JP2022105036A - ex-vivoでの臓器管理システム - Google Patents

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H Hassanein Waleed
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Ahmed Elbetanony
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Barnes Jeff
グレッグ リッチー,
Ritchie Greg
リチャード ブリンガム,
Richard Bringham
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Anderson Mark
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    • C12M29/10Perfusion

Abstract

【課題】肝臓を健康な状態でex-vivoで保存できる時間を延長でき、且つ評価機能を使用可能としうる、ex-vivoの臓器を管理するためのシステム、方法及び装置を提供する。【解決手段】潅流回路内に潅流液をポンプ注入するよう構成されたポンプであって、肝動脈インターフェースと門脈インターフェースとに流体連通しており、肝動脈インターフェースを介してex-vivoの肝臓の肝動脈に25-150mmHgの範囲の圧力で且つ0.25-1L/分の範囲の流量で潅流液を供給するよう構成され、門脈インターフェースを介してex-vivoの肝臓の門脈に0.75-2L/分の範囲の流量で潅流液を供給するよう構成されたポンプと、酸素付加器と、潅流液の温度を34℃と37℃との間に維持するよう構成された加熱器等を含むex-vivoの臓器を灌流するのためのシステムを提供する。【選択図】なし

Description

関連出願の参照
本出願は、「ex-vivoでの臓器管理システム」を標題に2014年6月2日に提出された米国仮特許出願62/006,871号と、「ex-vivoでの臓器管理システム」を標題に2014年6月2日に提出された米国仮特許出願62/006,878とに基づく合衆国法典1030条(e)項による優先権を主張し、それらの主題全体は引用をもってここに援用する。
技術分野
本発明は、概略的には、ex-vivo臓器管理のためのシステム、方法及び装置に関する。より具体的には、様々な実施形態では、本発明は、生理学的又は近生理学的状態で臓器をex-vivoで管理することに関する。
現在の臓器保存技術は、典型的には、化学的潅流溶液と共に氷中で臓器を低温保存することを含む。肝臓移植の場合、肝臓をex vivoで保存するために低体温技法を使用すると、虚血に起因する組織損傷が発生することがある。このような損傷の重大さは、臓器をex-vivoで維持する時間の長さを関数として増加する。例えば、肝臓の例の説明を続けると、典型的には肝臓はex-vivoで約7時間置かれただけで、移植に使用できなくなる。このような相当に短い時間であることで、あるドナーの位置から到達することのできるレシピエントの数が限られてしまい、結果的に、摘出された肝臓に対するレシピエントのプールが限られてしまう。この時間的制限内であっても、肝臓が著しく損傷することもある。大きな問題は、目に見える損傷の兆候がない場合があることである。このために、最適とはいえない臓器が移植されてしまい、移植後の臓器機能不全又は他の損傷に至る場合がある。従って、肝臓のような臓器を健康な状態でex-vivoで保存できる時間を延長でき且つ評価機能を使用可能としうる技術を開発することが好ましい。このような技術があれば、移植失敗のリスクが減り、潜在的ドナー及びレシピエントのプールが増大するであろう。
下記の概要は例示のみを目的としており限定的なものではない。開示した主題の他の実施形態も可能である。
開示された主題の実施形態は、ex vivo肝臓臓器管理などの、携帯用ex vivo臓器管理に関する技法を提供できる。幾つかの実施形態では、前記肝臓管理システムは、肝臓を正常な生理学的状態に、又は正常な生理学的状態近くに維持できる。この目的のために、前記システムは、酸素付加された栄養に富む潅流液を、生理学的温度、圧力及び流量で、又は、生理学的温度、圧力又は流速に近い温度、圧力又は流量で、肝臓に循環させることができる。幾つかの実施形態では、前記システムは、正常な生理学的状態をより正確に模倣するために、血液製剤ベースの潅流液を利用する。幾つかの実施態様では、前記システムは合成の血液代替溶液を用いるが、更に他の実施態様では、前記溶液に、血液製剤を代用血液剤と組み合わせて含有させることができる。
開示した主題の幾つかの実施形態は、i)摘出した肝臓の全体的な潅流状態、ii) 摘出した肝臓の代謝状態及び/又はiii)摘出したドナー肝臓の全体的な血管開存性を評価するために乳酸エステル及び肝臓酵素測定を用いる方法に関する。開示された主題のこの態様は、肝臓細胞で酸素が欠乏しているときに乳酸エステルを生産/生成する肝臓細胞の能力/肝臓細胞が十分の酸素で潅流されているときに乳酸エステルをエネルギー生産のために代謝/利用する肝臓細胞の能力に基づいている。
前記臓器管理システムの幾つかの実施形態は、シャシを備えたモジュールと、前記シャシに取り付けられると共に潅流中に肝臓を収容するよう適合された臓器チャンバ・アセンブリとを含むことができる。前記臓器管理システムは、前記肝臓の肝動脈に接続するための第一インターフェースと、門脈に接続するための第二インターフェースと、下大静脈に接続するための第三インターフェースと、胆管に接続する第四インターフェースとを備えた流体導管を含むことができる。前記臓器管理システムは、前記肝臓に与えられている且つ/又は前記肝臓から流れてくる流体中の乳酸エステルを感知するための乳酸エステル・センサを含むことができる。前記臓器管理システムは、前記肝動脈、門脈、及び/又は下大静脈の圧力並びに流量を測定するためのセンサも含むことができる。
幾つかの実施形態は、肝臓潅流状態を判断する方法に関することができる。例えば、肝臓潅流状態を評価するための方法は、肝臓を臓器管理システムの保護チャンバ内に配置する段階と、前記肝臓内に潅流液をポンプ注入する段階と、前記潅流液の流れを前記肝臓から離れる方向に供給する段階と、前記肝臓から離れる方向に向かう前記流体の乳酸エステル値を測定する段階と、前記肝臓により生産される胆汁の量を測定する段階と、前記測定された乳酸エステル値、酸素飽和レベル、並びに/又は生産された胆汁の量及び質を用いて前記肝臓の状態を評価する段階とを含むことができる。
幾つかの実施形態は、生理学的な流量及び生理学的圧力を肝動脈と門脈との両方に与えるための方法に関することができる。幾つかの実施形態では、この流れは単一のポンプから供給される。特に、前記システムは、ユーザが、単一の潅流液源を肝動脈と門脈とに手動で分割し、且つ生理学的流量及び圧力の分割を調節するための機構を含むことができる。他の実施形態では、前記システムは、例えば、自動制御アルゴリズムを用いて生理学的な流れ圧力及び流量が得られるように、前記単一の潅流液源の流れを肝動脈と門脈とに自動的に分割する。
前記臓器管理システムの幾つかの実施形態は、前記潅流液が当該システムを通って流れるとき、そして幾つかの実施態様では、それがレザバにあるときに、維持溶液供給を前記潅流液に注入する栄養分サブシステムを含むことができる。1つの特徴によれば、前記維持溶液は栄養分を含んでいる。別の特徴によれば、前記維持溶液は、虚血及び/又は他の再潅流関連損傷を減らすための長期保存をサポートするための治療薬及び/又は添加剤(例えば、血管拡張剤、ヘパリン、胆汁酸塩など)の供給を含む。
幾つかの実施形態では、前記潅流液は、肝臓を摘出している最中の瀉血のプロセスを通じてドナーから採集された血液を含む。当初、ドナーからのこの血液はレザバに投入され、前記臓器チャンバ・アセンブリ中のカニューレ位置がバイパス導管を通じてバイパスされることで、腎臓が存在しない状態で前記システムを通じた潅流液の正常流モードが可能になっており、すなわち「プライミング・チューブ」とも呼ばれる。摘出された肝臓にカニューレ挿入を行う前に、前記瀉血されたドナー血液を前記システムに循環させて、それを温め、酸素付加し且つ/又はろ過することにより、前記システムをプライミングできる。プライミング中に前記栄養分サブシステムの注入ポンプを通じて栄養分、保存剤、及び/又は他の治療薬も提供してよい。プライミング中、操作者インターフェースを通じて様々なパラメータを初期化し、較正してもよい。プライミングして適正に動作したら、前記ポンプの流れを減らすか、又はサイクルから外して、前記バイパス導管を前記臓器チャンバ・アセンブリから取り外し、肝臓から前記臓器チャンバ・アセンブリにカニューレ挿入できる。場合に応じて、前記ポンプの流れを回復させるか、又は増すことができる。
実施形態によっては、前記システムは複数の伸展性チャンバを含むことができる。前記伸展性チャンバは、人体の血管伸展性をシミュレートするための柔軟で弾性的な壁部を持つ効果的に小型の直列流体アキュムレータである。よって、これらチャンバは、例えば、流量変化による流体圧スパイクをろ過/減少させることによって、人体の血流をより正確に模倣するにあたり前記システムを補助できる。ある構成では、伸展性チャンバは、門脈への潅流液経路内と、前記潅流液ポンプの出力側とに位置する。一実施形態によれば、伸展性チャンパは、生理学的な肝動脈流及び門脈流を実現するために圧力を調節するため用いられるクランプの隣に位置する。
幾つかの実施形態では、前記臓器チャンバ・アセンブリは、ハウジングの底面に嵌合するような大きさ及び形状のパッド又はサック・アセンブリを含む。好ましくは、前記パッド・アセンブリが、輸送中の機械的振動及びショックから臓器を緩衝するために充分弾性的な材料から形成されたパッドを含むとよい。前記臓器チャンバ・アセンブリが肝臓を収容するような構成である場合、ある特徴としては、本発明のパッドは、輸送中に被るショック及び振動の影響からから大きさや形状が異なる臓器を拘束するため、前記パッドをそうした肝臓に適合させる機構を含む。
前記臓器管理システムの幾つかの実施形態は、多数回使用モジュールと頓用モジュールとに分割されている。前記頓用モジュールは、前記多数回使用モジュールと電気的、機械的、気体及び流体による相互作動するように、前記多数回使用モジュールの携帯用シャシと連結する大きさ及び形状である。一実施形態によれば、前記多数回使用及び頓用モジュールは互いと光学的インターフェースを通じて通信でき、当該光学的インターフェースは、前記頓用使い捨てモジュールが前記携帯用多数回使用モジュール内に設置されたときに自動的に光学的に位置合わせされる。別の特徴としては、前記携帯用多数回使用モジュールは前記頓用使い捨てモジュールに、ばね付き接続を介して電力を提供できるが、このばね付き接続も、前記頓用使い捨てモジュールが前記携帯用多数回使用モジュール内に設置されたときに自動的に接続する。ある特徴としては、前記光学的インターフェース及びばね付き接続により、前記頓用及び多重モジュール間の接続が、荒れた地面上の輸送時などの衝突を原因として失われることがないことを保証できる。
幾つかの実施態様では、前記使い捨て頓用モジュールは、前記潅流液経路からの流体をサンプリングする複数のポートを含む。前記ポートは、前記複数ポートのうちの第一のものからの流体のサンプリングがあると、前記複数のうちの第二のポートからの流体の同時サンプリングが禁止されるように、相互鎖錠することができる。この安全性の特徴により、流体試料が混合したり、前記ポートが不注意で開口してしまったりする可能性が減少する。一実施態様では、前記頓用モジュールは、肝動脈、門脈、及び/又はIVCインターフェースのうち1つ以上からサンプリングするためのポートを含む。
開示した主題の幾つかの実施形態は、肝臓を治療する方法に関する。例示的な方法は、肝臓を、携帯用臓器管理システムの保護チャンバ内に配置する段階と、潅流液を前記肝臓内に肝動脈及び門脈を介してポンプ注入する段階と、前記潅流液の流れを、大動脈を介して前記肝臓から離れる方向に供給する段階と、前記潅流液が肝動脈及び門脈を介して肝臓にポンプ注入され、肝臓から大動脈を介して流出するように、流量制御器を動作させて前記潅流液の流れを変化させる段階と、肝臓に治療を施す段階とを含むことができる。前記処置には、例えば、免疫抑制処置、化学療法、遺伝子治療及び放射線治療のうちの一つ以上を肝臓に施すことを含むことができる。他の治療には、分割移植(split transplant)及び癌切除を含む外科的用途を含むことができる。
幾つかの実施形態において、開示した主題は、肝臓をex-vivoで潅流するための潅流回路を含むことができ、当該潅流回路は、前記回路内に潅流液の拍動流体流を供給する単一のポンプと、ガス交換器と、前記潅流液の流れを第一枝管と第二枝管とに分割するよう構成された分割器とを含み、前記第一枝管は、前記潅流液の第一部分を前記肝臓の肝動脈に高圧且つ低流量で供給するよう構成され、前記第一枝管は前記ポンプと流体圧連通し、前記第二枝管は、前記潅流液の残り部分を前記肝臓の門脈に比較的低圧且つ高流量で供給するよう構成され、前記第二枝管は前記ポンプと流体圧連通し、前記第二枝管は、前記門脈への潅流液の流量を選択的に制御するため、前記分割器と前記肝臓との間に配置されたクランプを更に含み、前記第二枝管は、前記ポンプから前記門脈への前記潅流液の拍動流特性を軽減するよう構成された伸展性チャンバを、前記分割器と前記肝臓との間に更に含み、前記ポンプは、前記第一枝管及び前記第二枝管を介して前記肝臓へ流体圧を連通するよう構成されており、前記潅流回路は、前記肝臓のカニューレ挿入されていない下大動脈から潅流液を受け取るよう構成されたドレインと、前記肝臓の完全に下方に配置されると共に前記ドレインと前記ポンプの間に位置したレザバであって、前記潅流液を前記ドレインから受け取ると共に一定量の流体を蓄えるよう構成されたレザバとを含む。更なる実施形態も可能である。
幾つかの実施形態において、開示した主題は、ねじ山付きロッドと連絡したステッピング・モータを含む溶液ポンプと;前記ロッドに接続されると共に前記ロッドが回転する際に直線軸に沿って移動するよう構成されたキャリッジであって、第一方向に移動されたときはシリンジのプランジャーを圧縮するよう構成されると共に、第二方向に移動されたときは前記シリンジの前記プランジャーを引き込ませるよう構成されたキャリッジと;前記プランジャーに接続するよう構成されたクランプと;前記シリンジの先端に結合するよう構成されたポートを含む接続アッセンブリと;前記シリンジが引き込まれる際に、流体が前記ポートを介して前記シリンジに流入することを許容するよう構成された第一の一方向バルブと;前記シリンジが圧縮される際に、流体が前記ポートを介して前記シリンジから離れる方向に流動することを許容するよう構成された第二の一方向バルブと;前記接続アッセンブリ内の前記流体の圧力を算出するための、前記接続アッセンブリに結合された圧力センサと;前記ステッピング・モータの動作を制御するよう構成されたコントローラと;前記シリンジが完全に引き込まれたときを判断するよう構成されたセンサとを含む。更なる実施形態も可能である。
幾つかの実施形態では、開示した主題は、ロッドを回転させることで、前記ロッドに接続されたキャリッジを前記ロッドの直線軸に沿って移動させる段階と、前記キャリッジが前記直線軸に沿って第一方向に移動する際に、シリンジのプランジャーを圧縮する段階と、前記プランジャーが圧縮される際に、流体を前記シリンジから接続アッセンブリのポート内に第一の一方向バルブを介して送出する段階と、前記キャリッジが前記直線軸に沿って第二方向に移動する際に、シリンジのプランジャーを引き込む段階と、前記プランジャーが引き込まれる際に、流体を前記シリンジに第二の一方向バルブを介して且つ前記接続アッセンブリの前記ポートを介して送出する段階と、前記接続アッセンブリ内の流体の圧力を感知する段階と、前記シリンジが引き込まれたときに前記プランジャーの位置を感知する段階とを含む。更なる実施形態も可能である。
幾つかの実施形態は、開示した主題は、ドナーの肝臓を機械潅流するためのex-vivo潅流液を含むことができ、当該潅流液は、エネルギー豊富な成分と、胆汁酸塩と、電解質と、緩衝成分とを含む。前記潅流液は血液製剤を含むことができる。前記エネルギー豊富な成分は、炭水化物と、ピルビン酸塩と、フラビンアデノシンジヌクレオチド(FAD)と、β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド (NAD)と、β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート(NADPH)と、ヌクレオシドのリン酸誘導体と、コエンザイムと、それらの代謝産物及び前駆体とからなるグループから選択された1つ以上の化合物とすることができる。前記潅流液は、反凝固剤と、脂質と、コレストロールと、脂肪酸と、酸素と、アミノ酸と、ホルモンと、ビタミンと、ステロイドとからなるグループから選択された1つ以上の化合物を更に含む。前記潅流液は実質的に二酸化炭素を含まない。更なる実施形態も可能である。
開示した主題のこれら及び他の実施形態は、次の図面及び詳細な説明を参照すればより完全に理解できるはずである。
次の図面は、開示した主題の比限定的な例を示すことを意図したものである。更なる実施形態も可能である。
図1は肝臓の例示的な図である。 図2は、例示的な頓用モジュールの写真である。 図3A-3Iは、例示的な臓器管理システム及びその構成要素の様々な図を示す。 図4は、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的なシステムを示す。 図5は、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的なシステムを示す。 図6A-6Eは、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的なポンプ構成を示す。 図7A-7Qは、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的な溶液注入ポンプを示す。 図8は、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的なシステムを示す。 図9は、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的なシステムを示す。 図10は、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的なシステムを示す。 図11は、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的なシステムを示す。 図12A-12Gは、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的なグラフィカル・ユーザインタフェースを示す。 図12Hは、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的なシステムを示す。 図13A-13Rは、臓器管理システムの実施形態内で使用できる頓用モジュール及びその構成要素の例示的な実施形態を示す。 図14A-14Sは、臓器管理システムの実施形態内で使用できる臓器チャンバ及びその構成要素の例示的な実施形態を示す。 図15A-15Dは、臓器管理システムの実施形態で使用できる支持構造体の例示的な実施形態を示す。 図16A-16Jは、臓器管理システムの実施形態で使用できる例示的なパッド及びその構成要素並びに柔軟性材料の支持表面を示す。 図17は、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的なシステムを示す。 図18A-18Gは、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的な加熱器アセンブリ及びその構成要素を示す。 図19A-19Cは、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的なセンサ・システムを示す。 図20A-20Cは、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的なシステムを示す。 図21A-21Kは、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的な肝動脈カニューレを示す。 図22A-22Gは、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的な門脈カニューレを示す。 図23A-23Nは、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的なコネクタを示す。 図24A-24Lは、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的なコネクタを示す。 図25A-25Dは、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的なクランプを示す。 図26-27は、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的な処理を示す。 図28は、臓器管理システムの実施形態からの例示的なテスト結果を示す。 図29は、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的な処理を示す。 図30は、臓器管理システムの実施形態内で使用できる例示的なシステムを示す。 図31は、OCSにおける8時間の保存全体を通じた肝動脈流(HAF)の傾向を示す。 図32は、OCSにおける8時間の保存全体を通じた門脈圧(PVF)の傾向を示す。 図33は、8時間のOCS-肝臓潅流の全体を通じた肝動脈圧に対する門脈圧のグラフを示す。 図34は、8時間にわたるOCS肝臓潅流の動脈乳酸エステル・レベルのグラフである。 図35は、8時間にわたるOCS肝臓潅流の総胆汁生産のグラフである。 図36は、8時間にわたるOCS肝臓潅流のASTレベルのグラフを示す。 図37は、8時間にわたるOCS肝臓潅流のACTレベルのグラフを示す。 図38は、OCSでの8時間の保存の全体を通じた膨張圧のグラフである。 図39は、8時間のOCS肝臓潅流にわたる炭酸水素ナトリウム・レベルのグラフである。 図40は、OCSにおける8時間の保存の全体を通じて検出されたpHレベルのグラフである。 図41は段階I、グループAの試料から採取した組織の画像を示す。 図42は12時間のOCS肝臓潅流の肝動脈流を示す。 図43は12時間のOCS肝臓潅流の門脈流を示す。 図44は、12時間のOCS-肝臓潅流における、肝動脈圧に対する門脈圧のグラフを示す。 図45は、12時間のOCS-肝臓潅流の動脈乳酸エステルを示す。 図46は、12時間のOCS-肝臓潅流における胆汁生産を示す。 図47は12時間のOCS-肝臓潅流のASTレベルを示す。 図48は12時間のOCS-肝臓潅流におけるACTレベルを示す。 図49は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群の肝動脈流を示す。 図50は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群の門脈流を示す。 図51は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群における、肝動脈圧と門脈圧とを示す。 図52は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存群における動脈乳酸エステルを示す。 図53は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群の胆汁生産を示す。 図54は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群のASTレベルを示す。 図55は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群のACTレベルを示す。 図56は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群の膨張圧を示す。 図57は、模擬移植のOCS肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群の重炭酸ナトリウム・レベルを示す。 図58は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群のpHレベルを示す。 図59は、段階I、グループAの試料から採取した組織の画像を示す。 図60は、段階I、グループAの試料から採取した組織の画像を示す。 図61は、豚の肝臓から採取した試料の位置を示した図である。 図62は、OCSでの24時間にわたるOCS潅流での、肝動脈圧(HAP)の傾向を示す。 図63は、OCS-肝臓保存群に対する低温保存コントロール群の門脈圧を示す。 図64は、OCS-肝臓保存群に対する低温保存コントロール群の肝動脈流を示す。 図65は、OCS-肝臓保存群に対する低温保存コントロール群の門脈流を示す。 図66は、OCS-肝臓保存群に対する低温保存コントロール群の動脈乳酸エステルを示す。 図67は、OCS-肝臓保存群に対する低温保存コントロール群のASTレベルを示す。 図68は、OCS-肝臓保存群に対する低温保存コントロール群のALTレベルを示している。 図69は、OCS肝臓保存群に対する低温保存コントロール群のGGTレベルを示す。 図70は、OCS肝臓保存群に対する低温保存コントロール群のPHレベルを示す。 図71は、OCS-肝臓保存群に対する対する低温保存コントロール群のHCO3レベルを示す。 図72は、OCS-肝臓保存群に対する低温保存コントロール群の胆汁生産を示す。図72は、両群が10ml/時を上回る胆汁生産率を維持したことを実証する。
次の記載は項目の表題を使用するが、これらは読者の便宜のためのみで含めたものである。これら項目の表題は限定を意図したものでも、本明細書の主題に制限を課すことを意図したものでもない。例えば、この記載の一項目に記載された構成要素は別の項目に付加的に又は代替的に含めることができる。本明細書に記載した実施形態は例示目的のみであって、本開示の範囲以内であれば、開示された実施形態及び様々な特徴は入れ換えできる。
I. 序説
A. 概要
開示された主題の実施形態は、移植処置中などで肝臓をex vivoで維持するための技法を提供できる。本システムは、人体を模倣した状態に肝臓を維持できる。例えば、本システムは、人体により与えられる血流をシミュレートする態様で代用血液をex vivoの肝臓に供給できる。より具体的には、本システムは、人体に似た流動及び圧力特性を備えた代用血液流を肝臓の肝動脈及び門脈に与えることができる。幾つかの実施形態では、所望の流れは単一のポンプを用いたポンプ・システムを用いて実現できる。本システムは、代用血液を、人体をシミュレートする正常温まで温めることもでき、更に、肝臓を維持し且つ肝臓による胆汁の正常な生成を促進するため栄養分を代用血液に与えることもできる。これらの技法を実行することで、人体外で肝臓を維持できる時間が延長できるので、ドナーとレシピエントとの地理的距離が以前ほどは重要でなくなる。更に、肝臓をex vivoで維持するために使用される本明細書で開示する実施形態の幾つかを用いて、移植前の肝臓の状態を評定できる。幾つかの実施形態では、本明細書に記載された技法を用いると、in vivoで実行すれば人体に有害となるであろう処置を使って損傷及び/又は疾患肝臓をex vivoで処置できる。他の実施形態も開示した主題の範囲に入る。
本開示は肝臓を維持又は処置することを意図した実施形態に焦点を合わせているが、本開示はそれに限定されるものではない。例えば、本明細書に記載した技法を用いて又はそれを適合させて、肺、心臓、腸、膵臓、腎臓、脾臓、膀胱、胆嚢、胃、皮膚、及び脳などの臓器にも使用できる。
II.他の臓器と比較した肝臓
肝臓は人体にある多数の臓器の1つだが、肝臓のex vivoの維持及び輸送時には心臓又は肺などの他の臓器にはない難題が存在する。幾つかの代表的な差及び問題点を次に説明する。
A. 肝臓は2つの潅流液の流入供給を利用する。
重要な点だが、肝臓は、他の臓器が1つのみの潅流経路を用いるのに比べ、2つの固有の入力経路を用いる。肝循環は、それぞれが異なる流れ特性を備えた二重血管血液供給を特徴とする独特のものである。肝臓100の例示的な概念図である図1を参照すると、肝臓は門脈10及び肝動脈12の2つの血液供給を利用する。特に、肝動脈は、高圧で拍動流だが比較的低い流量の血液を肝臓に届ける。肝性血流(hepatic blood flow)は、典型的に、総肝臓血流(liver blood flow)の約3分の1を占める。特に、門脈は、低圧で最小の拍動性を備えた血液を、より大きな流量で肝臓に届ける。門脈血流は、典型的に、肝臓への合計血流の約3分の2を占める。
肝臓がex vivoシステム内にあるときには、この臓器から見込まれる二重血液供給は、それに対して生理学的血流を人工的に供給しようとする場合に問題を生じることがある。この問題は複式ポンプ設計を用いている場合でも困難となる場合があるが、単式ポンプ設計を用いる場合はいっそう困難になりうる。本明細書で開示した主題の幾つかの実施形態は、これらの問題に対処できる。
B. 血液の補助排出
In vivoでは、肝臓は横隔膜の下方に位置している。この位置によって、肝臓血流及び下大静脈を介した静脈排液は、典型的に、肝臓を加圧した結果として横隔膜収縮により促進される。空気が肺によって吸引且つ排出される際に横隔膜が肺と共に移動する際に、横隔膜のこの運動が圧力を肝臓に加えることによってこの臓器に作用し、よって血液を組織から押し出す。この現象をex-vivoの肝臓で模倣して、肝臓からの血流の流出を促進し、この臓器内の血液蓄積を防止する助けとなる。
C. 膨張圧
ex-vivoの肝臓における浮腫形成を最小化するため、例えば、デキストラン、25%のアルブミン、及び/又は新鮮な凍結血漿である潅流液は高い膨張圧を備えるべきである。幾つかの実施形態では、循環潅流液の膨張圧は、5-35 mmHgの範囲に、より具体的には15-25 mmHgの範囲に維持される。可能な膨張圧は、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、及び25 mmHg又はここに示した値によって境界を定められた任意範囲である。
D. 代謝及びCO2のレベル
肝臓は体の代謝の中心であり、常に代謝状態にある。腸によって吸収されたほとんどの化合物はまず肝臓を通過し、すると肝臓は血液中の多くの代謝産物のレベルを調節できる。例えば、糖類を脂肪及び他の貯蔵エネルギーへの変換(例えば、グルコネオゲネシス及び解糖)するとCO2が発生されることになる。肝臓は、体内酸素全体の約20%を消費する。結果として、肝臓は他のほとんどの臓器より高いレベルのCO2を発生する。In vivoでは、この臓器は自己調節してそれ自身から余分な二酸化炭素を除去できる。しかし、酸素と二酸化炭素の生理学的レベル及びそれによりpHを維持するために、この臓器から過剰の二酸化炭素を除去することが望ましい場合がある。本願で記載したシステムは、ex vivoでの臓器保存に適した血液の化学的平衡の達成を促進できる。
E. 胆汁生産
肝臓は排出物を生成する臓器である。その排出物である胆汁は、通常は臓器によってin vivoで生成され且つ排出される。胆汁は、肝臓内で肝細胞によって生成される。in vivoでは、肝臓は胆汁酸塩を用いて胆汁を生成し、胆汁酸塩は腸肝循環系を介して肝臓に再循環され再利用される。すると、こうした胆汁酸塩は、肝細胞を刺激してさらに胆汁を生成する。ex vivoでは、胆汁酸塩は肝臓に再循環されない。結果として、この臓器が胆汁を生成する助けとするため、胆汁酸塩で潅流液を補うことが望ましい場合もある。さらに、幾つかの例では、肝臓が生産した胆汁は、臓器の移植適性の指標(例えば、量、色、及び粘度)を与えることができる。
F. 肝臓の支持
肝臓は体内で最も大きい固形臓器であるが、繊細且つ脆弱である。人体内では、これは胸郭及び他の臓器によって守られている。他の多くの臓器と異なり、肝臓は保護要素を含まず、強固な構造体で囲まれていない。従って、肝臓が体から取り除かれ、ex-vivoで維持される場合、他の臓器よりも繊細に取り扱われるべきである。例えば、肝臓を適切に支持し、肝臓を低摩擦表面上に配置し、且つ/又はその臓器をラップで覆って輸送時及びex-vivoで維持中に保護することが望ましい場合がある。
G. 潅流液
他の臓器と比べた肝臓の広範囲の生体機能(例えば、解毒作用、タンパク質合成、グリコーゲン蓄積、及び消化に必要な生化学物質の生成)を考慮すれば、本明細書に記載の臓器管理システムで使用される潅流液は、肝臓の通常の機能を維持するためその生理学的状態に近い状態に維持するように特に設計できる。例えば、肝臓は、エネルギーを消費する絶え間ない代謝の状態にあるので、潅流液中の酸素含有量は、代謝倉庫としての肝臓の高い要求量を満たすため生理学的レベルに近い又はそれを上回るレベルに維持できる。同様に、この潅流液は、肝臓にその機能を実行するためのエネルギー源を与えるのに十分な濃度の糖類及び電解質のようなエネルギー豊富な成分を含むようにも設計できる。
更に、酸素及び栄養分が、適切な量でex vivoの肝臓に確実に届けられるように、この潅流液の流量を適切に調節できる。更に、潅流液中の二酸化炭素含有量は、生理学的状態の肝臓よりも低いことがあり、従って、代謝及び酸化に対する肝臓の生物学的反応の平衡状態を更に推進できる。幾つかの実施形態では、ここで使用する潅流液は有意な量の二酸化炭素を含んでいないか、全く含んでいない。幾つかの実施形態では、ここで使用する潅流液は、肝臓の胆汁を生産する必要性を維持するのに十分な量の胆汁酸塩も含んでいる。よって、本明細書に記載された臓器管理システム用の潅流液は、肝臓を生存可能な状態に維持するため、肝臓の通常の細胞機能を維持するように設計できる。
III.代表的なシステム構成要素の説明
A. 一般的な構成
図3は、肝臓などの臓器が例えば移植手術又は医学的処置時にex vivoであるとき、その臓器を保存するのに使用できる例示的な臓器管理システム600を示す。一般的なレベルでは、臓器管理システム600は、in vivoにあるときに臓器がおかれる状態を模倣した状態を、そのex vivo臓器に再現するよう構成されている。例えば、肝臓の場合、臓器管理システム600は、人体における血流を模倣し(例えば、流動、圧力、及び温度)且つ似た環境特性(例えば、温度)を実現する態様でこの臓器に潅流液を流すことができる。
幾つかの実施形態では、臓器管理システム600は、頓用使い捨て部分(例えば、634)及び非使い捨て多数回使用部分(例えば、650)(本明細書では、頓用モジュール及び多数回使用モジュールとも呼ぶ)の2つの部分に分割できる。名前が示唆するように、頓用部分は肝臓が運搬された後は交換できるが、多数回使用部分は再利用できる。一般的なレベルでは、要件ではないが、頓用部分は生体物質と直接接触するシステムの部分を含むが、多数回使用部分は生体物質と直接接触しない構成要素を含む。幾つかの実施形態では、頓用部分の全ての構成要素は使用前に殺菌されるが、多数回使用部分の構成要素は殺菌されない。これらの部分それぞれは詳細に後述する。この構成によって、使用後に、頓用モジュール634を廃棄して新品の頓用モジュールと交換できるような動作方法が可能となる。これによって、システム600は短い所用時間後に再利用可能となる。
典型的には、頓用及び多数回使用部分は、機械的インターフェースを介して互いに取り外し可能に接続するよう構成できる。更に、頓用及び多数回使用部分は、機械的、気体、光学的、且つ/又は電気的接続部分を含み、これら2つの部分が互いと相互作用できる。幾つかの実施形態では、これら部分間の接続部はモジュラー形式で互いから接続/非接続となるよう設計されている。
使い捨てモジュール634及び多数回使用モジュール650は、ポリカーボネート・プラスチック、カーボン・ファイバ・エポキシ複合材、ポリカーボネートABSプラスチック混合材、ガラス繊維強化ナイロン、アセタール、単独ABS、アルミニウム及び/又はマグネシウムなどの軽量材料ながら耐久性がある材料から少なくもと部分的に形成される。幾つかの実施形態では、システム600全体の重量は、多数回使用モジュール、臓器、バッテリ、ガス・タンク、並びにプライミング、栄養分、保存剤及び潅流液を含め100ポンド未満であり、このような部分を除くと約50ポンド未満である。幾つかの実施形態では、使い捨てモジュール634の重量は、いずれの溶液をも除くと12ポンド未満である。幾つかの実施形態では、全ての流体、バッテリ及びガス供給部を除いた多数回使用モジュールは、50ポンド未満の重さである。
カバーを取り除き前方パネルを開放した状態で、操作者は、使い捨てモジュール634及び多数回使用モジュール650の構成要素の多くに容易にアクセスできる。例えば、操作者は、頓用及び多数回使用モジュールの様々な構成要素にアクセスでき、更に、頓用モジュールを多数回使用モジュールに取り付け且つ/又はそれから取り外しできる。
幾つかの構成要素は、システム600の頓用部分又は多数回使用部分の内部に存在しているよう記載されているが、これは例示にすぎない。すなわち、頓用部分内に位置しているとここで説明されている構成要素は、多数回使用部分の中に配置してもよく、その反対も同様である。
B. 例示的な多数回使用モジュール
図3A-3Iを参照すると、多数回使用モジュールは、ハウジング、カート、バッテリ、ガス供給部、潅流液ポンプ、注入ポンプの少なくとも一部、及び制御システムを含む幾つかの構成要素を含むことができる。
1. カート/ハウジング
図3A-3Iを参照すると、臓器管理システムの例示的な実施形態が示されており、臓器管理システム600は、ハウジング602及びカート604を含むことができる。カート604は、プラットフォームと、システム600をある場所から別の場所へシステム600を運搬するためのホイールとを含むことができる。ラッチ603はハウジング602をカート604に固定できる。携帯性を更に支援するため、システム600は、ハウジング602の左側側面にヒンジで取り付けられたハンドルを、ハウジング602の左側及び右側側面に取り付けられた、2つの強固に取り付けられたハンドル612a及び612bと併せて含むことができる。ハウジング602は、取り外し可能な上部蓋(図示しない)及び下側パネルにヒンジ616a及び616bによってヒンジ取り付けされた前方パネル615を更に含む。このカバーは取り外しの助けとなるハンドルを含むことができる。
システム600は、AC電源ケーブル618を、この電源ケーブルを固定するためのフレームと併せて、ハウジング602の左側側面の下側部分上に両者とも配置された状態で、含むことができる。やはり左側側面の下側部分に配置された電源スイッチ622により、操作者は、システム・ソフトウェア及び電子部品を再スタートさせることができる。
図3Gは、頓用モジュール634が取り外された状態で、多数回使用モジュール650の前方斜視図を示す。図示したように、多数回使用モジュール650は、カート604及びハウジング602を、その上/内部に取り付けられた全ての構成要素とともに含むことができる。多数回使用モジュール650は、更に、頓用モジュール634を受け取り且つ定位置に係止するためのブラケット・アセンブリ638も含む。例示的なブラケット・アセンブリ638を図3Hに示した。
幾つかの実施形態では、ハウジング602は、ハウジング602の上部分から不慮に漏れ出しかねないいずれかの潅流液及び/又は他の流体を捕捉し且つそれがハウジング602の下部分に達することを防止するように構成された流体密な水盤を含む。よって、幾つかの実施形態では、この水盤はシステム600の電子部品を漏れた流体から遮蔽できる。幾つかの実施形態では、水盤652は、任意時点でシステム600内で使用される流体の体積全体を収容するようサイズ決めできる。
システム600は、更に、操作者インターフェース・モジュール146を、この操作者インターフェース・モジュール146を保持するための受け台623と併せて含むことができる。操作者インターフェース・モジュール146は、情報を操作者に表示するための表示装置624を含むことができる。操作者インターフェース・モジュール146は、多数のパラメータから選択するための回転可能か且つ押圧可能なノブ626と、表示スクリーンとを更に含むことができる。ノブ626は、更に、システム600の自動制御用のパラメータを設定したり、システム600の動作を手動制御したりするためにも用いることができる。幾つかの実施形態では、操作者インターフェース・モジュール146はそれ自身のバッテリ368を含むこともでき、受け台623から外してワイヤレス・モードで用いられるようにしてもよい。受け台623内にあるときは、電源との接続により、操作者インターフェース・モジュール146を充電することができる。この操作者インターフェース・モジュールは、更に、ポンプを制御したり、警報を停止又は動作不可にしたり、スタンバイ・モードに入ったり又は出たり、臓器管理の間に得られるデータの表示を開始する潅流時計を始動させたりするための制御ボタンも含むことができる。
図5も参照すると、システム600は、システム600との間の配電及びデータ伝送を容易にするために複数の相互接続された回路基板を更に含む。例えば、多数回使用モジュール650は、頓用モジュール650の前方端部回路基板637に光学的かつ電気機械的に接続する前方端部インターフェース回路基板636を含む。システム600は更に、多数回使用モジュール650上に配置されたメイン基板718、電力回路基板720、及びバッテリ・インターフェース基板711を含む。メイン基板718はその構成によって、ある回路基板の動作に障害が発生した場合にメイン基板718が1つ以上のパラメータ(例えば、ポンピング・パラメータ)を非揮発性メモリに保存するという点で、システム600を障害許容性とすることができる。システム600がリブートすると、それはこのようなパラメータを再捕獲し、それらに従って動作を継続できる。更に、システム600は、重大な機能を多数のプロセッサ間で分割でき、1つのプロセッサが傷害を起こした場合、残りの重要な機能の他のプロセッサによる実行の継続が可能となる。
2. 電力システム
図4を参照すると、システム600の多数回使用部分は、システム600に電力を供給するよう構成された電力サブシステム148を含むことができる。電力サブシステム148は、交換可能バッテリ及び/又は外部電源を用いてシステム600に電力を供給できる。幾つかの実施形態では、電力サブシステム148は、システムの動作を遮断することなく、外部電力と搭載バッテリとの間を切り替えることができる。更に、電力サブシステム148は、外部から提供される電力を、当該システム600の給電と、バッテリの充電と、操作者インターフェース・モジュール146の内部バッテリの充電との間で自動的に配分するよう構成できる。この電力システムのバッテリは一次電源として使用でき、且つ/又は外部電源が障害を起こしたり不十分となったりした場合にバックアップ電源として使用できる。更に、電力サブシステム148は、多種類の外部電源と互換性を備えるよう構成できる。例えば、この電力システムは、多数の入力電圧(例えば、100V-230V)、多数の周波数(例えば、50-60 Hz)、単相電力、三相電力、交流、及び/又は直流電力を受け取るよう構成できる。更に、幾つかの実施形態では、操作者インターフェース・モジュール146はそれ自体のバッテリ368を備えることもできる。
ハウジング602は、1つ以上のバッテリ352を保持するよう構成されたバッテリ・ベイ628を含むことができる。複数のバッテリを備えた実施形態では、バッテリ・ベイ628は、システム600が動作中の任意時点で2つ以上のバッテリがバッテリ・ベイ628から外されることを防止するよう構成されたロックアウト機構632を含むことができる。この特徴は、電源を常に確実に利用可能とすることを支援する付加的レベルの障害許容を提供できる。システム600は、1つ以上のガス・タンクを収容するよう構成できるタンク・ベイ630を含むこともできる。
図5の概念図を参照すると、ケーブル配線731は電力(例えばAC電力351)を電源350から電力回路基板720にコネクタ744及び730を介して運ぶことができる。電力供給部350はAC電力をDC電力に変換し、このDC電力を上述したように配電する。電力回路基板720は、DC電力及びデータ信号358を各ケーブル727及び729を介してコネクタ726及び728から、前方端部インターフェース回路基板636の対応するコネクタ713及び715に接続できる。ケーブル729は、電力とデータ信号とを前方端部インターフェース基板636に運ぶことができる。ケーブル727は、電力を加熱器110に前方端部インターフェース基板636を介して運ぶことができる。コネクタ713及び715は、頓用モジュール634の前方端部回路基板637の対応するコネクタ712及び714と嵌合して、電力をこの頓用モジュール634に提供できる。
7電力回路基板720は更に、電力回路基板720のそれぞれコネクタ732及び734からのDC電力358及びデータ信号を、メイン回路基板718の対応するコネクタ736及び738にケーブル733及び735を介して提供することができる。ケーブル737は、メイン回路基板718のコネクタ740からのDC電力358及びデータ信号を、操作者インターフェース・モジュール146に操作者インターフェース・モジュール受け台623のコネクタ742を介して接続することができる。更に電力回路基板720は、コネクタ745及び747からのDC電力358及びデータ信号を、ケーブル741及び743を介してバッテリ・インターフェース基板711のコネクタ749及び751に提供することもできる。ケーブル741はDC電力信号を運び、そしてケーブル743はデータ信号を運ぶことができる。バッテリ・インターフェース基板711はDC電力及びデータを1つ以上のバッテリ352(図5では、352a、352b及び352c)に配電でき、これらバッテリは、それぞれの充電状態を通信可能にする電子回路を内蔵しているため、コントローラ150は1つ以上のバッテリ352の充電及び放電を監視且つ制御することができる。
3. 潅流液ポンプ
システム600は、潅流液をその臓器管理システムにポンプ注入するよう構成されたポンプ106を含むことができる。この潅流液は、正常な生理学的状態を模倣できる血液製剤ベースの潅流液を利用する。幾つかの実施形態では、この潅流液は人工の代用血液溶液でよく、且つ/又はこの潅流液は、代用血液剤と組み合わせた血液製剤でもよい。この潅流液が血液製剤ベースである場合の実施形態では、それは典型的には赤血球(例えば、酸素を運ぶ細胞)を含有する。この潅流液はより詳細に後述する。
幾つかの実施形態では、ポンプ106は収縮期と拡張期とを持つことができる。ポンプ106によってポンピングされる潅流液の量は、ポンプ自体の1つ以上の特性を変化させることによって変更できる。例えば、一分当たりのストローク数及び/又はストローク変位を変化させて所望の流量及び圧力特性を達成できる。幾つかの実施形態では、ポンプ106は、1-150ストローク/分のストローク率及び0.1-1.5インチの変位を用いるよう構成できる。しかし、より具体的には、60ストローク/分±5ストローク/分の公称ストローク率を0.5インチの変位と組み合わせて使用できる。これらの値は例示的なものにすぎず、これら範囲外の値も使用できる。ポンプ106の特性を変化させることによって、0.0L/分と10 L/分との間の流量が達成できる。
幾つかの実施形態では、潅流液ポンプ106は、多数回使用部分650に位置したポンプ駆動装置部と頓用部分634のポンプ・インターフェース・アセンブリとの2つの分離可能部分に分割されている。頓用部分のこのインターフェース・アセンブリは、多数回使用部分のポンプ駆動装置を、直接的な血液の生物学的接触から隔離できる。
図6A-6Dは、ポンプ106の例示的な実施形態を示す。図6A-6Cは、例示的な実施形態によるポンプ・インターフェース・アセンブリ300の様々な図を示す。図6Dは、潅流液ポンプ106の例示的なポンプ駆動装置部107の透視図である。図6Eは、例示的な一実施形態による、潅流液ポンプ・アセンブリ300のポンプ駆動装置部107と係合したポンプ・インターフェース・アセンブリ300の透視図である。
ポンプ・インターフェース・アセンブリ300は、外側側面304及び内側側面306を備えたハウジング302を含む。インターフェース・アセンブリ300は、吸入口308及び吐出口310を含む。ポンプ・インターフェース・アセンブリ300は、更に、内側312及び外側314のOリング・シールと、2つの変形可能なメンブレン316及び318と、ドーナツ型のブラケット320と、前記のOリング314とブラケット320との間に嵌合するハーフ・リング319a及び319bとを含むことができる。ハーフ・リング319a及び319bは、フォーム、プラスチック又は他の適した材料から作製できる。
内側のOリング312は、内側側面306の周辺に沿った環状の軌道に嵌合できる。第一の変形可能なメンブレン316は、ハウジング302の内側側面306と流体密に相互接続した状態で内側のOリング312に取り付けられることで、第一の変形可能なメンブレン316の内側側面と、ハウジング302の内側側面306との間で、チャンバを形成できる。第二の変形可能なメンブレン318は、第一の変形可能なメンブレン316の上に取り付けられることで、第一の変形可能なメンブレン316が破れる又は裂けた場合の障害許容を提供できる。例を挙げると、変形可能なメンブレン316及び318は、薄いポリウレタン・フィルム(約0.002インチ厚)から形成できる。しかしながら、任意の適した厚さの任意の適した材料を用いてもよい。図6A及び6Bを参照すると、ブラケット320は第二の変形可能なメンブレン318上に取り付けることができ、リング319a及び319bは、ハウジング302に、内側側面306の周辺に沿って固定できる。ねじ山付き留め具322a-322iがブラケット320をハウジング302に、ブラケット320のねじ山付き開口324a-324iを通じて取り付けることができる。外側のOリング314は、ポンプ・アセンブリ106との流体封止を提供するためにブラケット320の環状の溝内に嵌合できる。Oリング314をこのブラケット320の環状の溝に挿入する前に、ハーフ・リング319a及び319bを典型的には溝内の定位置に置く。次にOリング314を圧縮してブラケット320の環状の溝内に配置できる。環状の溝内に配置後、Oリング314はこの溝内で膨張して、それ自体並びにハーフ・リング319a及び319bを定位置で固定できる。
ポンプ・インターフェース・アセンブリ300は、更に、その外側側面304から突出する熱かしめ点321a-321cを含むことができる。これらの点321a-321cは、熱接着材を受け入れてポンプ・インターフェース・アセンブリ300をシステム300の頓用部分のC型ブラケット656に熱かしめできる。
図6Cに示すように、流体の吐出口310は、吐出口ハウジング310a、吐出口管継手310b、液流調節ボール310c及び吐出口ポート310dを含む。ボール310cは吐出口ポート310d内に収まるが、吐出口310の内側開口326を通過しないような大きさである。管継手310bは、吐出口ポート310dに(例えばエポキシ又は別の接着剤により)接着されて、ボール310cを内側開口326と管継手310bとの間で捕捉される。出口ハウジング310aも同様に管継手310bに接着される。
