ポリマーを用いることにより耐光性・耐久性に優れたものとなるが、記録媒体表面の摩擦係数を0.2以下にとったとき、さらに耐久性に優れたものとなる。本発明者らは、表面層の樹脂の種類、フィラーの種類・添加量および粒径等の条件を変化させ、さらにはシリコングラフトポリマーの添加量等により、摩擦係数の異なった表面特性を有する記録媒体を種々作製し検討を行なった。その結果、本発明の可逆性感熱記録媒体においては記録媒体表面の動摩擦係数が0.2以下であるとき、繰り返し印字時の打痕発生および発色濃度変化が見られなくなり媒体の耐久性が著しく向上することを見い出した。これは記録媒体を発色させる発熱デバイスと記録媒体が接触する際に接触部分が抵抗なく搬送できるようになるため、該記録媒体は耐久性に優れたものとなると考えられる。
【0035】
第2群の本発明で用いられる紫外線吸収性ポリマーとしても、熱・紫外線・電子線などによって架橋可能なポリマーが用いられ、イソシアネートにより架橋可能な水酸基を含有するものが特に好ましい。
また、第2群の本発明に用いられる紫外線吸収性ポリマーに含まれる紫外線吸収構造の例としては、サリシレート構造、シアノアクリレート構造、ベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造などがあるが、好ましくはベンゾフェノン構造、ベンゾトリアゾール構造を有するものが用いられ、特に好ましくはベンゾトリアゾール構造を有するものである。
【0036】
さらに第2群の本発明の可逆性感熱記録媒体においても、紫外線吸収性ポリマーがイソシアネート化合物により架橋状態にあるとき、より耐久性に優れたものとなる。該イソシアネート化合物としてはヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト型又はビューレット型又はトリマー型が好ましく用いられる。
【0037】
また、シリコングラフトポリマーを保護層に用いることにより第2群の本発明の可逆性感熱記録媒体は同様に、さらに耐久性に優れたものとなる。シリコーングラフトポリマーとしては、シリコーングラフトアクリルポリマー、シリコーングラフト変性ポリビニルアルコール等が好ましく用いられる。中でも熱・紫外線・電子線などによって架橋可能なポリマーが特に好ましく用いれ、該ポリマーが架橋状態にあるとき、第2群の本発明の可逆性感熱記録媒体は耐久性に優れたものとなる。
【0038】
第2群の本発明における動摩擦係数は次の方法により測定される。
静・動摩擦係数測定装置(協和界面科学社製)を用いて測定を行なった。そのときの設定は、面接触(1cm2)で荷重が400gであり、ストロークが30mmで移動速度は0.5mm/sとし、5回の平均により動摩擦係数を求めた。
【0039】
第2群の本発明で用いられる紫外線吸収構造を有するポリマーの基本骨格は、紫外線吸収性基を含む単量体と官能基を含む単量体の共重合体である。その重合形態は、線状高分子、分岐高分子、星形高分子、櫛形高分子、樹枝型高分子、環状型高分子、カテナ高分子などがある。そして共重合体であれば、ブロック共重合体、グラフト共重合体、星形共重合体、ランダム共重合体のいずれでもよく、特に限定されるものではないが、中でもブロック共重合体、グラフト共重合体が特に好ましく用いられる。
【0040】
第2群の本発明で用いられる紫外線吸収性ポリマー中に含まれる紫外線吸収性基は、好ましくは同様に、ベンゾフェノン構造、ベンゾトリアゾール構造のものが用いられ、特に好ましくはベンゾトリアゾール構造のものが用いられる。このうち、ベンゾフェノン構造の具体例としては、これに限られるものではないが、2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メチル−2−アクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0041】
ベンゾトリアゾール構造の具体例としては、同様に、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(アクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−t−ブチル−3'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−メチル−5′−(アクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−5−クロロベンゾリトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5− シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5− クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−メチル−5′−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(アクロイルオキシブチル)フェニル]−5−メチルベンゾトリアゾール、[2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(アクリロイルオキシエトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリイルオキシロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0042】
