JP2636362B2 - 車両のトラクションコントロール装置 - Google Patents

車両のトラクションコントロール装置

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JP2636362B2
JP2636362B2 JP23507188A JP23507188A JP2636362B2 JP 2636362 B2 JP2636362 B2 JP 2636362B2 JP 23507188 A JP23507188 A JP 23507188A JP 23507188 A JP23507188 A JP 23507188A JP 2636362 B2 JP2636362 B2 JP 2636362B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は車輪の駆動スリップ(ホイールスピン)を防
止する車両のトランクションコントロール装置に関する
ものである。
(従来の技術) 車両のトランクションコントロール装置の従来例とし
ては例えば特開昭60−56662号公報に記載の如く、車輪
の駆動スリップ発生時駆動車輪を制御して駆動スリップ
を減ずるようにしたものがある。
(発明が解決しようとする課題) しかし上記従来例においては、一方の駆動車輪のみに
駆動スリップが発生した際に駆動スリップ防止用の制動
が開始されると、これと同期して他方の駆動車輪、つま
り駆動スリップが発生していない駆動車輪にも同一内容
の制動が行われるため、例えば左右路面の摩擦係数μが
異なる路面を走行中駆動スリップ発生による低μ側車輪
に対する制動開始時、非駆動スリップの高μ側車輪に加
えられる制動力により高μ側車輪の駆動力は低μ側車輪
と同等にまで不所望に低下するため、加速感が損なわれ
てしまう。
本発明は非片効き側駆動車輪の制動の閾値を片効き側
駆動車輪の制動の閾値と関連させて変更することにより
上述した問題を解決することを目的とする。
(課題を解決するための手段) この目的のため本発明トランクションコントロール装
置は第1図に概念を示す如く、 エンジンからの動力により車輪を駆動して走行し、前
記車輪の駆動スリップ発生時左右駆動車輪に対し個別に
設けたトラクションコントロール用の制動手段により前
記車輪を制動して車輪の駆動スリップを防止するように
した車両において、 前記制動手段を作動させる閾値を左右駆動車輪に対し
個別に設定する閾値設定手段と、 前記制動手段による左右駆動車輪の一方の片効き制動
状態を検知する片効き制動状態検知手段と、 前記片効き制動状態検知手段による左右駆動車輪の一
方の片効き制動状態の検知時には、非片効き側駆動車輪
の閾値を片効き側駆動車輪の閾値よりも小さい値に変更
する閾値変更手段とを具備し、 変更後の閾値を用いて前記制動手段により他方の駆動
車輪に対する制動を行うようにしたことを特徴とするも
のである。
(作 用) 車両はエンジンからを動力により車輪を駆動して走行
する。ここで車輪が駆動スリップを発生すると、制動手
段は当該駆動車輪を制動し、これにより車輪の駆動スリ
ップを防止することができる。
一方、閾値設定手段は前記制動手段を作動させる閾値
を左右駆動車輪に対し個別に設定し、片効き制動状態検
知手段は前記制動手段による左右駆動車輪の一方の片効
き制動状態を検知し、閾値変更手段は前記片効き制動状
態検知手段による左右駆動車輪の一方の片効き制動状態
の検知時には非片効き側駆動車輪の閾値を片効き側駆動
車輪の閾値よりも小さい値に変更し、この変更後の閾値
を用いて前記制動手段により非片効き側駆動車輪に対す
る制動がなされる。よって、例えば左右路面の摩擦係数
μが異なる路面を走行中駆動スリップ発生による低μ側
車輪に対する片効き制動の開始時から遅延して開始され
る、非駆動スリップの高μ側車輪である非片効き側駆動
車輪の制動により、非片効き側駆動車輪に加えられる制
動力は常時適正値に保たれるから、左右駆動車輪に対し
同一内容の制動を行う従来例で生じていた問題である、
非片効き側駆動車輪の駆動力が片効き側駆動車輪と同等
にまで低下して加速感が損なわれる問題を解消すること
ができる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明す
る。
第2図は本発明トラクションコントロール装置の一実
施例を示すシステム図で1L,1Rは夫々左右従動輪(例え
ば左右前輪)、2L,2Rは夫々左右駆動輪(例えば左右後
輪)を示す。車両は車輪2L,2Rを図示せざるエンジンに
より駆動されることにより走行し、エンジンはスロット
ルバルブ4により出力を加減させるものとする。
スロットルバルブ4はステップモータ5により開閉
し、そのステップ数(スロットルバルブ4の開度)をト
ラクションコントロール中以外基本的には運転者が踏込
むアクセルペダル6の踏込量に対応したものにすべく制
御回路7により制御する。この目的のため、スロットル
バルブ4の開度、つまりモータ5のステップ数を検出す
るスロットルセンサ8からの信号THを制御回路7にフィ
ードバックし、アクセルペダル6の踏込量Accを検出す
るアクセルセンサ9からの信号を制御回路7に入力す
る。
制御回路7はマイクロコンピュータ10を具えると共
に、その入力側に関連してA/Dコンバータ11及びF/Vコン
バータ12を、又出力側に関連してステップモータ5用の
駆動回路13及びD/Aコンバータ14を夫々設ける。A/Dコン
バータ11はスロットル開度信号TH及びアクセル信号Acc
