JP4464848B2 - 可逆性感熱記録媒体 - Google Patents
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Description
そこで、さらに本発明者らは特許文献14に記載のフェノール化合物を用いることで、発色と消色のコントラストが高く、高速消去が可能であり、画像部の発色安定性に優れる記録媒体を提案した。このフェノール性化合物を用いた記録媒体は、ホットスタンプやヒートローラー、セラミックヒーターなどの加熱部材による消去が可能であり実用性に優れるものであった。
さらに、これらのフェノール化合物を用いた記録媒体は高速消去性に優れたもので、常温常湿環境ではサーマルヘッドによる加熱での消去も可能であり、サーマルヘッドオーバーライトの可能性を持つものであった。しかしながら特許文献14に例示されている化合物を用いた場合には、特に低温低湿環境での消去性が悪化して充分に消去ができないものであった。
また、本発明の第二の目的は、該可逆性感熱記録媒体と情報記憶部を有する部材、該可逆性感熱記録媒体の記録層を有する可逆性感熱記録ラベル、これらを用いた画像処理方法及び画像処理装置を提供することである。
(1)「支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、該電子受容性化合物として下記一般式(1)で表わされるフェノール化合物の少なくとも1種を用いることを特徴とする可逆性感熱記録媒体:
(2)「前記可逆性感熱記録層中に架橋状態にある樹脂を含有することを特徴とする前記(1)に記載の可逆性感熱記録媒体。」
(3)「前記可逆性感熱記録層中に含有される樹脂が、水酸基価70(KOHmg/g)以上であることを特徴とする前記(2)に記載の可逆性感熱記録媒体。」
(4)「前記可逆性感熱記録層中に含有される樹脂が、アクリルポリオール樹脂であることを特徴とする前記(2)又は(3)に記載の可逆性感熱記録媒体。」
(5)「前記可逆性感熱記録層上に該感熱記録層を保護するための保護層を設け、該保護層が架橋状態にある樹脂を含有することを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。」
(6)「前記可逆性感熱記録層上に該感熱記録層を保護するための保護層を設け、該保護層が紫外線吸収性ポリマーを含有することを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。」
(7)「前記可逆性感熱記録層上に該感熱記録層を保護するための保護層を設け、該保護層が紫外線吸収能を有する無機微粒子を含有することを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。」
(8)「情報記憶部と可逆表示部を有し、該可逆表示部が少なくとも前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体からなるものであることを特徴とする情報記憶部を有する部材。」
(9)「前記情報記憶部と可逆表示部を有する部材が、カード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットのいずれかであることを特徴とする前記(8)に記載の情報記憶部を有する部材。」
(10)「前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を構成する支持体の可逆性感熱記録層を形成する面とは反対の面に、接着剤層又は粘着剤層を設けたことを特徴とする可逆性感熱記録ラベル。」
(11)「前記(10)に記載の可逆性感熱記録ラベルを用いた可逆表示部が設けられているものであることを特徴とする前記(8)又は(9)に記載の情報記憶部を有する部材。」
(12)「前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体、前記(10)に記載の可逆性感熱記録ラベル、又は前記(8)、(9)、(11)のいずれかに記載の情報記憶部と可逆表示部を有する部材を用い、前記可逆性感熱記録層を加熱することにより画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法。」
(13)「サーマルヘッドを用いて前記可逆性感熱記録層に画像を形成することを特徴とする前記(12)に記載の画像処理方法。」
(14)「サーマルヘッド又はセラミックヒータを用いて画像を消去することを特徴とする前記(12)に記載の画像処理方法。」
(15)「前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体、前記(10)に記載の可逆性感熱記録ラベル又は前記(8)、(9)、(11)のいずれかに記載の情報記憶部と可逆表示部を有する部材を搭載し、画像の形成及び/又は消去を行なう手段を具備してなることを特徴とする画像処理装置。」
(16)「前記画像の形成手段がサーマルヘッドであることを特徴とする前記(15)に記載の画像処理装置。」
(17)「前記画像の消去手段がサーマルヘッド又はセラミックヒータであることを特徴とする前記(15)に記載の画像処理装置。」
また、本発明の情報記憶部を有する可逆性感熱記録媒体、可逆性感熱記録ラベル、これらを用いた画像処理方法及び画像処理装置も、上記同様の優れた作用効果を発揮しうるものである。
本発明における前記一般式(1)または(2)で表わされるフェノール化合物の少なくとも1種を用いる可逆的感熱記録媒体は、加熱温度および/または加熱後の冷却速度により相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうるものである。この基本的な発色・消色現象を説明する。