官能基を含む単量体としては、例えば同様に、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、メタクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、中でもヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレートなどが特に好ましく用いられる。
【0043】
さらに、塗膜強度や耐熱性向上のため、同様に、紫外線吸収性基を含む単量体と官能基を含む単量体の共重合体に下記に示す単量体を共重合させてもよい。例えば、スチレン、メチルメタクリレート、スチレン−ブタジエン、スチレン−イソブチレン、エチレン酢酸ビニル、酢酸ビニル、メタアクリルニトリル、ビニルアルコール、ビニルプロリドン、アクリロニトリルなどのモノマー群、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソエチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールペンタ(メタ)アクリレート、ホスファゼンヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらに限られるものではない。また、好ましくはスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートなどが用いられる。
また、必要に応じて2種以上を併用することもできるが、特にヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等を共重合させ水酸基を有した紫外線吸収性ポリマーが好ましく、前述のようにこれらをイソシアネート系架橋剤と架橋させて用いることができる。
【0044】
第2群の本発明に用いられるロイコ染料としても、この種の可逆性感熱記録媒体に用いられる化合物を1種または2種以上用いることができ、たとえば、フタリド化合物、アザフタリド化合物、フルオラン化合物など公知の染料前駆体である。
【0045】
また、記録層中に用いられるは顕色剤としては、代表例として、たとえば特開平5−124360号公報、特開平6−210954号公報、特開平10−95175号公報などに記載されている化合物が同様に挙げられる。ここで用いる顕色剤は、分子内にロイコ染料を発色させる顕色能をもつ構造、たとえばフェノール性水酸基、カルボン酸基、リン酸基などと、分子間の凝集力を制御する構造、たとえば長鎖炭化水素基が連結した構造を一つ以上もつ化合物である。連結部分にはヘテロ原子を含む2価以上の連結基を介していても良く、また長鎖炭化水素基中にも同様の連結基および/または芳香族基が含まれていても良い。このような可逆性顕色剤の具体例は、たとえば特開平9−290563号公報、特開平11−188969号公報に記載に示されている。
【0046】
図1の可逆性感熱記録媒体の発色濃度と温度との関係は、第2群の本発明の場合にも適用され、記録層は加熱温度および加熱後の冷却速度の制御によって記録消去ができる。この記録層による印字は、コントラストが高く優れた画像品質が得られる。また、保存安定性や印字消去の繰り返し耐久性にも優れ、本発明の可逆性感熱記録媒体として特に適している。この記録層を用いた可逆性記録媒体の印字は通常の感熱記録と同様にサーマルヘッドで行なうことができ、消去は温度制御されたヒートローラ、セラミックヒータ等の発熱体およびサーマルヘッドなどによってできるため、小型で簡易な記録装置で使用できる。
【0047】
第2群の本発明の可逆性感熱記録媒体も、ロイコ染料、顕色剤および発色消色制御剤は樹脂とともに記録層を形成する。このとき用いられる樹脂は支持体上にこれらの材料を結着できれば良く、従来公知の樹脂が広く用いられる。なかでも、繰り返し時の耐久性を向上させるため、熱や紫外線、電子線などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられ、とくにイソシアネート化合物などを架橋剤として用いた熱硬化型の樹脂がとくに好ましく用いられる。
【0048】
また、第2群の本発明においても発色感度の向上、耐久性の向上、耐光性の向上等のためにアンダー層や保護層、バック層などを設けても良く、これらの層中には樹脂とともに、有機/無機フィラー、紫外線吸収剤、滑材、着色顔料などを用いることができる。前記紫外線吸収性ポリマーを保護層中に用いたとき、本発明の可逆性感熱記録媒体は耐光性、耐久性ともに優れたものとなり、また、前記シリコングラフトポリマーを保護層中に含有するとき、第2群の本発明の可逆性感熱記録媒体は特に耐久性に優れたものとなる。保護層中には紫外線吸収性ポリマーとシリコングラフトポリマーがそれぞれ独立に用いられていても良いが、両ポリマーが保護層中に共に含まれることが好ましい。
【0049】
第2群の本発明の可逆性感熱記録媒体の支持体としても、記録層を保持できればよく、好ましくは、紙、合成紙、PETフィルム等が用いられる。また、これらの支持体を介して他のものに貼り付けて用いても良い。
【0050】
第2群の本発明の可逆性感熱記録媒体も、熱可逆性記録部と情報記録部の両方を設けることにより、情報記憶部に記憶された情報を熱可逆性記録部に表示することで、特別な装置がなくても情報を確認することができ、利便性が向上する。その際に用いられる記憶部は磁気記録層、磁気ストライプ、IC記録部、光メモリなどが好ましく用いられる。
【0051】
