JP2629260B2 - 車両のトラクションコントロール装置 - Google Patents

車両のトラクションコントロール装置

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JP2629260B2 JP63105557A JP10555788A JP2629260B2 JP 2629260 B2 JP2629260 B2 JP 2629260B2 JP 63105557 A JP63105557 A JP 63105557A JP 10555788 A JP10555788 A JP 10555788A JP 2629260 B2 JP2629260 B2 JP 2629260B2
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  • Regulating Braking Force (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は車輪の駆動スリップ(ホイールスピン)を防
止する車両のトラクションコントロール装置に関するも
のである。
(従来の技術) この種のトラクションコントロール装置としては従来
特開昭61−85248号公報に記載の如く、車輪の駆動スリ
ップ発生時駆動車輪を制動してホイールスピンを防止す
るようにしたものが知られている。
(発明が解決しようとする課題) ところで車輪の駆動スリップは、車両が凍結路等の低
摩擦路上で走行している間、変速機が高速段にアップシ
フト変速した直後に一層大きくなる。
これはギヤ比が小さくなることに伴い駆動輪の回転速
度が上昇しようとする際、通常の高摩擦路上を走行して
いる場合には路面からの摩擦力によってこのような回転
速度の上昇が抑えられるのに対し、低摩擦路上を走行し
ている場合には路面からの摩擦力が小さいため、回転速
度の上昇が抑えきれないことによるものである。このア
ップシフト変速に起因する駆動スリップの増大は、短時
間のうちに回転速度が上昇することによって発生するも
のであり、変速が行われた後では駆動トルクが小さくな
るために次第に駆動スリップが低下する。
しかして従来のトラクションコントロール装置は、か
かる変速に伴う車輪の駆動スリップ増大時も同じ速度で
駆動車輪を制動するものであったため、この時駆動スリ
ップの抑制が十分でなく、トラクションコントロール性
能の低下及び操縦安定性能の低下を生じていた。
(課題を解決するための手段) 本発明は変速機のアップシフト変速後の所定時間中駆
動車輪の上記制動を高速で行わせて、上述の問題を解消
しようとするもので、第1図に概念を示す如く、エンジ
ンからの動力により変速機を介し車輪を駆動して走行
し、前記車輪の駆動スリップ発生時該駆動車輪を制動手
段により制動して駆動スリップを防止するようにした車
両において、 前記変速機のアップシフト変速を検知するアップシフ
ト検知手段と、 該アップシフト変速からの経過時間を計測する計時手
段と、 この経過時間が所定時間中、前記制動手段による駆動
車輪の駆動スリップ防止用の制動を高速で行わせる制動
速度制御手段と を具備した構成に特徴づけられる。
(作 用) エンジンからの動力は変速機を介し車輪に伝わり、こ
の車輪を駆動して車両を走行させることができる。この
間上記車輪が駆動スリップを生ずると、制動手段は該車
輪を制動してその駆動スリップを防止する。
ところで、変速機のアップシフト変速時はこれを検知
するアップシフト検知手段からの信号に応答して計時手
段が当該瞬時からの経過時間を計測する。この経過時間
が所定時間中である間、制動速度制御手段は上記制動手
段による駆動車輪の駆動スリップ防止用の制動を高速で
行わせる。これがため、アップシフト変速にともない車
輪の駆動スリップが増大しても、これを駆動車輪の高速
制動により確実に抑制することができる。それ以外では
制動速度制御手段が制動手段による駆動輪の制動を通常
通りの低速で行わせ、これが速過ぎて不要な駆動車輪の
制動により車両の運転性能が低下するような不都合を回
避できる。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明す
る。
第2図は本発明トラクションコントロール装置の一実
施例を示すシステム図で1L,1Rは夫々左右従動輪(例え
ば左右前輪)、2L,2Rは夫々左右駆動輪(例えば左右後
輪)を示す。車両は車輪2L,2Rを図示せざるエンジンに
より自動変速機3を介し駆動されることにより走行し、
エンジンはスロットルバルブ4により出力を加減される
ものとする。
スロットルバルブ4はステップモータ5により開閉
