JP2004230691A - 可逆的記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】印字や消去の際のカード鳴きやスティッキングの発生を抑え、同時に耐久性を改善する。
【解決手段】感熱記録層上に保護層が形成されてなる可逆的記録媒体である。保護層は、アクリル系樹脂を含有するとともに、赤外分光スペクトルにおいてCOO基に由来するピークに対するC=C基に由来するピークの強度比が0.01〜0.04である。この強度比は、アクリル残基量(COO基に対するC=C基量)に対応し、強度比が小さいほど残存するアクリル基の量が少なく2重結合の開裂・重合が進んでいることを意味する。重合の進み具合は保護層の物性に大きく関与しており、ピーク強度比を規定し保護層の物性を最適化することで、カード鳴きやスティッキングが解消され、耐久性も確保される。
【選択図】 図1
【解決手段】感熱記録層上に保護層が形成されてなる可逆的記録媒体である。保護層は、アクリル系樹脂を含有するとともに、赤外分光スペクトルにおいてCOO基に由来するピークに対するC=C基に由来するピークの強度比が0.01〜0.04である。この強度比は、アクリル残基量(COO基に対するC=C基量)に対応し、強度比が小さいほど残存するアクリル基の量が少なく2重結合の開裂・重合が進んでいることを意味する。重合の進み具合は保護層の物性に大きく関与しており、ピーク強度比を規定し保護層の物性を最適化することで、カード鳴きやスティッキングが解消され、耐久性も確保される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱により印字や消去が可能な可逆的記録媒体に関するものであり、特に、感熱記録層の劣化防止のために表面に設けられる保護層の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴミや森林破壊等の環境問題を背景に、多数回の書き換えが可能で繰り返し使用が可能な可逆的記録媒体が注目され、様々な方式の可逆的記録媒体が提案されている。例えば、磁性粉に磁力を与えて印字消去する磁力方式のものや、透明・白濁という高分子の物理変化を利用した方式のもの、染料タイプのように化学的変化を利用した方式のもの等である。
【0003】
これら方式のもののなかで、化学変化を利用した染料タイプのものは、加熱により簡単に印字や消去が可能で、視認性にも優れることから、ポイントカードや交通系の定期券、クレジットカード等に広く利用されている。化学変化を利用した染料タイプの可逆的記録媒体は、特定の顕色剤と発色剤であるロイコ染料とを、すなわち電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物とを組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行わせることができ、しかもその発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能である。しかも発色と消色を繰り返すことが可能である。
【0004】
上述のような可逆性感熱記録媒体においては、多様な使用方法が提供されているが、近年は前記したようなカードでの形態で使用されることが多く、定期的に印字消去が繰り返されることから、数々の改良が重ねられており、様々な提案がなされている(特許文献1乃至特許文献7等を参照)。
【0005】
例えば、感熱記録層上に劣化防止のための保護層を設けることもその一つである。この感熱記録層の劣化防止のために設けられる保護層表面の特性としては、高い耐久性が必要とされ、紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂等を架橋状態にする方法が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−166649号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平11−334220号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平10−81074号公報
【0009】
【特許文献4】
特許第3233229号公報
【0010】
【特許文献5】
特開2001−54993号公報
【0011】
【特許文献6】
特開2000−280428号公報
【0012】
【特許文献7】
特開平10−95864号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、劣化防止のために保護層を設けても、これが適切なものでなければ、必要な耐久性を得ることができない。また、保護層が適切なものでないと、例えばサーマルヘッド方式のプリンターで印字を行う際に、カード鳴きが発生し、あるいは印字面にスティッキングが起こり正確に(綺麗に)画像を形成することができないという問題も発生する。
【0014】
このような問題が生じた場合、印字を行うたびにカード鳴きが起こって騒音となり、またプリンターへの負荷が大きくなる。スティッキングに至っては、画像が乱れるため、正確な情報を記載することが困難となってしまう。さらに、十分な耐久性がないと、印字表面が削れてしまい、これがサーマルヘッドに付着して印字画像を乱してしまう。
【0015】
これらの課題は、例えば保護層に顔料を多量に添加し、その表面を粗くすることで、ある程度改善することができ、上記のスティッキングやカード鳴きについては、これを抑えることが可能である。
【0016】
しかしながら、保護層に顔料を多量に添加して表面粗さを粗くすると、いわばマット処理されたような状態となって光沢感を得ることができない。光沢感のあるカードとする場合には、顔料の添加量を減らして表面粗さを抑える必要があるが、このような場合には前記方法では対処することができない。
【0017】
また、保護層に顔料を多量に添加して表面粗さを粗くすると、耐久性の点でも問題が生ずる。表面粗さの粗い保護層にサーマルヘッドを接触させて印字を行うと、例えば突起部分の顔料が脱落してサーマルヘッドに付着し、その後の印字に悪影響を及ぼす虞れがある。
【0018】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、例えば光沢感が要求されるような表面粗さを抑えた可逆的記録媒体にも適用することが可能で、印字や消去の際にカード鳴きやスティッキングが発生することがなく、しかも耐久性に優れた可逆的記録媒体を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の目的を達成するために、長期に亘り鋭意研究を重ねてきた。その結果、アクリル系樹脂を用いた保護層においては、その特性にアクリル残基量が大きく関わっており、これを適正化することで保護層の物性を良好なものとすることができ、カード鳴きやスティッキングを解消し得るばかりでなく、耐久性をも確保し得るとの結論を得るに至った。
【0020】
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであり、感熱記録層上に保護層が形成されてなる可逆的記録媒体において、上記保護層は、アクリル系樹脂を含有するとともに、赤外分光スペクトルにおいてCOO基に由来するピークに対するC=C基に由来するピークの強度比が0.01〜0.04であることを特徴とするものである。
【0021】
本発明においては、赤外分光スペクトルにおけるCOO基に由来するピークに対するC=C基に由来するピークの強度比を規定しているが、この強度比は、アクリル残基量(COO基に対するC=C基量)に対応する。強度比が小さいほど残存するアクリル基の量が少なく2重結合の開裂・重合が進んでいることを表す。この重合の進み具合は保護層の物性に大きく関与しており、ピーク強度比を規定し保護層の物性を最適化することで、カード鳴きやスティッキングが解消され、耐久性も確保される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した可逆的記録媒体について、詳細に説明する。
【0023】
本発明の可逆的記録媒体は、図1に示すように、例えばポリエチレンテレフタレート等からなるプラスチック基板や金属基板等のようなベースとなる支持体1上に感熱記録層2を形成し、この上に感熱記録層2の劣化防止を目的として保護層3を形成してなるものである。さらには、感熱記録層2と保護層3との間に例えば紫外線吸収剤等を含有する中間層4を必要に応じて形成してもよい。勿論、これは一例であり、例えば支持体1のもう一方の側にも感熱記録層や保護層を設ける等、その用途等によって種々の変更が可能である。
【0024】