また、これらのものは同様に、その用途に応じた形に加工することができ、カード状、シート状、ロール状などに加工される。カード状に加工されたものについてはプリペイドカードやポイントカードさらにはクレジットカードなどへの応用が挙げられ、また、シート状に加工されたものは、A4サイズなど一般文書サイズに加工された場合、印字/消去装置を用いることにより、試し印字はもちろんのこと、回覧文書や会議資料など一時出力用途などに広く用いることができる。さらに、ロール状に加工されたものは、印字/消去部を有した装置に組み込まれるなどして、表示板・掲示板または電子黒板に用いることができる。このような表示装置は塵、ゴミなどの発生がないため、クリーンルームなどに好ましく用いることができる。
【0052】
[第3群の本発明]
第3群の本発明の可逆性感熱記録媒体に用いる紫外線吸収性ポリマーは、上記のように、ポリマー中に含まれる紫外線吸収性基の紫外線吸収能とポリマー自体の皮膜形成能とを併せ持つが、該ポリマーが架橋状態にあることにより耐久性に優れたものとなる。さらに本発明者らは、紫外線吸収性ポリマーとして水酸基価が20以上のものを用いることにより充分な塗膜強度を得ることができ、繰り返し使用時の打痕発生や濃度変化が見られなくなる、すなわち媒体が特に優れた耐久性を有すること見い出した。これは、水酸基価が高いポリマーを用いることによってポリマーが充分な架橋点を持つためと考えられる。
【0053】
さらにTgが50℃以上のポリマーを用いたとき、第3群の本発明の可逆性感熱記録媒体はさらに耐久性に優れたものとなる。紫外線吸収性ポリマーとしては、紫外線吸収成分含有量が50重量%以上の紫外線吸収性ポリマーを用いると耐光性に優れた可逆性感熱記録媒体が得られる。また、第3群の本発明に用いられる紫外線吸収性ポリマーとしては、重量平均分子量が10000以上のものが好ましく用いられ、該ポリマーの重量平均分子量が10000以上であるとき、第3群の本発明の可逆性感熱記録媒体は耐久性に優れたものとなる。このような紫外線吸収性ポリマーは第3群の本発明の可逆性感熱記録媒体のいずれの層に用いても耐光性及び耐久性を増大させ得るが、特に、最上層に用いた場合には耐久性を著しく増大させる。
【0054】
第3群の本発明に用いられる紫外線吸収性ポリマーに含まれる紫外線吸収構造の例としても、サリシレート構造、シアノアクリレート構造、ベンゾトリアゾール構造、ベンゾフェノン構造などがあるが、好ましくはベンゾフェノン構造、ベンゾトリアゾール構造を有するものが用いられ、特に好ましくはベンゾトリアゾール構造を有するものが用いられる。
【0055】
さらに第3群の本発明の可逆性感熱記録媒体においても、紫外線吸収性ポリマーがイソシアネート化合物により架橋状態にあるとき、より耐久性に優れたものとなる。該イソシアネート化合物としてはヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト型又はビューレット型又はトリマー型が好ましく用いられる。
【0056】
第3群の本発明で用いられる紫外線吸収構造を有するポリマーの基本骨格は、紫外線吸収性基を含む単量体と官能基を含む単量体の共重合体である。その重合形態は、線状高分子、分岐高分子、星形高分子、櫛形高分子、樹枝型高分子、環状型高分子、カテナ高分子などがある。そして共重合体であれば、ブロック共重合体、グラフト共重合体、星形共重合体、ランダム共重合体のいずれでもよく、特に限定されるものではないが、中でもブロック共重合体、グラフト共重合体が特に好ましく用いられる。
【0057】
第3群の本発明で用いられる紫外線吸収性ポリマー中に含まれる紫外線吸収性基も、好ましくはベンゾフェノン構造、ベンゾトリアゾール構造のものが用いられ、特に好ましくはベンゾトリアゾール構造のものが用いられる。このうち、ベンゾフェノン構造の具体例としては、これに限られるものではないが、2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メタクリロイルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−メチル−2−アクリロイルオキシ)エトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0058】
ベンゾトリアゾール構造の具体例としては、同様に2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−t−ブチル−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(アクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−(メタクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシヘキシル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−t−ブチル−3'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−メチル−5′−(アクリロイルオキシ)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−5−クロロベンゾリトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5− シアノ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5− クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−メチル−5′−(アクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