JP2525926Y2 - 乗用型芝刈機におけるモーア伝動構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、車体側に支持された縦軸式の原動プーリ
と、前記車体の下腹部に配したモーアのデッキ上に設け
た縦軸式の入力プーリとにわたって伝動ベルトを張設し
た乗用型芝刈機におけるモーア伝動構造に関する。

〔従来の技術〕

従来より、この種の乗用型芝刈機におけるモーア伝動
構造として、例えば実開昭63-103039号公報に開示され
たもののように、モーアに対する伝動断続用クラッチ
を、伝動プーリとモーアの入力プーリとにわたって張設
した伝動ベルトにおけるテンションクラッチで構成し
て、モーア上昇時に原動プーリとモーアの入力プーリと
の軸間距離が伸長しても伝動ベルトの張力が不当に高く
ならないようにするとともに、モーアを昇降させても伝
動ベルトがテンションプーリから外れないよう、テンシ
ョンクラッチのアームを、モーア昇降に伴う伝動ベルト
の上下変位幅の小さい原動プーリに近接した車体下腹部
に、揺動操作自在に支持したものが知られている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記従来構造のものにあっては、テン
ションクラッチを原動プーリ近くに支持するための支軸
を、車体下腹部に別途設ける必要があり、テンションク
ラッチの揺動に際して、ミッションケースへの伝動ベル
トやその原動がわプーリ等と接当しないよう、その配置
構造を考慮しなければならず、構造的に複雑なものとな
っていた。

そこで、原動プーリの縦軸をテンションクラッチの揺
動支軸とする構造も考えられるが、その縦軸は常時回転
しているから、テンションアームが連れ回りする虞れが
大であって、テンションクラッチとして不向きである。

又、モーアのデッキ上に、入力プーリとは別に立設さ
れた支軸に揺動操作自在にテンションクラッチを設ける
ことも考えられるが、モーアのメンテナンスに際して、
モーア上のテンションクラッチの操作系を一々取外さな
ければならないこともあって、作業上手間のかかるもの
であった。

本考案は、上記実情に鑑みてなされたものであって、
モーアに対する伝動系のクラッチ構造及びその伝動ベル
トの張設テンションを適度に保つ構造を構造簡単にする
とともに、モーアに対するメンテナンスで手間の余りか
からない乗用型芝刈機におけるモーア伝動構造の提供を
目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案にかかる乗用型芝刈機におけるモーア伝動構造
は、上記目的を達成するために、車体側に支持された縦
軸式の原動プーリと、前記車体の下腹部に配したモーア
のデッキ上に設けた縦軸式の入力プーリとにわたって伝
動ベルトを張設した乗用型芝刈機におけるモーア伝動構
造において、前記車体側に一端部を枢支し他端側を前記
原動プーリ側から前記入力プーリ側に向かう状態で延出
したリンクアームを介して前記モーアを前記車体に対し
て昇降自在に支持するとともに、前記リンクアームは、
前記モーアが芝刈作業位置にある状態でモーア側の端部
が前記原動プーリ側から離れるほど下位となる状態に設
定して車体に装着してあり、前記モーアに対する伝動継
続用のクラッチを、前記原動プーリとこれを支承した原
動軸の間に介装するとともに、前記デッキ上に立設した
入力プーリ支承用の支軸に、前記伝動ベルトに対するテ
ンションアームを、揺動可能に装着してあることを特徴
構成とする。

又、上記特徴構成のものにおいて、前記支軸に対して
回動自在に外嵌した筒ボスの上部に、前記入力プーリを
備え、前記筒ボスの下部に、デッキ内に装備した複数の
刈刃ブレードをベルト駆動する駆動プーリを備えるとと
もに、前記筒ボスより上方に突出した前記支軸上部に、
入力用の前記伝動ベルトに対する前記テンションアーム
を軸支し、かつ、前記筒ボスより下方に露出した前記支
軸部分にブレード駆動用の伝動ベルトに対するテンショ
ンアームを軸支してあることをその構成としても良い。

