JP2022017532A - オーディオ・トランスデューサにおける、又はオーディオ・トランスデューサに関する改良 - Google Patents

オーディオ・トランスデューサにおける、又はオーディオ・トランスデューサに関する改良 Download PDF

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Abstract

【課題】オーディオ・トランスデューサを提供する。【解決手段】オーディオ・トランスデューサは、振動板C101と、ヒンジC102と、トランスデューサ基部構造と、を備える。振動板は、使用時にヒンジによって、回転軸C107を中心にトランスデューサ基部構造に対して回転可能に支持される。ヒンジ組立体は、一端でトランスデューサ基部構造に、他端で振動板に接続される2つのヒンジ要素C105a、bを有するヒンジ接続部を備える。各ヒンジ要素は、トランスデューサ基部構造と振動板との間の各ヒンジ要素の長手方向の長さより小さく、回転軸を中心にする振動板の追従的な回転運動を容易にする寸法である厚さを有し、一方のヒンジ要素が延びる第1の方向が、他方のヒンジ要素が延びる第2の方向に対して少なくとも30度の角度にあって、第1、第2両方向におけるトランスデューサ基部構造に対する振動板の並進変位に関して剛性の向上を容易にする。【選択図】図C1e

Description

本発明は、スピーカ、マイクロホンなどのオーディオ・トランスデューサ技術に関し、オーディオ・トランスデューサ振動板の構造及びその組立体、オーディオ・トランスデューサ・マウンティング・システム、オーディオ・トランスデューサ振動板サスペンション・システム、並びに/又はこれらを組み込む個人用オーディオ・デバイスにおける改良、又はこれらに関する改良を含む。
スピーカ・ドライバは、当技術分野で知られている電磁的、静電的、圧電的、又は任意の他の適当な可動性組立体であってもよい作動機構を使用して、振動板を振動させることによって音を発生させる、オーディオ・トランスデューサの一種である。ドライバは、一般にハウジングの中に容れられる。従来型のドライバでは、振動板は、剛性のハウジングに接続される、フレキシブルな膜構成要素である。したがって、スピーカ・ドライバは、共振系を形成し、ここでは振動板は、動作中、ある一定の周波数において、望ましくない機械的共振(振動板の分割振動(breakup)としても知られている)の影響を受けやすい。これは、ドライバの性能に影響を及ぼす。
従来型のスピーカ・ドライバの実例が、図J1d及びJ1に示されている。ドライバは、振動板サスペンション・システムによってトランスデューサ基部構造にマウントされる振動板組立体を備える。トランスデューサ基部構造は、バスケットJ113、マグネットJ116、トップ・ポールピースJ118、及びTヨークJ117を備える。振動板組立体は、薄膜振動板、コイル巻型J114及びコイル巻線J115を備える。振動板は、コーンJ101及びキャップJ120を備える。振動板サスペンション・システムは、フレキシブルゴムのサラウンドJ105、及びスパイダJ119を備える。変換機構は、磁気回路内に保持されるコイル巻線である、力発生構成要素を備える。変換機構は、コイルを通じて磁気回路を流すマグネットJ116、トップ・ポールピースJ118及びTヨークJ117も備える。コイルに電気オーディオ信号が与えられるとき、コイルに力が発生し、基部構造に反力が加えられる。
ドライバは、フレキシブル天然ゴムで作られる複数のワッシャJ111及びブッシュJ107から構成されるマウンティング・システムによって、ハウジングJ102にマウントされる。複数のスチール・ボルトJ106、ナットJ109及びワッシャJ108を使用して、このドライバが固定される。バスケットJ113とハウジングJ102の間には分離箇所J112があり、この構成は、マウンティング・システムが、ハウジングJ102とドライバとの間の唯一の連結部であるものである。この実例では、振動板は、大きい回転成分は有さず、振動板を形づくるコーンの軸方向に、実質的に直線状に、前後に動く。
述べたように、サスペンション及びマウンティング・システムによって剛性のハウジングJ102に接続されるフレキシブルな振動板は、共振系を形成し、ここでは振動板は、ドライバの作動周波数範囲にわたって、望ましくない共振の影響を受けやすい。また、振動板サスペンション及びマウンティング・システム、さらにはハウジングを含む、ドライバの他の部分が、ドライバの音質に悪影響を及ぼし得る機械的共振を受ける可能性がある。したがって、従来技術のドライバシステムは、ドライバシステム内に1つ又は複数の制振技法を採用することにより、機械的共振の影響を最小化するように試みてきた。このような技法は、たとえばゴム製の振動板サラウンドと振動板のインピーダンス整合、並びに/又は振動板の形状、材料及び/若しくは構成を含めた、振動板設計の変更を含む。
多くのマイクロホンは、スピーカと同じ基本構成を有する。マイクロホンは、逆に、音波を電気信号に変換するように作動する。これを行うために、マイクロホンは、空気の音圧を使用して振動板を動かし、その運動を電気オーディオ信号に変換する。したがって、マイクロホンは、スピーカ・ドライバと同様の構成を有し、振動板、振動板サラウンド及びトランスデューサの他の部分、さらには中にトランスデューサがマウントされるハウジングの機械的共振を含む、同等のいくつかの設計上の課題がある。これらの共振は、変換の質に悪影響を及ぼす可能性がある。
パッシブ・ラジエータも、変換機構を有さないことを除き、スピーカと同じ基本構成を有する。したがって、パッシブ・ラジエータは、すべて作動に悪影響を及ぼす可能性がある機械的共振を生み出す、同等のいくつかの設計上の課題がある。
本発明の一目的は、前述した共振の課題のうちのいくつかに何らかのやり方で対応するように働く、オーディオ・トランスデューサの改良、若しくはオーディオ・トランスデューサに関する改良を可能にすること、又は少なくとも一般大衆に有用な選択肢を提供することである。
一態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つに隣接して接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮-引張応力(compression-tension stress)に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、前記主面のうちの少なくとも1つに対してある角度で向けられ、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材と
を備える、オーディオ・トランスデューサ振動板で構成されるといえる。
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、振動板本体とは別々のものであり、振動板本体に接続されて、本体によって提供される、せん断に対するいかなる抵抗とも別に、応力補強材の面上のせん断変形に対する抵抗を与える。
好ましくは、それぞれの内部補強部材は、振動板本体の冠状面に実質的に直交して振動板本体の中で延びる。
好ましくは、それぞれの内部補強部材は、実質的に振動板の質量中心位置から最遠位である、振動板本体の1つ又は複数の周辺領域に向かって、且つその中で延びる。
好ましくは、振動板は、複数の内部補強部材を備える。好ましくは、それぞれの内部補強部材は、少なくとも約8MPa/(kg/m)である比弾性率を有する材料から形成される。好ましくは、それぞれの内部補強部材は、少なくとも約20MPa/(kg/m)である比弾性率を有する材料から形成される。
それぞれの内部補強部材又は両方は、たとえばアルミニウムや炭素繊維強化プラスチックから形成されてもよい。
別の態様では、本発明は概して、
前の態様に定められた振動板、及び動作中に動くように構成された、その関連する機能と、
振動板に作動可能に接続され、振動板の運動に関連して作動する変換機構と、
振動板を中に、又は間に収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備えるハウジングとを備え、
振動板が、ハウジングと物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を有する外周部を備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
別の態様では、本発明は概して、
前の態様のうちのいずれか1つに定められた振動板、及び動作中に動くように構成された、その関連する機能と、
振動板を中に、又は間に収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備えるハウジングと
を備える、オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体が受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材とを有する振動板であって、
振動板本体と関連付けられた質量分布又は垂直応力補強材と関連付けられた質量分布又はその両方は、振動板が、振動板の1つ又は複数の比較的質量の大きい領域の質量と比べて、振動板の1つ又は複数の質量の小さい領域では比較的小さい質量を有するものである、
振動板、並びに
振動板を中に又は間に収容するためのエンクロージャ及び/又はバッフルを備えるハウジングを備え、
振動板が、少なくとも部分的にはハウジングの内部と物理的に連結しない周辺部を備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
以下の記述は、前の態様のうちのいずれか1つに適用される。
好ましくは、振動板は、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは、少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
いくつかの実施例では、比較的小さい空気間隙により、振動板のこの1つ又は複数の周辺領域が、ハウジングの内部から隔てられる。
いくつかの実施例では、トランスデューサは、振動板の1つ又は複数の周辺領域とハウジング内部との間に強磁性流体を有する。
好ましくは、強磁性流体は、振動板の冠状面の方向において、振動板にかなりの支持を与える。
好ましくは、トランスデューサは、振動板に作動可能に接続され、振動板の運動に関連して作動する変換機構をさらに備える。
以下の記述は、前の態様のうちの任意の1つ又は複数に適用される。
好ましくは、振動板本体は、コア材料から形成される。好ましくは、このコア材料は、3次元で一様でない、相互連結された構造を備える。このコア材料は、発泡体でも、規則正しく並んだ3次元ラティス構造の材料でもよい。このコア材料は、複合材料を備えてもよい。好ましくは、コア材料は、発泡ポリスチレンフォームである。代替の材料には、ポリメチルメタクリルアミドフォーム(polymethyl methacrylamide foam)、ポリ塩化ビニルフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、エアロゲルフォーム、段ボール、バルサ材、シンタクチックフォーム、金属マイクロラティス及びハニカムが含まれる。
好ましくは、補強材から切り離した振動板本体は、100kg/m未満の、比較的小さい密度を有する。より好ましくはこの密度は50kg/m未満であり、さらに好ましくはこの密度は35kg/m未満であり、最も好ましくはこの密度は20kg/m未満である。
好ましくは、補強材から切り離した振動板本体は、0.2MPa/(kg/m)を上回る、比較的大きい比弾性率を有する。最も好ましくは、この比弾性率は、0.4MPa/(kg/m)より大きい。
好ましくは、垂直応力補強材は、それぞれが本体の前記主面のうちの1つの近傍に接続される、1つ又は複数の垂直応力補強部材を備える。
好ましくは、それぞれの垂直応力補強部材は、振動板本体の対応する主面に沿って接続される、1つ又は複数の細長い支柱を備える。
より好ましくは、それぞれの支柱は、その幅の1/60より大きい厚さを有する。
好ましくは、これらの支柱は、相互連結され、振動板本体の関連付けられた面の相当な部分にわたって延びる。
好ましくは、1つ又は複数の垂直応力補強部材は、異方性であり、いくつかの方向では、実質的に直交する他の方向におけるスティフネスの少なくとも2倍のスティフネスを発揮する。
好ましくは、振動板は、振動板本体の対向する主面又はその近傍に接続される、少なくとも2つの垂直応力補強部材を備える。
好ましくは、振動板は、振動板本体の対向する主面に第1の補強部材及び第2の補強部材を備え、第1の補強部材と第2の補強部材は、振動板本体の冠状面に対して実質的に垂直な方向における変位に対して振動板本体を支持する、三角形の補強材を形成する。
好ましくは、それぞれの垂直応力補強部材は、少なくとも約8MPa/(kg/m)である比弾性率を有する材料から形成される。好ましくは、それぞれの垂直応力補強部材は、少なくとも約20MPa/(kg/mである比弾性率を有する材料から形成される。好ましくは、それぞれの垂直応力補強部材は、少なくとも約100MPa/(kg/m)である比弾性率を有する材料から形成される。
垂直応力補強材は、たとえばアルミニウムや炭素繊維強化プラスチックから形成されてもよい。
好ましくは、振動板本体は実質的に厚い。
たとえば、振動板本体は、本体の最大長さ寸法の少なくとも約11%である最大厚さを有してもよい。より好ましくは、この最大厚さは、本体の最大長さ寸法の少なくとも約14%である。
好ましくは、振動板が示す質量中心から振動板本体の最遠位周辺部までの振動板半径に対して、振動板厚さは、この振動板半径の少なくとも15%であり、またより好ましくは、この半径の少なくとも約20%である。
好ましくは、振動板本体と関連付けられた質量分布又は垂直応力補強材と関連付けられた質量分布又はその両方は、振動板が、振動板の1つ又は複数の比較的質量の大きい領域の質量と比べて、振動板の1つ又は複数の質量の小さい領域では比較的小さい質量を有するものである。
好ましくは、1つ又は複数の質量の小さい領域は、振動板の質量中心位置から遠位である周辺領域にあり、1つ又は複数の質量の大きい領域は、質量中心位置又はその近位にある。
好ましくは、1つ又は複数の質量の小さい領域は、質量中心位置から最遠位である周辺領域にある。
いくつかの実施例では、質量の小さい領域は、振動板の一方の端部にあり、質量の大きい領域は、対向する端部にある。
代替の実施例では、質量の小さい領域は、振動板の外周部全体に実質的に分布し、質量の大きい領域は、振動板の中央領域にある。
いくつかの実施例では、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、1つ又は複数の質量の小さい領域に配置されるものである。
好ましくは、質量の小さい領域は、いかなる垂直応力補強材も有さない。
好ましくは、1つ又は複数の周辺領域の総表面積の少なくとも10パーセントは、垂直応力補強材を有さない。
好ましくは、垂直応力補強材は、本体のそれぞれの主面と関連付けられた補強材プレートを備え、それぞれの補強材プレートは、1つ又は複数の質量の小さい領域に、1つ又は複数の凹部を備える。
いくつかの実施例では、振動板本体の質量分布は、振動板本体が、1つ又は複数の質量の小さい領域で比較的小さい質量を有するものである。
好ましくは、振動板本体の厚さは、好ましくは質量中心位置から、1つ又は複数の質量の小さい領域に向かって先細りになることによって減少する。
好ましくは、1つ又は複数の質量の小さい領域は、質量中心位置から振動板の最遠位周辺部までの総距離の50パーセントである、振動板の質量中心位置を中心とする半径に、又はそれを越えて配置される。
好ましくは、1つ又は複数の質量の小さい領域は、質量中心位置から振動板の最遠位周辺部までの総距離の80パーセントである、振動板の質量中心位置を中心とする半径に、又はそれを越えて配置される。
好ましくは、振動板本体の厚さは、回転軸から振動板本体の対向する終端部に向けて減少する。
好ましくは、振動板本体の側方外側に取り付けられる支持体及び/又は同様の垂直補強材は存在しない。
好ましくは、振動板本体の終端面に取り付けられる支持体及び/又は同様の垂直補強材は存在しない。
いくつかの実施例では、垂直応力補強部材は、振動板本体のそれぞれの主面で、又はそのすぐ近傍で、振動板本体の長さ全体の相当な部分に沿って実質的に長手方向に延びる。
好ましくは、一方の面の垂直応力補強材は、振動板本体の終端部まで延在し、振動板本体の対向する主面にある垂直応力補強材と連結する。
垂直応力補強材は、本体の外部で、少なくとも一方の主面に接続されてもよく、別法として、本体の中に、動作中、圧縮-引張応力に十分に抵抗するように、この少なくとも一方の主面のすぐ近傍で、且つそれに実質的に近位に接続されてもよい。
好ましくは、垂直応力補強材は、少なくとも一方の主面に対しておおよそ平行に向けられる。
好ましくは、垂直応力補強材は、本体の密度より実質的に大きな密度の材料から構成される。好ましくは、垂直応力補強材材料は、本体の密度の少なくとも5倍である。より好ましくは、垂直応力補強材材料は、本体の密度の少なくとも10倍である。さらに好ましくは、垂直応力補強材材料は、本体の密度の少なくとも15倍である。さらに好ましくは、垂直応力補強材材料は、本体の密度の少なくとも50倍である。最も好ましくは、垂直応力補強材材料は、本体の密度の少なくとも75倍である。
好ましくは、振動板本体は、少なくとも1つの実質的に滑らかな主面を備え、垂直応力補強材は、前記実質的に滑らかな主面のうちの1つに沿って延びる少なくとも1つの補強部材を備える。好ましくは、この少なくとも1つの補強部材は、1つ又は複数の対応する主面の相当な部分又は全体に沿って延びる。この滑らかな主面は、平面でも、別法として(3次元に延びる)湾曲した滑らかな面でもよい。
いくつかの実施例では、それぞれの垂直応力補強部材は、関連付けられた主面に対応するプロファイルを有し、振動板本体の関連付けられた主面を覆って、又はすぐ近傍に接続するように構成された、1つ又は複数の実質的に滑らかな補強材プレートを備える。
同じ、又は代替の実施例では、それぞれの垂直応力補強部材は、振動板本体の対応する主面に沿って接続される1つ又は複数の細長い支柱を備える。好ましくは、1つ又は複数の支柱は、主面に沿って実質的に長手方向に延びる。好ましくは、それぞれの垂直応力補強部材は、対応する主面に沿って実質的に長手方向に延びる、間隔をおいて配置された複数の支柱を備える。別法として、又は追加的に、それぞれの垂直応力補強部材は、対応する主面の長手方向軸に対して傾いて延びる、1つ又は複数の支柱を備える。垂直応力補強部材は、対応する主面の相当な部分に沿って延びる、比較的傾けられた支柱の網目を備えてもよい。
好ましくは、垂直応力補強材は、それぞれが振動板本体の1対の対向する主面と接続された、又はそのすぐ近傍の、1対の補強部材を備える。
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、振動板本体のコア材料とは別々のものであり、振動板本体のコア材料に接続されて、コア材料によって提供される、せん断に対するいかなる抵抗とも別に、応力補強材の面上のせん断変形に対する抵抗を与える。
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、前記主面のうちの少なくとも1つに対し、使用時にせん断変形に抵抗するのに十分に傾いて、コア材料の中で延びる。好ましくは、この角度は、主面に対して、40度から140度の間、またより好ましくは60から120度の間、またさらに好ましくは80から100度の間、また最も好ましくは約90度である。
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、本体の1対の対向する主面の中、及びそれらの間に埋め込まれる。好ましくは、それぞれの内部補強部材は、1対の対向する主面と実質的に直交して延び、且つ/又は振動板本体の矢状面に対して実質的に平行に延びる。
好ましくは、それぞれの内部補強部材は、どちらか一方の側において、対向する垂直応力補強部材のどちらか一方に接続される。別法として、それぞれの内部補強部材は、対向する垂直応力補強部材に隣接はするが、それと隔てられて延びる。
好ましくは、それぞれの内部補強部材は、振動板本体の冠状面に実質的に直交するコア材料内で延びる。好ましくは、それぞれの内部補強部材は、実質的に、関連付けられた主面の大半では振動板の質量中心位置から遠位である、1つ又は複数の周辺縁部領域に向かって延びる。
好ましくは、それぞれの内部補強部材は、個体のプレートである。別法として、それぞれの内部補強部材は、同一平面上にある支柱の網目を備える。これらのプレート及び/又は支柱は、平面でも、3次元でもよい。
好ましくは、それぞれの垂直応力補強部材は、プラスチック材料と比べて比較的高い比弾性率を有する材料、たとえばアルミニウムなどの金属、酸化アルミニウムなどのセラミック、又は炭素繊維強化プラスチックに含まれるものなどの高弾性率繊維から形成される。
好ましくは、それぞれの垂直応力補強部材は、少なくとも約8MPa/(kg/m)、またさらに好ましくは少なくとも20MPa/(kg/m)、また最も好ましくは少なくとも100MPa/(kg/m)である比弾性率を有する材料から形成される。
好ましくは、それぞれの内部補強部材は、非複合プラスチック材料と比べて比較的高い最大比弾性率を有する材料、たとえばアルミニウムなどの金属、酸化アルミニウムなどのセラミック、又は炭素繊維強化プラスチックに含まれるものなどの高弾性率繊維から形成される。好ましくは、それぞれの内部補強部材は、振動板本体の冠状面に対して約+45度及び約-45度の方向に、高い弾性率を有する。
好ましくは、それぞれの内部補強部材は、少なくとも約8MPa/(kg/m)、また最も好ましくは少なくとも20MPa/(kg/m)である比弾性率を有する材料から形成される。たとえば、ある内部補強部材は、アルミニウム又は炭素繊維強化プラスチックから形成されてもよい。
好ましくは、振動板本体は実質的に厚い。たとえば、振動板本体は、本体の最大長さ寸法の少なくとも約11%である最大厚さを有してもよい。より好ましくは、この最大厚さは、本体の最大長さ寸法の少なくとも約14%である。別法として、又は追加的に、振動板本体は、本体の長さの少なくとも約15%、またより好ましくは本体の長さの少なくとも約20%である最大厚さを有してもよい。
別法として、又は追加的に、振動板本体は、振動板本体の主面に沿った最短の長さの約8%より大きい厚さを有してもよく、最短の長さの約12%より大きい厚さを有しても、約18%より大きい厚さを有してもよい。
好ましくは、それぞれの垂直応力補強部材は、たとえばエポキシ系接着剤などの比較的薄い接着剤の層を介して、振動板本体の対応する主面に接着される。好ましくは、それぞれの内部補強部材は、エポキシ系接着剤の比較的薄い層を介して、コア材料及び対応する1つ又は複数の垂直応力補強部材に接着される。好ましくは、この接着剤は、対応する内部補強部材の重量の約70%未満である。より好ましくは、この接着剤は、対応する内部補強部材の重量の60%未満、又は50%未満、又は40%未満、又は30%未満、又は最も好ましくは、25%未満である。
一実施例では、振動板本体は、振動板本体の矢状面に沿って実質的に三角形の断面を有する。
好ましくは、振動板本体は、くさび形の形態を有する。
代替の実施例では、振動板本体は、振動板本体の矢状面に沿って実質的に長方形の断面を有する。
好ましくは、それぞれの内部補強部材は、以下の式で求められるような、(mmで測定される)値「x」未満の平均厚さを有し、
Figure 2022017532000002

ここで「a」は使用時に振動板本体によって押され得る(mmで測定される)空気の面積であり、「c」は好ましくは100である定数である。より好ましくは、c=200、またさらに好ましくは、c=400、また最も好ましくは、c=800である。
いくつかの実施例では、それぞれの内部補強材は、厚さが0.4mm未満、またより好ましくは0.2mm未満、またより好ましくは0.1mm未満、またより好ましくは0.02mm未満の材料から作られ得る。
いくつかの実施例では、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、関連付けられた主面の一方の端部の近傍の、質量が小さいほうの領域にあるものである。いくつかの形態では、振動板は、この質量が小さいほうの領域においていかなる垂直応力補強材も有さない。他の形態では、垂直応力補強材は、この質量が小さいほうの領域において、他の領域に比べて小さい厚さ、又は小さい幅、又はその両方を有する。
いくつかの実施例では、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、関連付けられた主面の1つ又は複数の周辺縁部領域にあるものである。いくつかの形態では、振動板は、これらの1つ又は複数の周辺領域においていかなる垂直応力補強材も有さない。他の形態では、垂直応力補強材は、これら1つ又は複数の周辺領域において、他の領域に比べて小さい厚さ、又は小さい幅、又はその両方を有する。
いくつかの実施例では、振動板本体は、一方の端部又はその近傍で、比較的小さい質量を有する。好ましくは、振動板本体は、この一方の端部において比較的小さい厚さを有する。いくつかの実施例では、振動板本体の厚さは先細りにされて、厚さが一方の端部に向かって減少する。他の実施例では、振動板本体の厚さは段をつけられて、厚さがこの一方の端部に向かって減少する。いくつかの実施例では、両方の端部の間の厚さのエンベロープ又はプロファイルは、振動板本体の冠状面に対して少なくとも4度、またより好ましくは振動板本体の冠状面に対して少なくとも約5度の角度がつけられる。
いくつかの実施例では、振動板本体は、一方の端部又はその近傍で、比較的小さい質量を有する。好ましくは、振動板本体は、この一方の端部において比較的小さい厚さを有する。いくつかの実施例では、振動板本体の厚さは先細りにされて、厚さが一方の端部に向かって減少する。他の実施例では、振動板本体の厚さは段をつけられて、厚さがこの一方の端部に向かって減少する。いくつかの実施例では、両方の端部の間の厚さのエンベロープ又はプロファイルは、振動板本体の冠状面に対して少なくとも4度、またより好ましくは振動板本体の冠状面に対して少なくとも約5度の角度がつけられる。
以下は、上記のオーディオ・トランスデューサの態様のそれぞれに適用される。
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、
振動板が回転可能に接続されて動作中に回転する、トランスデューサ基部構造と、
振動板に作動可能に接続され、振動板の回転に関連して作動する変換機構と
をさらに備える。
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、振動板をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続するヒンジ・システムをさらに備える。
いくつかの実施例では、ヒンジ・システムは、振動板の運動を容易にするように構成され、振動板のトランスデューサ基部構造に対する並進変位(translational displacement)への抵抗に大いに寄与し、約8GPaより大きい、またより好ましくは約20GPaより大きいヤング率を有する、1つ又は複数の部分を備える。
好ましくは、使用時に振動板を作動可能に支持するヒンジ組立体のすべての部分は、約8GPaより大きい、またより好ましくは約20GPaより大きいヤング率を有する。
好ましくは、振動板の運動を容易にするように構成され、振動板のトランスデューサ基部構造に対する並進変位への抵抗に大いに寄与するヒンジ組立体のすべての部分は、約8GPaより大きい、またより好ましくは約20GPaより大きいヤング率を有する。
いくつかの実施例では、ヒンジ・システムは、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備え、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材は、接触面を有し、動作中に、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体は、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢する。
好ましくは、ヒンジ組立体は、付勢機構をさらに備え、ヒンジ要素は、付勢機構によって接触面に向かって付勢される。
好ましくは、付勢機構は、実質的に追従的である。
好ましくは、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して実質的に垂直な方向に実質的に追従的である。
いくつかの他の実施例では、ヒンジ・システムは、少なくとも1つのヒンジ接続部を備え、それぞれのヒンジ接続部は、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部は、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素は、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性(translational rigidity)、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備える。
上記のオーディオ・トランスデューサのうちの任意の1つを含み、且つオーディオ・トランスデューサの振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間に配置されて、振動板とオーディオ・デバイスのこの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減するデカップリング・マウンティング・システムをさらに備え、このデカップリング・マウンティング・システムが、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、オーディオ・デバイス。
好ましくは、オーディオ・デバイスのこの少なくとも1つの他の部分は、このデバイスのオーディオ・トランスデューサの振動板の別の部分ではない。好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、トランスデューサ基部構造とある他の部分との間に接続される。好ましくは、このある他の部分は、トランスデューサハウジングである。
第1の実施例では、オーディオ・トランスデューサは、電気音響スピーカであり、振動板に作用して、使用時に振動板を動かす力伝達構成要素をさらに備える。
好ましくは、変換機構は、電磁的機構を備える。好ましくは、この電磁的機構は、磁気構造及び導電性の要素を備える。
好ましくは、力伝達構成要素は、振動板に強固に取り付けられる。
別の態様では、本発明は、上の態様のオーディオ・トランスデューサのうち任意の1つ又は複数を組み込み、それを通して独立したオーディオ信号を再生できる2つ以上の異なるオーディオ・チャネルを備える、2つ以上の電気音響スピーカを備えるオーディオ・デバイスから構成されてもよい。好ましくは、このオーディオ・デバイスは、使用者の耳の約10cm以内でのオーディオ用になされた個人用オーディオ・デバイスである。
別の態様では、本発明は、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサと前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちのいずれか1つのその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを組み込む、個人用オーディオ・デバイスから構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、それぞれの耳又はその近位で使用者によって装着されるように構成された1対のインタフェース・デバイスを備える個人用オーディオ・デバイスであって、それぞれのインタフェース・デバイスが、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサと前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちのいずれか1つのその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、個人用オーディオ・デバイスから構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、それぞれの耳又はその周囲で装着されるように構成された1対のヘッドホン・インタフェース・デバイスを備えるヘッドホン装置であって、それぞれのインタフェース・デバイスが、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサと前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちのいずれか1つのその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、ヘッドホン装置から構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、使用者の耳の外耳道又は甲介内に装着されるように構成された1対のイヤホン・インタフェースを備えるイヤホン装置であって、それぞれのイヤホン・インタフェースが、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサと前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちのいずれか1つのその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、イヤホン装置から構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、オーディオ・トランスデューサが、音響電気トランスデューサである、上の態様のうちのいずれか1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに関連する機能、構成及び実施例から構成されるといえる。
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つに隣接して接続されて、動作中に振動板本体が受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
コア材料に埋め込まれ、垂直応力補強材に対してある角度で向けられ、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材とを有し、
垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、組み立てられた振動板の質量中心位置から遠位である、関連付けられた主面の1つ又は複数の周辺縁部領域にあるものである、
振動板で構成されるといえる。
好ましくは、質量中心位置から遠位である1つ又は複数の領域は、質量中心位置から最遠位である1つ又は複数の領域である。
いくつかの実施例では、質量中心位置から最遠位である1つ又は複数の領域は、いかなる垂直応力補強材も有さない。
いくつかの実施例では、垂直応力補強材は、補強材プレートを備え、このプレートの前記質量中心位置から遠位である領域は、1つ又は複数の凹部を備える。好ましくは、質量中心位置から遠位である1対の対向する領域は、1つ又は複数の凹部を備える。好ましくは、それぞれの凹部の幅は、前記質量中心位置からの距離に応じて増加する。
いくつかの実施例では、垂直応力補強材の少なくとも1つの凹部は、1対の内部補強部材の間に配置される。
いくつかの実施例では、垂直応力補強材は、補強材プレートを備え、このプレートの前記質量中心位置から遠位である領域は、質量中心位置又はその近位である領域に比べて、小さい厚さを有する。
このプレートの厚さは、この近位領域と遠位領域との間で段をつけられても、先細りにされてもよい。
第3の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体が受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、垂直応力補強材に対してある角度で向けられ、本体が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを軽減する、少なくとも1つの内部補強部材とを有し、
振動板本体が、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で比較的小さい質量を有する、
振動板で構成されるといえる。
好ましくは、振動板本体は、質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で、比較的小さい厚さを有する。
好ましくは、質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域は、質量中心位置から最も遠位な1つ又は複数の領域である。
いくつかの実施例では振動板本体の厚さは、先細りにされて、遠位領域に向かって厚さが減少する。他の実施例では、振動板本体の厚さは、段をつけられて、遠位領域に向かって厚さが減少する。
いくつかの実施例では、振動板本体は、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で、比較的小さい質量を有する。
好ましくは、質量中心から最遠位である1つ又は複数の周辺領域は、実質的に先端が直線状である。
第4の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有するコア材料から構成される振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体が受ける圧縮-引張応力に抵抗する垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、垂直応力補強材に対してある角度で向けられ、本体が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを軽減する、少なくとも1つの内部補強部材とを有し、
振動板が、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で比較的小さい質量を有する、
オーディオ・トランスデューサ振動板で構成されるといえる。
好ましくは、質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域は、質量中心位置から最遠位な1つ又は複数の領域である。
好ましくは、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、質量中心位置から遠位な、関連付けられた主面の1つ又は複数の周辺縁部領域にあるものである。別法として、又は追加的に、振動板本体は、振動板の質量中心位置から遠位な、振動板の1つ又は複数の周辺領域で、比較的小さい質量を有する。
好ましくは、振動板本体は、1つ又は複数の遠位領域で比較的小さい厚さを有し、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、1つ又は複数の遠位領域にあるものである。
好ましくは、質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域は、質量中心位置から最遠位な1つ又は複数の領域である。
いくつかの実施例では、質量中心位置から最遠位な1つ又は複数の領域は、いかなる垂直応力補強材も有さない。
いくつかの実施例では、垂直応力補強材は、補強材プレートを備え、このプレートの前記質量中心位置から遠位である領域は、1つ又は複数の凹部を備える。好ましくは、質量中心位置から遠位である1対の対向する領域は、1つ又は複数の凹部を備える。好ましくは、それぞれの凹部の幅は、前記質量中心位置空の距離に応じて増加する。
いくつかの実施例では、垂直応力補強材の少なくとも1つの凹部は、1対の内部補強部材同士の間に配置される。
いくつかの実施例では、垂直応力補強材は、補強材プレートを備え、このプレートの前記質量中心位置から遠位である領域は、質量中心位置又はその近位である領域に比べて、小さい厚さを有する。
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体が受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材とを有する振動板であって、
垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域にあるものである、
振動板、並びに
振動板を収容するためのエンクロージャ及び/又はバッフルを備えるハウジングを備え、
振動板が、少なくとも部分的にはハウジングの内部と物理的に連結しない周辺部を備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
好ましくは、振動板は、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。
好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは、少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは、少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
いくつかの実施例では、外周部の、振動板の質量中心位置から最遠位である領域のほうが、質量中心位置に近位である領域よりも、ハウジングの内部によって支持されない。
好ましくは、質量中心位置から最遠位な1つ又は複数の領域は、いかなる垂直応力補強材も有さない。
好ましくは、振動板本体は、質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で、比較的小さい質量を有する。
好ましくは、振動板本体は、この1つ又は複数の遠位領域で、比較的小さい厚さを有する。この厚さは、この1つ又は複数の遠位領域に向かって先細りにされても、段をつけられてもよい。
一実施例では、振動板本体の厚さは、質量中心位置の領域又はそれに近位な領域から質量中心位置から最遠位である1つ又は複数の領域に向かって連続的に先細りにされる。
好ましくは、振動板本体の1つ又は複数の遠位領域は、垂直応力補強材の1つ又は複数の遠位領域に合わせられる。
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体が受ける圧縮-引張応力に抵抗する垂直応力補強材とを有する振動板であって、
少なくとも1つの主面が、1つ又は複数の周辺縁部領域においていかなる垂直応力補強材も有さず、それぞれの周辺縁部領域が、質量中心位置から主面の最遠位周辺縁部までの総距離の50パーセントである、振動板の質量中心位置を中心とする半径に、又はそれを越えて配置される
振動板、並びに
振動板を収容するためのエンクロージャ及び/又はバッフルを備えるハウジングを備え、
振動板が、少なくとも部分的にはハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
好ましくは、振動板は、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは、少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは、少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。好ましくは、それぞれの1つ又は複数の周辺縁部領域は、質量中心位置から主面の最遠位周辺縁部までの総距離の80パーセントのところに、又はそれを越えて配置される。
好ましくは、垂直応力補強材は、振動板本体の対向する主面に接続される1対の補強部材を備える。
好ましくは、1つ又は複数の主面の総表面積の少なくとも10パーセントは、垂直応力補強材を有さず、又は1つ又は複数の主面の総表面の少なくとも25%、又は少なくとも50%は、垂直応力補強材を有さない。
好ましくは、振動板は、質量中心から遠位な1つ又は複数の周辺縁部領域で、単位面積当たりで比較的小さい質量を有する。
好ましくは、振動板は、振動板の1つ又は複数の周辺縁部領域で、振動板の冠状面と比較して、また別法として振動板本体の主面の面と比較して、単位面積当たりで比較的小さい質量を有する。
好ましくは、振動板本体は、振動板の1つ又は複数の周辺縁部領域で、比較的小さい厚さを有する。この厚さは、この1つ又は複数の遠位周辺縁部領域に向かって先細りにされても、段をつけられてもよい。
第7の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体が受ける圧縮-引張応力に抵抗する垂直応力補強材とを有し、
垂直応力補強材が、前記主面のうちの1つ又は複数に補強部材を備え、それぞれの補強部材が、一連の支柱を備える、
振動板、並びに
振動板を収容するためのエンクロージャ及び/又はバッフルを備えるハウジングを備え、
振動板が、少なくとも部分的にはハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
好ましくは、振動板は、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは、少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは、少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
好ましくは、前記支柱は、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域において、減じられた厚さを有する。
好ましくは、それぞれの支柱は、その幅の1/100より大きい厚さを有する。より好ましくは、それぞれの支柱は、その幅の1/60より大きい厚さを有する。最も好ましくは、それぞれの支柱は、その幅の1/20より大きい厚さを有する。
好ましくは、1つ又は複数の垂直応力補強部材は、異方性材料から形成される。
好ましくは、異方性垂直応力補強部材は、少なくとも8MPa/(kg/m)、またより好ましくは、少なくとも20MPa/(kg/m)、また最も好ましくは、少なくとも100MPa/(kg/m)である比弾性率を有する材料から形成される。
好ましくは、この異方性材料は繊維複合材料であり、ここでは繊維はそれぞれの支柱を通って実質的に一方向の向きで通される。好ましくは、繊維は、関連付けられた支柱の長手方向軸と実質的に同じ向きで通される。好ましくは、それぞれの支柱は、一方向炭素繊維複合材料から形成される。好ましくは、前記複合材料は、ヤング率が少なくとも約100GPaで、より好ましくは200GPaより大きい、最も好ましくは400GPaより大きい炭素繊維を組み込む。
好ましくは、垂直応力補強材は、振動板本体の対向する主面に接続される1対の補強部材を備え、一方の主面の第1の補強部材の1つ又は複数の支柱は、振動板本体の周辺部で、対向する主面の第2の補強部材の1つ又は複数の支柱と連結する。
好ましくは、第1の補強部材と第2の補強部材は、実質的に振動板本体の冠状面に対して垂直な方向における変位に対して振動板本体を支持する三角形の補強材を形成する。
好ましくは、それぞれの補強部材は、複数の支柱を備える。好ましくは、これらの複数の支柱は、交差する。好ましくは、支柱相互間の交差領域は、振動板の質量中心位置から振動板の周辺部までの総距離の50パーセントのところに、又はそれを越えて位置する。他の交差領域は、この総距離の50パーセント以内に配置されてもよい。
好ましくは、振動板本体の少なくとも1つの主面は、関連付けられた主面の1つ又は複数の周辺縁部領域においていかなる垂直応力補強材も有さず、それぞれの周辺縁部領域は、質量中心位置から主面の最遠位周辺縁部までの総距離の50パーセントである、質量中心位置を中心とする半径に、又はそれを越えて配置される。
好ましくは、垂直応力補強材は、振動板本体の対向する主面に接続される1対の補強部材を備え、両方の主面は、関連付けられた周辺縁部領域において、いかなる垂直応力補強材も有さない。
好ましくは、1つ又は複数の主面の総表面積の少なくとも10パーセント、又は少なくとも25%、又は少なくとも50%は、1つ又は複数の周辺縁部領域において、垂直応力補強材を有さない。
好ましくは、振動板本体は、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で比較的小さい質量を有する。
好ましくは、振動板本体は、この1つ又は複数の遠位領域で、比較的小さい厚さを有する。この厚さは、この1つ又は複数の遠位領域に向かって先細りにされても、段をつけられてもよい。
前に述べたオーディオ・トランスデューサの態様のうちのいずれか1つ、並びにそれらの関連する機能、実施例、及び構成の、第1の実施例では、オーディオ・トランスデューサは、電気音響スピーカであり、振動板に作用して、使用時に振動板を動かす力伝達構成要素をさらに備える。
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、
トランスデューサ基部構造と、
変換機構とをさらに備え、振動板が、トランスデューサ基部構造に可動に接続され、且つ変換機構に作動可能に接続され、その結果、動作中、基部構造に対する振動板の動きにより、変換機構によって受けられる電気オーディオ信号が音に変換される。
好ましくは、トランスデューサ基部構造は、実質的に厚く、ずんぐりしたジオメトリを有する。
好ましくは、変換機構は、電磁的機構を備える。好ましくは、電磁的機構は、磁気構造及び導電性の要素を備える。好ましくは、磁気構造は、トランスデューサ基部構造に接続され、トランスデューサ基部構造の一部を形成し、導電性の要素は、振動板に接続され、振動板の一部を形成する。好ましくは、磁気構造は、永久磁石と、間隙で隔てられ、それらの間に磁界を発生する内側ポールピース及び外側ポールピースとを備える。好ましくは、導電性の要素は、少なくとも1つのコイル巻線を備える。好ましくは、振動板は、振動板基部フレームを備え、導電性の要素は、振動板基部フレームに強固に接続される。
第1の構成では、振動板は、トランスデューサ基部構造に対して回転可能に接続される。好ましくは、振動板基部フレームは、振動板の一方の端部に配置され、それに強固に接続される。好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、振動板をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続するためのヒンジ・システムをさらに備える。
好ましくは、振動板は、動作中、回転軸を中心に振動する。
一形態では、ヒンジ・システムは、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備え、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材は、接触面を有し、動作中に、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体は、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢する。好ましくは、ヒンジ組立体は、付勢機構をさらに備え、ヒンジ要素は、付勢機構によって接触面に向かって付勢される。好ましくは、付勢機構は、実質的に追従的である。好ましくは、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して実質的に垂直な方向に実質的に追従的である。
別の形態では、ヒンジ・システムは、少なくとも1つのヒンジ接続部を備え、それぞれのヒンジ接続部は、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部は、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素は、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備える。
第2の構成では、オーディオ・トランスデューサは、直線動作トランスデューサであり、ここでは振動板は、トランスデューサ基部構造に対して直線的に運動可能である。好ましくは、振動板基部フレームは、振動板の中央領域に接続され、この構造の主面から磁気構造に横切って延びる。
好ましくは、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサは、ごく部分的に、振動板を周辺部の周長の周りでハウジング又は周囲の構造に連結する振動板サスペンションを備える。好ましくは、このサスペンションは、周辺部の周長の80%未満の長さに沿って振動板を連結する。好ましくは、このサスペンションは、周辺部の周長の50%未満の長さに沿って振動板を連結する。好ましくは、このサスペンションは、周辺部の周長の20%未満の長さに沿って振動板を連結する。
前に述べたオーディオ・トランスデューサ態様のうちのいずれか1つ、並びにそれらの関連する機能、実施例、及び構成の第2の実施例では、オーディオ・トランスデューサは、音響電気トランスデューサであり、使用時に振動板の作用を受けて、振動板の動きに応答して電気エネルギーを生み出すように構成された力伝達構成要素をさらに備える。
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体が受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材とを備える
振動板、並びに
使用時に、回転軸を中心に振動板を作動可能に支持するように構成されたヒンジ組立体を備え、
少なくとも1つの主面が、主面の1つ又は複数の周辺縁部領域でいかなる垂直応力補強材も有さず、周辺縁部領域が、回転軸から主面の最遠位周辺縁部までの総距離の80パーセントである、回転軸を中心とする半径に、又はそれを越えて配置される、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
好ましくは、振動板本体は実質的に厚い。好ましくは、振動板本体は、振動板本体の最大長さの少なくとも11%、またより好ましくは、振動板本体の最大長さの少なくとも14%である最大厚さを有する。
好ましくは、振動板本体は、回転軸から振動板の最遠位周辺領域までの総距離の少なくとも15%である最大厚さを有する。より好ましくは、この最大厚さは、この総距離の少なくとも20%である。
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、垂直応力補強材に対してある角度で向けられ、本体が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材と
を備える振動板、並びに
振動板に接続されて、使用時に、関連付けられた回転軸を中心に振動板を回転させるヒンジ組立体
を備えるオーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
このヒンジ組立体は、振動板に直接的に接続されても、1つ又は複数の中間の構成要素によって間接的に接続されてもよい。
好ましくは、1つ又は複数の主面は、実質的に平面である。
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、振動板本体の矢状面に対して実質的に平行に向けられる。好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、ヒンジ組立体の回転軸に対して実質的に垂直であり、且つ/又は振動板本体の長手方向軸に対して実質的に平行な長手方向軸を備える。好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、回転軸の、又は回転軸に近位な領域と振動板本体の対向する端部との間に延びる。
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、振動板本体の厚さの相当な部分にわたって横方向に、且つ振動板本体の長さの相当な部分に沿って長手方向に延びる、少なくとも1つのパネルを備える。
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、直接的に、又は少なくとも1つの中継の構成要素を介して、ヒンジ組立体に強固に接続される。
中継の構成要素は、ヤング率が約8GPaより大きい、またより好ましくは約20GPaより大きい材料から作られてもよい。
好ましくは、1つ又は複数の中継の構成要素は、振動板本体の冠状面に対して約30度より大きい角度で向けられ、且つ振動板の回転軸に対して実質的に平行である、実質的に平面のセクションを組み込み、ヒンジ機構と内部補強部材の間で、最小限の追従性で冠状面に平行な方向に負荷を伝達する。
一実施例では、電気音響トランスデューサは、振動板に作用して、使用時に振動板を動かす力伝達構成要素を有する励起機構を備える電気音響スピーカ、又はその一部である。
好ましくは、電気音響スピーカは、2つ以上の電気音響スピーカの構成を通じて2つ以上の異なるオーディオ・チャネルを使用するオーディオ・デバイス内に構成される。
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材のそれぞれは、直接的に、又は少なくとも1つの中継の構成要素を介して、力伝達構成要素に強固に連結される。
好ましくは、垂直応力補強材は、振動板本体の1対の対向する主面のいずれか一方に、1つ又は複数の垂直応力補強部材を備える。
好ましくは、いずれかの主面の1つ又は複数の垂直応力補強部材は、直接的に、又は1つ又は複数の中継の構成要素を介して、力伝達構成要素に強固に連結される。
好ましくは、いずれかの主面のこれらの1つ又は複数の垂直応力補強部材は、直接的に、又は1つ又は複数の中継の構成要素を介して、ヒンジ組立体に強固に連結される。
好ましくは、少なくとも1つの内部補強部材とヒンジ組立体、少なくとも1つの内部補強部材と力伝達構成要素、1つ又は複数の垂直応力補強部材とヒンジ組立体、及び/又は1つ又は複数の垂直応力補強部材と力伝達構成要素の間のうち、任意の1つ又は複数の剛性連結を容易にする、任意の中継の構成要素は、スチールや炭素繊維などの実質的に剛性の材料から形成される。好ましくは、この中継の構成要素は、プラスチック材料から形成されない。
好ましくは、振動板本体の厚さは、回転軸から振動板本体の対向する終端部に向けて減少する。好ましくは、この厚さは、回転軸と振動板本体の対向する終端部の間で先細りにされる。
好ましくは、垂直応力補強材の質量分布は、回転軸に近位である1つ又は複数の領域に配置される質量と比べて、比較的小さい質量が、振動板本体の終端部、又はその近位である1つ又は複数の領域に配置されるものである
好ましくは、振動板本体の終端部に近位な、それぞれの主面の1つ又は複数の領域は、垂直応力補強材を有さない。
好ましくは、これらの1つ又は複数の領域は、少なくとも1つの内部補強部材の近傍の間に配置される。
別法として、又は追加的に、比較的小さい質量の垂直応力補強材の、1つ又は複数の領域は、回転軸に近位である1つ又は複数の領域に位置する垂直応力補強材に比べて減じられた厚さの垂直応力補強材を備える。
好ましくは、振動板は、5つ以下の内部補強部材を備える。好ましくは、振動板は、4つの内部補強部材を備える。
好ましくは、垂直応力補強部材は、振動板本体のそれぞれの主面で、又はそのすぐ近傍で、振動板本体の長さ全体の相当な部分に沿って実質的に長手方向に延びる。
好ましくは、振動板本体の側方外側に取り付けられる支持体及び/又は同様の垂直補強材は存在しない。
好ましくは、振動板本体の終端面に取り付けられる支持体及び/又は同様の垂直補強材は存在しない。好ましくは、いかなる種類の膜又は塗料も存在しない。塗料が存在する場合、これは実質的に薄く、軽量であることが好ましい。好ましくは、振動板本体のコア材料が、発泡ポリスチレンフォーム又はそれと同様のものである場合、通常、熱線はより大きい密度の溶融層を生み出すので、これはたとえば熱線で溶融されるのではなく、機械的に切断される。
好ましくは、垂直応力補強材は、両方の主面の振動板本体の終端部で、又はその手前で終端する。
別法として、一方の面の垂直応力補強材は、振動板本体の終端部まで延在し、振動板本体の対向する主面にある垂直応力補強材と連結する。
別の態様では本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、垂直応力補強材に対してある角度で向けられ、本体が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材と
を備える振動板、並びに
使用時に振動板を作動可能に支持する1つ又は複数の薄肉のフレキシブル・ヒンジ要素を備える、ヒンジ組立体
を備えるオーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、トランスデューサ基部構造をさらに備え、ヒンジ組立体は、振動板をトランスデューサ基部構造に対して回転可能に接続する。
好ましくは、ヒンジ組立体は、少なくとも1つのヒンジ接続部を備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備える。
一形態では、オーディオ・トランスデューサは、振動板を支持するための振動板基部フレームを備え、振動板基部フレームは、それぞれのヒンジ接続部の片方又は両方のヒンジ要素に直接取り付けられる。
好ましくは、振動板基部フレームは、振動板とそれぞれのヒンジ接続部の間の剛性連結を容易にする。
好ましくは、振動板は、それぞれのヒンジ接続部と密に結び付けられる。たとえば、振動板からそれぞれのヒンジ接続部までの距離は、回転軸から振動板の最遠位周辺部までの最大距離の半分未満、またより好ましくはこの最大距離の1/3未満、またより好ましくはこの最大距離の1/4未満、またより好ましくはこの最大距離の1/8未満、また最も好ましくはこの最大距離の1/16未満である。
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのヒンジ要素は、ねじれに対して実質的に剛性である。
代替の実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、ねじれに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的に剛性である。
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ要素は、おおよそ、又は実質的に平面のプロファイル、たとえば平坦なシートの形態を有する。
いくつかの実施例では、それぞれの接続部の1対のフレキシブル・ヒンジ要素同士は、共通の縁部に沿って連結、又は交差して、おおよそL形の断面を形成する。いくつかの他の構成では、それぞれのヒンジ接続部の1対のフレキシブル・ヒンジ要素同士は、中央領域に沿って交差して回転軸を形成し、これらのヒンジ要素は、おおよそX形の断面を形成する、すなわちヒンジ要素は、クロスばね(cross spring)構成を形成する。いくつかの他の構成では、それぞれのヒンジ接続部のフレキシブル・ヒンジ要素同士は、隔てられて、異なる方向に延びる。
一形態では、この回転軸は、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素同士が交差する点とおおよそ同一直線上にある。
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、横方向の、この要素の長手方向の長さに沿った湾曲部を備える。ヒンジ要素は、わずかに曲げられて、その結果、動作中に実質的に平面の状態に屈曲することができる。
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素の片方又は両方の厚さは、振動板又はトランスデューサ基部構造から最遠位であるヒンジ要素の端部で、又はその近位で増加する。
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、垂直応力補強材に対してある角度で向けられ、本体が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材と
を有する振動板、並びに
振動板を作動可能に支持し、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ・システムであって、それぞれのヒンジ接続部が、第1のヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材が、接触面を提供する、ヒンジ・システムを備え、
使用時に、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素が接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成される、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
好ましくは、各ヒンジ接続部ごとに、接触部材は、接触面を有し、それぞれのヒンジ接続部は、動作中、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら、関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体は、接触面に向かってヒンジ要素を付勢する。
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、トランスデューサ基部構造をさらに備え、ヒンジ組立体は、振動板をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続して、動作中、ヒンジ組立体の回転軸又はおおよその回転軸を中心に振動板が回転することを可能にする。好ましくは、振動板は、動作中、回転軸を中心に振動する。
好ましくは、実質的に安定した物理的接触は、実質的に安定した力を有する。
好ましくは、ヒンジ組立体は、それぞれの接続部のヒンジ要素に、関連付けられた接触面に向かって追従的に付勢力を加えるように構成される。
好ましくは、ヒンジ組立体は、付勢機構をさらに備え、ヒンジ要素は、付勢機構によって接触面に向かって付勢される。
一形態では、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して垂直な軸に対して25度未満、又は10度未満、又は5度未満の方向に付勢力を加える。
好ましくは、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して実質的に垂直な方向に付勢力を加える。
好ましくは、付勢機構は、実質的に追従的である。好ましくは、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して実質的に垂直な方向に、実質的に追従的である。
好ましくは、ヒンジ要素と接触部材の間の接触により、ヒンジ要素は、動作中、接触領域で、接触面に対して垂直な方向に、接触部材に対する相対的な並進運動に逆らって、実質的に強固に拘束される。
一実施例では、付勢機構は、接触部材に対する相対的な並進運動に対し、ヒンジ要素を、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して垂直な方向に強固に拘束する構造とは別々のものである。
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体であって、振動板本体の最大厚さが、本体の最大長さの11%より大きい振動板本体
を有する振動板と、
振動板に接続されて、使用時に、関連付けられた回転軸を中心に振動板を回転させるヒンジ組立体とを備え、
使用者の耳の約10cm以内でのオーディオ用になされた電気音響スピーカである、オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
別の態様では本発明は概して、通常、使用者の耳又は頭部の近傍で直接、又は直接関連して使用されるように構成されたオーディオ・デバイスであって、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体であって、振動板本体の最大厚さが、本体の最大長さの11%より大きい、振動板本体
を有する振動板と、
振動板に接続されて、使用時に関連付けられた回転軸を中心に振動板を回転させるヒンジ・システムと
を備える、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサを含む、オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、電気音響スピーカであり、このオーディオ・デバイスは、使用者の耳の約10cm以内でのオーディオ用になされる。
好ましくは、オーディオ・デバイスは、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサを中に収容するためのハウジングをさらに備える。
好ましくは、オーディオ・トランスデューサの振動板本体は、少なくともその周辺部の一部に沿って、少なくとも部分的にはハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える。
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体であって、振動板本体の最大厚さが、本体の最大長さの11%より大きい、振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材とを有し、
少なくとも1つの主面が、1つ又は複数の周辺縁部領域においていかなる垂直応力補強材も有さず、それぞれの周辺縁部領域が、質量中心位置から主面の最遠位周辺縁部までの総距離の50パーセントである、振動板の質量中心位置を中心とする半径に、又はそれを越えて配置される
振動板、並びに
振動板を収容するためのエンクロージャ及び/又はバッフルを備えるハウジングを備え、
振動板が、少なくとも部分的にはハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
好ましくは、振動板は、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは、少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは、少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
好ましくは、ハウジングの内部と物理的に連結しない、振動板周辺部の1つ又は複数の周辺領域とハウジングの内部との間には、小さい空気間隙が存在する。
好ましくは、振動板の周辺縁部領域とハウジングの間の距離によって定められる空気間隙の幅は、振動板本体の主面に沿った最短の長さの1/10未満、より好ましくは1/20未満である。
好ましくは、この空気間隙の幅は、振動板本体の長さの1/20未満である。好ましくは、この空気間隙の幅は、1mm未満である。
別の態様では、本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有するコア材料から構成される振動板本体であって、振動板本体の最大厚さが、本体の最大長さの11%より大きい、振動板本体と、
コア材料に埋め込まれ、1つ又は複数の主面に対してある角度で向けられ、コア材料が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材と
を有する振動板、並びに
振動板に作用して、使用時に振動板を動かす、力伝達構成要素を備え、
使用者の耳の約10cm以内でのオーディオ用になされた電気音響スピーカである、オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
別の態様では、本発明は概して、通常、使用者の耳又は頭部の近傍で直接、又は直接関連して使用されるように構成されたオーディオ・デバイスであって、
1つ又は複数の主面を有するコア材料から構成される振動板本体であって、振動板本体の最大厚さが、本体の最大長さの11%より大きい振動板本体と、
コア材料に埋め込まれ、1つ又は複数の主面に対してある角度で向けられ、コア材料が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材と
を有する振動板、並びに
振動板に作用して、使用時に振動板を動かす、力伝達構成要素
を備える、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサを含む、オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
別の態様では本発明は概して、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体のこの面又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、垂直応力補強材に対してある角度で向けられ、本体が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材と
を有する振動板、
トランスデューサ基部構造、並びに
ヒンジ組立体を備え、
振動板が、ヒンジ組立体によって作動可能に支持されて、トランスデューサ基部構造に対しておおよその回転軸を中心に回転し、
振動板の運動を容易にするように構成され、振動板のトランスデューサ基部構造に対する並進変位への抵抗に大いに寄与し、約8GPaより大きい、またより好ましくは約20GPaより大きいヤング率を有する1つ又は複数の部分をヒンジ組立体が備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
好ましくは、使用時に振動板を作動可能に支持する、ヒンジ組立体のすべての部分は、約8GPaより大きい、またより好ましくは約20GPaより大きいヤング率を有する。
好ましくは、振動板の運動を容易にするように構成され、振動板のトランスデューサ基部構造に対する並進変位への抵抗に大いに寄与する、ヒンジ組立体のすべての部分は、0.1GPaより大きいヤング率を有する。
別の態様では、本発明は概して、
動作中、実質的に剛性のままである振動板本体を有する振動板と、
使用時に、振動板を作動可能に支持するように構成され、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備えるヒンジ・システムであって、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材が、接触面を有する、ヒンジ・システムとを備え、
動作中、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら、関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体が、接触面に向かってヒンジ要素を付勢する、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、トランスデューサ基部構造をさらに備え、ヒンジ組立体は、振動板をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続して、動作中、ヒンジ組立体の回転軸又はおおよその回転軸を中心に振動板が回転することを可能にする。好ましくは、振動板は、動作中、回転軸を中心に振動する。
好ましくは、実質的に安定した物理的接触は、実質的に安定した力を有する。
好ましくは、ヒンジ組立体は、それぞれの接続部のヒンジ要素に、関連付けられた接触面に向かって追従的に付勢力を加えるように構成される。
好ましくは、振動板は、実質的に剛性の振動板本体を有する。
好ましくは、ヒンジ組立体は、付勢機構をさらに備え、ヒンジ要素は、付勢機構によって接触面に向かって付勢される。
一形態では、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して垂直な軸に対して25度未満、又は10度未満、又は5度未満の方向に付勢力を加える。
好ましくは、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して実質的に垂直な方向に付勢力を加える。
好ましくは、付勢機構は、実質的に追従的である。好ましくは、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して実質的に垂直な方向に実質的に追従的である。
好ましくは、付勢機構は、実質的に追従的である。好ましくは、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して実質的に垂直な方向に、付勢変位に相対するものとしての付勢力を加えるという点において、実質的に追従的である。
好ましくは、付勢機構は、実質的に追従的である。好ましくは、付勢機構は、動作中、使用時に、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、ヒンジ要素が接触面に対して実質的に垂直な方向にわずかに移動する場合、その付勢力が大きく変化しないという点において、実質的に追従的である。
好ましくは、ヒンジ要素と接触部材の間の接触により、ヒンジ要素は、動作中、接触領域で、接触面に対して垂直な方向に、接触部材に対する相対的な並進運動に逆らって、実質的に強固に拘束される。
一実施例では、付勢機構は、接触部材に対する相対的な並進運動に対し、ヒンジ要素を、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して垂直な方向に強固に拘束する構造とは別々のものである。
一実施例では、振動板は、付勢機構を備える。
好ましくは、追加的な力がヒンジ要素に加えられ、その合力を表すベクトルが、ヒンジ要素と接触面の物理的接触位置を通り、その合力が、付勢力と比較して小さいとき、ヒンジ要素と接触部材の間の安定した物理的接触により、ヒンジ要素の接触部分が、トランスデューサ基部構造に対する並進運動に対して強固に拘束され、ヒンジ要素は、接点で、接触面に対して垂直な方向に、接触部材と接触する。
好ましくは、追加的な力がヒンジ要素に加えられ、その合力を表すベクトルが、ヒンジ要素と接触面の物理的接触位置を通り、その合力が、付勢力と比較して小さいとき、ヒンジ要素と接触部材の間の安定した物理的接触により、ヒンジ要素の接触部分が、接点で、トランスデューサ基部構造に対するあらゆる並進運動に対して効果的に強固に拘束される。
好ましくは、付勢機構は十分に追従的であり、その結果、
振動板が、動作中ニュートラル位置にあり、
追加的な力が、ヒンジ要素が接触面と接触する領域を通り、接触面に対して垂直な方向に、接触部材からヒンジ要素に加えられ、
この追加的な力が、付勢力と比較して比較的小さく、その結果、ヒンジ要素と接触部材の間の分離が起こらないとき、
結果として生じる、接触部材によってヒンジ要素に加えられる反力の変化は、結果として生じる、付勢機構によって加えられる力の変化よりも大きい。
好ましくは、この結果として生じる変化は、少なくとも4倍、より好ましくは少なくとも8倍、最も好ましくは少なくとも20倍大きい。
好ましくは、付勢構造の追従性は、接触部材と比較して、付勢機構内の非接合の構成要素同士の間の接触領域と関連付けられた、且つその領域での追従性を除く。
好ましくは、振動板本体は、動作中、トランスデューサのFROにわたって、実質的に剛性の形態を保つ。
好ましくは、振動板は、ヒンジ組立体と強固に連結される。
好ましくは、振動板は、動作中、トランスデューサのFROにわたって、実質的に剛性の形態を保つ。
いくつかの実施例では、振動板は、単一の振動板本体を備える。代替の実施例では、振動板は、複数の振動板本体を備える。
好ましくは、ヒンジ要素と接触部材の間の接触により、ヒンジ要素は、接触部材に対するあらゆる並進運動に対して、強固に拘束される。
好ましくは、回転軸は、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素と接触面の間の接触領域と一致する。
一構成では、ヒンジ組立体の1つ又は複数の構成要素は、トランスデューサ基部構造に強固に連結される。
好ましくは、ヒンジ要素は、振動板の一部として、強固に連結される。
好ましくは、接触部材は、トランスデューサ基部構造の一部として、強固に連結される。
好ましくは、ヒンジ要素と接触部材のいずれか一方は、振動板の一部として強固に連結され、他方は、トランスデューサ基部構造の一部として強固に連結される。
好ましくは、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触面との間の接触領域において、ヒンジ要素と接触部材のうちの一方は、振動板に強固に効果的に連結され、他方は、トランスデューサ基部構造に強固に効果的に連結される。
一実施例では、実質的に安定した物理的接触は、実質的に安定した力を有し、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触面との間の接触領域において、ヒンジ要素と接触部材のうちの一方は、振動板に強固に効果的に連結され、他方は、トランスデューサ基部構造に強固に効果的に連結される。好ましくは、ヒンジ組立体は、それぞれの接続部のヒンジ要素に、関連付けられた接触面に向かって追従的に付勢力を加えるように構成される。好ましくは、ヒンジ組立体は、それぞれの接続部のヒンジ要素に、関連付けられた接触面に向かって追従的に付勢力を加えるように構成される。
好ましくは、振動板本体は、回転軸から、対向して最遠位である振動板の終端部までの長さの15%より大きい、またより好ましくは20%より大きい最大厚さを有する。
好ましくは、振動板本体は、接触面のすぐ近くにあるか、又はそれと接触する。
好ましくは、振動板本体から接触面までの距離は、回転軸から振動板本体の最も遠い周辺部までの総距離の半分未満であり、またより好ましくはこの総距離の1/4未満であり、またより好ましくはこの総距離の1/8未満であり、また最も好ましくは、この総距離の1/16未満である。
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部の接触部材の、接触面のすぐ近くにある領域は、通常動作中は常に、効果的に強固にトランスデューサ基部構造に連結される。
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部の接触面とヒンジ要素の間の接触領域は、通常動作中は常に、並進変位の観点からいえば、振動板とトランスデューサ基部構造の両方に対して、効果的に実質的に不動である。
好ましくは、振動板とトランスデューサ基部構造のうちの一方は、接触領域のすぐ近くで、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素の少なくとも一部分に効果的に強固に連結され、振動板とトランスデューサ基部構造のうちの他方は、接触領域のすぐ近くで、それぞれのヒンジ接続部の接触部材の少なくとも一部分に効果的に強固に連結される。
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部の接触部材又はヒンジ要素のうち、回転軸に対して垂直な平面の断面プロファイルにおいて接触面の半径がより小さい方は、接触領域から回転軸に対して垂直な方向に、接触領域のすぐ近くの構成要素の局所的な部分に効果的に強固に連結されるすべての構成要素を横切る最大長さの30%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは10%未満である。
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部の接触部材又はヒンジ要素のうち、回転軸に対して垂直な平面の断面プロファイルにおいて接触面の半径がより小さい方は、
接触部材の、ヒンジ組立体との接点のすぐ近傍の部分と、効果的に強固に連結されるすべての構成要素の端から端までの最大寸法と、
ヒンジ要素の、接触部材との接点のすぐ近傍の部分と、効果的に強固に連結されるすべての構成要素の端から端までの最大寸法のうち、
小さい方の、回転軸に対して垂直な方向の距離の30%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは10%未満である。
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素は、接触面で、回転軸に対して垂直な方向において、接触領域から振動板の終端部までの長さ、及び/又は振動板本体の長さの30%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは10%未満である半径を有する。別法として、それぞれのヒンジ接続部の接触部材は、接触面で、回転軸に対して垂直な方向において、接触領域からトランスデューサ基部構造の終端部までの長さ、及び/又はトランスデューサ基部構造の長さの30%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは10%未満である半径を有する。
いくつかの構成では、ヒンジ組立体は、単一のヒンジ接続部を備えて、振動板をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続する。いくつかの構成では、ヒンジ組立体は、振動板の左右に配置される複数のヒンジ接続部、たとえば2つのヒンジ接続部を備える。
好ましくは、ヒンジ要素は、振動板の端面に埋め込まれ、又はそれに取り付けられ、ヒンジ要素は、接触面との安定した物理的接触を保ちながら、接触面で回転又は転動するように構成され、それによって振動板の運動が可能になる。
好ましくは、ヒンジ接続部は、ヒンジ要素が、接触部材に対して実質的に回転して動くことを可能にするように構成される。
好ましくは、ヒンジ要素は、動作中、問題にならない程度に摺動して接触部材に対して転動するように構成される。
好ましくは、ヒンジ要素は、動作中、摺動せずに接触部材に対して転動するように構成される。
別法として、ヒンジ要素は、動作中、接触面で擦れる又はよじれるように構成される。
好ましくは、ヒンジ組立体は、ヒンジ要素と接触部材の間の接触により、接触領域又はそのすぐ近くに位置するヒンジ要素のある点が、接触部材に対するあらゆる並進運動に対して強固に拘束されるように構成される。
好ましくは、ヒンジ要素と接触部材のうちの一方は、接触領域での、少なくとも回転軸に対して垂直な面に沿った断面プロファイルでは、凸形に湾曲した接触面を備える。
好ましくは、ヒンジ要素と接触部材のうちの他方は、接触領域での、少なくとも回転軸に対して垂直な面に沿った断面プロファイルでは、凹形に湾曲した接触面を備える。
好ましくは、ヒンジ要素又は接触部材のうちの一方は、オーディオ・トランスデューサに対して外力が発揮される、又は加えられるとき、ヒンジ要素又は接触部材の他方が、一段高くなった部分又は突出部を越えて動くことを防止するように構成される、この1つ又は複数の一段高くなった部分又は突出部を有する接触面を備える。
一形態では、ヒンジ要素は、凸形に湾曲した接触面を備え、接触部材は、凹形に湾曲した接触面を備える。代替の形態では、ヒンジ要素は、凹形に湾曲した接触面を備え、接触部材は、凸形に湾曲した接触面を備える。
一形態では、ヒンジ要素は、回転軸に対して垂直な平面でみたときに、少なくとも部分的には凹形又は凸形の断面プロファイルを有し、ここで接触面と物理的に接触する。
一形態では、回転軸に対して垂直な平面でみたときに、ヒンジ要素は、少なくとも部分的には凸形の断面プロファイルを有し、接触面の形は、同じ平面において実質的に平坦であり、逆もまた同様である。
別の形態では、ヒンジ要素は、回転軸に対して垂直な平面でみたときに、少なくとも部分的には凹形の断面プロファイルを有し、接触面は、回転軸に対して垂直な平面において凸形の断面プロファイルを有し、ここで物理的接触が生まれ、ヒンジ要素及び接触面は、使用時に、この凹形及び凸形の面に沿って、互いに対して揺れる又は転動するように構成される。
別の形態では、ヒンジ要素は、回転軸に対して垂直な平面でみたときに、少なくとも部分的には凸形の断面プロファイルを有し、接触面は、回転軸に対して垂直な平面において凸形の断面プロファイルを有し、ヒンジ要素及び接触面が、使用時に、これらの面に沿って、互いに対して揺れる又は転動することを可能にする。
別の形態では、ヒンジ要素と接触部材のうちの一方の第1の要素は、少なくとも断面プロファイルにおいて、回転軸に対して垂直な平面に沿って、凸形に湾曲した接触部を有し、ヒンジ要素と接触部材のうちの他方の第2の要素は、実質的に平面である、又は実質的に大きい半径を有する中央領域を有する接触面を備え、且つ通常動作中、第1の要素が中央に配置され、実質的に平面である中央領域を実質的に越えては動かないように、十分に広幅であり、且つ外力が発揮されるとき、回転軸に対して垂直な平面の断面プロファイルで見たときに、実質的な中央領域に向かって第1の要素を再度中心に位置決めするように構成される、1つ又は複数の一段高くなった部分を有する。
この一段高くなった部分は、一段高くなった縁部の部分でもよい。
別法として、中央領域は、通常動作中、又は外力が発揮されるとき、第1の要素を徐々に再度中心に位置決めするように、凹形である。
好ましくは、第1の要素は、ヒンジ要素であり、第2の要素は、接触部材である。
好ましくは、ヒンジ要素と接触面のうち、回転軸に対して垂直な平面に沿った断面プロファイルにおいて、曲率半径が相対的に小さい、凸形に湾曲した接触面を備える方は、以下の関係を満たす、単位がメートルである半径r、
Figure 2022017532000003

及び/又は以下の関係を満たす、単位がメートルである半径rを有し、
Figure 2022017532000004

ここでlは、単位がメートルである、接触部材に対するヒンジ要素の回転軸から振動板の最遠位部分までの距離であり、fは、単位がHzである振動板の基本共振周波数であり、Eは、好ましくは50~140の範囲であり、たとえばEは140、より好ましくは100、なおより好ましくは70、さらに好ましくは50、最も好ましくは40である。
一形態では、付勢機構は、磁気機構又は磁気構造を使用して、ヒンジ要素を接触部材の接触面に向かって付勢、又は勢いづかせる。
好ましくは、ヒンジ要素は、磁気要素又は磁性体を備え、又はそれから構成される。
好ましくは、磁気要素又は磁性体は、振動板に組み込まれる。
好ましくは、磁気要素又は磁性体は、振動板本体の端面で振動板に接続される、またそうでない場合はその中に組み込まれる、強磁性スチールシャフトである。
好ましくは、シャフトは、実質的に円筒形プロファイルを有する。
好ましくは、シャフトのおおよそ円筒形プロファイルは、おおよそ1~10mmの間の直径である。
一形態では、このシャフトの、接触面との物理的接触を生み出す部分は、約0.05mmから0.15mmの間の半径を有する凸形プロファイルを有する。
いくつかの実施例では、付勢機構は、ヒンジ要素に接触する、又はそれに強固に連結される第1の磁気要素と、第2の磁気要素も備えてもよく、第1の磁気要素と第2の磁気要素の間の磁力は、使用時にヒンジ要素と接触面の間の安定した物理的接触を保つように、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢、又は勢いづかせる。
第1の磁気要素は、強磁性流体でもよい。
第1の磁気要素は、振動板本体の端部の近くに配置される強磁性流体でもよい。
第2の磁気要素は、永久磁石や電磁石でもよい。
別法として、第2の磁気要素は、接触部材の接触面に接続される、又はそれに埋め込まれる、強磁性スチール部品でもよい。
好ましくは、接触部材は、第1の磁気要素と第2の磁気要素の間に配置される。
いくつかの実施例では、付勢機構は、機械的機構を備えて、ヒンジ要素を接触部材の接触面に向かって付勢、又は勢いづかせる。
一形態では、付勢機構は、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢、又は勢いづかせる、弾性要素又は弾性部材を備える。
好ましくは、この弾性要素は、スチール製の板ばねである。
別法として、又は追加的に、付勢機構は、引っ張られたゴム製バンド、圧縮されたゴム製ブロック、及びマグネットによって引き寄せられた強磁性流体を備えることができる。
好ましくは、ヒンジ接続部は、ヒンジ要素を接触部材に対して所望の作動位置及び物理的位置に配置するための固定構造も備える。
一形態では、固定構造は、ヒンジ要素のそれぞれの端部に接続されるピンなどの固定部材、並びに固定部材に接続される一方の端部と接触部材に接続される別の端部とをそれぞれが有する1つ又は複数の紐を備える機械的固定組立体であり、紐の中間の部分は、ヒンジ要素の断面の周りで湾曲するように構成され、それによってヒンジ要素を接触部材に対する所望の作動位置及び物理的位置に保つ。
一形態では、固定構造は、ヒンジ要素の端部に直接的又は間接的に固定される一方の端部と、接触部材に接続される別の端部とを有する、1つ又は複数の薄いフレキシブル要素を備える機械的固定組立体であり、この紐の中間の部分は、ヒンジ要素又はヒンジ要素に強固に取り付けられた構成要素の断面の周りで湾曲するように構成され、それによってヒンジ要素を接触部材に対する所望の作動位置及び物理的位置に保つ。
好ましくは、この薄いフレキシブル要素は紐であり、最も好ましくはマルチストランドの紐である。
好ましくは、この薄いフレキシブル要素は、僅かなクリープを示す。
好ましくは、この薄いフレキシブル要素は、高い耐摩耗性を発揮する。
好ましくは、この薄いフレキシブル要素は、vectran(商標)繊維などの芳香族ポリエステル繊維である。
一形態では、固定構造は、ヒンジ要素の端部に直接的又は間接的に固定される一方の端部と、接触部材に接続される別の端部とを有する、1つ又は複数の紐を備える機械的固定組立体であり、この紐の中間の部分は、ヒンジ要素と接触部材のいずれかの構成要素のうち、それらが接触する位置での側面プロファイルにおいて、より凸形である方の断面の周りで湾曲するように構成され、それによってヒンジ要素を接触部材に対する所望の作動位置及び物理的位置に保つ。
好ましくは、この紐が湾曲する半径は、同じ構成要素の接触面と実質的に同じ側面プロファイルである。
好ましくは、この紐が湾曲する半径は、同じ構成要素の接触面の側面プロファイルと比較して、すべての位置において、同じ位置での紐の厚さの半分だけわずかに小さい半径である。
一形態では、固定構造は、一方の端部をヒンジ要素に、別の端部を接触部材に連結するフレキシブル要素を備える機械的固定組立体であり、接触部材に対するヒンジ要素の回転軸の近くでそれに平行に配置され、その長さに沿ってよじれるという点で弾性であるために十分に薄肉であり、且つヒンジ軸に対して垂直で、接触面に対して平行な方向において十分に広幅であり、その結果、この固定構造は、同じ方向での一方の端部の並進運動という点では比較的非追従的であり、それによって同じ方向においてヒンジ要素が接触面に対して相対的に摺動することを制限する。
好ましくは、この薄いフレキシブル要素は、板ばねである。
好ましくは、この薄いフレキシブル要素は、薄い固体の帯状板、たとえば金属シムである。
好ましくは、フレキシブル要素は、疲労及びクリープに対して耐性がある材料、たとえばスチールやチタンから作られる。
好ましくは、ヒンジ組立体は、使用時に、実質的に一定である付勢力を使用して、ヒンジ要素を接触部材の接触面に向かって付勢する。
好ましくは、ヒンジ組立体は、振動板に作用する重力の力より大きい、またより好ましくは振動板に作用する重力の力より1.5倍大きい付勢力を使用して、ヒンジ要素を接触部材の接触面に向かって付勢する。
好ましくは、付勢力は、振動板の最大励起力と比べて実質的に大きい。
好ましくは、付勢力は、トランスデューサの通常動作中に受ける最大励起力の1.5倍より大きく、またより好ましくは2.5倍より大きく、さらに好ましくは4倍より大きい。
好ましくは、トランスデューサの通常動作中、振動板に最大励起が加えられるとき、ヒンジ組立体は、十分に大きい付勢力を使用して接触部材の接触面に向かってヒンジ要素を付勢し、その結果、ヒンジ要素と接触面の間で、実質的に非摺動の接触が保たれる。
好ましくは、トランスデューサの通常動作中、振動板に最大励起が加えられるとき、特定のヒンジ接続部での付勢力は、ヒンジ要素と接触面の間のずれを引き起こすような方向に作用する反力の成分よりも3倍、又は6倍、又は10倍大きい。
好ましくは、ヒンジ要素と接触部材の間の接触力の少なくとも30%、またより好ましくは少なくとも50%、また最も好ましくは少なくとも70%は、付勢機構によって提供される。
好ましくは、付勢機構は、十分に追従的であり、その結果、通常動作中、振動板がその可動域の最大範囲を左右に動くとき、付勢機構が与える付勢力は、トランスデューサが停止しているときの平均の力の200%、またより好ましくは150%、またより好ましくは100を超えて変動しない。
好ましくは、付勢構造は十分に追従的であり、その結果、ヒンジ接続部は、ある方向においてヒンジ要素に付勢力を与える付勢機構が、結果として生じる反力に対して追従的に適用されるという点で、著しく非対称である。
好ましくは、前記反力は、実質的に一定の変位の形で加えられる。
好ましくは、前記反力は、接触面を接触部材の主要本体に連結する、接触部材の比較的非追従的な部分によって与えられる。
好ましくは、ヒンジ要素は振動板本体に強固に連結され、ヒンジ要素の、接触面のすぐ近くの領域、及びこの領域と振動板の他の部分との間の連結は、付勢機構に比べて非追従的である。
いくつかの実施例では、ヒンジ要素に作用する付勢機構の総スティフネスk(ここで「k」はフックの法則のもとで定められるものである)、振動板の前記接触面によって支持される部分の、その回転軸を中心とする回転慣性、及び単位がHz(f)である振動板の基本共振周波数は、以下の式を満たし、
k<C×10,000×(2πf)×I
ここでCは、好ましくは200、またより好ましくは130、またより好ましくは100、またより好ましくは60、またより好ましくは40、またより好ましくは20、また最も好ましくは10で与えられる定数である。
いくつかの実施例では、付勢機構は十分に追従的であり、その結果、通常動作中、振動板がその平衡変位にあるとき、小さい等しい大きさで逆向きの2つの力が、1対の接触面に、各面に対して1力、これらの面を分離するような方向に垂直に加えられる場合、単に最初の分離を達成するのに必要とされる力を上回って超える、単位がニュートンである力の小さい(好ましくは微小な)増加分(dF)と、ドライバの他の部分の変形から生じ、非接合の構成要素同士の間の局部的な接触領域と関連付けられた、且つその領域での追従性を除く、単位がメートルである、結果として生じるこれらの面での分離の変化(dx)と、振動板の前記接触面によって支持される部分の、その回転軸を中心とする回転慣性(I)と、単位がHzである振動板の基本共振周波数(f)との間の関係は、以下の関係を満たし、
Figure 2022017532000005

ここでCは、好ましくは200、またより好ましくは130、またより好ましくは100、またより好ましくは60、またより好ましくは40、またより好ましくは20、また最も好ましくは10で与えられる定数である。
好ましくは、付勢機構の一部は、トランスデューサ基部機構に強固に連結される。
別法として、又は追加的に、振動板は、付勢機構を備える。
いくつかの実施例では、振動板をその通常の動きの範囲内で任意の位置に変位させるように一定の励起力が加えられる間、ヒンジ組立体内の、数nのこの種類のヒンジ接続部内の、それぞれのヒンジ要素をその関連付けられた接触面に向かって付勢する、単位がニュートンであるすべての力(F)の平均(ΣF/n)は、以下の関係を常に満たし、
Figure 2022017532000006

ここでDは、好ましくは5に等しい、またより好ましくは15に等しい、またより好ましくは30に等しい、またより好ましくは40に等しい定数である。
いくつかの実施例では、付勢機構は、ヒンジ組立体内の、数nのこの種類のヒンジ接続部内の、それぞれのヒンジ要素をその関連付けられた接触面に向かって付勢する、単位がニュートン(Fn)であるすべての力の平均(ΣF/n)を加え、これは、振動板をその通常の動きの範囲内で任意の位置に変位させるように一定の励起力が加えられるとき、以下の関係を常に満たし、
Figure 2022017532000007