をアナログ−デジタル変換してマイクロコンピュータ10
に入力すると共に、F/Vコンバータ12により周波数−電
圧変換した電圧信号をデジタル信号に変換してマイクロ
コンピュータ10に入力する。
各車輪1L,1R,2L,2Rは、ブレーキペダル20の踏力に応
じたブレーキマスターシリンダ21からの液圧Pにより
作動されるホイールシリンダ22L,22R,23L,23Rを具え、
これらホイールシリンダの作動により対応車輪が個々に
制動されるものとする。しかして、駆動輪2L,2Rのブレ
ーキ液圧系には夫々トラクションコントロール用の液圧
制御弁24L,24Rを挿置する。これら液圧制御弁は夫々同
仕様、同構造のものとし、スプール25をばね26により図
示の左限位置に弾支し、プランジャ27をばね28により図
示の左限位置に弾支して構成する。
液圧制御弁24L,24Rは夫々、図示の状態でマスターシ
リンダ側の入力ポート29への液圧Pをそのままホイー
ルシリンダ側の出口ポート30より対応するホイールシリ
ンダに出力し、スプール25の右行時プランジャ27により
ポート29,30間を遮断すると共にホイールシリンダへの
液圧を上昇させ、スプール25の右行停止時ホイールシリ
ンダの上昇液圧を保持するものとする。
スプール25の上記右行及びその停止を室31内の圧力に
より制御し、この圧力を夫々電磁弁40L,40Rにより個別
に制御する。これら電磁弁も同様のものとし、ソレノイ
ド41のOFF時(A)で示すポート間接続位置となって室3
1をドレン回路42に通じると共にアキュムレータ43から
遮断し、ソレノイド41の小電流によるON時(B)で示す
ポート間接続位置となって室31をドレン回路42及びアキ
ュムレータ43の双方から遮断し、ソレノイド41の大電流
によるON時(C)で示すポート間接続位置となって室31
をドレン回路42から遮断すると艫にアキュムレータ43に
通じるものとする。
電磁弁40L,40Rの(A)位置で室31は無圧状態となっ
てスプール25を図示位置にし、電磁弁40L,40Rの(C)
位置で室31はアキュムレータ43の一定値Pcを供給されて
スプール25を図中右行させ、電磁弁40L,40Rの(B)位
置で室31は圧力の給排を中止されてスプール25をその時
の右行位置に保持する。
アキュムレータ43にはモータ44で駆動されるポンンプ
45からの油圧をチェック弁46を介して蓋圧し、アキュム
レータ43の蓄圧値が一定値Pcになる時、これを検出して
OFFする圧力スイッチ47からの信号を受けて制御回路7
がモータ44(ポンプ45)を停止させるものとする。この
目的のため圧力スイッチ47からの信号はマイクロコンピ
ュータ10に入力し、マイクロコンピュータ10からのモー
タ制御信号はD/Aコンバータ14によりアナログ信号に変
換してモータ44に供給する。
電磁弁40L,40Rのソレノイド41もマイクロコンピュー
タ10により駆動制御し、そのための制御信号をD/Aコン
バータ14によりアナログ信号に変換してソレノイド41に
供給する。
各車輪1L,1R,2L,2Rに夫々関連して車輪回転センサ50
L,50R,51L,51Rを設け、これらセンサは対応車輪の車輪
速VFL,VFR,VRL,VRRに対応した周波数のパルス信号を発
し、これらパルス信号をF/Vコンバータ12に供給する。F
/Vコンバータ12は各パルス信号をその周波数(車輪回転
数)に対応した電圧に変換してA/Dコンバータ11に入力
し、A/Dコンバータ11はこれら電圧をデジタル信号に変
換してマイクロコンピータ10に入力する。
マイクロコンピュータ10は各種入力情報を元に第3図
乃至第6図の制御プログラムを実行して、スロットルバ
ルブ4の通常の開度制御及びトラクションコトロール用
の開度制御を行うと共に、電磁弁ソレノイド41の位置制
御、つまり駆動車輪のトラクションコントロール用制動
制御を行い、更にポンプモータ44(油圧ポンプ45)の駆
動制御を行う。第3図乃至5図は図示せざるオペレーテ
ィングシステムによりエンジン始動後一定周期ΔT(例
えばΔT=10msec)毎に定時割込み処理をされるメイン
ルーチンで、第6図はこのメインルーチン内において決
定されたステップモータ5の回転速度に対応する周期で
処理されるステップモータ駆動用のOCI(Output compar
e interrupt)割込み処理を示す。
第3図では先ずステップ101,102において、第1回目
の処理に限りマイクロコンピュータ10は内蔵RAM等のイ
ンシャライズ(初期化)を行う。次のステップ103で
は、車輪速VFR,VFL,VRL,VRRを読込み、これらを基にス
テップ104で左右駆動輪2L,2Rのスリップ率S,SをS
=(VRL−VFL)/VFL,S=(VRR−VFR)/VFRによ
り求めた後、ステップ105で左右駆動輪2L,2Rのスリップ
率変化速度=S−SL−1(但しSL−1は前回
の左駆動輪スリップ率)及び−S−SR−1(但
し、SR−1は前回の右駆動輪スリップ率)を求める。
ステップ106では、左右駆動輪スリップ率S,S
うち小さい方をセレクトロースリップ率Smin、大きい
方をセレクトハイスリップ率Smaxにセットする。次に
ステップ107において上記セレクトロースリップ率及び
セレクトハイスリップ率のうち小さい方の値SminをK
(例えば0.6−0.9)の比率で重視するスリップ率の重み
付け平均値SavをSav=K×Smin+(1−K)×Smax
により求めると共に、その変化速度avav=Sav