し、そのステップ数(スロットルバルブ4の開度)をト
ラクションコントロール中以外基本的には運転者が踏込
むアクセルペダル6の踏込量に対応したものにすべく制
御回路7により制御する。この目的のため、スロットル
バルブ4の開度、つまりモータ5のステップ数を検出す
るスロットルセンサ8からの信号THを制御回路7にフィ
ードバックし、アクセルペダル6の踏込量Accを検出す
るアクセルセンサ9からの信号を制御回路7に入力す
る。
制御回路7はマイクロコンピュータ10を具えると共
に、その入力側に関連してA/Dコバータ11及びF/Vコンバ
ータ12を、又出力側に関連してステップモータ5用の駆
動回路13及びD/Aコンバータ14を夫々設ける。A/Dコンバ
ータ11はスロットル開度信号TH及びアクセル信号Accを
アナログ−デジタル変換してマイクロコンピュータ10に
入力すると共に、F/Vコンバータ12により周波数−電圧
変換した電圧信号をデジタル信号に変換してマイクロコ
ンピュータ10に入力する。又、自動変速機3の内蔵コン
ピュータ(図示せず)からは現在の選択変速段(ギヤ位
置)ATPOSに関する信号をマイクロコンピュータ10に入
力する。
各車輪1L,1R,2L,2Rは、ブレーキペダル20の踏力に応
じたブレーキマスターシリンダ21からの液圧PMにより作
動されるホイールシリンダ22L,22R,23L,23Rを具え、こ
れらホイールシリンダの作動により対応車輪が個々に制
動されるものとする。しかして、駆動輪2L,2Rのブレー
キ液圧系には夫々トラクションコントロール用の液圧制
御弁24L,24Rを挿置する。これら液圧制御弁は夫々同仕
様、同構造のものとし、スプール25をばね26により図示
の左限位置に弾支し、プランジャ27をばね28により図示
の左限位置に弾支して構成する。
液圧制御弁24L,24Rは夫々、図示の常態でマスターシ
リンダ側の入口ポート29への液圧PMをそのままホイール
シリンダ側の出口ポート30より対応するホイールシリン
ダに出力し、スプール25の右行時プランジャ27によりポ
ート29,30間を遮断すると共にホイールシリンダへの液
圧を上昇させ、スプール25の右行停止時ホイールシリン
ダの上昇液圧を保持するものとする。
スプール25の上記右行及びその停止を室31内の圧力に
より制御し、この圧力を夫々電磁弁40L,40Rにより個別
に制御する。これら電磁弁も同様のものとし、ソレノイ
ド41のOFF時(A)で示すポート間接続位置となって室3
1をドレン回路42に通じると共にアキュムレータ43から
遮断し、ソレノイド41の小電流によるON時(B)で示す
ポート間接続位置となって室31をドレン回路42及びアキ
ュムレータ43の双方から遮断し、ソレノイド41の大電流
によるON時(C)で示すポート間接続位置となって室31
をドレン回路42から遮断すると共にアキュムレータ43に
通じるものとする。
電磁弁40L,40Rの(A)位置で室31は無圧状態となっ
てスプール25を図示位置にし、電磁弁40L,40Rの(C)
位置で室31はアキュムレータ43の一定圧Pcを供給されて
スプール25を図中右行させ、電磁弁40L,40Rの(B)位
置で室31は圧力の給排を中止されてスプール25のその時
の右行位置に保持する。
アキュムレータ43にはモータ44で駆動されるポンプ45
からの油圧をチェック弁46を介して蓄圧し、アキュムレ
ータ43の畜圧値が一定値Pcになる時、これを検出してOF
Fする圧力スイッチ47からの信号を受けて制御回路7が
モータ44(ポンプ45)を停止させるものとする。この目
的のため圧力スイッチ47からの信号はマイクロコンピュ
ータ10に入力し、マイクロコンピュータ10からのモータ
制御信号はD/Aコンバータ14によりアナログ信号に変換
してモータ44に供給する。
電磁弁40L,40Rのソレノイド41もマイクロコンピュー
タ10により駆動制御し、そのための制御信号をD/Aコン
バータ14によりアナログ信号に変換してソレノイド41に
供給する。
各車輪1L,1R,2L,2Rに夫々関連して車輪回転センサ50
L,50R,51L,51Rを設け、これらセンサは対応車輪の車輪
速VFL,VFR,VRL,VRRに対応した周波数のパルス信号を発
し、これらパルス信号をF/Vコンバータ12に供給する。F
/Vコンバータ12は各パルス信号をその周波数(車輪回転
数)に対応した電圧に変換してA/Dコンバータ11に入力
し、A/Dコンバータ11はこれら電圧をデジタル信号に変
換してマイクロコンピュータ10に入力する。
マイクロコンピュータ10は各種入力情報の元に第3図
乃至第5図の制御プログラムを実行して、スロットルバ