ここでDは、好ましくは200に等しい、またより好ましくは150に等しい、またより好ましくは100に等しい、また最も好ましくは80に等しい定数である。
いくつかの実施例では、付勢機構は、ヒンジ要素を接触部材に付勢する、以下の関係を満たす合力Fを加え、
F>D×(2πf×I
ここでI(単位はkg.m)は振動板のヒンジ要素によって指示される部分の回転軸を中心とする回転慣性、f(単位はHz)はFROの下限、Dは好ましくは5に等しい、またより好ましくは15に等しい、またより好ましくは30に等しい、またより好ましくは40に等しい、またより好ましくは50に等しい、またより好ましくは60に等しい、また最も好ましくは70に等しい定数である。
好ましくは、通常動作中、接触部材に対するヒンジ要素のすべての回転角で、この関係は常に満たされる。
好ましくは、ヒンジ組立体は、励起力が振動板に加えられないとき、振動板を所望のニュートラル回転位置に復元するための復元機構をさらに備える。
一形態では、復元機構は、振動板本体の端部に取り付けられるトーション・バーを備える。この構成では、トーション・バーは、ねじれて屈曲する中間セクションと、振動板及びトランスデューサ基部構造に接続される端部セクションとを備える。
好ましくは、これらのセクションの少なくとも一方の端部は、トーション・バーの主軸方向の並進追従性を提供する。
好ましくは、端部セクションの片方、またより好ましくは両方は、中間セクションの長さに対して垂直な方向における回転可撓性を組み込む。
好ましくは、並進可撓性及び回転可撓性は、トーション・バーの片方又は両方の端部の、その平面がトーション・バーの主軸に対して実質的に垂直なほうに向けられる、1つ又は複数の実質的に平面で薄い壁部によって提供される。
好ましくは、両方の端部セクションは、トーション・バーの主軸に対して垂直な方向における並進運動の点では比較的非追従的である。
いくつかの実施例では、オーディオ・トランスデューサは、コイルとコイルに連結する導電性ワイヤとを含む励起機構をさらに備え、この導電性ワイヤは、トーション・バーの中間セクションの表面に取り付けられる。
好ましくは、トーション・バーに対して平行に延び、トランスデューサの通常動作中、トーション・バーがそれを中心に回転する軸の近くに、このワイヤが取り付けられる。
別の形態では、復元機構は、回転軸の近くに配置される、シリコンやゴムなどの追従的要素を備える。
好ましくは、追従的要素は、細い中間セクションと、広げられた区域を有して安定的な連結に役立つ端部セクションとを備える。
別の形態では、復元力の一部又はすべては、接触面のジオメトリ、並びに付勢構造によって加えられる付勢力の位置、方向及び強さを通して、ヒンジ接続部内で提供される。
別の形態では、この中心に位置決めする力のいくらかは、磁気要素によって与えられる。
一形態では、ヒンジ組立体の1つ又は複数の構成要素は、ヤング率が6GPaより大きい、またより好ましくは10GPaより大きい材料から作られる。
別の態様では、本発明は概して、
動作中、実質的に剛性のままである振動板本体を有する振動板と、
使用時に、振動板を作動可能に支持するように構成され、且つ1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備える、ヒンジ・システムであって、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材が、接触面を有する、ヒンジ・システムとを備え、
動作中、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら、関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体が、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢し、
接触面と隣接した領域にある、ヒンジ要素と接触部材の両方の少なくとも一部が、剛性の材料から作られる、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
一実施例では、実質的に安定した物理的接触は、実質的に安定した力を有し、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触面との間の接触領域において、ヒンジ要素と接触部材のうちの一方は、振動板に強固に効果的に連結され、他方は、トランスデューサ基部構造に強固に効果的に連結される。好ましくは、ヒンジ組立体は、それぞれの接続部のヒンジ要素に、関連付けられた接触面に向かって追従的に付勢力を加えるように構成される。好ましくは、ヒンジ組立体は、それぞれの接続部のヒンジ要素に、関連付けられた接触面に向かって追従的に付勢力を加えるように構成される。
好ましくは、37番目、又は38番目の態様において、ヒンジ要素と接触部材の両方の、接触面と隣接した領域にある部分は、ヤング率が6GPaより大きい、より好ましくは10GPaより大きい材料から作られる。
好ましくは、振動板本体を基部構造に連結し、実質的に剛性の構成要素から構成される少なくとも1つの経路が存在し、それにより、ある剛性の構成要素が、別の構成要素に強固に連結されることなく接触する場所のすぐ近くでは、すべての材料は、6GPaより大きい、またさらに好ましくは10GPaより大きいヤング率を有する。
より好ましくは、ヒンジ要素及び接触部材は、ヤング率が6GPaより大きい、またさらに好ましくは10GPaより大きい材料、たとえばアルミニウム、スチール、チタン、タングステン、セラミックなどであるが、これらに限定はされない材料から作られる。
好ましくは、ヒンジ要素及び/又は接触面は、薄いコーティング、たとえばセラミックコーティングや陽極酸化コーティングを備える。
好ましくは、接触位置のヒンジ要素の表面又は接触面のどちらか一方又は両方は、非金属の材料から構成される。
好ましくは、接触位置のヒンジ要素と接触面の両方は、非金属の材料から構成される。
好ましくは、接触位置のヒンジ要素と接触面の両方は、耐食性の材料から構成される。
好ましくは、接触位置のヒンジ要素と接触面の両方は、フレッティング関連腐食への耐性がある材料から構成される。
好ましくは、ヒンジ要素は、振動板の回転軸と実質的に同一直線上にある軸を中心に、接触面に対して転動する。
好ましくは、ヒンジ組立体は、1自由度の振動板の動きを容易にするように構成される。
一構成では、ヒンジ組立体は、少なくとも2方向における/少なくとも2つの実質的に直交する軸に沿った並進運動に対して、振動板を強固に拘束する。
一構成では、ヒンジ組立体は、並進運動と回転運動の組合せから構成される振動板の動きを可能にする。
好ましい構成では、ヒンジ組立体は、実質的に単一の軸を中心に回転する振動板の動きを可能にする。
好ましくは、ヒンジ要素の肉厚は、接触位置でのヒンジ要素及び接触部材の接触面の半径のうち、側面プロファイルがより凸形の方の接触面の半径の1/8、又は1/4又は1/2より厚く、最も好ましくはその半径より厚い。
好ましくは、接触部材の肉厚は、接触位置でのヒンジ要素及び接触部材の接触面の半径のうち、側面プロファイルがより凸形の方の接触面の半径の1/8、又は1/4又は1/2より厚く、最も好ましくはその半径より厚い。
好ましくは、並進負荷が、ヒンジ接続部を介して振動板からトランスデューサ基部構造まで通過することができる、少なくとも1つの実質的に非追従的な経路が存在する。
好ましくは、振動板は、電気及び運動を変換する変換機構の力伝達構成要素を組み込み、且つそれに強固に接続される。
別の態様では、本発明は概して、
動作中、実質的に剛性のままである振動板本体を有する振動板と、
力伝達構成要素を有する、電気及び/又は運動を変換する変換機構であって、振動板が、力伝達構成要素を組み込み、且つ力伝達構成要素に強固に接続される、変換機構と、
使用時に、振動板を作動可能に支持するように構成され、且つ1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備える、ヒンジ・システムであって、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材が、接触面を有する、ヒンジ・システムとを備え、
動作中、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら、関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体が、接触面に向かってヒンジ要素を付勢する、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
一実施例では、実質的に安定した物理的接触は、実質的に安定した力を有し、それぞれのヒンジ要素と、関連付けられた接触面との間の接触領域において、ヒンジ要素と接触部材のうちの一方は、振動板に強固に効果的に連結され、他方は、トランスデューサ基部構造に強固に効果的に連結される。好ましくは、ヒンジ組立体は、それぞれの接続部のヒンジ要素に、関連付けられた接触面に向かって追従的に付勢力を加えるように構成される。好ましくは、ヒンジ組立体は、それぞれの接続部のヒンジ要素に、関連付けられた接触面に向かって追従的に付勢力を加えるように構成される。
別の態様では、本発明は概して、
動作中、実質的に剛性のままであり、振動板本体の最大長さの約11%より大きい最大厚さを有する振動板本体を有する振動板と、
使用時に、振動板を作動可能に支持するように構成され、且つ1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備える、ヒンジ・システムであって、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材が、接触面を有する、ヒンジ・システムとを備え、
動作中、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら、関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体が、接触面に向かってヒンジ要素を付勢する、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
ヒンジ・システムを含むオーディオ・トランスデューサに関連する上の態様のうちの任意の1つにおいて、一形態では、ヒンジ組立体は、振動板の幅の左右に配置される1対のヒンジ接続部を備える。
別法として、ヒンジ組立体は、少なくとも1対のヒンジ接続部が振動板の幅の左右に配置される、3つ以上のヒンジ接続部を備える。
一形態では、複数のヒンジ組立体は、動作中、振動板を作動可能に支持するように構成される。
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、少なくとも1つのヒンジ組立体を有する振動板サスペンションをさらに備え、この振動板サスペンションは、動作中、振動板を作動可能に支持するように構成される。
好ましくは、振動板サスペンションは、単一のヒンジ組立体から構成されて、振動板組立体の運動を可能にする。
別法として、振動板サスペンションは、2つ以上のヒンジ組立体を備える。
#409一形態では、振動板サスペンションは、4バー・リンクを備え、ヒンジ組立体は、4バー・リンクのそれぞれの隅部に配置される。
好ましくは、それぞれの振動板は、それぞれが著しく異なる回転軸を有する、2つ以下のヒンジ接続部に連結される。
一構成では、ヒンジ要素は、磁力によって接触面に向かって付勢、又は勢いづかされる。
一構成では、ヒンジ要素は、振動板本体の端面に取り付けられる、又はその中に、若しくはそれに沿って埋め込まれる、強磁性スチールシャフトである。ヒンジ接続部は、ヒンジ要素を接触面に向かって引き寄せるマグネットを備える。
一構成では、ヒンジ要素は、機械的付勢機構によって接触面に向かって付勢、又は勢いづかされる。
一形態の構成では、ヒンジ要素は、振動板本体の端面に、又はそれに沿って取り付けられ、又は埋め込まれる、振動板基部フレームである。
機械的付勢構造は、プレテンションがかけられたばね部材を備えてもよい。
好ましくは、ヒンジ要素に加えられる付勢力は、接触面に対する振動板の回転軸とおおよそ同一直線上にある縁部で加えられる。
好ましくは、ヒンジ要素と接触面の間に加えられる付勢力は、回転軸に対して実質的に平行であり、且つヒンジ要素の接触する面と接触面の接触する面のうち、回転軸に対して垂直な平面における断面プロファイルでみたときにより凸形である接触する面側の接触半径の中心近くを通る線軸と実質的に同一直線上である縁部で加えられる。
好ましくは、ヒンジ要素と接触面の間に加えられる付勢力は、回転軸に対して平行であり、且つヒンジ要素の接触する面と接触面の接触する面のうち、回転軸に対して垂直な平面における断面プロファイルでみたときにより凸形である接触する面側の接触半径の中心を通る線と同一直線上である縁部で加えられる。
好ましくは、ヒンジ要素に加えられる付勢力は、接触面に対する振動板のおおよその回転軸上にある位置で加えられる。
好ましくは、付勢力は、回転軸に対しておおよそ平行であり、ヒンジ要素と接触面のうち、回転軸に対して垂直な平面における断面プロファイルでみたときにより凸形である面側の半径のおおよその中心を通る軸で加えられる。
好ましくは、付勢力は、振動板の可動域の最大範囲全体にわたり、この位置の近くで加えられる。
好ましくは、通常動作中は常に、付勢力の位置及び方向は、回転軸に対して平行に向いてヒンジ要素と接触部材の間の接点を通る仮想線を通るものである。
別の態様では、本発明は概して、ヒンジ・システムを含む上の態様のうちの任意の1つに従うオーディオ・トランスデューサであって、
振動板を中に、又は間に収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備えるハウジングをさらに備え、
振動板が、ハウジングと物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を有する外周部を備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは、少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは、少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
いくつかの実施例では、トランスデューサは、振動板の1つ又は複数の周辺領域とハウジング内部との間に強磁性流体を有する。好ましくは、強磁性流体は、振動板の冠状面の方向において、振動板にかなりの支持を与える。
好ましくは、振動板は、本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材を備える。
別の態様では、本発明は概して、ヒンジ・システムを含む上の態様のうちの任意の1つに従うオーディオ・トランスデューサであって、振動板が、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体のこの面又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、前記主面のうちの少なくとも1つに対してある角度で向けられ、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材とを備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
好ましくは、上の2つの態様のうちのいずれか1つにおいて、振動板本体と関連付けられた質量分布又は垂直応力補強材と関連付けられた質量分布又はその両方は、振動板が、振動板の1つ又は複数の比較的質量の大きい領域の質量と比べて、振動板の1つ又は複数の質量の小さい領域では比較的小さい質量を有するものである。
好ましくは、振動板本体は、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で比較的小さい質量を有する。好ましくは、振動板の厚さは、質量中心から遠位な周辺部に向かって減少する。
別法として、又は追加的に、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、組み立てられた振動板の質量中心位置から遠位である関連付けられた主面の1つ又は複数の周辺縁部領域にあるものである。
別の態様では、本発明は概して、ヒンジ・システムを含む上の態様のうちの任意の1つを組み込み、オーディオ・トランスデューサの振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間に配置されて、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システムをさらに備える、オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
好ましくは、オーディオ・デバイスのこの少なくとも1つの他の部分は、このデバイスのオーディオ・トランスデューサの振動板の別の部分ではない。好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、トランスデューサ基部構造とある他の部分との間に接続される。好ましくは、このある他の部分はトランスデューサ・ハウジングである。
別の態様では本発明は、上の態様の任意の1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサを組み込み、独立したオーディオ信号の再生が可能な2つ以上の異なるオーディオ・チャネルを提供する、2つ以上の電気音響スピーカを備えるオーディオ・デバイスで構成され得る。好ましくは、このオーディオ・デバイスは、使用者の耳の約10cm以内でのオーディオ用になされた個人用オーディオ・デバイスである。
別の態様では、本発明は、前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちいずれか1つの、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサとその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを組み込む、個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、それぞれの耳又はその近位で使用者によって装着されるように構成された1対のインタフェース・デバイスを備える個人用オーディオ・デバイスであって、それぞれのインタフェース・デバイスが、前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちいずれか1つの、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサとその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、それぞれの耳又はその周りで装着されるように構成された1対のヘッドホン・インタフェース・デバイスを備えるヘッドホン装置であって、それぞれのインタフェース・デバイスが、前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちいずれか1つの、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサとその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、ヘッドホン装置で構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、使用者の耳の外耳道又は甲介内に装着されるように構成された1対のイヤホン・インタフェースを備えるイヤホン装置であって、それぞれのイヤホン・インタフェースが、前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちのいずれか1つの、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサとその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、イヤホン装置で構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、オーディオ・トランスデューサが、音響電気トランスデューサである、上の態様の任意の1つ、並びに関連する機能、構成及び実施例のオーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
別の態様では、本発明は概して、
振動板と、
トランスデューサ基部構造と、
少なくとも1つのヒンジ接続部とを備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備える、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部に関して、それぞれのヒンジ要素は、回転軸を中心にした振動板の回転運動を容易にするために、この要素の長さと比較して比較的薄い。
一形態では、振動板は、振動板を支持するための振動板基部フレームを備え、振動板は、振動板基部フレームによって、振動板の端部に沿って、又はその近くで支持され、振動板基部フレームは、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素の片方又は両方に直接取り付けられる。
好ましくは、振動板基部フレームは、振動板とそれぞれのヒンジ接続部の間の剛性連結を容易にする。
一形態では、振動板基部フレームは、1つ又は複数のコイル補剛パネル、1つ又は複数の側方円弧状補剛材トライアングル、上側支柱プレート及び下側基部プレートを備える。
いくつかの実施例では、振動板は、振動板基部フレームを備えず、振動板は、それぞれのヒンジ接続部の片方又は両方のヒンジ要素に直接取り付けられる。
好ましくは、振動板からそれぞれのヒンジ接続部の片方又は両方のヒンジ要素までの距離は、回転軸から振動板の最遠位周辺部までの最大距離の半分より短く、またより好ましくはこの最大距離の1/3より短く、またより好ましくはこの最大距離の1/4より短く、またより好ましくはこの最大距離の1/8より短く、また最も好ましくはこの最大距離の1/16より短い。
好ましくは、1つ又は複数のヒンジ接続部は、振動板の少なくとも1つの面又は周辺部に連結され、それぞれの連結部の少なくとも1つの全体寸法サイズは、関連付けられた面又は周辺部の対応する寸法の1/6より大きく、またより好ましくは1/4より大きく、また最も好ましくは、1/2より大きい。
別の態様では、本発明は概して、
振動板と、
トランスデューサ基部構造と、
少なくとも1つのヒンジ接続部とを備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備え、
振動板からそれぞれのヒンジ接続部の片方又は両方のヒンジ要素までの距離が、回転軸から振動板の最遠位周辺部までの最大距離の半分より短い、オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。より好ましくは、この片方又は両方のヒンジ要素までの距離は、この最大距離の1/3より短く、またより好ましくは、この最大距離の1/4より短く、またより好ましくは、この最大距離の1/8より短く、また最も好ましくはこの最大距離の1/16より短い。
別の態様では、本発明は概して、
振動板と、
トランスデューサ基部構造と、
少なくとも1つのヒンジ接続部とを備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備え、1つ又は複数のヒンジ接続部が、振動板の少なくとも1つの面又は周辺部に連結され、それぞれの連結部の少なくとも1つの全体寸法サイズが、関連付けられた面又は周辺部の対応する寸法の1/6より大きい、オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。より好ましくは、この連結部の寸法サイズは、関連付けられた面又は周辺部の対応する寸法サイズの1/4より大きく、また最も好ましくは1/2より大きい。
好ましくは、それぞれの連結部の2つの実質的に直交する寸法サイズは、関連付けられた表面又は面の対応する直交する寸法サイズの1/16より大きく、より好ましくはその1/4より大きく、最も好ましくはその1/2より大きい。
以下の条項は、少なくとも前の3つの態様に適用される。
#429d好ましくは、振動板の冠状面及びヒンジ軸に対して垂直な方向の、振動とそれぞれのヒンジ接続部の間の連結部の全体の厚さは[これはマルチ・ブレードに有効か?]、この1つ又は複数の連結部に沿ったあらゆる位置での、同じ方向の振動板の最大寸法の1/6より大きく、またより好ましくは1/4より大きく、また最も好ましくは1/2より大きい。
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのヒンジ要素は、ねじれに対して実質的に剛性である。
代替の実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、ねじれに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的に剛性である。
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ要素は、おおよそ、又は実質的に平面のプロファイル、たとえば平坦なシートの形態を備える。
いくつかの実施例では、それぞれの接続部の1対のフレキシブル・ヒンジ要素同士は、共通の縁部に沿って連結、又は交差して、おおよそL形の断面を形成する。いくつかの他の構成では、それぞれのヒンジ接続部の1対のフレキシブル・ヒンジ要素同士は、中央領域に沿って交差して回転軸を形成し、これらのヒンジ要素は、おおよそX形の断面を形成する(すなわち、これらのヒンジ要素は、クロスばねの構成を形成する)。いくつかの他の構成では、それぞれのヒンジ接続部のフレキシブル・ヒンジ要素同士は、隔てられて、異なる方向に延在する。
一形態では、回転軸は、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素同士が交差する点とおおよそ同一直線上にある。
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、横方向の、この要素の長手方向の長さに沿った湾曲部を備える。ヒンジ要素は、わずかに曲げられて、その結果、動作中に実質的に平面の状態に屈曲することができる。
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部の1対のフレキシブル・ヒンジ要素は、20から160度の間、またより好ましくは30から150度の間、またさらに好ましくは50から130度の間、またいっそう好ましくは70から110度の間の角度で、互いに対して傾けられる。好ましくは、1対のフレキシブル・ヒンジ要素同士は、互いに対して実質的に直交する。
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部の一方のフレキシブル・ヒンジ要素は、回転軸に対して実質的に垂直である第1の方向に著しく延びる。
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのヒンジ要素は、回転軸に対して垂直な平面における断面の点で、ヒンジ要素長さの、通常動作中に著しく変形する部分に沿って算出される平均断面積の平方根の3倍より大きい、またより好ましくは5倍より大きい、また最も好ましくは6倍より大きい、幅又は高さの平均寸法を有する。
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部の片方又は両方のヒンジ要素は、薄いシートであり、それぞれの薄いシートは、厚さ、幅及び長さを有し、ヒンジ要素の厚さは、その長さの約1/4未満であり、またより好ましくはその長さの約1/8未満であり、またさらに好ましくはその長さの約1/16未満であり、またいっそう好ましくはその長さの約1/35未満であり、またさらに好ましくはその長さの約1/50未満であり、また最も好ましくはその長さの約1/70未満である。
いくつかの実施例では、ばね部材の厚さは、その幅の約1/4未満、又はその幅の約1/8未満、また好ましくはその幅の約1/16未満、またより好ましくはその幅の約1/24未満、またさらに好ましくはその幅の約1/45未満、またいっそう好ましくはその幅の約1/60未満、また最も好ましくはその幅の約1/70未満である。
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのヒンジ要素は、その長さ及び幅の少なくとも大部分にわたり、実質的に均一な厚さを有する。
いくつかの構成では、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素は、一様でない厚さを有し、このヒンジ要素の厚さは、振動板に近位な縁部に向かって増加する。別法として、又は追加的に、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素は、一様でない厚さを有し、このヒンジ要素の厚さは、トランスデューサ基部構造に近位な縁部に向かって増加する。
一形態では、それぞれのヒンジ接続部のヒンジ要素の片方又は両方の厚さは、振動板又はトランスデューサ基部構造から最遠位であるヒンジ要素の端部で、又はその近傍で増加する。
この厚さの増加は、段階的でも、先細りにされてもよい。
別の態様では、本発明は概して、
振動板と、
トランスデューサ基部構造と、
少なくとも1つのヒンジ接続部とを備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備え、それぞれのヒンジ接続部の片方又は両方のヒンジ要素が、振動板又はトランスデューサ基部構造と密に結び付けられた要素の縁部又は端部に向かって増加する厚さを有する、
オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
この厚さの増加は、段階的でも、先細りにされてもよい。
以下の条項は、少なくとも前の4つの態様に適用される。
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのヒンジ要素は、振動板又はトランスデューサ基部構造に強固に連結するように構成された端部でフランジがつけられる。
ヒンジ要素は、一様でない幅を有してもよく、この幅は、振動板及び/又はトランスデューサ基部構造と密に結び付けられた縁部/端部で、又はそれに向かって増加してもよい。またこの幅は、振動板又はトランスデューサ基部構造から遠位な端部/縁部で、又はそれに向かって増加してもよい。
この幅の増加は、段階的でも、先細りにされてもよい。
いくつかの実施例では、オーディオ・トランスデューサは、2つのヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備える。好ましくは、それぞれのヒンジ接続部は、振動板の左右に配置される。
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部は、振動板の正中矢状面からの距離が、振動板本体の幅の少なくとも0.2倍であるところに配置される。
好ましくは、第1のヒンジ接続部は、振動板の端面の第1の隅部領域に近位に配置され、第2のヒンジ接続部は、この端面の、対向する第2の隅部領域に近位に配置され、これらのヒンジ接続部は、実質的に同一直線上にある。
振動板は、エポキシなどの接着剤によって、又は溶接によって、又は留め具を使用したクランプによって、又は多数の他の方法によって、それぞれのヒンジ接続部に連結され得る。
好ましい実施例では、それぞれの接続部のそれぞれのヒンジ要素は、ヤング率がたとえば8GPaより大きい材料から作られる。この材料は、金属やセラミックや、このようなスティフネスを有する任意の他の材料でもよい。
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ要素は、ヤング率が20GPaより大きい材料から作られる。
一形態では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのヒンジ要素は、金属やセラミックなどの連続的な材料から作られる。たとえば、ヒンジ要素は、高張力スチール合金、タングステン合金、チタン合金、又は「Liquidmetal」や「Vitreloy」などのアモルファス金属合金で作られてもよい。
別の形態では、ヒンジ要素は、プラスチック強化炭素繊維などの複合材料から作られる。
いくつかの構成では、振動板の振動板本体は、実質的に厚い。好ましくは、振動板本体は、振動板本体の最大長さの11%より大きい、またより好ましくは、振動板本体の最大長さの14%より大きい最大厚さを有する。
別の態様では、本発明は概して、
振動板本体を有する振動板と、
トランスデューサ基部構造と、
少なくとも1つのヒンジ接続部とを備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備え、振動板の振動板本体が、実質的に厚い、オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
好ましくは、振動板本体は、回転軸から振動板本体の対向する遠位周辺部までのその長さの15%より大きい最大厚さを有する。
以下の条項は、少なくとも前の5つの態様に適用される。
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、変換機構をさらに備える。
一形態では、オーディオ・トランスデューサは、スピーカ・ドライバである。
一形態では、オーディオ・トランスデューサは、マイクロホンである。
一形態では、変換機構は、動電変換機構、又は圧電変換機構、又は磁歪変換機構、又は任意の他の適当な変換機構を使用する。
一形態では、変換機構は、コイル巻線を備える。好ましくは、コイル巻線は、振動板に接続される。好ましくは、コイル巻線は、振動板のすぐ近くにあるか、それに直接取り付けられる。
好ましくは、変換機構は、振動板のすぐ近くにあるか、それに直接接続される。
一形態では、変換機構の力伝達構成要素は、振動板に接続される。
一形態では、力伝達構成要素は、ずんぐりしたジオメトリを有する連結構造によって振動板に接続される。
好ましくは、この連結構造は、8GPaより大きいヤング率を有する。
一形態では、変換機構は、マグネット、外側ポールピース及び内側ポールピースを備える磁気回路を備える。
一構成では、振動板に取り付けられるコイル巻線は、磁気回路内の外側ポールピースと内側ポールピースの間の間隙に配置される。
一形態では、外側ポールピースと内側ポールピースの両方は、スチールで作られる。
一形態では、マグネットは、ネオジムで作られる。
一形態では、コイル巻線は、エポキシ系接着剤などの接着剤を使用して、振動板基部フレームに直接取り付けられる。
一形態では、トランスデューサ基部構造は、振動板及び磁気回路を支持するためのブロックを備える。
好ましくは、トランスデューサ基部構造は、厚く、ずんぐりしたジオメトリを有する。
好ましくは、トランスデューサ基部構造は、振動板の質量よりも大きい質量を有する。
いくつかの実施例では、トランスデューサ基部構造は、共振に対する抵抗を改善するために、金属などの大きい比弾性率を有する材料、たとえばアルミニウムやマグネシウムであるがそれらに限定されない金属、又はガラスなどのセラミックから作られてもよい。
好ましくは、トランスデューサ基部構造は、ヤング率が8GPaより大きい、又は20GPaより大きい構成要素を備える。
トランスデューサ基部構造は、エポキシやシアノアクリレートなどの接着剤によって、留め具を使用することによって、はんだ付けによって、溶接によって、又は任意の多数の他の方法によって、それぞれのヒンジ接続部に連結され得る。
一構成では、オーディオ・トランスデューサは、振動板ハウジングをさらに備え、トランスデューサ基部構造は、振動板ハウジングに強固に取り付けられる。
一形態では、振動板ハウジングは、ハウジングの1つ又は複数の壁部に、グリル(grill)を備える。一形態では、グリルは、スタンプされ、プレスされたアルミニウムで作られてもよい。
一形態では、振動板ハウジングは、1つ又は複数の壁部に、1つ又は複数の補剛材を備えてもよい。一形態では、この補剛材も、スタンプされ、プレスされたアルミニウムから作られてもよい。
一形態では、補剛材は、振動板がハウジング内に配置された後、振動板の近くの壁部又は壁部の一部に配置され得る。
一形態では、トランスデューサ基部構造は、粘着剤又は接着剤によって、振動板ハウジングの床部に接続される。
一形態では、振動板ハウジングの壁部は、障壁又はバッフルとして作用して、放射音がキャンセルされるのを軽減する。
いくつかの実施例では、振動板ハウジングは、共振に対する抵抗を改善するために、金属などの大きい比弾性率を有する材料、たとえばアルミニウムやマグネシウムであるがそれらに限定されない金属、又はガラスなどのセラミックから作られてもよい。
別の構成では、オーディオ・トランスデューサは、振動板ハウジングに強固に取り付けられるトランスデューサ基部構造を備えず、オーディオ・トランスデューサは、デカップリング・マウンティング・システムを介してトランスデューサ・ハウジングに収容される。
いくつかの実施例では、オーディオ・トランスデューサは、中に振動板を収容するためのハウジングをさらに備え、振動板本体の外周部は、実質的にハウジングの内部と物理的に連結しない。好ましくは、振動板本体の周辺部とハウジングの内部の間に空気間隙が存在する。
好ましくは、空気間隙のサイズは、振動板本体の長さの1/20未満である。
好ましくは、空気間隙のサイズは、1mm未満である。
好ましくは、振動板本体は、周辺部の長さの少なくとも20パーセントに沿って、またより好ましくは周辺部の長さの少なくとも50パーセントに沿って、またさらに好ましくは周辺部の長さの少なくとも80パーセントに沿って、また最も好ましくは、周辺部全体に沿って、ハウジングの内部と物理的に接触又は連結しない外周部を備える。
別の態様では、本発明は概して、
振動板本体を有する振動板と、
トランスデューサ基部構造と、
少なくとも1つのヒンジ接続部とを備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備え、振動板本体の外周部が、ハウジングの内部と実質的に物理的に連結しない、オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
好ましくは、振動板本体は、周辺部の長さの少なくとも20パーセントに沿って、またより好ましくは周辺部の長さの少なくとも50パーセントに沿って、またさらに好ましくは周辺部の長さの少なくとも80パーセントに沿って、また最も好ましくは周辺部全体に沿って、ハウジングの内部と物理的に接触又は連結しない外周部を備える。
いくつかの実施例では、振動板本体の周辺部とハウジングの内部の間に空気間隙が存在する。
いくつかの実施例では、空気間隙のサイズは、振動板本体の長さの1/20未満である。
好ましくは、空気間隙のサイズは、1mm未満である。
いくつかの実施例では、トランスデューサは、振動板の1つ又は複数の周辺領域とハウジング内部との間に強磁性流体を有する。好ましくは、強磁性流体は、振動板の冠状面の方向において、振動板にかなりの支持を与える。
別の態様では、本発明は概して、
振動板本体を有する振動板と、
振動板本体をトランスデューサの基部に対して回転可能に支持するように構成され、少なくとも1つのねじれ部材を備え、且つ振動板に回転軸を与える、ヒンジ組立体とを備え、
それぞれのねじれ部材が、回転軸に対して平行、且つすぐ近くに延びるように配置され、ねじれ部材が、長さ、幅及び高さを有し、ねじれ部材の幅及び高さが、振動板の、回転軸から振動板の最遠位周辺部までの長さの3%より大きい、
オーディオ・トランスデューサであるものである。
好ましくは、ねじれ部材の幅及び/又は長さは、振動板の、回転軸から振動板の最遠位周辺部までの長さの4%より大きい。
好ましくは、ねじればね部材は、このねじればね部材長さの、通常動作中に著しく変形する部分に沿って算出される(強さにあまり寄与しない接着剤及びワイヤを除く)平均断面積の平方根の1.5倍より大きい、またより好ましくはこのばね長さの、通常動作中に著しく変形する部分に沿って算出される平均断面積の平方根の2倍より大きい、またより好ましくは2.5倍より大きい、回転軸に対して垂直な方向の平均寸法を有する。
好ましくは、少なくとも1つ又は複数のねじればね部材は、回転軸に、又はその近くにマウントされ、振動板が、回転軸に対して垂直な任意の方向において単なる小さい並進運動を受けるとき、組み合わせて、復元力の少なくとも50%を直接的に提供する。
別の態様では、本発明は概して、
振動板本体を有する振動板と、
トランスデューサ基部構造と、
その場(in situ)のトランスデューサ基部構造に対して振動板を作動可能且つ回転可能に支持する、少なくとも1つのヒンジ接続部とを備え、それぞれのヒンジ接続部が、弾性部材の長さ及び/又は幅に比べて比較的小さい厚さを有する弾性部材を有し、弾性部材が、振動板に強固に連結される第1の端部と、トランスデューサ基部構造に強固に連結される第2の端部とを有し、この部材の第1の端部と第2の端部の両方の厚さ及び/又は幅が、弾性部材の中間中央領域から離れて延びるにつれて大きくなる、
オーディオ・トランスデューサであるものである。
好ましくは、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれの弾性部材は、互いに対して傾けられた1対のフレキシブル・ヒンジ要素を備える。好ましくは、これらのヒンジ要素は、互いに対して実質的に直交して傾けられる。
好ましい構成では、それぞれの接続部の一方のフレキシブル・ヒンジ要素は、回転軸に対して実質的に垂直な方向に延びる。別法として、又は追加的に、それぞれの接続部の一方のフレキシブル・ヒンジ要素は、回転軸に対して実質的に平行な方向に延びる。
別の態様では、本発明は概して、
振動板と、ヒンジ組立体と、トランスデューサ基部構造とを備え、
振動板が、使用時にヒンジ組立体によって、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して回転可能に支持され、
ヒンジ組立体が、少なくとも1つのヒンジ接続部を備え、それぞれのヒンジ接続部が、第1のフレキシブル弾性要素及び第2のフレキシブル弾性要素を有し、
第1のフレキシブル弾性ヒンジ要素が、一方の端部でトランスデューサ基部構造に強固に接続され、対向する端部で振動板に強固に接続され、
第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素が、一方の端部でトランスデューサ基部構造に強固に接続され、対向する端部で振動板に強固に接続され、
第1のヒンジ要素及び第2のヒンジ要素のそれぞれが、トランスデューサ基部構造と振動板の間の、この要素の長手方向の長さと比べて実質的に小さい厚さを有し、この厚さが、回転軸に対して実質的に垂直であって、回転軸を中心にする振動板の追従的な回転運動を容易にする寸法であり、
それぞれのヒンジ接続部の第1のヒンジ要素が延びる、回転軸に対して垂直である第1の方向が、第2のヒンジ要素が延びる、回転軸に対して垂直である第2の方向に対して少なくとも30度傾いて、第1の方向と第2の方向の両方におけるトランスデューサ基部構造に対する振動板の並進変位の点での、剛性の改善に役立つ、
オーディオ・トランスデューサであるものである。
好ましくは、この第1の方向は、第2の方向に対して45、又は60度より大きい角度であり、また最も好ましくは、第1の方向は、第2の方向におおよそ直交する。
好ましくは、第1のばね部材が第1の方向に延びる距離は、回転軸に対して垂直な方向における振動板の最大寸法に比べて著しく大きく、その結果、これらの各寸法の比は、0.05より大きく、又は0.06より大きく、又は0.07より大きく、又は0.08より大きく、また最も好ましくは、0.09より大きい。
好ましくは、第2のばね部材が第2の方向に延びる距離は、回転軸までの振動板の最大寸法と比較して大きく、その結果、これらの各寸法の比は、0.05より大きく、又は0.06より大きく、又は0.07より大きく、又は0.08より大きく、また最も好ましくは0.09より大きい。
別の態様では、本発明は概して、
振動板と、
振動板をその場で作動可能に支持するヒンジ組立体を備え、ヒンジ組立体が、少なくとも1つのねじれ部材を備え、ねじれ部材が、使用時に、直接的に且つ強固に振動板に取り付けられ、ねじれ部材が、変形して、ヒンジ組立体によって提供される回転軸を中心にした振動板の運動を可能にするように構成される、
オーディオ・トランスデューサであるものである。
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、力伝達構成要素をさらに備える。
好ましくは、ねじれ部材は、その長さに沿って変形して、振動板の回転運動を可能にするように構成される。
好ましくは、ヒンジ組立体は、使用時に、回転軸を中心にした振動板の回転運動を可能にするように構成される。
好ましくは、ヒンジ組立体は、回転軸を中心にした振動板の回転運動を可能にしながら、振動板を強固に支持して並進運動を制限する。
一形態では、ねじれ部材は、おおよそC形の断面を有するトーション・ビームである。
別の態様では、本発明は概して、
振動板と、
振動板をその場で作動可能に支持するヒンジ組立体とを備え、前記ヒンジ組立体が、ねじれ部材を備え、且つ振動板に回転軸を与え、
ねじれ部材が、回転軸に対して実質的に平行、且つすぐ近くに延びるように配置され、
ねじれ部材が、振動板の冠状面に対して垂直な方向の高さを有し、ミリメートルで測定される高さが、グラムで測定される振動板の質量のおおよそ2倍より大きい、
オーディオ・トランスデューサであるものである。
好ましくは、ねじれ部材は、振動板に対して平行で軸に対して垂直な方向に幅を有し、これはミリメートルで測定されるとき、グラムで測定される振動板の質量の約2倍より大きい。
好ましくは、ねじれ部材は、ミリメートルで測定されるとき、グラムで測定されるときの振動板の質量の約4倍より大きい、またより好ましくは6倍より大きい、また最も好ましくは8倍より大きい、幅及び高さを有する。
いくつかの構成では、本開示の41番目から52番目の態様のうちの1つ又は複数は、近接場オーディオ・スピーカ用途に使用され、スピーカ・ドライバは、たとえばヘッドホンやインナーイヤー型イヤホン(bud earphone)で、使用時に耳の10cm以内に配置されるように構成される。
別の態様では、本発明は概して、使用者の耳その場の10cm以内に配置されるように構成されたオーディオ・デバイスであって、
振動板と、
トランスデューサ基部構造と、
少なくとも1つのヒンジ接続部とを有する、
少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサを備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備え、それぞれのヒンジ接続部の片方又は両方のヒンジ要素が、振動板又はトランスデューサ基部構造と密に結び付けられた要素の縁部又は端部に向かって増加する厚さを有する、オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
以下の記述は、ヒンジ・システムを含む上のオーディオ・デバイスの態様の任意の1つ又は複数並びにそれらの関連する機能、実施例及び構成に関する。
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは、エンクロージャ又はバッフルの形をとるハウジングをさらに備え、振動板は、振動板の1つ又は複数の周辺領域ではハウジングと物理的に連結せず、この1つ又は複数の周辺領域は、強磁性流体によって支持される。
好ましくは、この強磁性流体は、強磁性流体によって支持されるこの1つ又は複数の周辺領域を封止し、又はそれと直接的に接触し、その結果、この強磁性流体が、実質的にそれらの間の空気の流れを防止し、且つ/又は冠状面に対して平行な1つ又は複数の方向において振動板へのかなりの支持を実現する。
好ましくは、振動板は、本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体のこの面又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材を備える。
別の態様では、本発明は概して、ヒンジ・システムを含む上の態様の任意の1つに従うオーディオ・トランスデューサあって、振動板が、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体のこの面又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、前記主面のうちの少なくとも1つに対してある角度で向けられ、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材とを備える、オーディオ・トランスデューサで構成されるといえる。
好ましくは、上の2つの態様のうちのいずれか1つにおいて、振動板本体と関連付けられた質量分布又は垂直応力補強材と関連付けられた質量分布又はその両方は、振動板が、振動板の1つ又は複数の比較的質量の大きい領域の質量と比べて、振動板の1つ又は複数の質量の小さい領域では比較的小さい質量を有するものである。
好ましくは、振動板本体は、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で比較的小さい質量を有する。好ましくは、振動板の厚さは、質量中心から遠位な周辺部に向かって減少する。
別法として、又は追加的に、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、組み立てられた振動板の質量中心位置から遠位である、関連付けられた主面の1つ又は複数の周辺縁部領域にあるものである。
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサ、並びに
振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間に配置されて、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサの振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する、少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システムであって、それぞれのデカップリング・マウンティング・システムが、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システムを備える。
好ましくは、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサは、トランスデューサ基部構造をさらに備え、オーディオ・デバイスは、中にオーディオ・トランスデューサを収容するためのハウジングを備え、デカップリング・マウンティング・システムは、オーディオ・トランスデューサのトランスデューサ基部構造とハウジングの内部との間を接続する。
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは、個人用オーディオ・デバイスである。
一構成では、個人用オーディオ・デバイスは、それぞれの耳又はその近位で使用者によって装着されるように構成された1対のインタフェース・デバイスを備える。
オーディオ・デバイスは、ヘッドホンやイヤホンでもよい。オーディオ・デバイスは、それぞれの耳ごとの1対のスピーカを備えてもよい。それぞれのスピーカは、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサを備えてもよい。
別の態様では、本発明は概して、
コイルとコイル補剛パネルとを備え、動作中、おおよその回転軸を中心に回転してオーディオを変換するように構成された振動板を備え、それによって
コイルが、第1の長辺、第1の短辺、第2の長辺及び第2の短辺で構成される、ほぼ4つの辺をもつ形状部に巻かれ、
実質的に回転軸に対して垂直な方向に延びるコイル補剛パネルに連結され、コイルの第1の長辺をコイルの第2の長辺に連結する、
オーディオ・トランスデューサであるものである。
好ましくは、コイル補剛パネルは、コイルの第1の短辺の近くに、又はそれに接触して配置される。
好ましくは、コイル補剛パネルは、コイルの第1の長辺と第1の短辺の間のおおよその結合部から、コイルの第1の第2の長辺と第1の短辺の間のおおよその結合部まで延び、回転軸に対して垂直な方向にも延びる。
好ましくは、コイル補剛パネルは、ヤング率が8GPaより大きい、またより好ましくは15GPaより大きい、またさらに好ましくは25GPaより大きい、またいっそう好ましくは40GPaより大きい、また最も好ましくは60GPaより大きい材料から作られる。
好ましくは、コイルの第2の短辺の近く、又はそれに接触して配置される、第2のコイル補剛パネルが存在する。
一構成では、振動板本体の矢状面の近くに配置される、第3のコイル補剛パネルが存在する。
好ましくは、このパネルは、回転軸から離れる方向ではなく、回転軸に向かう方向に延びる。
好ましくは、これらの長辺は、少なくとも部分的には磁界の中に位置する。
好ましくは、これらの長辺は、回転軸に平行な方向に延びる。
好ましくは、この磁界は、第1の長辺を通って、回転軸に対しておおよそ垂直な方向に延びる。
好ましくは、これらの長辺は、巻型に連結されない。
好ましくは、振動板は、コイル補剛パネルを含む振動板基部フレームをさらに備え、振動板基部フレームは、コイル及び振動板を強固に支持し、且つヒンジ・システムに強固に連結される。
別の態様では、本発明は、
回転可能にマウントされた振動板と、電子オーディオ信号及び/又は音圧に対応する振動板の回転運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有する
オーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサの振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間に配置されて、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システム
を備える、オーディオ・デバイスから構成されるといえる。
好ましくは、オーディオ・デバイスのこの少なくとも1つの他の部分は、このデバイスのオーディオ・トランスデューサの振動板の別の部分ではない。
一構成では、オーディオ・デバイスは、少なくとも第1のオーディオ・トランスデューサ及び第2のオーディオ・トランスデューサを備える。好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、第1のトランスデューサの振動板と第2のトランスデューサの間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する。
好ましくは、振動板は、少なくとも1つの並進方向において剛性であるヒンジ組立体によって支持される。
いくつかの実施例では、ヒンジ・システムは、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備え、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材は、接触面を有し、動作中に、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体は、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢する。
好ましくは、ヒンジ組立体は、付勢機構をさらに備え、ヒンジ要素は、付勢機構によって接触面に向かって付勢される。
好ましくは、付勢機構は、実質的に追従的である。
好ましくは、付勢機構は、動作中、それぞれのヒンジ要素と関連付けられた接触部材との間の接触領域で、接触面に対して実質的に垂直な方向に実質的に追従的である。
好ましくは、ヒンジ・システムは、ヒンジ軸から振動板の周辺部までの距離の60%未満の半径で、振動板に振動板復元力を加えるように構成された復元機構をさらに備える。
いくつかの他の実施例では、ヒンジ・システムは、少なくとも1つのヒンジ接続部を備え、それぞれのヒンジ接続部は、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部は、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備える。
好ましくは、オーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分は、直接的、又は間接的に振動板を支持する。
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、少なくとも1つの並進軸に沿った、またより好ましくは少なくとも2つの実質的に直交する並進軸に沿った、またいっそう好ましくは3つの実質的に直交する並進軸に沿った、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する。
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、少なくとも1つの回転軸を中心にした、またより好ましくは少なくとも2つの実質的に直交する回転軸を中心にした、またいっそう好ましくは3つの実質的に直交する回転軸を中心にした、振動板とオーディオの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する。
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を実質的に軽減する。
好ましくは、オーディオ・デバイスは、中にオーディオ・トランスデューサを収容するように構成されたトランスデューサ・ハウジングをさらに備える。
好ましくは、トランスデューサ・ハウジングは、バッフル又はエンクロージャを備える。
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、トランスデューサ基部構造をさらに備える。
好ましくは、振動板は、トランスデューサ基部構造に対して相対的に回転可能である。
好ましくは、デカップリング・システムは、第1の構成要素と関連付けられたノード軸位置、又はその近位に位置するように構成された、少なくとも1つのノード軸マウントを備える。
好ましくは、デカップリング・システムは、第1の構成要素と関連付けられたノード軸位置から遠位に位置するように構成された、少なくとも1つの遠位マウントを備える。
好ましくは、少なくとも1つのノード軸マウントは、少なくとも1つの遠位マウントより比較的追従的でなく、且つ/又は比較的フレキシブルでない。
第1の実施例では、デカップリング・システムは、第1の構成要素の両側に配置される、1対のノード軸マウントを備える。好ましくは、それぞれのノード軸マウントは、第1の構成要素に強固に接続され、実質的に基部構造のノード軸に合わせられた軸に沿って、その一方の側から横に延びるピンを備える。好ましくは、それぞれのノード軸マウントは、ピンの周りに強固に接続され、第2の構成要素の対応する凹部内に配置されるように構成されたブッシュをさらに備える。好ましくは、第2の構成要素の対応する凹部は、ブッシュを強固に中に受け、保持するためのスラグを備える。好ましくは、それぞれのノード軸マウントは、第1の構成要素の外面と第2の構成要素の内面の間に位置するワッシャをさらに備える。好ましくは、ワッシャは、第1の構成要素の相当な部分又はその周辺部全体の周りで、第1の構成要素の外面と第2の構成要素の内面の間に均一な間隙を生み出す。
好ましくは、それぞれの遠位マウントは、実質的にフレキシブルなマウンティング・パッドを備える。好ましくは、デカップリング・システムは、第1の構成要素の外面と第2の構成要素の内面の間に連結される1対のマウンティング・パッドを備える。好ましくは、マウンティング・パッドは、第1の構成要素の両側に接続される。好ましくは、それぞれのマウンティング・パッドは、頂点側端部及び基部側端部を備え、パッドの奥行きに沿って実質的に先細りにされた幅を有する。好ましくは、基部側端部は、第1の構成要素又は第2の構成要素のうちの一方に強固に連結され、頂点側端部は、第1の構成要素又は第2の構成要素の他方に連結される。
この実施例のいくつかの構成では、第1の構成要素はトランスデューサ基部構造でもよい。別法として、第1の構成要素は、オーディオ・トランスデューサの周りに延びるサブ・ハウジングでもよい。第2の構成要素は、オーディオ・トランスデューサ又はオーディオ・トランスデューサのサブ・ハウジングを収容するためのハウジングやサラウンドでもよい。
第2の実施例では、デカップリング・システムは、複数のフレキシブルなマウンティング・ブロックを備える。好ましくは、マウンティング・ブロックは、第1の構成要素の外周面の周りに分布し、一方の側で第1の構成要素の外周面に、反対側で第2の構成要素の内周面に強固に連結する。好ましくは、1つ又は複数のマウンティング・ブロックの第1のセットは、第1の構成要素のノード軸位置又はその近くで、第1の構成要素を接続する。好ましくは、マウンティング・ブロックの第2のセットは、ノード軸位置から遠位な1つ又は複数の位置で、第1の構成要素を接続する。好ましくは、遠位マウンティング・ブロックの第2のセットは、オーディオ・トランスデューサの振動板又はその近くに位置する。好ましくは、マウンティング・ブロックの第1のセットは、オーディオ・トランスデューサの振動板から遠位に位置する。好ましくは、これらの複数のマウンティング・ブロックは、第2の構成要素の対応する凹部内で強固に連結するように構成される。好ましくは、これらの複数のマウンティング・ブロックは、対応する凹部の奥行きより大きい厚さを有し、それによって第1の構成要素と第2の構成要素の間その場に、実質的に均一な間隙を形成する。
一構成では(任意の実施例において)、トランスデューサ基部構造は、マグネット組立体を備える。
好ましくは、トランスデューサ基部構造は、振動板サスペンション・システムへの連結部を備える。
好ましくは、オーディオ・デバイスは、2つ以上のオーディオ・トランスデューサ(すなわちステレオ又はマルチ・チャネル)の構成を通して2つ以上の異なるオーディオ・チャネルを使用するオーディオ・システム内に構成される。
好ましくは、オーディオ・デバイスは、2つ以上のオーディオ・トランスデューサ(すなわちステレオ又はマルチ・チャネル)の構成を通して2つ以上の異なるオーディオ・チャネルを使用するオーディオ・システム内に構成されるものである。
好ましくは、オーディオ・デバイスは、少なくとも2つの異なるオーディオ・チャネル(すなわちステレオ又はマルチ・チャネル)を同時に再生するように構成された、少なくとも2つ以上のオーディオ・トランスデューサを備える。
好ましくは、前記異なるオーディオ・チャネルは、互いに独立している。
好ましくは、オーディオ・デバイスは、オーディオ・トランスデューサを使用者の片方又は両方の耳又はその近くに配置するように構成された構成要素をさらに備える。
別の態様では、本発明は概して、
振動板と、電子オーディオ信号及び/又は音圧に対応する振動板の運動を作動可能に変換するように構成された変換機構と、基部構造組立体とを有する、
オーディオ・トランスデューサ、及び
振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間に配置されて、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システムを備え、
基部構造組立体が効果的に非拘束であるとき、基部構造組立体が、大きい回転成分を有する動作と共に動くような質量分布を有する、オーディオ・デバイスで構成されるといえる。たとえば、トランスデューサが、十分に高い周波数で作動され、その結果、デカップリング・マウンティング・システムのスティフネスを、無視しても構わない、又は無視してもよくなるとき、基部構造組立体は、効果的に非拘束である。
好ましくは、振動板は、動作中、大きい回転成分を有して、トランスデューサ基部構造に対して相対的に動く。
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、トランスデューサ基部構造とエンクロージャ又はバッフルとの間に配置される。
一実施例では、少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システムは、振動板とトランスデューサ・ハウジングとの間に配置されて、振動板とトランスデューサ・ハウジングとの間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する。
好ましくは、オーディオ・デバイスは、振動板をトランスデューサ基部構造にフレキシブルにマウントする第1のデカップリング・マウンティング・システム及び/又はトランスデューサ基部構造をトランスデューサ・ハウジングにフレキシブルにマウントする第2のデカップリング・マウンティング・システムを備える。
一実施例では、オーディオ・デバイスは、オーディオ・デバイスを使用者の片方又は両方の耳又はその近くに配置するように構成されたヘッドバンド構成要素及びヘッドバンドをトランスデューサ・ハウジングにフレキシブルにマウントするデカップリング・マウンティング・システムをさらに備える。
好ましくは、振動板は、振動板本体を備える。
一実施例では、振動板は、本体の最大長さ寸法の少なくとも11%、また好ましくは14%より大きい最大厚さを有する振動板本体を備える。
好ましくは、振動板は、比較的軽量の材料から作られるコアとコアの1つ又は複数の外面或いはその近くの補強材から構成される複合構成部とを有する振動板本体を備え、前記補強材は、実質的に剛性の材料から形成されて、動作中に本体が受ける変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する。好ましくは、補強材は、好ましくは少なくとも8MPa/(kg/m)、またより好ましくは少なくとも20MPa/(kg/m)、また最も好ましくは少なくとも100MPa/(kg/m)である比弾性率を有する1つ又は複数の材料から構成される。たとえば、補強材は、アルミニウムや炭素繊維強化プラスチックからでもよい。
好ましくは、前記補強材は、
振動板本体に接続され、前記外面の少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮-引張変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、垂直応力補強材に対してある角度で向けられ、本体が動作中に受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材とを備える。
好ましい一実施例では、オーディオ・トランスデューサは、スピーカ・ドライバである。
好ましくは、前記振動板は、実質的に剛性の振動板本体を備え、前記振動板本体は、動作中、トランスデューサのFROにわたって、実質的に剛性の形態を保つ。
好ましくは、変換機構は、動作中、振動板に作用する励起作用力を加える。
好ましくは、変換機構は、動作中に振動板に加えられる励起作用力と関連付けられた励起反力もトランスデューサ基部構造に加える。
好ましくは、変換機構は、振動板に強固に連結される力伝達構成要素を備える。
一形態では、変換機構の力伝達構成要素は、振動板に直接的に強固に連結される。
別法として、力伝達構成要素は、1つ又は複数の中間の構成要素によって振動板に強固に連結され、力伝達構成要素と振動板本体の間の距離は、振動板本体の最大寸法の50%未満である。より好ましくは、この距離は、振動板本体の最大寸法の35%未満、又は25%未満である。
好ましくは、変換機構の力伝達構成要素は、振動板に接続されたモータ・コイルを備える。
一形態では、変換機構の力伝達構成要素は、振動板に接続されたマグネットを備える。
好ましくは、変換機構は、トランスデューサ基部構造の一部であり、動作中にモータ・コイルが影響を受ける磁界をもたらすマグネットを備える。
好ましくは、オーディオ・デバイスは、オーディオ・トランスデューサのトランスデューサ基部構造を備えるこのオーディオ・トランスデューサと関連付けられた基部構造組立体を備え、この基部構造組立体は、トランスデューサ基部構造に強固に連結される、ハウジング、フレーム、バッフル又はエンクロージャなどの他の構成要素も備えてもよい。
好ましくは、基部構造組立体は、振動板の回転軸に対して実質的に平行なトランスデューサ・ノード軸を中心に、オーディオ・トランスデューサ・ハウジングに対して相対的に回転可能である。
好ましくは、オーディオ・トランスデューサの基部構造組立体は、デカップリング・マウンティング・システムによってオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分に連結される。
好ましくは、(デカップリング・システムの相対運動への追従性の程度全体、及び/又はデカップリング・システムの様々なデカップリング・マウントの様々な位置での相対的な追従性を含み得る)デカップリング・マウンティング・システムの追従性及び/又は追従性・プロファイル、並びに関連付けられたオーディオ・トランスデューサに対するデカップリング・マウンティング・システムの位置は、ドライバが、トランスデューサのFROの範囲内の周波数を有する定常状態の正弦波で作動されているとき、第2の作動状態の第1の点とトランスデューサ・ノード軸(node axis)の間の最短の距離は、関連付けられたトランスデューサ基部構造の最大長さ寸法の約25%未満、またより好ましくは20%未満、またさらに好ましくは15%未満、またいっそう好ましくは10%未満、また最も好ましくは5%未満であり、この第1の点は、第1の作動状態ではトランスデューサ・ノード軸の一部に位置し、そこでトランスデューサ基部構造内を通過し、第2の作動状態ではトランスデューサ・ノード軸からの最大直交距離にも位置するものである。
好ましくは、トランスデューサが第2の作動状態であるとき、トランスデューサ・ノード軸は、基部構造組立体の基部構造組立体の最大長さ寸法の25%、又はそれ以内を通過する。
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、第2の作動状態において、トランスデューサ・ノード軸から、基部構造組立体の最大寸法の25%、又は20%、又は15%、又は最も好ましくは10%未満の距離で配置される1つ又は複数のノード軸マウントを備える。
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、第2の作動状態において、トランスデューサ・ノード軸から、基部構造組立体の最大寸法の25%、より好ましくは40%の距離を越えて配置される1つ又は複数の遠位マウントを備える。
好ましくは、遠位マウントは、1つ又は複数のノード軸マウントよりも、動きに対して比較的フレキシブルである、又は追従的である。
一実施例では、それぞれのノード軸マウントは、トランスデューサ基部構造の片方の側から横に延びるピンを備え、このピンは、ノード軸に対しておおよそ平行に延び、基部構造に強固に接続され、ノード軸マウントは、ピンがその周りでこのデバイスのハウジングに連結されるブッシュをさらに備える。
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、摂氏約24度で0.2より大きい、又は0.4より大きい、又は0.8より大きい、また最も好ましくは1より大きい機械損失係数を有するフレキシブル材料から構成される。
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、基部構造組立体に対して相対的に配置され、第1の作動状態のトランスデューサ・ノード軸位置を第2の作動状態のノード軸位置と実質的に一致させるレベルの追従性を有する。
好ましくは、振動板本体は、この本体の最大長さ寸法の少なくとも11%である最大厚さを有する。より好ましくは、この最大厚さは、この本体の最大長さ寸法の少なくとも14%である。
いくつかの実施例では、振動板本体の厚さは、先細りにされ、遠位領域に向かって厚さが減少する。他の実施例では、振動板本体の厚さは、段をつけられて、振動板の質量中心に遠位な領域に向かって厚さが減少する。
好ましくは、回転可能な接続は十分に追従的であり、その結果、基本モード以外の振動板共振モードは、この追従性によって促進され、周波数応答に2dBを超える影響を及ぼすが、これはFRO未満で発生する。
別法として、ヒンジ機構の、運動を容易にし、振動板とトランスデューサ基部構造の間の並進負荷を伝える部分は、ヤング率が約8GPaより大きい、またより好ましくは約20GPaより大きい材料から作られる。
好ましくは、ヒンジ機構は、実質的に安定して実質的に剛性の第2の構成要素と接合するが連結しない、実質的に剛性の第1の構成要素を備える。別法として、ヒンジ機構は、ヤング率が約8GPaより大きい、より好ましくは約20GPaより大きい材料から形成される薄肉のばね構成要素を組み込む。
好ましくは、振動板本体は、3次元で一様でない、相互連結された構造を備えるコア材料から形成される。このコア材料は、発泡体や規則正しく並んだ3次元ラティス構造の材料でもよい。このコア材料は、複合材料から構成されてもよい。好ましくは、このコア材料は、発泡ポリスチレンフォームである。代替の材料には、ポリメチルメタクリルアミドフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、エアロゲルフォーム、段ボール、バルサ材、シンタクチックフォーム、金属マイクロラティス及びハニカムが含まれる。
好ましくは、振動板は、振動板が曲げに抵抗するのを助ける、ヤング率が約8GPaより大きい、より好ましくは約20GPaより大きい、そして最も好ましくは約100GPaより大きい、1つ又は複数の材料を組み込む。
別の態様では、本発明は、
回転可能にマウントされた振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の回転運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、
中にオーディオ・トランスデューサを収容するように構成されたバッフル及び/又はエンクロージャを備えるトランスデューサ・ハウジング、並びに
オーディオ・トランスデューサの振動板と関連付けられたトランスデューサ・ハウジングの間に配置されて、振動板とエンクロージャトランスデューサ・ハウジングの間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システム
を備える、オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、
回転可能にマウントされた振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の回転運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを組み込む第1の部分又は組立体とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分又は組立体との間に配置されて、第1の部分又は組立体と少なくとも1つの他の部分又は組立体との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の部分又は組立体を第2の部分又は組立体にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システム
を備える、オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
好ましくは、この第1の部分は、中にオーディオ・トランスデューサを収容するためのバッフル又はエンクロージャを備えるトランスデューサ・ハウジングである。
別の態様では、本発明は、
回転可能にマウントされた振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の回転運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、
中にオーディオ・トランスデューサを収容するように構成されたバッフル又はエンクロージャを備える、トランスデューサ・ハウジング、並びに
オーディオ・トランスデューサをバッフル又はエンクロージャにフレキシブルにマウントし、振動板とトランスデューサ・ハウジングとの間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する、デカップリング・マウンティング・システム
を備えるオーディオ・デバイスで構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、
回転可能にマウントされた振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の回転運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、
使用者によって装着されて、オーディオ・トランスデューサを、使用時に使用者の片方又は両方の耳のすぐ近くに配置するように構成されたヘッドバンド、並びに
ヘッドバンドとオーディオ・トランスデューサの間に配置されて、オーディオ・トランスデューサとヘッドバンドの間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する、少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システムであって、それぞれのマウンティング・システムが、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システム
を備えるオーディオ・デバイスで構成されるといえる。
好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、ゴム、シリコン、粘弾性ウレタンポリマーなどの弾性材料から構成される。
一構成では、デカップリング・マウンティング・システムは、強磁性流体を備えて、第1の構成要素と第2の構成要素の間に支持を与える。
一構成では、デカップリング・マウンティング・システムは、磁気反発を使用して、第1の構成要素と第2の構成要素の間に支持を与える。
一構成では、デカップリング・マウンティング・システムは、流体又はゲルを備えて、第1の構成要素と第2の構成要素との間に支持を与える。
一構成では、この流体又はゲルは、フレキシブル材料から構成されるカプセルの中に容れられる。
別法として、又は追加的に、これらのマウンティング・システムのうちの少なくとも1つは、金属ばね又は他の金属製の弾性部材を備える。
別法として、又は追加的に、これらのマウンティング・システムのうちの少なくとも1つは、柔らかいプラスチック材料から形成された部材を備える。
別の態様では、本発明は、
回転可能にマウントされた振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の回転運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサの振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間に配置されて、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システムを備え、振動板が、本体の最大長さ寸法の少なくとも11%である最大厚さを有する振動板本体を備える、
オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、
可動性の振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを組み込む第1の部分とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間で、第1の部分と少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システムを備え、オーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的には第1の部分の内部と物理的に連結しない外周縁部を有する振動板本体を備える、
オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
好ましくは、この第1の部分は、中に関連付けられたオーディオ・トランスデューサを収容するためのバッフル又はエンクロージャを備えるハウジングを備える。
別の態様では、本発明は、
可動性の振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、
中にオーディオ・トランスデューサを収容するためのバッフル又はエンクロージャを備えるトランスデューサ・ハウジング、並びに
オーディオ・トランスデューサを関連付けられたトランスデューサ・ハウジングにフレキシブルにマウントして、オーディオ・トランスデューサとトランスデューサ・ハウジングとの間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する、デカップリング・マウンティング・システムを備え、オーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的にはトランスデューサ・ハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を有する振動板本体を備える、
オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、
可動性の振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを組み込む第1の部分とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間で、第1の部分と少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システムを備え、
オーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的には第1の部分の内部と連結しない外周部を有する振動板本体を備え、
振動板本体が、本体の最大長さ寸法の少なくとも11%である最大厚さを有する、
オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
好ましくは、オーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分は、少なくとも第1の部分と同じ質量よりも大きい、より好ましくは第1の部分の質量の少なくとも60%、又は40%、又は最も好ましくは少なくとも20%より大きい質量を有する。
別の態様では、本発明は、
可動性の振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを組み込む第1の部分とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間で、第1の部分と少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、デカップリング・マウンティング・システムを備え、振動板が、本体の最大長さ寸法の少なくとも11%である最大厚さを有する振動板本体を備える、
オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、
可動性の振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、
中にオーディオ・トランスデューサを収容するためのバッフル又はエンクロージャを備えるトランスデューサ・ハウジング、並びに
オーディオ・トランスデューサをトランスデューサ・ハウジングにフレキシブルにマウントして、オーディオ・トランスデューサとトランスデューサ・ハウジングとの間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する、デカップリング・マウンティング・システムを備え、振動板が、本体の最大長さ寸法の少なくとも11%である最大厚さを有する振動板本体を備える、
オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
上記の態様17~28のうちの任意の1つのいくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは、その態様のもとで定められる2つ以上のオーディオ・トランスデューサ及び/又は2つ以上のデカップリング・マウンティング・システムを備えてもよい。
いくつかの実施例では、デカップリング・マウンティング・システムを有するオーディオ・デバイスを備える上の態様のうちの任意の1つにおいて、好ましくは、振動板は、第1の部分の内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは、少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
一構成では、エンクロージャ内部と連結しない、振動板本体周辺部の1つ又は複数の周辺領域とエンクロージャ内部との間に、小さい空気間隙が存在する。
好ましくは、空気間隙のサイズは、振動板本体の長さの1/20未満である。
好ましくは、空気間隙のサイズは、1mm未満である。
別の構成では、振動板は、強磁性流体によって支持される。
好ましくは、振動板本体の冠状面に対して実質的に平行な方向の並進運動に逆らう、振動板に与えられる支持の相当な割合は、強磁性流体によって提供される。
好ましくは、振動板は、本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体のこの面又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材を備える。
別の態様では、本発明は概して、デカップリング・マウンティング・システムを含む上の態様のうちの任意の1つに従うオーディオ・デバイスであって、振動板が、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体のこの面又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材、並びに
本体に埋め込まれ、前記主面のうちの少なくとも1つに対してある角度で向けられ、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材を備える、
オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
好ましくは、上の2つの態様のうちのいずれか1つにおいて、振動板本体と関連付けられた質量分布又は垂直応力補強材と関連付けられた質量分布又はその両方は、振動板が、振動板の1つ又は複数の比較的質量の大きい領域の質量と比べて、振動板の1つ又は複数の質量の小さい領域では比較的小さい質量を有するものである。
好ましくは、振動板本体は、振動板の質量中心位置から遠位な1つ又は複数の領域で比較的小さい質量を有する。好ましくは、振動板の厚さは、質量中心から遠位な周辺部に向かって減少する。
別法として、又は追加的に、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、組み立てられた振動板の質量中心位置から遠位な、関連付けられた主面の1つ又は複数の周辺縁部領域にあるものである。
上のオーディオ・デバイスの態様のうちの任意の1つのいくつかの実施例では、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサは、直線動作トランスデューサである。好ましくは、振動板は、実質的に湾曲した振動板本体を備える。好ましくは、振動板本体は、実質的にドーム状の本体である。好ましくは、この本体は、十分な厚さ及び/又は奥行きを有し、その結果、この本体は、動作中、実質的に剛性である。たとえば、この本体は比較的薄くてもよいが、このドーム状の本体の全体の奥行きは、本体の最大長さ寸法より少なくとも15%大きくてもよい。好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、振動板本体の外周部に強固に接続され、そこから長手方向に延びる振動板基部フレームをさらに備える。好ましくは、励起機構は、基部フレームに接続される1つ又は複数の力伝達構成要素を備える。好ましくは、1つ又は複数の力伝達構成要素は、振動板基部フレームの周りで巻かれる1つ又は複数のコイル巻線を備える。好ましくは、強磁性流体のリングは、それぞれの間隙の内周部の周りに延びて、振動板を吊り下げる。好ましくは、振動板基部フレーム及び振動板は、関連付けられた周辺部のおおよそ全体の周りで、物理的に連結しない。
別の態様では、本発明は、上の態様のオーディオ・トランスデューサのうちの任意の1つ又は複数を組み込み、独立したオーディオ信号を再生できる2つ以上の異なるオーディオ・チャネルを提供する、2つ以上の電気音響スピーカを備えるオーディオ・デバイスで構成され得る。好ましくは、オーディオ・デバイスは、使用者の耳の約10cm以内でのオーディオ用になされた個人用オーディオ・デバイスである。
別の態様では、本発明は、前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちのいずれか1つの、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサとその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを組み込む、個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、それぞれの耳又はその近位で使用者によって装着されるように構成された1対のインタフェース・デバイスを備える個人用オーディオ・デバイスであって、それぞれのインタフェース・デバイスが、前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちいずれか1つの、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサとその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
別の態様では本発明は、それぞれの耳又はその周りで装着されるように構成された1対のヘッドホン・インタフェース・デバイスを備えるヘッドホン装置であって、それぞれのインタフェース・デバイスが、前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちいずれか1つの、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサとその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、ヘッドホン装置で構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、使用者の耳の外耳道又は甲介内に装着されるように構成された1対のイヤホン・インタフェースを備えるイヤホン装置であって、それぞれのイヤホン・インタフェースが、前のオーディオ・トランスデューサの態様のうちのいずれか1つの、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサとその関連する機能、構成及び実施例の任意の組合せを備える、イヤホン装置で構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、オーディオ・トランスデューサが、音響電気トランスデューサである、上の態様のうちの任意の1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに関連する機能、構成及び実施例で構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、
可動性の振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有する少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、
中に少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ、並びに
エンクロージャを周囲の支持構造にフレキシブルにマウントして、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサと支持構造の間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する、デカップリング・マウンティング・システムを備え、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的にはトランスデューサ・ハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を有する振動板本体を備える、オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
好ましくは、このデバイスは、コンピュータ・スピーカなどである。これは、たとえば、高さ約0.8m未満、幅約0.4m未満、及び/又は奥行き約0.3m未満である寸法サイズを有してもよい。
別の構成では、振動板は、強磁性流体によって支持される。
好ましくは、振動板本体の冠状面に対して実質的に平行な方向の並進運動に逆らう、振動板に与えられる支持の相当な割合は、強磁性流体によって提供される。
別の態様では、本発明は、
可動性の振動板と、電子オーディオ信号及び音圧に対応する振動板の運動を作動可能に変換するように構成された変換機構とを有する少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
中に少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャを備え、エンクロージャが、このエンクロージャを周囲の支持構造にフレキシブルにマウントして、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサと支持構造との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減するデカップリング・マウンティング・システムと共に使用されるように構成され、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的にはトランスデューサ・ハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を有する振動板本体を備える、
オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、通常、使用時に使用者の頭部から約10センチメートル以内に配置される個人用オーディオ用途で使用する個人用オーディオ・デバイスであって、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的には関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
好ましくは、振動板は、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
好ましくは、通常動作中にかなりの距離を動く振動板の外周部のすべての領域は、ハウジングの内部とおおよそ完全に物理的連結がない。
いくつかの実施例では、ハウジングの内部と物理的に連結しない振動板の1つ又は複数の周辺領域は、流体によって支持される。好ましくは、この流体は、強磁性流体である。好ましくは、この強磁性流体は、強磁性流体によって支持されるこの1つ又は複数の周辺領域を封止し、又はそれと直接的に接触し、その結果、この強磁性流体が、実質的にそれらの間の空気の流れを防止する。
好ましくは、オーディオ・デバイスは、これらのオーディオ・トランスデューサのうちの少なくとも1つの振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間に配置されて、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システムであって、それぞれのデカップリング・マウンティング・システムが、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素にフレキシブルにマウントする、少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システムを備える。
いくつかの実施例では、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板は、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、前記主面のうちの少なくとも1つに対してある角度で向けられ、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材とを備える。
好ましくは、振動板は、励起機構の力伝達構成要素に強固に取り付けられる。好ましくは、力伝達構成要素は、使用時に実質的に剛性のままである。
好ましくは、力伝達構成要素は、オーディオ信号を表す電流を受ける導電性の構成要素を備える。好ましくは、導電性の構成要素は、レンツの法則によって機能する。好ましくは、導電性の構成要素は、コイルである。好ましくは、励起機構は、磁界を発生させる磁気要素又は磁気構造をさらに備え、導電性の構成要素は、その場の磁界内に配置される。好ましくは、磁気構造又は要素は、永久磁石を備える。
好ましくは、ハウジングは、使用時に振動板の運動によって発生する音を使用者の外耳道に伝えるための1つ又は複数の開口を備える。
いくつかの実施例では、これらのオーディオ・トランスデューサのうちの少なくとも1つは、直線動作トランスデューサである。好ましくは、振動板は、実質的に湾曲した振動板本体を備える。好ましくは、振動板本体は、実質的にドーム状の本体である。好ましくは、この本体は、十分な厚さ及び/又は奥行きを有し、その結果、この本体は、動作中、実質的に剛性である。たとえば、この本体は比較的薄くてもよいが、このドーム状の本体の全体の奥行きは、本体の最大長さ寸法より少なくとも15%大きくてもよい。好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、振動板本体の外周部に強固に接続され、そこから長手方向に延びる振動板基部フレームをさらに備える。好ましくは、励起機構は、基部フレームに接続される1つ又は複数の力伝達構成要素を備える。好ましくは、1つ又は複数の力伝達構成要素は、振動板基部フレームの周りで巻かれる1つ又は複数のコイル巻線を備える。好ましくは、複数の構成要素が、振動板基部フレームの長さに沿って分布する。好ましくは、励起機構は、動作中、これらの1つ又は複数のコイル巻線が位置する領域内に磁界を発生させる磁気構造又は磁気組立体をさらに備える。好ましくは、磁気構造は、対向するポールピースを備え、ポールピース同士の間に形成される1つ又は複数の間隙に磁界を発生させる。好ましくは、振動板基部フレームは、これらの1つ又は複数の間隙内で延びる。好ましくは、振動板のニュートラル位置では、1つ又は複数のコイルは、これらの1つ又は複数の間隙と合わせられる。好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、1対のコイル及び関連付けられた1対の磁界間隙を備える。好ましくは、振動板組立体は、動作中、磁気構造に対して往復直線運動をする。好ましくは、強磁性流体のリングは、それぞれの間隙の内周部の周りに延びて、振動板を吊り下げる。好ましくは、振動板基部フレーム及び振動板は、関連付けられた周辺部のおおよそ全体の周りで、物理的に連結しない。
いくつかの形態では、オーディオ・デバイスは、オーディオ・トランスデューサを関連付けられたハウジングの中にマウントするための、少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システムをさらに備える。好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、オーディオ・トランスデューサの振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間に配置されて、振動板組立体とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素に、直接的又は間接的にフレキシブルにマウントする。いくつかの形態では、デカップリング・システムは、複数のフレキシブル・マウンティング・ブロックを備える。好ましくは、マウンティング・ブロックは、第1の構成要素の外周面の周りに分布し、一方の側では第1の構成要素の外周面に、反対側では第2の構成要素の内周面に強固に連結する。
いくつかの実施例では、振動板の外周部の、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の領域は、空気間隙によってハウジングの内部から隔てられる。好ましくは、比較的小さい空気間隙が、ハウジングの内部と振動板の1つ又は複数の周辺領域とを隔てる。好ましくは、それぞれの周辺領域とハウジングとの間の距離によって定められる空気間隙の幅は、振動板の長さの1/10未満、より好ましくは1/20未満である。好ましくは、振動板の1つ又は複数の周辺領域とハウジングとの間の距離によって定められる空気間隙の幅は、1.5mm未満、またより好ましくは1mm未満、またさらに好ましくは0.5mm未満である。
いくつかの実施例では、振動板本体と関連付けられた質量分布又は垂直応力補強材と関連付けられた質量分布又はその両方は、振動板が、振動板の1つ又は複数の比較的質量の大きい領域の質量と比べて、振動板の1つ又は複数の質量の小さい領域では比較的小さい質量を有するものである。
好ましくは、1つ又は複数の質量の小さい領域は、振動板の質量中心位置から遠位である周辺領域にあり、1つ又は複数の質量の大きい領域は、質量中心位置又はその近位にある。
好ましくは、質量の小さい領域は、振動板の一方の端部にあり、質量の大きい領域は、対向する端部にある。好ましくは、質量の小さい領域は、振動板の外周部全体に実質的に分布し、質量の大きい領域は、振動板の中央領域にある。
好ましくは、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が、1つ又は複数の質量の小さい領域に配置されるものである。
別法として、又は追加的に、振動板本体の質量分布は、振動板本体が、1つ又は複数の質量の小さい領域で比較的小さい質量を有するものである。好ましくは、振動板本体の厚さは、好ましくは質量中心位置から、1つ又は複数の質量の小さい領域に向かって先細りになることによって減少する。
いくつかの実施例では、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサは、回転動作オーディオ・トランスデューサである。好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、トランスデューサ基部構造と、振動板をトランスデューサ基部構造に対して回転可能に接続するためのヒンジ・システムとを備える。好ましくは、振動板は、実質的に剛性の構造を有する。好ましくは、振動板は、1つ又は複数の主面に接続される、外部垂直応力補強材を有する振動板本体を備える。好ましくは、振動板は、振動板本体に埋め込まれる、内部応力補強材を備える。好ましくは、振動板は、実質的に厚い振動板本体を有する。好ましくは、振動板本体は、本体の長さに沿って実質的に先細りにされる厚さを有する。好ましくは、振動板本体の厚い基部端部は、オーディオ・トランスデューサの振動板基部フレームに強固に接続される。好ましくは、励起機構は、振動板基部フレームに強固に接続される力伝達構成要素を備える。好ましくは、力伝達構成要素は、1つ又は複数のコイルを備える。好ましくは、トランスデューサ基部構造は、動作中、力伝達構成要素がたどるチャネル内に磁界を発生させるように構成された磁気構造を備える。好ましくは、このチャネルは、磁気構造の外側ポールピースと内側ポールピースの間に形成される。好ましくは、このチャネルは、実質的に湾曲し、コイルが強固に取り付けられるトランスデューサ基部構造プレートも同様に湾曲する。
一形態では、ヒンジ・システムは、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備え、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材は、接触面を有し、動作中に、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体は、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢する。好ましくは、ヒンジ・システムは、それぞれのヒンジ要素を関連付けられた接触面に向かって付勢するための付勢機構を備える。
一構成では、付勢機構は、それぞれのヒンジ要素に対して効果的に圧縮されたばねなどの弾性部材を備える。別の代替の構成では、付勢機構は、磁界発生構造及び強磁性ヒンジ要素を備える磁気機構を備える。
一構成では、それぞれの接触面は、少なくとも断面において実質的に凹形に湾曲し、関連付けられたそれぞれのヒンジ要素は、少なくとも断面において、実質的に凸形に湾曲した接触面を有する。好ましくは、凹形に湾曲した接触面は、凸形に湾曲した接触面より大きい曲率半径を有する。別の構成では、それぞれの接触面は、実質的に平面であり、関連付けられたヒンジ要素は、少なくとも断面において凸形に湾曲した接触面を有する。
好ましくは、ヒンジ・システムは、振動板の左右に位置するように構成された1対のヒンジ接続部を備える。好ましくは、ヒンジ要素は、振動板に強固に接続され、接触部材は、トランスデューサ基部構造に強固に接続され、且つそこから延びる。
さらに別の形態では、ヒンジ・システムは、少なくとも1つのヒンジ接続部を備え、それぞれのヒンジ接続部は、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部は、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素は、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備える。いくつかの構成では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのヒンジ要素は、ねじれに対して実質的に剛性である。代替の構成では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、ねじれに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的に剛性である。
好ましくは、オーディオ・デバイスは、オーディオ・トランスデューサを関連付けられたハウジングの中にマウントするための、少なくとも1つのデカップリング・マウンティング・システムをさらに備える。好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、オーディオ・トランスデューサの振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間に配置されて、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、オーディオ・デバイスの第1の構成要素を第2の構成要素に、直接的又は間接的にフレキシブルにマウントする。好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、少なくとも1つの並進軸に沿った、またより好ましくは少なくとも2つの実質的に直交する並進軸に沿った、またいっそう好ましくは3つの実質的に直交する並進軸に沿った、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分の間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する。好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、少なくとも1つの回転軸を中心にした、またより好ましくは少なくとも2つの実質的に直交する回転軸を中心にした、またいっそう好ましくは3つの実質的に直交する回転軸を中心にした、振動板とオーディオの少なくとも1つの他の部分の間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する。好ましくは、デカップリング・マウンティング・システムは、トランスデューサ基部構造とハウジングの内部との間を接続する。好ましくは、デカップリング・システムは、トランスデューサ基部構造と関連付けられたノード軸位置又はその近位に位置するように構成された、少なくとも1つのノード軸マウントを備える。好ましくは、デカップリング・システムは、トランスデューサ基部構造と関連付けられたノード軸位置から遠位に位置するように構成された、少なくとも1つの遠位マウントを備える。好ましくは、少なくとも1つのノード軸マウントは、少なくとも1つの遠位マウントより比較的追従的でなく、且つ/又は比較的フレキシブルでない。
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは、少なくとも1つのインタフェース・デバイスを備え、それぞれのインタフェース・デバイスは、少なくとも1つのハウジングのうちの一ハウジングを備え、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサのうちの少なくとも1つを中に組み込む。好ましくは、それぞれのインタフェース・デバイスは、使用者の頭部に係合して、関連付けられたオーディオ・トランスデューサを、使用者の耳に対して配置するように構成される。好ましくは、インタフェースは、関連付けられたオーディオ・トランスデューサを、使用者の外耳道又はその近位に配置するように構成される。
好ましくは、オーディオ・デバイスは、使用者のそれぞれの耳用の1対のインタフェース・デバイスを備える。
一形態では、それぞれのインタフェース・デバイスは、ヘッドホン・カップである。好ましくは、それぞれのヘッドホン・カップは、使用者の耳又はその周囲に位置するように構成されたインタフェース・パッドを備える。好ましくは、このパッドは、使用時に使用者の耳の周囲に実質的なシールを生み出すための封止要素を備える。好ましくは、オーディオ・デバイスは、ヘッドホン・カップ同士の間に延び、使用時に使用者の頭部の頭頂部の周囲に位置するように構成されたヘッドバンドをさらに備える。
別の形態では、それぞれのインタフェース・デバイスは、イヤホン・インタフェースである。好ましくは、それぞれのイヤホン・インタフェースは、使用時に使用者の外耳道、その近傍、又はその内部に位置するように構成されたインタフェース・プラグを備える。好ましくは、インタフェース・プラグは、使用者の外耳道、その近傍、又はその内部に実質的なシールを生み出すための封止要素を備える。
一形態では、イヤホン・インタフェースは、可聴に振動板に接続され、使用者の外耳道その場のすぐ近傍に位置するように構成された、実質的に長手方向のインタフェース・チャネルを備える。好ましくは、このインタフェース・チャネルは、チャネルのスロートに、発泡体、又は他の多孔性若しくは通気性の要素などの消音用挿入物を備える。
好ましくは、オーディオ・デバイスは、160Hzから6kHzまでの周波数帯、またより好ましくは120Hzから8kHzまでの周波数帯、またより好ましくは100Hzから10kHzまでの周波数帯、またさらに好ましくは80Hzから12kHzまでの周波数帯、また最も好ましくは60Hzから14kHzまでの周波数帯を含むFROを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサを備える。
好ましくは、それぞれのインタフェース・デバイスは、160Hzから6kHzまでの周波数帯、またより好ましくは120Hzから8kHzまでの周波数帯、またより好ましくは100Hzから10kHzまでの周波数帯、またさらに好ましくは80Hzから12kHzまでの周波数帯、また最も好ましくは60Hzから14kHzまでの周波数帯を含むFROを集合的に有する、3つ以下のオーディオ・トランスデューサを備える。
好ましくは、それぞれのインタフェース・デバイスは、160Hzから6kHzまでの周波数帯、またより好ましくは120Hzから8kHzまでの周波数帯、またより好ましくは100Hzから10kHzまでの周波数帯、またさらに好ましくは80Hzから12kHzまでの周波数帯、また最も好ましくは60Hzから14kHzまでの周波数帯を含むFROを集合的に有する、2つ以下のオーディオ・トランスデューサを備える。
好ましくは、それぞれのインタフェース・デバイスは、160Hzから6kHzまでの周波数帯、またより好ましくは120Hzから8kHzまでの周波数帯、またより好ましくは100Hzから10kHzまでの周波数帯、またさらに好ましくは80Hzから12kHzまでの周波数帯、また最も好ましくは60Hzから14kHzまでの周波数帯を含むFROを有する、単一のオーディオ・トランスデューサを備える。
好ましくは、それぞれのインタフェース・デバイスは、使用時に使用者の耳の近傍に位置するように構成されたこのインタフェースの一方の側にある内部空気空洞とこのデバイスその場の外部の空気との間に十分なシールを生み出すように構成される。
好ましくは、それぞれのインタフェース・デバイスに関連付けられたハウジングは、第1の空洞からこのデバイスの第1の空洞の反対側に配置される第2の空洞まで、又は第1の空洞からこのデバイスの外部の空気まで、又はその両方の、少なくとも1つの流体通路を備える。
好ましくは、それぞれの流体通路は、その場で且つ動作中、そこを流れる気体の流れを実質的に制限するための、実質的に制限的な流体通路を提供する。流体通路は、両側の空気との結合部で、小さくされた直径又は幅を有してもよく、且つ/又は流体流れ制限要素を備えてもよい。この流体流れ制限要素は、この通路又はこの通路内に配置された、多孔性若しくは通気性のカバー又は挿入物でもよい。
いくつかの実施例では、インタフェース・デバイスは、使用時に使用者の耳の近傍に位置するように構成された、振動板の一方の側にある第1の前方空洞と、振動板の反対側にある第2の後方空洞との間に延びる第1の流体通路を備える。好ましくは、第1の流体通路は、第1の空洞及び第2の空洞の断面積に比べて実質的に小さくされた入口区域の流体通路を備える。いくつかの形態では、第1の流体通路は、ちょうど振動板の周辺部の周りに配置される。他の形態では、第1の空洞は、トランスデューサ基部構造又はハウジングの内壁部を通って配置される。
いくつかの実施例では、インタフェース・デバイスは、第1の前方空洞から外部の空気までの第1の流体通路又は第2の流体通路を備える。いくつかの形態では、この流体通路は、近傍の空気の断面積に比べて実質的に小さくされた入口区域を備える。いくつかの他の形態では、これらの流体通路は、第1の前方空洞の断面積に対して実質的に大きい入口区域を備え、またそこを流れる気体の流れを実質的に制限する流れ制限要素を組み込む。
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは携帯電話である。
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは補聴器である。
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスはマイクロホンである。
別の態様では、本発明は、使用時に使用者の耳のそれぞれの周りに位置するように構成された1対のヘッドホン・インタフェース・デバイスを備えるヘッドホン装置であって、それぞれのインタフェース・デバイスが、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的には関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
ヘッドホン装置で構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、それぞれが使用時に使用者の外耳道の中又は近傍に位置するように構成された、1対のイヤホン・インタフェース・デバイスを備えるイヤホン装置であって、それぞれのインタフェース・デバイスが、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的には関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
イヤホン装置で構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、オーディオ・デバイスを含む携帯電話であって、このオーディオ・デバイスが、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的には関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
携帯電話で構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備える補聴器であって、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的には関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
補聴器で構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、
振動板と音によって生じる振動板の運動を電気オーディオ信号に変換するように構成された変換機構とを有する少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備えるマイクロホンであって、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的には関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
マイクロホンであるものである。
別の態様では、本発明は、通常、使用時に使用者の頭部から約10センチメートル以内に配置される個人用オーディオ用途で使用する個人用オーディオ・デバイスであって、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、関連付けられたハウジングの内部と実質的に完全に物理的に連結していない、
個人用オーディオ・デバイスで構成される。
別の態様では、本発明は、通常、使用時に使用者の頭部から約10センチメートル以内に配置される個人用オーディオ用途で使用する個人用オーディオ・デバイスであって、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
少なくとも1つのハウジングと関連付けられた少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサが、振動板の外周部をハウジングに連結するサスペンションを備え、
サスペンションが、ごく部分的に、振動板を周辺部の周長の周りで連結する、
個人用オーディオ・デバイスで構成される。
好ましくは、このサスペンションは、周辺部の周長の80%未満の長さに沿って振動板を連結する。より好ましくは、このサスペンションは、周辺部の周長の50%未満の長さに沿って振動板を連結する。最も好ましくは、このサスペンションは、周辺部の周長の20%未満の長さに沿って振動板を連結する。
サスペンションは、たとえば固体のサラウンドや封止要素でもよい。
別の態様では、本発明は、使用者の耳その場の甲介の中に配置されるように構成された少なくとも1つのイヤホン・インタフェース・デバイスを備えるイヤホン装置であって、それぞれのイヤホン・インタフェース・デバイスが、
振動板と、使用時に電子信号に応答して振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、使用時に使用者の耳の甲介内に保持されるように構成されたハウジングを備え、
オーディオ・トランスデューサの振動板が、ハウジングの内部と物理的に連結しない、振動板の外周部の1つ又は複数の周辺領域を備え、
比較的小さい空気間隙が、ハウジングの内部と振動板のこの1つ又は複数の周辺領域を隔てる、
イヤホン装置で構成されるともいえる。
好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
好ましくは、それぞれの周辺領域とハウジングの間の距離によって定められる空気間隙の幅は、振動板の長さの1/10未満、より好ましくは1/20未満である。
好ましくは、振動板の1つ又は複数の周辺領域とハウジングの間の距離によって定められる空気間隙の幅は、1.5mm未満、またより好ましくは1mm未満、またさらに好ましくは0.5mm未満である。
好ましくは、ハウジングは、使用時に振動板の運動によって発生する音を使用者の外耳道に伝えるための1つ又は複数の開口を備える。
好ましくは、1つ又は複数の開口は、このデバイスがその場にあるとき、使用者の甲介の内側に配置されるように構成される。別法として、1つ又は複数の開口は、このデバイスがその場にあるとき、使用者の外耳道の内側に配置されるように構成される。
いくつかの実施例では、ハウジングは、外耳道の中に入っている空気及び前記外耳道その場の外側の空気を実質的に封止しない。好ましくは、ハウジングは、使用者の外耳道その場の周辺部の周りに実質的に連続的なシールを提供しない。好ましくは、ハウジングは、使用者の外耳道その場の周辺部に対して実質的に連続的な圧力を付与しない。
好ましくは、ハウジングは、70ヘルツの周囲の音の1デシベル(dB)未満、又は2dB未満、又は3dB未満、又は6dB未満のパッシブ減衰を生じさせる程度まで、使用者の外耳道その場への開口を塞ぐ。
別法として、又は追加的に、ハウジングは、120ヘルツの周囲の音の1デシベル(dB)未満、又は2dB未満、又は3dB未満、又は6dB未満のパッシブ減衰を生じさせる程度まで、使用者の外耳道その場への開口を塞ぐ。
別法として、又は追加的に、ハウジングは、400ヘルツの周囲の音の1デシベル(dB)未満、又は2dB未満、又は3dB未満、又は6dB未満のパッシブ減衰を生じさせる程度まで使用者の外耳道その場への開口を塞ぐ。
一実施例では、それぞれのイヤホン・インタフェース・デバイスは、160Hzから6kHzまでの周波数帯、またより好ましくは120Hzから8kHzまでの周波数帯、またより好ましくは100Hzから10kHzまでの周波数帯、またさらに好ましくは80Hzから12kHzまでの周波数帯、また最も好ましくは60Hzから14kHzまでの周波数帯を含むFROを有する、1つのオーディオ・トランスデューサを備える。
好ましくは、イヤホン装置は、使用者の耳の中に位置して音を再生するように構成される、1対のイヤホン・インタフェース・デバイスを備える。好ましくは、イヤホン・インタフェース・デバイスは、少なくとも2つの独立したオーディオ信号を再生するように構成される。
好ましくは、FROは、Hammershoi及びMollerによって2008年に提案された「ディフューズ・フィールド」基準に対して20dBを上回る、またより好ましくは14dBを上回る、またさらに好ましくは10dBを上回る、また最も好ましくは6dBを上回る持続的な音圧の降下なしに再生される。
好ましくは、FROは、帯域幅の限界で、2008年にHammershoi及びMollerによって提案された「ディフューズ・フィールド」基準に対して20dBを上回る、またより好ましくは14dBを上回る、またさらに好ましくは10dBを上回る、また最も好ましくは6dBを上回る音圧の降下なしに再生される。
第2の実施例では、それぞれのイヤホン・インタフェース・デバイスは、2つ以下のオーディオ・トランスデューサを備えて、160Hzから6kHzまでの周波数帯、またより好ましくは120Hzから8kHzまでの周波数帯、またより好ましくは100Hzから10kHzまでの周波数帯、またさらに好ましくは80Hzから12kHzまでの周波数帯、また最も好ましくは60Hzから14kHzまでの周波数帯を含むFROを集合的に有する。
第3の実施例では、それぞれのイヤホン・インタフェース・デバイスは、160Hzから6kHzまでの周波数帯、またより好ましくは120Hzから8kHzまでの周波数帯、またより好ましくは100Hzから10kHzまでの周波数帯、またさらに好ましくは80Hzから12kHzまでの周波数帯、また最も好ましくは60Hzから14kHzまでの周波数帯を含むFROを集合的に有する、3つ以下のオーディオ・トランスデューサを備える。
別の態様では、本発明は、通常、使用時に使用者の頭部から約10センチメートル以内に配置される個人用オーディオ用途で使用する個人用オーディオ・デバイスであって、
振動板と、振動板に接続されたヒンジ組立体と、使用時に電子信号に応答して実質的な回転運動を振動板に付与する励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備えるハウジングを備え、
オーディオ・トランスデューサの振動板が、動作中に実質的な剛性を保つ、
個人用オーディオ・デバイスで構成されるともいえる。
好ましくは、振動板は、動作中、トランスデューサのFROにわたり、実質的な剛性を保つ。
好ましくは、振動板は、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
好ましくは、振動板は、振動板本体の最大寸法に対して実質的に厚い振動板本体を備える。好ましくは、振動板本体の最大厚さは、振動板本体の最大長さの11%より大きく、またさらに好ましくは、この最大長さの14%より大きい。
いくつかの実施例では、1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板は、
1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、
本体に接続され、前記主面のうちの少なくとも1つの近傍に接続されて、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗する、垂直応力補強材と、
本体に埋め込まれ、前記主面のうちの少なくとも1つに対してある角度で向けられ、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し、且つ/又はそれを実質的に軽減する、少なくとも1つの内部補強部材とを備える。
一形態では、ヒンジ・システムは、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備え、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材は、接触面を有し、動作中に、それぞれのヒンジ接続部は、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体は、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢する。好ましくは、ヒンジ・システムは、それぞれのヒンジ要素を関連付けられた接触面に向かって付勢するための付勢機構を備える。
さらに別の形態では、ヒンジ・システムは、少なくとも1つのヒンジ接続部を備え、それぞれのヒンジ接続部は、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部は、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素は、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備える。いくつかの構成では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのヒンジ要素は、ねじれに対して実質的に剛性である。代替の構成では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、ねじれに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的に剛性である。
別の態様では、本発明は、通常、使用時に使用者の頭部から約10センチメートル以内に配置される個人用オーディオ用途で使用する個人用オーディオ・デバイスであって、
振動板と、トランスデューサ基部構造と、振動板をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続するヒンジ組立体と、使用時に電子信号に応答して、実質的な回転運動を振動板本体に付与する励起機構とを有するオーディオ・トランスデューサを備え、ヒンジ・システムが、少なくとも1つのヒンジ接続部を備え、それぞれのヒンジ接続部が、振動板をトランスデューサ基部構造に枢動接続して、振動板が、動作中、回転軸を中心にトランスデューサ基部構造に対して相対的に回転することを可能にし、ヒンジ接続部が、一方の側ではトランスデューサ基部構造に、反対側では振動板に強固に連結され、且つ互いに対して傾けられた少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を備え、それぞれのヒンジ要素が、トランスデューサ基部構造と振動板の両方に密に結び付けられ、動作中、この要素に沿った、且つその全体にわたる圧縮、引張及び/又はせん断変形に抵抗する、実質的な並進剛性、並びにこのセクションに対して垂直な力に応じた屈曲を可能にする、実質的な可撓性を備える、
個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
いくつかの実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのヒンジ要素は、ねじれに対して実質的に剛性である。
代替の実施例では、それぞれのヒンジ接続部のそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、ねじれに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、それぞれのフレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的に剛性である。
別の態様では、本発明は、通常、使用時に使用者の頭部から約10センチメートル以内に配置される個人用オーディオ用途で使用する個人用オーディオ・デバイスであって、
振動板と、トランスデューサ基部構造と、振動板組立体をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続するヒンジ・システムと、使用時に電子信号に応答して、実質的な回転運動を振動板に付与する励起機構とを有するオーディオ・トランスデューサを備え、ヒンジ・システムが、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備え、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素及び接触部材を備え、接触部材が、接触面を有し、動作中に、それぞれのヒンジ接続部が、ヒンジ要素が接触面との実質的に安定した物理的接触を保ちながら関連付けられた接触部材に対して相対的に動くことを可能にするように構成され、ヒンジ組立体が、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢する、
個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、実質的に使用者の耳その場の甲介の中又は近傍に配置されるように構成されたイヤホン・インタフェース・デバイスであって、
振動板本体を備える振動板と、振動板に接続されるヒンジ組立体と、使用時に電子信号に応答しておおよその回転軸を中心にした実質的な回転運動を振動板本体に付与する励起機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備えるハウジングを備え、
オーディオ・トランスデューサの振動板本体が、動作中、実質的に剛性であり、
オーディオ・トランスデューサの振動板本体が、少なくとも1つの領域において、回転軸から振動板本体の最遠位周辺部までの距離の約15%より大きい厚さを有する、イヤホン・インタフェース・デバイスで構成されるともいえる。より好ましくは、この厚さは、この総距離の約20%より大きい。
別の態様では、本発明は、使用者の耳その場の甲介の中に配置されるように構成されたイヤホン・インタフェース・デバイスであって、
振動板と、振動板に接続されたヒンジ組立体と、使用時に電子信号に応答して実質的な回転運動を振動板に付与する励起機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備えるハウジングを備え、
オーディオ・トランスデューサの振動板が、オーディオ・トランスデューサの動作中、実質的に剛性であり、
オーディオ・トランスデューサの励起機構の、関連付けられた振動板に連結される部分が、強固に連結される、
イヤホン・インタフェース・デバイスで構成されるともいえる。
別の態様では、本発明は、使用者の耳その場の甲介の中に配置されるように構成されたイヤホン・インタフェース・デバイスであって、
振動板と、振動板に接続されたヒンジ組立体と、使用時に電子信号に応答して実質的な回転運動を振動板に付与する励起機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを格納するためのエンクロージャ又はバッフルを備えるハウジングを備え、
オーディオ・トランスデューサの振動板が、オーディオ・トランスデューサの動作中、実質的に剛性であり、
オーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的にはハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備える、
イヤホン・インタフェース・デバイスで構成されるともいえる。
別の態様では、本発明は、通常、使用時に使用者の頭部から約10センチメートル以内に配置される個人用オーディオ用途で使用する個人用オーディオ・デバイスであって、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板本体を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有するオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備えるハウジングを備え、
オーディオ・トランスデューサの振動板が、少なくとも部分的にはハウジングの内部と物理的に連結しない外周部を備え、
オーディオ・デバイスが、使用時に使用者の耳の近傍に位置するように構成されたこのデバイスの一方の側の内部空気空洞とこのデバイスその場の外部の空気との間に十分なシールを生み出し、
オーディオ・トランスデューサと関連付けられたエンクロージャ又はバッフルが、第1の空洞からデバイスの第1の空洞の反対側に配置される第2の空洞まで、又は第1の空洞からデバイスの外部の空気まで、又はその両方の、少なくとも1つの流体通路を備える、
個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
好ましくは、振動板は、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を備える。好ましくは、この外周部は、著しく物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも20%、またより好ましくは少なくとも30%を構成する。より好ましくは、この外周部は、実質的に物理的に連結せず、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長の少なくとも50%、またより好ましくは少なくとも80%を構成する。最も好ましくは、この外周部は、おおよそ完全に物理的連結がなく、その結果、この1つ又は複数の周辺領域が、周辺部の長さ又は周長のおおよそ全体を構成する。
好ましくは、それぞれの流体通路は、その場で且つ動作中、そこを流れる気体の流れを実質的に制限するための、実質的に制限的な流体通路を提供する。流体通路は、両側の空気との結合部で直径又は幅が小さくされたアパーチャを備えてもよく、且つ/又は流体流れ制限要素を備えてもよい。この流体流れ制限要素は、この通路又はこの通路内に配置された、多孔性若しくは通気性のカバー又は挿入物でもよい。
いくつかの実施例では、インタフェース・デバイスは、使用時に使用者の耳の近傍に位置するように構成された、振動板の一方の側にある第1の前方空洞と、振動板の反対側にある第2の後方空洞との間に延びる第1の流体通路を備える。好ましくは、第1の流体通路は、第1の空洞及び第2の空洞の断面積に比べて実質的に小さくされた入口区域のアパーチャを備える。いくつかの形態では、第1の流体通路は、振動板の周辺部のすぐ周りに配置される。他の形態では、第1の空洞は、トランスデューサ基部構造又はハウジングの内壁部を通って配置される。
いくつかの実施例では、インタフェース・デバイスは、第1の前方空洞から外部の空気までの第1の流体通路又は第2の流体通路を備える。いくつかの形態では、この流体通路は、近傍の空気の断面積に比べて実質的に小さくされた入口区域を備える。いくつかの他の形態では、これらの流体通路は、第1の前方空洞の断面積に対して実質的に大きい入口区域を備え、そこを流れる気体の流れを実質的に制限する流れ制限要素も組み込む。
いくつかの実施例では、インタフェース・デバイスは、後方空洞から外部の空気までの第1の流体通路又は第2の流体通路を備える。いくつかの形態では、この流体通路は、近傍の空気の断面積に比べて実質的に小さくされた入口区域を備える。いくつかの他の形態では、これらの流体通路は、第1の前方空洞の断面積に対して実質的に大きい入口区域を備え、そこを流れる気体の流れを実質的に制限する流れ制限要素も組み込む。
いくつかの実施例では、1つ又は複数の流体通路は、デバイスの外耳道側の第1の前方空洞を、中に振動板を組み込まない第2の空洞に流体的に連結できる。
好ましくは、オーディオ・デバイスは、デバイスの外耳道側の空気とデバイスその場の外部の側の空気との間に十分なシールを生み出し、デバイスその場の外耳道側内に封入される空気は十分に少なく、その結果、外耳道の内側で発生する音圧は、デバイスの動作中\オーディオ・デバイスがその場に十分なシールを生み出していないときに発生する音圧に比べて、平均して少なくとも2dB、またより好ましくは4dB、また最も好ましくは少なくとも6dB増加する。
好ましくは、オーディオ・デバイスは、デバイスの外耳道側の空気とデバイスその場の外部の側の空気との間に十分なシールを生み出し、デバイスその場の外耳道側内に封入される空気は十分に少なく、その結果、70Hzの正弦波の電気的入力が与えられた場合、外耳道の内側で発生する音圧は、オーディオ・デバイスがその場に十分なシールを生み出していないとき同じ電気的入力が与えられた場合に発生する音圧に比べて、少なくとも2dB、またより好ましくは4dB、また最も好ましくは少なくとも6dB増加する。
好ましくは、前記空気漏れは、実質的に単一の構成要素内に形成される。より好ましくは、これらは完全に単一の構成要素内に形成される。[これはメッシュを含むか?(含みたい。)理由は、対合する面同士の間で、漏れが非常に容易に起こり得るからであるが、これらでは、製造中、公差を制御することが困難である。]
#251好ましくは、少なくとも1つの空気漏れ通路は、小さい穴及び/又は細かいメッシュ及び/又は空気間隙を備える。
いくつかの実施例では、前記流体通路のうちの1つは、直径が約0.5mm未満、またより好ましくは約0.1mm未満、また最も好ましくは約0.03mm未満である1つ又は複数のアパーチャを備える。
好ましくは、前記流体通路は、十分な気体がそこを通って流れることを可能にし、その結果、これらの流体通路が、デバイスの動作中、20Hz~80Hzの周波数範囲にわたり、オーディオ・デバイスが標準的な測定デバイスに据え付けられている時間の少なくとも50%で、漏れがわずかであるときに発生する音圧に対して、平均して、集合的に少なくとも10%、またより好ましくは少なくとも25%、またいっそう好ましくは少なくとも50%、また最も好ましくは少なくとも75%の、音圧レベル(SPL)減少の要因になる(SPL(すなわちdB)と周波数領域の両方において、平均値は対数スケール加重(log-scale weighting)を使用して計算される)。
好ましくは、前記空気漏れ通路は、十分な空気を漏らし、その結果、これらの空気漏れ通路は、70Hzの正弦波でのデバイスの動作中、オーディオ・デバイスが標準的な測定デバイスに据え付けられている時間の少なくとも50%で、漏れがわずかであるときに発生する音圧に対して、集合的に少なくとも10%、またより好ましくは少なくとも25%、またいっそう好ましくは少なくとも50%、また最も好ましくは少なくとも75%の、SPL減少の要因になる。
好ましくは、オーディオ・デバイスが、無作為に選択された聴取者に、同じ聴取者によって装着されるとき、平均して、(デバイス周辺部内の)前記空気漏れ通路は、十分な空気を漏らし、その結果、これらの空気漏れ通路は、デバイスの動作中、20Hz~80Hzの周波数範囲にわたり、動作中に前記空気漏れ通路を通る漏れがわずかであるときに発生する音圧に対して、集合的に少なくとも0.5dB、より好ましくは1dB、いっそう好ましくは2dB、さらに好ましくは4dB、最も好ましくは6dBの、SPL減少の要因になる(SPL(すなわちdB)と周波数領域の両方において、平均値は対数スケール加重を使用して計算される)。
好ましくは、オーディオ・デバイスが、無作為に選択された聴取者に、同じ聴取者によって装着されるとき、平均して、(デバイス周辺部内の)前記空気漏れ通路は、十分な空気を漏らし、その結果、これらの空気漏れ通路は、70Hzの正弦波でのデバイスの動作中、動作中に前記空気漏れ通路を通る漏れがわずかであるときに発生する音圧に対して、集合的に少なくとも0.5dB、より好ましくは少なくとも1dB、いっそう好ましくは少なくとも2dB、さらに好ましくは少なくとも4dB、最も好ましくは少なくとも6dBの、SPL減少の要因になる。
好ましくは、流体通路は、振動板の主面の最短の距離より長い距離にわたって、より好ましくは振動板の主面の最短の距離より50%を超えて長い距離にわたって、最も好ましくは振動板の主面の最短の距離の2倍より長い距離にわたって分布する。
好ましくは、オーディオ・デバイスは、その場の耳を越える、且つ/又はその耳の周りの、頭部の1つ又は複数の部分に圧力をかけるように構成されたインタフェースを備える。
好ましくは、オーディオ・デバイスは、160Hzから6kHzまでの周波数帯、またより好ましくは120Hzから8kHzまでの周波数帯、またより好ましくは100Hzから10kHzまでの周波数帯、またさらに好ましくは80Hzから12kHzまでの周波数帯、また最も好ましくは60Hzから14kHzまでの周波数帯を含むFROを有する。
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは、追従的インタフェースを備え、オーディオ・デバイスはそこで耳又は頭部の耳の近くの部分と接触する。
好ましくは、追従的インタフェースは、通気性があり、オーディオ周波数での空気の運動に著しく抵抗する効果を有する、複数の小さい開口を備える。
好ましくは、追従的インタフェースは、連続気泡発泡体から構成される。
好ましくは、小さい開口は、デバイスの外耳道側で、その場の空気が、追従的インタフェースの小さい開口に流体的に連結されるように構成される。
好ましくは、追従的インタフェースは、デバイスの外耳道側でその場の空気に流体的に連結される、1つ又は複数の部分を覆う通気性のある布を備える。
好ましくは、追従的インタフェースは、デバイスの外部の側の空気が接触可能な1つ又は複数の部分を覆う、実質的に通気性のない布を備える。
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスは、複数のオーディオ・トランスデューサを備えてもよい。
別の態様では、本発明は、通常、使用時に使用者の頭部から約10センチメートル以内に配置される個人用オーディオ用途で使用する個人用オーディオ・デバイスであって、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部の1つ又は複数の周辺領域を備え、
ハウジングの内部と物理的に連結しない振動板の1つ又は複数の周辺領域が、強磁性流体によって支持される、
個人用オーディオ・デバイスで構成されるといえる。
好ましくは、強磁性流体は、その場の振動板を著しく支持する。
別の態様では、本発明は、使用時に使用者の耳のそれぞれの周りに位置するように構成された1対のヘッドホン・インタフェース・デバイスを備えるヘッドホン装置であって、それぞれのインタフェース・デバイスが、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部の1つ又は複数の周辺領域を備え、
ハウジングの内部と物理的に連結しない振動板の1つ又は複数の周辺領域が、強磁性流体によって支持される、
ヘッドホン装置で構成されるといえる。
別の態様では、本発明は、それぞれが使用時に使用者の外耳道の中又は近傍に位置するように構成された、1対のイヤホン・インタフェース・デバイスを備えるイヤホン装置であって、それぞれのインタフェース・デバイスが、
振動板と、使用時に電子信号に応答して、振動板に作用して振動板を動かし、音を発生させるように構成された励起機構とを有する、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサ、並びに
オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルを備え、それぞれのオーディオ・トランスデューサと関連付けられる、少なくとも1つのハウジングを備え、
1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサの振動板が、関連付けられたハウジングの内部と物理的に連結しない外周部の1つ又は複数の周辺領域を備え、
ハウジングの内部と物理的に連結しない振動板の1つ又は複数の周辺領域が、強磁性流体によって支持される、
イヤホン装置で構成されるといえる。
好ましくは、この強磁性流体は、強磁性流体によって支持されるこの1つ又は複数の周辺領域を封止し、又はそれと直接的に接触し、その結果、この強磁性流体が、実質的にそれらの間の空気の流れを防止する。
一形態では、イヤホン・インタフェースは、可聴に振動板に接続され、使用者の外耳道その場のすぐ近傍に位置するように構成された、実質的に長手方向のインタフェース・チャネルを備える。好ましくは、このインタフェース・チャネルは、チャネルのスロートに、発泡体、又は他の多孔性若しくは通気性の要素などの消音用挿入物を備える。