(メタクリロイルオキシプロピル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−5′−(アクロイルオキシブチル)フェニル]−5−メチルベンゾトリアゾール、[2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(アクリロイルオキシエトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕−5−ニトロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−5'−(メタクリイルオキシロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0059】
官能基を含む単量体として、例えば同様に、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、メタクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、中でもヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレートなどが特に好ましく用いられる。
【0060】
さらに、塗膜強度や耐熱性向上のために、同様に、紫外線吸収性基を含む単量体と官能基を含む単量体の共重合体に下記に示す単量体を共重合させてもよい。例えば、スチレン、メチルメタクリレート、スチレン−ブタジエン、スチレン−イソブチレン、エチレン酢酸ビニル、酢酸ビニル、メタアクリルニトリル、ビニルアルコール、ビニルプロリドン、アクリロニトリルなどのモノマー群、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソエチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールペンタ(メタ)アクリレート、ホスファゼンヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、これらに限られるものではない。また、好ましくはスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートなどが用いられる。
また、必要に応じて2種以上を併用することもでき、特にヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等を共重合させ水酸基を有した紫外線吸収性ポリマーが好ましく、前述のようにこれらをイソシアネート系架橋剤と架橋させて用いることができる。
【0061】
第3群の本発明に用いられるロイコ染料としては同様に、この種の可逆性感熱記録媒体に用いられる化合物を1種または2種以上用いることができ、たとえば、フタリド化合物、アザフタリド化合物、フルオラン化合物など公知の染料前駆体である。
【0062】
また、記録層中に用いられるは顕色剤としても、代表例として、たとえば特開平5−124360号公報、特開平6−210954号公報、特開平10−95175号公報などに記載されている化合物が挙げられる。ここで用いる顕色剤は、分子内にロイコ染料を発色させる顕色能をもつ構造、たとえばフェノール性水酸基、カルボン酸基、リン酸基などと、分子間の凝集力を制御する構造、たとえば長鎖炭化水素基が連結した構造を一つ以上もつ化合物である。連結部分にはヘテロ原子を含む2価以上の連結基を介していても良く、また長鎖炭化水素基中にも同様の連結基および/または芳香族基が含まれていても良い。このような可逆性顕色剤の具体例は、たとえば特開平9−290563号公報、特開平11−188969号公報に記載に示されている。
【0063】
図1の可逆性感熱記録媒体の発色濃度と温度との関係は、第3群の本発明の場合にも適用され、記録層は加熱温度および加熱後の冷却速度の制御によって記録消去ができる。この記録層による印字は、コントラストが高く優れた画像品質が得られる。また、保存安定性や印字消去の繰り返し耐久性にも優れ、本発明の可逆性感熱記録媒体として特に適している。この記録層を用いた可逆性記録媒体の印字は通常の感熱記録と同様にサーマルヘッドで行なうことができ、消去は温度制御されたヒートローラ、セラミックヒータ等の発熱体およびサーマルヘッドなどによってできるため、小型で簡易な記録装置で使用できる。
【0064】
第3群の本発明の可逆性感熱記録媒体も、ロイコ染料、顕色剤および発色消色制御剤は樹脂とともに記録層を形成する。このとき用いられる樹脂は支持体上にこれらの材料を結着できれば良く、従来公知の樹脂が広く用いられる。なかでも、繰り返し時の耐久性を向上させるため、熱や紫外線、電子線などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられ、とくにイソシアネート化合物などを架橋剤として用いた熱硬化型の樹脂がとくに好ましく用いられる。
【0065】
また、第3群の本発明においては同様に発色感度の向上、耐久性の向上、耐光性の向上等のためにアンダー層や保護層、バック層などを設けても良く、これらの層中には樹脂とともに、有機/無機フィラー、紫外線吸収剤、滑材、着色顔料などを用いることができるが、前記シリコングラフトポリマーを保護層中に含有するとき本発明の可逆性感熱記録媒体は特に耐久性に優れたものとなる。
【0066】
第3群の本発明の可逆性感熱記録媒体の支持体としては、記録層を保持できればよく、好ましくは、紙、合成紙、PETフィルム等が用いられる。また、これらの支持体を介して他のものに貼り付けて用いても良い。