ルブ4の通常の開度制御及びトラクションコントロール
用の開度制御を行うと共に、電磁弁ソレノイド41の位置
制御、つまり本発明が目的とする駆動車輪のトラクショ
ンコントロール用制動制御を行い、更にポンプモータ44
(油圧ポンプ45)の駆動制御を行う。第3図及び第4図
は図示せざるオペレーティングシステムによりエンジン
始動後一定周期ΔT(例えばΔT=20msec)毎に定時割
込み処理をされるメインルーチンで、第5図はこのメイ
ンルーチン内において決定されたステップモータ5の回
転速度に対応する周期で処理されステップモータ駆動用
のOCI(Output compare interrupt)割込み処理を示
す。
第3図では先ずステップ101,102において、第1回目
の処理に限りマイクロコンピュータ10は内蔵RAM等のイ
ンシャライズ(初期化)を行う。次のステップ103で
は、車輪速VFR,VFL,VRL,VRRを読込み、これらを基にス
テップ104で左右駆動輪2L,2Rのスリップ率SL,SRをSL
(VRL−VFL)/VFL,SR=(VRR−VFR)/VFRにより求めた
後、ステップ105で左右駆動輪2L,2Rのスリップ率変化速
=SL−SL-1(但しSL-1は前回の左駆動輪スリップ
率)及び=SR−SR-1(但し、SR-1は前回の右駆動輪
スリップ率)を求める。
ステップ106では、左右駆動輪スリップ率SL,SRのうち
小さい方をセレクトロースリップ率Smin、大きい方をセ
レクトハイスリップ率Smaxにセットする。次にステップ
107において上記セレクトロースリップ率及びセレクト
ハイスリップ率のうち小さい方の値SminをK(例えば0.
6−0.9)の比率で重視するスリップ率の重み付け平均値
SavをSav=K×Smin+(1−K)×Smaxにより求めると
共に、その変化速度avav=Sav−Sav-1(但しS
av-1は前回のスリップ率重み漬け平均値)を求める。次
のステップ108ではavが正か負か、つまり駆動車輪2L,
2Rが駆動スリップを増大しているか、駆動スリップを減
少しているかを判別する。Savが例えば第6図の如くに
経時変化する場合について述べると、av=0より図中
左側が駆動スリップ増大域、図中右側が駆動スリップ減
少域である。
駆動スリップ増大域であれば、ステップ151でスリッ
プSavがS1(例えば第6図の如く0.10)以下か未満かを
判別し、未満ならステップ214,215,216によりこのこと
を示すようにスリップ領域AREAを0にし、フラグFLAGA
及びFLFGBを夫々0にする。Sav≧S1の大又は中スリップ
中はステップ202でフラグFLAGA=0か否かをチェックす
る。このFLAGAは第6図の如くSav<S1の状態を0で、S
av≧S1の状態を1で示すものであるが、ステップ202は
ステップ151からの分岐結果に照らしてFLAGA=1の時に
選択されるから、ステップ202でFLAGA=0と判別する時
はステップ203でFLAGA=1とし、FLAGA=1と判別する
場合は制御をステップ206に進める。従ってステップ202
は、スリップSavがS1未満の値からS1以上の値になった
時、1回に限りステップ203へ制御を進め、以下のマッ
プ落ち処理を1回だけ実施することとなる。なお本例で
は、第7図の如く第0枚目から第19枚目のマップフラグ
MAPFLGで与えられる20種類の開度特性マップを設定す
る。
先ずステップ204では、開度特性マップフラグMAPFLG
が19か否か、即ち開度特性マップが19枚目にあるか否か
が判断され、MAPFLG=19ならばマップ落ち制御が行われ
ずに直ちにステップ212でスリップ率領域AREAを1と
し、19でない場合にはステップ218へ進んで落ちを行
う。該ステップ218でマップフラグMAPFLGが0であるこ
とが判断されると、ステップ217によりマップフラグMAP
FLGをスリップ防止用の所定値13に設定する。又ステッ
プ218でマップフラグMAPFLGが0でないと判別する場合
には、ステップ205により通常のマップ落ち(本例の場
合1枚)を行う。このマップ落ちはマップフラグMAPFLG
を1加える、即ち開度特性マップを1多い枚数のものに
する処理である。
次にステップ206ではスリップSavがS1(S1=0.1)よ
り大である第2の設定値S2(例えば第6図に示す如くS2
=0.15)より大きいか否かが判断され、大きい場合には
ステップ207へ進み、小さい場合にはステップ213へ進
む。ステップ207ではスリップ率領域AREAを2と定めて
ステップ208以降のマップ落ち処理を実施する。
次にステップ208,209,210,211によって、フラグFLAGB