上の実施例又は好ましい特徴のうちの任意の1つ又は複数は、上の態様の任意の1つ又は複数と組み合わせられてもよい。
本発明の他の態様、実施例、特徴及び利点は、本発明の原理を一例として示す、詳細な説明及び添付図面から明らかになろう。
定義
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「オーディオ・トランスデューサ」という語句は、スピーカなどの電気音響トランスデューサ、又はマイクロホンなどの音響電気トランスデューサを包含するものである。パッシブ・ラジエータは、厳密にいえばトランスデューサではないが、本明細書では、「オーディオ・トランスデューサ」という用語は、その定義の中にパッシブ・ラジエータも含むことを企図される。
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「力伝達構成要素」という語句は、関連付けられた変換機構の部材を意味し、ここでは
a)変換機構が電気エネルギーを音エネルギーに変換するように構成されるとき、変換機構の振動板を駆動する力が発生し、又は
b)変換機構が音エネルギーを電気エネルギーに変換するように構成される場合、この部材の物理的運動が、力伝達構成要素によって振動板に与えられる力の変化をもたらす。
トランスデューサ又はデバイスに関連して本明細書及び特許請求の範囲で使用される「個人用オーディオ」という語句は、オーディオ再生用に作動可能であり、オーディオ再生中、使用者の耳又は頭部から約10cm以内などの、使用者の耳又は頭部のすぐ近くで利用するためのものであり且つ/又はそれ専用である、スピーカ・トランスデューサ又はスピーカ・デバイスを意味する。個人用オーディオ・トランスデューサ又は個人用オーディオ・デバイスの実例には、ヘッドホン、イヤホン、補聴器、携帯電話などが含まれる。
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「備えている(comprising)」という用語は、「少なくとも部分的には~から構成されている」を意味する。「備えている」という用語を含む本明細書及び特許請求の範囲のそれぞれの記述を解釈するとき、それ以外の特徴もこの用語で始まる特徴も存在し得る。「備える(“comprise”and“comprises”)」などの関連する用語は、同じように解釈されるべきである。
本明細書において、「及び/又は」という用語は、「及び」、「又は」、又はその両方を意味する。
本明細書において、名詞に続く「(s)」は、その名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
数値範囲
本明細書に開示される数の範囲の参照(たとえば1~10)は、その範囲内のすべての有理数又は無理数(たとえば1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9及び10)、並びにその範囲内の有理数又は無理数の任意の範囲(たとえば、2~8、1.5~5.5及び3.1~4.7)の参照も組み込むことが企図されており、したがって、これにより、本明細書に明確に開示されているすべての範囲のすべてのサブ範囲が明確に開示される。これらは、特に企図されるもののほんの実例にすぎず、列挙される最低値と最高値の間の数値の考えられるすべての組合せが、本明細書に同様に明確に記載されていると考えられるべきである。
作動周波数範囲
所与のオーディオ・トランスデューサに関連して本明細書及び特許請求の範囲で使用される「作動周波数範囲」という語句(本明細書ではFROとも呼ばれる)は、音響工学の、知識のある当業者によって決定されることになる、トランスデューサのオーディオ関連FROを意味することを企図され、任意選択で、外部のハードウェア又はソフトウェア・フィルタリングの任意のアプリケーションを含む。したがって、FROは、トランスデューサの構成によって決定される作動範囲である。
関連技術の知識のある当業者には理解されるように、トランスデューサのFROは、以下の説明のうちの1つ又は複数に従って決定され得る。
1.完全なスピーカ・システム、又はオーディオ再生システム、又はヘッドホン、イヤホン若しくは補聴器などの個人用オーディオ・デバイスの文脈では、FROは、音圧レベル(SPL)が、このシステム全体が500Hz~2000Hzの周波数帯にわたって生み出す平均のSPL(SPL(すなわちdB)と周波数領域の両方において、平均値は対数スケール加重を使用して計算される)を上回る、又は9dB以内の範囲でそれを下回る(応答が9dBを下回って降下する任意の狭帯域を除く)、20Hz~20kHzである可聴帯域幅の範囲内の周波数範囲であり、このデバイスが、正確なオーディオ再生用に設計される場合、又はこのデバイスが、聴覚機能強化やノイズキャンセルなどの別の目的のために設計されるなどの他の場合では、FROは、この技術の知識のある1人又は複数の当業者によって決定されることになる。このスピーカ・システムなどが、通常の個人用オーディオ・デバイスである場合、SPLは、たとえば図Fに示されるHammershoi及びMollerの「ディフューズ・フィールド」目標基準に対して相対的に測定されるべきである。
2.スピーカ・システム又はオーディオ再生システムの一部として作動可能に据え付けられるスピーカ・ドライバの文脈では、FROは、トランスデューサが発生させる音が、ポート又はパッシブ・ラジエータなどを介して直接的又は間接的に、スピーカ又はオーディオ再生システムの前記システムのFROの範囲内のオーディオ再生の全SPLに著しく寄与する、周波数範囲である。
3.スピーカ・システム又はオーディオ再生システムの一部として作動可能に据え付けられるパッシブ・ラジエータの文脈では、FROは、パッシブ・ラジエータが発生させる音が、スピーカ又はオーディオ再生システムの前記システムのFROの範囲内のオーディオ再生の全音圧レベル(SPL)に著しく寄与する、周波数範囲である。
4.マイクロホンの文脈では、FROは、トランスデューサが、このトランスデューサが一構成要素である(モノ・チャネル)録音デバイス全体によって録音されている帯域幅の範囲内のオーディオ録音の、リアルタイムで発生する、又は事後録音で発生するものである、システム内の1つ又は複数のトランスデューサによって発生する音の量を変える任意のアクティブ・クロスオーバー及び/又はパッシブ・クロスオーバー・フィルタリングで測定される全レベルに、直接的又は間接的に著しく寄与する、周波数範囲である。
5.関連付けられたトランスデューサが、スピーカ・システム又はオーディオ再生システム又はマイクロホンの一部として作動可能に据え付けられていない場合、FROは、関連技術の知識のある当業者が判断して、トランスデューサが、適切な作動をするために適当であると考えられる帯域幅である。
トランスデューサが使用者の耳から約5~10cm以内に配置される、声の再生のための携帯電話トランスデューサの文脈では、FROは、この声の再生のケースにおいて通常適用されるオーディオ帯域幅であると考えられる。
語句FROの解釈を含む上記一式に関して、それぞれの解釈において言及される周波数範囲は、関連するカテゴリのスピーカ又はマイクロホン・システムを測定する産業界で認められた通常の方法を使用して決定又は測定されるべきである。一実例として、通常のホーム・オーディオ用床置き型スピーカ・システムによって発生するSPLを測定する、産業界で認められた通常の方法に関して、測定はツイータ軸(tweeter-axis)で行われ、無響周波数応答(anechoic frequency response)は、システム内のすべてのドライバ及び任意の共振器を適切に合計することによって求められる距離で、2.83VRMSの励起信号を用いて測定される。この距離は、ソースの最大寸法の3倍で始まる、以下に述べられる窓を掛けられた(windowed)測定を連続的に行い、応答のずれが明らかになる一段階前まで、測定距離を次第に短くすることによって決定される。
システム内の特定のドライバのFROの下限は、ハイパス・アクティブ及び/又はパッシブ・クロスオーバーによって、且つ/又はソース信号の任意の適用可能なプレフィルタリングによって、且つ/又はドライバの組合せの低周波数ロールオフ特性によって、且つ/又は任意の関連付けられた共振器(たとえば、ポート又はパッシブ・ラジエータなどであり、前記共振器は前記ドライバと関連付けられる)によって発生する-6dBハイパス・ロールオフ周波数、或いはシステムのFROの下限の、これら2つのいずれか高い方の周波数である。
通常、システム内の特定のドライバのFROの上限は、ローパス・アクティブ及び/又はパッシブ・クロスオーバーによって、且つ/又は他のフィルタリングによって、且つ/又はソース信号の任意の適用可能なプレフィルタリングによって、且つ/又はドライバの組合せの高周波数ロールオフ特性によって発生する-6dBローパス・ロールオフ周波数、或いはシステムのFROの上限の、これら2つのいずれか低い方の周波数である。
通常のヘッドホン測定機器は、標準的なヘッド・アコースティック・シミュレータの使用を含むことになる。
本発明は、前述のもので成り立っており、以下で単に実例を示すものである構成も想定する。本発明の別の態様及び利点は、次の説明から明らかになろう。
本発明の好ましい実施例は、単に実例によって且つ以下の図面を参照して説明される。
磁気を用いて付勢力が加えられることで互いに対してロールする接触面を用いてヒンジ式に取り付けられた小さい回転慣性の複合振動板と、トランスデューサ基部構造内に振動板を配置するのを助けるのに使用される紐からなる固定構造と、さらに、振動板を中心に配置するのを助けるためのねじり棒とを備えるヒンジ動作トランスデューサの実施例Aを示す図であって、 a)は、3D等角図(3D isometric view)であり、 b)は、平面図であり、 c)は、側面立面図であり、 d)は、正面(振動板先端)立面図であり、 e)は、断面図(図A1bの断面A-A)であり、 f)は、図A1eに示されたヒンジ式機構の詳細図である。 図A1に示された実施例Aのドライバの振動板を示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、図A2aに示された支柱の詳細図であり、 c)は、上面(振動板先端)立面図であり、 d)は、正面図であり、 e)は、底面(コイル)立面図であり、 f)は、側面立面図であり、 g)は、分解組立3D等角図である。 図A1に示された実施例Aのドライバのヒンジ組立体を示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、上面図であり、 c)は、正面図であり、 d)は、側面立面図であり、 e)は、底面図であり、 f)は、詳細図(図A3cの細部A)であり、 g)は、断面図(図A3fの断面A)であり、 h)は、断面図(図A3fの断面B)であり、 i)は、断面図(図A3fの断面C)であり、 j)は、図A3gのヒンジ接続部の詳細図である。 図A1に示された実施例Aのドライバのねじり棒構成要素を示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、正面図であり、 c)は、側面立面図であり、 d)は、断面拡大図(図A4bの断面A-A)である。 デカップリング・マウントがその上に組み立てられた、図A1に示された実施例Aのドライバを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、図A5aに示されたデカップリング・ピラミッドの詳細図であり、 c)は、図A5aに示されたデカップリング・ワッシャとデカップリング・ブッシュの両方の詳細図であり、 d)は、正面図であり、 e)は、側面立面図であり、 f)は、図A5eに示されたデカップリング・ピラミッドの詳細図であり、 g)は、底面図であり、 h)は、図A5gに示されたデカップリング・ピラミッドの詳細図である。 図A5に示されたデカップリング・マウントを介してバッフルにマウントされ、振動板の可動域超過を防止するストッパを含む、図A1に示された実施例Aのドライバを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、正面図であり、 c)は、断面図(図A6bの断面A-A)であり、 d)は、図A6cに示された デカップリング・トライアングルの詳細図であり、 e)は、底面図であり、 f)は、側面立面図であり、 g)は、断面図(図A6fの断面B-B)であり、 h)は、図A6gに示されたデカップリング・ブッシュ及びワッシャの詳細図であり、 i)は、3D等角分解組立図である。 バッフルにクランプし、図A6に示されたブッシュ及びワッシャのデカップリング・マウントを保持するスラグを示す図である。このスラグは、ドライバがバッフル内で過度に移動するのを防止するストッパとして働くリムを備えており、 a)は、3D等角図であり、 b)は、上面図であり、 c)は、正面図であり、 d)は、側面立面図であり、 e)は、断面図(図A7cの断面A-A)であり、 f)は、断面図(図A7dの断面B-B)である。 炭素繊維の支柱を有する代わりに振動板本体の主面がフォイルで完全に覆われることを除いて図A2に示された振動板と同一である、実施例Aに使用される振動板の修正されたバージョンを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、正面(振動板先端)立面図である。 フォイルが、振動板の両側で、先端の近くで省かれると共に各側部エリアも省かれた3つの半楕円面エリアを有することを除いて、図A8に示された振動板と同一である、実施例Aに使用される振動板の別の修正されたバージョンを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、正面(振動板先端)立面図である。 反せん断内部補強部材が振動板内に存在しないことを除いて図A8に示された振動板に類似し、そしてこの振動板が、単一の発泡体のくさび(wedge of foam)をただ有する、実施例Aに使用される振動板の別の修正されたバージョンを示す図である。振動板は、くさびの前面及び後面に取り付けられた外殻が、先端の近くで省かれた1つの大きな半円に修正されている点でも異なっており、 a)は、3D等角図であり、 b)は、正面(振動板先端)立面図である。 外殻が、省かれたエリアを有さず、代わりに、フォイルが、発泡体の前面及び後面全体をカバーし、外殻が振動板の先端に向かって延びるにつれて厚さの段階的減少も有することを除いて、図A10に示された振動板に類似する、実施例Aに使用される振動板の別の修正されたバージョンを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、図A11aに示されたアルミニウムの外殻表面の厚さの段階的減少の詳細図であり、 c)は、正面(振動板先端)立面図である。 振動板が、外殻の代わりに、くさびの前面及び後面に支柱を有し、支柱が振動板の先端に向かって延びるにつれて厚さの段階的減少を伴うことを除いて、図A10に示された振動板に類似する、実施例Aに使用される振動板の別の修正されたバージョンを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、図A11aに示された炭素繊維の斜め支柱の厚さの段階的減少の詳細図であり、 c)は、図A11aに示された炭素繊維の平行支柱の厚さの段階的減少の詳細図であり、 d)は、正面(振動板先端)立面図である。 実施例Aのトランスデューサと同様であるトランスデューサの有限要素解析(FEA:Finite Element Analysis)のコンピュータ・シミュレーションを示す図である。自由空間内で浮いているトランスデューサがシミュレートされており、 a)は、第1の共振モードの結果として得られた変位ベクトルのプロット(振動板の基礎(Wn)は、トランスデューサ基部構造に対して回転する)の正面図であり、 b)は、第1の共振モードの結果として得られた変位ベクトルのプロットの(図A13aに指し示された)方向Aの図であり、 c)は、図A13bのノード軸領域(node axis region)の詳細図であり、 d)は、第1の共振モードの結果として得られた変位ベクトルのプロットの3D等角図であり、 e)は、第1の共振モードの結果として得られた変位のプロットの3D等角図であり、 f)は、第2の共振モードの結果として得られた変位ベクトルのプロットの3D等角図であり、 g)は、第2の共振モードの結果として得られた変位のプロットの3D等角図であり、 h)は、第3の共振モードの結果として得られた変位ベクトルのプロットの3D等角図であり、 i)は、第3の共振モードの結果として得られた変位のプロットの3D等角図であり、 j)は、第4の共振モードの結果として得られた変位ベクトルのプロットの3D等角図であり、 k)は、第4の共振モードの結果として得られた変位のプロットの3D等角図であり、 l)は、第5の共振モードの結果として得られた変位ベクトルのプロットの3D等角図であり、 m)は、第5の共振モードの結果として得られた変位のプロットの3D等角図である。 デカップリング・システムにマウントされた、実施例Aのトランスデューサと同様である、図A13のトランスデューサを示す図である。トランスデューサは、トランスデューサ・ハウジングに通常触れるデカップリング・システムの表面が空間内に固定されており、正弦力及び反力がそれぞれある周波数範囲にわたって振動板及びトランスデューサ基部構造に加えられる、調和及び線形動的(harmonic and linear dynamic)有限要素解析(FEA)によってシミュレートされ、 a)は、トランスデューサ及びデカップリング・システムの3D等角図であり、 b)は、今回ドライバの他方の側が見えている、(一部の部分が隠れている)トランスデューサ及びデカップリング・システムの別の3D等角図であり、 c)は、第1の共振モードのFEAの結果として得られた変位ベクトルのプロットの3D等角図であり、 d)は、第1の共振モードのFEAの結果として得られた変位のプロットの3D等角図であり、 e)は、第2の共振モードのFEAの結果として得られた変位ベクトルのプロットの3D等角図であり、 f)は、第2の共振モードのFEAの結果として得られた変位のプロットの3D等角図であり、 g)は、第3の共振モードのFEAの結果として得られた変位ベクトルのプロットの3D等角図であり、 h)は、第3の共振モードのFEAの結果として得られた変位のプロットの3D等角図であり、 i)は、第4の共振モードのFEAの結果として得られた変位ベクトルのプロットの3D等角図であり、 j)は、第4の共振モードのFEAの結果として得られた変位のプロットの3D等角図であり、 k)は、第5の共振モードのFEAの結果として得られた変位ベクトルのプロットの3D等角図であり、 l)は、第5の共振モードのFEAの結果として得られた変位のプロットの3D等角図であり、 m)は、第6の共振モードのFEAの結果として得られた変位ベクトルのプロットの3D等角図であり、 n)は、第6の共振モードのFEAの結果として得られた変位のプロットの3D等角図であり、 o)は、第7の共振モードのFEAの結果として得られた変位ベクトルのプロットの3D等角図であり、 p)は、第7の共振モードのFEAの結果として得られた変位のプロットの3D等角図であり、 q)は、第8の共振モードのFEAの結果として得られた変位ベクトルのプロットの3D等角図であり、 r)は、第8の共振モードのFEAの結果として得られた変位のプロットの3D等角図であり、 s)は、線形動的FEAシミュレーションの振動板及びトランスデューサ基部構造の側面に沿った6つのセンサ位置のポジションの対数変位と対数周波数のグラフである(周波数は、50Hzから30kHzまでの範囲である)。 図A2に示された実施例Aの振動板組立体の振動板構造を示す図であって、 a)は、基部端部が見えている振動板構造の3D等角図であり、 b)は、先端端部が見えている振動板構造の3D等角図である。 高回転追従性(high rotational compliance)及び低い並進追従性を可能にするように構成された薄い壁付きの撓み部(thin walled flexure)を用いてヒンジ式に取り付けられた、小さい回転慣性の複合振動板を備えるヒンジ動作ドライバの実施例Bを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、上面図であり、 c)は、側面立面図であり、 d)は、正面図であり、 e)は、断面図(図B1dの断面A-A)であり、 f)は、3D等角分解組立図である。 振動板と、図B1に示された実施例Bのドライバの撓み基部ブロック(flexure base block)に連結する撓み構成要素(flexure component)とを示す図であって、 a)は、上面図であり、 b)は、3D等角図であり、 c)は、側面立面図であり、 d)は、正面図であり、 e)は、図B2cに示された撓み部の詳細図であり、 f)は、基準面が指し示されている別の正面図(B2dと同じ図)であり、 g)は、基準面が指し示されている底面図である。 図B1及び図B2に示された実施例Bのドライバに使用されるような撓み構成要素を介して2つの基部ブロックに連結される振動板の基部フレームを備えるリンク用構成要素を示す図であって、 a)は、側面立面図であり、 b)は、正面図であり、 c)は、底面図であり、 d)は、3D等角図である。 図B1に示されていると共にバッフルに強固に取り付けられる実施例Bのドライバを示す図であって、 a)は、上面図であり、 b)は、3D等角図であり、 c)は、側面立面図であり、 d)は、正面図であり、 e)は、断面図(図B4dの断面A-A)であり、 f)は、断面図(図B4eの断面B-B)である。 振動板の幅に及ぶ撓み部ヒンジ組立体を介して基部ブロックに連結される振動板を表すブロックを示すドライバの簡略化されたバージョンを示す図であって、 a)は、上面図であり、 b)は、3D等角図であり、 c)は、側面立面図であり、 d)は、正面図であり、 e)は、図C1cに示されたヒンジ組立体の詳細図である。 振動板の幅のどちらの端部にも配置される撓み部ヒンジ組立体を介して基部ブロックに連結された振動板基部に連結される振動板を表すブロックを示すドライバの代替の簡略化されたバージョンを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、上面図であり、 c)は、側面立面図であり、 d)は、正面図である。 振動板がその静止ポジションにあるときに、撓み部が自然に曲げられた状態にある代替のヒンジ組立体を有することを除いて、図C2の簡略化されたドライバの側面立面を示す図である。 (それぞれの側の)3つの撓み部が2つの代わりに使用される代替のヒンジ組立体を有することを除いて、図C2の簡略化されたドライバの側面立面を示す図である。 振動板基部フレーム及びいくつかのコイル巻き線に連結されると共に2つのX撓み部ヒンジ組立体を介して振動板基部フレームから基部ブロックへ連結される振動板を表すくさびを示すドライバの簡略化されたバージョンを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、上面図であり、 c)は、背面図であり、 d)は、側面立面図であり、 e)は、背面図(図C5c)の断面図A-Aである。 基部ブロックがないことを除いて、図C5と同じドライバの簡略化されたバージョンであって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、背面図であり、 c)は、側面立面図であり、 d)は、底面図である。 代替のヒンジ組立体を用いることを除いて、図C5に示されたバージョンに類似するドライバの簡略化されたバージョンを示す図であって、 a)は、上面図であり、 b)は、3D等角図であり、 c)は、側面立面図であり、 d)は、正面(振動板先端)図であり、 e)は、背面図(図C7d)の断面図A-Aである。 代替のヒンジ組立体を用いることを除いて、(基部ブロックが示されていない)図C6に示されたバージョンに類似するドライバの簡略化されたバージョンを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、上面図であり、 c)は、背面図であり、 d)は、側面立面図である。 図C8に示されたドライバの類似の簡略化されたバージョンに使用されるようなX撓み部を示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、側面立面図である。 振動板の幅のどちらの端部からも延びる撓み部ヒンジ接続部を介して2つの基部ブロックに連結された振動板基部に連結される振動板を表すブロックを示すドライバの代替の簡略化されたバージョンを示す図であって、 a)は、上面図であり、 b)は、3D等角図であり、 c)は、側面立面図であり、 d)は、正面図であり、 e)は、断面線によって切断された面だけを示している図C10dの断面図A-Aである。 a~fは、撓み部ヒンジ接続部のいくつかの代替の設計の(図C10eの図に類似する図に関し、やはり断面線によって切断された面だけを示している)6つの断面図である。 断面の厚さが撓むことが意図されるエリア内で薄く、断面の厚さが振動板及び2つの基部ブロックに連結するエリア内でより厚くなる、撓み構成要素の修正されたバージョンを有することを除いて、図C10に示されたドライバの簡略化されたバージョンを示す図である。 断面の幅の厚さが撓むことが意図されるエリア内で適度に狭く、振動板及び2つの基部ブロックに連結するエリア内でより広くなる、撓み構成要素の修正されたバージョンを有することを除いて、図C10に示されたドライバの簡略化されたバージョンを示す図である。 高回転追従性及び低い並進追従性を可能にするように構成された薄い壁付きの撓み部を用いてヒンジ式に取り付けられた、小さい回転慣性の3つの複合振動板を備えるヒンジ動作スピーカ・ドライバの実施例Dを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、上面図であり、 c)は、側面立面図であり、 d)は、端面図であり、 e)は、図D1dの断面図A-Aである。 振動板が一方向に及び逆もまた同様に回転するときに3つの振動板によって変位させられる空気を一方のセットのポートの中に且つ別のセットの外に向けるように構成されたサラウンドの中にマウントされる、図D1に示された実施例Dにおけるドライバを示す図であって、 a)は、サラウンドの一方の側の一方のセットのポートを示す角度に向けられた3D等角図であり、 b)は、サラウンドの他方の側の第2のセットのポートを示す角度に向けられた3D等角図であり、 c)は、側面立面図であり、 d)は、端面図であり、 e)は、図D2dの断面図A-Aである。 板ばねを用いて付勢力が加えられることで互いに対してロールする接触面を用いてヒンジ式に取り付けられた小さい回転慣性の複合振動板を備えるヒンジ動作スピーカ・ドライバの実施例Eを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、上面図であり、 c)は、側面立面図であり、 d)は、正面図であり、 e)は、図E1cの詳細図であり、 f)は、断面図(図E1dの断面A-A)であり、 g)は、図E1f中の接触点の詳細図であり、 h)は、図E1f中のコイル巻き線の詳細図であり、 i)は、断面図(図E1cの断面B-B)であり、 j)は、図E1hの詳細図であり、 k)は、詳細図(図E1j)の詳細図であり、 l)は、3D等角分解組立図であり、 m)は、詳細図(E1l)である。 図E1に示されたバッフルに強固に取り付けられる実施例Eのドライバを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、上面図であり、 c)は、側面立面図であり、 d)は、正面図であり、 e)は、断面図(図E2bの断面A-A)であり、 f)は、図E2eの詳細図であり、 g)は、断面図(図E2eの断面B-B)であり、 h)は、3D等角分解組立図である。 図E1に示された実施例Eのドライバの振動板基部フレームE107の3D等角図である。 図E1に示された実施例Eのドライバの振動板組立体E101を示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、上面図であり、 c)は、側面立面図である。 目的の拡散場の周波数応答のグラフである。 発泡体コア振動板が従来のサラウンド及びスパイダ振動板サスペンション・システム(spider diaphragm suspension system)によって支持されている直線動作スピーカ・ドライバの実施例Gを示す図である。振動板は、主外面上の引張/圧縮補強、及びコア内の内部補強部材を有し、 a)は、3D等角図であり、 b)は、側面立面図であり、 c)は、断面線によって切断された面だけを示している図G1bの断面図A-Aである。 図G1に示された実施例Gにおけるドライバの振動板を示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、側面立面図であり、 c)は、底面図であり、 d)は、3D等角分解組立図である。 振動板の主外面上の引張/圧縮補強が、省かれているモータの遠位のエリアを有する、図G1に示された実施例Gにおけるドライバの振動板の修正されたバージョンを示す図であって、 a)は、振動板のコイル側を示す角度に向けられた3D等角図であり、 b)は、振動板の上側を示す角度に向けられた3D等角図である。 図G1に示された実施例Gにおけるドライバの振動板の修正されたバージョンを示す図である。この修正は、大量の材料が、モータの遠位のエリアで振動板の主外面上の引張/圧縮補強から省かれていることを除いて、図G3に示された修正に類似するものであり、 a)は、振動板のコイル側を示す角度に向けられた3D等角図であり、 b)は、振動板の上側を示す角度に向けられた3D等角図である。 さらに振動板の引張/圧縮補強の厚さがモータの遠位のエリア内で減少することを除いて図G4に示された修正と同一の修正を含む、図G1に示された実施例Gにおけるドライバの振動板の修正されたバージョンを示す図であって、 a)は、振動板のコイル側を示す角度に向けられた3D等角図であり、 b)は、振動板の上側を示す角度に向けられた3D等角図であり、 c)は、詳細図E5bである。 振動板がコイルから離れるように延びるにつれて振動板の本体の厚さが減少することを除いて同一の振動板を備える、図G1に示された実施例Gにおけるドライバの振動板の修正されたバージョンを示す図であって、 a)は、振動板の上側を示す角度に向けられた3D等角図であり、 b)は、振動板のコイル側を示す角度に向けられた3D等角図であり、 c)は、端面図であり、 d)は、側面立面図であり、 e)は、底面図であり、 f)は、3D等角分解組立図である。 振動板の主外面上の引張/圧縮補強が省かれているいくつかのモータの遠位のエリアを有することを除いて修正が図G6に示された修正と同一である、図G1に示された実施例Gにおけるドライバの振動板の修正されたバージョンを示す図であって、 a)は、振動板の上側を示す角度に向けられた3D等角図であり、 b)は、振動板のコイル側を示す角度に向けられた3D等角図である。 振動板の主外面上の引張/圧縮補強が、モータの遠位のエリア内の厚さが段階的低下する細い炭素繊維の支柱を備えることを除いて、修正が図G7に示された修正と同一である図G1に示された実施例Gにおけるドライバの振動板の修正されたバージョンを示す図であって、 a)は、振動板の上側を示す角度に向けられた3D等角図であり、 b)は、支柱の厚さの段階的減少を示す図G8aの詳細図であり、 c)は、振動板のコイル側を示す角度に向けられた3D等角図であり、 d)は、支柱の厚さの段階的減少を示す図G8cの詳細図である。 図G1a~図G1cに示された直線動作トランスデューサに類似し、図G6a~図G6fの振動板組立体を備える、直線動作トランスデューサの一部自由な周辺実施を示す図であって、 a)は、振動板の上側を示す角度に向けられた3D等角図であり、 b)は、正面図であり、 c)は、上面図であり、 d)は、図G9cのサスペンション部材の詳細図であり、 e)は、断面線によって切断された面だけを示している図G9bの断面図A-Aであり、 f)は、図G9fのサスペンション部材の詳細図であり、 g)は、分解組立図である。 実施例Aの振動板本体内に内蔵して使用される内部補強部材の3D等角図である。 図H1a中の構成要素の側面立面図である。 それが支柱のネットワークを備えることを除いて、実施例Aの振動板本体内に内蔵して使用されるA209に類似する内部補強部材の3D等角図である。 図H1c中の構成要素の側面立面図であり、 振動板本体が波形のパネルを備えることを除いて、実施例Aの振動板本体内に内蔵して使用されるA209に類似する内部補強部材の3D等角図である。 図H1e中の構成要素の側面立面図である。 実施例Aのドライバの累積的なスペクトル減衰のプロットを示す図である。 4つのドライバ(それぞれの耳に2つ)からなるサーカムオーラル・ヘッドホンであって、右耳に示される2つは、1つが実施例Aのドライバと同一である高音域ユニットであり、1つが実施例Aのドライバに類似するバス・ユニットであるが、より大きく、低いバスを再生するのに適しているサーカムオーラル・ヘッドホンを着用する3D図(3D view)の人間の頭部を示す図である。 2つのスピーカ・ドライバを除いてヘッドホンの全部分が隠されていることを除いて、H3aにおけるものと同じ画像を示す図である。 1つの完全な範囲のドライバが右耳にあるバッド・イヤホンを着用する人間の頭部の3D図を示す。使用されるスピーカ・ドライバは、図Eに示されたスピーカに類似する。 画像が、スピーカ・ドライバを耳内部に備えた耳の拡大図であることを除いて、H4aと同じ画像を示す図である。 図H3aに示されたバス・ドライバ の累積的なスペクトル減衰のプロットを示す図である。 接触ヒンジ組立体に使用することができる基本的なヒンジ接続部の4つの変形例のうち1つの概略側面図である。 接触ヒンジ組立体に使用することができる基本的なヒンジ接続部の4つの変形例のうち1つの概略側面図である。 接触ヒンジ組立体に使用することができる基本的なヒンジ接続部の4つの変形例のうち1つの概略側面図である。 接触ヒンジ組立体に使用することができる基本的なヒンジ接続部の4つの変形例のうち1つの概略側面図である。 トランスデューサ基部構造に連結された単純な回転振動板の概念の側面説明図である。 トランスデューサ基部構造に連結されると共に4つのバー・リンク機構を含む単純な回転振動板の概念の側面説明図である。 4つのバー・リンク機構を含む単純な振動板サスペンション機構の概念の側面説明図である。 バッフルに半デカップリングする従来技術のコーン・スピーカ・ドライバを示す図であって、 d)は、正面図であり、 e)は、断面図(図J1dの断面A-A)である。 互いに対してロールする接触面及び板ばねを用いて加えられる付勢力を用いてヒンジ式に取り付けられた小さい回転慣性の複合振動板を備えるヒンジ動作スピーカ・ドライバの実施例Kを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、平面図であり、 c)は、側面立面図であり、 d)は、正面(振動板先端)立面図であり、 e)は、底面図であり、 f)は、図K1eに示された側部材の詳細図であり、 g)は、断面図(図K1bの断面A-A)であり、 h)は、図K1gに示された磁束ギャップの詳細図であり、 i)は、図K1gに示されたヒンジ式接続部の詳細図であり、 j)は、断面図(図K1jの断面B-B)であり、 k)は、図K1jに示された側部材の詳細図であり、 l)は、断面図(図K1bの断面C-C)であり、 m)は、図K1lに示された付勢ばねの詳細図であり、 n)は、分解組立3D等角図であり、 o)は、図K1nに示された振動板基部フレームの詳細図である。 それぞれのイヤ・カップに実施例Kのヒンジ動作スピーカ・ドライバを使用する1対の密閉式サーカムオーラル・ヘッドホンに接続されたスマートフォンを備えるオーディオ・システムの3D等角図である。 実施例Kのヒンジ動作スピーカ・ドライバを組み込む、図K2aに示された1対のヘッドホンの右側イヤ・カップを示す図であって、 a)は、カップのパッドの入った側を示す3D等角図であり、 b)は、カップの外向きの裏面を示す3D等角図であり、 c)は、カップの裏面立面図であり、 d)は、断面図(図K3cの断面D-D)であり、 e)は、断面図(図K3dの断面E-E)であり、 f)は、図K3eに示されたデカップリング・マウントの詳細図であり、 g)は、断面図(図K3dの断面F-F)であり、 h)は、分解組立3D等角図である。 図K3cに示されたイヤ・カップを含むが、図K2a中のヘッドホンのヘッドバンドによって人間の耳及び頭部に対して保持されたそれをその場で示す概略/断面図である。 図K1に示された実施例Kのドライバの力伝達構成要素を示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、側面立面図であり、 c)は、裏面立面図であり、 d)は、上面図である。 磁石組立体に対して強磁性流体によって浮遊させられるドーム及びデュアル・コイル振動板組立体を備える直線動作イヤホンの実施例Pを示す図であって、 a)は、イヤ・プラグ側を示す3D等角図であり、 b)は、外側本体側を示す3D等角図であり、 c)は、平面図であり、 d)は、側面立面図であり、 e)は、端面図であり、 f)は、底面図であり、 g)は、断面図(図P1cの断面A-A)であり、 h)は、磁石及び振動板組立体P1gの詳細図であり、 i)は、図P1hに示された図の詳細図であり、 j)は、図P1iに示された図の詳細図であり、 k)は、分解組立3D等角図である。 図P1に示された実施例Pのドライバの振動板組立体を示す図であって、 a)は、平面図であり、 b)は、側面立面図であり、 c)は、3D等角図であり、 d)は、分解組立3D等角図である。 図P1に示された実施例Pのイヤホンの正面図を含み、人間の耳の断面概略図内でそれをその場で示す概略図である。 ボールがロールする接触面で付勢されるボールを有する1対の修正されたボール・ベアリング・レースを用いてヒンジ式に取り付けられた、小さい回転慣性の複合振動板を備えるヒンジ動作スピーカ・トランスデューサの実施例Sを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、正面(振動板先端)立面図であり、 c)は、平面図であり、 d)は、断面図(図S1cの断面A-A)であり、 e)は、断面図(図S1cの断面C-C)であり、 f)は、図S1eに示されたヒンジ式組立体の詳細図であり、 g)は、断面図(図S1cの断面B-B)であり、 h)は、図S1gに示されたヒンジ式組立体の詳細図である。 実施例Sの振動板組立体、図S1に示されたヒンジ動作スピーカ・トランスデューサを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、正面(振動板先端)立面図であり、 c)は、平面図であり、 d)は、側面立面図であり、 e)は、分解組立3D等角図である。 実施例Sのトランスデューサ基部構造組立体、図S1に示されたヒンジ動作スピーカ・トランスデューサを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、正面立面図であり、 c)は、平面図であり、 d)は、側面立面図であり、 e)は、分解組立3D等角図である。 ボールがロールする接触面で付勢されるボールを有する1対の修正されたボール・ベアリング・レースを用いてヒンジ式に取り付けられた、小さい回転慣性の複合振動板を備えるヒンジ動作スピーカ・トランスデューサの実施例Tを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、正面(振動板先端)立面図であり、 c)は、平面図であり、 d)は、断面図(図T1cの断面A-A)であり、 e)は、断面図(図T1cの断面C-C )であり、 f)は、部分断面図(図T1cの断面B-B)であり、 g)は、図T1gに示されたヒンジ式組立体の詳細図であり、 h)は、図T1gに示された付勢ばねの詳細図である。 実施例Tの振動板組立体、図T1に示されたヒンジ動作スピーカ・トランスデューサを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、正面(振動板先端)立面図であり、 c)は、平面図であり、 d)は、側面立面図であり、 e)は、分解組立3D等角図である。 実施例Tのトランスデューサ基部構造組立体、図T1に示されたヒンジ動作スピーカ・トランスデューサを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、正面立面図であり、 c)は、平面図であり、 d)は、側面立面図であり、 e)は、分解組立3D等角図である。 図T1に示された実施例Tのトランスデューサに使用されるヒンジ・システムの1対のボール・ベアリング・レースの1つを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、分解組立3D等角図である。 バッフルにデカップリングされる複合振動板を備える直線動作トランスデューサの実施例Uを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、別の3D等角図であり、 c)は、平面図であり、 d)は、側面立面図であり、 e)は、断面図(図U1cの断面A-A)であり、 f)は、分解組立3D等角図である。 図U1に示された実施例Uに関する実施例Uの直線動作トランスデューサを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、平面図であり、 c)は、側面立面図であり、 d)は、断面図(図U2cの断面A-A)であり、 e)は、図U2dに示された磁石組立体の部分の詳細図であり、 f)は、分解組立3D等角図であり、 g)は、基礎振動板共振モードの結果として得られた変位ベクトルのプロットであるFEMモーダル解析描写(FEM modal analysis depiction)を示す3D等角図であり、 h)は、基礎振動板共振モードの結果として得られた変位ベクトルのプロットであるFEMモーダル解析描写を示す上面図であり、 i)は、基礎振動板共振モードの結果として得られた変位ベクトルのプロットであるFEMモーダル解析描写を示す側面立面図であり、 j)は、図U2iに示されたFEMモーダル解析描写のノード軸領域の詳細図であり、 k)は、基礎振動板共振モードの結果として得られた変位のプロットであるFEMモーダル解析描写を示す3D等角図であり、 l)は、基礎振動板共振モードの結果として得られた変位のプロットであるFEMモーダル解析描写を示す上面図であり、 m)は、基礎振動板共振モードの結果として得られた変位のプロットであるFEMモーダル解析描写を示す側面立面図である。 実施例Uのトランスデューサ及び図U1に示されたデカップリング・マウントのトランスデューサ組立体を示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、3D等角図であり、 c)は、デカップリング・マウントに対するドライバ基部構造の移動を含む共振モードの結果として得られた変位のプロットであるFEMモーダル解析描写を示す3D等角図であり、 d)は、デカップリング・マウントに対するドライバ基部構造の移動を含む共振モードの結果として得られた変位のプロットであるFEMモーダル解析描写を示す代替の3D等角図である。 図U2に示された実施例Uのトランスデューサの振動板組立体を示す図であって、 e)は、3D等角図であり、 f)は、正面立面図であり、 g)は、平面図であり、 h)は、分解組立3D等角図である。 予圧を組み込む従来技術のベアリング組立体を示す図であって、 a)は、側面立面図であり、 b)は、正面立面図であり、 c)は、3D等角図であり、 d)は、断面図(図V1aの断面A-A)であり、 e)は、図K1gに示された磁束ギャップの詳細図である。 図V1に示されたベアリング組立体のベアリング・レースを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、正面立面図であり、 c)は、断面図(図V2bの断面E-E)であり、 d)は、分解組立3D等角図である。 図K1に示された実施例Kのヒンジ動作スピーカ・ドライバをそれぞれの側が組み込む1対の開放式サーカムオーラル・ヘッドホンの実施例Wを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、平面図であり、 c)は、側面立面図である。 実施例Wのヒンジ動作スピーカ・ドライバを組み込む、図W1に示された1対のヘッドホンの右側イヤ・カップを示す図であって、 a)は、カップの外向きの裏面を示す3D等角図であり、 b)は、カップのパッドの入った側を示す3D等角図であり、 c)は、カップの裏面立面図であり、 d)は、断面図(図W2cの断面A-A)であり、 e)は、断面図(図W2dの断面B-B)であり、 f)は、図W2eに示されたデカップリング・マウントの詳細図であり、 g)は、断面図(図W2dの断面D-D)であり、 h)は、分解組立3D等角図である。 図W2dのイヤ・カップに示されたセクションを含むが、図W1a中のヘッドホンのヘッドバンドによって人間の耳及び頭部に対して保持されたそれをその場で示す概略/断面図である。 図K1に示されたヒンジ動作の実施例Kのトランスデューサを組み込むイヤホンの実施例Xを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、平面図であり、 c)は、端面図であり、 d)は、断面図(図X1cの断面A-A)であり、 e)は、分解組立3D等角図である。 図X1dに示された実施例Pのイヤホンの断面図を含み、人間の耳の断面概略図内でそれをその場で示す概略図である。 1対のデカップリングされる直線動作スピーカ・ドライバであって、その磁石組立体及び振動板組立体が図P1の実施例Pにも使用される直線動作スピーカ・ドライバを組み込むスープラオーラル式ヘッドホンの実施例Yを示す図であって、 a)は、3D等角図であり、 b)は、正面図であり、 c)は、側面立面図である。 実施例Pのドライバを組み込む図Y1aに示された1対のヘッドホンの右側イヤ・カップを示す図であって、 a)は、カップのパッドの入った側を示す3D等角図であり、 b)は、カップの外向きの裏面を示す3D等角図であり、 c)は、カップの裏面立面図であり、 d)は、カップの側面立面図であり、 e)は、断面図(図Y2cの断面A-A)であり、 f)は、断面図(図Y2eの断面B-B)であり、 g)は、図Y2eに示されたトランスデューサの詳細図であり、 h)は、図Y2gに示されたトランスデューサ 磁束ギャップの詳細図であり、 i)は、分解組立3D等角図である。 図V2の実施例Yのイヤ・カップのトランスデューサ組立体の分解組立3D等角図である。 図Y2eに示された実施例Yのスープラオーラル式イヤ・カップの断面図を含むと共に、人間の耳の断面概略図に位置するそれをその場で示す概略図である。 図K1に示された実施例Kのトランスデューサに類似すると共に、図K3に示されたデカップリング・システムに類似するやり方でエンクロージャからデカップリングされる、高音域ヒンジ動作トランスデューサ(treble hinge action transducer)と中低音域ヒンジ動作トランスデューサ(mid-bass hinge action transducer)の2つのドライバを組み込む床上に立つコンピュータ・スピーカの実施例Zを示す図であって、 a)は、正面図であり、 b)は、側面立面図であり、 c)は、3D等角図であり、 d)は、図Z1cの詳細図である。
次に、オーディオ・トランスデューサ又は関連した構造、機構、デバイス、組立体、又はシステムの様々な実施例又は構成を詳細に説明する。これらは、図面を参照して説明される。本明細書において、例えば、図A1などの特定の図番号の参照は、この番号を頭に付ける全ての図、例えば、図A1a~図A1fを含むことが意図される。図面に示されたオーディオ・トランスデューサの実施例は、明確にするために 実施例A、B、D、E、G、G9、H3、H4、K、P、S、T、U、W、X、Y、及びZと呼ばれる。
本発明のオーディオ・トランスデューサ、或いは関連した構造、機構、デバイス、組立体、又はシステムの実施例又は構成は、場合によってはスピーカ・ドライバなどの電気音響トランスデューサを参照して説明される。別段の定めがない限り、そうでなければ、オーディオ・トランスデューサ、或いは関連した構造、機構、デバイス、組立体、又はシステムは、マイクロホンなどの音響電気トランスデューサとして又はその中で実施され得る。したがって、本明細書に使用されるとき、別段の定めがない限り、オーディオ・トランスデューサという用語は、スピーカとマイクロホンの実施の両方を含むことが意図される。
本明細書中に記載されたオーディオ・トランスデューサ、或いは関連した構造、機構、デバイス、組立体、又はシステの実施例又は構成は、オーディオ・トランスデューサ・システムに関連した1つ又は複数のタイプの不要な共振に対処するように設計されている。
本明細書中に記載されたオーディオ・トランスデューサの実施例のそれぞれにおいて、オーディオ・トランスデューサは、トランスデューサ基部構造及び/又はハウジング、支持体、若しくはバッフルの部分などの基部に対して移動可能に接続される振動板組立体を備える。基部は、振動板組立体よりも比較的大きい質量を有する。振動板組立体に関連した変換機構は、電気音響トランスデューサの場合には、電気エネルギーに応じて振動板組立体を移動させる。振動板組立体の運動を別な方法で電気エネルギーに変換する代替の変換機構が、実施されてもよいことが理解されよう。本明細書では、変換機構は、励起機構とも呼ばれ得る。
本発明の実施例では、電磁石変換機構が使用される。典型的には、電磁石変換機構は、磁界を発生させるように構成された磁気構造と、磁界内に位置し受信した電気信号に応じて移動するように構成された少なくとも1つの電気コイルとを備える。電磁石変換機構は、磁気構造と電気コイルの間の接続を必要としないので、一般に、機構の一方の部分は、トランスデューサ基部構造に接続され、機構の他方の部分は、振動板組立体に接続される。本明細書中に記載された好ましい構成では、より重い磁気構造が、トランスデューサ基部構造の部分を形成し、比較的より軽い1つ又は複数のコイルが、振動板組立体の部分を形成する。例えば圧電機構、静電機構、又は当業界で知られている任意の他の適切な機構を含む代替の変換機構が、本発明の範囲から逸脱することなく、説明された実施例のそれぞれにおいて、別な方法で組み込まれてもよいことが理解されよう。
振動板組立体は、振動板サスペンション・マウンティング・システムを介して基部に対して移動可能に接続される。2つのタイプのオーディオ・トランスデューサ、すなわち、振動板組立体が基部に対して回転可能に振動する回転動作オーディオ・トランスデューサ、及び振動板組立体が基部に対して往復直線運動/振動する直線動作オーディオ・トランスデューサは、本明細書に説明されている。回転動作オーディオ・トランスデューサの実例は、実施例A、B、D、E、K、S、T、W、及びXのオーディオ・トランスデューサに示されている。回転動作オーディオ・トランスデューサでは、サスペンション・マウンティング・システムは、振動板組立体を基部に回転可能に接続するように構成されたヒンジ・システムを備える。直線動作オーディオ・トランスデューサの実例は、実施例G、G9、P、U、及びYのオーディオ・トランスデューサに示されている。
オーディオ・トランスデューサは、オーディオ・トランスデューサ組立体を形成するようにハウジング又はサラウンドが収容され得、これは、例えば、複数のオーディオ・トランスデューサ組立体を含み得るオーディオ・デバイス、又はイヤホン・デバイス若しくはヘッドホン・デバイスの部分などのオーディオ・デバイスの部分を形成することもできる。いくつかの実施例では、トランスデューサ基部構造は、オーディオ・トランスデューサ組立体のハウジング又はサラウンドの一部を形成し得る。オーディオ・トランスデューサ、又は少なくとも振動板組立体は、マウンティング・システムを介してハウジング又はサラウンドにマウントされる。オーディオ・トランスデューサをハウジング又はサラウンドからデカップリングするように構成されるマウンティング・システムのタイプは、動作中の不要な共振によるオーディオ・トランスデューサからハウジングへ(及び逆もまた同様)の機械的振動の伝達を少なくとも軽減するようになっており、例えば、実施例のいくつかを参照して説明され、以下、デカップリング・マウンティング・システムと呼ばれる。
オーディオ・トランスデューサに関連する様々な構造、機構、デバイス、組立体、又はシステムを説明すると共に、これらの構造、機構、デバイス、組立体、又はシステムを組み込む様々なオーディオ・トランスデューサの実施例も説明するために、以下の説明は、複数のセクションに分割されている。詳細には、この説明は、以下の主要なセクション、
・ オーディオ・トランスデューサの実施例の概要、
・ 剛性振動板構造及び組立体、並びにそれを組み込むオーディオ・トランスデューサ、
・ 振動板サスペンション・システム、及びそれを組み込む回転動作オーディオ・トランスデューサ、
・ デカップリング・マウンティング・システム、及びそれを組み込むオーディオ・トランスデューサ、
・ 本発明のオーディオ・トランスデューサを組み込む個人用オーディオ・デバイス、並びに
・ 好ましいトランスデューサ基部構造設計
を含む。
これらのセクションの下で説明される様々な構造、組立体、機構、デバイス、又はシステムは、本発明のオーディオ・トランスデューサの実施例のいくつかに関連して説明されるが、代替として、これらの構造、組立体、機構、デバイス、又はシステムは、本発明の範囲から逸脱することなく任意の他の適切なオーディオ・トランスデューサ組立体に組み込まれてもよいことが理解されよう。さらに、本発明のオーディオ・トランスデューサの実施例は、説明されるような様々な構造、組立体、機構、デバイス、又はシステムのうち1つ又は複数のいくらかの組み合わせを組み込む。しかし、代替として、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施例の下で説明される様々な構造、組立体、機構、デバイス、又はシステムのうち1つ又は複数の任意の他の組み合わせを組み込むオーディオ・トランスデューサを構成することができることが理解されよう。
以下の説明は、本発明のオーディオ・トランスデューサの実施例に組み込まれ得る、或いはオーディオ・トランスデューサに関連する様々な構造、組立体、機構、デバイス、又はシステムの任意の組み合わせを含むオーディオ・トランスデューサが中に組み込まれ得る、様々な適切なオーディオ・トランスデューサ応用を説明するためのセクションも含む。したがって、そのようなトランスデューサを組み込むヘッドホン又はイヤホンなどの個人用オーディオ・デバイスを含むオーディオ・デバイスの実施例は、やはり図面を参照して説明される。
オーディオ・トランスデューサ、オーディオ・デバイス、或いは様々な構造、組立体、機構、デバイス、又はシステムのいずれかを構成する方法は、簡潔のために、いくつかについて説明されており、全ての実施例についてではない。したがって、説明した実施例、及び/又は以下の説明から当業者に明らかである関連した構造、組立体、機構、デバイス、若しくはシステムのそれぞれに関連した構成方法は、本発明の範囲内に含まれることも意図される。さらに、本発明は、本明細書中に記載されたオーディオ・トランスデューサ、及び関連した構造、組立体、機構、デバイス、又はシステムの原理及び/又は特徴を用いてオーディオ信号を変換する方法も含むことも意図される。
まず、オーディオ・トランスデューサの実施例のいくつかの簡潔な概要が与えられる。
1. オーディオ・トランスデューサの実施例の概要
1.1 実施例Aのオーディオ・トランスデューサ
図A1~図A7及び図A15は、本発明の実施例Aのオーディオ・トランスデューサを示す。オーディオ・トランスデューサは、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部構造A115に回転可能に接続される振動板組立体A101を備える回転動作オーディオ・トランスデューサである。振動板組立体は、実質的に剛性である振動板構造A1300を備える。この振動板構造の特徴は、本明細書のセクション2.2の下で詳細に説明される。振動板構造の可能な変形は、図A8~図A12にも示され、本明細書のセクション2.2の下で詳細に説明される。トランスデューサ基部構造は、本明細書のセクション6の下で説明される好ましい設計に従って設計された実質的に剛性でコンパクトなジオメトリを有する。トランスデューサ基部構造の詳細な説明は、本明細書のセクション2.2にも与えられる。
示される通り、振動板組立体A101は、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部構造A115に回転可能に接続される。本実施例では、接触ヒンジ・システムは、振動板組立体をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続するために使用される。これは、図A2~図A4に詳細に示されている。本実施例に関連する接触ヒンジ・システムの特徴は、本明細書のセクション3.2.2に詳細に説明されている。本実施例の代替構成では、代替の接触ヒンジ・システムが、オーディオ・トランスデューサに組み込まれてもよい。例えば、オーディオ・トランスデューサは、セクション3.2.1に述べられる原理に従って設計されるような接触ヒンジ・システム、実施例Sとの関連でセクション3.2.3aの下で説明されるような接触ヒンジ・システム、実施例Tとの関連でセクション3.2.3bの下で説明されるような接触ヒンジ・システム、実施例Kとの関連でセクション3.2.4の下で説明されるような接触ヒンジ・システム、又は実施例Eとの関連でセクション3.2.5の下で説明されるような接触ヒンジ・システムを備えてもよい。さらに別の代替構成のセットでは、実施例Aの接触ヒンジ・システムは、本明細書のセクション3.3の下で説明されるフレキシブル・ヒンジ・システムのいずれか1つの代わりに用いられてもよい。代替として、例えば、実施例Aのオーディオ・トランスデューサは、実施例Bとの関連でセクション3.3.1の下で説明されるようなフレキシブル・ヒンジ・システム、本明細書のセクション3.3.1の下で説明される代替のフレキシブル・ヒンジ・システム、又は実施例Dとの関連でセクション3.3.3の下で説明されるようなフレキシブル・ヒンジ・システムのいずれか1つを組み込んでもよい。
図A6~図A7に示されるように、実施例Aのオーディオ・トランスデューサは、トランスデューサを収容するように構成されているハウジングA601内に収納されることが好ましい。ハウジングは、用途に応じて特定のオーディオ・デバイスを構成するのに必要な任意のタイプのものであり得る。本明細書のセクション2.3の下で詳細に説明されるように、その場で、ハウジング内に収容された振動板組立体は、ハウジングの内部と実質的に物理的に連結しない外周部を備える。しかしながら、本実施例の代替構成では、振動板組立体は、その場で関連したハウジングと実質的に物理的に連結しない外周部を有し得ない。
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、本発明のデカップリング・マウンティング・システムを介してハウジングA601に対してマウントされる。実施例Aのデカップリング・マウンティング・システムは、本明細書のセクション4.2.1の下で詳細に説明される。本実施例の代替構成では、デカップリング・マウンティング・システムは、例えば、実施例Eとの関連でセクション4.2.2に説明されるデカップリング・マウンティング・システム、実施例Uとの関連でセクション4.2.3に説明されるデカップリング・マウンティング・システム、又は本明細書のセクション4.3に概説された設計原理に従って設計され得る任意の他のデカップリング・マウンティング・システムなどの本明細書に説明される任意の他のデカップリング・マウンティング・システムによって置き換えられてもよい。
実施例Aのオーディオ・トランスデューサの性能は、図14に示され、本明細書のセクション4.2.1に説明されている。
本実施例のオーディオ・トランスデューサは、磁界を発生させる内側ポール・ピース及び外側ポール・ピースを有する永久磁石を備える電磁石励起/変換機構と、磁界と動作可能に接続される1つ又は複数のコイルの形態の1つ又は複数の力伝達又は発生構成要素とを備える。これは、本明細書のセクション2.2の下で詳細に説明される。本実施例の代替構成では、変換機構は、例えば、本明細書のセクション7の下で概説されるような圧電変換機構、静電変換機構、又は磁気ひずみ変換機構などの当業界で知られている任意の他の適切な機構によって置き換えられてもよい。
実施例Aのオーディオ・トランスデューサは、スピーカなどの電気音響トランスデューサとの関連で説明される。オーディオ・トランスデューサのいくつかの可能な応用は、本明細書のセクション8に概説されている。また、オーディオ・トランスデューサは、実施例Aのデバイスのオーディオ・トランスデューサでデバイスのオーディオ・トランスデューサを代用することによって本明細書のセクション5に概説される個人用オーディオ・デバイスのいずれか1つにおいて実施することができる。例えば、実施例Aのオーディオ・トランスデューサは、実施例K、W、X、及びHの個人用オーディオ・デバイスについてそれぞれセクション5.2.2、5.5.3、5.2.4、又は5.2.7の下で説明され、個人用オーディオ・デバイスとして実施される、或いは本明細書中のセクション5.2.8の下で概説されるような任意の他の個人用オーディオ・デバイスの実施、修正、又は変形に関連して組み込まれるサラウンド又はハウジングのいずれか1つの内に収納することができる。別の実施は、実施例Aのオーディオ・トランスデューサがヘッドホン・デバイスに用いられている図H3との関連で示されている。図示されるように、それぞれのヘッドホン・カップは、スピーカの全帯域幅を与えるために、実施例Aに従って構成された複数のオーディオ・トランスデューサを備える。図H4は、単一の実施例Aのオーディオ・トランスデューサが、1セットのイヤホンのイヤホン・プラグのどちらにでも挿入されるさらに別の実施を示す。
実施例Aのオーディオ・トランスデューサは、ある構成では、別な方法で、本明細書のセクション7の下で詳細に説明されるようなマイクロホンなどの音響電気トランスデューサとして実施され得ることが理解されよう。
本発明のオーディオ・トランスデューサの実施例は、実施例Aの下記システム、構造、機構、又は組立体のいずれか1つ又は複数、すなわち、振動板組立体及び構造、ヒンジ・システム、デカップリング・マウンティング・システム、トランスデューサ基部構造、並びに/又は変換機構に対して組み込んで構成することができる。
1.2 実施例Bのオーディオ・トランスデューサ
図B1~図B4は、本発明の実施例Bのオーディオ・トランスデューサを示す。オーディオ・トランスデューサは、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部構造B120に回転可能に接続される振動板組立体B101を備える回転動作オーディオ・トランスデューサである。振動板組立体は、実質的に剛性である振動板構造を備える。この振動板構造の特徴は、本明細書のセクション3.3.1fの下で詳細に説明される。振動板構造は、本明細書のセクション2.2及び2.3の下で説明される任意の他の振動板構造の代わりに用いられてもよい。トランスデューサ基部構造は、本明細書のセクション6の下で説明される好ましい設計に従って設計された実質的に剛性でコンパクトなジオメトリを備える。トランスデューサ基部構造の詳細な説明は、本明細書のセクション3.3.1eにも与えられる。
示される通り、振動板組立体B101は、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部構造B120に回転可能に接続される。本実施例では、フレキシブル・ヒンジ・システムは、振動板組立体をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続するために使用される。これは、図B2及び図B3に詳細に示されている。本実施例に関連するフレキシブル・ヒンジ・システムの特徴は、本明細書のセクション3.3.1a~3.3.1dに詳細に説明されている。本実施例の代替構成では、代替のフレキシブル・ヒンジ・システムが、オーディオ・トランスデューサに組み込まれてもよい。例えば、本明細書のセクション3.3.2の下で説明される代替のフレキシブル・ヒンジ・システム、又は実施例Dとの関連でセクション3.3.3の下で説明されるようなフレキシブル・ヒンジ・システムのいずれか1つが、代わりに組み込まれてもよい。さらに別の代替構成のセットでは、実施例Bのフレキシブル・ヒンジ・システムは、本発明の接触ヒンジ・システムによって置き換えられてもよい。例えば、代替として、実施例Bのオーディオ・トランスデューサは、セクション3.2.1に述べられる原理に従って設計されるような接触ヒンジ・システム、実施例Aとの関連でセクション3.2.2の下で説明されるような接触ヒンジ・システム、実施例Sとの関連でセクション3.2.3aの下で説明されるような接触ヒンジ・システム、実施例Tとの関連でセクション3.2.3bの下で説明されるような接触ヒンジ・システム、実施例Kとの関連でセクション3.2.4の下で説明されるような接触ヒンジ・システム、又は実施例Eとの関連でセクション3.2.5の下で説明されるような接触ヒンジ・システムを備えてもよい。
図B4に示されるように、実施例Bのオーディオ・トランスデューサは、少なくとも振動板組立体を収容するように構成された振動板ハウジングB401を備えることができる。振動板ハウジングは、隣接した振動板組立体を収納するように強固に接続されトランスデューサ基部構造から延びる。トランスデューサ基部構造と組み合わされるハウジングは、トランスデューサ基部組立体を形成する。振動板組立体ハウジングは、本明細書のセクション3.3.1gの下で詳細に説明される。その場で、ハウジング内に収容された振動板組立体は、ハウジングの内部と実質的に物理的に連結しない外周部を備える。空気間隙B405及びB406は、振動板周辺部(diaphragm periphery)をハウジングから隔てる。したがって、本実施例のオーディオ・トランスデューサは、本明細書のセクション2.3に概説された設計原理のいずれか1つ又は複数に従って構成することができる。しかしながら、本実施例の代替構成では、振動板組立体は、その場で関連したハウジングと実質的に物理的に連結しない外周部を有し得ない。
オーディオ・デバイス内で実施されるオーディオ・トランスデューサは、本発明のデカップリング・マウンティング・システムを介してオーディオ・デバイスのハウジング又は他のサラウンドに対してマウントすることができる。例えば、実施例Eとの関連でセクション4.2.2に説明されるデカップリング・マウンティング・システムを使用することができる。代替として、例えば、実施例Aとの関連でセクション4.2.1に説明されるデカップリング・マウンティング・システム、実施例Uとの関連でセクション4.2.3に説明されるデカップリング・マウンティング・システム、又は本明細書のセクション4.3に概説された設計原理に従って設計され得る任意の他のデカップリング・マウンティング・システムを含む本明細書に説明される任意の他のデカップリング・マウンティング・システムが、代わりに利用されてもよい。
本実施例のオーディオ・トランスデューサは、磁界を発生させる内側ポール・ピース及び外側ポール・ピースを有する永久磁石を備える電磁石励起/変換機構と、磁界と動作可能に接続される1つ又は複数のコイルの形態の1つ又は複数の力伝達又は発生構成要素とを備える。これは、本明細書のセクション3.3.1eの下で詳細に説明される。本実施例の代替構成では、変換機構は、例えば、本明細書のセクション7の下で概説されるような圧電変換機構、静電変換機構、又は磁気ひずみ変換機構などの当業界で知られている任意の他の適切な機構によって置き換えられてもよい。
実施例Bのオーディオ・トランスデューサは、スピーカなどの電気音響トランスデューサとの関連で説明される。オーディオ・トランスデューサのいくつかの可能な応用は、本明細書のセクション8に概説されている。また、オーディオ・トランスデューサは、実施例Bのデバイスのオーディオ・トランスデューサでデバイスのオーディオ・トランスデューサを代用することによって本明細書のセクション5に概説される個人用オーディオ・デバイスのいずれか1つにおいて実施することができる。例えば、実施例Bにおけるオーディオ・トランスデューサは、実施例K、W、X、及びHの個人用オーディオ・デバイスについてそれぞれセクション5.2.2、5.5.3、5.2.4、又は5.2.7の下で説明されるサラウンド又はハウジングのいずれか1つの内に収納され、個人用オーディオ・デバイスとして実施することができ、或いは本明細書中のセクション5.2.8の下で概説されるような任意の他の個人用オーディオ・デバイスの実施、修正、又は変形に関連して組み込むことができる。
実施例Bのオーディオ・トランスデューサは、ある構成では、別な方法で、本明細書のセクション7の下で詳細に説明されるようなマイクロホンなどの音響電気トランスデューサとして実施され得ることが理解されよう。
本発明のオーディオ・トランスデューサの実施例は、実施例Bの下記システム、構造、機構、又は組立体のいずれか1つ又は複数、すなわち、振動板組立体及び構造、ヒンジ・システム、デカップリング・マウンティング・システム、トランスデューサ基部構造、並びに/又は変換機構に対して組み込んで構成することができる。
1.3 実施例Dのオーディオ・トランスデューサ
図D1及び図D2は、本発明の実施例Dのオーディオ・トランスデューサを示す。オーディオ・トランスデューサは、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部構造D104に回転可能に接続される振動板組立体を備える回転動作オーディオ・トランスデューサである。振動板組立体は、回転軸を中心にして半径方向に間隔をおいて配置される複数の実質的に剛性である振動板構造を備える。この振動板組立体設計の特徴は、本明細書のセクション3.3.3に説明される。それぞれの振動板構造は、代替構成において本明細書のセクション2.2及び2.3の下で説明される任意の他の振動板構造によって置き換えられてもよい。トランスデューサ基部構造は、本明細書のセクション6の下で説明される好ましい設計に従って設計された実質的に剛性でコンパクトなジオメトリを有する。トランスデューサ基部構造の詳細な説明は、本明細書のセクション3.3.3においても与えられる。
示される通り、振動板組立体は、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部構造に回転可能に接続される。本実施例では、フレキシブル・ヒンジ・システムは、振動板組立体をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続するために使用される。これは、図D2eに詳細に示されている。本実施例に関連するフレキシブル・ヒンジ・システムの特徴は、本明細書のセクション3.3.3に詳細に説明されている。本実施例の代替構成では、代替のフレキシブル・ヒンジ・システムが、オーディオ・トランスデューサに組み込まれてもよい。例えば、本明細書のセクション3.3.2の下で説明される代替のフレキシブル・ヒンジ・システム、又は実施例Bとの関連でセクション3.3.1の下で説明されるようなフレキシブル・ヒンジ・システムのいずれか1つが、代わりに組み込まれてもよい。さらに別の代替構成のセットでは、実施例Dのフレキシブル・ヒンジ・システムは、本発明の接触ヒンジ・システムによって置き換えられてもよい。例えば、代替として、実施例Dのオーディオ・トランスデューサは、セクション3.2.1に述べられる原理に従って設計されるような接触ヒンジ・システム、実施例Aとの関連でセクション3.2.2の下で説明されるような接触ヒンジ・システム、実施例Sとの関連でセクション3.2.3aの下で説明されるような接触ヒンジ・システム、実施例Tとの関連でセクション3.2.3bの下で説明されるような接触ヒンジ・システム、実施例Kとの関連でセクション3.2.4の下で説明されるような接触ヒンジ・システム、又は実施例Eとの関連でセクション3.2.5の下で説明されるような接触ヒンジ・システムを備えてもよい。
図D2に示されるように、実施例Bのオーディオ・トランスデューサは、少なくとも振動板組立体を収容するように構成された振動板ハウジングD203を備えることができる。振動板ハウジングは、隣接した振動板組立体を収納するように強固に接続されトランスデューサ基部構造から延びる。トランスデューサ基部構造と組み合わされるハウジングは、トランスデューサ基部組立体を形成する。振動板組立体ハウジングは、本明細書のセクション3.3.3の下で詳細に説明される。その場で、ハウジング内に収容された振動板組立体は、ハウジングの内部と実質的に物理的に連結しない外周部を備える。空気間隙は、振動板周辺部をハウジングから隔てる。したがって、本実施例のオーディオ・トランスデューサは、本明細書のセクション2.3に概説された設計原理のいずれか1つ又は複数に従って構成することができる。しかしながら、本実施例の代替構成では、振動板組立体は、その場で関連したハウジングと実質的に物理的に連結しない外周部を有し得ない。
オーディオ・デバイス内で実施されるオーディオ・トランスデューサは、本発明のデカップリング・マウンティング・システムを介してオーディオ・デバイスのハウジング又は他のサラウンドに対してマウントすることができる。例えば、実施例Eとの関連でセクション4.2.2に説明されるデカップリング・マウンティング・システムを使用することができる。代替として、例えば、実施例Aとの関連でセクション4.2.1に説明されるデカップリング・マウンティング・システム、実施例Uとの関連でセクション4.2.3に説明されるデカップリング・マウンティング・システム、又は本明細書のセクション4.3に概説された設計原理に従って設計され得る任意の他のデカップリング・マウンティング・システムを含む本明細書に説明される任意の他のデカップリング・マウンティング・システムが、代わりに利用されてもよい。
本実施例のオーディオ・トランスデューサは、磁界を発生させる内側ポール・ピース及び外側ポール・ピースを有する永久磁石を備える電磁石励起/変換機構と、磁界と動作可能に接続される1つ又は複数のコイルの形態の1つ又は複数の力伝達又は発生構成要素とを備える。これは、本明細書のセクション3.3.3の下で詳細に説明される。本実施例の代替構成では、変換機構は、例えば、本明細書のセクション7の下で概説されるような圧電変換機構、静電変換機構、又は磁気ひずみ変換機構などの当業界で知られている任意の他の適切な機構によって置き換えられてもよい。
実施例Dのオーディオ・トランスデューサは、スピーカなどの電気音響トランスデューサとの関連で説明される。オーディオ・トランスデューサのいくつかの可能な応用は、本明細書のセクション8に概説されている。また、オーディオ・トランスデューサは、実施例Bのデバイスのオーディオ・トランスデューサでデバイスのオーディオ・トランスデューサを代用することによって本明細書のセクション5に概説される個人用オーディオ・デバイスのいずれか1つにおいて実施することができる。例えば、実施例Dのオーディオ・トランスデューサは、実施例K、W、X、及びHの個人用オーディオ・デバイスについてそれぞれセクション5.2.2、5.5.3、5.2.4、又は5.2.7の下で説明されるサラウンド又はハウジングのいずれか1つの内に収納され、個人用オーディオ・デバイスとして実施することができ、或いは本明細書中のセクション5.2.8の下で概説されるような任意の他の個人用オーディオ・デバイスの実施、修正、又は変形に関連して組み込むことができる。
実施例Dのオーディオ・トランスデューサは、いくつかの構成では、別な方法で、本明細書のセクション7の下で詳細に説明されるようなマイクロホンなどの音響電気トランスデューサとして実施されてもよいことが理解されよう。
本発明のオーディオ・トランスデューサの実施例は、実施例Dの下記システム、構造、機構、又は組立体のいずれか1つ又は複数、すなわち、振動板組立体及び構造、ヒンジ・システム、デカップリング・マウンティング・システム、トランスデューサ基部構造、並びに/又は変換機構に対して組み込んで構成することができる。
1.4 実施例Eのオーディオ・トランスデューサ
図E1~図E4は、本発明の実施例Eのオーディオ・トランスデューサを示す。オーディオ・トランスデューサは、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部構造E118に回転可能に接続される振動板組立体E101を備える回転動作オーディオ・トランスデューサである。振動板組立体は、実質的に剛性である振動板構造を備える。この振動板構造の特徴は、本明細書のセクション3.2.5の下で詳細に説明される。振動板構造は、本明細書のセクション2.2及び2.3の下で説明される任意の他の振動板構造の代わりに用いられてもよい。トランスデューサ基部構造は、本明細書のセクション6の下で説明される好ましい設計に従って設計された実質的に剛性でコンパクトなジオメトリを有する。トランスデューサ基部構造の詳細な説明は、本明細書のセクション3.3.5においても与えられる。
示される通り、振動板組立体E101は、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部構造E118に回転可能に接続される。本実施例では、接触ヒンジ・システムは、振動板組立体をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続するために使用される。これは、図E1b~図E1j及び図E3に詳細に示されている。本実施例に関連する接触ヒンジ・システムの特徴は、本明細書のセクション3.2.5に詳細に説明されている。本実施例の代替構成では、代替の接触ヒンジ・システムは、オーディオ・トランスデューサに組み込まれてもよい。例えば、オーディオ・トランスデューサは、セクション3.2.1に述べられる原理に従って設計されるような接触ヒンジ・システム、実施例Aとの関連でセクション3.2.2の下で説明されるような接触ヒンジ・システム、実施例Sとの関連でセクション3.2.3aの下で説明されるような接触ヒンジ・システム、実施例Tとの関連でセクション3.2.3bの下で説明されるような接触ヒンジ・システム、又は実施例Kとの関連でセクション3.2.4の下で説明されるような接触ヒンジ・システムを含み得る。さらに別の代替構成のセットでは、実施例Eの接触ヒンジ・システムは、本明細書のセクション3.3の下で説明されるフレキシブル・ヒンジ・システムのいずれか1つの代わりに用いられてもよい。代替として、例えば、実施例Eのオーディオ・トランスデューサは、実施例Bとの関連でセクション3.3.1の下で説明されるようなフレキシブル・ヒンジ・システム、本明細書のセクション3.3.1の下で説明される代替のフレキシブル・ヒンジ・システムのいずれか1つ、又は実施例Dとの関連でセクション3.3.3の下で説明されるようなフレキシブル・ヒンジ・システムを組み込んでもよい。
図E4に示されるように、実施例Eのオーディオ・トランスデューサは、少なくとも振動板組立体を収容するように構成された振動板ハウジングE201を備えることができる。振動板ハウジングは、隣接した振動板組立体を収納するように強固に接続されトランスデューサ基部構造から延びる。トランスデューサ基部構造と組み合わされるハウジングは、トランスデューサ基部組立体を形成する。振動板組立体ハウジングは、本明細書のセクション4.2.2の下で詳細に説明される。その場で、ハウジング内に収容された振動板組立体は、ハウジングの内部と実質的に物理的に連結しない外周部を備える。空気間隙E205及びE206は、振動板周辺部をハウジングから隔てる。したがって、本実施例のオーディオ・トランスデューサは、本明細書のセクション2.3に概説された設計原理のいずれか1つ又は複数に従って構成することができる。しかしながら、本実施例の代替構成では、振動板組立体は、その場で関連したハウジングと実質的に物理的に連結しない外周部を有し得ない。
オーディオ・デバイス内で実施されるオーディオ・トランスデューサは、本発明のデカップリング・マウンティング・システムを介してオーディオ・デバイスのハウジング又は他のサラウンドに対してマウントすることができる。可能なデカップリング・マウンティング・システムは、本明細書のセクション4.2.2の下で詳細に説明される。代替として、例えば、実施例Aとの関連でセクション4.2.1に説明されるデカップリング・マウンティング・システム、実施例Uとの関連でセクション4.2.3に説明されるデカップリング・マウンティング・システム、又は本明細書のセクション4.3に概説された設計原理に従って設計され得る任意の他のデカップリング・マウンティング・システムを含む本明細書に説明される任意の他のデカップリング・マウンティング・システムが、代わりに利用されてもよい。
本実施例のオーディオ・トランスデューサは、磁界を発生させる内側ポール・ピース及び外側ポール・ピースを有する永久磁石を備える電磁石励起/変換機構と、磁界と動作可能に接続される1つ又は複数のコイルの形態の1つ又は複数の力伝達又は発生構成要素とを備える。これは、本明細書のセクション3.2.5の下で詳細に説明される。本実施例の代替構成では、変換機構は、例えば、本明細書のセクション7の下で概説されるような圧電変換機構、静電変換機構、又は磁気ひずみ変換機構などの当業界で知られている任意の他の適切な機構によって置き換えられてもよい。
実施例Eのオーディオ・トランスデューサは、スピーカなどの電気音響トランスデューサとの関連で説明される。オーディオ・トランスデューサのいくつかの可能な応用は、本明細書のセクション8に概説されている。また、オーディオ・トランスデューサは、実施例Eのデバイスのオーディオ・トランスデューサでデバイスのオーディオ・トランスデューサを代用することによって本明細書のセクション5に概説される個人用オーディオ・デバイスのいずれか1つにおいて実施することができる。例えば、実施例Eのオーディオ・トランスデューサは、実施例K、W、X、及びHの個人用オーディオ・デバイスについてそれぞれセクション5.2.2、5.5.3、5.2.4、又は5.2.7の下で説明されるサラウンド又はハウジングのいずれか1つの内に収納され、個人用オーディオ・デバイスとして実施することができ、或いは本明細書中のセクション5.2.8の下で概説されるような任意の他の個人用オーディオ・デバイスの実施、修正、又は変形に関連して組み込むことができる。
実施例Eのオーディオ・トランスデューサは、ある構成では、別な方法で、本明細書のセクション7の下で詳細に説明されるようなマイクロホンなどの音響電気トランスデューサとして実施され得ることが理解されよう。
本発明のオーディオ・トランスデューサの実施例は、実施例Eの下記システム、構造、機構、又は組立体のいずれか1つ又は複数、すなわち、振動板組立体及び構造、ヒンジ・システム、デカップリング・マウンティング・システム、トランスデューサ基部構造、並びに/又は変換機構に対して組み込んで構成することができる。
1.5 実施例Gのオーディオ・トランスデューサ
図G1及び図G2は、本発明の実施例Gのオーディオ・トランスデューサを示す。オーディオ・トランスデューサは、振動板サスペンション・システムG102、G105を介してトランスデューサ基部構造(A104、G106、及びG107)に移動可能に連結される振動板組立体G101を備える直線動作オーディオ・トランスデューサである。振動板組立体は、実質的に剛性である振動板構造を備える。この振動板構造の特徴は、本明細書のセクション2.2の下で詳細に説明される。振動板構造は、本明細書のセクション2.2及び2.3の下で説明される任意の他の振動板構造の代わりに用いられてもよい。本実施例の振動板構造に関するいくつかの変形例は、図G3~図G8を参照して本明細書のセクション2.2にやはり説明される。トランスデューサ基部構造は、本明細書のセクション6の下で説明される好ましい設計に従って設計された実質的に剛性でコンパクトなジオメトリを有する。トランスデューサ基部構造の詳細な説明は、本明細書のセクション2.2にも与えられる。
示される通り、振動板組立体G101は、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部構造に直線的に連結される。本実施例では、従来のフレキシブル・サラウンドG102及びスパイダG105のサスペンションが、図G1cに示されると共に、セクション2.2に詳細に説明されているように使用される。本実施例の代替構成では、強磁性振動板サスペンションが、例えば、本明細書のセクション5.2.1及び5.2.5における実施例P及びYのオーディオ・トランスデューサとの関連で説明されるように使用され得る。
図G1に示されるように、オーディオ・トランスデューサは、少なくとも振動板組立体を収容するように構成された振動板ハウジング又はサラウンドG103を備えることができる。その場で、ハウジング内に収容された振動板組立体は、フレキシブル・サラウンドG102及びスパイダG105を介してハウジングの内部と実質的に物理的に連結している外周部を備える。代替構成では、図G9におけるサブ構成G9に示されるように、オーディオ・トランスデューサは、サラウンドと実質的に物理的に連結しない振動板の外周部が構成されてもよい。いくつかの構成では、フェロ流体支持体(ferrofluid support)は、サラウンド及びスパイダに取って代わってもよく、又はサラウンド及びスパイダ連結は、セクション2.3における実質的にフリーのセットの基準を満たすようにかなり大きく減じられてもよい。
オーディオ・デバイス内で実施されるオーディオ・トランスデューサは、本発明のデカップリング・マウンティング・システムを介してオーディオ・デバイスのハウジング又は他のサラウンドに対してマウントすることができる。可能なデカップリング・マウンティング・システムは、例えば、実施例Uとの関連でセクション4.2.3に説明されるデカップリング・マウンティング・システム、又は本明細書のセクション4.3に概説された設計原理に従って設計され得る任意の他のデカップリング・マウンティング・システムを含む。
本実施例のオーディオ・トランスデューサは、磁界を発生させる内側ポール・ピース及び外側ポール・ピースG106、G107を有する永久磁石A104と、磁界と作動可能に接続されている1つ又は複数のコイルG112の形態の1つ又は複数の力伝達又は発生構成要素とを備える電磁石励起/変換機構を含む。これは、本明細書のセクション2.2の下で詳細に説明される。本実施例の代替構成では、変換機構は、例えば、本明細書のセクション7の下で概説されるような圧電変換機構、静電変換機構、又は磁気ひずみ変換機構などの当業界で知られている任意の他の適切な機構によって置き換えられてもよい。
実施例Gのオーディオ・トランスデューサは、スピーカなどの電気音響トランスデューサとの関連で説明される。オーディオ・トランスデューサのいくつかの可能な応用は、本明細書のセクション8に概説されている。また、オーディオ・トランスデューサは、実施例Gのデバイスのオーディオ・トランスデューサでデバイスのオーディオ・トランスデューサを代用することによって本明細書のセクション5に概説される個人用オーディオ・デバイスのいずれか1つにおいて実施することができる。例えば、実施例Gにおけるオーディオ・トランスデューサは、それぞれ実施例P及びYの個人用オーディオ・デバイスのためのセクション5.2.1及び5.2.5の下で説明されるサラウンド又はハウジングのいずれか1つの内に収納され、個人用オーディオ・デバイスとして実施することができ、又は本明細書中のセクション5.2.8の下で概説されるような任意の他の個人用オーディオ・デバイスの実施、修正、又は変形と組み合わされて関連付けることができる。
実施例Gのオーディオ・トランスデューサは、ある構成では、別な方法で、本明細書のセクション7の下で詳細に説明されるようなマイクロホンなどの音響電気トランスデューサとして実施され得ることが理解されよう。
本発明のオーディオ・トランスデューサの実施例は、実施例Gの下記システム、構造、機構、又は組立体のいずれか1つ又は複数、すなわち、振動板組立体及び構造、トランスデューサ基部構造、及び/又は変換機構に対して組み込んで構成することができる。
1.6 実施例Kのオーディオ・トランスデューサ及び個人用オーディオ・デバイス
図K1~図K5は、本発明の実施例Kのオーディオ・トランスデューサを有する実施例Kのオーディオ・デバイスを示す。実施例Kのオーディオ・トランスデューサは、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部構造K118に回転可能に接続される振動板組立体K101を備える回転動作オーディオ・トランスデューサである。振動板組立体は、実質的に剛性である振動板構造を備える。この振動板構造の特徴は、本明細書のセクション5.2.2の下で詳細に説明される。振動板構造は、本明細書のセクション2.2及び2.3の下で説明される任意の他の振動板構造の代わりに用いられてもよい。トランスデューサ基部構造は、本明細書のセクション6の下で説明される好ましい設計に従って設計された実質的に剛性でコンパクトなジオメトリを有する。トランスデューサ基部構造の詳細な説明は、本明細書のセクション5.2.2においても与えられる。
示される通り、振動板組立体K101は、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部構造K118に回転可能に接続される。本実施例では、接触ヒンジ・システムは、振動板組立体をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続するために使用される。これは、図K1h~図K1mに詳細に示されている。本実施例に関連する接触ヒンジ・システムの特徴は、本明細書のセクション3.2.4に詳細に説明されている。本実施例の代替構成では、代替の接触ヒンジ・システムは、オーディオ・トランスデューサに組み込まれてもよい。例えば、オーディオ・トランスデューサは、セクション3.2.1に述べられる原理に従って設計されるような接触ヒンジ・システム、実施例Aとの関連でセクション3.2.2の下で説明されるような接触ヒンジ・システム、実施例Sとの関連でセクション3.2.3aの下で説明されるような接触ヒンジ・システム、実施例Tとの関連でセクション3.2.3bの下で説明されるような接触ヒンジ・システム、又は実施例Eとの関連でセクション3.2.5の下で説明されるような接触ヒンジ・システムを備えることができる。さらに別の代替構成のセットでは、実施例Kの接触ヒンジ・システムは、本明細書のセクション3.3の下で説明されるフレキシブル・ヒンジ・システムのいずれか1つの代わりに用いられてもよい。代替として、例えば、実施例Kのオーディオ・トランスデューサは、実施例Bとの関連でセクション3.3.1の下で説明されるようなフレキシブル・ヒンジ・システム、本明細書のセクション3.3.1の下で説明される代替のフレキシブル・ヒンジ・システムのいずれか1つ、又は実施例Dとの関連でセクション3.3.3の下で説明されるようなフレキシブル・ヒンジ・システムを組み込んでもよい。
図K3及び図K4に示されるように、好ましくは、実施例Kのオーディオ・トランスデューサは、トランスデューサを収容するように構成されているデバイスのサラウンドK301内に収納される。ハウジングは、用途に応じて特定のオーディオ・デバイスを構成するのに必要な任意のタイプのものであり得る。本実施例の好ましい実施では、オーディオ・トランスデューサは、個人用オーディオ・デバイス内に、特にヘッドホン・デバイスのヘッドホン・カップを用いて収納される。ヘッドホン・カップは、共振を減衰させる及び/又はベース・ブースト(base boost)を適度にするのを助けるために、動作中に第1の空洞から別の空気(volume of air)まで制限的なガス流路(restrictive gases flow path)を与えるように構成された流体通路の任意の形態を備えることもできる。この実施は、本明細書のセクション5.2.2にさらに詳細に説明される。また、本明細書のセクション5.2.2の下で詳細にさらに説明されるように、その場で、ハウジング内に収容された振動板組立体は、ハウジングの内部と実質的に物理的に連結しない外周部を備える。しかしながら、本実施例の代替構成では、振動板組立体は、その場で関連したハウジングと実質的に物理的に連結しない外周部を有し得ない。
好ましくは、オーディオ・トランスデューサは、本発明のデカップリング・マウンティング・システムを介してハウジングに対してマウントされる。実施例Kのデカップリング・マウンティング・システムは、本明細書のセクション5.2.2の下で詳細に説明され、セクション4.2.1の下で実施例Aとの関連で説明されるものに類似している。本実施例の代替構成では、デカップリング・マウンティング・システムは、例えば、実施例Eとの関連でセクション4.2.2に説明されるデカップリング・マウンティング・システム、実施例Uとの関連でセクション4.2.3に説明されるデカップリング・マウンティング・システム、又は本明細書のセクション4.3に概説された設計原理に従って設計され得る任意の他のデカップリング・マウンティング・システムなどの本明細書に説明される任意の他のデカップリング・マウンティング・システムによって置き換えられてもよい。
本実施例のオーディオ・トランスデューサは、磁界を発生させる内側ポール・ピース及び外側ポール・ピースを有する永久磁石を備える電磁石励起/変換機構と、磁界と動作可能に接続される1つ又は複数のコイルの形態の1つ又は複数の力伝達又は発生構成要素とを備える。これは、本明細書のセクション5.2.2の下で詳細に説明される。本実施例の代替構成では、変換機構は、例えば、本明細書のセクション7の下で概説されるような圧電変換機構、静電変換機構、又は磁気ひずみ変換機構などの当業界で知られている任意の他の適切な機構によって置き換えられてもよい。
実施例Kのオーディオ・トランスデューサは、スピーカなどの電気音響トランスデューサとの関連で説明される。オーディオ・トランスデューサのいくつかの可能な応用は、本明細書のセクション8に概説されている。また、オーディオ・トランスデューサは、実施例Kのデバイスのオーディオ・トランスデューサでデバイスのオーディオ・トランスデューサを代用することによって本明細書のセクション5に概説される個人用オーディオ・デバイスのいずれか1つにおいて実施することができる。例えば、実施例Kにおけるオーディオ・トランスデューサは、実施例W及びXの個人用オーディオ・デバイスについてそれぞれセクション5.5.3及び5.2.4の下で説明されるサラウンド又はハウジングのいずれか1つの内に収納することができ、或いはそれは、本明細書中のセクション5.2.8の下で概説されるような任意の他の個人用オーディオ・デバイスの実施、修正、又は変形に関連して組み込まれてもよい。
実施例Kのオーディオ・トランスデューサは、ある構成では、別な方法で、本明細書のセクション7の下で詳細に説明されるようなマイクロホンなどの音響電気トランスデューサとして実施され得ることが理解されよう。
本発明のオーディオ・トランスデューサの実施例は、実施例Kの下記システム、構造、機構、又は組立体のいずれか1つ又は複数、すなわち、振動板組立体及び構造、ヒンジ・システム、デカップリング・マウンティング・システム、トランスデューサ基部構造、変換機構、並びに/或いは空気漏れ流体通路及び/又はインタフェースの密閉性を備えるハウジングに対して組み込んで構成することができる。
1.7 実施例Sのオーディオ・トランスデューサ
図S1~図S3は、本発明の実施例Sのオーディオ・トランスデューサを示す。オーディオ・トランスデューサは、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部構造S101に回転可能に接続される振動板組立体S102を備える回転動作オーディオ・トランスデューサである。振動板組立体は、実質的に剛性である振動板構造を備える。この振動板構造の特徴は、本明細書のセクション3.2.3bの下で詳細に説明される。トランスデューサ基部構造は、本明細書のセクション6の下で説明される好ましい設計に従って設計された実質的に剛性でコンパクトなジオメトリを有する。
示される通り、振動板組立体S102は、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部構造S101に回転可能に接続される。本実施例では、接触ヒンジ・システムは、振動板組立体をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続するために使用され、セクション3.2.1に述べられる原理に従って構成される。これは、図S1及び図S2に詳細に示されている。本実施例に関連する接触ヒンジ・システムの特徴は、本明細書のセクション3.2.3bに詳細に説明されている。本実施例は、代替の接触ヒンジ・システムを示しており、これは、例えば実施例A、B、D、E、K、T、W、及びXを含む本発明の任意の回転動作オーディオ・トランスデューサの実施例に組み込まれてもよい。
1.8 実施例Tのオーディオ・トランスデューサ
図T1~図T4は、本発明の実施例Tのオーディオ・トランスデューサを示す。オーディオ・トランスデューサは、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部構造T101に回転可能に接続される振動板組立体T102を備える回転動作オーディオ・トランスデューサである。振動板組立体は、実質的に剛性である振動板構造を備える。この振動板構造の特徴は、本明細書のセクション3.2.3cの下で詳細に説明される。トランスデューサ基部構造は、本明細書のセクション6の下で説明される好ましい設計に従って設計された実質的に剛性でコンパクトなジオメトリを有する。
示される通り、振動板組立体T102は、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部構造T101に回転可能に接続される。本実施例では、接触ヒンジ・システムは、振動板組立体をトランスデューサ基部構造に回転可能に接続するために使用され、セクション3.2.1に述べられた原理に従って構成される。これは、図T1、図T2、及び図T4に詳細に示されている。本実施例に関連する接触ヒンジ・システムの特徴は、本明細書のセクション3.2.3cに詳細に説明されている。本実施例は、代替の接触ヒンジ・システムを示しており、これは、例えば実施例A、B、D、E、K、S、W、及びXを含む本発明の任意の回転動作オーディオ・トランスデューサの実施例に組み込まれてもよい。
1.9 実施例Uのオーディオ・トランスデューサ
図U1~図U4は、本発明の実施例Uのオーディオ・トランスデューサを示す。実施例Uのオーディオ・トランスデューサは、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部構造U202に直線的に連結される振動板組立体U201をを備える直線動作オーディオ・トランスデューサである。振動板組立体は、実質的に剛性である振動板構造を備える。この振動板構造の特徴は、本明細書のセクション4.2.3の下で詳細に説明される。振動板構造は、本明細書のセクション2.2及び2.3の下で説明される任意の他の振動板構造、例えば実施例Gのオーディオ・トランスデューサとの関連で説明される振動板構造のいずれかの代わりに用いられてもよい。代替として、それは、本明細書のセクション5.2.1及び5.2.5の下で実施例P及びYについて説明されるような振動板組立体であってもよい。トランスデューサ基部構造U202は、本明細書のセクション6の下で説明される好ましい設計に従って設計された実質的に剛性でコンパクトなジオメトリを有する。トランスデューサ基部構造の詳細な説明は、本明細書のセクション4.2.3においても与えられる。
示される通り、振動板組立体U201は、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部に直線的に連結される。本実施例では、強磁性流体サスペンション・システムは、セクション4.2.3に説明されるように使用される。これは、セクション5.2.1及び5.2.5にそれぞれ説明される実施例P及びYの強磁性流体サスペンションと類似又は同一であり得る。本実施例の代替構成では、実施例Gとの関連でセクション2.2に説明されるサスペンション・システムのいずれか1つが、代わりに利用されてもよい。
また、本明細書のセクション4.2.3の下で詳細にさらに説明されるように、その場で、サラウンドU102内に収容される振動板組立体は、ハウジングの内部と実質的に物理的に連結しない外周部を備える。しかしながら、本実施例の代替構成では、振動板組立体は、その場で関連したハウジングと実質的に物理的に連結しない外周部を有し得ない。
図U1及び図U2に示されるように、実施例Uのオーディオ・トランスデューサは、トランスデューサを収容するように構成されているデバイスのサラウンドU102内に収容されることが好ましい。サラウンドは、用途に応じて特定のオーディオ・デバイスを構成するのに必要な任意のタイプのものであり得る。
デカップリング・マウンティング・システムU103は、オーディオ・トランスデューサをサラウンドにマウントするように与えられる。実施例Uのデカップリング・マウンティング・システムは、セクション4.2.3の下で詳細に説明される。本実施例の代替構成では、デカップリング・マウンティング・システムは、例えば、セクション5.2.5の下で実施例Yについて説明されるデカップリング・マウンティング・システム、又は本明細書のセクション4.3に概説された設計原理に従って設計され得る任意の他のデカップリング・マウンティング・システムなどの本明細書に説明される任意の他のデカップリング・マウンティング・システムによって置き換えられてもよい。
このオーディオ・トランスデューサの実施例の性能は、図U3c及び図U3dに示され、セクション4.2.3に説明されている。
本実施例のオーディオ・トランスデューサは、磁界を発生させる内側ポール・ピース及び外側ポール・ピースを有する永久磁石を備える電磁石励起/変換機構と、磁界と動作可能に接続される1つ又は複数のコイルの形態の1つ又は複数の力伝達又は発生構成要素とを備える。これは、本明細書のセクション4.2.3の下で詳細に説明される。本実施例の代替構成では、変換機構は、例えば、本明細書のセクション7の下で概説されるような圧電変換機構、静電変換機構、又は磁気ひずみ変換機構などの当業界で知られている任意の他の適切な機構によって置き換えられてもよい。
実施例Uのオーディオ・トランスデューサは、スピーカなどの電気音響トランスデューサとの関連で説明される。オーディオ・トランスデューサのいくつかの可能な応用は、本明細書のセクション8に概説されている。また、オーディオ・トランスデューサは、実施例Uのデバイスのオーディオ・トランスデューサでデバイスのオーディオ・トランスデューサを代用することによって本明細書のセクション5に概説される個人用オーディオ・デバイスのいずれか1つにおいて実施することができる。例えば、実施例Uにおけるオーディオ・トランスデューサは、実施例P、K、W、X、及びYの個人用オーディオ・デバイスについてそれぞれセクション5.5.1~5.2.5の下で説明されるサラウンド又はハウジングのいずれか1つの内に収納することができ、或いはそれは、本明細書中のセクション5.2.8の下で概説されるような任意の他の個人用オーディオ・デバイスの実施、修正、又は変形に関連して組み込まれてもよい。
実施例Uのオーディオ・トランスデューサは、ある構成では、別な方法で、本明細書のセクション7の下で詳細に説明されるようなマイクロホンなどの音響電気トランスデューサとして実施され得ることが理解されよう。
本発明のオーディオ・トランスデューサの実施例は、実施例Uの下記システム、構造、機構、又は組立体のいずれか1つ又は複数、すなわち、振動板サスペンション・システム、トランスデューサ基部構造、変換機構、及び/又はデカップリング・マウンティング・システムに対して組み込んで構成することができる。
1.10 実施例Pのオーディオ・トランスデューサ及び個人用オーディオ・デバイス
図P1~図P3は、本発明の実施例Pのオーディオ・トランスデューサを有する実施例Pのオーディオ・デバイスを示す。実施例Pのオーディオ・トランスデューサは、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部P102に直線的に連結される振動板組立体P110を備える直線動作オーディオ・トランスデューサである。振動板組立体は、実質的に剛性である振動板構造を備える。この振動板構造の特徴は、本明細書のセクション5.2.1の下で詳細に説明される。振動板構造は、本明細書のセクション2.2及び2.3の下で説明される任意の他の振動板構造、例えば実施例Gのオーディオ・トランスデューサとの関連で説明される振動板構造のいずれかの代わりに用いられてもよい。トランスデューサ基部は、本明細書のセクション6の下で説明される好ましい設計に従って設計された実質的に剛性でコンパクトなジオメトリを有する。本実施例では、基部は、ハウジングの一部を形成する。トランスデューサ基部の詳細な説明は、本明細書のセクション5.2.1においても与えられる。
示される通り、振動板組立体P110は、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部に直線的に連結される。本実施例では、強磁性流体サスペンション・システムは、セクション5.2.1に説明されるように使用される。本実施例の代替構成では、実施例Gとの関連でセクション2.2に説明されるサスペンション・システムのいずれか1つが、代わりに利用されてもよい。
また、本明細書のセクション5.2.1の下で詳細にさらに説明されるように、その場で、ハウジング内に収容された振動板組立体は、ハウジングの内部と実質的に物理的に連結しない外周部を備える。しかしながら、本実施例の代替構成では、振動板組立体は、その場で関連したハウジングと実質的に物理的に連結しない外周部を有し得ない。
図P1g及び図P1jに示されるように、実施例Pのオーディオ・トランスデューサは、トランスデューサを収容するように構成されているデバイスのサラウンドP102/P103内に収納されることが好ましい。ハウジングは、用途に応じて特定のオーディオ・デバイスを構成するのに必要な任意のタイプのものであり得る。本実施例の好ましい実施では、オーディオ・トランスデューサは、個人用オーディオ・デバイス内に、特にイヤホン・デバイスのイヤホン・ハウジングを用いて収納される。イヤホン・ハウジングは、共振を減衰させる及び/又はベース・ブーストを適度にするのを助けるために、動作中に第1の空洞から別の空気まで制限的なガス流路を与えるように構成された流体通路の任意の形態を備えることもできる。この実施は、本明細書のセクション5.2.1にさらに詳細に説明される。
本実施例のオーディオ・トランスデューサは、磁界を発生させる内側ポール・ピース及び外側ポール・ピースを有する永久磁石を備える電磁石励起/変換機構と、磁界と動作可能に接続される1つ又は複数のコイルの形態の1つ又は複数の力伝達又は発生構成要素とを備える。これは、本明細書のセクション5.2.1の下で詳細に説明される。本実施例の代替構成では、変換機構は、例えば、本明細書のセクション7の下で概説されるような圧電変換機構、静電変換機構、又は磁気ひずみ変換機構などの当業界で知られている任意の他の適切な機構によって置き換えられてもよい。
実施例Pのオーディオ・トランスデューサは、スピーカなどの電気音響トランスデューサとの関連で説明される。オーディオ・トランスデューサのいくつかの可能な応用は、本明細書のセクション8に概説されている。また、オーディオ・トランスデューサは、実施例Pのデバイスのオーディオ・トランスデューサでデバイスのオーディオ・トランスデューサを代用することによって本明細書のセクション5に概説される個人用オーディオ・デバイスのいずれか1つにおいて実施することができる。例えば、実施例Pにおけるオーディオ・トランスデューサは、実施例K、W,X、及びYの個人用オーディオ・デバイスについてそれぞれセクション5.5.2~5.2.5の下で説明されるサラウンド又はハウジングのいずれか1つの内に収納することができ、或いはそれは、本明細書中のセクション5.2.8の下で概説されるような任意の他の個人用オーディオ・デバイスの実施、修正、又は変形に関連して組み込まれてもよい。
実施例Pのオーディオ・トランスデューサは、ある構成では、別な方法で、本明細書のセクション7の下で詳細に説明されるようなマイクロホンなどの音響電気トランスデューサとして実施され得ることが理解されよう。
本発明のオーディオ・トランスデューサの実施例は、実施例Pの下記システム、構造、機構、又は組立体のいずれか1つ又は複数、すなわち、振動板組立体及び構造、振動板サスペンション・システム、トランスデューサ基部、変換機構、並びに/或いは空気漏れ流体通路及び/又はインタフェースの密閉性を備えるハウジングに対して組み込んで構成することができる。
1.11 実施例Wのオーディオ・トランスデューサ及び個人用オーディオ・デバイス
図W1~図W3は、実施例Kのオーディオ・トランスデューサを組み込む本発明の実施例Wのオーディオ・デバイスを示す。実施例Wは、実施例Kのオーディオ・トランスデューサを収容するために異なるハウジングが使用される点で実施例Kのオーディオ・デバイスとは異なる。したがって、ハウジングの設計から離れたセクション1.6における実施例Kのオーディオ・トランスデューサとの関連での概要の説明は、このオーディオ・デバイスの実施例にも当てはまる。空気流体通路及びインタフェースの密閉性を含む実施例Wのオーディオのハウジング設計の詳細は、本明細書のセクション5.2.3に詳細に説明されている。
本発明のオーディオ・トランスデューサの実施例は、実施例Wの下記システム、構造、機構、又は組立体のいずれか1つ又は複数、すなわち、振動板組立体及び構造、ヒンジ・システム、デカップリング・マウンティング・システム、トランスデューサ基部構造、変換機構、並びに/或いは空気漏れ流体通路及び/又はインタフェースの密閉性を備えるハウジングに対して組み込んで構成することができる。
1.12 実施例Xのオーディオ・トランスデューサ及び個人用オーディオ・デバイス
図X1及び図X2は、実施例Kのオーディオ・トランスデューサを組み込む本発明の実施例Xのオーディオ・デバイスを示す。実施例Xは、実施例Kのオーディオ・トランスデューサを収容するために異なるハウジングが使用される点で実施例Kのオーディオ・デバイスとは異なる。本実施例では、実施例Kのオーディオ・トランスデューサは、イヤホン・デバイスにおいて実施される。したがって、ハウジングの設計から離れたセクション1.6における実施例Kのオーディオ・トランスデューサとの関連での概要の説明は、このオーディオ・デバイスの実施例にも当てはまる。空気流体通路及びインタフェースの密閉性を含む実施例Xのオーディオのハウジング設計の詳細は、本明細書のセクション5.2.4に詳細に説明されている。
本発明のオーディオ・トランスデューサの実施例は、実施例Xの下記システム、構造、機構、又は組立体のいずれか1つ又は複数、すなわち、振動板組立体及び構造、ヒンジ・システム、デカップリング・マウンティング・システム、トランスデューサ基部構造、変換機構、並びに/或いは空気漏れ流体通路及び/又はインタフェースの密閉性を備えるハウジングに対して組み込んで構成することができる。
1.12 実施例Yのオーディオ・トランスデューサ
図Y1~図Y4は、本発明の実施例Yのオーディオ・トランスデューサを有する実施例Yのオーディオ・デバイスを示す。実施例Yのオーディオ・トランスデューサは、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部Y224に直線的に連結される振動板組立体Y117を備える実施例Pのものに類似する直線動作オーディオ・トランスデューサである。振動板組立体は、実質的に剛性である振動板構造を備える。この振動板構造の特徴は、本明細書のセクション5.2.5の下で詳細に説明される。振動板構造は、本明細書のセクション2.2及び2.3の下で説明される任意の他の振動板構造、例えば実施例Gのオーディオ・トランスデューサとの関連で説明される振動板構造のいずれかの代わりに用いられてもよい。トランスデューサ基部は、本明細書のセクション6の下で説明される好ましい設計に従って設計された実質的に剛性でコンパクトなジオメトリを有する。本実施例では、基部は、ハウジングの一部を形成する。トランスデューサ基部の詳細な説明は、本明細書のセクション5.2.5においても与えられる。
示される通り、振動板組立体Y117は、振動板サスペンション・システムを介してトランスデューサ基部に直線的に連結される。本実施例では、強磁性流体サスペンション・システムは、セクション5.2.5に説明されるように使用される。本実施例の代替構成では、実施例Gとの関連でセクション2.2に説明されるサスペンション・システムのいずれか1つが、代わりに利用されてもよい。
また、本明細書のセクション5.2.5の下で詳細にさらに説明されるように、その場で、ハウジング内に収容された振動板組立体は、ハウジングの内部と実質的に物理的に連結しない外周部を備える。しかしながら、本実施例の代替構成では、振動板組立体は、その場で関連したハウジングと実質的に物理的に連結しない外周部を有し得ない。
図Y2及び図Y4に示されるように、実施例Yのオーディオ・トランスデューサは、トランスデューサを収容するように構成されているデバイスのサラウンド内に収納されることが好ましい。ハウジングは、用途に応じて特定のオーディオ・デバイスを構成するのに必要な任意のタイプのものであり得る。本実施例の好ましい実施では、オーディオ・トランスデューサは、個人用オーディオ・デバイス内に、特にヘッドホン・デバイスのヘッドホン・カップを用いて収納される。ヘッドホン・カップは、共振を減衰させる及び/又はベース・ブーストを適度にするのを助けるために、動作中に第1の空洞から別の空気まで制限的なガス流路を与えるように構成された流体通路の任意の形態を備えることもできる。この実施は、本明細書のセクション5.2.5にさらに詳細に説明される。
デカップリング・マウンティング・システムY204は、オーディオ・トランスデューサをハウジングにマウントするように与えられる。実施例Yのデカップリング・マウンティング・システムは、本明細書のセクション5.2.5の下で詳細に説明され、セクション4.2.3の下で実施例Uとの関連で説明されるものに類似する。本実施例の代替構成では、デカップリング・マウンティング・システムは、例えば、実施例Uとの関連でセクション4.2.3に説明されるデカップリング・マウンティング・システム、又は本明細書のセクション4.3に概説された設計原理に従って設計され得る任意の他のデカップリング・マウンティング・システムなどの本明細書に説明される任意の他のデカップリング・マウンティング・システムによって置き換えられてもよい。
本実施例のオーディオ・トランスデューサは、磁界を発生させる内側ポール・ピース及び外側ポール・ピースを有する永久磁石を備える電磁石励起/変換機構と、磁界と動作可能に接続される1つ又は複数のコイルの形態の1つ又は複数の力伝達又は発生構成要素とを備える。これは、本明細書のセクション5.2.5の下で詳細に説明される。本実施例の代替構成では、変換機構は、例えば、本明細書のセクション7の下で概説されるような圧電変換機構、静電変換機構、又は磁気ひずみ変換機構などの当業界で知られている任意の他の適切な機構によって置き換えられてもよい。
実施例Yのオーディオ・トランスデューサは、スピーカなどの電気音響トランスデューサとの関連で説明される。オーディオ・トランスデューサのいくつかの可能な応用は、本明細書のセクション8に概説されている。また、オーディオ・トランスデューサは、実施例Yのデバイスのオーディオ・トランスデューサでデバイスのオーディオ・トランスデューサを代用することによって本明細書のセクション5に概説される個人用オーディオ・デバイスのいずれか1つにおいて実施することができる。例えば、実施例Yにおけるオーディオ・トランスデューサは、実施例P、K,W、及びXの個人用オーディオ・デバイスについてそれぞれセクション5.5.1~5.2.4の下で説明されるサラウンド又はハウジングのいずれか1つの内に収納することができ、或いはそれは、本明細書中のセクション5.2.8の下で概説されるような任意の他の個人用オーディオ・デバイスの実施、修正、又は変形に関連して組み込まれてもよい。
実施例Yのオーディオ・トランスデューサは、ある構成では、別な方法で、本明細書のセクション7の下で詳細に説明されるようなマイクロホンなどの音響電気トランスデューサとして実施され得ることが理解されよう。
本発明のオーディオ・トランスデューサの実施例は、実施例Yの下記システム、構造、機構、又は組立体のいずれか1つ又は複数、すなわち、振動板組立体及び構造、振動板サスペンション・システム、トランスデューサ基部、変換機構、デカップリング・マウンティング・システム、並びに/或いは空気漏れ流体通路及び/又はインタフェースの密閉性を備えるハウジングに対して組み込んで構成することができる。
2. 剛性振動板構造及び組立体、並びにそれを組み込むオーディオ・トランスデューサ
2.1 導入
典型的なコーン又はドーム振動板のジオメトリは、主要なピストン方向に剛性をもたらすが、薄いメンブレンのジオメトリが、純然たる剛性によってあらゆる可能性のある共振モードに効果的に抵抗することが可能でなく、そこで代わりにこれらのモードは、例えば励起の最小化又は減衰の適用によって「管理」される。いくつかの場合には、よくバランスのとれた共振の抑制に努めるために剛性材料及びジオメトリが用いられ得るが、振動板がメンブレンであるので、設計は、動作帯域幅全体にわたって共振がない挙動を実現することができず、したがって、最良のスピーカの背後には、設計プロセス時に共振管理の要素がほとんど常に存在する。
幅広い種類の様々なスピーカ設計が存在し、最も一般的な薄いメンブレンとは対照的に、厚い剛性タイプの振動板を有する一部のものも含まれる。厚い振動板の構成は、薄いメンブレン振動板に見られる機械的共振の問題の一部を軽減することが意図されている。しかしながら、共振周波数で、厚い設計の振動板は、外側の引張/圧縮、及び/又は内側のせん断応力を示す場合があり、これは、振動板を変形させ、それによってサウンド変換の品質に悪影響を及ぼす。
以下は、トランスデューサの動作及び品質を改善するために、好ましくはオーディオ・トランスデューサのFROの外側にある比較的高い周波数まで振動板の共振モードを押し進めるための剛性の原理を用いることに焦点を合わせる新規な振動板構造、及びそれを組み込むオーディオ・トランスデューサ組立体を説明する。
2.2 剛性である振動板の構成
次に、様々な振動板構造の構成をいくつかの実例を参照して説明する。
2.2.1 構成R1の振動板構造
次に、せん断変形及び他の問題に対処するように設計された本発明の振動板構造の構成を、図A1、図A2、及び図A15に示された第1の実例を参照して説明する。この振動板構造の形状若しくは形態、材料、密度、質量及び/又は他の特性に関する多くの変形例が可能であり、いくつかの変形例は、他の実例を用いて説明及び図示するが、限定するものではない。この振動板構造の構成は、簡潔にするために、構成R1の振動板構造と本明細書中で呼ばれる。振動板構造は、オーディオ・トランスデューサ組立体で使用するように構成されている。明確にするために、構成R1の振動板構造の様々な好ましい及び代替の要素及び/又は特徴を、まずいくつかの異なる実例を参照して説明し、次いでオーディオ・トランスデューサにおけるこれらの実例の実施を説明する。
図A15及び図A2gを参照すると、構成R1の振動板構造A1300は、サンドウィッチ振動板構造を備える。この振動板構造A1300は、実質的に軽量のコア/振動板本体A208と、動作中の本体の面又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗する振動板本体の主面A214/A215のうちの少なくとも1つに隣接した振動板本体に接続される外側垂直応力補強材A206/A207とからなる。垂直応力補強材A206/A207は、本体の外部で少なくとも1つの面、好ましくは(示した実例にあるように)少なくとも1つの主面A214/A215に接続することができ、又は代替として、動作中に圧縮-引張応力に十分抵抗するように、少なくとも1つの主面A214/A215のすぐ隣接した及び実質的に近位に本体内に接続されてもよい。好ましくは、垂直応力補強材A206/A207は、少なくとも1つの主面又は表面A214/A215に対しておおよそ平行に向けられ、それぞれの関連した面によって定められたエリアの実質的な部分内を延びる。この実例では、構成R1に好ましいものとして、垂直応力補強材は、動作中に本体が受ける圧縮-引張応力に抵抗する振動板本体A208の対向した主前面及び後面A214/A215のそれぞれに補強部材A206/A207を備える。別段の定めがない限り、振動板本体の主面又は主表面の言及は、オーディオ・トランスデューサに組み込まれるとき、(電気音響トランスデューサの場合に)音圧の発生に大いに寄与する、又は動作中に(音響電気トランスデューサの場合に)音圧に応じた振動板本体の移動に大いに寄与する本体の外面又は外表面を意味することが意図されている。主面又は表面は、必ずしも振動板本体の最大の面又は表面でない。
図A2gに示されるように、振動板構造A101は、コア内に埋め込まれ、動作中の本体が受けるせん断変形に抵抗し及び/又は実質的に軽減する主面A214/A215のうち少なくとも1つに対してある角度で向けられる少なくとも1つの内部補強部材A209をさらに備える。この実例では、構成R1に好ましいものとして、少なくとも1つの内部補強部材は、振動板本体の矢状平面A217に実質的に平行に向けられる。少なくとも1つの内部補強部材は、振動板構造の基部領域A222から遠位及び/又は最遠位である振動板本体の主面の周辺縁部に対して実質的に垂直でもあり得る。本明細書では、別段の定めがない限り、振動板構造の基部領域A222又は基部は、振動板構造を組み込む振動板組立体A101が、質量A218のおおよその中心を示す領域を意味することが意図されている。いくつかの実施例では、基部領域は、励起機構の一部(例えば、振動板基部構造)を接続するように構成されている領域、領域でもあり得る。内部補強部材A209は、外側垂直応力補強部材A206/A207の1つ又は複数に(好ましくは両側で-すなわち、それぞれの主面で)取り付けられることが好ましい。内部補強部材は、動作中の本体が受けるせん断変形に抵抗する及び/又はそれを軽減するように働く。好ましくは、振動板本体のコア内に分布した複数の内部補強部材A209が存在する。
振動板本体又はコアA208は、3つの次元で変わる相互接続構造で構成される材料から形成される。好ましくは、コア材料は、発泡体材料、又は秩序的な三次元格子構造の材料である。コア材料は、複合材料で構成することができる。好ましくは、コア材料は、発泡ポリスチレン発泡体である。代替の材料には、ポリメチル・メタクリルアミド発泡体、35ポリ塩化ビニル発泡体、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体、エーロゲル発泡体、段ボール、バルサ材、シンタクチック・フォーム、金属マイクロ格子、及びハニカムが含まれる。この実例では、コアA208は、互いに連結され、振動板構造が組み立てられるときにそれらの間に配置される1つ又は複数の(好ましくは複数の)内部補強部材A209を有する複数のコア部分を備える。代替の実施例では、コアA208は、内部に埋め込まれた1つ又は複数の内部補強部材を有する単一部分を備える。
この構成によって、構成要素間の相乗効果的相互作用によって改善された分割挙動(breakup behaviour)がもたらされる。主要/主/大規模振動板の分割共振モード(primary/major/large-scale diaphragm breakup resonance modes)に関連した引張荷重及び/又は圧縮荷重は、主として外側垂直応力補強材が受け、この外側垂直応力補強材は、好ましい形態で部材間にかなり大きい最大限の物理的セパレーションを有し(すなわち、それぞれの主面にわたる外側垂直応力補強部材間のセパレーションは、振動板本体の完全な厚さであり)、したがってIビームの原理により、振動板の曲げスティフネス(bending stiffness)が増加する。そのようなモードに関連したせん断は、主として内部補強部材が受ける。内部補強部材は、せん断荷重を前記発泡体コアの大きいエリアに伝達するようにも働き、それによって局所的な発泡体ブロビング共振モード(foam blobbing resonance mode)に対してそれを支持するのを助ける。発泡体コアは、前記垂直応力補強材及び反せん断内部補強部材の座屈及び局所的な横共振を最小にするように働く。
次に、構成R1の振動板構造を、様々な実例を参照してさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実例に限定されることは意図されていないことが理解されよう。別段の定めがない限り、本明細書中の構成R1の振動板構造の言及は、以下に記載した例示的な振動板構造、又は上記の設計特徴を含む任意の他の構造のいずれか1つを意味すると解釈されるべきである。
構成R1の振動板構造の好ましい実例が、図A1、図A2、及び図A15の実施例Aのオーディオ・トランスデューサに示されている(支柱を備える回転動作振動板)。図A1は、構成R1の振動板構造を組み込んだ以下本発明の実施例Aのオーディオ・トランスデューサと呼ばれるオーディオ・トランスデューサの実施例を示す。オーディオ・トランスデューサは、トランスデューサ基部構造A115に懸架されている振動板組立体A101を備える。この特定の実施例では、オーディオ・トランスデューサは、基部構造A115に回転可能に接続されている振動板組立体A101を備えるが、構成R1の振動板構造が、直線動作トランスデューサなどの代替のオーディオ・トランスデューサの設計に使用されてもよいことが理解されよう。図A2は、構成R1の振動板構造A1300と、振動板構造A1300の基部領域A222又は端面に強固に接続される振動板基部構造A222とを組み込む振動板組立体A101を示す。振動板基部構造は、力発生構成要素A109と、サスペンション・システム/ヒンジ組立体A111の部分とを備える。構成R1の振動板構造を組み込む振動板組立体は、構成R1の振動板組立体と本明細書中で呼ばれ得る。図A15は、振動板構造A1300を示す。この振動板構造A1300は、実質的に軽量のコアA208、外側垂直応力補強材A206及びA207、並びに内部補強部材A209で構成される単一の振動板を備える。
振動板コアのせん断及び曲げの問題に対処するために、背景のセクションに説明されたように、振動板は、本体の主面A214、A215に又はそのすぐ近傍に接続される垂直(圧縮-引張)応力補強材A206、A207と、本体A208のコア材料内に埋め込まれる内部せん断応力補強部材A209との組み合せである。この実例では、垂直応力補強材は、振動板本体コアA208の前方及び後方の主面A214、A215に外部支柱A206、A207を備える。代替構成では、垂直応力補強支柱A206及びA207は、使用時に引張-圧縮変形に抵抗するのに十分なセパレーションを保つために前方及び後方の主面A214、A215の真下であるがさらに十分にその近くに配置することができる。内部補強部材A209は、コア内に埋め込まれる。内部補強部材A209は、コア材料A208から隔てられ、したがって、振動板本体中に不連続を生み出す。好ましい構成では、内部補強部材A209は、それらが使用時にせん断変形に十分抵抗することができるように主面に対して傾けられている。好ましくは、角度は、主面に対して40度から140度の間、又はより好ましくは60から120度の間、又はさらにより好ましくは80から100度の間、又は最も好ましくは約90度である。内部補強部材A209は、振動板本体A213の冠状面におおよそ直交している。好ましくは、内部補強部材A209は、振動板本体の矢状におおよそ平行である。
垂直応力補強材
図A2及び図A15を参照すると、この実例では、振動板本体A208は、少なくとも1つの実質的に滑らかな主面A214/A215を備え、垂直応力補強材は、前記実質的に滑らかな主面の1つに沿って延びる少なくとも1つの補強部材A206/A207を備える。それぞれの補強部材A206/A207は、対応する主面のエリアのかなりの部分又は全体的な部分に沿って延び、或いは言い換えれば、補強部材は、対応する主面のそれぞれの寸法のかなりの部分又は全体的な部分に沿って延びる。代替の実施例では、垂直応力補強部材は、対応する主面の1つ又は複数の次元に沿ってほんの部分的に延びることができる。
垂直応力補強形態
振動板本体A208の滑らかな主面は、平坦な面とすることができ、又は代替として(3次元に延びる)湾曲した滑らかな面とすることができる。それぞれの垂直応力補強部材A206/A207は、関連した主面に対応するプロファイルを有し振動板本体A208の関連した主面の上に又はそのすぐ近傍で接続するように構成される1つ又は複数の実質的に滑らかな補強板A206/A207を備える。補強板A206/A207は、動作中に本体の対応する面で又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に対する十分な強さを実現するのに必要な任意のプロファイル又は形状を備えることができ、本発明は、任意の特定のプロファイルに限定されることは意図されていない。例えば、それぞれの補強板は、固体とすることができ、補強板は、一連の支柱、互いに交差する支柱のネットワークから形成することができ、又は補強板は、一部エリア内で穴が開いている若しくは凹んでいるものでもよい。それぞれの板A206/A207の周辺部は、滑らかであってもよく、又は周辺部は、刻み目があってもよい。
図A1及び図A2に示される実例では、それぞれの垂直応力補強部材は、振動板本体A208の対応する主面に沿って延びる複数の細長い又は縦の支柱A206/A207を備える。それぞれの主面A214、A215に設けられた第1の一連/一群の実質的に平行に間隔をおいて配置される支柱A207は、対応する主面に沿って実質的に縦に延びるように構成される。垂直応力補強部材は、対応する主面の縦軸及び/又は一群の平行支柱A207に対してある角度で延びる1つ又は複数の支柱A206(好ましくは1対の支柱)をさらに備える。1対の支柱A206は、互いに対して傾けられ、好ましくは実質的に直交して互いに対して傾けられ、例えば、関連した主面にわたって/平行支柱A207の上に斜めに延びる。本実施例における垂直応力補強部材は、対応する主面の実質的な部分に沿って延びる傾けられた支柱のネットワークを備える。2つ以上の支柱のネットワークは、他の代替構成では、2つ以上の支柱が面にわたって引張-圧縮応力に十分に抵抗するように対応する主面を十分に覆う又はそれに沿って延びるであれば、様々な相対的向きに設けられてもよいことが理解されよう。この特定の実例は、低い振動板の慣性及び高いスティフネスにより性能の観点で好ましい。支柱A206は、支柱A207と一体に形成することができ、又は支柱A206は、別個に形成され、機械工学の当業界で知られている任意の適当な方法によって互いに強固に接続されてもよい。
それぞれの主面上の垂直応力補強部材は、振動板構造の基部領域A222から離れるように延びる1つ又は複数のエリア内、及び/又は振動板構造の基部領域A222の最遠位である1つ又は複数のエリア内に減少した質量領域を備えることができる。例えば、それぞれの面A214、A215上の垂直応力補強支柱A206及びA207は、それらが振動板構造A1300の基部領域A222から離れるように延びるにつれて厚さ及び/又は幅が減少する。言い換えれば、垂直応力補強支柱A206/A207は、基部領域に近位の領域内の厚さ及び/又は幅に対して、構造の基部領域A222から遠位の領域内に減少した厚さ及び/又は幅を有する。この実例では、図A2bに見られるように、垂直応力補強支柱A206及びA207は、位置A216で幅が減少する。しかしながら、幅の減少は、段A216をつけられているが、代替としてこれは、先細り/徐々であってもよい。その長さに沿って均一な厚さ、幅、及び/又は質量を有する支柱も、構成R1の振動板内で可能であることが理解されよう。
垂直応力補強連結
垂直応力補強部材A206/A207は、機械工学の当業界で知られている任意の適当な方法によって振動板本体A208の対応する主面に強固に接続/固定することができる。この実例では、それぞれの垂直応力補強部材A206/A207は、例えばエポキシ接着剤などの接着剤の比較的薄い層によって振動板本体の対応する主面に接合される。これは、振動板構造の総重量をかなり減少させる効果を有する。
この実例では、支柱A207は、引張/圧縮とせん断変形の両方に、中間追従性のかなり大きいソースなしでそれぞれ抵抗するように内部補強部材A209に直接連結する。垂直応力補強材A206の面A214/A215ごとの2つの斜め支柱A206は、振動板面の表面に取り付けられる。2つの斜め支柱A206は、2つの斜め支柱A206が垂直応力補強支柱A207に交差するところにしっかりと取り付けられる。
この実例では、全ての支柱A206及びA207は、コイル巻き線A204の長辺の一方にしっかりと連結される。全ての補強材は、これらの連結に関連した追従性を最小にするために、複数の重ね合わせを設けた状態で振動板コアA208によく連結される。これらの振動板部分は、エポキシ樹脂などの接着剤を介して互いに接着されるが、当業界でよく知られている他の固定方法(例えば、ファスナ、溶接など)が、やはり又は代替として使用されてもよい。
緩い連結、振動板本体の緩い部分などは、使用時にガタつき、それによって不要な騒音及び高調波を発生させる可能性があるから、これらを防ぐように注意すべきである。
垂直応力補強材料
それぞれの垂直応力補強部材A206/A207は、非複合プラスチック材料に比べて比較的高い比弾性率を有する材料から形成される。適切な材料の実例は、アルミニウム、酸化アルミニウム等のセラミック、又は炭素繊維強化プラスチックにあるような高弾性繊維などの材料を含む。他の材料が、代替の実施例に組み込まれてもよい。この実例では、垂直応力補強支柱A206及びA207は、約450GPaのヤング率、約2000kg/mの密度、及び約225MPa/(kg/m)の比弾性率(全ての数値は、マトリックス結合材を含む)を有する異方性高弾性炭素繊維強化プラスチックから作製される。代替の材料を使用することもでき、ただし、変形に抵抗するときに十分有効であるために、比弾性率が、好ましくは少なくとも8MPa/(kg/m)、又はより好ましくは少なくとも20MPa/(kg/m)、又は最も好ましくは少なくとも100MPa/(kg/m)である。
補強材料が、振動板本体コア材料A208よりも高い密度、例えば少なくとも5倍高い密度を有することも好ましい。より好ましくは、垂直応力補強材料は、少なくとも50倍のコア材料密度である。さらにより好ましくは、垂直応力補強材料は、少なくとも100倍のコア材料密度である。これは、主面に向かって質量が集中していることを意味し、これによって、ビームの慣性モーメントが、固体の長方形とは対照的に、「I」プロファイルを使用することによって改善されるのと同じようにして、主要な振動板曲げ共振モードに対する強さを改善する。代替の形態において、垂直応力補強材は、これらの範囲の外側にある密度値を有することが理解されよう。
この実例において、垂直応力補強材に使用するのに適切な材料には、アルミニウム、ベリリウム、及びホウ素繊維強化プラスチックが含まれ得る。多くの金属、及びセラミックが適している。マトリックス結合材を有さない繊維のヤング率は900GPaである。好ましくは、支柱は、繊維強化プラスチックなどの異方性材料から作製され、好ましくは、複合材を構成する繊維のヤング率は、100GPaよりも高く、より好ましくは200GPaよりも高く、最も好ましくは400GPaよりも高い。好ましくは、繊維は、支柱が向きの方向に与えるスティフネスを最大にするために、それぞれの支柱を通じて実質的に単方向性の向きに配置されると共に、関連した支柱の縦軸と実質的に同じ向きに配置される。
垂直応力補強材厚さ
垂直応力補強材の厚さは、補強材の1つ又は複数の次元に沿って/わたって均一とすることができ、又は代替として垂直応力補強材の厚さは、1つ又は複数の次元に沿って/わたって様々であってもよい。
いくつかの可能な垂直応力補強材の変形例
図A8、図A9、図A10、図A11、及び図A12は、構成R1の振動板構造の垂直応力補強材の形態に対するいくつかの可能な変形例を示す。これらは、以下に説明されるが、本発明は、これらの特定の変形例に限定されることは意図されていないことが理解されよう。本明細書の他のセクションに記載され得るような他の変形例、及び/又は当業者によって思い浮かべられる変形例も、本発明の範囲内に含まれることが意図される。構成R1の上記実例にあるような補強材料、補強厚さ、及び/又は補強連結タイプを含む振動板の他の特性も、以下の垂直応力補強材の変形例に適用可能である。
上述したように、構成R1の振動板の垂直応力補強材は、引張-圧縮変形に抵抗するように主面の表面に沿って又はその近くで覆う又は延びる板、フォイル、及び/又は支柱などの任意の組み合わせを備えることができる。
構成R1の振動板構造A1300の垂直応力補強材の形態の変形例が、図A8に示されている。この実例では、垂直応力補強材A801は、振動板本体のそれぞれの主面A214、A215の部分全体を実質的に覆うフォイル又は実質的に固体で且つ薄い板を備える。この変形例は、振動板本体のコア内に内部補強部材A209も有する。
別の変形例が、図A9に示されている。この実例では、振動板構造A1300は、垂直応力補強材を組み込む振動板構造の少なくとも1つの(しかし好ましくはそれぞれの)主面について、垂直応力補強材は、振動板構造の基部領域A222から遠位に配置される主面の1つ又は複数の周辺縁部領域で又はその近傍で省かれることを除いて、図A8に示された垂直応力補強材A801に類似する垂直応力補強材A901を備える。垂直応力補強材は、振動板構造の基部領域A222から遠位にある1つ又は複数の周辺縁部領域で又はその近傍で(例えば、質量領域及び/又は励起機構の振動板組立体中心で)少なくとも省かれる。この実例では、複数の切り離された領域A902が、使用時に励起機構の部分を接続するように構成された振動板本体の基部領域A222から最遠位(すなわち、振動板基部フレームから最遠位)に対向する及び/又はである主面の周辺縁部領域に沿って及び/又はその近傍で補強材を有さない。好ましくは、補強材を有さない領域A902は、隣接した内部補強部材A209間に実質的に配置される。(振動板構造の末端/先端近くの)補強材を有さないそれぞれの主面の縁部領域A902は、3つの円弧の形状にあるが、例えば、長方形、環状、又は三角形などの多くの他の形状で十分であり得る。この実例では、垂直応力補強材を備えるそれぞれの主面については、振動板構造は、振動板本体の基部領域A222と反対側末端の間に延びる主面の側縁部で又はその近傍で対向する縦の周辺縁部領域A903で垂直応力補強材をやはり有さない。この実例では、垂直応力補強材が内部で省かれているそれぞれの主面のそれぞれの側縁部領域は、例えば曲がりくねった形状などの多くの他の形状も十分であり得るが、直線形状又は実質的に直線である。例えば、図D1は、垂直応力補強材が、振動板構造の基部から遠位の主面の自由周辺縁部で又はその近くで、振動板組立体D101におけるそれぞれの振動板構造のそれぞれの主面の領域D118~D120で省かれている垂直応力補強材D109~D111に類似した変形例を示す。それぞれの振動板構造については、それぞれの主面の中央の弧状のセクションは、垂直応力を有さず、半円状に成形され、中央セクションの両側の2つの他の欠けたセクションは、振動板のそれぞれの側縁部へ延びる。
図A10は、領域A1002がどちらの主面にも垂直応力補強材を有さない構成R1の垂直応力補強材の別の類似した変形例を示す。この変形例では、領域A1002は、実質的に半円であり、補強材A1001の幅の実質的な部分にわたって延びる。それぞれの面のどちらかの側で又はその近傍で振動板構造のそれぞれの主面の縁部領域A1003は、やはり、図A9の変形例に類似した直線のやり方で垂直応力補強材を有さない。領域A1002は、弧状でなくてもよく、及び/又は領域A1003は、図A9の変形例のように代替の実施例において直線でなくてもよい。
図A11は、それぞれの主面における垂直応力補強材が、振動板構造の基部の近位領域における厚さに対して振動板構造の基部領域A222から遠位にある垂直応力補強材の(又は関連した主面の)領域A1102で減少した厚さを有することを除いて、図A8のフォイルの変形例に類似する別の変形例を示す。厚さの変化は、段A1103で減少する。厚さは、段をつけられてもよく、又は代替として先細り/徐々であってもよい、この変形例では、それぞれの主面における減少した厚さA1102の振動板構造の領域は、振動板構造の基部領域A222から最遠位である主面の先端/縁部領域の最近位の領域である。この実例に示された振動板構造は、(以下のセクション1.6の下でより詳細に説明されるように内部補強部材を含むことは単にオプションであり得るので)必ずしも構成R1の構造ではないことに留意することが重要であるが、それは、構成R1に用いられ得る外側垂直応力補強材の形態の可能な変形例を例示するためにここに含まれる。
別の変形例は、図A12に示されている。この変形例は、一連の支柱A1201及びA1202が振動板のそれぞれの主面に垂直応力補強材を形成するために使用される点で、図A1及び図A2を参照して上述される実例に類似している。本実施例では、支柱A1202は、隣接して縦に延びるが、それぞれの主面の振動板本体の対向した側面からわずかに間隔をおいて配置され、支柱A1202は、反対側の支柱A1202の端部まで延びる単一の十字形筋かいを形成するようにそれぞれの主面にわたって斜めに延びる。支柱A1201は、振動板構造の基部領域(例えば、励起機構を接続するように構成された領域)から遠位にあるそれらの長さのセクションに沿って減少した厚さを有する。厚さの変形例は、段A1203をつけられているが、代替としてそれは、先細り/徐々であってもよい。しかしながら、代替の実施例では、それぞれの支柱A1202は、減少した幅又は減少した質量を有してもよく、或いはその長さの部分全体に沿って均一な厚さ、幅、及び/又は質量を有することができる。
せん断応力/内部補強
上述したように、構成R1の振動板構造は、コア材料内に且つ振動板本体A208の1対の対向した主面A214とA215の間に埋め込まれ/保持される少なくとも1つの内部補強部材A209(せん断応力補強材とも呼ばれる)を含む。この実例では複数の内部補強部材A209は、振動板本体のコア材料内に保持される。必要なレベルのせん断応力耐性を実現するために、任意の個数の部材A209が使用されてもよいことが理解されよう。代替の実施例では、たった1つの部材が、本体A208内で保持され得る。
この実例では、少なくとも1つの内部補強部材A209のそれぞれは、コア材料によってもたらされるせん断に対する何らかの耐性とは別の応力補強材の平面内のせん断変形に対する耐性を与えるように、振動板本体のコア材料とは隔てられ、それに接続されている。また、少なくとも1つの内部補強部材A209のそれぞれは、動作中にせん断変形に抵抗するのに十分な前記主面の少なくとも1つに対してある角度でコア材料A208内を延びる。好ましくは、角度は、主面に対して40度から140度の間、又はより好ましくは60から120度の間、又はさらにより好ましくは80から100度の間、又は最も好ましくは約90度である。この実例では、それぞれの内部補強部材A209は、振動板本体A208の矢状平面に実質的に平行に且つ1対の対向した主面及び垂直応力補強部材A206/A207におおよそ直交して延びる。実質的に又はおおよそ直交する補強を有することによってせん断応力耐性を最大にする。
せん断応力補強形態
この実例では、それぞれの内部補強部材A208は、板A209である。この板は、動作中に振動板本体A208に対するせん断応力に対して所望のレベルの耐性を実現するのに必要な任意のプロファイル又は形状を備えることができる。例えば、それぞれの内部補強部材は、板とすることができ、この板は、一部エリア内で固体又は穴開きとすることができ、或いはそれは一連の支柱、互いに交差する支柱のネットワークから形成することができる。それぞれの部材A209の周辺部は、滑らかであってもよく、又は周辺部は、刻み目があってもよい。この実例では、それぞれの内部応力補強部材は、実質的に固体である板A209を備える。板A209は、かなり大きな間隔をおいて(好ましくは、しかし必ずしも均等に間隔をおいてではなく)、振動板構造A101の組み立てられた形態におけるコア材料内で互いに対して平行なやり方で延びる。それぞれの板A209は、振動板本体A208の断面形状、及び特に振動板本体A208の矢状断面にわたる形状に類似するプロファイル又は形状を有する。代替として、それぞれの内部補強部材A209は、同一平面上の支柱のネットワークを備える。さらに、代替の実施例では、板及び/又は支柱は、コア材料内で3次元にわたって延びることができる。
それぞれの内部補強部材A209は、振動板構造の基部領域(例えば、振動板がそれらと共に組み立てられるときに、振動板組立体の質量中心を示す位置)から最遠位の振動板本体A208の1つ又は複数の周辺部領域に実質的に向かって延びる。この実例では、この遠位領域は、振動板本体A208の先細り末端である。
せん断応力補強材料
それぞれの内部補強部材A209は、非複合プラスチック材料に比べて比較的高い最大比弾性率を有する材料から形成される。適切な材料の実例は、アルミニウム、酸化アルミニウム等のセラミック、又は炭素繊維強化複合プラスチックにあるような高弾性繊維などの材料を含む。
好ましくはそれぞれの内側補強部材は、比較的高い最大比弾性率、例えば、好ましくは少なくとも8MPa/(kg/m)、又は最も好ましくは少なくとも20MPa/(kg/m)を有する材料から形成される。多くの金属、セラミック、又は高弾性繊維強化プラスチックが適している。例えば、内側補強部材は、アルミニウム、ベリリウム、又は炭素繊維強化プラスチックから形成することができる。
好ましくは、内側補強部材は、振動板本体A213の冠状面に対して約+45度及び-45度の方向に高弾性を有する。内側補強部材が異方性である場合、好ましくは、引張-圧縮を冠状面に対して約+-45度で受け、例えば、炭素繊維である場合、好ましくは繊維の少なくとも一部は、冠状面に対して+-45度傾けて向けられる。一部の振動板の設計では、例えば、ヒンジ組立体近くなどの振動板に荷重を加える点の近傍で、他の方向にスティフネスを必要とする内側補強材の領域が存在し得ることに留意されたい。
この実例では、内部補強部材A209は、約69GPaのヤング率及び約28MPa/(kg/m)の比弾性率を有する0.01mmの厚さのアルミニウム・フォイルから作製することができる。これは、例示的なものにすぎず、限定であることが意図されていないことが理解されよう。
せん断応力補強厚さ
それぞれの内部補強部材A209は、比較的薄いことが好ましく、それによって振動板構造A101の総重量を減少させるが、せん断応力に対して十分な耐性を与えるのに十分に厚い。したがって、内部補強部材の厚さは、(限定されないが)振動板本体のサイズ、振動板本体の形状及び/又は性能、並びに/或いは使用される内部補強部材A209の個数に依存する。構成R1の好ましい実施では、共振の分割モードに対してかなりの剛性を与えるように、内部補強部材は、かなり薄く、内部補強部材が補強している振動板本体のエリアに対応する。それぞれの内部補強部材は、式
Figure 2022017532000008