図1は本発明の可逆性感熱記録媒体の発色濃度と温度との関係を示したものである。はじめ消色状態(A)にある記録媒体を昇温していくと、溶融し始める温度T1でロイコ染料と顕色剤が溶融混合し、発色が起こり溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると発色状態のまま室温に下げることができ、固定された発色状態(C)となる。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態からの降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が起き、はじめと同じ消色状態(A)あるいは急冷発色状態(C)より相対的に濃度の低い状態が形成される。一方、急冷発色状態(C)をふたたび昇温していくと発色温度より低い温度T2で消色が起き(DからE)、ここから降温するとはじめと同じ消色状態(A)に戻る。実際の発色温度、消色温度は、用いる顕色剤と発色剤の組合せにより変化するので目的に合わせて選択できる。また溶融発色状態の濃度と急冷したときの発色濃度は、必ずしも一致するものではなく、異なる場合もある。
その結果、顕色剤分子構造中に水素結合性会合基を複数個導入することで、高速消去に対応できることが判った。これは消色過程での顕色剤同士の相互作用が、複数個導入された水素結合性会合基によって強くなり、顕色剤の結晶化が速くなるためと考えられる。
そこで、本発明者らは高速消去性に優れた複数個の水素結合性会合基をもったフェノール化合物として、前記のように特許文献14に記載の化合物を提案した。
本発明者らは、発色性および消去性の温湿度に対する依存性について検討した結果、下記一般式(1)および(2)で表わされるように、顕色剤としてのフェノール化合物において、ビフェニル構造のように剛直な構造を取り入れると共に複数の水素結合性会合基を取り入れることによって良好な発色特性を有し、温湿度によって影響を受けずにサーマルヘッドによる高速消去が可能であり、なおかつ高い保存性を兼ね備えることを見出した。
R1の好ましい例としては以下の表1に示すものが挙げられる。
また、X、YおよびZは酸素原子または窒素原子を含む2価の基を示し、好ましくは
すなわち、以下に示される構造で表わされる。
本発明で用いられるフェノール化合物は、下記一般式(1)または(2)で表せられる化合物である。
なお、本発明においては、顕色剤として前記一般式(1)または(2)で表わされるフェノール化合物の少なくとも1種を用いるが、本発明の目的を損なわない範囲で可逆性感熱記録媒体の顕色剤として通常用いられている公知の顕色剤を併用してもよい。
本発明で用いられるフェノール化合物の好ましい例としては表4で示される化合物が挙げられるが、本発明を何等限定するものではない。
式中のa、cはそれぞれ独立に2以上の整数を表わし、bは8以上の整数を表わす。mが2以上の時に繰り返されるcおよびZは同一であっても異なっていてもよい。
以下に本発明の化合物の具体的な例を表5に挙げるが、何等これに限定されるものではない。
本発明において用いられるロイコ染料の具体例としては、以下のものが挙げられる。
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ(n−ブチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、
2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、
2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、
2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(o−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、
2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、
3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、
2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−クロロ−6−ジプロピルアミノフルオラン、
3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−クロロ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(o−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(2,3−ジクロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、
3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、
3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、
3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、
3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−N−n−アミル−N−メチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、
2−(3−トルイジノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン等が挙げられる。
該保護層中に用いる樹脂として、特に好ましくは、紫外線吸収基を分子構造中に有した紫外線吸収性ポリマーが用いられる。