ここで、保護層3を形成する材料としては、通常、紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂等、架橋構造となる樹脂材料が用いられる。このような樹脂材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、メタアクリル酸エステル、アクリル酸オリゴマー、アクリル酸エステルオリゴマー、エチレン性不飽和結合を有するポリアクリレート系化合物等が挙げられる。また、必要に応じて、エポキシ化合物、尿素誘導体、ビニル化合物等の架橋剤、リン酸系、スルホン酸系、ポリアミド系、アミン系等の硬化剤等を使用することができる。
【0025】
なお、本発明における保護層3では、アクリル残基での比較を行っているため、例えば反応前のC=C基とCOO基とが当量であるアクリル系樹脂を樹脂材料として含むことが必要である。また、その場合、環境を考慮し、燃焼時にハロゲンガスの発生がないものを用いることが好ましい。このようなアクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のモノマー、オリゴマー等、紫外線照射により重合反応を起こし硬化するものであればいずれも使用可能であり、例えば、東亞合成社製の商品名M7100、商品名M8030、商品名M8060、商品名M210や、日本化薬社製の商品名KAYARAD R−551、商品名KAYARAD R604、商品名KAYARAD R684、商品名KAYARAD PET−30、商品名KAYARAD DPHA、商品名KAYARAD T−1420等が挙げられる。これらの樹脂は単品でも用いられるが、2種以上を混合して使用しても良い。
【0026】
また、これらの樹脂には反応希釈剤を添加してもよい。反応希釈剤としては、通常、単官能、または2官能のモノマー類が使用され、例えば、N−ビニルピロリドン(例えば東亞合成社製の商品名M150)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(例えば、日本化薬社製の商品名KAYARADO NPGDA)、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート(例えば、日本化薬社製の商品名SR−256)、ブチルシクロヘキサノールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリーコールジアクリレート(例えばB.A.S.F社製)、ブトキシジエチルアクリレート、メチルトリグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(例えば共栄社油脂社製)が挙げられる。
【0027】
上記保護層3に使用される紫外線硬化樹脂には、硬化を促進する光重合開始剤を添加する。その光重合開始剤としては、例えばジエトキシアセトフェノン、イソブチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン、2−〔4−(ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0028】
また、保護層3には、耐久性を向上させる目的で顔料を添加してもよい。添加する顔料としては、従来公知の無機フィラー及び有機フィラー等を用いることができ、これらを単独または混合して用いることができる。なお、有機フィラーとしては、アクリル系、エポキシ樹脂、ポリアミド系、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の微粒子が挙げられ、無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化ジルコニア、酸化スズ、酸化セリウム、酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム等の微粒子が挙げられる。
【0029】
これらのフィラーは通常は保護層3中に分散して用いられ、その粒径は0.5〜10μmであることが好ましい。フィラーの粒径が0.5μm未満であると、フィラーの添加効果が不十分となり、また粒径が10μmよりも大きいと、粒子が保護層3中に十分に分散されず、塗膜として形成することが困難になる。仮に塗膜を形成することができたとしても、塗膜が脆くなってしまい、十分な耐久性を得ることは難しい。適正な粒径の顔料を添加することにより、例えばサーマルヘッドにより印字等を行っても傷が付き難く、耐久性も良好なものとなる。
【0030】
上述の保護層3の材料として紫外線硬化樹脂を使用する時には、溶剤等を使用する場合があるが、この場合の溶剤としては、例えばメチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ベンゼン等の有機溶剤を挙げることができる。
【0031】
保護層3を形成するための塗料は、上述の各材料を混合し、アジター、ロールミル、ボールミル、ペイントシェイカー等を用いて分散を行う。十分分散させた塗料は、グラビアコーター、ダイコーター、ナイフコーター、バーコーター、ドクターブレード等公知の方法にて塗工を行う。
【0032】
保護層3のアクリル残基量(すなわち、COO基に由来するピークに対するC=C基に由来するピークの強度比)の調整は、例えば保護層を塗布後、保護層の硬化の際に行う。保護層3を硬化する方法としては、樹脂の種類によっても異なるが、例えば紫外線硬化樹脂を用いた場合には、UV照射機によって硬化を行い、熱硬化樹脂を用いた場合には、オーブン等で加熱して硬化させる。前者の場合、保護層3を塗布した可逆的記録媒体をUV照射機に通し、紫外線を可逆的記録媒体の表面、すなわち保護層3に照射することでモノマー及びオリゴマーを重合反応させ硬化(架橋)を行うが、その時の照射時間及び照射強度を調節することでアクリル残基量を調整することができる。
【0033】
アクリル残基量は、得られた保護層3を赤外分光分析、例えば全反射法(ATR法)を用いたフーリエ変換赤外分光分析(FT−IR)によって測定し、得られたスペクトルよりC=C基/COO基のピーク強度比を算出することで把握することができる。アクリル系樹脂では、モノマー及びオリゴマーが重合反応し、架橋構造をとることでC=C基が減少する。したがって、硬化が進行したときの方が、C=C基は少なくなる。そこで、硬化の進行に伴って減少するC=C基に由来するピークと、硬化が進行しても変化しないCOO基に由来するピークの強度比をとる。なお、COO基に由来するピークは、1720cm−1近傍のピークであり、C=C基に由来するピークは1640cm−1近傍のピークである。
【0034】
以上により測定される強度比は、保護層3において0.01〜0.04であることが好ましい。赤外分光スペクトルにおけるCOO基に由来するピークに対するC=C基に由来するピークの強度比が0.04を越える場合には、十分に硬化が進行していないが故に、印字時にカード鳴き及びスティッキングが発生してしまう。また、前記強度比が0.01未満になると、過度に硬化を行うことになり、例えば紫外線照射により感熱記録層2に含まれる染料が分解して黄変する等、外観上、支障をきたす虞れがある。
【0035】
なお、前述の硬化は保護層3を塗布した後、直ちに行った方がよい。例えば、UV照射機のパワーが小さく2回に分けて照射を行う場合、2回目の照射までにあまり時間が経過してしまうと、紫外線照射の効果はさほど見られない。これは、ある程度時間が経過すると、一度反応したモノマー同士が離れてしまって重合が進まなくなり、また保護層3中に添加されている光重合開始剤の効果が無くなるためと考えられる。
【0036】
上述の保護層3の厚みは、3〜7μmであることが好ましい。保護層3の厚みが3μm未満であると十分な耐久性が得られず、また、保護層3の厚みが7μmを越えると、例えばサーマルヘッドの熱が感熱記録層2まで伝わり難くなり、十分な印字濃度を得ることができない。
【0037】
一方、感熱記録層2は、樹脂母材(マトリクス)に分散された有機低分子物質の結晶状態の変化によって白濁・透明が可逆的に変化する高分子/低分子タイプのものや、樹脂母材に分散された電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の可逆的な発色反応を利用した熱発色性組成物であるロイコ化合物タイプのもの等、可逆的な感熱記録が可能なものであれば如何なるものであってもよく、これらの中から何れかを選択して使用することができる。いずれの場合にも、感熱記録層2は、印刷法、コーティング法等により膜厚4μm〜20μm程度に設けることができる。
【0038】
ここで、感熱記録層2が高分子/低分子タイプの場合、感熱記録層2中に分散される有機低分子物質としては、脂肪酸、若しくは脂肪酸誘導体、または脂環式有機酸等が挙げられる。これらの中で、脂肪酸としては、飽和脂肪酸若しくは不飽和脂肪酸、あるいはジカルボン酸等が使用可能であり、例えば、飽和脂肪酸の具体例として、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチル酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。また、不飽和脂肪酸の具体例としては、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、ソルビン酸、ステアロール酸等が挙げられる。なお、脂肪酸、若しくは脂肪酸誘導体、または脂環式有機酸は、これらのものに限定されるものではなく、且つ、これらの1種類または2種類以上を混合して使用することも可能である。