av−1(但しSav−1は前回のスリップ率重み付け平
均値)を求める。
ステップ151では、上記のスリップ率平均値Savおよ
びその変化速度avより、トラクションコントロール上
好適な第7図の如きスロットル開度制御域データを基
に、スロットル開度THをアクセルベダル6の踏込量Acc
に対応した値に向け戻すべき(増大すべき)非制御域
か、スロットルバルブ4に急閉(スロットル開度THを急
減)又は緩閉(スロットル開度THを緩減)して車輪2L,2
Rの駆動スリップを防止すべき急閉域又は緩閉域かスロ
ットル開度THを不変に保つべき保持域かを、決定する。
この決定結果をステップ152〜154で判別し、非制御域で
はステップ201へ、緩閉域ではステップ301へ、急閉域で
はステップ351へ、又保持域ではステップ401へ夫々制御
を進める。
非制御域ではステップ201〜206において、ステップ20
4でクリアされ、ステップ203または205でインクリメン
ト(歩進)させるマップ上げカウンタMAPUPCが一定のリ
カバー時間Tを示す度に、つまりT時間毎にステッ
プ206でスロットル開度マップMAPを前回マップ(MAPO)
−1として定めた後、制御をステップ401へ進める。マ
ップMAPは第8図の如く第0枚目から第19枚目迄の20種
類を設定し、上記のマップ上げはスロットルバルブ開度
をアクセルペダル踏込量Accに対応した値に増大させる
指令であることを意味する。
緩閉域のためステップ301へ制御が進んだ場合、先ず
このステップで前回どのスロットル制御域だったかをチ
ェックする。前回非制御域だった場合、以下の処理を1
回だけ行う。つまりステップ302で上記のマップ上げカ
ウンタMAPUCをクリアし、次のステップ303,304で左又は
右の低圧フラグ及び左又は右の急低圧フラグが共に0か
否かを判別することにより左右駆動輪2L,2Rのブレーキ
波圧状態をチェックする。これらフラグは後述するよう
に、対応する左右駆動輪2L,2Rのトラクションコトロー
ル用ブレーキ液圧の所定時間以上緩減圧状態及び所定時
間以上急減圧状態で0となり、少なくとも一方の駆動輪
が急減圧状態だったらステップ305においてマップ落ち
数MAPDNを1とし、それ以外ではステップ306においてMA
PDN=2をセットする。ステップ307では前回マップMAPO
と後述の如くにメモリしておいた時間設定T前のマッ
プ数PMAPと大きい方(スロットル開度の小さい方)をセ
レクトハイマップMAPMAXとしてセットし、ステップ308
でこのセレクトハイマップMAPMAXをステップ305又は306
において定めた数MAPDNだけマップ落ちさせたもの(MAP
MAX+MAPDN)を今回マップMAPとし、スロットル開度の
緩閉を指令する。なお、ステップ309,310では上記のMAP
が非制御域から最初に緩閉域になった時に求めた初期マ
ップMAPINI以下の時は、スロットル開度増大を指令する
ことを意味し、緩閉の意図に反することからMAP=MAPIN
Iとする。
ステップ301で前回が緩閉域又は急閉域であると判断
した場合、制御をそのままステップ401に進め、前回保
持域であった場合、ステップ311で前回マップMAP0を1
だけマップ落ちさせたものを今回マップMAPとしてスロ
ットル開度域を指令した後に制御をステップ401に進め
る。
急閉域のため制御がステップ351へ進んだ場合、先ず
ここで前回のスロットル開度制御域をチェックする。前
回非制御域であった場合、ステップ352〜360で前記ステ
ップ302〜310と同様の処理を行い、ステップ362でこの
処理により求めたマップに更に2を加えてスロットル開
度の急減を指令した後制御をステップ401へ進める。
ステップ351で前回から急閉域であったと判別する場
合、制御をそのままステップ401へ進め、前回緩閉域又
は保持域であった場合、ステップ361で前記ステップ311
と同様の処理を行った後制御をステップ401へ進める。
保持域のため(非制御域、緩増圧域、急増圧域用の処
理後も同様)ステップ401に制御が進む場合、ステップ4
01〜404でMAP値が第8図に示す設定マップ数0〜19の範
囲外になった時、MAP値を近い方の限界値0又は19にセ
ットする。次のステップ408では所定時間T前のスロ
ットル制御マップPMAPとしてスロットル緩閉及び急閉制
御(ステップ307,357)に用い、ステップ409では現在の
マップMAPを前回マップMAP0としてメモリし、次回に備
える。
第3図に示す以上の処理後、制御は第4図のステップ
502に進み、ここでアクセルペダル踏込み量Accを読込
む。次のステップ503では、前記の通りに求めたマップM
APに対応する開度特性マップに基づき、アクセルペダル
踏込量Accに応じたステップモータ5の目標ステップ数S
TEPをマップ検索して決定する。
又ステップ504では、前記ステップ503によって決定さ
れたスロットルバルブ4の開度目標ステップ数STEPと実
際の開度ステップ数THとの偏差Difを、 Dif=STEP−TH により算出する。さらにステップ505,506により上記の
偏差Difに基づいてステップモータ5のスピードの決
定、正転/逆転/保持の決定、更にはOCI割込み周期の
セット、モータ回転方向に関するフラグセット等を行
う。
次のステップ551では左右無制御フラグの判定を行
い、左右共0のブレーキ圧の無制御状態ならばステップ
556に、左無制御フラグ=1、右無制御フラグ=0のブ
レーキ左側片効き状態ならばステップ552に、左無制御