について上記のステップ202,203,204,205の処理とぼぼ
同様の処理を実施する。即ちスリップSavがS2よりも小
さい値からS2以上の値になった場合において、マップ落
ち処理を1回実施するものである。
一方、前記ステップ213では、S1≦Sav<S2であるから
第6図に示すようにスリップ率領域AREAを1と定めて、
ステップ216にてFLAGBをクリヤする。ステップ211.212
又は216から制御はステップ401以後に進む。
次にステップ108でav<0(第6図参照)と判別す
る場合の処理に関して説明する。即ちステップ301はス
リップSavが第3の設定値S3(例えば第6図の如くS3
0.2)よりも大きいか否かを判断して、大きい場合には
ステップ302にてSav≧S3であるスリップ率領域AREAを2
と定め、Sav<S3ならばステップ303でスリップSavが第
4設定値S4(例えば第6図の如くS4=0.12)より大きい
か否かが判断されて、大きい場合にはステップ304にてS
4≦Sav<S3であるスリップ率領域AREAを1と定め、Sav
<S4である場合にはステップ305にてスリップ率領域ARE
Aを0と定める。ステップ302,304,305から制御はステッ
プ210,212,216からと同様ステップ401へ進む。
ステップ401ではスリップ率領域AREAが0か否かを判
断し、0即ち「av≧0で且つSav≦S1」又は「av
0で且つSav≦S4」である時はステップ402〜406によっ
てマップ上げ制御を実施する。即ちステップ402では開
度特性マップフラグMAPFLGが0か否かを判断し、0の場
合にはスロットルバルブ4がアクセルペダル踏込量Acc
に対応した開度であるから直ちに第4図のステップ501
へ進む。MAPFL=0でない場合には、ステップ403でマッ
プ上げインタバルタイマUPTMRの値がマップ上げインタ
ーバル時間に相当する設定値TA(例えば100乃至200msec
に対応する値)と等しいか否かを判断し、等しい場合に
はステップ404においてマップ上げ制御、即ち開度特性
マップフラグMAPFUGを1だけ差し引いてデクリメントし
て、次のステップ405でタイマUPTMRをクリヤする。又ス
テップ403でタイマUPTMRの値がマップ上げインターバル
時間に相当する設定値TAと等しくない場合には、前記マ
ップ上げを行わず、ステップ406によってタイマUPTMRを
1つ加え(インクリメントし)、第4図のステップ501
へ進む。さらに前記ステップ401でスリップ領域AREAが
0でない時にはマップ上げは行わずステップ407によっ
てタイマUPTMRをクリヤして第4図のステップ501へ進
む。
ステップ501では前記スリップ率領域AREAが2である
か否かを判断し、該領域AREAが2、即ち大スリップの状
態下であることを検出した場合にはステップ507へ進
み、スロットルバルブ4の開度目標値、つまりモータ5
のステップ数STEPを開度特性マップフラグMAPFLGに依ら
ず、駆動スリップ防止(トラクションコントロール)用
の所定の値THA(例えばスロットルバルブの開度5%に
対応する値)にセットしてステップ504へ進む。又前記
ステップ501でスリップ率領域AREAが2でない場合には
(小スリップ状態では)、開度特性マップフラグMAPFLG
に基づいたスロットルバルブ4の開度目標値STEPを選択
するためにステップ502でアクセルペダル踏込量Accを読
み込み、ステップ503でマップフラグMAPFLGに対応する
開度特性マップに基づき、アクセルペダル踏込量Accに
応じたステップモータ5の目標ステップ数STEPをマップ
検索して決定する。
又ステップ504では、前記ステップ503あるいはステッ
プ507によって決定されたスロットルバルブ4の開度目
標ステップ数STEPと実際の開度ステップ数THとの偏差Di
fを、 Dif=STEP−TH により算出する。さらにステップ505,506により上記の
偏差Difに基づいてステップモータ5のスピードの決
定、正転/逆転/保持の決定、更にはOCI割込み周期の
セット、モータ回転方向に関するフラグセット等を行
う。
その後、ステップ550〜559において後述のトラクショ
ンコントロール用駆動輪制動速度を決定する。ステップ
550では自動変速機3の現在のギヤ位置ATPOSを読込み、
次のステップ551でこのギヤ位置ATPOSが前回のギヤ位置
ATPOSOより大きいか否かによりアップシフト変速が指定
されたか否かをチェックする。
アップシフト変速指令があれば、ステップ552,553で
夫々このことを示すようにフラグATFLGを1にセットす