【0039】
また、高分子/低分子タイプの感熱記録層2に用いられる樹脂母材としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロースアセテート系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等が挙げられ、これらを単独で、あるいは2種以上を混合して、さらには共重合物として用いることができる。
【0040】
高分子/低分子タイプの感熱記録層2には、例えば透明化温度範囲を制御するために、樹脂の可塑剤や高沸点溶剤等を樹脂母材に対して0.1重量%から20重量%程度の割合で添加することができる。さらには、感熱記録層2の繰り返し印字消去耐性を向上するため、樹脂母材に対応して三次元架橋する硬化剤、架橋材等を樹脂母材に対して0.5重量%から10重量%程度の割合で添加することもできる。
【0041】
ロイコ化合物タイプの感熱記録層2は、樹脂母材(マトリックス)中に分散されたロイコ化合物と顕滅色剤の可逆的な発色反応を利用した熱発色性組成物からなるものであり、印刷法、コーティング法等により膜厚4μm〜20μm程度の層として形成される。
【0042】
ロイコ化合物タイプの感熱記録層2中に用いられるロイコ化合物としては、通常無色ないし淡色のロイコ化合物が用いられる。このようなロイコ化合物としては、一般的に感圧記録紙、感熱記録紙、感光記録紙、通電感熱記録紙、感熱転写紙等に用いられるものに代表され、ラクトン、サルトン、スピロピラン等の部分骨格を有するキサンテン、スピロピラン、ラクトン、フルオラン、サルトン系等が用いられるが、特に制限されるものではない。
【0043】
ロイコ化合物の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−ジメチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル−5)−ジメチルアミノフタリド、3−ジメチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−n−ニトリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−n−テトラヒドロフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等が挙げられ、これらを単独、あるいは混合して用いることができる。
【0044】
ロイコ化合物タイプの感熱記録層2には、前記ロイコ化合物の他、顕減色剤が併用されるが、この顕滅色剤は、熱エネルギーの作用によりプロトンを可逆的に放出してロイコ化合物に対し顕色作用と滅色作用を併せ持つ化合物である。すなわち、フェノール性水酸基またはカルボキシル基からなる酸性基とアミノ基からなる塩基性基の双方を有し、熱エネルギーの違いにより酸性または塩基性となって上記ロイコ化合物を発色、消色させるものである。塩基性基は官能基として存在していても良いし化合物の一部として存在していても良い。
【0045】
酸性基あるいは塩基性基のいずれか一方の官能基を有する顕滅色剤としては、例えば、アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸、4−アミノ−3−メチル安息香酸、3−アミノ−4−メチル安息香酸、2−アミノ−5−エチル安息香酸、3−アミノ−4−ブチル安息香酸、4−アミノ−3−メトキシ安息香酸、3−アミノ−4−エトキシ安息香酸、2−アミノ−5−クロロ安息香酸、4−アミノ−3−ブロモ安息香酸、2−アミノ−2−ニトロ安息香酸、4−アミノ−3−ニトロ安息香酸、3−アミノ−4−ニトリル安息香酸、アミノサリチル酸、ジアミノ安息香酸、2−メチル−5−アミノナフトエ酸、3−エチル−4−アミノナフトエ酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、2−メチルニコチン酸、6−クロロニコチン酸等がある。
【0046】
塩基性基を塩化合物の一部として有する顕減色剤としては、フェノール性水酸基またはカルボキシル基を有する化合物とアミノ基を有する化合物との塩または錯塩等を挙げることができ、例えばヒドロキシ安息香酸類、ヒドロキシサリチル酸類、没食子酸類、ビスフェノール酢酸等の酸と、脂肪族アミン類、フェニルアルキルアミン類、トリアリルアルキルアミン類等の塩基との塩または錯塩等が挙げられる。その具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸−アルキルアミン塩、p−ヒドロキシ安息香酸−フェニルアルキルアミン塩、m−ヒドロキシ安息香酸−アルキルアミン塩、p−ヒドロキシ安息香酸メチル−アルキルアミン塩、p−ヒドロキシ安息香酸ステアリル−アルキルアミン塩、ビスフェノール酢酸−アルキルアミン、ビスフェノール酢酸オクチル−アルキルアミン塩等が挙げられ、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0047】
なお、ロイコ化合物及び顕滅色剤はこれらのものに限定されるものではなく、且つ、これらのうちの1種類又は2種類以上を混合させて適用することも可能である。
【0048】
また、ロイコ化合物タイプの感熱記録層2に用いられる樹脂母材としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア、メラミン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール等の樹脂材料を挙げることができ、これらを単独で、混合して、あるいは共重合体として用いることができる。さらに、感熱記録層2の繰り返し印字消去耐性を向上するため、樹脂母材に対応して三次元架橋する硬化剤、架橋剤等を樹脂母材に対し0.5重量%から10重量%程度の割合で添加することができる。さらに、感熱記録層2の耐性を向上させるために、ロイコ化合物と比較的相溶性の高い紫外線吸収剤を感熱記録層2に添加することもできる。
【0049】
上述の材料により形成される感熱記録層2の厚みは、5〜15μmであることが好ましい。感熱記録層2の厚さが5μm未満である場合、十分な印字濃度を得ることができず、逆に15μmを越えると、感熱記録層2中に存在する空隙が増えるため、耐久性が低下してしまう。
【0050】
以上の構成を有する可逆的記録媒体の表面硬度、すなわち保護層3の表面硬度は、鉛筆硬度試験で、B〜2Hであることが好ましい。表面硬度がB未満であると、表面強度が低下し表面に傷が付き易くなるばかりでなく、十分な耐久性を得ることができず、表面から剥がれた保護層3がサーマルヘッドに付着し、正確に画像を形成することができなくなる虞れがある。また、表面硬度が2Hを越えると、硬すぎるため脆くなり、例えばカード状の可逆的記録媒体を曲げた際にクラックが発生してしまうばかりでなく、保護層3が表面から剥がれ落ちてしまう虞れがある。
【0051】
また、可逆的記録媒体の表面粗度、すなわち保護層3の表面粗度は、中心線平均粗さRaで10〜250nmであることが好ましい。Ra値が250nmを越えると、樹脂が顔料を維持できなくなり、表面強度が低下する。さらに、サーマルヘッドとの接触が悪くなり、熱の伝わり方が不十分となり正確に印字できなくなり、消去性も低下する。
【0052】
可逆的記録媒体の印字・消去時における耐久性は、例えばサーマルヘッドプリンターにて60パス以上印字消去を繰り返し、保護層3に剥がれ等がないことが好ましい。耐久性が十分でないと、使用後すぐに保護層3が剥がれ、これがサーマルヘッドに付着し、正確に画像を形成することができなくなる虞れがある。また、表面の傷が目立ち、外観上も好ましくない。
【0053】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
【0054】
保護層のアクリル残基量についての検討
下記の組成成分をロールミルにて混合し、均一に分散させ、保護層形成用塗料を作成した。厚さ25μmの基材上に可逆的感熱記録層が形成された市販の感熱記録紙(三菱製紙社製)上に中間層としてポリビニルアルコールを1μm程度塗布し、その上に作成した塗料をバーコーターにて塗布した。得られたシートをオーブンで70℃、5分間乾燥したのち、UV照射機(岩崎電気社製、商品名 ESC−401GX)にて硬化させ、可逆的感熱記録媒体(サンプル1〜サンプル9)を得た。
【0055】
保護層形成用塗料組成
樹脂 100重量部
反応希釈剤 N−ビニルピロリドン 5重量部
(東亞合成社製、商品名M150)
