JP2004001427A - 可逆性感熱記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】発色濃度および消色濃度が湿度に影響されず、高コントラストに優れ、かつ繰り返し使用によっても記録媒体への打こんの発生や濃度変化の少ない、耐久性に優れ、更に、サーマルヘッドでの消色が可能な高速消色に優れた可逆性感熱記録媒体を提供する。
【解決手段】支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態を形成しうる可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体であって、該電子受容性化合物が特定のフェノール化合物であり、かつ該可逆性感熱記録媒体を35℃±2℃、相対湿度70%以上90%以下の環境で印字したときの発色濃度が0.80以上で消色濃度が0.15以下であることを特徴とする可逆性感熱記録媒体。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物との間の発色反応を利用した可逆性感熱発色組成物を用い、熱エネルギーを制御することにより発色画像の形成と消去が可能な可逆性感熱記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子供与性呈色性化合物(以下、発色剤またはロイコ染料ともいう)と電子受容性化合物(以下、顕色剤ともいう)との間の発色反応を利用した感熱記録媒体は広く知られており、OA化の進展と共にファクシミリ、ワードプロセッサー、科学計測機などの出力用紙として、また最近ではプリペイドカードやポイントカードなどの磁気感熱カードとしても広く使用されている。しかし、これら実用化されている従来の記録媒体は環境問題上、リサイクルや使用量の減量化などの見直しが迫られているが、不可逆的な発色であるため、一度記録した画像を消去して繰り返し使用することはできないし、新しい情報は画像が記録されていない部分に追記されるぐらいで記録可能な部分の面積は限られている。そのため、記録する情報量を減らしたり、記録エリアがなくなった時点でカードを作り直しているのが実状である。そこで、近年盛んに論じられているゴミ問題や森林破壊問題を背景に、何度でも書き換え可能な可逆性感熱記録媒体の開発が望まれていた。
【0003】
ところで、これらの要求から様々な可逆性感熱記録媒体が提案されてきた。例えば、透明・白濁という物理的変化を利用した高分子タイプの可逆性感熱記録媒体が開示されている(特許文献1、2参照)。また、新たに化学的変化を利用した染料タイプの可逆性感熱記録媒体も提案されている。具体的には、顕色剤として没食子酸とフロログルシノールの組み合わせを用いるもの(例えば、特許文献3参照)、顕色剤にフェノールフタレインやチモールフタレインなどの化合物を用いるもの(例えば、特許文献4参照)、発色剤と顕色剤とカルボン酸エステルの均質相溶体を記録層に含有するもの(例えば、特許文献5、6、7参照)、顕色剤にアスコルビン酸誘導体を用いたもの(例えば、特許文献8参照)、顕色剤にビス(ヒドロキシフェニル)酢酸または没食子酸と高級脂肪族アミンとの塩を用いるもの(例えば、特許文献9、10参照)などが開示されている。
【0004】
さらに本発明者らは、先に特許文献11において顕色剤として長鎖脂肪族炭化水素基をもつ有機リン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物またはフェノール化合物を用い、これと発色剤であるロイコ染料とを組み合わせることによって、発色と消色を加熱冷却条件により容易に行なわせることができ、その発色状態と消色状態を常温において安定に保持させることが可能であり、しかも発色と消色を繰り返すことが可能な可逆性感熱発色組成物およびこれを記録層に用いた可逆性感熱記録媒体を提案した。またその後、長鎖脂肪族炭化水素基をもつフェノール化合物について特定の構造のものを使用することが提案されている(例えば、特許文献12、13参照)。
【0005】
しかし、実使用では、低温低湿から高温高湿までの広範囲の環境下において使用されるが、低温低湿では消去不良を起こしやすく、また高温高湿では発色不良を起こすなどの問題を有しており、必ずしも満足できる結果をもたらすものではなかった。
【0006】
また、特許文献14では、中間層又は保護層に、ある特定の無機顔料を添加することで、耐湿保存性を良くしていることが示されているが、実使用環境下での繰り返し消去・印字による低温低湿での消去不良や高温高湿での発色不良を改善するには至っていないのが現状である。
更に、近年プリンターの高速化、小型化が叫ばれるようになり、可逆性感熱記録材料においても消色をセラミックヒータで行なうタイプからサーマルヘッドで行なうタイプへの変化が顕著になり、消色の高速化が望まれている。
【0007】
【特許文献1】
特開昭63−107584号公報
【特許文献2】
特開平4−78573号公報
【特許文献3】
特開昭60−193691号公報
【特許文献4】
特開昭61−237684号公報
【特許文献5】
特開昭62−138556号公報
【特許文献6】
特開昭62−138568号公報
【特許文献7】
特開昭62−140881号公報
【特許文献8】
特開昭63−173684号公報
【特許文献9】
特開平2−188293号公報
【特許文献10】
特開平2−188294号公報
【特許文献11】
特開平5−124360号公報
【特許文献12】
特開平6−210954号公報
【特許文献13】
特開平10−95175号公報
【特許文献14】
特開平10−100541号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は従来から問題になっている実使用環境下での繰り返し消去・印字による低温低湿での消去不良や高温高湿での発色不良を改良して、安定な品質を提供できるようにし、更に、高速消色を可能とした選択発明である。
したがって、本発明の課題は、発色濃度および消色濃度が湿度に影響されず、高コントラストに優れ、かつ繰り返し使用によっても記録媒体への打こんの発生や濃度変化の少ない、耐久性に優れ、更に、サーマルヘッドでの消色が可能な高速消色に優れた可逆性感熱記録媒体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような発色剤と顕色剤の組成物の可逆的な発色消色現象では、長鎖脂肪族基をもつ顕色剤の発色剤を発色させる能力と分子間の凝集力のバランスが重要であると考え、種々の構造の化合物を検討した。その結果、特定の構造をもつフェノール化合物を顕色剤として用い、更に、消色促進剤として特定の官能基を有する化合物を含有することにより、上記の課題が解決できることを見出した。
【0010】
すなわち、上記課題は、本発明の(1)「支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態を形成しうる可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体であって、該電子受容性化合物が下記一般式(1)で表わされるフェノール化合物であり、かつ該可逆性感熱記録媒体を35℃±2℃、相対湿度70%以上90%以下の環境で印字したときの発色濃度が0.80以上で消色濃度が0.15以下であることを特徴とする可逆性感熱記録媒体;
【0011】
【化9】
Figure 2004001427
(式中、nは1〜3の整数を示し、XはN原子またはO原子を含む2価の基を表わす。また、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上の脂肪族炭化水素基を表わし、Rは炭素数1以上14以下の脂肪族炭化水素基を表わす。)」、(2)「前記電子受容性化合物が、一般式(1)において、Rが炭素数10以上16以下、およびRが炭素数8以上14以下の脂肪族炭化水素基を有するフェノール化合物であることを特徴とする前記第(1)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(3)「前記電子受容性化合物が、一般式(1)中、Xが尿素基であるフェノール化合物であることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(4)「前記可逆性感熱記録層が架橋状態にある樹脂を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体」、(5)「前記可逆性感熱記録層中に含有される樹脂が水酸基価70(KOHmg/g)以上であることを特徴とする前記第(4)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(6)「前記可逆性感熱記録層中に含有される樹脂がアクリルポリオール樹脂であることを特徴とする前記第(4)項又は第(5)項に記載の可逆性感熱記録媒体」、(7)「前記樹脂のゲル分率が30%以上であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載の熱可逆性感熱記録媒体」、(8)「消色促進剤として、2級アミド基を有する化合物を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体」、(9)「分子中に−NHCO−基、−OCONH−基を少なくともひとつ以上有する消色促進剤を更に含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体」、(10)「前記分子中に−NHCO−基、−OCONH−基を少なくともひとつ以上有する消色促進剤が、一般式(2)〜(8)で表わされる化合物のいずれかであることを特徴とする前記第(9)項に記載の可逆性感熱記録媒体;
【化10】
−NHCO−R        …(2)
【化11】
−NHCO−R−OCNH−R  …(3)
【化12】
−CONH−R−HNOC−R  …(4)
【化13】
−NHOCO−R  …(5)
【化14】
−NHOCO−R−OCOHN−R  …(6)
【化15】
−OCONH−R−HNOCO−R  …(7)
【0012】
【化16】
Figure 2004001427
(式中R、R、Rは炭素数7以上22以下の直鎖アルキル基、分枝アルキル基、不飽和アルキル基を表わし、Rは炭素数1〜10の2価の官能基、Rは炭素数4〜10の3価の官能基を表わす。)」、(11)「前記可逆性感熱記録層上に該感熱記録層を保護するための保護層を設け、該保護層が架橋状態にある樹脂を含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(10)項のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体」によって解決される。