動作時、ポンプ・インターフェース・アセンブリ300は、潅流液ポンプ・アセンブリ106のポンプ駆動装置334からのポンプ力を受け取ってこのポンプ力を潅流液108に移動させる(translate)ことで、潅流液108を臓器チャンバ・アセンブリ104に循環させるように構成され且つ位置合わせされる。この例示的な実施形態では、潅流液ポンプ・アセンブリ106は、駆動装置334を有する、メンブレン318に接触できる拍動性ポンプを含む。流体の吸入口308は、変形可能なメンブレン316及び318から遠ざかる方向で運動するポンプ駆動装置に応答して、レザバ160などから潅流液108を吸い込んで、この流体を、内側メンブレン316とハウジング302の内側側面306との間に形成されたチャンバに供給することで、このメンブレン316及び318を同じ方向に変形させることができる。
ポンプ駆動装置が変形可能なメンブレン316及び318から遠ざかる方向に運動すると、レザバ160内の流体108の圧力水頭により、潅流液108がレザバ160からポンプ・アセンブリ106内に流れ込む。この際、ポンプ・アセンブリ106、吸入口バルブ191及びレザバ160は、潅流液108をポンプ・アセンブリ106に自然送りする向きになる。と同時に、液流調節ボール310cが開口326に引っ張られて、潅流液108も吐出口310を通じてチャンバ内に引き込まれることが妨げられる。吐出口バルブ310及び吸入口バルブ191は図示の実施形態では一方向バルブであるが、代替的な実施形態ではこれらのバルブ310及び/又は191は二方向バルブであることに留意されたい。ポンプ駆動装置334が変形可能なメンブレン316及び318に向かう方向で運動することに応答して、液流調節ボール310cは管継手310bに向かって動いて内側開口326を開口させるため、吐出口310は、潅流液108を、ハウジング302の内側側面306と変形可能なメンブレン316の内側側面との間に形成されたチャンバの外に吐出することができる。図1ではレザバ160と吸入口308との間に示す別の一方向吸入口バルブ191は、流体液が吸入口308から吐出されてレザバ160に戻ることを防止する。
頓用モジュール634及び多数回使用モジュール650とに分割されているシステム600の実施形態では、ポンプ・アセンブリ107は多数回使用モジュール650に強固に取り付けでき、ポンプ・インターフェース・アセンブリ300は使い捨て頓用モジュール634に強固に取り付けできる。ポンプ・アセンブリ106及びポンプ・インターフェース・アセンブリ300は、互いにかみ合って2つのアセンブリ107及び300間で流体封止を形成する対応する連結接続を有することができる。
より具体的には、図6Dの透視図に示すように、潅流液ポンプ・アセンブリ107は、上面340を有するポンプ駆動装置ハウジング338と、このハウジング338のシリンダ336内に収容されたポンプ駆動装置334とを含むことができる。ポンプ駆動装置ハウジング338は更に、ポンプ・インターフェース・アセンブリ300から突出するフランジ328と係合する大きさ及び形状とされたスロット332を含むことができる結合ポート342を含むことができる。ポンプ駆動装置ハウジング338の上面338は、非使い捨て多数回使用モジュール650上のブラケット346に取り付けられる。このブラケット346は、ポンプ・インターフェース・アセンブリ300の先細りになった突起部323a及び323bとそれぞれ当接する特徴344a及び344bを含むことができる。更にブラケット346は、ポンプ駆動装置ハウジング338の結合ポート342及びスロット332と位置合わせできる大きさ及び形状にされた切り欠き部330を含むことができる。
動作上、ポンプ・インターフェース・アセンブリ300と流体ポンプ・アセンブリ107との間の封止は、図6D及び6Eを参照して例示した2段階で形成できる。一番目の段階では、フランジ328を結合ポート342内に配置し、先細りになった突起部323a及び323bを、ブラケット346上の対応する特徴344a及び344bに隣り合った時計方向の側面に配置する。二番目の段階では、矢印345、347及び349で示すように、ポンプ・インターフェース・アセンブリ300及び流体ポンプ・アセンブリ106を反対方向に回転させる(例えばポンプ・インターフェース・アセンブリ300を反時計方向に回転させつつ、ポンプ・アセンブリ106は固定したまま保持するなど)ことで、フランジ328は結合ポート342のスロット332内に摺動させる。同時に、先細りになった突起部323a及び323bは、それぞれブラケットの特徴344a及び344b下で摺動して、ブラケットの特徴344a及び344bの内側表面を、先細りになった突起部323a及び323bの先細りになった外側表面と係合させることで、ポンプ・インターフェース・アセンブリ300の内側側面306をポンプ駆動装置334に向かって引っ張ると共に、フランジ328を結合ポート342に、そして先細りになった突起部323a及び323bをブラケットの特徴344a及び344bに連結(interlock)して、2つのアセンブリ300及び106間で流体封止を形成する。
幾つかの実施形態では、肝動脈及び門脈に与えられる潅流液の圧力及び流量を含む流れ特性は、ポンプ106により直接制御され且つポンプ106が発生する圧力下に置かれるように(例えば、肝動脈及び門脈はポンプ106と流体圧力連通することができるように)、システム100を構成してもよい。この実施形態は、ポンプが潅流液をレザバ(例えば、肝臓の上方に位置したレザバ)に供給し、重力を利用して肝臓に流体圧を掛ける実施形態とは異なる。
4. 溶液注入ポンプ
システム600は、1つ以上の溶液を潅流モジュール回路に注入するよう構成できる溶液ポンプ631を含むこともできる。臓器管理システム600の幾つかの実施形態では、溶液ポンプ631は、カリフォルニア州サンディエゴのケアフュージョン・コーポレーション製のMedSystem IIIのような市販品ポンプでもよく且つ/又は図7A-7Pに関して後述する溶液ポンプでよい。溶液ポンプ631により供給される注入溶液を使用して、例えば、変力サポート、ブドウ糖制御、pH制御などの臓器の持続的な管理を実行できる。さらに、溶液ポンプ631は、一般に多数回使用モジュール650の一部であると考慮されるが、溶液ポンプ631の幾つかの部分は頓用として本システムが使用される度に交換できる。
溶液ポンプ631は、1つ以上の溶液を同時に供給する(1つ以上のチャンネルを備えるとも呼ぶ)ように構成できる。幾つかの実施形態では、溶液ポンプ631は、維持溶液、胆汁酸塩、及びエポプロステノール・ナトリウムなど血管拡張剤の3つの溶液を供給できる。これら溶液のそれぞれは後に詳述する。溶液ポンプ631は、多数の注入速度(より速い/低い速度も可能だが、例えば、1-200 ml/時間)をサポートできる。注入速度は時間増分で調節可能にとすることができ(より速い/低い速度も可能だが、例えば、1 ml/時間増分)、注入速度の変化は典型的には5秒以内に効果を生じるが、これは要件ではない。10 ml/時間以下の注入速度では、注入される量は注入量設定点の+/- 10%以内の正確となりうるが、これは要件ではない。10 ml/時間を上回る注入速度では、注入される量は注入量設定点の+/-5%以内の正確となりうるが、これは要件ではない。
この溶液ポンプは、溶液側で0から-50 mmHgで、臓器側で0から+220 mmHgの入力圧力(この溶液ポンプ・ライン接続に対する静圧)で任意の要求正確度を維持するよう構成できる。好適には、注入では3秒を上回る流動不連続性が発生すべきでない。溶液ポンプが脱気された後では、50 uLより大きい気泡は、典型的には潅流モジュールに注入されない。幾つかの実施形態では、溶液ポンプ631とこの臓器との間のライン部分は、バルブ(例えば、ピンチ弁)を含み、溶液の臓器への流れを更に制御できる。溶液ポンプ631は、注入状態やエラーなどの各チャンネルの状態情報を提供できる。
溶液ポンプ631は、溶液を供給する1つ以上の使い捨てカートリッジと組み合わせて使用できる。例えば、溶液供給源と溶液ポンプ631との間のライン部分は、点滴バッグに接続するためのスパイクを含むことができる。溶液を供給するための使い捨てカートリッジを含む実施形態では、このカートリッジは、少なくとも24時間動作可能とすべきである。
溶液ポンプ631は、1つ以上の通信ポートを介して制御されるよう構成できる。例えば、溶液ポンプ631は、シリアル・ポート、ネットワーク(例えば、イーサネット(登録商標)、WiFi)、及び/又はセルラー通信によって受信できるコマンドを介して制御できる。各チャンネルの当初利用できる溶液量や注入状態(例えば、注入中又は停止中)などの溶液ポンプ631の様々な局面を制御できる。各チャンネルの一般且つ/又は警告状態にはこの通信ポートを介してアクセスできる。各チャンネルの状態は、使い捨てカートリッジが存在するか、初期量が利用可能かどうか、注入状態、注入速度、空になるまでの残り時間、及び注入された合計量の示度を含むことができる。さらに、溶液ポンプ631は、各チャンネルが通信ポートを介して書き込み/読み出しできる障害モード注入速度を備えるように、構成できる。幾つかの実施形態では、臓器管理システム600全体に配置されたセンサを接続して(直接的に又はコントローラ150を介して間接的に)、開又は閉フィードバック・ループを用いてコントローラ150による溶液ポンプ631の自動制御を促進できる。
溶液ポンプ631は、障害が発生したときを示すように構成できる。例えば、障害又は閉鎖が検出されると、溶液ポンプ631は、障害が発生したチャンネルに関連付けられた障害インジケータを点灯し且つ/又は通信ポートを介して通知を送信できる。溶液ポンプ631は、障害が発生したチャンネルにおける注入を一時中断し、その障害又は閉鎖が解決した後に注入を再開するように構成できる。注入速度が通信ポートを介して設定される実施形態では、通信ポートへの/からの信号が失われた場合、溶液ポンプ631は、注入速度を予めプログラムされた障害モード注入速度に設定するよう構成できる。
溶液ポンプ631は、1つ以上の障害検出アルゴリズム/機構を含むことができる。例えば、ハードウェア障害が検出されると、溶液ポンプ631は、そのハードウェア障害が発生したことを通信ポートに接続された装置に警告することができる。溶液及び/又は臓器側の閉鎖が検出されると、溶液ポンプ631は、その閉鎖が発生したことを接続された装置に通信ポートを介して警告することができる。溶液ポンプ631は、電源投入後の自己診断及びバックグラウンド自己診断を含む自己診断テストを実行するように構成できる。自己診断の結果は、溶液ポンプ631自体に表示し且つ/又は通信ポートを介して通信できる。
上述したように、この溶液ポンプは、市販の溶液ポンプ及び/又は特注設計ポンプでよい。図7A-7Pを参照すると、特注設計の溶液ポンプ631の例示的な実施形態を図示し説明する。
本明細書で記載した溶液ポンプの幾つかの実施形態は、注入溶液の送出を制御するためモータに接続されたシリンジを使用できる。シリンジの直径を大きくすることで、流体を保持するシリンジの容量は増やすことができる。こうして流体容量を増やせば、シリンジを新たな予め充満されたシリンジと交換する回数を減らすことができる。しかし、直径を大きくしたシリンジでは、直径の増加にともなってプランジャーが一単位分押し下げられるときに送出される溶液の量が増加するため、溶液送出時の正確度が失われることにもなりかねない。溶液ポンプの別の例示的な実施形態は、溶液送出の正確度を向上させうる比較的小径のシリンジを用いる。しかし、シリンジの流体容量が少ないため、溶液はすぐに無くなることがある。シリンジの新たな予め充満されたシリンジとの交換は、気泡の導入、溶液送出の中断、ユーザへの不便さ、及びアクセスの問題発生などの問題を生じることにもなりかねない。従って、幾つかの実施形態では、比較的小径のシリンジを、外部流体溶液源及び潅流回路に流体ライン及び一連の一方向バルブを介して接続できる。これらの実施形態では、シリンジを押し下げると、溶液が一方向バルブを介して流れ、潅流回路に入る。シリンジが引き込まれると、溶液は別の一方向バルブを介して外部流体源からシリンジに入り、シリンジを溶液で再補充する。よって、この設計の幾つかの実施形態は、溶液送出の高度に正確な制御が可能になる(例えば、より小径のシリンジを使用することで)一方で、予め充填されたシリンジを別のシリンジと交換する必要がなくなる。
図7A-7Pを参照すると、溶液ポンプ9000の例示的な実施形態を図示する。この実施形態では、溶液ポンプ9000は、取り外し可能/交換可能なカセット9020を用いて注入溶液を供給できる。図7C及び7Dは、それぞれ溶液ポンプ9000及び注入カセット9020の分解図である。この実施形態では、溶液ポンプ9000は3つのチャンネルを含んでいるので、最大3つの異なる溶液を提供するよう構成されている。他の実施形態では、より多くの又は少ないチャンネルを含むことができる。
溶液ポンプ9000は、ステッピング・モータ9002a、9002b、9002cにより駆動されるシリンジ・ポンプでよい。ステッピング・モータ9002は、それぞれの親ねじ9005を回転させることができる。キャリッジ・カバーを備えたキャリッジ9042は親ねじ9005と連通し、ねじ9005に沿って前後に移動できる。キャリッジ9042の内部は一致したねじ山でねじ切りして、親ねじ9005の回転に合わせて親ねじ9005に沿った移動を容易にすることもできる。更に、キャリッジ9042は、親ねじ9005に沿った前後移動を容易にする直線レール9041に沿って移動することもできる。ピン9003を、キャリッジ・カバー9004とシリンジ・プランジャー9017を保持するよう構成されたキャリア9036とに取り付けて、キャリッジ9042が親ねじ9005に沿って前後に移動する際に、プランジャーが押し込まれ且つ引き込み可能となる。ピン9003はねじ山を切ってキャリア9036への取り付けを容易にしてもよいが、これは要件ではない。図7E、7F、7G、7Hに示した実施形態では、キャリア9036はプランジャー9017の周りに嵌りそれを保持するよう成形できる。キャリア9036は、突起9045を使用してプレスばめし、ねじ且つ/又は他の任意の締め具を介して嵌め合い可能な2つの部分で製造し、シリンジ・プランジャーをクランプできる。
幾つかの実施形態では、ステッピング・モータ9002は、シリンジが伸張されているのか圧縮されているのかによって異なる速度で動作するよう構成できる。例えば、シリンジが圧縮されているときは(例えば、注入時)、モータは毎秒4ステップなどの低速で移動できる一方で、シリンジが伸張されているときは(例えば、再補充時)、モータは毎秒16,000ステップなどの高速で移動できる。他の速度も可能である。更に、各ステッピング・モータ9002は、内部に(又は他の箇所に)囲い込まれたモータ軸上に、モータ9002の位置及び/又は速度を追跡するために使用できる光学エンコーダを含むことができる。従って、シリンジのプランジャーの位置は計算できる。
図7Cに示した実施形態では、ステッピング・モータ9002a、9002b、9002cは、互いに並列に配置されているが、これは要件ではない。ピン9003は上部カバー9001のスロット9008を通過させ、シリンジ9016のプランジャー9017に接続するキャリア9036に取り付けできる。キャリッジ9042とプランジャー9017との、ピン9003及びキャリア9036を介した接続を用いてシリンジを押し込み且つ引き込ませることができ、これによって適切に接続されていればシリンジは流体を供給でき又は流体を再補充できる。例えば、ステッピング・モータ9002が親ねじ9005を時計回りに回転させると、ピン9003によりキャリア9036及びプランジャー9017に接続されたキャリッジ9042及びキャリッジ・カバー9004は、プランジャー9017を押し込んで、流体溶液をシリンジ9016から放出させる方向に移動できる。ステッピング・モータが反時計回りに回転すると、キャリッジ9042は反対方向に移動でき、プランジャー9017が引き込まれるので、シリンジ9016に外部点滴バッグなどの流体源から流体を再補充できる。
溶液ポンプ9000は、シリンジが「原点」又は他の位置にあるときを検出するのに使用できる光学スイッチ9007を含むことができる。幾つかの実施形態では、この原点位置は、シリンジ9016が伸張して溶液で満たされているときの位置とすることができるが、他の原点位置も可能である。光学スイッチ9007はU字形状とすることができ、さらに、光ビームをこのU字の2つの上部の間で送信するよう構成できる(例えば、一方側に送信機を他方に受信機を備えることで)。幾つかの実施形態では、キャリッジ9042が原点位置にあるときは、キャリッジ・カバー9004のフラグ9006が光学スイッチ9007からの光ビームを遮断して、シリンジの位置に関する情報を与えることができる。フラグ9006は、半透明プラスチック及び/又は金属などのこの光ビームを遮る任意材料製とすることができる。幾つかの例では、溶液ポンプ9000は、例えば誤動作によってキャリッジ9042の位置が分からなくなることがある。これが起こると、キャリッジ9042は原点位置に戻り、シリンジ9016を補充させ、プランジャー9017を伸張させたままにしておくことができる。こうすることで、ポンプ9000は付加的な溶液を誤って供給することなくシリンジの位置を再び認識できる。溶液ポンプ9000の幾つかの実施形態では、付加的な光学スイッチ9007を含めてシリンジがほとんど又は完全に空になったときを判断できるようにしてもよい。
溶液ポンプ9000は、送出ライン9010又は出力ライン9011における詰まりを検出するための圧力センサ9009を含むことができる。警報によって、圧力センサ9009が、所定の閾値を上回る又は下回る圧力を感知することで詰まりを検出したことを示すことができる。この圧力センサはこの目的に適した任意の市販センサでよい。一実施形態では、このセンサは、作動液とダイアフラムとを備えたMEMSCAP SP854変換器でよい。圧力センサ9009は、上部カバー9001の開口部9012を貫通できる。
ステッピング・モータ9002、直線レール9041、及び圧力センサ9009は、構造プレート9013に取り付け可能である。印刷回路板(「PCB」)9015は、構造プレート9013の反対側に取り付けでき、溶液ポンプ9000を動作させるのに使用される電子部品を含むことができる。プレート9013は、アルミ又は他の任意適切な材料性とすることができ、剛性を増大させるためフランジ9014を含むことができる。このプレートは、上部カバー及び底部カバーへの接続点を設けるため一連の取り付け穴も含むことができる。
上部カバー9001は底部カバー9018に係合して、溶液ポンプ9000を取り囲むことができる。これら2つの部品は縁に沿って係合でき、ねじ又は他の留め具で固定できる。取付プレート9019は底部カバー9018(図によっては9015として番号付けしてある)に取り付けでき、更に、例えばシステム600の内壁にも取り付けできる。上部カバー9001は、コントローラ150などのシステム600の他の部分に接続されるコネクタ・ケーブル用の開口部9025も含むことができる。
溶液ポンプ9000は、シリンジ9016を保持する注入カセット9020に係合できる。一実施形態では、上部カバー9001はピン付きのボス9023を含むことができる。図7A、7Bに示したように、注入カセット9020上のタブ9021がボス9023のピンに係合して、溶液ポンプ9000と注入カセット9020とを接続する。さらに、溶液ポンプ9000は、注入カセット9020のピンチリリース部9022に収容できる圧力センサ9009の周囲溝を介して注入カセット9020に係合できる。
注入カセット9020は、点滴バッグ・スパイク9024を備えた送出ライン9010を一端で含むことができ、この点滴バッグ・スパイクは、点滴バッグ又は他の外部溶液源に接続可能である。送出ライン9010の他端は、流体を点滴バッグから離れシリンジ9016に向かう方向にのみ流動させるよう設計された一方向チェック・バルブ9026に接続できる。一方向チェック・バルブ9026はコネクタ9027に接続できる。出力ライン9011は、流体をシリンジ9016から離れる方向及びポート9034に向かう方向にのみ流動させるよう設計された第二の一方向チェック・バルブ9032に接続できる。一方向チェック・バルブ9032もコネクタ9027に接続できる。出力ライン9011は、粒子及び空気を溶液からろ過するフィルタ9033を含むことができる。フィルタ9033は、この目的に適した疎水性の任意フィルタでよい。出力ライン9011は、更に、潅流モジュールに接続するポート9034に結合できる。ポート9034はルアー取付金具を含むことができる。出力ライン9011は、更に、出力ライン9011を閉じることができるローラー・クランプ9035を含むことができる。使用時には、ローラー・クランプ9035は、開いた状態を維持して流体が出力ライン9011を通過できるようにできる。
図7I-7Kを参照すると、コネクタ9027は例えばY字コネクタでよい。コネクタ9027はコネクタ9043、9044を含むことができる。コネクタ9043は送出ライン9010に接続でき、コネクタ9044は出力ライン9011に接続できる。コネクタ9027は垂直注入ラインを含むこともできる。この垂直注入ラインはコネクタ・マウントに接続できる。コネクタ9027は位置合わせタブ9028を含むこともできる。
図7L-7Pを参照すると、例示的なコネクタ・マウント9029が図示されている。コネクタ・マウント9029は、コネクタ9027に結合可能な接続ポート9031と、シリンジ9016に結合可能なシリンジ・マウント9030とを含むことができる。圧力メンブレン(図示しない)をコネクタ・マウント9029に配置して、シリンジ9016と、送出ライン9010と、出力ライン9011との間の流体回路の圧力を監視できる(例えば、圧力センサ9009を使って)。圧力メンブレンは、接続ポート9031と反対の位置でコネクタ・マウント9029に取り付けできる。コネクタ・マウント9029を用いて、カセット9020を上部カバー9001にスナップ・コネクタを使用して取り外し可能に取り付けることもできる。例えば、ウイング9055は、上部カバー9037の開口部を貫通できる。ウイング9055を締め付けることで、底部9056が外側に屈曲させることができ、それを例えば圧力センサ9009の対応するコネクタ部から開放することができる。
一実施形態では、プランジャー9017がステッピング・モータ9002による親ねじ9005に沿ったキャリッジ9042の移動により圧縮される際に、シリンジ9016が流体を送出できる。シリンジからの流体はこの垂直注入ラインに入り、一方向チェック・バルブ9032を通過して、出力ライン9011に入り、フィルタ9033を介して、システム600で循環している潅流液に流入する。シリンジ9016から流体がほぼ又は全く送出されなくなるようにプランジャー9017がほぼ又は完全に圧縮されると、シリンジは引き込まれ、流体が点滴バッグ(図示しない)から送出ライン9010を通過し、一方向チェック・バルブ9026を超えて、垂直注入ラインに入り、シリンジ9016に入ることができ、よってシリンジを再補充する。
注入カセットは、底部カバー9038に係合してシリンジ9016を取り囲むことができる上部カバー9037を含むことができる。ガスケット9039が上部カバー9001のスロット9008周りを封止して、流体がスロット9008を介して溶液ポンプ9000に入るのを防止できる。このガスケットは、発泡体を含む任意適切な封止材料から製造できる。出荷ロック9040が、プランジャー9017及びキャリアを完全に引き込まれた位置に保持して、キャリッジ9042が原点位置で係合できる。出荷ロック9040の目的は、キャリア9036の穴9092が正しい位置にあって、ユーザがカセット9020を取り付ける際に、駆動ピン9003が穴9092の中に突出できるようにすることである。出荷ロック9040は使用前に取り除くことができる。
理解されるはずだが、カセット9020で使用されるシリンジの種類及び構成は、本システムがどのように制御されるかに影響を与えることがある。例えば、シリンジの内径が大きくなれば、所定量の溶液を供給するためにプランジャーの移動必要距離は少なくなる。更に、複数のシリンジは異なる容量を備えることができ、それらシリンジを再補充する頻度に影響を与えうる。従って、溶液ポンプ9000が、カセット9020にはどの種類のシリンジが搭載されているかを認識していると有利となりうる。よって、幾つかの実施形態では、システム9000は、カセット9020にどの種類のシリンジが含まれているかを判断できる機構を含んでいる。例えば、溶液ポンプ9000が異なる2種類のシリンジと組み合わせて動作するよう構成された実施形態では、このポンプは、2種類のシリンジのどちらが使用されているかを判断するよう構成できる磁石とホール効果センサとを含むことができる。例えば、カセット9020はN及びS極を備えた磁石を含むことができる。この磁石は、2つの極の一方のみがホール効果センサと相互作用するように配向できる。第一種類のシリンジを使用する場合は、N極がホール効果センサと相互作用するよう構成でき、同様に、第二種類のシリンジを使用する場合は、S極がホール効果センサと相互作用するよう構成できる。2種類のシリンジのどちらがホール効果センサと相互作用しているかを判断することによって、溶液ポンプ9000は、どちらの種類のシリンジがカセット9020で使用されているかを判断できる。このセンサ構成は例示目的のみであって、他のセンサを使用してどちらの種類のシリンジがカセット9020で使用されているかを判断できる。
溶液ポンプ9000は、1つ以上の制御システムにより制御できる。例えば、溶液ポンプ9000は、コントローラ150によって制御でき、且つ/又は内部制御システムを含むことができる。このコントローラの位置がどこであっても、このコントローラは、ステッピング・モータ9002が部分的又は完全に何回転すれば必要な溶液量を供給できるか且つ/又はシリンジを再補充できるかを認識しているように構成できる。よって、例えば、このコントローラは、ステッピング・モータの40ステップで1 mLの溶液を供給できることを認識している。幾つかの実施形態では、溶液ポンプ9000により供給される溶液の量は、手動で制御でき且つ/又はコントローラ150によって自動制御できる。
溶液ポンプ631は、0.5から200 mL/時間の間で変化する溶液流量を供給するよう構成できるが、他の流量も可能である。
溶液ポンプ631の幾つかの実施形態は、ポンプ631に呼び水を差し且つそのライン内の空気を除去するのに使用できるプライミング・サイクルを含むことができる。例えば、ユーザは、完全なラインセットを乾燥状態で組み付けて、空気が除去されるまで実行できる。例えば、各プライミング・サイクルは、特別な早送り・高速再補充動作を用いて3 mLの空気(又は溶液)を前方に送ることができる。幾つかの実施形態では、このプライム・サイクルはユーザの制御下に置かれ、且つ/又は自動で実行できる。
幾つかの実施形態では、モータ9002が高速で動作するときは(例えば、再補充及び/又はプライミング時)、この高速サイクルは、高速動作に入り且つ出るにあたり上昇及び下降期間を含むことができる。これらの上昇及び下降期間を利用してモータ9002の回転慣性を克服できる。この機能は、例えば一定の加速及び/又は減速のためモータ9002のパルス・レートを調節するよう計算されたルックアップ・テーブルを用いてポンプ631を制御するファームウェア及び/又はコントローラにより実装できる。これらの上昇及び下降期間は、低速動作時にも使用できる。
幾つかの実施形態では、溶液ポンプ631は、シリンジの移動方向が反転された際に発生しうる固有のバックラッシュを補正するよう構成できる。例えば、流体の流れは、モータ9002及び親ねじ9005に固有のバックラッシュによりとりわけ影響を受けることがある。バックラッシュを原因とするエラーは、再補充サイクル後の注入流動の再開に影響を与えることがある。これら起こりうるエラーを補償するため、ポンプ内のファームウェア及び/又はコントローラは、全ての注入ストロークの終端でシリンジチャンバの圧力を捕捉できる。すると、高速再補充サイクルが実行され、このファームウェア及び/又はコントローラは、シリンジチャンバ内の圧力が最後の注入ストローク時に捕捉された圧力と等しくなるまでプランジャーを中高速で前進させることができる。その圧力に達すると、全てのシステム・バックラッシュは典型的には解決されており、ポンプは所望の速度で注入を継続できる。
ステッピング・モータは、典型的には所与のモータサイズに関して最大のトルクを提供し、駆動も容易だが、多くの電力を消費し且つ大きな機械的騒音を発生することがある。よって、ポンプ631の幾つかの実施形態では、ファームウェア及び/又はコントローラは、所与の時間に必要とされる最小トルクでモータ9002を動作させうる動的トルク機能を含むことができる。これは、各ステッピング・モータ駆動装置の電流制限を制御するデジタル・アナログ変換器を用いて実現できるが、これがモータにより与えられるトルクを制御できる。従って、ステッピング・モータのトルクを調節して効率的に必要な動作を実現できる。停止時には、小電流をモータに供給して、スリップすることなくその静止位置を維持できる。各前方注入ストロークの開始時には、ステッピング・モータは、所定の最小トルクにより選択注入速度で運転できる。エンコーダにより、ステッピングが所望通りに移動していないことが示されていれば、適切な動作が達成するまでトルクは増大できる。このように、前方注入ストロークは、その仕事を実行するために必要とされる最小トルクで実行できる。
溶液ポンプ631は、シリンジ・プランジャーの実際の位置と所望位置との間のすべり量を補正するよう構成できる。例えば、ファームウェア及び/又はコントローラは、シリンジ位置(例えばエンコーダによって与えられる)が所望のプロフィルから遅れていると判断すると、シリンジ位置が追いつくまで速度を倍増できる。このすべり量、トルク増加、及び/又は速度倍増の過程は、選択した速度で連続注入を実現できるほど十分速く実行できる。
図7Qは、溶液ポンプ631に含まれうるマイクロコントローラ・アーキテクチャの例示的な実施形態を示すが、これは要件ではなく、他の構成も可能である。この実施形態では、このマイクロコントローラ・アーキテクチャは、例えば、コントローラ150、圧力入力センサ、モータ電流及び診断電圧センサ、ホール磁気センサ、フォトインタラプタ、並びに/又はエンコーダ入力部から入力を受け取るプロセッサ(例えば、PIC 18F8722プロセッサ)を含む。プロセッサはそれが受信する情報を用いて、フィードバックをコントローラ150に与えることができ、且つ/又はステッピング・モータ駆動装置を制御してそれぞれのチャンネルでシリンジを作動させることができる。
5. 可変送出速度制御を含むガスシステム
多数回使用モジュール650は、ガス・タンク・ベイ630及び/又は酸素濃縮器に嵌合可能な1つ以上の一般的なガスシリンダなどの搭載ガスシリンダを含むことができる。このガス供給システムは、(i)1つ以上のガスシリンダにより供給されるガスの圧力を減少させる1つ以上の調節器、(ii)ガス供給の圧力を測定するよう構成された圧力センサ、及び(ii)ガス供給の充足度を視覚的に示すことができるガス圧力ゲージを含むことができる。これら構成要素それぞれは手動で制御でき、且つ/又はコントローラ150に接続され自動制御できる。例えば、コントローラ150は、ガス交換器114へのガス流を自動制御できる。ガス源から供給されるガスにより供給されるガスは様々だが、幾つかの実施形態では、ガス供給は、85%のO2、1%のCO2、残りはN2であって混合プロセス正確度を0.030%のガスを供給できるが、別の実施形態では、50%のO2と95%のO2との間で残りはN2及び/又はArのガス供給としてもよい。幾つかの実施形態では、複数のガスを単一シリンダから予め混合して供給可能であり、あるいは、複数のガスシリンダから供給してシステム600内で混合できる。幾つかの実施形態では、ガスは、ミシガン州ロチェスター・ヒルズに所在のOxus, Inc.から入手できるOxusポータブル酸素濃縮器又はニューヨーク州エアセップ又はバッファローから入手できるFreestyleシリーズのポータブル酸素濃縮器などのポータブル酸素濃縮器から供給できる。
幾つかの実施形態では、システム600は、0-1000 mL/分のガス流量をサポートでき、200-1000 mL/分の範囲において±20%のガス流送出正確度で50 ml/分の設定点解像度を備えることができる。システム600及びガス供給源172は、循環ポンプ障害が発生するとガス流を供給するよう構成できる。上述の範囲は例示的なものであって、具体的に記載した以外の値も使用できる。最後に、幾つかの実施形態では、システム600及びガス供給172は、多数のインターフェースを介して(例えば、ガス供給源172及び/又は操作者インターフェース・モジュール146のゲージを介して)ガス供給源172の圧力を表示するよう構成できる。
6. コントローラ及びユーザ・インターフェース
システム600は、システム600及びそこで使用される構成要素の動作全体を制御する制御システム(例えば、コントローラ150)を含むことができる。一般レベルでは、この制御システムは、システム600の1つ以上の構成要素と、1つ以上のセンサ、ネットワーク接続、及び/又はユーザ入力とに接続された搭載コンピュータ・システムを含むことができる。これらセンサ、ネットワーク接続、及び/又はユーザ入力からの得られた情報を用いることで、この制御システムは、システム600内の様々な構成要素を制御できる。例えば、この制御システムを用いて、システム600の動作を制御するための1つ以上の開又は閉フィードバック・システムを実装できる。この制御システムは、一般的な市販コンピュータ及び/又は特別設計のコンピュータ・システムでよい。システム600は単一のコントローラを参照して概念的に記載してきたが、システム600の制御は複数のコントローラ又はプロセッサに分散できる。例えば、記載した任意又は全てのサブシステムは、専用のプロセッサ/コントローラを含むことができる。オプションで、様々なサブシステムのこれら専用プロセッサ/コントローラは、中央コントローラ/プロセッサと且つそれを介して通信できる。例えば、幾つかの実施形態では、多数回使用モジュール650内に設けられた単一のコントローラはシステム600全体を制御でき、別の実施形態では、頓用モジュール634内に設けられた単一のコントローラはシステム600全体を制御でき、更に別の実施形態では、このコントローラは、頓用モジュール634と多数回使用モジュール650との間に分割できる。
別の例では、コントローラ150はメイン回路基板718上に配置でき、システム600が必要とする全ての制御及び処理を行うことができる。しかしながら、他の実施形態では、コントローラ150は分散でき、一部の処理機能は前方端部インターフェース回路基板636に配置され、一部は電力回路基板720に、及び/又は、一部は操作者インターフェース・モジュール146に配置されている。コントローラ150がシステム600内で分散されているかどうか、そしてその分散の程度に応じて、様々な回路基板の間で適したケーブル配線を配置できる。
図8は、システム600の例示的な制御スキームの代表的なブロック図を示す。例えば、システム600は、システム600の作動を制御するコントローラ150を含むことができる。図示するように、コントローラ150は、次の幾つかのサブシステムと相互作動的に接続できる:本システム600を監視及び制御する上で、かつ、臓器の状態を監視する上で操作者を支援する操作者インターフェース146;臓器及びシステム600に関するデータを得ると共にコントローラ150に該データを運ぶ多種のセンサを含むことができるデータ取得サブシステム147;障害許容電力を本システム600に供給する電力管理サブシステム148;制御されたエネルギーを、潅流液108を温める加熱器110に供給する加熱サブシステム149;本システム600の作動及び肝臓に関するデータを記憶し、維持するデータ管理サブシステム151;及び、本システム600を介して潅流液108のポンプ注入を制御するポンピング・サブシステム153である。
データ取得サブシステム147の例示的実施形態は、図9を参照して以下に説明する。この実施形態では、データ取得サブシステム147は、本システム100及び肝臓がどのように機能するかに関する情報を得るためのセンサを含む。データ取得サブシステム147は、この情報を処理のためコントローラ150に与えることができる。例えば、データ取得サブシステム147は次のセンサに接続できる:すなわち、温度センサ120、122及び124;圧力センサ126、128、及び130(本明細書の他の箇所に記載した圧力センサ130a、130bでよい);流量センサ 134、136及び138;酸素付加/ヘマトクリット/温度センサ140;ホール効果センサ388;シャフト・エンコーダ390;バッテリ・センサ362a、362b、362c;外部電力利用可能性センサ354;操作者インターフェース・モジュール・バッテリ・センサ370;及びガス圧センサ132である。システム600がデータ取得サブシステム147からの情報をどのように用いるかについてを、加熱149、電力管理148、ポンプ注入153、データ管理151、及び操作者インターフェース146サブシステムを参照しながら以下に解説する。
図10を参照すると、この図は、システム600に障害許容電力を提供する電力管理システム148の例示的なブロック図を示す。システム600には、外部電源などの複数の電源のうちいずれかのうちの1つの電源(例えば、北米では60 Hz、AC120V、あるいはヨーロッパでは50Hz、AC230V)、又は1つ以上バッテリ352のうちのいずれかから電力供給してもよい。この説明の残り部分はAC電源を外部電源として説明するが、DC電源も使用できることは理解されたい。コントローラ150は、AC電圧351をシステム600が利用できるか且つ/又は使用には十分かどうかを示すACライン電圧利用可能性センサ354からデータを受け取ることができる。
コントローラ150による外部電力が利用不可能であるとの検出に応答して、コントローラ150は、電力切換回路系356に信号を送って、1つ以上のバッテリ352からシステム電力を提供する。コントローラ150はバッテリ充電センサ362から、1つ以上のバッテリ352のどれが最も充分に充電されているかを判断した後、切換網356を通じて切換を行ってそのバッテリを作動させる。このシステムは、電力が1つの電源から別のものに切り替わる際にシステム600の動作が中断しないように設計できる。
代替的には、コントローラ150は、外部電源が利用可能であることを検出すると、この外部電源を用いて、システム電力を提供すべきか、そしてユーザ・インターフェース・モジュール146に電力を提供すべきか、1つ以上のバッテリ352を充電すべきか、且つ/又は、それ自体の内部充電器及び充電コントローラを有するユーザ・インターフェース・モジュール146の内部バッテリを充電すべきかどうかを判断することができる。利用可能な外部電源(例えば、AC電源141)を使用するには、コントローラ150は、切換システム164を通じて信号を送ることで、外部電力を電力管理システム148に引き込むことができる。外部電源が交流である場合、電力管理システム148は外部交流電力を受け取ってそれを直流に変換し、電力をシステム600に供給することができる。電力管理システム148は汎用であり、世界中で一般的に用いられているいずれの線周波数又は線電圧も操作することができる。例示する実施形態では、更にコントローラ150は、1つ以上のバッテリ・センサ362がバッテリ電力低下を示したことに応答して、切換網364及び充電回路366を通じて電力を適したバッテリに差し向けることができる。コントローラ150がバッテリ電力信号をセンサ370(ユーザ・インターフェース・モジュール146のバッテリを監視できる)から受け取ると、これに応答して更に、又は代替的に、充電用電圧367をユーザ・インターフェース・バッテリ368に差し向けることができる。幾つかの実施形態では、電力管理サブシステム148は、最も充電されていないものを最初に順番に選択したり最小回数の充電サイクルなどの他の要因も含む、バッテリ寿命を最適にするためのアルゴリズムを用いてシステム600に電力を供給するためのバッテリを選択できる。もしシステム600に電力供給するために現在用いられているバッテリがユーザにより取り外された場合は、電力管理サブシステム148は、システム600に引き続き電力供給するために、アルゴリズムに従って次のバッテリに自動的に切り換え可能である。
図11を参照すると、加熱サブシステム149の例示的な実施形態を図示する。加熱サブシステム149は、本システム600内の潅流液108の温度を、例えば二重フィードバック・ループ法を通じて制御できる。第一のループ251(潅流液温度ループ)では、潅流液温度サーミスタ・センサ124が2つの(障害許容)信号125及び127をコントローラ150に提供する。この信号125及び127は、典型的には潅流液108が加熱器アセンブリ110を出るときのその温度を示すものである。コントローラ150は、それぞれ駆動装置247及び249への駆動信号285及び287を調節することができる。駆動装置247及び249は、このコントローラ150からの対応するデジタル・レベル信号285及び287を、潅流液108を所望の温度範囲内まで加熱するために第一の246及び第二の248加熱器を駆動するのに充分な電流レベルを有する、それぞれ加熱器駆動信号281及び283に変換できる。潅流液温度125及び127が所望温度範囲未満であることをコントローラ150が検出したことに応答して、それは、それぞれ第一の246及び第二の248加熱器に対する駆動信号281及び283を、潅流液108を引き続き加熱するのに充分なレベルに設定できる。反対に、潅流液温度125及び127が所望の温度範囲を超えることをコントローラ150が検出したことに応答して、それは、第一の246及び第二の248加熱器に対するそれぞれ駆動信号281及び283を減少させることができる。潅流液108の温度が所望の温度範囲内であることを検出したことに応答して、コントローラ150は駆動信号281及び283を一定又は実質的に一定なレベルに維持できる。この温度制御システムは、潅流液を0-50℃の温度範囲、より具体的には32-42℃の温度範囲、更に具体的には32-37℃の温度範囲まで温めるように制御できる。これら範囲は例示的目的のみものであり、この温度制御システムは、潅流液を0-50℃内の任意温度範囲まで温めるように制御できる。この所望の温度は、コントローラ150によりユーザ選択且つ/又は自動制御できる。本明細書且つ請求項で使用される、「正常温」は34-37℃の間の温度と定義する。
幾つかの実施形態では、コントローラ150は、第一及び第二加熱器を制御可能な駆動信号281及び283を実質的に同じ態様で変更させることができる。しかし、これは要件ではない。例えば、各加熱器246及び248は、特定の電流又は電圧レベルの駆動信号に対して異なる応答をしてもよい。このような場合、コントローラ150は、それぞれから同じ温度を得るために、各加熱器246及び248を僅かに異なるレベルで駆動できる。幾つかの実施形態では、加熱器246及び248はそれぞれ関連する較正係数を有することができるが、この較正係数をコントローラ150は記憶し、特定の駆動信号のレベルを決定する際に用いて、特定の加熱器に提供して特定の温度結果を達成しようとする。いくつかの構成では、コントローラ150は、二重センサ124のサーミスタのうちの1つをデフォルト・サーミスタに設定でき、サーミスタが2つの異なる読み取り値を出した場合にこのデフォルト・サーミスタからの温度読み取り値を用いることになる。幾つかの実施形態では、温度読み取り値が所定の範囲内である場合、コントローラ150は2つの読み取り値の高い方を用いることができる。駆動装置247及び249は加熱器駆動信号281及び283を、加熱器アセンブリ110の対応する駆動リード線282a及び282bに印加する。
第二のループ253(加熱器温度ループ)では、加熱器温度センサ120及び122は、それぞれ加熱器246及び248の温度を示す信号121及び123をコントローラ150に与えることができる。図示の実施形態では、加熱器246及び248の温度がそれを超えて上昇することを許されない上限温度が加熱器246及び248に設定されうる(例えばデフォルトにより、又は操作者の選択により又はコントローラ150により自動的に決定される)。加熱器246及び248の温度が上昇してこの上限温度に近づくと、センサ121及び123がこのことをコントローラ150に示すことができ、するとコントローラ150は、加熱器246及び248への駆動信号281及び283を降下させて、加熱器246及び248への電力供給を減少又は停止できる。このように、潅流液温度センサ124からの低温信号125又は127が、コントローラ150に加熱器246及び248への電力を増加させることができる一方で、加熱器温度センサ120及び122は、加熱器246及び248が、それらの各加熱器プレート250及び252が潅流液108を損傷するほど熱くなるまで駆動されることはないことを保証するものである。
幾つかの実施形態では、コントローラ150は、潅流液の温度を0-50℃の間に維持するよう構成できる。幾つかの実施形態では、潅流液は、32-42℃の温度範囲内に、又はより具体的な実施形態では35-37℃の範囲に維持される。幾つかの実施形態では、コントローラは、加熱器プレート250及び252の温度を約38℃、39℃、40℃、41℃、又は42℃に制限するように構成できる。上述の範囲及び数字は全て例示的なものであって、これら範囲外の値も使用できる。最後に、請求項に、具体的な温度値又は範囲に関連して「実質的に(substantially)」との記載がある場合、これは、当該温度が、使用される加熱器/制御システムの動作温度振れ幅内であることを意味である。例えば、仮に請求項に記載された温度が「実質的に32℃」であり、且つ所望値の±5%内の温度を維持する加熱器/制御システムが侵害を告発された製品で使用されている場合、32℃の±5%である任意温度は「実質的に32℃」である。
図示のように、必要に応じて、加熱器246及び248が許容最大温度に達しつつあることを示す温度センサ120及び122からの温度読み取り値が、潅流液温度センサ124からのいずれの低温信号の作用もオーバーライドするように、第二のループ253が第一のループ251をオーバーライドするように構成できる。この観点では、サブシステム149は、潅流液108の温度が所望の温度値に達していなくても、加熱器プレート250及び252の温度が最大許容温度を超えて上昇することがないことを保証できる。このオーバーライド機能は、故障の場合に特に重要となりうる。例えば、潅流液温度センサ124が両者とも故障した場合、第二のループ253が、制御を加熱器温度センサ120及び122のみに切り換え且つ温度設定ポイントをより低い値に低下させることにより、加熱器アセンブリ110が過熱したり、潅流液108を損傷したりすることを防止できる。幾つかの実施形態では、コントローラ150は、温度制御の動的応答を最適化するために、加熱器246及び248並びに潅流液108からの温度測定値に関連する遅れに指定された2つの時間定数を考慮に入れることができる。
幾つかの実施形態では、ユーザには、システム600の血液加温機能を使用禁止にするオプションを提供できる。この態様では、本システムは、保存後の低温処置時に肝臓の冷却をより効率的にサポートできる。幾つかの実施形態では、加熱器アセンブリ110(又は統合冷却インターフェース付きのガス交換器などの別の装置)は、潅流液の温度を冷却するためのチラーとして機能できる。
操作者インターフェース・サブシステム146に戻ると、12A-12Gは、操作者インターフェース・サブシステム146の様々な表示画面の例を示す。これら表示画面により、操作者は、システム600から情報を受け取り、システム100に命令を出すことができる。図12Aは、例示的な最上レベルの「ホームページ」画面400を示す。操作者は、典型的にはこの表示画面400から、データ取得サブシステム147から利用可能なデータの全て又はほとんど全てにアクセスすることができ、また、典型的にはコントローラ150にいずれの所望の命令も出すことができる。例えば、ユーザは、画面400を介してポンピング・サブシステム153を監視し、調節できる。図12B-12Gを参照して更に詳述するように、画面400により、更に操作者は、情報を得たり、命令を与えたり、操作者の選択可能なパラメータを設定したりするために、より詳細な表示画面にアクセスすることもできる。
この例示的な実施形態では、画面400は、それぞれが異なる情報を表示し且つ/又は異なる入力を受け付ける様々な部分を含む。しかし、画面400は例示目的のみであり、画面400に表示される情報はユーザによりカスタマイズ可能である(例えば、図12Fで後述するダイアログ590を使用して)。画面400上で表示される値は、例えば毎秒などの定期的な間隔で更新できる。この例では、画面400は次の部分を含む:
・肝動脈流量を表示する部分402。この値は、流量センサ138bでの流量の示度とすることができる。
・門脈流量を表示する部分404。この値は、流量センサ138aでの流れの示度とすることができる。
・例えば、センサ140で測定される肝臓を出る潅流液の酸素飽和度(SvO2)を表示する部分406。
・例えば、センサ140で測定される肝臓を出る潅流液のヘマトクリット(HCT)レベルを表示する部分408。
・潅流液の所望及び測定温度を表示する部分410。この実施形態では、より大きい上部の数字は測定された温度を表す一方、その下に示されたより小さい数字は所望の潅流液温度が設定された温度を表す。この温度は、温度センサ120及び122並びに幾つかの実施形態ではセンサ140を使って加熱器アセンブリ110の出力などの1つ以上の地点から測定できる。
・流量センサ136によって測定された流量を表示する部分412。
・肝動脈の収縮期/拡張期血圧を表示する部分414。収縮期/拡張期血圧の下方の括弧内の数字は、圧力波形の相加平均である。肝動脈のこの収縮期/拡張期/平均血圧は圧力センサ130aによって測定できる。
・経時的に肝動脈圧の波形を表示する部分416。
・門脈の収縮期/拡張期血圧を表示する部分418。収縮期/拡張期血圧の下方の括弧内の数字は、これら2つの相加平均である。門脈の収縮期/拡張期血圧は圧力センサ130aによって測定できる。
・経時的に門脈圧の波形を表示する部分420。
・経時的に(例えば、2分)平均した肝動脈圧を表示する部分422。
・経時的に(例えば、2分)平均した肝動脈流量を表示する部分424。
・部分422及び424からの値を経時的にグラフ表示する部分426。この実施形態では、このグラフは、3時間半の時間帯を表す。幾つかの実施形態では、部分426は、ユーザによって異なる期間を表すように制御できる。
・潅流液ポンプが動作していることを示すアイコンを表示する部分428。
・部分429(この例では照明されていない)は、どの臓器が潅流されており、どの動作モードが使用されているかを示す臓器タイプ・インジケータを示すことができる。例えば、「M」を用いて、システム600がメインテナンス・モードであることを示すことができる。
・システム600に含まれる記憶媒体(例えば、SDカード)の状態を表示する部分430.