紫外線吸収性ポリマーとしては紫外線吸収基を有した単量体と、架橋可能な官能基を有した単量体をもつポリマーが好ましく用いられ、紫外線吸収基を有した単量体としては、(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ω−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール骨格を有した単量体が特に好ましく用いられる。
本発明に用いられる無機顔料は0.1μm以下の平均粒径を有する顔料ならば任意である。このような無機顔料としては酸化亜鉛、酸化インジウム、アルミナ、シリカ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化セリウム、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ビスマス、酸化ニッケル、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化トリウム、酸化ハフニウム、酸化モリブデン、鉄フェライト、ニッケルフェライト、コバルトフェライト、チタン酸バリウム、チタン酸カリウムのような金属酸化物及びこれらの複合酸化物、硫化亜鉛、硫酸バリウムのような金属硫化物あるいは硫酸化合物、チタンカーバイド、シリコンカーバイド、モリブデンカーバイド、タングステンカーバイド、タンタルカーバイドのような金属炭化物、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化ジルコニウム、窒化バナジウム、窒化チタニウム、窒化ニオブ、窒化ガリウムのような金属窒化物等が挙げられる。
このような顔料は、紫外線UV−A領域、即ち波長320〜400nmの紫外線UV−A領域に吸収端を有する顔料(A)および紫外線UV−A領域より短波長側に吸収端を有する無機顔料(B)の2群に分類できる。本発明では無機顔料(A)あるいは無機顔料(B)を単独で用いることもできるが、無機顔料(A)と無機顔料(B)を併用することにより本発明の効果がより顕著になる。無機顔料(A)あるいは無機顔料(B)を単独で用いる場合にはこれらの顔料を中間層あるいは保護層のいずれかに含有させることができる。また無機顔料(A)と無機顔料(B)を併用する場合にはこれらの顔料を同時に中間層あるいは保護層に含有させることができるが、無機顔料(A)と無機顔料(B)を中間層と保護層に別々に含有させることもできる。この場合無機顔料(A)を中間層に含有させ、無機顔料(B)を保護層に含有させることにより、本発明の効果が一層顕著に発揮される。
無機顔料(A)の具体例としては硫化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化セリウム、酸化スズ、酸化モリブデン、酸化亜鉛、窒化ガリウム等が挙げられる。
また無機顔料(B)の具体例としてはシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、硫酸バリウム等が挙げられる。
また、これら支持体上にアンダー層を設ける場合、接着層を介して設けることにより、クラック発生防止やバリの発生が改善される。
該接着層は、上記の各層と同様の塗工方式等で形成することができる。
この可逆性感熱記録ラベルには、接着剤層又は粘着剤層を形成したもの(無剥離紙型)と、その接着剤層又は粘着剤層の下に剥離紙をつけるもの(剥離紙型)とがあり、接着剤層を構成する材料としては、ホットメルト型のものが通常用いられる。
接着剤層又は粘着剤層の材料は、一般的に用いられているものが使用可能である。
例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコン系樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
次に、該情報表示記憶部材について説明する。
この情報記憶部と可逆表示部を有する部材としては、次の3つのものに大別できる。
(1)情報記憶機能のある部材の一部を可逆性感熱記録媒体の支持体として用い、そこに感熱記録層を直接形成したもの。
(2)情報記憶機能のある部材に、別途形成された、支持体上に感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体の支持体面を接着したもの。
(3)情報記憶機能のある部材に、前記可逆性感熱記録ラベルが接着剤層又は粘着剤層を介して、接着されたもの。
これら(1)、(2)、(3)の場合、情報記憶部と可逆表示部のそれぞれの機能が発揮できるよう設定されることが必要であり、そうでありさえすれば情報記憶部の設定位置は目的に応じて任意に選定でき、可逆性感熱記録媒体における支持体の感熱記録層を設けた面と反対側の面に設けることも、支持体と感熱記録層との間でも、あるいは感熱記録層上の一部に設けることもできる。
この情報記憶機能のある部材としては、特に限定されないが、一般的なカード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットを用いることができる。
この可逆表示機能と情報記憶機能の双方を有する情報表示記憶部材は、例えばカードの場合で説明すると、情報記憶部に記憶された情報の一部を可逆性感熱記録層に表示することによって、カード所有者等は、特別な装置がなくてもカードを見るのみで情報を確認することができて、可逆性感熱記録媒体を適用しないカードに比べてその利便性が非常に向上することになる。
磁気記録層は、通常用いられる酸化鉄、バリウムフェライト等のような金属化合物及び塩ビ系、ウレタン系及びナイロン系のような樹脂等を用いて支持体に塗工形成するか、または樹脂を用いず前記の金属化合物を用いて蒸着、スパッタリング等の方法により形成される。また、表示に用いる可逆性感熱記録媒体における可逆性感熱記録層をバーコード、2次元コード等のようなやり方で記憶部として用いることもできる。