【0013】
また、上記課題は、本発明の(12)「情報記憶部と可逆表示部を有し、該可逆表示部が少なくとも前記第(1)項乃至第(11)項のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体からなるものであることを特徴とする情報記録部を有する部材」、(13)「前記情報記憶部と可逆表示部を有する部材が、カード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットのいずれかであることを特徴とする前記第(12)項に記載の情報記憶部を有する部材」によって解決される。
【0014】
また、上記課題は、本発明の(14)「前記第(1)項乃至第(11)項のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を構成する支持体の可逆性感熱記録層を形成する面とは反対の面に、接着剤層又は粘着剤層を設けたことを特徴とする可逆性感熱記録ラベル」によって解決される。
【0015】
また、上記課題は、本発明の(15)「前記第(14)項に記載の可逆性感熱記録ラベルを用いた可逆表示部が設けられているものであることを特徴とする是前記第(12)又は(13)項に記載の情報記憶部を有する部材」によって解決される。
【0016】
また、上記課題は、本発明の(16)「前記第(1)項乃至第(11)項のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体、前記第(14)項に記載の可逆性感熱記録ラベル、又は前記第(12)、(13)、(15)項のいずれかに記載の情報記憶部と可逆表示部を有する部材が用いられ、該可逆表示部の可逆性感熱記録層を加熱することにより画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法」、(17)「サーマルヘッドを用いて前記可逆表示部に画像を形成することを特徴とする前記第(16)項に記載の画像処理方法」、(18)「サーマルヘッド又はセラミックヒータを用いて画像を消去することを特徴とする前記第(16)項に記載の画像処理方法」によって解決される。
【0017】
また、上記課題は、本発明の(19)「前記第(1)項乃至第(11)項のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体、前記第(14)項に記載の可逆性感熱記録ラベル又は前記第(12)、(13)、(15)項のいずれかに記載の情報記憶部と可逆表示部を有する部材を搭載し、画像の形成及び/又は消去を行なう手段を具備してなることを特徴とする画像処理装置」、(20)「画像の形成手段がサーマルヘッドであることを特徴とする前記第(19)項に記載の画像処理装置」、(21)「画像の消去手段がサーマルヘッド又はセラミックヒーターであることを特徴とする前記第(19)項に記載の画像処理装置」によって解決される。
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
従来の顕色剤を用いた可逆性感熱記録媒体では、高温高湿の環境下において消去・印字を行なうと発色濃度が低下するという問題を有していた。可逆性感熱記録媒体は、加熱温度および/または加熱後の冷却速度により相対的に発色状態と消色状態を形成しうるもので、冷却速度が急冷の場合に発色状態を形成し、徐冷の場合に消色状態を形成しうるものである。そのため、高温環境下での画像形成は徐冷状態にシフトしやすく、発色濃度が低下しやすい。また、高湿環境下では、過剰な水分子が可逆性感熱記録媒体内部に入り込み、顕色剤と水素結合を有することにより、ロイコ染料の開環を阻害し発色濃度が更に低下する。そのため、これまでの可逆性感熱記録媒体は、常温常湿で発色濃度0.8以上、消色濃度0.15以下が得られていても、高温高湿環境下では発色濃度が0.8未満となり、安定した発色画像を得ることができなかった。
【0019】
本発明者らは、検討した結果、前記一般式(1)の顕色剤、更に好ましくは一般式(9)で表わされる化合物を用いることにより上記問題点を解決することを見出した。
【0020】
【化17】
Figure 2004001427
(式中、mは10以上16以下、nは7以上13以下を表わす。)
すなわち、本発明に用いられる一般式(1)の顕色剤、更に好ましくは一般式(9)で表わされる化合物を用いた可逆性感熱記録媒体を温度35℃又は35℃付近、相対湿度70%RH以上90%RH以下の環境下で繰り返し消去・印字を行なっても常温常湿の環境下で行なった発色濃度との差がなく、かつ消色不良も起こさないコントラストに優れた可逆性感熱記録媒体を得ることができた。すなわち、本発明の可逆性感熱記録媒体は、35℃±2℃、相対湿度70%RH以上90%RH以下の環境で印字したときの発色濃度は0.80以上で、消色濃度は0.15以下の性能を少なくとも有するものである。
【0021】
一般式(9)で表わされる化合物は尿素基を構造中に有しており、その水素結合能力から水分子との相互作用を有している。また、一般式(9)の顕色剤は熱的作用により発色状態と消色状態の状態変化を起こすことにより可逆性機能を発現しており、そのときの状態変化は尿素基の水素結合能力を利用した分子集合力が寄与すると考えられている。したがって、相対湿度が高い環境、即ち周囲に水分子が多く存在する環境の中では、顕色剤は自身の尿素基同士の水素結合と水分子との水素結合が共に起こることになり、このことが、発色状態と消色状態のバランスを崩す要因となって発色不良を起こすと考えられる。
したがって、一般式(9)の顕色剤において、水分子との相互作用を小さくすることが、相対湿度が高い環境条件で発色状態を良好にするために必要となる。そこで、一般式(9)において、m、nの大きさを種々変化させて水との相互作用の状況を調べたところ、mが10より小さい場合は水分子との相互作用が大きいが、mが10を超えると水分子との相互作用が小さくなることを本発明者らは発見した。更に、nが13より大きい場合に水分子との相互作用が大きいが、nが13以下の場合に水分子との相互作用が小さくなることを本発明者らは発見した。つまり、一般式(9)の顕色剤はm、nを調整することにより水分子の影響を調整することが可能であり、その結果、温度35℃、相対湿度70%RH以上90%RH以下の環境下で繰り返し消去・印字を行なっても常温常湿の環境下で行なった発色濃度との差がなく、かつ消色不良も起こさないコントラストに優れた可逆性感熱記録媒体を得ることができた。このことは、従来の知見の中では見出されていない現象であり、本発明者らによってはじめて見出された現象である。
一方、mが16を越えた場合、及びnが7より小さい場合は水分子との相互作用は小さい状態を維持することは可能であったが、消色特性が著しく劣化する現象が確認され、mの好ましい範囲として10以上16以下、nの好ましい範囲として7以上13以下が選択された。
なお、この現象の詳細なメカニズムは完全には解明できていないが、顕色剤化合物の吸湿特性が影響していることは明らかである。
【0022】
本発明の可逆性感熱発色組成物は、電子受容性化合物として、前記一般式(1)で表わされるフェノール化合物を用いることを特徴とする。前記一般式(1)において、脂肪族炭化水素基は直鎖でも分枝していてもよく、不飽和結合を有していてもよい。炭化水素基につく置換基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基等がある。R、Rの炭素の和が7以下では発色の安定性や消色性が低下するため、炭素数は8以上が好ましく、11以上であることが更に好ましい。
の好ましい例としては以下の表1に示すものが挙げられる。
【0023】
【表1】
Figure 2004001427
これらの中でも−(CH)q−が特に好ましい。尚、式中のq、q’、q”、q’”はそれぞれ前記R、Rの炭素数を満足する整数を表わす。
また、Rの好ましい例としては以下の表2に示すものが挙げられる。
【0024】
【表2】
Figure 2004001427
これらの中でも−(CH)q−CHが特に好ましい。なお、式中のq、q’、q”、q’”は前記と同じである。
XはN原子またはO原子を含む2価の基を示し、好ましくは表3で表わされる基を少なくとも1個以上有する2価の基を表わす。その例としては、表4に示すものが挙げられる。これらのうち、好ましい基は表5に示すものである。
【0025】
【表3】
Figure 2004001427
【0026】
【表4】
Figure 2004001427
【0027】
【表5】
Figure 2004001427
さらに具体的なフェノール化合物としては、たとえば以下のものが挙げられる。その例として表6中の一般式で表わされる化合物の具体的な例を表7及び表8に挙げる。なお、表6中の他の一般式で表わされる化合物についても、同様なものが挙げられる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0028】
【表6】
Figure 2004001427
【0029】
【表7】
Figure 2004001427
【0030】
【表8−1】
Figure 2004001427
【0031】
【表8−2】
Figure 2004001427
【0032】
表7及び8に示される化合物のうち好ましいものは、表6の一般式に対応させて示すと、mが5〜11、n−1が8〜13に相当する化合物であり、特に好ましい化合物としては、次の化合物を挙げることができる。
【0033】
【化18】
Figure 2004001427
【0034】
【化19】
Figure 2004001427
【0035】
【化20】
Figure 2004001427
【0036】
【化21】
Figure 2004001427
【0037】
【化22】
Figure 2004001427
【0038】
上記の特に好ましい化合物として挙げた化合物を顕色剤として使用した場合の可逆性感熱記録媒体は、いずれも、高温高湿(35℃、85%RH)の環境下で印字したときの発色濃度が1.00以上、消色濃度が0.14以下であり、また、この性能は常温常湿の環境下で印字したときとほとんど変わらず、従来技術にはみられない極めて優れた性能を示す。
【0039】
本発明で用いられる消色促進剤としては、下記一般式で示されるような2級アミド基を用いることにより消去特性に優れたものとなる。