【0067】
第3群の本発明の可逆性感熱記録媒体は、熱可逆性記録部と情報記録部の両方を設けることにより、情報記憶部に記憶された情報を熱可逆性記録部に表示することで、特別な装置がなくても情報を確認することができ、利便性が向上する。その際に用いられる記憶部は磁気記録層、磁気ストライプ、IC記録部、光メモリなどが好ましく用いられる。
【0068】
また、これらのものは同様に、その用途に応じた形に加工することができ、カード状、シート状、ロール状などに加工される。カード状に加工されたものについてはプリペイドカードやポイントカードさらにはクレジットカードなどへの応用が挙げられ、また、シート状に加工されたものは、A4サイズなど一般文書サイズに加工された場合、印字/消去装置を用いることにより、試し印字はもちろんのこと、回覧文書や会議資料など一時出力用途などに広く用いることができる。さらに、ロール状に加工されたものは、印字/消去部を有した装置に組み込まれるなどして、表示板・掲示板または電子黒板に用いることができる。このような表示装置は塵、ゴミなどの発生がないため、クリーンルームなどに好ましく用いることができる。
【0069】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例中の「部」および「%」はいずれも重量を基準とするものである。
[第1群の本発明]
参考例1
[記録層の作成]
下記構造の顕色剤 4部
【0070】
【化1】
アクリルポリオール50%溶液
(三菱レイヨン社製、LR503) 9部
メチルエチルケトン 70部
【0071】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネートの75%酢酸エチル溶液)を10部、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオランを1部加え、良く攪拌し記録層塗布液を調製した。上記組成の記録層塗布液を、厚さ188μmのポリエステルフィルム上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した後、60℃で24時間乾燥して、膜厚約8.0μmの記録層を設け、記録層を作製した。
【0072】
[保護層の作成]
紫外線吸収性ポリマー40%溶液
(日本触媒社製、UV−G100) 10部
アルミナ(昭和電工社製、AL−150SG) 2.5部
シリコングラフトポリマー
(日本油脂社製、FS700) 0.2部
メチルエチルケトン 10部
【0073】
上記組成物を、ボールミルを用いて平均粒径約0.8μmまで粉砕分散した。得られた分散液に日本ポリウレタン社製コロネートHLを1部加え、良く攪拌し保護層塗布液を調製した。上記保護層塗布液を、上記記録層上にワイヤーバーを用いて塗工し100℃で2分間乾燥した後、60℃で24時間加熱して、膜厚約3.0μmの記録層を設け、本発明の可逆性記録媒体を作製した。
【0074】
参考例2
参考例1中の保護層塗布液を下記の通りに変えた以外は参考例1と同様にして可逆性記録媒体を作製した。
紫外線吸収性ポリマー40%溶液
(日本触媒社製、UV−G100) 10部
シリカ(水澤化学社製、P−832) 2部
シリコングラフトポリマー
(日本油脂社製、FS700) 0.5部
メチルエチルケトン 10部
上記組成物を、ボールミルを用いて平均粒径約1.0μmまで粉砕分散し、得られた分散液に日本ポリウレタン社製コロネートHLを1部加え、良く攪拌し保護層塗布液を調製した。
【0075】
参考例3
参考例1中の保護層塗布液を下記の通りに変えた以外は参考例1と同様にして可逆性記録媒体を作製した。
紫外線吸収性ポリマー40%溶液
(日本触媒社製、UV−A11) 10部
シリカ(水澤化学社製、P−832) 2.5部
シリコングラフトポリマー
(日本油脂社製、FS700) 1部
メチルエチルケトン 10部
上記組成物を、ボールミルを用いて平均粒径約1.5μmまで粉砕分散し、得られた分散液に日本ポリウレタン社製コロネートHLを1部加え、良く攪拌し保護層塗布液を調製した。
【0076】
比較例1
参考例1の保護層液の組成を下記のようにした以外は、参考例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作成した。
紫外線吸収性ポリマー40%溶液
(大塚化学社製、PUVA30S、非架橋タイプ)
スチレン共重合体
(共重合比30:70、平均分子量約10,000) 10部
シリコンオイル 1.5部
メチルエチルケトン 7部
上記組成物をよく攪拌し、保護層塗布液を調整した。
【0077】
比較例2
参考例1の保護層液の組成を下記のようにした以外は、参考例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作成した。
アクリルポリオール40%溶液
(三菱レイヨン社製、LR503) 12部
イソシアネート
(日本ポリウレタン社製、コロネートHL) 2部
低分子紫外線吸収剤
(住友化学社製、SUMISORB 310) 0.8部
シリコンオイル 1部
メチルエチルケトン 10部
上記組成物をよく攪拌し、保護層塗布液を調整した。
【0078】
<光沢度測定>
可逆性感熱記録媒体の光沢度を変角光沢度計(日本電色工業社製)で測定した。
【0079】
<試験1>
繰り返し消去印字後の記録媒体表面
九州松下社製カードプリンター(R3000)を用いて消去と印字を50回繰り返した後の記録媒体表面を目視により評価した。評価は下記の4つのランクを付けることにより行なった。
1:記録媒体表面に打痕とキズは発生しなかった。