フラグ=0、右無制御フラグ=1のブレーキ右側片効き
状態ならばステップ557に、左右共1の両輪ブレーキ圧
制御中ならばステップ554に、夫々制御を進める。
ステップ552ではブレーキ左側片効きを示すように、
左片効きフラグを1にセットすると共に右片効きフラグ
をリセットし、ステップ553で後述するブレーキ液圧制
御エリア境界値(域値)S11,S12をそのまま(S11=S11,
S12=S12)にセットし、更に緩,急増圧カウンタの上限
値TSL,TRLを5にセットする。
ステップ554,555では左右片効きフラグが1か否かの
判定を行い、左右片効きフラグ=0又は左片効きフラグ
=1ならばステップ553で上記と同様の処理を行い。左
片効きフラグ=0かつ右片効きフラグ=1、つまりブレ
ーキ右側片効き状態ならば制御を後述するステップ558
に進める。又ステップ556では左右片効きフラグをリセ
ットした後、制御をステップ553に進める。
ステップ557ではブレーキ右側片効きを示すように、
右片効きフラグを1にセットすると共に左片効きフラグ
をリセットし、ステップ558で前述した域値S11,S12を夫
々通常より小さい値(すなわち片効き側駆動車輪より小
さい値)S11′,S12′にセット(S11=S11′(<S11),S
12=S12′(<(S12))し、更に、急増圧カウンタの上
限値TSL,TRLを通常値5より大きい値、例えば7にセッ
トする。なおここで域値S11′,S12′と小さくするの
は、スリップ側車輪(片効き側駆動車輪)の制動制御の
開始から非スリップ側車輪(非片効き側駆動車輪)の制
動制御の開始までの遅延時間を適正化することにより、
非スリップ側車輪(非片効き側駆動車輪)の駆動力低下
を防止するためである。
その後ステップ601〜693において、左駆動輪を以下の
如く適正速度でトラクションコントロール用に制動及び
制動解除する(右側駆動についても後述するステップ69
5,696で同様に制動及び制御解除を行うが、ステップ551
からステップ552,557への分岐条件(左=1,右=0)、
(左=0,右=1)を夫々(左=0,右=1),(左=1,右
=0)に、ステップ552,554,555,557の左(右)片効き
フラグを右(左)片効きフラグに、ステップ553,558の
SL,TRLをTSR,TRRに読替えるものとする)。ステップ
601では第9図に対応するテーブルデータを基に左駆動
輪スリップ率S及びその変化速度Sから左駆動輪ブ
レーキ液圧を急増圧すべきか、緩増圧すべきか、保圧す
べきか、緩減圧すべきか、急減圧すべきかを領域(エリ
ア)判定する。第9図のテーブルデータはトラクション
コントロール上好適な左駆動輪ブレーキ液圧の制御態様
で、スリップ率S(S11,S12及びS11′,S12′はエリア
境界値)及びその変化速度21,0,22はエリア
境界値)が高い程高速で増圧し、スリップ率S及びそ
の変化速度が低い程高速で減圧すべきこととし、本
発明においては制御エリアの境界値、つまり域値S11,S
12をS11,S12(前記ステップ553に対応し、第9図に実線
で示す)、S11′,S12′(前記ステップ558に対応し、第
9図に一点鎖線で示す)の如く左右駆動車輪の制動状態
に応じて変更する。なお第9図は、後述の右駆動輪ブレ
ーキ液圧制御態様でもあり、従って右駆動輪スリップ率
およびその変化速度も併記した。
上記の領域判定結果をステップ602〜605により判別
し、第5図の対応ステップに分岐させる。即ち、急増圧
エリアならステップ611に、緩増圧エリアならステップ6
31に、保圧エリアならステップ655に、緩減圧エリアな
らステップ661に、又急減圧エリアならステップ681に夫
々制御を進める。
急増圧エリアのためのステップ611が選択されると、
先ずここで当該急増圧に関与しない緩減圧カウンタ、急
減圧カウンタ、緩増圧カウンタおよび昇格カウンタを夫
々クリアすると共に、無制御フラグを1にセットする。
次のステップ612で前回のエリアをチェックし、前回減
圧エリアだった場合ステップ614を通るループを1回の
み実行し、前回増圧又は保圧エリアだった場合ステップ
618を通るループを実行する。前者のループでは、先ず
ステップ614,613で低圧フラグ及び急低圧フラグが0か
否か、つまり所定時間以上急減圧を行ったか否かをチェ
ックする。前回急減圧状態だったのであれば、急増圧よ
り急速な初期増圧を実行して応答遅れをなくす必要があ
ることからステップ615で初期増圧カウンタをインクリ
メントする。その後ステップ691で電磁弁40LをC位置に
する。この電磁弁位置で液圧制御弁24Lはスプール25の
第2図中右行に左駆動輪ブレーキ液圧を上昇させ、左駆
動輪をトラクションコントロール用に制動する。しかし
て、低圧フラグ=0又は急低圧フラグ=0でなければ、
上記の初期増圧が不要であるからステップ616で急増圧
カウンタをインクリメントしてステップ691を実行す
る。
以後ステップ612はステップ618を選択するようにな
り、ここでは低圧フラグを1にセットする。ステップ61
9,620で上記の初期増圧カウンタが4か0かをチェック
するが、ステップ615が実行されていればステップ619,6
20,621の経路を3回繰返しつつステップ691で増圧を繰
返し、次回にステップ619がステップ622,623、又その後
ステップ619がステップ620,623を選択するようになる。
ステップ623では、急増圧カウンタが前述した所定値T