【0040】
【化23】
Figure 2004001427
【0041】
【化24】
Figure 2004001427
【0042】
【化25】
Figure 2004001427
【0043】
式中、R36からR40は置換基を有しても良い飽和もしくは不飽和の炭化水素基を表わし、R36とR37は環を形成していても良く、形成される環は窒素原子、酸素原子または硫黄原子を介していても良い。さらに、R36からR40で好ましく用いられる置換基を有しても良い炭化水素基の例としては、直鎖のみでも分岐していても良く、−O−、−S−、−CO−、−COO−基を介していてもよい。また、芳香族環、脂肪族環を有していても良い。
【0044】
以下に本発明で用いられる消色促進剤の好ましい具体例を表9に挙げる。しかし、本発明で用いられる消色促進剤化合物はこれらに限られるものではない。
【0045】
【表9】
Figure 2004001427
表中、n,n’,n”,n’”,n””は0〜21の整数を示す。ただし全てが5以下であることはない。
さらに本発明で用いられる消色促進剤は、下記表10に示すような会合性の基を1個以上有していても良い。
【0046】
【表10】
Figure 2004001427
【0047】
表11に、本発明で用いられる消色促進剤の好ましい例を挙げる。しかし、本発明で用いられる消色促進剤はこれらの化合物に限られるものではない。表中Xは上記の会合性の基を示し、n,n’,n”,n’”,n””は0〜21の整数を示すが、全てが5以下であることはない。
【0048】
【表11】
Figure 2004001427
【0049】
表12に、消色促進剤の具体的な例を示すが、本発明はこれらの化合物に限られるわけではない。
【0050】
【表12】
Figure 2004001427
【0051】
更に、前記の特徴を有する顕色剤と、消色促進剤として分子中に−NHCO−基、−OCONH−基を少なくともひとつ以上有する化合物を併用することにより、消色状態を形成する過程において消色促進性化合物と顕色剤の間に分子間相互作用が誘起され消色速度が格段に速くなることが可能であることを見出した。本発明で用いる分子中に−NHCO−基、−OCONH−基を少なくともひとつ以上有する消色促進剤としては、下記一般式(2)〜(8)で表わされる化合物が好ましい。
【化26】
−NHCO−R        …(2)
【化27】
−NHCO−R−OCNH−R  …(3)
【化28】
−CONH−R−HNOC−R  …(4)
【化29】
−NHOCO−R  …(5)
【化30】
−NHOCO−R−OCOHN−R  …(6)
【化31】
−OCONH−R−HNOCO−R  …(7)
【化32】
Figure 2004001427
(式中R、R、Rは炭素数7以上22以下の直鎖アルキル基、分枝アルキル基、不飽和アルキル基を表わし、Rは炭素数1〜10の2価の官能基、Rは炭素数4〜10の3価の官能基を表わす。)
、R、Rの好ましい例としては、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ステアリル基、ベヘニル基、オレイル基等が挙げられる。またRの好ましい例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘプタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、−COC−基、−COC−基、−COCOC−基等が挙げられる。またRの好ましい例として、下記表13に示すものが挙げられる。
【0052】
【表13】
Figure 2004001427
【0053】
一般式(2)〜(8)で表さわれる化合物の具体的な例として以下のものが挙げられる。
1123CONHC1225、C1531CONHC1633、C1735CONHC1837、、C1735CONHC1835、C2141CONHC1837、C1531CONHC1837、C1735CONHCHHNOCC1735、C1123CONHCHHNOCC1123、C15CONHCHNOCC1735、C19CONHCHNOCC19、C1123CONHCHNOCC1123、C1735CONHCHNOCC1735、(CHCHC1435CONHCHNOCC1435(CH、C2143CONHCHNOCC2143、C1735CONHC12HNOCC1735、C2143CONHC12HNOCC2143、C1733CONHCHHNOCC1733、C1733CONHCHNOCC1733、C2141CONHCHNOCC2141、C1733CONHC12HNOCC1733、C17NHCOCCONHC1837、C1021NHCOCCONHC1021、C1225NHCOCCONHC1225、C1837NHCOCCONHC1837、C2143NHOCCCONHC2143、C1837NHOCC12CONHC1837、C1835NHCOCCONHC1835、C1835NHCOC16CONHC1835、C1225OCONHC1837、C1327OCONHC1837、C1633OCONHC1837、C1837OCONHC1837、C2143OCONHC1837、C1225OCONHC1633、C1327OCONHC1633、C1633OCONHC1633、C1837OCONHC1633、C2143OCONHC1633、C1225OCONHC1429、C1327OCONHC1429、C1633OCONHC1429、C1837OCONHC1429、C2245OCONHC1429、C1225OCONHC1237、C1327OCONHC1237、C1633OCONHC1237、C1837OCONHC1237、C2143OCONHC1237、C2245OCONHC1837、C1837NHCOOCOCONHC1837、C1837NHCOOCOCONHC1837、C1837NHCOOCOCONHC1837、C1837NHCOOC12OCONHC1837、C1837NHCOOC16OCONHC1837、C1837NHCOOCOCOCONHC1837、C1837NHCOOCOCOCONHC1837、C1837NHCOOC1224OCONHC1837、C1837NHCOOCOCOCOCONHC1837、C1633NHCOOCOCONHC1633、C1633NHCOOCOCONHC1633、C1633NHCOOCOCONHC1633、C1633NHCOOC12OCONHC1633、C1633NHCOOC16OCONHC1633、C1837OCOHNC12NHCOOC1837、C1633OCOHNC12NHCOOC1633、C1429OCOHNC12NHCOOC1429、C1225OCOHNC12NHCOOC1225、C1021OCOHNC12NHCOOC1021、C17OCOHNC12NHCOOC17
【0054】
【表14】
Figure 2004001427
【0055】
以下、本発明の可逆性感熱記録媒体について更に詳しく説明する。
可逆性感熱記録層の形成に用いられるバインダー樹脂としては、たとえばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチルセルロース、ポリスチレン、スチレン系共重合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸系共重合体、マレイン酸系共重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デンプン類などがある。
これらのバインダー樹脂の役割は、組成物の各材料が記録消去の熱印加によって片寄ることなく均一に分散した状態を保つことにある。したがって、バインダー樹脂には耐熱性の高い樹脂を用いることが好ましい。たとえば、熱、紫外線、電子線などで、バインダー樹脂を架橋させてもよい。
【0056】
本発明に用いられる架橋状態にある樹脂としては、具体的にはアクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど架橋剤と反応する基を持つ樹脂、または架橋剤と反応する基を持つモノマーとそれ以外のモノマーを共重合した樹脂などが挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0057】
更に、本発明において好ましくは、水酸基価70(KOHmg/g)以上の樹脂が含有される(当初用いられる)が、水酸基価70(KOHmg/g)以上の樹脂としては、アクリルポリオール樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリウレタンポリオール樹脂などが用いられるが、特に発色の安定性が良好で、消色性が良好であることから、アクリルポリオール樹脂が好ましく用いられる。水酸基価としては70(KOHmg/g)以上であり、特に好ましくは90(KOHmg/g)以上である。水酸基価の大小は架橋密度に影響するため塗膜の耐化学薬品性、物性などを左右する。本発明者らは、水酸基価が70(KOHmg/g)以上で耐久性、塗膜表面硬度、ワレ抵抗性が向上することを見い出した。水酸基価70(KOHmg/g)以上の樹脂が用いられた可逆性感熱記録材料であるか否かは、残存水酸基の量やエーテル結合の量を分析すること等により確認することができる。
【0058】
また、アクリルポリオール樹脂においては構成の違いによってその特性に違いがあり、水酸基モノマーとしてヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、2−ヒドロキシブチルモノアクリレート(2−HBA)、1,4―ヒドロキシブチルモノアクリレート(1−HBA)などが用いられるが、特に第1級水酸基をもつモノマーを使用した方が塗膜のワレ抵抗性や耐久性が良いことから、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましく用いられる。
【0059】
本発明に用いられる硬化剤としては、従来公知のイソシアネート類、アミン類、フェノール類、エポキシ化合物等が挙げられる。その中でもイソシアネート系硬化剤が好ましく用いられる。ここで用いられるイソシアネート系化合物は、公知のイソシアネート単量体のウレタン変性体、アロファネート変性体、イソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、カルボジイミド変性体、ブロックドイソシアネートなどの変性体から選択される。また、変性体を形成するイソシアネート単量体としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソプロピリデンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(IPC)、シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、等が挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0060】