によって決定されるように、(mm単位で測定される)値x未満の平均的な厚さを有することが好ましい。
ただし、aは、使用時に振動板本体によって押されることができる(mmの単位で測定される)空気の面積であり、cは好ましくは100に等しい定数である。より好ましくは、c=200、又はさらにより好ましくはc=400、又は最も好ましくはc=800である。好ましくはそれぞれの内部補強材は、0.4mm未満、又はより好ましくは0.2mm未満、又はより好ましくは0.1mm、又はより好ましくは0.02mm未満の厚さの材料から作製される。
この実例では、それぞれの内部補強部材A209は、約0.01mmの厚さである材料から作製される。
せん断応力補強連結タイプ
好ましくは、振動板構造の組立中、内部補強部材A209は、(振動板本体A208の対向した主面上で)対向した垂直応力補強部材A206/A207のどちらでも一方にどちらかの側で強固に固定/接続される。代替として、それぞれの内部補強部材は、対向した垂直応力補強部材に隣接して延びるが、対向した垂直応力補強部材から隔てられている。組立中、それぞれの内部補強部材A209は、機械工学の当業界で知られている任意の適当な方法によって振動板本体A208のコア材料に強固に接続/固定される。この実例では、部材A209は、エポキシ接着剤の比較的薄い層を介して、コア材料A208、及び好ましくは対応する垂直応力補強部材A206/A207に接合される。好ましくは、接着剤は、対応する内部補強部材の重量の約70%未満である。より好ましくは、接着剤は、対応する内部補強部材A209の重量の60%未満、又は50%未満若しくは40%未満、又は30%未満、又は最も好ましくは25%未満である。
好ましくは、内部補強部材A209は、振動板が使用時に力の変化を受けると共に、質量の大部分が集中している、振動板基部構造A222又は(コイル巻き線A109である)力発生構成要素から最も遠い振動板縁部領域まで又はその近傍まで延びる。内部補強部材A209は、好ましい構成では、どちらかの側でも垂直応力補強支柱A206及びA207に接続される。内部補強部材は、最大の質量集中からのこれらの縁部の遠隔は一般にそれらを特に共振する傾向にさせるので、モータ・コイルA109から前記モータ・コイルから最も遠隔である振動板の縁部への方向に延びている。したがって、支柱の大部分、及び内部補強部材の全部は、この最も遠位の縁部に向かって直接延びる。
内部補強部材及び支柱の大部分についての向きの効果は、最も低い及び/又は最も問題のある振動板の分割周波数が増加し、振動板の性能を最適化することである。内部補強部材によって支持されていない2つの側縁部は、モータ・コイルと振動板組立体の質量中心とを含む振動板構造の基部領域A222により近く、したがってあまり共振しない傾向がある。また、サイドの変位を伴う最も低い周波数の共振は、ツイスト・モードとしてしばしば現れ、これは、それは通常、ほぼゼロの空気の正味変位を有するので、及びそれは通常、振動板及び励起全体の対称性により最小で励起されるだけであるのでさほど高くない。
いくつかの可能な垂直応力補強材の変形例
内部補強部材A209は、コア材料内に埋め込まれるパネル及び/又は支柱の任意の組み合わせを含み、好ましくは、それぞれは、せん断応力の力に十分抵抗するために材料の厚さの実質的な部分を覆うように延びる。(図A1及び図A2の実施例Aのオーディオ・トランスデューサに使用されるような)最も単純で最も好ましいバージョンは、図H1a及び図H1bに示されており、それによって内部補強部材は、実質的に平らで実質的に薄いフォイルである。
内部補強部材の代替形態が、代わりに用いられてもよい。例えば、図H1c及び図H1dに示されるような三角にされた支柱のネットワークは、典型的なクレーン構造の中間部分の側面図に見られるものに類似する。場合によっては、せん断補強機能は、平面内で厳密に向けられていない場合でも、まあ例えば、(図H1e及び図H1fに示されるように)アルミニウム・フォイルが波形である場合、外側垂直応力補強材の構成要素への接続がある限り、かなり良く実行され得る。
さらに、いくつかの変形例では、内部応力補強部材は、対応する振動板本体の断面形状に従って(長方形、弧状等などの)代替の形状を帯びることができる。例えば、図G2に示される実施例Gのオーディオ・トランスデューサでは、内部応力補強部材G109は、振動板本体G108の断面形状に従うように実質的に長方形である、形状の別の変形例は、図G6に示されており、内部補強部材G603は、振動板本体G602の断面形状に対応するように実質的に台形を備えている。
構成R1の内部応力補強材の形態に対するいくつかの可能な変形例が上述されているが、本発明は、これらの特定の変形例に限定されることは意図されていないことが理解されよう。本明細書の他のセクションに説明され得るような他の変形例、及び/又は当業者によって思い浮かべられる変形例も、本発明の範囲内に含まれることが意図される。構成R1の上記実例にあるような補強材料、補強厚さ、及び/又は補強連結タイプを含む振動板の他の特性は、これらの構成R1の振動板の変形例にも適用可能である。
振動板本体
振動板本体の形態
図A2及び図A15に戻って参照すると、構成R1の振動板構造A1300のこの実例では、振動板本体A208の主面A214及びA215は、垂直応力補強材A206及びA207が接着することができる適切なプロファイルを可能にするように実質的に滑らかである。好ましくは、表面は、合理的に平らであるが、これは、内部補強部材A209によって少なくともそれが支持されない位置及び向きにおいて、それが比較的まっすぐであり、したがってあまり座屈する傾向でなくなる場合、対応する垂直応力補強材がより最適な剛性を与えるからである。特に一貫しない又は不規則な形態を有する振動板コアA208、例えば、不規則な壁及び/又は空洞を有するハニカム・コアが使用される場合、最も好ましくは、振動板本体の主面の外周プロファイル全体は、実質的に滑らかであるが、これは、補強材が壁が補強材に対する横の支持を与えることができるように補強材が通るそれぞれの壁に接着することができ、それによって局所的な共振を最小化するのを助け、したがって補強材は、振動板全体のスティフネスを与えるようにコアに剛性を与えることができるという理由のためである。
この実例では、組立時、振動板A101は、実質的にくさび形状の本体A208及び/又は断面が実質的に三角形である本体を備える。(振動板本体A217の矢状平面に平行な)回転トランスデューサの振動板本体の全体的な断面形状は、実質的に三角形又はくさび形状であることが好ましいが、長方形、凧状又は弓形のプロファイルなどの他のジオメトリも、構成R1の代替の変形例において可能であり、本発明は、この特定の実例の形状に限定されることは意図されていない。
ダイヤモンド断面プロファイルは、直線動作トランスデューサと共によく働くが、代替の変形例において、例えば台形、長方形、又は弓形のプロファイルといった他のプロファイルも可能である。
図G6に示されるような台形プロファイルなどのおおよそ凸形プロファイルは、より良い分割特徴を概して有し、より軽く、したがって概して好ましい。
振動板本体コア材料
振動板組立体A101又は振動板構造A1300は、密度16kg/m及び比弾性率0.53MPa/(kg/m)の発泡ポリスチレンなどの発泡体であるコア材料A208、又は低密度(理想的には100kg/m未満)及び高い比弾性率の特性を有する他のコア材料から形成される先細りくさび形状の(しかし、多くの他のジオメトリからなってもよい)振動板本体を備える。
コアA208は、軽量であると共にかなりの剛性材料であることが好ましく、この剛性材料は、発泡体などの三次元で変化する相互接続構造、又は秩序的な三次元格子構造の材料で構成される。コア材料は、複合材料で構成することができる。発泡ポリスチレン発泡体は、好ましい材料であるが、適している代替の材料は、ポリメチル・メタクリルアミド発泡体、エーロゲル発泡体、段ボール、金属マイクロ格子アルミニウム・ハニカム、アラミド・ハニカム、及びバルサ材を含み得る。当業者に明らかである他の材料も、思い浮かべられ、本発明の範囲から除外されることが意図されない。
振動板構造A101の残りの構成要素から隔離されている(例えば、外側及び内部補強材から隔離されている)振動板本体A208のコア材料は、比較的低い密度を有する。この実例では、コア材料は、約100kg/m未満、より好ましくは約50kg/m未満、さらにより好ましくは約35kg/m未満、最も好ましくは約20kg/m未満である密度を有する。代替形態では、振動板本体のコア材料は、これらの範囲の外側にある密度値を有することができることが理解されよう。これは、必要以上に質量を加えることなく振動板が比較的厚く作製され得ることを意味し、これによって剛性が増加すると共に質量が減少し、それによって分割共振の耐性を改善する。
振動板組立体は、内部せん断応力に関して非常に剛性である骨格、及び外側垂直補強材を備えるが、場合によっては、本体材料は、局所的な横共振に対して骨格構成要素を支持すると共に、骨格構成要素間の領域内の局所的な「ブロビング」共振に対してそれ自体を支持するようにさらに要求される。振動板構造の残りの構成要素から隔離されている(例えば、外側及び内部補強材から隔離されている)振動板本体A208は、比較的高い比弾性率を有することが好ましい。この実例では、構造の残りの構成要素から隔離されている振動板本体A208は、約0.2MPa/(kg/m)よりも高い比弾性率を有し、最も好ましくは約0.4MPa/(kg/m)よりも高い比弾性率を有する。代替形態では、振動板本体は、これらの範囲の外側である比弾性率値を有してもよいことが理解されよう。高い比弾性率は、局所的な「横」共振モード及び「ブロビング」共振モードに対してそれぞれ、振動板本体が、骨格を支持すると共に、特にそれ自体の重量も支持することができることを意味する。
振動板本体の厚さ
(全ての本体部分A208で構成されている)振動板本体は、(その最も厚い領域で)実質的に厚い。本明細書では、別段の定めがない限り、実質的に厚い振動板本体の言及は、本体にわたっての最大斜め長さA220(以下、最大振動板本体長さ、又は振動板本体の最大長さとも呼ばれる)などの本体の少なくとも最大の寸法に比べて比較的厚い少なくとも最大の厚さを有する振動板本体を意味することが意図されている。(大部分の実施例の場合のように)3次元の本体の場合には、斜め長さ寸法は、3次元の本体の厚さ/深さ及び幅にわたって延びることができる。振動板本体は、必ずしも1つ又は複数の次元に沿って実質的に厚い均一な厚さを備えなくてもよい。最大の寸法との関連で比較的厚いという語句は、(最大本体長さA220などの)最大の寸法の例えば少なくとも約11%を意味し得る。より好ましくは、最大の厚さA212は、本体A220の最大の寸法の少なくとも約14%である。本明細書では、実質的に厚い振動板本体との関連での最大の厚さは、厚さ寸法に対して実質的に垂直である振動板本体の長さ寸法にも関連し得る(以下、振動板本体の長さA211とも呼ばれる)。この文脈における比較的厚いという語句は、振動板本体の長さA211の少なくとも約15%、又はより好ましくは振動板本体の長さA211の少なくとも約20%を意味し得る。いくつかの実施例では、振動板は、(振動板組立体によって見られる)質量中心位置A218から振動板本体の最遠位の周辺部までの振動板半径(又は長さ寸法)との関連で比較的厚いことが考えれ得る。この文脈における比較的厚いという語句は、最大振動板半径A221の少なくとも約15%、又はより好ましくは最大半径A221の少なくとも約20%を意味し得る。いくつかの実施例では、特に回転動作ドライバの場合には、振動板本体の長さA211は、回転軸から最遠位周辺縁部まで測定され得る。
この実例では、振動板が、回転動作トランスデューサ向けに設計される場合、(少なくとも最も厚い領域内の)振動板本体の厚さA212は、(回転軸A114又は基部領域A222から振動板本体の反対側末端/先端までの長さである)振動板本体の長さA211に対して実質的に厚いことが好ましい。好ましくは、振動板本体の厚さA212と長さA211の比は、上述したように、少なくとも15%又は最も好ましくは少なくとも20%である。
好ましくは、最大の厚さの領域は、振動板構造の基部領域である。
厚さの増加は、特に、垂直応力補強材が外側表面に配置される場合、及び本明細書中に記載されたような振動板本体がせん断補強材を有する場合に、振動板の剛性全体の不釣り合いな増加という結果になり得る。
角度タブ
図A2gを参照すると、この実例では、強固な連結をもたらすのを助けるために、特に、内部補強材A209とコイル巻き線A109、スペーサA110、及びシャフトA111を備える振動板基部構造A222との間のせん断荷重に関して、複数の角度タブA210は、振動板本体/くさびA208の基部内部に挿入及び接着され(又はさもなければ強固に固定され)、それぞれのタブが、連結の強度を改善するために一定の大きい表面積をスペーサA110及び内部補強部材A209に与える。この実例では、4つのタブが使用されるが、任意の個数のタブが利用されてもよく、典型的には、これは内部補強部材A209の個数及び/又は振動板本体A208を構成するために使用される部品の個数に依存することが理解されよう。これは、接着剤は連結される構造的な構成要素ほど強固でないので剛性にとって重要であり、したがって上述されているように、トランスデューサ分割性能を制限するように働く可能性があり得る。
全ての角度タブA210が、振動板本体/くさびA208内に取り付けられると、振動板本体/くさび構造A208は、エポキシ樹脂などの比較的強固な接着剤を用いて関連したトランスデューサ組立体のコイル、スペーサ、及びシャフトにのり付けされる。
多くの接着剤は、それらの強度を改善するために軟化剤を含有するが、これは、剛性が最も重要である場合、この用途並びに本明細書中に記載された多くの他の用途において有害であり得ることに留意されたい。強度の検討を受けて、軟化剤を含有しない樹脂を使用することが好ましい場合がある。ガラス・ファイバを貼り合わせるために使用されるエポキシ樹脂は、適切であり得るが、限定されるものではない。
生産の方法
以下、本実例の振動板構造A1300を大量生産する方法を概説する。他の方法が、個別生産又は大量生産のために利用されてもよく、本発明は、この特定の実例に限定されることは意図されていないことが理解されよう。
本実例の場合には、コアA208及び内部補強部材A209を備えるくさびが、最初に形成される。内部補強部材材料A209の複数の(この場合には4枚の)大きいシートが、接着薬剤、例えばエポキシ接着剤を用いてコア材料A208の複数の(この場合には5枚の)大きいシートの中間に積層される。硬化されると、積層物は、ピース、例えば、この特定の実例ではくさびA208(又は他の変形例における振動板本体に必要とされる何らの形状)にスライスされる。それぞれのピース/くさびA208は、図A2及び図A15に示されるような振動板本体A208の1つを形成し、関連した変換機構の力発生構成要素(例えば、コイル巻き線)、及び/又は振動板基部構造A222などの他の構成要素に取り付けられる。次いで、垂直応力補強材は、くさび積層物の主面に連結することができる。代替の実施例では、振動板構造は、それぞれの個々の振動板構造を別々に形成することによるなど、他の方法を用いて形成されることが理解されよう。
使用時の層間剥離を防ぐのに十分とすべきであるという制約を受ける内部せん断応力補強部材及び垂直応力補強材を互いに及び振動板コアにジョイントするために使用される接着剤の質量を最小にすることが好ましい。これは、接着剤がこの構造の性能、特に剛性に比例して寄与しないためである。好ましくは、接着剤は、対応する内側補強部材の単位面積あたり質量の約70%未満である。より好ましくは、接着剤は、対応する内側補強部材の単位面積あたり質量の60%未満、又は50%未満、若しくは40%未満、又は30%未満、或いは最も好ましくは25%未満である。
前記部材を振動板のコア材料に接着するための準備において、垂直又はせん断補強部材に薄い接着材層を貼り付けるいくつかの適切な方法が存在する。方法の1つは、接着薬剤がファイン・スプレイの形態で塗布されることを伴う。別の方法は、接着薬剤が、最初に過度に施され、次いで例えばラビング又はブラシング動作によって、最小且つ等しい量の接着薬剤が残されたままにされるまで除去されることを伴う。接着薬剤が低い粘性を有することは、これらの方法の両方にとって有利である。
どのくらいの接着薬剤が施されているか決定する役立つ方法は、色合いを視覚的に決定することである。黄色いエポキシ樹脂が使用される場合、(例えば)アルミニウム・フォイルのシートに施されて見られるとき、接着材のより厚いエリアは、より暗い色合いの黄色となる。補強材の質量を測定するために、接着薬剤の施しが完了する前後に、正確なスケールが使用され得、この情報は、施された接着材の全質量を示すために使用することができる。接着薬剤を施すとき、薄い層は、ポリスチレン発泡体のコアにとても良好な接着をもたらすことができ、例えば、アルミニウム補強材のシートは、0.5g/mほどの面積当たりの質量で加えられるエポキシ樹脂を用いて発泡ポリスチレン・コアに十分に接着することができる。この層の厚さは、約0.5μmである。補強材の両側が接着剤を必要とするような単一の補強部材がコア材料の2つのピース間に積層される場合には、接着材の質量は2倍であることに留意されたい。
接着薬剤は、(コアではなく)補強部材の表面だけに施すことができ、又は(補強部材ではなく)コアの表面だけに施すことができ、或いは一緒に接着される補強部材とコアの両表面に施すことができる。
接着薬剤は、可能な限り、コア材料に選択的に施すことができ、それによって補強材に接触する部分だけが被覆される一方、コア内の小さい閉塞は何ら被覆されないが、これは、閉塞は内部補強材に接触しないので、接着剤の塗布が、強度を改善することなく質量を増すことになるためである。この成果を実現する方法の1つは、接着材塗布ボード又はシート、例えばテフロン(登録商標)又はUHMWPEのシートに(例えば、より前に説明した方法を用いることによって)接着薬剤を薄く施すことである。次いで、コア材料は、閉塞を充填することなくボードに接触する部分である接着薬剤がコアの正しい部分に移される平らな表面に配置される接着材塗布ボード上の接着薬剤に軽く塗られる。
構成要素を一緒に十分に接着することができる接着薬剤を使用する質量を最小にすることが好ましく、いくらかの試行錯誤が用いられる。有効である接着薬剤の量は、接着される補強材及びコア材料のタイプに応じて変わる可能性がある。
補強部材とコア材料を積層するとき、接着薬剤が硬化するときにこれらの部分が十分に一緒に保持されることを確実にすることが大切である。これを実現する方法の1つは、まず、部分が接着される順序でこれらの部分を積み重ね、次いで力をかける、例えば重量をかける。治具は、力が均等にかけられることを確実にするように構成することができる。そのような治具は、積層の積み重ねが位置する基部ボードと、積層の積み重ねの上部を基部ボードに向けて押す上部ボードとを備えることができる。治具は、力が加えられるときに積層の積み重ね内の部分が横にスリップするのを防ぐのを助けるために(必要であれば)サイド・ガイドを備えることもできる。
どのくらいの圧力がかかっているのか決定する方法の1つは、まず、例えば、実験によって、又は製造業者の仕様を調査することによって、コアの性能(特に比弾性率)をかなり大きく減少させる損傷を引き起こすことなくかけられ得る最大値を特定し、次いで安全マージンを与えるようにこれを幾分減少させることである。例えば、この圧力を50%だけ減少させることは、有効なまだ安全な目標であり得る。代替の好ましい量産方法は、積層の積み重ねが圧縮され過ぎるのを機械的に制限するストッパを組み込む治具を備える。
構成R1の振動板構造を組み込むオーディオ・トランスデューサ
構成R1の振動板構造は、オーディオ・トランスデューサ組立体に使用することが意図され、そのように構成されており、その実例は図A1に示されている。この実例では、振動板構造A1300は、第1の好ましい実施例Aのオーディオ・トランスデューサ組立体に従って使用するように構成されている。実施例Aのトランスデューサ組立体は、回転動作オーディオ・トランスデューサ組立体である。組み立てられた状態では、トランスデューサは基部構造A115を備え、そこに振動板組立体A101が接続され、それに対して回転する。基部構造A115は、動作中に基部構造に対して振動板組立体A101を回転させる駆動機構の少なくとも一部を含む。オーディオ・トランスデューサの本実施例では、電磁石駆動機構が、動作中に振動板を回転させる。基部構造A115は、磁石本体A102を備え、対向し隔てられたポール・ピースA103及びA104は、振動板組立体A101に隣接した本体A102の端部にある。振動板組立体A101は、振動板構造A1300と、振動板A1300の基部に強固に接続されると共に、振動板A101の駆動端部に接続されたポール・ピースA103とA104の間に配置される電磁石機構のコイルを有する振動板基部構造A222とを備える。
用語「振動板構造」及び「振動板組立体」は、オーディオ・トランスデューサの実施例のそれぞれの特徴のある組み合わせを言及するために本明細書に使用されているが、これは、簡潔にするために主になされており、これらの用語は、そのような特徴の組み合わせに限定されることは意図されていないことが理解されよう。例えば、本明細書及び特許請求の範囲では、その最も広い解釈において、特段の定めがない限り、振動板構造の言及は、少なくとも振動板本体を意味することができ、振動板組立体の言及も、少なくとも振動板本体を意味することができる。振動板の言及は、振動板構造又は振動板組立体のどちらかを意味することもできる。
好ましくは、実施例Aのオーディオ・トランスデューサは、電気エネルギーをオーディオに変換するように構成された電気音響トランスデューサである。以下の説明は、このタイプの応用、又はこの応用に適している構成要素に言及することができる。しかしながら、当業者に容易に明らかであるように、改良された場合、又はある種の構成要素がそれらの同等物で置き換えられる場合、実施例Aのオーディオ・トランスデューサは、音響電気トランスデューサとして利用することもできることが理解されよう。
振動板組立体
図A2を参照すると、振動板A1300の一方の端部、(場合によっては、振動板の基部端部又は基部領域と呼ばれる)より厚い端部は、そこに取り付けられる力発生構成要素を備える振動板基部構造A222を有する。少なくとも力発生構成要素に接続される振動板構造A1300は、振動板組立体A101を形成する。力発生構成要素は、エネルギー、例えば電気エネルギーに応じて振動板構造に力学的力を付与するように構成されている。本実施例では、力発生構成要素は、振動板構造A1300の基部端部の形状に適合するように2つの長辺A204及び2つの短辺A205からなるほぼ長方形の形状に巻かれる電磁石コイルA109である。渦巻き又はらせんタイプの巻き線などの他の形状が可能であり、形状は、振動板本体A208の形状及び形態に依存することが理解されよう。コイル巻き線は、銅などの任意の適切な導電性材料から、又は例えばエポキシ樹脂で一緒に保持されるエナメル被覆銅線から作製することができる。これは、適宜、スペーサA110のまわりに巻くことができ、好ましくはプラスチック補強式炭素繊維又はエポキシ含浸ペーパなどの非電導性又はほんの僅かに電導性である任意の適切な材料から形成することができる。スペーサは、約200GPaのヤング率を有することができる。スペーサは、振動板構造A1300のより厚い基部端部に相補的なプロファイルでもあり、それによって振動板組立体A101が組み立てられた状態で振動板構造A1300のより厚い基部端部の周辺縁部の周囲又はその近傍で延びる。スペーサA110は、スチール・シャフトA201に取り付け/固定連結される。振動板本体A208の基部/厚い端部に配置されたこれら3つの構成要素の組み合わせは、実質的にコンパクトでロバストなジオメトリを有する振動板組立体の剛性である振動板基部構造A222を形成し、振動板組立体のより軽量のくさび部分が強固に取り付けられる固体及び共振耐性プラットフォームを生み出す。
本発明の実施例Aに示されたもののような回転動作オーディオ・トランスデューサでは、変換機構が回転軸の比較的近くに配置されるとき、最適な効率が得られ得る。これは、不要な共振モードの最小化についての本発明の目標とよく合い、特に、振動板組立体の回転慣性の増加をあまりに大きすぎるものにせずに比較的重くてコンパクトな構成要素を介して回転軸の近くに典型的には重い励起機構を配置することによってヒンジ機構との強固な連結を可能にするという前述の観察とよく合う。実施例Aの場合には、個人用オーディオ・タイプ応用に使用するときに、例えば、コイル半径は、約2mm又は振動板本体の長さA211の約13%とすることができるが、これはオーディオ・トランスデューサのサイズ及び目的に依存し得ることが理解されよう。
最大化された振動板可動域及び共振に対する減少した感受性によって高忠実度のオーディオ再生を行うためのトランスデューサの能力を最大にするために、回転軸から測定される力発生構成要素の取り付け位置の半径と振動板本体の長さA212との比は、好ましくは0.5未満、最も好ましくは0.4未満である。これは、効率を最適化する助けにもなり得る。
力伝達構成要素がコイルである場合には、効率の検討は、やはり回転軸から測定されるとき、好ましくは、コイル半径と振動板本体の長さの比が0.1よりも大きく、より好ましくは0.15よりも大きく、さらにより好ましくは0.2よりも大きく、最も好ましくは0.25よりも大きいことを意味する。一般に、ドライバ効率及び分割を最適化するために、より大きいコイル半径が、より低い質量のコイル巻き線とよく合う。
トランスデューサ基部構造
振動板構造A1300及び振動板基部構造A222を備える振動板組立体A101は、オーディオ・トランスデューサを形成するようにトランスデューサ基部構造A115に回転可能に接続されるように構成される。
図A1a~図A1bに示された実施例Aのオーディオ・トランスデューサは、高い比弾性率特性を有する1つ又は複数の構成要素/部分から構成されるトランスデューサ基部構造A115を有する。これの主要な利益は、構造が比較的より堅く及び比較的より軽いので、基部構造A115に固有である共振周波数が、比較的高い周波数で生じることである。この好ましい実施では、基部構造A115は、磁石本体A102と、磁石本体A102の対向した側に接続される対向し隔てられたポール・ピースA103及びA104とを備えた電磁石駆動機構の一部を備える。ポール・ピースは、その場でコイル巻き線A109の長辺A204の近傍/近くに磁束を向け、それを囲むように構成して、それによって巻き線と動作可能に協働し、駆動機構を形成する。
細長い接触バーA105は、ポール・ピース間に形成された間隙内の磁石本体にわたって横に延びる。接触バーA105は、オーディオ・トランスデューサの接触ヒンジ組立体の一部を形成し、磁石本体に一方の側で接続されると共に、反対側に振動板組立体A101のシャフトA111がある接触ヒンジ組立体の他の部分に接続される。本実施例の接触ヒンジ組立体は、本明細書のセクション3.2に詳細に説明されており、これは、参照により本明細書に組み込まれ、簡潔のために繰り返されない。接触バーA105は、振動板組立体A101を接続する側に比べて磁石A102を接続する側でより大きい接触面面積を有するように形成される。
1対のデカップリング・ピンA107及びA108は、磁石本体A102の両側から横に突出し、その場で基部構造A105を関連したハウジングに枢動可能に接続するように構成されたデカップリング・システムの一部を形成する。本実施例のデカップリング・システムは、本明細書のセクション4.2に詳細に説明されており、これは、参照により本明細書に組み込まれ、簡潔のために繰り返されない。
実施例Aの好ましい構成では、基部構造A115は、ネオジム(NdFeB)磁石A102と、鋼製ポール・ピースA103及びA104と、鋼製接触バーA105と、チタン・デカップリング・ピンA107及びA108とを備える。トランスデューサ基部構造A115の全部品は、接着薬剤、例えばエポキシ系接着剤を用いて連結される。本実施例の代替構成では、当業者に容易に理解されるように、溶接又はファスナによる締め付けなどによる他の材料及び連結方法が利用されてもよいことが理解されよう。
本実施例では、トランスデューサは、基部構造A115に対してニュートラルな回転位置へ振動板組立体A101を付勢するために振動板組立体A101に動作可能に接続された復元/付勢機構をさらに備える。好ましくは、ニュートラルな位置は、往復運動振動板組立体A101の実質的に中心位置である。本実施例の好ましい構成では、ねじり棒A106の形態の振動板センタリング機構は、トランスデューサ基部構造A115を振動板組立体A101にリンクし、トランスデューサ基部構造A115に対してつり合い位置に振動板組立体A101をセンタリングするのに十分強い復元/付勢力をもたらす。この実例では、復元機構A106は、ヒンジ組立体の一部を形成し、それは、本明細書のセクション3.2にさらに詳細に説明される。この構成では、ねじりばねが、復元力を与えるために利用されるが、代替構成では、当業界でよく知られている他の付勢構成要素又は機構が、回転復元力を与えるために利用され得ることが理解されよう。
トランスデューサ基部構造A115は、好ましくはそれが有する何らかの共振モードが、トランスデューサのFROの外側で生じるように、実質的に剛性であるように設計されている。このタイプの設計の実例は、磁石A102とポール・ピースA103及びA104とからなるトランスデューサ基部構造A115の主要部分(すなわち、基部構造の質量の大部分)が、実質的に剛性でコンパクトなジオメトリを有し、何らかの他のものよりもかなり大きい寸法はないものである。
接触バーA105は、(図A3に示されるように)エンド・タブA303でねじり棒A106に連結されており、この連結を強固なやり方で助けるために、接触バーA105は、磁石A102並びに外側ポール・ピースA103及びA104から外へ離れるように突出しなければならない。ねじり棒A106は、振動板組立体A101の側部から横に及び実質的に直交して、並びに基部構造A115の最近位の組立体A101の端部で又はその近傍で延びる。
接触バーA105の横に突出する端部は、比較的細長く、それに応じて共振する傾向がある。これらの影響を軽減するために、突出は、末端自由端に向かって先細りであり、それによって撓みが最大変位になり得るエンド・タブA303の近くで質量を減少させ、任意の変形がエンド・タブ・エリアの最大変位に結果としてなる突出の基部に向かってスクワット・バルクにより与えられる支持体の比較的剛性を増大もさせる。接着剤、エポキシ樹脂が、約3GPaの比較的低いヤング率を有するので、接触バーは、接着剤に関連した追従性を最小にするために磁石A102とのその連結で2つの異なる面内で向けられる大きい表面積も有する。
トランスデューサ基部構造A115は、振動板の一方の端部に向かってマウントされているので、振動板構造の前方及び後方両方の主面A214、A215は障害がなく、これによって気流を最大にし、空気共振を最小にするものであり、さもなければ、これは、例えば、振動板と従来の動的ヘッドホン・ドライバの磁石との間に空気が含まれるときにもたらされ得る。
代替として、図A8から図A12に示されると共に詳細に上述された構成R1の振動板構造の実例のいずれか1つは、実施例Aのトランスデューサ組立体と共に利用することができることが理解されよう。図示されていないが上記の説明から容易に明らかである他の構成R1の振動板構造も、本発明の範囲から逸脱することなく、実施例Aのトランスデューサ組立体に組み込まれてもよい。
電気音響変換応用におけるオーディオ・トランスデューサの動作中(例えば、オーディオ・トランスデューサが、スピーカ・ドライバである場合)、オーディオ信号は、ケーブル又は任意の他の適切な方法を介してコイル巻き線へ伝達され、それによって基部構造A115の磁石及びポール・ピースによって発生させられる磁界に巻き線A109を作用させる。この作用は機械的運動になり、この機械的運動が振動板構造A1300の基部に付与される。ヒンジ・システムは、振動板組立体A101が、次いで、基部構造A115に対して回転可能に振動することを可能にする。振動板構造A1300のこの振動によって、振動板A1300のいずれの側も空気圧の変化を引き起こし、それによって音が発生することになる。構成R1の振動板構造は、振動板の曲げ、ねじれ、及び/又は他の変形による不要な共振分割モードが、トランスデューサが意図したFRO、又は下側帯域限界及び上側帯域限界の少なくとも近くで排除されるように設計されている。例えば、高忠実度オーディオ・トランスデューサは、可聴周波数範囲の少なくともかなりの部分にわたって及ぶFROを有することができ、この範囲内で、構成R1の振動板構造は、不要な共振を受けない。復元機構A106は、オーディオ信号が巻き線A109によってもはや受け取られることがないときニュートラルな位置に向かって戻るように振動板組立体A101を付勢するように働く。
構成R1の振動板構造の他の実例
図A15の振動板構造のいくつかの変形例は、例えば図A8~図A12を参照して、すでに上述されている。次に、構成R1の他の例示的な振動板構造を、図G1~図G8を参照して説明する。これらの例示的な構成R1の振動板構造は、最も好ましくは、直線動作トランスデューサのために使用され、しかしながら、それらの使用は、そのような応用に限定されることは意図されていない。
構成R1の振動板構造の実例が、図G1及び図G2の実施例Gのオーディオ・トランスデューサとの関連で示されている。この実例では、振動板本体G108は、実質的に湾曲した角領域を有する長方形プリズムの形状にある。振動板本体G108の材料及び厚さは、前述のサブセクションにおいて実施例Aの振動板本体の実例との関連で上述されたようになり得る。この実例では、振動板本体G108は、軽量発泡体又は均等なコアG108、詳細には低密度ポリスチレンを備える。固体で実質的に長方形のシートの形態の垂直応力補強材G110は、それぞれの主面に設けられ、本体G108の関連した主面の形状に相補的である。さらなる補強材は、前記発泡体コアの内側に接合されると共に、振動板本体G108の冠状面G114に実質的に直交して向けられる内部せん断応力補強部材G109によって与えられる。それぞれの内部せん断応力補強部材G109は、振動板本体G108の断面形状に従って実質的に長方形である。
外側垂直応力補強材G110及び内部せん断応力補強材G109は、実施例Aのオーディオ・トランスデューサの振動板構造の実例との関連で上述されるように材料から形成される。例えば、外側垂直応力補強材G110及び内部補強部材G109は、金属又はセラミック又は高弾性繊維などの高い比弾性率を有する、プラスチックとは対照的な材料から作製される。好ましくは、垂直応力補強材は、少なくとも8MPa/(kg/m)の比弾性率、又はより好ましくは少なくとも20MPa/(kg/m)の比弾性率、又は最も好ましくは少なくとも100MPa/(kg/m)の比弾性率を有し、好ましくは、内部応力補強材は、少なくとも8MPa/(kg/m)、又は最も好ましくは少なくとも100MPa/(kg/m)の比弾性率を有する。この実例ではアルミニウム・フォイルが、使用されてもよい。さらに、外側垂直応力補強材G110及び内部補強部材G109は薄く、例えば、従来の25.4cm(10インチ)ドライバの面積と均等な面積を有する振動板について約0.08mmである。
この特定の実施例は、回転動作とは対照的に直線動作で移動し、従来のサラウンド及びスパイダ振動板サスペンション・システムによって支持される。好ましくは、内部補強部材G109は、前方と後方の両方の外側垂直応力補強材G110、並びに発泡体コアG108に固定(例えば、接合)される。好ましくは、前記内部補強部材は、実質的に平坦であるが、これは、それらがせん断変形に抵抗することを含むそれらの主要な機能を有効に実行することは厳密に必要ではない。好ましくは、外側垂直応力補強材のように、それらは、金属、セラミック、又は高弾性繊維などの比較的剛性材料から作製される。後者の場合には、好ましくは、前記繊維の少なくとも一部は、それらの主要な目的がせん断に抵抗することであるので、振動板本体の冠状面に対しておおよそ+45度及び-45度の角度で向けられるべきである。本実施例では、アルミニウム・フォイルが使用される。
代替の反せん断補強構造が、均等又は類似する役割を果たすように代わりに用いられてもよい。例えば、典型的なクレーン構造の中間部分に見られるものに類似する三角にされた支柱のネットワークが、同様に実施されよう。場合によっては、例えば、外側垂直応力補強材の構成要素との十分な連結がある限り、アルミニウム・フォイルが波形である場合、反せん断機能が、平面内で厳密に向けられていない場合でもかなり良く実行することができる。
好ましくは、エポキシ接着剤の薄い層は、接着剤が構造の性能に比例して貢献しないので、この構成要素に関連した質量を最小にするために、層間剥離を防ぐのにさらに十分であるように使用される。
内部補強部材は、(例えば、重いモータ・コイルを接続するように構成された)中央基部領域から、主面間に延びると共に中央基部領域から遠隔に配置される振動板本体の周辺側部まで延びる。中央基部領域から最遠位の振動板構造の周辺部領域は、低い周波数で共振するより大きい傾向があり、したがって前記内部補強部材の使用によってこれらにおける歪みに関連したせん断変形を最小にすることによってこの領域についての支持の構造的な完全性を最適化することが有利である。したがって、内部補強部材についてのこの向きの効果は、分割周波数が増加し、性能が最適化されることである。
この実例では、内部補強部材によって支持されていない対向した周辺側部は、重いモータ・コイル及び振動板組立体の質量中心を含む振動板構造の基部領域の近くにあり、したがって、あまり共振しない傾向がある。しかしながら、いくつかの変形例では、これらの領域は、内部補強材によって支持することもできる。
関連した振動板組立体の励起機構の部分を支持し収容するための空洞が、振動板本体の中央領域に形成される。空洞は、振動板構造の基部領域に配置される。
図G1及び図G2に示されるように、本実施例Gのオーディオ・トランスデューサは、直線動作オーディオ・トランスデューサのための振動板を備えるスピーカ・ドライバに存する。振動板は、(図G1cに示されるように)従来のフレキシブル・サラウンドG102及びスパイダG105を備える振動板サスペンション・システムによって支持される。振動板構造G101は、前方と後方の両方の外側垂直応力補強材G110、及びコアG108に接合される軽量発泡体コアG108内に埋め込まれる内部補強部材G109を備える。この構成が、上述したように従来の振動板に影響を及ぼす振動板分割の観点で一次制限ファクタに対処するのに専用であり且つ最適化されている構造を備えるので、この構成は、改善された分割挙動をもたらす。この構造は、共生的に共に働き、主要/主/大規模振動板の分割共振モードに関連した引張/圧縮変形は、主として外側垂直応力補強材G110が受け、この外側垂直応力補強材は、かなり大きい最大限の物理的セパレーションを有し(すなわち、セパレーションは、振動板の完全な厚さであり)、したがってIビームの原理により、振動板の曲げスティフネスが増加し、そのようなモードに関連したせん断変形は、主として内部補強部材G109が受け、内部補強部材G109は、せん断荷重を前記発泡体コアの大きいエリアに伝達するようにも働き、それによって局所的な発泡体ブロビング共振モードに対してそれを支持するのを助け、発泡体コアG108は、前記外側垂直応力補強材G110及び内部補強部材G109の座屈及び局所的な横共振を最小にするように働き、動作中に空気をやはり変位させる。
オーディオ・トランスデューサは、永久磁石A104と、磁石の1つ又は複数の面に沿って又はその周囲に延びる内側ポール・ピースG10と、磁石の1つ又は複数の面に沿って又はその周囲にやはり延びる外側ポール・ピースG106とを備えた実質的に厚く及びコンパクトなジオメトリのトランスデューサ基部構造をさらに備える。内側ポール・ピース及び外側ポール・ピースは隔てられ、それによってトランスデューサの力発生構成要素G112を受け入れるチャネルをそれらの間に与える。前者又は他の振動板基部フレームG111は、トランスデューサ基部構造に向かって振動板構造の中央基部領域に接続され、そこから横方向に延びる。本実施例における1つ又は複数のコイルG112を備える力発生構成要素は、きつく巻かれ、トランスデューサ基部構造に隣接した基部フレームの端部に強固に接続される。振動板基部フレームG111は、実質的に剛性材料から形成され、かなり細長く、円筒形形状を備えることができる。基部フレームの一方の端部は、内部補強部材G109に強固に、又はさもなければ外側補強G110に、又は振動板コアG108に、又はそれらの任意の組み合わせに接続することもできる。
基部フレームG11、コイル、及び振動板構造は、振動板組立体を形成する。コイルは、動作中にその場で励起を引き起こす磁石のポール・ピース間に形成されたチャネル内に延びる。振動板組立体は、フレキシブル・サラウンド部材G102及びフレキシブル・スパイダG105によってエンクロージャ又はバッフルG103などのハウジングに対してその周辺部の辺りに支持される。スパイダ及びサラウンドは、振動板組立体の長さの部分全体に実質的に沿って延びる。サラウンドG102は、振動板構造の周辺縁部に一方の端部で固定連結されると共に、ハウジング(エンクロージャ又はバッフル)G103の内側周辺縁部に対向する端部で固定連結される。スパイダG103は、振動板基部フレームに一方の端部で固定連結されると共に、ハウジングG103の内側周辺部に対向する端部で固定連結される。振動板サスペンションは、コイルG112によって受け取られる電気信号に応じて振動板組立体が往復運動するように振動板サスペンションが動作中に撓むようにかなりフレキシブルである。
図G3~図G5は、この実例の垂直応力補強材の変形例を示す。これらの変形例では、外側垂直応力補強材G110の量/質量は、関連した主面の縁部の近位の領域で減少させられる。例えば、図G3の変形例において、垂直応力補強材の幅は減少させられ、三角形の空隙又は切欠きは垂直応力補強材のどちらの端部にも配置される。三角形の空隙は、垂直応力補強部材G110の中心に向かって先細りしている。図G4の変形例では、2つの追加の三角形のアパーチャは、両側に且つそれぞれの三角形の空隙に隣接して形成される。図G5の変形例では、垂直応力補強材は、三角形の空隙及びアパーチャに隣接した末端領域G502の厚さを減少させ、それによってこれらの外側領域内の垂直応力補強材の量/質量がさらに減少する。これらの変形例のそれぞれにおいて、空隙及びアパーチャは、弧状、環状等などの代替形態をとることができることが理解されよう。図G5の変形例において、厚さの減少は、G503で段がつけられているが、これは、代替として、他の実施例において徐々とすることができることも理解されよう。
構成R1の振動板組立体G600のさらに別の実例が、図G6に示されている。この実例では、本体は、台形のプリズム形状を備える。振動板本体G108の材料及び厚さは、図G1及び図G2の実例との関連で上述されたようになり得る。本実例では、振動板本体のどちらかの対向した主面上の垂直応力補強部材G601は、形態が異なる。第1の垂直応力補強部材G601は、関連した上側主面の形態に対応するように実質的に平らで平坦である。対向した面上の第2の垂直応力補強部材G601は、関連した下側主面の形態に対応するように(中央面から外の方へ延びる4つの傾斜した面を有する)中空の台形のプリズム形状を備える(本実施例では、4つ全ての傾斜した下側面及び上側面は、主面と考えられることに留意されたい)。内部補強部材G603は、振動板本体G602の断面形状に対応するように実質的に台形を備える。
図G7及び図G8は、本実例の垂直応力補強材の変形例を示す。これらの変形例では、外側垂直応力補強材G601の量/質量は、関連した主面の縁部の近位の領域G602で減少させられる。例えば、図G7の変形例において、上側垂直応力補強部材の幅は減少させられ、三角形の空隙又は切欠きはどちらの端部にも配置され、垂直応力補強材及び2つの追加の三角形のアパーチャは、両側に且つそれぞれの三角形の空隙に隣接して形成される。下側垂直応力補強部材は、省かれた2つの対向した傾斜した面を有する。2つの他の対向した傾斜した面は、それらの末端に形成された三角形の空隙を有し、2つの追加の三角形のアパーチャは、両側に且つそれぞれの三角形の空隙に隣接して形成される。
図G8の変形例では、垂直応力補強部材は、一連の支柱を備える。上側主面に沿った支柱は、主面の縦縁部に実質的に平行に及びその遠位で延びる1対の縦支柱を備える。そして、1対のクロス支柱は、どちらかの端部に配置され、1対の縦支柱間に延びる。振動板本体の下面に、垂直応力補強材は、1対の対向した角度面のそれぞれ1つに1対の横に並んだ三角形の歯を含む封止形状を形成する一連の支柱と、角度面間でそれぞれの角度面の歯に連結する中央面の縁部に沿って延びる1対の縦支柱とを備える。この変形例では、垂直応力補強材は、段G802を介して末端領域G801内で厚さが減少し、それによってこれらの外側領域における垂直応力補強材の量/質量をさらに減少させる。これらの変形例のそれぞれにおいて、空隙及びアパーチャは、弧状、環状等などの代替形態をとることができることが理解されよう。図G8の変形例では、厚さの減少がG802で段をつけられているが、代替としてこれは、他の実施例において徐々であってもよいことがやはり理解されよう。
代替として、図G3から図G8に示されると共に詳細に上述された構成R1の振動板構造の実例のいずれか1つは、実施例Gのトランスデューサ組立体と共に利用されてもよいことが理解されよう。図示されていないが上記説明から容易に明らかである他の構成R1の振動板構造は、本発明の範囲から逸脱することなく実施例Gのトランスデューサ組立体に組み込むこともできる。
次に、構成R1のサブ構造である様々な振動板構造の構成を、実例を参照して詳細に説明する。別段の定めがない限り、セクション1.2に上述された構成R1の振動板構造の特徴及び可能な変形例は、以下のサブ構造のそれぞれにも当てはまる。そのような共通の特徴及び可能な変形例は、簡潔及び明確のためにそれぞれのサブ構造について再び説明されない。特定のサブ構造設計の特徴だけが、以下のセクションに説明されるように限定されることが意図されている。
2.2.2 構成R2~R4振動板構造
多くの振動板は、均一なプロファイル及び構造を有している。
いくつかの剛性接近型振動板設計では、電磁コイル又は他の重い励起構成要素を含む振動板組立体の主なバルク/質量がしばしば配置される、ベース領域から遠隔及び/又は遠位にある振動板構造の支持されていない外縁又は周辺領域は、主な分割共振モードの励起に起因して比較的大きな距離を移動する傾向があり、これらのゾーンの質量は、望ましくない主な振動板共振モードの周波数を不均衡に制限/低減する可能性がある。したがって、そのような領域における不必要な質量は、振動板の破損に影響を及ぼし得る他の制限因子である。
各主要面又は全ての主要面のこのような遠位端部領域における外側垂直応力補強材の量を減少させることは、補強材料の減少にもかかわらず、そのような戦略的な場所における質量の減少が一連の支持構造の負荷を軽減するので、振動板構造の質量を低減し、主な振動板分割共振モードの周波数を増加させるというウィン-ウィンの利益をもたらし得る。
コアせん断を低減するために内側補強部材と組み合わせて使用すると、2つの制限要因を同時に排除することによって、振動板分割性能を大幅に改善することができる。
構成R2~R4の振動板構造について、様々な実例を参照してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実例に限定されるものではないことが理解されるであろう。別段の記載がない限り、本明細書における構成R2~R4の振動板構造への言及は、当業者には明らかであるように、記載された以下の例示的振動板構造のうちのいずれか1つ、又は記載された設計特徴を含む任意の他の構造を意味するものと解釈される。
構成R2
本発明の振動板構造の構成は、望ましくない共振の問題に対処するように設計されたものであり、図A1、A2及びA15に示される第1の実例を参照して説明される。この振動板構造の構成は、ここでは構成R2と呼ばれる。構成R2の振動板構造は構成R1のサブ構造であり、構成R1の構造に組み込まれている多くの特徴が構成R2の構造にも組み込まれる。構成R2の振動板構造は、(構成R1のように)コアせん断の問題に対処し、振動板本体又は構造の周囲/周辺又はその近傍の領域において、特に振動板構造のベース領域から遠位の1つ又は複数の周辺領域において、構造の質量を低減して振動板構造内の質量分布を最適化することによって、改善された振動板分割性能を提供する。言い換えれば、振動板構造は、ベース領域又はそれに近接する領域の振動板構造の質量と比較して、ベース領域から遠位にある1つ又は複数の周辺領域に少ない質量を含む。本明細書において、別段の記載がない限り、振動板本体又は振動板構造の周辺部又は外周部への言及は、主面の集合周縁部、周縁部に直接隣接して周縁部に近接する主面の領域、及び主面の周縁部を接続することができる任意の側面、を含む振動板本体の主面の周りの境界全体を意味することを意図している。本明細書において、別段の記載がない限り、振動板本体又は振動板構造の周辺領域又は外周領域への言及は、それぞれ振動板本体又は振動板構造の周辺部内の領域を意味することが意図され、周辺部の一部又は全部を含み得る。構成R2では、振動板構造の周囲/周辺領域における振動板構造の質量の減少は、それらの領域における外側垂直応力補強材の質量の減少を介して達成される。したがって、構成R2は、振動板本体の少なくとも1つの主面に隣接して結合された外側垂直応力補強材の量及び/又は質量が、(振動板構造A1300を組み込んだ振動板組立体A101の質量中心A218が示されている)ベース領域A222から遠位又は遠隔にある主面の1つ又は複数の周縁部で又はそれに向かって減少することを除いて、構成R1と同様である。これに関連して、振動板組立体A101は、振動板構造A1300と、オーディオ・トランスデューサ組立体に組み込まれたときに振動板構造にしっかりと接続され、振動板構造と一緒に動く全ての他の部品とからなることを意図している。好ましくは、ベース領域から離れた1つ又は複数の周縁部は、質量中心位置から最も離れた1つ又は複数の縁部である。構成R1と同様に、コアせん断問題に対処するために構成R2の振動板構造に内部補強材が採用される。以下の実例では、1つの主面に対して垂直応力補強材の形態が参照される。別段の記載がない限り、最も好ましい構成では、この形態は、振動板構造の任意の他の主面に又はその近傍に配置された垂直応力補強材にも適用されることが理解されるであろう。
構成R2の振動板構造A101の第1の実例が、図A1、A2及びA15に示されている。特に図A2a及びA2bを参照すると、この実例では、1つ又は複数の(好ましくは全ての)垂直応力補強支柱A206及びA207の質量は、振動板構造A1300のベース領域A222から最も遠位にある関連する主面の周縁部又はその近位にある振動板構造A1300の領域における各支柱A206、A207の幅を減少させることによって、減少する。換言すれば、減少した質量の領域は、振動板構造を組み込んだ振動板組立体のベース領域A222又は質量中心A218に対して最遠位領域に位置する。振動板組立体は、上述したように振動板構造A101と振動板ベース構造A222とを含む。この特定の例では、振動板ベース構造A222は、上記のセクション2.2.1に記載されているように、ヒンジ組立体のコイル巻線A109、スペーサA110及びシャフトA111を含む(ただし、代替でこれらの部品の1つ又は複数の任意の組み合わせを含み得る)。この実例では、質量中心は、コイルA109、スペーサA110及びスチール・シャフトA111を含む振動板ベース構造A222が振動板構造A1300の残りの部分に対して比較的大きな質量であるために、振動板構造A1300のより厚いベース端部に近接して位置する。このように、減少した質量を有する垂直応力補強材の領域は、テーパ状の振動板本体A208の最も薄い領域、すなわち振動板構造A1300の遠位自由端に近接して配置される。したがって、この構成では、好ましくは、各主面の垂直応力補強材は、振動板構造のベース領域A222から遠位の周辺縁部領域に比較的低い質量を含み、ベース領域又はその近傍の領域に比較的高い質量を含む。この実例では、各主面の垂直応力補強材は、振動板構造のベース領域A222から遠位の領域では比較的小さい幅を有し、ベース領域又はその近傍の領域では比較的大きい幅を有する。本明細書では、別段の記載がない限り、振動板本体の主面の周辺縁部領域への言及は、関連する主面の周縁部に位置し、直接的に隣接して近接する領域を意味することを意図している。
図2Aa及びA2bに示すように、この実例では、A216において、垂直応力補強支柱A206、A207の幅の減少が階段状に生じるが、代わりに、幅の減少は、支柱の長さにわたって緩やかに及び/又はテーパ状になってもよいことが理解されるであろう。さらに、階段領域A216は、振動板本体A208の長手方向長さのほぼ中間に位置している。しかし、これは設計上の問題であり、所望の共振応答、使用される材料、及び振動板本体の設計を含む多くの要因、並びに関連する技術分野の当業者には明らかであろう多数の他の要因に依存することが理解されるであろう。
支柱A206、A207の幅の減少は、関連する領域の質量を低減するために厚さも減少してよいし、幅の減少の代わりに厚さを減少してよい。さらに、減少は、関連する領域の支柱に使用される材料を変更することによって達成され得るが、これは実施することがより困難であり得ることが理解されるであろう。
構成R2構造の第2の実例を図A9に示す。この実例では、1つ又は複数の窪み部A902が、(第1の実例について上述したように)ベース領域A222から遠位にある領域の各主面の垂直応力補強部材A901に形成されている。垂直応力補強材がない領域A902は、動作中に所望の共振応答を達成するのに必要な任意の形状とすることができる。示された実例では、窪み部A902は、切断された楕円である。質量の減少は、ベース領域A222からの距離の関数として増加する。窪み部A902は、例えばテーパ状に形成されており、ベース領域A222から最遠位領域において幅が広くなっている。いくつかの変形例では、窪み部は長方形、三角形、又は任意の他の形状を含むことができる。同様に、窪み部の数は、所望の共振応答及び用途に従って変更することができる。図A10は、例えば図A9の振動板構造の変形例を示しており、単一の切断円/楕円の窪み部A1002が振動板本体の幅のかなりの部分にわたって延びている。
図A11は、構成R2の振動板構造の他の実例を示している。この実例では、各主面に隣接する垂直応力補強板は、振動板構造のベース領域A222に近接して増加した厚さA1101の領域と、振動板構造のベース領域に対して遠位にある減少した厚さA1102の領域とを含む。厚さの減少はA1103で階段状になっているが、この実例の変形例では緩やかに又はテーパ状になり得ることが理解されるであろう。質量の減少は、いくつかの変形例では、ベース領域A222から最遠位領域においてテーパ状となり、増加してもよい。また、階段A1103は、振動板本体の長さに沿ったほぼ中間に配置されているが、前述のベース領域A222から十分に遠位の任意の他の領域にあってもよいことが理解されるであろう。図A12は、(補強板の代わりの)補強支柱A1201、A1202で厚さの減少が生じるこの実例の変形を示している。ここでもまた、減少はA1203で段階状になっているが、緩やかに又はテーパ状になっていてもよく、減少は振動板本体の長さに沿って中間で生じているが、前述のベース領域A222から十分遠位の他の領域に位置してもよい。
構成R2の振動板構造はまた、外側垂直応力補強材G301の量が、位置及び振動板組立体の質量中心も示される中心ベース領域から離れた周囲/周縁部に向かって減少することを除いて、図G1に示すものと同様の振動板を有する図G3に示すオーディオ・トランスデューサの実施例内にも例示されている。この実例では、振動板本体の周囲に隣接し、振動板構造のベース領域から最遠位領域の各主面の垂直応力補強板に窪み部が形成される。さらに、中央ベース領域のより近位に位置する主面の縁部に隣接する各垂直応力補強板のいずれかの側G303において、垂直応力補強材は省略される。窪み部は、ベース領域から最遠位領域において幅が増加するようにテーパ状になっている。この実施例では、端部窪み部G304は三角形であるが、他の形状であってもよい。いくつかの変形例では、窪み部は実質的に一定の幅を有することができる。この実例では、振動板組立体のベース領域/質量中心は、振動板本体のほぼ中心に位置するモータ・コイルG112及びコイル形成体G111に近接して配置される。このようにして、垂直応力補強材の質量は、振動板本体の関連する主面の周囲/周縁部の領域で、好ましくは均等に減少する。
この実例では、各外側垂直応力補強板G301は、一定の厚さであり、図G1の実施例と同じ厚さであり、この場合、外側垂直応力補強材G301の減少は、コイル形成体G111に取り付けられたコイルG112から最も遠い縁に向かって増加する補強材除去によって生じる。
外側垂直応力補強板G301の一部は、内側せん断応力補強部材G109の中間に位置する縁領域G304から除外される。これは、外側垂直応力補強材G301の上記の部分に関連する質量を減少させる目的、及び上記の部分を発泡体コアG108に取り付けるために使用される接着剤を減少させる目的を果たす。
上記の垂直応力補強材G301が質量を最小にするために表面の一部から省略された場合、振動板表面の残りの部分を露出したままにするか、又は少なくとも任意のコーティングを塗料の薄い塗膜のように非常に軽量にすることが、質量減少を最大にするので好ましい。
外側垂直応力補強材料G301の量の減少は、隣接する内側補強部材G109の間の局部領域における振動板の曲げに対する抵抗を減少させるが、この距離は短く、局部的な振動板共振における関連する悪影響は、質量の減少及び曲げモード変形及びせん断モード変形の両方の影響の関連する減少によって相殺される。場合によっては、正味の効果は、局部的な「ブローブ」共振の観点で正味の改善である場合がある。
振動板全体の曲げのような非局部的な共振を見ると、再び、外側層垂直応力補強材G301の減少による曲げモード変形に対する抵抗が減少するが、これは、外側層が省略された領域は内側補強部材G109に接続されていないためこの領域における振動板全体の曲げに対して比較的効果が低いこと、及び、外側周辺縁部領域における質量の減少、によってある程度相殺される。
各主面のこの周辺縁部領域は、振動板の残りの大部分及び重い励起機構、この場合は振動板の中央に取り付けられたモータ・コイルから離れた位置が主な分割共振モードの励起の下で比較的大きな距離を移動する傾向があることを意味するから、重要である。周辺縁部領域の負荷を軽減すると、振動板分割が過度に減少し、また、振動板の質量が減少するというウィン-ウィンの利益を提供する傾向がある。
なお、この振動板構造の場合、抗せん断内側補強部材G109の存在により、外側垂直応力補強材料/層が省略されていない縁領域は、外側層が省略された縁領域と比較して、局部的な共振の影響を受けにくい。言い換えると、各窪み部G108の外周部は、内側応力補強材に直接隣接して接続されるか、又は隣接して配置され、それによって、垂直応力補強材を含む主面の周辺縁部領域を補強する。また、外側垂直応力補強材G301は、共生効果を高めるために内側補強部材G109に強固に接続されることが好ましい。これらの理由から、垂直応力補強材G301は、内側補強部材G109に対して真上ではなく隣接する又はその間に位置する周辺縁部領域において省略されることが好ましい。
図G4は、図G3の構成R2の振動板構造の他の変形例を示している。この実例では、各垂直応力補強板G401の対向する縁領域に複数の窪み部が形成され、縁領域に向かって外側にテーパ状になる支柱が残る。
図G5は、図G3の構成R2の振動板構造のさらに他の変形例を示している。この実例では、振動板構造は、外側垂直応力補強材の厚さも中央ベース領域から離れた周囲/周縁部に向かって減少する点を除いて、図G4に示されているものと同様である。垂直応力補強部は、位置G501で比較的厚くなっており、位置G503において、窪み部に隣接する比較的薄い部分G502に向けて階段状になっている。この構成は、例えば、厚い領域G501と薄い領域G502とを組み合わせた単一の構成要素を用いるか、又は、一方の構成要素が領域G502に延び、他方の構成要素が位置G503で止まる2つの積層構成要素から作ることができる。厚さの減少は、他の実例では、関連する主面の周縁部に向かって減少するように、階段状又は代わりに緩やかに/テーパ状にすることができる。
図G3、G4及びG5に示すように、(振動板構造が振動板組立体の一部である場合の励起機構及び/又は質量中心位置が示されている)ベース領域から離れた周辺縁部領域に向かう外側垂直応力補強材の量の低減は、例えば、外側垂直応力補強層の薄化、特定のゾーン/領域からの外側垂直応力補強層の省略、支柱の狭小化、補強材のテーパ化、及び当業者には容易に明らかであろう質量減少の他の可能な方法によって行い得る。さらに、振動板構造は、質量が主面の縁部にさらに近づくにつれて減少する周辺縁部領域において、テーパ状の質量の減少を含むことができる。これは、窪み部の幅の増加、又は補強板の厚さのテーパ化、又は例えば補強支柱の厚さ及び/又は幅のテーパ化によって行われてもよい。また、質量が減少した周辺縁部領域は、内側応力補強材に直接隣接するか又はその上に配置される主面の領域に隣接するか、又は主面の領域の間、換言すれば、振動板構造の内側応力補強部材に直接隣接して又はその上に位置する垂直応力補強材を含む周辺領域に位置することが好ましい。
図G7及びG8は、本発明の構成R2の構造の2つのさらなる実例を示している。これらの実例では、外側垂直応力補強材G601の量/質量は、領域G602において又は関連する主面の周辺縁部領域の近傍において減少する。例えば、図G7の変形例では、上部垂直応力補強部材の幅が減少され、垂直応力補強材の両端部に三角形の窪み部又はノッチが配置され、2つの追加の三角形のアパーチャ/窪み部が両端部に各三角形窪み部に隣接して形成される。(振動板本体の3つの主面にわたって延びる)下部垂直応力補強部材は、省略された2つの対向する傾斜面を有する。2つの他の対向する傾斜面は、それらの終端に形成された三角形の窪み部を有し、2つの追加の三角形のアパーチャが両端部に三角形の窪み部に隣接して形成される。このようにして、窪み部は、ベース領域から遠位にある関連する主面の隣接領域の垂直応力補強材の質量を減少させる。外側領域は、この構造を組み込んだ振動板組立体のモータ・コイルG112及び形成体G111が配置されるベース領域から遠位の領域である。
図G8の実例では、垂直応力補強部材は、一連の支柱を含む。上部主面に沿った支柱は、主面の長手方向縁部に対して実質的に平行且つ遠位に延びる一対の長手方向支柱を含む。一対のクロス支柱は、両端部に配置され、一対の長手方向支柱の間に延びる。振動板本体の下面において、(3つの主面にわたって延びる)垂直応力補強材は、対向する一対の傾斜面のそれぞれにおいて隣接する一対の三角形の歯、及び、傾斜面の間の中央面の縁部に沿って延び、各傾斜面の歯に接続する一対の長手方向支柱、を含む囲まれた形状を形成する一連の支柱を含む。この変形例では、垂直応力補強材は、周辺縁部領域G801において段差G802を介して厚さが減少しており、それにより、ベース領域から遠位のこれらの外側領域における垂直応力補強材の量/質量をさらに減少させる。ベース領域は、振動板構造とモータ・コイルG112と形成体G111とを含む振動板組立体の質量中心が示される領域である。これらの実例のそれぞれにおいて、窪み部及びアパーチャは、弧状、環状などの代替の形態を取ることができることが理解されるであろう。また、図G8の実例では、厚さの減少がG802で段階的に行われているが、他の実施例ではこれは代替的に緩やかであってもよいことが理解されるであろう。
図A9は、単一振動板回転動作の振動板組立体に実装された構成R2の一実例である実施例A9を示している。図D1は、マルチ振動板回転動作の振動板組立体に実装された構成R2の一実例である実施例D1を示している。
構成R3
本発明のさらなる振動板構造の構成は、振動板先端部におけるコアせん断変形及び高質量に起因する共振問題に同時に対処するように設計されたものであり、図A1及びA2に示される第1の実例を参照して説明される。この振動板構造の構成は、ここでは構成R3と呼ばれる。構成R3の振動板構造は構成R1のサブ構造であり、構成R1の構造に組み込まれている多くの特徴が構成R3の構造にも組み込まれる。構成R3の振動板構造は、構成R1に従った振動板構造で構成され、振動板構造のベース領域から遠位にある振動板本体の1つ又は複数の周辺部領域は、振動板本体の残りの部分及び/又は振動板構造のベース領域の近位にある領域に対して厚さが減少している。これは、構成R2の構造の場合と同様に、質量中心から離れた領域内の振動板構造の質量を減少させる効果がある。構成R3の最も好ましい実施では、振動板構造のベース領域から遠位又は遠隔にある1つ又は複数の周辺部領域は、ベース領域に近接する領域に対して減少した厚さを含む。図A1、A2及びA15に示される実施例Aのオーディオ・トランスデューサの実例では、振動板構造A1300はくさび形であり、厚い端部A1300bから薄い端部A1300aまで本体の長さに沿って厚さがテーパ状になる。厚さの減少/テーパは、緩やかに連続的であるが、代わりに階段状であるか、又は他の任意のプロファイルを含むことが好ましく、及び/又は、テーパは本体の長さに沿った途中であり必ずしも周辺領域に位置するとは限らない領域で始まってもよい。厚さが減少した周辺領域は、好ましくは、振動板構造のベース領域から最も離れている領域である。この実例では、ベース領域A1300b又はその近傍にあり振動板ベース構造に結合するように構成された振動板本体A208の一端は、ベース領域から遠位の対向する端部領域A1300aよりも厚い。
実施例Aの実例では、振動板本体のベース領域A1300bと、ベース領域から最も遠い対向する周辺領域A1300aとの間の厚さのエンベロープ又はプロファイルは、振動板本体の冠状面に対して少なくとも約4度の角度をなしており、より好ましくは、振動板本体A208の冠状面に対して少なくとも約5度の角度をなす。例えば、図A2fに示す角度A223は、振動板構造A1300の主面A214が、冠状面A213に対して約7.5度の角度をなすことを示している。
構成R3の振動板構造の他の実例が、図G6に示すオーディオ・トランスデューサの実施例に関連して示されている。振動板本体G602は、(振動板構造に結合されたモータ・コイルG112及び形成体G111を含む振動板組立体ベース構造における又はこれの近位における)振動板構造の中央ベース領域から遠位にある厚さが減少した1つ又は複数の周辺領域を含む。上述したように、厚さの減少は、これらの遠位領域における振動板構造の質量を減少させる。振動板本体は、本体がテーパ状になり、中央ベース領域から外側に向かって厚さが減少する切断台形形状を含む。この実例では、全ての周辺領域からなる全周囲は、比較的厚い、好ましくは最も厚い振動板本体の一部分を含む中央領域に対して減少した厚さを含む。
構成R3の振動板構造は、ベース領域から遠位(好ましくは最も遠位)の領域の振動板構造の質量を減少させることによって構成R2の振動板構造によって達成されるのと同様の結果を達成する。両方の実例では、コア材料のせん断によって促進される縁部付近のコア曲げ及び/又はコアブローブ共振によって促進される局部的な横方向の共振(これらのモードは、この場合同じものに組み合わされる傾向があり得る)に対して外側垂直応力補強材(例えばG601)及びコア(例えばG602)自身の質量をジオメトリが支持できないので、周辺領域を薄くし過ぎないのが好ましい。言い換えれば、構造は、これらの周辺領域において実質的に堅いままであることが好ましい。内側補強部材(例えば、G603)は、コアせん断問題に対処する。
構成R4
次に、本発明の構成R1の振動板構造のさらに他のサブ構造について説明する。この振動板構造は、ここでは構成R4と呼ばれ、関連する構造のベース領域の遠位の1つ又は複数の周辺領域における振動板本体の振動板薄化、及び、構造のベース領域(基本的に構成R2と構成R3の振動板構造の組み合わせ)から遠位の主面の周辺縁部領域又はこれに隣接する領域における少なくとも1つの主面の外側垂直応力補強質量の減少、の両方を採用することによって、構成R2及びR3よりもより包括的に同じ共振源に対応する。
ベース領域から遠位の周辺縁部領域における垂直応力補強材の低減された質量は、振動板本体の支持すべき関連する周辺領域の質量がより少なくなることを意味し、これは、振動板本体の周辺領域をより薄くすることができ、相乗効果が得られることを意味する。構成R4は、くさび形状の振動板本体構造の図A1/A2、A9、A10、A11、A12に示す振動板構造に例示されており、台形プリズム振動板本体構造の図G7及びG8に示す振動板構造にも例示されている。垂直応力補強材の形態は構成R2において詳細に説明されているので、簡潔にするために繰り返さない。同様に、これらの実例の振動板本体質量の減少は構成R3において詳細に説明されているので、簡潔にするために繰り返さない。これらの実例の全てにおいて、垂直応力補強材の質量の減少及び振動板本体の質量/厚さの減少は、振動板構造を組み込んだ関連する振動板組立体の質量中心位置を表すベース領域から遠位(好ましくは最も遠位)の振動板構造の同じ周辺領域に存在する。
これは例えば、図G7に示される実施例において、外側垂直応力補強材G701の一部分が質量を減らすために省略され、特に内側補強部材G603の間の途中に位置する周辺縁部領域から除外されている点を除いて、図G6に示される実施例と同様である。これは、外側層G701の上記の部分に関連する質量、及び、上記の部分をコアG602に取り付けるために使用される接着剤に関連する質量を、臨界端部領域から低減する目的を果たす。正味の効果は、周辺領域における質量の減少であり、その結果、振動板本体コアG602は、自重を支持するだけでよい。
構成R2に関して先に説明したように、これは、垂直応力補強材G701の一部を省略する場合に、内側補強部材G603の間の領域で生じることが好ましい。
構成R4の振動板構造の重要な目的は、振動板分割共振モードに伴う悪影響の軽減であるが、振動板周辺領域の薄化及び周辺縁部領域からの補強材料の除去には、振動板の全体の質量が減少し、ドライバ効率が向上するという追加の効果がある。
2.3構成R5~R7オーディオ・トランスデューサ
コーン膜型及びドーム膜型の振動板を有する従来のスピーカは、多くの膜型共振モードの深刻な影響を受け、これはモードの励起を最小限に抑えるために製造精度のバランシング及び改善などの技術によって対処される場合があり、また、プラスチック、コーティング又はスライスされた紙、シルク、ケブラーのような振動板材料を使用して減衰させることによっても対処される場合もある。
「振動板周囲」構成要素は、従来の薄膜型の振動板で次の重要な役割を果たす。1)薄い振動板端部を支持して、曲がったときに周囲構成要素に触れないようにし、2)振動板は「ゴング」モードのような特定の共振に対する抵抗の観点で剛性が低い場合があるので共振を減衰する。
従来の周囲及びスパイダ振動板サスペンション構成要素は、問題のある3ウェイ設計の妥協を生み出し、振動板の可動域の増大又は振動板の基本共振周波数の減少の要求はそれぞれ、より広いより緩いサスペンション構成要素をもたらし、これによりスピーカの周波数帯域幅の上端で共振の問題が増加する。簡単に言えば、これは、バスの改善が望ましくない共振の増加をもたらすことを意味する。
それにもかかわらず、振動板周囲サスペンション構成要素は、非膜型の振動板の範囲との組み合わせを含み、遍在している。
しかしながら、この共生効果は、従来の周囲が厚く剛性のある設計アプローチの振動板と組み合わされている場合には当てはまらない。
実質的に剛性の振動板構造を周囲構造と実質的に物理的に連結しない外周領域と組み合わせたオーディオ・トランスデューサは、いくつかの利点を提供する。第1に、振動板の周辺領域は、もはや周囲を支持する必要がなく、比較的軽い自重質量を支持するだけでよいので、剛性を低くし、より軽量にすることができる。中間振動板領域は、周囲も除去された周辺領域の質量の構成要素も支持する必要がなくなるため、大幅に軽量化することができる。振動板のベースは、もはや周囲を支持する必要がなく、除去された周辺領域の質量の構成要素も、除去された中間領域の質量の構成要素も支持する必要がなくなるので、より軽量化することができる。他の場所での質量の減少のために電磁コイルを軽量化することができる。回転動作振動板の場合、ヒンジ機構には少ない質量しかかからないので、支持が改善される。
これらの特定された原理を使用して上に述べたいくつかの欠点に対処するように設計された様々なオーディオ・トランスデューサ構成を、いくつかの実例を参照して説明する。以下のオーディオ・トランスデューサの構成を、ここでは簡潔にするために構成R5~R7と呼ぶ。構成R5~R7オーディオ・トランスデューサについて、実例を参照してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実例に限定されるものではないことを理解されたい。特に明記しない限り、本明細書の構成R5~R7のオーディオ・トランスデューサへの言及は、当業者には明らかであるように、以下の例示的に説明されるオーディオ・トランスデューサのいずれか1つ、又はこれらの構成の説明された設計特徴を含む他のいずれかのオーディオ・トランスデューサを意味するものと解釈される。
自由周辺部
構成R5~R7の各オーディオ・トランスデューサにおいて、オーディオ・トランスデューサは、トランスデューサの周囲構造と物理的に連結されていない1つ又は複数の周辺領域を有する振動板構造を有する振動板組立体に含まれる。
この文脈で使用される「物理的に連結されていない」という句は、振動板構造の周辺部の関連する自由領域とハウジングとの間に直接的又は間接的に物理的に連結されていないことを意味することを意図している。例えば、自由領域又は非連結領域は、好ましくは、直接、或いは固体の周囲要素、固体のサスペンション要素、又は固体の封止要素のような中間固体構成要素を介してハウジングに連結されず、それらが吊り下げられる又は間隙によって通常は吊り下げられる構造から分離されている。間隙は、好ましくは、気体間隙又は液体間隙のような流体間隙である。
さらに、この文脈におけるハウジングという用語は、振動板構造の少なくとも実質的な部分をその間又はその内部に収容する任意の他の周囲構造も包含することを意図している。例えば、振動板構造の一部又は全体を取り囲むバッフル、又はオーディオ・トランスデューサの他の部分から延び振動板構造の少なくとも一部を囲む壁さえも、この文脈では、ハウジング又は少なくとも周囲構造を構成し得る。したがって、物理的に連結しないという句は、場合によっては、他の周囲固体部品との物理的な関連がないと解釈することができる。トランスデューサのベース構造は、このような固体周囲部品と考えることができる。例えば、本発明の回転動作の実施例では、振動板構造のベース領域の一部は、関連するヒンジ組立体によってトランスデューサ・ベース構造に対して物理的に連結され吊り下げられていると考えることができる。しかしながら、振動板構造の外周の残りの部分は、連結されてなくてもよく、したがって振動板構造は少なくとも部分的に自由な周辺部を含む。
本明細書において外周部に関して使用される「少なくとも部分的に物理的に連結しない」という句(又は「少なくとも部分的に自由な周辺部」又は場合によっては略記される「自由周辺部」という他の同様の句)は、以下のいずれかの周辺部を意味することを意図している。
・周辺部のほぼ全体が物理的に連結しない、又は
・周辺部が周囲構造/ハウジングに物理的に連結されている場合、少なくとも1つ又は複数の周辺領域は、これらの領域が周辺部と周囲構造との間の周長に対する連結における不連続部を構成するように物理的に連結しない。
周辺部のほぼ全長に沿った1つ又は複数の縁部に沿って物理的に連結されているが、1つ又は複数の他の周辺部縁部又は(図G1に示す従来のサスペンションのような)側面に沿って連結されていない振動板構造の周辺部は、少なくとも部分的に物理的に連結されていない外周部を含む振動板構造を構成せず、この場合周辺部の全長又は周長が少なくとも1つの領域で支持され、周長に関して連結に不連続性がない。
したがって、オーディオ・トランスデューサが例えば固体の周囲要素又は個体の封止要素を含む固体サスペンションを含む場合、好ましくは、固体サスペンションは、周辺部付近の連結において不連続性を有するハウジング又は周辺構造に振動板構造を連結する。例えば、サスペンションは、周辺部の周長の80%未満の長さに沿って振動板構造を連結する。より好ましくは、サスペンションは、周辺部の周長の50%未満の長さに沿って振動板構造を連結する。最も好ましくは、サスペンションは、周辺部の周長の20%未満の長さに沿って振動板構造を連結する。
図G9A~Eに示すオーディオ・トランスデューサの実施例(以下、実施例G9と呼ぶ)は、部分的な自由周辺部の実装の実例である。このオーディオ・トランスデューサは、図G1a~cに示すものと同様である。磁石組立体及びバスケットG103及びスパイダG105は、図G1a~cに示すものと同じ組立体であり、振動板組立体G600は、図G6a~fに示すものと同じ組立体である。唯一の他の相違点は、振動板構造のサスペンションG102が、周長の周りのサスペンションにおける不連続を引き起こす複数のサスペンション部材G901で置き換えられていることである。このように、この実施例は、振動板構造の1つ又は複数の外周領域G908が、周辺部G902と物理的に連結されていない自由縁部設計を構成する。自由周辺領域G908では、振動板構造の外周部と(構造G902の位置G902bにおける)周囲構造G902との間に空気間隙G903が存在する。周囲構造G902は、バスケットG103に強固に結合されてもよい。
図示のように、好ましくは、物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域G908は、振動板構造の全周長(例えば、約2×G906+2×G905)の少なくとも20%を構成する。より好ましくは、1つ又は複数の自由周辺領域は、周長の少なくとも50%、又は少なくとも80%を構成する。この物理的な連結の欠如は、振動板構造の周長の周りにより高い連結度を有する実施例よりも利点を提供する。1つの利点は、より低い基本成分Wnが容易になることであり、もう1つは、周辺部が機械的共振に悪影響を及ぼす傾向があるので音伝播構成要素の面積及び周辺長を低減することが音質に利益をもたらすことができることである。例えば周長の約20%に沿った部分的に物理的に連結されていない周辺部は、(例えば、基本周波数Wnを低下させることによって)動作帯域幅に有意な利点を提供し、周辺部の分割によって生じる歪みを低減する。他の実例として、基本振動板周波数が変わらないように、周辺部が部分的に物理的に連結されておらず、残っている周囲材料が厚くなっている場合、周囲部の固有の共振モードが周波数を増加させることがある。振動板G908の周辺領域の連結していない部分は、空気間隙G903によって周囲構造G902から分離されている。好ましくは、この間隙は実質的に小さい。例えば、用途によっては0.2~4mmの間であってもよい。
振動板サスペンション部材G901は、振動板G600を、この場合にはバスケットG103のガイドプレートG902である周囲構造G902の主面G902Aに連結する。これは、スパイダG105との組み合わせで、振動板組立体G600をバスケット及び磁石組立体内に動作可能に吊り下げる振動板サスペンション・システムを提供する。各振動板サスペンション部材G901は、フレキシブル領域G901aと、連結タブG901b及びG901cとから構成されている。タブG901cは、ガイドプレートの主面G902aに取り付けるための表面積を提供する。タブG901cは、振動板構造の外周部において外側補強材G601及びコアG602に取り付けられる。この実施例では、振動板サスペンション部材G901はゴム製である。他の適切な材料には、ばね鋼及びチタン、シリコン、独立気泡発泡体及びプラスチックのような金属が含まれる。これらの構成要素は、(例えば、液体サスペンションではない)固体サスペンション構成要素である。例えば長さG907及び領域G901aの幅などのジオメトリは、サスペンション・システムの追従性に大きな影響を与える。材料のジオメトリとヤング率の組み合わせは、好ましくは、このトランスデューサに実質的に低い基本周波数Wnを提供するように適合すべきである。
任意のオーディオ・トランスデューサの実施例では、振動板構造の周辺部が、少なくとも部分的に及び著しく物理的に連結しないことが好ましい。例えば、著しく自由な周辺部は、外周部の長さ又は2次元周長の少なくとも約20パーセント、又はより好ましくは、外周部の長さ又は2次元周長の少なくとも約30パーセントを構成する1つ又は複数の自由周辺領域を含むことができる。振動板構造は、より好ましくは、例えば、外周部の長さ又は2次元周長の少なくとも50パーセント、又はより好ましくは、外周部の長さ又は2次元周長の少なくとも80パーセントで実質的に物理的に連結しない。最も好ましくは、振動板構造は、おおよそ完全に物理的連結がない。
本発明のいくつかのオーディオ・トランスデューサの実施例では、本明細書のセクション5.2.1及び5.2.5の実施例P及びYについてそれぞれ説明したように、強磁性流体を振動板構造の外周部を支持するために利用することができる。強磁性流体は、振動板構造の外周部と周囲構造の内周部との間に(上記の基準で定義された)物理的な機械的連結が実質的に存在しない場合、固体サスペンションなどの固体構成要素を構成しない。磁性流体又は他のサスペンション流体は、例えば実施例G9の間隙G903に配置されてもよく、振動板構造は依然として自由周辺部型とみなされる。
本明細書では、自由周辺部構成、すなわちセクション2.3で定義される自由周辺部構成を(このセクション2.3以外で)参照する場合又は他の同様の参照をする場合、特に明記しない限り、そのような構成は、以下のセクション2.3.1~2.3.3で説明する追加の機能がその参照のサブ構成であることから排除されないが、この追加の機能に限定することを意図していない。
2.3.1 構成R5
次に、本発明のオーディオ・トランスデューサの構成を、図A6gを参照して説明する。オーディオ・トランスデューサA100は、構成R5として参照されるが、このオーディオ・トランスデューサで使用される振動板構造は、必ずしも構成R1の振動板構造のサブ構造ではないが、いくつかの変形例では構成R1の振動板構造のサブ構造であり得ることに留意することが重要である。構成R5のオーディオ・トランスデューサは、ベース領域A222から遠位にある振動板本体A208/振動板構造A1300の1つ又は複数の周辺領域において振動板サスペンション/周囲部を同時に実質的に排除し、外側垂直応力補強材の質量を実質的に減少することによって、改善された振動板の分割挙動を提供する。構成R5のオーディオ・トランスデューサは、トランスデューサの周囲構造と少なくとも部分的に物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域を有する振動板構造A1300と、振動板構造のベース領域A222から遠位にある主面の1つ又は複数の周辺縁部領域に向かって質量が減少する、1つ又は複数の主面に関連する外側垂直応力補強材を有する実質的に軽量な振動板本体A208と、を有する振動板組立体A101に含まれる。
図A6gの構成R5オーディオ・トランスデューサに示すように、オーディオ・トランスデューサ組立体A100(本明細書ではオーディオ・トランスデューサを組み込んだオーディオデバイスとも呼ぶ)は、(上述の構成R1、R2、及びR4の振動板構造のように)外側垂直応力補強材A2076/A207で補強された1つ又は複数の主面を有する本体A208を有する(図A15に示す)振動板構造A1300を含む振動板組立体A101を含む。構成R2の振動板構造と同様に、構成R5オーディオ・トランスデューサの振動板構造の垂直応力補強材は、振動板構造のベース領域から遠位にあるか又は振動板組立体の質量中心位置から遠位にある、関連する主面の1つ又は複数の周辺縁部領域において比較的小さい質量をもたらす質量分布を含む。
オーディオ・トランスデューサは、例えば、振動板組立体A101をその中に収容するためのエンクロージャ及び/又はバッフルの形態のハウジング又は周囲A601をさらに含む。ハウジングは、トランスデューサ・ベース構造A115も内部に収容することが好ましい。垂直応力補強材の質量の減少に加えて、振動板構造A1300は、この実例ではハウジングA601である周囲構造の内部と少なくとも部分的に物理的に連結しない周辺部を含む。この実例では、振動板構造A1300の周辺部の約96%は、ハウジングA601及びトランスデューサ・ベース構造を含む任意の周囲構造との物理的な連結がなく、空気間隙A607で示すようにハウジングの内壁から離間している。このように、外周部は、おおよそ完全に物理的連結がない。しかしながら、ベース領域A222は、トランスデューサ・ベース構造に対して振動板サスペンション・システムによって吊り下げられ、(周辺縁部周長の約4%を構成する)ヒンジ接続部でベース構造と物理的に連結する。しかしながら、いくつかの変形例では、振動板構造の周辺部は、上記とは異なる量だけハウジングと部分的に物理的に連結しないが、依然としてはっきりとは物理的に連結しなくてもよい。例えば、振動板構造がはっきりとは物理的に連結しない場合、物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域は、外周部の長さ又は2次元周長の少なくとも約20パーセントを構成することが好ましく、外周部の長さ又は2次元周長の少なくとも約30パーセントを構成することがより好ましい。振動板構造は、実質的に物理的に連結しなくてもよく、例えば、外周部の長さ又は2次元周長の少なくとも50パーセントが物理的に連結せず、又はより好ましくは、外周部の長さ又は2次元周長の少なくとも80パーセントが物理的に連結しない。
この実例では、物理的に連結しない少なくとも1つ又は複数の周辺領域は、振動板構造のベース領域から最も遠位にある少なくとも1つの周辺領域(例えば、振動板組立体のベース領域に対向する縁部)を含む。
構成R5は、実施例Aのオーディオ・トランスデューサA100において使用される。しかしながら、この構成のオーディオ・トランスデューサで使用される振動板構造は、構成R1~R4の振動板構造、或いは1つ又は複数の主面を有する振動板本体と、上記の主面のうちの少なくとも1つに隣接して接続されて、動作中に本体に受ける圧縮-引張応力に抵抗する垂直応力補強材と、を含む任意の他の振動板構造のいずれかであってもよく、垂直応力補強材の質量分布は、比較的小さい質量が振動板組立体の質量中心位置から遠位の1つ又は複数の領域にあるようなものである。振動板組立体A101の代わりに使用され得る振動板組立体の実例が、例えば図A11に示されている。この組立体は、コアA1004が場合によっては内部に積層された内側せん断補強材を有しておらず、外側垂直応力補強材が薄い箔から構成されることを除いて、実施例Aのものと同様である。箔は、振動板組立体の比較的高い質量ベースに近接する領域A1101においてより厚く、1つ又は複数の遠位領域において振動板先端に向かう領域A1102においてより薄い。厚さの階段状の変化は、図A11bの位置A1103の詳細図に示されている。この実例では、振動板本体の1つ又は複数の遠位領域は、減少した厚さ又は質量を有する垂直応力補強材の1つ又は複数の遠位領域と整列される。他の構成について上に述べたように、厚さは、他の変形例では、テーパ状又は緩やかに変化してもよい。この変形例では、厚さが減少した領域A1102は、使用中の励起機構を結合するように構成された領域から最も遠位の振動板の先端/縁部領域に最も近位の領域である。
例えば構成R1及びR2について上に説明したように、質量中心から遠位の領域における外側垂直応力補強材の質量の減少を達成する多くの代替変形が存在することが理解されるであろう。これらの変形は、構成R5のオーディオ・トランスデューサの振動板構造に対しても可能であるが、これに限定されない。例えば、図A1/A2、A9、A10、A12、G3、G4及びG7の振動板構造の外部垂直応力補強材を代替的に使用することができる。図G3、G4及びG7の振動板は、(例えば、実施例G9又は同様のもののように)R5構成を構成するために周辺部を少なくとも部分的に物理的に連結しない振動板サスペンションとともに配置する必要があることに留意されたい。さらに、いくつかの変形例では、振動板構造は、構造R1において記載された振動板構造のいずれかに応じた内側応力補強板をも含むことができる。この構成のオーディオ・トランスデューサで使用される振動板構造は、1つ又は複数の以下の(上述の)特徴の任意の組み合わせを含むことができることが理解されるであろう。
・質量中心位置から最も遠位の1つ又は複数の周辺領域には、垂直応力補強材がなく、
・振動板本体は、質量中心位置から遠位の1つ又は複数の領域に比較的小さい質量を含み、
・振動板本体は、1つ又は複数の遠位領域において比較的薄い厚さを有する。厚さは、1つ又は複数の遠位領域に向かってテーパ状になっていてもよく、又は階段状であってもよく、
・振動板本体の厚さは、質量中心位置又はその近傍の領域から、質量中心位置から最も遠位の1つ又は複数の領域まで連続的にテーパ状になり、且つ/又は
・振動板本体の1つ又は複数の遠位領域は、減少した厚さ又は質量を有する垂直応力補強材の1つ又は複数の遠位領域と整列される。
振動板構造のベース領域の近くに位置する外側垂直応力補強材の一部分は、振動板の曲げに対して、ベース領域から遠位の縁部領域のような振動板の他の遠位部分、重い振動板ベース及び力伝達構成要素を支持しなければならない「ピギー・イン・ザ・ミドル」であるため、分割条件下でより多くの荷重を受ける。これは、非縁部(ベースから遠位の)領域がより厚い外側補強材を有することがより最適であることを意味する。一方、振動板組立体の質量中心から離れて位置する外側層及び外周部の近傍の部分は、振動板の遠位部分を支持する必要がないので、上述のように外側垂直応力補強材を減少することができる。
図A11の振動板組立体はまた、構成R3の振動板構造のように、振動板構造のベース領域から離れた外周領域及び/又は振動板組立体の質量中心に向かってテーパ状になる振動板厚さも特徴としており、これは、周辺領域における過度の厚さに関連する過剰な振動板の質量に起因する不利益もまた除去されることを意味するが、代替の実施例では、厚さは、振動板本体の長さに沿ってテーパ状ではなく実質的に均一であってもよいことが理解されるであろう。
この構成のいくつかの実装では、本明細書のセクション5.2.1及び5.2.5の実施例P及びYについてそれぞれ説明したように、強磁性流体を振動板組立体の外周部を支持するために利用することができる。上述したように、強磁性流体の変化は、振動板組立体の外周部と周囲構造の内周部との間に(上記の基準で定義された)物理的な機械的連結が実質的に存在しない場合、依然としてこの構成の範囲内にある。例えば本明細書のセクション2.2に記載されている実施例Aのトランスデューサを含む、回転動作オーディオ・トランスデューサのいずれも、関連する振動板構造又は組立体のための強磁性流体支持を含むように変更することができ、本発明は、実施例P及びYに例示されるような線形動作オーディオ・トランスデューサの振動板組立体を支持することに限定されることを意図しない。
2.3.2 構成R6
他のオーディオ・トランスデューサの構成を図A6g及び図A10を参照して説明する。このオーディオ・トランスデューサの構成は、構成R5のオーディオ・トランスデューサのサブ構成であり、以下、構成R6と呼ぶ。本発明の構成R6のオーディオ・トランスデューサは、振動板本体の1つ又は複数の主面において外側垂直応力補強材によって補強された軽量(好ましくは発泡体)振動板本体を有するオーディオ・トランスデューサを含む。振動板構造は、構成R1~R4について説明したような内側応力補強材を含んでもよいし、含まなくてもよい。図A6gは、周囲のハウジングと少なくとも部分的に物理的に連結しない振動板構造の周辺部を示す。構成R5に関する上記の説明は、この自由周辺部設計の特徴を説明する。図A10を参照すると、構成R6のオーディオ・トランスデューサ組立体において、図A10の振動板組立体は、実施例Aのオーディオ・トランスデューサにおいて利用され、構成R5のオーディオ・トランスデューサの振動板構造に従って1つ又は複数の減少した質量を含む垂直応力補強部材A1001を有する振動板構造を含む。この構成では、振動板構造は、関連する主面の1つ又は複数の周辺縁部領域A1002において垂直応力補強材を欠いており、各周辺縁部領域A1002は、質量中心位置から関連する主面の最遠位周辺縁部までの総距離の50パーセントである、質量中心位置を中心とする半径に、又はそれを超えて配置される。
質量中心位置は、上述の構成に従って振動板構造を組み込んだ振動板組立体の質量中心位置である。外側垂直応力補強材A1001は、臨界外縁領域における質量の減少を達成するために、ベース領域から遠位の関連する主面の1つ又は複数の周辺縁部領域の近くで不連続である。さらに、周囲構造と実質的に物理的に連結しない振動板構造設計が、構成R5に従って採用される。すなわち、構成R6のオーディオ・トランスデューサは、振動板組立体を収容するためのエンクロージャ及び/又はバッフルを有するハウジングをさらに含み、振動板構造は、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の外周領域を含む。上述したように、好ましくは、1つ又は複数の外周領域は、図A6gに示すように、振動板構造の外周の長さの少なくとも20%を構成する。振動板構造は、通常動作の間に実質的に剛性を維持するように設計されている。上述したように50%の半径を超えて、しかしより好ましくは振動板組立体の質量中心からの距離の80%を超えて配置された1つ又は複数の周辺領域において、関連する表面から除去された垂直応力補強材料も存在する。好ましくは、ハウジングの内部と物理的に連結しない振動板構造の周辺の領域と、ハウジングの内部との間に小さな空気間隙がある。ある場合には、振動板構造の周辺領域とハウジングとの間の距離によって画定される空気間隙の幅は、振動板本体の主面に沿った最も短い長さの1/10未満、より好ましくは1/20未満である。場合によっては、空隙間隙幅は、振動板本体の長さの1/20未満である。空気間隙幅が1mm未満の場合もある。
振動板本体の関連する主面の面積の合計からその少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約25%、最も好ましくは少なくとも約50%の領域A1002では外側垂直応力補強材が省略される。垂直応力補強材を薄くすることとは対照的に、特定の領域から垂直応力補強材を省略することの利点は、接着剤を必要としないことである。これは、このような領域の振動板本体が、自重を支えることができるだけでよいことを意味する。この理由から、この非常に重要な領域での質量を最小にするために、垂直応力補強材がない領域A1002が露出しているか又は被覆されていない、又はこれらの領域で利用される少なくともいずれかのコーティングは、例えば塗料の薄いコーティングのように非常に軽量であることが(必須ではないが)好ましい。
図A10に示す実施例は、構成R6のオーディオ・トランスデューサ組立体において使用することができる振動板構造の一例である。コアA1004は固体であり、振動板表面の垂直応力補強材は、実質的に均一/一貫した厚さであり、ベース領域に対向する振動板本体の遠位端部から振動板本体の関連する主面内に延びる上記の外側応力補強材にほぼ半円形の空隙又は窪み部を有する。窪み部A1002は、例えば図A9、G3、G4及びG7の外側応力補強材に示されるように、他の形態又は形状をとることができ、長方形又は三角形であってもよく、及び/又は複数の窪み部があってもよいことが理解されるであろう。図G3、G4及びG7の振動板は、(例えば、G9のオーディオ・トランスデューサに配置される)R6構成を構成するために、周辺部の少なくとも20%が物理的に連結しない振動板サスペンションを用いて配置される必要があることに留意されたい。図A9の実例の垂直応力補強材A1001も、振動板本体の長さのかなりの部分又は全部に沿って、振動板の2つの主面のいずれかの側から省略されている。しかし、他の実施例では、これらの側部領域で材料ストリップを省略することはできないことが理解されるであろう。外側垂直応力補強材は、振動板本体の両方の主面で同一である。
この実例では、垂直応力補強材は薄いアルミニウムを含み、コアはポリスチレン発泡体を含むが、これは例示的なものにすぎず、例えば構成R1の振動板構造に対して定義されたように垂直応力補強材及び振動板本体に他の材料を利用することができる。
好ましくは、振動板本体は、その長さに関して実質的に厚く、例えば、本体の長さの15%を超える最大厚さを有することができる。
構成R6のオーディオ・トランスデューサの振動板構造は、例えば構成R1の振動板構造に対して定義されたように内側応力補強部材を組み込んでもよいし、組み込まなくてもよい。
この構成のいくつかの実装では、本明細書のセクション5.2.1及び5.2.5の実施例P及びYについてそれぞれ説明したように、強磁性流体を振動板組立体の外周部を支持するために利用することができる。強磁性流体の変化は、振動板組立体の外周部と周囲構造の内周部との間に(上記の基準で定義された)物理的な機械的連結が実質的に存在しない場合、依然としてこの構成の範囲内にある。
2.3.4 構成R7
図A6g及びA12を参照すると、本発明のオーディオ・トランスデューサのさらに他の構成が示されている。この構成では、図A12に示す振動板構造は、実施例Aのオーディオ・トランスデューサにおいて、特に図A6gに示す組立体内で利用される。振動板構造は、振動板本体の前方主面及び後方主面の両方の表面又はその近傍に、外部垂直応力補強材A1201/A1202によって補強された軽量コア振動板本体を含む。この構成では、一連の支柱を利用して外側応力補強材を提供し、表面の他の部分を補強しないようにする。構成R5について定義したように、構成R7のオーディオ・トランスデューサは、振動板組立体を内部に収容するためのエンクロージャ及び/又はバッフルの形態のハウジングをさらに備える。垂直応力補強材の質量の減少に加えて、この振動板構造は、ハウジングの内部と少なくとも部分的に物理的に連結しない外周部を含む。この実施例では、周辺部はほぼ完全に連結しないが、いくつかの変形形態では、周辺部はハウジングと部分的に物理的に連結しないだけでもよいが、好ましくは、外周部の長さの少なくとも20%に沿って連結しない。構成R7のオーディオ・トランスデューサの振動板構造は、一連の又はネットワークの支柱A1201/A1202の形態である外側垂直応力補強材を含み、それによって、実質的にほぼ完全に垂直応力補強材がない関連する主面を維持する。
好ましくは、支柱は、垂直応力補強材及び接着剤の全体質量を低減するために実質的に細い。好ましくは、垂直応力補強材の集中は、各支柱がその幅の1/100より大きい厚さを有する、又はより好ましくはその幅の1/60より大きい厚さを有する、又は最も好ましくはその幅の1/20より大きい厚さを有するようなものである。これは、補強材がより小さい領域に集中し、接着剤の質量を減らすのに役立ち、内部せん断の減少を介して支柱内の繊維間のより効果的な協働を提供し、他の支柱との交差部及び内側補強部材への接続部などのような他の補強構成要素への接続及び他の補強構成要素との協働を改善する。
接着剤の質量の減少は、特に縁部ゾーン領域付近の発泡体コアのせん断問題を軽減するのに役立つ。縁部ゾーン領域は、支柱が支持する領域間においてA1201などの支柱又はその他によって包括的に支持され、発泡体本体は局部的な「ブローブ」共振モードに対して自重を支持するだけでよい。
図A12に示す振動板構造はまた、振動板構造を組み込んだ振動板組立体の質量中心位置から遠位にある1つ又は複数の周辺領域に向かって質量が減少する外側垂直応力補強材も含む。支柱A1201及びA1202は、振動板構造のベース領域に近接して(組立体の質量中心位置に近い回転軸A114に近接して)より厚く、振動板本体の関連する主面の長さの中間から(例えば振動板本体の主面全体のほぼ半分)ベース領域に対向する周辺縁部に向かって、垂直応力補強支柱の厚さが減少して質量が減少する。図A12cの詳細図は、振動板本体の各主面の側面に平行に走る2つの支柱A1201の階段位置A1203における薄化を示している。図A12bの詳細図は、主面を斜めに走る2つの支柱A1202の、これらの支柱の交点を過ぎたところにおける階段位置A1204の薄化を示している。振動板の両主面において構成は同じである。この厚さの変化は、周辺縁部領域(質量中心位置から遠位)における質量のさらなる減少を達成し、したがって、振動板分割性能を改善し得る。代替的に又は追加的に、関連する主面に十分に結合するという要求の対象となる支柱の幅の減少によって質量の減少が達成され得ることが理解されるであろう。さらに、支柱の厚さ及び/又は幅の減少はいずれも、代替的に階段状に代えてテーパ状又は緩やかであってもよく、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。
実質的に物理的に連結しない周辺部を有する振動板構造設計は、(ここでは接続されている振動板サスペンションがないか又は非常にわずかであるため)振動板構造周辺部の質量も減少させ、振動板の残りの部分を通して負荷を軽減するカスケードを設け、これにより内部のコアせん断問題にさらに対処する。
これらの特徴により、動作帯域幅内で最小限の共振を生成するドライバが得られ、内部せん断応力補強材を必要とせずに、動作帯域幅内で非常に低いエネルギー貯蔵特性を有する。しかしながら、代替の実施例では、構成R7のオーディオ・トランスデューサの振動板構造は、例えば構成R1の振動板構造に対して定義された内部せん断応力補強材を含むことができることが理解されるであろう。
好ましくは、垂直応力補強材は、比弾性率が少なくとも8MPa/(kG/m)であり、より好ましくは少なくとも20MPa/(kG/m)であり、最も好ましくは少なくとも100MPa/(kG/m)である。好ましくは、垂直応力補強材は、支柱の方向に増加した剛性を有する異方性材料を含むべきである。剛性はこの用途では強度よりも重要であることがあるため、一方向性炭素繊維は、理想的には例えば軸上の(バインダーマトリックスを除く)ヤング率が450Gpaを超えるような高弾性率のものが適している。好ましくは、複合材を構成する繊維のヤング率は100Gpaより高く、より好ましくは200Gpaより高く、最も好ましくは400Gpaより高い。
好ましくは、1つ又は複数の主面の全表面積の少なくとも10%、又は1つ又は複数の縁部ゾーン領域において少なくとも25%、又は少なくとも50%は、垂直応力補強材がない。
構成R7のこの実例では、2つ以上の支柱A1201/A1202が交差し、上記の交点で接合されている。好ましくは、支柱間の交差領域は、組み立てられた質量中心位置から振動板の周辺部までの総距離の50パーセント以上に配置される。しかしながら、交点の他の領域は、総距離の50%以内に配置されてもよい。
また、1つ又は複数の支柱A1201/A1202は、関連する主面の少なくとも1つの周辺縁部に向かって、振動板本体の関連する主面に沿って長手方向に延び、共通周辺縁部又はその近くで、対向する主面に又はそれに近接して位置する他の対応する支柱A1201/A1202に接続する。好ましくは、上記の接続部は、振動板本体の冠状面に垂直な方向の変位に対して、関連する共通の周辺縁部を支持する実質的に三角形の補強材を形成する。
構成R7のこの実例では、外側垂直応力補強材が振動板ベースから遠位の特定の領域から省かれていることは、補強材が他の領域に集中していることを意味する。これは、交点での変位の可能性を制限するために、外側垂直補強材を他の外側垂直補強材に接続する場合により効果的な接続を行うことができるという利点を提供する。したがって、この設計は、好ましくは、振動板ベースから遠位の周辺部に向けて、特に支柱が交差する戦略的に選択された位置へ剛性を設ける一方向支柱を含む骨格と考えることができる。このような交差位置は、比較的に言えば、振動板ベースに対して空間的にしっかりと固定されている。周辺部の他の位置は軽量に保たれているので、発泡体コアの自重を超えたいかなる質量も支持する必要がなく交差位置によって支持することができる。
振動板本体の冠状面に垂直な方向において、ベースから遠位の振動板構造の周辺領域の変位を制限することは特に有用である(上記の変位は、基本モードとは対照的に、振動板の分割に起因する)。おそらく、内部せん断応力補強部材を組み込んだ構造ほど有利ではないが、振動板構造の周辺領域の戦略的に選択された位置で合致する対向面に支柱を組み込んだ三角形構造は、コアせん断変形の影響を受けにくい方法で上記の周辺領域を支持するのに役立つであろう。
特定の領域への補強の集中は、以下のいずれか1つ又は複数を含む他の利点もある。
・異方性繊維のカスタマイズされた設置の他の形態と比較してより製造が容易である。
・高圧縮又は加熱のような制御された条件下で、コア材料に損傷を与えずに補強材を別個に製造することを可能にする。
・補強材の位置の最適化を可能にする。
・様々な骨格要素間のより制御された相互作用を可能にする。例えば、(例えば実施例Aの場合のように)内側補強部材の縁部に沿って支柱が走り、それにより、(内側補強部材から離れた領域にわたって広がっている場合とは異なり)全ての引張/圧縮補強がせん断に対して十分に支持されることを保証する。これは、一方向の繊維補強ポリマー又は同等の複合異方性補強材料の場合に特に当てはまり、これらは、広範囲にわたって薄く分布している場合には、低いせん断弾性率を表してもよく、又はせん断弾性率がゼロの間隙が存在してもよく、これは、補強繊維の一部がせん断補強の負荷を上昇させて振動板を補強することを補助するために有効に割り当てられなくてもよいことを意味する。
特に異方性複合補強材が使用される場合、複合補強材の十分に薄い層を製造し、これを簡易的な方法で発泡体(などの)コア振動板の両側の広範囲に取り付けることは困難であるため、単位面積当たりの要求される低い質量を達成する3次元で剛性のある非常に小さい振動板を製造することは特に困難な場合がある。補強材を集中することはこの問題を解決する上で大いに役立つので、構成R7を含む支柱ベースの振動板構成は、個人用オーディオや高音ドライバなどのように振動板が小型の用途で特に有用である。
この構成のいくつかの実装では、本明細書のセクション5.2.1及び5.2.5の実施例P及びYについてそれぞれ説明したように、強磁性流体を振動板組立体の外周部を支持するために利用することができる。強磁性流体の変化は、振動板組立体の外周部と周囲構造の内周部との間に(上記の基準で定義された)物理的な機械的連結が実質的に存在しない場合、依然としてこの構成の範囲内にある。
2.4 構成R8及びR9オーディオ・トランスデューサ
ヒンジ・システムは、特定の点で非常に効果的な振動板サスペンションであり、例えば、振動板の可動域、振動板の共振周波数、及び望ましくない共振の間の3方向トレードオフは、本明細書に記載されるような革新的なヒンジ・システムの使用によって、高周波性能が振動板の可動域及び基本振動板共振周波数からより独立しているので、容易に解決することができる場合がある。また、回転動作のオーディオ・トランスデューサは、線形動作トランスデューサが被るような低周波数の全振動板ロッキング共振モードを被らない。
回転動作振動板に基づくトランスデューサは、ヒンジが3方向の並進及び2方向の回転に関して振動板構造をトランスデューサ・ベース構造に強固に結合するので、線形振動板動作を有するトランスデューサに比べて振動板共振に対して設計することがより困難になる傾向がある。この結合は、振動板のベースがトランスデューサ・ベース構造の高い質量に固定され、振動板が深刻な影響を受ける周波数、例えば全振動板曲げタイプの分割共振を低減することを意味する。さらに、回転動作ドライバにおける振動板共振は、減衰が不十分である傾向があり、強く励起される場合もある。
フェニックス・ゴールド(Phoenix Gold)によって製造された「サイクロン」スピーカのような従来の回転動作振動板スピーカは、家庭用又はカーオーディオ・システムなどの遠距離用途でバスを提供する目的で、ヒンジ動作振動板の能力を利用して、大容積の可動域及び低い基本振動板共振周波数を提供しようと試みたが、回転動作スピーカは、特に中音帯域幅及び高音帯域幅での高音質オーディオ再生ではあまり注目されていなかった。
回転動作トランスデューサの可能性を実現し、その性能を向上させるためには、振動板分割の弱点を解決しなければならず、これは上述した本発明の振動板構造の構成を用いて達成することができる。
これらの特定された原理を使用して上に述べたいくつかの欠点に対処するように設計された2つのオーディオ・トランスデューサ構成を、いくつかの例を参照して説明する。以下のオーディオ・トランスデューサ構成は、ここでは簡潔にするために構成R8及びR9と称する。構成R8及びR9オーディオ・トランスデューサについては、実例を参照してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定することを意図していないことを理解されたい。特に明記しない限り、本明細書の構成R8及びR9のオーディオ・トランスデューサへの言及は、当業者には明らかであるように、以下の例示的に説明されるオーディオ・トランスデューサのいずれか1つ、又は構成の説明された設計特徴を含む他のいずれかのオーディオ・トランスデューサを意味するものと解釈される。
2.4.1 構成R8
本明細書では構成R8と呼ばれる本発明のオーディオ・トランスデューサの構成は、振動回転動作によって音を生成するトランスデューサ・ベース構造に回転可能に結合された構成R1~R4のいずれか1つにおいて定義される振動板構造を含む。構成R8の例は、図A1の実施例Aのオーディオ・トランスデューサに示されている。このオーディオ・トランスデューサは、振動板本体の前方主面及び後方主面の外側垂直応力補強材によって補強され、さらに、振動板本体の内部に、より好ましくは外側垂直応力補強材に結合された内側せん断応力補強部材A209によって補強された軽量発泡体又は等価コアA208を含む少なくとも1つの振動板本体を有する回転動作振動板構造を含む。内側せん断応力補強部材A209は、好ましくは、構成R1で規定されるように振動板本体の矢状面に実質的に平行に配向される。
実施例Aの場合、垂直応力補強材は支柱A206及びA207からなるが、構成R1で述べたように、他の形態の垂直応力補強材があってもよい。
構成R8のオーディオ・トランスデューサ組立体に適した振動板構造の別の実例が図A8に示されており、これは構成R1でさらに詳細に説明されている。
構成R8のこれらの実例では、関連する振動板構造の各内側補強部材は、直接的に又は少なくとも1つの中間構成要素を介して、ヒンジ組立体に堅固に結合される。振動板組立体A101をトランスデューサ・ベース構造A115に回転可能に結合するために使用される連結ヒンジ組立体は、本明細書のセクション3.2でさらに詳細に説明される。しかしながら、振動板構造は、本明細書のセクション3.3で詳述されるようなフレキシブル・ヒンジ機構のような他の適切なヒンジ機構を介してトランスデューサ・ベース構造に回転可能に結合されてもよいことが理解されるであろう。
ヒンジ組立体は、振動板の可動域、振動板の共振周波数、及びFRO外の不要な共振のシフトの間の3方向振動板サスペンション・トレードオフを解決するのに役立ち、また、一部の線形動作ドライバに影響する低周波数の全振動板ロッキング共振モードも排除する。一方、せん断補強材は、振動板のコアせん断変形を減少させることによって帯域幅を増加させる。
2.4.2 構成R9
本明細書では構成R9と呼ばれる、構成R6のオーディオ・トランスデューサのサブ構造である本発明のオーディオ・トランスデューサ組立体の他の構成について説明する。このオーディオ・トランスデューサの実例は、図A10の振動板組立体を実施例Aのオーディオ・トランスデューサに組み込んでいる。
構成R9は、振動板組立体を組み込んだオーディオ・トランスデューサからなり、振動板組立体は、近似軸の周りで実質的に回転動作を伴って移動し、軽量発泡体又は同等のコアA1004から製造された振動板本体を含み、前方主面及び後方主面の両方の表面に又はその近傍に外側垂直応力補強材A1001を含み、関連する主面の周辺縁部領域の前面及び/又は後面の1つ又は複数の部分から垂直応力補強材A1001が省略されている。周辺縁部領域は、好ましくは、(振動板組立体のベース領域及び質量中心に近接して通過する)回転軸から、振動板構造の軸から最遠位周辺縁部までの距離の半径の80%を超えて配置され、半径は回転軸を中心とする。振動板本体は、使用中に実質的に剛性のままである。
この特定の実例では、垂直応力補強材A1001は、補強材が垂直応力補強材の縁部A1003まで延びる振動板本体の2つの主面の側部から、また、補強材が垂直応力補強材の弓状の縁部A1002まで延びる関連する主面の中央周辺縁部領域から省略される。
構成R2、R4及びR6の場合と同様に、ベース領域から遠位の関連する主面の周辺縁部領域からの垂直応力補強材の省略は、外側領域の質量の減少を達成する。回転動作ドライバの場合、終端縁部/端部の領域を含む、ベース領域から遠位の領域における質量の減少は、この領域がより重いトランスデューサ・ベース構造を結合するヒンジから最も遠い領域であり、主な分割共振モードの励起の結果として比較的大きな距離を移動させる傾向があり、特に共振する傾向があるため、有益である。
ここでも、ヒンジ組立体を使用すると、振動板の可動域、振動板の共振周波数、及び共振の間の3方向のトレードオフ、及び線形動作ドライバに影響を及ぼす低周波数の全振動板ロッキング共振モードを解決するのに役立つ。外側張力/圧縮補強材の減少は、ヒンジ軸又はベース領域から遠位の振動板構造の周辺領域の負荷を軽減することによって振動板せん断変形に対処する(構成R6に応じて、構成R9は、コアせん断に明示的に対処するための内部補強部材を必ずしも含まなくてもよいが、いくつかの実装でそうすることができる)。その結果、広い帯域幅にわたってバスの拡張や共振のない性能を得ることができる。
3. ヒンジ・システム及びこれを組み込んだオーディオ・トランスデューサ
3.1 はじめに
何十年にもわたって、従来のコーン及びドーム振動板スピーカ・ドライバにおける振動板と振動板サスペンションの分割共振モードの影響を最小限に抑える方法について、膨大な量の研究が行われてきた。回転動作スピーカ振動板及び振動板サスペンションにおける分割性能、振動板の可動域、及び基本振動板共振周波数の改善及び最適化については、比較的僅かな同等の研究が行われているようである。
従来の振動板サスペンション・システムは、標準的なフレキシブル・ゴム・タイプ周囲部及びフレキシブル・スパイダ・サスペンションの両方から構成され、振動板の可動域が制限され、振動板の基本共振周波数が高くなり、共振が導入される。使用される柔らかい材料及びそれらが使用される動きの範囲は、典型的には非線形であり、フックの法則に関して、オーディオ信号を変換する際に不正確さをもたらす。
回転動作振動板スピーカは、ウォーターフォール/CSDプロットで測定されたエネルギー蓄積に関してクリーンな性能を提供することについて注目されておらず、また、オーディオ愛好家に特に中音帯域及び高音周波数帯域で高音質を提供することも注目されていなかった。
これらのドライバ及び従来のスピーカ・ドライバのベース構造は、しばしばその動作周波数範囲内で不利な共振モードになりがちであり、これらのモードは、ドライバ・モータによって励起され、特に振動板サスペンション・システムがいくらかの剛性を組み込んでいる場合には特に、振動板によって増幅され得る。
3.1.1 概要
振動板サスペンション・システムは、オーディオ・トランスデューサの振動板構造又は組立体をトランスデューサ・ベース構造などの比較的固定された構造に移動可能に結合して、振動板構造又は組立体を固定構造に対して移動させ、音を発生又は変換させる。以下の説明は、振動板構造がベース構造に対して回転するように構成されて音を発生及び/又は変換させる回転動作オーディオ・トランスデューサに関する。そのようなオーディオ・トランスデューサでは、振動板構造をベース構造に回転可能に結合するためにヒンジ・システムが必要とされる。望ましくない共振の発生を最小限にするために、ヒンジ・システムは、オーディオ・トランスデューサの動作の周波数範囲の全体にわたって、動きを単一の運動、すなわち、最小からゼロまでの並進運動又は他の回転運動を伴う単一軸回りの回転に制約することが好ましい。本発明のヒンジ・システムは、振動板組立体が、オーディオ・トランスデューサの振動板ベース構造及び/又は他の固定部分に対して実質的に単一の自由度で動くことを可能にするように開発されている。これらのヒンジ・システムは、単一の移動動作を可能にする一方で、振動板組立体の他の全ての動きに関して高い剛性も提供する。
以下に記載される様々な実施例に示されるように、ヒンジ・システムは、2つ以上の相互運用可能なサブシステムのシステム、2つ以上の相互運用可能な構成要素又は構造の組立体、2つ以上の相互運用可能な構成要素を有する構造を含むことができ、又は、単一の構成要素又はデバイスを含むことさえできる。したがって、この文脈で使用されるシステムという用語は、複数の相互運用可能な部品又はシステムに限定されることを意図しない。
2つのカテゴリ/タイプのヒンジ・システムが本明細書で詳述される。これらは、接触ヒンジ・システムとフレクシャ・ヒンジ・システムである。両方のシステムは共通の目的を果たし、(ある程度は)互換性をもって使用することができ、又はいくつかの実装では一実施例に組み合わせることができる。
両方のカテゴリ及びこのセクションに記載されたオーディオ・トランスデューサの各実施例では、ヒンジ・システムは、オーディオ・トランスデューサのトランスデューサ・ベース構造と振動板組立体との間に結合される。ヒンジ・システムは、トランスデューサ・ベース構造及びヒンジ・システムの一方又は両方の一部を形成することができる。ヒンジ・システムは、オーディオ・トランスデューサのこれらの構成要素の一方又は両方とは別個に形成されてもよく、又は、これらの構成要素の一方又は両方と一体的に形成される1つ又は複数の部分を含むことができる。したがって、これらの可能な変形例に従って以下に記載されるオーディオ・トランスデューサの実施例に対する変更が想定されており、本発明の範囲から除外されることは意図されていない。
例えば、実施例A、B、E、K、S、Tのオーディオ・トランスデューサのようないくつかの実施例では、振動板組立体は、電気又は運動を変換し、振動板構造に対して堅固に結合される変換機構の力発生構成要素を組み込む。力発生構成要素の質量は、振動板構造に対して一般的に高く、多くの場合、振動板組立体の他の部分の質量と同じオーダーの大きさであるので、振動板構造と力発生構成要素との間の堅固な結合は、他方の質量に対抗して移動する一方の質量からなる共振モードを防止するために好ましい。
トランスデューサ・ベース構造は、ヒンジ・システムの一部と一体的に形成されてもよく、又はエポキシ樹脂などの接着剤を使用するなどの適切な機構によって、又は溶接によって、締結具を用いたクランプによって、又は2つの構成要素/組立体の間の実質的に堅固な連結を達成するための当技術分野で知られている任意の数の他の方法によって、ヒンジ・システムに堅固に連結されてもよい。
ヒンジ・システムの好ましい構成では、組立体は、振動板本体の幅に対して振動板組立体の少なくとも2つのかなり広く離れた位置で連結される。同様に、ヒンジ・システムは、好ましくは、振動板本体の幅に対してトランスデューサ・ベース構造の少なくとも2つのかなり広く離れた位置で連結される。これらの位置での連結は、別々であっても同じ結合の一部であってもよい。
トランスデューサ・ベース構造から振動板組立体への連結部の間の適切な広い間隔は、ヒンジ・システム又はヒンジ・システムの組み合わせが、望ましくない振動板/トランスデューサ・ベース構造の共振モードの範囲を効果的に抑制できることを意味する。
トランスデューサ・ベース構造からヒンジ・システムへの連結、及びヒンジ・システムから振動板組立体への連結は、並進の追従性に関して剛性を提供することも好ましい。このようなヒンジ継手連結が適切に広い間隔で使用される場合、得られるヒンジ機構は、分割モードが場合によっては高周波数にされ、場合によってはFROを超えることを促され得るように、振動板組立体に適切な剛性を提供することができる。
3.1.2 利点
本明細書で十分に説明される本発明の好ましいヒンジ・システム構成は、従来の振動板サスペンション・システムを超える潜在的な利点を有する。例えば、図J1(d~e)に示す周囲部J105及びスパイダJ119のように、従来の振動板サスペンション・システムで使用されている柔らかいフレキシブルなサスペンション部品は、動作中に機械的共振に影響されやすい場合がある。さらに、このようなサスペンションは、主軸以外の軸に沿った振動板J101の移動に十分耐えられず、したがって、望ましくない共振をさらに促進する可能性がある。
本発明のヒンジ・システムは、実質的に適合した基本回転運動を容易にする一方、他の回転方向及び並進方向にも実質的な剛性を提供する。このように、それらは、FROの広い帯域幅にわたって実質的に単一自由度の動作モードで振動板を動作可能に支持するように構成することができる。基本的な回転モードが非常に適合しているため、トランスデューサの低い基本周波数(Wn)が容易になり、バス周波数の高忠実再現を助け、高周波性能に最小限の悪影響しか及ぼさない。
さらに他の潜在的な利点は、オーディオ・トランスデューサのFRO内に自身の内部の不利な共振を持たないように、ヒンジ構成要素自体を(この明細書で詳述するように)設計できることである。
3.1.3 好ましい簡単な回転機構の概念
以下の説明は、本発明の接触ヒンジ・システム及びフレキシブル・ヒンジ・システムの両方に適用される。
回転動作オーディオ・トランスデューサのためのオーディオ・トランスデューサ振動板サスペンション・システムの簡単な形態は、実質的にトランスデューサ・ベース構造の周りの回転運動に振動板組立体の動きを制限する機構である。図H8aは、ヒンジ・システムH801によってトランスデューサ・ベース構造H803の一部に連結された振動板組立体H802を象徴する概略図である。この概略図では、振動板組立体H802がくさびの形状で示されているが、代替の形状及びヒンジ位置の範囲を実装することができ、示された構成は説明を助けるためのものであり、特に断らない限り限定することを意図しないことを理解されたい。トランスデューサ・ベース構造H803に対する振動板組立体H802の近似回転軸すなわちヒンジ軸がある。この構成は、図8b~図8cを参照して本明細書で後述する4バー・リンク構成よりも好ましい。本発明の好ましい形態のヒンジ・システムでは、ヒンジ・システムは、エネルギーを蓄積して放出する他の動作モードを可能にすると、変換されるオーディオに歪みが加わる可能性があるので、関連する振動板組立体の動きを、所望のFRO内の単一の運動の程度(好ましくは単一の回転軸の周りのピボット運動)に制限するように構成される。
3.1.4 4バー・リンクの概念
以下の説明は、本発明の接触ヒンジ・システム及びフレキシブル・ヒンジ・システムの両方に適用される。
単一自由度タイプのオーディオ・トランスデューサ振動板サスペンションの実例は、4バー・リンク機構を含み、4バー・リンクの各コーナーにヒンジ・システムが配置される。そのような概念の実例が図H8bの概略図に示されており、これにより、振動板組立体H802は、ヒンジ・システムH801によって(図H8aに図示された概念に従って)トランスデューサ・ベース構造H803の一部に連結される。さらに、ヒンジ・システムH806、H807及びH808は、バーH804及びH805によって連結されている。ヒンジ・システムH806は、振動板組立体H802にリンクされ、バーH805は、ヒンジ・システムH808を介して、先行するヒンジ・システムH807及びH806をトランスデューサ・ベース構造にリンクする。バーは、リンク部材を表すために図中の細長い梁状に形成されているが、これらの部材は任意の形状又は大きさであってもよく、本発明は、他に明記しない限り、特定の形状又は大きさに限定されることを意図しない。この概念では、変換機構の部品をバーH804又はH805に(又は振動板H802にさえ)取り付けることができる。
図H8cは、複数のヒンジ・システムを含む4バー・リンク機構を利用する振動板サスペンション・システムの他の例を示す。この概念は、図H8bに示されるバージョンと同様であるが、振動板は、(バーH804の代わりに)ヒンジ機構H806とH807との間に連結され、バーH809は、(振動板の代わりに)ヒンジ・システムH806及びH801をリンクする。バーH805及びH809が(この実例では)等しい長さであるので、この機構は、(振動板ベース構造に対する)運動の回転成分と比較して振動板を実質的に平行移動させる。この機構は、振動板を常に同じ方向に向けるように振動板の動きを制限するが、振動板の先端は依然として(ベース構造に対して)重要な円弧を描く。
この動作の多くの変形例は、バーの長さとヒンジ・システム間の距離を変えることによって行うことができる。
4バー・リンクの目的は、振動板の動きを単一自由度に制限する機構を提供することである。設計された回転方向を除く全ての方向において高い適合を提供する本明細書に記載のヒンジ接続部を使用することにより、全体的な4バー・リンク機構は、振動板を単一の動作モードに制限し、振動板が生成する音を歪ませ得る望ましくない動きを制限する。
図H8a、H8b、及びH8cに示すような機構を使用する利点は、力発生構成要素が移動する距離が必ずしも振動板と同じではない位置に力発生構成要素を配置することができることである。例えば、(一般的に遠距離移動なしでの最大の動作効率のために最適化されている)ピエゾ・トランスデューサは、振動板の回転軸に近接して配置することができ、又は、変換機構に必要な最適な移動量に応じて一方のバーを他方のバーなどへ連結するように配置することができる。
複数のヒンジ・システムの他の構成は、使用中の振動板を動作可能に支持するように構成することができる。
3.2 接触ヒンジ・システム
フェニックス・ゴールド・サイクロン・スピーカのような軸受レース・ベースのヒンジ・システムによって示される剛性の負荷軸受要素及び回転対称性は、ある場合には、他の従来の振動板サスペンション設計の大部分と異なり、直交する3つの並進軸全てに沿った追従性が低い可能性があることを意味する。直交する3つの並進軸全てに沿った追従性がほぼゼロであるこのタイプの全体的に剛性のヒンジの問題は、例えば製造ばらつき(例えば、軸受ボール上のバンプ)又は例えばヒンジに埃又は他の異物が導入された場合などに、ヒンジが誤動作を起こしやすくなることである。
上述のいくつかの欠点に対処するように設計されたオーディオ・トランスデューサのヒンジ・システム構成を、いくつかの実例を参照して詳細に説明する。以下の構成は、関連する接触部材に対して堅固に転動するか又は枢動する少なくとも1つのヒンジ要素を組み込んだ振動板組立体サスペンション・ヒンジ・システムを含み、これは、付勢機構が適度に一定の力を接触接合部に加えることができるように付勢機構によって適所にしっかりと保持される。付勢機構は、好ましくは、少なくとも並進軸又は少なくとも一方向に沿って実質的に適合する。付勢機構の適合は、好ましくは、実質的に一貫しており、繰り返し製造することができ、及び/又は環境的又は運用上のばらつきの影響を受けない。以下、このようなヒンジ・システムを接触ヒンジ・システムと称する。
以下に記載される様々な実施例に示されるように、付勢機構は、2つ以上の相互運用可能なシステム、2つ以上の相互運用可能な構成要素又は構造の組立体、2つ以上の相互運用可能な構成要素を有する構造を含むことができ、又は、単一の構成要素又はデバイスを含むことさえできる。したがって、この文脈で使用される機構という用語は、複数の相互運用可能な部品又はシステムに限定されることを意図しない。
3.2.1 接触ヒンジ・システム-設計の考慮事項と原理
図H7a~図7cを参照して、本発明による(ヒンジ・システムを介してトランスデューサ・ベース構造に回転可能に結合された振動板組立体を有する)回転動作オーディオ・トランスデューサのための接触ヒンジ・システムを設計するための概念及び原理を説明する。その後、これらの概念/原理に従って設計された例示的なヒンジ・システムの実施例の説明が続く。
本発明の接触ヒンジ・システムの基本ヒンジ接続部H701の実例が図H7a~H7dに概略的に示されている。
接触ヒンジ接続部は、一方が他方に対して回転することを可能にするように、例えば揺動、転がり、及びねじれなどの動作を可能にするように互いに接触するように構成された2つの構成要素を含む。好ましくは、ヒンジ・システムのヒンジ接続部は、トランスデューサ・ベース構造に対する振動板組立体の回転軸を実質的に規定する。
図H7aはヒンジ接続部H701を示し、ここではヒンジ要素H702と呼ばれる第1の構成要素は、ここでは接触部材H703と呼ばれる第2の構成要素と接触点/領域H704で接触する。接触点/領域H704において、ヒンジ要素H702は、実質的に突状の曲面を有し、接触部材H703は、実質的に平坦な表面を有する。本明細書では、突状に湾曲した又は窪み状に湾曲した表面又は部材は、回転軸に実質的に垂直な断面平面に少なくともまたがる突状又は窪み状の曲線を意味することを意図していることが理解されるであろう。
図H7a~dは、ヒンジ要素及び接触部材が適合する方法で一緒に保持されるように、位置H706においてヒンジ要素H702に力を加え、位置H603において接触部材H703に反対の力を加える張力のコイルばねとして表された付勢機構H705を示す。ばねシンボルが使用されるが、付勢機構はばね以外の構造又はシステムの形態を取ることができ、その実例は本明細書に記載されている。ばねシンボルは、ヒンジ要素及び接触部材に対する別の構造を示すが、付勢機構は、ヒンジ要素及び接触部材のいずれか又は両方を含むか、又は組み込むことができ、実際には全く分離していなくてもよい。そのような付勢機構の構成の実例も本明細書に記載されている。
図H7bは、ヒンジ要素H702が接触点/領域H704において接触部材H703と接触するヒンジ接続部H701を示す。接触点/領域H704において、ヒンジ要素H702は、実質的に平坦な表面を有し、接触部材H702は、突状曲面を有する。
図H7cは、ヒンジ要素H702が接触点/領域H704において接触部材H703と接触するヒンジ接続部H701を示す。接触点/領域H704において、ヒンジ要素H702は突状曲面を有し、接触部材H703も突状曲面を有する。ヒンジ要素H702は、接触部材H703の表面よりも比較的大きな半径の(又は比較的平坦な)表面を含む。
図H7dは、ヒンジ要素H702が接触点/領域H704において接触部材H703と接触するヒンジ接続部H701を示す。接触点/領域H704において、ヒンジ要素H702は突状曲面を有し、接触部材は窪み曲面H703を有する。
これらは接触ヒンジ接続部の4つの実例である。他の構成も可能であり、例えば、ヒンジ要素が接触点/領域において窪み状に湾曲し、接触部材がこの同じ点/領域において突状に湾曲していてもよいことが理解されるであろう。2つの表面が突状に湾曲している場合、一方の表面は、図H7cのように他方よりも比較的大きな半径を有してもよく、これはヒンジ要素の表面又は接触部材の表面のいずれかであってもよく、又は、他の場合には、2つの表面は実質的に同じ半径を有していてもよい。いずれかの構成要素の回転軸に垂直な平面で見た断面プロファイルは、必ずしも一定の半径を有する必要はない。放物線などの他のプロファイル形状を使用することができる。
3.2.1a 接触点/領域における曲率半径
上記の実例によれば、ヒンジ要素H702又は接触部材H703のうちの一方は、回転軸に垂直な平面における断面プロファイルで見た場合に、他の面よりも比較的小さな半径/鋭い湾曲の突状曲面を有するか、又は少なくとも同じ半径を有する比較的小さい又は少なくとも等しい半径のこの曲面は、好ましくは、動作中に対向面で転動するのに十分な低い抵抗となるように十分に小さい半径を含む。
これによりヒンジ接続部は以下のことが可能となる。
・比較的低いオーディオ・トランスデューサの動作の基本周波数(Wn)
・比較的低いノイズ生成レベル、及び/又は
・製造ばらつき及び/又は表面間の塵などの異物の導入によって接触面が不連続である場合の十分に一貫したヒンジ性能
接触点/接触における転動面積が著しく減少すると、接触は局部的な変形及び不適当な追従性が生じやすいので、この半径は小さすぎず過度に鋭くないことが好ましい。したがって、突状接触面のために必要な/所望の曲率半径を確立する際に考慮する必要がある妥協点が存在する。
さらに、より突状の曲面のために必要な曲率半径を設計する場合、以下の要素を考慮に入れることができる。
・比較的長い又は大きい振動板組立体/構造の場合、突状曲面の曲率半径は一般に比較的大きくすることができ、比較的短い又は小さい振動板組立体/構造の場合、曲率半径は比較的小さくすることができ、及び/又は
・(例えば、専用の高音ドライバなどの)比較的低い基本周波数の動作を必要としないオーディオ・トランスデューサの場合、接触面において比較的大きな曲率半径(より大きい転がり領域)を使用することができ、比較的低い基本周波数を必要とするオーディオ・トランスデューサの場合、比較的小さな曲率半径(より小さい転がり領域)を使用することができる。
例えば、曲率半径を決める場合、好ましくは、(回転軸に垂直な平面における断面プロファイルで見た場合に、)比較的平坦ではない/比較的小さい曲率半径の突状曲面を有するいずれかのヒンジ要素又は接触部材の接触面は、
Figure 2022017532000009