ると共に、この変速指令からの経過時間を計測するタイ
マATTMRを0にリセットする。そして、ステップ554でブ
レーキ液圧増圧時間Tinを従来の通常値TNより長いTS
した後、ステップ555で今回の読込みギヤ位置ATPOSをAT
POSOとしてメモリし、次回のステップ551の判別に資す
る。
増圧時間Tinは後述する一定周期T0中の増圧時間で、
長くなるにつれ両者の比で表される増圧デューティが大
きくなってブレーキ液圧の増圧速度(制動速度)が速く
なる。これがためアップシフト変速指令時、ステップ55
4において増圧時間Tinが従来の通常値TNより長いTSに設
定されることから、この時ブレーキ液圧の増圧(トラク
ションコントロール用の駆動輪制動)を従来より高速で
行うこととなる。
ステップ551〜554のループはアップシフト変速指定時
1回のみ実行され、次回はステップ555の実行によりス
テップ551がステップ556を選択するようになる。ステッ
プ556はステップ552の実行結果に照らしてステップ557
を選択し、ここではステップ553でリセットされたタイ
マATTMRが所定時間Nを示しているか否か、つまりアッ
プシフト変速指令から所定時間Nが経過したか否かをチ
ェックする。なお所定時間Nはアップシフト変速にとも
なう駆動スリップの増大が収まる迄の時間をカバーする
長さとし、この所定時間が経過する迄はステップ558で
このタイマATTMRをインクリメントして制御をステップ5
55へ進めることにより、タイマATTMRに上記の計時を継
続させると共に、Tin=TSを保つ。
アップシフト変速指令から所定時間が経過すると、制
御はステップ557からステップ559を経てステップ555に
至り、ステップ559ではフラグATFLG及びタイマATTMRを
夫々0にリセットすると共に、ブレーキ液圧増圧時間T
inを通常の短い値TNに戻す。その後はステップ559の実
行によりステップ556がステップ559を選択することか
ら、Tin=TNを保ち、ブレーキ液圧の増圧(トラクショ
ンコントロール用の駆動輪制動)を通常の低速で行うこ
ととなる。
かようにして決定した増圧時間Tinに基づき以後のル
ーチン600a,600bは夫々、トラクションコントロール用
左右駆動輪の制動を以下の如くに対応速度で行う。
ステップ552,553は、ステップ552でBRKFLG=1にさ
れ、以後ステップ551が後述のトラクションコントロー
ル用左駆動輪制動ルーチン600aに制御を進めるため、前
記の切換わり時1回だけ実行され、以後ルーチン600a,6
00bによるトラクションコントロール用左右駆動輪制動
制御はステップ553で求めた速度で行われることとな
る。
ルーチン600aを次に説明するに、ステップ601では左
駆動輪のブレーキ液圧を増圧すべきか、保圧すべきか、
減圧すべきか、非制御すべきかを領域判定する。これら
の領域は第8図の如く左駆動輪スリップ率SL及びその変
化速度に応じ定めておくトラクションコントロール
上好適な左駆動輪のブレーキ液圧制御態様で、AREAL=
3が非制御領域、AREAL=2が保圧領域、AREAL=1が増
圧領域、AREAL=0が減圧領域である。なお、第8図は
ルーチン600bで用いる右駆動輪ブレーキ液圧の制御態様
でもあり、そのための領域をAREARとして併記した。
ステップ602では、上記の通りにして判定した領域ARE
ALが前回の判定領域AREAL(0)と同じか否かを判別
し、同じである限りステップ603でインクリメントする
タイマARATMLがステップ604で設定周期T0を示している
か否かをチェックし、示していればステップ605でこの
タイマをクリアする。つまり同じ領域が続く限りタイマ
ARATMLを設定周期T0毎にリセットし、このタイマを後述
の如く左駆動輪ブレーキ液圧のトラクションコントロー
ル用デューティ制御(ブレーキ液圧の変化速度制御)に
用いる。
ステップ606〜608ではAREALの値から左駆動輪ブレー
キ液圧をトラクションコントロール用に増圧すべきか、
保圧すべきか、減圧すべきか、非制御にすべきかを判別
する。増圧すべきならステップ609で上記タイマARATML
が前記の如くにして決定した増圧時間Tinを示している
か否かをチェックし、ARATML<Tinの間ステップ610で電
磁弁40LをC位置にし、ARATML≧Tinになる時ステップ61
1で電極弁40LをB位置にする。電極弁40LのC位置で液
圧制御弁24Lはスプール25の第2図中右行で左駆動輪ブ
レーキ液圧を上昇させ、左駆動輪2Lの制動によりその駆
動スリップを防止する。又電磁弁40LのB位置で液圧制
御弁24Lはスプール25を上記右行位置に停止され、ブレ