更に、架橋促進剤としてこの種の反応に用いられる触媒を用いてもよい。架橋促進剤としては、例えば1,4−ジアザ−ビシクロ[2,2,2]オクタンなどの3級アミン類、有機すず化合物などの金属化合物などが挙げられる。また、硬化剤は添加した全量が架橋反応をしていても、していなくても良い。すなわち、未反応硬化剤が存在していても良い。この種の架橋反応は経時的に進行するため、未反応の硬化剤が存在していることは架橋反応が全く進行していないことを示すのではなく、未反応の硬化剤が検出されたとしても、架橋状態にある樹脂が存在しないということにはならない。また、本発明におけるポリマーが架橋状態にあるのか非架橋状態にあるのかを区別する方法として、塗膜を溶解性の高い溶媒中に浸すことによって区別することができる。すなわち、非架橋状態にあるポリマーは、溶媒中に該ポリマーが溶け出し溶質中には残らなくなるため、溶質のポリマー構造の有無を分析すればよい。そこで、溶質中にポリマー構造の存在が確認できなければ、該ポリマーは非架橋状態にあることが言え、架橋状態のポリマーと区別することができる。ここでは、これをゲル分率で表わすことができる。
【0061】
ゲル分率とは、溶媒中で樹脂溶質が相互作用により独立運動性を喪失して集合し個化した状態(ゲル)を生じるときのそのゲルの生成比率をいう。該樹脂は、ゲル分率が30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、80%以上がより特に好ましい。ゲル分率が小さいと繰り返し耐久性が低下するので、ゲル分率を向上させるには、樹脂中に熱、UV、EB等によって硬化する硬化性樹脂を混合するか、樹脂自身を架橋すればよい。
【0062】
ゲル分率測定方法としては、支持体より膜を剥離してその膜の初期重量を測定し、その後に膜を400メッシュ金網に挾んで、架橋前の樹脂が可溶な溶剤中に24時間浸してから真空乾燥して、乾燥後の重量を測定する。
ゲル分率計算は、下記式によって行なう。
ゲル分率(%)=[乾燥後重量(g)/初期重量(g)]×100
この計算でゲル分率を算出するときに、感熱層中の樹脂成分以外の有機低分子物質粒子等の重量を除いて計算を行なう。この際、予め有機低分子物質重量が分からないときには、TEM、SEM等の断面観察により、単位面積あたりに占める面積比率と樹脂と有機低分子物質のそれぞれの比重により重量比率を求めて、有機低分子物質重量を算出して、ゲル分率値を算出すればよい。
【0063】
また、上記測定の際に、支持体上に可逆性感熱記録層が設けられており、その上に保護層等の他の層が積層されている場合や、支持体と感熱層の間に他の層がある場合には、上記したように、まず上記したTEM、SEM等の断面観察により可逆性感熱記録層及びその他の層の膜厚を調べておき、その他の層の膜厚分の表面を削り、可逆性感熱記録層表面を露出させると共に、可逆性感熱記録層を剥離して前記測定方法と同様にゲル分率測定を行なえばよい。
【0064】
また、この方法において可逆性感熱記録層上層に紫外線硬化樹脂等からなる保護層等がある場合には、この層が混入するのを極力防ぐために、保護層分の膜厚分を削ると共に可逆性感熱記録層表面も少し削りゲル分率値への影響を防ぐ必要がある。
【0065】
本発明で用いられるロイコ染料の例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、ロイコ染料を単独または混合して用いることもできる。
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ(n−ブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソプロピル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−イソブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−sec−ブチル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−iso−アミル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−n−プロピル−N−イソプロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリフルロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(m−トリクロロメチルアニリノ)−3−メチル−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−(2,4−ジメチルアニリノ)−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−(N−エチル−p−トルイジノ)−3−メチル−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アニリノ−6−(N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2,3−ジメチル−6−ジメチルアミノフルオラン、3−メチル−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−ブロモ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−6−ジプロピルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ブロモ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−クロロ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(m−トリフロロメチルアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(2,3−ジクロロアニリノ)−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−(m−トリフロロメチルアニリノ)フルオラン、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(4−N−n−アミル−N−メチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−(1−メチル−2−メチルインドール−3−イル)−3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−7−アザフタリド。
【0066】
本発明で用いる発色剤は前記のフルオラン化合物、アザフタリド化合物の他に、従来公知のロイコ染料を単独または混合して使用することができる。その発色剤を以下に示す。
2−(p−アセチルアニリノ)−6−(N−n−アミル−N−n−ブチルアミノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ベンジルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(ジ−p−メチルベンジルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−(α−フェニルエチルアミノ)−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−メチルアミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−エチルアミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジメチルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジエチルアミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−ジプロピルアミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−トルイジノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−エチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−2,4−ジメチルアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−メチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−エチル−p−クロロアニリノ)フルオラン、2−アミノ−6−(N−プロピル−p−クロロアニリノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)フルオラン、1,2−ベンゾ−6−(N−エチル−N−トルイジノ)フルオラン、その他。
【0067】
本発明の可逆性感熱記録媒体には、必要に応じて記録層の塗布特性や発色消色特性を改善したり制御するための添加剤を用いることができる。これらの添加剤には、たとえば界面活性剤、導電剤、充填剤、酸化防止剤、光安定化剤、発色安定化剤などがある。
【0068】
発色剤と顕色剤の割合は、使用する化合物の組み合わせにより適切な範囲が変化するが、おおむねモル比で発色剤1に対し顕色剤が0.1〜20の範囲であり、好ましくは0.2〜10の範囲である。この範囲より顕色剤が少なくても多くても発色状態の濃度が低下し問題となる。また、消色促進剤の割合は顕色剤に対し0.1重量%〜300重量%が好ましく、より好ましくは3重量%〜100重量%が好ましい。また、発色剤と顕色剤はマイクロカプセル中に内包して用いることもできる。可逆性感熱記録層中の発色成分と樹脂の割合は、発色成分1に対して0.1〜10が好ましく、これより少ないと可逆性感熱記録層の熱強度が不足し、これより多い場合には発色濃度が低下して問題となる。
【0069】
