JP2005041059A - 可逆性感熱記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】可逆性感熱記録媒体は、支持体上に電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を用い、加熱温度及び/又は加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態を形成しうる可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有し、支持体と記録層の間に中空粒子及び架橋状態の硬化性樹脂を含むアンダー層を設ける。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した可逆性感熱発色組成物を用い、熱エネルギーを制御することにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子供与性呈色性化合物(以下、発色剤又はロイコ染料ともいう)と電子受容性化合物(以下、顕色剤ともいう)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く知られている。感熱記録媒体において、顕色剤は、ロイコ染料を発色させる酸性基と、発色したロイコ染料を消色させる塩基性基を有する両性化合物であり、熱エネルギーの制御により酸性基による発色作用又は塩基性基による消色作用の一方を優先的に発生され、発色と消色を行なうものである。かかる感熱記録媒体は、例えば、ファクシミリ、ワードプロセッサー、科学計測機などのプリンターに使用されている。しかし、これらの実用化されている従来の記録媒体の発色(反応)はいずれも不可逆であり、一度記録した画像を消去した後、繰り返して使用することはできない。
【0003】
一方、発色と消色を可逆的に行うことができる記録媒体も提案されており、例えば、顕色剤として没食子酸とフロログルシノールとのを組合せを用いるもの(特許文献1を参照。)、顕色剤にフェノールフタレインやチモールフタレインなどの化合物を用いるもの(特許文献2を参照。)、発色剤と顕色剤とカルボン酸エステルの均質相溶体を記録層に含有するもの(特許文献3、4及び5を参照。)、顕色剤にアスコルビン酸誘導体を用いるもの(特許文献6を参照。)、顕色剤にビス(ヒドロキシフェニル)酢酸又は没食子酸と高級脂肪族アミンとの塩を用いるもの(特許文献7及び8を参照。)などがある。
【0004】
さらに、本発明者らは、先に顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基をもつ有機リン酸系化合物、脂肪族カルボン酸系化合物又はフェノール系化合物を用い、これと発色剤であるロイコ染料と組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行わせることができ、しかもその発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能であり、しかも発色と消色を繰り返すことが可能な可逆性感熱発色組成物及びこれを記録層に用いた可逆性感熱記録媒体を提案した(特許文献9を参照。)。また、その後、長鎖脂肪族炭化水素基をもつフェノール系化合物について特定の構造の使用が提案されている(特許文献10を参照)。さらに、イソシアネート化合物によって架橋状態の樹脂を含有する可逆性感熱記録層を用いた可逆性感熱記録媒体を提案した(特許文献11を参照。)。
【0005】
上述した材料を用いて作製された可逆性感熱記録媒体はサーマルヘッドによる発色や、ホットスタンプなどによって消去ができ、繰り返し印字による発色/消色が可能なものである。また、支持体上に断熱層を設けた感熱記録媒体が知られており(特許文献12、13及び14を参照。)、さらに、支持体に中空ポリエステル構造を有するものがある(特許文献15を参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭60−193691号公報
【0007】
【特許文献2】
特開昭61−237684号公報
【0008】
【特許文献3】
特開昭62−138556号公報
【0009】
【特許文献4】
特開昭62−138568号公報
【0010】
【特許文献5】
特開昭62−140881号公報
【0011】
【特許文献6】
特開昭63−173684号公報
【0012】
【特許文献7】
特開平2−188293号公報
【0013】
【特許文献8】
特開平2−188294号公報
【0014】
【特許文献9】
特開平5−124360号公報
【0015】
【特許文献10】
特開平6−210954号公報
【0016】
【特許文献11】
特開平10−230680号公報
【0017】
【特許文献12】
特開平6−340174号公報
【0018】
【特許文献13】
特開平5−96852号公報
【0019】
【特許文献14】
特開平10−052974号公報
【0020】
【特許文献15】
特開2002−59654号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1乃至10に記載された記録媒体では発色感度が不十分であり、装置の小型化が困難であるなどの問題を有している。さらに、省電力化や装置のいっそうの小型化あるいは装置への組み込みのしやすさから、サーマルヘッドのみで印字及び消去を行えることが求められているが、これらの記録媒体では、特に、消去時に均一に消色することができないという問題を有している。また、支持体上に断熱層を設ける方法として特許文献12乃至14に開示された感熱記録媒体では、リライタブルプロセスにおける繰り返し印字・消去を行う際の耐久性が未だ不十分であり、多数回印字後の発色特性の再現性やサーマルヘッドなどによる高速消去時の消去濃度の均一性が悪くなるという欠点がある。
【0022】
本発明は、上述の欠点に鑑みてなされたものであり、発色性及び消去性が繰り返し時にも良好であり、耐久性に優れる可逆性感熱記録媒体を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、支持体上に、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を含有し、加熱温度及び/又は加熱後の冷却速度の違いに応じて発色及び消色する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、前記支持体と前記記録層との間に中空粒子及び架橋状態の硬化性樹脂を含むアンダー層を設けることを特徴とする。
【0024】
請求項1に係る発明によれば、支持体上に、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を含有し、加熱温度及び/又は加熱後の冷却速度の違いに応じて発色及び消色する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体に、前記支持体と前記記録層の間に中空粒子及び架橋状態の硬化性樹脂を含むアンダー層を設けることにより、発色性及び消去性が繰り返し時にも良好であり、耐久性に優れる可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0025】
請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記中空粒子の数平均粒径は、0.2μm以上50μm以下であることを特徴とする。
【0026】
請求項2に係る発明によれば、前記中空粒子の数平均粒径が、0.2乃至50μmである中空粒子を含有したアンダー層を用いることで、十分なクッション性及び断熱性を得られやすく、画像抜けや不均一な消去の発生を防止することにより、発色性及び消去性が繰り返し時にも良好である可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0027】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2の発明において、前記中空粒子の体積中空率は、70%以上95%以下であることを特徴とする。
【0028】