の関係を満たすメートルの曲率半径rを有する。
ここで、lはヒンジ要素の回転軸から(接触部材に対する)振動板構造の最も遠位の縁部までのメートルの距離であり、fは振動板のHzの基本共振周波数であり、Eは例えば3、より好ましくは6、より好ましくは12、さらにより好ましくは20、最も好ましくは30である好ましくは約3~30の定数である。
代替的又は付加的に、曲率半径を決める場合、好ましくは、回転軸に垂直な平面における断面プロファイルで見た場合に、比較的平坦ではない/比較的小さい曲率半径の突状曲面を有するいずれかのヒンジ要素又は接触部材の接触面は、
Figure 2022017532000010

の関係を満たすメートルの曲率半径rを有する。
ここで、lはヒンジ要素の回転軸から接触部材に対する振動板構造の最も遠位の縁部までのメートルの距離であり、fは振動板のHzの基本共振周波数であり、Eは例えば140、より好ましくは100、より好ましくは70、さらにより好ましくは50、最も好ましくは40である好ましくは約140~50の定数である。
3.2.1b 転がり抵抗
振動板の基本共振周波数を低下させるためには、ヒンジ要素及び接触部材の転がり抵抗は、振動板組立体の慣性に比べて低いことが好ましい。通常動作中に互いに転動するヒンジ要素及び接触部材の表面は、実質的に滑らかであり、自由で滑らかな動作を可能にすることが好ましい。
転がり接触面の曲率半径を小さくすることにより、転がり抵抗を低減することができる。好ましくは、回転軸に垂直な平面における断面プロファイルで見た場合に、ヒンジ要素及び接触部材の接触面の小さい方の曲率半径は、回転軸線に垂直な方向に、接触位置のすぐ近くにある同じ構成要素の局部的な部分に効果的に堅固に連結されているすべての構成要素にわたる最大距離の約30%未満、より好ましくは約20%未満、最も好ましくは約10%未満の曲率半径を有する。例えば、図A1~A7に示される実施例Aのオーディオ・トランスデューサの場合、剛性振動板組立体A101は、回転軸A114に垂直な方向に振動板本体長さA211と等しい最大長さを有する。トランスデューサ・ベース構造A114の接触バーA105の平面に対する接触位置A112におけるシャフトA111の曲率半径は、振動板本体長A211の約10%未満である。
代替的又は付加的に、回転軸に垂直な平面における断面プロファイルで見た場合に、小さい方の曲率半径を有するヒンジ要素及び接触部材の接触面も、回転軸線に垂直な方向に、以下の小さい方にわたる距離の30%未満、より好ましくは20%未満、最も好ましくは10%未満の曲率半径を有する。
1)ヒンジ要素との接触位置のすぐ近くの接触面の部分に効果的に堅固に連結された全ての構成要素にわたる最大寸法、又は
2)接触面との接触位置のすぐ近くのヒンジ要素の部分に効果的に堅固に連結された全ての構成要素にわたる最大寸法
振動板の慣性は一般に振動板の長さが増大するにつれて増大するので、回転軸に垂直な平面における断面プロファイルで見た場合に、ヒンジ要素の接触面と接触部材の接触面のどちらか小さい曲率半径を有する方は、2つの部分の回転軸から振動板の最も遠い周辺部まで測定される振動板の長さに比べて比較的小さい半径を有する。好ましくは、この半径は、振動板の長さの5%未満であるべきである。
3.2.1c 接触点と接触線
図H7a~H7dは全て、接触ヒンジ・システムのヒンジ接続部の側面図を示す。いくつかの形態では、接触部材及びヒンジ要素は実質的に長手材であり、回転軸の方向に長手方向のプロファイルを有することができ、これらの部品の接触面は部品の長さに沿って同じ断面を有する。この形態では、ヒンジ要素H702と接触部材H703との間に接触線が存在する。接触線は一連の接触点であると考えることができるので、この場合、図H7aに示す接触点H704はこの接触線の一部となる。この構成は、ヒンジ要素H702が、接触部材H703に対して近似的な回転軸に制限されることを意味する。ヒンジ・システムが、上述した接触線を有するヒンジ接続部を使用する場合、同じヒンジ機構/組立体の一部として使用される任意の追加のヒンジ接続部は、機構が自由に及び制約なしに動作することを確実にするのを助けるために、第1のヒンジ接続部の接触線と実質的に同一線上のままである接触点又は接触線を有することが好ましい。
別の形態では、ヒンジ接続部H701は、単一点でのみ接触してもよい。例えば、図H7aに示すヒンジ接続部の場合には、ヒンジ要素H702が接触点H704に球面を有するとしたら、接点線は存在せず、接触点のみが存在する。
3.2.1d 付勢機構
基本的なヒンジ接続部H701を所望通りに動作させるために、ヒンジ要素は、好ましくは、接触部材と直接的及び実質的に一貫して接触したままである。これを達成するために、ヒンジ接続部H701は、通常運転の過程でヒンジ要素H702を接触部材H703に対して直接的又は間接的に保持する、又は言い換えれば、接触面間の摩擦係合を維持する、十分に大きく一貫した力を加える付勢機構H705によって支持されてもよい。加えて、付勢機構H705は、後述するように、ヒンジの効率的な枢動を可能にするために、より小さい半径の突状曲面の接触面の接線面に対して実質的に垂直な方向に適合することが好ましい。この構成要素の実例は、本明細書において実施例を参照して後述する。
付勢力
付勢機構H705は、正常動作の過程でヒンジ要素H702を接触部材H703に対して直接的又は間接的に保持する有意で一貫した力を加える。
好ましくは、付勢機構は、ヒンジ要素に追加の力が加えられ、正味の力を表すベクトルが接触面を有するヒンジ要素の接触の領域を通過し、付勢力に比べて相対的に小さい場合に、ヒンジ要素と関連する接触部材との間の実質的に一貫した物理的接触が、接触領域における接触面に垂直な方向の接触面に対する並進運動に対して、接触領域におけるヒンジ要素を堅固に拘束するように、各ヒンジ要素に十分な付勢力を加えるように構成される。
付勢機構H705によって促進されるヒンジ要素H702と接触部材H703との間の接触は、摩擦、好ましくは滑り止め静止摩擦をもたらし、これにより、ヒンジ要素は接触点において接触部材に対する並進変位に対して堅く拘束される。
いくつかのヒンジ接続部を含むヒンジ・システムの場合、単一の付勢機構を使用して、複数のヒンジ接続部内のそれぞれの接触部材に対してヒンジ要素を保持するのに必要な力を加えることが可能である。例えば、振動板組立体とトランスデューサ・ベース構造との間に連結された単一のばねは、振動板組立体のベースの中央に力を加え、それをトランスデューサ・ベース構造に向けて保持し、振動板の各側に向けて配置されたヒンジ接続部内に反作用力を生成する。
好ましくは、ヒンジ要素と接触部材との間の実質的な接触力の大きさは、付勢機構によって提供される。したがって、付勢機構は、重力などの外部の付勢手段、又は例えば動作中に力発生構成要素によって加えられる負荷ではなく、物理的構成要素、構造、システム又は組立体である。重力は一般に、例えば接触ヒンジ接続部の構成要素を一緒に効果的に付勢するには弱すぎる。使用される力が弱すぎると、構成要素が予測不能に滑る又はがたつきが生じる危険性がある。
このような動きは軽い振動板を介して機械的に増幅されるので、滑りは不均衡に大きな歪みを生じさせる可能性があり、したがって、滑り事象が通常の動作中に発生しない、又は滑り事象が発生しても稀であることが非常に望ましい。
さらに、上述したように、ピボット又は転がり接続部の結合部での並進適合は、接触力が増加するにつれて減少することがあり、接触力が増加すると振動板共振が減少する可能性があることを意味している。
好ましくは、全ての付勢機構によって加えられる正味の力は、振動板組立体に作用する重力よりも大きく、及び/又は振動板組立体の重量よりも大きい。
したがって、全ての付勢機構によって加えられる正味の力は、好ましくは、振動板組立体に作用する重力よりも大きく、及び/又は振動板組立体の重量よりも大きく、より好ましくは、重力の約1.5倍より大きく、及び/又はより好ましくは振動板組立体の重量の約15倍より大きい。重力が付勢機構によって加えられる力の方向と逆方向に作用する場合、変換器が適切に機能し続けることが重要であるから、これはヘッドホン及びイヤホンでのような異なる角度の向きでトランスデューサを動作させ得る用途において特に好ましい。好ましくは、付勢力は、振動板組立体の最大励起力に対して実質的に大きい。好ましくは、付勢力は、トランスデューサの通常の動作中に受ける最大励起力の1.5倍より大きく、より好ましくは2.5倍より大きく、さらに好ましくは4倍より大きい。
付勢力は、より大きな慣性を有する振動板組立体に対してより大きく、より高い周波数で動作する振動板組立体に対してより大きいことも好ましい。
付勢力が振動板の共振を最小限にするのに十分であるように、振動板を通常の移動範囲内の任意の位置に変位させるように一定の励起力が加えられた場合、好ましくは、各ヒンジ要素をヒンジ・システム内のこのタイプのn個のヒンジ接続部内の関連する接触面に向けて付勢するニュートン(Fn)の全ての力の平均(ΣFn/n)、接触面に対する振動板組立体の回転軸周りの振動板組立体のKg.m(I)の回転慣性、及び、振動板のHz(f)の基本共振周波数は、一貫して
Figure 2022017532000011

の関係を満たす。
ここで、Dは好ましくは5と等しく、又はより好ましくは15と等しく、又はさらにより好ましくは30と等しく、又はより好ましくは40と等しい定数である。
付勢力が大きすぎると、基本振動板共振周波数を過度に制限する可能性があり、また、例えば塵埃が接触領域に入った場合にトランスデューサは低周波数においてノイズを発生させやすくなる可能性がある。
したがって、振動板を通常の移動範囲内の任意の位置に変位させるように一定の励起力が加えられた場合、好ましくは、各ヒンジ要素をヒンジ・システム内のこのタイプのn個のヒンジ接続部内の関連する接触面に向けて付勢するニュートン(Fn)の全ての力の平均(ΣFn/n)は、一貫して
Figure 2022017532000012

の関係を満たす。
ここで、Dは、好ましくは200と等しいか、又はより好ましくは150と等しいか、又はより好ましくは100と等しいか、又は最も好ましくは80と等しい定数である。
上述したように、各付勢機構は、一定の程度の接触力を提供するために、付勢力を適合的に加える。
上述したように、付勢機構H705は、好ましくは、ヒンジ要素H702を接触部材H703に対してしっかりと保持するのに十分な力を加えるように設計又は構成されている。付勢機構によって加えられる力の大きさは、(下記に限定されないが)下記を含むいくつかの要因に依存する。
・オーディオ・トランスデューサの意図されたFRO
・振動板構造又は組立体の回転慣性及び/又は振動板構造又は組立体の長さ、幅、深さ形状又はサイズ、及び/又は
・振動板構造又は組立体の質量
好ましくは、ヒンジ要素を接触部材に付勢する正味の力Fは、F>D×(2πf×Iの関係を満たす。
ここで、I(kG.m)は、ヒンジ要素によって支持された振動板組立体の部分の回転軸周りの回転慣性、f(Hz)はFROの下限であり、Dは好ましくは5と等しく、又はより好ましくは15と等しく、又はより好ましくは30と等しく、又はより好ましくは40と等しく、又はより好ましくは50と等しく、又はより好ましくは60と等しく、又は最も好ましくは70と等しい定数である。
好ましくは、上記の関係は、正常動作の経過中に接触部材に対するヒンジ要素の全ての回転角度において一貫して満足される。
一般に、付勢力を増加させることにより、より強固でより剛性の高い連結が形成され、これにより接触部材H703に対するヒンジ要素H702の起こり得る望ましくない並進運動を軽減又は部分的に緩和する。これは、より高い力が望ましい場合があることを意味し、特に高音ドライバのような、比較的高い周波数で動作するように意図されたオーディオ・トランスデューサの場合にはそうである。また、振動板構造の質量が大きいことは、高い周波数での動作中に十分な接触を維持するためにより大きな力が必要となることを意味する。バス・ドライバのような低い動作周波数では、比較的高い付勢力は、接触面の転動中のより高い摩擦/接触力によるノイズ発生及び/又は運動に対する抵抗を引き起こす可能性があるという点で悪影響を及ぼし得る。また、振動板構造の回転慣性が大きいということは、低い周波数での動作を過度に損なうことなく、より高い接触力を使用することができるということを意味し、その他の全ては等しい。
付勢の適合
付勢機構は、好ましくは、動作中にヒンジ・システムに起因する転がり抵抗が特定の状況下で低減されるように、接触面に対して横方向に適合する力を加える。言い換えれば、付勢機構は、ヒンジ要素と接触部材との間のあるレベル又はある程度の追従性を導入して、ヒンジ要素が所望の回転軸の周りで接触部材に対して回転又は転動することを可能にし、状況によっては相対的な横方向運動を可能にする。
付勢機構の追従性の程度又はレベルは、ばねに取り付けられた物体がばねの剛性の影響を受けるのと同様に、動作中の振動板の振動周波数に影響を及ぼし得る。したがって、付勢機構の追従性は、オーディオ・トランスデューサの意図するFROを含む(しかし、これに限定されない)1つ又は複数の要因を考慮して設計することもできる。例えばバス・ドライバのような比較的低い周波数で動作するように構成されたオーディオ・トランスデューサの場合、付勢機構の追従性は比較的高くてもよいが、高音ドライバのような比較的高い周波数で動作するように構成されたトランスデューサの場合、付勢機構の追従性は、FROの下端の性能に過度の影響を与えることなく、比較的低く(すなわち剛性に)することができる。
ヒンジ・システムを設計するときには、他のヒンジ・システムの追従性も考慮に入れることができ、これらについては、以下でさらに詳細に説明する。
好ましくは、付勢機構は、
振動板組立体が作動中に中立位置にあるとき、及び
ヒンジ要素が接触面に垂直な接触面と接触する領域を通る方向に、接触部材からヒンジ要素に付加的な力が加えられたときに、
付加的な力は付勢力に比べて相対的に小さいので、ヒンジ要素と接触部材との間の分離は生じず、
接触部材によってヒンジ要素に加えられる反作用力の結果的な変化は、付勢機構によって加えられる力の結果としての変化よりも大きくなるように十分な追従性を有する。
好ましくは、付勢構造の追従性は、接触部材と比較して、付勢機構内の非接続構成要素の接触領域に関連する、接触領域における追従性を含まない。
好ましくは、付勢機構H705は、加える付勢力が、トランスデューサが静止しているとき、振動板がその可動域の全範囲を横断するときの平均の力の200%を超えて、より好ましくは150%又は最も好ましくは100%を超えて変化しないように十分な追従性を有する。
構造の有限要素解析(FEA)などのコンピュータモデルシミュレーション方法を使用して、付勢機構に固有の追従性を分析することができる。例えば、ヒンジ要素に接触面から力を加えることができ、付勢機構における追従性による変位を観察することができる。好ましくは、ヒンジ要素に作用する付勢機構の剛性k(「k」はフックの法則で定義されている)は、5,000,000未満、より好ましくは1,000,000未満、より好ましくは500,000未満、より好ましくは200,000未満、より好ましくは100,000未満、より好ましくは50,000未満、より好ましくは20,000未満、より好ましくは5,000未満、最も好ましくは500未満である。
好ましくは、振動板が通常動作中に平衡変位しているときに、2つの等しく反対方向の力がそれらを分離するような方向に接触面に対して各表面に同じ力で垂直に印加されると、最初の分離を達成するのに必要な力を上回るニュートンの小さな力の増加(dF)と、ドライバの残りの部分の変形に起因する表面での分離の結果として生じるメートルの変化(dx)との比dF/dxは、付勢機構内の非接続構成要素間の接触点の局部的な領域に関連する、局部的な領域における追従性を除いて、10,000,000未満である。より好ましくは、これは5,000,000未満、より好ましくは3000,000未満、より好ましくは1,000,000未満、より好ましくは500,000未満、より好ましくは200,000未満、より好ましくは100,000未満、より好ましくは40,000未満、より好ましくは10,000未満、より好ましくは1,000未満、最も好ましくは500未満である。
dF/dxは、ヒンジ要素と接触面を分離するように接触面に垂直な方向にヒンジ接続部に加えられる並進力に関する構造の剛性(又は追従性の逆数)と考えることができる。
ごく小さい表面の特徴に起因する剛性材料間の局部的な接触点に関連する追従性は、付勢機構の追従性の解析の状況において常に有用であるとは限らないので、無視してもよいことに留意されたい。これは、このような追従性は、粉塵が間隙に入った場合に振動板の可動域、時間/摩耗において一致しないことがあり、及び製造ばらつきのためにユニット間において一致しないことがあるためである。したがって、付勢機構は、好ましくは、より制御可能で、信頼性が高く、製造可能な構造を介して追従性を提供する。
コンピュータ・シミュレーションが追従性を決定するために使用され、上記に概説された理由により、付勢機構内の非接続構成要素間の接触点の局部的な領域に関連する、局部的な領域における追従性を排除することを望む場合、また、点負荷の状況ではコンピュータ・シミュレーションが追従性を計算できないことに関連する不正確さを避ける場合、これらの接触点は、スポット溶接に相当する非常に小さなソリッド連結で置き換えることができる。そのような連結は、上記の点における(分析の目的のための回転に相当する)旋回に対する抵抗を、調査される変数に影響を及ぼす他の追従性の発生源と比較して無視できるほど十分に小さくすべきである。さらに、スポット溶接は圧縮されている接続部にのみ適用され、張力のある接続部は現実のシナリオで発生するように自由に分離するように注意する必要がある。
実例として、このヒンジ・システムの付勢機構に固有の追従性を分析するために、Kオーディオ・トランスデューサ実施例の接触ヒンジ・システムを示す図K1g及びK1iを参照すると、1つの可能な方法は、分析されるべき第1の接触位置k114に、ヒンジ要素K108を接触部材K105から分離する力を加えることである(図K1g及びK1i参照)。次に、力は、試行錯誤によって、第1の接触位置K114でのみ分離を引き起こすのに必要な力を決定するために変化する。小さな分離が達成されると、ヒンジ・システムの他の接触面又は表面(この実例では1つの他の接触面のみが存在する)は分離が起こるかどうかを見るために観察される。他の接触位置で分離が発生した場合、これは問題なく、又は、分離が起こらない場合は、互いに近づいて/離れて並進するという点で接触要素を加えるために非常に小さな「スポット溶接」がこの位置でモデルに追加され、それによって、この位置でごく小さい表面特徴に関連する追従性を排除する。これは、ごく小さい表面特徴又は点荷重に関連する不正確な分析とは対照的に、付勢機構に関連する追従性に向かって分析を分離する。次いで、加えられる力が増加し、関連する分離の変化が観察される。分離の変化と組み合わせた力の増加は、付勢機構の追従性を示す。
可能なチェックとして、両方の場合の溶接が十分に小さく、結果がこの変化によって無視できる程度にしか影響を受けないことを確認するために、スポット溶接サイズを縮小し、上記の分析を繰り返すことができる。
好ましくは、ヒンジ要素に作用する付勢機構の全体の剛性k(「k」はフックの法則で定義される)、上記の接触面を介して支持される振動板組立体の部分の回転軸の回りの回転慣性、及び振動板の基本共振周波数Hz(f)は、K<C×≦10,000×(2πf)×Iの関係を満たす。
ここで、Cは好ましくは200、より好ましくは130、又はより好ましくは100、又はより好ましくは60、又はより好ましくは40、又はより好ましくは20、又は最も好ましくは10によって与えられる定数である。
また、好ましくは、振動板が通常動作中に平衡変位しているときに、2つの等しく反対方向の小さな力がそれらを分離するような方向に接触面に対して各表面に同じ力で垂直に印加されると、最初の分離を達成するのに必要な力を上回るニュートンの小さな力の増加(dF)と、ドライバの残りの部分の変形に起因する表面での分離の結果として生じるメートルの変化(dx)との関係、接触面に対する振動板の回転軸の回りの振動板の回転慣性(Kg.m(I))、及び振動板の基本共振周波数Hz(f)は、付勢機構内の非接続構成要素間の接触点の局部的な領域に関連する、局部的な領域における追従性を除いて、
Figure 2022017532000013