記録層の形成には、前記の顕色剤、発色剤、種々の添加剤、硬化剤及び架橋状態にある樹脂ならびに塗液溶媒よりなる混合物を均一に混合分散させて調製した塗液を用いる。
塗液調製に用いられる溶媒の具体例としては水;メタノール、エタノール、イソプロパノール,n−ブタノール、メチルイソカルビノールなどのアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどのエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネートなどのエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類等を例示することができる。
【0070】
塗液調製はペイントシェーカー、ボールミル、アトライター、三本ロールミル、ケディーミル、サンドミル、ダイノミル、コロイドミル等公知の塗液分散装置を用いて行なうことができる。また、上記塗液分散装置を用いて各材料を溶媒中に分散しても良いし、各々単独で溶媒中に分散して混ぜ合わせても良い。更に加熱溶解して急冷または除冷によって析出させても良い。
【0071】
記録層を設ける塗工方法については特に制限はなく、ブレード塗工、ワイヤーバー塗工、スプレー塗工、エアナイフ塗工、ビード塗工、カーテン塗工、グラビア塗工、キス塗工、リバースロール塗工、ディップ塗工、ダイ塗工等公知の方法を用いることができる。
【0072】
本発明の可逆性感熱記録媒体の支持体としては紙、樹脂フィルム、PETフィルム、合成紙、金属箔、ガラスまたはこれらの複合体などであり、記録層を保持できるものであればよい。また、必要に応じた厚みのものを単独あるいは貼り合わせる等して用いることができる。すなわち、数μm程度から数mm程度まで任意の厚みの支持体が用いられる。また、これらの支持体は可逆性感熱記録層と同一面および/または反対面に磁気記録層を有していても良い。また、本発明の可逆性感熱記録媒体は粘着層等を介して、他の媒体へ貼り付けても良い。あるいは、PETフィルムなどの支持体の片面にバックコート層を設け、該バックコート層の反対面に熱転写リボンに用いられる剥離層、剥離層上に本発明の感熱記録層、更に表面上に紙、樹脂フィルム、PETフィルムなどに転写できる樹脂層を設け熱転写プリンターを用いて転写させても良い。本発明の可逆性感熱記録媒体は、シート状あるいはカード状に加工されていても良く、その形状は任意の形状に加工することができ、また、媒体表面への印刷加工を施すことができる。また、本発明の可逆性感熱記録媒体は、非可逆の感熱記録層を併用しても良く、このときそれぞれの記録層の発色色調は同じでも異なっても良い。
【0073】
記録層の乾燥・硬化方法は塗布・乾燥後、必要に応じて硬化処理を行なう。高温槽等を用いて比較的高温で短時間でも良く、また、比較的低温で長時間かけて熱処理しても良い。架橋反応の具体的な条件としては反応性の面から30℃〜130℃程度の温度条件で1分〜150時間程度加温することが好ましい。より好ましくは40℃〜100℃の温度条件で2分〜120時間程度加温することが好ましい。また、製造では生産性を重視するので、架橋が充分完了するまで時間をかけるのは困難である。したがって、乾燥過程とは別に架橋工程を設けてもよい。架橋工程の条件としては40℃〜100℃の温度条件で2分〜120時間程度加温することが好ましい。
可逆性感熱記録層の膜厚は1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは3〜15μmである。
【0074】
可逆性感熱記録層と保護層の接着性向上、保護層の塗布による記録層の変質防止、保護層に含まれる添加剤が記録層へ移行する、あるいは、記録層に含まれる添加剤が保護層へ移行することを防止する目的で、両者の間に中間層を設けても良い。中間層の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜10μmである。中間層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、バインダー、塗工方法、乾燥・硬化方法等は上記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
【0075】
保護層の形成において、保護層の膜厚は0.1〜20μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜10μmである。保護層の塗液に用いられる溶媒、塗液の分散装置、バインダー、塗工方法、乾燥・硬化方法等は上記記録層で用いられた公知の方法を用いることができる。
【0076】
可逆性感熱記録層、中間層、保護層には紫外線吸収性能または紫外線遮蔽性能を有しない他のフィラーを添加しても良く、フィラーとしては無機フィラーと有機フィラーに分けることができる。無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸、含水ケイ酸、含水ケイ酸アルミニウム、含水ケイ酸カルシウム、アルミナ、酸化鉄、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化マンガン、シリカ、タルク、マイカ、等が挙げられる。有機フィラーとしては、シリコーン樹脂、セルロース樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、スチレン、ポリスチレン、ポリスチレン・イソプレン、スチレンビニルベンゼンなどのスチレン系樹脂、塩化ビニリデンアクリル、アクリルウレタン、エチレンアクリルなどのアクリル系樹脂、ポリエチレン樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒドなどのホルムアルデヒド系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。本発明ではフィラーを単独で用いることもできるが、2種類以上含まれていても良い。複数の場合、無機フィラーと有機フィラーの組み合わせ方について特に限定はされない。また、形状としては球状、粒状、板状、針状等が挙げられる。保護層中のフィラーの含有量は体積分率で5〜50体積%である。
【0077】
可逆性感熱記録層、中間層、保護層に滑剤を添加しても良く、滑剤の具体例としては、エステルワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス類:硬化ひまし油等の植物性ワックス類:牛脂硬化油等の動物性ワックス類:ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類:マルガリン酸、ラウリン酸、ミスチレン酸、パルミチル酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、フロメン酸等の高級脂肪酸類:ソルビタンの脂肪酸エステルなどの高級脂肪酸エステル類:ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド等のアミド類などが挙げられる。層中の滑剤の含有量は体積分率で0.1〜95%、より好ましくは1〜75%である。
【0078】
本発明の可逆性感熱記録媒体は、加熱温度および/または加熱後の冷却速度により相対的に発色した状態と消色した状態を形成しうるものである。この本発明に用いられる発色剤と顕色剤からなる組成物の基本的な発色・消色現象を説明する。図1はこの記録媒体の発色濃度と温度との関係を示したものである。はじめ消色状態(A)にある記録媒体を昇温していくと、溶融し始める温度Tで発色が起こり溶融発色状態(B)となる。溶融発色状態(B)から急冷すると発色状態のまま室温に下げることができ、固まった発色状態(C)となる。この発色状態が得られるかどうかは、溶融状態からの降温の速度に依存しており、徐冷では降温の過程で消色が起き、はじめと同じ消色状態(A)あるいは急冷発色状態(C)より相対的に濃度の低い状態が形成される。一方、急冷発色状態(C)をふたたび昇温していくと発色温度より低い温度Tで消色が起き(DからE)、ここから降温するとはじめと同じ消色状態(A)に戻る。実際の発色温度、消色温度は、用いる顕色剤と発色剤の組み合わせにより変化するので目的に合わせて選択できる。また溶融発色状態の濃度と急冷したときの発色濃度は、必ずしも一致するものではなく、異なる場合もある。
【0079】
本発明の記録媒体では、溶融状態から急冷して得た発色状態(C)は顕色剤と発色剤が分子どうしで接触反応しうる状態で混合された状態であり、これは固体状態を形成していることが多い。この状態は顕色剤と発色剤が凝集して発色を保持した状態であり、この凝集構造の形成により発色が安定化していると考えられる。一方、消色状態は両者が相分離した状態である。この状態は少なくとも一方の化合物の分子が集合してドメインを形成したり結晶化した状態であり、凝集あるいは結晶化することにより発色剤と顕色剤が分離して安定化した状態であると考えられる。本発明では多くの場合、両者が相分離し顕色剤が結晶化することによってより完全な消色が起きる。図1に示した溶融状態から徐冷による消色および発色状態からの昇温による消色は、いずれもこの温度で凝集構造が変化し、相分離や顕色剤の結晶化が起きている。
【0080】
本発明の可逆性感熱記録ラベルは、上述した可逆性感熱記録媒体を構成する支持体の感熱層を形成する面と反対の面に、接着剤層又は粘着剤層を設けたものである。この可逆性感熱記録ラベルには、接着剤層又は粘着剤層を形成したもの(無剥離紙型)と、その接着剤層又は粘着剤層の下に剥離紙をつけるもの(剥離紙型)とがあり、接着剤層を構成する材料としては、ホットメルト型のものが通常用いられる。
【0081】
接着剤層又は粘着剤層の材料は、一般的に用いられているものが使用可能である。例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、酢ビ系樹脂、酢酸ビニル−アクリル系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アクリル酸エステル系共重合体、メタクリル酸エステル系共重合体、天然ゴム、シアノアクリレート系樹脂、シリコン系樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
次に、情報記憶部と可逆表示部を有し、該可逆表示部として上述の可逆性感熱記録媒体を構成する感熱層からなる部材について説明する。
この情報記憶部と可逆表示部を有する部材としては、次の3つのものに大別できる。
(1)情報記録部を有する部材の一部を可逆性感熱記録媒体の支持体として、感熱層を直接形成したもの。