・搭載ガス供給源からの流量を表示する部分432。この部分は、搭載ガス供給源が空になるまでの残り時間を表示することもできる。
・電力供給システムの状態を表示する部分434。この実施形態では、システム600は3つのバッテリを含み、各バッテリは当該バッテリの充電の程度を示す対応する状態インジケータを備える。この部分は、システム600が外部電源に接続されているかどうかも示す(プラグ・アイコンを表示することによって)。幾つかの実施形態では、この部分は、バッテリが現在の動作モードでシステム600を運転できる時間の数字による示度も含むことができる。
・操作者インターフェース・モジュール146に含まれるバッテリの状態及び残りの充電を表示する部分436。この部分は、操作者インターフェース・モジュール146のバッテリがワイヤレス動作モードでそれをサポートできる残り時間の示度も含むことができる。
・ネットワーク及び/又はセルラー式接続の状態を表示する部分438。この部分は、操作者インターフェース・モジュール146がワイヤレス464方式で動作しているかどうかを、操作者インターフェース・モジュール146とシステム600の残り部分とのワイヤレス接続の強さのグラフ表示とともに特定できる。
・付加的な部分は、1つ以上の警報及び/又はシステム600の部分がユーザによって使用不能にされたときを示すよう表示できる。
図12A-12Gから分かるように、幾つかの部分は、現在の値が許容範囲内のどこにあるかを示す警報範囲インジケータ(例えば、インジケータ440)も含むことができる。各部分は、それぞれの値が対応する範囲インジケータにより示された範囲外であることを示す警報インジケータ(図示しない)を含むこともできる。それぞれの各値の範囲インジケータは、ダイアログ512内に設定された又はユーザが独自に設定した警報値に関連付けることができる。画面400はタッチ・スクリーン・インターフェース上で実装できる。ユーザ入力を受ける部分では、ユーザは特定の部分に触れてその中の値をノブ626を使って変更できる。
図12B、12C、及び12Dを参照すると、ユーザは構成メニュー484に入ることを選択できる。本システムの幾つかの実施形態では、構成メニュー484は、ユーザが画面に表示されている情報を監視し続けられるように、画面の一部に限定できる。この構成メニューを用いれば、ユーザは、システム600の所望の動作パラメータをプログラムできる。構成メニュー484のこの実施形態では、メニューは3つのタブ付きページ484a、484b、484c(「肝臓」、「システム」、「アクション」)を備えている。
タブ付きページ484aでは、肝臓タブを示す。このタブでは、ユーザは警報ダイアログ512(図12Eを参照して後述する)に入り、中央グラフィック・フレームに示されたデータを選択し、下グラフィック・フレームに示されたデータを選択し、所望のガス流量を設定し、且つ所望の温度を設定できる。タブ付きページ484aで行った変更は画面400に反映されうる。
タブ付きページ484bでは、システムタブを示す。このタブでは、ユーザはシステム600の1つ以上の表示特徴を調節できる。例えば、ユーザは、様々な測定値の表示に用いる単位を選択でき(例えば、パスカルかmmHgか)、工場出荷時デフォルトを復元し、新たなデフォルト設定を記憶し、保存したデフォルト設定を復元できる。このタブから、整備技師は業務ラップトップからシステムまでワイヤレス接続を行うことができる。タブ付きページ484bで行った変更は画面400に反映されうる。
タブ付きページ484cでは、アクション・タブを示す。このメニューでは、ユーザはこの装置の状態を表示でき、全ての警告の概要を表示でき、表示された測定値のスケールを調節でき、且つ/又はシステム600が記憶しているデータと対話できる。例えば、幾つかの実施形態では、ユーザは潅流液の試料を取り出し、それに対して外部テストを行うことができる。すると、ユーザは、外部テストで得られた値をシステム600により維持されているデータ・ストリームに手動で入力できる。こうした方法で、移植する臓器に関連したデータがシステム600の外部で生成されたものかに関わらず、システム600は、そうした全てのデータを含むことができる。
図12Eを参照すると、警報ダイアログ512は、システム600の動作に関連したパラメータを表示する。この実施形態では、肝動脈流(HAF)、門脈圧(PVP)、肝動脈圧(HAP)、下大静脈圧(IVCP)、潅流液温度(温度)、酸素飽和度(SvO2)、ヘマトクリット(HCT)に関する警報がある。ダイアログ512に含まれるパラメータはこれより多くても少なくてもよい。列514は、警報上限(例えば、この数字を上回る値は警告発生の原因となる)を示し、516は、警報下限(例えば、この数字を下回る値は警告発生の原因となる)を示す。ユーザは、列518の関連する警告アイコンを選択することにより、個々の警報を動作可能/動作不可にすることができる。列518のアイコンは、個別の警報が動作可能又は動作不可になっているかを示すことができる(例えば、図12Eでは、IVCPの警報は動作不可となっている)。これら警報限度は予め決めておいてもよいし、ユーザ設定可能でもよいし、且つ/又はコントローラ150によって設定してもよい。幾つかの実施形態では、システム600は、所与の液流モードを変更すると、その液流モードに関する複数組の警報限度の間で自動的に切り替えるよう構成できる。ダイアログ512で行った変更は画面400に反映されうる。
図12Fは、ユーザが、画面400の様々な部分になにが表示されるかを選択できる例示的なユーザ・インターフェース(ダイアログ590)を示す。例えば、図12Fでは、ユーザは、肝動脈圧、門脈圧、若しくは下大静脈圧の実時間波形を表示する選択をすること、又は画面400の一部にそれら若しくは他の測定パラメータの傾向グラフを表示する選択をすることができる。また、コントローラ150によって他の波形を計算し且つ表示させることができる。
図12Gは、ユーザがポンピング・サブシステム153のパラメータを調節できる例示的なユーザ・インターフェース(ダイアログ592)を示す。この例では、ユーザは、ポンプ流を調節し、ポンプをオン/オフ操作できる。
データ管理サブシステム151は、様々な他のサブシステムからのデータ及びシステム情報を受け取り、記憶できる。操作者の必要に応じて、このデータ及び他の情報を携帯用記憶装置にダウンロードしてデータベース内に構成してもよい。保存されたデータ及び情報には、操作者がアクセスすることができ、操作者インターフェース・サブシステム146を通じて表示させることができる。データ管理システム151は、この情報を1つ以上の場所に記憶するよう構成できる。例えば、データ管理サブシステム151は、システム600の内部にある(例えば、ハードドライブ、フラッシュドライブ、SDカード、コンパクト・フラッシュ・カード、RAM、ROM、CD、DVD)の又はシステムの外部にある(例えば、遠隔記憶装置又はクラウド記憶装置)の記憶装置にデータを記憶するよう構成できる。
外部の記憶装置を使用する実施形態では、データ管理サブシステム151(又はコントローラ150の別の部分)は、2地点間ネットワーク接続、イントラネット、及びインターネットなどの様々な通信接続を介して外部記憶装置と通信できる。例えば、データ管理サブシステム151は、WiFi(例えば、802.11)、セルラー式接続(例えば、LTE)、ブルートゥース(登録商標)(例えば、802.15)、赤外線接続、衛星を利用した接続、及び/又はハードワイヤード・ネットワーク接続(例えば、イーサネット(登録商標))を介して遠隔記憶装置又は「クラウド」(例えば、共有及び/又は私設ネットワーク上のデータ・サーバ及び記憶装置)と通信できる。幾つかの実施形態では、このデータ管理サブシステムは、遠隔記憶装置及び/又はクラウドと通信するための最適なネットワーク接続を自動的に検出するように構成できる。例えば、このデータ管理サブシステムは、デフォルトで既知のWiFiネットワークになり、既知のWiFiネットワークが利用できないときは、セルラー式ネットワークに自動的に切り替わるよう構成できる。遠隔及びクラウドに基づく実施形態は後に詳述する。
図12Hを参照すると、ポンピング・サブシステム153をここで更に詳しく説明する。コントローラ150は、駆動信号399をブラシレス三相ポンプ・モータ360にホール効果センサ・フィードバックを用いて送ることにより、ポンプ注入サブシステム153を動作させることができる。この駆動信号339により、ポンプ・モータ・シャフト337が回転させられることで、ポンプ・スクリュー341がポンプ駆動装置334を伸張且つ引き込みさせることができる。例示する実施形態では、駆動信号339を制御して、モータ・シャフト337の回転方向及び回転速度を変更することで、ポンプ駆動装置334を周期的に伸張且つ引き込みさせる。この周期的な運動により、潅流液がシステム600に注入される。
コントローラ150は、ポンプ・モータ・シャフト337内に一体に配置されたホール効果センサ388から第一の信号387を受け取って、モータの巻上げ電流を整流する目的で、ポンプ・モータ・シャフト337の位置を示すことができる。コントローラ150は、シャフト・エンコーダ・センサ390から、ポンプ・スクリュー341の正確な回転位置を示す第二のより分解能の高い信号389を受け取ることができる。コントローラ150は、現在のモータ整流相位置387及び現在の回転位置389から、適切な駆動信号339(振幅及び極性の両者)を計算して、モータ・シャフト337の必要な回転変化を起こさせて、ポンプ・スクリュー341に適した位置変化を起こさせ、所望のポンプ作用を達成できる。コントローラ150は、駆動信号339の振幅を変更することにより、ポンプ速度(即ちポンプ注入サイクルがどれぐらいの頻度で繰り返されるか)を変えることができ、また回転方向変化を変えることにより、コントローラ150は、ポンピング・ストローク量(例えばポンプ駆動装置334が一回のサイクル中にどれほど遠くまで動くかを変えることなどにより)を変えることができる。一般的に言って、周期的なポンピング速度により、潅流液108が肝臓に提供される拍動速度が調節され、他方(所与の速度について)ポンピング・ストロークにより、肝臓に提供される潅流液の量が調節される。
速度及びストローク量の両者が、肝臓への潅流液108の流量に影響し、そして間接的にはその圧力に影響する。本明細書に記載したように、システム600は、3つの流量センサ134、136、及び138と、3つの圧力センサ126、128、及び130とを含むことができる。センサ134、136及び138は対応する流量信号135、137及び139をコントローラ150に与えることができる。同様に、センサ126、128及び130は対応する圧力信号129、131及び133をコントローラ150に与えることができる。コントローラ150はこれらの信号の全てをフィードバックで利用でき、それが潅流ポンプ106に与えているコマンドが、システム600に対して所望の効果を確実に有するようにする。場合によっては、コントローラ150は、ある特定の流量又は流体圧力が許容可能な範囲を外れたことを示す信号に応答して様々な警報を発生してもよい。加えて、複数のセンサを利用することにより、コントローラ150は、システム600の機械的な問題(例えば導管の破断)と肝臓の生物学的な問題とを区別することができる。
上記は3つの圧力センサを開示しているが、これは要件ではない。本明細書に記載の多くの実施形態では、2つの圧力センサのみを使用している(例えば、圧力センサ130a、130b)。この例では、第三圧力センサの入力は無視できる。しかし、本明細書に記載したシステムの幾つかの実施形態では、第三圧力センサを用いて、下大静脈(又はシステム100の別の箇所)から流れる潅流液の圧力を測定できる。この例では、コントローラ150は、上述したセンサからの圧力信号を処理できる。
ポンプ注入システム153を、ポンピング周期の各瞬間にポンプ駆動装置334の位置を制御してポンピング速度及び容量プロファイルを微調整できるように、構成してもよい。これにより、ポンプ・システム153が潅流液108を肝臓に所望の拍動パターンで供給できるようになる。ある例示的な実施形態では、シャフト337の回転位置がシャフト・エンコーダ390により検出され、1回の回転毎に少なくとも約100増分ずつ、コントローラ150により調節できる。別の例示的な実施形態では、シャフト337の回転位置はシャフト・エンコーダ390により検出され、1回の回転毎に少なくとも約1000増分ずつ、コントローラ150により調節される。更なる例示的な実施形態では、シャフト337の回転位置はシャフト・エンコーダ390により検出され、1回の回転毎に少なくとも約2000増分ずつ、コントローラ150により調節される。ポンプねじ341、ひいてはポンプ駆動装置334の位置は、ポンプねじ341の基準位置に当初は較正できる。
上述したように、システム600は、コントローラ150を用いて手動で制御できる。しかし、システム600の制御の一部又は全ては自動化して、コントローラ150によって実行できる。例えば、コントローラ150は、潅流液のポンプ106流(例えば、圧力流量)、溶液ポンプ631、ポンプ106、ガス交換器114、加熱器110、及び/又はフロー・クランプ190を自動で制御するよう構成できる。システム600の制御は、ユーザによる最小の介入によって又は介入なしで実現できる。例えば、コントローラ150は、1つ以上の所定のルーチンでプログラムし、且つ/又はシステム600の様々なセンサからの情報を用いて開又は閉フィードバック・システムを実現できる。例えば、このコントローラが、IVCから流出する潅流液の酸素付加レベルが低すぎるか、又はCO2レベルが高すぎると判断すれば、コントローラ150は、それに従ってガス交換器114へのガス供給を調節できる。別の例では、コントローラ150は、1つ以上の溶液の注入をセンサ140及び/又はシステム600の他の任意センサに基づいて制御できる。更なる例として、肝臓が生成するCO2が多すぎることをこのコントローラが感知すれば、このコントローラは、肝臓の温度を35℃まで下げて(これがそれより高い温度として維持されていた場合)、代謝率及びCO2生産又はO2消費をそれに従って低下させることができる。更に別の例として、コントローラ150は、システム600の1つ以上のセンサからの測定値に基づいてガス交換器114へのガス流を調整できる。
幾つかの実施形態では、コントローラ150は、システム600の諸側面を潅流液の乳酸エステル値の関数として制御するよう構成できる。一実施形態では、多数の潅流液乳酸エステル値を経時的に取得できる。例えば、ユーザは、潅流液の試料を取り出し、外部血液ガス分析器を使用して乳酸エステル値を算出し、且つ/又はシステム600は搭載乳酸エステル・センサ(例えば、測定値ドレイン2804に位置した乳酸エステル・センサ)を用いることができる。この乳酸エステル値はIVC又はそれ以外の部位で測定でき、所定の時間間隔(例えば、30分毎)で繰り返し可能である。コントローラ150は、乳酸エステル値の傾向を経時的に分析できる。乳酸エステルが低下傾向にあるか又は比較的平坦を維持していれば、これは肝臓が適切に潅流されていること示すものとなりうる。乳酸エステルが増加傾向にある場合、これは不適切な潅流を示すことができ、結果的にコントローラ150がポンプ流を増大させ、潅流した血管拡張剤の割合を調節し、且つ/又はガス交換器114へのガス流を変更することになりうる。
この制御プロセスを自動化することで、システムのパラメータに対するより精密な制御が可能になり、従って肝臓がより健康になり且つ/又はユーザの負担が軽減されるなど多くの利点が得られる。
幾つかの実施形態では、システム600は、当該システムの地理的位置を追跡する全世界測位装置を含むことができる。
C. 例示的な頓用モジュール
ここで頓用モジュールについて説明すると、例示的な実施形態は本明細書では頓用モジュール634として記載しているが、他の実施形態も可能である。上述したように、システム600のこの部分は、潅流液などの生体物質に加え様々な周辺構成要素、流管路、センサ、及びそれらと結合して使用されるサポート電子部品と接触するシステムの構成要素全てを少なくとも典型的には含んでいる。システム600を使用して臓器を輸送した後、頓用モジュールはシステム600から取り外し、廃棄できる。新たな臓器を輸送するにあたって、新しい(且つ殺菌した)頓用モジュールをシステム600に取り付けることができる。一実施形態では、モジュール634はプロセッサを含まないかわりに、コントローラ150に依存し、このコントローラは、制御のために前方端部インターフェース回路基板636と、電力回路基板720と、操作者インターフェース・モジュール146と、メイン回路基板718とに分散できる。しかし、幾つかの実施形態では、頓用モジュールは、それ自体のコントローラ/プロセッサを含むことができる(例えば、前方端部回路基板637上に)。
図13A-13Hを参照すると、例示的な頓用モジュール634が図示されている。図13M-Rは、代替形状の臓器チャンバ104を備えた別の例示的な頓用モジュール634を示す。しかし、幾つかの図では、図を分かり易くするため幾つかの構成要素は図示を省略した(例えば、チュービング接続部、ポート、及び/又はクランプが省略されている)。
頓用モジュール634は、上750a及び下750b部分を備えたシャシ635を含むことができる。上部分750aは、様々な構成要素を支持するためのプラットフォーム752を含むことができる。下部分750bはプラットフォーム752を支持でき、多数回使用モジュール650と旋回可能に接続するための構造体を含むことができる。
下シャシ部分750bは、潅流液ポンプ・インターフェース・アセンブリ300を強固に取り付けるためのC字マウント656と、スロット660内に摺動し且つそれにきっちり嵌合するための突起662とを含むことができる。幾つかの実施形態では、下シャシ部分750bは、次の構成要素を含む潅流回路の取付部分の構造体も提供できる:それらは、ガス交換器114、加熱器アセンブリ110、レザバ160、潅流液流伸展性チャンバ184、186である。幾つかの実施形態では、下シャシ部分750bは、適切な取付金具を介して、センサ140、流量センサ136、138a、138b、及び圧力センサ130a、130bなどの様々なセンサを含むこともできる。下シャシ部分750bは前方端部回路基板637も取り付けできる。この実施形態は例示目的のみであり、下シャシ部分750bの一部として上に列挙した構成要素は、上部分750aなど他の場所にも配置できる(例えば、圧力センサ130a、130b)。
上シャシ部分750aは、プラットフォーム752を含むことができる。プラットフォーム752は、頓用モジュール634の多数回使用モジュール650に対する設置及び取り外しを補助するために形成されたハンドル752a及び752bを含むことができるが、これらハンドルは頓用モジュール634の他の箇所に設けてもよい。プラットフォーム752は、チュービング及び/又は他の構成要素が内部を通過させる1つ以上のオリフィス(例えば717)を含むことができる。プラットフォーム752は、後に詳述する流体注入及び/又はサンプリング・ポートなどのプラットフォーム752上の所定位置に構成要素を保持するための1つ以上の一体成形ブラケット(例えば、716)を含むことができる。上側シャシ部分750aは、後に詳述するように、門脈への潅流液の流れを調節するためのフロー・クランプ190を更に含む。臓器チャンバ・アセンブリ104は、1つ以上の支持体719を介してプラットフォーム752に取り付けられるように構成できる。図13Iを特に参照すると、臓器チャンバ104は、左側及び右側(主ドレインに対して)がプラットフォーム752に対して概ね15°の角度となるように取り付けできる。こうすることで、特に輸送時に発生することがある過渡的状態(例えば飛行機の離陸及び着陸)の間に、潅流液が臓器チャンバ104から流れる助けとなりうる。
1. 臓器チャンバ
システム600は、ex vivoの臓器を保持するよう構成された臓器チャンバを含むことができる。この臓器チャンバの設計は臓器の種類によって変更できる。例えば、この臓器チャンバの設計は、例えば肝臓、心臓、及び/又は肺の輸送に使われるのかによって変更できる。次の記載は、肝臓を輸送するよう構成された臓器チャンバ104に焦点を当てるが、この実施形態は例示目的のみであり、他の構成も可能である。例えば、この臓器チャンバ104の他の構成は肝臓の輸送にも使用できる。
a) 形状/ドレイン構造
図14A-14Hを参照すると、臓器チャンバ104の例示的な実施形態を多数の視点から図示する。この実施形態では、臓器チャンバ104は、ベース2802、前方部材2816、取り外し可能な蓋2820、及び支持表面2810(図15A-15Dに関連して詳述する)を含む。幾つかの実施形態では、臓器チャンバ104は、肝臓を支持するためのパッド4500を含むことができる。臓器チャンバ104の底部は準じょうご形状で構成でき、このじょうごの側部はプラットフォーム752に対して概ね15°で角度付けられており、これは図13Iにより明確に図示されている。
一般的なレベル、ベース部材2802は、1つ以上のドレイン(例えば、2804、2806)、蓋(例えば、2820)が閉じられている間に臓器チャンバ104の内部に挿入されるチュービング、コネクタ、及び/又は機器用の1つ以上のオリフィス(例えば、2830)、1つ以上のヒンジ部(例えば、2832)、並びに1つ以上の取付ブラケット(例えば、2834)を含むことができる。幾つかの実施形態では、図14Iを示したように、取付ブラケット2834は成形されている。幾つかの実施形態では、ベース部材2802は、肝臓が典型的には置かれる支持表面2810に嵌合し、それを支持するよう構成されている。臓器チャンバ104及び支持表面2810は、例えば、ポリカーボネートなどの任意適切なポリマープラスチックから形成できる。
チャンバ2204のベース2802は、肝臓101からの潅流媒質の排水を促進するためにシステム600内で成形され且つ配置されている。臓器チャンバ104は、測定ドレイン2804と、この測定ドレインからのあふれを受け取ることができる主ドレイン2806との2つのドレインを備えることができる。測定ドレイン2804は、肝臓101を通る潅流液250の1-3 L/分の流れよりもかなり少ない約0.5 L/分の流量で潅流液を排水できる。測定ドレイン2804は、SaO2、ヘマトクリット値、及び/又は温度を測定できるセンサ140に通じており、次にレザバ160に通じている。主ドレイン2806は、センサ140を通過することなく脱泡剤/フィルタ161に直接通じることがある。幾つかの実施形態では、センサ140は、潅流液108に気泡が実質的に含まれない状態でなければ、正確な測定値を得ることができない。気泡を含まない潅流液柱を得るため、ベース2802は、肝臓101から測定ドレイン2804上に収集されるプールに排水される潅流液108を収集するよう形成されている。この潅流液プールによって、典型的に、気泡は潅流液がドレイン2804に入る前に消散できる。ドレイン2804の上のプール形成は、オプションの壁部2808によって促進され、潅流液のプールがこの流れから気泡が確実に散逸するのに十分な大きさとなるまで、壁部2808は測定ドレイン2804から主ドレイン2806への潅流液の流れを部分的に防ぐことができる。主ドレイン2806は測定ドレイン2804よりも低くすることができ、一旦、潅流液があふれると、潅流液は壁部2808の周り且つ/又はそれを超えて流れ、主ドレイン2806から排出される。
この二重ドレイン・システムの代替的な実施形態では、他のシステムを用いて潅流液を測定ドレインに送るプールに内に集める。幾つかの実施形態では、肝臓からの流れは小型カップ2838などの容器に差し向けられ、これから測定ドレインに送られる。カップ2838は潅流液で満たされ、余剰の血液はカップから溢れ、主ドレインに差し向けられ、よってこのレザバプールに至る。この実施形態では、カップ2838は、潅流液が測定ドレインから酸素センサまで流れる前に気泡が散逸できる少量の潅流液を形成することによって、上述した実施形態の壁部2808の機能に似た機能を実行できる。測定ドレインの更に別の実施形態では、上述のカップと同じ機能を果たすゆるやかな凹みを、測定ドレイン2804の周りでベース2802の底部に形成してもよい。
臓器チャンバ104の上部は、前方部材2816と、取り外し可能な蓋2820と、滅菌ドレープを備えた内蓋(図示しない)と、封止部材2818とを含む封止可能な蓋で覆うことができる。取り外し可能な蓋2820は、ヒンジ部分2832を介してベース部材2802に蝶番式で取り外し可能に結合できる。封止部材2818は、前方部材2816及び/又はベース2802を蓋2820に封止して流体及び/又は空気密封止を形成できる。封止部材2818は、例えばゴム及び/又は発泡体から製造できる。幾つかの実施形態では、前方部材2816及び蓋2820は、物理的に間接的又は直接的接触から肝臓101を保護するのに十分強固である。
臓器チャンバ104の例示的な実施形態を図14I-Sで多数の視点から図示する。この実施形態では、臓器チャンバ104のベース2802は異なる形状を備えている。図14I-14Kは上面図を示し、図14L-14Oは側面図を示し、図14P-14Rは底面図を示し、図14Sは代替的実施形態の分解図を示す。.臓器チャンバ104は、ベース2802、臓器支持表面2810、及び取り外し可能な蓋2820を含む。
例えば、この臓器チャンバの上部は、単一の封止可能な蓋2820で蓋をすることができる。取り外し可能な蓋は、ヒンジ部分2832を介して臓器チャンバ・ベース部材に蝶番式で取り外し可能に結合できる。この蓋は、一連のラッチ2836又は他の機構を介してベースに固定される。この蓋の封止部材2818はゴム及び/又は発泡体から製造でき、更に、これはこの蓋をベースに封止して流体又は空気密封止を形成できる。幾つかの実施形態では、これら蓋及びベースは、物理的に間接的又は直接的接触から肝臓を保護するのに十分強固である。この臓器チャンバは、HA、PV、及び胆管を含むカニューレ挿入される脈管の導管接続用のオリフィス(例えば、2830)を含んでいる。この臓器チャンバは、測定ドレイン2804の上に位置した、臓器の輸送時にIVCの端部を定位置に保持する構造体2840を含む。この構造体は、IVCカニューレから出る潅流液を測定ドレインに向ける。
別の実施形態(図示しない)では、臓器チャンバ104は、内側蓋及び外側蓋を含む二重蓋システムを含むことができる。より具体的には、一実施形態では、臓器チャンバ・アセンブリは、ハウジング、外側蓋、及び中間蓋を含むことができる。このハウジングは、臓器を収容するための底部及び1つ以上の壁部を含む。この中間蓋は、臓器をハウジング内に実質的に取り囲むためにハウジングの開口部を覆うことができ、更に、フレーム及び当該フレーム内につり下げられた柔軟性メンブレンを含むことができる。この柔軟性メンブレンは、透明、不透明、半透明、又は実質的に透明でよい。幾つかの実施形態では、この柔軟性メンブレンは、チャンバ内に収容された臓器に接触するのに十分な余剰メンブレン材料を含んでいる。この特徴によって、医療操作者は、本システム及び臓器の無菌性を維持しつつ臓器をこのメンブレンを介して間接的に接触/検査できる。例えば、中間蓋のメンブレンの面積は、中間蓋フレームにより画定される面積より100-300%大きいか、又は肝臓が占める二次元面積より100-300%大きい面積を備えている。幾つかの実施形態では、この柔軟性メンブレンは、操作者がこのメンブレンを介して肝臓の超音波検査を実行しながら、チャンバの無菌性及び/又は環境を維持できるように選択できる。
幾つかの実施形態では、中間蓋はハウジングにヒンジ取り付けされている。中間蓋は、臓器チャンバの開口部に閉じられている中間蓋を固定するためのラッチも含む。外側蓋は、同様にヒンジ取り付け且つ掛け金をかけてもよいし、完全に取り外し可能としてもよい。幾つかの実施形態では、流体及び/又は空気密封止を中間蓋フレームと1つ以上の臓器チャンバ壁部との間に形成するために、且つ/又は流体及び/又は空気密封止を外側蓋の周囲と中間蓋のフレームとの間に形成するためにガスケットを設けてもよい。この態様で、外側蓋が開いるか否かに関わらず、肝臓101を囲む環境は維持されうる。
臓器チャンバ104を覆うことは、潅流液108と周囲空気との間の気体の交換を最小限にする効果があり、酸素センサが所望の酸素値(例えば、肝臓101を出る潅流液に対応する値)を確実に測定する助けとなり、且つ無菌性を維持する助けとなりうる。臓器チャンバ2204を閉じると、肝臓からの熱損失を減少する効果もある。肝臓の表面積は大きいので、熱損失はかなりの程度となることがある。システム600が車両内にあるとき又はシステム600を車両から出し入れする際の肝臓の輸送時の屋外など、比較的低温環境に置かれるときは、熱損失は重要な問題となることがある。更に、移植前に、システム600は、典型的にはそれぞれ温度が15-22℃範囲の温度である病院の待機場又は手術室に一時的に置かれることがある。こうした雰囲気温度では、加熱器230が所望の潅流液及び肝臓温度を維持できるように、臓器チャンバ2204からの熱損失を少なくすることが重要である。肝臓101を臓器チャンバ2204内に封止すると、肝臓101全体の温度の均一性を維持する助けとなりうる。
図15A-15Dも参照すると、肝臓101を支持するよう構成されている支持表面2810の例示的な実施形態を示す。この実施形態は、ドレイン・チャンネル2812、ドレイン2814、及びオリフィス2815を含む。ドレイン・チャンネル2812は、肝臓101から排出される潅流液を流し、それをドレイン2814まで導く。幾つかの実施形態では、支持表面2810がベース2802に取り付けられると、ドレイン2814は測定ドレイン2804の上方に且つ/又はその近傍に位置するので、相当量の潅流液108は支持表面2810から測定ドレイン2804内に確実に排出する。オリフィス2815は、支持表面2810から潅流液を排出するための補助的部分を提供するよう構成されている。更に、支持表面2810は、パッド4500(後述する)と共に使用するよう構成できる。支持表面2810は、例えばねじ又はリベットを使ってパッド4500を固定するために使用可能なオリフィス2813を含むことができる。幾つかの実施形態では、支持表面2810が臓器チャンバ104に取り付けられるときは、これは水平に対して概ね5度の角度で配置されるが、他の角度も使用できる(例えば、0-60度)。
図16F-16Jを参照すると、代替的な実施形態では、支持表面4700は、臓器を支持し且つ緩衝する柔軟性材料であり、支持表面2810は省略されている。その材料は、敏感な肝臓組織を配置できる柔軟(compliant)且つ滑らかな表面を形成する組成からなる。表面は穿孔することができ、穿孔の数、配置、及び直径によって肝臓からの排水を可能としつつ、肝臓組織に対して非外傷性の表面を実現する。この実施形態及び他の実施形態では、支持部4700は、上部層4706と、柔軟性材料4706の底部層4708と、金属材料4706の展性(malleable)金属の基材(例えば、アルミ)のフレーム4702である内側層とを含む複数材料の層である。幾つかの実施形態では、上部層4706及び底部層4708は、ポリエチレン発泡体及び/又は多孔性シリコン発泡体から製造できる。
このアセンブリは臓器チャンバ・ベース2802によって支持されており、支持表面4700を臓器チャンバ・ベース2802の底部の上方で、臓器の重さによる変位をもたらすのに適した高さでつり下げる。支持表面4700のフレーム4702は、フレーム4702の開口部4610に挿入される成形ピン、リベット、ねじ、又は他の金具などの締め具4704を使用して臓器チャンバ・ベース2802に定位置で保持できる。
幾つかの実施形態では、展性金属フレーム4702は突出部4712内に伸展している。突出部4712は上部層4706及び底部層4708で囲んでもよい。これら突出部4712は、肝臓のx、y、及びz軸の位置を安定させるように肝臓を囲む位置へと形成できる。突出部4712を屈曲することによって、ユーザは、肝臓をそれが人体内で支持されている態様を模倣するような態様で選択的に支持できる。幾つかの実施形態では、フレーム4702の幾つかの部分は、図16Gに示すように先細りに形成され円形部で終端してもよい。フレーム4702のこれら部分の先細りにより、i) 突出部4712は容易に丸まるが、折り目が付く可能性が減少し更には無くなり、且つii)支持表面4700の重さを減少できる。この円形部は、ユーザが容易に保持できる表面を提供できる。フレーム4702のこの部分の先細り形状は、折れたり屈曲したりするのでなく、丸くなって自然な円弧状になるよう特に選択できる。突出部4712は、肝臓を取り囲むための所望の任意形状することができる。使用時には、肝臓は支持表面4700の上部層4706に配置され、支持表面4700の押し下げが可能となる。従って、突出部4712は、肝臓を取り囲むための位置へと形成できる。
b) 肝臓の安定化
幾つかの実施形態では、肝臓の輸送時の安定化は、肝臓に不要な圧力を掛けて損傷させることなく、それを支持且つ定位置に保持するよう設計された1つ以上のシステムによって実行できる。例えば、幾つかの実施形態では、システム600は軟質の安定化肝臓パッド(例えば、4500)を用いてラップ/ターポリン(例えば、4600)と共に肝臓を支持できる。幾つかの実施形態では、この安定化システムによって、所定の制限内で肝臓のある程度の動きを許容できる(例えば、このシステムは肝臓の任意方向の2インチまでの動きを許容できる)。幾つかの実施形態では、肝臓が置かれる表面は、肝臓への損傷を低減する助けとなる低摩擦表面を備えることができる。支持表面2810と接触するパッドの側面は、パッドを定位置に保持する助けとなる高摩擦表面を備えることができる。
このパッドは、不要な圧力を肝臓101に与えずに肝臓101を選択的且つ制御可能に支持する受け台を形成するよう設計できる。すなわち、支持表面2810以外を用いずにその上に肝臓101を置いてしまうと、輸送時に接触する肝臓の部分が物理的に損傷を受けることがある。例えば、輸送時に肝臓を機械的振動及び衝撃から緩衝するのに十分な弾性を備えた材料から、このパッドを形成できる。
安定化肝臓パッド及びラップの例示的な実施形態は、図16A-16Eにはパッド4500として示し、図16Dにラップ4600として示した。パッド4500は、上部層4502及び底部層4504の二層を含むことができる。幾つかの実施形態では、上部層4502はポリエチレン発泡体から製造でき、底部層4504は多孔性シリコン発泡体から製造できる。この実施形態では、上部層4502は6mm厚とすることができ、底部層4504は3/16インチ厚とすることができるが、他の厚さ及び材料も使用できる。上部層4502及び底部層4504は、MOMENTIVEシリコンRTV 118シリコンのような接着剤を用いて互いに接着できる。パッド4500の形状は、肝臓用に最適化できる(例えば、図16Aに示したように)。例えば、パッド4500の形状は湾曲した角部と、1つ以上のフィンガー(例えば、4506、4508、4510、4512、4514、及び4516)とを含むことができる。パッド4500は、パッド4500を例えばリベット及び/又はねじで支持表面2810に固定するときに通過する1つ以上の穴4520を含むこともできる。実施形態によっては、パッド4500は概ね16×12インチの大きさだが、他のサイズも可能である。
変形可能な金属基材4518を上部層4502と底部層4504との間に挟むことができる。変形可能な基材4518は、金属などの強固だが柔軟な材料から製造できるが、他の材料を用いることもできる。幾つかの実施形態では、変形可能な基材4518は0.04インチ厚のアルミ1100-0である。基材4518は、ユーザが容易に取り扱いできるが、肝臓の振動又は衝撃によって位置が変更されないように構成できる。変形可能な基材4518は、フィンガー4506、4508、4510、4512、4514、4516に対応するフィンガー4522、4524、4526、4528、4530、4532をそれぞれ含むことができる。パッド4500の様々なフィンガーを屈曲することによって、ユーザは、肝臓が人体内で支持されている態様を模倣するような態様で選択的に支持できる。丸まった位置にあるフィンガーを備えたパッド4500の例示的実施形態を図16Dに示す。幾つかの実施形態では、変形可能な基材4518の各フィンガーは、先細り状に形成して(例えば、4534により示したように)、円形状で終端してもよい。基材4518のこれら部分の先細り形状により、i)フィンガーは容易に丸まるが、屈曲時に折り目が付く可能性が減少し更には無くなり、且つii)パッド4700の重さを減少できる。この円形部はユーザが容易に保持できる表面を提供できる。フィンガーのこの部分の先細り形状は、折れたり屈曲したりするのでなく、パッド・フィンガーが丸くなって自然な円弧状になるよう特に選択できる。
図16F-16Jを参照すると、代替的な実施形態では、この安定装置は3つの層を含むことができる。上部層4708及び底部層4504は多孔性シリコン発泡体から製造できる。各発泡体層は3/16インチであるが、他の厚さ及び材料も使用できる。内側層は、狭いフレーム形状の変形可能な金属基材のフレーム4702である。フレーム4702は、強固だが柔軟な材料から製造できるが、他の材料を用いることもできる。幾つかの実施形態では、フレーム4702は0.04インチ厚のアルミ1100-0である。フレーム4702は、ユーザが容易に取り扱いできるが、肝臓の振動又は衝撃によって位置が変更されないように構成できる。
上部層4706及び底部層4708は、MOMENTIVEシリコンRTV 118シリコンのような接着剤を用いて互いに接着できる。上部及び底部層4706、4708はフレーム4702の内側範囲を覆うことによって、肝臓を輸送用に配置できる柔軟な支持表面4700を形成できる。支持表面4700の形状は肝臓用に最適化できる。例えば、支持表面4700の形状は、輸送時に肝臓の動きを抑制するための湾曲した角部と、1つ以上の突出部4712とを含むことができる。幾つかの実施形態では、ラップ4600は肝臓の上に配置して、輸送時にはそれを定位置に保持し且つ肝臓内の水分を保持できる。例えば、図16Dに示したように、ラップ4600は一方側をパッドに取り付けて(例えば、図16Dの右側)、ラップの残り部分は肝臓の上に垂らしかけることができる。他の実施形態では、このラップは、複数の縁部又は全ての縁部で固定してもよい。ラップ4600は、柔軟性支持表面4700と共に使用してもよい。幾つかの実施形態では、ラップ4600は移植時に肝臓を固定し、無菌性を維持する助けとなり、蒸気バリアとして作用することで肝臓内の水分を保持するなどの1つ以上の機能を実行できる。このラップはポリエチレン・シート製とすることができ、肝臓の目視検査を容易にするため半透明又は透明とすることができる。ラップ4600の大きさは様々でよい。例えば、それは0.5と24インチとの間の長さで、0.5と24インチとの間の幅とすることができる。
2. 潅流回路の概要
上述したように、肝臓は、肝動脈と門脈という2つの血液供給源を備えており、それぞれが肝臓への概ね1/3及び2/3の血液を供給する。典型的には、肝動脈と門脈による血液供給を比較すると、肝動脈は高血圧だが低い流量で血液を供給し、門脈は低血圧だが高い流量で血液を供給する。更に、典型的には、肝動脈は肝臓に拍動流を供給するが、門脈は拍動流を供給しない。
システム600は、単一のポンプを使って潅流溶液を、人体をシミュレートする様態で(例えば、適切な圧力、体積、及び拍動流)肝臓に供給するよう構成できる。例えば、正常流モードでは、システム600は、潅流液を、人体で血液が循環するのと同じ態様で肝臓に循環できる。より具体的には、潅流液は肝動脈及び門脈を介して肝臓に入り、肝臓からIVCを介して流出する。正常流モードでは、システム100は潅流液を肝臓102に、約1L/分から約3L/分の生理学的速度に近い速度でポンプ吸入するが、幾つかの実施形態では、この範囲は1.1-1.75 L/分でよい(しかし、本システムは例えば0-10 L/分などの範囲外の流量を提供するよう構成してもよい)。上述の数字それぞれは、肝動脈及び門脈に与えられる毎分の総流量である。
図17を参照すると、潅流セット100の例示的な実施形態を図示する。潅流セット100は、レザバ160と、一方向バルブ191と、ポンプ106と、一方向バルブ310と、伸展性チャンバ184、186と、ガス交換器114と、加熱器110と、流量計136、138a、138bと、分割器105と、フロー・クランプ190圧力センサ130a、130bと、臓器チャンバ104と、センサ140と、脱泡剤/フィルタ161と、それらを接続するチュービング/インターフェースとを含むことができる。肝臓は、そこから生じる胆汁を収集するバッグ187にも接続できる。幾つかの実施形態では、潅流セット100は、頓用モジュール634内に完全に含まれるが、これは要件ではない。幾つかの実施形態では、下大静脈(IVC)はカニューレ挿入され、IVCからの流れはIVC圧、流れ、及び酸素飽和度を測定できる導管に向けることができる。他の実施形態では、IVCはカニューレ挿入され、潅流液はIVCから臓器チャンバ104に自由に流れる(そして、臓器チャンバ104の1つ以上のドレイン内に最終的には流入する)。
一実施形態では、潅流液は、レザバ160からバルブ191に流れ、次にポンプ106まで流れる。ポンプ106の後は、潅流は一方向バルブ310と伸展性チャンバ184とに流れることができる。伸展性チャンバ184の後は、潅流液はガス交換器114に、そして加熱器110へと流れることができる。加熱器110の後は、潅流液は構成された流量計136に流れ、潅流回路のその部分での流量が測定される。流量計136の後は、潅流液は、潅流液の流れを枝管313及び315に分割する分割器105に流れる。幾つかの実施形態では、分割器105は、流れを肝動脈と門脈とに1:2と1:3との間の比で分割する。枝管313は肝臓の門脈に最終的にはつながり、枝管315は最終的には肝臓の肝動脈につながる。枝管313は、流量計138aと、フロー・クランプ190に潅流液を与える伸展性チャンバ186とを含むことができる。フロー・クランプ190から、潅流液は、肝臓の門脈に流れる前に圧力センサ130aに流れることができる。枝管315は、潅流液が肝臓の肝動脈に与えられる前に、潅流液を圧力計130bに与える流量計138bを含むことができる。潅流液が肝臓を出ると、潅流液の一部は測定ドレイン2804により収集され、残りは主ドレイン2806により収集される。測定ドレイン2804により収集された潅流液は、センサ140に与えることができる。センサ140を出る潅流液は脱泡剤/フィルタ161に与えることができる。ドレイン2806により収集された潅流液は脱泡剤/フィルタ161に直接与えることができる。脱泡剤/フィルタ161を出る潅流液はレザバ160に与えることができる。更に、肝臓で生産される胆汁をバッグ187に収集できる。
幾つかの実施形態では、システム100は、動作時には内部に少なくとも1.6Lの潅流液(又は他の流体)を備える。
3. レザバ
頓用モジュール634は、臓器チャンバ104の下に取り付けられた潅流レザバ160を含むことができる。レザバ160は、潅流液108が潅流セット100を循環する際に潅流液108を蓄え、ろ過するよう構成できる。レザバ160は、潅流液の誤った方向への流れを防止する1つ以上の一方向バルブ(図示しない)を含むことができる。幾つかの実施形態では、レザバ160は最小容量2Lを備えるが、それより小さい容量も使用できる。幾つかの実施形態では、レザバ160は、潅流液108内の粒子を捕捉するよう設計されたフィルタ(脱泡剤/フィルタ161として図17で別に図示されている)を含むことができる。幾つかの実施形態では、このフィルタは、潅流液108内の20ミクロンより大きい粒子を捕捉するよう構成できる。幾つかの実施形態では、レザバ160は、潅流液108から生成される泡を減少且つ/又は除去する脱泡剤(脱泡剤/フィルタ161として図17で別に図示されている)を含む。幾つかの実施形態では、レザバ160は、ユーザがレザバ160内の潅流液の量を推定できるように透明の材料製とし且つ水位の印を含むことができる。幾つかの実施形態では、レザバ160は、臓器チャンバ104から最小で毎分4.5Lの流体進入が可能となるよう構成できるが、それ以外の流量も可能である。幾つかの実施形態では、レザバ160は無菌バリア(図示しない)を含む大気への通気口を含む。
レザバ160は、様々な場所でシステム600内に配置できる。例えば、レザバ160は、肝臓の上、肝臓の完全に下、肝臓の部分的に下、肝臓の隣などに配置できる。よって、本明細書に記載した幾つかの実施形態の潜在的な1つの利点は、潅流液の重力誘導された圧力水頭は必要ではないので、このレザバが肝臓の下方に位置できることである。
4. バルブ
幾つかの実施形態では、バルブ191及び310は、システム100の潅流液が確実にシステム100内を正しい方向に流れるよう構成された一方向バルブである。バルブ191及び310の例示的な実施形態は、ポンプ106に関連して上述した。
5. 潅流液ポンプ
ポンプ106の例示的な実施形態は、図6A-6Eに関連してより詳細に上述した。上述したように、幾つかの実施形態では、このポンプは多数回使用モジュール650と頓用モジュール634との間で分割されている。例えば、頓用モジュール634はポンプ・インターフェース・アセンブリを含むことができる一方で、多数回使用モジュール650はポンプ駆動装置部を含む。
6. 伸展性チャンバ
ポンプ106は一般的な脈動性出力を与える一方、この流動の特性は、典型的には、人体から肝臓に典型的に与えられる流動に一致するように適合される。例えば、肝臓がin vivoにあるときは、門脈は、典型的には血液の拍動流を肝臓に与える。よって、幾つかの実施形態では、潅流液を肝臓の門脈に非拍動流を与えるため、ポンプ106により生成される拍動流を軽減するため1つ以上の伸展性チャンバを用いることができる。幾つかの実施形態では、これら伸展性チャンバは、人体の血管伸展性をシミュレートするための柔軟で弾性的な壁部を持つ実質的に小型の直列流体アキュムレータである。伸展性チャンバは、例えば、ポンプ106からの流動プロファイルによる流体圧スパイクをろ過/減少させることによって、人体の血流をより正確に模倣するうえでシステム600を補助できる。本明細書に記載されたシステム600の実施形態では、2つの伸展性チャンバ184及び186が使用される。これら伸展性チャンバの様々な特性を変化させて所望の結果を得ることができる。例えば、i)圧力と容積との関係と、ii)伸展性チャンバの容積全体との組合せが当該伸展性チャンバの性能に影響を与えることがある。好適には、それぞれの伸展性チャンバの特性を選択することで所望の結果を得ることができる。