光重合開始剤 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 4重量部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、商品名ダロキュア1173)
溶剤 メチルエチルケトン 50重量部
【0056】
各サンプルにおいて、形成した保護層の厚さは5μm、保護層の表面粗さRaは10nm、感熱記録層の厚さは10μmである。また、用いた樹脂は、下記の3種類である。
樹脂A:ポリエステルアクリレート(東亞合成社製、商品名M7100)
樹脂B:ポリエステルアクリレート(日本化薬社製、商品名KAYARADO DPHA)90重量部+ポリエステルアクリレート(東亞合成社製、M101)10重量部
樹脂C:塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(商品名VYHH)
構造式を化1に示す。
【0057】
【化1】
樹脂の種類、UV照射機のUV照射エネルギー、UV照射機パス回数を表1に示すように変更し、サンプル1〜サンプル9を作製した。
【0058】
【表1】
作製した各サンプルの保護層について、アクリル残基量及び鉛筆硬度を測定した。さらに、各サンプルについて、スティッキング、カード鳴き、耐久性、ハロゲンガス発生の有無、印字濃度を評価した。各項目の測定方法及び評価方法は、下記の通りである。
【0059】
<アクリル残基量>
アクリル残基量は、UV照射機(岩崎電気社製 ECS−401GX)によって硬化し得られたシートに対して、FT−IR(Nicolet650)のATR法による測定を行い、得られたスペクトルから−C=C−(1640cm−1)と−COO−(1720cm−1)とのピーク強度比(−C=C−/−COO−)を算出し、その値をアクリル残基量とした。なお、保護層硬化前のアクリル残基量(C=C基のCOO基に対するピーク強度比)は0.08であった。
【0060】
<鉛筆硬度>
JIS K−5400−8−4に準じて評価した。すなわち、塗膜(保護層)の硬さを鉛筆引っかき試験機を用いて調べ、鉛筆の濃度記号で表した。なお、試験機のおもりは、1000gにて測定を行った。
【0061】
<スティッキング、カード鳴き>
サーマルプリンターで印字・消去を行い、その有無を確認した。
スティッキング・カード鳴き無し ○
スティッキング・カード鳴き無し ×
【0062】
<耐久性>
サーマルプリンターで印字・消去を繰り返し行い、60パス行った時点で剥がれが無ければ良(○)、60パスに満たない時点で剥がれが起きたら不良(×)とした。
【0063】
<ハロゲンガス発生有無>
作製した可逆的感熱記録媒体を燃焼させた場合、ハロゲンガスを発生しないものを(○)、発生するものを(×)とした。
【0064】
<印字濃度>
マクベス濃度計(Gretag Macbeth社製 商品名Spectrolino)にて測定した。
【0065】
結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
表2からも明らかな通り、アクリル残基が0.01〜0.04、鉛筆硬度がB〜2Hとなるように硬化を行った場合(サンプル1〜サンプル5:実施例に相当)、スティッキング及びカード鳴きが発生せず、耐久性に優れる可逆的感熱記録媒体を得ることができた。また、他の各評価においても良好な結果が得られた。
【0067】
これに対し、サンプル6(比較例に相当)のように、樹脂として塩化ビニル酢酸ビニル共重合体を使用した場合、UV照射により保護層の硬化が進行しないので、必要な鉛筆硬度を得ることができず、印字・消去時において耐久性が低いため塗膜が剥がれてしまった。また、スティッキング及びカード鳴きも発生した。このような不都合は、サンプル1〜サンプル5のように、紫外線硬化樹脂を用いることにより改善することができる。
【0068】
また、サンプル7(比較例に相当)のように、十分UV照射がされなかった場合もサンプル6と同様、樹脂を重合し硬化することができないことから、鉛筆硬度の測定や印字評価が不可能であった。
【0069】
さらに、サンプル8(比較例に相当)のように、UV照射によりある程度重合し硬化はしたものの、十分に硬化が進まずアクリル残基量が0.04を超える場合、やはり十分な耐久性が得られず、スティッキング及びカード鳴きも発生してしまう。逆に、サンプル9(比較例に相当)のように、UVを過剰に照射してアクリル残基量が0.01より少なくなった場合、塗膜にクラックが発生するばかりでなく、可逆的感熱記録層が紫外線によって壊れ黄変してしまうという不都合が発生した。これらの結果より、アクリル残基量は0.01〜0.04にすることが好ましいことがわかる。
【0070】
保護層の表面粗さRaについての検討
【0071】
先の保護層形成用塗料に顔料(シリカフィラー)を加えて保護層の表面粗さRaを調整し、他はサンプル1と同様にして可逆的感熱記録媒体(サンプル10〜サンプル16)を作製した。使用した顔料の平均粒径は、0.5μm(東芝シリコーン社製、商品名トスパール105)、2μm(東芝シリコーン社製、商品名トスパール120)、10μm(日本触媒社製、商品名MA1010)、15μm(日本触媒社製、商品名MA1013)の4種類である。各サンプルにおける顔料の平均粒径、塗料への添加量、保護層の表面粗さRaを表3に示す。
【0072】
【表3】
作製したサンプル10〜サンプル16の保護層について、アクリル残基量及び鉛筆硬度を測定した。さらに、各サンプルについて、スティッキング、カード鳴き、耐久性、ハロゲンガス発生の有無、印字濃度を評価した。結果を表4に示す。
【0073】
【表4】
表4から明らかなように、サンプル15のように、顔料の平均粒径が10μmを越える場合、粒子が十分に分散されず、塗膜の形成が困難である。仮に塗膜を形成することができたとしても、塗膜が脆くなってしまい、十分な耐久性が得られない。したがって、保護層に顔料を添加する場合、その平均粒径は0.5μm〜10μmであることが好ましい。
【0074】
また、サンプル16のように、樹脂に対して顔料の割合が極端に増加し、表面粗さRa値が250nmを越える場合、塗膜が顔料を保持することができず、表面強度が低下し粉落ちする虞れがある。さらに、サーマルヘッドとの接触が悪くなり、熱の伝わり方が不十分となり正確に印字できなくなり、消去性も低下する。したがって、保護層の表面粗さRa値が10〜250nmになるように顔料を添加することが望ましい。
【0075】
保護層の厚みについての検討
保護層の厚みを表5に示すように変更し、他はサンプル1と同様にして可逆的感熱記録媒体(サンプル17〜サンプル21)を作製した。
【0076】
【表5】
作製したサンプル17〜サンプル21の保護層について、アクリル残基量及び鉛筆硬度を測定した。さらに、各サンプルについて、スティッキング、カード鳴き、耐久性、ハロゲンガス発生の有無、印字濃度を評価した。結果を表6に示す。
【0077】
【表6】
サンプル17のように、保護層の膜厚が3μmよりも薄い場合、スティッキング、カード鳴きが発生し、十分な耐久性が得られない。逆に、サンプル21のように保護層の膜厚が7μmを越える場合、可逆的感熱記録層にサーマルヘッドの熱が伝わらず、十分な印字濃度を得ることができない。したがって、保護層の厚みは3〜7μmであることが望ましいと言える。
【0078】
感熱記録層の厚みについての検討
感熱記録層の厚みを表7に示すように変更し、他はサンプル1と同様にして可逆的感熱記録媒体(サンプル22〜サンプル26)を作製した。
【0079】
【表7】
作製したサンプル22〜サンプル26の保護層について、アクリル残基量及び鉛筆硬度を測定した。さらに、各サンプルについて、スティッキング、カード鳴き、耐久性、ハロゲンガス発生の有無、印字濃度を評価した。結果を表8に示す。
【0080】
【表8】
サンプル22のように感熱記録層の厚みが5μmよりも薄い場合、十分な印字濃度を得ることができない。また、サンプル26のように感熱記録層の厚みが15μmを越える場合、感熱記録層における空隙が多くなり、十分な耐久性を得ることができず、スティッキングやカード鳴きも発生する。したがって、感熱記録層の厚みは5〜15μmであることが望ましい。
【0081】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明によれば、例えば光沢感が要求されるような表面粗さを抑えた可逆的記録媒体においても、印字や消去の際のカード鳴きやスティッキングの発生を抑えることができ、十分な印字濃度を確保することが可能である。さらに、例えばサーマルヘッドにより60回以上の印字消去が可能で、優れた耐久性を有する可逆的記録媒体を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】可逆的記録媒体の構成例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 支持体、2 感熱記録層、3 保護層、4 中間層