(2)情報記録部を有する部材に、別途形成された、支持体上に感熱層を有する可逆性感熱記録媒体の支持体面を接着したもの。
(3)情報記録部を有する部材に、前記可逆性感熱記録ラベルが接着剤層又は粘着剤層を介して、接着されたもの。
これら(1)(2)(3)場合、情報記憶部と可逆表示部のそれぞれの機能が発揮できるよう設定されることが必要であり、そうであれば情報記憶部の設定位置は、熱可逆性記録媒体における支持体の感熱層を設けた面と反対側の面に設けることも、支持体と感熱層との間でも、あるいは感熱層上の一部に設けることもできる。
【0083】
この情報記録部を有する部材として用いられるものは、特に限定されないが、一般的にはカード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットがある。
これらの例として次のようなものを挙げることができる。
ICカードや光カード等の厚手カード、フレキシブルディスク、光磁気記録ディスク(MD)やDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスク、CD−R等の追記型ディスク、相変化形記憶材料を用いた光情報記録媒体(CD−RW)、ビデオテープカセット等、この可逆表示部と情報記憶部の双方を有する部材は、例えばカードの場合で説明すると、情報記憶部に記憶された情報の一部を可逆性感熱記録層に表示することによって、カード所有者等は、特別な装置がなくてもカードを見るのみで情報を確認することができて、可逆性感熱記録媒体を適用しないカードに比べてその利便性が非常に向上することになる。
【0084】
情報記憶部は、必要な情報を記憶できるものでありさえすれば特に限定されないが、例えば、磁気記録、接触型IC、非接触型ICあるいは光メモリが有用である。磁気記録層は、通常用いられる酸化鉄、バリウムフェライト等のような金属化合物及び塩ビ系、ウレタン系及びナイロン系のような樹脂等を用いて支持体に塗工形成するか、または樹脂を用いず前記の金属化合物を用いて蒸着、スパッタリング等の方法により形成される。また、表示に用いる可逆性感熱記録媒体における可逆性感熱記録層をバーコード、2次元コード等のようなやり方で記憶部として用いることもできる。
【0085】
前記(3)の可逆性感熱記録ラベルを用いる例として、磁気ストライプ付塩化ビニル製カード等のように、支持体として可逆性感熱記録層の塗布が困難な厚手のもの場合には、その全面又は一部に接着剤層又は粘着剤層を設けることができる。こうすることによって、磁気に記憶された情報の一部を表示することができる等、この媒体の利便性を向上できる。
この接着剤層又は粘着剤層を設けた可逆性感熱記録ラベルとしては、上記の磁気付塩ビカードだけでなく、ICカードや光カード等の厚手カードにも適用できる。
【0086】
また、この可逆性感熱記録ラベルは、フレキシブルディスク、MDやDVD−RAM等の記憶情報が書換可能なディスクを内蔵したディスクカートリッジ上の表示ラベルの代わりとして用いることができる。図2に、可逆性感熱記録ラベルをMDのディスクカートリッジ上に貼った例を示す。さらに、CD−RW等のディスクカートリッジを用いないディスクの場合には、直接ディスクに可逆性感熱記録ラベルを貼ることや、直接ディスク上に可逆性感熱記録層を設けることもできる。こうすることによって、それらの記憶内容の変更に応じて自動的に表示内容を変更する等の用途への応用が可能である。
【0087】
図3に、可逆性感熱記録ラベルをCD−RW上に貼った例を示す。
本発明の可逆性感熱記録ラベルは、CD−Rなどの追記型ディスク上に可逆性感熱記録ラベルを貼って、CD−Rに追記した記憶情報の一部を書換え表示することも可能である。
さらに、図4に示すように、ビデオテープカセットの表示ラベルとして用いてもよい。
【0088】
厚手カード、ディスクカートリッジ、ディスク上に熱可逆記録機能を設ける方法としては、上記の可逆性感熱記録ラベルを貼る方法以外に、それらの上に可逆性感熱記録層を直接塗布する方法や、予め別の支持体上に可逆性感熱記録層を形成しておき、厚手カード、ディスクカートリッジ、ディスク上に該感熱記録層を転写する方法等がある。
転写する場合には、可逆性感熱記録層上にホットメルトタイプ等の接着層や粘着層を設けておいてもよい。
厚手カード、ディスク、ディスクカートリッジ、テープカセット等のように剛直なものの上に可逆性感熱記録ラベルを貼着したり、可逆性感熱記録層を設ける場合には、サーマルヘッドとの接触性を向上させ、画像を均一に形成するために弾力があり、クッションとなる層又はシートを剛直な基体とラベル又は可逆性感熱記録層の間に設けることが好ましい。
【0089】
本発明は、さらに、上記可逆性感熱記録媒体、上記情報記憶部を有する部材又は上記ラベルを用い、加熱により画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法及び上記可逆性感熱記録媒体、上記情報記憶部を有する部材又は上記ラベルを有し、加熱により画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理装置を提供する。
【0090】
画像の形成は、サーマルヘッド、レーザ等、該媒体を画像上に部分的に加熱可能である画像記録手段が用いられる。画像の消去は、ホットスタンプ、セラミックヒータ、ヒートローラ、熱風等やサーマルヘッド、レーザ等の画像消去手段が用いられる。この中では、セラミックヒータが好ましく用いられる。セラミックヒータを用いることにより、装置が小型化でき、かつ安定した消去状態が得られ、コントラストのよい画像が得られる。セラミックヒータの設定温度は、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、115℃以上がさらに好ましい。
【0091】
また、画像消去手段としてサーマルヘッドを用いることにより、さらに装置全体の小型化が可能となり、また、消費電力を低減することが可能であり、バッテリー駆動のハンディタイプの装置も可能となる。形成用と消去用を兼ねて一つのサーマルヘッドとすれば、さらに小型化が可能となる。一つのサーマルヘッドで形成と消去を行なう場合、一度前の画像を全部消去した後、あらためて新しい画像を形成してもよく、画像毎にエネルギーを変えて一度に前の画像を消去し、新しい画像を形成していくオーバーライト方式も可能である。オーバーライト方式では、形成と消去を合わせた時間が少なくなり、記録のスピードアップにつながる。
可逆性感熱記録層と情報記憶部を有するカードを用いる場合、上記の装置には、情報記憶部の記憶を読み取る手段と書き換える手段も含まれる。
【0092】
図5に、本発明の画像処理装置の例を示す。図5は、本発明により画像の消去をセラミックヒータで、画像の形成をサーマルヘッドでそれぞれ行なう場合の装置の概略例を示す。
図5の画像処理装置においては、最初、記録媒体の磁気記録層に記憶された情報を磁気ヘッドで読み取り、次に、セラミックヒータで可逆性感熱記録層に記録された画像を加熱消去し、さらに、磁気ヘッドで読み取られた情報をもとにして、処理された新たな情報がサーマルヘッドにより、逆性感熱層に記録される。その後、磁気記録層の情報も新たな情報に書き替えられる。
【0093】
すなわち、図5の画像処理装置においては、感熱層の反対側に磁気記録層を設けた熱可逆性記録媒体は往復の矢印で図示されている搬送路に沿って搬送され、又は搬送路に沿って装置内を逆方向に搬送される。
熱可逆性記録媒体は、磁気ヘッド(34)と搬送ローラ(40)間で磁気記録層に磁気記録又は記録消去され、セラミックヒータ(38)と搬送ローラ(40)間で像消去のため加熱処理され、サーマルヘッド(53)及び搬送ローラ(47)間で像形成され、その後、装置外に搬出される。ただし、磁気記録の書き替えは、セラミックヒータによる画像消去の前であっても後であってもよい。また、所望により、セラミックヒータ(38)と搬送ローラ(40)間を通過後、又はサーマルヘッド(53)及び搬送ローラ(47)間を通過後、搬送路を逆方向に搬送され、セラミックヒータ(38)による再度の熱処理、サーマルヘッド(53)による再度の印字処理を施すことができる。
【0094】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例中の「部」および「%」はいずれも重量を基準とするものである。
実施例1
<可逆性感熱記録層の作製>
2−アニリノ−3−メチル−6ジブチルアミノフルオラン   2部
下記構造の顕色剤                     8部
【0095】
【化33】
Figure 2004001427
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体             20部
(ユニオンカーバイト社製、VYHH)
N,N’−ジオクタデシル尿素             0.4部
メチルエチルケトン                   90部
上記組成物をボールミルを用いて平均粒径0.1〜3μmまでなるように粉砕分散した。得られた分散液で可逆性感熱記録層塗布液を調製した。
上記組成の該記録層塗布液を、厚さ約250μmの磁気層付き白色PETフィルム(大日本インキ製)上にワイヤーバーを用い塗布し、115℃1分で乾燥した後、60℃36時間加熱して、膜厚約11.0μmの可逆性感熱記録層を設けた。この感熱記録層の樹脂のゲル分率は約92%であった。
【0096】
実施例2
3−(4−ジエチニルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−
(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
2部
下記構造の顕色剤                     8部
【0097】
【化34】
Figure 2004001427
アクリルポリオール樹脂の15%メチルエチルケトン(MEK)溶液
150部
(水酸基価:133、酸価:6.5、分子量:7000、
ガラス転移温度:34℃)
上記の可逆性感熱記録層分散液を用いた他は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録層を設けた。この感熱記録層の樹脂のゲル分率は約89%であった。
【0098】
実施例3
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン   2部
下記構造の顕色剤                      8部
【0099】
【化35】