幾つかの実施形態では、伸展性チャンバ184は、バルブ310とガス交換器114との間に位置し、ポンプ106の拍動出力を部分的に平滑化するよう動作する。例えば、伸展性チャンバ184は、肝臓の肝動脈に最終的に与えられる潅流液の流れが人体のそれを模倣するように構成できる。幾つかの実施形態では、仮にポンプ106の出力が、人体の肝動脈への流れを正確に模倣する潅流液の肝動脈への流れになれば、伸展性チャンバ184は省略できる。
幾つかの実施形態では、伸展性チャンバ184は、分割器105とフロー・クランプ190との間に配置されている。伸展性チャンバ184は、門脈に最終的に与えられる潅流液の流れの拍動的性質を実質的に減少させ又は除去さえするよう動作できる。更に、伸展性チャンバ184は、枝管313においてフロー・クランプ190の前に配置されているが、これは要件ではない。例えば、フロー・クランプ190は伸展性チャンバ186の前に配置できる。しかし、この実施形態では、伸展性チャンバ186のパラメータを調節するのが望ましいこともある。
7. ガス交換器
システム600は、例えば、潅流液からCO2を除去しO2を加えるよう構成されたガス交換器114(酸素付加器とも呼ぶ)を含むこともできる。ガス交換器114は外部又は搭載型の源172(例えば、ガス供給源172又は酸素濃縮器)からガス調節器及び/又はガスフロー・チャンバを通して入力ガスを受け取ることができるが、このガス調節器及び/又はガスフロー・チャンバは、ガス流を制御するパルス幅調節ソレノイド弁であっても、あるいは、ガス流量の正確な制御を可能にする他のガス制御装置であってもよい。幾つかの実施形態では、ガス交換器114は、NOVALUNG社製の介入性肺補助メンブレン酸素付加器又は入ジャージー州のマケット社製のQuadroxシリーズの製品などの標準的なメンブレン・ベンチレータでよい。例示的な実施形態では、このガスには、酸素、二酸化炭素、及び窒素の混合物が含まれる。ガスの例示的な混合物は、80%のO2、0.1%のCO2、残りのN2を含有し、混合プロセス正確度が0.030%である。幾つかの実施形態では、ガス交換器、調節器、及び/又はガス流チャンバの動作は、センサ140の出力を用いてコントローラ150によって制御できる。
幾つかの実施形態では、酸素付加器141は、標準的条件で500 mLpmの血流において27.5 mLpm/LPM分の酸素移動速度を備えることができる。酸素付加器141は、標準的条件で500 mLpmの血流量において20 mLpmの二酸化炭素移動速度を備えることもができる。例えば標準条件とは次の通り:気体 = 100%のO2、血液温度 = 37.0 ± 0.5℃、ヘモグロビン = 12 ± 1 mg%、SvO2 = 65 ± 5 %、pCO2 = 45 ± 5mmHg、及び 1:1の気体と血液の比)。蒸気値は例示のみを目的としており限定的なものではない。上述の移動速度より高い及び/又は低い速度も使用できる。
8. 加熱器/冷却器
潅流セット100は、潅流液108の温度を所望のレベルに維持するよう構成された1つ以上の加熱器を含むことができる。潅流液を温め、この温められた液体を肝臓内に流すことによって、肝臓自体の温めが可能である。この加熱器は潅流液を広範囲の温度(例えば、0-50℃)に温めることができるが、典型的には、この加熱器は潅流液を30-37℃の温度まで温める。幾つかの実施形態では、加熱器は、34-37℃、35-37℃、又は0-50℃内の任意範囲まで温めるよう構成できる。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の範囲は42℃まで拡張できる。
図18A-18Gを参照すると、加熱器アセンブリ110の例示的な実施形態を図示する。図18A-18Fは、潅流液加熱器アセンブリ110の様々な図を示す。加熱器アセンブリ110は、吸入口110a 及び吐出口110bを備えたハウジング234を含むことができる。長手方向の断面図及び横方向断面図の両方に示したように、加熱器アセンブリ110は、吸入口110aと吐出口110bとの間に延伸する流路240を含むことができる。加熱器アセンブリ110を、上側236及び下側238の対称な半分部分を有するものとして概念化してもよい。従って、上側半分のみを図18Fの分解図で示す。
流路240は、第一242及び第二244流路プレート間に形成できる。吸入口110aは、潅流液を流路240内に流すことができ、吐出口110bは潅流液を加熱器110から出すことができる。第一242及び第二244流路プレートは、チャンネル240を流れる潅流液と直接接触を実現する実質的に生体不活性の潅流液108接触面を備えることができる。この流体接触表面は、プレートを処理又は被膜形成することにより形成しても、あるいはプレート表面自体であってもよい。加熱器アセンブリ110は、それぞれ第一及び第二電気加熱器246及び248を含むことができる。第一加熱器246は、第一加熱器プレート250に隣接して配置でき、熱をこのプレートに接続できる。すると第一加熱器プレート250はこの熱を第一流路プレート242に接続できる。同様に、第二加熱器248は、第二加熱器プレート252に隣接して配置でき、熱をこのプレートに接続できる。第二加熱器プレート252は熱を第二流路プレート244に接続できる。例示の実施形態では、第一250及び第二252加熱器プレートは、アルミニウムなど、それぞれ第一246及び第二248電気加熱器からの熱を比較的に均一に伝導し、分散させる材料から形成できる。加熱器プレート250及び252による均一な熱分散により、流路プレートを、チタンなどの生体不活性な材料から形成することができ、その熱分散特性に関する懸念を軽減させることができる。加熱器アセンブリ110は、それぞれ流路プレート242及び244をハウジング234に対して流体封止して流路240を形成するためのOリング254及び256を更に含むことができる。幾つかの実施形態では、加熱器プレート及び流路プレートの機能は単一のプレートに組み合わせられる。
加熱器アセンブリ110は更に第一アセンブリ・ブラケット258及び260を含むことができる。アセンブリ・ブラケット258は加熱器アセンブリ110の上側236上で、電気加熱器246の周辺上に取り付けられることで、加熱器246、加熱器プレート250及び流路プレート242を、このアセンブリ・ブラケット258とハウジング234との間で挟み込むことができる。ボルト262a-262jが、ブラケット258、電気加熱器246、加熱器プレート250及び流路プレート242に開いた対応する貫通孔に嵌め合い、対応するナット264a-264j内に螺合することで、これらの構成要素の全てをハウジング234に固定することができる。アセンブリ・ブラケット260は、加熱器248、加熱器プレート252及び流路プレート244をハウジング234に固定するのと同様な態様で、加熱器アセンブリ110の底面238に取り付けられうる。弾性パッド268はブラケット258の周囲内に嵌合できる。同様に、弾性パッド270はブラケット268の周囲内に嵌合できる。ブラケット272はパッド268上に嵌合できる。ボルト278a-278fは、ブラケット272のそれぞれ孔276a-276f内に嵌め合い、ナット280a-280fに螺合することで、弾性パッド268を加熱器246に向かって圧縮して、加熱器プレート250に対してより効率的な熱伝達を提供できる。弾性パッド270はブラケット274により同様な態様で加熱器248に向かって圧縮できる。
図示した加熱器アセンブリ110は、温度センサ120及び122並びに二重センサ124を含むことができる。二重センサ124は実際には障害許容を提供する二重サーミスタを含むことができ、加熱器アセンブリ110を出る潅流液108の温度を測定でき、これらの温度をコントローラ150に提供できる。加熱サブシステム149に関して更に詳述するように、センサ120、122及び124からの信号をフィードバック・ループで用いて、第一246及び/又は第二248加熱器への駆動信号を制御することで、加熱器256及び248の温度を制御できる。加えて、加熱器プレート250及び252、ひいては加熱器プレート250及び252の血液接触表面242及び244が、潅流液を損傷しかねない温度に達することがないように、図示の加熱器アセンブリ110は、それぞれ加熱器246及び248の温度を監視すると共にコントローラ150にこれらの温度を提供する温度センサ/リード線120及び122を更に含むことができる。実際には、センサ/リード線120及び122に取り付けられるセンサはRTD(抵抗温度装置)ベースとすることができる。センサ/リード線120及び122に取り付けられたセンサからの信号を、フィードバック・ループで用いて第一246及び/又は第二248加熱器への駆動信号を更に制御することで、加熱器プレート250及び252の最大温度を制限できる。障害時の保護として、一方が故障した場合に他方のセンサでの温度で本システムが作動できるように、加熱器246及び248のそれぞれにセンサを設けることができる。
加熱器アセンブリ110の加熱器246は、コントローラ150から駆動信号281a及び283b(まとめて283)を対応する駆動リード線282bに受け取ることができる。同様に、加熱器248はコントローラ150から駆動信号283a及び283b(まとめて283)を駆動リード線282bに受け取る。駆動信号281及び283は、各加熱器246及び248への電流を制御し、ひいては各加熱器246及び248により生じる熱を制御する。より具体的には、図18Gに示すように、駆動リード線282aは、加熱器246の抵抗素子286に接続するハイ・ペア及びロー・ペアを含む。抵抗素子286を通じて提供される電流が大きい程、抵抗素子286は熱くなる。加熱器248は駆動リード線282bに関しても同じ態様で作動する。図示の実施形態では、素子286は、約5オームの抵抗を有する。しかしながら、他の例示的な実施形態では、この素子は約3オーム乃至約10オームの間の抵抗を有していてもよい。加熱器246及び248は、プロセッサ150により個別に制御できる。
構成要素を収めている加熱器アセンブリ110は、例えばたポリカーボネートなどの成型プラスチックから形成でき、約1ポンド未満の重さとすることができる。より具体的には、ハウジング234並びにブラケット258、260、272及び274は全て、ポリカーボネートなどの成型プラスチックから形成できる。別の特徴としては、加熱器アセンブリは頓用使い捨てアセンブリでよい。
動作時、図示の加熱器アセンブリ110は、約1ワット乃至約200ワットの電力を用いることができ、流路240を流れる潅流液108を、約300 ml/分乃至約5 L/分の流量で、約30℃未満の温度乃至少なくとも約37℃の温度で、約30分未満、約25分未満、約20分未満、約15分未満、又は更に約10分未満で、細胞の溶血を起こしたり、あるいは、タンパク質を変性させたり、あるいは潅流液のいずれかの血液製剤部分を損傷することなく、移行させるような大きさ及び形状とすることができる。
加熱器アセンブリ110は、ポリカーボネートから形成されると共に約5ポンド未満の重さであるハウジング234並びにブラケット258、260、272及び274などのハウジング構成要素を含むことができる。幾つかの実施形態では、加熱器アセンブリは4ポンド未満の重さでよい。例示する実施形態では、加熱器アセンブリ110は、吸入口110a及び吐出口110bを含めずに約6.6インチの長さ288を有し、約2.7インチの幅290を有することができる。加熱器アセンブリ110は、約2.6インチの高さ292を有することができる。加熱器アセンブリ110の流路240は、約1.5インチの公称幅296、約3.5インチの公称長さ294、及び約0.070インチの公称高さ298を有することができる。高さ298及び幅296は、潅流液108が流路240を通過するときにそれが均一に加熱されるように選択できる。高さ298及び幅296も、流路240の横断面積が、潅流液108を加熱器アセンブリ110内に運ぶ、及び/又は、加熱器アセンブリ110から運び出す流体導管の内側横断面積にほぼ等しくなるように、選択される。一実施形態では、高さ298及び幅296は、流路240内の横断面積が、吸入側流体導管792の内側横断面積にほぼ等しくなる、及び/又は、吐出側流体導管794の内側横断面積に実質的に等しくなるように、選択される。
突起部257a-257d及び259a-259dが加熱器アセンブリ110に含まれてもよく、加熱器アセンブリを多数回使用ユニット650に結合するための熱活性化接着剤を受け取るために用いてもよい。
加熱器110に加え、システム100は、熱を与えるために臓器チャンバ110に配置された付加的加熱器(図示しない)を含むことができる(例えば、抵抗加熱器)。
9. 圧力/流量プローブ
幾つかの実施形態では、システム600は、圧力センサ130a、130b及び流れセンサ138a、138bを含むことができる。該プローブ及び/又はセンサは標準的な市販のものを入手できる。例えば、流量センサ136、138a及び138bは、例えばニューヨーク州イサカのTransonic Systems社から入手可能なものなど、超音波流れセンサとすることができる。 液圧プローブ130a、130bは、MSI又はG.E.Thermometrics社から入手可能な従来のひずみゲージ圧力センサとすることができる。代替的には、予め較正された圧力変換器チップを臓器チャンバ・コネクタ内に埋め込み、コントローラ150に接続することもできる。幾つかの実施形態では、これらセンサは、平均、瞬間、及び/又はピーク値流れ及び/又は圧力値を測定するように構成できる。平均値が計算される実施形態では、本システムは、移動平均標本値を用いてこの平均を計算するよう構成できる。これらセンサは、更に、収縮期及び拡張期測定値を与えるよう構成できる。これらは図17では別々の装置だが、幾つかの実施形態では、単一の装置が圧力及び流量を測定できる。幾つかの実施形態では、これらセンサは、各変換器について±(7% + 10 mmHg)の正確度で0-225 mmHg範囲の圧力を測定するように構成できる。幾つかの実施形態では、流量センサは、±12% + 0.140 L/分の正確度で0-10 L/分の範囲の流量を測定するように構成できる。幾つかの実施形態では、これら圧力及び流量センサは、カニューレ先端内、脈管内、又はカニューレ以前のチュービング内での圧力/流量をサンプリングするよう構成できる。
単一のセンサ130b及び単一のセンサ130aが設けられているが、これらセンサは2つ以上の圧力センサを含むことができる。例えば、幾つかの実施形態では、センサ130aは、冗長性のため2つの圧力センサを含むことができる。幾つかの実施形態では、両方のセンサの動作時には、コントローラ150は両方の出力を平均して実際の圧力を算出できる。幾つかの実施形態では、センサ130a内の2つの圧力センサの一方が故障したときは、コントローラは機能障害に陥っているセンサは無視できる。
図23A-23Kに関してより詳しく説明するように、これら圧力センサはコネクタ3000(そして同様にコネクタ3050で)のハウジング3010に内蔵できる。
10. 流量制御
システム600は、流量センサ136において(例えば、分割器105の前)0-10 L/分の範囲で変化する潅流液の流量を実現するよう構成できる。幾つかの実施形態では、本システムは、流量センサ136において0.6-4 L/分の流量又はより具体的には流量センサ136において1.1-1.75 L/分の流量をもたらすよう構成できる。これらの範囲は例示目的のみであり、センサ136における流量は0-10 L/分内の任意範囲が可能である。システム600は、肝臓の肝動脈への(例えば、流量センサ130bで測定される)0-10 L/分の範囲で、より具体的には0.25-1 L/分の範囲で変化する潅流液の流量を実現するよう構成できる。これらの範囲は例示目的のみであり、肝動脈における流量は0-10 L/分の任意範囲内が可能である。システム600は、肝臓の門脈への(例えば、流量センサ130aで測定される)0-10 L/分の範囲で、より具体的には0.75-2 L/分の範囲で変化する潅流液の流量を実現するよう構成できる。これらの範囲は例示目的のみであり、門脈における流量は0-10 L/分の任意範囲内が可能である。
幾つかの実施形態では、システム600は、内部に少なくとも1.8リットルを含んだ状態で、0.3-3.5 L/分の流量で潅流モジュールを通過する潅流液流を生成することができる。幾つかの実施形態では、枝管315を介して肝動脈に与えられる圧力は、25-150 mmHgの範囲であり、より具体的には50-120 mmHgの範囲であり、枝管313を介して門脈に与えられる圧力は、1-25 mmHgの範囲であり、より具体的には5-15 mmHgの範囲である。これらの範囲は例示目的のみであり、それぞれの圧力は5-150 mmHgの任意範囲内が可能である。
11. 潅流液センサ
センサ140は、多波長で印加すると潅流液により吸収又は反射される光の量を測定することで、肝臓から流れる潅流液の1つ以上の特性を感知できる。例えば、センサ140は、O2飽和度、ヘマトクリット、及び/又は温度センサでよい。図19A-19Cは、センサ140の例示的な実施形態を示す。センサ140は、導管798に接続されたチューブ812のインライン・キュベット型部分を含むことができ、このインライン・キュベット型部分は、赤外センサが赤外光を提供することのできる光学的に透明な少なくとも1つの窓を有することができる。センサ140の例示的な実施形態は、DATAMED SRL社から入手できるBLOP4及び/又はBLOP4 Plusプローブでよい。キュベット812は、コネクタ801a及び801bを有する一体成型部材でよい。コネクタ801a及び801bはそれぞれ導管端部798a及び798bの接続する受容部803a及び803bに隣接するように構成できる。キュベット812と導管端部798a及び798bとの間のこのような相互接続は、導管798及びキュベット812の内側の横断流面積が実質的に一定になるように構成できる。こうしてこの構成により、キュベット812と導管798との間のインターフェース814a及び814bでの不連続性が減り、そして幾つかの実施形態では実質的に除去できる。不連続性の減少/除去により、血液ベースの潅流液108は赤血球の溶解や乱れも少ない状態で、キュベットを通過して流れることができるため、潅流液酸素レベルの読み取りをより正確にすることができる。また、これによりシステム600による潅流液108への損傷も減少でき、最終的には移植される臓器に与えられる損傷を減少できる。
キュベット812は、任意適切な光透過性ガラス又はポリマなどの光透過性材料から形成できる。図19Aに示すように、センサ140は、更に、キュベット812を通過する潅流液108に光波を指向させると共に、光透過及び/又は光反射率を測定して、潅流液108中の酸素量を求めるための光送受信機816を含むことができる。幾つかの実施形態では、光送受信機がキュベット812の一方の側に配置され、潅流液108を通る光透過率を測定する検出器がキュベット812の反対側に配置される。図19Cは、キュベット812及び送受信機816の上横断面図を示す。送受信機816は、この送受信機の内側の平らな表面811及び813がそれぞれキュベットの平らな表面821及び823に対して結合し、他方、送受信機816の内側の凸面表面815がキュベット812の凸面表面819と結合するように、キュベット812の周囲に嵌合できる。動作時に、紫外光が送受信機816を透過すると、それは平らな表面811からキュベット812内の潅流液108を通って進み、平らな表面813に受け取られる。この平らな表面813は、潅流液108を通る光透過率を測定する検出器と一緒に構成できる。
幾つかの実施形態では、センサ140は、0-99%範囲のSvO2を測定するように構成できるが、幾つかの実施形態ではこれは50-99%に限定できる。センサ140がヘマトクリットも測定する場合は、測定範囲は0-99%だが、幾つかの実施形態ではこれは15-50%に限定できる。幾つかの実施形態では、センサ140によるこれら測定値の正確性は、±5ユニットとすることができ、測定は少なくとも10秒毎に行うことができる。センサ140が温度も測定する実施形態では、測定範囲は0-50℃とすることができる。
幾つかの実施形態では、システム600は、潅流液中で乳酸エステルを測定するよう構成された1つ以上の乳酸エステル・センサ(図示しない)を含むことができる。例えば、乳酸エステル・センサは、枝管315及び/又は枝管313の測定ドレイン2804と脱泡剤/フィルタ161との間に配置できる。この構成では、システム600は、肝臓で処理される前及び/又は後の潅流液の乳酸エステル値を測定するよう構成できる。幾つかの実施形態では、この乳酸エステル・センサは直列乳酸エステル分析器プローブでよい。幾つかの実施形態では、乳酸エステル・センサはシステム600の外部に位置させることができ、サンプリング・ポートから取り出された潅流液の試料を使用できる。
幾つかの実施形態では、システム600は、更に、pH、HCO3、pO2、pCO2、ブドウ糖、ナトリウム、カリウム、及び/又は乳酸エステルを測定する1つ以上のセンサ(例えば、センサ140及び/又は使い捨て血液ガス分析プローブなどの他のセンサ)を含むことができる。上記の値を測定するのに使用できる例示的なセンサは、英国ケンブリッジのSphere Medical社製の市販品プローブを含む。上述したように、このセンサは測定ドレイン2804に結合できる。代替的には、一本のチュービングを用いて潅流液をセンサとの間で送ることができる。このセンサの幾つかの実施形態は、測定を行う前及び/又は後に較正流体を用いる。そうしたセンサを用いる実施形態では、このシステムは、較正流体のセンサへの流れを制御するのに使用できるバルブを含むことができる。幾つかの実施形態では、このバルブは、手動で作動且つ/又はコントローラ150により自動で作動できる。幾つかの実施形態では、較正液体は使用されず、それによって潅流液の連続サンプリングが可能である。
システム600を制御するためにフィードバック・ループにおいて上述のセンサを用いることに加え、これらセンサの一部又は全てを用いて移植に関する肝臓の生存可能性を判断できる。
幾つかの実施形態では、外部血液分析器センサを使用することもできる。これらの実施形態では、血液試料は枝管313、315に設けたポート(これらポートは後に詳述する)から取り出すことができる。これら血液試料は、標準的な病院機器(例えば、放射計)を用いて又はポイント・オブ・ケア血液ガス分析(例えば、Abbott Laboratories社から入手できるI-STAT1又はAlere社から入手できるEpoc)を介して分析に供することができる。
12. サンプリング/注入ポート
システム600は、潅流液をサンプリングし且つ/又は潅流液に流体を注入するために使用できる1つ以上のポートを含むことができる。幾つかの実施形態では、これらポートは、標準的なシリンジと組み合わせて使用するよう構成でき且つ/又は制御可能バルブを用いて構成できる。幾つかの実施形態では、これらポートはルアー・ポートでよい。基本的に、システム100は、内部の任意位置に注入/サンプリング・ポートを含むことができ、次の例は限定的なものでない。
図17を参照すると、ポート4301、4302、4303、4304、4305、4306、4307、及び4308を含むことができる。ポート4301を用いて肝動脈に大量瞬時投与及び/又は洗浄(例えば、保存後洗浄)を行うことができる。ポート4302を用いて門脈に大量瞬時投与及び/又は洗浄(例えば、保存後洗浄)を行うことができる。ポート4303、4304、4305は溶液ポンプ631のそれぞれのチャンネルに結合でき、門脈(4301及び4304の場合)と、肝動脈(4305の場合)とに注入液を与えることができる。ポート4306及び4307を用いてそれぞれ肝動脈及び門脈に流入する潅流液の試料を得ることができる。ポート4308を用いてIVC(又は肝臓の摘出方法によっては肝静脈)の潅流液をサンプリングできる。幾つかの実施形態では、各ポートは、これらポートからの液流を得るためユーザが操作するバルブを含むことができる。
図17に示したポート構成は例示目的であり、より多くの又は少ないポートを使用できる。更に、ポートはポンプ106又は分割器105との間、臓器チャンバと胆汁バッグ187との間、胆汁バッグ187内、主ドレイン2806と脱泡剤/フィルタ161との間に配置できる。
頓用モジュール634は、更に、プライミング溶液及びドナーから採った瀉血又は血液バンクからの血液製剤をレザバ160に充填するチューブ774を含むことができる。プライミング・チューブ774はレザバ160に直接供給でき、且つ/又はプライミング・チューブは、その端部が臓器チャンバ104内のドレイン2806の真上に排水するように配置できる。頓用モジュール634は、例えば、滅菌ガスを頓用モジュール634内で流す間に用いられる、選択された流体ポートの排気キャップに替える非排気キャップも更に含む。
幾つかの実施形態では、システム100は、空気を肝動脈インターフェース、門脈インターフェース、システム100の他の箇所から除去するための排気口及び/又は空気パージ・ポートを含むことができる。
幾つかの実施形態では、肝臓の撮像を向上させるように、ユーザによる造影剤の潅流液への導入のための付加的な注入ポートを含めることができる。例えば、超音波造影剤を注入して造影超音波診断を行うことができる。
13. 臓器補助
潅流液は肝動脈及び門脈に圧力を掛けた結果として肝臓から自然に排出できるが、システム600は、潅流液が人体を模倣する態様で肝臓から排出される助けとなる付加的特徴を含むこともできる。すなわち、人体では、典型的には、人が息をする際に隔膜が肝臓に圧力を掛ける。この圧力が、血液を人の肝臓から押し出す。システム600は、横隔膜によって肝臓に掛けられる圧力を模倣するよう設計された1つ以上のシステムを含むことができる。例示的な実施形態は、接触又は無接触の実施形態を含む。幾つかの実施形態では、肝臓に掛けられる圧力の量は、肝臓の門脈及び/又は肝動脈内の圧力より少なくてよい。これら臓器補助システムの例示的な実施形態の略図は、図30に示す。
無接触圧力システムの一実施形態は、臓器チャンバ104内の空気圧を変化させて横隔膜から肝臓に掛けられる圧力をシミュレートするシステムである。この実施形態では、臓器チャンバ104内の空気圧を外気に比べて高い(又は低い)状態に維持できるように、臓器チャンバ104は実質的に気密環境を提供するよう構成できる。臓器チャンバ104内の空気圧が上昇すると、そのことが横隔膜により掛けられる圧力をシミュレートする圧力を肝臓にかけることができ、肝臓が潅流液を押し出す速度を増加させる。幾つかの実施形態では、この空気圧はヒトの呼吸数(例えば、一分間に12-15回)を模倣する態様で、又は他の頻度(例えば、一分間に0.5-50回)で変化させることができる。臓器チャンバ104内の空気圧は、例えば、専用空気ポンプ(図示しない)及び/又は搭載ガス供給源172を含む様々な方法によって変化させることができる。幾つかの実施形態では、臓器チャンバ104内の空気圧は、コントローラ150によって制御できる。これらの実施形態では、このコントローラは、フィードバック制御ループの一部として使用される臓器チャンバ104内の圧力を測定する空気圧センサに接続できる。
接触圧力システムの一実施形態は、ラップ及び/又はブラダーを用いて肝臓に圧力を掛けるシステムである。例えば、ラップは、臓器チャンバ104内で肝臓の一部又は全部上に被せることができる。すると、ラップの縁は機械的に引き締めることで、圧力をラップで覆われた肝臓の部分に掛けることができる。この例では、ラップの周囲の様々な点に取り付けられた1つ以上のモータを用いてラップの縁を引き締めることができる。接触圧力システムの別の例では、取り外し可能なブラダーを使用できる(図示しない)。この実施形態では、膨張可能なブラダーを肝臓と臓器チャンバ104の上面(又は他の箇所)との間に配置できる。するとポンプを使用してブラダーを膨張/収縮させることができる。ブラダーが膨張すると、臓器チャンバ104の上面(又は他の箇所)に押圧することで内部にある肝臓に圧力を掛ける。上述した無接触圧力システムと同様に、肝臓に掛けられる圧力は、横隔膜が掛ける自然な圧力を模倣するように周期的に掛けることができる。幾つかの実施形態では、肝臓に掛けられる圧力は、ヒトの呼吸数(例えば、一分間に12-15回)を模倣する態様で、又は他の頻度(例えば、一分間に0.5-50回)で変化させることができる。肝臓に掛けられる圧力がラップを使ったものであれ、ブラダーを使ったものであれ、この圧力はコントローラ150により制御できる。幾つかの実施形態では、肝臓に掛けられる圧力を測定する1つ以上のセンサを、フィードバック制御ループの一部として臓器チャンバ104に含めることができる。肝臓に接触圧力を掛けるための別の方法も可能である。
14. カニューレ挿入
使用においては、一実施形態では、肝臓をドナーから採集し、カニューレ挿入によってシステム600に結合できる。例えば、インターフェース162は、臓器チャンバ・アセンブリ内に配置された導管を介して肝動脈の血管組織にカニューレ挿入できる。インターフェース166は、臓器チャンバ・アセンブリ内に配置された導管を介して門脈の血管組織にカニューレ挿入できる。肝臓は、潅流液を下大静脈(IVC)を介して放出する。幾つかの実施形態では、IVCはインターフェース170(図示しない)によりカニューレ挿入され、流れを内部でIVC圧、流量、及び酸素飽和度を測定できる導管に直接向けることができる。別の実施形態では、IVCはインターフェース170によりカニューレ挿入され流れを臓器チャンバ内に向けることができる。更に別の実施形態では、IVCはカニューレ挿入されず、臓器チャンバが潅流液流を効率的な収集のためレザバに向ける手段を提供する。
インターフェース162、166及び170のそれぞれの末端上に血管組織を引っ張った後、この組織を当該インターフェースに結び付ける又は固定することにより、これらインターフェースのそれぞれを肝臓にカニューレ挿入できる。この血管組織は好適には、肝臓を切断し、ドナーから外植した後でも肝臓に接続されたままの血管の短い部分である。実施形態によっては、この短い血管部分は概ね0.25-5インチの長さだが、他の長さも可能である。
図21A-21Dを参照すると、肝動脈カニューレ2600の例示的な実施形態を図示する。カニューレ2600は概して管状を備え、システム100で用いられるチュービングに挿入されるよう構成されると共に第一オリフィス2612を含む第一部分2604を含む。第一部分2604は、第一部分2604を摩擦によってシステム100のチュービング内に固定する助けとして使用できるリング2602も含むことができる。カニューレ2600は、第一部分2604より直径が小さく且つ第二オリフィス2614を形成する第二部分2608を含むこともできる。第二部分2608は、第二部分2608の表面から引き込まれたチャンネル2610を含むこともできる。幾つかの実施形態では、ユーザが肝動脈を第二部分2608に結ぶ際、ユーザは、肝動脈の固定を補助するためチャンネル2610に縫合を施すことができる。第一部分と第二部分との間にカラー2606を設けることができる。このカラーの外径は、第一部分2604よりも僅かに大きな径を備えることができ、システム100のチュービングが挿入時に第二部分2608にまで被さるのを防止する。図21Dに示した断面図をみると、カニューレ2600の内径は内部に先細り形状2616を付けて変化できる。カニューレ2600は様々な大きさ、長さ、内径、及び外径で形成できる。システム600の幾つかの実施形態では、カニューレ2600による圧力及び流量変化を相殺するため、第一部分2604にかなり大きい内径を、第二部分2608にそれよりかなり小さい内径を設けることが有利となることがある。
図21H-21KDを参照すると、代替的な実施形態では、カニューレ2600は斜め切り端部2618を備える。
第一部分2604の外径は、シリコン又はポリエチレン・チュービングの内部に圧入されるよう構成できる。従って、第一部分2604の外径は様々とすることができるが、可能な直径の例示的な範囲は0.280-0.380インチである。第二部分2608の外径は4-50 Fr、より具体的には12-20 Frの範囲とすることができる。更に、カニューレ2600は、ステンレス鋼、チタン、及び/又はプラスチックなどの様々な生体適合材料から製造できる(カニューレ2600の寸法は異なる材料を用いて製造できるように適合できる)。
更に、人口の10-20%が、肝臓に副肝動脈を含む遺伝的変異を持っている。こうした例に関して、上述の肝動脈カニューレは双頭(例えば、Y字状)カニューレとすることができる。Y字状肝動脈カニューレ2642の例示的な実施形態は図21E-21Gに示したが、類似の番号を使用してカニューレ2600の対応する特徴を示した。肝動脈カニューレ2642の二叉設計によって、システム100は、システム100及び/又はコントローラ150の構成を変更することなく、両方の血管を肝動脈流の1つの入力として処理できる。
代替的な実施形態では、肝臓が副肝動脈を含む場合、2つの肝動脈カニューレを一端でY字状チュービングの一部に取り付け、他端を臓器チャンバに接続できる。
図22A-22Dを参照すると、門脈カニューレ2650の例示的な実施形態を図示する。カニューレ2650は概して管状を備え、システム100で用いられるチュービングに挿入されるよう構成されると共に第一オリフィス2660を含む第一部分2654を含む。第一部分2654は、第一部分2652を摩擦によってシステム100のチュービング内に固定する助けとして使用できるリング2654も含むことができる。カニューレ2650は、第一部分2654より直径が大きく且つ第二オリフィス2662を形成する第二部分2656を含むこともできる。第二部分2656は、第二部分2656の表面から引き込まれたチャンネル2658を含むこともできる。幾つかの実施形態では、ユーザが門脈を第二部分5626に結ぶ際、ユーザは、門脈の固定を補助するためチャンネル2658に縫合を施すことができる。図22Dに示した断面図をみると、カニューレ2600の内径は内部に先細り形状2664を付けて変化できる。カニューレ2650は様々な大きさ、長さ、内径、及び外径で形成できる。システム600の幾つかの実施形態では、カニューレ2650による圧力及び流量変化を相殺するため、第一部分2654にかなり大きい内径を、第二部分2656に更に大きい内径を設けることが有利となることがある。
図22E-22Gを参照すると、代替的な実施形態では、カニューレ2650はこれら第一及び第二部分の間に斜め切り端部2666を備える。このカラーの外径は、第一部分2654よりも僅かに大きな径を備えることができ、システム100のチュービングが挿入時に第二部分2656にまで被さるのを防止する。カニューレ2650は斜め切り端部2668を備えていてもよい。
第一部分2654の外径は、シリコン又はポリエチレン・チュービングの内部に圧入されるよう構成できる。従って、第一部分2654の外径は様々とすることができるが、可能な直径の例示的な範囲は0.410-0.510インチである。第二部分2656の外径は25-75 Fr、より具体的には40-48 Frの範囲とすることができる。更に、カニューレ2650は、ステンレス鋼、チタン、及び/又はプラスチックなどの様々な生体適合材料から製造できる(カニューレ2600の寸法は異なる材料を用いて製造できるように適合できる)。
図23A-23Nを参照すると、例示的な肝動脈コネクタ3000が図示されている。コネクタ3000は、肝臓の肝動脈に繋がる枝管315の一部とすることもできる。例えば、コネクタ3000は、臓器チャンバ104に挿入し、その壁部に固定できる。コネクタ3000は、円周チャンネル3007を含み開口部3008を画定する第一部分3006を含むことができる。幾つかの実施形態では、第一部分3006の外径は1/4インチチュービングに結合するようにサイズ決めされているが、他の直径も可能である。幾つかの実施形態では、第一部分3006に結合されるチュービングは摩擦を用いて結合してもよく、且つ/又は通常のジップタイ(又は他の類似の留め具)をチャンネル3007の周りに締め付けてそれに接続されたチュービングを固定してもよい。コネクタ3000は、開口部3003を画定する第二部分3002を含むこともできる。幾つかの実施形態では、第二部分3002の外径は押圧/摩擦接続を用いて1/4インチチュービングに結合するようにサイズ決めできるが、他の直径も可能である。幾つかの実施形態では、潅流液は開口部3008から開口部3003に向かって流れる。
コネクタ3000は、臓器チャンバ104の壁部の開口部に係合するよう構成されたインターフェースを含むことができる。例えば、コネクタ3000は、臓器チャンバ104の壁部に設けた対応する開口部内に嵌合するようサイズ決めされた隆条3003を含むことができる。コネクタが深く挿入されすぎないように、バックストップ3004は開口部より大きくすることができ、更に、これは、コネクタ3000を臓器チャンバ104に接着するための接着材を塗布する表面を提供できる。幾つかの実施形態では、隆条3003は、コネクタ3000を臓器チャンバ104内で回転させて位置決めするよう構成された凸部3011を含むことができる。例えば、幾つかの実施形態では、凸部3011及び臓器チャンバ104内の対応する開口部は、コネクタ3000が第二部分3003の長手方向軸の周りを回転できるように、構成できる。幾つかの実施形態では、この回転は、気泡の発生を防ぐため最適化できる。
コネクタ3010は、圧力センサ130bを収容するよう構成されたハウジング3010を含むこともできる。この実施形態では、2つの圧力センサが圧力センサ130bを構成する。そうした実施形態では、これらの圧力センサは開口部3009内に取り付けることができ、これがコネクタ3000内の流体への直接のアクセスを実現できる。更に、コネクタ3000の幾つかの実施形態は通気孔3005を含むことができ、これは、コネクタ3000内に閉じ込められた空気泡を抜くため開くことができるバルブに接続できる。動作時には、ユーザは、チューブの一端を第二部分3002に取り付け、このチューブの他端を肝動脈カニューレ2600(これは肝動脈に接続可能である)に接続できる。幾つかの実施形態では、ユーザは、肝臓を臓器チャンバ104内に配置でき、カニューレ2600を一本のチュービングの一端に接続でき、これを肝動脈に縫合糸を用いて接続できる。次に、肝臓の大きさは様々なので、次にユーザはチュービングを適切な長さにトリミングし、それを第二部分3003に接続できる。
図24A-23Lを参照すると、例示的な門脈コネクタ3050が図示されている。幾つかの実施形態では、門脈モジュール3050はコネクタ3000と同様に構成され且つ作用するが、例外は、第一及び第二部分が1/4インチではなく、3/8インチ又は1/2インチのチュービングに接続されうることであるが、これ以外の寸法のチュービングを用いても動作するよう構成できる。又、名称からも明らかなように、門脈コネクタは、枝管313を肝臓の門脈に結合するよう構成できる。
幾つかの寸法は上述したが、これらの寸法は例示目的のみであり、上述の構成要素それぞれは、必要に応じて所望の流れ特性を実現するようにサイズ決めできる。例えば、幾つかの実施形態では、望ましくない圧力又は流動変化が導入されないようにするために大径のカニューレを使うことが有利である場合がある。更に、手術時には、カニューレの直径は、脈管内に物理的に嵌合する最大カニューレが使用されるように外科医が選択できる。
Frスケールが34で終わると考える人もいることに注目されたい。よって、34を上回るFrサイズ(又は、従来のFrスケールで存在しないFr番号)が示されている場合、ミリメートルのサイズはFr番号を3で割ることにより求めることができる。
15. フロー・クランプ
図25A-25Bを参照すると、フロー・クランプ190の例示的な実施形態を図示する。フロー・クランプ190を使用して、肝臓の門脈への潅流液の流れ及び/又は圧力を制御できる。フロー・クランプ190は、カバー4001と、ノブ4002と、ピボット4003と、ピン4004と、ねじ4005と、ベアリング4006と、スライド4007と、心棒4008と、本体4009とを含むことができる。スライド4007は、溝4010及びデテント4012を含むことができ、本体4009内で上下動するように構成できる。幾つかの実施形態では、潅流液を運ぶチューブが、スライド4007の下で本体4009内に配置される。図25C-25Dは、成形品を備えたフロー・クランプ190を示す。
フロー・クランプ190は、ユーザが迅速にクランプ190を係合且つ解放できる一方で、加える締め付け力の量も正確に制御可能とするように構成できる。この実施形態では、カバー4001と、ノブ4002と、ピボット4003と、ピン4004と、ねじ4005と、ベアリング4006とが、スイッチ・ユニット4011を構成する。スイッチ・ユニット4011のピボット4003は、心棒4008(別々の2本のねじで構成できる)により形成される長手方向軸の周りを回転できる。こうした態様で、図25Aに示したようにスイッチ・ユニット4011が係合すると(例えば、ねじ4005が垂直となる)、ベアリング4006はスライド4007を本体4009内で強制的に下げる(すると、潅流液が存在すればそれを運んでいるチューブを押圧し、内部の流れを制限することができる)。スライドがどれだけ下方に強制移動されるかは、ねじ4005がピボット4003に対してどれだけ伸展しているのかの関数である。スイッチ・ユニット4011が解放されているときは、これは横方向に旋回して、ねじは垂直には配向されず、スライド4007の動きを制限しない。スイッチ・ユニット4011が旋回すると、ベアリングが溝4010に沿って移動できる。幾つかの実施形態では、ベアリング4006がデテント4012で停止すると、スイッチ・ユニット4011は定位置で「ロック」できる。ユーザは、係合時にフロー・クランプ190により決められる流量制限を、ノブ4002を回転させてねじ4005を延伸/収縮させることで調節できる。幾つかの実施形態では、ねじのピッチは4-40山でよいが、他のピッチを用いてもフロー・クランプ190の精度を調節できる。
16. プライミング
幾つかの実施形態では、潅流液は、「銀行保存血」ともよばれる赤血球濃厚液パックを含む。代替的には、潅流液は、肝臓を摘出している最中の瀉血のプロセスを通じてドナーから採集された血液を含む。当初、この血液はレザバ160に貯められ、臓器チャンバ・アセンブリ中のカニューレ位置がバイパス導管を通じて接続されることで、肝臓を介さない本システムを通じた潅流液の正常流モードが可能となり、これは「プライミング・チューブ」ともよばれる。摘出された肝臓にカニューレ挿入を行う前に、瀉血されたドナー血液を本システムに循環させて、それを加熱、酸素付加及び/又はろ過することにより、本システムをプライミングできる。プライミング中に栄養分サブシステムの注入ポンプを通じて栄養分、保存剤、及び/又は他の治療薬も提供してよい。プライミング中、操作者インターフェースを通じて様々なパラメータを初期化し、プライミング中に較正してもよい。プライミングして適正に動作したら、ポンプの流れを減らすか、又はサイクルから外して、バイパス導管を臓器チャンバ・アセンブリから取り外し、肝臓からこの臓器チャンバ・アセンブリにカニューレ挿入できる。その後、場合に応じて、ポンプの流れを回復させるか、又は増すことができる。このプライミング手順はより詳細に後述する。
17. IVCカニューレ挿入
幾つかの実施形態では、下大静脈(IVC)にカニューレ挿入できるが、これは要件ではない。これらの実施形態では、付加的な圧力及び/又は流量センサを用いて、肝臓から流れる潅流液の圧力及び/又は流量を測定できる。幾つかの実施形態では、カニューレ挿入されたIVCは、センサ140及び/又はレザバに直接結合できる。他の実施形態では、潅流液の排液を方向付けするために(例えば、方向付けした自由排出)、IVCにカニューレ挿入できる。例えば、IVCに接続された短いチューブのカニューレ挿入端部はクリップで定位置に固定され、潅流液が測定ドレイン2804の真上に排出されるようにできる。他の実施形態では、IVCはカニューレ挿入されず、潅流液はそこから自由に排出できる。更に別の実施形態では、IVCは部分的に結ぶことができる。
IVCがカニューレ挿入されチュービングに接続される実施形態では、所望の結果を得るためには、チュービングはできるだけ短くすることが好ましい。生理学的なIVC圧は低いので、多少の長さの細いチューブであってもIVC圧が上昇することになりうる。排出を促すための肝臓への押圧を含むシステム600の実施形態では(例えば、上述したチャンバ104の加圧)、肝臓はより長いカニューレ/チュービングを許容できる場合がある。
18. 胆管カニューレ挿入
システム600の幾つかの実施形態では、肝臓の胆管は市販品及び/又は特注カニューレを使ってカニューレ挿入できる。例えば、14 Frの胆管カニューレが使用できる。更に、胆汁バッグ187は、肝臓が生産する胆汁を収集するよう構成されている。幾つかの実施形態では、ユーザが胆汁の色を視覚的に観察できるようにバッグ187は透明である。実施形態によっては、バッグ187は最大0.5Lの胆汁を収集できるが、他の量も可能である。実施形態によっては、バッグ187はどれだけの量が収集されたかを示す目盛を含むことができる。システム600は胆汁を収集するためのソフトシェル(例えば、バッグ187)を含むことが記載されているが、ハードシェル容器を使うこともできる。システム600の幾つかの実施形態は収集された胆汁の量を測定するためのセンサ(例えば、容量性、超音波、及び/又は累積流量)を含むことができる。この情報は、次に、ユーザに表示且つ/又はクラウドに送信できる。
19. 血液収集/フィルタ