RLか否かをチェックし、ステップ624でこの急増圧カウ
ンタが0又は1か否かをチェックする。ステップ616が
実行されていなければステップ623,624,627の経路が2
回繰返されてその都度ステップ691の実行により増圧を
行うが、ステップ616が実行されていれば上記の経路が
1回のみ選択されてステップ691の実行により増圧を行
う。その後はステップ624がステップ625を選択するよう
になり、TRL=5の時急増圧カウンタが5になる迄の3
回だけステップ692の実行により、又TRL=7の時急増
圧カウンタが7になる迄の5回だけステップ692の実行
により電磁弁40LをB位置にする。この電磁弁位置で液
圧制御弁24Lはスプール25を移動停止させて左駆動輪ブ
レーキ液圧をこの時の値に保圧する。以後、急増圧カウ
ンタが1,2の時増圧、3〜5又は3〜7の時保圧とする
デューティ(2/5又は2/7のデェーティ)に対応した速度
で左駆動輪ブレーキ液圧を急増圧することができる。
上記の急増圧作用を第11図乃至第13図につき説明す
る。
第11図(a)に示す如く低圧フラグ=1又は急低圧フ
ラグ=1の状態で瞬時t1に減圧エリアから急増圧エリア
に切換わったとすると、瞬時t1迄は低圧フラグ=1に対
応して後述する如く50msecを1周期とし10msecだけ減圧
を行う1/5デェーティで緩減圧が行われている。瞬時t1
にステップ614−616−691のループが1回選択され、次
にステップ618−619−620−623−624−627−691のルー
プが1回選択され、その後ステップ618−619−620−623
−624−625−692を含むループがTRL=5の時3回,TRL
=7の時5回選択されることで第11図(a)中点線の如
く2/5又は2/7デューティで急増圧を行うことができる。
第11図(b)に示す如く低圧フラグ=0及び急低圧フ
ラグ=0の状態で瞬時t1に減圧エリアから急増圧エリア
に切換わったとすると、瞬時t1迄は低圧フラグ=0及び
急低圧フラグ=0に対応して後述する如くデューティ10
0%の急減圧を継続している。瞬時t1にステップ614−61
3−615−691のループが1回選択され、次いでステップ6
18−619−620−621−691のループが3回選択され、その
後ステップ618−619−622−623−624−627−691のルー
プが2回選択される結果、瞬時t1から4回分(ΔT×4
=40msec)の間急増圧より速い初期増圧を行って応答遅
れをなくし、その後第11図(b)中点線で示す如く2回
分(ΔT×2=20msec)の増圧を行う。以後は前述した
と同様の2/5又は2/7デューティによる急増圧を実行する
ことができる。
なお、定常的には上述した処から明らかなように第12
図(a)に示す如き2/5又は2/7デューティによる急増圧
を行う。
緩増圧エリアのため第5図中ステップ631が選択され
ると、先ずここで関係のない緩減圧カウンタ、急減圧カ
ウンタ及び昇格カウンタを夫々クリアすると共に、無制
御フラグを1にセットする。次のステップ632で前回の
エリアをチェックし、前回減圧エリアだった場合ステッ
プ634を含むループを1回のみ実行し、前回減圧又は保
圧エリアだった場合ステップ638を含むループを実行す
る。前者のループではステップ6、4,633,635,636でス
テップ614,613,615,616におけると同様の処理を行う
が、ステップ636ではステップ616における急増圧カウン
タに代え緩増圧カウンタをインクリメントするものとす
る。又、ステップ638,639,640,641,642でもステップ61
8,619,620,621,622と同様の処理を行う。但し、ステッ
プ638では急低圧フラグを1にセットする処理を追加す
る。
ステップ643,648では急増圧から緩増圧への切換時、
当該切換えに待ち時間を設定するため前記の急増圧カウ
ンタが前述した所定値TRLか、0か、これら以外かをチ
ェックする。急増圧カウンタが0,TRL以外の時、つま
り、急増圧の途中であれば、ステップ649で急増圧カウ
ンタをインクリメントしつつ、ステップ692で保圧し、
急増圧カウンタがTRLになった時はステップ644でこの
カウンタをリセットした後、又急増圧カウンタが0であ
る時はそのままステップ645,646,647,650,651による緩
増圧制御を行う。この緩増圧制御はステップ623,624,62
5,626,627による急増圧制御と同じものであるが、ステ
ップ624に対応するステップ646で緩増圧カウンタが0の
時のみ増圧を実行させるため、急増圧時より小さなデェ
ーティ(1/5デューティ又は1/7デェーティ)で緩増圧す
ることができる。
上記緩増圧の作用を第11図乃至第13図につき説明す
る。
第11図(a),(b)の瞬時t1以後、減圧から増圧へ
の切換えは急増圧と同様に行われるが、上記の通りデュ
ーティが小さいため、これら図中実線で示す如く増圧時
間が10msecに短縮され、緩増圧を可能にする。
なお定常時的には上述した処から明らかなように第12
図(b)に示す如き1/5又は1/7デューティによる緩増圧
を行なう。
又第13図(a)に示す如く瞬時t1に緩増圧エリアから
急増圧エリアに切換わった場合は、直ちに急増圧が開始
されるも、同図(b)に示す如く瞬時t1に急増圧エリア
から緩増圧エリアに切換わった場合は、ステップ643,64
4,648,649,692を含むループにより待ち時間Δtだけ緩
増圧の開始を遅らせて不要な制動を防止することができ
る。