ーキ液圧を保圧して駆動輪2Lの制動力をこの時の値に保
つ。ところで上記タイマARATMLが前述した如く設定周期
T0毎にリセットされるため、ARLAL=1の増圧域でT0
1周期中Tin時間だけ増圧され、残部時間T0−Tinだけ保
圧されるサイクルを繰返すデューティ制御により左駆動
輪のブレーキ液圧を増圧することとなり、この増圧で左
駆動輪の駆動スリップを防止することができる。
ところで、増圧時間Tinは前述した如くアップシフト
変速指令から所定時間Nが経過する迄の間長く(TS)に
され、それ以外で短く(TNに)されるため、前者の場合
上記ブレーキ液圧の増圧速度、つまり左駆動輪の制動速
度が高くなり、後者の場合左駆動輪の制動速度が遅くな
る。これがため、アップシフト変速で左駆動輪の駆動ス
リップが増大する時もこれを確実に抑制することがで
き、それ以外で左駆動輪を制動し過ぎて車両の運転性能
が悪くなるのを防止することができる。
ステップ607で保圧領域と判別する場合、ステップ611
の実行で要求通り左駆動輪のブレー液圧を保圧する。
又、ステップ608で非制御領域と判別する場合、ステッ
プ614で電磁弁40LをA位置にする。この時液圧制御弁24
Lは室31内が無圧状態にされることから第2図の常態を
保ち、左駆動輪ブレーキ液圧をブレーキペダル踏力にま
かせる。
ステップ608で減圧領域と判別する場合、ステップ612
で前記のタイマARATMLが一定域時間Tde以上か否かを判
別し、未満ならステップ614を、又以上ならステップ611
を実行することにより前記T0を1周期とし一定時間Tde
だけ左駆動輪ブレーキ液圧を減圧し、残部時間T0−Tde
だけ左駆動輪ブレーキ液圧を保圧するサイクルを繰返す
デューティで左後輪ブレーキ液圧を或る一定速度で減圧
する。これにより左駆動輪の制動が解除される。
ステップ613では領域AREALをAREAL(0)としてメモ
リしておき、次の演算サイクル中におけるステップ602
の判別に資する。
以上の左駆動輪制動制御(ルーチン600a)と同様の制
御がルーチン600bで右駆動輪に対しても実行され、右駆
動輪のホイールスピンも同様に防止される。
その後は、ステップ701〜703において油圧ポンプ45の
駆動制御を以下の如くに行う。ステップ701では圧力ス
イッチ47がONが否かを、つまりアキュムレータ43の圧力
PCが所定値に達しているか否かをチェックする。圧力ス
イッイ47は第9図の如くアキュムレータ内圧PCがP1以下
に低下する時ONし、P2以上に上昇する時OFFするヒステ
リシス特性を持つ。圧力スイッチ47のON時ステップ702
でモータ44のONによりポンプ45を駆動してアキュムレー
タ内圧PCを高め、圧力スイッチ47のOFF時ステップ703で
モータ44のOFFによりポンプ45を停止してアキュムレー
タ内圧PCの上昇を停止する。よって、アキュムレータ43
内には常時所定の圧力PCが畜圧され、前記トラクション
コントロール用のブレーキ液圧上昇制御を行うことがで
きる。
次に、第5図のスロットルバルブ開閉用OCI割り込み
フローチャートの説明を行う。このプログラムは第4図
中ステップ505で決定したステップモータ速度が得られ
るような周期で組返し実行され、先ずステップ800で第
4図中ステップ506の実行結果からステップモータ5を
正転すべきか、逆転すべきか、現在位置に維持すべきか
を判別する。正転すべきならステップ801でステップモ
ータ5の1段回転正転を、又逆転すべきならステップ80
2でステップモード5の1段回逆転をセットし、保持す
べきならステップ801,802をスキップする。そして、ス
テップ803でモータ駆動信号をステップモータ5へ出力
し、スロットルバルブ4を第4図中ステップ503又は507
での演算結果に対応した開度となす。
以下、第10図の動作例に基づき本発明に係わるトラク
ションコントロールの作用を説明する。なお第10図で
は、左右駆動輪が夫々車輪速VRL,VRRから明らかな通り
同期して同程度にホイールスピンし、瞬時t5で自動変速
機のギヤ位置が第1速から第2速へのアップシフト変速
を開始したこととして説明を展開する。
車輪2L(2R)の駆動スリップSavがS1未満の瞬時t1
は、ステップ501がステップ502−506へと制御を進め、
第5図のスロットルバルブ開閉ルーチンがスロットルバ
ルブ4の開度THをアクセルペダル6の踏込量Accと同じ
になるよう制御する。よって、このアクセルペダル踏込
量に応じたエンジン出力により車両を通常通りに走行さ
せることができる。
又、第8図中AREAL(R)=3の非制御領域のためル
ーチン600aによる左駆動輪ブレーキ液圧制御及びルーチ