ドナーからの全血を使用するシステム600の幾つかの実施形態は、白血球フィルタ(図示しない)を含むことができる。これらの実施形態では、システムをプライミング時にこの白血球フィルタを使用して、ドナーの動脈及び/又は静脈に接続された血液収集ラインを介してドナーの体から受け取る血液をろ過できる。幾つかの実施形態では、この白血球フィルタは、6分以下で少なくとも1500 mLの血液をろ過するように構成できる(他の速度も可能だが)。幾つかの実施形態では、この白血球フィルタは、最大で1500 mLの全血内の全白血球の30%以上をろ過できる。
20. 最終洗浄管理キット
手術中に、ときとして肝臓をシステム100から切り離すことなく、肝臓血管系から全ての潅流溶液を除去することが望ましいことがある。よって、システム600の実施形態は最終洗浄管理キットと共に使用できる。このキットは、一定量の液体(例えば、洗浄溶液及び/又は潅流液)を収集するためのバッグ(又は他の容器)を含み、洗浄溶液が肝臓に投与された際に(例えば、ポート4301、4302を介して)、システム100がこの付加的な量の液体を処理しきれなくなることはない。よって、幾つかの実施形態では、システム100は、レザバ160及び/又はシステム100の他の箇所から流体を排出するため使用できるドレイン・ライン(図示しない)を含むことができ、追加の流体を加える前に、肝臓はシステム100から切り離す必要がない。幾つかの実施形態では、本システムは、肝臓が1つ以上のバルブを使ってシステム100から一時的に分離されるバイパス操作でも設定できる。例えば、この実施形態では、バルブ4301、4302の前にバルブを使用してシステム100内の流体の流れを止めることができる。すると、ドレイン2804、2806とバルブとの間に付加的な排液ポートを含めることもできる。この実施形態では、洗浄溶液(又は他の溶液)はポート4301、4302を介して供給でき、システム100の残りで循環させることなく付加的な排液ポートから排出できる。実施形態によっては、ドレイン・ラインは少なくとも3Lの液体を保持できるが、これは要件ではない。
D. 頓用/多数回使用モジュール間のインターフェース
図3Gに示し後に詳述するように、多数回使用モジュール650は、使い捨てモジュール634の前方端部回路基板(図13Jに637で示す)に接続する前方端部インターフェース回路基板636を含むことができる。後に詳述するように、多数回使用モジュール650と使い捨てモジュール634との間の電力及び駆動信号の接続は、それぞれ前方端部インターフェース回路基板636及び前方端部回路基板637上の対応する電気機械的コネクタ640及び647を介してなされる。例を挙げると、前方端部回路基板637は、使い捨てモジュール634用の電力を前方端部インターフェース回路基板636から電気機械的コネクタ640及び647を介して受け取ることができる。前方端部回路基板637は更に、様々な構成要素(例えば加熱器アセンブリ110、フロー・クランプ190、及び酸素付加器114)の駆動信号をコントローラ150から前方端部インターフェース回路基板636並びに電気機械的コネクタ640及び647を介して受け取ることができる。前方端部回路基板637及び前方端部インターフェース回路基板636は、制御及びデータ信号を(例えばコントローラ150と頓用モジュール634との間で)光コネクタ(図20Bに648で示す)を介して交換する。後に詳述するように、前方端部637及び前方端部インターフェース636回路基板間で用いられるコネクタの構成により、それぞれ頓用及び多数回使用モジュール634及び650間の重要な電力及びデータの相互接続が、臓器輸送中に遭遇しうる荒れた地面上の移動でも確実に動作し続けることができる。
頓用モジュール634の多数回使用モジュール650への設置に目を向けると、図3Hは、頓用モジュール634を受け取り、頓用モジュール634を定位置に係止するために、多数回使用モジュール650上に配置された上記のブラケット・アセンブリ638の詳細な図面を示す。図3Fは、ブラケット・アセンブリ638上で多数回使用モジュール650内に設置された頓用モジュール634の側方斜視図を示し、そして図3Cは、多数回使用モジュール650内に設置された頓用モジュール634の側面図を示す。ブラケット・アセンブリ638は、ハウジング602の後方パネルの内側側面に、それぞれ取付用穴644a-644d及び646a-646dを介して取り付け可能な2つの取付用ブラケット642a及び642bを含む。横棒641が前記の取付用ブラケット642a及び642b間に延び、回転可能にこれらに取り付けられる。係止アーム643及び645が互いから離間し、横棒641から半径方向に延びる。各係止アーム643及び645はそれぞれ下向きに延びる係止突起部643a及び645bを含む。レバー639が横棒641に取り付けられ、また横棒641から半径方向上向きに延びる。レバー639を矢印651の方向に作動させると、係止アーム643及び645が、ハウジング602の背面606bに向かって回転する。レバー639を矢印653の方向に作動させると、係止アーム643及び645が、ハウジング602の前面に向かって回転する。
図6Eを参照して上述したように、潅流ポンプ・インターフェース・アセンブリ300は、4つの突出する熱かしめ点321a-321dを含む。組立て中、突起部321a-321dを対応する孔(例えば、図13Bの657a、657d)に位置合わせし、これら孔を介して熱かしめすることで、ポンプ・インターフェース・アセンブリ300の外側側面304を頓用モジュール・シャシ635のC型ブラケット656に強固に取り付ける。
設置中、第一の段階では、頓用モジュール634を前方に向かって傾けながら(図3Fに示す)、頓用モジュール634を多数回使用モジュール650内に降下させる。この工程で突起部662がスロット660内に摺動する。図6Eに示すように、これにより更に、ポンプ・インターフェース・アセンブリ300のフランジ328が、潅流ポンプ・アセンブリ106のドッキング・ポート342内に配置され、そしてポンプ・インターフェース・アセンブリ300の先細りになった突起部323a及び323bが、ポンプ・アセンブリ・ブラケット346の特徴344a及び344bのうちの対応するものの時計方向の側面上に配置される。第二のステップでは、頓用モジュール634を、頓用モジュール・シャシ635の係止アーム受け台がばねで荷重を受けたロッキング・アーム638の突起部643及び645に係合するまで後方に回転させ、係止突起部643a及び645aが係止アーム受け台の高さをクリアするまで突起部643及び645を上に向かって回転させると、この時点で、ばねにより係止アーム638が下に向かって回転させられて、係止突起部643a及び645aが使い捨てモジュール・シャシ635の係止アーム受け台に解放可能に係止できるようになる。この運動により、図13Bの頓用モジュール突起部662の湾曲表面668が回転させられて、図20Bの水盤スロット660の平らな側面670に係合する。レバー639は、頓用モジュール635を解放する際に係止アーム638を上に向かって回転させるために用いることができる。
図6Eに示すように、更にこの運動により、ポンプ・インターフェース・アセンブリ300がポンプ・アセンブリ106に対して反時計方向に回転させられて、フランジ328をドッキング・ポート342のスロット332内に摺動させ、と同時に、先細りになった突起部323a及び323bを各ブラケット特徴344a及び344bの下方に摺動させる。先細りになった突起部323a及び323bが各ブラケット特徴344a及び344bの下方に摺動すると、ブラケット特徴344a及び344bの内側表面が、先細りになった突起部323a及び323bの先細りになった外側表面と係合して、ポンプ・インターフェース・アセンブリ300の内側側面306をポンプ駆動装置334に向かって引き付けることで、ポンプ・インターフェース・アセンブリ300とポンプ・アセンブリ106との間で流体密な封止が形成される。レバー639を定位置で係止すると、使い捨てモジュール634が多数回使用モジュール650内で確実に保持されよう。
頓用モジュール374を多数回使用モジュール650内に連結させると、多数回使用モジュール650上の前方端部インターフェース回路基板636と、頓用モジュール634上の前方端部回路基板637との間で電気及び光の両方による相互接続が形成できる。この電気及び光による接続により、多数回使用モジュール650は頓用モジュール634に対して電力供給、制御及び情報収集が可能となる。図20Aは、多数回使用モジュール650の前方端部インターフェース回路基板636上の対応する光結合器及び電気機械的コネクタと連絡するために用いられる、頓用使い捨てモジュール634の前方端部回路基板637上の様々な光結合器及び電気機械的コネクタを示す例示的な概念図である。この対応は1対1であるため、様々な光結合器及び電気機械的コネクタは、前方端部回路基板650も示すのではなく、前方端部回路基板637のみを参照して記載されている。
例示的な実施形態では、前方端部回路基板637は、前方端部インターフェース回路基板636から光結合器及び電気機械的コネクタの両者を介して信号を受け取る。例えば、前方端部回路基板637は、電力358を前方端部インターフェース回路基板636から電気機械的コネクタ712及び714を介して受け取る。するとこの前方端部回路基板637は、頓用モジュール634の様々なセンサ及び変換器など、頓用モジュール634の構成要素に電力供給する。オプションで、前方端部回路基板637はこの電力を配電する前に適したレベルに変換する。更に前方端部インターフェース回路基板636は、加熱器駆動信号281a及び281bを、図6Eの加熱器246上の該当する接続点282aに電気機械的コネクタ704及び706を介して与えることができる。同様に、電気機械的コネクタ708及び710は、加熱器駆動信号283a及び283bを加熱器248の該当する接続点282bに接続する。
例示的な実施形態によれば、前方端部回路基板637は、信号を温度、圧力、液流流量、及び酸素付加/ヘマトクリット・センサから受け取り、これらの信号を増幅し、これらの信号をデジタル・フォーマットに変換し、それらを前方端部インターフェース回路基板636に電気及び/又は光結合器を利用して与えることができる。例えば前方端部回路基板637は、加熱器プレート250上のセンサ120からの温度信号121を前方端部インターフェース回路基板636に光結合器676を介して与えることができる。同様に、前方端部回路基板637は、加熱器プレート252上のセンサ122からの温度信号123を前方端部インターフェース回路基板636に光結合器678を介して与えることができる。更に前方端部回路基板637は、サーミスタ・センサ124からの潅流液温度信号125及び127を前方端部インターフェース回路基板636に各光結合器680及び682を介して与えることができる。潅流液圧力信号129、131及び133は、各圧力変換器126、128及び130から前方端部インターフェース回路基板636に各光結合器688、690及び692を介して与えることができる。更に前方端部回路基板637は、各流量センサ134、136及び138からの潅流液流量信号135、137及び139を前方端部インターフェース回路基板636に各光結合器694、696及び698を介して与えることができる。加えて、前方端部回路基板637は、酸素飽和センサ140からの酸素飽和度141及びヘマトクリット145信号を前方端部インターフェース回路基板636に各光結合器700及び702を介して与えることができる。別の実装例では、この前方端部回路は、統合血液ガス分析プローブからの信号を受け取る。別の実装例では、前方端部基板は制御信号を流体経路絞りに渡して、門脈導管と肝動脈導管とへの潅流液流の分割を実時間で容易に制御する。コントローラ150は、前方端部インターフェース回路基板636に与えられた信号を他の信号と一緒に利用して、データを伝送しあるいはそれ以外の態様でシステム600の動作を制御する。
前方端部回路基板637は上述の結合器と共に説明したが、必要な接続点の数に基づいてこれより多い又は少ない結合器を使用できる。
幾つかの例示的な実施形態では、上述したセンサのうちの1つ以上を、処理及び分析のためにメインシステム基板718に直接有線接続することで、前方端部インターフェース基板636及び前方端部基板637をまとめてバイパスできる。このような実施形態は、ユーザが廃棄までのセンサのうちの1つ以上を再利用したい場合に好ましいことがある。こうした一例で、流量センサ134、136及び138並びに酸素及びヘマトクリット・センサ140を、システムメイン基板718に図23Cに示す電気的結合器611を通じて電気的に直接、接続することで、回路基板636及び637とのいずれの接続もバイパスする。
図20Bは、回路基板636と637との間の電気的相互接続に用いられる種類の例示的な電気機械的コネクタ対の動作を示す。同様に、図20Cは、回路基板636と637と間の光接続された相互接続に用いられる種類の光結合器対の動作を示す。電気的コネクタ及び光結合器の両方を用いることの利点の1つは、これらにより、例えば空港の滑走路上で車輪に載せられたり、悪天候下で空港内を輸送されたり、あるいは荒れた道路を救急車で輸送されたりする場合など、システム600が荒れた地面上を輸送されるときであっても、接続の一体性が確実になることである。前方端部盤637のための電力は、前方端部インターフェース基板636上に配置されたDC電源内に絶縁されている。
図20Bに示すように、コネクタ704などの電気機械的コネクタには、前方端部インターフェース回路基板636上に配置された、部分703などの部分と、前方端部回路基板637上に配置された、部分705などの部分とを含む。部分703は実質的に直線状で剛性のステム703b上に取り付けられた拡大ヘッド703を含む。ヘッド703は外に向いた実質的に平らな表面708を含む。部分705は、表面708に接触する端部705aと、ばねで荷重を受けた端部705bとを含む、実質的に直線状で剛性のピン705を含む。ピン705は、方向矢印721により示されるように軸方向に出たり入ったりする運動をしつつ、拡大ヘッド703aの表面708との電気的接触を維持することができる。この特徴により、頓用モジュール634は、荒れた地面上の輸送に伴う機械的な衝撃を被っているときでも、多数回使用モジュール650との電気的接触を維持することができる。平らな表面708の利点は、それにより、多数回使用モジュール650の内側表面を容易に清掃できることである。この例示的な実施形態では、システム600は、頓用使い捨て634と多数回使用650モジュールと間の電気的相互接続のためにコネクタを利用する。コネクタの一例は、Interconnect Devices社製の品番101342号である。しかしながら、任意適切のコネクタを用いてもよい。
前方端部回路基板637の光結合器684及び687などの光結合器が用いられ、例えば前方端部インターフェース回路基板636の光結合器683及び685などの対応する相当品が含まれる。光結合器のうちの光送信器及び光受信器部分を回路基板636又は637のいずれかに配置できる。
使用されている電気機械的コネクタの場合と同様に、光送信器と対応する光受信器との間の光学的位置合わせの許容誤差により、回路基板636及び637は、荒れた地面上の輸送の間でも光学連通した状態に維持される。図示の実施形態では、システム100はOsram社により部品番号SFH485P及び/又はSFH203PFA号で製造された光結合器を使用する。しかしながら、任意適切な結合器を使用できる。
これら結合器及びコネクタにより、システム100内のデータ伝送が容易になる。前方端部インターフェース回路基板636及び前方端部基板637は、システム600に関するデータを間隔を置いて伝送する。図20Cに示すように、回路基板636は、前方端部基板637にコントローラ150のクロックに同期させたクロック信号を伝送する。前方端部回路基板637はこのクロック信号を受け取って、それを用いて、そのシステムデータ(温度、圧力、又は他の所望の情報)伝送をコントローラ150のクロック周期と同期させる。このデータは、前方端部回路基板637のプロセッサにより、クロック信号と、予め設定されたシーケンスのデータ種別及びソース・アドレス(即ち、このデータを与えるセンサの種類及び位置)とに従ってデジタル化される。前方端部インターフェース回路基板636は、このデータを前方端部基板637から受け取って、評価、表示、及びシステム制御のためコントローラ150が使用できるように、このデータ・セットをメイン基板618に伝送する。付加的な光結合器を多数回使用モジュールと頓用モジュールとの間に加えて、加熱器制御信号又はクランプ/フロー絞り制御を含め、多数回使用モジュールからの制御データを頓用モジュールに伝送させることができる。
IV. 代表的なシステム動作の説明
A. 全般
後述するように、システム600は、潅流回路プライミング・モード、臓器安定化モード、維持モード、冷却モード、及びセルフテスト/診断モードなどの多数のモードで動作するよう構成できる。各モード時に、このシステムは(コントローラ150を介して)異なる態様で動作するよう構成できる。例えば、後に詳述するように、異なるモードの動作時には、例えば、潅流液流量、潅流液圧、潅流液温度などの特性は変化することがある。
加えて、システム600の幾つかの実施形態は、診断を実行できるセルフテスト・モードを含むことができる。例えば、システム600は、臓器がこのシステム上で計装される(instrumented)前に頓用及び多数回使用モジュール内のテスト回路及びセンサを自動的にテストできる。システム600は、頓用モジュールが多数回使用モジュールに適切に取り付けられていること(例えば、全ての接続点が確保され、機能しているか)を確認することもできる。障害発生時には、このシステムはユーザに通知し、その問題が解決するまではシステムのその後の動作を禁止できる。
B. 温度監視及び制御
一般に、システム600に収容された臓器の温度は、温かい又は冷却した潅流液を内部に循環させることで制御できる。よって、臓器チャンバ104内で専用の加熱器/冷却器を用いることなく、潅流液自体を用いて臓器の温度を制御できる。
システム600の幾つかの実施形態では、コントローラ150は、温度センサ120、122、124などの1つ以上の温度センサからの信号を受信するよう構成できる。これらセンサは、加熱器110に又はその近くに配置されていると記載されているが、それは要件ではない。例えば、潅流液の温度を測定する温度センサを、枝管315、313内、測定ドレイン2804内、及び/又はレザバ160内などのシステム100の全体に配置できる。追加の温度センサを、システム600の他の温度側面を測定するために含めてもよい。例えば、システム600は、システム600の周囲環境の温度を測定する周囲空気温度センサ、臓器チャンバ104内の環境の温度を測定する温度センサ、並びに/又は収容された臓器の表面及び/若しくは内部の温度を測定するセンサを含むことができる。
コントローラ150は、環境及び/又は内部の潅流液の温度を制御するために、システム600内の様々な温度センサからの情報を使用する。例えば、幾つかの実施形態では、コントローラ150は、加熱器を出る潅流液を所望の温度に維持できる。幾つかの実施形態では、コントローラ150は、潅流液の臓器に対する流入と流出との温度差を算出できる。この温度差が大きい場合は、コントローラ150は臓器の温度を間接的に特定し、臓器に流入する潅流液の温度を調節して所望の臓器温度を達成できる。更に、幾つかの実施形態では、臓器チャンバ104は、臓器チャンバ104内の環境を加熱/冷却する加熱器又は熱電冷却器などの加熱器/冷却器を含むことができる。こうした加熱器/冷却器はコントローラ150により制御できる。
本開示の多くの部分は臓器を所望の温度まで加熱することに焦点を当てているが、これは限定を意図したものではない。幾つかの実施形態では、システム600は、加熱器110に加え且つ/又はその替わりに冷却ユニット(図示しない)を含むことができる。こうした実施形態では、この冷却ユニットを用いて、潅流液及び最終的には臓器そのものを冷却できる。これは、例えば、心臓、肺、腎臓、及び/又は肝臓に用いられる保存後の低温処置時に有用となることがある。幾つかの実施形態では、この冷却ユニットは、組込式水冷機能を備えたガス交換器から構成できるが、他の構成も可能である。
C. 血流監視及び制御
人体の多くの臓器は、一組の圧力及び流れ特性を備えた血液供給を受ける(例えば、腎臓、肺)。これら臓器が臓器管理システム内でex vivoで維持される限りは、単一ポンプ及び単一供給ラインを用いて臓器に潅流液を供給できる。しかし、肝臓は、それぞれが異なる圧力及び流れ特性を備えた2つの血液供給を備える点で他の臓器と異なる。上述したように、肝臓は、概ね1/3の血液供給を肝動脈から、概ね2/3の血液供給を門脈から受け取る。肝動脈は、比較的高圧だが低い流量の拍動性血流を肝臓に与える。対照的に、門脈は、比較的低圧で非拍動性だが高い流量の非拍動性血流を肝臓に与える。これらの異なる流れ特性のため、単一ポンプが使用される場合は、ex vivoの肝臓への潅流液の供給には困難さが伴う。よって、臓器管理システム600の幾つかの実施形態は、人体を模倣する態様で潅流液の二系統の流れを実現するよう構成されたシステムを含む。特に、システム100の枝管315は、潅流液を拍動性、高圧、且つ低流量で肝動脈に与えることができる。特に、システム100の枝管313は、非拍動性、低圧、且つ高流量で潅流液を門脈に与えることができる。
上述のように、ポンプ106は、所定の流量で潅流液の流れを供給でき、これは分割器105で分割できる。幾つかの実施形態では、この流体の流れは、肝動脈と門脈とに1:2と1:3との間の比で分割できる。幾つかの実施形態では、この分割器は、枝管313が3/8インチのチュービング使用し、枝管315が1/4インチのチュービングを使用するよう構成されている。幾つかの実施形態では、門脈クランプを用いてこの分割比を実現する助けとし、且つ/又はこれを用いて回路内の門脈区間(例えば、枝管313)で得られる流れを抑制して、回路の肝動脈区間(例えば、枝管315)でより高圧の流れを、回路の並列の門脈区間では低圧の流れを形成できる。幾つかの実施形態では、ユーザは門脈クランプ(例えば、フロー・クランプ190)を手動で調節して肝動脈圧を許容範囲にし、且つポンプ流量を調節して許容可能の肝動脈流量を実現できる。これら2つの調節(門脈クランプ及びポンプ流量)を組み合わせることによって、許容可能な肝動脈流及び圧力並びに対応した許容可能な門脈流及び流量が得られる。
幾つかの実施形態では、門脈クランプは、電気機械又は空圧制御クランプなどの、本システムにより制御される機構として実装できる。このシステムは、肝動脈及び門脈枝管で測定された圧力及び流れの値に応答してポンプ流量及び門脈クランプを調節し、これら流路の許容範囲の圧力及び流れを実現する。例えば、自動化された門脈クランプを使用する実施形態では、コントローラ150が門脈枝管315の流れが少なすぎることを検出すると、コントローラ150はポンプにより供給される流量を増加させることができる。同様に、コントローラ150が肝動脈枝管315の圧力が低すぎることを検出すると、コントローラ150は、肝動脈枝管315の圧力を増加させるため、門脈クランプを少し閉じさせることができる。
幾つかの実施形態では、コントローラ150は、システム600内の潅流液のレベルを監視できる。潅流液の量が推奨レベルより低い場合は、コントローラ150がこの事実をユーザに注意喚起して、ポンプ流を調節し且つ/又はシステムに付加的な潅流液を加えるなどの推奨動作をとらせるようにできる。加えて、レベルが重大レベルを下回っている場合、コントローラ150はユーザに注意喚起する一方で、ポンプ流量を低い又は最小レベルまで自動的に減少できる。
D. ガス監視及び制御
幾つかの実施形態では、システム600は、ポンプ106の流量を変化させることで且つ/又は血管拡張剤の注入を制御することによってこのシステム内の圧力を自動的に制御するよう構成できる。例えば、溶液ポンプ631により与えられる注入剤の1つは、血管拡張剤とすることができ又は血管拡張剤を含有できる。血管拡張剤を投与する場合は、システム100内での所与の流量に関する潅流液圧は低下することがある(肝臓内の血管系の拡張による)。よって、例えば、血管拡張剤の注入速度を下げると、結果として潅流液の圧力が増大できる。最適バランスは、適切な肝臓潅流が得られる最小限の血管拡張剤によって実現できる。
システム600は、人体を模倣する態様で潅流液内の気体含有量を制御するよう構成できる。従って、幾つかの実施形態では、システム600は、O2及び/又は他の所望の気体を潅流液に与えるよう構成されたガス交換器(例えば、ガス交換器114)を含む。原則としてガス交換器は、高濃度ガスの、低濃度ガスの領域への流動を促進することによって動作する。こうすることで、維持ガス(ガス交換器に供給されるガス)内のO2は、O2が枯渇した潅流液まで拡散し、この潅流液中の比較的高いレベルのCO2が、ガス交換器から排出される前に維持ガスに拡散できる。ガス交換器に与えられる維持ガスは、O2、N2及びCO2の適切な混合物から構成でき、その混合物では、代謝的活性を有する肝臓から出る潅流溶液中よりもO2の濃度が比較的高く、CO2濃度が低い。幾つかの例では、このガスは、O2及びN2のみから構成されている。
システム600の幾つかの実施形態は、潅流液の酸素付加に関する情報を与えるために使用できる酸素付加センサ(例えばセンサ140)を含む。酸素付加レベルが低すぎる場合は、ガス交換器に供給されるガス速度を増加させ、潅流液中の酸素レベルを高くすることができる。同様に、このレベルが高すぎる場合は、ガス交換器に供給されるガス速度を減少させることもできる。ガス交換器へのガス供給は、ユーザによって手動で(例えば、操作者インターフェース・モジュール146を介して)且つ/又は自動的に制御できる。自動化された実施形態では、コントローラ150は、酸素付加レベルを所望に変化させるために、ガス交換器への搭載ガス供給源からのガス流を自動的に増大又は減少させることができる。
しかし、肝臓は、適切な潅流液ガス含有量を実現するという更なる課題を生むことがある。その固有の代謝のおかげで、肝臓は、潅流液に含まれるO2に取って代わるCO2を生成する。幾つかの実施形態では、O2レベルだけの測定では、潅流液に含まれるCO2の量を求めるのには不十分である。よって、幾つかの実施形態では、システム600は、潅流液中でCO2レベルが許容範囲内に確実に維持されるようそれを別に監視するよう構成することができる。これらの実施形態では、ガス交換器も用いて潅流液が通過する際に、そこからCO2を減少させ又は除去さえできる。
潅流液中の二酸化炭素レベルを求めるため、システム600の幾つかの実施形態は血液試料ポートを組み込むことで、ユーザは、サードパーティー血液ガス分析器を介して潅流液中の二酸化炭素のレベルを評定するために血液試料を取り出すことができる。この分析に基づいて、ユーザは、潅流液中で許容可能な二酸化炭素レベルを実現するために、ガス交換器へのガス流量を指定できる。例えば、二酸化炭素が許容可能なレベルより高くなると、二酸化炭素のレベルを引き下げるため、ガス交換器へのガス流量の増加が必要になることがある。しかし、長時間の輸送となる場合は重要な要因である搭載ガス供給源の寿命を最大限にするため、ガス交換器へのガス流を最小に維持することが有利となることがある。
システム600の幾つかの実施形態は、血液ガス分析システム(図示しない)を含むことができる。これらの実施形態では、この血液ガス分析システムは、システム100内に流れる潅流液を試料採取するよう構成できる。例えば、この血液ガス分析システムは、枝管315、313内、測定ドレイン2804内、及び/又は主ドレイン2806内などのシステム100の1つ以上の位置で潅流液の試料を採取するよう構成できる。潅流液中の酸素及び/又は二酸化炭素の濃度を測定することで、コントローラ150は、潅流液中の所望のガス・レベルを得るために、必要に応じてガス交換器へのガス流を自動的に増加又は減少させることができる。
E. 溶液の送出及び制御
上述のように、システム600の幾つかの実施形態は、1つ以上の溶液を供給するよう構成された溶液ポンプを含むことができる。幾つかの具体的な実施形態では、実行時潅流溶液は3つの潅流液を含む。第一の溶液は1つ以上の高エネルギー成分(例えば、1つ以上の炭水化物);1つ以上のアミノ酸;及び/又は1つ以上の電解質;及び/又は1つ以上の緩衝剤(例えば、重炭酸塩)を含むことができる。いくつかの特定の実施形態では、第一溶液は、TPN(Clinimix E)、緩衝剤(例えば、重炭酸ナトリウム及びリン酸塩)、ヘパリン及びインスリンを含むことができる。第二溶液は、1つ以上の血管拡張剤を含むことができる。いくつかの特定の実施形態では、使用される血管拡張剤はフローラン(登録商標)である。第三溶液は胆汁酸又は胆汁酸塩(例えば、タウロコール酸ナトリウム塩)を含むことができる。幾つかの実施形態では、これら3つの溶液は互いに別々に保管され、別々に投与される(例えば、溶液ポンプ631の3つのチャンネルを使って)。他の実施形態では、これら3つの溶液はオプションで全て水溶液であり、混ぜ合わせて実行時潅流溶液を形成できる。幾つかの実施形態では、十分な量のヘパリンを準備すればよい(例えば、400秒ACTの活性化全血凝固時間を維持するのに十分な量)。
V. 溶液
1つ以上の実施形態による臓器管理システム600で使用できる例示的な溶液を以下に説明する。様々な溶液を保存/治療手順の異なるタイミングで使用できる。
A. ドナー洗浄
摘出中の臓器が腹部臓器であれば、この摘出を行っている外科医はin vivo又はex vivoでドナー洗浄を行って、この臓器からドナー血液及び/又は他の物質を除去する。このドナー洗浄時に使用される洗浄液は、ウィスコンシン大学溶液、修正ウィスコンシン大学溶液、又はヒスチジン・トリプトファン・ケトグルタル酸塩(HTK)溶液などの細胞内又は細胞外溶液でよい。
B. 初期洗浄溶液
幾つかの実施形態では、ドナー洗浄の後(ドナー洗浄がin vivoで行われたかex vivoかに関わらず)で臓器管理システム600の保存チャンバに配置される前に、残留血液及びドナー洗浄で使用される溶剤を除去するため、初期洗浄溶液を用いて肝臓をin vivo又はex vivoで洗浄することができる。この洗浄溶液は本明細書では初期洗浄溶液と呼ぶが、これはオプションで滅菌溶液である。幾つかの実施形態では、初期洗浄溶液の主成分は、プラズマライトなどの緩衝等電解液及びソリュメドロールなどの抗炎症剤を含むことができる。幾つかの実施形態では、初期洗浄を用いてドナー洗浄時に使用される流体を除去できる。幾つかの実施形態では、初期洗浄溶液の主成分は、電解質及び緩衝剤を含むことができる。電解質の非限定的な例は、ナトリウム塩、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、リン酸水素及び炭酸水素を含む。適切な濃度の電解質を適正に組み合わせると、肝臓の細胞内及び細胞外環境の生理学的浸透圧を維持する助けとなりうる。緩衝剤の非限定的な例には重炭酸イオンが含まれる。この初期洗浄溶液の緩衝剤は、肝臓内のpH値を、例えば約7.3-7.6、7.4-7.6、若しくは7.4-7.5などの又はそれに近い生理学的状態に維持する作用がある。好適には、本明細書に記載された1つ以上の実施形態に従って、肝臓に初期洗浄を施して冷却した後、この摘出された肝臓は、1つ以上の実施形態による臓器管理システム600内に配置できる。
C. プライミング溶液及び添加剤
幾つかの実施形態では、肝臓を臓器管理システム600内に配置する前に、臓器管理システム600はプライミング溶液でプライミングできる。このプライミング溶液は無菌とすることができ、これを使ってシステムの物理的完全性を評価し且つ/又はシステム内の空気を除去する助けとなりうる。プライミング溶液の成分は、後に詳述する実行時潅流溶液のそれと類似するか又は同じとすることができる。このプライミング溶液はこのシステムを、肝臓保存に対して適合させるためのある種の添加剤を含むことができる。例えば、肝臓は、血液凝固を促進する凝固因子を常に生成する。血液(例えば、臓器管理システム600で肝臓を保存するための潅流液の一部として使用されるドナーの血液)が保存時に凝固しないように、反凝固剤を添加剤としてプライミング溶液に加えることができる。反凝固剤の非限定的な例はヘパリンを含む。400秒以上のACT(活性化全血凝固時間)を維持するためヘパリンは保存セッション全体で投与できるが、他のACT値も使用できる。維持されている肝臓によって、所望のACTを達成するのに必要なヘパリンの量は変更できる。幾つかの実施形態では、ヘパリンは連続的に与え、又はシステム600における計装後の0、3、及び6時間の間隔で与えることができる。幾つかの実施形態では、肝臓を臓器管理システム600内に配置する前に、臓器管理システム600は、血液製剤(例えばドナーの血液)又は人工血液製剤でプライミングできる。幾つかの実施形態では、システム600は、プライミング溶液及び/又は血液若しくは人工血液製剤でプライミングできる。システム600は、プライミング溶液及び血液若しくは人工血液製剤の混合物で、又はプライミング溶液及び血液若しくは合成血液製剤で順番にプライミングできる。幾つかの実施形態では、臓器管理システム600は、本明細書に記載した潅流液でプライミングされる(例えば、臓器を保存するために使用される潅流液)。代替的又は付加的に、アルブミン又はデキストランの一方と組み合わせた次の内のいずれかも用いることができる。すなわち、それらは、ドナー血液、赤血球(RBC)又はRBCに新鮮凍結血漿を加えたもの
表1は、例示的なプライミング溶液で用いられる成分を挙げたものである。
Figure 2022105036000001
Figure 2022105036000002
図29を参照して詳述するように(後に詳述する)、この例示的なプライミング溶液は、プライミング段階5024を介して臓器管理システム600に加えることができる。
D. 実行時潅流溶液
臓器管理システム600内の摘出された肝臓の保存中は(例えば、輸送中は)、潅流流体すなわち潅流液を用いて肝臓を潅流させ、肝臓の機能を生理学的状態で又はその近くに維持できる。幾つかの実施形態では、この潅流液は、実行時潅流溶液(維持溶液とも呼ぶ)及び/又は例えばドナーの血液、他人の適合性がある血液、又は人工血液などの血液製剤を含む。保存時に肝臓を維持できる栄養分を供給するため、この潅流液は、例えば溶液ポンプ631により周期的/連続的に潅流させることができる。幾つかの実施形態では、実行時潅流溶液及び/又は血液製剤は無菌状態である。
この実行時潅流溶液及びプライミング溶液の組成は以下に詳述する。幾つかの実施形態では、特定の溶質及び濃度の実行時潅流溶液は、生理学的又は近生理学的状態で臓器が機能できるように選択又は調合される。例えば、こうした状態には、臓器の機能を生理学的又は近生理学的状態に維持すること並びに/又はタンパク質合成、グルコース貯蔵、脂質代謝、及び胆汁生産などの通常の細胞代謝を可能とする状態に肝臓を維持することが含まれる。幾つかの実施形態では、これらプライミング溶液及び実行時溶液は、互いに似た又は同一となるように選択できる。
いくつかの実施形態では、この実行時潅流液を、より高い濃度の溶液を由来とする流体と、希釈により配合することにより、あるいは、より薄い溶液由来の流体と、濃縮により配合することにより、組成物から形成する。いくつかの実施形態では、適した実行時潅流液には、エネルギー源、並びに/又は移植前及び移植中に臓器がその正常な生理機能を続行する助けとなる一種以上の刺激剤、並びに/又は潅流中に臓器がその細胞代謝を続行するように選択且つ配合された一種以上のアミノ酸、が含まれる。この実行時潅流液は、以下に詳述する治療薬を含むことができる。細胞代謝には、例えば、潅流中に機能しながらもタンパク質合成の実行などがある。いくつかの例示的な溶液は水性ベースであるが、他の例示的な溶液は、例えば有機溶媒ベース、イオン性液体ベース、又は脂肪酸ベースであるなど、非水性である。
この実行時潅流溶液には、肝臓がその正常な生理機能を行うことを支援する一種以上のエネルギー豊富な成分が含まれよう。これらの成分は、代謝可能なエネルギー豊富な物質、及び/又は、潅流中に例えば肝臓などの臓器がエネルギー源を合成するために用いることのできる、このような物質の成分、を含むことができる。高エネルギー分子の源の例には、例えば一種以上の糖質がある。糖質の例には、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖、又はこれらの組合せ、あるいはこれらの前駆体又は代謝産物が含まれる。限定を意図したものではないが、当該溶液に適した単糖の例には、オクトース;ヘプトース;フルクトース、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、及びタロースなどのヘキソース;リボース、アラビノース、キシロース、及びリキソースなどのペントース;エリスロース及びトレオースなどのテトロース;及びグリセルアルデヒドなどのトリオース、が含まれる。限定を意図したものではないが、当該溶液に適した二糖の例には、(+)-マルトース(4-O-(α-D-グルコピラノシル)-α-D-グルコピラノース)、(+)-セロビオース (4-O-(β-D-グルコピラノシル)-D-グルコピラノース)、(+)-ラクトース(4-O-(β-D-ガラクトピラノシル)-β-D-グルコピラノース)、スクロース(2-O-(α-D-グルコピラノシル)-β-D-フルクトフラノシド)が含まれる。限定を意図したものではないが、当該溶液に適した多糖の例には、セルロース、でんぷん、アミロース、アミロペクチン、スルホムコ多糖(例えばデルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、スロデキシド(原語:sulodexide)、メソグリカン、ヘパラン硫酸、イドサン、ヘパリン及びヘパリノイド)、デキストリン、及びグリコーゲンが含まれる。幾つかの実施形態では、アルドース、ケトースの両者、又はこれらの組合せ、の単糖、二糖、及び多糖が用いられる。ここで記載されたものや記載されていないものも含め、単糖、二糖、及び/又は多糖のエナンチオマ、ジアステレオマ、及び/又は、互変異性体を含む一種以上の異性体を、ここで記載する実行時潅流溶液に用いることができる。幾つかの実施形態では、一種以上の単糖、二糖、及び/又は多糖を、例えば誘導体化及び/又は1つ以上の官能基の(保護基による)保護などにより、化学修飾することができる。幾つかの実施形態では、デキストロース又は他の形のグルコースなどの糖質が好ましい。
他の可能なエネルギー源には、コエンザイムA、ピルビン酸塩、フラビンアデノシンジヌクレオチド(FAD)、チアミンピロホスフェートクロリド(コ-カルボキシラーゼ)、β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド (NAD)、β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフェート (NADPH)、及び、ヌクレオシドのリン酸誘導体、即ちモノ-、ジ-、及びトリ-ホスフェートを含むヌクレオチド(例えばUTP、GTP、GDF、及びUDP)、コエンザイム、又は、同様な細胞代謝機能を有する他の生体分子、及び/又は、それらの代謝産物若しくは前駆体、が含まれる。例えば、アデノシン、グアノシン、チミジン(5-Me-ウリジン)、シチジン、及びウリジンのリン酸誘導体や、他の天然及び化学修飾されたヌクレオチドが考慮される。
いくつかの実施形態では、一種以上の糖質をヌクレオチドなどのリン酸源と併せて提供できる。糖質は、潅流中に臓器がATP又は他のエネルギー源を生産する助けとなりうる。リン酸源はATP、ADP、AMP又は他の源を通じて直接、提供させることができる。他の例示的な実施形態では、リン酸を、グリセロホスフェート、リン酸ナトリウム又は他のリン酸イオンなどのリン酸塩を通じて提供させる。リン酸は、プロトン化型及び一種以上の対イオンを持つ型を含め、いずれかのイオン状態のこれらの型を含むことができる。使用されるエネルギー源は、潅流される臓器の種類に依存することがある(例えば、肝臓を潅流する場合はアデノシンを除外できる)。
肝臓の重要な機能の1つは胆汁液の生産である。幾つかの実施形態では、実行時潅流溶液は、肝臓による胆汁生産を支援する1つ以上の化合物を含む。こうした化合物の非限定的な例には、ex vivoで肝臓による胆汁の生産を促進するコレステロール、一次胆汁酸、二次胆汁酸、グリシン、タウリン、胆汁酸(胆汁酸塩)が含まれ、これらは全て胆汁生産のため肝臓が使用できる。幾つかの具体的な実施形態では、この胆汁酸塩はタウロコール酸ナトリウム塩である。
人体の代謝原動力としての肝臓の機能のおかげで、肝臓は典型的にはエネルギー源及び酸素を常に必要とする。よって、潅流液でエネルギー源化合物の適切な濃度を維持することに加え、本明細書に記載する臓器管理システム600は、保存された肝臓に酸素を常に提供するよう構成できる。幾つかの実施形態では、酸素の提供は、酸素ガス流を潅流液(例えば、ガス交換器114内で)又は血液製剤中に拡散させることで、例えば、酸素を血液製剤中のヘモグロビンと結合させることによって、酸素を液状媒体中に溶解し又は飽和させることで行われる。幾つかの実施形態では、肝臓に供給される潅流液は、PaO2にO2を200 mmHg以上含む(人工潅流液)。幾つかの実施形態では、肝臓に供給する潅流液は、PaCO2で40 mmHg以下に満たない二酸化炭素を含むので、肝臓の酸化的代謝機能を促進し且つ維持する。幾つかの実施形態では、潅流液は、PaCO2で30 mmHg以下に満たない二酸化炭素を含むので、肝臓の生物学的機能を維持するためのpH値を肝臓内で維持する。
本明細書に記載した実行時潅流溶液は、臓器の細胞によるタンパク質合成を助けるための一種以上のアミノ酸、好ましくは複数のアミノ酸を含めることができる。適切なアミノ酸には、例えば任意の天然アミノ酸が含まれる。これらアミノ酸は、様々なエナンチオマ型又はジアステレオマ型であってよい。例えば、溶液はD型又はL型アミノ酸のいずれか、あるいはこれらの組合せを利用してもよく、溶液を、D型又はL型異性体あるいはラセミ溶液をよりエナンチオリッチにした溶液でよい。適したアミノ酸は、例えばシトルリン、オルニチン、ホモシステイン、ホモセリン、β-アラニンなどのβ-アミノ酸、アミノ-カプロン酸、又はこれらの組合せなど、非天然又は修飾されたアミノ酸でもよい。
幾つかの例示的な潅流溶液は、天然アミノ酸の全てではないが一部を含む。幾つかの実施形態では、実行時潅流溶液は必須アミノ酸を含む。例えば、実行時潅流溶液は、以下のアミノ酸のうちの一つ以上又は全てを用いて調製してもよい。すなわち、グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、及び酢酸リジンである。
いくつかの実施形態では、非必須及び/又は準必須アミノ酸は実行時潅流溶液に含まれない。例えば、幾つかの実施形態では、アスパラギン、グルタミン、及び/又はシステインは含まれない。他の実施形態では、当該溶液は一種以上の非必須及び/又は準必須アミノ酸を含有する。従って、幾つかの実施形態では、アスパラギン、グルタミン、及び/又はシステインが含まれる。
この実行時潅流溶液は、更に、肝臓内での酵素反応を促進し及び/又は浸透圧を維持するため電解質、特にカルシウム・イオンを含むことができる。ナトリウム、カリウム、塩化物、硫酸塩、マグネシウム並びに他の無機及び有機荷電化学種、又はこれらの組合せなどの他の電解質を用いることもできる。電荷及び安定性が許す限り、ここで紹介するいずれの成分を、イオン型、プロトン化型若しくは非プロトン化型、塩若しくは遊離塩基型で、又は、イオン性若しくは共有結合置換基として、適切であれば適宜、加水分解して当該成分を水溶液中で利用可能にする他の成分と組み合わせて、提供してもよいことは留意すべきである。
いくつかの実施形態では、この実行時潅流溶液は緩衝成分を含む。例えば、適した緩衝系には、2-モルホリノエタンスルホン酸モノヒドレート (MES)、カコジル酸、H2CO3 / NaHCO3(pKa1)、クエン酸(pKa3)、ビス(2-ヒドロキシエチル)-イミノ-トリス-(ヒドロキシメチル)-メタン(Bis-Tris)、N-カルバモイルメチルイミジノ酢酸(ADA)、3-ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]プロパン(Bis-Tris プロパン) (pKa1)、ピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸) (PIPES)、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、イミダゾール、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、NaH2PO4/Na2HPO4(pKa2)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸(TES)、N-(2-ヒドロキシエチル)-ピペラジン-N'-2-エタンスルホン酸(HEPES)、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(HEPPSO)、トリエタノールアミン、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(トリシン)、トリスヒドロキシメチルアミノエタン(Tris)、グリシンアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)グリシン(ビシン)、グリシルグリシン(pKa2)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、又はこれらの組合せ、がある。いくつかの実施形態では、この溶液は重炭酸ナトリウム、リン酸カリウム、又はTRIS緩衝剤を含む。