こうすることによって、磁気に記憶された情報の一部を表示することができる等、この媒体の利便性を向上できる。
この接着剤層又は粘着剤層を設けた可逆性感熱記録ラベルとしては、上記の磁気付塩ビカードだけでなく、ICカードや光カード等の厚手カードにも適用できる。
さらに、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスクの場合には、直接ディスクに可逆性感熱記録ラベルを貼ることや、直接ディスク上に可逆性感熱記録層を設けることもできる。こうすることによって、それらの記憶内容の変更に応じて自動的に表示内容を変更する等の用途への応用が可能である。
さらに、ビデオテープカセットの表示ラベルとして用いてもよい。
厚手カード、ディスクカートリッジ、ディスク上に熱可逆記録機能を設ける方法としては、上記の可逆性感熱記録ラベルを貼る方法以外に、それらの上に可逆性感熱記録層を直接塗布する方法や、予め別の支持体上に可逆性感熱記録層を形成しておき、厚手カード、ディスクカートリッジ、ディスク上に該感熱記録層を転写する方法等がある。
転写する場合には、可逆性感熱記録層上にホットメルトタイプ等の接着層や粘着層を設けておいてもよい。
厚手カード、ディスク、ディスクカートリッジ、テープカセット等のように剛直なものの上に可逆性感熱記録ラベルを貼着したり、可逆性感熱記録層を設ける場合には、サーマルヘッドとの接触性を向上させ、画像を均一に形成するために弾力があり、クッションとなる層又はシートを剛直な基体とラベル又は可逆性感熱記録層の間に設けることが好ましい。
この中では、セラミックヒータが好ましく用いられる。セラミックヒータを用いることにより、装置が小型化でき、かつ安定した消去状態が得られ、コントラストのよい画像が得られる。
セラミックヒータの設定温度は、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、115℃以上がさらに好ましい。
また、画像消去手段としてサーマルヘッドを用いることにより、さらに装置全体の小型化が可能となり、また、消費電力を低減することが可能であり、バッテリー駆動のハンディタイプの装置も可能となる。形成用と消去用を兼ねて一つのサーマルヘッドとすれば、さらに小型化が可能となる。
一つのサーマルヘッドで形成と消去を行なう場合、一度前の画像を全部消去した後、あらためて新しい画像を形成してもよく、画像毎にエネルギーを変えて一度に前の画像を消去し、新しい画像を形成していくオーバーライト方式も可能である。
オーバーライト方式では、画像の形成と消去を合わせた時間が少なくなり、記録のスピードアップにつながる。可逆性感熱記録層と情報記憶部を有するカードを用いる場合、上記の装置には、情報記憶部の記憶を読み取る手段と書き換える手段も含まれる。
[可逆性感熱記録層の作成]
下記の構造式で表わされる顕色剤 4部
(三菱レイヨン社製LR503、固形分濃度50%溶液) 9部
メチルエチルケトン 70部
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン1部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
上記組成の感熱記録層塗布液を、厚さ188μmの白PETにワイヤーバーを用い塗布し、100℃2分で乾燥した後、60℃24時間加熱して、膜厚約8.0μmの感熱記録層を設けた。
紫外線吸収性ポリマーの40%溶液(日本触媒社製UV−G300) 10部
イソシアネート系架橋剤(ニホンポリウレタン社製、コロネートHX) 1.4部
シリコーン系アクリル樹脂(東亞合成社製GS−1015) 0.5部
メチルエチルケトン 10部
以上の組成物を良く撹拌し、保護層塗布液を調整した。
上記組成の保護層塗布液を上記感熱記録層上にワイヤーバーを用いて塗布し、100℃2分で乾燥した後、60℃24時間加熱して、厚さ約3.5μmの保護層を設け本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
実施例1で用いた感熱記録層塗布液の代わりに、下記の塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
[感熱記録層塗布液]
下記の構造式で表わされる顕色剤 4部
(三菱レイヨン社製LR503、固形分濃度50%溶液) 9部
メチルエチルケトン 70部
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン1部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
実施例1で用いた感熱記録層塗布液の代わりに、下記の塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
[感熱記録層塗布液]
下記の構造式で表わされる顕色剤 4部
(三菱レイヨン社製LR503、固形分濃度50%溶液) 9部
メチルエチルケトン 70部
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン1部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
実施例1で用いた感熱記録層塗布液の代わりに、下記の塗布液を用いた以外は実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
[感熱記録層塗布液]
下記の構造式で表わされる顕色剤 4部
(三菱レイヨン社製LR503、固形分濃度50%溶液) 9部
メチルエチルケトン 70部