2:記録媒体表面に打痕は発生しなかったがキズが発生した。
3:記録媒体表面に打痕とキズが発生した。
4:記録媒体表面に激しい打痕とキズが発生した。
【0080】
<試験2>
繰り返し消去印字後の発色濃度変化
カードプリンター(R3000)を用いて消去と印字を50回繰り返し、発色濃度の変化を目視で観察して下記のランクを付けて評価した。
1:画像部は良好な発色で、濃度変化も見られなかった。
2:画像部の発色は不均一で、濃度の低下も見られた。
3:画像部の発色状態がきわめて悪く、濃度の低下が激しかった。
【0081】
<試験3>
耐光性
カードプリンター(R3000)を用いて1回目と50回繰り返し消去印字後の印字部を5500Lux照射下、100時間放置する。その後、印字部をカードプリンター(R3000)で全面消去する。そのときの消し残りをマクベス濃度計RD914で測定し、下記式により、その変化の違いで耐光性を評価した。
【0082】
【数1】
光照射後の消し残り濃度変化=(耐光性試験後の消去後濃度)−(耐光性試験後の地肌濃度)
【0083】
【表1】
【0084】
参考例1〜3は、繰り返し後の打痕や発色濃度の変化がなく、さらに光照射による着色がなかったのに比べ、比較例1および2では、初期の耐光性は良好だったものの、繰り返し時の打痕、発色濃度の低下、耐光性が劣っていた。特に、比較例2では耐光性に関して、初期と繰り返し後で大きく異なるのは、紫外線吸収剤が析出、拡散したことによるものと考えられる。
【0085】
[第2群の本発明]
実施例1
[記録層の作成]
下記構造の顕色剤 4部
【0086】
【化2】
アクリルポリオール50%溶液
(三菱レイヨン社製、LR503) 9部
メチルエチルケトン 75部
【0087】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネートの75%酢酸エチル溶液)を10部、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオランを1部加え、良く攪拌し記録層塗布液を調製した。上記組成の記録層塗布液を、厚さ188μmのポリエステルフィルム上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した後、60℃で24時間乾燥して、膜厚約8.0μmの記録層を設け、記録層を作製した。
【0088】
[保護層の作成]
紫外線吸収性ポリマー40%溶液
(日本触媒社製、UV−G100) 10部
フィラー(東芝シリコーン社製、トスパール103) 2.5部
シリコングラフトポリマー
(東亞合成社製、レゼダGS−1015) 0.5部
メチルエチルケトン 5部
イソシアネート
(日本ポリウレタン社製、コロネートHL) 1部
上記組成物をよく攪拌し、保護層塗布液を調整した。
【0089】
上記組成の保護層塗布液を、前記記録層上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥後、60℃で24時間乾燥して膜厚約3μmの保護層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作成した。表面の動摩擦係数は0.18であった。
【0090】
実施例2
実施例1の保護層液の組成を下記のようにした以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作成した。表面の動摩擦係数は0.12であった。
紫外線吸収性ポリマー40%溶液
(日本触媒社製、UV−A11) 10部
フィラー(東芝シリコーン社製、トスパール105) 1.5部
シリコングラフトポリマー
(東亞合成社製、レゼダGS−1015) 0.5部
メチルエチルケトン 5部
イソシアネート
(日本ポリウレタン社製、コロネートHL) 1部
上記組成物をよく攪拌し、保護層塗布液を調整した。
【0091】
実施例3
実施例1の保護層液の組成を下記のようにした以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作成した。表面の動摩擦係数は0.16であった。
紫外線吸収性ポリマー40%溶液
(日本触媒社製、UV−G100) 10部
フィラー(東芝シリコーン社製、トスパール103) 1部
シリコングラフトポリマー
(信越化学社製、X−22−8004) 3部
メチルエチルケトン 5部
イソシアネート
(日本ポリウレタン社製、コロネートHL) 1部
上記組成物をよく攪拌し、保護層塗布液を調整した。
【0092】
比較例3
実施例1の保護層液の組成を下記のようにした以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作成した。表面の動摩擦係数は0.30であった。
紫外線吸収性ポリマー40%溶液
(大塚化学社製、PUVA30S、非架橋タイプ)
スチレン共重合体
(共重合比30:70、平均分子量約10,000) 10部
フィラー(東芝シリコーン社製、トスパール130) 2部
シリコンオイル 0.5部
メチルエチルケトン 5部
上記組成物をよく攪拌し、保護層塗布液を調整した。
【0093】
比較例4
実施例1の保護層液の組成を下記のようにした以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作成した。表面の動摩擦係数は0.25であった。
アクリルポリオール40%溶液
(三菱レイヨン社製、LR503) 12部
イソシアネート
(日本ポリウレタン社製、コロネートHL) 2部
低分子紫外線吸収剤
(住友化学社製、SUMISORB 310) 0.8部