この実行時潅流溶液には、肝臓を維持し、それを潅流中の虚血、再潅流損傷及び他の有害作用から保護するのに役立つ他の成分を含めてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、これらの成分は、ホルモン(例えばインシュリン)、ビタミン(例えば成人マルチ・ビタミン、例えばマルチ・ビタミンMVI-成人)、及び/又はステロイド類(例えばデキサメタゾン及びソリュメドロール)を含むことができる。
別の局面では、血液製剤にこの実行時潅流溶液を供給して、保存時の肝臓をサポートできる。適した血液製剤の例は、全血、及び/又は、例えば血清、血漿、アルブミン、及び赤血球などのその一種以上の成分を含むことができる。全血が用いられる実施形態では、血液を、白血球及び血小板を取り除くフィルタに通して、臓器内で炎症を起こしかねない発熱因子、抗体及び/又は他の物質を取り除くことができる。このように、幾つかの実施形態では、この潅流溶液は、白血球を少なくとも部分的に取り除いた全血、及び/又は、血小板を少なくとも部分的に取り除いた全血を利用する。
血液製剤及び実行時潅流溶液含む潅流溶液を、生理学的温度で供給し、潅流及び再循環の間その近辺の温度で維持できる。ここで用いられる場合の「生理学的温度」とは、約25℃乃至約37℃の間、例えば約30℃乃至約37℃の間、例えば約34℃乃至約37℃の間などの温度を言う。
アデノシン、マグネシウム、リン酸、カルシウム、及び/又はこれらの源などを含め、他の成分又は添加剤をこの実行時潅流溶液に加えることができる。幾つかの実施形態では、付加的な成分を提供して、肝臓が潅流中にその代謝を行うのを助ける。これらの成分は、例えば、内皮機能を維持する、並び/又は、虚血及び/若しくは再潅流損傷を緩和するためにATP合成に使用できる種々の形のアデノシンを含むことができる。成分は、更に、グアノシン、チミジン(5-Me-ウリジン)、シチジン、及びウリジンなどの他のヌクレオシドや、それらのヌクレオチドを含め、他の天然及び化学修飾されたヌクレオシドを含むことができる。複数の実施形態では、マグネシウム・イオン源にリン酸源を提供し、そして幾つかの実施形態では、アデノシンを提供して、潅流された肝臓の細胞内でのATP合成を更に亢進する。更に複数のアミノ酸を加えて、肝臓の細胞によるタンパク質合成を助けることもできる。該当するアミノ酸は、例えば、天然アミノ酸のいずれかや、上述したものを含むことができる。
幾つかの実施形態では、この実行時潅流溶液は、1つ以上の血管拡張剤を含む(例えば、血管拡張剤を使って血管緊張を増加又は減少させることによって、血管内の圧力を増加又は減少できる)。いくつかの特定の実施形態では、使用される血管拡張剤はフローラン(登録商標)であるが、他の血管拡張剤も使用できる。
表2は、ここで説明する通りに肝臓を保存するために実行時潅流溶液で使用できる成分を挙げたものである。この実行時潅流溶液は、表2に記載された成分の一種以上を含むことができる。
Figure 2022105036000003
Figure 2022105036000004
Figure 2022105036000005
Figure 2022105036000006
Figure 2022105036000007
表3は、例示的な実行時潅流溶液で使用できる成分を挙げたものである。表3に紹介した量は、表中の他の成分に対して好適な量を記載したものであり、充分な量の組成物を提供するために比例増減させることができる。幾つかの実施形態では、表3に挙げた量を±約10%、変更することができ、それでも尚、ここで記載された溶液中に用いることができる。
Figure 2022105036000008
Figure 2022105036000009
Figure 2022105036000010
実行時潅流溶液の例示する実施形態では、表3中の成分を、約1Lの水性流体当りここで挙げた相対量で配合して、その実行時潅流溶液を形成できる。いくつかの実施形態では、この実行時潅流溶液中の水性流体の量は±約10%分、変更することができる。この実行時潅流溶液のpHは、例えば約7.3乃至約7.6など、約7.0乃至約8.0の間で調節できる。この実行時潅流溶液を、例えばオートクレーブなどにより滅菌して純度を高めてもよい。
表4は、別の例示的な実行時潅流溶液を挙げたものであり、この実行時潅流溶液は、表4で明らかにした成分を有すると共に水性流体と配合された組織培養基を含み、ここで記載された通りに潅流液中で使用できる。表4に挙げた成分の量は相互と、用いた水溶液の量とに対して相対的なものである。幾つかの実施形態では、約500mLの水性流体を用いる。幾つかの実施形態では、水溶液の量は±約10%分、変更することができる。成分量及び水溶液の量は、使用に向けて適宜、比例増減できる。この実施形態での潅流溶液のpHを、例えば約7.3乃至約7.6など、約7.0乃至約8.0に調節できる。
Figure 2022105036000011

Figure 2022105036000012
アミノ酸はタンパク質の構成ブロックであるため、各アミノ酸の固有の特徴が、例えば構造を提供したり生化学的反応を触媒したりするなど、タンパク質に対していくつかの重要な特性をもたらす。実行時潅流溶液中に提供されるアミノ酸の選択及び濃度により、タンパク質構造の提供に加え、例えばエネルギーを提供又は蓄えるための糖の代謝、タンパク質代謝の調節、ミネラルの輸送、核酸(DNA及びRNA)の合成、血糖の調節、及び、電気活性の支援など、正常な生理学的機能の支援が提供される。加えて、この実行時潅流溶液中に存在する特定のアミノ酸の濃度を用いれば、この実行時潅流溶液のpHを予測可能に安定化させることができる。
幾つかの実施形態では、臓器管理システム600で肝臓を保存するための潅流液の一部として使用される血液が保存時に凝固しないように、反凝固剤を添加剤としてこの実行時潅流溶液に加えることができる。反凝固剤の非限定的な例はヘパリンを含む。実施形態によっては、ヘパリンは500-600秒にわたり凝固を防ぐのに十分な量を含むことができるが、他の時間も可能である。
幾つかの実施形態では、この実行時潅流溶液は複数のアミノ酸を含む。幾つかの実施形態では、この実行時潅流溶液は、カルシウム及びマグネシウムなどの電解質を含む。
幾つかの実施形態では、実行時潅流溶液は、一種以上のアミノ酸及びグルコース又はデキストロースなどを含む一種以上の糖質を含む。この実行時潅流溶液には、肝臓潅流システムへの注入直前の使用時に、本明細書で記載したものなどの添加剤も投与してもよい。例えば、この溶液と一緒に含めることができる、あるいはユーザによる使用時に添加することのできる、付加的な添加剤には、デキサメタゾン及びインシュリンなどのホルモン及びステロイド類や、例えばMVI-成人などの注入用の成人用マルチ・ビタミンなど、成人用マルチ・ビタミンがある。治療薬及び/又はアルブミンなどの血液又は血漿に典型的に伴う成分を含んだ、付加的な低分子及び巨大生物分子をこの実行時潅流溶液に含めても、あるいは、ユーザによる使用時点で加えてもよい。
幾つかの実施形態では、治療薬は肝臓の潅流の前又は後のいずれかで付加できる。この治療薬を、臓器の潅流前又は潅流中に、この実行時潅流溶液からは独立してこのシステムへ直接加えてもよい。
表3又は4を更に参照すると、この例示的な実行時潅流溶液中に用いられるいくつかの成分は、滅菌処理を経た場合には分解又は変性などして失活しかねない有機小分子又は巨大生物分子などの分子である。よって、これらの成分は、この実行時潅流溶液の残りの成分からは別個に調製できる。この別個の調製は、各成分を公知の技術を通じて別々に精製するステップを含む。実行時潅流溶液の残りの成分は、例えばオートクレーブなどで滅菌された後、生物学的成分と配合される。
表5は、この2段階プロセスに従って、別々に精製し、滅菌後にここで記載された溶液(実行時潅流溶液及び/又はプライミング溶液)に付加できるいくつかの生物学的成分を挙げたものである。これらの付加的又は補助的な成分を、実行時潅流溶液、プライミング溶液又はこれらの組合せに、個別に、様々な組合せで、組成物として一度に、あるいは配合された溶液として、加えることができる。例えば、幾つかの実施形態では、表5に挙げたインシュリン及びMVI-成人を、実行時潅流溶液に加える。別の例では、表5に挙げられたソリュメドロール及び重炭酸ナトリウムをプライミング溶液に加える。更に付加的な成分を一種以上の組合せ又はひとまとめに配合し、実行時潅流溶液及び/又はプライミング溶液に加える前に溶液中に加えることができる。幾つかの実施形態では、付加的な成分を潅流液に直接、加える。表5に挙げられた成分量は、相互に対する、及び/又は、表1-4のうちの1つ以上に挙げられた成分の量や、実行時潅流溶液、及び/又は、プライミング溶液を調製する際に用いられた水溶液の量に対するものであり、必要な溶液量に合わせて適宜、比例増減させることができる。
Figure 2022105036000013
Figure 2022105036000014
ある実施形態では、実行時潅流溶液で用いる組成物を、一種以上の糖質、一種以上の臓器刺激剤、及び複数のアミノ酸を含めるようにして、提供する。この組成物には、ここで記載された溶液に用いられるものなど、他の物質も含めることができる。
別の実施態様では肝臓を潅流するための系が提供され、これは、肝臓と、一種以上の糖質、一種以上の臓器刺激剤、及び複数のアミノ酸とを含んだ実質的に無細胞の組成物とを含む。この実質的に無細胞組成物は、細胞物質を実質的に含まない系;特に、細胞を由来としない系を含むことができる。例えば、実質的に無細胞の組成は、非細胞性の源から調製された組成物及び溶液を含むことができる。
別の局面では、この実行時潅流溶液及び/又はプライミング溶液を、一つ以上の臓器維持溶液を含むキットの形で提供できる。例示的な実行時潅流溶液は、肝臓潅流溶液で使用するための1つ以上の溶液で上述した成分を含むことができる。幾つかの実施形態では、この実行時潅流溶液は多数の溶液を含むことができ、これらが様々な組合せでこの実行時潅流溶液を提供する。代替的には、このキットは、流体中で再生して1つ以上の実行時潅流溶液又はプライミング溶液を形成できる乾燥成分を含むことができる。このキットは、更に、この実行時潅流溶液又はプライミング溶液由来の成分を、一種以上の濃縮された溶液として含んでいてもよく、この場合、この濃縮された溶液を希釈すると、ここで記載された通りの保存、栄養分、及び/又は、補助的溶液が提供される。このキットには、更にプライミング溶液も含めてよい。
幾つかの実施形態では、このキットは一個の梱包物として提供され、この場合の当該キットは、一種以上の溶液(又は適した流体と混合することにより一種以上の溶液を調合するのに必要な成分)と、滅菌、潅流中の液流及び温度管理や使用に関する指示や、当該キットを臓器潅流に適用するために必要又は適切な他の情報とを含む。幾つかの実施形態では、キットには、単一の実行時潅流溶液(又は、適した流体と混合した後で溶液に用いられる一式の乾燥成分)のみを含めて、更に、この実行時潅流溶液又はプライミング溶液を作用させるために必要又は有用な他の情報又は物質と併せて提供する。
幾つかの実施形態では、この実行時潅流溶液は単一の溶液である。幾つかの実施形態では、この実行時潅流溶液は、1つの主たる実行時潅流溶液と、1つ以上の栄養分補助溶液とを含むことができる。この栄養分補助溶液は、上述の実行時潅流に適した任意の化合物又は生物学的成分を含むことができる。例えば、この栄養分補助溶液は、上記の表1-5に示した1つ以上の成分を含むことができる。更に、表6は、例示的な栄養分補助溶液で用いられる成分を挙げたものである。いくつかの実施形態では、この栄養分溶液はグリセロールリン酸ナトリウムを更に含む。表6の成分の量は、溶液(約500mL)中に用いられる水性溶媒の量に対するものであるが、適宜、比例増減してもよい。幾つかの実施形態では、水性溶媒の量は約±10%で変化させる。これらの実施形態では、主となる実行時溶液及び1つ以上の栄養分溶液が使用されるときは、これらの溶液は、臓器管理システム600の循環システムに別々に接続でき、別々に制御できる。よって、任意の栄養分溶液中の1つ以上の成分を調節する必要がある場合は、操作者は、これらの成分に関して異なる濃度でこの栄養分溶液を再製し、又は主となる実行時潅流溶液及び他の栄養分溶液の流量及び/若しくは圧力に影響を与えることなくこの栄養分溶液の流量及び/若しくは圧力のみを調節してもよい。
Figure 2022105036000015
1つの実施形態では、実行時潅流溶液及びプライミング溶液は同一の組成を備えており、それは表1-6のいずれか1つ又はそれらの組合せに記載されている。
幾つかの実施形態では、潅流溶液は、1200-1500mlのpRBCと、400 mlの25%アルブミンと、700 mlのプラズマライトと、抗生物質(グラム陽性及びグラム陰性)1gのセファゾリン(又は同等の抗生物質)及び100mgのシプロ(又は同等の抗生物質)と、500 mgのソルメドロール(又は同等の抗炎症剤)と、50 mmolのHco3と、マルチ・ビタミンと、3時間及び6時間PTで投与される10000単位のヘパリンとを含む。
幾つかの特定の実施形態では、この潅流溶液は、肝臓のドナーの血液又は赤血球濃厚液(RBC)パック又は新鮮な凍結血漿を含むRBCパックと、ヒト・アルブミン又はデキストランからなるグループから選択された1つ以上の成分を含有する実行時潅流溶液とを含む。幾つかの特定の実施形態では、この潅流溶液は、肝臓のドナーの血液又はRBCパック又は新鮮な凍結血漿を含むRBCパックと、ヒト・アルブミン、デキストラン、及び1つ以上の電解質からなるグループから選択された1つ以上の成分を含む実行時潅流溶液とを含む。
E. 最終洗浄溶液
肝臓移植の適切なレシピエントが特定された後で且つ肝臓が臓器管理システム600から取り出される前に、肝臓には洗浄溶液による別の洗浄工程を行うことができる。この洗浄溶液は初期洗浄溶液と似た作用を備えており、それは残留血液を除去し且つ肝臓を安定化することである。この洗浄溶液は本明細書では最終洗浄溶液と呼ぶ。幾つかの実施形態では、この最終洗浄溶液は上述の初期洗浄溶液と似た又は同一の組成物を備えている。最終洗浄溶液の主成分は、本明細書に記載した電解質(例えばプラズマライト)及び緩衝剤を含むことができる。幾つかの実施形態では、低温臓器移植で使用される1つ以上の市販の保存剤溶液が、最終洗浄溶液として使用される。本明細書に記載された1つ以上の実施形態に従って肝臓を最終洗浄し且つ冷却した後、肝臓は、レシピエントに移植するため臓器管理システム600から取り出すことができる。
VI. 方法
本明細書で開示する臓器管理システム600を使うための方法を以下に詳述する。図29は、ドナーの肝臓を摘出すると共にそれを本明細書に記載するシステム600にカニューレ挿入する例示的且つ非限定的な方法を示したフローチャート5000である。しかし、図29に示したプロセス5000は例示のみを目的としており、変更可能である。例えば、本明細書に記載した段階は、修正、変更、再配置、且つ/又は省略できる。
A. 臓器摘出
図29に示すように、カニューレ挿入及び輸送に向けて肝臓を得て、準備するプロセスは、適した肝臓ドナーを提供することで始まる(段階5004)。システム600をドナー位置に運ぶことができ、その後、カニューレ挿入及び保存に向けてドナーの肝臓を受け取り且つ準備するプロセスを、2つの経路5006及び5008で進めることができる。経路5006は、主に、保存のためにドナーの肝臓を準備する段階を含み、他方、経路5008は、主に、ドナーの肝臓を受け取り且つ保存するためにシステムを準備した後、この肝臓を臓器管理システム600を介してレシピエント位置に輸送する段階を含む。
図29を参照すると、第一経路5006は、ドナーを瀉血する段階(段階5010)と、肝臓を外植する段階(段階5014)と、肝臓を初期洗浄溶液で洗浄する段階(段階5016)と、肝臓をシステムのために準備し且つ冷却する段階(段階5018)とを含む。具体的には、瀉血段階5010では、ドナーの血液を部分的且つ/又は完全に除去し、システムでの保存時に、潅流液中で血液製剤として肝臓の潅流に使用できるように、それを取っておくこともできる。この段階は、ドナーの動脈又は静脈のいずれかの血管構造にカテーテルを挿入することにより行われ、こうして、ドナーの血液がドナーから流れ出し、血液収集バッグで収集できるようにする。典型的には1.0-2.5リットルである必要な血液量が収集されるまでドナーの血液を流れ出させ、その時点でカテーテルを外す。その後、瀉血により抽出された血液を、オプションでろ過し、このシステムで用いる準備段階として、このシステムの流体レザバに加える。代替的には、血液をドナーから瀉血し、カニューレ及び血液収集バッグに一体化されたフィルタを有する装置を用いる単一の段階で、白血球及び血小板をろ過することができる。このようなフィルタの一例は、Pall BC2Bフィルタである。代替的には、潅流液では、ドナーの血液の代わりに血液製剤を用いることができる。
ドナーの血液を瀉血した後、ドナーの肝臓を摘出できる(段階5014)。本発明の分野で公知の任意の標準的な肝臓摘出方法を使用できる。肝臓摘出時に、肝動脈、門脈、下大静脈(IVC)、及び胆管を含む肝臓の脈管は、適切に準備され、カニューレ挿入用に十分な脈管長さを残して切断される(例えば、ヒト又は動物の移植に適した標準的な手法)。幾つかの実施形態では、胆嚢は肝臓摘出時に取り除かれ、肝臓保存中に安定した胆汁の流れを維持するため総胆管をそのまま保存するよう注意する。肝臓は、病院環境で取り除かれた後でしばしば洗浄され(例えばドナー洗浄)又は食塩水中に入れられる。段階5016では、摘出された肝臓は、次に初期洗浄溶液で洗浄して残留血液を取り除き且つ/又はドナー洗浄溶液で洗浄して、肝臓の安定性を向上させることができる。この初期洗浄溶液の例示的な組成は上記で詳述した。
肝臓が摘出された後で、臓器管理システム600に配置される前に、肝臓は冷却すること(段階5018)によりその代謝機能を低下又は停止させて、輸送時又は臓器管理システム600内に肝臓を配置時に起こりうる肝臓に対する損傷を避けることができる。幾つかの実施形態では、肝臓は約4℃-10℃、5℃-9℃、5℃-8℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、若しくは10℃、又はここに記載された値で境界を定められた任意の範囲内の温度まで冷却できる。肝臓は氷又は冷蔵によって冷却できる。4℃未満および10℃を上回る他の温度も可能である。代替的には、初期洗浄溶液は先ず冷却して、次に肝臓を潅流して肝臓を冷やすために使用できる。よって、これらの代替的な実施形態では、段階5016及び5018は同時に実行できる。一旦、肝臓が準備され適切な温度まで冷却されると、臓器管理システム600に配置する容易が整うことになる。
図29を引き続き参照すると、経路5006を通じた肝臓の準備中、肝臓が準備且つ冷却されたらすぐに、このシステムは経路5008の諸段階を通じて準備することにより、このシステムがプライミングされ、カニューレ挿入及び保存のため肝臓を収容するよう待機できる。ドナーからの肝臓をこのシステムに迅速に移し、続いて肝臓を潅流液で潅流することにより、医療操作者は、肝臓から酸素及び他の栄養分が枯渇している時間量を抑えることができるため、虚血及び現在の臓器管理技術で発生するような他の有害作用を減らすことができる。幾つかの実施形態では、肝臓に初期洗浄溶液を注入する時点と、臓器管理システム600を通じて肝臓に潅流液を流し始める時点との間の時間量は約15分未満である。他の例示的な実施形態では、この間の時間は約2分の1時間未満、約1時間未満、約2時間未満、又は約3時間未満ですらある。同様に、肝臓を臓器管理システム600に移植する時点と、肝臓を生理学的温度に近い温度(例えば約34℃乃至約37℃など)にする時点との間の時間は、肝臓組織内での虚血を減らすよう、迅速な時間とすることができる。幾つかの例示的な実施形態では、この時間は約5分未満であるが、他の応用例では、約2分の1時間未満、約1時間未満、約2時間未満、又は約3時間未満ですらあってもよい。言い換えると、冷却された肝臓が先ず臓器管理システム600に配置されると、肝臓の温度は所定の時間量をかけて所望の温度まで徐々に上げて、急な温度変化により起こる可能性がある潜在的な損傷を低下させることができる。
図29に示すように、このシステムは、一連の段階を通じて経路5008で準備されるが、この一連の段階には、頓用モジュールを準備する段階(段階5022)と、このシステムをプライミング溶液でプライミングする段階(段階5024)と、ドナーからの血液をろ過し、それをこのシステムのレザバなどのシステムに加える段階(段階5012)と、オプションでこのシステムを血液及び/又は潅流液でプライミングする段階と、肝臓をこのシステムに接続する段階(段階5020)とが含まれる。具体的には、頓用モジュールを準備するステップ5022は、本明細書に記載された使い捨て頓用モジュール(例えば、頓用モジュール634)を組み立てるステップを含む。この頓用モジュールを組み立てた後、又は、適したアセンブリで提供した後、それを上述したプロセスを介して多数回使用モジュール(例えば、多数回使用モジュール650)に挿入し且つ接続する。
特に、段階5024では、肝臓管理システム600は先ずプライミング溶液でプライミングするが、その組成は既に詳述した。幾つかの実施形態では、プライミングを補助するため、このシステムは、臓器チャンバ・アセンブリ内に取り付けられた臓器バイパス導管を備えることができる。例えば、幾つかの具体的な実施形態では、このバイパス導管は、肝動脈カニューレ挿入インターフェースと、門脈カニューレ挿入インターフェースと、下大静脈(IVC)カニューレ挿入インターフェースとに取り付けられた3つの区間を含む。肝臓チャンバ・アセンブリに取り付けられた/カニューレ挿入されたバイパス導管を用いることで、操作者は、このシステムに、実際の動作中に用いられる経路の全てを通じて潅流液を循環させることができる。これにより、このシステムを完全に検査し、肝臓を定位置でカニューレ挿入する前にプライミングすることができる。
段階5012では、ドナーからの血液をろ過し、例えばレザバ160など、このシステムに加えることができる。このろ過プロセスは白血球及び血小板を完全又は部分的に除去することで、炎症作用を減らすことができる。加えて、ドナーの血液を用いて上述のようにこのシステムをオプションでプライミングでき、且つ/又は1つ以上のプライミング溶液若しくは実行時潅流溶液と混合して上述のようにこのシステムを更にプライミングできる。更に、この血液及び実行時潅流溶液を混合して、後に肝臓の注入と保存に使用される潅流液を形成できる。段階5026では、バイパス導管(上述した)を定位置に配置した状態で、ポンプを作動して更に血液及び/又は潅流液をこのシステムにポンピングすることで、このシステムを血液及び/又は潅流液でプライミングできる。プライミング段階5026で潅流液がこのシステムを循環する間に、それがオプションでこのシステムの加熱器アセンブリを通過するときに所望の温度(例えば、正常温)まで温められる。よって、摘出された肝臓にカニューレ挿入を行う前に、プライミング溶液、瀉血されたドナー血液、及び/又はそれら2つの混合物(例えば、潅流液)をこのシステムに循環させて、それを加熱、酸素付加及び/又はろ過することにより、本システムをプライミングできる。更に、栄養分、保存剤、及び/又は他の治療薬も、それら成分をプライミング溶液に加えることによって、プライミング中に提供できる。プライミング中、操作者インターフェースを通じて様々なパラメータを初期化し、プライミング中に較正できる。プライミングして適正に動作したら、ポンプの流れを減らすか、又はサイクルから外して、バイパス導管を臓器チャンバ・アセンブリから取り外し、肝臓からこの臓器チャンバ・アセンブリにカニューレ挿入できる。
1. カニューレ挿入
段階5020では、肝臓は、上述のように冷却されている間に、カニューレ挿入され且つ臓器管理システム600上に配置できる。肝臓の保存中に、潅流液は肝動脈及び門脈を介して肝臓に流入し、下大静脈(IVC)を介して肝臓から流出する。よって、肝臓を通る適切な潅流を保証するため(上述したように)、肝動脈、下大静脈(IVC)、及び門脈は、それぞれカニューレ挿入され、肝臓管理システム600の対応する流路と接続できる。実施形態によっては、IVCはカニューレ挿入されず、自由排液とする。胆管にもカニューレ挿入でき、レザバに接続して肝臓が生産する胆汁を収集できる(例えば、胆汁バッグ187)。
本明細書に記載されたシステム600は、ヒト肝動脈の解剖学的構造と適合するように設計できる。患者の大多数において、肝動脈が肝臓の唯一の主幹動脈なので、臓器管理システム600は単一ポートのカニューレの肝動脈との接続を可能とする。しかし、一定の場合は(すなわち、遺伝的な差が存在する患者人口の約10-20%)、肝臓のドナーは、主肝動脈に加えて副肝動脈を備えている。よって、幾つかの実施形態では、肝臓管理システム600は二重カニューレ構成(例えば、カニューレ2642)を設けて、主肝動脈及び副肝動脈にカニューレ挿入され、同じ潅流液経路に接続されるようにできる。幾つかの具体的な実施形態では、この二重カニューレはY字である。二重カニューレの他の適切な形状又は設計も考慮される。
幾つかの実施形態では、このカニューレは、カニューレ流路に沿った不必要な流れ圧力降下を減少させるように直線状に設計できる。他の実施形態では、このカニューレは、臓器管理システム600の他の構成要素の形状、サイズ、又は解剖学的構造による必要に応じて、湾曲又は角度付けして設計できる。幾つかの具体的な実施形態は、このカニューレ内の全体的な流れ圧力が、生理学的状態を模倣する所望のレベルに維持されるように、このカニューレは、例えば、直線状、角度付け、又はそれらの組合せなどの適切な形状を備えるように設計される。
2. 計装
肝臓は次に臓器管理システム600で、より具体的には臓器チャンバ104内で計装できる(段階5020)。肝臓への損傷を減らすため計装時には肝臓の過度の動きを避けるよう注意すべきである。既に詳述したように、肝臓チャンバは、肝臓をその動きを減らす安定した位置に維持するよう特に設計できる。
B. 保存/輸送
1. 制御された早期潅流及び復温
幾つかの実施形態では、一旦、脈管が適切にカニューレ挿入された状態で肝臓が臓器管理システム600で計装されると、肝臓には早期潅流及び/又は復温処理が施され、肝臓を正常温(34-37℃)まで戻すことができる(段階5021)。幾つかの実施形態では、臓器チャンバは、事前に冷却された肝臓を正常温まで所定の時間にわたり徐々に温めるための加熱回路を含んでいる。他の実施形態では、初期潅流液(早期潅流のための)は、肝臓を正常温(34-37℃)近くまたはそこまで加熱し、肝臓を潅流且つ温めることができる。本明細書に記載したように、臓器管理システム600で保存された肝臓は、正常温度を含む生理学的状態に近い状態に維持でき、肝臓の通常の生物学的機能が維持される。
肝臓がこのシステムに計装され且つ正常温度まで温められた後、臓器管理システム600内のポンプ(例えば、ポンプ106)を調節して、潅流液を肝臓を通るように、例えば肝動脈及び門脈内へ潅流させることができる。IVC(又は肝臓の摘出方法によっては肝静脈)を出る潅流液は収集して、再酸素付加及び二酸化炭素除去を含む様々な処理を行うことができる。様々な栄養分は使用済み潅流液に付加して、栄養分濃度を再循環のため要求値まで増加させることができる。
幾つかの実施形態では、臓器管理システム600上での肝臓潅流時に、肝動脈及び門脈内の流入圧力は、栄養分を適切に肝臓に送出してその機能を確実に維持するため、注意深く管理される。幾つかの実施形態では、肝動脈内の流れ圧力は、例えば50-120 mmHgとすることができ、門脈内の流れ圧力は、例えば5-15 mmHgとすることができるが、これらの範囲外の圧力は、例えば1、2、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120 mmHg又はここに示した値によって境界を定められた任意範囲も可能である。幾つかの実施形態では、肝動脈及び門脈内の流量は、それぞれ約0.25-1.0 L/分若しくはそれを上回る値、及び約0.75-2.0 L/分若しくはそれを上回る値、又はここで示した任意の値で規定された範囲に維持できる。幾つかの実施形態では、肝動脈及び門脈内の流量は、約0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.00、1.10、1.20、1.30、1.40、1.50、1.60、1.70、1.80、1.90、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5 L/分、又はここに示した値によって境界を定められた任意範囲内の流量に維持できる。
幾つかの実施形態では、臓器管理システム600並びに肝動脈及び門脈内の流量及び/又は流れ圧力などの流体の流れは、化学的に且つ/又は力学的に制御できる。流れの化学的又は力学的制御は自動的に又は手動で達成できる。
2. 自動/手動制御
臓器管理システム600、肝動脈、及び門脈内の流体の流れの力学的制御を最初に説明する。幾つかの実施形態では、臓器管理システム600の流路内の流れ圧力又は流量は、流路に又は本システムの他の位置に組み込まれた圧力センサ又は流量センサによって測定できる。同様に、圧力又は流量センサは、肝動脈及び/又は門脈用のカニューレ内に又は当該カニューレをこれら管脈に接続するコネクタ内に位置させることができる。これら圧力又は流量センサは、流路内、及び/又は肝動脈内、及び/又は門脈内の流れに関する示度を操作者に示すことができる。本発明の分野で公知の他の圧力監視方法又は技法も考慮されている。圧力又は流量示度が所望の値から逸脱する場合は、操作者は手動でフロー・ポンプを調節して、潅流液のポンピング圧と従って流量とを増加又は減少させることができる。代替的には、臓器管理システム600は、流量及び/又は流れ圧力のプログラム可能な所望値を備えた流れ制御モジュールであって、潅流液のポンピング圧を自動的に調節することで、流れ圧力する及び/又は流量が所望の値から逸脱する場合は流量を調節する流れ制御モジュールを含むことができる。手動及び/又は自動制御は後により詳細に説明する。
3. 化学的制御
他の実施形態では、臓器管理システム600並びに肝動脈及び門脈内の圧力及び/又は流体の流れは化学的に制御できる。幾つかの具体的な実施形態では、この圧力は、1つ以上の血管拡張剤を用いて制御又は増加させることができる(例えば、血管拡張剤を使って血管緊張を増大又は減少させることによって、血管内の圧力を増大又は減少できる)。血管拡張とは、血管壁内の平滑筋細胞の弛緩による血管の拡大を言う。血管が拡張すると、潅流液の流れが血管抵抗の減少によって増大する。本発明の分野で公知の任意の血管拡張剤を使用して、肝動脈及び/又は門脈を拡張することで内部の流体流量を増大させることができる。いくつかの特定の実施形態では、使用される血管拡張剤はフローラン(登録商標)である。特に、流体の流れが不十分であることが低い流れ圧力又は流量により及び/若しくは後に詳述する任意の肝臓生存度評価技法によって示されたときは、操作者は、システムの流れモジュールに又は潅流液に血管拡張剤を手動で加えて流体流量を増加できる。代替的には、臓器管理システム600は、流路又は潅流液に1つ以上の血管拡張剤を自動で加えて流量を増加させる流量制御モジュールを含むことができる。供給する血管拡張剤の量は、例えば1-100マイクログラム/時間の範囲でよく、より具体的には1-5マイクログラム/時間の範囲でよい。これらの範囲は例示目的のみであり、一時間あたり0-100マイクログラム内の任意範囲が使用可能である。
上述の幾つかの実施形態は、システム600で保存されている肝臓に組み合わせて使用するよう適合できる。例えば、この実施形態では、アルゴリズムを用いて肝動脈圧(HAP)の閉ループ制御が可能である。使用されるアルゴリズムは、比例-積分-微分コントローラ(PIDコントローラ)でよい。PIDコントローラは、HAPが所望の設定点からどのぐらい逸脱しているかを計算し、血管拡張剤(例えば、フローラン(登録商標))の流量を増大又は減少することでこのエラーを最小化するよう試みることができる。
従って、幾つかの実施形態では、コントローラ150(又はこのシステムの他の部分)がこのエラー(例えば、HAPがユーザ設定点からどのぐらい離れているか)を算出し、このエラーを0にするために血管拡張剤の流量を調節できる。このアルゴリズムが毎秒一回実行される実施形態では、これら調節は非常に小さくなることがある。小さく頻繁な調節は、このシステム内ノイズが血管拡張剤の流量の大きな変更に至らないことを保証することにより制御を安定化する助けとなりうる。このアルゴリズムは、HAPをユーザ設定点に合わせる試みを実行できる。これは、HAPが設定点を上回るときは、アルゴリズムは、HAPがユーザ設定点に達するまで血管拡張剤溶液の流量を増大できることを意味する。HAPがユーザ設定点を下回るときは、アルゴリズムはHAPがユーザ設定点に達するまで血管拡張剤溶液の流量を減少させることができる。
幾つかの実施形態では、このPID制御アルゴリズムは、それが設定点を下回るまでは血管拡張剤の流量を減少させない。これにより目標圧力のアンダーシュートに至ることがある。これを相殺するため、幾つかの実施形態は、ユーザ設定点を+3 mmHg(又は他の値)を上回る仮想設定点を使用できる。これは、ユーザが定義可能としてもよいし、ハードプログラムされるものとしてもよい。HAPがユーザ設定点を少なくとも7mmHg上回るときは、このソフトウェアによってユーザ設定点を使用可能とし、HAPをユーザ設定点より+3 mmHg上まで制御するよう試行することができる。これによって仮想設定点の一定のアンダーシュートが可能となる。一旦、HAPが仮想設定点で安定すると、このソフトウェアはHAPをユーザ設定点まで制御できる。このアプローチは、HAPが低下するときに、大きなアンダーシュートをもたらすことなくHAPを「捕捉」する助けとなりうる。
図28を参照すると、心臓システムにおける上昇大動脈圧についての上記に関わるグラフ表示を示す。図28では、上記の例示的なグラフ9500を示す。この図は、AOP(例えば、9505)が仮想設定点(9510)まで下降し、この仮想設定点をアンダーシュートし、次に、ユーザ設定点(50 mmHg)まで穏やかに下がることを示す。
幾つかの実施形態は薬剤を使ってHAPを制御するので、不要なときにこのシステムが多量の血管拡張剤を肝臓に供給することがないよう保証することが有利となることがある。これを実現するため、このシステムは、HAPが設定点からどれぐらい離れているかを分析でき、HAPが設定点より上回っているときは、このシステム(例えば、溶液ポンプ631)は、血管拡張剤を標準的な割合で加えることができる。HAPが設定点を下回る場合は、このシステム600は血管拡張剤を加えている場合の4倍の流量で減少させることができる。これはシステムがHAP設定点を「能動的管理」領域においてわずかに上回らせる助けとなる一方で(例えば、約+0.5乃至+1 mmHg)、アンダーシュートを最小化するが血管拡張剤の割合をより速く減少させる助けとなる。
上述の記載は肝臓に焦点を当てたものだが、同一の技法は、HAPをAOPに取り替えることによって心臓で使用するよう適合できる。
4. 評定
段階5028及び5030において、操作者は、肝臓の機能を評価して肝臓の移植のための生存度を判断できる(その時点での現在の又はあり得る将来の生存度)。例示的に、段階5028は、後に詳述する評価技法のうち任意のものを使用した肝臓機能の評価を含む。例えば、操作者は、肝臓にカニューレ挿入する間の、システムの流体の流れ、圧力、及び温度を監視できる。操作者は、肝臓の状態を評定するため1つ以上の肝臓機能の生物マーカーを監視することもできる。評価ステップ5030中に、検査5028中に得られたデータ及び他の情報に基づいて、操作者はシステム特性(例えば、流体の流れ、圧力、栄養分濃度、酸素濃度、及び温度)を調節すべきか且つどのように調節すべきかを決定でき、更に、肝臓に付加的な治療モード(例えば、後に詳述するように手術、投薬)を施すかどうかを決定することもできる。操作者は、ステップ5032で任意のそうした調節ができ、その後、ステップ5028及び5030を繰り返して肝臓及びこのシステムを再検査且つ再評価できる。幾つかの実施形態では、操作者は、調節ステップ5032の間に(又は他の時間に)、肝臓に外科的、治療的、又は他の処置を施すこともを選択できる(後に詳述する)。例えば、操作者は、例えば肝臓に超音波又は他の撮像検査を行ったり、動脈及び静脈血液ガス・レベルを測定したり、並びに他の評価検査を行ったりするなど、肝臓機能の評価を実行できる。
よって、肝臓がこのシステムで保存された後又はその間に、操作者は、肝臓に手術を施し、又は、免疫抑制治療、化学療法、遺伝子検査及び治療、又は放射治療などの治療的若しくは他の処置を行うことができる。このシステムにより肝臓を生理学的な温度、流体流量、及び酸素飽和度レベル近くにおいて潅流できるため、肝臓は長時間(例えば、少なくとも3日以上、少なくとも1週間を上回る期間、少なくとも3週間、又は3ヶ月以上を上回る期間)にわたり維持でき、繰り返し評価及び治療が可能となる。
幾つかの実施形態では、このシステムにより医療操作者は、適切なレシピエントを発見することにより意図したレシピエントへの適合性に関して肝臓を評価できる(ステップ5034)。例えば、肝臓がシステムにカニューレ挿入されている間に、この操作者は、肝臓にヒト白血球抗原(HLA)一致検査を行うことができる。こうした検査は12時間以上を必要とすることがあり、肝臓と意図したレシピエントとの適合性を保証するために行われる。本明細書に記載したシステムを用いた肝臓の保存によって、HLA一致を完了するのに必要な時間を超える保存時間が可能であり、移植後の結果が向上する可能性がある。HLA一致検査の例では、潅流溶液が肝臓にポンピングされている間に、HLA検査をその肝臓に行うことができる。本発明の分野で公知の、他の任意の一致テストも考慮される。
例示する実施形態では、検査5028、評価5030、及び調節5032段階は、通常流れモードで動作中のシステムで実行できる。通常流れモードでは、操作者は、通常の生理学的血流状態下又はそれに近い状態で肝臓の機能を検査できる。評価5030に基づいて、必要ならこのシステムの設定をステップ5032で調節でき、段階5036においてレシピエント位置まで輸送する準備として、流れ、加熱、及び/又は他の特性を修正して、肝臓を安定化させることができる。ステップ5036において、このシステムは、保存した肝臓を備えた状態でレシピエント位置まで輸送できる。
C. 移植の準備
1. 最終洗浄/肝臓冷却
幾つかの実施形態では、肝臓がシステム600から取り出され且つ/又はレシピエントに移植される前に、例えば、残留血液及び/又は実行時潅流溶液を除去するため、肝臓は最終洗浄溶液により洗浄できる。この最終洗浄溶液の組成は上記で詳述した。
幾つかの実施形態では、肝臓を臓器管理システム600から取り出す前に、肝臓は約4℃-10℃、5℃-9℃、5℃-8℃、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、若しくは10℃、又はここに記載された値で境界を定められた任意の範囲内の温度まで再度冷却できる。肝臓は、氷との接触又は肝臓保存チャンバの冷蔵によって冷却できる。幾つかの実施形態では、システム600は、肝臓を直接冷却する且つ/又はシステム100内で循環する流体を冷却するよう構成された冷却ユニットを含むことができる。最終洗浄溶液を先ず冷却し、次にこれを使って肝臓を洗浄することで肝臓を冷やすことができる。よって、これらの実施形態では、肝臓は最終的な洗浄と冷却を同時に実行できる。一旦、肝臓が準備され適切な温度まで冷却されると、適切なレシピエントに移植する用意を整えることができる。
例えば、幾つかの実施形態では、肝臓はシステム600に配置されている間に冷却且つ洗浄できる。ユーザは、冷却した洗浄溶液入りの1つの1リットルバッグを肝動脈の洗浄ポート(例えば、4301)に接続できるが、ポートは閉じたままにする。ユーザは、冷却した洗浄溶液入りの2つの1リットルバッグを門脈の洗浄ポート(例えば、4302)に接続するが、ポートは閉じたままにする。ユーザは洗浄収集バッグを潅流モジュールに、潅流モジュールのポンプ伸展性チャンバの直後に位置した潅流液収集ポートに接続する(例えば、ポート4309)。次に、ユーザは、循環ポンプ106の停止と同時に、標準的な外科用鉗子を、肝動脈と門脈の分割部直前で潅流モジュール・チュービングに対して使用できる。洗浄溶液が肝動脈及び門脈に入るように、肝動脈及び門脈洗浄ポートを開くことができる。潅流液と洗浄溶液の混合物が臓器チャンバを満たすのでなくこの潅流液収集バッグを満たすように、潅流液収集バッグから鉗子を外すことができる。
保存の終了時に肝臓を冷却する決定がなされた場合、次の例示的な手順が使用できる。
1. 加熱器冷却器ユニットを入手し、設定する(OCSの近傍に配置され、電気ラインがプラグインされ、電源ON、水回路制御ON、水回路バルブOFFとする)。加熱器冷却器の水ラインを肝臓潅流モジュールガス交換器水ラインにまだ接続しない。
2. 加熱器冷却器の水回路温度を現在の肝臓温度(例えば、概ね37℃)付近に設定し、その温度まで到達させる。
3. Hansenクイックコネクトを備えた加熱器冷却器の水ラインを肝臓潅流モジュール酸素付加器水ラインに接続する。
4. 加熱器100をOFFにする。
5. 加熱器冷却器の水回路温度を肝臓より低い温度だが10℃を上回る程度には低くない温度に設定し、水ラインのバルブを開けて肝臓潅流モジュールガス交換器水ラインに流れを到達させる。ユーザ・インターフェースに反映される潅流液の実際の温度が、加熱器冷却器の水温設定点に近づいたら、加熱器冷却器の水温設定点を潅流液/肝臓温度よりも低い温度だが10℃上回る程度には低くない温度に徐々に調節し、血液/肝臓が所望の温度に達するまで繰り返す。
6. 肝臓の温度が所望の温度に達したら、肝臓をシステム600から取り除く。
上述の記載は肝臓の最終洗浄及び冷却に焦点を当てたものだが、類似の又は同一の手順を他の臓器の保存時に使用できる。例えば、幾つかの実施形態では、上述の最終洗浄/冷却技法は、システム600で保存されている心臓及び/又は肺にも適用できる。
VII. 評価
開示された主題の幾つかの実施形態では、肝臓が臓器管理システム600で保存されている間に肝臓の生存度を評定するための様々な技法又は方法が提供される(例えば、移植に関する生存度)。一般に、例えば肝臓酵素などの肝臓機能を評価するための、本発明の分野で既知の生物マーカーと既知の撮像技法とを用いて、肝臓の生物学的機能及び状態を評価できる。加えて、臓器管理システム600で保存されている肝臓は操作者が容易に扱うことができるので、肝臓の目視又は肝臓の触診などin vivoでは健康管理業務で容易に利用できない技法も使用できる。評価の結果に基づいて、潅流液中の栄養分若しくは酸素含有量又は潅流液の流量及び流れ圧力などの臓器管理システム600の1つ以上のパラメータを、肝臓の生存度向上のために調節できる。
幾つかの実施形態では、臓器管理システム600の潅流パラメータを用いて肝臓の生存度を評価できる。特に、幾つかの実施形態では、カニューレ挿入された肝動脈及び/又は門脈内の潅流液の流れ圧力は、肝臓の生存度の指標として測定できる。幾つかの実施形態では、肝動脈ライン内の50-120 mmHg範囲の安定した流れ圧力は、保存されている肝臓が十分な必須栄養分の供給を受けていることを示すことができる。例えば、幾つかの実施形態では、約50、60、70、80、90、100、110、120 mmHgの安定した流れ圧力、又はここに示した値によって境界を定められた任意範囲の圧力は、保存されている肝臓が十分な必須栄養分の供給を受けていることを示すことができる。この範囲外の流れ圧力は、システム内での漏れや閉塞を示すことができ、又は適切な栄養分が肝臓に供給されていることを保証するため流れ圧力を調節するよう操作者に促すことになりうる。他の実施形態では、カニューレ挿入された肝動脈及び/又は門脈内の潅流液の流量は、肝臓の生存度の指標として測定できる。他の実施形態では、肝動脈の0.25-1L/分の範囲の流量は、保存されている肝臓が十分な必須栄養分の供給を受けていることを示すことができる。例えば、幾つかの実施形態では、肝動脈の約0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.00 L/分の流量又はここに示した値によって境界を定められた任意範囲の流量は、保存されている肝臓が十分な必須栄養分の供給を受けていることを示すことができる。この範囲外の流量は、システム内での漏れや閉塞を示すことができ、又は適切な栄養分が肝臓に供給されていることを保証するため流量を調節するよう操作者に促すことになりうる。流量及び圧力は、本明細書に記載した圧力及び/又は流量センサを用いて測定できる。
幾つかの実施形態では、肝臓の目視又は検査を用いて肝臓の生存度を評定できる。例えば、肝臓がピンク又は赤色であれば、肝臓が正常に機能していることを示すことができる一方、肝臓が暗く又は青みを帯びた色であれば、肝臓が異常に機能しているか劣化していることを示すことができる(例えば、低潅流状態)。他の実施形態では、肝臓の触診を用いてその生存度が評定される。肝臓が柔らかく柔軟性があれば、肝臓は正常に機能している可能性が高い。一方、肝臓が緊張し又は固い場合は、肝臓が異常に機能しているか劣化している可能性が高い(例えば、低潅流状態)。
A. 胆汁生産
幾つかの実施形態では、胆管はカニューレ挿入され且つ臓器管理システム600のレザバに接続されるので、肝臓により生産される胆汁の色及び量を容易に検査して肝臓の生存度を評価できる。幾つかの実施形態では、黒又は暗い緑色の胆汁は正常な肝機能を示すことができる一方で、胆汁が明るい又は透き通った色であれば、肝臓が異常に機能しているか劣化していることを示すことができる。更に別の実施形態では、胆汁の生産量を用いて肝臓の生存度をよく評価できる(及び/又は肝臓が胆汁を生産しているという判定がよい指標になりうる)。胆汁が少しでも生産されていることが健康な肝臓の表れだが、胆汁の生産量が多いほど肝機能が良好である。幾つかの実施形態では、一日当たり約250 mL-1 L、500 mL-1 L、500 mL-750 mL、500 mL、750、1 Lの胆汁生産又はここに示した値によって境界を定められた任意範囲は、臓器管理システム600で保存されている肝臓が正常に機能しており、生存可能性があることを示す。