かかる特徴構成による作用・効果は次の通りである。

〔作用〕

すなわち、モーアに対する伝動断続用クラッチを、車
体側に支持された原動プーリとこれを支承する原動軸の
間に介装しているから、そのクラッチの操作系は車体が
わに設けられることになる。したがって、そのクラッチ
操作系をモーアのメンテナンスに伴って取外したりしな
くても良いとともに、モーアのデッキ上に立設した入力
プーリ支承用の支軸に、前記伝動ベルトに対するテンシ
ョンアームを、揺動可能に装着してあるから、入力プー
リとテンションアームとが同一の支軸で支持された簡単
な構造となる。また、リンクアームを介してのモーアの
昇降に伴って入力プーリもテンションアームも同じよう
に昇降するので、テンションプーリから伝動ベルトが外
れる虞れは少ない。しかも、リンクアームの遊端部が上
昇していくにつれてその遊端部は車体への枢支点から水
平方向においては離れていくものであるから、リンクア
ームを介してのモーアの上昇に伴って、原動プーリとモ
ーアの入力プーリとの軸間距離が伸長することでベルト
テンションが高まるが、非作業時にそのようにモーアを
上昇させておけば、路上等を走行している場合でもモー
ア等が張力の高いベルトにより位置保持されるため、不
当なモーアの揺れを抑制できる。

また、モーアを下降させた場合には、原動プーリとモ
ーアの入力プーリとの軸間距離が縮小されるので、ベル
ト張力が少し軽減され、それによって、芝刈り作業等に
おいて、刈刃が石等に衝突してもベルトがスリップし易
くなっており、不当に刈刃やベルト等に過負荷がかから
ないようにできる。

さらに、デッキ内に装備した刈刃ブレードをベルト駆
動するための伝動ベルトに対するテンションアームも前
記入力プーリ支持用の支軸に軸支されることで、より構
造簡単になる。

〔考案の効果〕

従って、本考案によれば、例えば原動プーリとモーア
の入力プーリとにわたって張設した伝動ベルトに伝動可
能に張力を付加するために、原動プーリに対して遠近移
動可能に構成されたモーア入力プーリをバネ等で原動プ
ーリより離れるがわに付勢する構造、あるいは、例えば
第６図に示すダブルテンション構造のように、モーア
（３）への伝動ベルト（11）に対してテンションを付加
する構造として、入力プーリ（12）を支持する支軸（1
0）の他にテンションアーム（30）を揺動自在に支持す
るテンション用支軸（31）を設けた構造と比較して、構
造がきわめて簡単になるとともに部品点数の低減化を図
れるので、コストの低減を図ることができる。

又、リンクアームによるモーアの上昇操作に伴って原
動プーリとモーアの入力プーリとの軸間距離が長くなっ
てベルトテンションが高まることによって、上昇したモ
ーアが不当に揺れたりしないように保持できるととも
に、モーアを下降させて刈取作業するときには、刈刃に
過負荷がかかってもベルトテンションが幾分緩くなって
いるのでスリップしやすくなっており、その過負荷状態
を容易に回避できて、刈刃等を過負荷で破損させること
を回避できるという利点がある。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第５図に、乗用型芝刈機を示している。この乗用型芝
刈機は、車体（１）前部に搭載された縦軸型のエンジン
（２）で駆動されるモーア（３）を、車体（１）の前後
中間の下腹部に配置して構成している。