シリコンオイル 1部
メチルエチルケトン 10部
上記組成物をよく攪拌し、保護層塗布液を調整した。
【0094】
<試験4>
繰り返し消去印字後の記録媒体表面
九州松下社製カードプリンター(R3000)を用いて消去と印字を50回繰り返した後の記録媒体表面を目視により評価した。評価は下記の4つのランクを付けることにより行なった。
1:記録媒体表面に打痕とキズは発生しなかった。
2:記録媒体表面に打痕は発生しなかったがキズが発生した。
3:記録媒体表面に打痕とキズが発生した。
4:記録媒体表面に激しい打痕とキズが発生した。
【0095】
<試験5>
繰り返し消去印字後の発色濃度変化
カードプリンター(R3000)を用いて消去と印字を50回繰り返し、発色濃度の変化を目視で観察して下記のランクを付けて評価した。
1:画像部は良好な発色で、濃度変化も見られなかった。
2:画像部の発色は不均一で、濃度の低下も見られた。
3:画像部の発色状態がきわめて悪く、濃度の低下が激しかった。
【0096】
<試験6>
耐光性
カードプリンター(R3000)を用いて1回目と50回繰り返し消去印字後の印字部を5500Lux照射下、100時間放置する。その後、印字部をカードプリンター(R3000)で全面消去する。そのときの消し残りをマクベス濃度計RD914で測定し、下記式により、その変化の違いで耐光性を評価した。
【0097】
【数2】
光照射後の消し残り濃度変化=(耐光性試験後の消去後濃度)−(耐光性試験後の地肌濃度)
【0098】
【表2】
【0099】
実施例1〜3は、繰り返し後の打痕や発色濃度の変化がなく、さらに光照射による着色がなかったのに比べ、比較例3および4では、初期の耐光性は良好だったものの、繰り返し時の打痕、発色濃度の低下、耐光性が劣っていた。特に比較例4では耐光性に関して、初期と繰り返し後で大きく異なるのは、紫外線吸収剤が析出、拡散したことによるものと考えられる。
【0100】
[第3群の本発明]
実施例4
[記録層の作成]
下記構造の顕色剤 4部
【0101】
【化3】
アクリルポリオール50%溶液
(三菱レイヨン社製、LR503) 9部
メチルエチルケトン 70部
【0102】
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネートの75%酢酸エチル溶液)を10部、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオランを1部加え、良く攪拌し記録層塗布液を調製した。上記組成の記録層塗布液を、厚さ188μmのポリエステルフィルム上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した後、60℃で24時間乾燥して、膜厚約8.0μmの記録層を設け、記録層を作製した。
【0103】
[保護層の作成]
紫外線吸収性ポリマー40%溶液 10部
(日本触媒社製、UV−G100、水酸基価:22、
Tg:30℃、分子量約30000)
フィラー(東芝シリコーン社製、トスパール105) 5部
メチルエチルケトン 5部
イソシアネート(日本ポリウレタン社製、コロネートHL) 1部
上記組成物をよく攪拌し、保護層塗布液を調整した。
【0104】
上記組成の保護層塗布液を、前記記録層状にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥後、60℃で24時間乾燥して膜厚約3μmの保護層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作成した。
【0105】
実施例5
実施例4の保護層液の組成を下記のようにした以外は、実施例4と同様にして可逆性感熱記録媒体を作成した。
紫外線吸収性ポリマー40%溶液 10部
(日本触媒社製、UV−G7、水酸基価:20、
Tg:70℃、分子量約80000)
フィラー(東芝シリコーン社製、トスパール105) 5部
メチルエチルケトン 5部
イソシアネート(日本ポリウレタン社製、コロネートHL) 1部
上記組成物をよく攪拌し、保護層塗布液を調整した。
【0106】
実施例6
実施例4の保護層液の組成を下記のようにした以外は、実施例4と同様にして可逆性感熱記録媒体を作成した
紫外線吸収性ポリマー40%溶液 10部
(日本触媒社製、UV−A11、水酸基価:39、
Tg:70℃、分子量約30000)
フィラー(東芝シリコーン社製、トスパール105) 5部
メチルエチルケトン 5部
イソシアネート(日本ポリウレタン社製、コロネートHL) 1部
上記組成物をよく攪拌し、保護層塗布液を調整した。
【0107】
実施例7
実施例4の保護層液の組成を下記のようにした以外は、実施例4と同様にして可逆性感熱記録媒体を作成した
紫外線吸収性ポリマー30%溶液 8部
(一方社油脂製、XL−115、水酸基価:50、
Tg:70℃、分子量:約20000、
紫外線吸収成分含有量:約80%)
フィラー(東芝シリコーン社製、トスパール105) 5部
メチルエチルケトン 5部
イソシアネート(日本ポリウレタン社製、コロネートHL) 1部
上記組成物をよく攪拌し、保護層塗布液を調整した。
【0108】
比較例5
実施例4の保護層液の組成を下記のようにした以外は、実施例4と同様にして可逆性感熱記録媒体を作成した。
紫外線吸収性ポリマー40%溶液
(大塚化学社製、PUVA30S、非架橋タイプ)
スチレン共重合体
(共重合比30:70、平均分子量:約10,000) 10部
フィラー(東芝シリコーン社製、トスパール130) 2部
シリコンオイル 0.5部
メチルエチルケトン 5部
上記組成物をよく攪拌し、保護層塗布液を調整した。