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱により印字や消去が可能な可逆的記録媒体に関するものであり、特に、感熱記録層の劣化防止のために表面に設けられる保護層の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴミや森林破壊等の環境問題を背景に、多数回の書き換えが可能で繰り返し使用が可能な可逆的記録媒体が注目され、様々な方式の可逆的記録媒体が提案されている。例えば、磁性粉に磁力を与えて印字消去する磁力方式のものや、透明・白濁という高分子の物理変化を利用した方式のもの、染料タイプのように化学的変化を利用した方式のもの等である。
【0003】
これら方式のもののなかで、化学変化を利用した染料タイプのものは、加熱により簡単に印字や消去が可能で、視認性にも優れることから、ポイントカードや交通系の定期券、クレジットカード等に広く利用されている。化学変化を利用した染料タイプの可逆的記録媒体は、特定の顕色剤と発色剤であるロイコ染料とを、すなわち電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物とを組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行わせることができ、しかもその発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能である。しかも発色と消色を繰り返すことが可能である。
【0004】
上述のような可逆性感熱記録媒体においては、多様な使用方法が提供されているが、近年は前記したようなカードでの形態で使用されることが多く、定期的に印字消去が繰り返されることから、数々の改良が重ねられており、様々な提案がなされている(特許文献1乃至特許文献7等を参照)。
【0005】
例えば、感熱記録層上に劣化防止のための保護層を設けることもその一つである。この感熱記録層の劣化防止のために設けられる保護層表面の特性としては、高い耐久性が必要とされ、紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂等を架橋状態にする方法が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−166649号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平11−334220号公報
【0008】
【特許文献3】
特開平10−81074号公報
【0009】
【特許文献4】
特許第3233229号公報
【0010】
【特許文献5】
特開2001−54993号公報
【0011】
【特許文献6】
特開2000−280428号公報
【0012】
【特許文献7】
特開平10−95864号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、劣化防止のために保護層を設けても、これが適切なものでなければ、必要な耐久性を得ることができない。また、保護層が適切なものでないと、例えばサーマルヘッド方式のプリンターで印字を行う際に、カード鳴きが発生し、あるいは印字面にスティッキングが起こり正確に(綺麗に)画像を形成することができないという問題も発生する。
【0014】
このような問題が生じた場合、印字を行うたびにカード鳴きが起こって騒音となり、またプリンターへの負荷が大きくなる。スティッキングに至っては、画像が乱れるため、正確な情報を記載することが困難となってしまう。さらに、十分な耐久性がないと、印字表面が削れてしまい、これがサーマルヘッドに付着して印字画像を乱してしまう。
【0015】
これらの課題は、例えば保護層に顔料を多量に添加し、その表面を粗くすることで、ある程度改善することができ、上記のスティッキングやカード鳴きについては、これを抑えることが可能である。
【0016】
しかしながら、保護層に顔料を多量に添加して表面粗さを粗くすると、いわばマット処理されたような状態となって光沢感を得ることができない。光沢感のあるカードとする場合には、顔料の添加量を減らして表面粗さを抑える必要があるが、このような場合には前記方法では対処することができない。
【0017】
また、保護層に顔料を多量に添加して表面粗さを粗くすると、耐久性の点でも問題が生ずる。表面粗さの粗い保護層にサーマルヘッドを接触させて印字を行うと、例えば突起部分の顔料が脱落してサーマルヘッドに付着し、その後の印字に悪影響を及ぼす虞れがある。
【0018】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、例えば光沢感が要求されるような表面粗さを抑えた可逆的記録媒体にも適用することが可能で、印字や消去の際にカード鳴きやスティッキングが発生することがなく、しかも耐久性に優れた可逆的記録媒体を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の目的を達成するために、長期に亘り鋭意研究を重ねてきた。その結果、アクリル系樹脂を用いた保護層においては、その特性にアクリル残基量が大きく関わっており、これを適正化することで保護層の物性を良好なものとすることができ、カード鳴きやスティッキングを解消し得るばかりでなく、耐久性をも確保し得るとの結論を得るに至った。
【0020】
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであり、感熱記録層上に保護層が形成されてなる可逆的記録媒体において、上記保護層は、アクリル系樹脂を含有するとともに、赤外分光スペクトルにおいてCOO基に由来するピークに対するC=C基に由来するピークの強度比が0.01〜0.04であることを特徴とするものである。
【0021】
本発明においては、赤外分光スペクトルにおけるCOO基に由来するピークに対するC=C基に由来するピークの強度比を規定しているが、この強度比は、アクリル残基量(COO基に対するC=C基量)に対応する。強度比が小さいほど残存するアクリル基の量が少なく2重結合の開裂・重合が進んでいることを表す。この重合の進み具合は保護層の物性に大きく関与しており、ピーク強度比を規定し保護層の物性を最適化することで、カード鳴きやスティッキングが解消され、耐久性も確保される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した可逆的記録媒体について、詳細に説明する。
【0023】
本発明の可逆的記録媒体は、図1に示すように、例えばポリエチレンテレフタレート等からなるプラスチック基板や金属基板等のようなベースとなる支持体1上に感熱記録層2を形成し、この上に感熱記録層2の劣化防止を目的として保護層3を形成してなるものである。さらには、感熱記録層2と保護層3との間に例えば紫外線吸収剤等を含有する中間層4を必要に応じて形成してもよい。勿論、これは一例であり、例えば支持体1のもう一方の側にも感熱記録層や保護層を設ける等、その用途等によって種々の変更が可能である。
【0024】
ここで、保護層3を形成する材料としては、通常、紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂等、架橋構造となる樹脂材料が用いられる。このような樹脂材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、メタアクリル酸エステル、アクリル酸オリゴマー、アクリル酸エステルオリゴマー、エチレン性不飽和結合を有するポリアクリレート系化合物等が挙げられる。また、必要に応じて、エポキシ化合物、尿素誘導体、ビニル化合物等の架橋剤、リン酸系、スルホン酸系、ポリアミド系、アミン系等の硬化剤等を使用することができる。
【0025】
なお、本発明における保護層3では、アクリル残基での比較を行っているため、例えば反応前のC=C基とCOO基とが当量であるアクリル系樹脂を樹脂材料として含むことが必要である。また、その場合、環境を考慮し、燃焼時にハロゲンガスの発生がないものを用いることが好ましい。このようなアクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のモノマー、オリゴマー等、紫外線照射により重合反応を起こし硬化するものであればいずれも使用可能であり、例えば、東亞合成社製の商品名M7100、商品名M8030、商品名M8060、商品名M210や、日本化薬社製の商品名KAYARAD R−551、商品名KAYARAD R604、商品名KAYARAD R684、商品名KAYARAD PET−30、商品名KAYARAD DPHA、商品名KAYARAD T−1420等が挙げられる。これらの樹脂は単品でも用いられるが、2種以上を混合して使用しても良い。
【0026】