エンジン（２）の原動軸としての出力軸（４）は車体
（１）下腹部に下向きに延出され、第５図に示すよう
に、後部ミッションケース（５）の入力部に備えた静油
圧式無段変速装置（5a）へベルト伝動するための出力プ
ーリ（６）とモーア（３）へベルト伝動するための原動
プーリ（７）とを、夫々上下に配した状態で出力軸
（４）に支承している。原動プーリ（７）と出力軸
（４）との間には、モーア（３）に対する伝動断続用の
クラッチとして電磁クラッチ（８）を介装している。
又、第２図及び第５図に示すように、モーア（３）を前
記車体（１）に対して昇降自在に支持するリンクアーム
（30）を設けるとともに、前記車体（１）側に一端部を
枢支した前記リンクアーム（30）の他端側を前記原動プ
ーリ（７）側から前記入力プーリ（12）に向かう状態で
延出し、前記原動プーリ（７）側から離れるほど下位と
なる状態に設定して該リンクアーム（30）の遊端部を芝
刈作業位置にある前記モーア（３）に枢支している。

一方、第２図に示すように、モーア（３）のデッキ
（９）上には支軸（10）を立設して、この支軸（10）
に、前記原動プーリ（７）からの動力を伝動ベルト（1
1）を介してモーア（３）に入力するための入力プーリ
（12）を上端部に備えた筒ボス（13）を、支軸（10）の
縦軸芯周りで回動自在に外嵌している。前記筒ボス（1
3）の下端部には、デッキ（９）内に装備した３つの刈
刃ブレード（14）をベルト駆動するための伝動ベルトと
しての駆動ベルト（15）を張設する駆動プーリ（16）を
備えて、入力プーリ（12）と駆動プーリ（16）とを一体
に回動できるよう構成している。さらに、前記筒ボス
（13）より下方に露出した前記支軸（10）の基端部分に
前記駆動ベルト（15）にテンション荷重を付加するテン
ションアーム（17）を軸支するとともに、前記筒ボス
（13）より上方に突出した支軸（10）上部に、入力用の
前記伝動ベルト（11）にテンション荷重を付加するテン
ションアーム（18）を軸支している。図面における（1
9）は、テンションアーム（17）を駆動ベルト（15）に
対して緊張させるがわに付勢するスプリングであり、
（20）は、テンションアーム（18）を伝動ベルト（11）
に対して緊張させるがわに付勢するスプリングである。
このスプリング（20）は、第１図及び第３図に示すよう
に、テンションアーム（18）の１つアーム（18A）と、
車体（１）の左下腹部の下面部に縦軸周りに揺動可能に
軸支されたレバー（21）とにわたって架設しているとと
もに、このレバー（21）が、スプリング（20）を介して
テンションアーム（18）を伝動ベルト（11）に対してテ
ンション荷重を強く与える位置で位置保持されるよう
に、レバー（21）をスプリング（20）の付勢力で係止保
持するロック金具（22）を車体（１）に連設している。

又、モーア（３）は、第４図に示すように、そのデッ
キ（９）の上面後部の左右夫々と、車体（１）の左右一
対の車体フレーム（1A），（1A）に夫々横軸芯周りで揺
動可能に軸支した取付アーム（23）とにわたって架設し
た左右一対の補助スプリング（24），（24）によって、
その接地荷重を軽減している。例えば、モーア（３）の
左右一方に集草容器を取付ける場合のように、モーア
（３）が左右に傾くことがあっても、補助スプリング
（24），（24）の付勢力を調整することでモーア（３）
の左右方向での傾きを補正できるように構成している。
すなわち、第４図に示すように、左右夫々の取付アーム
（23）に、補助スプリング取付用のアーム（23A）と別
にこの取付アーム（23）を揺動位置変更するための位置
調節用アーム（23B）を設けるとともに、車体フレーム
（1A）の後端部に固定された固定雌ネジ部材（25）に前
後方向移動可能に螺着されたロッド（26）の先端部が前
記位置調節用アーム（23B）の前後貫通孔（27）に挿通
され、かつ、このロッド（26）の先端部に固定した押圧
部材（28）の球面状の前面で、ロッド（26）の前後移動
に伴って位置調節用アーム（26B）を押圧揺動できるよ
うに構成している。従って、補助スプリング（24）のモ
ーア（３）に対する付勢力の調節は、車体（１）後方か
らロッド（26）後端部に固設したノブ（29）を回すこと
で簡単に行うことができる。