【0109】
比較例6
実施例4の保護層液の組成を下記のようにした以外は、実施例4と同様にして可逆性感熱記録媒体を作成した。
アクリルポリオール40%溶液 12部
(三菱レイヨン社製、LR503)
イソシアネート(日本ポリウレタン社製、コロネートHL) 2部
低分子紫外線吸収剤 0.8部
(住友化学社製、SUMISORB 310)
シリコンオイル 1部
メチルエチルケトン 10部
上記組成物をよく攪拌し、保護層塗布液を調整した。
【0110】
<試験7>
繰り返し消去印字後の記録媒体表面
九州松下社製カードプリンター(R3000)を用いて消去と印字を50回繰り返した後の記録媒体表面を目視により評価した。評価は下記の4つのランクを付けることにより行なった。
1:記録媒体表面に打痕とキズは発生しなかった。
2:記録媒体表面に打痕は発生しなかったがキズが発生した。
3:記録媒体表面に打痕とキズが発生した。
4:記録媒体表面に激しい打痕とキズが発生した。
【0111】
<試験8>
繰り返し消去印字後の発色濃度変化
カードプリンター(R3000)を用いて消去と印字を50回繰り返し、発色濃度の変化を目視で観察して下記のランクを付けて評価した。
1:画像部は良好な発色で、濃度変化も見られなかった。
2:画像部の発色は不均一で、濃度の低下も見られた。
3:画像部の発色状態がきわめて悪く、濃度の低下が激しかった。
【0112】
<試験9>
耐光性
カードプリンター(R3000)を用いて1回目と50回繰り返し消去印字後の印字部を5500Lux照射下、100時間放置する。その後、印字部をカードプリンター(R3000)で全面消去する。そのときの消し残りをマクベス濃度計RD914で測定し、下記式により、その変化の違いで耐光性を評価した。
【0113】
【数3】
光照射後の消し残り濃度変化=(耐光性試験後の消去後濃度)−(耐光性試験後の地肌濃度)
【0114】
【表3】
【0115】
実施例4〜7は、繰り返し後の打痕や発色濃度の変化がなく、さらに光照射による着色がなかったのに比べ、比較例5および6では、初期の耐光性は良好だったものの、繰り返し時の打痕、発色濃度の低下、耐光性が劣っていた。特に比較例6では耐光性に関して、初期と繰り返し後で大きく異なるのは、紫外線吸収剤が析出、拡散したことによるものと考えられる。
【0116】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明より明らかなように、本発明の可逆性感熱記録媒体はいずれも、耐光性に優れ、かつ繰り返し使用によっても記録媒体への打痕発生のない耐久性に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可逆性感熱記録媒体の発色・消色特性を示す図である。
Claims (10)
- 支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱及び/又は加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態を形成しうる可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、架橋状態にある紫外線吸収性ポリマー、及びイソシアネートにより架橋されているシリコングラフトポリマーを含有する保護層を有し、表面の摩擦係数が0.2以下であることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
- 請求項1記載の可逆性感熱記録媒体において、保護層が水酸基価20以上である紫外線吸収性ポリマーを含有し、該ポリマーが架橋状態にあることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
- 前記紫外線吸収ポリマーのTgが50℃以上であることを特徴とする請求項2に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記紫外線吸収ポリマーの紫外線吸収成分含有量が50%以上であることを特徴とする請求項2または3に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記紫外線吸収ポリマーの重量平均分子量が10000以上であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記紫外線吸収ポリマーの紫外線吸収成分がベンゾトリアゾール骨格を有していることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記紫外線吸収ポリマーがイソシアネート化合物によって架橋状態にあることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記イソシアネート化合物がヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト型又はビューレット型又はトリマー型であることを特徴とする請求項7に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 熱可逆性記録部と情報記憶部とを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記情報記憶部が、磁気記録層、磁気ストライプ、ICメモリ、光メモリのいずれか少なくとも1種であることを特徴とする請求項9に記載の可逆性感熱記録媒体。
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