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン1部、日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)2部を加え、良く攪拌し感熱記録層塗布液を調製した。
<発色・消色濃度>
各可逆性感熱記録媒体を、気温23℃湿度50%RHの環境にてビーコム社製感熱印字シミュレーターを用いて電圧18V、パルス幅2msecの条件で印字を行い、帯状の印字サンプルを作製し、発色濃度および地肌濃度をマクベス濃度計RD914を用いて測定した。
得られた印字サンプルに対して、パルス幅6msecの条件で電圧6Vから13.5Vまで0.5V刻みで消去した後に濃度を同様に測定し、最も低い濃度を消色濃度とした。
つぎに、上記の発色および消色試験を気温5℃、湿度30%RHの低温低湿環境で同様に行ない発色濃度および消色濃度を測定した。
<画像保持性>
画像保存性については、試験前の発色濃度をマクベス濃度計RD914を用いて測定したサンプルを60℃乾燥条件下で24時間保存し、同様に、印字部の濃度を測定し、下記式により保存率を決定した。
38 セラミックヒータ
40 搬送ローラ
47 搬送ローラ
53 サーマルヘッド
Claims (17)
- 支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうる可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、該電子受容性化合物として下記一般式(1)で表わされるフェノール化合物の少なくとも1種を用いることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
(式中、R 1 は炭素数2以上の飽和もしくは不飽和脂肪族炭化水素基、または芳香族炭化水素基で、R1とR2は同一でも異なっていてもよく、R2は炭素数8以上の飽和または不飽和の脂肪族炭化水素基を示し、また、X、Yは、−CONH−を示し、lは1〜3の整数を示す。)
- 前記可逆性感熱記録層中に架橋状態にある樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記可逆性感熱記録層中に含有される樹脂が、水酸基価70(KOHmg/g)以上であることを特徴とする請求項2に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記可逆性感熱記録層中に含有される樹脂が、アクリルポリオール樹脂であることを特徴とする請求項2又は3に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記可逆性感熱記録層上に該感熱記録層を保護するための保護層を設け、該保護層が架橋状態にある樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記可逆性感熱記録層上に該感熱記録層を保護するための保護層を設け、該保護層が紫外線吸収性ポリマーを含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記可逆性感熱記録層上に該感熱記録層を保護するための保護層を設け、該保護層が紫外線吸収能を有する無機微粒子を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
- 情報記憶部と可逆表示部を有し、該可逆表示部が少なくとも請求項1乃至7のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体からなるものであることを特徴とする情報記憶部を有する部材。
- 前記情報記憶部と可逆表示部を有する部材が、カード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットのいずれかであることを特徴とする請求項8に記載の情報記憶部を有する部材。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を構成する支持体の可逆性感熱記録層を形成する面とは反対の面に、接着剤層又は粘着剤層を設けたことを特徴とする可逆性感熱記録ラベル。
- 請求項10に記載の可逆性感熱記録ラベルを用いた可逆表示部が設けられているものであることを特徴とする請求項8又は9に記載の情報記憶部を有する部材。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体、請求項10に記載の可逆性感熱記録ラベル、又は請求項8、9、11のいずれかに記載の情報記憶部と可逆表示部を有する部材を用い、前記可逆性感熱記録層を加熱することにより画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法。
- サーマルヘッドを用いて前記可逆性感熱記録層に画像を形成することを特徴とする請求項12に記載の画像処理方法。
- サーマルヘッド又はセラミックヒータを用いて画像を消去することを特徴とする請求項12に記載の画像処理方法。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体、請求項10に記載の可逆性感熱記録ラベル又は請求項8、9、11のいずれかに記載の情報記憶部と可逆表示部を有する部材を搭載し、画像の形成及び/又は消去を行なう手段を具備してなることを特徴とする画像処理装置。
- 前記画像の形成手段がサーマルヘッドであることを特徴とする請求項15に記載の画像処理装置。
- 前記画像の消去手段がサーマルヘッド又はセラミックヒータであることを特徴とする請求項15に記載の画像処理装置。
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