尚、原動軸と原動プーリとの間に介装するクラッチと
しては、電磁クラッチに限定されるものでなく、油圧ク
ラッチ等を用いても良い。

尚、モーアを昇降する構造については、油圧シリンダ
や電磁アクチュエータ等のアクチュエータ並びに前記リ
ンクアーム（30）等からなるリンク機構を利用して構成
されるものであって、特に詳述しない。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便
利にする為に符号を記すが、該記入により本考案は添付
図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面中、第１図乃至第５図は本考案に係る乗用型芝刈機
におけるモーア伝動構造の実施例を示し、第１図はモー
ア及びその伝動構造を示す平面図、第２図はモーア及び
その伝動構造を示す一部破断側面図、第３図はベルトテ
ンション用のスプリング及びそのロック手段を示す正面
図、第４図はモーアの左右の傾きを調整する機構を示す
側面図、第５図は乗用型芝刈機を示す全体側面図であ
り、第６図は比較例としてのモーア及びその伝動構造を
示す平面図である。 （１）……車体、（３）……モーア、（４）……原動
軸、（７）……原動プーリ、（８）……クラッチ、
（９）……デッキ、（10）……支軸、（11）……伝動ベ
ルト、（12）……入力プーリ、（13）……筒ボス、（1
4）……刈刃ブレード、（15）……駆動ベルト、（16）
……駆動プーリ、（17），（18）……テンションアー
ム、（30）……リンクアーム。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 藤原 洋司 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社ク ボタ堺製造所内 (72)考案者 結城 三喜雄 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社ク ボタ堺製造所内 (72)考案者 黒原 一明 大阪府堺市石津北町64番地 株式会社ク ボタ堺製造所内 (56)参考文献 特開 昭59−232012（ＪＰ，Ａ) 実開 昭60−87519（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭56−125006（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭61−37741（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−50532（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体（１）側に支持された縦軸式の原動プ
   ーリ（７）と、前記車体（１）の下腹部に配したモーア
   （３）のデッキ（９）上に設けた縦軸式の入力プーリ
   （12）とにわたって伝動ベルト（11）を張設した乗用型
   芝刈機におけるモーア伝動構造において、前記車体
   （１）側に一端部を枢支し他端側を前記原動プーリ
   （７）側から前記入力プーリ（12）側に向かう状態で延
   出したリンクアーム（30）を介して前記モーア（３）を
   前記車体（１）に対して昇降自在に支持するとともに、
   前記リンクアーム（30）は、前記モーア（３）が芝刈作
   業位置にある状態でモーア（３）側の端部が前記原動プ
   ーリ（７）側から離れるほど下位となる状態に設定して
   車体（１）に装着してあり、前記モーア（３）に対する
   伝動断続用のクラッチ（８）を、前記原動プーリ（７）
   とこれを支承した原動軸（４）の間に介装するととも
   に、前記デッキ（９）上に立設した入力プーリ（12）支
   承用の支軸（10）に、前記伝動ベルト（11）に対するテ
   ンションアーム（18）を、揺動可能に装着してあること
   を特徴とする乗用型芝刈機におけるモーア伝動構造。
2. 【請求項２】前記支軸（10）に対して回動自在に外嵌し
   た筒ボス（13）の上部に、前記入力プーリ（12）を備
   え、前記筒ボス（13）の下部に、デッキ（９）内に装備
   した複数の刈刃ブレード（14）をベルト駆動する駆動プ
   ーリ（16）を備えるとともに、前記筒ボス（13）より上
   方に突出した前記支軸（10）上部に、入力用の前記伝動
   ベルト（11）に対する前記テンションアーム（18）を軸
   支し、かつ、前記筒ボス（13）より下方に露出した前記
   支軸（10）部分にブレード駆動用の伝動ベルト（15）に
   対するテンションアーム（17）を軸支してある請求項１
   記載の乗用型芝刈機におけるモーア伝動構造。