保圧エリアのため第5図中ステップ655が選択される
と、先ずここで初期増圧カウンタ、急増圧カウンタ及び
緩増圧カウンタを夫々クリアした後、ステップ692で電
磁弁40LをB位置に保つ。これにより左駆動ブレーキ液
圧を要求通りこの時の値に保圧することができる。
緩減圧エリアのため第5図中ステップ661が選択され
ると、先ずここで緩増圧カウンタ、急増圧カウンタ及び
初期増圧カウンタを夫々クリアする。次のステップ662
では急低圧フラグが0か否かにより所定時間以上急減圧
だったか否かをチェックする。そうであればステップ66
4で後述の目的のため昇格カウンタに6を加えた後、又
所定時間以上急減圧でなかったらそのまま制御をステッ
プ663に進める。ステップ663以後では上記昇格カウンタ
のもと以下の如くにして減圧速度を漸増し、駆動スリッ
プが解消されつつある過程で減圧が遅れ、不要な駆動輪
の制動や、制動の片効きが生じることのないようにす
る。
つまりステップ663で緩減圧カウンタが5になる度に
ステップ669でインクリメントされる昇格カウンタが3
以下の間は、ステップ665−666−670−693のループを1
回実行して電磁弁40LをA位置とし(この電磁弁位置で
液圧制御弁24はスプール25の第2図中左行により左駆動
輪ブレーキ液圧を減圧する)、ステップ665−666−667
−692のループを4回実行して電磁弁40LをB位置とする
(左駆動輪ブレーキ液圧を保圧する)サイクルを4回繰
返す。従って、第12図(c)に示す如く昇格カウンタが
0〜3の初期において1/5デェーティに対応した速度で
減圧がなされる。
その後昇格カウンタが4〜6の間はステップ668−669
−670−693のループを1回実行し、ステップ665−671−
673−670−693のループを1回実行し、ステップ665−67
1−673−667−692のループを3回実行するサイクルを3
回繰返す。従って、第12図(c)の如く昇格カウンタが
4〜6の間2/5デューティに対応した速度で減圧がなさ
れる。
その後昇格カウンタが7〜9の間はステップ668−669
−670−693のループを1回実行し、ステップ665−671−
672−675−676−670−693のループを2回実行し、ステ
ップ665−671−672−675−676−667−692のループを2
回実行するサイクルを2回繰返す。従って、この間第12
図(c)の如く3/5デューティに対応した速度で減圧が
なされる。
更に昇格カウンタが9を超えた時、ステップ665−671
−672−675−677−693のループが繰返し実行され、12図
(c)の如くデューティ100%により減圧を連続的に行
う。そして、ステップ672では緩減圧が所定時間以上
(昇格カウンタ≧7)続いたことを示すように低圧フラ
グ=0とし、ステップ677で無制御フラグをリセットす
る。
ところで当該緩増圧エリアへの移行前所定時間以上急
減圧だったことで、ステップ664が実行される場合、昇
格カウンタ6に対応する減圧から開始されることとな
り、減圧遅れを防止することができる。
急減圧エリアのため第5図中ステップ681が選択され
ると、先ずここで緩増圧カウンタ、急増圧カウンタ及び
初期増圧カウンタを夫々クリアする。そして、制御が必
ずステップ693に至るため、第12図(d)の如くデュー
ティ100%により要求通り急減圧がなされる。この間ス
テップ682で低圧フラグ=0か否かを、つまり所定時間
以上緩減圧だったか否かをチェックし、そうでなければ
ステップ684でインクリメントされる急減圧カウンタが1
5以上を示しているか否かをステップ683でチェックす
る。このステップ683は急減圧カウンタにより急減圧が
所定時間以上継続したか否かをチェックするもので、所
定時間以上急減圧だったらステップ685でこのことを示
すように急低圧フラグを0にする。ステップ682で低圧
フラグ=0と判別する場合も、ステップ686により急減
圧カウンタに15を加えた後にステップ685を実行する。
そして、ステップ687では急減圧カウンタが30以上を示
すような長期急減圧か、否かをチェックし、そうであれ
ばステップ684での急減圧カウンタのインクリメントを
止め、ステップ689で無制御フラグをリセットする。
以上の左駆動輪ブレーキ液圧(制動)制御と同様の制
御がステップ695,696で右駆動輪に対しても実行され同
駆動輪のホイールスピンも同様に防止される。なおステ
ップ695は第4図中ステップ601に対応し、ステップ696
はステップ602〜693の制御内容に対応するものである。
その後は、ステップ701〜703において油圧ポンプ45の
駆動制御を以下の如くに行う。ステップ701では圧力ス
イッチ47がONか否かを、つまりアキュムレータ43の圧力
Pcが所定値に達しているか否かをチェックする。圧力ス
イッチ47は第10図の如くアキュムレータ内圧PcがP1以下
に低下する時ONし、P2以上に上昇する時OFFするヒステ
リシス特性を持つ。圧力スイッチ47のON時ステップ702
でモータ44のONによりポンプ45を駆動してアキュムレー
タ内圧Pcを高め、圧力スイッチ47のOFF時ステップ703で
モータ44のOFFによりポンプ45を停止してアキュムレー
タ内圧Pcの上昇を停止する。よって、アキュムレータ43
内には常時所定の圧力Pcが蓄圧され、前記トラクション
コントロール用のブレーキ液圧上昇制御を行うことがで
きる。
次に、第6図のスロットルバルブ開閉用のOCI割り込
みフローチャートの説明を行う。このプログラムは第4