ン600bによる右駆動輪ブレーキ液圧制御が夫々電磁弁40
L,40Rを通常のA位置に保つ。これがため液圧制御弁24L
(24R)は駆動輪2L,2Rのブレーキ液圧をブレーキペダル
20の踏力にまかせる状態となり、これら駆動輪2L,2Rを
縦動輪1L,1Rと共に通常通り制動することができる。
駆動スリップSavがS1以上S2未満になる第10図中瞬時t
1〜t2間は、ステップ202,203を経由してステップ204で
マップフラグMAPFLGが19であるか否かが判断される。マ
ップフラグMAPFLGが19であると判断された際にはマップ
落ちがなされず、マップフラグMAPFLGが19でない場合に
はステップ218でマップフラグMAPFLGが0であるか否か
判断される。マップフラグMAPFLGが0の時は該マップフ
ラグMAPFLGを13(第10図参照)とするマップ落ちがなさ
れて、ステップ217からステップ206に進み、一方0でな
い時はステップ205で通常のマップ落ちをしてステップ2
06へ進む。このステップ206ではSav<S2であるため、ス
テップ213,216,401ヘ進む。ステップ401でスリップ率領
域AREAが0でない時はスリップ中と判断されてマップ上
げが行われず、ステップ407からステップ501へ進み、以
下前記と同様に処理される。ここで一旦S2>Sav≧S1
状態での処理がなされると、ステップ203でFLAGA=1
とされるので、次回の割り込み処理においてはS2>Sav
≧S1の状態が続いてもステップ202から直接ステップ206
に進み、マップ落ちは行われない。
よって、第5図のスロットルバルブ開閉ルーチンはス
ロットルバルブ開度THをアクセルペタル踏込量Accに対
し小さくしてエンジン出力を減じ、駆動輪2L,2Rの駆動
スリップを防止する。
同時に、第8図中AREAL(R)=1の増圧領域になる
ため、ルーチン600a,600bは以下の如くにトラクション
コントロール用の左右駆動輪制動制御を行う。即ち、第
10図中瞬時t1より電磁弁40L(40R)を一定周期T0中前記
の如くにステップ559で定めた通常の増圧時間Tin=TN
けC位置にし、残部時間T0−TinだけB位置にするサイ
クルを繰り返す。この間液圧制御弁24L(24R)は駆動輪
2L(2R)のブレーキ液圧をブレーキペダル20の釈放時で
も増圧時間Tinに応じた速度で増圧し、これら駆動輪を
制動して夫々の駆動スリップを防止する。
しかして上記エンジン出力低下制御及び駆動輪制動制
御によるトラクションコントロールによっても、なお駆
動スリップを防止しきれず、第10図中瞬時t2でSav≧S2
となった場合、即ちスリップSavがS2未満からS2以上に
なった場合には、ステップ202−206−207−208−209を
経由して、ステップ210でマップフラグMAPFLGが19であ
る場合にはステップ401へ、19でない場合にはステップ2
11でマップフラグMAPFLGが1つ加えられて401へ進む。
更に401からステップ407−501−507−504−505−506へ
進む。ここで一旦スリップ率SavがS2以上となった場合
には、ステップ209でFLAGB=1となるため、S≧S2の状
態が続いても次回の割り込み処理においてはステップ20
8から直接ステップ401へ進み、マップ落ちは行われな
い。
よって、ステップ507の実行により第5図のスロット
ルバルブ開閉ルーチンはスロットルバルブ開度THをアク
セルペダル踏込量Accに関係なく更に小さな設定値THA
なし、駆動スリップを防止する。
これにより第8図中AREAL(R)=2の保圧領域に入
ると、ルーチン600a,600bで電磁弁40L(40R)はB位置
に保たれ、液圧制御弁24L(24R)をこの時の位置に保持
して両駆動輪のブレーキ液圧(制動力)をこの時の値に
保つ。
前記エンジン出力低下制御及び駆動輪制動制御による
トラクッションコントロールで駆動スリップが減少し始
av<0になっても、Sav<S3となる第10図中瞬時t3
迄はステップ301−302−401−407−501−507−504−505
−506−550−551−556−555−600a−600bの経路で処理
がなされるため、上記のトラクッションコントロールが
継続される。
そして、Sav<S3になる第10図中瞬時t3以後は、ステ
ップ301−303−304−401−407−501−502−503−504−5
05−506−550−551−556−555−600a−600bの経路で処
理され、エンジン出力低下制御によるトラクッションコ
ントロールが中止され、Sav≦S3となる第10図瞬時t4