請求項3に係る発明によれば、前記中空粒子の体積中空率は、70%以上95%以下である中空粒子を含有したアンダー層を用いることで、十分なクッション性及び断熱性を得られやすく、画像抜けや不均一な消去の発生を防止することにより、発色性及び消去性が繰り返し時にも良好である可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0029】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項の発明において、前記中空粒子を被覆する無機顔料は、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンの中からなる群から選択される物質であることを特徴とする。
【0030】
請求項4に係る発明によれば、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンの中からなる群から選択される物質である、前記中空粒子を被覆する無機顔料を用いることで、発色性及び消去性が繰り返し時にも良好であり、耐久性に優れる可逆性感熱記録媒体を容易に提供することができる。
【0031】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項の発明において、前記中空粒子の隔壁の厚さは、0.05μm以上3μm以下であることを特徴とする。
【0032】
請求項5に係る発明によれば、前記中空粒子の隔壁の厚さが、0.05μm以上3μm以下である中空粒子を含有したアンダー層を用いることで、粒子の強度を維持し、十分なクッション性及び断熱性を得られやすくなり、画像抜けや不均一な消去の発生を防止することにより、発色性及び消去性が繰り返し時にも良好である可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0033】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか一項の発明において、前記硬化性樹脂は、水系の熱硬化性樹脂、有機溶剤系の熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂及び電子線硬化性樹脂からなる群から選択される樹脂であることを特徴とする。
【0034】
請求項6に係る発明によれば、水系の熱硬化性樹脂、有機溶剤系の熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂及び電子線硬化性樹脂からなる群から選択される樹脂である、前記硬化性樹脂をアンダー層に使用することで、発色性及び消去性が繰り返し時にも良好であり、さらに耐久性に優れる可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0035】
請求項7に係る発明は、請求項6の発明において、前記水系の熱硬化性樹脂は、ポリビニルアルコール、変成ポリビニルアルコール、澱粉、澱粉の誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリアクリルアミド、変成ポリアクリルアミド、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変成ポリエチレン、ポリビニルアルコール/アクリルアミドブロック共重合体、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン及びカゼインからなる水溶性高分子の群から選択される物質の少なくとも一つと、グリオキサール誘導体、メチロール誘導体、エピクロロヒドリン誘導体、エポキシ化合物、アジリジン化合物及びヒドラジン化合物からなる架橋剤の群から選択された化合物の一つを含むことを特徴とする。
請求項7に係る発明によれば、ポリビニルアルコール、変成ポリビニルアルコール、澱粉、澱粉の誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリアクリルアミド、変成ポリアクリルアミド、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変成ポリエチレン、ポリビニルアルコール/アクリルアミドブロック共重合体、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン及びカゼインからなる水溶性高分子の群から選択される物質の少なくとも一つと、グリオキサール誘導体、メチロール誘導体、エピクロロヒドリン誘導体、エポキシ化合物、アジリジン化合物及びヒドラジン化合物からなる架橋剤の群から選択された化合物の一つを含む、前記水系の熱硬化性樹脂をアンダー層に使用することで、発色性及び消去性が繰り返し時にも良好であり、さらに耐久性に優れる可逆性感熱記録媒体を容易に提供することができる。
【0036】
請求項8に係る発明は、請求項6の発明において、前記有機溶剤系の熱硬化性樹脂は、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂及びポリビニルブチラール樹脂からなる群から選択される樹脂をイソシアネート化合物で架橋されることよって得られる樹脂であることを特徴とする。
【0037】
請求項8に係る発明によれば、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂及びポリビニルブチラール樹脂からなる群から選択される樹脂をイソシアネート化合物で架橋されることによって得られる前記有機溶剤系の熱硬化性樹脂をアンダー層に使用することで、耐久性に優れる可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0038】
請求項9に係る発明は、請求項8の発明において、前記アンダー層中の前記イソシアネート化合物は、脂肪族系イソシアネート化合物であることを特徴とする。
【0039】
請求項9に係る発明によれば、脂肪族系イソシアネート化合物である、前記アンダー層中の前記イソシアネート化合物を架橋剤として使用することで、繰り返し耐久性に優れる可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0040】
請求項10に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか一項の発明において、前記アンダー層中の硬化性樹脂は水酸基を有し、前記硬化性樹脂と前記イソシアネート化合物との重量比が、前記硬化性樹脂の水酸基1に対して0.5乃至1.5であることを特徴とする。
【0041】
請求項10に係る発明によれば、前記アンダー層中の硬化性樹脂は水酸基を有し、前記硬化性樹脂と前記イソシアネート化合物との重量比が、前記硬化性樹脂の水酸基1に対して0.5乃至1.5である、前記アンダー層中の前記イソシアネート化合物を架橋剤として使用することで、発色性及び消去性が繰り返し時にも良好であり、耐久性に優れる可逆性感熱記録媒体を容易に提供することができる。
【0042】
請求項11に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか一項の発明において、前記アンダー層の厚さが2μm以上50μm以下であることを特徴とする。
【0043】
請求項11に係る発明によれば、厚さが2μm以上50μm以下である前記アンダー層を使用することで、繰り返し時の耐久性を維持し、十分なクッション性及び断熱性を得られやすくなり、発色性及び消去性が繰り返し時にも良好であり、耐久性に優れる可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0044】
請求項12に係る発明は、請求項1乃至11のいずれか一項の発明において、前記電子受容性化合物が炭素数8以上の脂肪族炭化水素基を有するフェノール系化合物であることを特徴とする。
【0045】
請求項12に係る発明によれば、炭素数8以上の脂肪族炭化水素基を有するフェノール系化合物である前記電子受容性化合物を使用することで、発色の安定性や消色性に優れることにより、発色性及び消去性が繰り返し時にも良好である可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0046】
請求項13に係る発明は、請求項1乃至12のいずれか一項の発明において、前記電子供与性呈色性化合物に対する前記電子受容性化合物のモル比は、0.2以上10以下であることを特徴とする。
【0047】