を満たす。
ここで、Cは好ましくは200、より好ましくは130、又はより好ましくは100、又はより好ましくは60、又はより好ましくは40、又はより好ましくは20、又は最も好ましくは10によって与えられる定数である。
平衡の達成
付勢機構は、好ましくは、接触力を以下のいずれかのように位置及び方向に加える。
1)振動板の枢動復元力を加える別個の手段がある場合には、付勢力は、振動板を不安定にして不安定な平衡状態にするか、又は振動板の基本モード周波数を過度に上昇させる重要なモーメントを生じさせない。
2)付勢力が直接的又は間接的に振動板復元力の要因である場合、復元力は、通常の動作中に振動板の可動域に対して十分に線形とすべきである。
好ましくは、ヒンジ要素に加えられる付勢力は、振動板の可動域の全範囲にわたって接触面に対して振動板の回転軸と同一直線上にある縁部の近くに加えられる。より好ましくは、ヒンジ要素と接触面との間に加えられる付勢力は、振動板の可動域の全範囲にわたって、ヒンジ要素の接触面及び接触部材の接触面のうちの、回転軸に垂直な平面における断面プロファイルで見た場合に比較的小さな半径で突状に湾曲した接触面側の接触半径の中心の近くを通る軸の同一直線上にある位置に加えられる。好ましくは、通常動作の間は常に、付勢力の位置及び方向は、回転軸に平行に向けられ、ヒンジ要素と接触部材との間の接触点、接触線、又は接触領域を通過する仮想線を通過するようになっている。
記載された構成は、振動板に作用する復元力を最小限に抑え(Wnを最小限に抑え)、不安定な平衡を生じさせないようにし、基本振動板共振周波数Wnを過度に増加させ得る振動板の過大な復元力を防ぐのを助ける。
付勢機構の多くの異なる形態が可能であり、上記の要求に従って設計できることが理解されるであろう。例えば、いくつかの実施例では、ばね又は他の弾性部材構造を使用することができる。或いは、磁力ベースの構造を利用してもよい。これらの実例は、本発明の実施例を参照して与えられる。しかしながら、当業者に知られている他の付勢機構を代わりに使用することができ、本発明はそのような実例に限定することを意図していないことが理解されるであろう。
3.2.1e 接触によって提供される堅固な拘束
ヒンジ要素H702と接触部材H703との間の接触は、好ましくは、少なくとも接触点/領域でヒンジ要素の表面に接する平面に対して垂直な方向において、接触部材に対する平行移動に対して接触点/領域H704においてヒンジ要素を実質的に堅固に拘束する。これは、好ましくは、付勢機構によって提供されるが、いくつかの実施例ではそうではない可能性がある。通常動作では、付勢力と比較して小さい(及び反対の)力がヒンジ要素H702に加えられると、ヒンジ要素と接触部材との間の一貫した物理的接触は、接触面に垂直な方向における接触部材に対して、並進運動に対するヒンジ要素の接触部分を堅固に拘束する。好ましくは、付勢力と比較して小さい力、すなわち通常動作中の典型的な力がヒンジ要素に加えられると、一貫した物理的接触はまた、接触部材に対して、接触点/接触領域においてヒンジ要素の表面に接する平面に実質的に平行又は実質的に平面内の方向に、ヒンジ要素を接触点において平行移動に対して堅く拘束する。このような拘束は、ヒンジ要素と接触面との間の静摩擦に起因することが最も好ましい。重要な並進の拘束が提供されない場合、ヒンジ・システムは、FRO内で分割モードが発生するのを防ぐことができる点で、あまり機能しない又は全く機能しない。
3.2.1f 係数とジオメトリ
ヒンジ要素H702と接触部材H703の両方が実質的に剛性の材料から形成されることが好ましい。接触領域における僅かな撓みは、振動板分割モードの周波数の顕著な低下、及び対応する音質の低下をもたらす可能性がある。
例えば、ヒンジ要素及び接触部材は、約8GPaより高いヤング率、又はより好ましくは約20GPaより高いヤング率を有する材料から作られる。適切な材料は、例えば、スチール、チタン、又はアルミニウム、又はセラミック又はタングステンなどの金属を含む。
ヒンジ要素H702と接触部材H703との接触面は、硬質で耐久性がある高強度の被覆材でコーティングすることもできる。アルミニウム構成要素は陽極酸化することができ、又はスチール構成要素はセラミック・コーティングを施すことができる。1つ又は好ましくは両方の構成要素のセラミック・コーティングは、接触点におけるフレッチング及び/又は他の腐食メカニズムによる腐食を低減又は排除する。このような理由から、接触位置におけるヒンジ要素及び接触部材の接触面のいずれか又は(好ましくは)両方は、非金属材料又はコーティング、及び/又は、耐腐食性材料又はコーティング、及び/又は、フレッチングに関する腐食に耐える材料又はコーティングを含むことができる。
ヒンジ要素H702及び接触部材H703のジオメトリは、接触点/領域H704の近くで実質的に剛性でなければならない。いずれかの構成要素が支持されていない特に薄い壁を有する場合、例えば接触点/領域の近傍では、撓み及び関連するヒンジ追従の危険性があり、例えば接線面内で平行移動が行われる。この理由から、ヒンジ要素と接触部材の両方が、接触位置H704において、比較的小さい半径の接触面の曲率半径に比べてかなり厚い及び/又は幅広であることが好ましい。
好ましくは、ヒンジ要素は、接触位置において、ヒンジ要素及び接触部材の接触面のうち側面プロファイルにおいてより突状である接触面の半径の1/8、又は1/4、又は1/2よりも厚く、又は最も好ましくはこれより厚い。また、接触部材の壁厚は、接触位置において、ヒンジ要素及び接触部材の接触面のうち側面プロファイルにおいてより突状である接触面の半径の1/8、又は1/4、又は1/2よりも厚く、又は最も好ましくはこれより厚い。
好ましくは、並進荷重が振動板からヒンジ接続部を介してトランスデューサ・ベース構造へと通過することができる少なくとも1つの実質的に非適合の経路がある。例えば、振動板本体を実質的に剛性の構成要素を含むベース構造に連結する少なくとも1つの経路があり、これにより、一方の剛性構成要素が剛性連結されることなく他方の剛性構成要素と接触する場所のすぐ近くにおいて、全ての材料は8GPaより高い、又は好ましくは20GPaより高いヤング率を有する。
3.2.1g 転動
ヒンジ要素H702は、好ましくは、動作中に接触部材H703に対して実質的に自由に転動及び/又は揺動することができる。転動機構は必ずしも完全に純粋な回転動作を規定するとは限らないことに留意されたい。例えば、より小さい半径の突状曲面が、回転軸に垂直な平面内の断面プロファイルで見た場合に、0より大きい半径を有する場合、その表面が他の表面に対して移動する際に並進の要素もあり、これは動作中の回転軸の位置を変えることがある。また、ヒンジ要素H702が回転軸に垂直な平面で見た場合に放物線の断面プロファイルを有し、接触部材が回転軸に垂直な平面で見た場合に平坦な断面プロファイルを有すると、振動板が再び撓むにしたがって並進の程度は変化して回転軸の位置が変化し得る。いくつかの構成では、並進の距離は重要であるが、本発明の目的上、回転軸への言及は、動作中のヒンジ接続部によって規定される回転の近似軸を意味する。
3.2.1h 擦れ
いくつかの構成では、ヒンジ要素H702は、ヒンジで動くにつれて、接触部材H703の表面に対して擦れ、ねじれ、摺動し、又は接触部材H703の表面に沿って移動することも可能である。例えば、1つの構成では、ヒンジ要素は、接触部材に接触し、接触点/領域H704で表面に接する平面に垂直な軸の周りを回転する(又はねじれる)。ヒンジ要素及び接触部材の両方に適した材料は、サファイア又はルビーのような硬質及び剛性材料を含むことができる。この構成では、1つのヒンジ接続部が振動板幅の一方の側に配置され、第2の要素が他方の側に配置される。両方のヒンジ接続部が一緒に回転軸を定義する。
擦れ又は摺動の全ての点は、可能な限り回転軸の近くに配置することが好ましい。好ましくは、回転軸に垂直な平面に沿った断面プロファイルで見た場合、ヒンジ要素の接触面と接触面とのうち小さい突状曲率半径を有する方は、2つの部分の回転軸から振動板の最も遠い周辺部まで測定したときの振動板組立体の長さに比べて比較的小さい半径を有する。この半径は、例えば、振動板組立体の長さの2%未満、最も好ましくは振動板組立体の長さの1%未満である。
3.2.1i ベース構造及び振動板への連結
ヒンジ接続部H701を含むヒンジ・システムは、振動板組立体とトランスデューサ・ベース構造との間に結合されるように構成されてもよい。例えば、接触ヒンジ接続部H701のヒンジ要素H702を含むヒンジ・システムのヒンジ組立体は、振動板組立体に堅固に連結されてもよく、組立体のヒンジ接続部の接触部材H703は、トランスデューサ・ベース構造に堅固に取り付けられてもよい。これは、簡単で効果的なヒンジ接続部機構を形成し、それによって、並進力が振動板とベース構造との間で伝達される経路が直接的となり、純粋な並進移動に対して剛性を達成するのに役立つ。中間的な構成要素がなければ、追従性の機会を最小限に抑えるのに役立つ。言い換えれば、振動板構造又は組立体とヒンジ要素との結合部、及びベース構造と接触部材との結合部における追従性が低くなるかゼロになるように、連結は堅固である。
代替的に、ヒンジ要素H702がトランスデューサ・ベース構造に堅固に取り付けられ、接触部材H703が振動板組立体に堅固に取り付けられるように、ヒンジ接続部を逆にすることができる。
好ましくは、振動板は、ヒンジ・システムによって動作可能に支持され、トランスデューサ・ベース構造に対して近似的な回転軸の周りで実質的に回転する。好ましくは、ヒンジ要素は、振動板の回転軸と実質的に同一線上にある軸の周りで接触面に対して転動する。しかし、代替的に、ヒンジ要素は、回転軸と平行であるが同一直線上にない軸の周りで転動する。
振動板構造又は本体を含む振動板組立体は、好ましくは、各ヒンジ接続部及び関連する接触面に近接して密接に関連及び/又は接触している。また、ヒンジ要素(又は接触部材)は、振動板構造に堅固に取り付けられ、それによって構成要素となり、振動板構造の一部を形成し、全ての意図及び目的のために振動板構造が直接接触して並進剛性が改善される。同様に、トランスデューサ・ベース構造、特にベース構造のスクワット・バルクは、好ましくは、各ヒンジ接続部及び関連する接触面に近接して密接に関連及び/又は接触している。接触部材(又はヒンジ要素)は、ベース構造のスクワット・バルクに堅固に取り付けられ、それによって構成要素となり、ベース構造の一部を形成し、全ての意図及び目的のためにベース構造が直接接触して並進剛性が改善される。
振動板構造と接触面とを隔てる距離がある場合、この距離は、振動板及び各ヒンジ接続部が密接に関連するように、回転軸から振動板構造の最も遠位の周辺部までの総距離と比較して小さいことが好ましい。例えば、この距離は、振動板先端部から回転軸までの最大距離の1/4未満であることが好ましく、又は振動板先端部の回転軸に対する最大距離の1/8未満であることがさらに好ましく、又は振動板先端の回転軸に対する最大距離の1/16未満であることが最も好ましい。これは、振動板本体とヒンジ接続部との間の追従性を減少させるのに役立つ。同様に、トランスデューサ・ベース構造のスクワット・バルク及び各ヒンジ接続部は、隔たりがあれば同様の距離で密接に関連していることが好ましい。
3.2.1j ヒンジ・システムのシム
いくつかの可能な構成では、接触部材H703は、1つ又は複数のシム又は他の実質的に剛性の部材を介してトランスデューサ・ベース構造に取り付けることができる。これらは、場合によっては接触部材H703の一部を形成すると考えることができる。例えば、設計者は、シムを間隙H704に挿入することが有用であるとおそらく判断することができる。この場合、ヒンジ・システムH701は、並進追従性の最小限の増加でも依然として良好に機能することができる。この構成に用いられるシムは、剛性が高く、ヤング率が約8GPa以上、又はより好ましくは約20GPa以上の材料から作製されることが好ましい。適切な材料は、例えば、スチール、チタン、又はアルミニウム、又はセラミック又はタングステンなどの金属を含む。
好ましくは、振動板組立体及びトランスデューサ・ベース構造の一方は、接触領域のすぐ近くの各ヒンジ接続部のヒンジ要素の少なくとも一部に効果的に堅固に連結され、振動板組立体及びトランスデューサ・ベース構造の他方は、接触領域のすぐ近くの各ヒンジ接続部の接触部材の少なくとも一部に効果的に堅固に連結されている。
また、通常動作中は常時、ヒンジ要素と接触部材とが接触する点又は領域は、全方向の並進変位の観点から、ヒンジ要素とトランスデューサ・ベース構造の両方に効果的に堅固に連結されることが好ましい。このようにして、各ヒンジ接続部の接触面及びヒンジ要素は、並進変位の観点から、振動板組立体及びトランスデューサ・ベース構造の両方に対して事実上実質的に不動である。
好ましくは、振動板組立体及びトランスデューサ・ベース構造の一方は、ヒンジ要素に効果的に堅固に連結され、振動板組立体及びトランスデューサ・ベース構造の他方は、接触部材に効果的に堅固に連結される。さらに好ましくは、振動板組立体及びトランスデューサ・ベース構造のうちの一方は、ヒンジ要素及び接触部材が接触する位置のすぐ近くのヒンジ要素の一部又は複数の部分に効果的に堅固に連結され、振動板組立体及びトランスデューサ・ベース構造の他方は、ヒンジ要素及び接触部材が接触している位置のすぐ近くの接触部材の一部又は複数の部分に効果的に堅固に連結される。
図A1fに示す実施例は、以下でさらに詳細に説明するように、簡単で、コストが低く、望ましくない共振の影響を受けにくい利点を提供するこの構成の実例である。
振動板組立体とトランスデューサ・ベース構造との間の間隙に平坦な金属シムを挿入して、振動板組立体によってトランスデューサ・ベース構造に対して一定の接触状態に保持されるようにすると、デバイスは依然としてかなり良好に機能することに留意されたい。シムは、少なくとも接点の点/領域の局部的な領域において、トランスデューサ・ベース構造に堅固に連結されているかのように挙動する。この場合、接触部材がシムを含み、振動板組立体がヒンジ要素を含むときは、トランスデューサ・ベース構造は、シム/接触部材に効果的に堅固に連結されたままであり、ヒンジ要素は振動板組立体に堅固に連結され、上述のように有利な構成が依然として存在する。
3.2.2 実施例A-接触ヒンジ・システム
ヒンジ・システムの概要
上述の設計原理及び考察に従って設計された本発明の接触ヒンジ・システム構成の実例が、図A1に示された実施例Aのオーディオ・トランスデューサに示されている。本発明の実施例Aのトランスデューサは、ヒンジ・システムを介してトランスデューサ・ベース構造A115に枢動可能に結合された振動板組立体A101を有する回転動作ドライバを含む。本明細書のセクション3.2で述べたように、振動板組立体は、作動中に実質的に剛性のままである振動板本体を備える。振動板組立体は、好ましくは、動作中、振動板のFROにわたって実質的に剛性の形態を維持する。ヒンジ・システムは、振動板組立体A101がベース構造A115に対して回転又は揺動/振動することができるように、振動板組立体を動作可能に支持するように構成され、振動板組立体A101とトランスデューサ・ベース構造A115との間に転動接触を形成する。この実例では、ヒンジ・システムは、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体A301(図A3aに示される)を含み、各ヒンジ接続部はヒンジ要素及び接触部材を含み、接触部材は接触面を有する。この実施例では、ヒンジ組立体は、振動板組立体のいずれかの側に一対のヒンジ接続部を含む。ヒンジ接続部のヒンジ要素は、同じ又は別個の構成要素の要素であってもよく、及び/又はヒンジ接続部の接触要素は、以下の説明から明らかなように、同じ又は別個の構成要素の部材であってもよい。動作中、各ヒンジ接続部は、接触面との実質的に一貫した物理的接触を維持しながら、ヒンジ要素が関連する接触部材に対して移動することを可能にするように構成される。さらに、ヒンジ・システムは、ヒンジ要素を接触面に向かって付勢する。好ましくは、ヒンジ・システムは、関連する接触面に向かう付勢力を各接続部のヒンジ要素に適合可能に加えるように構成される。
この実施例では、両方のヒンジ接続部は、(図A1fにも示されている)接触面を有する長手方向の接触バーA105である接触部材に対して、動作中に実質的に摺動しないか又はわずかな摺動とともに転動する長手方向のヒンジ・シャフトA111である共通のヒンジ要素を含む。この実例では、ヒンジ要素A111は、接触領域A112においてヒンジ要素の一方の側に実質的に突状に湾曲した接触面又は頂点を含み、接触領域A112における接触バーA105の一方の接触面は、実質的に平面又は平坦である。上述したような代替の構成では、ヒンジ要素A111又は接触部材A105のいずれか一方は突状の湾曲接触面を一方の側に備え、接触バー又はヒンジ要素の他方の対応する表面は、一方の表面を他方の表面に対して転動させることを可能にするために、平面、窪み面、(相対的に大きな曲率半径の)小さな突面、又はさらには同様の半径の他の突面を含んでいてもよい。
ヒンジ要素A111及び接触部材A105の構成要素は、ヒンジ・システムの付勢機構によってある程度の追従性とともに加えられた実質的に一貫した力によって、実質的に一定及び/又は一貫した物理的接触状態に保持される。付勢機構は、以下のいくつかの実例でさらに説明するように、ヒンジ組立体の一部、例えばヒンジ要素及び/又はそれとは別個の一部を含んでいてもよい。振動板組立体、構造又は本体は、いくつかの実施例において、付勢機構も備えることができる。実施例Aのオーディオ・トランスデューサの実例では、ヒンジ・システムの付勢機構は、対向するポールピースA103及びA104を有する永久磁石A102と、振動板組立体に埋め込まれた磁気的引力のあるスチール・シャフトA111とを有する磁気構造又は組立体を含む。付勢機構は、ヒンジ要素を所望の追従性レベルで接触部材に押し付けるように作用する。付勢機構は、オーディオ・トランスデューサの動作中にヒンジ要素A111及び接触部材A105が物理的に接触したままであることを保証し、好ましくは、ヒンジ・システム、特に可動ヒンジ要素が、製造ばらつき又は接触面の不完全性、及び/又は例えばヒンジ・システムの製造又は組み立て中に組立体に誤って導入される可能性のあるほこり又は他の異物などの要因によって動作中に存在し得る転がり抵抗の影響を受けにくいように十分追従性を有する。このようにして、ヒンジ要素A111は、動作中に振動板の回転運動に著しく影響を及ぼすことなく接触部材に対して転動し続けることができ、それによって、そうでなければ起こり得る音の乱れを軽減するか少なくとも部分的に緩和する。
好ましくは、付勢力は、ヒンジ要素と接触部材との間の接触領域において接触面に実質的に垂直な方向に加えられる。好ましくは、付勢機構は実質的に追従性がある。好ましくは、付勢機構は、ヒンジ要素と接触部材との間の接触領域における接触面に実質的に垂直な方向に実質的に追従性を有する。ヒンジ要素と接触部材との間の接触は、好ましくは、ヒンジ要素の接触点/領域において、接触部材に対する少なくとも接触点/領域でヒンジ要素の表面に接する平面に垂直な方向の平行移動に対してヒンジ要素を実質的に堅固に拘束する。
付勢機構は、振動板構造の長手方向軸に実質的に平行な方向に、及び/又は、接触A112の領域又は線又はヒンジ要素A111の頂点に接する平面に実質的に垂直な方向に力を加えて、接触部材A105に対してヒンジ要素A111を保持するように構成される。付勢機構は、転動ヒンジ要素がヒンジ・システムの接触面間に存在する欠陥又は異物上を最小抵抗で移動することができ、それによりヒンジ要素が動作中に接触部材上を滑らかに十分に妨げられないように転動できるように、少なくともこの横方向においても十分に追従性を有する。言い換えれば、付勢機構の追従性の増大は、ヒンジが、完全に滑らかで妨げられない接触面を有するヒンジ・システムと同様に動作することを可能にする。
付勢機構
実施例Aのオーディオ・トランスデューサの実例では、ヒンジ・システムの付勢機構は、対向するポールピースA103及びA104を有する磁石A102と、振動板組立体に埋め込まれた磁気的引力のあるシャフトA111とを有する磁石ベースの構造を含む。磁石A102は、例えば、以下に限定されるものではないが、ネオジム材料から作られてもよい。対向するポールピースA103及びA104は、例えば軟鋼のような強磁性材料から作られるが、これに限定されない。ポールピースA103及びA104は、接触バーA105及びピボット・シャフトA111の両側に配置され、その間に磁場を生成し、シャフトA111に力を加えて接触部材A105に向かって付勢する。この実例では、磁石A102は、振動板組立体と長手方向に整列して配置され、ポールピースは、必要な磁場を達成するために、振動板組立体の対向する主面の両側に隣接して配置されるが、他の構成も可能であることが理解されるであろう。
シャフトA111は、限定されないが例えばステンレス鋼のような強磁性材料から形成されてもよく、この場合、振動板組立体A101の一部を形成する。この実例では、接触バーA105もまた、ステンレス鋼のような強磁性材料から作られているが、他の適切な材料を代替構成に組み込むこともできる。422等級の鋼のような十分に磁力の強い鋼が好ましくは使用されるが、他の種類も可能である。接触バーA105とシャフトA111の両方は、好適な形態では、(接触点における滑りを防止するのに役立つ)適度に高い摩擦係数を有する窒化クロムのような薄い物理蒸着セラミック層を用いてコーティングされ、好ましくは低い摩耗特性を有し、非金属であることは、フレッチングなどの腐食を防止するのを助けるという点で有用である。上記のセクションで説明したように、接触バーA105及び/又はシャフトA111に他の材料及び/又はコーティングを利用することができ、本発明はこの特定の実例に限定されるものではないことが理解されよう。振動板組立体A101及びトランスデューサ・ベース構造A115は、実質的に剛性である。振動板組立体とトランスデューサ・ベース構造の両方の材料、ジオメトリ及び/又は構成は、接触バーA105上の接触領域A112の直近及び/又は近傍において比較的剛性である。
上述したように、磁石A102、トランスデューサ・ベース構造のポールピースA103、A104、及びヒンジ及び振動板組立体のシャフトA111を含む付勢機構は、ヒンジ要素A111に特定の付勢力を加え、動きに対する特定の程度の追従性及び/又は剛性を伝える磁界を形成する。言い換えれば、磁力は、ヒンジ要素が振動板組立体A101の長手方向軸に実質的に平行な軸に沿って接触部材に対して平行移動することを可能にする程度に追従性を有する。
この構造によって発生する磁場は、磁石A102のN側(図A1eの矢印方向及び「N」記号によって示されるN側)から横断し、N側外側ポールピースA103を通ってコイルA109に最も近い端部に向かって延び、第1のコイル巻線長辺A109、スペーサA110の第1の辺、シャフトA111、及びS側外側ポールピースA104の端部を通ってほぼ線形の磁力線を含む。その後、磁場はS側外側ポールピースA104に続き、S側(図A1eの矢印方向及び「S」記号によって示されるにS側)において磁石A102に再び入る。磁石のN極及びS極の向きは、他の構成で変更されてもよいことが理解されるであろう。
1つのコイル巻線側A109によって及ぼされる力の方向は、コイルを流れる電流の方向に依存する。発生した力は常に電流と磁場の両方の方向に垂直であるので、図A1e及びA1fを参照すると、1つのコイル巻線長辺A109によって印加される力の方向は、ほぼ左又は右になる。
磁気付勢機構は、付勢機構の目的に関して利点を提供し、好ましくは、実質的な追従性が加えられた1つ又は複数のヒンジ接続部に実質的な力を提供し、ヒンジ要素及び接触部材のそれぞれの対の間に実質的に遮るもののない回転運動を可能にしながら、1つ又は複数のヒンジ要素を1つ又は複数の接触部材に付勢する。
他の構成では、付勢機構は、互いに反発及び/又は引き付けるように構成された複数の磁石から構成することができる。
追従性の程度及び力の大きさは、上で詳細に説明した以下の要因のいずれか1つに基づいて設計することができる。
・オーディオ・トランスデューサの意図されたFRO
・振動板構造又は組立体の回転慣性及び/又は振動板構造又は組立体の長さ、幅、深さ形状又はサイズ、及び/又は
・振動板構造又は組立体の質量
有限要素法解析は、セクション3.2.1dで説明したヒンジ・システムの付勢機構に固有の追従性を判断するのに適している。
実施例Aのオーディオ・トランスデューサに採用される本発明のヒンジ・システムは、振動板組立体とトランスデューサ・ベース構造との間の負荷が伝わる主経路が、剛性材料で作られ剛性のジオメトリを有する構成要素で全体的に構成されるから、ヒンジ接続部における並進追従性(すなわち、シャフトA111が接触バーA105に対して平行移動することができるように容易であること)が比較的低いか緩和されるというウィン-ウィンの利益を提供する。また、シャフトA111と接触バーA105とを一緒に保持する力が適合可能に加えられるので、回転に対する抵抗は、特に接触の頑強さに関して、比較的低く、一貫性があり信頼性のあるものにすることができる。
この性能は、ヒンジ・システムに固有の非対称性により達成され、これにより、一方では、付勢機構は、振動板組立体をトランスデューサ・ベース構造に対して保持する一定の力を適合的に適用し、他方では、トランスデューサ・ベース構造は、実質的に一定の変位を規定することによって応答し、その結果、逆方向に作用する等しい反作用力をもたらし、望ましくない振動板ベース構造の共振モードを悪化させる可能性がある並進追従性を最小限にする。好ましくは、反作用力は、接触面を比較的非追従性である接触部材の本体に連結する接触部材の部分によって提供される。
この実施例の付勢機構は、動作中に振動板組立体に対して重要な内部荷重を示さないように十分に追従性がある。例えば、動作中に、使用中の振動板組立体に小さな負荷が加えられ、例えば、分割共振モードが励起されると、ヒンジ及び振動板組立体のシャフトA111の変位は、この連結が非適合的に構成されているので、主に、接触バーA105との接触によって抵抗される。一方、付勢機構は、比較的追従性があり、したがって、比較的一定の内部荷重を維持するように構成され、そのような変位に有効に抵抗しない。
好ましくは、ヒンジ要素/シャフトA111は、振動板構造に堅固に連結され、振動板組立体の一部を形成し、ヒンジ要素A111の特に接触面A112に直近の領域、及び、この領域と振動板組立体の残りの部分との間の連結部は、付勢機構と比較して比較的非適合的である。
実施例Aのオーディオ・トランスデューサの場合、コイル巻線A109である励起機構力発生構成要素によって加えられる力は、ヒンジ要素及び接触部材を予期せずに滑らせるように作用する可能性がある。この可能性を最小にするために、全ての付勢機構によって加えられる正味の力は、好ましくは、励起機構によって加えられる最大の力よりも大きくすべきである。好ましくは、力は、トランスデューサの通常動作の間に受ける最大励起力の1.5倍より大きく、又はより好ましくは2.5倍より大きく、又はさらに好ましくは4倍より大きい。
ヒンジ要素A111を接触部材A105に向けて付勢する力は、好ましくは、トランスデューサの通常の動作中に振動板組立体に最大の励起が加えられたときに、ヒンジ要素A111と接触部材A105との間に実質的に重要でない又は滑らない接触が維持されるように、十分に大きい。好ましくは、特にヒンジ接続部における付勢力は、トランスデューサの通常動作中に振動板組立体に最大励起が加えられたときに、ヒンジ接続部で生じる反力の接触面に平行な方向の成分より3倍、又はより好ましくは6倍、又は最も好ましくは10倍大きい。好ましくは、ヒンジ要素と接触部材との間の接触力の少なくとも30%、又はより好ましくは少なくとも50%、又は最も好ましくは少なくとも70%は、付勢機構によって与えられる。
全ての付勢機構によって加えられる正味の力は、およその方向に加えられ、通常動作の間に振動板が回転するにつれていくらかの変化があってもよく、接触点における滑りの傾向を最小にする。したがって、実施例Aの場合、付勢力は、使用時にヒンジ要素に接触する接触面に垂直な軸(又は接触面に垂直なベクトル)に対して25度未満、又はより好ましくは10度未満、及びより好ましくは5度未満の角度の方向に加えられることが好ましい。最も好ましくは、この角度は、実施例Aの場合には、使用時に2つの間で約0度である。
ヒンジ接続部
実施例Aの実例では、接触バーA105はトランスデューサ・ベース構造A115に堅固に連結されている。接触バーA105は、ベース構造と別個に形成され、任意の適切な機構を介してベース構造に堅固に結合されてもよく、そうでなければ、ベース構造A115の別の部分と一体的に形成されてもよい。接触バーA105は、ベース構造の一部を形成することができる。この実例では、接触バーA105は、ベース構造A115の磁石A102の面に堅固に結合され、ベース構造の一部を形成する。同様に、ヒンジ要素/シャフトA111は、振動板構造A101に堅固に結合され、したがって振動板組立体A101の一部を形成することができる。シャフトA111は、振動板組立体とは別個に、又は一体的に形成されてもよい。この実例では、シャフトA111は別個に形成され、突状の曲面に対向する平坦な端面は、当技術分野で公知の任意の適切な機構を介して、振動板本体A208の対応する平面な端面と堅固に結合する。
この実例では、ピボット・シャフトA111の突状の曲面A311は、接触位置/領域A112において約0.05~0.15mm、例えば0.12mmの比較的小さな半径を有する。これは、回転軸A114から振動板の遠位先端/端部までの振動板本体A208の(図A2fに示されている)長さA211の1%未満である。例えば、この実例では、振動板本体の長さは約15mmである。この比は、自由な振動板の動き及び低い基本振動板共振周波数(Wn)を容易にするのに役立つ。これらの寸法は例示的なものに過ぎず、本特許明細書の先の設計原理及び考察セクションの下で定義される他のものも可能であることが理解されるであろう。
図A3aを参照すると、ヒンジ・システムの接触ヒンジ組立体の構成要素がより詳細に示されている。ヒンジ要素又はシャフトA111は、ほぼ円筒形の全体形状の実質的に長手方向の本体を含む。シャフトのサイズは、トランスデューサの用途及びサイズに依存し、例えば、個人用オーディオ用途では、約1mm~10mmであり得る。他のサイズも想定されており、この実例は可能なサイズの範囲を制限することを意図しない。図A2gも参照すると、シャフトA111の両端A203に隣接して、縮小直径A202の窪み部又はセクションがある。このようにして、シャフトA111は、中央セクションA201と、実質的に同様の直径の2つの端部セクションと、中央セクションと両端部セクションとの間の中央セクション及び端部セクションに対して実質的に直径が縮小された2つの窪み部セクションとを含む。接触部材A105は、実質的に平坦な表面を有する本体を含む。一対の接触ブロックが平面から横方向に突出している。本体は、トランスデューサの組み立てられた状態で、トランスデューサ組立体の磁石A102及び/又はベース構造A115を結合するように構成される。
各窪みセクションA202は、接触部材A105の面から突出する対応する接触ブロックA105a及びA105bを受け入れる大きさである。各接触ブロックは、対応する窪み部内に収容されるような大きさであり、窪み部の対向面に対して/隣接して位置するように構成された実質的に平坦な接触面A105cを含む。ピボット・シャフトA111の各窪みセクションA202は、組立体の組み立てられた形態で接触部材A105の対応する接触ブロックA105a/A105bの接触面A105cに接触するように構成された(断面で)実質的に突状に湾曲した表面を含む。ピボット・シャフトA111の中央セクションA201は、接触部材の接触ブロック間に位置するように構成され、端部A203は、接触ブロックの外側に位置するように構成される。中央セクションA201は、接触部材A105から離間していることが好ましい。このようにして、シャフトA111は、接触ブロックの接触面に対して転動する窪みセクションA202の作用によって接触部材に対して転動することができる。したがって、ヒンジ・システムは、振動板組立体が最小の制限で自由に前後に揺動/振動することを可能にする。
シャフトA111の各窪みセクションA202は、突状に湾曲した接触面A311まで延びる傾斜面を有する。これにより、最小の抵抗で接触部材A105の接触面A105cに対してシャフトが回転するための空間が提供される。傾斜面は、例えば約120度であってもよいが、他の角度も可能であり、本発明はこれに限定することを意図していない。角度を付けられたセクションの頂点において、各窪みセクションA202の断面は、接触領域A112において実質的に平坦な接触ブロックA105a/A105b又は接触バーA205上のプラットフォームに接触して転動する比較的小さな半径(上述したように0.05mm~0.15mmの間など)の突状の曲面A311を有する。
この実例では、ヒンジ・システムは、組立体の回転軸A114に沿って離間した一対のヒンジ接続部を含み、それぞれは、窪みセクション及び対応する接触ブロック/プラットフォームA105a/A105bによって規定される。接触領域A112/線が同一直線上にあってヒンジ・システムのための共通の近似回転軸A114を形成するように、一対のヒンジ接続部、特に両者の接触領域A112は実質的に整列している。代替の実施例では、長手方向軸に沿って3つ以上のヒンジ接続部が存在してもよく、又はヒンジ・システムの長手方向の長さのかなりの部分にまたがって延びる単一のヒンジ接続部があってもよいことが理解される。この実例では、一対のヒンジ接続部は、トランスデューサの組み立てられた状態において、振動板組立体A201の振動板本体A208の幅の両側に隣接して位置するように構成される。
固定構造
図A3aは、この実施例のヒンジ・システムのヒンジ組立体A301を含む部品の拡大斜視図を示す。図A3aを参照すると、この実施例では、ヒンジ組立体A301は、振動板組立体A101を接触面に実質的に垂直な方向に定位置に保持するように作用するリガメントA306及びA307を備える。これらは回転に大きく影響しないように設計される。これらは、振動板の分割共鳴を最小限に抑えるために並進変位の抵抗に大きく貢献するためにはあまりにも繊細で追従性がありすぎ、主に振動板をほぼ適所に保持する役割を果たす。
通運動作の過程で、又は落下又は衝突シナリオのような他の状況において、力が接触点において接触面の接線方向にヒンジ要素に加えられる可能性があるので、固定構造は、好ましくは、動作の自由回転モードを依然として可能にしながら、動作のための所望の位置に、接触部材に対してヒンジ要素を配置する。
固定構造には多くの可能な構成がある。実施例Aのトランスデューサは、シャフトA111に作用して、一端がポールピースA103に引き寄せられ、他端がポールピースA104に引き寄せられる斜めの位置にシャフトA111を回転させる力がありそうなヒンジ/モータ構成を有する。振動板組立体に埋め込まれた(スチール・シャフトA111である)磁気要素を組み込んだこのような構成の場合、固定構造は大きな反力を加えることができなければならないが、振動の許容できる回転モードの点では依然として追従性を低くする。
実施例Aでは、これは、リガメントを含む固定構造によって達成される。そのようなリガメントは、好ましくは、複数のストランドを含み、基本振動板共振周波数の低減をもたらすように曲げ追従性を大きくすること、例えば10GPa以上、又はより好ましくは20GPa以上、又はより好ましくは30GPa以上、又は最も好ましくは50GPa以上に引張弾性率を高くすること、理想的な場所から離れて振動板の位置を変更する可能性があるため時間の経過とともにクリープする傾向を低くすること、摩耗を防ぐのに役立つ擦り減りに対する耐性を高くすることを促進する。リガメントに適した材料は、Vectran(商標)のような液晶ポリマー繊維である。
例えば実施例Eのように振動板組立体に埋め込まれた磁気要素を組み込んでいないヒンジ/モータ構成の場合、他のより単純な固定構造がよりコスト効率がよい。例えば、図E1(a~k)に示されている実施例Eは、接触部材窪みE117を有するベースブロックE105と、接触位置E114の窪み内で接触して転動するヒンジ要素突起E125を有し、突起は、振動板ベース・フレームE107の一部である。トランスデューサが落下したら生じ得るような衝撃の場合には、窪みE117の傾斜側壁E117b/E117c/E117cに接触する突起E125は、突起の過剰変位を防止することができる。
突出部が軸の方向に移動する場合には、傾斜した側壁E117d
好ましくは、ヒンジ要素の他方及び接触面は、接触面の平面に垂直であり回転軸と同一直線の平面内の断面プロファイル(すなわち、図E1kに示す断面)において、第1の要素が回転軸の方向にあまりにも遠くに移動することを防止する1つ又は複数の隆起部分を有する。
実施例Aの図A4に詳述されているトーション・バーA106は、シャフトA111をトランスデューサ・ベース構造A115に対して位置決めするのに寄与する金属ばねである、異なるタイプの固定構造である。
実施例Aのリガメント固定構造の代替として、トーション・バーA106と同様であるが同じではない2つのトーション・バーを使用することができ、一方は図A1に示す位置にあり、他方は振動板の反対側に取り付けられている。トーション・バーA106は回転軸に垂直な並進力に関して剛性を提供するようには設計されていないため、2つのトーション・バーを修正することができる。フレキシブル・タブA401は、低減又は除去される必要があり、好ましくは、トーション・バーの断面がより大きくなる。この二重のトーション・バー固定構造は、リガメント・タイプの固定構造よりも簡単で安価に製造することができるが、基本振動板共振周波数及び振動板の可動域も同様に制限する可能性がある。
フレキシブルばねを用いたこのような固定構造では、ばねが疲労に強いことが好ましい。例えば、スチール又はチタンのような金属が適切である。
接触部材に対するヒンジ要素の位置決めを提供するために、エラストマーの軟質のフレキシブル・ブロック又は磁気センタリングのような他のタイプの固定構造を使用することができる。
図A3a及び図A3f~iを参照すると、ヒンジ組立体A301は、接触バーA105に対してピボット・シャフトA111を配置するのを助けるために、固定構造をさらに含む。固定構造は、シャフトの各端部に隣接する各ヒンジ接続部における一対のリガメントA306及びA307から構成される。各ヒンジ接続部について、第1のリガメントA306が(接触部材に対向する)シャフトの平面の一方の側で第1のリガメント・ピンA308を包み込み、第2のリガメントA307が第2のリガメント・ピンA310を包み込み、第2のリガメントはシャフトA111の平面の反対側に配置されている。各リガメント・ピンA308、A310は、振動板組立体のシャフトA111とスペーサA110の両方に堅固に取り付けられている。これは、任意の適切な機構を介して、例えばエポキシ接着剤などの接着剤を介して、行うことができる。各リガメントA206、A307は、リガメント・ピンを包み込み、ピボット・シャフトA111を越えてその下に置き、接触部材の反対側に設け、その長さに沿ってピボット・シャフトA111及び接触部材A105に固定した材料の細長いストランドを含み、これにより2つの構成要素を一緒に固定する。
例えば、図A3fを参照すると、リガメントA307は、ピンA310の周りをループし、シャフトA111の側部の周りを通過するときに位置A307-1で交差する。リガメントA307は、傾斜した平坦な表面A307-2に沿って延在し、好ましくは接着剤、例えばエポキシ接着剤を用いてシャフトA111に取り付けられる。しかし、接着剤が位置A307-3の小さな半径に近づくのを防ぐために注意が払われる。これは、位置A307-3に近い平面A307-2の長さの約半分に接着剤がないことを意味する。これにより、リガメントA307は、位置A307-3において突状の曲面A311の周りを通過するときにできるだけ平坦になり、低い基本周波数(Wn)を容易にする。次いで、リガメントA307は、接触ブロックA105aのリガメント・ピンA310と反対側の位置A307-5のコーナー/縁部に空気を通す。位置A307-3の半径の領域の下には、接触バーA105の接触ブロックA105aに窪んだ小さなクリアランスA309がある。この窪み部A309は、シャフトA111がリガメントA306、A307をつぶすのを防止するが、その理由は、これが時間とともにリガメントを壊す可能性があるからであり、また、窪み部A309は、シャフトが接触領域A112で接触バーA105に直接接触するのをリガメントが制限することも防止する。リガメントA307は、ブロックのコーナー/縁部A307-5の周りを通過し、次いでブロック及び本体に沿って接触バーA105に形成されたスロットA304内を通過する。リガメントは、好ましくは、接着剤、例えばエポキシ接着剤を用いて領域A307-6に沿って接触バーに取り付けられる。次いで、リガメントは、位置A307-7において接触バーA105の本体の下を通り、本体の接触ブロックA105aと反対側のチャネルA305に進み、ここで例えばエポキシ接着剤の接着剤を用いて再び接触バーに取り付けられる。リガメントA306は、方向が反対向きであることを除いて、リガメントA307と同様の経路をたどる。それは、リガメント・ピンA308をループすることから始まり、ループは位置A306-2において1つのリガメントに結合し、図A3iに示すように位置A306-2、A306-3、A306-4、A306-5、A306-6及びA306-7を介して経路をたどる。リガメント・ピンA308及びリガメントA306の両方は、リガメント・ピンA310及びリガメントA307に従って連結される。位置A306-4におけるリガメントA306の方向は、位置A307-4におけるリガメントA307と実質的に平行な方向である。2つのリガメントはこの領域で重なり合っていてもよい。
振動板の可動域の全ての時間及び全ての角度において、リガメントは、シャフトA111と接触している接触バーA105の接触面A105cと実質的に同一直線上にとどまっている。これらの特徴の両方によれば、許容回転振動板作用に関してシャフトA111の制約が最小限になることを可能にし、それにより低基本周波数(Wn)を容易にする。
全てのリガメントは、接着剤が接着領域に適用される前に、この場合は約80gの小さな引張負荷の元に置かれ、さもなければ振動板の不正確な位置決めをもたらす可能性のあるたるみを最小にするのに役立つ。
ピボット軸
シャフトA111は、その場で磁場を受け、シャフトA111が接触領域A112において接触部材及び/又はトランスデューサ・ベース構造A115に対して揺動できるように固定される。磁場は、シャフトA111をトランスデューサ・ベース構造A115に保持する付勢力を加えるという利益を提供する。
全てではないが、一部では、この磁力は問題を生じさせる可能性がある。磁場は、1)不安定な平衡を作り、それによって振動板が極端な可動域角度まで動こうとするか、又は2)振動板を平衡角に保持するセンタリング力をかけることによって動作中に振動板の基本周波数を上昇させるという2つの方法でシャフトを回転させることができる。
磁場によってシャフトに加えられるトルクを支配する2つの要因は、1)一方又は他方のポールピースに向かうシャフトの正味の動きが、一般に、潜在的なエネルギーを放出するので、これが可能であれば、磁場によってこの方向に及ぼされる力が存在し得ること、及び、2)磁場が、シャフトを通って一方のポールピースから他方のポールピースに移動する磁束を最大にする角度にシャフトを位置決めしようとすることである。したがって磁場は、最も幅の広い部分があると仮定して断面プロファイルにおけるシャフトの最も広い部分が整列されてポールピースの間の隙間に亘る角度までシャフトを回転しようとする。
接触領域A112におけるシャフトA111の表面の曲率半径、及び力の付勢が加えられる正味の位置に対する曲面の位置は、単純なジオメトリを考慮するとシャフトA111にトルクを加え得る。磁力線の方向及び強さも平衡に影響する。
高性能トランスデューサの目的は、低い基本周波数(Wn)が達成されるようにこれらの全ての要因の間のバランスをうまくとることである。
実施例Aの実例では、トランスデューサの磁場に関連する上記の問題点は、以下のようにして実質的に緩和される。第一に、シャフトA111は主として円筒形である。シャフトA111は、前述のように2つの大きな窪み部A202を有しているが、これらの窪み部は、接触点A112及びセンタリングリガメントA306及びA307が位置する領域に位置しており(始めから終わりまでシャフトが単純な環状断面ではないことを意味する)、両方の窪み部は、シャフトA111のバルク又は全体的なプロファイル/形状を大きく変えないように、依然として比較的小さい。また、窪み部は、湾曲した接触面がシャフトA111の中心長手軸に近接して及び/又は実質的に整列して位置するような形状/サイズである。シャフトA111の円筒形状の中心長手軸に近い接触領域A112によって規定されるような近似回転軸A114を位置決めすることによって、シャフトA111の本体は、回転中に外側ポールピースA103、A104のいずれかに近づくことはほとんどない。
例えば、動作中に振動板組立体が回転した場合、又はリガメント306又は307が不正確に設置され又は伸張した場合には、シャフトA111の本体は、わずかに一方又は他のポールピースに向かって並進する可能性があり、この場合、不安定な平衡が生じる可能性がある。これに対抗するために、シャフトA111は、対向する端部A203上の平坦な表面と、接触部材A105に直接隣接して構成されたシャフトの中央セクションA201とを含む。シャフトA111が振動板本体A208に接触する面全体に対してさらに平坦な面が形成される。これにより、わずかに楕円形の断面プロファイルが形成される。楕円形プロファイルの主軸は、ある程度、2つの外側ポールピースA103とA104の間に延びる磁力線と整列しようとするが、これは低/中立の正味トルクを提供する不安定性を打ち消す。
また、接触領域A112におけるシャフトA111の接触面A311の曲率半径は、本明細書の設計原理及び考察セクションでより詳細に説明されるように、比較的小さく、(半径がより大きい場合にはより良い)並進剛性と、(半径がより小さい場合にはより良い)低基本振動板共振周波数及び低ノイズ発生との相反する要件のバランスをとるように選択される。相対的に小さい半径はまた、ヒンジ要素が接触部材に対して転動するときに不安定な平衡を引き起こす可能性があるポールピースに向かう並進を最小にする。
記載された実施例Aの接触部分及び磁気構造のジオメトリを調節することによって、振動板組立体を平衡又は不安定平衡の状態に置くことができ、それにより、これらの状態のいずれかに振動板組立体を保持する磁力が小さくなる。これが達成されると、振動板組立体をその休止位置にセンタリングする別のより簡単な制御方法を使用して、小さな力に打ち勝つとともに依然として低い基本周波数を提供することができる。
復元機構
動作中、ヒンジ要素/シャフトA111は、好ましくは中央中立回転位置の両側に位置する2つの最大回転位置の間で接触部材/バーA105に対して旋回するように構成される。この実施例では、ヒンジ・システムは、振動板に励起力が加えられていないときに、その基本共振モードに関して、ヒンジ及び振動板組立体を所望の中立又は平衡回転位置に復元するための復元機構をさらに備える。復元機構を使用することにより、バス・ロールオフ周波数応答をトランスデューサの振動板可動域能力に適合させ、バスの応答を最適化して可動域能力を最大限に活用することができる。
復帰機構は、振動板組立体を中立回転位置に向けて付勢する任意の形態の弾性手段を備えていてもよい。この実施例では、トーション・バーが復元/センタリング機構として利用される。他の形態では、復元機構は、回転軸に近接して配置された軟質プラスチック材料(例えば、シリコーン又はゴム)などの追従性のあるフレキシブル要素を含む。実施例Eに関連して本明細書に記載されるような他の形態では、復元機構及び力の一部又は全部が、接触面のジオメトリを通じて、付勢機構によって加えられる付勢力の位置、方向及び強度に従ってヒンジ接続部内に提供される。同じ又は代替の形態では、復元/センタリング機構及び力のかなりの部分が磁気構造によって提供される。
上述したように、図A1に示す実施例Aのトランスデューサは、(図A1aに示すように)トーション・バーA106の形態の振動板復元及び/又はセンタリング機構を備える。トーション・バーA106は、振動板組立体A101とトランスデューサ・ベース構造A115との間に連結され、振動板を中立回転位置に復元する。
ばねのような弾性部材、又はこの場合にはトーション・バーA106は、使用するのに容易で直線的で信頼できる機構である。トーション・バーはまた、振動板組立体A101を回転軸A114に平行な並進方向に位置決めする第2の目的を果たし、その結果、振動板組立体A101の可動部分は、振動板組立体A101の周長の周りをその場で及び動作中に延在することができるトランスデューサ・ベース構造A115又は(図A6に示すように)トランスデューサ・ハウジングA601に触れて擦れない。さらに、トーション・バーは、コイル巻線A109につながるワイヤを支持し、それらが共振することによってオーディオ再生の品質に悪影響を与えるのを防止する。
図4Aは、実施例Aにおいて使用されるトーション・バーA106の構造を詳細に示している。トーション・バーは、金属又は弾性のあるプラスチック材料などの任意の適切な弾性材料から形成することができる。この実例では、トーション・バーは、例えば0.05mmなどの比較的薄い厚さの折り畳まれたチタン箔である。トーション・バーの形状は、トランスデューサFRO内の有害な共振が最小限又はなくなるように十分に剛性であり、また、基本振動板共振周波数(Wn)が低くなるようにねじれが十分にフレキシブルでもある。
使用される材料は、好ましくは、(低い基本周波数及び高い可動域を促進するのを助けるために)比較的低いヤング率、適度に高い特定のヤング率(すなわち、低いヤング率にもかかわらず内部共振を緩和するような低密度)、高い降伏強度を含み、及び/又は好ましくは、多くの動作サイクルにわたりクリープ又は疲労を著しく被らない。チタンのような非磁性材料もまた、磁気組立体への引力に起因する問題を防止又は緩和するのに有用であり得る。他の材料も適しており、例えば402グレードのステンレス鋼で十分なこともある。
トーション・バーは、中心長手方向屈曲セクション/領域A402を有する長手方向本体を含む。この領域は、(図A4dにクロスハッチングで示すように)一貫した断面を有することが好ましい。このセクションA402は、バーの長さを伸ばすチャネルを形成する実質的に曲がった又は湾曲した壁を含む。セクションA402の壁は、約90度に曲げられている。領域A402は(図A4bの側面図に見られるように)長く、側面プロファイルでは薄肉であるため、ねじれに適合的である。セクションA402はまた、セクションA402に垂直な力に応じた曲げに対して実質的に剛性/堅固であることが好ましい。これは、セクションA402を、箔の厚さに対してかなり大きな高さ及び幅の寸法を有するように形成することによって達成される。このジオメトリは、このような長いスパンにわたって共振を軽減又は防止するために重要である。
トーション・バーは、中央屈曲領域A402の両端部に、拡幅された比較的幅広の翼状セクションA401をさらに備える。中央屈曲領域A402は、領域A404において又はトーション・バーの両端部に隣接して、翼状セクションに移行するように広がる。この領域A404での広がりは、時間がたつにつれて疲労する可能性のある応力集中部の作製を避け、幅広の平らな翼状ばねセクションA401にスムーズに移行するために、好ましくは(排他的ではないが)図示のように湾曲したテーパを用いて徐々にテーパ状になり、階段状ではない。テーパは、他の構成では直線的であってもよく、及び/又は応力集中部が作製されるリスクを低減するために一連のステップで作製されてもよいことが理解されるであろう。トーション・バーA106の各端部A401は、翼部を形成する一対の分離タブA401を含む。各翼状セクションA401について、各タブは、中央屈曲セクションA402の折り畳まれた壁の一方の側から延び、反対側のタブに向かって曲げられた折り畳まれた壁を含む。この実施例では、タブの対向する壁は間隔をあけてあり、連結されておらず、これらの間にチャネルを形成する。これらの翼部A401は、接触バーA105の本体の一端から延びる(図A3aに示されている)横方向端部タブA303への効果的な取り付け、及び振動板組立体のコイル巻線A109の短辺A205への効果的な取り付けのために十分に大きな表面積を提供する。
その場で、トーション・バーは、本体の一方の側から長手方向に延び、端部に横方向に突出するタブA303を有する接触部材A105の本体のアームA312上に位置するように構成される。アームA312の窪み部は、その中にトーション・バーの翼状セクションA401を保持するために、タブに隣接して配置される。アームA312とピボット・シャフトA111との間の他の窪み部は、トーション・バーの他の翼部A401を保持し、中央セクションA402はアームA312上に配置される。一方の翼部は、タブA303に堅固に結合され、他方の端部は、コイル巻線の側部A109などの振動板組立体に堅固に結合される。任意の適切な固定機構を、例えば適切な接着剤を介して使用することができる。
トーション・バーA106に関して、4つの曲げ位置A403における(実質的に平面で薄い)端部タブ壁の曲げ部は、トーション・バーA106の屈曲領域A402がねじれるとトーション・バーの端部を斜めにする傾向があるから、ユニバーサル接続部と同様のある程度の回転適応性を導入する。この追従性が提供されない場合、これは、組立体の基本周波数(Wn)を増加させるねじれに対して屈曲領域A402を抑制する効果を有する。また、ねじれ力は、トーション・バーの端部を固定する接着剤又は他の機構を破壊するように作用し得る。好ましくは、端部翼状セクションの1つ、又はより好ましくは両方が、中間セクションの長さに垂直な方向に、回転適応性を組み込む。好ましくは、並進及び回転の適応性は、その平面がトーション・バーの主軸に対して実質的に垂直に配向されたトーション・バーの一方又は両方の端部にある1つ又は複数の板ばね/端部タブ壁によって提供される。好ましくは、両方の端部翼状セクションは、トーション・バーの主軸に垂直な方向の並進に関して比較的非適合的である。
好ましくは、セクションの少なくとも1つの端部は、トーション・バーの主軸の方向に並進追従性を提供する。4つの曲げ位置A403における端部タブ壁の曲げ部は、トーション・バーの長手方向軸に沿ったわずかな並進追従性も導入して、動作中にねじれを受けるトーション・バーA106の屈曲部分A402が短くなることによって接触領域A112が回転軸A114に沿って摺動しないようにするのに役立つ。また、落下などの衝撃シナリオでは、4つの曲げ位置A403での曲げ部は、トーション・バーがその連結部からトランスデューサ・ベース構造A105及び振動板組立体A101へとはぎ取られないようにするのにも役立つ。
図A4に示されるトーション・バーの設計は、トランスデューサのFRO内で実質的に共振がない。
好ましくは、復元力を与える機構は、力対変位の関係(変位した距離又は回転した角度のいずれかで測定された変位)に関して実質的に線形である。機構がフックの法則に実質的に従うならば、これは、オーディオ信号がより正確に再生されることを意味する。
好ましくは、モータ・コイルに接続する導線は、トーション・バーの中間セクションの表面に取り付けられる。好ましくは、ワイヤは、トーション・バーと平行に走り、トーション・バーがトランスデューサの通常動作中にその周りを回転する軸の近くに取り付けられる。
付勢機構のバリエーション
実施例Eに関して説明したように、機械的付勢機構は、付勢機構の目的に関して利益を提供し、好ましくは実質的な追従性が加えられた1つ又は複数のヒンジ接続部に実質的な力を提供し、1つ又は複数のヒンジ要素を1つ又は複数の接触部材に付勢する一方、各対のヒンジ要素と接触部材との間で実質的に自由な回転運動を可能にする。
機械的付勢機構には多くのタイプと構成がある。1つの形態では、付勢機構は、ヒンジ要素を接触面に向けて付勢する又は追い立てる弾性要素、部品又は構成要素を含む。弾性要素は、実施例Eで説明したように振動板を接触面に向かって付勢する又は追い立てるためにヒンジ要素の各端部に配置されたばね部材のような予め張力がかけられた弾性部材、又はシリコンゴムなどのヤング率の低いエラストマー、又は天然ゴム、又は張力(例えば、伸張したラテックスゴムバンド)又は圧縮(例えばゴムの潰れたブロック)のいずれかで使用するように構成された粘弾性ウレタンポリマー(登録商標)であってもよい。ニードルばね、ねじりばね、コイル圧縮ばね、及びコイル張力ばねを含む他の種類のばねも効果的であり得る。これらのばねは、好ましくは、スチール又はチタンのような降伏応力が高い材料から作られる。
他の構成では、付勢機構は、一端がトランスデューサ・ベース構造に取り付けられた(撓んだ状態の)金属製の板ばねを含み、他端はリガメントを構成する中間構成要素の一端に連結され、リガメントの他端は振動板組立体に連絡される。このような構成では、Vectran(商標)などの液晶ポリマー繊維又はSpectra(商標)などの超高分子量ポリエチレン繊維のような(例えば10GPaより高い)高引張弾性率の複数のストランド・リガメントを使用することが好ましい。いくつかの構成では、付勢機構は、ヒンジ要素に接触するか、又はヒンジ要素に堅固に連結された第1の磁気要素と、第2の磁気要素とを含み、第1及び第2の磁気要素間の磁気力は、使用中のヒンジ要素と接触面との間の一貫した物理的接触を維持するように、ヒンジ要素を接触面に向けて付勢する又は追い立てる。第1の磁気要素は、強磁性流体であってもよい。第1の磁気要素は、振動板本体の端部近くに配置された強磁性流体であってもよい。第2の磁気要素は、永久磁石又は電磁石であってもよい。代替的に、第2の磁気要素は、接触部材の接触面に結合されるか又は埋め込まれる強磁性スチール部品であってもよい。好ましくは、接触部材は、第1の磁気要素と第2の磁気要素との間に配置される。
当業者には、本明細書に概説された原理と一致する等価又は類似の機能を果たすことができる付勢機構の他の可能な構成の広範な範囲が明らかであるはずである。
上述したように、付勢機構は、ヒンジ要素と接触部材との間に付勢力を加えるときにある程度の追従性を提供する。一方、ヒンジ要素を振動板組立体に連結する構造は、剛性で非適合的であることが好ましい。このため、付勢機構は、ヒンジ要素を振動板組立体に連結する構造又は機構とは別々又は少なくとも別々に作動する構造であることが好ましい。付勢機構は、ヒンジ要素を振動板組立体に連結する構造又は機構とは別々に作動することができるが、ヒンジ要素を振動板組立体に連結する構造又は機構と依然として一体であることに留意されたい。これは、例えば、実施例Sのオーディオ・トランスデューサのヒンジ・システムに関してさらに説明される。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく、実施例Aのオーディオ・トランスデューサに関連して上述したヒンジ・システムの付勢機構を、これらの変形例のいずれか1つに置き換えることができる。
振動板組立体
上述のヒンジ・システムは、任意の形態の振動板組立体とともに利用することができるが、本明細書のセクション2の構成R1~R11の下に定義された振動板構造のいずれか1つを組み込んだ振動板組立体が使用されることが好ましい。振動板組立体A101は、(例えばセクション2.2の構成R1~R4の振動板構造又はセクション2.3及び2.4のR5~R9のオーディオ・トランスデューサ構成の振動板構造について定義されているように)共振を制御するために剛性アプローチを用いる実質的に厚くて剛性の振動板を含む。本発明によるヒンジ・システムは、振動板分割をもたらす接触面にわたる並進追従性を最小化するという利益を有するので、そのようなヒンジ機構を剛性の振動板構造と組み合わせることにより、しばしば利益の度合いを増す。
したがって、上述のヒンジ・システムは、例えば本発明の構成R1の振動板構造に関して説明したような剛性の振動板構造を有するオーディオ・トランスデューサに組み込まれることが好ましい。このオーディオ・トランスデューサの実例の構成R1の振動板構造の特徴及び態様は、本明細書のセクション2.2で詳細に説明されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。以下では簡潔にするために、この振動板構造の簡単な説明のみを示す。
図A1及び図A2を参照すると、上記のデカップリング・システムを組み込んだオーディオ・トランスデューサは、サンドイッチ振動板構造を含む構成R1の振動板構造A101をさらに含む。この振動板構造A101は、実質的に軽量のコア/振動板本体A208と、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗するための振動板本体の主面A214/A215の少なくとも1つに隣接して振動板本体に結合された外側垂直応力補強材A206/A207と、から構成される。垂直応力補強材A206/A207は、本体の外部で(図示の実例のように)少なくとも1つの主面A214/A215に結合され、又は本体の内部で少なくとも1つの主面A214/A215に直接隣接して実質的に最も近くで、動作中に圧縮-引張応力に十分に抵抗する。垂直応力補強材は、作動中に本体が受ける圧縮-引張応力に抵抗するために、振動板本体A208の対向する主前面及び後面A214/A215それぞれに設けられた補強部材A206/A207を含む。
振動板構造A101は、コア内に埋め込まれ、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し及び/又は実質的に緩和するために、主面A214/A215の少なくとも1つに対してある角度で配向された少なくとも1つの内側補強部材A209をさらに含む。内側補強部材A209は、好ましくは、1つ又は複数の外側垂直応力補強部材A206/A207(好ましくは両側、すなわち各主面)に取り付けられる。内側補強部材は、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し及び/又は緩和するように作用する。好ましくは、振動板本体のコア内に分布させた複数の内側補強部材A209がある。
コアA208は、3次元で変化する相互接続された構造を含む材料から形成される。コア材料は、発泡体又は規則正しい3次元格子構造材料であることが好ましい。コア材料は、複合材料を含むことができる。好ましくは、コア材料は発泡ポリスチレン発泡体である。
好ましくは、振動板本体の厚さは、ジオメトリが十分に堅牢であり、広い帯域幅にわたって実質的に剛性の挙動を維持するために、その長さの15%より大きい、又はより好ましくはその長さの20%より大きい。これに代えて又はこれに加えて、振動板本体は最大寸法(本体を横切る対角線長など)の11%より大きい、又はより好ましくは14%より大きい最大厚さを含む。
いくつかの実施例では、この例示的なトランスデューサの振動板構造の内側応力補強材が排除されてもよい。しかしながら、内側応力補強材があることが好ましい。この好ましい構成では、内側補強材は振動板せん断変形に対処し、ヒンジ・システムは、そうでなければ全振動板分割共振モードをもたらす可能性がある並進変位に対して大きな支持を提供する。さらに、ヒンジ・システムは、高い振動板可動域及び低い基本振動板共振周波数を提供する。
図A2を参照すると、より厚い端部である振動板A101の一端には力発生構成要素が取り付けられている。力発生構成要素に結合された振動板構造A101は振動板組立体を形成する。この実施例では、コイル巻線A109は、2つの長辺A204と2つの短辺A205とからなる略長方形に巻かれている。コイル巻線は、エポキシ樹脂と一緒に保持されたエナメル被覆銅線から作られる。これは、約200GPaのヤング率を有するプラスチック強化炭素繊維から作られたスペーサA110の周囲に巻かれているが、エポキシ含浸紙のような代替材料で十分である。スペーサは、オーディオ・トランスデューサ/振動板組立体の組み立てられた状態において、振動板構造A101のより厚い端部と相補的なプロファイルであり、それにより振動板構造の厚い端部の周縁部の周りに又はこれに隣接して延びている。スペーサA110は、ピボット・シャフトA111に取り付けられ/固定結合されている。振動板本体A208のベース/厚い端部に配置されたこれら3つの構成要素の組み合わせは、実質的にコンパクトで堅牢なジオメトリを有する振動板組立体の剛性振動板ベース構造を形成し、振動板組立体のより軽量なくさび部分が堅固に取り付けられている固体の共振耐性のあるプラットフォームを作り出す。
3.2.3 実施例S&T
次に、振動板構造をベース構造に枢動結合するためのヒンジ・システムを有し、本発明の原理に従って設計された、本発明の回転動作オーディオ・トランスデューサの2つのさらなる実施例を説明する。特に、これらのヒンジ・システムに関連する付勢機構について詳細に説明する。他の構成要素は、簡潔にするために詳細には説明しない。しかしながら、ベース構造、振動板組立体、及び励起機構を含むトランスデューサの残りの構成要素は、上述のオーディオ・トランスデューサ構成のいずれか1つであってもよく、又は当業者には明らかであるような異なる構成であってもよいことが理解されるであろう。言い換えると、実施例S又はTのオーディオ・トランスデューサについて説明したヒンジ・システムは、実施例A、B、D、E、K、S、T、W、X及びYに関して説明したオーディオ・トランスデューサのいずれか1つに組み込むことができる。
以下の実施例は、上に概説した原理に従って設計された付勢機構を例示する。特に、以下の実施例の付勢機構又は機構は、接触領域での接触面の平面における(相互の接触面の転動ではなく摺動のような)並進変位を最小限に抑えるように、ヒンジ・システムのヒンジ要素を接触部材に押し付けて動作中に一貫した物理的接触を維持するように構成される。さらに、付勢機構又は機構は、接触面に対して横方向にある程度の追従性を含み、必要なときに動作中に表面間の摩擦接触力を相対的に減少させることができる。
3.2.3a 背景
転動又はピボット要素に基づくヒンジ接続部は、上で述べたように、回転動作スピーカにおいて高い振動板可動域及び適度に低い追従性の可能性を提供する。
標準のボール軸受レース・ヒンジは、ほとんどの従来技術の回転動作オーディオ・トランスデューサで使用されるやや標準的な機構である。このヒンジの設計は、ボールの高い回転抵抗及び/又はがたつきの影響を受けやすい。これらの問題は、磨耗、腐食、ほこりなどの異物の混入によって悪化する可能性がある。製造公差が大きく、その結果コストが増加する。
部品が摩耗したり、製造中に部品が不正確になったり、温度が変動したりして、(一度)接触面間に間隙ができた場合、振動板を拘束することができなくなることによって部品のガタつき及び/又は分割周波数の出現を引き起こし得る。この機構は、1)軸受が(動作中に部品が摩耗すると発生する可能性がある)ほこりに曝された場合、2)部品が製造上不正確である場合、3)温度変動によって寸法が変化した場合、わずかに詰まる傾向もある。これらの問題は全て、望ましくないノイズを生成し、非線形応答を生成して音質を低下させる可能性がある。
例えば、パーソナル・オーディオ・ヘッドホンやイヤホン・スピーカ・ドライバなどの非常に小さな振動板で使用する場合、これらの種類の問題は、これらの種類の用途では低基本周波数(Wn)の要望があり、小さく質量が低い振動板でこれを達成するための追加の課題があり、対応する小さい製造公差が必要であるため、さらに問題になる。
いくつかの既存の転がり要素軸受(例えばボール軸受)は、適合的な方法で予負荷を加える構造のばね要素を含む。多くの標準的な予負荷軸受タイプは、依然として利用することができるが、オーディオ・トランスデューサの用途にはあまり適していない。
図V1a~eを参照すると、適合的に適用された予負荷を組み込んだ標準的な従来技術のボール軸受V101が示されている。軸受V101は、外側シェルV102を含み、その内部に、環状外側レースV109と環状内側レースV110との間に収容され転動可能な一連のボールV112をそれぞれ有する一対の軸受要素V106a及びV106bを収容している。中心シャフトV103は軸受の環状内側レースV110を貫通する。この機構は、一方の構成要素をシャフトに結合し、他方の構成要素をシェル/シースV102に結合することによって、2つの構成要素間にヒンジを形成することができる。シェル/シースV102と軸受の一方の外側レースV109aとの間に位置するばね負荷ワッシャV108b及びV108aを介して機構に予負荷が加えられる。ばね負荷ワッシャは、外側レースV109aを外側シースV102に対して右側に摺動させ、外側レースV109aのプロファイルが湾曲しているので、接触する転動体を軸受の中心軸に向けて押し付け、これにより、右側の軸受レースV106aに適合的に負荷を加える。また、左側V109bの外側レースを左に向けて押し付ける反力側もあり、同様に、左側の軸受要素V106bに適合的に負荷を加える。これは、左側の外側レースV106bがばねに隣接していないにもかかわらず起こることに留意されたい。
振動板及び力変換構成要素を軸受V101にマウントして回転動作振動板組立体を形成する場合、これは、転がり要素の適合的な負荷が、低減され一貫性のある転がり抵抗をもたらすという点で従来技術のオーディオ・トランスデューサに勝る利益を提供し、それ以外はすべて等しく、場合によっては低歪みでより深いバスを促進し、例えば自己ノイズ発生を低減することができる。本発明のオーディオ・トランスデューサの実施例は、例えば振動板組立体をベース構造にヒンジ結合するためのこのような軸受V101を含むことができる。
しかしながら、軸受V101内の転がり要素V112aの右側セットは、摺動することができる外側レースV109aと外側シースV102との間に堅固な接触がないので、スピーカにおける高周波性能には最適ではない。それどころか、V109aとV102との間における(レースV109aがシースV102に対して摺動することを可能にする)接触を最小した小さな空気間隙V113がある。これは、負荷がシャフトV103から外側シースV102に伝達される経路に不連続性が存在し、この不連続性によって、(付勢機構ではなく)ヒンジ組立体に、事実上振動板構造又は組立体とヒンジ組立体のヒンジ要素との間に、回転軸に垂直な迂回である並進的な望ましくない追従性が導入されることを意味する。ヒンジ組立体におけるこの望ましくない追従性によって、動作中に振動板の分割又は他の形態の共振が生じ得る。追従性の導入と同様に、この摺動接触はまた、がたつきの可能性をもたらす。他方、例えば実施例Aに関連して説明した本発明のヒンジ・システムは、振動板組立体とヒンジ要素との間の追従性が比較的低いか又はゼロである。
不連続性の問題を解決する他の解決法は、2つ以上の軸受V101を使用することであり、例えば、1つはヒンジ作用振動板の片側の各端部に配置することができる。左側の軸受要素V106bは非適合的な方法で並進負荷を通過させることができるので、このような2つの軸受要素を使用すると、振動板の両側が非適合的に拘束され、これにより、望ましくない共振の可能性が低減される。追従性及び非追従性に関して明確にするために、全体的な目標は、1つの軸の周りの回転に関して適合的であり、並進及び他の回転軸に関して非適合的であるヒンジ組立体を提供することであり、これは適合的な付勢機構と非適合的な転がり接触との組み合わせを含むヒンジ・システムによって達成される。その一方で、低減された一貫した転がり抵抗の利点が保持されるので、低周波数性能は、従来技術の同等のスピーカと比較して改善される。
図S1-3及びT1-4は、がたつきを起こしにくく、摺動面及び/又は液体の要求を取り除く、より単純で効果的な2つの解決手段を示している。これらの実施例は、本明細書のセクション3.2.1に概説された設計の原理に従って開発された代替のヒンジ・システムを示す。
3.2.3b 実施例S
図S1を参照すると、ヒンジ・システムを介して(図S3a~eに示される)トランスデューサ・ベース構造S101に枢動可能に結合された(図S2a~eに示される)振動板組立体S102を有する回転動作オーディオ・トランスデューサの代替の形態が示されている。振動板組立体S102は、本明細書のセクション2.2で定義された構成R1~R4構造と同様の振動板構造を含む。さらに、トランスデューサ・ベース構造S101は、励起機構の磁場を規定する永久磁石S119及び外側ポールピースS103を備えた実施例Aのオーディオ・トランスデューサに応じた比較的厚いスクワット・ジオメトリを備える。オーディオ・デバイスに実装された場合、振動板構造は、セクション2.3の構成R5~R7のオーディオ・トランスデューサのいずれか1つについて定義されたようにデバイスの周囲構造と少なくとも部分的に、実質的に又はほぼ全体的に物理的に連結しない外周部を有することができる。オーディオ・トランスデューサは、本明細書のセクション4.2.1の実施例Aのオーディオ・トランスデューサで説明したデカップリング・マウンティング・システムを含むことができる。そうでなければ、セクション4.3で概説された原則にしたがって設計された任意の他のデカップリング・マウンティング・システムを使用することができる。
この実施例のヒンジ・システムは、元の数の(典型的には8つ以上の)ボールの半分が除去され、各サブ軸受/軸受要素に4つ以下のボールしか存在しないことを除いて、標準的な転がり要素軸受(例えばボール軸受)構造に基づいている。好ましくは、プラスチック材料S118で作られたケージは、プラスチックの低質量と固有の減衰が、がたつきの影響を受けにくいことを意味するので、円周方向のボール分離を維持するが、他のケージ設計でも機能する。好ましくは、各軸受要素の外側レースS116は、この半径の転がり要素における典型よりもプロファイルが薄い。外側レースS116は、好ましくは薄肉のアルミニウム・チューブS112にプレスされ、また接着されることが好ましい。代わりに、チューブS112は、任意の比較的剛性の材料から作られてもよく、例えば、炭素繊維強化プラスチックも適している。締まり嵌め転がり要素S117が使用され、外側レースS116及びチューブS112は、標準的な転がり要素軸受に関連した詰まり及び他の問題なしにこれらに適応するように適合変形する。
各軸受要素に転がり要素S117が少ないことは、図S1gに見られるように側面から見た場合に、外側レース及びチューブの転がり要素S117間のスパン又は距離が、典型的な転がり軸受の場合に比べて増加することを意味しており、これは、薄い外側レースS116及びチューブS112と関連して、各軸受要素S117(この場合には、ヒンジ・システム付勢機構の一部)の近傍の局部的な横方向の追従性が、典型的な転がり要素軸受の典型的なものより大きいことを意味している。
外側レースS116及び各ボールのすぐ近くに局在するその支持チューブS112に固有の横方向の追従性があるかもしれないが、ヒンジ・システムの全体の並進追従性(横追従性以外)は、トランスデューサ・ベース構造S101と振動板組立体S102との間の半径方向の負荷の伝達に関して低い。これは、ヒンジ・システムの全体的な追従性が、特定のボールのすぐ近くの局部的な追従性/撓みにおける追従性に依存するのとは対照的に、トランスデューサ・ベース構造に対するチューブの全体の追従性/撓みに依存するからである。
これは、やはり、各ボールと外側レースと間の接触の局部的領域における横方向の並進追従性のために、低減された一貫した転がり抵抗の利点が保持されることを意味し、さらにまた、ベース構造S103に対する振動板S102全体の並進に関して全体的な並進追従性は、特定のボールからの圧力に応じて外側レースが局部的に横方向に変形しても、振動板全体の並進を促進する比例追従性が得られないから、比較的低い。ヒンジ機構におけるこの低い全体的な並進追従性は、望ましくない共振/振動板分割の影響を受けにくくするとともに高周波数拡張を促進する。
この場合、ヒンジにおける低減された及び/又はより一貫した回転摩擦の特性は、さもなければ他の全てが同等である可能性があるものより大きい半径の軸受の使用を容易にする。これは、内側ポールピースを兼ね、広い帯域幅にわたって共振を起こさないように十分に厚い固定スチール・シャフトS104/S113を収容することができる大径中空シャフトS112の支持を容易にする。この設計を変形することが可能であり、例えば、より小さい直径の転がり要素軸受を使用する場合、回転摩擦を低減し、それによって低周波数性能を改善する。
この設計ではまた、転がり要素S117の過度の拘束の可能性が排除され、いくつかのものには負荷か加わり、他のものには負荷が加わらず、これによって拘束を受けずにがたつく可能性がある。
この実施例では、外側レースS116及び支持チューブS112を含む付勢機構、この場合、トランスデューサ・ベース構造に対する振動板組立体の並進を支持する4つのボールS117、外側レースS116及びチューブS112は、構造又は機構とは別個に動作するが、同じ構造の一体部品である。付勢機構は、ヒンジ要素を振動板組立体に連結する構造又は機構とは別個に作動することが可能であるが、ヒンジ要素を振動板組立体に連結する構造又は機構と依然として一体であることに留意されたい。
3.2.3c 実施例T
図T1a~hを参照すると、本発明の回転動作オーディオ・トランスデューサT1のさらなる実施例が示されており、これは、追従性付勢機構を組み込んだヒンジ・システムを介して(図T3a~eに示す)トランスデューサ・ベース構造T101に回転可能に結合された(図T2a~eに示す)振動板組立体T102を含む。振動板組立体T102は、本明細書のセクション2.2で定義された構成R1~R4構造と同様の振動板構造を含む。さらに、トランスデューサ・ベース構造T101は、励起機構の磁場を規定する永久磁石T119及び外側ポールピースT103を有する実施例Aのオーディオ・トランスデューサに応じた比較的厚いスクワット・ジオメトリを含む。オーディオ・デバイスに実装された場合、振動板構造は、セクション2.3の構成R5~R7のオーディオ・トランスデューサのいずれか1つについて定義されたようにデバイスの周囲構造と少なくとも部分的に、実質的に又はほぼ全体的に物理的に連結しない外周部を有することができる。オーディオ・トランスデューサは、本明細書のセクション4.2.1の実施例Aのオーディオ・トランスデューサで説明したデカップリング・マウンティング・システムを含むことができる。そうでなければ、セクション4.3で概説された原則にしたがって設計された任意の他のデカップリング・マウンティング・システムを使用することができる。
ヒンジ・システムは、外側レースV109aとケーシングV102との間の問題のある摺動接触を回避するように追従性が導入される図V1a~eの軸受の改作である。代わりに、振動板組立体T102内に導入された追従性によって軸受予負荷が加えられ、この追従性は、過度の振動板分割共振を生じさせないように導入される。この場合、振動板は、2つの転がり要素軸受組立体T110a及びT110bによって支持される。追従性は、転がり要素軸受組立体T110bに隣接して位置するリーフばねブッシュ構成要素T122を構成する複数の板ばねT123に固有のものである。ばねT123は、それらの長さに沿って、すなわち半径方向に力を非適合的に伝達しながら、軸方向に沿って力を適合的に伝達することができるように、回転軸T127に垂直な平面内に配向される。
実施例V及びSと同様に、この場合板ばねT123を介して追従性が導入されることにより、転がり抵抗が低減され、より一貫したものとなる。この場合、転がり要素T117は、実施例Sに比べてコイルT111の半径に対して小さい半径に配置され、これにより転がり抵抗がさらに低減され、低周波数の拡張が改善され、さらに同等のコイル半径の構成について低周波数でのノイズ発生がさらに低減される。振動板全体は、板ばねを隣接させていない他の転がり要素軸受組立体T110aを介して軸方向変位に対して堅固に拘束される。軸方向負荷は、振動板ベース・チューブT112に堅固に接着された場合に、図T1eに見られるようにこの目的のための三角形のプロファイルを形成する構成要素T124を介して振動板に伝達される。
3.2.5 実施例K
図K1g~K1jを参照すると、本発明のさらなる接触ヒンジ・システムの実施例が、実施例Kのオーディオ・トランスデューサに関連して示されている。実施例Kのオーディオ・トランスデューサの他の特徴は、本明細書のセクション5.2.2に詳細に記載されている。以下は、この実施例に関連するヒンジ・システムの説明に過ぎない。
ヒンジ・システムは、本明細書のセクション3.2.1に記載されている設計原理及び考察にしたがって構成された接触ヒンジ・システムである。ヒンジ・システムは、組立体の両側に一対のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を含む。各ヒンジ接続部は、接触面を提供する接触部材と、接触面に当接して転動するように構成されたヒンジ要素とを含む。各ヒンジ接続部は、ヒンジ要素が接触面との一貫した物理的接触を維持しながら接触部材に対して移動することを可能にするように構成され、ヒンジ要素は接触面に向かって付勢される。
ヒンジ・シャフトK108の形態のヒンジ要素は、一方の側でコネクタK117を介して振動板ベース・フレームK107に堅固に結合されている。反対側では、ヒンジ・シャフトK108は、接触部材K138に転動可能に又は枢動可能に結合されている。図K1iに示すように、この実施例では、各接触部材は、窪み状に湾曲した接触面K137を含み、シャフトK108の自由側が接触面K137に対して回転することを可能にする。窪み状の表面K137は、シャフトK108の曲率半径よりも大きな曲率半径を有する。各接触部材K138は、ベース構造組立体から振動板組立体に向かって横方向に延びるトランスデューサ・ベース構造組立体K118のベース構成要素K105のベース・ブロックである。一対のベース・ブロックK138は、ベース構成要素K105の両側から延びてシャフトK108の両端部に転動可能に又は枢動可能に結合され、それによって2つの別個のヒンジ接続部を形成する。ベース・ブロックは、振動板構造のベース端部に形成された対応する窪み部内に延ばすことができる。接触ヒンジ接続部は、好ましくは、振動板構造及びトランスデューサ・ベース構造の両方に密接に関連している。
図K1l~K1mを参照すると、ヒンジ・シャフトK108は、ヒンジ・システムの付勢機構によって、ベース・ブロックK138の接触面K137に対して弾性的及び/又は適合的に適所に保持される。付勢機構は、圧縮ばねの形態の実質的に弾性の部材K110と、接触ピンK109とを含む。ばねK110は、一端部がベース構造K105に堅固に結合され、接触位置K116で反対側の端部が接触ピンK109と係合する。弾性接触ばねK110は、接触ピンK109に向かって付勢され、その場で少なくともわずかに圧縮されて保持される。その場で、接触ピンK109は、コネクタK117を介して振動板ベース・フレームK107に堅固に結合され、コネクタK117の対応する窪み状曲面に対して固定的に接触部材K138の間に延在する。接触ピンK109及び対応する付勢ばねK110は、好ましくは、ヒンジ接続部間の中心に配置される。この配置は、ベース・フレームK107、コネクタK117及びヒンジ・シャフトK108を含む振動板ベース構造を、ヒンジ接続部の接触ベース・ブロックK138に対して適合的に引っ張る。このようにして、シャフトK108は、2つの接触位置でベース・ブロックK138の湾曲面K137に接触する。追従性及び/又は弾力性の程度は、本明細書のセクション3.2.2に記載されている通りである。
ヒンジ・システムのジオメトリは、振動板組立体K101とトランスデューサ・ベース構造K118との間の2つの接触位置K137、好ましくは接触ピンK109と接触ばねK110との間の接触位置と一致するトランスデューサの(図K1bに示される)近似回転軸K119とともに設計される。この構成は、これらの構成要素によって発生する復元力を最小にするのに役立ち、したがって、トランスデューサの基本共振Wnを減少させるのに役立つ。
いくつかの形態では、ヒンジ要素又は接触部材の一方は、外力が現れたとき又はオーディオ・トランスデューサに加わったときに、ヒンジ要素又は接触部材の他方が隆起部分又は突起を越えて移動することを防止するように構成された1つ又は複数の隆起部分又は突起を有する接触面を含む。用途に応じて、モータ・コイルのような潜在的に壊れやすい構成要素への衝撃を防止するストッパを設けることも有用な場合がある。これらは、接触面に作用するストッパから独立していてもよい。
この実施例では、ヒンジ要素K108は、図K1iのような回転軸に垂直な平面で見たときに突状の断面プロファイルと、実質的に窪み状の接触面K137を含むベース構成要素K105Kのベース・ブロック突起である接触部材K138とを少なくとも部分的に含む。この構成は、ヒンジ要素が接触面の中央の中立領域K137aから遠ざかる方向に動かされる状況において、ヒンジ機構の再センタリングに寄与する。中央領域の両側に位置する接触面の窪み状に隆起した縁部領域K137b又はK137cは、要素が意図された位置を越えて移動するように強制された場合には、関連するヒンジ要素K108を中央領域K137aに向かって再配置する。この特徴は、記載されたジオメトリが、デバイスの動作中に聞き取れるがたつき歪みをもたらす接触を場合によっては引き起こす可能性がある過度の滑りを防止するので、トランスデューサが突き当たり又は落下し、接触点K114が滑るような小さな衝撃の場合に有利である。そのような構成は、実施例A、E、S又はTのような本明細書に記載された他の接触ヒンジの実施例のいずれか1つに適用することができる。
通常動作の間に、回転軸に垂直な平面内の断面プロファイルで見たときに、ヒンジ要素K108の突面が、突状半径が窪み状半径より大きい場所で窪み面K137に接触することができる場所がないことがこの構造の更なる改良として好ましい。この構成は、センタリングを引き起こすことなくおそらくは繰り返され得る表面間の衝突によって発生する継続するがたつき歪みを実質的に防止する。代わりに、ヒンジ要素K108の突状半径より大きな半径を有する接触面K137を有する実施例Kのように、センタリングは、接触面における勾配によってのみ引き起こされ、これは、勾配上を摺動することによって生じる歪みが必ずセンタリング位置の補正に関連し、それにより、継続する歪みの可能性を低減することを意味する。そのような構成は、実施例A、E、S又はTのような本明細書に記載された他の接触ヒンジの実施例のいずれか1つに適用することができる。
3.2.5 実施例E
概要
図E1~E4を参照すると、本明細書で実施例Eと呼ばれる本発明のさらなるオーディオ・トランスデューサの実施例が示されており、これは、本明細書のセクション3.2.1に記載されている原理に従って設計された接触ヒンジ・システムを介してトランスデューサ・ベース構造E118に回転可能に結合された振動板組立体E101を含む。要約すると、振動板組立体E101は、本明細書のセクション2.2で定義された構成R1~R4の構造と同様の振動板構造を含む。さらに、トランスデューサ・ベース構造E102は、励起機構の磁場を規定する永久磁石E102及び外側ポールピースE103及び内側ポールピースE113を有する、実施例Aのオーディオ・トランスデューサに応じた比較的厚いスクワット・ジオメトリを含む。振動板構造に堅固に結合された1つ又は複数のコイル巻線E130/131は、動作中に振動板組立体を動かすために磁場内に延ばす。図E2に示すように、振動板構造は、セクション2.3の構成R5~R7のオーディオ・トランスデューサのいずれか1つについて定義されたトランスデューサの周囲構造E201~E204と少なくとも部分的に、実質的に、又はほぼ全体的に物理的に連結しない外周部を有する。オーディオ・トランスデューサは、本明細書のセクション4.2.2で説明したデカップリング・マウンティング・システムを含むことができる。そうでなければ、セクション4.3で概説された原則に従って設計された他のデカップリング・マウンティング・システムを使用することができる。
振動板ベース構造
図E1hは、オーディオ・トランスデューサの断面を示し、コイル巻線の長辺E130及びE131の断面は、回転軸E119を中心とする半径で湾曲し、張り出しているので、振動板が回転する場合に、コイル巻線の長辺が外側ポールピースE103及びE104と内側ポールピースE113との間の磁束間隙の領域を出始める前に変位角が利用可能である。このようにして、駆動トルクの高い直線性が達成される。
図E3aは、それ自体で、2つの側部アーク・コイル補強材E301と、2つの補強材三角形E302と、振動板の幅を拡張する主ベース・プレートE303と、振動板の幅を拡張する下側支柱・プレートE304と、振動板の幅を拡張する上側支柱・プレートE305と、中間アーク・コイル補強材E306と、振動板の幅を拡張する下側ベース・プレートE307とを含む振動板ベース・フレームE107を示している。
コイル巻線E106は、振動板ベース・フレームE107に取り付けられる。各コイル巻線の短辺E129は、2つの側部アーク・コイル補強材E301のそれぞれに取り付けられている。コイル巻線の長辺E130及びE131は、2つの側部アーク・コイル補強材E301及び中間アーク・コイル補強材E306に取り付けられている。コイル巻線の長辺E130は、上側支柱・プレートE305の縁部に取り付けられている。
振動板ベース・フレームE107の全ての領域である、コイル巻線E106に接着された側部アーク・コイル補強材E301、補強材三角形E302、主ベース・プレートE303、下側支柱・プレートE304、上側支柱・プレートE305、中間アーク・コイル補強材E306及び下側ベース・プレートE307の組み合わせは、実質的に剛性でありFRO内で共振しない振動板ベース構造を形成する。振動板ベース・フレームE107及び巻線E106の質量は、振動板組立体E101のそれ以外の部分に比べて相対的に高いが、質量が回転軸E119の近くに位置するため、回転慣性が低減される。
3つのコイル補強材E301及びE306はそれぞれ、回転軸に垂直な方向に延び、コイルE130の第1の長辺をコイルE131の第1の第2の長辺に接続するパネルを含む。各側部アーク・コイル補強材E301は、コイルE106の各短辺E129に近接させ、接触させて配置し、コイルE130の第1の長辺と第1の短辺E129との間のほぼ接合部から、コイルE131の第2の長辺と第1の短辺との間のほぼ接合部まで延ばし、また、振動板ベース・フレームの他の部分に向かって回転軸に垂直な方向に延ばす。これらの振動板ベース・フレーム部分が(この実施例では1つの部品として焼結された)同じ材料片で作られていない場合、はんだ付け、溶接、又はエポキシ樹脂又はシアノアクリレートのような接着剤を使用した接着のような適切で堅固な連結方法を使用し、接着すべき部品間の妥当なサイズの接触領域の使用を確保するように注意しなければならない。
好ましくは、コイル補強パネルは、8GPaよりも高い、又はより好ましくは20GPaよりも高いヤング率を有する材料から作られる。
コイルの長辺E130及びE131は形成体に連結されておらず、その代わりに、コイル補強材の間の領域にそれ自体を支持することができるように十分に厚い。形成体を使用してもよい。
接触ヒンジ組立体
接触ヒンジ組立体は、振動板組立体E101に取り付けられたコイル巻線E106を通って再生される電気オーディオ信号に応答して、トランスデューサ・ベース構造E118に対して、振動板組立体E101が近似回転軸E119の周りを前後に回転することを容易にする。
ヒンジ組立体は、振動板組立体及びトランスデューサ・ベース構造の両側に位置する一対のヒンジ接続部を含む。各ヒンジ接続部は、ヒンジ要素及び接触部材を含む。振動板ベース・フレームE107は、振動板ベース・フレームの両側に位置する2つの(断面で)突状に湾曲した突起E125を有しており(そのうちの1つは、図E1g及びE1iの断面詳細図に示されている)、ヒンジ接続部のヒンジ要素を形成する。トランスデューサ・ベース構造E118はベース・ブロックE105を含み、両側がヒンジ接続部の接触部材を形成する。ベース・ブロックE105の各側部は、動作中に関連するヒンジ要素E125を支えて転動する窪み状に湾曲する接触面E117を含む。別の実施例では、接触組立体を逆にして、振動板側に窪み部を、トランスデューサ・ベース構造側に突状突起を設けることができる。
ヒンジ要素は、他の場合には振動板の分割共振が生じる可能性がある並進及び(所望の回転モードを除く)回転変位に対して振動板を堅固に支持するために、十分に高い弾性率を有する材料から形成される。
接触ベース・ブロックE105との接触領域において、各ヒンジ要素E125は、自由運動及び低振動板基本共振周波数(Wn)を促進するのを助けるために、実施形態Aに関連して説明したように振動板本体の長さE126に対して実質的に小さい半径を有する表面E114を含むが、この半径は、好ましくは、接触材料に撓みを生じさせ分割性能に影響を及ぼすほど小さくない。
輸送中に、オーディオ・トランスデューサが衝撃を受けるか又は落下した場合、又はその後に過度に(例えば、何百万回ものサイクル)使用されると、ヒンジ要素がベース・ブロックの接触面の中央の座位からシフトする可能性がある。接触面は、ヒンジ要素が(例えば、一回限りの衝撃事象のために)最適位置からあまりにも遠くにシフトすると、最終的には、ヒンジ要素を適切な接触位置に戻すのに十分な勾配に達するように、接触領域からあらゆる方向に増加する勾配を含む。接触ブロックの接触面の側部はまた、傾斜の緩やかな変化を含んでいるので、継続するがたつき歪みを生じさせ得る衝突の可能性はない。ヒンジ要素のこのような滑りは、一回限りの珍しいことであり、トランスデューサの通常動作の過程では発生しないことに留意されたい。
振動板は、ヒンジ組立体を介してトランスデューサ・ベース構造E118に対して近似軸E119の周りを回転するように構成される。振動板本体E123の冠状面は、回転に伴って大量の空気を移動させるように、理想的には回転軸E119から外側に延ばす。
実施例Aのオーディオ・トランスデューサとは異なり、実施例Eのオーディオ・トランスデューサは、振動板組立体E101に埋め込まれた強磁性材料を有しないので、磁石E102及びポールピースは、ヒンジ要素と接触部材との間の接触を維持するために振動板組立体又はヒンジ要素に付勢力を加えない。
この実施例のヒンジ組立体は、トランスデューサ・ベース構造E118内の接触部材E117に対して振動板ベース・フレームE107にヒンジ要素を保持する弾性部材E110を有する付勢機構を含む。弾性部材E110は、実質的に薄い本体から作られた細長い部材である。両弾性端部を連結する本体の中間部分は、任意の適切な方法によってベース・ブロックE105に堅固に連結されているので曲がらない。弾性付勢部材E110の両端部はそれぞれ、ベース・フレームの突出部/ヒンジ要素に向かってベース・ブロックを付勢するように、振動板ベース・フレームの両側部に結合されている。付勢部材は、動作中にヒンジ接続部の接触面を一緒に保持するために一貫した付勢力を加えるが、動作中に振動板組立体を回転軸の周りで回転させることができるように、また、(本明細書のセクション3.2.1及び3.2.2で説明されているようなほこり又は製造公差の存在に起因するような)特定の環境においてそれらの間である程度の横方向の動きを可能にするために、十分に追従性がある。
図E1iは、オーディオ・トランスデューサの一方の側の弾性付勢部材E110の長手方向の断面を示す。付勢部材の各端部は、ベース・ブロックE105の側部から延び、(中間セクションに対してほぼ直角に)曲げられて、振動板ベース・フレームE107の力印加ピンE109を取り囲むまでオーディオ・トランスデューサの側部にほぼ平行に延びる。付勢部材E110の各曲げ端部は、好ましくは、端部を側方に曲げることによって端部をその位置から外れさせるのに十分な長さを有する。振動板組立体がトランスデューサ・ベース構造E118aとともに最初に組み立てられ、付勢部材E110の端部がベース・フレームE107に引っ掛けられると、端部は適度に予め張力がかけられていなければならないので、いったん定位置に引っ掛けられると、必要な接触力を提供する(その大きさと理由はセクション3.2.1で概説されている)。
図E1eは、力印加ピンE109に引っ掛けられた弾性付勢部材E110の一端部の側面図を示す。ほぼ正方形の穴が見える。力印加位置E116において力印加ピンE109と接触する穴の縁部は実質的に平坦である。力が加えられる方向は、その平坦な縁部に実質的に垂直であり、力印加ピンE109に向かっている。この方向は、各側の接触領域E114においてヒンジ要素の突状曲面に接する平面に対して実質的に垂直になるように選択された。このようにして、トランスデューサ・ベース構造E118に対して振動板組立体の均衡を失わせるように作用する力の組み合わせが振動板組立体には加えられない。力印加ピン位置E116は、回転軸E119と一致する。回転軸E119に対する2つの力印加位置E116によって規定される軸の位置決めは、共振周波数(Wn)を減少させ、振動板をその平衡位置に中心合わせするための復元力を提供する。例えば、力印加位置E116によって規定される軸が、回転軸E119から振動板側(図E1eに関して左側)にオフセットして配置される場合、振動板が回転するにつれて不安定になり、一方の側に向かって急に動く。力印加位置E116によって規定された軸が回転軸E119からベース構造側(図E1eに関して右側)にオフセットして配置される場合、力は振動板を平衡静止位置に中心合わせするように作用する。
2つのヒンジ接続部突起/ヒンジ要素E125は、振動板本体幅E128に対して適度の距離をおいて配置し、一方は振動板本体E124の矢状面の一方の側において振動板本体の最大幅に近い間隔をあけ、他方の突起E125は他方の側において同様に間隔をあける。接触ヒンジ接続部を適切に離間させることによって、組み合わせは、振動板の基本回転モード(Wn)ではない振動板の回転モードに関して、振動板組立体E101に改善された剛性及び支持を提供することができる。このような2つの回転モードがあり、両方が振動板の基本回転軸E119に対して実質的に垂直な回転軸を有し、両方が互いに実質的に垂直である。これらは、このトランスデューサのコンピュータ・モデルの有限要素解析を使用して識別することができ、この明細書内の実施例Aで行った分析と同様である。
この実施例では、ヒンジ・システムの構成は、トランスデューサ・ベース構造に対してある角度で振動板組立体を吊り下げ、よりコンパクトなトランスデューサ組立体を提供する。言い換えれば、組み立てられた状態において、ベース構造の長手方向軸は、振動板組立体の中立位置/状態において、振動板組立体の長手方向軸に対してある角度に向けられている。この角度は、好ましくは鈍角であるが、代替の構成では直角又は鋭角であってもよい。
トランスデューサ・ベース構造
トランスデューサ・ベース構造E118は、ベース・ブロックE105と、外側ポールピースE103及びE104と、磁石E102と、内側ポールピースE113とを含む。これらのトランスデューサ・ベース構造部分は全て、エポキシ樹脂などの接着剤を介して接着されるか、又は相互に堅固に連結される。磁石E102は、N極が外側ポールピースE103に連結された面に位置し、S極が外側ポールピースE104に連結された面に位置するように磁化される。これは、代替の実施例では逆であってもよい。
磁気回路は、磁石E102、外側ポールピースE103及びE104、及び2つの内側ポールピースE113によって形成される。磁束は、外側ポールピースE103及びE104と内側ポールピースE113との間の小さな空気間隙に集中する。外側ポールピースE103と内側ポールピースE113との間の間隙における磁束の方向は、全体的に、ほぼ回転軸E119に向かう。内側ポールピースE113と外側ポールピースE104との間の間隙における磁束の方向は、全体的に、ほぼ回転軸E119から離れる。コイル巻線E106は、エナメル被覆された銅線によってほぼ長方形の形状で巻かれ、上記のとおり2つの長辺E130及びE131と、2つの短辺E129とを有する。長辺E130は、外側ポールピースE103と内側ポールピースE113との間の小さな空気間隙内にほぼ位置し、他方の長辺E131は、外側ポールピースE104と内側ポールピースE113との間の小さな空気間隙内に位置する。動作中、電気オーディオ信号がコイル巻線を介して再生されると、コイル巻線の長辺E130及びE131の両方によって同じ方向にトルクが加えられ、振動板組立体を振動させる。コイル巻線E106は、比較的剛性になり、FROを超えて望ましくない共振モードを押し上げるほど十分に厚く巻かれている(エポキシのような接着剤でともに接着されている)。コイル形成体を必要としない程度に厚いことが好ましく、これは、所与のコイル巻線の厚さ、並びにコイル巻線の長辺E130及びE131とポールピースE103、E104及びE113との間の所与のクリアランス間隙について、磁束間隙をより小さくする(磁束密度とオーディオ・トランスデューサの効率を高める)ことができることを意味する。
振動板構造
振動板組立体は、トランスデューサ・ベース構造E118に対して近似軸E119の周りを回転するように構成される。振動板本体厚さE127は、振動板本体の長さに対してかなり厚い。例えば、最大厚さは、長さの少なくとも15%、又はより好ましくは長さの少なくとも20%である。この厚さは、剛性を改善した構造を提供し、共振モードを動作範囲外に押し上げるのを助ける。振動板のジオメトリは、大部分は平面である。振動板本体E123の冠状面は、回転に伴って大量の空気を移動させるように、理想的には回転軸E119から外側に延ばす。それは図E4cに示すように約15度の角度E402でテーパ状になっており、回転慣性を大幅に低減し、効率及び分割性能を向上させる。好ましくは、振動板本体は、振動板組立体E101の質量中心E401から離れてテーパ状になっている。
振動板は、低密度コアE120のウェッジの間に、複数の角度のついた角度タブE122に沿って積層された複数の内側補強部材E121を含む。これらの部品は、接着剤、例えばエポキシ接着剤、合成ゴム系接着剤又はラテックス系接着剤を使用して取り付けられる。一旦接着されると、この(4つの角度タブE122の面を含む)くさび積層体のベース面端部が主ベース・プレートE303に取り付けられる。複数の薄い平行な支柱E112を含む垂直応力補強材は、本体の主面E132に、好ましくは複数の内側補強材E121と整列して取り付けられ、上側支柱・プレートE305に連結される。2つの対角線支柱E111を含む付加的な垂直応力補強材は、本体の同じ主面E132を横切るように平行支柱E112の上部全体にわたって交差構造で取り付けられ、また上側支柱・プレートE305に連結される。本体の他方の主面E132には、支柱E111及びE112も、下側ベース・プレートE307に連結されることを除いて同様の方法で取り付けられる。支柱は、好ましくは、約900GPaのヤング率(マトリックス・バインダーなし)を有する超高弾性率炭素繊維、例えばMitsubishi Dialedから製造される。これらの部品は、接着剤、例えばエポキシ接着剤を用いて互いに接着される。しかしながら、他の連結方法も、他の実施例に関して先に説明したように想定される。
例えば、EPS発泡体から製造された厚くて低密度のコアE120の外側に連結された高弾性支柱E111及びE112の使用は、やはり支柱が提供することができる第2の面積モーメントの利点を最大にする厚いジオメトリに起因して、振動板の剛性に関して有益な複合構造を提供する。