B. 血液ガス、肝臓酵素、及び乳酸エステル測定/傾向
幾つかの実施形態では、潅流液中の様々な生物マーカー又は化合物を用いて肝臓の生存度を評価できる。例えば、肝臓の代謝評定は酸素送出、酸素消費、及び酸素要求を計算することにより実行できる。特に、潅流液に溶解した酸素及び二酸化炭素の量は、肝臓機能の指標として監視できる。肝臓の潅流前と後の潅流液(又は血液製剤)中のこれらガスの濃度を測定し、比較できる。幾つかの特定の実施形態では、酸素及び二酸化炭素の濃度は、臓器管理システム600の流れモジュール又はサブシステム内の様々なセンサによって測定できる。
幾つかの実施形態では、肝臓の潅流前と後の潅流液(例えば、肝動脈に入りIVCを出る潅流液)をそれぞれの酸素濃度(又は他の)センサを使って試料採取して、酸素及び二酸化炭素のそれぞれの濃度を測定できる。肝臓潅流後における潅流液中の二酸化炭素濃度の有意な増加及び/又は肝臓潅流後における潅流液中の酸素濃度の有意な減少は、肝臓がその酸化的代謝機能をよく果たしていることを示すことができる。他方、肝臓潅流後における潅流液中の二酸化炭素濃度のわずかな増加若しくは増加がないこと及び/又は肝臓潅流後における潅流液中の酸素濃度のわずかな減少若しくは減少がないことは、肝臓がその酸化的代謝機能を適切に果たしていないことを示すことができる。PvO2とPaO2の差は代謝的に活性で、好気的に活性な代謝、酸素消費を示すこととができる。
幾つかの実施形態では、肝機能血液検査(LEFT)を行って肝臓の生存度を評定できる。特に、幾つかの実施形態では、アスパラギン酸アミノ酸転移酵素(AST)、アラニンアミノ転移酵素(ALT)、アルカリホスファターゼ、アルブミン、ビリルビン(直接及び間接)を測定して肝臓機能を評価できる。他の実施形態では、血液フィブリノゲン・レベルも肝細胞が凝固因子を生産する能力の指標として測定できる。
AST及びALTは肝臓の酵素であり、肝臓機能及び/又は移植適性を評定するために使用される広く受け入れられた臨床肝臓生物マーカーである。しかし、AST及びALTの測定は通常は複雑で時間がかかり、典型的には病院又は研究室環境で行われる。よって、保存された肝臓の状態を判断するための感度が高く単純な指標に対する必要性が存在する。乳酸とも呼ばれる乳酸エステルは、生きた細胞/組織/臓器内の嫌気代謝の副産物/最終産物である。乳酸エステルが生成されるのは、解糖経路を介した基本的なエネルギー生産に際してグルコースを代謝するための酸素が細胞中に無いか又は少ないときである。出願人は、例えばIVCから出る潅流液などの潅流液中の乳酸エステルのレベルが、ASTレベルを測定する代用として測定できることを発見した。乳酸エステル濃度は迅速且つ簡単に測定可能であって、これは時間がかかる肝臓酵素測定に比べて大きな利点となる。乳酸エステル測定により与えられた迅速なフィードバックに基づいて、流量、圧力、及び栄養分濃度などの臓器管理システム600の1つ以上のパラメータは、肝臓の生存度を向上させるために調節できる。言い換えると、乳酸エステル値(例えば、動脈乳酸エステルの傾向)をASTレベルに相関させ且つASTレベルを示すことができる。例えば、一連の(一定時間にわたり)低くなる傾向がある乳酸エステル測定値は、低くなる傾向のASTに相関でき且つ/又は低くなる傾向のASTを示すことができる。実施形態によっては、乳酸エステル測定は測定ドレイン2804で行うことができるが、これは要件ではなく、システム100の他の箇所で実行してもよい。加えて、幾つかの実施形態では、システム600は、単一の場所から経時的に乳酸エステル測定値を、又、肝臓に入る乳酸エステル値と出る乳酸エステル値との差を経時的に複数の場所で取るように構成できる。
C. 撮像
更に別の実施形態では、本発明の分野で公知の様々な他の方法を用いて肝臓の生存度を評定できる。幾つかの特定の実施形態では、肝臓の超音波分析を行って肝臓の実質組織、肝臓内及び外の胆樹を評定できる。他の非限定的な撮像技法の例には、磁気共鳴映像法(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)、陽電子射出断層撮影法(PET)、螢光透視法、経頚静脈肝内門脈静脈短絡手術(TIPS)が含まれるが、これら全てを用いて肝臓を評定でき、異常を検出できる。例えば、肝臓の超音波の検査にあたって、医者は類洞寸法、胆管内の可能性がある障害物、及び/又は一般的な血流を検査できる。
D. 病理/生検
更に他の実施形態では、肝臓の生検を用いてその生存度が評定される。肝臓の生検では、肝臓組織の一片を、損傷又は病気の兆候に関して顕微鏡下で検査できるよう取り出す。肝臓はex vivoで臓器管理システム600で保存されるので、容易にアクセスでき、生検も簡単に実行できる。
VIII. クラウド
動作時には、システム600は、システム自体及び/又は維持されている臓器に関する情報を生成する。システム600の他の実施形態では、この情報をRAM又はROMのような内部メモリに記憶できる。幾つかの実施形態では、システム600により生成される情報はクラウドなどの遠隔記憶場所にも送信できる。クラウドは、例えば、データ及び/又はサービスをインターネットを介して与えるよう構成された一連の遠隔相互接続コンピュータでよい。クラウドはこの情報を記憶し、この情報を分析し、且つ/又はこの情報を1つ以上の第三者及び/又は利害関係者に与えることができる。
システム600の幾つかの実施形態では、このシステムは、それ自体とクラウド内のサーバなど1つ以上の他の位置との間の多モード通信リンクを含むことができる。この通信リンクをコントローラ150によって制御できるが(例えば、データ管理サブシステム151を介して)、これは要件ではなく、他の構成要素を使って通信を制御できる。システム600がドナーの病院にあるときに、移動中に、且つ/又はレシピエントの病院にあるときに、コントローラ150は、このシステム及び/又はその内部に収容されている臓器に関する実時間情報を与えるよう構成できる。幾つかの実施形態では、通信は有線ネットワーク接続(例えば、イーサネット(登録商標))、ワイヤレスネットワーク接続(例えば、IEEE 802.11)、セルラー式接続(例えば、LTE)、ブルートゥース(登録商標)接続(例えば、IEEE 802.15)、赤外線接続、及び/又は衛星を利用した接続などの通信リンクを用いて実現できる。幾つかの実施形態では、コントローラ150は、ハードワイヤード・インターネット接続及び/又はWi-Fiなどの信頼できる接続を、より信頼性が低いセルラー式及び/又は衛星接続よりも優先する優先リストを維持できる。他の実施形態では、この優先リストは、Wi-Fiなどの低コストの通信媒体への優先付きで生成できる。
システム600は、1つ以上の技法を介してクラウド及び最終的な遠隔当事者と通信するよう構成できる。例えば、システム600は、クラウド内のサーバ及び/又は1つ以上の遠隔コンピュータと直接通信するよう構成できる。幾つかの実施形態では、システム600は:i) 電子メール及び/又はテキスト・メッセージなどの通信を所定のアドレスに送信し;ii) データファイルを例えばFTPを使って遠隔記憶場所にアップロードし;iii) 所有フォーマットで情報を与えるため専用遠隔サーバと通信し:且つiv) クラウド及び/又は他の遠隔コンピュータからダウンロードされた情報を受信するよう構成できる。幾つかの実施形態では、コントローラ150はこの情報を定期的なスケジュールで送受信できるが、このスケジュールはこのシステムがどの動作段階にあるかによって変化しうる。例えば、システム600がドナーの病院にあるときには5分ごとに、輸送時には15秒ごとに、且つ/又は受け入れ先の病院にあるときには15秒ごとに、コントローラ150は更新を提供するよう構成できる。更に、コントローラ150は、暗号を用いたり且つ/又はタイムスタンプを付けたりして安全な態様で情報を送受信するよう構成できる。
コントローラ150は、臓器の提供、システム準備情報、バッテリ充電レベル、ガス・タンク・レベル、溶液注入ポンプの状態、流量、圧力定格、酸素付加率、ヘマトクリット・レベル、乳酸エステル・レベル、温度レベル、ポンプ106が設定されている流量、加熱器110が設定されている温度、フロー・クランプ190の位置、ユーザ・インターフェースに表示された情報の一部又は全部(例えば、循環及び注入流量、圧力、酸素付加レベル、ヘマトクリット・レベル)、地理的位置、高度、表示されたインターフェース自体のコピー、ユーザ・インターフェースに表示された波形、警報限界、活動中の警報、ユーザ・インターフェースのスクリーン・キャプチャ、写真(例えば、搭載カメラを使ってキャプチャされたもの)、HAP/HAF/ラケート傾向、システム600に関する履歴使用情報(例えば、使用済み時間数)、及び/又はドナー情報などの様々な種類の情報を、クラウド及び/又は遠隔位置に与えるよう構成できる。心臓/肺の実施形態では、AOP及び/又はPEEPの様な付加的情報を与えることができる。基本的には、システム600により収集、生成、且つ/又は記憶される任意の情報もクラウド及び/又は遠隔コンピュータに送信できる。
コントローラ150は、遠隔ユーザからの指示、遠隔位置からのデータに対する「プル」要求、制御入力、臓器レシピエントに関する情報、及び/又はシステム更新などの様々な種類の情報を、クラウド及び/又は遠隔位置から受け取ることができる。
幾つかの実施形態では、システム600が提供した情報を使って、システム600に対して遠隔位置にいるユーザは、システム600に表示されている同じユーザ・インターフェースを効果的に遠隔でビューできる。更に、幾つかの実施形態では、システム600に対して遠隔位置にいるユーザは、本人が実際にそこにいるかのように遠隔にシステム600を制御できる。幾つかの実施形態では、この遠隔ビューは、病院所属(attending)ユーザが見るものの画像画質向上バージョンでよい。例えば、ユーザ・インターフェースは似たフォーマットで表示でき、遠隔ユーザは病院所属ユーザが見ているものを視覚化できるが、この遠隔閲覧者に状況を知らせるための付加的情報を表示するように、この遠隔ビューは画質向上させることができる。例えば、ドナー人口統計、地理的位置、傾向、及び/又は評定結果も表示できる。遠隔ユーザにはシステム600に存在するものと一致した仮想ボタン及び/又は制御手段が提示され、これらを使ってシステム600の動作を遠隔制御できる。
幾つかの実施形態では、診断し、このシステムを更新し、且つ/又は問題を遠隔で解決できるように、1人以上の技師がシステム600に遠隔で通信且つアクセスできる幾つかの実施形態では、遠隔技術支援は、システム600が臓器を保存するために使用されていないときのみに限定できる。
幾つかの実施形態では、システム600により提供される情報は、ウェブ・ポータル、モバイル・アプリケーション、及び/又は他のインターフェースを介して遠隔ユーザに提示できる。
幾つかの実施形態では、システム600により提供される情報へのアクセスは、レシピエントの病院による外科スタッフ、技術サポート・チーム、及び/又は管理者などの1人以上の登録ユーザに限定できる。幾つかの実施形態では、システム600により提供される情報へのアクセスは、レシピエントの電子医療ファイルに関連付けることができる。例えば、クラウドベースのサーバはレシピエントの1つ以上の電子医療ファイルにアクセスして、例えば:レシピエントの健康データにアクセスできると明示的に認証された当事者、レシピエントの健康データにアクセスできると明示的に認証された組織に関連した当事者、及び/又はレシピエントから一定の地理的距離内に存在する医療機関で勤務する個人を特定できる。
上述のように、輸送中に時々、潅流液試料は外部分析のため取り出すことができる。しかし、これらの例では、外部分析を介して得られたデータは、システム600内に保持された情報から分離されている。よって、幾つかの実施形態では、システム600により提供されるユーザ・インターフェースにより、ユーザは臓器に関して外部で生成されたデータを入力し、格納できる。例えば、病院所属ユーザが外部分析器で乳酸エステル測定を行うため潅流液の試料を取り出す場合、病院所属ユーザは、システム600自体により生成されたデータと共にシステム600にその結果を入力し、格納できる。この結果自体と共に、ユーザは、タイムスタンプ情報とその情報の説明も提供できる。ユーザにより入力された情報は、それが内部で生成されたかのようにシステム600によって記憶、処理、ダウンロード且つ/又は送信できる。この態様で、移植する臓器に関連したデータがシステム600の内部で生成されたのか外部で生成されたものかに関わらず、システム600は、その臓器がex vivoであるときにその臓器に関する全ての情報の完全な記録を保持できる。
図26を参照すると、動作時に、処理6600は、クラウドベースの通信/記憶システムに組み合わせてシステム600をどのように使用できるかに関する例示的な実施形態を示す。処理6600は例示のみを目的としており限定的なものではない。例えば、本明細書に記載した段階は、修正、変更、再配置、且つ/又は省略できる。処理6600では、システム600が遠隔のクラウドベース・サーバと通信することと、このシステムが臓器を輸送するために使用されていることとを想定しているが、それは要件ではない。この処理は、例えば、臓器が新たなレシピエントに移植されるのでなく、元々の患者に再移植するためex vivoで治療される間に使用されるよう適合させることも可能である。
段階6605では、臓器オファーが、臓器の割り当てを管理する組織(例えば、臓器調達組織)により取り出し病院に提示される。システム600へのウェブ・ポータルを介して、取り出し病院のスタッフは、システム600の準備度(例えば、バッテリ充電レベル、ガス・レベル)を照会でき、ドナーに関する情報を入力できる。この情報はサーバを介してシステム600に転送できる。
段階6610では、このサーバにオンコール・スタッフとして登録してある臨床サポート要員に対して、差し迫った輸送セッションに関する注意喚起が、電子メール、テキスト・メッセージ、自動電話、及び/又は任意の他の通信手段でなされる。臨床サポート・スタッフは、例えば、システム600の製造者により雇用されているスタッフでよい。
一般に輸送の途中で行われる段階6615では、システム600は、システム/臓器状態情報をクラウドベースのサーバに通信リンクを介して送信できる。サーバに送信されるこの情報は、移植外科医、サポート・スタッフ、及び/又は他の任意の許可された当事者(これら全ては異なる地理的位置にいてもよい)の様な第三者がオンライン・ポータルで検討可能である。幾つかの実施形態では、このサーバは、システム600から取り出された情報を追加処理して新たな情報を生成し、これがシステム600及び/又は第三者に再提示される。システム600でユーザに表示される情報は、要求が無くても例えば2分毎にサーバに送信される(例えば、基礎データ及び/又は画像自体)。すると、データはタイムスタンプと共にサーバ上で記憶できる。例えば、幾つかの実施形態では、システム600からの情報がサーバによって受信される度に、これはエクセル・スプレッドシートの列に配置できる。更に、段階6615において、ポータルを介してこの情報を閲覧している遠隔ユーザは、次の2分間のサンプルが「プッシュ」されるのを待つのでなく、そのデータの画面リフレッシュ/スナップショットをOCSから「プル」(要求)できる。更に、幾つかの実施形態では、遠隔当事者は、遠隔インターフェースを介してシステム600の動作を遠隔制御できる。
この遠隔ビューは、システム600のモニターに表示されるものの画像画質向上バージョンでよい。遠隔ユーザが病院所属ユーザが見るものを視覚化できるように類似のフォーマットで提示できる。しかし、幾つかの実施形態では、この遠隔ビューを画質向上して、遠隔ユーザに状況を知らせるためにドナー人口統計、傾向、及び/又は評定結果などの追加情報を表示させることができる。
システム600は、サーバを介して移植外科医及び/又は臨床サポート・チームなどの遠隔第三者に注意喚起できる。病院所属ユーザは1つ以上の遠隔第三者からコンタクトをモニターのメニュー動作を介してトリガできる。例えば、病院所属ユーザは、技術サポート要員に援助要請を送り、この要員は注意喚起を、例えばテキスト・メッセージ及び/若しくは電子メール介して受信し、又は電話若しくはそれ以外の方法で病院所属ユーザに連絡できる。
システム600は、一定の重大な条件では自動的に注意喚起を行うことができる(例えば、HAP > 120又はPVP > 20 mmHg)。病院所属ユーザは、システム600に組み込まれているカメラを使って写真を撮ることもできる(例えば、操作者インターフェース・モジュール146に組み込まれている)。この画像はシステム600によって自動的にサーバにプッシュできる。
段階6615では、システム600は、サーバ及び/又は他の遠隔コンピュータに、15秒ごと、2分毎、5分毎、又は10分毎などの定期的な間隔で情報を提供できる。幾つかの実施形態では、システム600、サーバ、及び/又は第三者間で送信される情報は実時間で発生され、第三者は、本人が実際にそこにいるかのように遠隔にシステム600に実時間でアクセスでき且つ/又は又はそれを制御できる。幾つかの実施形態では、病院所属ユーザ及び/又は任意の他の遠隔当事者は、予定外の情報転送を開始できる。幾つかの実施形態では、システム600の通信リンクが使用不能にされているか又は動作不能であれば(例えば、航空輸送中に)、コントローラ150は、定期的な状態更新を生成し続け、通信リンクが再度使用可能になった時点で通信できるようにそれらを記憶するように構成できる。
典型的には輸送セッションの終わりに行われる段階6620では、システム600からのセッション・ファイルをサーバにプッシュできる。サーバに供給される情報は、例えば、傾向、エラー、血液試料、及びイベント・ファイルを含むことができる。コストを低減するため、データ送信にはセルラー方式リンクの前にWiFiを優先することができる。
IX. 可能な利益
本明細書に記載したシステム600の幾つかの実施形態は、1つ以上の利益を提供できる。例えば次のものがある。
行われている処置の種類によっては、臓器保存システムの手動制御は、専門的訓練を必要としうる労働集約型の処理となることがある。更に、医学的処置ではあることだが、手動制御はシステムを制御しているものによる誤りの原因となりがちである。よって、幾つかの実施形態では、システム600は実時間でそれ自体を自動的に制御できる。例えば、コントローラ150は、潅流液のポンプ106の流量、ガス交換器114の動作、加熱器110の温度、フロー・クランプ190の動作(自動クランプの使用時)、及び/又はクラウドへの情報の送信を自動で制御するよう構成できる。コントローラ150は、例えば、内蔵されているセンサからのフィードバック情報に基づいて、システム600の動作を制御するよう構成されている。
システム600を自動制御することで有用性が向上でき、エラーの可能性を減少させ、臓器の輸送に関する労働集約性を軽減できる。例えば、制御プロセスを自動化することで、異なる人々がシステムを制御する際に発生しうるユーザ変動性を補正できる。例えば、2人のユーザが同一の訓練を受けたとしても、1人ユーザの判断が別のユーザの判断とは異なるため、これら2人のユーザ間で管理のレベルが一致しない可能性もある。制御プロセスを自動化することで、他の方法では達成困難なレベルの操作者間の一致度が達成できる。更に、自動化制御を自動化することで、システム600の動作パラメータを手動制御で可能となるよりも迅速に更新することで、ex vivoの間に臓器の管理が向上しうる。
本明細書に記載した技法は、冷蔵方法の限界によって現在利用されていないドナー臓器の利用が向上できる。既存の冷蔵方法では、臓器は冷蔵の結果として損傷を受ける前にレシピエントまで輸送できないため、多くの臓器が無駄になっている。結果として、そうでなければ移植に適した多くの臓器が毎年無駄になっている。本明細書に記載した技法を使って、臓器が健康なex vivo状態で維持できる時間を大幅に増加させることで、潜在的なドナー及びレシピエントのプールを増大させる。
本明細書に記載した技法は、臓器がレシピエントへの移植に適しているかの評定を向上させることもできる。例えば、肝臓の例を使うと、肝臓の目視又は検査を用いて肝臓の生存度を評定できる。例えば、肝臓がピンク又は赤色であれば、肝臓が正常に機能していることを示すことができる一方、肝臓が灰色又は暗い色であれば、肝臓が異常に機能しているか劣化していることを示すことができる。他の実施形態では、肝臓の触診を用いてその生存度を評定できる。肝臓が柔らかく柔軟性があれば、肝臓は正常に機能している可能性が高い。一方、肝臓が緊張し又は固い場合は、肝臓が異常に機能しているか劣化している可能性が高い。
更に別の実施形態では、胆管はカニューレ挿入され且つシステム600のレザバに接続されるので、肝臓の生存度を評価するため、肝臓により生産される胆汁の色及び量を容易に検査できる。幾つかの実施形態では、黒又は暗い緑色の胆汁は正常な肝機能を示す一方で、場合は、胆汁が明るい又は透き通った色であれば、肝臓が異常に機能しているか劣化していることを示す。更に別の実施形態では、胆汁生産の量を用いて肝臓の生存度も評価できる。一般に、胆汁の生産量が多いほど、肝臓の機能は良好である。幾つかの実施形態では、一日当たり約250 mL-1 L、500 mL-1 L、500 mL-750 mL、500 mL、750、1 Lの胆汁生産又はここに示した値によって境界を定められた任意範囲は、臓器管理システム600で保存されている肝臓が正常に機能しており、生存可能性があることを示す。臓器がin vivoであれば、上述の技法の多くは不可能ではなくとも困難となる可能性がある。
X. 実施例
幾つかの実施形態に関する実験的検査と結果を後述する。後述するように、実験的検査には多数の検討と段階が含まれた。段階Iには、上記OCSシステム上に最長12時間置かれた、2つの臓器グループを含んだ27の肝臓試料の検討が含まれた。段階IIには、多数の試料肝臓の4時間にわたる模擬移植のための、肝臓取り出し、保存、模擬移植手術プロセスの臨床的段階の再現を含めた。段階IIIは、多数の試料肝臓の24時間にわたる模擬移植のための、肝臓取り出し、保存、模擬移植手術プロセスの臨床的段階の再現を含んだ。
A. 段階I
グループA及びグループBの臓器が段階Iで使用された。段階Iの目的は、(1)膨張圧調整された赤血球(RBC)ベースの栄養分豊富な潅流液を使用して、肝臓をOCSシステム上で、最長12時間、最適な状態で潅流し、保存することと、(2)門脈及び肝動脈循環のために、安定した近生理学的血行動態(圧力及び流量)を維持することと、(3)胆汁生産率、肝臓酵素の傾向、安定したpHレベル及び動脈乳酸エステル・レベルを監視することにより、OCS上の臓器の機能と安定性の監視を可能にすることと、(4)OCS後の臓器の病理組織学的評定とを含む。
検査に使用された動物モデルは、70-95 kgのヨークシャー豚を含む豚モデルであった。人体構造と成人臓器サイズ比の類似性により、ヨークシャー豚がモデルとして使用された。検査用の潅流液は赤血球ベースであった。肝臓は高代謝活性臓器であることから、酸素を運ぶ能力のある栄養豊富な潅流液であれば、in-vivo環境を模倣し、臓器の高代謝要求を満たすので、当該臓器にとっては理想的であろう。
肝臓は二重血液供給という点で独特である。上述のように、肝臓は門脈(PV)と肝動脈(HA)を介して血液供給を得る。門脈循環は低圧の循環(5-10 mmHg)であり、肝動脈循環は高圧の拍動性血流(70-120 mmHg)を送出する。安定した潅流パラメータ及び血行動態は、潅流が安定していることを示す。乳酸エステルは最も高感度の生理学的パラメータの1つなので、乳酸エステル・レベルは、適切な潅流のマーカーとして使用され、適切な潅流の良好な指標である。乳酸エステルは、不適切な潅流を示す嫌気的条件下で生産され、乳酸エステル・レベルの傾向は、潅流を適切に評定するための高感度マーカーである。アスパラギン酸アミノ酸転移酵素(「AST」)は、肝臓を評定するために臨床的に使用される標準的なマーカーであり、肝臓生存度のマーカーとしても使用した。ASTレベルの傾向は別のマーカーであり、臓器生存度の指標である。胆汁生産は肝臓の独特な機能である。胆汁生産の監視は、臓器の生存度と機能性に関する別のマーカーである。
段階Iは27の肝臓試料の検討を含んだ。これらのうち、グループAは、細胞ベースの潅流液を使用してOCS上で8時間保存した21の試料を含んだ。グループBは、細胞ベースの潅流液を使用してOSC上で12時間保存された6つの試料を含んだ。
次のプロトコルが段階I、グループA及びクループBの検査に適用された。
まず、動物の下準備、臓器取り出し、カニューレ挿入及びOCS前の洗浄について記載する。70-95kgのヨークシャー豚を一頭ずつ檻の中で、テラゾルとキシラジンの組合せを、6.6 mg/kgのテラゾルと2.2 mg/kgのキシラジンからなる投与量に従って筋肉注射することにより、鎮静させた。次に、この動物は挿管、静脈ライン確保され、それから背臥位で手術台に移され、その後、酸素吸入器と麻酔器に接続された。右肋骨下切開により肝臓を露出させ、次に、正中胸骨切開により心臓を露出させた。肝動脈(HA)、門脈(PV)、及び総胆管は分離された。右心房と上大静脈は、その後分離され、血液収集のためにカニューレ挿入された。その後、右心房を介して2-3リットルの血液が40 Fr静脈カニューレを使用して動物から収集された。収集された血液は、次に洗浄赤血球収集のためにセルセーバー装置(ヘモネティクス・セル・セーバー5+)を通じて処理された。血液を収集する間は肝臓に局所冷却を施した。その後、肝臓を摘出した。
肝臓摘出後、肝動脈(HA)、門脈(PV)、総胆管、肝上大静脈、及び肝下大静脈は分離され、それぞれに適したサイズを使用してカニューレ挿入された。例示的サイズのカニューレは、肝動脈カニューレ用として14 Fr、16 Fr、18 Fr、門脈カニューレ用として40 Fr及び44 Fr、総胆管カニューレ用として12 Fr及び14 Fr、肝上大静脈用として40 Fr、肝下大静脈用は40 Frを含む。
その後、肝臓は3リットルの低温のプラズマライト(商標登録)溶液を使用して洗浄され、各1リットルに対して、重炭酸ナトリウム(NHCO3) 10 mml/L、エポプロステノール・ナトリウム2マイクログラム/L、メチルプレドニソロン160 mg/Lを補充した。1リットルが約50-70 mmHgで肝動脈を介して送出された。2リットルが門脈を通じて、重力により送出された。
カニューレ挿入後、臓器は、OCSにおいて34℃で12時間にわたり膨張圧調整された赤血球(RBC)ベースの潅流液を使用して保存された。OCS-肝臓システム・プライム潅流液は洗浄赤血球と、アルブミン25%と、プラズマライト(登録商標)溶液と、デキタメタゾンと、重炭酸ナトリウム(NaHCO3) 8.4%と、潅流用成人マルチ・ビタミン(INFUVITE(登録商標))と、グルコン酸カルシウム10%(100 mg/ml)と、セファゾリンなどのグラム陽性の抗生剤とシフロフロキサシンなどのグラム陰性の抗生剤とを含む。下の表7は肝臓プライム潅流液の組成と一回分の投与量の一覧である。
Figure 2022105036000016
上記のOCS-肝臓循環潅流液に加えて、アラリス一体型注入ポンプを使用して、次の物質が潅流液に連続注入液として送出された。すなわち、CLINIMIX E(4.25%アミノ酸/10%デキストロース)に加えてインシュリン(30IU)、グルコース(25g)、ヘパリン40,000単位からなる完全静脈栄養(TPN)と;肝動脈圧を最適化するため必要に応じてプロスタサイクリン注入(エポプロステノール・ナトリウム)と;胆汁塩補充のため必要に応じて胆汁塩(タウロコール酸塩)とである。以下の表8は肝臓潅流液の注入物と注入速度を示す。
Figure 2022105036000017
Figure 2022105036000018
肝臓は、血液ベースの温かく、酸素化され、栄養豊富な潅流液を、肝動脈及び門脈を介して送出することにより、OCS上で潅流した。肝臓がOCS上で計装され、全てのカニューレが接続された後、10-20分かけて目標流量に到達するように、徐々にそして非常にゆっくりとポンプ流量を増やした。肝臓を設定温度に温める間に、流量制御クランプは、肝動脈と門脈との流量比が1:1から1:2までの比を維持するように調整された。肝動脈圧を管理するため、血管拡張剤の流量は必要に応じて調整した。動脈血の試料は最初の15-20分以内に収集された。
OCS-肝臓装置での潅流中、次の潅流パラメータが維持された。すなわち、肝動脈圧(平均HAP):75-100 mmHg;肝動脈流(HAF):300-700 ml/分;門脈圧(平均PVP):4-8 mmHg;門脈流(PVF):500-900 ml/分;潅流液温度(温度):34℃;酸素ガス流400-700 ml/分である。
OCS-肝臓潅流上の乳酸エステル・レベルは、次のサンプリング方式に従って収集された。1つのOCS肝動脈試料は、OCS-肝臓装置での潅流開始から10-20分以内に収集された。継続して複数の試料が、乳酸エステル・レベルが下方に傾くまでは、およそ1時間の間隔でこの装置より収集され、その後は2時間ごとに、又はHAF若しくはHAPが能動的に調整されればその後に採取された。ベースライン肝臓酵素が、今回の動物から測定された。肝臓酵素は、開始2時間後から2時間ごとに、OCS上で収集し、評定した。
OCS後の病理組織学的サンプリング
保存時間の終了と共に、OCS潅流も終了した。肝臓は装置から切り離されて、全てのカニューレは取り外された。肝臓から標本が収集され、病理組織評定のために10%のホルマリン液の中に保存された。乾湿比測定のために肝臓切片が収集された。80℃の加熱炉に入れる前及び入れてから48時間後に、切片の重量が記録された。乾湿重量比が、その後、以下の式で計算された:すなわち、含水率(乾/湿比)=1-(終了重量/開始重量)である。
HAF、HAP、PVF、及びPVPのOCSでの保存の全体を通じた安定した潅流パラメータと、安定した又は下降傾向の動脈乳酸エステルと、10 ml/時間を上回る量の連続的な胆汁生産と、安定した又は下降傾向の肝臓酵素(AST)と、正常で安定した潅流液pHとを含む判定基準を満たせば、肝臓は許容可能であると判断した。
段階I、グループAで、21の試料は、上記の特定された判定基準を満足した。図31のグラフが示す8時間にわたるOCS肝臓潅流の肝動脈流(HAF)のデータは、OCSにおける8時間の保存全体を通じた肝動脈流の傾向から明らかなように、OCS潅流された豚の肝臓が安定した潅流を示したことを実証した。図32のグラフが示す8時間にわたるOCS肝臓潅流の門脈流(PVF)のデータは、OCSにおける8時間の保存全体を通じたPVF傾向を示すが、OCSにおける8時間の保存全体を通じた門脈流の安定した傾向から明らかなように、安定した潅流を実証した。図33は、8時間のOCS-肝臓潅流の全体を通じた肝動脈圧に対する門脈圧のグラフを示す。図33は、8時間の保存の全体を通じた安定した門脈圧と肝動脈圧から明らかなように、OCS潅流された豚の肝臓が安定した潅流圧を実証したことを示している。
図34は、8時間にわたるOCS肝臓潅流の動脈乳酸エステル・レベルのグラフである。図34は、OCSでの8時間の保存の全体を通じて、肝臓の乳酸エステルを除去する能力と下降傾向の乳酸エステルとから明らかなように、OCS潅流された豚の肝臓が優れた代謝機能を実証したことを示す。図35は、8時間にわたるOCS肝臓潅流の総胆汁生産のグラフである。図35は、OCS潅流された肝臓がOCSでの8時間の保存の全体を通じて、保存臓器の機能性を表す10ml/時間を上回る量で、胆汁を連続的に生産したことを示す。図36は、8時間にわたるOCS肝臓潅流のASTレベルのグラフを示す。アスパラギン酸アミノ酸転移酵素(AST)は、肝臓を評定するために臨床的に使用される標準的なマーカーである。図36のグラフは、OCS潅流された肝臓がOCSでの8時間にわたる潅流で、良好な肝機能の現れである下降傾向のASTレベルを示したことを実証した。図37は、8時間にわたるOCS肝臓潅流のACTレベルのグラフを示す。図37に示されるように、活性化全血凝固時間(ACT)は、OCSでの8時間にわたる潅流で、300秒を上回るレベルを維持した。図38は、OCSにおける8時間の保存の全体を通じた膨張圧のグラフを示す。図38に示されるように、膨張圧はOCS上で安定状態を維持した。
図39は、OCS肝臓潅流の8時間にわたる炭酸水素ナトリウム・レベルのグラフを示す。図39に示されるように、OCSでの8時間にわたる潅流で、重炭酸ナトリウム(HCO3)レベルは、修正に必要とされる最小限のHCO3投与量で肝臓の正常な生理学的範囲内を維持し、安定した代謝プロファイルを示した。図40は、OCSにおける8時間の保存の全体を通じて検出されたpHレベルのグラフである。図40に示されるように、OCSでの8時間の潅流にわたり、修正のために重炭酸ナトリウムを加える必要なく又は最小限の付加で、安定的で正常なpHが維持され、臓器が良好に機能し適切に潅流されていることを示した。
図41は段階I、グループAの試料から採取した組織の画像を示す。実質組織と胆管組織の組織学的検査は、壊死や虚血の兆候のない正常な肝臓類洞構造と、正常な胆管上皮細胞とを示しており、これは潅流が適切であること及び虚血性傷害が無いことも表している。
段階I、グループBに関して、12時間維持された臓器で観察された結果は、グループAの結果と似た、許容可能な結果を表した。
上記グループAのように、段階I、グループBでは、HAF、HAP、PVF、及びPVPのOCSにおける保存の全体を通じた安定した潅流パラメータと、安定した又は下降傾向の動脈乳酸エステルと、10 ml/時間を上回る量の連続的な胆汁生産と、安定した又は下降傾向の肝臓酵素(AST)と、正常で安定した潅流液pHとを含む判定基準を満たせば、肝臓は許容可能であると判断した。
図42は12時間のOCS肝臓潅流の肝動脈流を示す。図示されているように、図42のグラフは、OCSにおける8時間の保存全体を通じた肝動脈流(HAF)の傾向から明らかなように、OCS潅流された豚の肝臓が安定した潅流を実証したことを示す。
図43は12時間のOCS肝臓潅流の門脈流を示す。図示されているように、図43のグラフは、OCSにおける12時間の保存全体を通じた安定した門脈流(PVF)の傾向から明らかなように、OCS潅流された豚の肝臓が安定した潅流を実証したことを示す。
図44は、12時間のOCS-肝臓潅流における、肝動脈圧に対する門脈圧のグラフを示す。OCSにおける図44のグラフは、12時間の保存の全体を通じた安定した門脈圧(PVP)と肝動脈圧(HAP)の傾向からも明らかように、OCS潅流された豚の肝臓が安定した潅流圧を実証したことを示す。
図45は、12時間のOCS-肝臓潅流の動脈乳酸エステルを示す。図45のグラフは、12時間のOCSでの保存の全体を通じて、乳酸エステルを除去する肝臓の能力と下降傾向の乳酸エステル・レベルとから明らかなように、OCS潅流された豚の肝臓が優れた代謝機能を実証したことを示した。
図46は、12時間のOCS-肝臓潅流における胆汁生産を示す。図46のグラフは、OCS潅流された肝臓が、OCSでの12時間の保存の全体を通じて、良好に保存された臓器機能の指標である10ml/時を上回る量で、胆汁を連続的に生産したことを実証した。
図47は12時間のOCS-肝臓潅流のASTレベルを示す。アスパラギン酸アミノ酸転移酵素(AST)は、肝臓を評定するために臨床的に使用される標準的なマーカーである。図47のグラフは、OCS潅流された肝臓がOCSでの12時間の潅流にわたり、下降傾向のASTレベルを表したことを実証している。これは肝機能が良好であることを示している。
図48は12時間のOCS-肝臓潅流におけるACTレベルを示す。図48にしめしたように、OCSでの12時間の潅流にわたり、活性化全血凝固時間(ATC)は300秒を上回るレベルを維持した。
B. 段階II
段階II又はグループCは12の肝臓試料の検討を含んだ。これらの内6つは、細胞ベースの潅流液を使用してOCSで8時間保存され、その後、潅流液として全血を使用して、OCSで4時間の模擬移植手術が施された。他の6つの試料は、UW溶液中で8時間静的低温保存され、その後、潅流液として全血を使い、OCSで4時間の模擬移植が施された。
段階IIの目的は、RBCベースの潅流液を使用したOCSでの肝臓の8時間にわたる温潅流保存と、それに続く45分間の冷虚血、更に全血を使用した4時間のOCS-肝臓の温潅流とを行い、(a)膨張圧調整されたRBCベースの栄養分豊富な潅流液を使用して、肝臓をOCSシステムで8時間にわたり最適な状態で潅流し、保存することと、(b)門脈及び肝動脈循環のために、安定した近生理学的血行動態(圧力及び流量)を維持することと、(c)胆汁生産率、肝臓酵素の傾向、安定したpHレベル及び動脈乳酸エステル・レベルを監視することにより、OCSでの臓器の機能性と安定性の監視を可能にすることと、(d)OCSでの最初の8時間の後、臓器に45分間の冷虚血を施すことと、(e)その後、OCS上で全血を使用して4時間の模擬移植を行う一方で、臓器血行動態と潅流パラメータを監視且つ評定し、臓器機能性を監視することとを含む。
OCSにおける模擬移植を用いて、同所移植手術に関連した交絡変数を最小化し、虚血/再潅流の影響だけに対する変数を分離した。
臨床前模擬移植検査のこのグループ(C)はその範囲を拡大して、標準治療の低温肝臓保存溶液を使用した、冷蔵豚の肝臓のコントロール群を含めた。低温保存段階以外は、この群の手順は、同じグループ(C)のOCS模擬移植群と同一である。詳細なプロトコルと結果を以下に記載する。
段階Iと同様、70-95kgのヨークシャー豚が段階IIの検査対象として使用された。この段階では2頭の動物が各検討で使われ、1頭は臓器ドナーとして、もう1頭はOCSでの模擬潅流段階における血液ドナーとして使われた。
模擬動物移植手術モデルでは、ドナーの臓器には、同所移植におけるものと同一の移植用の臓器取り出し、保存、及び末期冷却条件が適用された。唯一の違いは、移植段階において、保存損傷によるドナー臓器への真の影響を隠す可能性がある同所移植の交絡変数全てを制御するために、ex-vivoのOCS潅流システム内で別の動物の未改質全血を使って臓器を再潅流したことである。模擬移植段階で監視されるドナー臓器の機能及び損傷のマーカーは、同所移植手術の間に監視されるであろうものと同一とした。段階II試料の受入基準は上述されたものと同じであり、4時間の模擬移植中、測定された。
段階II、模擬移植OCS群、6つの試料(N=6)
このセットは、肝臓取り出し、保存、及び模擬移植手術プロセスの全ての重要な臨床的段階を、次の順序で再現することにより達成された。
ドナー臓器取り出し(30-45分):本段階中、ドナー肝臓取り出しの臨床条件とOCS肝臓システムでの計装とを再現するために、ドナー臓器を取り出して30-45分低温洗浄した。段階Iに記載されたものと同一の準備、臓器取り出し、カニューレ挿入及びOCS前の洗浄を実行した。
OCSでのドナー肝臓保存(8時間):本段階において、ドナー臓器は、OCS肝臓システムを使用してex-vivoでの潅流を施し、評定した。本段階中、肝臓を監視し、1時間毎に、肝臓損傷のマーカー(ASTレベル)と、代謝機能のマーカー(乳酸エステル・レベル)と、肝機能/生存度のマーカーとして胆汁生産率とについて評定した。段階Iで記載した8時間の保存試料と同一の臓器保存方法を本グループに対しても行った。
OCS後の冷虚血保存(45分):再移植手術に必要とされるドナー肝臓の最終冷却を再現するため、臨床プロトコルに指定されているように、本段階中、ドナー肝臓は低温の洗浄液を使用して洗浄された。レシピエントにおける再移植手術を実行するために必要とされる時間を再現するために、ドナー肝臓は45分間低温を維持した。OCS肝潅流終了セットに含まれた最終洗浄ラインを使い、重炭酸ナトリウム(NHCO3)10 mm/Lと、エポプロステノール・ナトリウム2 mcg/Lと、メチルプレドニゾロン160 mg/L洗浄液とを補充した3リットルの低温プラズマライト溶液を使用して肝臓を洗浄し且つ冷却したが、その内1リットルは約50-70 mmHgで肝動脈に供給し、2リットルは重力排水で門脈に供給した。その後、肝臓はOCSから切り離され、低温の生理食塩水槽内に45分置かれた。
ドナー肝臓の最終再潅流(4時間):保存技法による虚血及び再潅流の移植片(graft)評定マーカーを、移植モデル(上述した)に関連付けられた他の交絡変数から分離するために、移植手術は以下の手順で再現/シミュレートされた。肝臓移植片は、新しいOCS肝臓潅流モジュールで、別の豚からの正常温の新鮮全血を使用し、37℃で4時間にわたりex-vivoで再潅流された。模擬移植段階のために、新しい潅流モジュールがOCSでの臓器の潅流に使用された。潅流圧/潅流量は近生態学的レベルに制御し、温度は37℃を維持した。肝臓は保存時と同じマーカーを使用して、1時間毎に監視された。加えて、肝臓組織試料は、肝臓組織構造と損傷兆候があればそれを評定するために、段階Iで記載したものと同じ方法で、組織学的に評価された。
段階II、模擬移植低温保存コントロール群(N=6)
これは、肝臓取り出し、保存、及び模擬移植手術プロセスの全ての重要な臨床的段階を次の順序で再現することにより実現した。
ドナー臓器の取り出し(30-45分):
本段階中、ドナー肝臓取り出しの臨床的状態を再現するために、ドナー臓器は30-45分間、取り出された。段階Iに記載されたものと同一の準備、臓器取り出し、カニューレ挿入及びOCS前の洗浄を実行した。
ドナー肝臓の低温保存:この段階中、肝臓低温保存の標準治療を模倣するために、ドナー肝臓は、標準治療用の冷蔵溶液Belzer UW(登録商標)(UW溶液)を使用して、肝臓洗浄及び2-5℃での冷蔵のために8時間保存された。
低温保存後の、臓器洗浄および準備(45分):本段階中、ドナー肝臓は、OCS肝臓潅流終了セットに含まれる最終洗浄経路を使用して低温の洗浄溶液で洗浄された。重炭酸ナトリウム(NaHCO3)10 mmLと、エポプロステノール・ナトリウム2マイクログラム/Lと、メチルプレドニゾロン160 mg/L洗浄液とを補充した3リットルの低温のプラズマライト溶液を使用して、肝臓をOCSで洗浄したが、その内1リットルは約50-70 mmHgで肝動脈に、2リットルは重力排水で門脈に供給した。その後、肝臓をOCSから切り離し、低温の生理食塩水槽の中に45分間置いた。
ドナー肝臓の最終再潅流(4時間):保存技法による虚血及び再潅流の移植片評定マーカーを、移植モデル(上述した)に関連付けられた他の交絡変数から分離するために、移植手術は以下の手順で再現/シミュレートされた。肝臓移植片は、新しいOCS肝臓潅流モジュールで、別の豚からの正常温の新鮮全血を使用して、4時間にわたりex-vivoで再潅流された。潅流圧/潅流量は近生態学的レベルに制御し、温度は37℃を維持した。肝臓は保存時と同じマーカーを使用して、1時間毎に監視された。加えて、肝臓組織試料は、肝臓組織構造と損傷兆候があればそれを評定するために、段階Iで記載したものと同じ方法で、組織学的に評定された。
段階IIの観察結果は、OCSシステムを使って潅流された試料が、冷蔵された試料よりも良好な潅流後の結果を達成したことを示している。当該グループのOCS群と比べると、冷蔵された試料は、4時間の模擬移植の間、前述の受入基準を満たさなかった。
当該グループのOCS群は、動脈乳酸エステルの下降傾向に示されているように、かなり良好な代謝機能を実証したが、それ比べて、冷蔵コントロール群では、高レベルで不安定な乳酸エステルの傾向に示されているように、4時間の模擬移植にわたり、その肝臓代謝機能は不安定且つ悪化傾向のプロファイルを示した。このことは、冷蔵コントロール群に比べて、OCS群の肝臓はその機能が有意に良好であったことを示している。冷蔵コントロール群では、肝臓損傷の高感度マーカーである肝臓酵素(AST)プロファイルは、不安定で、当該グループのOCS群に比べてかなり高いレベルに達する傾向が続いた。このことは、OCS群の肝臓酵素(AST)の低レベル傾向によって示されたように、OCS群の肝臓移植片の保存性及び機能が良好であったことに比べて、コントロール群の肝臓移植片では肝機能が易感染性であったことを示す。冷蔵コントロール群では、安定した代謝プロファイルを達成し維持するには、そのpH傾向は、同グループのOCS群よりもかなり多くの重炭酸ナトリウムを必要とした。このことは、OCS群は、冷蔵コントロール群よりもかなり良好な代謝プロファイルを維持できたことを示す。胆汁生産率は、冷蔵コントロール群ではOCS群よりも低いものであった。このことは、OCS群の移植片の肝機能が、冷蔵コントロール群に比べて、より良好であることを示している。潅流パラメータは当該グループの両群で同等であった。上記の比較結果に基づくと、OCS群は、プロトコルで予め規定されたの受入基準を満足したが、冷蔵コントロール群は同一の受入基準を満足しなかった。
図49は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群の肝動脈流を示す。図示されているように、図49のグラフは、模擬移植中のOCSでの4時間にわたる潅流で、安定した肝動脈流(HAF)を表す。
図50は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群の門脈流を示す。図50に図示されているように、このグラフは、模擬移植中のOCSでの4時間にわたる潅流で、安定した門脈流(PVF)を実証する。
図51は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群における、肝動脈圧と門脈圧とを示す。図51のグラフは、OCSでの4時間にわたる潅流で、安定した肝動脈圧(HAP)と門脈圧(PVP)の傾向を実証する。
図52は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存群における動脈乳酸エステルを示す。図52のグラフは、OCS群の潅流された肝臓は、動脈乳酸エステルの下降傾向に示されているように、代謝機能がかなり良好であったことを実証している。このことは、冷蔵群に比べて、OCS群の肝臓の代謝機能が有意に良好であったことを示す。