また、これらの樹脂には反応希釈剤を添加してもよい。反応希釈剤としては、通常、単官能、または2官能のモノマー類が使用され、例えば、N−ビニルピロリドン(例えば東亞合成社製の商品名M150)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(例えば、日本化薬社製の商品名KAYARADO NPGDA)、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート(例えば、日本化薬社製の商品名SR−256)、ブチルシクロヘキサノールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリーコールジアクリレート(例えばB.A.S.F社製)、ブトキシジエチルアクリレート、メチルトリグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(例えば共栄社油脂社製)が挙げられる。
【0027】
上記保護層3に使用される紫外線硬化樹脂には、硬化を促進する光重合開始剤を添加する。その光重合開始剤としては、例えばジエトキシアセトフェノン、イソブチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン、2−〔4−(ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0028】
また、保護層3には、耐久性を向上させる目的で顔料を添加してもよい。添加する顔料としては、従来公知の無機フィラー及び有機フィラー等を用いることができ、これらを単独または混合して用いることができる。なお、有機フィラーとしては、アクリル系、エポキシ樹脂、ポリアミド系、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の微粒子が挙げられ、無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化ジルコニア、酸化スズ、酸化セリウム、酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム等の微粒子が挙げられる。
【0029】
これらのフィラーは通常は保護層3中に分散して用いられ、その粒径は0.5〜10μmであることが好ましい。フィラーの粒径が0.5μm未満であると、フィラーの添加効果が不十分となり、また粒径が10μmよりも大きいと、粒子が保護層3中に十分に分散されず、塗膜として形成することが困難になる。仮に塗膜を形成することができたとしても、塗膜が脆くなってしまい、十分な耐久性を得ることは難しい。適正な粒径の顔料を添加することにより、例えばサーマルヘッドにより印字等を行っても傷が付き難く、耐久性も良好なものとなる。
【0030】
上述の保護層3の材料として紫外線硬化樹脂を使用する時には、溶剤等を使用する場合があるが、この場合の溶剤としては、例えばメチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、ベンゼン等の有機溶剤を挙げることができる。
【0031】
保護層3を形成するための塗料は、上述の各材料を混合し、アジター、ロールミル、ボールミル、ペイントシェイカー等を用いて分散を行う。十分分散させた塗料は、グラビアコーター、ダイコーター、ナイフコーター、バーコーター、ドクターブレード等公知の方法にて塗工を行う。
【0032】
保護層3のアクリル残基量(すなわち、COO基に由来するピークに対するC=C基に由来するピークの強度比)の調整は、例えば保護層を塗布後、保護層の硬化の際に行う。保護層3を硬化する方法としては、樹脂の種類によっても異なるが、例えば紫外線硬化樹脂を用いた場合には、UV照射機によって硬化を行い、熱硬化樹脂を用いた場合には、オーブン等で加熱して硬化させる。前者の場合、保護層3を塗布した可逆的記録媒体をUV照射機に通し、紫外線を可逆的記録媒体の表面、すなわち保護層3に照射することでモノマー及びオリゴマーを重合反応させ硬化(架橋)を行うが、その時の照射時間及び照射強度を調節することでアクリル残基量を調整することができる。
【0033】
アクリル残基量は、得られた保護層3を赤外分光分析、例えば全反射法(ATR法)を用いたフーリエ変換赤外分光分析(FT−IR)によって測定し、得られたスペクトルよりC=C基/COO基のピーク強度比を算出することで把握することができる。アクリル系樹脂では、モノマー及びオリゴマーが重合反応し、架橋構造をとることでC=C基が減少する。したがって、硬化が進行したときの方が、C=C基は少なくなる。そこで、硬化の進行に伴って減少するC=C基に由来するピークと、硬化が進行しても変化しないCOO基に由来するピークの強度比をとる。なお、COO基に由来するピークは、1720cm−1近傍のピークであり、C=C基に由来するピークは1640cm−1近傍のピークである。
【0034】
以上により測定される強度比は、保護層3において0.01〜0.04であることが好ましい。赤外分光スペクトルにおけるCOO基に由来するピークに対するC=C基に由来するピークの強度比が0.04を越える場合には、十分に硬化が進行していないが故に、印字時にカード鳴き及びスティッキングが発生してしまう。また、前記強度比が0.01未満になると、過度に硬化を行うことになり、例えば紫外線照射により感熱記録層2に含まれる染料が分解して黄変する等、外観上、支障をきたす虞れがある。
【0035】
なお、前述の硬化は保護層3を塗布した後、直ちに行った方がよい。例えば、UV照射機のパワーが小さく2回に分けて照射を行う場合、2回目の照射までにあまり時間が経過してしまうと、紫外線照射の効果はさほど見られない。これは、ある程度時間が経過すると、一度反応したモノマー同士が離れてしまって重合が進まなくなり、また保護層3中に添加されている光重合開始剤の効果が無くなるためと考えられる。
【0036】
上述の保護層3の厚みは、3〜7μmであることが好ましい。保護層3の厚みが3μm未満であると十分な耐久性が得られず、また、保護層3の厚みが7μmを越えると、例えばサーマルヘッドの熱が感熱記録層2まで伝わり難くなり、十分な印字濃度を得ることができない。
【0037】
一方、感熱記録層2は、樹脂母材(マトリクス)に分散された有機低分子物質の結晶状態の変化によって白濁・透明が可逆的に変化する高分子/低分子タイプのものや、樹脂母材に分散された電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の可逆的な発色反応を利用した熱発色性組成物であるロイコ化合物タイプのもの等、可逆的な感熱記録が可能なものであれば如何なるものであってもよく、これらの中から何れかを選択して使用することができる。いずれの場合にも、感熱記録層2は、印刷法、コーティング法等により膜厚4μm〜20μm程度に設けることができる。
【0038】
ここで、感熱記録層2が高分子/低分子タイプの場合、感熱記録層2中に分散される有機低分子物質としては、脂肪酸、若しくは脂肪酸誘導体、または脂環式有機酸等が挙げられる。これらの中で、脂肪酸としては、飽和脂肪酸若しくは不飽和脂肪酸、あるいはジカルボン酸等が使用可能であり、例えば、飽和脂肪酸の具体例として、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチル酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、ナノデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。また、不飽和脂肪酸の具体例としては、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、ソルビン酸、ステアロール酸等が挙げられる。なお、脂肪酸、若しくは脂肪酸誘導体、または脂環式有機酸は、これらのものに限定されるものではなく、且つ、これらの1種類または2種類以上を混合して使用することも可能である。
【0039】
また、高分子/低分子タイプの感熱記録層2に用いられる樹脂母材としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロースアセテート系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等が挙げられ、これらを単独で、あるいは2種以上を混合して、さらには共重合物として用いることができる。
【0040】
高分子/低分子タイプの感熱記録層2には、例えば透明化温度範囲を制御するために、樹脂の可塑剤や高沸点溶剤等を樹脂母材に対して0.1重量%から20重量%程度の割合で添加することができる。さらには、感熱記録層2の繰り返し印字消去耐性を向上するため、樹脂母材に対応して三次元架橋する硬化剤、架橋材等を樹脂母材に対して0.5重量%から10重量%程度の割合で添加することもできる。
【0041】
ロイコ化合物タイプの感熱記録層2は、樹脂母材(マトリックス)中に分散されたロイコ化合物と顕滅色剤の可逆的な発色反応を利用した熱発色性組成物からなるものであり、印刷法、コーティング法等により膜厚4μm〜20μm程度の層として形成される。