動作中、振動板本体E120は、回転に伴って空気を移動させるので、はっきりと非多孔性であることが要求される。EPS発泡体は、適度に高い特定の弾性率と16kg/mの低密度のために好ましい材料である。EPS材料の特性は、従来の回転動作のオーディオ・トランスデューサと比較して、振動板分割の改善を促進するのに役立つ。剛性性能により、コアE120は、コアE120がなければFRO内の周波数で局部的な横方向の共振を被るほど薄い可能性がある支柱E111及びE112に何らかの支持を提供することができる。積層された内側補強部材E121は、改善された振動板せん断剛性を提供する。各内側補強部材の面の向きは、好ましくは、振動板が移動する方向にほぼ平行であり、振動板本体E124の矢状面にもほぼ平行である。内側補強部材E121が振動板本体のせん断剛性を適切に補助するために、各内側補強部材の両側に配置された平行支柱E112に対して適度に堅固な連結が行われることが好ましい。また、振動板のベース端部において、内側補強部材E121から主ベース・プレートE303への連結は堅固である必要があり、この堅固さを補助するために、角度タブE122が使用される。各タブE122は、各内側補強部材E121に連結するための大きな接着表面領域を有し、せん断力はタブのコーナーの周りに伝達され、他方の側は主ベース・プレートE303に連結されている他の大きな接着表面領域である。
振動板組立体ハウジング
図E2は、振動板ハウジングにマウントされた実施例Eのオーディオ・トランスデューサを示し、周囲部E201、主グリルE202、2つの側部補強材E203及びセクション4.2.2で説明した分離の2つの304デカップリング・ピンE208を含む。
周囲部E201は、ベース・ブロックE105、外側ポールピースE103及び磁石E102に取り付けられ、振動板構造の周辺部と周囲部E201の内壁との間に約0.1mmから1mmの小さな空気間隙E206があるように組み立てられる。
断面図E2eは、周囲部E201が振動板の先端の小さな空気間隙E205に曲面を有することを示している。この湾曲の半径の中心は、振動板が回転すると小さな空気間隙E205が振動板の先端に維持されるように、オーディオ・トランスデューサの回転軸E119にほぼ位置する。空気間隙E206及びE205は、通常運転中に存在する圧力差によって大量の空気が通過しないように十分に小さくすることが求められる。
周囲部E201は、障壁やバッフルとして機能する壁を有し、背面からの逆位相放射による振動板の前面からの放射の打ち消しを低減する。用途に応じて、前方及び後方の音の放射の打ち消しをさらに低減するために、トランスデューサ・ハウジング(又は他のバッフル構成要素)が必要とされることに留意されたい。
主グリルE202及び2つの側部補強材E203は、接着剤(例えば、エポキシ接着剤)などの適切な方法を用いて周囲部E201に取り付けられる。これらの振動板ハウジング構成要素は全てトランスデューサ・ベース構造に堅固に取り付けられるので、ベース構造組立体である結合された構造は、有害な共振モードがFROを超えるように十分に剛性である。これを達成するために、結合された構造の全体的なジオメトリはコンパクトなスクワット状であり、これは、他よりもかなり大きい寸法がないことを意味する。また、振動板の周りに延びる振動板ハウジングの領域は、プラスチック製の周囲部E201の周りに硬いケージを形成する主グリルE202及び側部補強材E203に組み込まれた三角形のアルミニウム・支柱の使用によって補強される。三角形構造は、そうでない構造に比べて質量が小さく、剛性がそれほど低下しないので、三角形構造は一般に不利な共振に関してより良好に機能することを意味する。
振動板ハウジングはまた、落下又は衝突のような異常な場合を除いて、振動板組立体のより壊れやすい部品への損傷の発生を防止する手段として振動板組立体と連結しないストッパを組み込んでいる。振動板ベース・フレームE107の一部である円筒状のストッパ・ブロックE108は、振動板組立体E101の両側に突出している。トランスデューサが振動板ハウジング内にマウントされた後、且つ振動板ハウジングと接触しているトランスデューサ・ベース構造の部分が、例えばエポキシのような接着剤を用いて連結された後、2つのストッパ・リングE207が振動板ハウジングの周囲部E201の各側部に挿入される。組立状態では、各ストッパ・リングE207と各ストッパ・ブロックE108との間に小さな隙間E209が存在する。これらの隙間E209の寸法は、振動板本体E126の長さと、振動板E205、E206の周辺縁部の周りの隙間の寸法とに比べて小さいことが好ましい。これは、落下の場合には、ストッパ間隙が閉じ、ストッパ構成要素E207及びE108が、振動板組立体E101の他の部分が何か他のもの、例えば振動板ハウジングの周囲部E201に連結される前に連結されるようにすることである。各ストッパ・リングE207が一旦取り付けられると、プラスチック製の2つのプラグE204が振動板ハウジングの各側の残りの穴に挿入される。これは、振動板の一方の側の正の音圧の領域から振動板の他の側の負の音圧の領域への空気の流れの経路を妨げるのに役立つ。ストッパ・リングE207及びプラグE204は、振動板ハウジングの周囲部E201に及び互いにエポキシ等の接着剤を介して連結される。
他の構成では、実施例Eのオーディオ・トランスデューサは、振動板ハウジングを含まず、オーディオ・トランスデューサは、デカップリング・マウンティング・システムを介してトランスデューサ・ハウジング内に収容される。
3.3 フレキシブル・ヒンジ・システム
従来技術のフレキシブル・ヒンジ設計はたびたび、低周波数性能を拡張するために振動板の基本周波数(Wn)を減少させることと振動板の可動域を増加させることの妥協に悩まされており、少なくとも一方向の並進の追従性を増加させる傾向があり、それによって問題の振動板/ヒンジ相互共振モードの周波数を減少させ、これは、エネルギー貯蔵の最小化が重要な設計目標である設計では、高周波性能を損なう。
例えばばね構成要素を含む薄肉部分又は要素などのフレキシブルで弾性のある部分又は要素を含むヒンジ組立体は、ウォーターフォール/CSDプロットで測定されるような低いエネルギー貯蔵特性を有するオーディオ・トランスデューサ設計を容易にする可能性を有し、適切に設計されていれば、良好なオーディオ再生及び良好な容積可動域及び帯域幅性能を促進する。
好ましくは3つの直交軸に沿ったヒンジ組立体全体の並進追従性の低減は、高性能回転動作オーディオ・トランスデューサの達成を助ける。
2つ以上のフレキシブルで弾性のある要素及び/又は部分を組み込んだ本発明の撓みヒンジ・システムを、いくつかの実例を参照して詳細に説明する。要素及び/又は部分は、単一の弾性構成要素の一部を形成してもよく、又は分離していてもよい。
実例は、振動板組立体と、トランスデューサ・ベース構造と、振動板組立体及びトランスデューサ・ベース構造の両方に堅固に連結された撓みヒンジ・システムと、を含むオーディオ・トランスデューサを参照して説明される。振動板組立体は、撓みヒンジ・システムによって動作可能に支持され、動作中にベース構造に対する振動板の枢動を可能にする。ヒンジ・システムは、単一の部材の部分であってもよい少なくとも2つの弾性ヒンジ要素を含む。これらの要素は、分離していてもよいし、(一体的に又は分離して)結合していてもよい。両方の要素は、トランスデューサ・ベース構造及び振動板組立体に堅固に結合され、ヒンジ組立体に対する近似回転軸の周りの振動板組立体の動きを容易にするために、垂直な力に応答して変形する又は撓む。各ヒンジ要素は、トランスデューサ・ベース構造及び振動板の両方に密接に関連し、要素に沿った要素全体にわたる圧縮、張力及び/又はせん断変形に抵抗する実質的な並進剛性を含む。少なくとも1つのヒンジ要素は、振動板組立体の一部と一体化されてもよく、又は振動板組立体の一部を形成してもよく、及び/又は少なくとも1つのヒンジ要素がトランスデューサ・ベース構造の一部と一体化されてもよく、又はトランスデューサ・ベース構造の一部を形成してもよい。以下でさらに詳細に説明するように、いくつかの実施例では、各ヒンジ接続部の各フレキシブル・ヒンジ要素は、曲げに対して実質的にフレキシブルである。好ましくは、これらの実施例では、各ヒンジ要素は、その場でねじりに対して実質的に剛性である。代替の実施例では、各ヒンジ接続部の各フレキシブル・ヒンジ要素は、ねじれについて実質的にフレキシブルである。好ましくは、これらの実施例では、各フレキシブル・ヒンジ要素は、その場での曲げに対して実質的に剛性である。
本明細書に記載の撓みヒンジ・システムは、例えば、実施例A、D、E、K、S、T、W及びXのオーディオ・トランスデューサを含む、本明細書に記載の回転動作オーディオ・トランスデューサの実施例のいずれか1つに組み込むことができ、本発明は以下に説明する実施例の用途に限定することを意図していない。
いくつかの実例で説明するように、弾性部分は曲げによって撓むことがあり、いくつかの他の実例では、弾性部分はねじれによって撓む。他の構成では、弾性部分は、曲げ及びねじれによって撓む場合がある。
3.3.1 実施例Bのオーディオ・トランスデューサ
図B1は、例示的な撓みヒンジ・システムを介してトランスデューサ・ベース構造B120に枢動可能に結合された(図B2a~gに示される)振動板組立体B101を含む、本発明の例示的な回転動作オーディオ・トランスデューサ(以下、実施例「B」のオーディオ・トランスデューサと呼ぶ)を示している。この実施例では、撓みヒンジ・システムは、(図B3に詳細に示す)撓みヒンジ組立体B107を含む。この実例のオーディオ・トランスデューサは、回転動作フルレンジ・ヘッドホンスピーカ・オーディオ・トランスデューサであるが、トランスデューサは、代わりに、マイクロフォンなどの任意の他のスピーカ設計又はオーディオ電気トランスデューサであってもよいことを理解されたい。振動板組立体B101は、例えば構成R1~R4の振動板構造に関連して、又は構成R5~R7のオーディオ・トランスデューサの振動板構造に関連して説明したように、実質的に低い回転慣性の複合振動板を含む。ヒンジ組立体B107は、振動板組立体とトランスデューサ・ベース構造との間に堅固に結合された少なくとも1つのヒンジ接続部を含む。この実施例では、ヒンジ組立体B107は、第1のヒンジ接続部B201及び第2のヒンジ接続部B203を備え、それらの両方は、一端部がトランスデューサ・ベース構造B120に、反対側の端部が振動板組立体B101に堅固に結合される。撓みヒンジ組立体B107は、振動板組立体に取り付けられたコイル巻線B106を介して再生される電気オーディオ信号に応答して、トランスデューサ・ベース構造B120に対する近似回転軸B116の周りの振動板組立体B101の回転/ピボット運動/振動を促進する。この実施例では、ヒンジ組立体は、オーディオ・トランスデューサが組み立てられた状態で、振動板組立体の一部を形成する各ヒンジ接続部の一方の側部/端部に振動板ベース・フレームを含み、トランスデューサ・ベース構造の一部を形成する各ヒンジ接続部の対向する側部/端部にベース・ブロックを含む。ヒンジ接続部は、振動板組立体とトランスデューサ・ベース構造との間に中間接続部を形成する。
3.3.1a ヒンジ組立体の概要
ヒンジ組立体B107、特に各ヒンジ接続部は、関連するヒンジ要素B201a/b及びB203a/bの面内で受ける引張及び又は圧縮及び又はせん断の力に抵抗するように実質的に剛性になるように構成される。ヒンジ要素が互いに対して傾斜しているので、これは、ヒンジ組立体の必要な回転軸の周りの回転運動を除いて、振動板組立体の全体が全ての並進及び回転変位に対して堅固に拘束されることを意味する。特に、圧縮、引張及びせん断におけるヒンジ要素の剛性及び各接続部における一対のヒンジ要素間の相対角度は、振動板組立体が、動作中に少なくとも2つ、好ましくは全ての3つの実質的に直交する軸線に沿って、各ヒンジ接続部における並進運動/変位に対して、十分に実質的に抵抗性/剛性であることを意味する。2つのヒンジ接続部の幅広い分離、並びに要素の相対角度は、振動板組立体も、動作中にヒンジ組立体の必要な回転軸に垂直な軸周りの回転運動/変位に対して十分に実質的に抵抗性/剛性であることを意味する。各ヒンジ要素は、好ましくは、組立体の回転軸の周りに実質的にフレキシブルであり、したがって、ヒンジ組立体もまたフレキシブルであり、この軸の周りに回転可能である。
いくつかの構成では、特に振動板が非常に大きな可動域を経験するので、ヒンジ組立体B107の構成は、振動板の動きを単一の回転軸周りの純粋な回転運動に必ずしも制限するものではないが、運動はほぼ近似回転軸B116の周りの回転と考えられることに留意すべきである。
図B2は、振動板組立体B101に連結されたヒンジ組立体B107を示す。この実施例では、ヒンジ組立体は、トランスデューサの励起機構のコイル巻線B106が取り付けられる振動板ベース・フレームを含む。トランスデューサ・ベース構造は、明確にするためにこれらの図から削除されている。図B3に示すように、ヒンジ組立体B107は、(本明細書でさらに説明される)実質的に長手方向の振動板ベース・フレームと、要素対B201a及びB201bからなる第1のB201及び要素B203a及びB203bからなる第2のヒンジ接続部B203の一対の同等のヒンジ接続部と、を含み、ベース・フレームの両端部から横方向に延ばし、振動板組立体及びトランスデューサ・ベース構造の両側にその場で位置するように構成される。振動板ベース・フレームは、振動板本体のより厚いベース端部において幅のかなりの部分に沿って延ばし、振動板本体とコイル巻線B106をその場で結合するように構成される。ベース・フレームの構造については、以下でさらに詳細に説明する。
図B3は、この実例のフレキシブル・ヒンジ組立体B107を詳細に示している。各ヒンジ接続部B201及びB203は、トランスデューサ・ベース構造B120の一方の側に堅固に結合するように構成された連結ブロックB205/B206に連結される。トランスデューサ・ベース構造B120は、部品の結合を助けるために、構造の表面上に相補的な窪み部を含むことができる。ヒンジ組立体B107は、複数対のフレキシブル・ヒンジ要素B201a/B201b及びB203a/B203bを含む。各ヒンジ接続部対B201a/B201b及びB203a/B203bのヒンジ要素は、互いに対して傾斜している。この実例では、ヒンジ要素B201a及びB201bは互いに実質的に直交しており、ヒンジ要素B203a及びB203bは互いに実質的に直交している。しかしながら、例えば、各対のヒンジ要素の間に鋭角を含む他の相対角度が想定される。各ヒンジ要素は、要素に対して実質的に垂直な力に応答して、また振動板組立体の回転軸B116の所望の方向のモーメントに応答して撓むことができるように、実質的にフレキシブルである。このようにして、ヒンジ要素は、回転軸B116の周りの振動板組立体の回転/枢動運動及び振動を可能にする。ヒンジ組立体は全体的に、中立位置に向かって付勢され、それにより、振動板組立体をその場でトランスデューサの動作中に中立位置に向かって付勢するように、弾性的でもあることが好ましい。各要素は、振動板組立体が中立位置のいずれの方向にも旋回することができるように撓むことができる。この実例では、各ヒンジ要素B201a、B201b、B203a及びB203bは、フレキシブルで弾性のある材料の実質的に平坦な部分である。以下でさらに詳細に説明するように、他の形状も可能であり、本発明はこの実例に限定することを意図していない。
3.3.1b フレキシブル・ヒンジ要素
形状、寸法及び材質
各ヒンジ接続部について、フレキシブル・ヒンジ要素の各対の少なくとも1つ(ただし好ましくは両方)は、この実例では十分に薄く、及び/又は要素に垂直な力に応じてヒンジ要素を撓ませるのに十分な寸法を有する。これにより、トランスデューサ・ベース構造B120に対して振動板組立体B101の低い基本周波数(Wn)が可能になる。各対の一方又は両方のフレキシブル要素は、材料の実質的に平坦なシート又は部分から形成されるが、他の形態も可能であることを理解されたい。好ましくは、各ヒンジ要素は、その長さと比較して、振動板の回転軸の周りの回転運動を容易にするために、要素の長さに比べて比較的薄い。各ヒンジ要素は、その長さ及び幅の少なくとも大部分にわたって実質的に均一な厚さを含むことができる。
いくつかの構成では、一対のヒンジ要素の1つ又はそれぞれは、シートの長さの約1/8未満、又はより好ましくは長さの約1/16未満、又はより好ましくは長さの約1/35未満、又はさらにより好ましくは長さの約1/50未満、又は最も好ましくは長さの約1/70未満である厚さを有する材料の十分に薄いシートである。厚さが薄すぎると、例えば、落下又は衝突シナリオのような大きな力が加えられた状況において、撓みにより座屈する危険性がある。この理由から、好ましくは、材料の薄いシートはそれぞれ、その長さの1/500よりも厚い。
いくつかの構成では、1つ又はそれぞれのヒンジ要素の幅は、その長さの2倍未満、又は長さの1.5倍未満、又は最も好ましくは長さ未満である。
いくつかの構成では、各対の1つ又はそれぞれのヒンジ要素の厚さは、その幅の約1/8未満、又は好ましくは幅の約1/16未満、又はより好ましくは幅の約1/24未満であり、又はさらにより好ましくは幅の約1/45未満、又はさらにより好ましくは幅の約1/60未満、又は最も好ましくは幅の約1/70である。
各対の1つ又はそれぞれのフレキシブル・ヒンジ要素(この実例では両方とも)は、典型的なプラスチック材料又はゴムのような柔軟でフレキシブルな材料からではなく、金属又はセラミック材料のような実質的に高いヤング率を有する材料のような、材料面内で実質的に剛性のある材料から形成される。このようにして、フレキシブル・ヒンジ要素は、要素の面内における張力及び圧縮力に対して実質的に耐性を有する。好ましくは、材料はまた、材料の面内で受けるせん断負荷に対して実質的に耐性を有する。このように、フレキシブル・ヒンジ要素は、そのような力に起因するゼロから最小限の変形をその場で動作中に受ける。ヒンジ組立体B107が振動板回転の点で適合し、上記のヒンジ要素の撓みが振動板の回転の所望の方向を促進するように、各対の少なくとも1つ又は両方のフレキシブル・ヒンジ要素は、振動板組立体の回転軸に実質的に平行に配向される。好ましくは、各対の1つ又は両方のヒンジ要素は、8GPaより高いヤング率、又はより好ましくは約20GPaより高いヤング率を有する材料から作られる。
この実例の好ましい構成では、各ヒンジ要素は、高張力鋼合金又はタングステン合金又はチタン合金、又は「液体金属(Liquidmetal)」又は「金属ガラス(Vitreloy)」のような非晶質合金から製造される。他の形態では、ヒンジ要素は、プラスチック強化炭素繊維などの十分に高いヤング率を有する複合材料から作製されてもよい。
いくつかの構成では、ヒンジ要素を形成する材料は、通常動作中に撓むとき、力対変位の関係(変位距離又は回転角度のいずれかで測定される変位)が線形であり、フックの法則に従う範囲で使用される。これは、オーディオ信号がより正確に再現されることを意味する。
上述したように、この実例では、各対の各(又は少なくとも1つの)フレキシブル・ヒンジ要素は、ほぼ又は実質的に平坦なプロファイル、例えば材料の実質的に平坦なシート又は部分の形状である。他の形態では、1つ又は複数のフレキシブル・ヒンジ要素は、弛緩/中立状態でその長さに沿って僅かに曲げられ、通常動作中に撓むと及び/又はその場でヒンジ組立体に結合されると実質的に平面になる。
好ましくは、各ヒンジ接続部の各ヒンジ要素は、通常動作中に著しく変形するヒンジ要素の長さの部分に沿って計算されるように、回転軸に垂直な面内の断面に関して、平均断面積の平方根の3倍を超える、又はより好ましくは5倍を超える、又は最も好ましくは6倍を超える平均幅又は高さ寸法を有する。これは、ヒンジ軸回りの回転に関して要素に十分な追従性を与えるのに役立つ。
向き
ヒンジ接続部B201のためのヒンジ要素の各対B201a/B201b及びヒンジ接続部B203のためのヒンジ要素の各対B203a/B203bは、互いに対して角度が付けられ、それによって実質的に異なる平面内に配向される。それらのジオメトリによって、また上述のように、ヒンジ要素は、圧縮/引張り及び/又はせん断負荷に関して比較的剛性であるが、実質的に垂直な力に応答して、また回転軸B116の方向のモーメントに応答して、曲げの点で比較的適合的/フレキシブルである。これは、フレキシブル・ヒンジ要素が、それぞれの平面に平行で平面内にある任意の方向における並進の観点から、振動板への取り付けのそれぞれの点において、振動板を効果的に拘束することができることを意味する。
実質的に異なる平面内にあるように相互にある角度にある各対のヒンジ要素の向きは、各ヒンジ要素がその面内の並進に抵抗することができる場合、全体的なヒンジ組立体は、あらゆる方向の振動板の純粋な並進に対する強い抵抗力を保持することを意味する。
ヒンジ要素の平面間の角度が約20~160度、又はより好ましくは約30~150度、又はさらにより好ましくは約50~130度、又はさらに好ましくは約70度~110度の間であると適切な性能を達成することが可能であり得るが、それらの間の角度はほぼ垂直/90度である、すなわち、各ヒンジ接続部の一対のヒンジ要素は互いにほぼ直角に傾いていることが最も好ましい。この実施例では、各ヒンジ接続部の1つのフレキシブル・ヒンジ要素が、回転軸に実質的に垂直な第1の方向に著しく延びている。
一対のフレキシブル・ヒンジ要素B201a及びB201bを有する第1のヒンジ接続部B201からなるヒンジ構造の場合、回転軸B116は、各フレキシブル・ヒンジ要素が占める平面の交点上に位置するか又は交点とおおよそ同一直線上にあり、及び/又はヒンジ要素の間の交点にある。フレキシブル・ヒンジ要素B203a及びB203bを有するヒンジ接続部B203からなる他のヒンジ構造についても、回転軸は、これらの2つのフレキシブル・ヒンジ要素が占める平面の交点上にほぼ位置する。振動板の低い基本周波数(Wn)を保証するために、オーディオ・トランスデューサの各側の2つのヒンジ接続部B201及びB203のそれぞれによって規定される軸の整列は、実質的に同一直線上にある。この実施例では、ヒンジ組立体の各フレキシブル・ヒンジ要素B201a、B201b、B203a及びB203bは、フレキシブル・ヒンジの平面内での引張/圧縮及びせん断力に十分耐えて、2つのヒンジ接続構造のそれぞれが並進運動に関して3次元で高い剛性を有することを保証するように、上記の回転軸B116の方向に十分に広い。各ヒンジ接続部はまた、構造の共通回転軸B116について比較的高い回転追従性も提供する。2つのヒンジ接続部の組み合わせはともに、トランスデューサ・ベース構造に対して振動板組立体を動作可能に支持するヒンジ組立体を提供し、比較的低い基本周波数(Wn)を可能にし、他のすべての回転モード及びすべての並進モードに関して十分に剛性である。
位置
好ましくは、振動板構造は、ヒンジ組立体に近接/密接に関連しており、それにより、フレキシブル・ヒンジ要素と振動板構造との間の距離を最小にし、撓み難く望ましくない分割共振モードに関する性能に悪影響を与えるトランスデューサのFRO内でそれらの間により堅固な連結を生成する。例えば、振動板本体又は構造は、ヒンジ要素のそれぞれの端部に直接的に連結/直接的に隣接していてもよい。他の実例では、振動板本体又は構造は直接的に取り付けられていなくてもよいが、それらの間の構成要素は、振動板本体がヒンジ要素と密接な関係を保つことを可能にする寸法を含む。
好ましくは、振動板本体又は構造からフレキシブル・ヒンジ要素の一方又は両方までの距離は、振動板から回転軸までの最大距離の半分未満、又はより好ましくは振動板の最も遠位の外周部/終端から回転軸までの最大距離の1/3未満、又はより好ましくは振動板の最も遠位の外周部/終端から回転軸までの最大距離の1/4未満である。同様に、トランスデューサ・ベース構造は、ヒンジ組立体に近接/密接に関連しており、それにより、フレキシブル・ヒンジ要素と振動板構造との間の距離を最小にし、撓み難く望ましくない分割共振モードに関する性能に悪影響を与えるトランスデューサのFRO内でそれらの間により堅固な連結を生成する。例えば、トランスデューサ・ベース構造は、ヒンジ要素のそれぞれの端部に直接的に連結/直接的に隣接していてもよい。他の例では、トランスデューサ・ベース構造は直接的に取り付けられていなくてもよいが、それらの間の構成要素は、振動板本体又は構造がヒンジ要素と密接な関係を保つことを可能にする寸法を含む。
好ましい実施態様では、変換機構力発生構成要素、例えばモータ・コイルB106は、オーディオ・トランスデューサ・システムの単一自由度の振る舞いを促進して容易にするために、レバーアーム又はヒンジなどを介するのとは対照的に、振動板に直接取り付けられる。
2つのヒンジ接続部B201及びB203は、振動板本体の幅B215に対して適度な距離をおいて配置されている。ブロックB205に連結している第1のヒンジ接続部B201の外側は面B217に位置し、ブロックB206に連結している第2のヒンジ接続部B203の外側は面B218に位置する。好ましくは、これらの面B217及びB218は、組み立てられた形態で振動板本体B119の中央矢状面に平行であり、その両側に配置される。好ましくは、1つの撓みヒンジ接続部B201の少なくとも一部は、振動板本体B119の中央矢状面からオフセットした振動板本体幅B215の20%の距離に位置する面B219の外側に位置し、少なくとも1つの撓みヒンジ接続部B203の少なくとも一部は、中央矢状面の他方の側からオフセットされた振動板本体幅B215の20%の距離に位置する面B220の外側に位置する。撓みヒンジ接続部を適切に離間させることによって、又は1つしかない場合には十分に広いヒンジ接続部を有することによって、ヒンジ組立体は、振動板の基本回転モード(Wn)ではない振動板の回転モードに関して振動板組立体B101に追加の剛性と支持を提供する。通常は、このような2つの回転モードが存在し、両方とも通常は振動板B116の基本回転軸に対して実質的に垂直な回転軸を有し、両方とも通常は互いに実質的に直交する。これらは、本明細書内の実施例Aで行った分析と同様に、このトランスデューサのコンピュータ・モデルの有限要素解析を使用して識別することができる。
この実例では、一対のヒンジ接続部は、その場で振動板構造/組立体の側縁部に隣接して位置するように構成されている。一対のヒンジ接続部B201及びB203は、好ましくは、振動板本体B215の幅に比べて、振動板構造上の少なくとも2つの広く離れた位置で振動板構造に連結される。ヒンジ接続部が広く離間されていない位置で連結されている場合、追加のヒンジ要素、撓み又は機構は、好ましくは、少なくとも2つの広く離れた位置で連結されるように振動板組立体に組み込まれる。同様に、一対のヒンジ接続部を含む撓みヒンジ組立体は、好ましくは、振動板本体の幅と比較して、トランスデューサ・ベース構造の少なくとも2つの広く離れた位置に取り付けられる。撓みヒンジ組立体が広く離れていない位置(又は複数の位置)に取り付けられている場合、好ましくは追加のヒンジ要素、撓み又は機構は、少なくとも2つの広く離間された位置で連結が行われるようにトランスデューサ・ベース構造に対して組み込まれる。ヒンジ接続部は、振動板構造又は組立体の周辺側に、又はその近傍に、及び/又はトランスデューサ・ベース構造の周辺側に、又はその近傍に配置することができる。
この実施例では、各ヒンジ接続部は、振動板の両側に配置される。好ましくは、第1のヒンジ接続部は、振動板の端面の第1のコーナー領域に近接して配置され、第2のヒンジ接続部は、端面の第2の対向するコーナー領域に近接して配置され、ヒンジ接続部は実質的に同一線上にある。好ましくは、各ヒンジ接続部は、振動板本体の幅の少なくとも0.2倍である振動板の中央矢状面からの距離に配置される。
いくつかの実施例では、一対のフレキシブル・ヒンジ要素を含む単一のヒンジ接続部は、振動板構造/組立体及び/又はトランスデューサ・ベース構造の少なくとも2つの広く離れた位置に堅固に取り付けられるように、振動板構造又は組立体のかなりの部分にわたって延び得ることを理解されたい。
連結
各ヒンジ要素B201a、B201b、B203a及びB203bは、一方の端部が振動板組立体B101に堅固に連結され、対向する端部が振動板ベース構造B120に堅固に連結される。この実例では、ヒンジ要素の各対は、連結ブロックB205及びB206を介してトランスデューサ・ベース構造に堅固に連結される。これらの(例えば、ヒンジ要素と振動板ベース・フレームとの間の、ヒンジ要素と連結ブロックとの間の)連結は、エポキシ樹脂などの接着剤によって、又は溶接によって、又は締結具を用いたクランプによって、又は機械工学の分野でよく知られているように、それらの任意の組み合わせを含む多くの他の方法によって行われる。振動板構造を撓みヒンジ要素に連結することと、ヒンジ要素をトランスデューサ・ベース構造へ連結することの両方に用いられるジオメトリは、横方向に(例えばレバーアームのように)細長くほっそりしておらず、その代わりにその方向に短く、スクワット状で、おそらく(トラス型構造を使用して)三角形であることが好ましい。好ましくは、振動板は、レバーアームなしで、ヒンジ要素の一方又は両方に堅固に動作可能に結合される。例えば、この実施例では、振動板ベース・フレームは、振動板構造をヒンジ要素に連結するために使用される。ベース・フレームは、少なくとも横方向(すなわち、連結結合部を横切っているが、必ずしも連結結合部に沿っているわけではない)に実質的に短く、スクワット状である。同様に、ヒンジ要素をトランスデューサ・ベース構造の残りの部分に連結する連結ブロックは、少なくとも横方向(連結結合部を横切って)に少なくとも実質的に短く、スクワット状である。言い換えれば、ヒンジ要素は、振動板構造とトランスデューサ・ベース構造との両方に密接に関連していることが好ましい。例えば、ヒンジ要素は、振動板構造とトランスデューサ・ベース構造に直接的に隣接して配置されていてもよい。これらのタイプのジオメトリは、FRO内で発生する分割モードの原因となり得るこれらの領域に生じる撓みを防止するのに役立つ。これらの構造に使用される材料はまた、剛性でなければならず、好ましくは8GPaより大きく、より好ましくは20GPaよりも大きいヤング率を有する。
また、各ヒンジ接続部と振動板構造又は本体との間の実質的に堅固な連結を容易にするために、連結のサイズは、好ましくは、(接続部が連結される)振動板構造又は本体の端面のサイズに対して十分に大きい。好ましくは、端面の2つの直交する寸法に平行な連結部の少なくとも1つのサイズ寸法は、十分に大きい。好ましくは、連結部の2つの直交するサイズ寸法は十分に大きい。例えば、好ましくは、1つ又は複数のヒンジ接続部は、振動板の少なくとも1つの表面又は周辺部に連結され、各連結部の少なくとも1つの全体サイズ寸法は、関連する表面又は周辺部の対応する寸法の1/6より大きい、又はより好ましくは1/4より大きい、又は最も好ましくは1/2より大きい。例えば、(ヒンジ接続部を振動板に連結する)振動板ベース・フレームの主プレートB303は、振動板構造の端面を結合し、振動板構造の端面の高さ及び幅と実質的に同様の高さ及び幅を含む。また、振動板ベース・フレームのプレートB304は、振動板構造の主面B121を結合し、主面の幅と同様の幅と、主面の長さの1/16より長い長さとを含む。
実質的に均一なフラット・ヒンジ要素の終端で接着剤を使用することは、オーディオ・トランスデューサの状況によっては最適ではない可能性がある。ヒンジ要素がスロット内に埋め込まれている場合でも、接着剤は小さな亀裂を形成する傾向があり、これは、完全な破損を引き起こすわけではないが、軽量で減衰の少ない振動板と結合された場合には機械的に増幅する可能性のあるクリーキングが生じる。
ヒンジ要素は代替で、接着剤を使用することなくスロット内にクランプされてもよく、依然として確実に大きな可動域を達成することができるが、軽量で減衰の少ない振動板と結合された場合には機械的に増幅するクリーキング及びノイズ発生を招く傾向がある。
したがって、接着剤を介してヒンジ要素を連結することは、いくつかの実施例では、振動板の可動域の制限として作用し得るため、望ましくないことがある。
本発明のヒンジ組立体の代替の構成では、各ヒンジ接続部対の第1及び第2の薄肉フレキシブル・ヒンジ要素は、振動板組立体/振動板ベース・フレーム及びB208/B209に連結され、連結ブロック/トランスデューサ・ベース構造に連結される、それらの終端縁部/境界B210/B211に向かって厚くなり及び/又は広がっている。厚くすること及び/又は広げることは、フレキシブル・ヒンジ要素のスチール/セラミックなどの材料の変化を含まないことが好ましく、すなわち、全てが単一の均一な材料片から形成される。代替で、上記の厚くすることは、溶接又は蝋付けなどの他の強力な材料との強力な結合を介して実施することができる。
終端縁部に向かって厚くすること及び/又は広げることにより、強くて剛性の撓み構成要素内の応力のレベルを減少することができ、応力が振動板及びトランスデューサ・ベース構造における接着/クランプの点に到達するまでに、それらは大幅に低減される。これにより、高い応力が接着及び/又はクランプの局部的領域に伝わり、クランプされた接続部において接着の局部的な破損又はクリーキングをもたらすことを防止することができる。
ヒンジ要素の上記のより厚い部分及び/又はより広い部分は、振動板及び/又はトランスデューサ・ベース構造への結合に適した十分な表面積を有することが好ましい。接着又はクランプの全領域にわたって内部応力がより確実に低減されるので、厚くすることは広げるよりも好ましい場合がある。さらに、「応力集中部」を生成し、それによって最大の振動板の可動域を制限する可能性のある鋭いコーナー及びそのようなジオメトリを最小にするために、厚くすること及び/又は広げることは徐々に円滑に(すなわち滑らかにテーパ状に)行うことが好ましい。
図B2a~eを参照すると、この実例では、フレキシブル・ヒンジ要素B201aは、位置B210において振動板ベース・フレームに連結され、ここで要素の断面厚さは、この場所の両側において、小さな半径を使用して緩やかに/徐々に(すなわちテーパ状に)厚くする。同様に、フレキシブル・ヒンジ要素B201bが位置B211において振動板に連結される場合、要素の断面厚さもまた、小さな半径を使用して緩やかに/徐々に(すなわちテーパ状に)厚くする。また、フレキシブル・ヒンジ要素B201a及びB201bが位置B209及びB208においてそれぞれ対応するブロックB205に連結される場合、これらの要素の厚さは小さな半径の使用によって増加する。これらの連結の全てにおいて、断面の緩やかな厚肉化は、応力を増大させるジオメトリの生成を最小にする。第2のヒンジ接続部B203のフレキシブル・ヒンジ要素B203a及びB203bについても同様の厚さの増加が示される。
以下のセクション3.3.2は、実施例Bのオーディオ・トランスデューサで使用される可能性のあるヒンジ組立体の変形を概説する。
3.3.1c 振動板ベース・フレーム
この実例では、振動板構造は、使用時にヒンジ組立体に直接取り付けられる端部に沿って又はその近くで振動板ベース・フレームによって支持され、振動板ベース・フレームは、ヒンジ要素の一方又は両方に直接的に又は密接に取り付けられる。好ましくは、振動板ベース・フレームは、振動板構造とヒンジ接続部との間の堅固な連結を容易にするように配置される。振動板ベース・フレームは、振動板組立体の一部又はヒンジ組立体の一部として、又は好ましくはその両方として考えることができる。各ヒンジ接続部のヒンジ要素のそれぞれの端部は、振動板ベース・フレームに堅固に結合されている。この実例のベース・フレームは、振動板構造の端面を受け入れてこれにしっかりと連結される長手方向のチャネルを含む。
図B3を参照すると、この実施例では、振動板ベース・フレームは、振動板構造を結合するように構成された第1のチャネルに対して鋭角をなす第2のチャネルを備える。第2のチャネルは、コイル/力発生構成要素B106を結合するように構成される。チャネル間の角度は、振動板構造端面とコイルとの相対的な向きに対応することが理解されるであろう。振動板端面に連結された第1のチャネルは、チャネルが端面及び振動板構造の隣接する主面にその場で連結できるように、実質的にL字形の断面を含み、それにより連結の堅固さを改善する。複数の横方向補強プレートB301、B306は第2のチャネル内に延ばし、振動板組立体のコイル/力発生構成要素B106に連結して、コイルの長手方向の長さに沿って分布した位置に堅固に連結し、これによりそれらの間の連結の堅固さも改善する。
この実例では、振動板ベース・フレームは、縦振動板ベース・フレームの両端部に位置する一対の弓状の端部プレートB301を含む。各プレートB301は、実質的に弓状の/湾曲した自由終端縁部を備える。各弓状の端部プレートの外側には、そこから横方向に延びる三角形の補強隆起部B302が設けられている。この実例では、組立体は、弓状の端部プレートB301から間隔をあけて平行に延びる追加の中間/中央弓状プレートB306をさらに含む。いくつかの実施例では、端部プレートB301の間に間隔をあけた2つ以上の中間プレートB306があってもよい。主ベース・プレートB303は、振動板ベース・フレームの幅に沿って長手方向に延び、振動板構造の幅に対応する。端部プレートは、主ベース・プレートB303の一方の側部から横方向に延びる。下側支柱・プレートB304は、弓状プレートB301、B303の反対側の主ベース・プレートB303の長手方向の縁部から横方向に延びている。下側支柱・プレートB304は、組立体B107のフレキシブル・ヒンジ要素B201a、B201b、B203a、及びB203bに隣接して位置する。主ベース・プレートB303もまた、振動板ベース・フレームの幅の実質的な部分に沿って延びる。上側支柱・プレートB305は、下側支柱・プレートB304が延びる縁部の反対側の主ベース・プレートB303の長手方向縁部から、下側支柱・プレートB304と反対の方向に横方向に延びる。上側支柱・プレートB305は、各弓状プレートB301、B303の弓状縁部の一部に沿って延びる。上側支柱はまた、振動板ベース・フレームの幅のかなりの部分に沿って長手方向に延びる。振動板ベース・フレームの幅のかなりの部分に沿って長手方向に延びる下側ベース・プレートB307は、弓状プレートB301、B303の下側に隣接して三角形の補強材B302と実質的に整列して位置する。下側ベース・プレートは、フレキシブル・ヒンジ要素B201a、B201b、B203a及びB203bとの連結部に隣接するヒンジ組立体の中央領域から延びる。
下側支柱・プレートB304及び主ベース・プレートB303は、それらの間に、振動板構造のベース端部を収容して連結するための第1のチャネルを形成する。下側ベース・プレートB307及び主ベース・プレートB303は、それらの間に、2つの弓状の端部プレートB301、中央弓状プレートB306及び上側支柱・プレートB305を収容して連結するために、第1のチャネルの反対側に第2のチャネルを形成し、これらの4つ構成要素B301、B306及びB305は、コイルB106を収容してこれに連結する。
図B1fを参照すると、オーディオ・トランスデューサの組み立てられた状態において、コイル巻線B106は、ヒンジ組立体B107の振動板ベース・フレームに堅固に取り付けられている。コイル巻線短辺B109は、2つの弓状端部プレートB301に取り付けられている。コイル巻線長辺B108及びB117は、弓状端部プレートB301に取り付けられ、中央の弓状プレートB306にも取り付けられている。コイル巻線長辺B108は、上側支柱・プレートB305の縁部にも取り付けられている。これらの部品は、エポキシ樹脂接着剤のような接着剤を用いて取り付けることができる。他の結合方法も可能である。
端部プレートB301、三角形補強材B302、主ベース・プレートB303、下側支柱・プレートB304、上側支柱・プレートB305、中央アークB306及び下側ベース・プレートB307を含む振動板ベース・フレーム構成要素の組み合わせは、振動板本体ベースの領域においてコイル巻線B106に堅固に接着され、実質的に剛性でありトランスデューサのFRO内で共振しない振動板ベース構造を形成する。
振動板ベース・フレーム及び巻線B106の質量は、振動板組立体B101のそれ以外の部分に比べて相対的に高いが、質量が回転軸B116の近くに位置するため、回転慣性が低減される。
3つの弓状プレートB301、B302及びB306は、コイル補強材として作用し、それぞれ、回転軸に垂直な方向に延びるパネルを備える。各プレートB301、B302、及びB306の弓状縁部は、コイルB117の第1の長辺とコイルB108の第2の長辺との間を連結する。各端部プレートB301及びB302は、コイルB106の各短辺B109に近接して及び好ましくは隣接して位置し、コイルB117の第1の長辺と第1の短辺B109との間のほぼ接合部から、コイルB108の第2の長辺と第1の短辺B109との間のほぼ接合部へ回転軸に垂直な方向に延びる。これらの振動板ベース・フレーム部分が(この実施例では一体部品として焼結された)同じ材料片で作られていない場合には、好ましくは、はんだ付け、溶接、又はエポキシ樹脂又はシアノアクリレートのような接着剤を使用した接着のような適切な堅固な連結方法を使用することができる。接着剤が使用される場合、接着剤に固有の追従性がシステム性能を制限しないように、接着すべき部品間の妥当なサイズの接触領域の使用を確保するように注意しなければならない。
この実施例では、コイルB106の長辺B117及びB108は形成体に連結されておらず、その代わりに、コイル補強材の間の領域にそれ自体を支持することができるように十分に厚いことが理解されるであろう。しかしながら、代替の実施例では形成体を使用することもできる。
3.3.1d 連結ブロック
ヒンジ組立体B107は、トランスデューサ・ベース構造側に、連結ブロックB205及びB206をさらに含む。連結ブロックは、上述のように4つの薄くて平らなフレキシブル・ヒンジ要素B201a、B201b、B203a、B203bに堅固に取り付けられ、振動板をトランスデューサ・ベース構造に連結する。互いにほぼ直角な撓みヒンジ要素B201a及びB201bの配置は、ブロックB205に連結されたオーディオ・トランスデューサの一方の側にヒンジ接続部B201を形成し、フレキシブル・ヒンジ要素B203a及びB203bの同様の配置は、振動板が回転軸B116の周りでの回転を強いられるように、ブロックB206に連結された他方の側にヒンジ接続部B203を形成する。図B2eは、オーディオ・トランスデューサの一方の側のヒンジ組立体の側面図を詳細に示している。
各連結ブロックB205、B206は、それぞれのヒンジ要素対B201a/B201b、B203a/B203bの端部を結合するための実質的に傾斜した表面を有するくさび形状に形成されている。連結ブロックの他の形状も考えられる。いくつかの実施例では、両方のヒンジ要素対に連結される単一の連結ブロックを設けることができる。
連結ブロックB205及びB206は、例えばエポキシ接着剤のような接着剤を使用して、又は当技術分野で知られている任意の他の適切な方法を介してトランスデューサ・ベース構造ブロックB105に堅固に取り付けられてもよい。そうでなければ、各連結ブロックは、トランスデューサ・ベース構造の残りの部分又は他の部分と一体的に形成されてもよい。トランスデューサ・ベース構造ブロックB105は、いくつかの構成ではアルミニウムで作製されてもよいが、他の適切な材料も想定される。この振動板ベース・フレーム及び連結ブロックは、焼結されたアルミニウムのような任意の適切な剛性材料で作製され得るが、他の材料によって小さな部品を一緒に溶接又ははんだ付けするなどの方法を使用して作製されてもよい。
振動板ベース・フレームは、撓みの振動板側にあるヒンジ組立体B107の全ての部品を含むと考えることができる。好ましくは、全ての振動板ベース・フレーム構成要素は、8GPaよりも高い、又はより好ましくは20GPaよりも高いヤング率を有する材料から作られる。同様に、連結ブロックは、好ましくは8GPaよりも高い、又はより好ましくは20GPaより高いヤング率を有する材料から作られる。
3.3.1e トランスデューサ・ベース構造及び力の発生
以下、本発明の実施例Bのオーディオ・トランスデューサの振動板組立体B101及びトランスデューサ・ベース構造B120の構成について説明する。しかしながら、上記のフレキシブル・ヒンジ組立体B107は、任意の適切な回転動作のオーディオ・トランスデューサ構成に組み込まれてもよく、本発明は、この実施例について説明された構造/組立体の組み合わせに限定することを意図していないことが理解されるであろう。例えば、ヒンジ組立体B107は、本明細書に記載の実施例A、D、E、K、S、T、W、又はXのオーディオ・トランスデューサのいずれか1つに組み込まれてもよい。
図B1e及び図B1fを参照すると、トランスデューサ・ベース構造B120は、(好ましくは、アルミニウムのような実質的に剛性の材料から作られた)ベース・ブロックB105を含む。ベース・ブロックB105は、磁石組立体を一端に収容し、ヒンジ組立体B107を反対側の端部に収容する。トランスデューサ・ベース構造B120の磁石組立体は、(例えばスチール製の)外側ポールピースB104及びB103と、それらの間に保持された(例えばネオジムグレードN52 NdFeB製の)磁石B102と、(例えば軟スチール製の)内側ポールピース部B115とを含む。外側ポールピースB104、B103及び磁石B102は、ベース・ブロックB105の対応する実質的に平坦な表面上に積み重ねられる。内側極部B115は湾曲しており、ベース・ブロックの上面から横方向に延びる湾曲したブレース部材に対して位置するように構成されている。その場で、内側極部B115は、外側ポールピースB104及びB103に隣接するがわずかに離間して位置し、コイルB106のためにそれらの間に間隙を設ける。ベース・ブロックの反対側の端部では、階段領域/窪み部が、ヒンジ組立体B107の連結ブロックB205及びB206を収容して堅固に結合する。外側ポールピースB104、B103、内側ポールピース、及び連結ブロックB205、B206は全て、エポキシ樹脂などの接着剤を介してベース・ブロックB105に接着されている。磁石B102は、対向する両主面において、対応する外側ポールピースB104、B103に、エポキシ樹脂などの適切な接着剤を介して接着される。しかしながら、代替の実施例では他の適切な結合方法が想定される。
この実例では、磁石B102は、N極が外側ポールピースB103に連結された面に位置し、S極が外側ポールピースB104に連結された面に位置するように磁化されているが、代替の構成も適していることが理解されるであろう。振動板組立体B101は、動作中にトランスデューサ・ベース構造B120に対して回転の近似軸B116の周りで回転するように構成される。
この構成では、磁気回路は、磁石B102、外側ポールピースB103、B104及び2つの内側ポールピースB115によってその場で形成される。磁束は、外側ポールピースB103及びB104と内側ポールピースB115との間の小さな空気間隙に集中する。外側ポールピースB103と内側ポールピースB115との間の隙間における磁束の方向は全体的に、ほぼ回転軸B116に向かう。内側ポールピースB115と外側ポールピースB104との間の隙間における磁束の方向は全体的に、ほぼ回転軸B116から離れる。代替の実施例では、磁束の方向が反対であってもよいことは理解されるであろう。この実例では、コイル巻線B106は、2つの長辺B108、B117と2つの短辺B109とを有する湾曲したほぼ長方形にエナメル被覆銅線で巻かれている。その場で、長辺B108は外側ポールピースB103と内側ポールピースB115との間の小さな空気間隙にほぼ位置し、他方の長辺B117は外側ポールピースB104と内側ポールピースB115との間の小さな空気間隙内に位置する。動作中、コイル巻線を介して電気オーディオ信号を再生することができ、コイル巻線長辺B108に沿った電流は、他の長辺B117における電流とは逆方向に進む。両方のコイル巻線長辺B108及びB117によって加えられるトルクは、説明された電流及び磁束の方向のために同じ方向である。コイル巻線B106は十分に厚く、エポキシなどの接着剤で比較的堅固にともに接着されているため、望ましくない共振モードは好ましくはFROの外側で発生する。コイル巻線B106はコイル形成体を必要としないほど十分に厚く、これは、磁束密度を増加させオーディオ・トランスデューサ効率を向上させるために磁束間隙を小さくすることができ、それ以外は等しいことを意味する。磁石及びコイル巻線のこれらの態様は代替の実施例で変更されてもよく、本発明はそのような特徴に限定することを意図していないことが理解されるであろう。
図B1eは、オーディオ・トランスデューサの断面を示し、コイル巻線長辺B108及びB117の断面は、振動板組立体B101の回転軸B116を中心とする半径で湾曲している。コイル巻線は、動作中に振動板が回転するにつれて、コイル巻線長辺B108及びB117が外側ポールピースB103及びB104と内側ポールピースB115との間の2つの磁束間隙B122の領域を出始める前に、変位角が利用可能となるように、張り出している。このようにして、駆動トルクの高度の直線性が達成される。内側極部B115に隣接する外側ポールピースB103及びB104の内側の端部は、内側極部B115の内側の同様の角度又は湾曲に対応して曲がっているか又は湾曲している。この構成は、コイル巻線を貫通させるために外側ポールピースと内側ポールピースとの間に2つのほぼ湾曲した磁束間隙B122を形成する。特に、コイル巻線B106は、間隙B122の曲率に対応するように実質的に湾曲した形状を有する。このようにして、振動板の回転中、回転位置に関係なく振動板に実質的に均一なトルクが加えられる。間隙B122は、振動板のいくつかの回転位置において動作中に、コイル巻線B106をベース・ブロックB115内に延ばすことができるように、ベース・ブロックB105の対応する湾曲窪み部B123と位置合わせされる。
3.3.1f 振動板構造
この実例では、ヒンジ組立体は、組立体の両側に一対のフレキシブル・ヒンジ要素を含み、比較的実質的に厚い振動板構造を支持する。例えば、振動板本体は、回転軸から振動板本体の最遠位周辺部までの長さの15%より大きい最大厚さ、又はより好ましくは回転軸から振動板本体の最遠位周辺部までの長さの20%より大きい厚さを含むことができる。これに代えて又はそれに加えて、振動板本体は、例えばセクション2.2の実施例Aのために定義されているように、本体の最大寸法(例えば、本体を横切る対角線長さ)の約11%より大きい、又はより好ましくは最大寸法の約14%より大きい最大厚さを含むことができる。振動板撓み共振モードに適切に耐えるジオメトリを提供するために、比較的厚い振動板構造が必要とされる。振動板の純粋な並進に抵抗するのに有効なヒンジ組立体と組み合わせて使用すると、広帯域にわたって望ましくない共振モードに特に耐性のあるオーディオ・トランスデューサが得られる。この実例では、振動板本体の厚さB214は約4.2mmでもよく、これは例えば振動板本体の長さの28%であり得る。この厚さは、剛性が改善された構造を提供し、共振モードを作動範囲外に押し上げるのを助ける。振動板本体のジオメトリは、ほぼ平面である。振動板本体B118の冠状面は、振動板本体が回転すると大量の空気を移動させるように、回転軸B116から実質的に外側に延ばす。これは、回転慣性を大幅に低減し、効率と分割性能を向上させるためにテーパ状になっている。好ましくは、振動板本体は、振動板組立体の質量中心B222から離れる方にテーパ状になっている。
この実施例では、オーディオ・トランスデューサは、例えば、本発明の構成R1の振動板構造に関連して説明したような剛性振動板構造を含むことができる。構成R1の振動板構造の特徴及び態様は、本明細書のセクション2.2に詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。この振動板構造の簡単な説明のみを簡潔にするために以下に示す。この振動板構造は、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書のセクション2.2の構成R1~R4又はセクション2.3の構成R5~R7に記載されているような任意の振動板構造で置き換えてもよいことが理解されるであろう。
図B1a~fを参照すると、上述のヒンジ・システムB107を組み込んだオーディオ・トランスデューサは、サンドイッチ振動板構造を含む振動板構造を有する振動板組立体B101をさらに含む。この振動板構造は、動作中に本体の面又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗するために、振動板本体の主面B121の少なくとも1つに隣接して振動板本体に結合された実質的に軽量のコア/振動板本体B112と外側垂直応力補強材B110/B111とで構成される。垂直応力補強材B110/B111は、本体の外部で(図示の例のように)少なくとも1つの主面B121に結合され、又は本体の内部で少なくとも1つの主面B121に直接隣接して実質的に最も近くで、動作中に圧縮-引張応力に十分に抵抗する。垂直応力補強材は、動作中に本体が受ける圧縮-引張応力に抵抗するために、振動板本体B112の対向する主前面及び後面B121それぞれに設けられた補強部材B110/B111を含む。
振動板構造は、コア内に埋め込まれ、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し及び/又は実質的に緩和するために、主面B121の少なくとも1つに対してある角度で配向された少なくとも1つの内側補強部材B113をさらに含む。内側補強部材B113は、好ましくは、1つ又は複数の外側垂直応力補強部材B110/B111(好ましくは両側、すなわち各主面)に取り付けられる。内側補強部材は、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し及び/又は緩和するように作用する。好ましくは、振動板本体のコア内に分布させた複数の内側補強部材B113がある。
コアB112は、3次元で変化する相互接続された構造を含む材料から形成される。コア材料は、発泡体又は規則正しい3次元格子構造材料であることが好ましい。コア材料は、複合材料を含むことができる。好ましくは、コア材料は発泡ポリスチレン発泡体である。
いくつかの実施例では、この例示的なトランスデューサの振動板構造の内側応力補強材が排除されてもよい。
このヒンジ・タイプは、回転追従性及び/又は最大可動域を妥協することなく少なくとも一方向の並進変位に対して高度な支持を提供することができるので、この振動板構造は、上述のフレキシブル・ヒンジ組立体と組み合わせて特にうまく動作することによって、望ましくない共振を最小限に抑えるように最適化される。
この構成では、内部補強材は、内部せん断を最小限に抑えることによって振動板の分割共振に対応する。ヒンジ組立体は並進に対する抵抗力を提供し、それにより振動板全体の分割共振モードに対応するとともに、広い振動板可動域及び低い基本共振周波数を可能にする。
実施例Bのこの実例では、振動板構造は、低密度コアB112の5つのくさびの間に4つの角度のついた角度タブB114に沿って積層された4つの内側補強部材B113を含む。これらの部品は、例えばエポキシ接着剤のような接着剤を使用するなど、堅固な連結のための任意の適切な方法を使用して取り付けられる。垂直応力補強材は、振動板本体の主面B121に取り付けられた薄い平行支柱B111を含み、内側補強部材B113と整列し、上側支柱・プレートB305に連結する。2つの対角線支柱B110を含む付加的な垂直応力補強材は、振動板本体の同じ主面B121を横切るように平行支柱B111の上部全体にわたって交差構造で取り付けられ、また上側支柱・プレートB305に連結される。振動板本体の他方の主面B121には、支柱B110及びB111も、下側ベース・プレートB307に連結されることを除いて同様の方法で取り付けられている。支柱は、好ましくは、約900GPaのヤング率(マトリックスバインダーなし)を有する超高弾性率炭素繊維、例えばMitsubishi Dialedから製造される。これらの部品は、接着剤、例えばエポキシ接着剤を用いるなどの任意の適切な連結方法を使用して互いに取り付けられる。構成R1~R4の振動板構造に対して定義されるように、他の形態の内側及び外側補強材、コア材料及び取り付け方法が可能であることが理解されるであろう。
振動板構造は、以下のようにしてヒンジ組立体B107に結合される。(4つの角度タブB114の面を含む振動板本体の厚い端部における)振動板本体の端面は、ヒンジ組立体B107の振動板ベース・フレームの主ベース・プレートB303に堅固に結合される。薄い平行支柱B111を含む垂直応力補強材は、上側支柱・プレートB305に連結されている。2つの対角線支柱B110を含む追加の垂直応力補強材もまた、上側支柱・プレートB305に取り付けられる。他方の主面B121では、支柱B110及びB111がヒンジ組立体の下側ベース・プレートB307に取り付けられている。
厚く低密度の振動板本体コアB112の外側に連結された比較的高い弾性率/剛性支柱B110及びB111の使用は、再び前面対後面の支柱の間で達成される分離に関連する第2のモーメントの領域の利点を最大にする厚いジオメトリのために、振動板の剛性に関して有用な複合構造を提供する。
動作中、振動板本体B112は、回転/振動に伴って空気を移動させるので、はっきりと非多孔性であることが要求される。この実例では、振動板本体は、適度に高い特定の弾性率と16kg/mの低密度のためにEPS発泡体から形成される。振動板本体コア材料は、好ましくは、振動板の先端付近のような重要な場所に大きな閉塞を含まない。EPS材料の特性は、振動板分割の改善を促進するのに役立つ。剛性性能により、コアB112は、コアB112がなければFRO内の周波数で局部的な横方向の共振を被るほど薄い炭素繊維支柱B110及びB111に何らかの支持を提供することができる。積層された内側補強部材B113は、改善された振動板せん断剛性を提供する。各内側補強部材の面の向きは、好ましくは、振動板が移動する方向にほぼ平行であり、振動板本体B119の長手方向にもほぼ平行である。内側補強部材B113が振動板本体のせん断剛性を補助するために、各内側補強部材の両側に配置された平行炭素繊維支柱B111に対して適度に堅固な連結が行われることが必要である。また、振動板のベース端部において、内側補強部材B113から主ベース・プレートB303への連結は堅固であることが好ましく、この堅固さを補助するために、角度タブB114が使用される。各タブB114は、各内側補強部材B113に連結するための大きな接着表面領域を有し、せん断力はタブのコーナーの周りに伝達され、他方の側は主ベース・プレートB303に連結されている他の大きな接着表面領域である。
この実施例では、ヒンジ・システム構成は、振動板組立体の中立位置/状態において、振動板構造がトランスデューサ・ベース構造の長手方向軸に対してある角度で延びるように配向されるようになっている。この角度は、好ましくは鈍角であるが、実質的に直交していても鋭角であってもよい。振動板本体とトランスデューサ・ベース構造との間の相対的な向きは、より小型のデバイスを提供するために、オーディオ・トランスデューサの全体的なサイズに影響を及ぼす。この特定の実例では、オーディオ・トランスデューサは、比較的小さい寸法であってもよい。例えば、(回転軸から測定される)振動板本体幅B215及び振動板本体長さB213は、両方とも約15mmであってもよい。しかしながら、用途及び必要とされるFROに応じて多くの他のサイズも可能であり、本発明はこれらの寸法に限定することを意図していない。
3.3.1g 振動板構造ハウジング
図B4(a~f)は、振動板ハウジングにマウントされ図B-1(a~f)に示されている「実施例B」のオーディオ・トランスデューサを示し、周囲部B401、主グリルB402及び2つの側部補強材B403を含む。オーディオ・トランスデューサの組み立てられた形態では、振動板ハウジングは、振動板構造B101及びトランスデューサ・ベース構造を実質的に包囲している。周囲部は、ポリカーボネート・プラスチックなどのプラスチック材料で作ることができ、主グリル及び側部補強材は、打ち抜きプレス・アルミニウムで作ることができる。代替的に、これらの部品は、レーザ切断又は焼結のような別のプロセスによって作製することができ、より剛性の主グリル及び側部補強材を周囲部内にインサート成形することができる。代替的に、これらの部品の全てを、アルミニウムのような材料でできた単一の一体部品に組み合わせて、焼結することができる。他の材料、構成及びプロセスも可能であり、本発明はこれらの実例に限定することを意図していない。
周囲部B401の内面は、任意の適切な方法を使用してトランスデューサ・ベース構造のベース・ブロックB105の対応する外面に堅固に結合される。この実例では、エポキシ接着剤などの接着剤を使用して、周囲部B401をベース・ブロックB105に結合する。周囲部の内面はまた、好ましくは、外側ポールピースB103及び磁石B102の外面に堅固に結合される。周囲部は、組み立てられた状態において、振動板構造の側部と周囲部B401との間に約0.01mm~1mmの、例えば0.3mm(しかしながらこの間隙の大きさは用途に依存することが理解されるであろう)の(オーディオ・トランスデューサ組立体全体の全体サイズと比較して)比較的小さい空気間隙B406が存在するように、また、振動板の先端と周囲部B401との間に比較的小さい空気間隙B405(例えば、側部に隣接するものと同様のサイズの間隙)が存在するように、トランスデューサ・ベース構造及び振動板構造に対して整形され、サイズを設定される。
断面図B4eは、周囲B401が、振動板本体の先端に(小さな空気間隙B405を有して)隣接して位置するように構成された端部に曲面を有することを示す。この湾曲の半径の中心は、振動板が回転するにつれて実質的に均一な空気間隙B405が周囲部と振動板本体の自由端部/先端との間に維持されるように、オーディオ・トランスデューサの回転軸B116にほぼ位置する。空気間隙B406及びB405は、通常運転中に存在する圧力差によって大量の空気が通過するのを防止するように小さい。
周囲部B401は、障壁やバッフルとして機能する壁を有し、背面からの逆位相放射による振動板の前面からの放射の打ち消しを低減する。用途に応じて、前方及び後方の音の放射の打ち消しをさらに低減するために、トランスデューサ・ハウジング(又は他のバッフル構成要素)も望ましい場合があることに留意されたい。
主グリルB402及び2つの側部補強材B403は、エポキシ接着剤を介するなどの任意の適切な方法を使用して周囲B401に堅固に取り付けられ、又は代替で周囲部と一体的に形成される。主グリル及び2つの側部補強材もトランスデューサ・ベース構造に堅固に取り付けられる。これらの振動板ハウジング構成要素は全てトランスデューサ・ベース構造に堅固に取り付けられるので、ベース構造組立体である結合された構造は、有害な共振モードがFROを超えて発生し得るように十分に剛性である。これを達成するためには、結合された構造の全体的なジオメトリは、好ましくは短く、スクワット状である。また、振動板の周りに延びる振動板ハウジングの領域は、周囲部B401のプラスチック構成要素を支持する硬いケージを形成する主グリルB402及び側部補強材B403に組み込まれた三角形のアルミニウム・支柱の使用によって補強される。
上述したように、トランスデューサ・ベース構造は、前方から後方に移動する空気を効果的にシールするために、振動板の周囲に狭い間隙B405及びB406を有する振動板ハウジングに堅固にマウントされている。振動板ハウジングは、振動板ハウジングを十分に剛性にするために、好ましくは少なくとも1つがアルミニウム又はマグネシウムなどの金属が有するような高い特定の弾性率を有する1つ又は複数の構造材料で作られる。好ましくは、この材料は、少なくとも8MPa/(kG/m)、又はより好ましくは少なくとも20MPa/(kG/m)の特定の弾性率を有する。好ましくは、上記のオーディオ・トランスデューサに堅固にマウントされたときに、振動板ハウジング共振モード及び振動板ハウジング/オーディオ・トランスデューサ・システム共振の両方が高周波数で、好ましくはFROを超える周波数で発生し、上記の堅固なマウンティングを介して、次いで上記の剛性ヒンジ組立体を介して軽量の振動板に伝達され、次いで振動板の軽さによって機械的に増幅されたあらゆる共振によって引き起こされるオーディオ劣化は、はっきりとは聞こえなくなることである。
この実施例では、振動板構造は、この実例の振動板ハウジング/トランスデューサ・ベース構造である周囲構造の内部と少なくとも部分的に物理的に連結しない周辺部を含む。振動板構造に関連して物理的に連結しない周辺部は、本明細書のセクション2.3に詳細に記載されている。この実例では、振動板構造のほぼ全周は、ハウジングと物理的に連結せず、間隙によって示されるようにハウジングの内壁から離間している。しかし、いくつかの変形例では、振動板構造の周辺部は、ハウジングと部分的にのみ物理的に連結しないが、依然としてはっきりとは物理的に連結しないこともある。例えば、振動板構造の1つ又は複数の周辺領域は、ハウジングの内部と物理的に連結しなくてもよく、また、全体的に、1つ又は複数の周辺領域は、周辺部のための振動板構造の長さ又は周辺の少なくともほぼ20%を、はっきりとは物理的に連結しないように構成する。好ましくは、ハウジングの内部と物理的に連結しない1つ又は複数の周辺領域は、外周部の少なくともほぼ30%を構成する。より好ましくは、振動板構造の外周部は、例えば、外周部の長さ又は外周の少なくとも50パーセントに沿って、又は最も好ましくは外周部の長さ又は外周の少なくとも80パーセントに沿って、実質的に物理的に連結しない。
他の構成では、実施例Bのオーディオ・トランスデューサは、振動板ハウジングを含んでおらず、オーディオ・トランスデューサは、例えば、実施例A又はセクション4.2に記載されている実施例Eに関して説明したハウジング及びデカップリング・マウンティング・システム又は本明細書のセクション4.3に概説された原理に従って設計された任意のデカップリング・マウンティング・システムと同様に、デカップリング・マウンティング・システムを介してトランスデューサ・ハウジングに収容される。
3.3.2 代替ヒンジ・システム
実施例Bのオーディオ・トランスデューサのヒンジ組立体B107について説明した原理に従って設計された撓みヒンジ・システムで使用することができるヒンジ組立体の変形例を、図C1~C11を参照して説明する。特に明記しない限り、ヒンジ組立体B107の特徴は以下の変形例にも当てはまり、ほとんどの場合、相違点のみを簡潔に説明する。例えば、これらの変形の大部分は、これが好ましいにもかかわらず、振動板に取り付けられた変換機構力発生構成要素を示さない。
3.3.2a 曲げヒンジ接続部
図C1(a~e)は、本発明のヒンジ組立体C102に連結された振動板構造C101を有する、例えば実施例Bに記載されたようなオーディオ・トランスデューサの概略図を示す。このヒンジ組立体C102は、一方の側が振動板構造C101に連結し、他方の側が2つのフレキシブル・ヒンジ要素C105a及びC105bを含むヒンジ接続部C105に連結する振動板ベース・フレームC103を含む。振動板ベース・フレームC103は、実施例Bに関連して上述したヒンジ組立体B107の振動板ベース・フレームと同じであってもよいし同様であってもよい。代替的に、振動板ベース・フレームは、例えば実施例A、D、E、K、S、T、W及びXのオーディオ・トランスデューサに関連して記載された任意の振動板ベース・フレームと同じであってもよいし同様であってもよい。
図C1eに示すように、ヒンジ組立体のプロファイルは、実施例Bのオーディオ・トランスデューサに関連して説明したヒンジ組立体B107のものと同様であるが、組立体の両側に1つずつ配置した2つのヒンジ構造を有するのではなく、このヒンジ組立体の変形例C102は、組立体の長さのかなりの部分にわたって延ばし、関連する振動板構造C101の幅のかなりの部分にわたってまたがるように構成された単一の長手方向ヒンジ組立構造を含む。この設計は、回転軸の両端部における拘束を提供し、所望の単一自由度の結果を達成する。互いに傾斜した単一の一対のフレキシブル・ヒンジ要素C105a及びC105bは、その場で振動板構造の幅にわたって延ばす。この変形例の好ましい実装において、一対のフレキシブル・ヒンジ要素C105a及びC105bは、互いに実質的に垂直に/直交するように配向され、振動板側の振動板ベース・フレームC103に隣接する接合部C107に堅固に結合される。上記のヒンジ組立体B107について説明したように、他の相対角度も可能であることが理解されるであろう。ヒンジ要素C105a及びC105bは、それらのそれぞれの平面内の張力/圧縮力に抵抗することができるが、それらのそれぞれの平面に垂直な力に応じて撓み/変形することができるように、実質的に平面であり薄い。各ヒンジ要素C105a、C105bの対向する端部は、単一の連結ブロックC104をトランスデューサ・ベース構造側に堅固に結合する。連結ベース・ブロックC104は、振動板構造の幅のかなりの部分にわたって延びるように構成された単一の長手方向ブロックである点を除いて、ヒンジ組立体B107に関して説明したベース・ブロックB205及びB206と同様である。組み立てられた形態で、動作中、振動板は、ほぼ回転軸C107の周りを回転するように構成される。C109は振動板本体の冠状面を示し、C108は振動板本体の矢状面を示す。
ヒンジ組立体C102は、例えばチタンのワイヤ放電加工(WEDM)を使用することを含む、上記のセクション3.3.1bに記載されるような任意の適切な材料及び方法から製造され得る。
図C2(a~d)は、本発明のヒンジ組立体の他の変形例を示す。図は、ヒンジ組立体に堅固に結合された振動板組立体C201の概略図を示す。ヒンジ組立体は、ヒンジ組立体B107について説明した振動板ベース・フレームと同じ又は同様の振動板ベース・フレームC202を含む。特に、振動板ベース・フレームは、振動板構造及び好ましくは上述のような関連するコイル巻線も含む振動板組立体を堅固に結合するように構成される。振動板ベース・フレームは、アルミニウムのような組立体B107に関して既に説明したような任意の適切な材料で作ることができる。本明細書では、各ヒンジ接続部を振動板構造に結合するための構成要素を表すために、例示目的で振動板ベース・フレームが示されていることが理解されるであろう。代わりに、他の構成要素を使用してもよく、及び/又はヒンジ接続部を振動板構造に直接結合してもよいことが理解されるであろう。
ヒンジ組立体はさらに、ヒンジ組立体の振動板ベース・フレーム端部に連結された単一の対のフレキシブル・ヒンジ部材C204及びC205を含む。ヒンジ部材の対向する端部は、トランスデューサ・ベース構造を結合する(及びその一部を形成する)ように構成された連結ブロックC203に堅固に結合される。各ヒンジ部材C204及びC205は、互いに対して傾斜した一対のフレキシブル・ヒンジ要素C204a、b及びC205a、bをそれぞれ有する。ヒンジ要素の各対は、ヒンジ接続部を形成する。この実例では、組立体の両側に2つのヒンジ接続部が設けられ、接続部の対応する要素が同じ部材/シート材料によって形成されている。各ヒンジ部材C204、C205は、その場で振動板構造の幅のかなりの部分をわたって延びるように構成される。この変形例の好ましい実施例では、一対のフレキシブル・ヒンジ部材と、各接続部の一対のフレキシブル・ヒンジ要素は、互いに実質的に垂直に/直交するように配向されている。上記のヒンジ組立体B107について説明したように、他の相対角度も可能であることが理解されるであろう。ヒンジ要素は、それらのそれぞれの平面内の張力/圧縮力に抵抗することができるが、それらのそれぞれの平面に垂直な力に応じて撓み/変形することができるように、実質的に平面であり薄い。その場で、ヒンジ要素は、好ましくは、意図された回転軸に実質的に平行な軸の周りで実質的にフレキシブルであるだけである。連結ブロックC203は、フレキシブル・ヒンジ要素の端部を結合するための傾斜面を有するくさび形である。ブロックC203は、アルミニウムなどのヒンジ組立体B107について説明したような任意の適切な材料から形成することができる。
各フレキシブル・ヒンジ部材C204、C205は、部材の幅のかなりの部分にわたって中央で延びる中央窪み部を備え、それにより、狭い幅(第1のヒンジ部材のC204a/C205a及び第2のヒンジ部材のC204b/C205b)の2つのフレキシブル・ヒンジ要素を形成する。したがって、この実例では、ヒンジ要素は共通部材の部分であり、全体として、それらは、振動板組立体C201の両側に配置された二対のフレキシブル・ヒンジ接続部を形成する。いくつかの実施例では、これらのヒンジ要素は別個であってもよく、中央ブリッジによって連結されなくてもよい。このヒンジ組立体では、振動板組立体C201は、ほぼ回転軸C212の周りを回転するように構成される。C211は振動板本体の冠状面を示し、C210は振動板本体の矢状面を示す。
二対のフレキシブル・ヒンジ要素C204a/C204b及びC205a/C205bによって形成される2つのヒンジ接続部は、実施例Bのオーディオ・トランスデューサのヒンジ組立体B107について説明した2つのヒンジ接続部B201及びB203と同様である。この実例では、フレキシブル・ヒンジ部材、ベース・フレームC202及び連結ブロックC203は一体的に形成することができるが、好ましくは、ヒンジ組立体のこれらの部分は別個であり、任意の適切な剛性固定機構を介して互いに連結される。例えば、ヒンジ組立体を形成するために、フレキシブル・ヒンジ要素C204a、C204b、C205a及びC205bは、チタンなどの材料の単一シートからスタンピング又はレーザ切断し、次にシートを90度などの所望の相対角度だけ折り曲げることによって製造することができる。折り曲げ部のコーナーは、次に、接着剤などの任意の適切な固定方法、例えばエポキシ接着剤を使用して、振動板ベース・フレームC202に取り付けることができる。この折り曲げ部は、振動板ベース・フレームC202のかなりの部分又は全幅にわたって延びているので、固定(例えば、接着)表面積が改善される。ヒンジ要素の対向する端部は、ヒンジ組立体B107について説明した任意の適切な固定方法、例えば適切な接着剤を介して、連結ブロックC203のそれぞれの縁部に連結される。連結ブロックC203は、ヒンジ要素との連結表面積を増大させるために、傾斜表面の両端部に平坦又は実質的に平面の縁部領域を含む。フレキシブル・ヒンジ要素の反対側の端部(トランスデューサ・ベース構造側)も、オーディオ・トランスデューサのかなりの部分又は全幅にまたがり、改善された連結(例えば、接着)表面積を提供する。
フレキシブル・ヒンジ要素の厚さは、(平らなシートから切断された)その長さ及び幅に沿って実質的に均一及び/又は一貫しているので、全ての連結接続部に応力集中部が存在し、連結の失敗、撓み破断又は割れクリーキングの恐れがある。これを防止するために、各フレキシブル・ヒンジ要素C204a、C204b、C205a、C205bの幅は、連結ブロックC203及び振動板ベース・フレームC202との連結接続部に隣接する位置で増加させる。言い換えれば、フレキシブル・ヒンジ要素C204a、C204b、C205a、C205bのそれぞれの端部は、より強い連結を実現するようにフランジ加工されている。フランジ領域/小さな半径は、振動板が回転するにつれてフレキシブル・ヒンジ要素内の応力が狭い中央領域の応力と比較して振動板ベース・フレームC202及び連結ブロックC203の両方への連結の領域内で減少するように、連結の各領域の近くで各フレキシブル・ヒンジ要素を徐々に広げるために使用される。例えば、フレキシブル・ヒンジ要素C205aは、連結ブロックC203に連結する領域C209で2つの半径を使用することによって徐々に広がる(すなわち、フランジを含む)。フレキシブル・ヒンジ部分C205aはまた、振動板ベース・フレームC202に連結する領域C208で2つの半径を使用することによって徐々に広がる(すなわち、フランジを含む)。他の3つのフレキシブル・ヒンジ要素C204a、C204b及びC205bもまた、連結領域に同様のフランジを含む。
図C3は、図C2に関連して上述したものと同様のさらに他の代替のヒンジ組立体を示す。この変形例では、ヒンジ接続部C301は、振動板組立体C201がその静止/中立位置にあるときに自然に曲がった状態にある2つのフレキシブル・ヒンジ要素C301a及びC301bを含む。振動板C201が時計回りに回転し始めると、フレキシブル・ヒンジ要素C301aが真っ直ぐになり始め、フレキシブル・ヒンジ要素C301bがより曲がる。同様に、振動板C201が中立位置から反時計回りに回転し始めると、フレキシブル・ヒンジ要素C301bが真っ直ぐになり始め、フレキシブル・ヒンジ要素C301aがより曲がる。フレキシブル・ヒンジ要素は、曲げ/座屈を伴わない引張及び圧縮力の抵抗を助長し、その結果全ての並進モードを含む分割モード及び主振動板回転モード以外の回転モードの周波数を増加させるので、中立状態でほんの僅かに曲がっていることが好ましい。この変形例の連結ブロックC303は、フレキシブル・ヒンジ要素の傾斜端部に連結するための傾斜縁部を含む。振動板組立体C201は、このヒンジ組立体を介してほぼ回転軸C304の周りを回転するように構成され、同様のベース・フレームC202を介してヒンジ組立体に連結される。わずかに曲がったフレキシブル・ヒンジ要素を有するこのヒンジ組立体は、真っすぐなフレキシブル・ヒンジ要素を有しそれ以外は全て等しいヒンジ組立体ほど好ましいものではない。
図C4は、本発明のフレキシブル・ヒンジ組立体のさらに他の変形例を示す。この実例では、ヒンジ接続部C401は、振動板ベース・フレームC405から連結ブロックC404に向かって延びる3つのフレキシブル・ヒンジ要素C401a~cを含む。フレキシブル・ヒンジ要素C401a、C401b及びC401cは、組み合わされた効果によってヒンジ組立体が3つの直交軸に沿った並進運動、及び、(回転軸を除く)2つの直交軸の周りの回転運動に抵抗するように、実質的に平面であり相互に傾斜している。各ヒンジ要素は、単一の長手方向構成要素であってもよく、又は、組立体の両側に少なくとも1つの部分を有する複数の長手方向に離間した(連結された又は切断された)部分を含んでもよい。フレキシブル・ヒンジ要素は、半径方向に実質的に均一に、又は場合によっては不均一に変位することができる。振動板ベース・フレームと連結ブロックとの間を連結する、互いに角度を付けられた2つ以上のフレキシブル・ヒンジ要素が任意の数であってもよい。連結ブロックC404は、フレキシブル・ヒンジ要素C401a~cの端部に連結するための鋭い窪み面を含む。振動板ベース・フレームは、各要素C401a~cの対応する端部に連結するための連結フランジを含む。連結ブロック及び/又は振動板ベース・フレームは、フレキシブル・ヒンジ要素の対応する端部を収容するための窪み部又は溝を含むことができる。任意の適切な連結機構を使用して、はんだ付け又はエポキシ接着剤などの接着剤を介してヒンジ要素を振動板ベース・フレーム及び/又は連結ブロックに連結することができる。この組立体では、振動板組立体C201は、振動板ベース・フレームにおけるヒンジ要素の端部に隣接する、ほぼ回転軸C406の周りを回転するように構成される。
図C5(a~e)は、上述したヒンジ組立体B107の原理にしたがって設計されたフレキシブル・ヒンジ組立体のさらに他の変形例の概略図を示す。このヒンジ組立体は、互いに対して傾斜し、その長さの中間で交差して(以下、「X撓み」ヒンジ接続部として参照する)「X」構成を形成する平面を有する少なくとも一対の実質的に平面のヒンジ要素/プレートC505a及びC505bを含む。ヒンジ要素の各対は、互いに直交することが好ましいが、他の相対角度も可能である。この実例の好ましい構成では、(組立体B107のヒンジ接続部の構成と同様に)振動板本体の両側に位置するようにヒンジ組立体の各側に1つずつ、二対のX撓みヒンジ接続部がある。代替的に、単一の長手方向のX撓みヒンジ接続部を使用してもよいことが理解されるであろう。
振動板組立体C501は、上述した任意の適切な連結機構を介してコイル巻線C502に取り付けられた振動板ベース・フレームC504に堅固に結合されている。フレキシブル・ヒンジ要素C505a、C505b、C601a及びC601bは、上述した任意の適切な方法を介して、振動板ベース・フレームC504に堅固に連結された一方の端部/縁部と、連結ブロックC503に堅固に連結された対向端部とを有する。フレキシブル・ヒンジ要素の第1の対C505a及びC505aは、ヒンジ組立体の一方の側で第1のX撓み構造、ヒンジ接続部C505を形成し、フレキシブル・ヒンジ要素の第2の対C601a及びC601bは、反対側で第2のX撓み構造、ヒンジ接続部C601を形成する。このヒンジ組立体の回転軸C507は、フレキシブル・ヒンジ要素の各対の平面の交線にほぼ位置する。C508は振動板本体の冠状面を示し、C509は振動板本体の矢状面を示す。
この実例では、振動板ベース・フレームは、各X撓み構造の実質的に分離された端部を収容するための代替形態を含む。同様に、連結ブロックC503は、X撓み構造を収容するための代替形態を含む。
図C6(a~d)は、図C5に関して上述したヒンジ組立体を示しているが、明確にするために連結ブロックC503は取り除いている。示されているように、各X撓み構造は、互いに隣接し、接触しているが重なり合っていない一対のヒンジ要素を含む。この実例の代替の構成では、ヒンジ要素は重なり合っていてもよく、又はわずかに離れていてもよい。ベース・フレームC504は、コイル巻線C502の上下の長手方向の内面に連結するための上下の側プレートと、振動板構造の対応する端面に連結するための上下の側プレートの間を連結する端部プレートとを備えている。各フレキシブル・ヒンジ要素は、振動板構造の端面の上縁部又は下縁部に隣接して連結するように構成される。
図C7(a~e)は、ヒンジ組立体B107について説明した原理に従って設計されたヒンジ組立体のさらに他の変形例を示す。この実例では、組立体は、少なくとも1つのヒンジ接続部C702を含み、これにより互いに対して傾斜しているが両縁部で実質的に離間している一対のフレキシブル・ヒンジ要素C702a及びC702bを含む。言い換えれば、各対のヒンジ要素は、ベース・フレームC706の端部と連結ブロックC701の端部に間隔を置いて配置されている。この実例の好ましい構成では、2つのヒンジ接続部C702及びC703が存在し、振動板本体C710の矢状面の各側に位置するように構成され、各対は、冠状面C709の各側に1つのフレキシブル・ヒンジ要素を有し、振動板組立体C501を吊り下げる。振動板ベース・フレームは、ヒンジ要素のそれぞれの端部が連結する傾斜した外側リムをベース・フレームがさらに含むことを除いて、図C5及びC6に示すヒンジ組立体について説明したものと同様である。この実例のフレキシブル・ヒンジ要素C702a、C702b、C703a、及びC703bは、振動板ベース・フレームの長手方向リム縁部の1つに堅固に連結されている。各フレキシブル・ヒンジ要素対について、一方のヒンジ要素は、その端部が振動板ベース・フレームC502の長手方向縁部の一方に連結され、他方のヒンジ要素は、対応する端部が振動板ベース・フレームC502の他方の対向する長手方向縁部に連結される。フレキシブル・ヒンジ要素の他方の端部は、トランスデューサ・ベース構造を結合するように構成された連結ブロックC701に連結される。連結ブロックC701に対するこのヒンジ組立体を有する振動板組立体の回転軸C707は、フレキシブル・ヒンジ要素の各対の平面のほぼ交点に位置する。フレキシブル・ヒンジ要素の各対の平面間の角度C708は直交していてもよく、そうでなければ他の角度でも十分である。この実例では、角度C708は約60度である。90度の角度は、最低の望ましくない並進及び回転分割モードの周波数を上げるという点でより良好に働くことがあるが、特定の用途では、少なくとも60度の角度も適切に機能する。
図C8(a~d)は、図C5及び図C6に関連して上述したものと同様のヒンジ組立体のさらに他の変形例を示す(連結ブロックは示されていない)。この実例では、各X撓み構造、例えばヒンジ接続部C801は、その幅のかなりの部分又は全体に沿って交差する一対の重なり合うヒンジ要素C801a及びC801bを含む。この実例では、2つのX撓み構造ヒンジ接続部C801及びC802は、振動板組立体の両側に配置されているが、単一のX撓みヒンジ接続部が振動板組立体の幅に実質的に沿って延び得ることは理解されるであろう。フレキシブル・ヒンジ要素C801a及びC801bは、互いに対して直交していてもよい。このヒンジ組立体の場合、振動板は、各ヒンジ接続部のヒンジ要素の交点に配置された近似回転軸C803の周りを回転するように構成される。C804は振動板本体の冠状面を示し、C805は振動板本体の矢状面を示す。
図C9(a~b)は、図C8に示す組立体について説明したX撓み構造、ヒンジ接続部C801の実例を示す。ヒンジ要素C801a/C801bは、幅全体にわたって一貫した断面を含むことができ、例えば、例えばチタンのワイヤ放電加工(WEDM)を使用して製造することができる。しかしながら、上述のように、他の製造方法及び形態も想定される。一方の平面上のフレキシブル・ヒンジ要素C801aは、第1の平面にほぼ垂直な他の平面のフレキシブル・ヒンジ要素C801bを通過し、これらは交点C903で連結される。先に説明したように、ヒンジ要素の厚さは交点C903で増加し、応力集中部による性能低下を緩和するのを助ける。
3.3.2b ねじれヒンジ接続部
図C10(a~e)は、ヒンジ組立体B107の原理に従って設計されたヒンジ組立体のさらに他の変形例の概略図を示す。ヒンジ組立体は、少なくとも1つの長手方向の実質的に弾性のあるねじれ部材を含み、これは、例えばトーション・ビームの形態であってもよく、互いに角度をつけられそれらの交点で連結された一対のフレキシブルで弾性のある長手方向ヒンジ要素を有していてもよい。
この実例の好ましい構成では、2つのヒンジ接続部C1005及びC1006を形成するために、振動板組立体C1001の両側にねじれ部材が配置されている。各ねじれ部材は、ねじれにおいて弾性があるが、圧縮、引張及びせん断の力に対して実質的に剛性/堅固である。第1のねじれヒンジ接続部C1005は、一対のヒンジ要素C1005a及びC1005bを含み、第2のねじれヒンジ接続部C1006は、一対のヒンジ要素C1006a及びC1006bを含む。二対のヒンジ要素は、(2つの別個のねじれ部材を形成するために)別個であってもよく、振動板組立体の両側で連結されてもよく、代替で、この二対は、振動板の幅全体にわたって延び、振動板の両側を実質的に越える単一のねじれ部材を形成するために連結又は一体化されてもよい。この実例では、ヒンジ要素は、各接続部内の単一のねじれ部材の部分である。各ねじれヒンジ接続部のヒンジ要素は、好ましくは、互いに直交して角度付けされているが、他の角度も想定される。ヒンジ要素C1005a/C1005b及びC1006a/C1006bの各対は、意図された回転軸に実質的に平行な方向に振動板のそれぞれの側を実質的に越えて突出する/飛び出す。各ねじれ部材は、実質的にL字形の断面を含む。組み立てられた状態では、L字形部材の内面は振動板組立体の方を向いている。このようにして、各対の一方のヒンジ要素は、振動板を一方の面に隣接して又は一方の面に対して支持し、各対の他方のヒンジ要素は振動板の隣接面を支持する。各ねじれ部材の一端部は、振動板組立体C1001の端面に堅固に連結されている。このような連結は、他の実例で上述したように、直接的であっても振動板ベース・フレームC1002を介していてもよい。振動板組立体から遠位の各ねじれ部材C1006及びC1005の終端は、それぞれ連結ブロックC1004及びC1003によって支持される。各連結ブロックC1003、C1004は、その場でトランスデューサ・ベース構造に堅固に連結され、及び/又はトランスデューサ・ベース構造の一部を形成する。
各ねじれ部材は、ビームのそれぞれのヒンジ要素の平面内の引張、圧縮及びせん断の力に抵抗することができる実質的に剛性の材料及び/又はジオメトリから形成される。例えば、ねじれ部材は、チタンのようなかなり高い弾性率の材料から作られる。振動板ベース・フレームC1002及び連結ブロックC1003、C1004は、好ましくは、高い特定の弾性率を有する実質的に剛性の材料から形成される。例えば、振動板ベース・フレーム及び連結ブロックは、チタンから形成されてもよいが、これらの構成要素の剛性を高めるために、ねじれ部材に対してより厚く形成される。ねじれ部材は、任意の適切な連結方法によって振動板ベース・フレームC1002に堅固に連結され、例えば、エポキシ樹脂のような適切な接着剤を用いて接着されてもよいし又は溶接されてもよい。ねじれ部材はまた、任意の適切な方法によって連結ブロックC1003、C1004に堅固に連結され、例えば、エポキシ樹脂のような適切な薬剤を使用して接着されてもよいし又は溶接されてもよい。振動板ベース・フレームC1002は、例えば接着剤又は溶接のような任意の適切な連結方法によって振動板組立体C1001に堅固に連結される。また、連結ブロックC1003、C1004は、接着剤又は溶接などの任意の適切な連結方法を介してオーディオ・トランスデューサのトランスデューサ・ベース構造に堅固に連結される。代替の実施例では、上述の構成要素のための他の連結方法を使用してもよく、又は構成要素をいくつかの構成で一体的に形成してもよいことが理解されるであろう。2つのねじれヒンジ接続部C1005及びC1006は、ほぼ回転軸C1009の周りを回転する比較的高い追従性と、他の全ての回転方向及び並進方向における比較的低い追従性を提供し、これは、関連する分割周波数をFROの範囲外に押し出すのに役立つ。C1010は振動板本体の冠状面を示し、C1011は振動板本体の矢状面を示す。
図C11(a~f)は、図C10に関連して説明したヒンジ組立体のねじれ部材の断面形状/形態の変形を示す。これらの図に示される各ねじれ部材の設計は、ほぼ回転軸C1101の周りの回転に対する比較的高い追従性と、他の全ての回転方向及び並進方向における比較的低い追従性/高い剛性とを達成する。換言すれば、各部材は実質的にねじれに対して弾性でありフレキシブルであるが、張力、圧縮力及びせん断力に対して実質的に剛性/堅固である。図C11aは、ビームの2つのヒンジ要素C1102a~bが互いに対して傾斜し、それらの隣接端部で分離している/接触していないねじれヒンジ接続部C1102を示す。一方のヒンジ要素は、振動板組立体の一方の面に結合されてよく、他方のヒンジ要素は、隣接する面に結合されてもよい。組み合わせで、ねじれヒンジ接続部を形成する。図C11bは、互いに対して傾斜した2つのフレキシブル・ヒンジ要素又は部分C1103a~bを有する実質的に弓形/湾曲した長手方向の本体を含むねじれヒンジ接続部C1103を示す。各ヒンジ要素は、この実施例では同じ部材の部分である。本体の1つの縁部に隣接する第1のフレキシブル・ヒンジ要素C1103aは、振動板組立体の第1の面を結合するように構成することができ、対向する縁部に隣接するセクション・フレキシブル・ヒンジ部分C1103bは、振動板組立体の第1の面に隣接する第2の面を結合するように構成することができる。図C11cは、互いに対して鋭角をなす2つのフレキシブル・ヒンジ要素C1104a~bを含むねじれヒンジ接続部C1104を示す。C11dは、回転軸C1101を形成する共通軸において交差し、一様に半径方向に離間する3つのフレキシブル・ヒンジ要素C1105a~cを含むねじれヒンジ接続部C1105を示す。図C11eは、中央部分の反対側の2つの他のフレキシブル・ヒンジ部分C1106a及びC1106cに対して傾斜している中央フレキシブル・ヒンジ部分C1106bを有するU字形又は蹄鉄形ねじれヒンジ接続部C1106を示している。図C11fは、本体が互いに対して傾斜した複数のヒンジ要素部分C1107a~dを含むように、実質的に円筒形であるが本体の長さに沿って窪み部を有するねじれヒンジ接続部C1107を示す。この実例では、互いに対して傾斜する単一の部材の複数の均一に間隔を置いて配置されたフレキシブル・ヒンジ部分がねじれヒンジ接続部を形成している。
図C1~C10及びC11c及びC11dの実例では、一対のヒンジ要素間の向きの変化は急である又は鋭い。一方、図C11b、C11e及びC11fの実例では、ヒンジ要素間の向きの変化は緩やか又は滑らかである。
図C10及びC11の実例では、ヒンジ要素は、ねじれ部材の壁又は複数の壁を形成する。いくつかの構成では、壁は実質的に平面であり、他の場合には壁は湾曲しているか又は実質的に弓状である。例えば、図C10a~e、C11a、C11c及びC11dは実質的に平坦な壁を有するねじれ部材を示し、図C11b、C11e及びC11fは実質的に湾曲した壁を有するねじれ部材を示す。
実施例C11e及びC11fの場合に見られるように、フレキシブル要素が実質的にねじれて動作する場合、回転軸C1101は、要素が占める平面の交点に必ずしも位置しなくてもよいことに留意されたい。有限要素解析は、回転軸の位置を決定し得る方法の1つである。
図C12は、図C10に関連して説明したのと同様のヒンジ組立体のさらに他の変形例を示す。このヒンジ組立体では、各ねじれヒンジ接続部C1201及びC1207は、各長手方向のフレキシブル・ヒンジ要素が、要素の長さに沿って変化する断面厚さを含むことを除いて、図C10に関して説明したものと同様である。特に、各フレキシブル・ヒンジ要素C1201a、C1201b、C1207a及びC1207bは、振動板ベース・フレームC1002及び/又は連結ブロックC1003、C1004を結合するように構成された要素の部分における厚さが増加した領域を含む。各ヒンジ要素のより厚い部分と薄い部分との間の接合部では、(例えば、位置C1203~C1206において)変化が緩やかになるように、厚さの変化がテーパ状になり(例えば、これらの領域に半径が存在する)、これにより、応力集中部による性能低下を緩和する。代替的な実施例では、厚さの変化が段階的であってもよいことが理解されるであろう。例えば、フレキシブル・ヒンジ要素C1201aは、振動板ベース・フレームC1002の近くで厚さが徐々に増加する領域C1205で小さな半径/テーパを有し、連結ブロックC1004の近くで厚さが徐々に増加する領域C1203で小さな半径/テーパを有する。同様に、撓みヒンジ要素C1201bは、振動板ベース・フレームC1002の近くで厚さが徐々に増加する領域C1206において小さな半径/テーパを有し、連結ブロックC1004の近くで厚さが徐々に増加する領域C1204において小さな半径/テーパを有する。厚い部分は、図C10のオーディオ・トランスデューサの同様の領域と比較して、通常動作中に応力が少なくなるので、これらの部分は、振動板ベース・フレームC1002又は連結ブロックC1003及びC1004に溶接されえるのではなく、接着されてもよい。代わりに、エポキシ接着剤を使用して、接着不良、クラック形成、及び動作中の部分的なクリーキング又は破壊が生じるリスクを制限することができる。しかしながら、溶接のような代替の連結方法を使用してもよいことが理解されるであろう。
図C13は、各フレキシブル・ヒンジ要素が(要素の突出部分に)断面幅が縮小された中間領域を含むことを除いて、図C10について説明した組立体と同様のヒンジ組立体のさらに他の変形例を示している。言い換えれば、各ヒンジ要素は、要素が振動板ベース・フレームC1002及び連結ブロックC1003、C1004に連結する領域において増加する断面幅を含む。これは、フレキシブル・ヒンジ要素C1301a、C1301b、C1307a、及びC1307bが、より幅の広い端部部分の間に延びる中間部分で狭くなることを意味する。好ましくは、中間の狭い部分は、各要素の長さのかなりの部分を含む。各ヒンジ要素のより幅の広い部分と狭い部分との間の接合部では、(例えば、領域C1303、C1304、C1305及びC1306において)幅の変化はテーパ状であり、これは断面が幅の広い領域から狭い領域へと徐々に変化し、逆もまた同様であることを意味し、応力集中部による性能低下を緩和する。幅が広い部分は、図C10のオーディオ・トランスデューサの同様の領域と比較して、通常動作中に応力が少なくなるので、これらの部品は必ずしも振動板ベース・フレーム又は連結ブロックに溶接する必要はなく、代わりに接着などの弱い連結方法を使用してもよい。記載された広がりは接着不良、クラック形成、及び動作中の部分的なクリーキング又は破壊が生じるリスクを制限することができる。しかしながら、溶接のような代替の連結方法を使用してもよいことが理解されるであろう。
上記のねじれ部材の実例のそれぞれにおいて、ねじれ部材は、回転軸に対して実質的に平行に且つ近接して延びるように配置され、振動板の冠状面に対して垂直な方向に高さを有し、ミリメートルで測定された高さは、グラムで測定された振動板組立体の質量の約2倍より大きいことが好ましい。好ましくは、ねじれ部材は、振動板に平行で軸に垂直な方向の幅を有し、これは、ミリメートルで測定された場合に、グラムで測定された振動板組立体の質量の約2倍より大きい。好ましくは、ねじれ部材は、グラムで測定された振動板組立体の質量の約4倍より大きい、又はより好ましくは6倍より大きい、又は最も好ましくは8倍より大きい、ミリメートルで測定された幅及び高さを有する。
上記のねじれ部材の実例のそれぞれに代えて、又はそれに加えて、各ねじれ部材の幅及び高さは、回転軸から振動板構造/本体の最も遠位の周辺部までの振動板構造又は本体の長さの3%より大きい。より好ましくは、幅及び高さは、(回転軸から最も遠位の周辺部までの)振動板本体/構造に関連する長さの4%より大きい。好ましくは、1つ又は複数のねじれ部材は、回転軸に垂直な方向の平均寸法を有し、それは、通常動作中に大きく変形するねじりばね部材の長さの部分に沿って計算される、(多くの強度を加えない接着剤及びワイヤを除く)平均断面積の平方根の2倍よりも大きく、又はより好ましくは通常動作中に大きく変形するばねの長さの部分に沿って計算される平均断面積の平方根の3倍より大きく、又はより好ましくは4倍より大きい。好ましくは、少なくとも1つ又は複数のねじれ部材は回転軸上又はその近くにマウントされ、組み合わされて、回転軸に垂直な任意の方向の小さくて純粋な振動板の並進が生じるときに、少なくとも50%の復元力を直接提供する。
3.3.3 実施例Dのオーディオ・トランスデューサ
簡単に図D1eを参照すると、本発明の代替のオーディオ・トランスデューサの実施例において実装された上述の原理による撓みヒンジ組立体が示されている。この実施例のオーディオ・トランスデューサは、ヒンジ・システムを介してトランスデューサ・ベース構造D104にヒンジ結合された振動板組立体D101を含む。ヒンジ組立体は、図C7に関連して説明したものと同様であり、少なくとも1つのフレキシブル・ヒンジ接続部D112(好ましくは、振動板組立体の両側に配置された2つ)を含み、各ヒンジ接続部D112は、互いに対して傾斜し、振動板組立体及びトランスデューサ・ベース構造D104に堅固に結合された一対のフレキシブル・ヒンジ要素D112a及びD112bを含む。図示されているように、ヒンジ要素D112a~bは、コイル巻線D116を一方の端部で振動板組立体に連結するように結合し、トランスデューサ・ベース構造の反対側の端部で連結ブロックD113を結合する。フレキシブル・ヒンジ要素の端部は、これらの領域の連結を強化するために厚くされ及び/又は広げられる。各ヒンジ要素は、材料の平面における圧縮力及び引張力に抵抗するように実質的に剛性の材料から形成される。また、各構造は、振動板組立体の意図された回転軸に直交する軸の周りの回転に抵抗することができるが、振動板組立体の回転軸の周りの回転に関して適合する。各ヒンジ要素はまた、実施例Bのヒンジ組立体B107について説明したように、一方の端部において振動板組立体と密接に関連し、他方の端部においてトランスデューサ・ベース構造と密接に関連して、トランスデューサのFRO内の望ましくない共振を最小限にする。
この特定の実施例では、振動板組立体は、半径方向に間隔を置いて配置された複数の振動板構造を含む。振動板組立体は、剛性のサイド・フレームD107及びD108によって、外側/外周部で連結された3つの振動板D101、D102及びD103を含み、剛性のサイド・フレームD107及びD108は、コイル巻線D116に連結される。各サイド・フレームは、アルミニウムから構成することができる。各振動板構造は、コアD118、D119及びD120と、各振動板本体の主面上の垂直応力補強材D109、D110、D111と、セクション2.2における構成R1~R4の振動板構造に記載されるような各振動板内に埋め込まれた内側せん断応力補強材と、を含む。振動板構造は、本明細書のセクション2.3で定義されるように物理的に連結しない外周部を含む。
トランスデューサ・ベース構造は、磁石D104、外側ポールピースD105及びD106、ベース・ブロックD113、及び内側ポールピースD117を含む。ヒンジ・システムの各フレキシブル・ヒンジ要素は、一方の端部D115がコイル巻線D116に堅固に取り付けられ、他方の端部D114がベース・ブロックD113に堅固に取り付けられている。D125は、振動板組立体の矢状面及び3つの振動板構造の全てを示す。D121は、振動板D101の冠状面を示す。D122は、振動板D102の冠状面を示す。D123は、振動板D103の冠状面を示す。垂直応力補強材D109、D110、D111は、回転軸線D124の遠位領域又は振動板組立体D126のベース領域の遠位領域の各振動板本体の主面を覆わない。本明細書のセクション2.2又は2.3に記載されている他の任意の振動板構造を利用することができることが理解されるであろう。各振動板本体D118、D119、及びD120のベース面には、各振動板の剛性を向上させるために、振動板ベース補強材D127、D128、及びD129を設けてもよい。
図D2は、実質的に円筒形の振動板組立体ハウジングが組み込まれた図D1のオーディオ・トランスデューサを示す。トランスデューサ・ベース構造は振動板ハウジングに堅固に取り付けられている。ハウジングは、振動板ハウジング本体D203と、2つの振動板ハウジング側部D204とを含む。各振動板ハウジング側の複数の通気孔D205は、動作中に振動板が一方向に回転するに従って空気が矢印D201の方向に一方の側に流れ、矢印D202に沿って他方の側から出ることを可能にする。振動板ハウジングは、コンパクトで剛性のジオメトリであり、トランスデューサのFROにわたって共振しないように設計されることが好ましい。このトランスデューサは、エンクロージャ又はバッフルにマウントして、トランスデューサの一方の側から発する正の音圧が他方の側から発する負の音圧で打ち消されるのを防ぐのを助けることができる。このトランスデューサは、振動板の機械的共振なしに大きな周波数帯域幅で動作することができるので、例えば、本明細書のセクション4に記載された本発明のデカップリング・マウンティング・システムを使用することによって、このトランスデューサをエンクロージャ又はバッフルから分離することも好ましい。
複数の振動板を使用すると、バス周波数での高い音圧レベル、コンパクトなフォーム・ファクタ、及び高音質(最小限のエネルギー貯蔵の結果)が必要な用途で有用である。
このドライバは、この明細書で説明されている任意の他のヒンジ組立体を使用するように構成することができる。ドライバのサイズは、用途に応じて、より多くの空気を移動させるためにサイズをスケール・アップすることができ、又は、高周波応答を改善するためにサイズをスケール・ダウンすることができる。
3.3.4 個人用オーディオ用途
本明細書で説明されるフレキシブル・ヒンジ・システムの変形例を含む実施例Bのオーディオ・トランスデューサ、及び/又は実施例Dのオーディオ・トランスデューサは、個人用オーディオ・デバイスに組み込まれてもよい。セクション5で定義されているように、個人用オーディオ・デバイスは、使用中に耳の10cm以内、例えばヘッドホン又はバッド・イヤホン内に位置するように構成することができる。例えば、セクション5の実施例K、W及びXで説明されたオーディオ・デバイスのオーディオ・トランスデューサは、実施例B又はDのオーディオ・トランスデューサによって置き換えられてもよく、及び/又は本明細書に記載されたフレキシブル・ヒンジ・システムのいずれか1つは、本発明の範囲から逸脱することなくこれらの実施例に実装されてもよい。
4.デカップリング・マウンティング・システム及びこれを内蔵するオーディオ・トランスデューサ
4.1はじめに