図53は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群の胆汁生産を示す。図53のグラフは、OCS群の潅流された肝臓は、冷蔵肝臓に比べて胆汁生産率がより高かったことを示す。このことは、冷蔵グループに比べて、OCSグループの肝移植片の機能がより良好であったことを示す。
図54は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群のASTレベルを示す。図54のグラフは、OCSで潅流された肝臓が、4時間の模擬移植の全体を通じて、有意に低いASTレベルを示したことを実証する。このことは、冷蔵グループに比べて、OCSグループの移植片の肝臓損傷が有意に少ないことを示す。
図55は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群のACTレベルを示す。活性化全血凝固時間(ACT)は、OCSでの8時間にわたる潅流で、300秒を上回るレベルを維持した。
図56は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群の膨張圧を示す。図56に示されるように、OCS-肝臓保存群では、膨張圧は安定していた。
図57は、模擬移植のOCS肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群の重炭酸ナトリウム・レベルを示す。
図58は、模擬移植のOCS-肝臓保存群に対する模擬移植の低温保存コントロール群のpHレベルを示す。図58のグラフは、冷蔵肝臓に比べて、OCSでの4時間にわたる潅流で、pHレベルがより良好であったことを実証する。OCSで潅流された肝臓は、冷蔵グループと比べて、修正のために最小限のHCO3しか必要とせず、このことは、コントロール群に比べて、OCS群では肝臓移植片がより良好に機能していることの指標である。
図59に示されているように、実質組織と胆管組織の組織学的検査は、壊死や虚血の兆候のない正常な肝臓類洞構造と、正常な胆管上皮細胞とを示しており、これは潅流が適切であること及び虚血性傷害がないことも表している。
図60に示したように、実質組織及び胆管組織の組織学的検査は、実質組織内の有意な出血及び鬱血と、肝小葉間出血と、多発広汎性肝小葉肝出血と、小葉鬱血とを示している。
C. 段階III
このグループの臨床前模擬移植検査を行って、12時間にわたりOCSで保存された肝臓(3つの試料)と、12時間にわたり標準治療用の低温肝臓保存溶液Belzer UW(商標登録)(UW溶液)を使用して低温保存されたコントロール群の肝臓(3つの試料)とを比較した。その後、OCS群と冷蔵群の両群は、別の動物からの白血球除去処理済血液を使用したOCSでの模擬移植モデルで24時間評定された。低温保存段階を除いて、当該グループの両群のプロトコルは同一であった。模擬移植段階中は、予め規定された範囲内に維持された安定した潅流パラメータと、胆汁生産と、AST、ALT、ALP、GGT、総ビリルビンを含む肝臓生物マーカーと、pHレベルと、動脈乳酸エステル・レベルとを監視し且つ測定することによって、臓器の機能と安定性が評定された。模擬移植段階の後は、肝臓は病理組織学評定のためにサンプリングされた。本段階の受入基準は、段階Iで概説した受入基準と同じであった。
OCS群:
ドナー臓器の取り出し:本段階中、ドナー肝臓の取り出しとOCS肝臓システムでの計装との臨床的状態を再現するためにドナー臓器を取り出して、低温洗浄した。段階Iに記載されたものと同一の準備、臓器取り出し、カニューレ挿入及びOCS前の洗浄を実行した。
OCSでのドナー肝臓保存(12時間):本段階中、ドナー臓器はOCS肝臓システムを使用して、ex-vivoでの潅流を施し、評定した。段階Iで記載した、8時間の保存試料の保存と同様の臓器保存を本グループに対しても行った。プライム潅流液の組成は、1500-2000 mlのRBC(血行動態セルセーバー)、400 mlのアルブミン25%、700 mlのプラズマライト、抗生剤(グラム陽性とグラム陰性)1gのセファゾリンと10 mgのレボフロキサシン、500mgのソルメドロール、20mg、デキサメサゾン、50 mmolの重炭酸ナトリウム、1バイアルのマルチ・ビタミン及び10 mlのグルコン酸カルシウムグルコネート(4.65 mEq)であった。
保存中、80%のO2を、臓器計装の直前から450 ml/分の流量で使用開始し、動脈pCO2及びpO2に従って調節した。温度は34℃を維持した。
統合OCS-SDSを使用して、注入液が連続的に送出された。フローランが、必要に応じて0-20マイクログラム/時間(20 ml/時間)の量でHAへの流入に付加された(フローラン希釈剤50 ml中0.05mgフローラン「1マイクログラム/ml」)。30 IUのインシュリン、25gのグルコース及びヘパリン40,000単位を加えたクリニミックスE TPNが、プライミング開始とともに、30mL/時間の量でPVに連続的に注入された。タウロコール酸ナトリウム塩及びガンマ線滅菌胆汁塩が、3 mL/時間で(濃度1g/50 mlの滅菌水)プライミング開始とともに注入された。
目標流圧と流量は、門脈圧1-8 mmHg、門脈流量0.7-1.7 L/分、肝動脈圧85-110 mmHg、及び肝動脈流量0.3-0.7 L/分であった。
OCS肝潅流終了セットに含まれた最終洗浄経路を使用して、OCSで3リットルの低温プラズマライト溶液を使って肝臓を洗浄し且つ冷却したが、その内1リットルは約50-70 mmHgで肝動脈に供給し、2リットルは重力排水で門脈に供給した。その後、肝臓をOCSから切り離し、低温の生理食塩水槽の中に45分間置いた。
静的低温保存群:
段階Iに記載されたものと同一の準備、臓器取り出し、カニューレ挿入及びOCS前の洗浄を実行した。
3リットルのUWで臓器を洗浄後、UW溶液中に約5℃で12時間低温保存した。OCS肝潅流終了セットに含まれた最終洗浄経路を使用して、OCSで3リットルの低温プラズマライト溶液を使って肝臓を洗浄し且つ冷却したが、その内、1リットルは約50-70 mmHgで肝動脈に、2リットルは重力排水で門脈に供給した。その後、肝臓をOCSから切り離し、低温の生理食塩水槽の中に45分間置いた。
両セットの肝臓には24時間にわたり移植後段階が施され、その間にOCS装置上で計装され、1500-3000 mlの白血球除去処理済血液と、100 mlのアルブミン25%と、抗生剤(グラム陽性及びグラム陰性)1gセファゾリン及び100 mgレボフロキサシンと、500 mgのソルメドロールと、20 mg、デキサメサゾンと、50 mmolの重炭酸ナトリウムと、1バイアルのマルチ・ビタミンと、10 mlのグルコン酸カルシウム(4.65 mEq)とを含む潅流後溶液が供給された。模擬移植中、80%のO2を、臓器計装の直前から450 ml/分の流量で使用開始し、動脈pCO2及びpO2に従って調節した。温度は37℃を維持した。
統合OCS-SDSを使用して、注入液が連続的に送出された。必要に応じてフローランが0-20マイクログラム/時間(20ml/時間)の量でHAへの流入に付加された(フローラン希釈剤50ml中0.05mgフローラン「1マイクログラム/ml」)。30IUのインシュリン、25gのグルコース及びヘパリン40,000単位を加えたクリニミックスE TPNが、プライミング開始と共に、30mL/時間の流量でPVに連続的に注入された。タウロコール酸ナトリウム塩、ガンマ線滅菌胆汁塩が、3 mL/時間で(濃度1g/50 mlの滅菌水)プライミング開始とともに注入された。
目標流圧と流量は、門脈圧1-8 mmHg、門脈流量0.7-1.7 L/分、肝動脈圧85-110 mmHg、及び肝動脈流量0.3-0.7 L/分であった。
OCS肝潅流終了セットに含まれた最終洗浄経路を使用して、OCSで3リットルの低温プラズマライト溶液を使って肝臓を洗浄し且つ冷却したが、その内、1リットルは約50-70 mmHgで肝動脈に供給し、2リットルは重力排水で門脈に供給した。1リットルにつき、10 mmolのHCO3と150mgのソルメドロールを補充する。その後、肝臓をOCSから切り離し、低温の生理食塩水槽の中に45分間置いた。以下の表9は肝臓潅流液の注入物と注入速度を示す。
Figure 2022105036000019
Figure 2022105036000020
図61は、豚の肝臓から採取した試料の位置を示した、試料配置図である。
引き続き、次の肝臓病理組織学サンプリング・プロトコルが、試料肝臓を評定するために行われた。
試料収集時間:実験完了時(24時間模擬移植段階の終了時)
方法及び収集した試料:
1. 全体図:OCSのカプセルと下方表面及び検討後総検査初期のCS肝臓の写真。
2. 胆管:中性緩衝ホルマリン瓶内の肝外胆管全体及び全ての付着した周囲組織(周囲組織から外科的に切除されたものではない)
3. 電子顕微鏡検査(EM):左側葉と右中葉の周辺部と深部からの0.1 cm(1 mm)の肝臓片。細胞標本を電子顕微鏡固定剤の中に置く。
4. 肝臓実質組織(LM):各葉(全8)の周辺部と深部から採取された1 x 1cm片、ホルマリン中に保存。採取片の厚みは3-5 mm以下、固定剤の量は標本の量の15-20倍の量とする。明らかな異常があればサンプリングされた。
試料位置:
肝臓実質組織を評定するため、図61に従って、各葉から2片の試料が収集され、10%ホルマリンを満たし且つしかるべくラベリングした別々の瓶の中に、各試料を保存する。
1. 左側葉周辺部-‐LM(LLLP-‐LM)
2. 左側葉周辺部-‐LM(LLLP-‐EM)
3. 左側葉深部-‐LM(LLLD-‐LM)
4. 左側葉深部-‐LM(LLLD-‐EM)
5. 左中葉周辺部-‐LM(LMLP-‐LM)
6. 左中葉深部-‐LM(LMLD-‐LM)
7. 右中葉周辺部-‐LM(RMLP-‐LM)
8. 右中葉周辺部-‐EM(RMLP-‐EM)
9. 右中葉深部-‐LM(RMLD-‐LM)
10. 右中葉深部-‐EM(RMLD-‐EM)
11. 右側葉周辺部-‐LM(RLLP-‐LM)
12. 右側葉深部-‐LM(RLLD-‐LM)
13. 肝外胆管-‐(EHBD)
データ収集と分析
保存データは変数に応じて表やグラフの形式に要約した。その後、連続変数が平均値、中央値、標準偏差値、最小値及び最大値を用いて分析された。その後、AST、ALT、GGT、ALPの検査結果が収集され、記録され、添付された。次に、動脈乳酸エステルの検査結果が収集され、記録され、添付された。その後、pHが計測され、記録され、添付された。その後、HCO3レベルが計測され、記録され、添付された。最後に、総胆汁生産量が収集され、記録された。
段階IIIの結果
本グループのOCS群(N=3)は、OCSでの保存の全体を通じたHAF、HAP、PVF及びPVPの安定した潅流パラメータと、安定した又は下降傾向の動脈乳酸エステルと、10ml/時間を上回る率の連続的な胆汁生産と、安定した又は下降傾向の肝臓酵素(AST)と、正常で安定した潅流液pHとを24時間の模擬移植段階の全体を通じて実証することによって、プロトコルで予め規定された全ての受入基準を満足した。例えば、図62は、OCSでの24時間にわたるOCS潅流での、肝動脈圧(HAP)の傾向を示す。
図63は、OCS-肝臓保存群に対する低温保存コントロール群の門脈圧を示す。図63は、OCSでの24時間にわたる潅流の門脈圧(PVP)傾向を実証する。すなわち、低温保存群は、OCS保存群の安定したPVPと比べてPVPの経時的な増加を実証した。
図64は、OCS-肝臓保存群に対する低温保存コントロール群の肝動脈流を示す。図64は、OCSでの24時間にわたる潅流での、安定した動脈流(HAF)の傾向を表している。
図65は、OCS-肝臓保存群に対する低温保存コントロール群の門脈流を示す。図65は、OCSでの24時間にわたる潅流過程での、安定した門脈流(HAF)の傾向を実証する。
比較すると、模擬移植OCS群(N=3)の成績はコントロール群よりも良好であった。潅流パラメータは、当該グループの両群で比較できる程度に類似してはいたが、コントロール群の血管抵抗はOCS群と比べると、より高かった。コントロール群の7.8 mmol/Lの乳酸エステル・ピーク値は、OCS群の2.4 mmol/Lと比べると、かなり高かった。両群とも模擬移植段階の全体を通じて、10 ml/時間を上回る量で胆汁を生産し続けた。例えば、図66は、OCS-肝臓保存群に対する低温保存コントロール群の動脈乳酸エステルを示す。図66は、OCS-肝臓保存群に対する低温保存コントロール群の動脈乳酸エステルを示す。このことは、冷蔵群に比べて、OCS群の肝臓の代謝機能が有意に良好であったことを示す。
肝臓損傷の高感度生物マーカーである肝臓酵素(AST、ALT及びGGT)は、当該グループのOCS群に比べて、かなり高いピーク値を示した。コントロール群の平均ASTのピーク値が1188あるのに対し、OCS群は88.7であった。コントロール群の平均ALTレベルのピーク値が82であるのに対し、OCS群は31.3であった。コントロール群の平均GGTレベルのピーク値が97であるのに対し、OCS群は28.7であった。このことは、コントロール群に比べて、OCS群では肝臓が良好に保存され、肝臓移植片の細胞損傷がより少ないことを示す。例えば、図67は、OCS-肝臓保存群に対する低温保存コントロール群のASTレベルを示す。図67のグラフは、OCSで潅流された肝臓が、24時間の模擬移植期間の全体を通じて、ASTが有意に低いレベルであったことを実証した。このことは、冷蔵グループに比べて、OCSグループの移植片の肝臓損傷が有意に少ないことを示す。
図68は、OCS-肝臓保存群に対する低温保存コントロール群のALTレベルを示している。 図68は、OCSで潅流された肝臓のALTレベルは、コントロールグループの平均ピーク値82と比べて、より低いレベルの平均ピーク値31.3であったことを実証している。このことは、冷蔵群に比べて、OCS群の移植片は、肝臓損傷が少ないことを示している。
図69は、OCS肝臓保存群に対する低温保存コントロール群のGGTレベルを示す。図69は、OCSで潅流された肝臓は24時間を通じて、かなり低いGGTレベルであったことを実証している。このことは、冷蔵群に比べて、OCS群の移植片の肝胆道保護がより良好なことを示す。
コントロール群における低いpHレベルに比べて、安定して正常なpHレベルを示したOCS群は、代謝プロファイルが、コントロール群と比べて良好であることを実証した。このことは、OCS群が、コントロール群よりもかなり良好な代謝プロファイルを維持できたことを示す。例えば、図70は、OCS-肝臓保存群に対する低温保存コントロール群のpHレベルを示す。図70で実証されたように、OCSで潅流された肝臓のpH値は、コントロール低温保存群の肝臓に比べて、24時間にわたる潅流で、正常で安定していた。
更に、当該グループのコントロール群は、模擬移植段階の全体を通じて低いHCO3レベルを実証したが、それに比べてOCS群は、24時間にわたる模擬移植手術において高いHCO3レベルを示すことで、肝代謝機能が良好であったことを実証した。このことは、コントロール群に比べて、OCS-群の肝臓は、代謝機能がより良好であったことを示す。例えば、図71は、OCS-肝臓保存群に対する対する低温保存コントロール群のHCO3レベルを示す。図71に示されているように、OCSで潅流された肝臓は、コントロール低温保存群の肝臓に比べて、24時間にわたる潅流において、HCO3が高いレベルであった。
図72は、OCS-肝臓保存群に対する低温保存コントロール群の胆汁生産を示す。図72は、両群が10ml/時間を上回る胆汁生産率を維持したことを実証する。上に提示したデータに基づくと、OCS群は、最長12時間のOCSでの保存の間、良好な状態で保存された肝臓移植片の機能によって、安定した潅流と代謝プロファイルを実証した。加えて、模擬移植モデルにおいて、静的低温保存コントロール群と比べた場合、OCSで潅流された豚の肝臓は、乳酸エステルが有意に高いレベルまで上がり続けた低温保存肝臓に比べて、乳酸エステルをベースライン・レベルまで代謝する能力から明らかなように代謝機能が有意に良好であったことを示した。加えて、OCSで潅流された豚の肝臓のASTレベルは、模擬移植コントロール群のかなり高いASTレベルと比べて有意に低いものであったが、このことは、OCS群の肝臓移植片の機能が、低温保存コントロール群と比べて良好であったことを示している。この臨床前OCS肝臓装置検査の結果は、所定の受入基準を満たしたことからも明らかなように、OCS装置が豚の肝臓の保存において、安全で効果的であることを示した。段階IIIで観察された、コントロール群とOCS群との差は、OCS群がより良好な結果を示した段階IIで観察された差と似たものであった。付加的利用法
移植手術が意図されているドナー臓器の保存について上述してきたが、本明細書で記載された臓器管理システム600の幾つかの実施形態は、他の目的のためにも使用可能である。例えば、システム600は、再建手術若しくは別のタイプの外科手術、治療及び/又は処置(例えば困難且つ高リスクの手術及び/又は処置)の間、臓器を維持するためにも使用できる。つまり、外科手術、治療及び/又は処置をin vivoの臓器で実行すれば、人体に損傷を与える可能性がある。従って、臓器を患者の体から取り出し、ex vivoで手術し且つ/又はex vivoで治療した後、臓器を患者の体内への再移植が有利となることがある。例えば、ある種の放射線治療は、臓器周辺の細胞に損傷を与える可能性がある。従って、臓器を取り出すことによって、患者の身体に副次的な損傷を与えることなく、集中放射線治療を臓器に施すことができる。他の実施形態も可能である。
D. 臓器への治療薬送出による、癌、脂肪肝、感染症を含む疾患肝臓のex-vivoでの治療
幾つかの実施形態では、臓器管理システム600で保存された肝臓にex-vivoで肝疾患の治療を施すことができる。肝臓疾患の非限定的な例には、癌、脂肪肝、肝臓感染症が含まれる。臓器管理システム600を介して循環する潅流液に治療薬を加えることによって治療を行うことで、治療薬を肝臓自体に供給できる。代替的には、治療薬は、ここで記載した1つ以上の栄養分溶液に直接加えることができる。幾つかの実施形態では、潅流液及び/又は肝臓の温度は40℃又は42℃に維持できるが、この温度は、肝臓中の脂肪過多細胞の破壊と分解を加速できる。
肝臓癌のex-vivoでの治療処置に適した抗癌治療薬の非限定的な例は、微小管結合剤、DNA挿入剤若しくは架橋剤、DNA合成阻害剤、DNA及び/若しくはRNA転写阻害剤、抗体、酵素、酵素阻害剤、遺伝子調節剤並びに/又は血管形成阻害剤とを含む。抗癌剤「微小管結合剤」とは微小管の形成を安定化又は不安定化するためにチューブリンと作用する薬剤のことであり、これにより細胞分裂を阻害する。微小管結合剤の例は、パクリタキセルと、ドセタキセルと、ビンブラスチンと、ビンデシンと、ビノレルビン(ナベルビン)と、エポチロンと、コルヒチンと、ドラスタチン15と、ノコダゾールと、ポドフィロトキシンと、リゾキシンとを含むが、それらに限定されない。これら化合物の類似体及び誘導体も使用可能であり、本発明の分野で公知のこととなる。
抗癌DNA及び/又はRNA転写調節因子は、アクチノマイシンDと、ダウノルビシンと、ドキソルビシンとその誘導体及び類似体とを含むが、これらに限定されない。DNA挿入剤と架橋剤はシスプラチンと、カルボプラチンと、オキサリプラチンと、マイトマイシンCなどのマイトマイシンと、ブレオマイシンと、クロラムブシルと、シクロホスファミドとその誘導体及び類似体とを含むが、これらに限定されない。DNA合成阻害剤はメトトレキサートと、5-フルオロ-5'-デオキシウリジンと、5-フルオロウラシルとその類似体とを含むが、これらに限定されるものではない。適した安定酵素阻害剤の例はカンプトテシンと、エトポシドと、フォルメスタンと、トリコスタチンとその誘導体及び類似体とを含むが、これらに限定されるものではない。他の制癌剤として、アドリアマイシンと、アピゲニンと、ラパマイシンと、ゼブラリンと、シメチジンと、その誘導体及び類似体とを含むことができる。本発明の分野で公知の他の適切な肝臓癌治療剤があれば、考慮される。
上述の化学療法の更に有利な点は、その特異性にある:つまり、抗癌剤は他の健康な器官や細胞に望ましくない毒性をもたらすことなく、疾患臓器である肝臓に特定的に届く。
脂肪肝疾患のex vivoでの治療処置に適した治療剤の非限定的な例は、ピオグリタゾンと、ロシグリタゾンと、オルリスタットと、ウルソジオールと、ベタインとを含む。本発明の分野で公知の他の適切な脂肪肝治療剤があれば、考慮される。
肝臓感染症のex vivoでの治療処置に適した治療剤の非制限的な例は、ターフェロンアルファ2bと、ターフェロンアルファ2aと、リバビリンと、テラプレビルと、ボセプレビルと、シメプレビルと、ソフォスビルとを含む。本発明の分野で公知の他の適切な肝臓感染症治療剤があれば、考慮される。
E. 幹細胞又は遺伝子導入を含む再生アプローチ
他の実施形態では、ここで記載された臓器管理システム600で保存された臓器に、再生処置を施すことができる。臓器再生治療の非限定的な例には、幹細胞治療又は遺伝子導入治療が含まれる。幹細胞は、例えば肝細胞などの特異性細胞に分化しうる、未分化の生体細胞である。成体幹細胞は、様々なタイプの肝臓疾患のある肝臓のドナーの血液、脂肪、骨髄から、又は適合する幹細胞を持った別の成人の肝臓から採取することができる(幹細胞移植手術)。例えば骨髄細胞などの、分離された幹細胞は、肝臓を健康的な状態に戻すために臓器管理システム600に保存されている、損傷した肝臓又は疾患肝臓への注入に使用することができる。例えば、分離された幹細胞はドナーから取り出し、潅流液内の血液製剤に含めることができる。
他の幾つかの実施形態では、ここで記載された臓器管理システム600によって保存された肝臓に遺伝子導入治療を施すことができる。遺伝子導入は、病気治療を行うために、例えば肝細胞といった宿主細胞の中に外来DNAを導入する過程である。幾つかの実施形態では、遺伝子導入治療は、ウィルスを利用して肝細胞内にウィルスのDNAを注入するという、ウィルス媒介遺伝子導入である。適したウィルスの非限定的な例には、レトロウィルスと、アデノウィルスと、アデノ随伴ウィルスと、単純ヘルペスウィルスとが含まれる。幾つかの実施形態では、肝臓病の治療に使用される遺伝子は、ベクター(ウィルス又はその他)にまとめられ、肝臓を潅流する潅流液の一部として含め、又は臓器管理システム600の循環に直接加えられる。
F. Ex-vivoでの免疫調節
他の実施形態では、ここで記載された臓器管理システム600によって保存されたドナーの肝臓に免疫調節を施すことができる。肝臓内の免疫反応と免疫反応の調節は、肝臓移植手術の結果に影響することがある。更に重要なことに、肝臓からの免疫反応を誘導し、増強し又は抑制することにより、肝臓の病気を治療できる。例えば、肝臓癌を治療するためには、肝臓の免疫システムを活性化させて悪性の組織を攻撃できる。他方で、自己免疫性肝炎のような自己免疫肝臓疾患を治療するためには、肝臓免疫システムを抑制することができる。本発明の分野で公知の免疫抑制剤又は免疫活性剤があれば、所望の結果を達成するために、保存された肝臓の治療に使用できる。
G. EX-vivoでの肝臓の外科治療
更に別の実施形態では、肝臓癌切除又は肝臓が二人のレシピエントに分けられる分割移植などの外科処置を、ここで記載された臓器管理システム600によって保存されたドナーの肝臓に施すことができる。更に、他の実施形態では、肝臓癌など一定の肝臓病治療のために、ここに記載した臓器管理システム600によって保存されたドナーの肝臓に放射線治療を施すことができる。
XI.結論
他の実施形態も開示した主題の範囲及び趣旨に入る。幾つかの実施形態において、肝臓をex-vivoで潅流するための潅流回路が開示されおり、これは、前記回路内に潅流液の拍動流体流を供給するポンプと、ガス交換器と、前記ポンプと流体連通する分割器であって、前記潅流液の流れを第一枝管と第二枝管に分割するよう構成された分割器とを含み、前記第一枝管は肝動脈インターフェースを含み、前記第一枝管は、前記潅流液の第一部分を前記肝臓の肝動脈に高圧且つ低流量で前記肝動脈インターフェースを介して供給するよう構成され、前記第一枝管は前記ポンプと流体圧連通し、前記第二枝管は門脈インターフェースを含み、前記第二枝管は、前記潅流液の第二部分を前記肝臓の門脈に低圧且つ高流量で前記門脈インターフェースを介して供給するよう構成され、前記第二枝管は、前記門脈への潅流液の流量を選択的に制御するため、前記分割器と前記門脈インターフェースとの間に配置されたクランプを更に含み、前記第二枝管は、前記ポンプから前記門脈への前記潅流液の拍動流特性を軽減するよう構成された伸展性チャンバを更に含み、前記ポンプは、前記第一枝管及び前記第二枝管を介して前記肝臓へ流体圧を連通するよう構成されており、前記肝臓のカニューレ挿入されていない下大動脈から潅流液を受け取るよう構成されたドレインと、前記肝臓の下方に配置されると共に前記ドレインと前記ポンプの間に位置したレザバであって、前記潅流液を前記ドレインから受け取ると共に一定量の流体を蓄えるよう構成されたレザバとを含む。
幾つかの実施形態において、潅流回路の前記第二枝管は複数の伸展性チャンバを含む。幾つかの実施形態では、潅流回路内の伸展性チャンバは、前記分割器と前記門脈インターフェースとの間に位置している。幾つかの実施形態において、潅流回路の門脈インターフェースは、肝動脈インターフェースより大きな横断面積を備える。幾つかの実施形態において、潅流回路は、少なくとも1つの流量センサを第二枝管に含み、且つ少なくとも1つの圧力センサを含む。幾つかの実施形態において、ポンプはポンプ駆動装置を含み、前記ポンプ駆動装置の位置は、肝臓への拍動流パターンを制御するために調節可能である。幾つかの実施形態において、クランプは係合位置と解放位置とを含み、前記クランプは、当該クランプが前記解放位置にあるときは、所望の締め付け力及び対応する流量を選択するため調節でき、前記クランプは、当該クランプが前記係合位置にあるときは更なる調節を行うことなく、前記選択された締め付け力を加えうる前記係合位置に移動させることができ、これによりユーザは、前記クランプを迅速に係合且つ解放できる一方で、前記潅流回路に加える締め付け力の量も正確に制御できる。
幾つかの実施形態において、近生理学的状態でex vivoの肝臓を潅流するためのシステムが開示されており、前記システムは潅流回路を含み、前記潅流回路は、前記回路内に潅流液をポンプ注入するためのポンプを含み、前記ポンプは肝動脈インターフェースと門脈インターフェースとに流体連通しており、前記ポンプは、前記肝動脈インターフェースを介して前記肝臓の肝動脈に高圧且つ低流量の潅流液を供給し、前記ポンプは、前記門脈インターフェースを介して前記肝臓の前記門脈に低圧且つ高流量の潅流液を供給し、前記潅流回路は、ガス交換器と、前記潅流液の温度を常温に維持するための加熱サブシステム、前記潅流液を前記肝臓の下大静脈から受け取るよう構成されたドレイン、潅流液を前記ドレインから受け取ると共に一定量の流体を蓄えるよう構成されているレザバを含む。幾つかの実施形態において、加熱サブシステムは、前記潅流液を34℃-37℃の温度に維持するよう構成されている。幾つかの実施形態において、前記潅流回路は下大静脈カニューレを含む。幾つかの実施形態において、前記システムの動作を制御するための制御システムが開示されており、これは、前記システム内の前記構成要素のうちの1つ以上に接続された搭載コンピュータ・システムと、前記臓器に関するデータを得るための少なくとも1つのセンサを含むデータ取得サブシステムと、前記システムの動作及び前記肝臓に関するデータを記憶し且つ維持するためのデータ管理サブシステムとを含む。幾つかの実施形態において、ヘッディング・サブシステムは、前記システム内の前記潅流液の温度を制御するための二重フィードバック・ループを含む。
幾つかの実施形態において、生理学的状態で肝臓をex vivoで保存するためのシステムが開示されており、当該システムは、拍動性ポンプを含む多数回使用モジュールと、頓用モジュールであって、前記肝臓に潅流液を供給するよう構成された潅流回路と、拍動性ポンピングを前記ポンプから前記潅流液に移動させるポンプ・インターフェース・アセンブリと、潅流液を前記肝臓の肝動脈に送出するよう構成された肝動脈インターフェースと、潅流液を前記肝臓の門脈に送出するよう構成された門脈インターフェースと、潅流液を前記ポンプ・インターフェース・アセンブリから前記肝動脈インターフェースに高圧且つ低流量で供給し、前記門脈インターフェースに低圧且つ高流量で供給する分割器と、ex vivoの臓器を保持するよう構成された、ハウジングを含む臓器チャンバ・アセンブリと、前記臓器チャンバ・アセンブリ内につり下げられた柔軟性支持表面と、前記肝臓により生成される胆汁を収集するよう構成された胆汁容器と、を含む頓用モジュールとを含む。
幾つかの実施形態において、柔軟性支持表面は、異なる大きさの臓器に適合するよう構成されており、前記臓器チャンバ・アセンブリ内で前記肝臓を安定させるための突起部を更に含んでいる。幾つかの実施形態において、柔軟性支持表面は、上部層と、底部層と、前記上層部と前記低層部との間に配置された変形可能な金属基材とを含む。幾つかの実施形態において、柔軟性支持表面は、肝臓に不要な圧力を掛けることなく前記肝臓を受けると共に制御可能な状態で支持するよう構成されている。幾つかの実施形態において、頓用モジュールは、前記臓器チャンバ・アセンブリ内で前記肝臓を覆うよう構成されたラップを含む。幾つかの実施形態において、頓用モジュールは、前記胆汁容器の中に収集される胆汁の量を測定するためのセンサを含む。幾つかの実施形態において、頓用モジュールは、前記多数回使用モジュールとの電気的、機械的、気体及び流体による相互作動のために、前記多数使用モジュールのポータブル・シャシと連結する大きさ及び形状とすることができる。幾つかの実施形態において、多数回使用及び頓用モジュールは互いと光学的インターフェースを通じて通信でき、当該光学的インターフェースは、前記頓用使い捨てモジュールが携帯用の前記多数回使用モジュール内に設置されたときに自動的に光学的に位置合わせされる。
本明細書に記載した主題は、デジタル電子回路又はコンピュータ・ソフトウェア、ファームウェア若しくは本明細書で開示された構造的手段及びその構造的等価物を含むハードウェア又はそれらの組合せで実装できる。本明細書に記載した主題は、コンピュータ・プログラム製品すなわち情報媒体(例えば、機械可読記憶装置内で)において、又はデータ処理装置(例えば、プログラム可能プロセッサ、単一のコンピュータ、又は複数のコンピュータ)により実行されるか若しくはその動作を制御するための伝搬信号おいて具体的に実現された1つ以上のコンピュータ・プログラムとして実装できる。コンピュータ・プログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとも呼ばれる)は、コンパイル済み又は解釈実行言語を含む任意形式のプログラミング言語で書くことができ、こうしたプログラムは、スタンドアローン形式のプログラム若しくはモジュール、構成要素、サブルーチン、又は計算環境における使用に適した他の単位を含む任意形式で導入できる。コンピュータ・プログラムは、ファイルに対応している必要はない。プログラムは、他のプログラム又はデータを保持するファイルの一部内に、このプログラム専用の単一ファイル内に、又は多数の調整ファイル(例えば、1つ又は複数のモジュール、サブプログラム、又はコードの複数部分を格納するファイル)内に格納できる。コンピュータ・プログラムは、単一のコンピュータ、若しくは単一サイトに配置した複数のコンピュータ、又は複数サイトに分散され且つ通信ネットワークにより相互接続された複数のコンピュータで実行されるよう導入してもよい。
ここで記載した主題の方法ステップを含む、本明細書で説明したプロセス及び論理フローは、入力データを処理し且つ出力を生成することによってここで記載した主題の機能を実行する1つ以上のコンピュータ・プログラムを実行する1つ以上のプログラム可能プロセッサにより実行できる。ここで記載されたプロセスおよび論理フローは、例えば、FPGA(書替え可能ゲートアレイ)又はASIC(特定用途向けIC)などの専用論理回路により実行でき、ここで記載された装置も、FPGA又はASICなどの専用論理回路としても実装できる。
コンピュータ・プログラムの実行に適したプロセッサは、例示目的だが、汎用及び専用マイクロプロセッサ並びに任意種類のデジタルコンピュータの1つ以上のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリ若しくはランダム・アクセス記憶装置又はそれら両方から命令及びデータを受け取る。コンピュータの不可欠な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令及びデータを記憶するための1つ以上の記憶装置とである。一般に、コンピュータは、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスクなどの1つ以上のデータ格納用の大容量記憶装置を含むか、それらからデータを受信又はそれらに転送、並びにその両方を行うため機能的に接続されている。コンピュータ・プログラム命令及びデータを実現するのに適した情報媒体は、例として半導体記憶装置(例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリ装置)、磁気ディスク(例えば、内部ハードディスク又はリムーバルブディスク)、光磁気ディスク、及び光学ディスク(例えば、CD ROM及びDVD-ROMディスク)を含むあらゆる形式の不揮発性記憶装置を含む。こうしたプロセッサ及びメモリは、専用論理回路により補足するかそれに組み込み可能である。
ユーザとのインタラクションを実現するため、ここで記載された主題は、情報をユーザに表示するための、例えば、CRT(ブラウン管)またはLCD(液晶表示装置)モニターなどの表示装置と、ユーザがコンピュータに入力を与えるのに使用するキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)とを備えたコンピュータで実装できる。他の種類のデバイスを使ってもユーザとインタラクションを実現できる。例えば、ユーザに与えられるフィードバックは、(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)任意形式の感覚フィードバックでよく、ユーザからの入力は、音響、音声、又は触覚入力を含む任意形式で受信できる。
ここで記載された技法は、1つ以上のモジュールを使って実装できる。本明細書では、「モジュール」という用語は、計算ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及び/又はそれらの様々な組合せを指す。しかし、最低でも、モジュールは、ハードウェア、ファームウェアで実装されていない又はプロセッサ可読・記録可能な非一時的記憶媒体に記録されていないソフトウェアとして解釈されるべきではない(すなわち、モジュールはそれ自体でソフトウェアではない)。事実、「モジュール」は、例えばプロセッサ又はコンピュータの一部である、少なくともなんらかの物理的で非一時的ハードウェアを常に含むものと解釈すべきである。2つの異なるモジュールは同じ物理ハードウェアを共有できる(例えば、2つの異なるモジュールは同じプロセッサ及びネットワーク・インターフェースを共有できる)。ここで記載したモジュールは、様々な用途をサポートするため組み合せ、統合、分離、且つ/又は複製を作ることができる。更に、特定の1つのモジュールとして実行されるとしてここで記載した機能は、この特定の1つのモジュールで実行される機能の代わりに又はそれに加えて、1つ以上の他のモジュールで及び/又は1つ以上の他の装置によって実行できる。更に、これらモジュールは複数の装置及び/又は互いに対してローカル又はリモートの他の構成要素で実装できる。加えて、これらモジュールは、1つの装置から移動させて他の装置に加えることができ、且つ/又は両方の装置に含めることができる。
ここで記載した主題は、バックエンド構成要素(例えば、データ・サーバ)、ミドルウェア構成要素(例えばアプリケーションサーバ)、フロントエンド構成要素(例えば、ユーザが、ここで記載した主題を具現化したものと対話できる手段となるグラフィカル・ユーザインタフェース又はウェブブラウザを備えたクライアント・コンピュータ)を含む計算機システムで、又はそうしたバックエンド、ミドルウェア、又はフロントエンド構成要素の任意組合せ含む計算機システムで実装できる。こうしたシステムの構成要素は、例えば通信ネットワークなどの任意形式又は媒体のデジタルデータ通信により相互接続できる。通信ネットワークの例には、ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)及びワイド・エリア・ネットワーク(「WAN」)、例えばインターネットが含まれる。

Claims (30)

  1. ex-vivoの肝臓を潅流するためのシステムであって:
    潅流回路内に潅流液をポンプ注入するよう構成されたポンプであって、
    前記ポンプは、肝動脈インターフェースと門脈インターフェースとに流体連通しており、
    前記ポンプは、前記肝動脈インターフェースを介して前記ex-vivoの肝臓の肝動脈に25-150mmHgの範囲の圧力で且つ0.25-1L/分の範囲の流量で前記潅流液を供給するよう構成され、
    前記ポンプは、前記門脈インターフェースを介して前記ex-vivoの肝臓の門脈に0.75-2L/分の範囲の流量で前記潅流液を供給するよう構成された、ポンプと;
    酸素付加器と;
    前記潅流液の温度を34℃と37℃との間に維持するよう構成された加熱器と;
    前記ex-vivoの肝臓の下大静脈と流体連通する下大静脈インターフェースと;
    前記潅流液を前記ex-vivoの肝臓の前記下大静脈から受け取ると共に一定量の流体を蓄えるよう構成されているレザバとを含む、システム。
  2. 前記潅流液に少なくとも1つの維持溶液を供給するよう構成された少なくとも1つの溶液ポンプを含む、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記少なくとも1つの溶液ポンプはシリンジ・ポンプである、請求項2に記載のシステム。
  4. 前記門脈インターフェースの少なくとも一部は、前記肝動脈インターフェースより大きな横断面積を備える、請求項1に記載の潅流回路。
  5. 前記肝動脈に供給される前記潅流液の圧力を測定するように構成された圧力センサを含む、請求項1記載のシステム。
  6. 前記下大静脈に供給される前記潅流液の流量を測定するように構成された流量センサを含む、請求項1記載のシステム。
  7. 前記下大静脈に供給される前記潅流液の圧力を測定するように構成された圧力センサを含む、請求項1記載のシステム。
  8. 前記門脈に供給される前記潅流液の流量を測定するように構成された流量センサを含む、請求項1記載のシステム。
  9. ex-vivoの肝臓を潅流するためのシステムであって:
    潅流回路内に潅流液をポンプ注入するよう構成されたポンプであって、
    前記ポンプは、肝動脈インターフェースと門脈インターフェースとに流体連通しており、
    前記ポンプは、前記肝動脈インターフェースを介して前記ex-vivoの肝臓の肝動脈に25-150mmHgの範囲の圧力で且つ0.25-1L/分の範囲の流量で前記潅流液を供給するよう構成され、
    前記ポンプは、前記門脈インターフェースを介して前記ex-vivoの肝臓の門脈に0.75-2L/分の範囲の流量で前記潅流液を供給するよう構成された、ポンプと;
    酸素付加器と;
    前記潅流液に少なくとも1つの維持溶液を供給するよう構成された少なくとも1つの溶液ポンプと;
    前記ex-vivoの肝臓の下大静脈と流体連通する下大静脈インターフェースと;
    前記潅流液を前記ex-vivoの肝臓の前記下大静脈から受け取ると共に一定量の流体を蓄えるよう構成されているレザバとを含む、システム。
  10. 前記少なくとも1つの溶液ポンプは、血管拡張剤又は複数の胆汁酸塩を含む前記少なくとも1つの維持溶液を供給するよう構成されている、請求項9に記載のシステム。
  11. 前記少なくとも1つの溶液ポンプはヘパリン又はインシュリンを供給するよう構成されている、請求項9に記載のシステム。
  12. 前記システムは複数のアミノ酸を供給するよう構成されている、請求項9に記載のシステム。
  13. 前記少なくとも1つの溶液ポンプはシリンジ・ポンプである、請求項9に記載のシステム。
  14. 前記肝動脈に供給される前記潅流液の圧力を測定するように構成された圧力センサと;
    前記門脈に供給される前記潅流液の流量を測定するように構成された流量センサと;
    前記下大静脈に供給される前記潅流液の流量を測定するように構成された流量センサと;
    前記下大静脈に供給される前記潅流液の圧力を測定するように構成された圧力センサとを含む、請求項9に記載のシステム。
  15. 前記潅流液の温度を34℃と37℃との間に維持するよう構成された加熱器を含む、請求項9に記載のシステム。
  16. 前記システムの動作を制御するよう構成された制御システムを含み、当該制御システムは:
    搭載コンピュータと;
    前記ex-vivoの肝臓に関するデータを得るよう構成された少なくとも1つのセンサを含むデータ取得サブシステムと;
    前記システムの動作に関するデータ及び前記ex-vivoの肝臓に関する前記データを記憶するよう構成されたデータ管理サブシステムとをさらに含む、請求項9に記載のシステム。
  17. ex-vivoの肝臓を潅流するためのシステムであって:
    潅流回路内に潅流液をポンプ注入するよう構成されたポンプであって、
    前記ポンプは、肝動脈インターフェースと門脈インターフェースとに流体連通しており、
    前記ポンプは、前記肝動脈インターフェースを介して前記ex-vivoの肝臓の肝動脈に0.25-1L/分の範囲の流量で前記潅流液を供給するよう構成され、
    前記ポンプは、前記門脈インターフェースを介して前記ex-vivoの肝臓の門脈に0.75-2L/分の範囲の流量で前記潅流液を供給するよう構成された、ポンプと;
    酸素付加器と;
    前記潅流液の温度を34℃と37℃との間に維持するよう構成された加熱器と;
    前記ex-vivoの肝臓の下大静脈と流体連通する下大静脈インターフェースと;
    前記ex-vivoの肝臓により生産される胆汁を収集するよう構成された胆汁容器とを含む、システム。
  18. 前記胆汁容器の中に収集される一定量の胆汁を測定するよう構成された胆汁センサを含む、請求項17に記載のシステム。
  19. 前記潅流液に維持溶液を供給するよう構成された少なくとも1つの溶液ポンプを含む、請求項17に記載のシステム。
  20. 前記少なくとも1つの溶液ポンプは、血管拡張剤又は複数の胆汁酸塩を供給するよう構成されている、請求項19に記載のシステム。
  21. 前記少なくとも1つの溶液ポンプはヘパリン及びインシュリンを供給するよう構成されている、請求項20に記載のシステム。
  22. 前記システムは複数のアミノ酸を供給するよう構成されている、請求項17に記載のシステム。
  23. 前記少なくとも1つの溶液ポンプはシリンジ・ポンプである、請求項17に記載のシステム。
  24. 前記肝動脈に供給される前記潅流液の圧力を測定するように構成された圧力センサと;
    前記門脈に供給される前記潅流液の流量を測定するように構成された流量センサと;
    前記下大静脈に供給される前記潅流液の流量を測定するように構成された流量センサと;
    前記下大静脈に供給される前記潅流液の圧力を測定するように構成された圧力センサとを含む、請求項17に記載のシステム。
  25. 前記システムの動作を制御するよう構成された制御システムを含み、当該制御システムは:
    搭載コンピュータと;
    前記ex-vivoの肝臓に関するデータを得るよう構成された少なくとも1つのセンサを含むデータ取得サブシステムと;
    前記システムの動作に関するデータ及び前記ex-vivoの肝臓に関する前記データを記憶するよう構成されたデータ管理サブシステムとをさらに含む、請求項17に記載のシステム。
  26. 肝臓をex-vivoで潅流するためのシステムであって:
    潅流回路内に潅流液をポンプ注入するよう構成されたポンプであって、
    前記ポンプは肝動脈インターフェースと門脈インターフェースとに流体連通しており、
    前記ポンプは、前記肝動脈インターフェースを介してこのex-vivoの肝臓の肝動脈に25-150mmHgの範囲の圧力で且つ0.25-1L/分の範囲の流量で前記潅流液を供給するよう構成され、
    前記ポンプは、前記門脈インターフェースを介して前記ex-vivoの肝臓の門脈に0.75-2L/分の範囲の流量で前記潅流液を供給するよう構成された、ポンプと;
    酸素付加器と;
    前記潅流液に維持溶液を供給するよう構成された少なくとも1つの溶液ポンプと;
    前記ex-vivoの肝臓を保持するよう構成された支持表面を含む臓器チャンバ・アセンブリとを含む、システム。
  27. 前記少なくとも1つの溶液ポンプはシリンジ・ポンプである、請求項26に記載のシステム。
  28. 前記門脈インターフェースの少なくとも一部は、前記肝動脈インターフェースより大きな横断面積を備える、請求項26に記載の潅流回路。
  29. 前記ex-vivoの肝臓の下大静脈と流体連通する下大静脈インターフェースを含む、請求項26に記載の潅流回路。
  30. 前記肝動脈に供給される前記潅流液の圧力を測定するように構成された圧力センサと;
    前記門脈に供給される前記潅流液の流量を測定するように構成された流量センサと;
    前記下大静脈に供給される前記潅流液の流量を測定するように構成された流量センサと;
    前記下大静脈に供給される前記潅流液の圧力を測定するように構成された圧力センサとを含む、請求項29に記載のシステム。

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