【0042】
ロイコ化合物タイプの感熱記録層2中に用いられるロイコ化合物としては、通常無色ないし淡色のロイコ化合物が用いられる。このようなロイコ化合物としては、一般的に感圧記録紙、感熱記録紙、感光記録紙、通電感熱記録紙、感熱転写紙等に用いられるものに代表され、ラクトン、サルトン、スピロピラン等の部分骨格を有するキサンテン、スピロピラン、ラクトン、フルオラン、サルトン系等が用いられるが、特に制限されるものではない。
【0043】
ロイコ化合物の具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−ジメチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル−5)−ジメチルアミノフタリド、3−ジメチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−n−ニトリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(n−エチル−n−テトラヒドロフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等が挙げられ、これらを単独、あるいは混合して用いることができる。
【0044】
ロイコ化合物タイプの感熱記録層2には、前記ロイコ化合物の他、顕減色剤が併用されるが、この顕滅色剤は、熱エネルギーの作用によりプロトンを可逆的に放出してロイコ化合物に対し顕色作用と滅色作用を併せ持つ化合物である。すなわち、フェノール性水酸基またはカルボキシル基からなる酸性基とアミノ基からなる塩基性基の双方を有し、熱エネルギーの違いにより酸性または塩基性となって上記ロイコ化合物を発色、消色させるものである。塩基性基は官能基として存在していても良いし化合物の一部として存在していても良い。
【0045】
酸性基あるいは塩基性基のいずれか一方の官能基を有する顕滅色剤としては、例えば、アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸、4−アミノ−3−メチル安息香酸、3−アミノ−4−メチル安息香酸、2−アミノ−5−エチル安息香酸、3−アミノ−4−ブチル安息香酸、4−アミノ−3−メトキシ安息香酸、3−アミノ−4−エトキシ安息香酸、2−アミノ−5−クロロ安息香酸、4−アミノ−3−ブロモ安息香酸、2−アミノ−2−ニトロ安息香酸、4−アミノ−3−ニトロ安息香酸、3−アミノ−4−ニトリル安息香酸、アミノサリチル酸、ジアミノ安息香酸、2−メチル−5−アミノナフトエ酸、3−エチル−4−アミノナフトエ酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、2−メチルニコチン酸、6−クロロニコチン酸等がある。
【0046】
塩基性基を塩化合物の一部として有する顕減色剤としては、フェノール性水酸基またはカルボキシル基を有する化合物とアミノ基を有する化合物との塩または錯塩等を挙げることができ、例えばヒドロキシ安息香酸類、ヒドロキシサリチル酸類、没食子酸類、ビスフェノール酢酸等の酸と、脂肪族アミン類、フェニルアルキルアミン類、トリアリルアルキルアミン類等の塩基との塩または錯塩等が挙げられる。その具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸−アルキルアミン塩、p−ヒドロキシ安息香酸−フェニルアルキルアミン塩、m−ヒドロキシ安息香酸−アルキルアミン塩、p−ヒドロキシ安息香酸メチル−アルキルアミン塩、p−ヒドロキシ安息香酸ステアリル−アルキルアミン塩、ビスフェノール酢酸−アルキルアミン、ビスフェノール酢酸オクチル−アルキルアミン塩等が挙げられ、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0047】
なお、ロイコ化合物及び顕滅色剤はこれらのものに限定されるものではなく、且つ、これらのうちの1種類又は2種類以上を混合させて適用することも可能である。
【0048】
また、ロイコ化合物タイプの感熱記録層2に用いられる樹脂母材としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア、メラミン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール等の樹脂材料を挙げることができ、これらを単独で、混合して、あるいは共重合体として用いることができる。さらに、感熱記録層2の繰り返し印字消去耐性を向上するため、樹脂母材に対応して三次元架橋する硬化剤、架橋剤等を樹脂母材に対し0.5重量%から10重量%程度の割合で添加することができる。さらに、感熱記録層2の耐性を向上させるために、ロイコ化合物と比較的相溶性の高い紫外線吸収剤を感熱記録層2に添加することもできる。
【0049】
上述の材料により形成される感熱記録層2の厚みは、5〜15μmであることが好ましい。感熱記録層2の厚さが5μm未満である場合、十分な印字濃度を得ることができず、逆に15μmを越えると、感熱記録層2中に存在する空隙が増えるため、耐久性が低下してしまう。
【0050】
以上の構成を有する可逆的記録媒体の表面硬度、すなわち保護層3の表面硬度は、鉛筆硬度試験で、B〜2Hであることが好ましい。表面硬度がB未満であると、表面強度が低下し表面に傷が付き易くなるばかりでなく、十分な耐久性を得ることができず、表面から剥がれた保護層3がサーマルヘッドに付着し、正確に画像を形成することができなくなる虞れがある。また、表面硬度が2Hを越えると、硬すぎるため脆くなり、例えばカード状の可逆的記録媒体を曲げた際にクラックが発生してしまうばかりでなく、保護層3が表面から剥がれ落ちてしまう虞れがある。
【0051】
また、可逆的記録媒体の表面粗度、すなわち保護層3の表面粗度は、中心線平均粗さRaで10〜250nmであることが好ましい。Ra値が250nmを越えると、樹脂が顔料を維持できなくなり、表面強度が低下する。さらに、サーマルヘッドとの接触が悪くなり、熱の伝わり方が不十分となり正確に印字できなくなり、消去性も低下する。
【0052】
可逆的記録媒体の印字・消去時における耐久性は、例えばサーマルヘッドプリンターにて60パス以上印字消去を繰り返し、保護層3に剥がれ等がないことが好ましい。耐久性が十分でないと、使用後すぐに保護層3が剥がれ、これがサーマルヘッドに付着し、正確に画像を形成することができなくなる虞れがある。また、表面の傷が目立ち、外観上も好ましくない。
【0053】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例について、実験結果に基づいて説明する。
【0054】
保護層のアクリル残基量についての検討
下記の組成成分をロールミルにて混合し、均一に分散させ、保護層形成用塗料を作成した。厚さ25μmの基材上に可逆的感熱記録層が形成された市販の感熱記録紙(三菱製紙社製)上に中間層としてポリビニルアルコールを1μm程度塗布し、その上に作成した塗料をバーコーターにて塗布した。得られたシートをオーブンで70℃、5分間乾燥したのち、UV照射機(岩崎電気社製、商品名 ESC−401GX)にて硬化させ、可逆的感熱記録媒体(サンプル1〜サンプル9)を得た。
【0055】
保護層形成用塗料組成
樹脂 100重量部
反応希釈剤 N−ビニルピロリドン 5重量部
(東亞合成社製、商品名M150)
光重合開始剤 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン 4重量部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製、商品名ダロキュア1173)
溶剤 メチルエチルケトン 50重量部
【0056】
各サンプルにおいて、形成した保護層の厚さは5μm、保護層の表面粗さRaは10nm、感熱記録層の厚さは10μmである。また、用いた樹脂は、下記の3種類である。
樹脂A:ポリエステルアクリレート(東亞合成社製、商品名M7100)
樹脂B:ポリエステルアクリレート(日本化薬社製、商品名KAYARADO DPHA)90重量部+ポリエステルアクリレート(東亞合成社製、M101)10重量部
樹脂C:塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(商品名VYHH)
構造式を化1に示す。
【0057】
【化1】
樹脂の種類、UV照射機のUV照射エネルギー、UV照射機パス回数を表1に示すように変更し、サンプル1〜サンプル9を作製した。
【0058】
【表1】
作製した各サンプルの保護層について、アクリル残基量及び鉛筆硬度を測定した。さらに、各サンプルについて、スティッキング、カード鳴き、耐久性、ハロゲンガス発生の有無、印字濃度を評価した。各項目の測定方法及び評価方法は、下記の通りである。
【0059】
<アクリル残基量>