請求項13に係る発明によれば、前記電子供与性呈色性化合物に対する前記電子受容性化合物のモル比が、0.2以上10以下である感熱記録層を用いることで、発色状態の濃度を維持することによって、発色性及び消去性が繰り返し時に優れる可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0048】
請求項14に係る発明は、請求項1乃至13のいずれか一項の発明において、前記可逆性感熱記録層は、架橋状態の樹脂を含有することを特徴とする。
【0049】
請求項14に係る発明によれば、架橋状態の樹脂を含有する前記可逆性感熱記録層を用いることで、繰り返し耐久性が向上することによって、耐久性に優れる可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0050】
請求項15に係る発明は、請求項1乃至14のいずれか一項の発明において、前記可逆性感熱記録層中の架橋状態の樹脂は、硬化性樹脂をイソシアネート化合物で硬化した樹脂であることを特徴とする。
【0051】
請求項15に係る発明によれば、硬化性樹脂をイソシアネート化合物で硬化した樹脂である、前記可逆性感熱記録層中の架橋状態の樹脂を用いることで、繰り返し耐久性が向上することによって、耐久性に優れる可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0052】
請求項16に係る発明は、請求項15の発明において、前記可逆性感熱記録層中の前記イソシアネート化合物は、脂肪族系イソシアネート化合物であることを特徴とする。
【0053】
請求項16に係る発明によれば、脂肪族系イソシアネート化合物である前記可逆性感熱記録層中の前記イソシアネート化合物を用いることで、繰り返し耐久性が向上し、耐久性に優れる可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0054】
請求項17に係る発明は、請求項1乃至15のいずれか一項の発明において、前記可逆性感熱記録層中の前記架橋状態の樹脂は、熱、紫外線、及び電子線のいずれか一つによって硬化する樹脂を主成分とし、前記脂肪系イソシアネート化合物を架橋剤として用いた硬化性樹脂であることを特徴とする。
【0055】
請求項17に係る発明によれば、熱、紫外線、及び電子線のいずれか一つによって硬化する樹脂を主成分とし、前記脂肪族系イソシアネート化合物を架橋剤として用いた硬化性樹脂を前記可逆性感熱記録層に含み、繰り返し耐久性を向上することによって、耐久性に優れる可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0056】
請求項18に係る発明は、請求項1乃至17のいずれか一項の発明において、前記可逆性感熱記録層中の硬化性樹脂は水酸基を有し、前記硬化性樹脂と前記イソシアネート化合物との重量比が、前記硬化性樹脂の水酸基1に対して0.5乃至1.5であることを特徴とする。
【0057】
請求項18に係る発明によれば、前記可逆性感熱記録層中の硬化性樹脂は水酸基を有し、前記硬化性樹脂と前記イソシアネート化合物との重量比が、前記硬化性樹脂の水酸基1に対して0.5乃至1.5であることを特徴とする、前記イソシアネート化合物を架橋剤として使用することにより、発色性及び消去性が繰り返し時にも良好であり、耐久性に優れる可逆性感熱記録媒体を容易に提供することができる。
【0058】
請求項19に係る発明は、請求項1乃至18のいずれか一項の発明において、前記感熱記録層中の電子供与性呈色性化合物に対する前記架橋状態の樹脂の重量比は、0.1以上10以下であることを特徴とする。
【0059】
請求項19に係る発明によれば、前記電子供与性呈色性化合物に対する前記架橋状態の樹脂の重量比が、0.1以上10以下である、前記感熱記録層を使用することで、前記感熱記録層の熱強度が安定し、発色性及び消去性が繰り返し時にも良好である可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【0060】
請求項20に係る発明は、情報記憶部と可逆表示部とを有する情報記録機能を備える部材であって、該可逆表示部が少なくとも請求項1乃至19のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体を有する情報記録機能を備える部材を特徴とする。
【0061】
請求項20に係る発明によれば、情報記憶部と可逆表示部とを有する情報記録機能を備える部材であって、前記可逆表示部が少なくとも請求項1乃至19のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体を有する情報記録機能を備える部財を提供することができる。
【0062】
請求項21に係る発明は、請求項20の発明において、カード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットのいずれか一つの形態であることを特徴とする。
【0063】
請求項21に係る発明によれば、情報記憶機能を有する、カード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットを提供することができる。
【0064】
請求項22に係る発明は、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体を構成する前記支持体の前記感熱記録層を形成する面と反対の面に、接着剤又は接着層を設けた可逆性感熱記録ラベルを特徴とする。
【0065】
請求項22に係る発明によれば、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体を構成する前記支持体の前記感熱記録層を形成する面と反対の面に、接着剤又は接着層を設けた可逆性感熱記録ラベルを提供することができる。
【0066】
請求項23に係る発明は、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体の可逆性感熱記録層を加熱することにより画像の形成及び/又は消去を行う画像処理方法を特徴とする。
【0067】
請求項23に係る発明によれば、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体の可逆性感熱記録層を加熱することにより画像の形成及び/又は消去を行う画像処理方法を提供することができる。
【0068】
請求項24に係る発明は、請求項23の発明において、サーマルヘッドを用いて画像を形成及び/又は前記サーマルヘッド若しくはセラミックヒータを用いて前記画像を消去することを特徴とする。
【0069】
請求項24に係る発明によれば、サーマルヘッドを用いて画像を形成し、及び/又は前記サーマルヘッド若しくはセラミックヒータを用いて前記画像を消去する画像処理方法を提供することができる。
【0070】
請求項25に係る発明は、サーマルヘッドを有し、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体の前記可逆性感熱記録層を加熱することにより画像の形成及び/又は消去を行う画像形成装置を特徴とする。
【0071】
請求項25に係る発明によれば、サーマルヘッドを有し、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の前記可逆性感熱記録媒体の可逆性感熱記録層を加熱することにより画像の形成及び/又は消去を行う画像形成装置を提供することができる。
【0072】
【発明の実施の形態】
本発明の可逆性感熱記録媒体は支持体上に中空粒子及び架橋状態の樹脂を含有するアンダー層を設け、さらにアンダー層上に感熱記録層、或いはさらに必要に応じて感熱記録層上に保護層等を形成することで構成される。中空粒子を含有したアンダー層を用いることで、発色感度が良好で、高速消去時にも均一に画像を消去することが可能なものとなる。さらに繰り返しの使用によっても良好な発色/消色性を維持するために、架橋状態の樹脂をアンダー層に使用して耐久性も良好となった。
【0073】
先ず本発明の可逆性感熱記録媒体のアンダー層について説明する。
【0074】
アンダー層に含有させる中空粒子は、ブタン、ペンタン等の低沸点の液体をポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂又は共重合体でマイクロカプセル化したもの等である。あらかじめ発泡させた中空粒子と未発泡状態の中空粒子があるが、未発泡状態で添加し記録媒体作製時又は印字時の熱により発泡させると均一な発泡が難しく画質が劣るため、あらかじめ発泡した中空粒子を添加した方が良好な画質が得られる。