Figure 2004001427
アクリルポリオール樹脂の15%THF溶液        150部
(水酸基価:70、酸価:1.0未満、分子量:35000、
ガラス転移温度:52℃、
水酸基モノマー:2−ヒドロキシエチルメタクリレート)
コロネートHL                      10部
上記の可逆性感熱記録層分散液を用いたほかは、実施例1と同様にして可逆性感熱記録層を設けた。この感熱記録層の樹脂のゲル分率は約89%であった。
【0100】
実施例4
3−(4−ジエチニルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−
(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
2部
下記構造の顕色剤                      8部
【0101】
【化36】
Figure 2004001427
ポリエステル樹脂の15%THF溶液           150部
(水酸基価:166、酸価:2.2)
コロネートHL                      10部
下記構造の消色促進剤                    8部
【0102】
【化37】
Figure 2004001427
上記の可逆性感熱記録層分散液を用いたほかは、実施例1と同様にして可逆性感熱記録層を設けた。この感熱記録層の樹脂のゲル分率は約89%であった。
さらに、可逆性感熱記録層上に下記組成からなる保護層塗液をワイヤーバーを用いて塗工した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を12m/分の搬送速度で通し、硬化して膜厚3μmの保護層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0103】
<保護層の作製>
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂
(大日本インキ社製C7−157)           10部
シリカ(水沢化学社製、P−527)           1.5部
酢酸エチル                        90部
【0104】
実施例5
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン   2部
下記構造の顕色剤                      8部
【0105】
【化38】
Figure 2004001427
ポリn−ブチルメタクリレート樹脂(三菱レーヨン社製BR102)
150部
コロネートHL                      10部
下記構造の消色促進剤                    8部
【0106】
【化39】
Figure 2004001427
上記の可逆性感熱記録層分散液を用いたほかは、実施例1と同様にして可逆性感熱記録層を設けた。この感熱記録層の樹脂のゲル分率は約89%であった。
また、実施例4と同様にして保護層を設けた。
【0107】
実施例6
アクリルポリオール樹脂の15%メチルエチルケトン(MEK)溶液
150部
(水酸基:108、酸価:1.0未満、分子量:107800、
ガラス転移温度:80℃、
水酸基モノマー:2−ヒドロキシエチルメタクリレート)
コロネートHL                      10部
上記以外は実施例1と同様に可逆性感熱記録層を設けた。この感熱記録層の樹脂のゲル分率は約89%であった。
この記録層上に下記組成からなる中間層塗液をワイヤーバーを用いて塗布し、90℃で1分乾燥した後、60℃で1時間加熱して膜厚約2μmの中間層を設けた。
【0108】
<中間層の作成>
ポリエステルポリオール樹脂
(武田薬品工業社製タケラックU−21)の
10%メチルエチルケトン(MEK)溶液       100部
酸化亜鉛(住友大阪セメント)              10部
コロネートHL                     15部
さらに、中間層上に実施例4と同様にして保護層を設けた。
【0109】
実施例7
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン   2部
下記構造の顕色剤                      8部
【0110】
【化40】
Figure 2004001427
アクリルポリオール樹脂の15%メチルエチルケトン(MEK)溶液
150部
(水酸基:100、酸価:1.0未満、分子量:107800、
ガラス転移温度:80℃、
水酸基モノマー:2−ヒドロキシエチルメタクリレート)
コロネートHL                      25部
上記以外は実施例1と同様に可逆性感熱記録層を設けた。この感熱記録層の樹脂のゲル分率は約89%であった。
【0111】
実施例8
3−(4−ジエチニルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−
(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド
2部
下記構造の顕色剤                     10部
【0112】
【化41】
Figure 2004001427
ポリn−ブチルメタクリレート樹脂(三菱レーヨン社製BR102)
150部
コロネートHL                      10部
下記構造の消色促進剤                    8部
【0113】
【化42】
Figure 2004001427
上記以外は実施例1と同様に可逆性感熱記録層を設けた。この感熱記録層の樹脂のゲル分率は約89%であった。
また、実施例6と同様にして中間層、保護層を設けた。
【0114】
実施例9
実施例7の可逆性感熱記録層を用い、実施例6と同様にして中間層、保護層を設けた。
【0115】
実施例10
下記構造の顕色剤8部を用いた以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0116】
【化43】
Figure 2004001427
【0117】
実施例11
下記構造の顕色剤8部を用いた以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0118】
【化44】
Figure 2004001427
【0119】
実施例12
下記構造の顕色剤8部を用いた以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0120】
【化45】
Figure 2004001427
【0121】
比較例1
下記構造の顕色剤8部を用いた以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0122】
【化46】
Figure 2004001427
【0123】
比較例2
下記構造の顕色剤8部を用いた以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0124】
【化47】
Figure 2004001427
【0125】
比較例3
下記構造の顕色剤8部を用いた以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。これら比較例1〜3の感熱記録層の樹脂のゲル分率は、いずれも80%以上であった。
【0126】
【化48】
Figure 2004001427
【0127】
以上の様に作製した記録媒体を大倉電気社製感熱印字装置にて、8ドット/mmのサーマルヘッドによって電圧13.3V、パルス幅1.2m秒で印字し、東洋精機社製熱傾斜試験機で110℃、1秒の条件で消色して、この印字部および消去部および地肌部の光学濃度をマクべス濃度計RD−914を使用し測定した。これを常温常湿(22℃、60%RH)及び高温高湿(35℃、85%RH)環境下において印字と消去を行なった。
【0128】
また、前記の印字・消去を常温常湿環境下50回繰り返し、画像濃度の状態と記録媒体表面の状態を目視で観察して下記のランクで評価した。
ランク1:画像部は良好な発色状態で、打こんもみられなかった。
ランク2:画像部の状態はないが、やや打こんがみられた。
ランク3:画像部の発色が不均一で、打こんも発生した。
ランク4:画像部の発色状態が極めて悪く、激しく打こんが発生した。
以上の結果を下記表15に示した。
【0129】
【表15】
Figure 2004001427
【0130】
実施例1〜12に関しては、いずれの環境下でも湿度の影響に関係なく、発色濃度及び消色濃度が安定している。また、耐久性試験に関しても印字濃度の低下及び消色濃度の上昇がほとんどなく、打痕もない良好な状態であった。
【0131】
実施例13
<可逆性感熱記録層の作製>
下記組成物をボールミルを用いて粒径1〜4μmまで粉砕分散した。
〔A液〕
2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン  2部
下記の構造の顕色剤                    8部
【0132】
【化49】
Figure 2004001427
下記の構造の発色消色制御剤                2部
【化50】
1735CONHC1835
アクリルポリオール樹脂の15%メチルエチルケトン(MEK)溶液
(水酸基価:133、酸価:6.5、分子量:7000、
ガラス転移温度:34℃)             150部
得られた分散液に日本ポリウレタン社製コロネードHL(アダクト型ヘキサメチレンジイソシアネート75%酢酸エチル溶液)10部を加え、良く撹拌し記録層塗布液を調製した。上記組成の記録層塗布液を、厚さ約250μmの磁気層付き白色PETフィルム(大日本インキ製)上にワイヤーバーを用い塗布し、115℃1分で乾燥した後、60℃36時間加熱して、膜厚約11.0μmの可逆性感熱記録層を設けた。この感熱記録層の樹脂のゲル分率は約90%であった。
この記録層上に下記組成よりなる中間層液をワイヤーバーを用い塗布し、90℃1分で乾燥した後、60℃2時間加熱して、膜厚約2.0μmの中間層を設けた。更に、下記組成よりなる保護層液をワイヤーバーを用いて塗工した後、照射エネルギー80W/cmの紫外線ランプ下を12m/分の搬送速度で通して硬化して膜厚3μmの保護層を設け、本発明の可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0133】
中間層液
ポリエステルポリオール樹脂
(武田薬品工業社製タケラックU−21)の