図中ステップ505で決定したステップモータ速度が得ら
れるような周期で繰返し実行され、先ずステップ800で
第4図中ステップ506の実行結果からステップモータ5
を正転すべきか、逆転すべきか、現在位置に維持すべき
かを判別する。正転すべきならステップ801でステップ
モータ5の1段回正転を、又逆転すべきならステップ80
2でステップモータ5の1段回逆転をセットし、保持す
べきならステップ801,802をスキップする。そして、ス
テップ803でモータ駆動信号をステップモータ5へ出力
し、スロットルバルブ4を第4図中ステップ503での演
算結果に対応した開度となす。
以下、第14図の動作例に基づきスロットル開度(エン
ジン出力低下)制御によるトラクションコントロールの
作用を説明する。なお第14図では、当初MAP=0の非制
御域で、その後緩閉域となって図示の初期マップMAPINI
によるスロットル開度制御がなされ、その後非制御域の
ため第3図中ステップ201〜206により−1づつのマップ
上げがなされ、瞬時t1に再び緩閉域となったものとす
る。左右一方でも低圧フラグ又は急低圧フラグが0、即
ちトラクションコントロール用ブレーキ液圧の所定時間
以上減圧状態の場合、第14図(a)に示す如く瞬時t1
所定時間T(第3図中ステップ407参照)前のマップ
値PMAPに基づき第3図中ステップ305,307,308の処理が
1回行われ、瞬時t1以後MAP=MAPMAX+1にされる。し
かしてMAPMAX+1≦MAPINIのためステップ310において
第14図中点線の如くMAP=MAPINIにされ、これに基づく
トラクションコントロール用のスロットル緩閉制御がな
される。
ところで、左右共に低圧フラグ及び急低圧フラグが
1、即ちトラクションコントロール用ブレーキ液圧の所
定時間以上増圧状態の場合、第14図(b)に示す如く瞬
時t1に所定時間T前のマップ値PMAPに基づき第3図中
ステップ306,307,308の処理が1回行われ、瞬時t1以後M
AP=MAPMAX+2にされ、これに基づくトラクションコン
トロール用のスロットル緩閉制御がなされる。
かかるトラクションコントロール用のスロットル閉制
御は、ステップ154が急閉域と判別して制御をステップ3
51へ進める場合も同様になされる。但し、この急閉域で
はステップ362の実行により、要求通りの急閉を可能に
する。
ところで、上述したようにマップ落ち数MAPDNをトラ
クションコントロール用の駆動輪ブレーキ液圧制御状態
(低圧フラグ及び急低圧フラグ)に応じMAPDN=1,MAPDN
=2の如く変更することから、当該スロットル開度減少
量はトラクションコントロール用制動状態の違いによっ
ても不適切になることはなく、常時適切に保たれる。
次に第15図の動作例に基づき本発明の駆動輪制動制御
によるトラクションコントロールを説明する。この動作
例では先ず左駆動輪が図示の車輪速の如くホイールスピ
ンし、左駆動輪に対して制動制御が開始され、その後右
駆動輪に対しても制動制御が行われるものとして説明は
展開する。
左駆動輪において瞬時t1迄はスリップ率SがS11
満で且つその変化速度が0と21との間にあって第
9図(実線、以下同様)から明らかなように緩減圧エリ
アにある。よって左駆動輪のブレーキ液圧は前記作用に
よりゆっくりと減圧され、この駆動輪の制動力を漸減す
る。瞬時t1〜t2間はスリップ率がS11及びS12間の値で、
その変化速度が0と21との間であって第9図から明ら
かなように緩減圧エリアにある。よって左駆動輪のブレ
ーキ液圧は前記作用によりゆっくりと増圧され、この駆
動輪の制動力を漸減する。瞬時t2〜t3間は、スリップ率
がS11及びS12間の値でその変化速度が21以上か、スリ
ップ率がS12以上でその変化速度が正であるため、第9
図から明らかなように急増圧エリアにある。よって左駆
動輪のブレーキ液圧は前記作用により急増圧され、この
駆動輪の制動力を急増する。瞬時t3〜t4間は、スリップ
率がS12以上でその変化速度が0と22との間の値であ
って第9図から明らかなように緩増圧エリアにあり、左
駆動輪の制動力を漸増させる。瞬時t4〜t5間は、スリッ
プ率がS11およびS12間の値であり且つその変化速度が0
及び22間であって第9図から明らかなように保圧エリ
アにある。よって、左駆動輪のブレーキ液圧は前記作用
により瞬時t4の値に保圧され、この駆動輪の制動力を保
持しておく。瞬時t5以後も第9図に基づく同様の領域判
定により、判定結果に応じた左駆動輪のブレーキ液圧制
御がなされ、瞬時t5〜t6間は保圧、瞬時t6〜t7間は緩増
圧、瞬時t7〜t8間は保圧、瞬時t8以後は緩減圧が夫々実
行される。
一方、右駆動輪においては、瞬時t11迄はスリップ率
がS11′未満で且つその変化速度が0と21
の間にあって第9図(一線鎖線,以下同様)から明らか
なように緩減圧エリアにある。よって右駆動輪のブレー
キ液圧は前記作用によりゆっくり減圧され、この駆動輪
の制動力を斬減する。瞬時t11〜t12間はスリップ率がS
11′及びS12′間の値で、その変化速度が0と21との
間であって第9図から明らかなように緩増圧エリアにあ
る。よって右駆動輪のブレーキ液圧は前記作用によりゆ
っくりと増圧され、この駆動輪の制動力を漸増する。瞬
時t12〜t13間は、スリップ率がS12′以上で、その変化
速度が正であるため、第9図から明らかなように急増圧
エリアにある。よって右駆動輪のブレーキ液圧は前記作
用により急増圧され、この駆動輪の制動力を急増する。