【0075】
中空粒子の粒径は0.2〜50μmが好ましく、0.2μm未満であると十分なクッション性と断熱性が得られにくい。また50μmを超えると塗膜の平滑性が下がり均一なクッション性が損なわれ、画像抜けや消去の不均一化等が発生しやすくなる。
【0076】
また、中空粒子の体積中空率は50%以上が好ましく、これより低い体積中空率では十分なクッション性と断熱性が得られにくい。また、中空率が70%〜95%のものが特に好ましい。
【0077】
また、中空粒子は比重が小さく作業上扱いにくいので、無機顔料で被覆された比重の高い中空粒子を用いてもよい。中空粒子を被覆する無機顔料としては炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンであり、これらを熱融着等で中空粒子に被覆させたものを使用することができる。
【0078】
さらに、また中空粒子の隔壁の厚さは0.05〜3μmであることが好ましい。かかる厚さが0.05μmより薄い場合は、粒子の強度が低く、印字/消去を繰り返した際に中空粒子が破壊されてしまい、クッション性や断熱性が低下する。一方3μmより厚い場合は、粒子が堅くなるためクッション性が低下したり、断熱性が低くなり、好ましくない。
【0079】
本発明においては、前述の中空粒子を架橋可能な硬化性樹脂とともに支持体上に塗工し、アンダー層を形成する。硬化性樹脂としては水系又は有機溶剤系の熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などが広く用いられる。
【0080】
例えば、水系の熱硬化性樹脂としては、ポリビニルアルコール、変成ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリアクリルアミド、変成ポリアクリルアミド、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変成ポリエチレン、ポリビニルアルコール/アクリルアミドブロック共重合体、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子を単独又は混合して、グリオキサール誘導体、メチロール誘導体、エピクロロヒドリン誘導体、エポキシ化合物、アジリジン化合物、ヒドラジン化合物等の架橋剤とともに用いる。
【0081】
有機溶剤系の硬化性樹脂としては、例えばアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等をイソシアネート化合物などを架橋剤として用いた熱硬化型の樹脂が挙げられる。この溶剤系の熱硬化性樹脂を用いることが耐久性の点でとくに好ましい。
【0082】
イソシアネート化合物としては、イソシアネート基を複数有するポリイソシアネート化合物であり、具体的にはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等、及びこれらのトリメチロールプロパンなどによるアダクトタイプ、ビュレットタイプ、イソシアヌレートタイプ及びブロック化イソシネート類である。
【0083】
上に列記の内、脂肪族系イソシアネート化合物が、地肌白色度、繰り返し耐久性、バリ/クラックの発生防止の点で好ましい。
【0084】
なお、水酸基を有する樹脂と、イソシアネート系架橋剤の重量比は、樹脂の水酸基に対して0.5から1.5が好ましく用いられる。
【0085】
上に記載した以外にも、従来から公知の熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化性樹脂を広く用いることができる。
【0086】
さらに中空粒子を含む層(アンダー層)の厚さは2〜50μmであることが好ましい。かかる厚さが2μmより薄い場合は十分なクッション性、断熱性が得られなくなり、一方50μmより厚い場合は、繰り返し時の耐久性が低下するためいずれの場合も好ましくない。
【0087】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、加熱温度及び/又は加熱後の冷却速度により相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうるものである。本発明に用いられる発色剤と顕色剤からなる組成物の基本的な発色・消色現象を図1で説明する。図1は、本発明の可逆性感熱記録媒体の発色濃度と温度との関係を示したものである。初期の消色状態(A)にある記録媒体を昇温していくと、溶融し始める温度T1で発色が起こりロイコ染料と顕色剤とが溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると発色状態のまま室温に下げることができ、固まった発色状態(C)となる。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態からの降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が起き、初期と同じ消色状態(A)又は急冷発色状態(C)より相対的に濃度の低い状態が形成される。一方、急冷発色状態(C)を再度昇温していくと発色温度より低い温度T2で消色が起き(DからE)、ここから降温すると初期と同じ消色状態(A)に戻る。実際の発色温度、消色温度は、用いる顕色剤と発色剤の組合せにより変化するので目的に合わせて選択できる。また溶融発色状態の濃度と急冷したときの発色濃度は、必ずしも一致するものではなく、異なる場合もある。
【0088】
本発明の可逆性感熱記録媒体では、溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は顕色剤と発色剤が分子どうしで接触反応しうる状態で混合された状態であり、これは固体状態を形成していることが多い。この状態は顕色剤と発色剤が凝集して発色を保持した状態であり、この凝集構造の形成により発色が安定化していると考えられる。一方、消色状態は両者が相分離した状態である。この状態は少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを形成したり結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶化することにより発色剤と顕色剤が分離して安定化した状態であると考えられる。本発明では多くの場合、両者が相分離し顕色剤が結晶化することによってより完全な消色が起きる。図1に示した溶融状態から徐冷による消色及び発色状態からの昇温による消色は、いずれもこの温度で凝集構造が変化し、相分離や顕色剤の結晶化が起きている。
【0089】
本発明の発色画像の形成は、サーマルヘッドなどによりいったん溶融混合する温度に加熱し、急冷すればよい。また、消色は加熱状態から徐冷する方法と発色温度よりやや低い温度に加熱する方法の二つである。しかし、これらは両者が相分離したり、少なくとも一方が結晶化する温度に一時的に保持するという意味で同じである。発色状態の形成で急冷するのは、この相分離温度又は結晶化温度に保持しないようにするためである。ここにおける急冷と徐冷はひとつの組成物に対して相対的なものであり、その境界は発色剤と顕色剤の組合せにより変化する。
【0090】
このように感熱記録層は加熱温度及び/又は加熱後の冷却速度の制御によって記録消去ができる。かかる感熱記録層による印字は、コントラストが高く優れた画像品質が得られる。
【0091】
本発明で用いられるロイコ染料は、この種の可逆性感熱記録媒体に用いられる全ての化合物を1種又は2種以上用いることができ、例えば、フタリド化合物、アザフタリド化合物、フルオラン化合物など公知の染料前駆体である。
【0092】
本発明で用いられるロイコ染料の具体例としては、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ(n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソ−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルオロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−6−ジプロピルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロロ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフルオロメチルアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−N−n−アミル−N−メチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド等である。