10%メチルエチルケトン(MEK)溶液       100部
酸化亜鉛(住友大阪セメント)              10部
コロネートHL                     15部
保護層液
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂         10部
シリカ(水沢化学社製P−527)           1.5部
(大日本インキ社製C7−157)
酢酸エチル                       90部
【0134】
実施例14〜25
表16に示す構造の消色促進性化合物を用いた以外は、実施例13と同様にして可逆性感熱記録媒体を作成した。
【0135】
【表16】
Figure 2004001427
【0136】
実施例26
下記構造の顕色剤8部を用いた以外は、実施例13同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0137】
【化51】
Figure 2004001427
【0138】
実施例27
下記構造の顕色剤8部を用いた以外は、実施例13同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0139】
【化52】
Figure 2004001427
【0140】
実施例28
下記構造の顕色剤8部を用いた以外は、実施例13と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0141】
【化53】
Figure 2004001427
【0142】
比較例4
下記構造の顕色剤8部を用いた以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0143】
【化54】
Figure 2004001427
【0144】
比較例5
下記構造の顕色剤8部を用いた以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0145】
【化55】
Figure 2004001427
【0146】
比較例6
下記構造の顕色剤8部を用いた以外は、実施例1と同様にして可逆性感熱記録媒体を作製した。
【0147】
【化56】
Figure 2004001427
【0148】
以上の様に作製した可逆性感熱記録媒体を松下電子部品社製EUX−ET8A9AS1端面型サーマルヘッド(抵抗値1152オーム)を用いた八城製作所製感熱印字シュミレーターを用いて、下記の条件で印字及び消去を行ない、印字部、消去部、地肌部の光学濃度をマクベス濃度計RD−914を用いて測定した。
消し残り濃度=消去後の画像部の濃度−地肌濃度
評価条件:パルス幅2ms、ライン周期2.86ms、印字速度43.10mm/s、副走査密度8dot/mm
これを常温常湿(22℃、60%RH)及び高温高湿(35℃、85%RH)環境下において印字と消去を行なった。
また、前記の印字・消去を常温常湿環境下10回繰り返し、画像濃度の状態と記録媒体表面の状態を目視で観察して下記のランクで評価した。
ランク1:画像部は良好な発色状態で、打こんもみられなかった。
ランク2:画像部の状態はないが、やや打こんがみられた。
ランク3:画像部の発色が不均一で、打こんも発生した。
ランク4:画像部の発色状態が極めて悪く、激しく打こんが発生した。
以上の結果を下記表17に示した。
【0149】
【表17】
Figure 2004001427
【0150】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明より明らかなように、本発明の可逆性感熱記録媒体は、発色濃度および消色濃度が湿度に影響されず、高コントラストに優れ、かつ繰り返し使用によっても記録媒体への打こんの発生や濃度変化の少ない、耐久性が良好な可逆性感熱記録媒体を提供することができる。更に、サーマルヘッドでの消色が可能な高速消色に優れた可逆性感熱記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可逆性感熱発色組成物の発色・消色特性を示す図である。
【図2】可逆性感熱記録ラベルをMDのディスクカートリッジ上に貼った例を示す図である。
【図3】可逆性感熱記録ラベルをCD−RW上に貼った例を示す図である。
【図4】ビデオテープカセットの表示ラベルとして用いた例を示す図である。
【図5】本発明の画像処理装置の例を示す図である。
【符号の説明】
34 磁気ヘッド
38 セラミックヒータ
40 搬送ローラ
47 搬送ローラ
53 サーマルヘッド

Claims (21)

  1. 支持体上に電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物を用い、加熱温度および/または加熱後の冷却速度の違いにより相対的に発色した状態を形成しうる可逆性感熱組成物を含有する可逆性感熱記録層を有する可逆性感熱記録媒体であって、該電子受容性化合物が下記一般式(1)で表わされるフェノール化合物であり、かつ該可逆性感熱記録媒体を35℃±2℃、相対湿度70%以上90%以下の環境で印字したときの発色濃度が0.80以上で消色濃度が0.15以下であることを特徴とする可逆性感熱記録媒体;
    Figure 2004001427
    (式中、nは1〜3の整数を示し、XはN原子またはO原子を含む2価の基を表わす。また、Rは置換基を有していてもよい炭素数2以上の脂肪族炭化水素基を表わし、Rは炭素数1以上14以下の脂肪族炭化水素基を表わす。)
  2. 前記電子受容性化合物が、一般式(1)において、Rが炭素数10以上16以下、およびRが炭素数8以上14以下の脂肪族炭化水素基を有するフェノール化合物であることを特徴とする請求項1に記載の可逆性感熱記録媒体。
  3. 前記電子受容性化合物が、一般式(1)中、Xが尿素基であるフェノール化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の可逆性感熱記録媒体。
  4. 前記可逆性感熱記録層が架橋状態にある樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
  5. 前記可逆性感熱記録層中に含有される樹脂が水酸基価70(KOHmg/g)以上であることを特徴とする請求項4に記載の可逆性感熱記録媒体。
  6. 前記可逆性感熱記録層中に含有される樹脂がアクリルポリオール樹脂であることを特徴とする請求項4又は5に記載の可逆性感熱記録媒体。
  7. 前記樹脂のゲル分率が30%以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱可逆性感熱記録媒体。
  8. 消色促進剤として、2級アミド基を有する化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
  9. 分子中に−NHCO−基、−OCONH−基を少なくともひとつ以上有する消色促進剤を更に含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
  10. 前記分子中に−NHCO−基、−OCONH−基を少なくともひとつ以上有する消色促進剤が、一般式(2)〜(8)で表わされる化合物のいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の可逆性感熱記録媒体;
    Figure 2004001427
    Figure 2004001427
    Figure 2004001427
    Figure 2004001427
    Figure 2004001427
    Figure 2004001427
    Figure 2004001427
    (式中R、R、Rは炭素数7以上22以下の直鎖アルキル基、分枝アルキル基、不飽和アルキル基を表わし、Rは炭素数1〜10の2価の官能基、Rは炭素数4〜10の3価の官能基を表わす。)
  11. 前記可逆性感熱記録層上に該感熱記録層を保護するための保護層を設け、該保護層が架橋状態にある樹脂を含有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体。
  12. 情報記憶部と可逆表示部を有し、該可逆表示部が少なくとも請求項1乃至11のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体からなるものであることを特徴とする情報記録部を有する部材。
  13. 前記情報記憶部と可逆表示部を有する部材が、カード、ディスク、ディスクカートリッジ又はテープカセットのいずれかであることを特徴とする請求項12に記載の情報記憶部を有する部材。
  14. 請求項1乃至11のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体を構成する支持体の可逆性感熱記録層を形成する面とは反対の面に、接着剤層又は粘着剤層を設けたことを特徴とする可逆性感熱記録ラベル。
  15. 請求項14に記載の可逆性感熱記録ラベルを用いた可逆表示部が設けられているものであることを特徴とする請求項12又は13に記載の情報記憶部を有する部材。
  16. 請求項1乃至11のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体、請求項14に記載の可逆性感熱記録ラベル、又は請求項12、13、15のいずれかに記載の情報記憶部と可逆表示部を有する部材が用いられ、該可逆表示部の可逆性感熱記録層を加熱することにより画像の形成及び/又は消去を行なうことを特徴とする画像処理方法。
  17. サーマルヘッドを用いて前記可逆表示部に画像を形成することを特徴とする請求項16に記載の画像処理方法。
  18. サーマルヘッド又はセラミックヒータを用いて画像を消去することを特徴とする請求項16に記載の画像処理方法。
  19. 請求項1乃至11のいずれかに記載の可逆性感熱記録媒体、請求項14に記載の可逆性感熱記録ラベル又は請求項12、13、15のいずれかに記載の情報記憶部と可逆表示部を有する部材を搭載し、画像の形成及び/又は消去を行なう手段を具備してなることを特徴とする画像処理装置。
  20. 画像の形成手段がサーマルヘッドであることを特徴とする請求項19に記載の画像処理装置。
  21. 画像の消去手段がサーマルヘッド又はセラミックヒーターであることを特徴とする請求項19に記載の画像処理装置。
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