アクリル残基量は、UV照射機(岩崎電気社製 ECS−401GX)によって硬化し得られたシートに対して、FT−IR(Nicolet650)のATR法による測定を行い、得られたスペクトルから−C=C−(1640cm−1)と−COO−(1720cm−1)とのピーク強度比(−C=C−/−COO−)を算出し、その値をアクリル残基量とした。なお、保護層硬化前のアクリル残基量(C=C基のCOO基に対するピーク強度比)は0.08であった。
【0060】
<鉛筆硬度>
JIS K−5400−8−4に準じて評価した。すなわち、塗膜(保護層)の硬さを鉛筆引っかき試験機を用いて調べ、鉛筆の濃度記号で表した。なお、試験機のおもりは、1000gにて測定を行った。
【0061】
<スティッキング、カード鳴き>
サーマルプリンターで印字・消去を行い、その有無を確認した。
スティッキング・カード鳴き無し ○
スティッキング・カード鳴き無し ×
【0062】
<耐久性>
サーマルプリンターで印字・消去を繰り返し行い、60パス行った時点で剥がれが無ければ良(○)、60パスに満たない時点で剥がれが起きたら不良(×)とした。
【0063】
<ハロゲンガス発生有無>
作製した可逆的感熱記録媒体を燃焼させた場合、ハロゲンガスを発生しないものを(○)、発生するものを(×)とした。
【0064】
<印字濃度>
マクベス濃度計(Gretag Macbeth社製 商品名Spectrolino)にて測定した。
【0065】
結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
表2からも明らかな通り、アクリル残基が0.01〜0.04、鉛筆硬度がB〜2Hとなるように硬化を行った場合(サンプル1〜サンプル5:実施例に相当)、スティッキング及びカード鳴きが発生せず、耐久性に優れる可逆的感熱記録媒体を得ることができた。また、他の各評価においても良好な結果が得られた。
【0067】
これに対し、サンプル6(比較例に相当)のように、樹脂として塩化ビニル酢酸ビニル共重合体を使用した場合、UV照射により保護層の硬化が進行しないので、必要な鉛筆硬度を得ることができず、印字・消去時において耐久性が低いため塗膜が剥がれてしまった。また、スティッキング及びカード鳴きも発生した。このような不都合は、サンプル1〜サンプル5のように、紫外線硬化樹脂を用いることにより改善することができる。
【0068】
また、サンプル7(比較例に相当)のように、十分UV照射がされなかった場合もサンプル6と同様、樹脂を重合し硬化することができないことから、鉛筆硬度の測定や印字評価が不可能であった。
【0069】
さらに、サンプル8(比較例に相当)のように、UV照射によりある程度重合し硬化はしたものの、十分に硬化が進まずアクリル残基量が0.04を超える場合、やはり十分な耐久性が得られず、スティッキング及びカード鳴きも発生してしまう。逆に、サンプル9(比較例に相当)のように、UVを過剰に照射してアクリル残基量が0.01より少なくなった場合、塗膜にクラックが発生するばかりでなく、可逆的感熱記録層が紫外線によって壊れ黄変してしまうという不都合が発生した。これらの結果より、アクリル残基量は0.01〜0.04にすることが好ましいことがわかる。
【0070】
保護層の表面粗さRaについての検討
【0071】
先の保護層形成用塗料に顔料(シリカフィラー)を加えて保護層の表面粗さRaを調整し、他はサンプル1と同様にして可逆的感熱記録媒体(サンプル10〜サンプル16)を作製した。使用した顔料の平均粒径は、0.5μm(東芝シリコーン社製、商品名トスパール105)、2μm(東芝シリコーン社製、商品名トスパール120)、10μm(日本触媒社製、商品名MA1010)、15μm(日本触媒社製、商品名MA1013)の4種類である。各サンプルにおける顔料の平均粒径、塗料への添加量、保護層の表面粗さRaを表3に示す。
【0072】
【表3】
作製したサンプル10〜サンプル16の保護層について、アクリル残基量及び鉛筆硬度を測定した。さらに、各サンプルについて、スティッキング、カード鳴き、耐久性、ハロゲンガス発生の有無、印字濃度を評価した。結果を表4に示す。
【0073】
【表4】
表4から明らかなように、サンプル15のように、顔料の平均粒径が10μmを越える場合、粒子が十分に分散されず、塗膜の形成が困難である。仮に塗膜を形成することができたとしても、塗膜が脆くなってしまい、十分な耐久性が得られない。したがって、保護層に顔料を添加する場合、その平均粒径は0.5μm〜10μmであることが好ましい。
【0074】
また、サンプル16のように、樹脂に対して顔料の割合が極端に増加し、表面粗さRa値が250nmを越える場合、塗膜が顔料を保持することができず、表面強度が低下し粉落ちする虞れがある。さらに、サーマルヘッドとの接触が悪くなり、熱の伝わり方が不十分となり正確に印字できなくなり、消去性も低下する。したがって、保護層の表面粗さRa値が10〜250nmになるように顔料を添加することが望ましい。
【0075】
保護層の厚みについての検討
保護層の厚みを表5に示すように変更し、他はサンプル1と同様にして可逆的感熱記録媒体(サンプル17〜サンプル21)を作製した。
【0076】
【表5】
作製したサンプル17〜サンプル21の保護層について、アクリル残基量及び鉛筆硬度を測定した。さらに、各サンプルについて、スティッキング、カード鳴き、耐久性、ハロゲンガス発生の有無、印字濃度を評価した。結果を表6に示す。
【0077】
【表6】
サンプル17のように、保護層の膜厚が3μmよりも薄い場合、スティッキング、カード鳴きが発生し、十分な耐久性が得られない。逆に、サンプル21のように保護層の膜厚が7μmを越える場合、可逆的感熱記録層にサーマルヘッドの熱が伝わらず、十分な印字濃度を得ることができない。したがって、保護層の厚みは3〜7μmであることが望ましいと言える。
【0078】
感熱記録層の厚みについての検討
感熱記録層の厚みを表7に示すように変更し、他はサンプル1と同様にして可逆的感熱記録媒体(サンプル22〜サンプル26)を作製した。
【0079】
【表7】
作製したサンプル22〜サンプル26の保護層について、アクリル残基量及び鉛筆硬度を測定した。さらに、各サンプルについて、スティッキング、カード鳴き、耐久性、ハロゲンガス発生の有無、印字濃度を評価した。結果を表8に示す。
【0080】
【表8】
サンプル22のように感熱記録層の厚みが5μmよりも薄い場合、十分な印字濃度を得ることができない。また、サンプル26のように感熱記録層の厚みが15μmを越える場合、感熱記録層における空隙が多くなり、十分な耐久性を得ることができず、スティッキングやカード鳴きも発生する。したがって、感熱記録層の厚みは5〜15μmであることが望ましい。
【0081】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明によれば、例えば光沢感が要求されるような表面粗さを抑えた可逆的記録媒体においても、印字や消去の際のカード鳴きやスティッキングの発生を抑えることができ、十分な印字濃度を確保することが可能である。さらに、例えばサーマルヘッドにより60回以上の印字消去が可能で、優れた耐久性を有する可逆的記録媒体を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】可逆的記録媒体の構成例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 支持体、2 感熱記録層、3 保護層、4 中間層
Claims (7)
- 感熱記録層上に保護層が形成されてなる可逆的記録媒体において、
上記保護層は、アクリル系樹脂を含有するとともに、赤外分光スペクトルにおいてCOO基に由来するピークに対するC=C基に由来するピークの強度比が0.01〜0.04であることを特徴とする可逆的記録媒体。 - 上記赤外分光スペクトルは、フーリエ変換赤外分光分析による赤外分光スペクトルであり、全反射法により測定された赤外分光スペクトルであることを特徴とする請求項1記載の可逆的記録媒体。
- 上記COO基に由来するピークは1720cm−1近傍のピークであり、上記C=C基に由来するピークは1640cm−1近傍のピークであることを特徴とする請求項1記載の可逆的記録媒体。
- 上記保護層表面の鉛筆硬度がB〜2Hであることを特徴とする請求項1記載の可逆的記録媒体。
- 上記保護層の表面祖度Raが10〜250nmであることを特徴とする請求項1記載の可逆的記録媒体。
- 上記保護層の厚さが3〜7μmであることを特徴とする請求項1記載の可逆的記録媒体。
- 上記感熱記録層の厚さが5〜15μmであることを特徴とする請求項1記載の可逆的記録媒体。
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- 2003-01-30 JP JP2003021602A patent/JP2004230691A/ja not_active Abandoned
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