【0093】
また、本発明の感熱記録層中に用いられる顕色剤は、例えば、特開平5−124360号公報、特開平6−210954号公報、特開平10−95175号公報などに記載のように、分子内にロイコ染料を発色させる顕色能をもつ構造、例えば、フェノール性水酸基、カルボキシル基、リン酸基などと、分子間の凝集力を制御する構造、また長鎖炭化水素基が連結した構造を一つ以上もつ化合物である。さらに、顕色剤は可逆性であり、特に、特開平9−290563号公報、特開平11−188969号公報に記載のように、連結部分にはヘテロ原子を含む2価以上の連結基を介していても良く、また長鎖炭化水素基中にも同様の連結基及び/又は芳香族基が含まれていても良い。
【0094】
以下に本発明で用いられる顕色剤を具体的に例示する。なお、顕色剤は単独で用いても良いし2種類以上を混合して用いても良い。
【0095】
【化1】
式中、X1はヘテロ原子を含む2価の基又は直接結合手を示し、X2はヘテロ原子を含む2価の基を示す。R1は2価の炭化水素基を表し、R2は炭素数1から22の炭化水素基を表す。また、pは0から4の整数を表しpが2から4の時繰り返されるR1及びX2は同一でも、異なっていても良い。また、qは1から3を表す。
【0096】
具体的には、R1及びR2は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、これらは脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、これらの両方から構成される炭化水素基でもよい。また脂肪族炭化水素基は直鎖でも分枝していてもよく、不飽和結合を有していてもよい。炭化水素基につく置換基としては、水酸基、ハロゲン、アルコキシ基等がある。なお、R1は直接結合手でも良い。
【0097】
またR1及びR2の炭素数の和が7以下では発色の安定性や消色性が低下するため、炭素数は8以上が好ましく、11以上であることがより好ましい。X1及びX2はヘテロ原子を含む2価の基を示し、好ましくは表1で表される基を少なくとも1個以上有する2価の基を表す。
【0098】
【表1】
代表例として、下記のものが挙げられる。
【0099】
【表2】
本発明におけるフェノール系化合物の具体的な例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、列記するフェノール系化合物を単独又は混合して用いることもできる。式中、rは0又は整数を表し、sは整数表す。
【0100】
【表3】
上に列記した他に、有機リン酸系の顕色剤、脂肪族カルボン酸系の化合物、脂肪族ジカルボン酸及びトリカルボン酸系の化合物等が顕色剤として用いてよい。
【0101】
発色剤と顕色剤の割合は、使用する化合物の組合せにより適切な範囲が変化するが、おおむねモル比で発色剤1に対し顕色剤が0.1から20の範囲であり、好ましくは0.2から10の範囲である、この範囲より顕色剤が少なくても多くても発色状態の濃度が低下し問題となる。又、発色剤と顕色剤はマイクロカプセル中に内包して用いることもできる。
【0102】
本発明の感熱記録層には、必要に応じて塗布特性や消色性、画像安定性等の発色消色特性を改善したり制御するための添加剤を用いることができる。これらの添加剤には、例えば、界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、発色消色制御剤、発色安定化剤、消色促進剤などがある。消色促進剤として好ましくは、ヘテロ原子を含む2価の基と炭素数8以上のアルキル鎖を有する化合物であったり、窒素原子が2つの置換基で置換されたアミド基を有する化合物であったりするが、本発明は上に記載の化合物に限定されるものではない。
【0103】
本発明の感熱記録層に用いられる樹脂(バインダー樹脂)としては、従来から公知の樹脂が広く用いられるが、中でも繰り返し耐久性の点から架橋状態の樹脂が好ましく用いられ、例えば水酸基を有した樹脂をイソシアネート系架橋剤で硬化した樹脂などが特に好ましく用いられる。
【0104】
本発明で用いられる樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリブタジエン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、水添ポリブタジエンのようなオレフィン系ポリマー;ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリ(n−ブチルアクリレート)、ポリ(イソボルニルアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリ(2−ヒドロキシプロピルアクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシブチルアクリレート)、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(sec−ブチルメタクリレート)、ポリ(tert−ブチルメタクリレート)、ポリ(イソボルニルメタクリレート)、ポリ(ベンジルメタクリレート)、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリレート)、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(2−ヒドロキシブチルメタクリレート)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸及びアクリル酸及びメタクリル酸の共重合体のようなアクリル系ポリマー;ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(4−メチルスチレン)、ポリ(4−メトキシスチレン)、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体のようなスチレン系ポリマー;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ビニルアルコール−ビニルブチラール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(2−ビニルピリジン)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(N−ビニルカルバゾ−ル)のようなビニル系ポリマー;ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンのようなフッ素系ポリマー;ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、メチルセルロースのようなセルロース系ポリマー;ポリテトラヒドロフラン;イソブチレン−無水マレイン酸共重合体;ポリイソブチルエーテル;ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリ(2,6−ジメチル−p−フエニレンオキサイド)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドのようなエンジニアリングプラスチックス;ポリウレタン;ナイロン6、ナイロン66のようなポリアミド系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、多糖、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩のような水溶性ポリマー;天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムのようなゴム系ポリマーなどであり、必要に応じて2種以上を併用することもできる。
【0105】
また、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、又は架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などを架橋剤とともに用いることも好ましい。