後はステップ301,303,305,401を経由した後、ステップ4
02でマップフラグMAPFLGが0である場合にはステップ50
1へ進み、0でない場合にはステップ403でアップタイマ
UPTMRの値とマップ上げインターバル時間に相当する設
定値TAとが比較されて、両者が等しくない場合にステッ
プ406からステップ501−502−503−504−505−506の経
路で処理される。よって瞬時t3以後、スロットルバルブ
4の開度THはアクセルペダル踏込量Accに対応した値に
なる迄開度増大される。
ルーチン600a,600bでの左右駆動輪制動制御によるト
ラクションコントロールはこの間も領域判定結果に応じ
て実行される。駆動スリップ解消後第8図中AREAL
(R)=0の減圧領域に入ると、ルーチン600a,600bは
電磁弁40L(40R)を一定周期T0中一定の減圧時間tde
けA位置にし、残部時間T0−TdeだけB位置にするサイ
クルを繰返す。この間液圧制御弁24L(24R)は駆動輪2L
(2R)のブレーキ液圧を減圧し、減圧時間Tdeに応じた
速度で駆動輪の制動を解除する。
第10図中瞬時t6で駆動スリップSavがS1以上になった
後も上記と同様のトラクションコントロールがなされ
る。ところで、瞬時t5に変速機が第1速から第2速への
アップシフト変速が開始されたことで、この瞬時から所
定時間N中増圧時間TTinがステップ554で定めた通常よ
り長い値TSに保たれる。よって、この期間中両駆動輪の
ブレーキ液圧は通常より急速に増圧され、トラクション
コントロール用の駆動輪制動を通常より高速で行うこと
ができる。よって、アップシフト変速にともない駆動ス
リップが増大すると雖もこの駆動スリップを確実になく
すことができる。
なお、この期間中以外では増圧時間Tinが通常の低い
値TNに戻されてるため、駆動車輪の制動が速過ぎて該車
輪の不要な制動で車両の運転性が低下するような不都合
は生じない。
(発明の効果) かくして本発明トラクションコントロール装置は上述
の如く、トラクションコントロール用の駆動輪の制動を
変速機のアップシフト変速開始から所定時間中高速で行
わせる構成としたから、当該アップシフト変速により駆
動スリップが増大してもこの駆動スリップを防止しきれ
ないようなことはなく、トラクションコントロール性能
の低下やアップシフト変速中の操縦不安定を防止するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明トラクションコントロール装置の概念
図、 第2図は本発明装置の一実施例を示すシステム図、 第3図乃至第5図は同例におけるマイクロコンピュータ
の制御プログラムを示すフローチャート、 第6図は同例において用いる領域及びフラグを示すスリ
ット率の重み付け平均値の変化タイムチャート、 第7図は同例において用いたアクセルペダル踏込量に対
するスロットルバルブ開度のマップ図、 第8図は同例において用いた駆動輪ブレーキ液圧制御の
領域マップ図、 第9図は第2図におけるポンプのON,OFF線図、 第10図は本発明装置によるトラクションコントロールの
動作タイムチャートである。 1L,1R……従動輪、2L,2R……駆動輪 3……自動変速機、4……スロットルバルブ 5……ステップモータ、6……アクセルペダル 8……スロットルセンサ、9……アクセルセンサ 10……マイクロコンピュータ 11……A/Dコンバータ、12……F/Vコンバータ 13……モータ駆動回路、14……D/Aコンバータ 20……ブレーキペダル 21……ブレーキマスターシリンダ 22L,22R,23L,23R……ホイールシリンダ 24L,24R……液圧制御弁、40L,40R……電磁弁 43……アキュムレータ、45……ポンプ 47……圧力スイッチ 50L,50R,51L,51R……車輪回転センサ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンからの動力により変速機を介し車
    輪を駆動して走行し、前記車輪の駆動スリップ発生時該
    駆動車輪を制動手段により制動して駆動スリップを防止
    するようにした車両において、 前記変速機のアップシフト変速を検知するアップシフト
    検知手段と、 該アップシフト変速からの経過時間を計測する計時手段
    と、 この経時時間が所定時間中、前記制動手段による駆動車
    輪の駆動スリップ防止用の制動を高速で行わせる制動速
    度制御手段と を具備してなることを特徴とする車両のトラクションコ
    ントロール装置。
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