瞬時t13〜t14間は、スリップ率がS12′以上でその変化
速度が0と22との間の値であって第9図から明らかな
ように緩増圧エリアにあり、右駆動輪の制動力を斬増さ
せる。瞬時t14〜t15間は、スリップ率がS11,および
S12′間の値であり且つその変化速度が0及び22間で
あって第9図から明らかなように保圧エリアにある。よ
って、右駆動輪のブレーキ液圧は前記作用により瞬時t
14の値に保圧され、この駆動輪の制動力を保持してお
く。
瞬時t15以後も第9図に基づく同様の領域判定によ
り、判定結果に応じた右駆動輪のブレーキ液圧制御がな
され、瞬時t15〜t16間は保圧、瞬時t16〜t17間は緩増
圧、瞬時t17〜t18間は保圧、瞬時t18以後は緩減圧が夫
々実行される。
よって、第9図に対応した駆動輪ブレーキ液圧制御に
よりトラクションコントロールが行われ、駆動輪の駆動
スリップを防止することができると共に、スリップ側駆
動輪の制動制御(緩急増減圧、保持)に対応する非スリ
ップ側駆動輪の制動制御を夫々遅延させて非スリップ側
駆動輪の駆動力低下を防止して前述した加速感喪失の問
題を解決することができる。しかも第9図の制御態様は
スリップ率及びその変化速度に応じブレーキ液圧の増
圧、減圧速度を決定することから、大きな駆動スリップ
や急な駆動スリップを生ずる状況のもとでは、スリップ
の発生に見合うよう駆動輪の制動速度を速めてトラクシ
ョンコントロール性能の低下を防止したり、制動による
駆動スリップの収まりが速いことに合わせて制動解除速
度も速くし、不要な制動を防止することができる。又逆
に駆動スイッチが小さく、しかもゆっくり発生するよう
な状況のもとでは、スリップの発生に見合うよう制動速
度を遅くして不要な制動を防止したり、制動による駆動
スリップの収まりが遅いことに合わせて制動解除速度も
遅くしてトラクションコントロール性能の低下を防止す
ることができる。なお、制動制御の閾値をS11′,S12
の如く小さく設定し直すことにより、非スリップ側車輪
の加速度がブレーキ片効きのため不所望に急増するのを
防止する効果も得られる。
(発明の効果) かくして本発明のトラクションコントロール装置上述
の如く、左右駆動車輪の一方の片効き制動状態の検知時
には非片効き側駆動車輪の閾値を片効き側駆動車輪の閾
値よりも小さい値に変更するから、非片効き側駆動車輪
に対する制動力を常時確実に適正値に制御することがで
き、左右駆動車輪に対し同一内容の制動を行う従来例で
生じていた問題である、非片効き側駆動車輪の駆動力が
低下して加速感が損なわれる問題を解消することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明トラクションコントロール装置の概念
図、 第2図は本発明装置の一実施例を示すシステム図、 第3図乃至第6図は同例におけるマイクロコピュータの
制御プログラムを示すフローチャート、 第7図は同例において用いるトラクションコントロール
用のスロットル開度制御マップ図、 第8図は同例において用いたアクセルペダル踏込量に対
するスロットルバルブ開度のマップ図、 第9図は同例において用いた駆動輪ブレーキ液圧制御の
領域マップ図、 第10図は第2図におけるポンプのON,OFF線図、 第11図乃至第13図は夫々第2図の装置における電磁弁駆
動デューティの波形図、 第14図及び第15図は本発明装置によるトラクションコン
トロールの動作タイムチャートである。 1L,1R……従動輪、2L,2R……駆動輪 4……スロットルバルブ 5……ステップモータ、6……アクセルペダル 8……スロットルセンサ、9……アクセルセンサ 10……マイクロコンピュータ 11……A/Dコンバータ、12……F/Vコンバータ 13……モータ駆動回路、14……D/Aコンバータ 20……ブレーキペダル 21……ブレーキマスターシリンダ 22L,22R,23L,23R……ホイールシリンダ 24L,24R……液圧制御弁、40L,40R……電磁弁 43……アキュムレータ、45……ポンプ 47……圧力スイッチ 50L,50R,51L,51R……車輪回転センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−31865(JP,A) 特開 昭63−162359(JP,A) 特開 昭64−44369(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンからの動力により車輪を駆動して
    走行し、前記車輪の駆動スリップ発生時左右駆動車輪に
    対し個別に設けたトラクションコントロール用の制動手
    段により前記車輪を制動して車輪の駆動スリップを防止
    するようにした車両において、 前記制動手段を作動させる閾値を左右駆動車輪に対し個
    別に設定する閾値設定手段と、 前記制動手段による左右駆動車輪の一方の片効き制動状
    態を検知する片効き制動状態検知手段と、 前記片効き制動状態検知手段による左右駆動車輪の一方
    の片効き制動状態の検知時には、非片効き側駆動車輪の
    閾値を片効き側駆動車輪の閾値よりも小さい値に変更す
    る閾値変更手段とを具備し、 変更後の閾値を用いて前記制動手段により他方の駆動車
    輪に対する制動を行うようにしたことを特徴とする車両
    のトラクションコントロール装置。
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