【0106】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、ロイコ染料、顕色剤、或いはさらに発色消色制御剤等を樹脂とともに感熱記録層を形成する。このとき用いられる樹脂は支持体上にこれらの材料を結着できれば良く、前記の従来から公知の樹脂が広く用いられる。なかでも、繰り返し時の耐久性を向上させるため、熱や紫外線、電子線などによって硬化可能な樹脂が好ましく用いられ、とくにイソシアネート化合物などを架橋剤として用いた熱硬化型の樹脂がとくに好ましく用いられる。
【0107】
樹脂としては、例えばアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。
【0108】
また、イソシアネート化合物としては、イソシアネート基を複数もつポリイソシアネート化合物であり、具体的にはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等、及びこれらのトリメチロールプロパンなどによるアダクトタイプ、ビュレットタイプ、イソシアヌレートタイプ及びブロック化イソシネート類等が挙げられる。
【0109】
この内、脂肪族系イソシアネート化合物が、地肌白色度、繰り返し耐久性、バリ/クラック発生防止の点で好ましい。
【0110】
なお、水酸基を有する樹脂と、イソシアネート系架橋剤の重量比は、樹脂の水酸基に対して0.5から1.5がこのましく用いられる。
【0111】
感熱記録層中の発色成分と樹脂の重量割合は、発色成分1に対して0.1から10が好ましく、0.1より少ないと感熱記録層の熱強度が不足し、10より多い場合には発色濃度が低下して問題となる。
【0112】
感熱記録層の形成には、顕色剤と、発色剤と、種々の添加剤と、バインダー樹脂及び塗液溶媒よりなる混合物を均一に混合分散させて調製した塗液を用いる。
【0113】
塗液調製に用いられる溶媒の具体例としては水;メタノール、エタノール、イソプロパノール,n−ブタノール、メチルイソカルビノールなどのアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどのエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネートなどのエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロプロパン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類等を例示することができる。
【0114】
塗液調製はペイントシェーカー、ボールミル、アトライター、三本ロールミル、ケディーミル、サンドミル、ダイノミル、コロイドミル等公知の塗液分散装置を用いて行うことができる。又、上記塗液分散装置を用いて各材料を溶媒中に分散しても良いし、各々単独で溶媒中に分散して混ぜ合わせても良い。更に加熱溶解して急冷又は除冷によって析出させても良い。
【0115】
感熱記録層を設ける塗工方法については特に制限はなく、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等公知の方法を用いることができる。
【0116】
感熱記録層の層厚は、通常5〜15μmである。
【0117】
感熱記録層上に保護層を形成しても良く、また、感熱記録層と保護層の接着性向上、保護層の塗布による感熱記録層の変質防止、保護層に含まれる材料が感熱記録層へ移行する、あるいは、感熱記録層に含まれる材料が保護層へ移行することを防止するなどの目的で、両者の間に中間層を設けても良い。
【0118】
保護層、中間層には目的に応じて、無機又は有機の紫外線吸収剤、滑剤、無機又は有機のフィラー類など、この種の記録媒体に用いられる従来から公知の材料を用いることができる。
【0119】
また、保護層、中間層の樹脂は熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂、電子硬化樹脂などが用いられる。
【0120】
本発明の可逆性感熱記録媒体の支持体としては紙、樹脂フィルム、PETフィルム、合成紙、金属箔、ガラス又はこれらの複合体などであり、感熱記録層を保持できるものであればよい。また、必要に応じた厚さのものが単独あるいは貼り合わす等して用いることができる。すなわち、好ましくは60〜150μmで、数μm程度から数mm程度まで任意の厚さの支持体が用いられる。また、これら支持体上に前記アンダー層を設ける場合に、接着層を介して設けることにより、クラック発生防止やバリの発生防止効果が改善される。
【0121】
かかる接着層は、上記の各層と同様の塗工方式等で形成することができる。
【0122】
本発明の可逆性感熱記録ラベルは、上述した可逆性感熱記録媒体を構成する支持体の感熱層を形成する面と反対の面に、接着剤層又は粘着剤層を設けたものである。この可逆性感熱記録ラベルには、接着剤層又は粘着剤層を形成したもの(無剥離紙型)と、その接着剤層又は粘着剤層の下に剥離紙をつけるもの(剥離紙型)とがあり、接着剤層を構成する材料としては、ホットメルト型のものが通常用いられる。
【0123】
接着剤層又は粘着剤層の材料は、一般的に用いられているものが使用可能である。例えば、ウレア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0124】
次に、情報記憶部と可逆表示部を有し、かかる可逆表示部として上述の可逆性感熱記録媒体を構成する感熱層からなる部材について説明する。
【0125】
この情報記憶部と可逆表示部を有する部材としては、次の3つのものに大別できる。
【0126】
(1)情報記録部を有する部材の一部を可逆性感熱記録媒体の支持体として、感熱層を直接形成したもの。
【0127】
(2)情報記録部を有する部材に、別途形成された、支持体上に感熱層を有する可逆性感熱記録媒体の支持体面を接着したもの。
【0128】
(3)情報記録部を有する部材に、前述の可逆性感熱記録ラベルが接着剤層又は粘着剤層を介して、接着されたもの。
【0129】
上に記載の(1)、(2)及び(3)の場合、情報記憶部と可逆表示部のそれぞれの機能が発揮できるよう設定されることが必要であり、そうであれば情報記憶部の設定位置は、熱可逆性記録媒体における支持体の感熱層を設けた面と反対側の面に設けることも、支持体と感熱層との間でも、あるいは感熱層上の一部に設けることもできる。
【0130】
かかる情報記録部を有する部材として用いられるものは、特に限定されないが、一般的にはカード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットがある。
【0131】
これらの例として次のようなものを挙げることができる。ICカードや光カード等の厚手のカード、フレキシブルディスク、光磁気記録ディスク(MD)やDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスク、CD−R等の追記型ディスク、相変化形記憶材料を用いた光情報記録媒体(CD−RW)、ビデオテープカセット等、かかる可逆表示部と情報記憶部の双方を有する部材は、例えばカードの場合で説明すると、情報記憶部に記憶された情報の一部を可逆性感熱記録層に表示することによって、カード所有者等は、特別な装置がなくてもカードを見るだけで情報を確認することができて、可逆性感熱記録媒体を適用しないカードに比べてその利便性が非常に向上することになる。
【0132】
情報記憶部は、必要な情報を記憶できるものでありさえすれば特に限定されないが、例えば、磁気記録、接触型IC、非接触型ICあるいは光メモリが有用である。磁気記録層は、通常用いられる酸化鉄、バリウムフェライト等のような金属化合物並びに塩ビ系、ウレタン系及びナイロン系のような樹脂等を用いて支持体に塗工形成するか、又は樹脂を用いずに前述の金属化合物を使用する蒸着、スパッタリング等の方法により形成される。また、表示に用いる可逆性感熱記録媒体における可逆性感熱記録層をバーコード、2次元コード等のような手法で記憶部として用いることもできる。
【0133】
前述(3)の可逆性感熱記録ラベルを用いる例として、磁気ストライプ付塩化ビニル製カード等のように、支持体として可逆性感熱記録層の塗布が困難な厚手のもの場合には、その全面又は一部に接着剤層又は粘着剤層を設けることができる。こうすることによって、磁気に記憶された情報の一部を表示することができる等、この媒体の利便性を向上できる。
【0134】
かかる接着剤層又は粘着剤層を設けた可逆性感熱記録ラベルとしては、上記の磁気付塩ビカードだけでなく、ICカードや光カード等の厚手カードにも適用できる。
【0135】
また、この可逆性感熱記録ラベルは、フレキシブルディスク、MDやDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ上の表示ラベルの代わりとして用いることができる。さらに、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスクの場合には、直接ディスクに可逆性感熱記録ラベルを貼ることや、直接ディスク上に可逆性感熱記録層を設けることもできる。こうすることによって、それらの記憶内容の変更に応じて自動的に表示内容を変更する等の用途への応用が可能である。
【0136】
本発明の可逆性感熱記録ラベルは、CD−Rなどの追記型ディスク上に可逆性感熱記録ラベルを貼って、CD−Rに追記した記憶情報の一部を書換え表示することも可能である。
【0137】
さらに、ビデオテープカセットの表示ラベルとして用いてもよい。
【0138】
厚手カード、ディスクカートリッジ、ディスク上に熱可逆記録機能を設ける方法としては、上述の可逆性感熱記録ラベルを貼る方法以外に、それらの上に可逆性感熱記録層を直接塗布する方法や、予め別の支持体上に可逆性感熱記録層を形成しておき、厚手カード、ディスクカートリッジ、ディスク上に該感熱記録層を転写する方法等がある。
【0139】
転写する場合には、可逆性感熱記録層上にホットメルトタイプ等の接着層や粘着層を設けておいてもよい。
【0140】
厚手カード、ディスク、ディスクカートリッジ、テープカセット等のように剛直なものの上に可逆性感熱記録ラベルを貼着したり、可逆性感熱記録層を設ける場合には、サーマルヘッドとの接触性を向上させ、画像を均一に形成するために弾力があり、クッションとなる層又はシートを剛直な基体とラベル又は可逆性感熱記録層の間に設けることが好ましい。
【0141】
本発明は、さらに、上述の可逆性感熱記録媒体、上述の情報記憶部を有する部材又は上述のラベルを用い、加熱により画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法を提供する。
【0142】
画像の形成は、サーマルヘッド、レーザ等、該媒体を画像上に部分的に加熱可能である画像記録手段が用いられる。画像の消去は、ホットスタンプ、セラミックヒータ、ヒートローラ、熱風等やサーマルヘッド、レーザ等の画像消去手段が用いられる。この中では、セラミックヒータが好ましく用いられる。セラミックヒータを用いることにより、装置が小型化でき、かつ安定した消去状態が得られ、コントラストのよい画像が得られる。セラミックヒータの設定温度は、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、115℃以上がさらに好ましい。
【0143】
また、画像消去手段としてサーマルヘッドを用いることにより、さらに装置全体の小型化が可能となり、また、消費電力を低減することが可能であり、バッテリー駆動型でハンディタイプの装置の提供が可能となる。形成用と消去用を兼ねて一つのサーマルヘッドとすれば、さらに小型化が可能となる。一つのサーマルヘッドで形成と消去を行なう場合、一度前の画像を全部消去した後、あらためて新しい画像を形成してもよく、画像毎にエネルギーを変えて一度に前の画像を消去し、新しい画像を形成していくオーバーライト方式も可能である。オーバーライト方式では、形成と消去を合わせた時間が少なくなり、記録のスピードアップにつながる。可逆性感熱記録層と情報記憶部を有するカードを用いる場合、上に記載の装置には、情報記憶部の記憶を読み取る手段と書き換える手段も含まれる。
【0144】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。尚、部又は%とあるのは特に断わりの無い限り重量基準である。
【0145】
(実施例1)
まず、アンダー層を作成する組成物及び方法を下記に例示する。
【0146】
アンダー層液の組成:
中空粒子 10部
粒子径:5〜15μm
壁材主成分:架橋アクリル
ポリビニルアルコールの10%水溶液 150部
クラレ社製PVA618
エピクロロヒドリン樹脂の25%水溶液 20部
水 10部
上記組成から成る混合物を撹拌分散して得られた塗布液を100μmの白PET上に厚さ約15μmとなるようにワイヤーバーを用いて塗布乾燥した。
【0147】
次ぎに、記録層を作成する組成物及び方法を下記に例示する。
【0148】
2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン 2部
下記の構造式で表される顕色剤 8部
【0149】
【化2】
下記の構造式で表される発色消色制御剤 3部
【0150】
【化3】
アクリルポリオール樹脂の15%MEK溶液 150部
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径約1μmまで粉砕分散した。得られた分散液に日本ポリウレタン社製コロネートHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート 75%酢酸エチル溶液)20部を加え、良く攪拌し記録層塗布液を調製した。
【0151】
上記組成の記録層塗布液を、前記アンダー層上にワイヤーバーを用い塗布し、100℃2分で乾燥した後、40℃24時間加熱して、膜厚約10.0μmの記録層を設けた。
【0152】
次いで、保護層を作成する組成物及び方法を下記に例示する。
【0153】
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂
(大日本インキ社製C7−157) 15部
酢酸エチル 85部
上記組成物を、よく溶解攪拌し保護層塗布液を調製した。上記組成の保護層塗布液を、上記記録層上にワイヤーバーを用いて塗工し90℃1分で乾燥した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を9m/分の搬送速度で通して硬化して膜厚3μmの保護層を設け、可逆的感熱記録媒体を作製した。
【0154】
(実施例2)
実施例1のアンダー層の作成に使用する組成物の代わりに下記に例示する組成物のアンダー層を用いた以外は実施例1と同様に可逆的感熱記録媒体を得た。
【0155】
アンダー層液の組成:
中空粒子 10部
平均粒子径:4μm
中空率:90%
壁材主成分:アクリロニトリル、メタクリロニトリル
ポリビニルアルコールの10%水溶液 150部
クラレ社製PVA618
エピクロロヒドリン樹脂の25%水溶液 20部
水 10部
(実施例3)
実施例1のアンダー層の作成に使用する組成物の代わりに下記に例示する組成物のアンダー層を用いた以外は実施例1と同様に可逆的感熱記録媒体を得た。
【0156】
アンダー層液の組成:
中空粒子 10部
平均粒子径:4μm
中空率:90%
壁材主成分:アクリロニトリル、メタクリロニトリル
アクリルポリオール樹脂の15%MEK溶液 150部
アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート 75%酢酸エチル溶液 30部
日本ポリウレタン社製コロネートHL
(比較例1)
実施例1のアンダー層を作製しなかった以外は実施例1と同様に可逆的感熱記録媒体を得た。
【0157】
(比較例2)
実施例1のアンダー層液中のエピクロルヒドリン樹脂を用いなかった以外は実施例1と同様に可逆的感熱記録媒体を得た。
【0158】
(比較例3)
実施例3のアンダー層液中のイソシアネート化合物を用いなかった以外は実施例1と同様に可逆的感熱記録媒体を得た。
【0159】
以上の様にして作成した記録媒体を以下の方法にて評価した。
【0160】
(試験1) 発色/消色特性
八城製作所製感熱印字装置でサーマルヘッド(200dpi、抵抗値:1304Ω)にて、パルス幅2msec、電圧17.0V及び20.0Vで印字した。その発色濃度及び地肌濃度をマクベス濃度計RD914にて測定した。
【0161】
次に、温度150℃、線速30mm/secのヒートローラーで画像を消去し、消色濃度を測定した。
【0162】
(試験2) 耐久性
試験1の発色及び消色を繰り返して行い、10回目の発色濃度を測定した。
【0163】
(試験3) 高速消去性
試験2で用いた、10回繰り返したサンプルをヒートーローラーで消去した後、試験1で行った20Vの電圧で印字を行い、つぎに、8Vから16Vまで0.5Vごとのエネルギーで消去を行った。各ステップの消去濃度の均一性を以下のランクで評価した。
【0164】
1:均一性が良好である。
【0165】
2:均一性にややムラがある。
【0166】
3:均一性にムラがある。
【0167】
以上の結果を表4に示す。
【0168】
【表4】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的に説明したように、本発明の可逆性感熱記録媒体は、発色性、消去性が繰り返し時にも良好であり、耐久性に優れる可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可逆性感熱記録媒体の発色・消色特性を示す、発色濃度と温度との関係を示す図である。
Claims (25)
- 支持体上に、電子供与性呈色性化合物及び電子受容性化合物を含有し、加熱温度及び/又は加熱後の冷却速度の違いに応じて発色及び消色する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体において、
前記支持体と前記記録層との間に中空粒子及び架橋状態の硬化性樹脂を含むアンダー層を設けることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。 - 前記中空粒子の数平均粒径は、0.2μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記中空粒子の体積中空率は、70%以上95%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記中空粒子を被覆する無機顔料は、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンからなる群から選択される物質であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記中空粒子の隔壁の厚さは、0.05μm以上3μm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記硬化性樹脂は、水系の熱硬化性樹脂、有機溶剤系の熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂及び電子線硬化性樹脂からなる群から選択される樹脂であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記水系の熱硬化性樹脂は、ポリビニルアルコール、変成ポリビニルアルコール、澱粉、澱粉の誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、ポリアクリルアミド、変成ポリアクリルアミド、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変成ポリエチレン、ポリビニルアルコール/アクリルアミドブロック共重合体、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン及びカゼインからなる水溶性高分子の群から選択される物質の少なくとも一つと、グリオキサール誘導体、メチロール誘導体、エピクロロヒドリン誘導体、エポキシ化合物、アジリジン化合物及びヒドラジン化合物からなる架橋剤の群から選択された化合物の一つを含むことを特徴とする請求項6に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記有機溶剤系の熱硬化性樹脂は、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂及びポリビニルブチラール樹脂からなる群から選択される樹脂をイソシアネート化合物で架橋されることによって得られる樹脂であることを特徴とする請求項6に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記アンダー層中の前記イソシアネート化合物は、脂肪族系イソシアネート化合物であることを特徴とする請求項8に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記アンダー層中の硬化性樹脂は水酸基を有し、前記硬化性樹脂と前記イソシアネート化合物との重量比が、前記硬化性樹脂の水酸基1に対して0.5乃至1.5であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記アンダー層の厚さが2μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記電子受容性化合物が炭素数8以上の脂肪族炭化水素基を有するフェノール系化合物であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記電子供与性呈色性化合物に対する前記電子受容性化合物のモル比は、0.2以上10以下であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記可逆性感熱記録層は、架橋状態の樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記可逆性感熱記録層中の架橋状態の樹脂は、硬化性樹脂をイソシアネート化合物で硬化した樹脂であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記可逆性感熱記録層中の前記イソシアネート化合物は、脂肪族系イソシアネート化合物であることを特徴とする請求項15に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記可逆性感熱記録層中の前記架橋状態の樹脂は、熱、紫外線、及び電子線のいずれか一つによって硬化する樹脂を主成分とし、前記脂肪系イソシアネート化合物を架橋剤として用いた硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記可逆性感熱記録層中の硬化性樹脂は水酸基を有し、前記硬化性樹脂と前記イソシアネート化合物との重量比が、前記硬化性樹脂の水酸基1に対して0.5乃至1.5であることを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 前記感熱記録層中の電子供与性呈色性化合物に対する前記架橋状態の樹脂の重量比は、0.1以上10以下であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体。
- 情報記憶部と可逆表示部とを有する情報記録機能を備える部材であって、該可逆表示部が少なくとも請求項1乃至19のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体を有する情報記録機能を備える部材。
- カード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットのいずれか一つの形態であることを特徴とする請求項20に記載の情報記憶機能を有する部材。
- 請求項1乃至19のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体を構成する前記支持体の前記感熱記録層を形成する面と反対の面に、接着剤又は接着層を設けたことを特徴とする可逆性感熱記録ラベル。
- 請求項1乃至19のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体の可逆性感熱記録層を加熱することにより画像の形成及び/又は消去を行うことを特徴とする画像処理方法。
- サーマルヘッドを用いて画像を形成し、及び/又は前記サーマルヘッド若しくはセラミックヒータを用いて前記画像を消去することを特徴とする請求項23に記載の画像処理方法。
- サーマルヘッドを有し、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の可逆性感熱記録媒体の前記可逆性感熱記録層を加熱することにより画像の形成及び/又は消去を行う画像形成装置。
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