従来のオーディオ・ドライバをエンクロージャから分離することの欠点は、ドライバに固有の共振をエンクロージャ内に散逸することができないので、ドライバに固有の共振が実際に悪化し得ることである。また、薄膜振動板及びゴム周囲部サスペンションを有する典型的な従来のドライバを分離すると、動作帯域幅内の音声再生を不明瞭にする振動板及び周囲部共振が依然として存在するから、結果として生じるエンクロージャ共振励起の低減では、主観的な音質は劇的には改善しない。したがって、利益は限られており、分離の利点では、欠点及び関連するコストを埋め合わすことはできない。
同様に、小さい、例えばミッド・レンジ・ドライバ・エンクロージャ・システムを大きなバス・ドライバ・エンクロージャ・システムから分離することは、後者のシステムの励起が低減されるが、前者のシステムに固有の内部共振が散逸されないという欠点があることを意味する。
デカップリング・システムは、例えば輸送中の損傷の可能性の増大、及び、製品の複雑さ及びコストの増加を含む、オーディオ関連ではない欠点をさらに有する。
これは、全体的な利益ではデカップリング・システムが従来のドライバにおいて価値を持つのに十分でない可能性があることを意味する。
一方、本発明の設計特徴を組み込んだオーディオ・ドライバは、少なくとも動作帯域幅において、最小限に抑えられた内部共振のため、動作帯域幅内でのエネルギーの貯蔵を少なくし、又はなくすことができる。共振は典型的にはドライバのFRO内に僅かしか存在しない又は全く存在しないので、従来のドライバの場合のように、そのようなドライバからエンクロージャ内に内部共振を散逸させることは、ほとんど又は全く有益ではない。
内部共振が低いかゼロであるトランスデューサが、共振のないエンクロージャ(又はハウジング又はスタンド又はバッフルなど)に堅固にマウントされている場合、ドライバとエンクロージャは同じシステムの一部になり、ドライバは、エンクロージャの共振だけでなく、いくつかの新しいドライバ/エンクロージャの相互作用共振を起こし得る。これは、分離が、本発明の他のオーディオ・トランスデューサ設計の特徴と関連して有利であり、これらの特徴によって、内部ドライバの共振を除去する(FROからシフトする)又は少なくとも緩和し、性能を改善するのを助けることを意味する。
例えば、(例えば本明細書のセクション2.2の構成R1~R4の振動板構造について定義されるように)共振制御に対する剛性アプローチを採用するかなり厚い剛性の振動板がオーディオ・トランスデューサのエンクロージャから十分に分離された場合、エンクロージャの共振も振動板の共振も、動作帯域幅内のオーディオ再生を不明瞭にしない。
同様に、(例えば本明細書のセクション2.3に記載されている構成R5~R7のオーディオ・トランスデューサについて定義されているように)周囲部と物理的に実質的に連結しない振動板構造の周辺部を有するオーディオ・トランスデューサがエンクロージャから十分に分離されている場合、エンクロージャの共振及び振動板サスペンションの共振の両方を動作帯域幅内で低減又は除去することができ、オーディオ再生が不明瞭になるのを防止するのに役立つ。そのようなオーディオ・トランスデューサのための振動板サスペンションは、全体の振動板の追従性及び可動域を過度に損なうことなく、共振に対して幾何学的により頑強にすることができる。また、振動板サスペンションは、発生する可能性のある共振が聞こえなくなるように縮小された面積を有する。
さらに、オーディオ・ドライバのベース構造が、剛性材料から作られ、(例えば、本明細書のセクション2.2で定義さたように)コンパクトで丈夫なジオメトリを有するために、比較的共振がなければ、エンクロージャの共振もベース構造の共振も動作帯域幅内でオーディオ再生を不明瞭にしない。
最後に、強磁性振動板サスペンションは、振動板サスペンションの共振が振動板の可動域及び基本共振周波数を損なうことなく実質的に除去されるから、デカップリング・システムと組み合わせると有用である。
4.2 デカップリング・マウンティング・システムの実施例
次に、図を参照して本発明のオーディオ・トランスデューサ・デカップリング・システムの複数の実施例を説明する。
4.2.1 実施例Aのトランスデューサ - デカップリング・システム
次に、図A5~A7を参照して本発明の例示のオーディオ・トランスデューサ・デカップリング・システム及び同システムを組み込むオーディオ・デバイスを説明する。図A5a~A5hを参照すると、本発明のオーディオ・トランスデューサの実施例(実施例Aと称される)が示されており、これが、トランスデューサ基部構造A115に枢動可能に接続される振動板組立体A101を備える。オーディオ・トランスデューサが本発明の例示のデカップリング・システムA500に接続される。この実施例のオーディオ・トランスデューサは回転動作トランスデューサであるが、示される例示のデカップリング・マウンティング・システムが、別法として、直線動作トランスデューサと共に使用されてもよいことが理解されよう。さらに、代替のデカップリング・マウンティング・システムが、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されるデカップリング設計の原理及び考慮事項に従う回転動作オーディオ・トランスデューサ又は直線動作オーディオ・トランスデューサのために設計されてもよい。
実施例Aのオーディオ・トランスデューサがコンフィギュレーションR1の振動板構造(本明細書ではセクション2.2.1で説明される)を組み込む振動板組立体A101を備え、電気オーディオ信号(electric audio signal)(又は、音響電気トランスデューサの場合、音圧に相当する回転動作)を作動可能に変換するように構成される振動板組立体A101に接続される変換機構(図示せず)をさらに備える。
デカップリング・システムA500が、オーディオ・デバイスのハウジングA613(図A6aに示される)などの別の構成要素にオーディオ・トランスデューサA100をマウントする。デカップリング・マウンティング・システムがまた、関連付けられたハウジングなどの他の構成要素からオーディオ・トランスデューサA100を分離する。効果的には、デカップリング・マウンティング・システムA500が、振動板組立体A101とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間に配置される。本文脈での「間に」という用語は、直接的な2つの構成要素の間及び間接的な2つの構成要素の間の両方を意味することを意図される。例えば、一連の連結された構成要素では、デカップリング・マウンティング・システムA500は、一方の又は両方の構成要素とマウンティング・システムとの間に1つ又は複数の他の中間構成要素が存在する場合であっても、この一連のもののうちの2つの構成要素の間に位置すると言うことができる。例えば、トランスデューサ基部構造及びハウジングに直接に連結されるのみである場合であっても、デカップリング・マウンティング・システムが振動板組立体とハウジングとの間に配置される。これが、振動板組立体A101とこの一連のもののうちのオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減することになる。
デカップリング・マウンティング・システムA500が、振動板組立体をオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分から効果的に分離するためにオーディオ・デバイスの2つの構成要素を追従的にマウントするように構成される。例えば、デカップリング・システムがデバイスの2つの構成要素を追従的にマウントする。好適には、オーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分が、例えばマルチウェイ・スピーカ・システム内の別のトランスデューサの、別の振動板組立体ではなく、振動板組立体A101から離れた、オーディオ・デバイスの別の部分である。この実例では、デカップリング・マウンティング・システムが、バッフル又はエンクロージャなどの関連付けられたハウジングからオーディオ・トランスデューサを分離するためにオーディオ・トランスデューサ基部構造A115にマウントされる。好適には、デカップリング・マウンティング・システムA500が2つの構成要素を追従的にマウントするように構成され、ここでは結果的に、構成要素が、関連付けられたトランスデューサの作動中、少なくとも1つの並進軸に沿って、しかし好適には直交する3つの回転軸に沿って、互いに対して動くことができる。別法として、しかしより好適にはこの相対的な並進運動に加えて、デカップリング・システムA500が、関連付けられたトランスデューサの作動中における、少なくとも1つの回転軸を中心とした、しかし好適には直交する3つの回転軸を中心とした、互いに対しての構成要素の枢動を可能にするように、2つの構成要素を追従的にマウントする。このようにして、デカップリング・マウンティング・システムが、少なくとも1つの並進軸に沿う、又はより好適には実質的に直交する少なくとも2つの並進軸に沿う、又はさらにより好適には実質的に直交する3つの並進軸に沿う、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する。加えて、デカップリング・マウンティング・システムが、少なくとも1つの回転軸を中心とした、又はより好適には実質的に直交する少なくとも2つの回転軸を中心とした、又はさらにより好適には実質的に直交する3つの回転軸を中心とした、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する。
マウンティング・システムが、トランスデューサ基部構造の両側から側方に延びる1対のデカップリング・ピンA107、A108を備える。デカップリング・ピンA107、A108は、それらの長手方向軸をトランスデューサ組立体のノード軸(node axis)の位置A506に実質的に一致させるように、配置される。ノード軸は、振動板の揺動中に見られる反力及び/又は共振力によりトランスデューサ基部構造が回転するときの中心となる軸である。実際には、ノード軸の位置は作動中に変化する可能性がある。デカップリング・ピンと一致する位置A506は、仮想の非支持状態でのトランスデューサ組立体の作動時の、及び、望ましくない振動板の共振を引き起こす場合よりも実質的に低い周波数でのトランスデューサ組立体の作動時の、ノード軸の位置に対応する。この位置A506を特定する方法を以下でさらに詳細に説明する。いくつかの実施例では、1つのデカップリング・ピンが、1対のデカップリング・ピンA107、A108を形成するいずれかの端部において基部構造A115を通って延びてよいことが理解されよう。デカップリング・ピンA107、A108が、基部構造A115の上側主面A116と下側主面A117との間の側面からのトランスデューサ組立体の長手方向軸に実質的に直交するように延び、基部構造A115に強固に接続される及び/又は一体化される。ブシュA505が各ピンA107、A108の周りにマウントされる。さらに、ワッシャA504がブシュA505とトランスデューサ基部構造A115の関連付けられた側との間に接続され得る。ブシュ及びワッシャは本明細書では「ノード軸マウント(node axis mount)」と称されてよい。ノード軸マウントA504、A505が、後でさらに詳細に説明されるように、トランスデューサ・ハウジングの対応する内側側面を接続するように構成される。
デカップリング・マウンティング・システムが、トランスデューサ基部構造A115の一方の又は好適には両方の主面A116及びA117上に配置される1つ又は複数のデカップリング・パッドA501をさらに備える。パッドA501が、構成要素を分離するのを補助するために、関連付けられた基部構造面とトランスデューサ・ハウジングの対応する内部壁/内側面との間にインターフェースを提供する。この実例では、1つのパッドA501が基部構造の各主面(上側面及び下側面)上に配置される。デカップリング・パッドが、好適には、ノード軸位置A506から遠位であるトランスデューサ基部構造の領域のところに配置される。例えば、デカップリング・パッドは振動板A101に隣接する基部構造A115の縁部のところに又はその付近に配置される。各パッドA501が好適には縦長の形状であり、基部構造A115の横方向縁部に沿って長手方向に延びる。図A5fに示されるように、好適な形態では、各パッドA501が、本体の深さ方向に沿う先細りの幅を有するピラミッド形状の本体A501を備える。好適には、ピラミッドA501の頂点A502がトランスデューサ基部構造A115の関連付けられた主面に接続され、ピラミッドの反対側の基部がトランスデューサ・ハウジングの関連付けられた面をその場で接続するように構成される。しかし、いくつかの実装形態ではこの向きは反転されてもよい。代替的実施例において、デカップリング・マウンティング・システムが、トランスデューサ基部構造A115の主面A116及びA117のうちの1つ若しくは複数の主面の周りに、並びに/又は、デカップリング・ピンがそこから延びている基部構造の側面の周りに、分布する複数のパッドを備えることもでき、当業者には明らかであろうが本発明がこの実例のコンフィギュレーションのみに限定されることを意図されないこと、が理解されよう。このようなマウントは本明細書では「遠位マウント(distal mount)」と称される。
ノード軸マウントA504、A505及び遠位マウントA501が、それらの各々を取り付けているところの2つの構成要素の間での相対運動に対して十分に追従的である。例えば、ノード軸マウント及び遠位マウントは、それらを取り付けているところの2つの構成要素の間での相対運動を可能にするのに十分にフレキシブルとなり得る。ノード軸マウント及び遠位マウントは、追従性(compliance)を得るための可撓性又は弾性の部材又は材料を備えることができる。これらのマウントは、好適には、それらを取り付けているところの少なくとも一方のしかし好適には両方の構成要素を基準として(例えば、トランスデューサ基部構造及びオーディオ・デバイスのハウジングを基準として)低いヤング率を有する。また、これらのマウントは好適には十分な減衰性を有する。例えば、ノード軸マウントA504、A505がシリコーンゴムなどの実質的にフレキシブルなプラスチック材料から作られてよく、パッドA501もシリコーンゴムなどの実質的にフレキシブルな材料から作られてよい。好適にはパッドA501は、シリコーンゴムなどの、又はより好適には例えば粘弾性ウレタン重合体などの、衝撃振動吸収材料から形成される。別法として、ノード軸マウント及び/又は遠位マウントが、金属のデカップリングばねなどの可撓性及び/又は弾性の部材から形成されてもよい。トランスデューサを浮遊状態にする(suspend)ために動きに対して十分な程度の追従性を有するような、実質的に高い追従性を有する(substantially compliant)他の部材、要素、又は、磁気浮揚などの機構もまた、代替のコンフィギュレーションにおいて使用されてもよい。ノード軸マウント及び遠位マウントのための考えられる材料のいくつかの例は:
・約0.7MPaのヤング率値を有する30デュロメータの硬度(ショアAスケール)のシリコーンゴム;
・約1.8MPaのヤング率値を有する50デュロメータの硬度(ショアAスケール)のニトリルゴム;
・約0.3MPaから1MPaの間のヤング率値を有する30デュロメータの硬度(ショア00スケール)のソルボセイン;又は、
・約10MPaのヤング率値を有する30デュロメータの硬度(ショアAスケール)の天然ゴム
である(本発明はこれらの例のみに限定されることを意図されない)。
ノード軸マウント及び遠位マウントは、例えば約0.5MPa~30MPaのヤング率値を有する材料から作られてよい。これらの値は単に例示であり、限定することを意図されない。追従性が例えば材料のジオメトリにも基づくことが理解されるであろうことから、他のヤング率値を有する材料が使用されてもよい。
好適な実施例では、デカップリング・システムが、ノード軸マウントA505のところで、遠位マウントA501のところのデカップリング・システムを基準としてより低い追従性を有する(すなわち、より高いスティフネスを有するか、又は、関連付けられた部分の間により高いスティフネスの連結部を形成する)。これは多様な材料を使用して達成され得、並びに/又は、この実施例の場合では、これは遠位マウントA501を基準としてノード軸マウントA505のジオメトリ(形状、形態及び/若しくはプロファイルなど)を変えることにより達成される。ジオメトリのこの差異は、遠位マウントA501を基準としてノード軸マウントA505が基部構造及びハウジングとのより大きい接触面積を有し、それによりこれらの部分の間の連結部の追従性を低下させることを意味する。
いくつかの用途では、基部構造とハウジングとの間に比較的高い剛性を有するデカップリングを有することが望ましい。その理由は、それにより、共振モード中の、及び、デバイスが十分に大きい衝撃を受けるときの、基部構造の動きを最小にするからである。しかし、高い剛性を有するデカップリングを有するというのは、例えば振動を原因とする基部構造の変位がより容易に伝達されることを意味する。この実施例のデカップリング・システムは高い剛性を有するデカップリング・システムのこれらの欠点を軽減するのを補助する。ノード軸位置A506のところにデカップリング・システムのより低い追従性を有する部分を配置することは、作動中でのこの位置のところにおけるトランスデューサ基部構造A515の動きが低減され、したがって、関連付けられたハウジングへの望ましくない振動の伝達が低減されることを意味する。また、ノード軸マウントA504、A505のところでの及び遠位マウントA501のところでのデカップリング・システムの追従性(例えば、可撓性)の差異は、後でさらに詳細に説明されるように、トランスデューサの作動中にノード軸位置が変化することを妨げる、又はし得る量を少なくとも低減するのを補助する。ノード軸位置の変化することを妨げる、又はその量を低減するということは、トランスデューサのFROの全体を通して基部構造がノード軸マウント位置において最小変位を有し続けることを意味する。さらに、ノード軸マウント(より高い剛性を有するマウント)のところで変位を最小にするということが、比較的高い剛性を有する任意のデカップリングを介してのトランスデューサ・ハウジングへの振動又は他の望ましくない機械的な動きの伝達を低減することを意味する。
ピラミッドA501の接触頂点A502を図A5f及びA5hで詳細に見ることができる。ここでは、非常に小さい/細い先端部がトランスデューサ基部構造に接触する。このように小さい接触面積が触れることを理由として、及び、材料が追従性を有することを理由として、これらの位置のところで実現される支持が、例えば支持の他の位置を基準として(ノード軸マウントなど)、非常に高い追従性を有することになる。これは重要である。というのは、これらの位置がトランスデューサ・ノード軸位置A506から離れており、したがって、仮想の非支持状態においては(例えば、マウントが存在せず、無重力である)、使用時の共振モード中、トランスデューサのこれらの部分が必然的に大きい変位を受けることになるからである。比較的高い追従性を有するデカップリング・マウント(decoupling mount)により、相応する高い荷重をハウジングへ伝達することなく、このような大きい変位が可能となる。
一方で、ブシュA505及びワッシャA504はトランスデューサ・ノード軸位置A506に接近するように配置される、ここでは、仮想の非支持状態での変位が小さくなる。したがって、これらの構成要素は比較的低い追従性を有するように設計され(すなわち、遠位マウントA501と比較して相対的に低い追従性(例えば、可撓性)を有する)、これらの構成要素は、トランスデューサをトランスデューサ・ハウジング内に配置する支持の大部分を担うことになる。ノード軸位置のところに比較的低い追従性を有するマウントを提供することは、デカップリングがノード軸位置が動くのに抵抗するように機能し、さらには、トランスデューサの作動中に基部構造がこの軸を中心として回転するという性質を維持するのを補助することを意味する。これは、この高い剛性を有するデカップリング位置における変位/並進が最小であることを意味する。
次にさらに図A6a~iを参照すると、オーディオ・トランスデューサ組立体A100が、デカップリング・システムA500を使用してオーディオ・デバイスのトランスデューサ・ハウジングA613の内部で接続されるように構成される。ハウジングA613が、対応するトランスデューサ組立体を受けて収容するための凹形形状を有するハウジング本体A601と、その場で開いた凹部の上に配置されてその開いた凹部を閉じるように構成される蓋A602とを備える。蓋A602が、例えばハウジングの角部に配置される固定具A603などの適切な固定機構によりハウジングに強固に接続される。蓋A602が、ハウジングA613内でオーディオ・トランスデューサ組立体が接続されているときに振動板組立体A101の付近に配置されるように構成された領域のところにグリル又はアパーチャA604を備え、それにより音圧を伝達するのを可能にする。オーディオ・トランスデューサ組立体(この特定の実例の実施例Aの)は図A6c及びA6gではトランスデューサ・ハウジングA613内にマウントされて示されている。遠位マウントのピラミッドA501が図A6cに示されており、そのうちの1つが図A6dに詳細に示されている。各マウントA501が、両側において、接着剤(例えば、エポキシ接着剤)を介してなどといったように、適切な固定機構を使用して、関連付けられた表面に連結される。遠位マウントA501のうちの一方の遠位マウントが基部側においてハウジングの蓋A602の内側面に連結され、反対側の頂点側A502においてトランスデューサ基部構造の関連付けられた主面A116に連結される。もう一方の遠位マウントA501が基部側においてハウジング本体A601の内側面A609に連結され、反対側の頂点側A502においてトランスデューサ基部構造の関連付けられた主面A117に連結される(例えば、1つのマウントA501の連結部を示す図A6dを参照されたい)。この実施例の場合、一方の遠位マウントA501が基部構造のポール・ピースA104に接続され(図A6dに示されるように)、もう一方の遠位マウントが基部構造のポール・ピースA103に接続される(図A5fに示されるように)。代替的実施例では、マウントA501の向きが反転されてもよく、各マウントの頂点がハウジング表面に接続され、マウントの基部がトランスデューサ基部構造に接続されてもよい、ことが理解されよう。
ワッシャA504及びブシュA505が、図A7a~fで詳説されるデカップリング・システムの2つのスラグA610を介してトランスデューサ・ハウジング本体A601に連結される。各スラグA610が、概略平坦の又は概略平面の表面と概略弓形の表面とを有する、切断された円筒形本体を備える。概略環状の凹部A701が平面表面内に形成され、関連付けられたワッシャA504のための着座/当接表面を提供する。アパーチャが凹部内に配置され、スラグA610の本体の内部空洞A704の中へと横方向に延びる(必須ではないが、好適には完全に通過するように延びる)。空洞A704が、デカップリング・システムの対応するデカップリング・ピンA107、A108及びブシュA505をその場で受けて収容するようにサイズ決定される。図A6hに示されるように、アパーチャが、ブシュA505をその場で配置させるところのアパーチャの残りの部分を基準として縮小された直径の入口を備える。これにより内部リム又は停止部A611が作られ、その上でブシュA505が静止する。この停止部A611の目的は後でより詳細に説明される。各スラグの本体が、スラグの一方側に沿って長手方向に延びる狭いスリットA702をさらに備える。ねじ切りされたアパーチャA703がデカップリング・ピンのアパーチャ及び本体の長手方向軸に概略直交して本体の湾曲部分を通って延び、ねじ切りされた固定具を受けるように構成される。アパーチャA703がスリットA702に位置合わせされてスリットA702の中まで延び、その結果、挿入時、固定具が定位置まで完全にねじ込まれ得るようになり、アパーチャA703から最も遠位のスリットの側に係合されて力を作用させる。これにより本体の基部のサイズ/幅/直径が拡大することになり、それにより本体の基部がトランスデューサのハウジングの対応する凹部A614内で摩擦係合されて定位置で係止されることが可能となる。
特に図A6h及びA6iを参照すると、ハウジングA601内に実施例Aのオーディオ・トランスデューサを組み付けるために、最初にデカップリング・システムのワッシャA504がピンA107及びA108上まで摺動させられる。次いで、各ブシュA505が、内部停止部A611上で静止するようになるまで、拡大した直径の端部から、関連付けられたスラグA610のそれぞれの空洞A704の中まで摺動させられる。次いで、その中でブシュを保持するスラグA610が、各ワッシャを関連付けられたスラグA610のそのそれぞれの座部/凹部A701に接触させるまで、ピンA107及びA108上まで摺動させられる。凹部A701がワッシャの厚さの一部分を収容し、それにより、トランスデューサ基部構造の外周壁とハウジングA601との間に隙間A607を形成する。さらに、デカップリング・パッドA501がトランスデューサ基部構造の関連付けられた主面に接着される(好適には、振動板の付近の横方向縁部の近く)。
次いで、その上でスラグA610を保持するトランスデューサ組立体A100がハウジング本体A601の対応する凹部内に慎重に配置される。具体的には、スラグA610が本体A601の対応する反対側の弓形チャネルA614に位置合わせされてその中まで摺動させられる。定位置にくると、グラブねじA612がハウジング本体A601内の穴A605の中に挿入されてスラグA610内のねじ切りされたアパーチャA703の中までねじ込まれる。定位置まで完全にねじ込まれると、各グラブネジが対応するスロットA702の遠位縁部/遠位に接触し、スロットの隣にあるスラグA610の関連付けられた狭い側を緩やかに曲げ、それによりスラグの基部の直径を拡大させ、ハウジング本体A601の関連付けられたチャネルA614内でスラグを摩擦により動かないようにする。このようにして、トランスデューサ組立体がハウジングの関連付けられた凹部内で摩擦によりしっかりと係合される。
図A6hが、スラグA610と、ピンA107と、トランスデューサ基部構造A115の磁石体A102との間でぴったりとマウントされたデカップリング・ブシュA505及びワッシャA504の詳細断面図を示す。スラグ・ストッパー(slug stopper)表面A611は、ピンA107から比較的短く正確な距離だけ離れる。このコンフィギュレーションは、通常の作動時にトランスデューサ組立体とトランスデューサ・ハウジングとの間で接触が起こらないことを意味する。しかし、衝突時又は落下時、ストッパー表面がピンA107に接触し、ハウジングを基準としてトランスデューサ組立体が大きく変位するのを一切防止する。これにより、さらに、振動板組立体A101がトランスデューサ・ハウジングに接触してそのような場合に損傷することが防止される。
さらに、トランスデューサがハウジング内に組み付けられるとき、図A6g及びA6hで示されるような狭くて実質的に一様である隙間/スペースA607が、トランスデューサ基部構造/磁石A102とハウジング本体A601との間に形成される。この狭い隙間A607は基部構造A115の周長の少なくともかなりの部分(好適には、全周長)の周りを延びていてよい。隙間A607も、落下などの衝撃時にいくつかの領域において縮小することができるか又は閉じることができる。横方向に有意に動く場合(回転軸A114の方向)、ロバスト性を有するトランスデューサ基部構造A115が、より脆い振動板組立体A101がハウジング本体A601に接触し得る前に、ハウジング本体A601に当たるように構成され、したがって、追加的なストッパー/保護構造として機能する。これは、振動板組立体A101の縁部及び側部とハウジングの隣接する内部壁との間の隙間と比較して、トランスデューサ基部構造A115の縁部及び側部とハウジングの隣接する内部壁との間に相対的により狭い隙間を形成するのを可能にすることにより、達成され得る。
上述したように、トランスデューサ基部構造のストッパーが、特には異常な衝突又はオーディオ・デバイスへの落下の場合に、周囲に当たることから振動板組立体を保護するのを補助するのに使用される。これらのストッパーは、異常な衝突又は落下時にトランスデューサ・ハウジングのあるエリア又はポイントによって物理的に制限されるトランスデューサ基部構造のエリア又はポイントからなる。上で言及した事例では、デカップリング・ワッシャA504及びデカップリング・ブシュA505に接近するところでピンA107及びA108のところに配置されるマウントが、例えば製造公差が不十分である場合に又はマウントのクリープ時に、デカップリングの損失を生じさせるような望ましくない使用時の接触を受けることがないようにしてストッパーの公差を精密にするのを容易にする。
言い換えると、デカップリング・システムが、ノード軸デカップリング・マウントのところで振動板基部構造とハウジングとの間に極めて狭い隙間を提供するように構成される。狭い隙間は各デカップリング・ピンの長手方向軸の周りに配置され、振動板組立体とハウジングとの間の隙間よりも相対的に小さくなるようにサイズ決定され、その結果、スラグA610の内側表面A611が、トランスデューサとハウジングとの間での有意な相対運動を防止するためのストッパーとして機能することができるようになる。それ以外の場合ではこの相対運動により振動板組立体がハウジングに接触することになる。デカップリング・システムにより(ワッシャの動作により)デカップリング・ピンの長手方向軸に平行である別の隙間A607が提供され、この別の隙間A607は、振動板組立体とハウジングとの間の隙間よりも大幅に狭く、それにより、デカップリング・ピンの長手方向軸に実質的に平行な方向にトランスデューサが動くときに振動板組立体がハウジングに接触するのを防止する。
図A6iを参照すると、この実例では、オーディオ・デバイスが、一方側においてハウジング本体A601のトランスデューサ・アパーチャの中の内壁に及びもう一方側において蓋A602の内側壁に、例えばエポキシ接着剤などの接着剤を使用してやはり連結される振動板可動域(excursion)ストッパーA606をさらに備える。1つ又は複数のこのようなストッパーが存在してよい。組立体A101の振動板構造の近位の領域において各面に沿って概して一様に離間される、長手方向に延びる1つ又は複数のストッパーA606がその場で存在し得る(この実例では3つ)。図A6cに示されるように、これらのストッパーA606が、デバイスが落下する又は非常に大きいオーディオ信号が提供されるなどの、振動板を過度に可動域させる可能性があるような任意の異常事象時に振動板に接触するように位置決めされる傾斜表面を有する。傾斜表面は、このポイントまで誤って振動板が回転させられる場合の振動板本体の角度に適合するように、振動板本体A208の付近にその場で配置されるように構成される。ストッパーA606が、振動板に損傷を与えるのを回避するために発泡ポリスチレン・フォームなどの実質的に柔らかい材料から作られる。この材料は、好適には、損傷を軽減するために、例えば振動板本体の材料より相対的に柔らかい(例えば、振動板本体のポリスチレンより相対的に低い密度の材料であってよい)。ストッパーA606が、振動板を効果的に減速させるための、しかし、過剰な空気流れを阻止するような及び/又は共振する傾向のある閉鎖された空気空洞を作るような大きさではない、大きい表面積を有する。
再び図A6g及びA6hを参照すると、言及したように、トランスデューサの周囲の縁部のかなりの部分(また、好適には周囲の縁部の全体)の周りをその場で延びる小さい隙間A607が存在する。この隙間は、使用時にトランスデューサの一方側の正圧である音圧がもう一方側の負圧である音圧と相殺するのを確実に制限するために、小さく、0.5mmから1mm近くまでの範囲である。好適には、隙間のサイズは、最も高い剛性のデカップリング・マウントA504/A505に接近する位置のところと比較して、最も高い剛性のデカップリング・マウントA504/A505からより遠位にある位置のところでより大きい。その理由は、落下のシナリオでは、これらの位置が、A611などのストッパー表面に接近する位置よりも大きく変位する傾向があるからである。
本発明のこの例示のデカップリング・システムでは、デカップリング・マウンティング・システムを介する場合を除いて、またいくつかの事例では、トランスデューサ組立体のモータ・コイル巻線A109まで電流を送るワイヤ(図示せず)を介する場合を除いて、トランスデューサ組立体A100とトランスデューサ・ハウジングA601が接触しない。これらのワイヤは好適には、ワイヤが共振したり小さく動いたり(buzzing)するのを防止するために、例えばエポキシ接着剤などの接着剤を使用してトランスデューサに完全に接着される。ワイヤは、コイル巻線A109の側部から、第1の湾曲部A403(落下時にトーション・バーに張力が生じてワイヤが破損するのを回避するため)の周りを通り、トーション・バーA106の曲がりやすい中間領域A402の屈曲部分の内側角部に沿い(使用時にこの位置が有意に伸びたり縮んだりすることがなく、ワイヤ疲労を引き起こす危険がないから)、第2の湾曲部A403の周りを通り、接触バーA105の端部タブA303の上を通過し、磁石A102に向かって接触バーに沿って延びるような、経路をとる。通常作動時の変位が最小になるような位置である、トランスデューサ・ノード軸位置A506に最も接近する実際的な位置において、ワイヤがトランスデューサから離れ、空気間隙を横断してトランスデューサ・ハウジングまで通過し、さらにワイヤがトランスデューサ・ハウジングから増幅器及び音源につながる。
最も好適には、ワイヤが隙間の両側で動かないようにされ、中間部分が共振フリー(resonance-free)となるように十分に短く、それにより、分離されないすべての要素の実質的な共振フリーの性質が維持されるようになる。
これらのワイヤが図面に示されていないことに留意されたい。また、説明されるワイヤ経路が共振管理(resonance management)及びさらには信頼性のいずれにおいても有利であると考えられるが、可能性として他のワイヤ・コンフィギュレーションも有効であり、本発明がこの実例のみに限定されることを意図されない、ことに留意されたい。
好適には、デカップリング・マウントA504、A505及びA501が良好な減衰性を有する。その理由は、減衰が共振の制御を補助するからである。好適には、マウントが比較的低クリープ性の材料から作られ、例えば粘弾性ウレタン重合体から作られる。そうでない場合、重力による荷重などの長時間の荷重を受ける場合に、トランスデューサが経時的に変位する可能性があり、それにより可能性として、通常の作動時にハウジング又はストッパーに接触することになる。これにより、さらに、デカップリングの効果に損失が生じる可能性がある。ノード軸のブシュが、好適には、ブッシングに対しての長時間の応力を使用材料のクリープ応力限界の範囲内にするのに十分な接触面積(具体的には、デカップリング・ピンA107、A108とブシュA505との間の接触面積)を有する。さらに、マウント及びマウントに対する連結部のジオメトリが、長時間のシチュエーションにおいて重量により材料に過度の応力が与えられることがないように、設計され得る。
上述のデカップリング・システムが任意の種類のオーディオ・トランスデューサ組立体を有するオーディオ・デバイスに組み込まれ得ること、及び、上記の説明で使用される実施例Aのトランスデューサがデカップリング・システムの文脈を提供するための単に例示であることが理解されよう。次に、上述のデカップリング・システムと組み合わされることになるいくつかの好適なオーディオ・トランスデューサ組立体をさらに詳細に説明する。
好適には上述のデカップリング・マウンティング・システムは:
・本明細書のセクション2.2のコンフィギュレーションR1~R4の振動板構造で説明されるような、若しくは、セクション2.3のコンフィギュレーションR5~R7のオーディオ・トランスデューサのもとで説明した振動板構造の場合のような、共振制御に対して剛性によるアプローチ(rigid approach)を採用する厚くて高い剛性を有する振動板、
・本明細書のセクション2.2.1のもとで実施例Aのオーディオ・トランスデューサのために説明したような高い剛性及びロバスト性のジオメトリを有する基部構造、
・本明細書のセクション2.3のもとで説明したオーディオ・トランスデューサのところで定義されるような振動板組立体サスペンション、並びに/又は、
・本明細書のセクション3.2又は3.3のもとで定義されるような、ヒンジ・システムを有する回転動作オーディオ・トランスデューサ、
のうちの1つ又は複数(しかし、好適にはすべて)の任意の組合せを備えるオーディオ・トランスデューサに組み込まれる。
上記の組立体、構造又はシステムのうちの1つ又は複数と、本明細書で説明されるデカップリング・システムとを組み合せることにより、後でさらに説明されるCSD/ウォーターフォール・プロットによって示されるような、オーディオ・トランスデューサの作動帯域幅の範囲内でのエネルギー蓄積が無視できる程度となる。本発明の実施例Aのオーディオ・トランスデューサは、例えば、このデカップリング・システムと、上記のオーディオ・トランスデューサのすべての特徴との組合せを組み込む。これは、本明細書のセクション4内の以降のサブセクションにおいてさらに詳細に説明される。
ノード軸デカップリング
図A5及びA6を再び参照すると、上で言及したように、デカップリング・システムA500のデカップリング・ピンA107、A108が、それらが一体化されているか又は取り付けられているところの回転動作オーディオ・トランスデューサのノード軸と実質的に一致する長手方向軸を有する。オーディオ・トランスデューサのノード軸は仮想の非支持状態でのトランスデューサの作動時に観察され得、この仮想の非支持状態では、外部反力が見られず、構造に影響もしない(例えば、マウンティングにより見られるような反力など)。対象のノード軸位置A506は、望ましくない振動板の共振を明らかに示すような周波数よりもはるかに低い周波数での仮想の非支持状態で振動板組立体及び基部構造が作動される場合での、振動板の揺動中に見られる反力によりトランスデューサ基部構造がそこを中心として回転する位置である。そこを中心として基部構造が回転する軸は本明細書では「トランスデューサ・ノード軸」と称される。トランスデューサの仮想の非支持状態中のノード軸の位置は本明細書ではノード軸位置A506と称される。典型的なトランスデューサでは、このような軸はいずれも存在しないか、又は、基部構造組立体から離れた位置内にある。多くの回転動作トランスデューサ及び他のいくつかのドライバの場合、軸が基部構造組立体に接近して存在するか又は基部構造組立体内に存在する。上述の例示のオーディオ・トランスデューサでは、ノード軸が振動板組立体A101のヒンジ軸に実質的に平行である。
通常、デカップリング・マウントは有効となるためには並進に対して追従性を有さなければならないが、通常作動の経過中に有意な回転成分を有する動作で動く(非拘束時)トランスデューサ基部構造を有する回転動作オーディオ・トランスデューサの場合、デカップリング・マウントA505/A504が、そこを中心として上記の回転が起こるところのノード軸の位置A506のところに又はそこに接近するところに配置され得るような特別な事例が存在する。この場合、これらのデカップリング・マウントは、ノード軸を中心とした回転を追従的に促進する限りにおいて、有意な程度の並進的追従性(translational compliance)を提供する必要がない。通常作動の経過中、トランスデューサがこの位置A506のところで有意に並進しようとしないことから、トランスデューサをマウントしているエンクロージャへの並進変位の伝達が最小となる。
さらに、振動がこれらのマウントA505/A504の並進を介して外部源からトランスデューサに送られる場合、これにより振動板ヒンジポイントのところでの並進がわずかにすぎなくなり、これはひいては、振動板のいかなる励起もそのヒンジ軸を中心とした回転に実質的に限定されることを意味する。振動板基本モードはこのような励起に対しての良好な減衰性のデカップリングの形態として機能する。このような形でトランスデューサ基部構造が分離される場合、軽量の振動板を介してエンクロージャの共振及び他の外部振動を機械的に増幅するような上述の効果が大きく軽減されることになる。これはマイクロホン・トランスデューサの場合にも機能し、これは、そのマウンティングにおいてヒンジ接続部が効果的に存在するにもかかわらず、マイクロホンが外部振動に対してわずかにのみ反応することになる、ことを暗に意味する。
これは、このようなトランスデューサが、並進に対して抵抗ししたがって比較的高いロバスト性及び信頼性を有するようなマウンティング・システムを介して、分離され得ることを意味する。このようなマウントがある程度の追従性を実際に組み込むことが好ましく、また、このようなマウントが減衰も実現することがさらに好ましいことに留意されたい。その理由は、実際は、ノード・ポイントが、作動帯域幅にわたって、又はさらには1回の振動板の揺動の経過中にわたって、わずかに変化する可能性があるからである。
FEA - ノード軸の決定
上述したように、トランスデューサ基部構造組立体のノード軸位置A506は、オーディオ・トランスデューサが仮想の非支持状態で作動される場合に、並進をゼロにするか又は少なくとも最小にしてそこを中心として基部構造の回転が起こるところの位置である。仮想の非支持状態は、振動板の揺動により見られる力以外には、マウンティングからなどの外部反力が存在しないような状態である。この状況は、トランスデューサがマウントを必要としないことを理由として、無重力で達成され得る。しかし、実際に無重力を実現することは困難である。
ノード軸位置A506を決定するための本発明の好適な方法は、トランスデューサのマウンティングを有さない、無重力でのトランスデューサ組立体の作動をシミュレートするための有限要素法分析(FEA)を利用することである。
シミュレーションのための代替的アプローチは、ある周波数帯にわたっての、組立体の振動板に対しての正弦波入力の励起を用いて、オーディオ・トランスデューサを作動することであり、並進がゼロとなる位置を特定するために、結果として生じる基部構造の動きが分析される。
重力から得られる力に反応して実質的に一定の支持荷重を適用する、非常に高い可撓性を有して軽量であるマウンティングを使用してトランスデューサがマウントされる場合、ノード軸の位置A506が実験的に決定され得る。したがって、正弦波励起に対するトランスデューサの反応がマウンティングから実質的に独立するようになり、その結果、加速度計などのセンサを使用して並進しない軸の位置A506が決定され得る。ドライバと比較して軽量であるセンサを使用することが有利である可能性がある。例えば、トランスデューサの基部構造組立体は、高い追従性を有する薄いゴムバンドを介して浮遊状態にされ得るか、又は、連続気泡発泡体又はピロー・スタッフィング(pillow stuffing)の高い追従性を有する軽量な部片上に載置され得る。ドライバの励起はマウンティングの追従性を無視できる程度にするように十分に高い周波数で行われなければならないが、この周波数は、実質的に1自由度でトランスデューサを挙動させるように十分に低いものである。
上記は、特定のトランスデューサ組立体のノード軸位置を決定するのに当業者が利用することができる例である。
FEAを使用する好適な方法を再び参照すると、行われ得る、FEAを利用するアプローチは複数存在し、これらには、1)モード解析(無重力でドライバのFEAモード解析を実行する。ノード軸A506は、基本の振動板共振周波数が観測される場合にわずかにのみ並進する基部構造の部分である);2)動的線形有限要素法分析(linear dynamic finite element analysis)(これは、やはり無重力でのドライバの別のFEA分析であり、例えば20Hzから30kHzの広い周波数範囲にわたって振動板及びトランスデューサ基部構造にそれぞれ加えられる正弦の励起力及び反力が用いられる)、が含まれる。基部構造上のシミュレートされるセンサの位置のところでの変位振幅が計算され得、その情報から、最も小さい変位を受ける基部構造上の位置を決定することが可能となり得る。これがノード軸A506となる。
次に、モード解析の方法1)をより詳細に説明する。
この方法に従って実施されるコンピュータ・シミュレーションの結果が図A13aからA13mに示される。このコンピュータ・シミュレーションでは、上述の実施例Aのトランスデューサ組立体と同じである及び/又はほぼ類似するトランスデューサのモデルが構築されて利用される。このモデルはハウジングを有さないトランスデューサ組立体を表す。
トランスデューサが自由空間中を浮遊するものとしてモデリングされる。様々な材料の密度、モジュラス及びポアソン比をモデリングした。トランスデューサの固有の共振モードを特定するためにモード解析が実施される。シミュレーションが無重力であることから、計算される最初の6つの共振モードはトランスデューサ全体の3つの並進及び3つの回転のモードからなり、0Hzで発生する。これらは無視される。トランスデューサに固有の他の共振モードが図A13a~mに示される。
110Hzで発生する関連性のある第1の共振モードは、トランスデューサ基部構造A115に対して回転する振動板組立体A101の基本作動モードであり、これは、図A13a、b、c、d及びeに示されている。図A13a~dが変位のベクトル・プロットを示しており、ここでは、数百の矢印が変位の向き及び大きさを示す。各矢印の向き及び長さが、矢印の後端部のところに配置されるトランスデューサのポイントの変位の向き及び大きさを示す。
トランスデューサ基部構造のノード軸A506は回転軸A114に概して平行であるとして見られ得るが、それらの間に約2.6度のわずかな角度A1301が存在する。トランスデューサ基部構造が振動板本体A217のサジタル平面を中心としてより対称であるような場合、これらの2つの軸がより平行に近づくことになる。図A13bが方向A(図A13aに示される)における図を示しており、ここでは、矢印ベクトルA1303の向きがトランスデューサ基部構造A115上のポイントを中心としてすべて同心であり、したがって、トランスデューサ・ノード軸の位置A506を示している。
やはり変位を示している矢印A1302が矢印A1303より概して大幅に大きい。その理由は、矢印A1302は、より重いトランスデューサ基部構造の動きと比較して振動板の動きがより大きいことを示しているからである。個別の矢印を見ることが困難であるくらいに矢印A1302が密集しており、また大きいこと、及び、振動板組立体A101の外形が不明瞭であること、に留意されたい。
図A13d及びA13eが基本共振モードの変位の同じ等角図を示している。ただし、図A13dがベクトル・プロットを示しており、図A13eがグレーのシェードにより変位の大きさを示す変位プロットである、という点を除く。グレーのシェードが白に近づくほど変位が大きくなる。
図A13f及びgが、18.2kHzでの第2の振動板共振モード(第1の振動板分割モードと呼ぶことにする)のベクトル・プロット及びグレー・スケール・スタイルの変位プロットを示しており、これは振動板ねじれモードであり、ここでは、左側の振動板先端部が前方に動き、右側の振動板先端部が反対の後方に動く。
図A13h及びiが19.4kHzの第2の振動板分割モードのベクトル・プロット及びグレー・スケール・スタイルの変位プロットを示しており、これは振動板スライス(slicing)・モードであり、ここでは、振動板の左側及び右側の先端部が同じ方向の横方向に動く。
図A13j及びkが19.9kHzの第3の振動板分割モードのベクトル・プロット及びグレー・スケール・スタイルの変位プロットを示しており、これは振動板曲げモードであり、ここでは、振動板先端部の中間領域が前方及び後方に変位する。
図A13l及びmが22kHzの第4の振動板分割モードのベクトル・プロット及びグレー・スケール・スタイルの変位プロットを示しており、これは、振動板先端部の中間領域が前方に変位し、振動板先端部の左側及び右側の両方が後方に変位するような振動板モードである。
トランスデューサ基部構造に強固に取り付けられた他の部分を有するようなトランスデューサをモデリングする場合、これらの他の部分が基部構造の質量部分に影響し、コンピュータ・モデルにさらに含まれるべきである、ことに留意されたい。したがって、軸の位置はトランスデューサ基部構造組立体の全体に対して決定されるべきである。
デカップリング・システムの性能
次に、デカップリングの特徴部分及び他の好適なトランスデューサ組立体の特徴部分を含む実施例Aのオーディオ・トランスデューサの性能を別のシミュレーションを参照して説明する。
図14aが上述の同じオーディオ・トランスデューサ・モデルのコンピュータ・モデルを示しており、これはここではそのデカップリング・システム上にマウントされており、このデカップリング・システムは、図A5aの実施例Aで使用されるデカップリング・システム及び上記のセクション4.2で説明されるデカップリング・システムに類似する。具体的には、ノード軸マウントA504、A505が、上記の非支持のシミュレーションから決定されるノード軸位置A506に一致するように配置され、遠位マウントA505が振動板ヒンジの近くの/付近の主面上に配置される。図A14bが同じモデルの別の図を示しており、6つのシミュレートされるセンサの位置A1401、A1402、A1403、A1404、A1405及びA1406の位置を示す。トランスデューサのセンサ配置側の、デカップリング・ブシュA505、デカップリング・ワッシャA504及びデカップリング・ピンA107がコンピュータ・モデルに含まれるにもかかわらず、センサの位置A1405を不明瞭にしないようにするために、この図が、トランスデューサのセンサ配置側のデカップリング・ブシュA505、デカップリング・ワッシャA504及びデカップリング・ピンA107を示していないことに留意されたい。
シミュレートされるセンサの位置が、振動板組立体A101の先端部のところのA1401、振動板の側面のいくらか上方のA1402、振動板基部の近くのA1403、振動板に適度に接近するトランスデューサ基部構造A115上のA1404、デカップリング・ピンA107のための取り付け用の穴に接近するトランスデューサ基部構造上のA1405、及び、振動板から最も離れた端部のところのトランスデューサ基部構造上のA1406、のところで、トランスデューサの側面に沿って特定される。
このコンピュータ・モデルを、トランスデューサ・ハウジングに通常触れるようなデカップリング・システムの表面を空間内で固定した状態で、調和/モーダルの有限要素法分析を使用して分析した。例えば、デカップリング・ブシュA505の外側円筒形表面、デカップリング・ワッシャA504の外側平坦表面、及び、デカップリング・ピラミッドA501の外側平坦表面をすべて空間内で固定した。これは、これらの表面がハウジング(図A6aで説明されるハウジングなど)の静止部分に取り付けられていることを意味する。振動の最初の8つのモードの変位プロットが図A14cからA14rに示される。
さらに、50Hzから30kHzの周波数範囲にわたって振動板及びトランスデューサ基部構造のそれぞれに加えられる正弦の力及び反力を用いて、動的線形有限要素法分析(FEA)を使用して同じモデルを分析した。周波数に対しての、シミュレートされるセンサの位置のところの変位振幅を計算した。これらが図A14sのグラフに示される。
A14sは、センサA1401のためのプロットを示すA1407、センサA1402のプロットを示すA1408、センサA1403のためのプロットを示すA1409、センサA1404のためのプロットを示すA1410、センサA1406のためのプロットを示すA1411、及び、センサA1405のためのプロットを示すA1412、のトランスデューサのシミュレーション上の6つのシミュレートされるセンサの位置における、対数変位vs対数周波数のグラフである。
このシミュレーションでは、すべての材料に対して2%の減衰比を使用したことに留意されたい。この減衰比は低く、好適な実装形態では粘弾性ウレタン重合体及びシリコンゴムであるような使用されるデカップリング材料で示されることが見込まれるような減衰反応を示すものではない。低い比を使用する理由は、各モードに関連する共振ピークをより鋭利なものとしてより目立つようにして、その結果として図A14sのグラフにおいてこれらのモードが容易に特定され得るようにするためである。
図A14(c~r)は、トランスデューサ及びデカップリング・マウント・システムの種々の共振モードのための調和解析/モード解析の結果である。図A14c及びdが、64Hzの第1のデカップリング共振モードにおける、デカップリング・マウント上でのドライバ全体のベクトル・プロット及びグレー・スケール・スタイルの変位プロットをそれぞれ示す。これらのプロットは、デカップリング・ブシュA505及びデカップリング・ワッシャA504を概して通るように配置される軸を中心とした回転モードを示す。図A14sに示されるグラフでは、周波数位置A1413が、トランスデューサ基部構造A115上の3つのセンサに対応するプロットA1410、A1411及びA1412での、並びに、振動板センサA1409のためのプロットでの、明確なピークを示す。振動板先端部に最も接近する2つのセンサのためのプロットA1407及びA1408は小さい偏差しか示していない。その理由は、トランスデューサ(Wn)の基本の共振に関連する振動板の変位が第1のデカップリング共振による変位よりも圧倒的に大きいからである。プロットA1412で示される変位は64Hzでは非常に小さく、これが、比較的高い剛性を有するノード軸デカップリング・マウントA504、A505の位置における並進を最小にするような良好な性能を示している、ことに留意されたい。ノード軸位置A506から離れた他の位置では比較的柔らかいデカップリング・マウントA501が使用される。その理由は、これらの位置が最大64Hzの周波数及び64Hzあたりの周波数において有意なエネルギー及び動きを伝達すると考えられるからである。
111Hzでのトランスデューサ(Wn)の基本の振動板共振が周波数A1414で示される図A14s内のプロット上の次の共振である。関連のピークが6つのすべてのセンサの位置のプロットにわたって見られ得る。図A14e及びfがこの共振モードのベクトル・プロット及びグレー・スケール・スタイルの変位プロットを示しており、これは図A13a~dに示されるモードと同じモードである。プロットA1410、A1411及びA1412に示される変位は絶対量的には64Hzに相当するが、振動板の変位を基準とする場合、これらのプロットは実際には111Hzにおいてピークを示さない。これは、すべての周波数にわたって振動板の変位を一定にするために均一化されるプロットにおいてより明確となる。したがって、この周波数においてデカップリング・マウント上での変位を伴うような基部構造の共振が存在しない。通常作動時、基本の振動板共振周波数が電気的減衰により良好に制御されることになることに留意されたい。
図A14g及びhが周波数A1415のところで示される259Hzでの第2のデカップリング共振モードのベクトル・プロット及びグレー・スケール・スタイルの変位プロットを示しており、これは、トランスデューサが振動板の先端部に向かう及びそこから離れる方向に実質的に前後に動くような並進モードである。図A14i及びjが、266Hzでの第3のデカップリング共振モードのベクトル・プロット及びグレー・スケール・スタイルの変位プロットを示しており、これは主として並進のモードである。これらの2つのモードに関連するピークを図A14sのグラフ上の位置A1415のところで見ることができるが、これは、トランスデューサ基部構造A115上に配置される3つのセンサの上のみである。これらの両方のモードの周波数が非常に接近していることから、2つのピークが1つに統合される。これらの両方のモードにより変位振幅が非常に小さくなること、及び、その理由が、これらの両方のモードが主マウントの配置によりほとんど励起されず、これが変位が小さくなるところの基部構造のノード軸のところのモードに影響するからであること、に留意されたい。これは、デカップリング・マウントの設計がこれらの2つの共振モードを成功裏に軽減していることを示している。このモデルでデカップリング減衰(decoupling damping)の実際値が使用される場合、変位がさらに低減されることになることにも留意されたい。
図A14k及びlが、回転モードである、345Hzでの第4のデカップリング共振モードのベクトル・プロット及びグレー・スケール・スタイルの変位プロットを示している。この特定のモードは図A14sのグラフ内のプロットのいずれでも明確に見ることができない(したがって、この位置が示されない)。その理由は、コイルによって加えられる力及びトランスデューサ基部構造によって加えられる反力が一方向に作用し、トランスデューサを大きく励起しない位置のところに加えられるからである。やはり、これも、デカップリング・マウントの設計がこの共振モードを成功裏に軽減していることを示している。
図A14m及びnが、回転モードである、468Hzでの第5のデカップリング共振モードのベクトル・プロット及びグレー・スケール・スタイルの変位プロットを示している。図A14o及びpが、主として並進のモードである、479Hzでの第6のデカップリング共振モードのベクトル・プロット及びグレー・スケール・スタイルの変位プロットを示しているが、図A14pで見られる円形の変位線によって示されるような有意な回転動作も関連する。これらの両方のモードの周波数が接近していることから、2つのピークが1つに統合され、位置A1416のところで示される。これは、これらの両方のモードにより変位振幅が非常に小さくなることの別の1つの事例であり、これは、デカップリング・マウント位置及び追従性の選択を通して、これらのモードが成功裏に軽減されていることを示している。
図A14q及びrが、18.2kHzでの第2の振動板共振モード(第1の振動板分割モードと呼ぶことにする)のベクトル・プロット及びグレー・スケール・スタイルの変位プロットを示しており、これはねじれ振動板モードである(図A13f~gにも示される)。図A14sのグラフ内のすべてのプロット上で、位置A1417のところで、関連するピークを見ることができる。振動板のこの周波数帯では、トランスデューサが1自由度で挙動することはもはやなく、これは、トランスデューサがデカップリング・マウントの位置のところで又はその近くでノード軸を有することが見込まれないことを意味する。しかし、高周波数の変位(high frequency displacement)が小さく、すべてのマウントがある程度の追従性を有することから、良好なデカップリング性能が維持されることになる。
このトランスデューサの場合、最も高いロバスト性/最も低い追従性を有するデカップリング・マウントの位置A1405に対応するプロットA1412が、FRO全体にわたって、すべてのセンサの位置の最も小さい変位を示す。
このデカップリング・システムの設計の利点は、6つのデカップリング・システムの共振モードのうちの1つのみが強く励起され、振動板の変位に有意に影響することである。他の5つのモードは振動板及びさらには基部構造のいずれに対しても小さい影響しか有さない。これは、すべての関連するピークが、等しい周波数での振動板の変位より低いオーダーの大きさである、ことから分かる。このデカップリング・システムの別の利点は、マウンティング・システムが他のいくつかのものより比較的高いロバスト性及び低い追従性を有するにもかかわらず、励起される1つのデカップリング・システムの共振モードが64Hzの比較的低い周波数(ただし、これは実際の実施例においてこの周波数ではなくともよいことに留意されたい)で発生することである。さらに、すべてのデカップリング・システムの共振モードが高い減衰性を有することになる。
説明されるシミュレーション結果
単純な形のサスペンション・システムは昔からある1自由度の質量-ばね-ダンパ・システムであり、ここでは、力が質量に加えられ、その意図は、ばね及びダンパを取り付けているところの基部への力の伝達を最小にすることである。通常、デカップリングは共振周波数より高い「質量制御」領域で達成される。共振周波数あたり(減衰制御領域)では、及び共振未満(スティフネス制御領域)では、通常、デカップリング・システムは効果を発揮しない。
デカップリング・システム上にある一般的な3次元トランスデューサまで進むと、デカップリング・システム上で動くトランスデューサは6自由度を有する(さらに、基本の振動板共振周波数に関連する低い周波数においては第7の自由度が発生する)。6自由度は3つの直交平面に沿う3つの並進及び直交する3つの回転軸を中心とする3つの回転である。実施例Aの場合、6つの関連のトランスデューサ共振モードが図A14c/d、A14g/h、A14i/j、A14k/l、A14m/n及びA14o/pに示される。第7の基本の振動板共振周波数がA143e/fに示される。
1自由度のシステムと同様に、デカップリング・システムを加えた一般的な3次元トランスデューサでは、通常、デカップリングは質量制御領域でのみ達成され、質量制御領域が最大周波数のトランスデューサの共振の下にある。実施例Aのトランスデューサの場合、デカップリング・システムを使用してトランスデューサがマウントされている場合の最大周波数の共振モードが図A14o/pに示されており、これはシミュレーションでは約479Hzで発生する。これは通常、おそらく958Hz(最大共振周波数の2倍)超といったようなより高い周波数でのみデカップリング・システムが有効となり始めることを暗に意味する。しかし、このことに加えて、上記のセクション4.7で説明されるように、セクション4.2で説明されるシミュレートされたデカップリング・システムは、図A14c/dに示される約64Hzで発生する最も低い共振モードに近い周波数まで下がっても有効となる。
これは、最も低い64Hzのモードを基準として質量制御領域へと下方に向かう他のすべての5つの共振モードを含めた、他のデカップリング・マウント上のトランスデューサの共振モードのうちの最も高い共振モード未満の周波数においてデカップリング性能が維持されるということを理由としてこのデカップリング・システムが新規性を有することを示している。このことは、作動中の振動板の意図される変位を基準として共振周波数において観測される変位レベルが相対的に低いということから明らかである。
その本質的な理由は、トランスデューサのほぼ並進しない(仮想の非支持状態の)ノード軸位置A506のところに、比較的低い追従性を有するノード軸デカップリング・マウントA504、A505が配置されることにより、トランスデューサが、高い剛性を有するマウントを縮めることなく実質上あたかも無重力中にあるかのように動くことが可能となることである。このデカップリング設計はトランスデューサの「無重力」挙動に対してのデカップリング・システムの挙動のアライメントとして見られてよく、したがって、変位がトランスデューサ・マウントの影響を受けるようなトランスデューサ/デカップリング・システムのスティフネス及び共振制御領域(「第1の作動状態」)の全体における周波数において、さらには、変位がトランスデューサ・マウントの影響を受けないか又はほとんど受けないようなトランスデューサの質量制御領域(「無重力」のような「第2の作動状態」)における周波数において、トランスデューサの変位に、実質的に同じ軸を中心とした回転が含まれることになる。このアライメントは、作動中に(ここでは、ノード軸マウントが、あたかも「無重力」状態であるかのようにデバイスを作動させる)、並進運動を有意に分離してデカップリング性能を向上させるのに、軸A506から離れて配置されるより高い追従性を有する遠位マウントA501のみが利用されることを意味する。これらの遠位マウントA501は、実施例Aのトランスデューサの場合においては関連する共振モードを64Hzの低い周波数で発生させるのに十分な追従性を有する。
作動周波数範囲(FRO:frequency range of operation)
図A14aに関連して上で考察したシミュレートされたドライバのコンピュータ・モデルは、20Hz程度の低さにまで及ぶ作動周波数範囲を有することができるが、111Hzの基本周波数ではボリュームが急激に減少することになる。このドライバの下限は、このドライバを中に配備するところの最終的なコンフィギュレーションに応じて変化する。
個人用オーディオ・ドライバ(personal audio driver)として実装される場合、耳に近接することによる「近接効果」がバス周波数のボリュームを上げる可能性がある。振動板の鼓膜側がある程度封止される場合、バス・レスポンスがさらに向上され得る。
トランスデューサの正圧の空気圧側である鼓膜側ともう一方の負圧の空気圧側との間の封止を制御することにより、可能性として、基本共振周波数及び基本モードの減衰が調節される、ことに留意されたい。
このドライバの周波数レスポンスの上限は、人間の可聴限界であると通常みなされるところの近くにまで及んでよい(20kHz)。第1の振動板分割モードは18.2kHzであり、これはねじれモードである。このピークA1417は振動板の側部先端部のところのセンサA1401による変位プロットA1407(図A14s)で明確に見ることができる。このモードが軸上のマイクロホンを用いて測定される場合、モードが強く励起されてはいないことを識別することは困難である。その理由は、振動板の左側で発生する正圧の音圧が振動板の右側の負圧の音圧によって相殺されるからである。図H2aの実際のウォーターフォール・プロットでは、位置H203のところでこのモードがほぼ示されず、したがってFROがさらに高くにまで及ぶことができる。
19.4kHzで発生するコンピュータ・シミュレーションの第2の振動板分割モードもやはりバランスがとれており、有意な量の空気を動かすことがなく、したがって、図A14sの変位プロットで実際に見ることはできない。
図A14sの変位プロットのピークA1418に対応する19.9kHzで発生するコンピュータ・シミュレーションの第3の振動板分割モードは振動板の曲げモードであり、励起を受けやすいモードである。このモードはウォーターフォール・プロットさらには周波数レスポンス・プロットのいずれにおいても顕著なピークを作ることになる。FROがこのモードの周波数未満であることが好ましい。その理由はこのモードの周波数が有意なオーディオ歪みを生じさせるからである。しかし、この事例では、歪みが可聴帯域幅から外れる。
4.2.2 実施例Eのトランスデューサ - デカップリング・システム
図E1及びE2を参照すると、オーディオ・トランスデューサ・デバイスE200の実施例(本明細書では実施例Eのオーディオ・トランスデューサと称される)が示されており、これが、適切なヒンジ組立体を介してトランスデューサ基部構造E118に枢動可能に接続される振動板組立体E101を備える。図E2に示されるように、トランスデューサ組立体E200がトランスデューサ・ハウジングE118b内に収容される。トランスデューサ・ハウジングが、基部構造上に、セクション4.2のデカップリング・システムで説明されるデカップリング・ピンと同様のデカップリング・ピンE208を備える。トランスデューサ・ハウジングE118b、並びに、その中に収容される基部構造E118a及び振動板組立体E101を含めた、トランスデューサ基部構造のためのノード軸位置を決定するために図E2に示される組立体E200のすべての部分をモデリングすることによりデカップリング・ピンの位置を決定した。これは、セクション4.6で既に説明したように、オーディオ・デバイスの別の部分からこの組立体を分離するための好適な位置を特定するのを補助する。この他の部分は、例えば、ヘッドホンの別のバッフル、エンクロージャ、ハウジング、又はヘッドバンドであってよい。デカップリング・ピンE208をこのノード軸のところ又はその近くに配置した。
この実施例のための好適なデカップリング・マウンティング・システムは、デカップリング・ピンE208のところに配置された図E2に示される組立体の支持の大部分を担うための、エラストマから作られるようなフレキシブル・マウントを備える。このシステムはまた、作動中にこの組立体を分離しているところのオーディオ・デバイスの部分から離れすぎてこの組立体が回転するのを防止することを目的として及び2つの部分が触れるのを防止することを目的として軽めに支持するための、セクション4.2のもとで説明したようにノード軸から離れて配置される追加の遠位マウントをさらに有する。説明されるデカップリング・マウンティング・システムは図面では完全には示されていないが、これは、図A2に示されるような及びセクション4.2のもとで説明されるような実施例Aのトランスデューサを分離するためのシステムに類似する。
4.2.3 実施例Uのトランスデューサ - デカップリング・システム
構成
図U1を参照すると、本発明のデカップリング・システムU103を介してハウジング(若しくはハウジングの一部分)又は周囲U102の上にマウントされたオーディオ・トランスデューサU101を有するオーディオ・デバイスが示されている。デカップリング・システムU103が、トランスデューサU101の周辺部の周りに配置される可撓性及び追従性を有する複数のマウントU103a~cを備える。このデカップリング・マウンティング・システムは、トランスデューサU101とハウジングU102との間において、トランスデューサU101の周辺部のかなりの部分の周りに、また好適にはマウント位置から離れた周辺部全体の周りに、小さい隙間U104を維持するように構成される。さらに図U2を参照すると、トランスデューサU101が、トランスデューサ基部構造U202と、基部構造に移動可能に接続される振動板組立体U201とを備える直線動作トランスデューサである。基部構造U202が有意な厚さによる剛性を有する脚の短い(squat)ジオメトリを有し、移動可能な振動板組立体U201を収容するための実質的に中空の開いたチャンバU215を一方側に有する。このトランスデューサ基部構造組立体が部分U202を備え、磁石U205及びポール・ピースU206a~cで構成される磁石組立体をさらに備える、ことに留意されたい。この実施例では、振動板組立体U201が、強磁性流体により、チャンバU215を基準とした定位置で支持される。当業者には明らかであるような代替的実施例において、チャンバU215内で振動板組立体を支持するのに他の機械的機構が使用されてもよいことが理解されよう。振動板組立体が音を変換するためにチャンバU215内で往復動可能に移動可能である。具体的には、変換機構が、振動板構造U212から、磁石U205によって発生される磁界の中まで及び関連付けられたポール・ピースU206a~cの中まで、側方に延びるコイルU209を有する電磁機構を備える。振動板組立体U201がチャンバに位置合わせされるが連結されず、その結果、振動板構造U212の外周部とチャンバU215の内周部との間で実質的に一様な隙間U203が維持される。したがって、本明細書のセクション2.3のもとで、コンフィギュレーションR5~R7のオーディオ・トランスデューサのところで定義されるように、この実施例のオーディオ・トランスデューサは、周囲の構造と実質的に物理的に連結しない振動板構造を備える。しかし、振動板構造がこの実施例において内側補強材及び/又は外側補強材を有してもよいし有さなくてもよい。
再び図U1を参照すると、デカップリング・システムU103が、オーディオ・トランスデューサの、また具体的にはトランスデューサ基部構造U202の、周辺部の周りに分布する複数のマウントを備える。この実施例では、1対のデカップリング・マウントU103b及び103cが空洞U105周りに配置されて分布し、第3のマウントが基部構造U202の反対の端部/側に配置される。代替的実施例において異なる数のマウントが使用されてもよいことが理解されよう。マウントU103b及びU103cが、振動板構造の付近の空洞U105の外側周囲壁とハウジングU102の内側周囲壁との間で接続される。ハウジングの内側壁が、関連付けられたマウントU103b、U103cに対応してそれらを収容するように構成された凹部を備える。各マウントが、空洞U105の湾曲した外側周囲壁に一致する湾曲する内側端面を備える。また、マウントU103b、103cの反対側の端面が関連付けられたハウジング凹部の内側壁に一致するように湾曲する。第3のデカップリング・マウントU103aが、基部構造の端面とハウジングの内側壁との間で、空洞U105に対してのトランスデューサ基部構造U202の対向面上に配置される。マウントU103aがハウジングの内側壁内の対応する凹部内に配置される。このマウントU103aが、基部構造の実質的に平坦の端面及び凹部の平坦面に一致する実質的に平坦の対向する端面を備える。各マウントU103a~103cの一方の端部が対応する凹部内の対応する溝(図示せず)の中にその場で留まるためにフランジを有する。各マウントU103a~cが対応するハウジング凹部の深さより実質的に大きい厚さを有し、それにより、基部構造の外側周囲壁とハウジングの内側周囲壁との間で、トランスデューサ基部構造の周りに実質的に一様な隙間U104を作る。各マウントU103a~cが、好適には、例えばゴム材料又はシリコーン材料といったような柔らかいプラスチック材料などの、適切な可撓性及び追従性を有する材料から形成される。さらに、マウントは、好適には、両側において、当業者には明らかであろうような接着剤などの任意適切な方法を介して、基部構造及びハウジングに強固に接続される。
マウントU103aがトランスデューサU101のノード軸のところに又はその近くに配置され、このノード軸は、振動板組立体の揺動中における仮想の非支持状態においてオーディオ・トランスデューサがそれを中心として枢動するような軸である。図U2hがこの実施例のオーディオ・トランスデューサのためのノード軸U214の位置を示す。この実例では、ノード軸マウントU103aが、ノード軸から、トランスデューサ組立体/基部構造の長手方向の長さの約10%の距離の範囲内に配置される。代替的形態において、マウントが上述の基部構造組立体の最大寸法の約25%、20%又は15%の距離未満のところに配置されてもよいことが理解されよう。このマウントはいくつかのコンフィギュレーションにおいては遠位マウントU103b及び103cより相対的に低い追従性を有してよい。遠位マウントU103b及びU103cはノード軸から遠位である。遠位マウントU103b及びU103cは、ノード軸から、基部構造の長さの約80~90%の距離のところに配置されるが、これらが代替的実施例において25%又は40%を超える距離のところに配置されてもよいことが理解されよう。遠位マウントU103b及びU103cは上述のノード軸マウントU103aより相対的に高い追従性を有することができる。
性能
本明細書のセクション4.4に記載される性能基準及び設計留意点に適合する追従性プロファイル(compliance profile)を有するように実施例Uのデカップリング・システムを設計した。このオーディオ・トランスデューサのこの性能をシミュレートした。その結果を以下で説明する。
図U2g~mは、この実施例のオーディオ・トランスデューサが仮想の非支持状態でシミュレートされる場合の、約41Hzで発生する基本の振動板共振周波数のFEMモード解析の描写である。この分析では、分析のセットアップをより容易にするために、振動板サスペンションが強磁性流体ではなく薄いシリコンとしてモデリングされることに留意されたい。
図U2i及びU2jに見られ得るように、オーディオ・トランスデューサが、仮想の非支持状態の場合に基部構造U202がそこを中心として回転するノード軸U214を有する。これは、振動板が実質的な直線動作で動くにもかかわらず、オーディオ・トランスデューサが非対称のプロファイルを有することと、振動板組立体及びチャンバU215の位置が基部構造の一方側に配置されることとを原因とする。
図U3c及びU3dが、デカップリング・マウントU103a~c上にマウントされたドライバのFEMモード解析の結果を示す。これらの図は、デカップリング・マウント上でのドライバ基部構造の動きを伴う最大周波数の共振モードを示す。シミュレーションでは、この共振モードが約173Hzで発生した。この事例では、マウントが非対称であり、したがって、一般に、ここでの事例のように、振動板組立体の作動時にすべての共振モードが励起される、ことに留意されたい。また、このシミュレーションではマウントN103a~cの外側面が空間内で固定され、この仮定が、ドライバの周囲及び/又はエンクロージャが比較的高い剛性を有して重い場合に有効となる、ことに留意されたい。
デカップリング・マウント103a~cによって提供されるレベルの追従性は、このオーディオ・トランスデューサが例えば約100Hz~1600HzのFROを有するようなミッドレンジのオーディオ・トランスデューサとして作動されるのに十分であることを意味する。このFROに相当するオクターブ値は4オクターブである。以下のセクション4.3.1で概説される追従性の基準の事例b)を参照すると、FROの下限(100Hz)×2(4/4)=100Hz×2=200Hzである。200Hzはこのオーディオ・トランスデューサの173Hzの最も高い共振モードの周波数より高い。これは、173Hzのモードがデカップリング・マウント上の基部構造の最大周波数共振であることを理由として、デカップリング・マウント上での基部構造のすべての振動モードを200Hz未満の周波数で発生させるのにデカップリング・マウンティング・システムが十分な追従性を有することを意味している。言い換えると、このオーディオ・トランスデューサの共振がFROの下1/4に制限され、それにより、オーディオ・トランスデューサがこの基準によるミッドレンジのトランスデューサとして適するものとなる。
4.3 一般的なデカップリング - 設計留意点
上述のシミュレーションからいくつかの作動原理及び設計留意点が導かれる。効果的なデカップリング・システムを設計するのを補助するために、本明細書のセクション4.2.1~4.2.3で説明されるデカップリング・システムに関連させて、これらの作動原理及び設計留意点を以下で説明する。セクション4.2.1~4.2.3で説明されるデカップリング・システムに対しての代替のデカップリング・システムを設計するのにもこれらの原理及び考慮事項が使用され得ること、並びに、これらの原理及び考慮事項に基づくそのような代替の設計が本発明の範囲から排除されることを意図されないこと、が当業者には明白であろう。特に明記しない限り、本発明のデカップリング・システムを参照することは、セクション4.2で説明される実施例のみではなく、以下の考察に従って設計され得るようなデカップリング・システムも含むものとして解釈されるものとする。
4.3.1 FROの限界の範囲外での又はその近くでの励起モード
妥当性のある性能を得るために、デカップリング・システムが、有意な(基部構造の)動きを引き起こす振動板構造の作動中に有意に励起される基部構造のすべての振動モードを、トランスデューサのFROの範囲外であるか又は少なくともFROの下側周波数範囲のほぼ範囲内にある周波数で発生させるように、設計され得る。
主要な考慮事項は、デカップリング・システムの追従性及び/又は追従性プロファイル、並びに、関連付けられた基部構造組立体(又は、デカップリング構造である他の構成要素)に対してのデカップリング・システムの位置である。デカップリング・システムに関連する「追従性プロファイル」というフレーズは、すべてのデカップリング・マウントに関連する追従性の程度の全体、及び/又は、トランスデューサ組立体上の多様な位置のところに分布するデカップリング・マウントの間での相対的な追従性の程度を含むことを意図される。
例えばいくつかの実施例では、効果的なデカップリングのために、デカップリング・マウンティング・システムの追従性及び/又は追従性プロファイル、並びに、関連付けられた基部構造組立体に対してのデカップリング・マウンティング・システムの位置は、振動板ではないオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分に対しての基部構造組立体の有意な動きを引き起こすための関連付けられたオーディオ・トランスデューサの振動板の作動中に有意に励起されるすべての振動モードを:
a)オーディオ・トランスデューサのFRO;
b)FROの下限×2((FROに相当するオクターブ値)/4)
c)FROの下限×2((FROに相当するオクターブ値)/2)
より低い周波数で発生させるようなものである。
例えば、FROが150Hzから9600Hzである場合、FROはちょうど6オクターブである(9600=150×2である)。この場合、FROに相当するオクターブ値は6である。
上述したように、振動板ではないオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分に対しての基部構造組立体の有意な動きを引き起こすための関連付けられたオーディオ・トランスデューサの振動板の作動中に有意に励起される唯一の共振モードが、64Hzで発生するモードである。これは、64Hz<オーディオ・トランスデューサのFRO(すなわち、<150Hz)であることを理由として、事例a)が適用される、ことを意味する。この事例では、通常作動(150Hz~9600Hz)時にデカップリング・モードが励起されないことを理由としてデカップリング性能が良好なものとなる。
トランスデューサが20Hzから10,240Hzで使用される場合、FROに相当するオクターブ値は9オクターブである。これは、64Hz<FROの下限×2((FROに相当するオクターブ値)/4)=20Hz×2(9/4)=95Hzであることを理由として、上記の事例b)が適用される、ことを意味する。95Hzから10,240Hzの周波数帯はFROの3/4を含むことから、FROの大部分にわたってトランスデューサが依然として分離されることになり、これは、性能が依然としてごく良好なものであることを意味する。
4.3.2 ノード軸位置の変化を最小にする
実際には、高性能のデカップリング・マウンティング・システム内にマウントされるトランスデューサは、作動中に動くようなトランスデューサ・ノード軸位置を有する可能性がある。比較的低い周波数範囲では(FROを基準として)、トランスデューサ基部構造及び存在する場合のノード軸位置の動きは、主として、デカップリング・マウンティング・システムの機械的制約(マウントA504、A505及びA501のところの相対的な追従性)によって画定される(本明細書では、「第1の作動状態」と称される)。一般に、トランスデューサの仮想の非支持状態での動きと比較すると、トランスデューサ基部構造の動きは多様であり、ノード軸が存在する場合には変化する。
この低い周波数範囲から外れる周波数では、トランスデューサ基部構造及び存在する場合のノード軸位置の動きは、主として、トランスデューサ基部構造に加えられる力(振動板の揺動からの反力及び/又は共振力)の位置及び向きにより、並びに、基部構造組立体の質量分布により、画定される(本明細書では、「第2の作動状態」と称される(通常、仮想の非支持状態でのノード軸位置と同じ))。
上記のセクション4.2.1で説明されるデカップリング・システムは、ノード軸位置の変化の側面を含めた、このような動きの変化に抵抗するか又はこのような動きの変化を有意に低減する。デカップリング・システムは、より低い追従性を有するデカップリング位置のところでの並進運動を最小にするか又は防止するためにFROの範囲内でのノード軸位置の動きを最小にするか又はなくすように、設計される。
第1及び第2の両方の作動状態においてデカップリング・マウンティング・システム内にマウントされるすべてのトランスデューサがノード軸を有するわけではない。その理由は、関連の共振モードが一方の又は両方の状態において単純な並進である可能性があるからである。第2の作動状態はFROの大部分の帯域幅においての好適な作動モードであり、これは、具体的には、デカップリングが効果を発揮していない場合に、トランスデューサから分離されるハウジング又はバッフル又はエンクロージャなどが、励起される可能性がある共振を有するような周波数におけるものである。第2の作動状態のトランスデューサ・ノード軸が存在する場合、第1の作動状態においてこの軸の位置を大きく変化させないようにするように、又は、少なくとも、そのような軸のいかなる変化も比較的低い周波数(FROを基準とする)において起こるようにするように、デカップリング・マウンティング・システムを設計することが好ましい。
これは、本発明の実施例Aのオーディオ・トランスデューサの事例で説明したように、ノード軸マウントA504、A505すなわち比較的低い追従性を有するマウントによってなされる支持の大部分が、仮想の非支持状態(この状態は「第2の作動状態」に相当する)において並進しないトランスデューサの軸のところに又は少なくともその近くに位置するような場合に、達成される。
実施例Aのオーディオ・トランスデューサが、第2の作動状態のトランスデューサ・ノード軸位置の近くでなされる支持の大部分を有さないようなデカップリング・マウンティング・システムを使用する場合、より高い周波数のトランスデューサ/デカップリング・システムの共振モードのうちの1つ又は複数の共振モードが強く励起されることになり、さらに、このような励起により、第2の作動状態から第1の作動状態への移行時にノード軸位置が変化することになる。ノード軸マウントのところの回転追従性(rotational compliance)が比較的低いままである場合、遠位マウントA501の追従性を基準として、ノード軸マウントA504及びA505のところでのデカップリング・システムの並進的追従性が十分に高いことにより、第1の作動状態さらには第2の作動状態においてこの位置がノード軸となる。これは、第2の作動状態から第1の作動状態への移行(及び、その逆も)が、より柔らかい遠位マウントの追従性の影響を主として受けるような低い周波数(FROを基準とする)で起こることを意味する。
例えば、準最適なデカップリング・コンフィギュレーションは、並進的な振動板の作動を有して回転対称性を呈するが非対称のデカップリング・マウント追従性(decoupling mount compliance)を有する標準的な円錐形の振動板ドライバであってよい。このシステムは、トランスデューサ・ノード軸を有さない第2の作動状態及びトランスデューサ・ノード軸を有する第1の作動状態を示すことができ、第2の状態から第1の状態への移行が比較的高い周波数において起こり得る。この事例では、デカップリング・システムが、比較的高い周波数で発生するような強く励起される1つ又は複数のモードを作り出し、この周波数を十分に超える場合以外では、ハウジング又はバッフル又はエンクロージャなどの中まで振動が通過するのを効果的に防止することができない可能性がある。
デカップリング・システムの有効性は、デカップリング・システムが伝達する振動の程度に関係する。デカップリング・システムの追従性により共振モードが作り出されるような周波数あたりで振動伝達が強まる可能性があり、さらには非デカップリング・システムの場合のレベルを超えるまで強まる可能性もある。デバイスがこのような周波数を超えて作動されることが最適であるが、これは常に実際的であるというわけではない。そのような周波数あたりで及びそれ未満で、トランスデューサ・ノード軸の位置がデカップリング・マウンティング・システムの機械的制約によって画定されるか又は部分的にその影響を受ける。
いくつかの実施例では、デカップリング・マウンティング・システムの追従性及び/又は追従性プロファイル、並びに、関連付けられた基部構造組立体を基準としたデカップリング・マウンティング・システムの位置は、基部構造組立体が:
a)オーディオ・トランスデューサのFROの下限;
b)FROの下限×2((FROに相当するオクターブ値)/4)
c)FROの下限×2((FROに相当するオクターブ値)/2)
のうちの任意の1つ又は複数よりも概略高い作動周波数を受けるときにオーディオ・トランスデューサが第2の作動状態で作動することになるようなものである。
これは、デカップリング・システムの共振と、マウンティング・システムが効果的に分離されないときの周波数とを、FROと比較して、また好適には人間の耳が最も敏感である400Hzから4kHzの周波数帯域とも比較して、低い周波数のところで発生させるように、デカップリング・マウンティング・システムが十分に高い追従性を有する場合に、音質が改善される、ことを理由とする。
シミュレートされる実施例Aのオーディオ・トランスデューサは、最大周波数の第6のデカップリング・モード(479Hz)より例えば1オクターブ高いといったようにそれより十分に高い周波数において第2の作動状態で作動し、したがって第2の作動状態では479Hzより1オクターブ高くなり、すなわち958Hzを超える。このシナリオは最適なデカップリング性能を維持する。しかし、示されるように、マウントがA14などのように慎重に設計される特別な事例において、より低い周波数でも良好な性能が達成され得る。具体的には、システムA14が例えば128Hzの低さといったように64Hzの近くの低さで作動される場合、この帯域幅でデカップリング・モードがわずかにのみ励起されることになり、したがって、ドライバがその第1の作動状態へと移行するにもかかわらずオーディオの劣化はわずかなものにとどまる。
説明されるように、デカップリング・マウント及びデカップリング追従性(decoupling compliance)が第1の作動状態でのトランスデューサ・ノード軸を第2の作動状態での位置と等しくするように構成される場合、デカップリング・システムによって最適な切り離しが実現される。実際には、公差が見込まれることから、第1の作動状態でのトランスデューサ・ノード軸を第2の作動状態の位置に非常に接近するもの/隣接するものとするようにデカップリング・マウント及びデカップリング追従性が構成される場合、デカップリング・システムにより十分な切り離しが実現されることになる。
いくつかの実施例では、デカップリング・マウンティング・システムが、第2の作動状態でのトランスデューサ・ノード軸から、基部構造組立体の最大寸法の25%、より好適には40%の距離を超えるところに配置される1つ又は複数の遠位マウントを有する。基部構造組立体をマウントするところの構成要素を基準とした基部構造組立体の動きが高い確実性で有意なものであることから、遠位マウントが追従性を有し、ノード軸マウントと比較してトランスデューサに対しての支持の大部分を提供しない、ことが好ましい。遠位マウントの目的は、主として、通常作動時にオーディオ・デバイスのハウジング又は何らかの他の部分にトランスデューサが触れるのを防止するような何らかのセンタリング能力を提供することである。好適には、遠位マウントは集合的に十分な追従性を有し、したがって、残りのすべてのデカップリング・マウンティング・システムのマウントが取り外される場合の、オーディオ・トランスデューサの作動の経過中に有意に励起される、基部構造組立体をマウントしているところの構成要素を基準とした基部構造組立体の動きを伴うような基部構造組立体のすべての共振モードの周波数が:
a)オーディオ・トランスデューサのFRO;
b)FROの下限×2((FROに相当するオクターブ値)/8)
c)FROの下限×2((FROに相当するオクターブ値)/4)
より低くなる。このような共振モードの周波数を計算する適切な方法は、有限要素法分析を使用するコンピュータ・モデルを介するものである。
4.4.3 種々のデカップリング材料及びコンフィギュレーション
デカップリング・マウンティング・システムは、2つの部分の間での振動の機械的伝達を有益に軽減することを目的として、オーディオ・デバイスの1つの部分から別の部分への適切な追従性を有する支持を実現するための多種多様な材料及びコンフィギュレーションを有することができる。例えば、デカップリング・マウンティング・システムが、ゴム、シリコン若しくは粘弾性ウレタン重合体、又は、柔らかいプラスチック材料から形成される他の部材、などの可撓性及び/又は弾性を有する材料を有することができる。デカップリング・マウンティング・システムが強磁性流体を有することができ、この流体が磁界の適用により定位置で保持され得る。デカップリング・マウンティング・システムが磁気反発力を使用することができ、可能性として、1つの部分上の磁気要素が別の部分上の別の磁気要素と反発する。別のコンフィギュレーションでは、デカップリング・マウンティング・システムが、第1の構成要素と第2の構成要素との間での支持をなすための流体又はゲルを有することができる。流体又はゲルは可撓性材料を有するカプセルに入れられ得る。別法として又は加えて、マウンティング・システムのうちの少なくとも1つが、金属ばね又は他の金属弾性部材などの、可撓性及び/又は弾性を有する部材又は要素を有することができる。
いくつかの実施例では、デカップリング・マウンティング・システムが、摂氏24度において、0.2を超える、又は0.4を超える、又は0.8を超える、又は最も好適には1を超える機械的な損失係数を有する可撓性材料を有する。これは、デカップリング・マウント上で動くドライバを伴う共振モードがより良好に制御され得ることを意味する。
4.4 デカップリングと組み合わされる好適なオーディオ・トランスデューサの特徴
上で言及したように、例えばセクション4.2の実施例のもとで説明したような本発明のデカップリング・マウンティング・システム、及び/又は、セクション4.3で概説される考察に従って当業者によって設計され得る任意の他のデカップリング・システムの実施例が、以下の特徴:
・本明細書のセクション2.2のコンフィギュレーションR1~R4の振動板構造で説明されるような、若しくは、セクション2.3のコンフィギュレーションR5~R7のオーディオ・トランスデューサのもとで説明した振動板構造の場合のような、共振制御に対して剛性によるアプローチを採用する厚くて高い剛性を有する振動板、
・本明細書のセクション2.2.1のもとで実施例Aのオーディオ・トランスデューサに関して説明したような高い剛性及びロバスト性のジオメトリを有する基部構造、
・本明細書のセクション2.3のもとで説明したオーディオ・トランスデューサのところで定義されるような自由周辺部の(free periphery)振動板、並びに/又は、
・本明細書のセクション3.2若しくは3.3のもとで定義されるような、ヒンジ・システムを有する回転動作トランスデューサ、
のうちの1つ又は複数の特徴(ただし、好適にはすべての特徴)の任意の組合せを有するオーディオ・トランスデューサに好適には組み込まれる。
これらの特徴とデカップリング・システムとの組合せを、(主として)本明細書のセクション4.2.1で説明されるデカップリング・システムを組み込む実施例Aのオーディオ・トランスデューサを参照して説明する。しかし、説明される以下のオーディオ・トランスデューサの特徴が、本発明の範囲から逸脱することなく、セクション4.2.2若しくは4.2.3で説明されるような又はセクション4.3で概説される基準に従って設計され得るような任意の他のデカップリング・システムに組み合わされ得ることが理解されよう。
4.4.1 高い剛性を有する振動板と組み合わされるデカップリング
上で言及したように、共振制御に対して剛性によるアプローチを採用する有意に厚くて高い剛性を有する振動板構造(例えば、セクション2.2のもとでコンフィギュレーションR1~R4の振動板構造のために定義されるような)がドライバのエンクロージャから十分に分離される場合、エンクロージャの共振及び振動板の共振のいずれも作動帯域幅の範囲内でのオーディオ再生を不明瞭なものとしない。したがって、本発明のデカップリング・システムは、好適には、例えば本発明のコンフィギュレーションR1の振動板構造に関連して説明したような高い剛性を有する振動板構造を有するオーディオ・トランスデューサを有するオーディオ・デバイスに組み込まれる。このオーディオ・トランスデューサの実例のコンフィギュレーションR1の振動板構造の特徴及び態様は、参照により組み込まれる本明細書の高い剛性を有する振動板のセクションで詳細に説明される。以下では、簡潔さのために、この振動板構造の簡単な説明のみを行う。
図A2及びA15を参照すると、一実施例において、本発明の上述のデカップリング・システムのうちの1つを組み込むオーディオ・デバイスが、サンドイッチ型の振動板構成を有するコンフィギュレーションR1の振動板構造A1300を有するオーディオ・トランスデューサをさらに備える。この振動板構造A1300が、有意に軽量なコア/振動板本体A208と、作動中の本体の面のところで又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗するための、振動板本体の主面A214/A215のうちの少なくとも1つの主面に隣接して振動板本体に接続される外側垂直応力補強材A206/A207とで構成される。垂直応力補強材A206/A207が本体の外側の少なくとも1つの主面A214/A215上に接続され得るか(示される実例のように)、又は別法として少なくとも1つの主面A214/A215に直接に隣接して実質的に近位である形で本体内に接続され得、それにより作動中に圧縮-引張応力に十分に抵抗する。垂直応力補強材が、作動中にボディが受ける圧縮-引張応力に抵抗するために、振動板本体A208の対向する前方主面A214及び後方主面A215の各々の上にある補強部材A206/A207を備える。
振動板構造A1300が、作動中に本体が受けるせん断変形に抵抗するために及び/又はそのせん断変形を実質的に軽減するために、コアに埋め込まれ、主面A214/A215のうちの少なくとも1つの主面に対してある角度で向けられる少なくとも1つの内部補強部材A209をさらに備える。内部補強部材A209が、好適には、外側垂直応力補強部材A206/A207のうちの1つ又は複数に取り付けられる(好適には、両側に(すなわち、各主面のところに))。内部補強部材が、作動中に本体が受けるせん断変形に抵抗するように及び/又はそのせん断変形を軽減するように機能する。好適には、振動板本体のコア内に分布する複数の内部補強部材A209が存在する。
コアA208が、3次元的に変化する相互連結構造を備える材料から形成される。コア材料が、好適には、発泡体、又は、規則正しい3次元格子構造の材料である。コア材料が複合材料を含むことができる。好適には、コア材料が発泡ポリスチレン・フォームである。
振動板が、トランスデューサのFROを超えての作動中に実質的な剛体形態を維持する十分に高い剛性を有する振動板本体を備える。
好適には、振動板本体が、回転軸までの本体の最大長さ寸法の少なくとも11%である最大厚さを有する。より好適には、最大厚さが、回転軸までの本体の最大長さ寸法の少なくとも15%である。
いくつかの実施例では、振動板本体の厚さが先細りにされて、厚さを遠位領域に向かって減少させる。他の実施例では、振動板本体の厚さが段をつけられて、振動板組立体の質量中心の遠位である領域に向かって厚さを減少させる。
いくつかの実施例では、この例示のトランスデューサの振動板構造の内部応力補強材が、コンフィギュレーションR5~R7のオーディオ・トランスデューサのもとで説明される振動板構造の場合のように、排除されてもよい。
4.4.2 自由周辺部タイプのオーディオ・トランスデューサと組み合わされるデカップリング
上で言及したように、例えばセクション2.3のもとで定義されるように、少なくとも部分的に周囲の構造と物理的に連結しない周辺部を備える振動板構造を有するオーディオ・トランスデューサが、オーディオ・ドライバのエンクロージャから十分に分離される場合、エンクロージャの共振及び振動板サスペンションの共振の両方が作動帯域幅内にて低減又は排除され得、それによりオーディオ再生を不明瞭なものとするのを防止するのを補助する。
少なくとも部分的に自由周辺部を有する(at least partially free periphery)振動板構造のための振動板サスペンションは、振動板全体の追従性及び可動域を必要以上に損なわせることなく、共振に対して幾何学的により高いロバスト性を有するように作られ得る。また、振動板サスペンションは小さい面積を有することから、発生する可能性のあるいかなる共振の可聴性も低減する。したがって、いくつかの実施例では、本発明のデカップリング・システムが、好適には、参照により組み込まれる本明細書のセクション2.3のもとで説明される自由周辺部タイプの振動板を備えるオーディオ・トランスデューサに組み込まれる。
以下では、簡潔さのために、好適な構造の簡単な説明のみを行う。好適なコンフィギュレーションでは、デカップリング・システムが、本明細書のセクション2.3のコンフィギュレーションR5~R7のもとで説明されるようなオーディオ・トランスデューサのコンフィギュレーションに組み込まれる。
図A2を参照すると、この実例のオーディオ・トランスデューサが、振動板の周囲のサスペンションを排除すること及び振動板本体縁部の近くの外側垂直応力補強材の質量を低減することを同時に行うことにより、改善される振動板分割挙動を実現するように構成される。この実例のオーディオ・トランスデューサは、周囲の構造と少なくとも部分的に物理的に連結しない周辺部を備える振動板構造を有する振動板組立体である。また、振動板構造が、好適には、振動板組立体の質量中心から離れた関連付けられた主面の1つ又は複数の周辺縁部領域に向かって質量が低減するような外側垂直応力補強材を備える極めて軽量な振動板本体を備える。示される実例では、振動板組立体の質量中心がコイル巻線などの力伝達構成要素の近位に配置されるが、これが組立体の設計に応じて他の場所に配置されてもよいことが理解されよう。
振動板組立体A101が、外側垂直応力補強材によって補強される1つ又は複数の主面を備える本体を有する振動板構造A1300を有する。振動板構造の垂直応力補強材が、振動板組立体の質量中心位置から遠位である1つ又は複数の領域のところの質量を比較的小さくするような質量分布を有する。垂直応力補強材内での質量の低減に加えて、振動板構造が、その場でハウジングA601の内部と実質的に物理的に連結しない周辺部を備える。この実例では、周辺部は概して全体がハウジングと物理的に連結しないが、いくつかの変形形態では、周辺部はまた、周辺部の長さの少なくとも20%、30%、50%又は80%に沿って連結しなくてもよい。
この実例では、補強されない表面の他の部分をそのままにして外側応力補強材を提供するのに一連の支柱が利用されるが、他の形態の補強材が利用されてもよいことが理解されよう。支柱は振動板構造の基部領域に接近するところでより幅広であり(組立体の質量中心位置の近位である回転軸の近く)、振動板本体の関連付けられた主面の長さの中間のところでは(例えば、振動板本体の主面のほぼ半分)、主面先端部の反対側の周辺縁部に向かっての垂直応力補強支柱の幅が縮小し、質量を低減する。
また、このオーディオ・トランスデューサは1つ又は複数の振動板構造の周辺領域のところで低減される質量を有し(ここでは、連結される振動板サスペンションが存在しないか又は最小となる)、それにより、振動板の残りの部分を通しての連続的な除荷が実現され、内部コアのせん断の問題に対してさらなる対処がなされることになる。
好適には、エンクロージャ内部と連結しない振動板構造の1つ又は複数の周辺領域とエンクロージャ内部との間に小さい空気間隙が存在する。好適には、空気間隙のサイズは振動板本体の長さの1/20未満である。好適には、空気間隙のサイズは1mm未満である。
一実施例では、振動板が、本体の最大長さ寸法の少なくとも11%、より好適には少なくとも14%の最大厚さを有する振動板本体を備える。
これらの特徴により作動帯域幅で最小の共振を作り出すドライバが得られ、したがってこのドライバは作動帯域幅内において非常に低いエネルギー蓄積特性を有する。
4.4.3 コンパクトで高いロバスト性を有する基部構造と組み合わされるデカップリング
上で言及したように、オーディオ・ドライバの基部構造が、剛体材料から作られてコンパクトでロバスト性の高いジオメトリを有することを理由として比較的共振フリーである場合(例えば本明細書のセクション2.2.1で定義されるように)、エンクロージャの共振又は基部構造の共振のいずれも作動帯域幅内でオーディオ再生を不明瞭なものとしない。この基部構造A115の特徴及び態様は、参照により組み込まれる本明細書のセクション2.2.1で詳細に説明される。以下では、簡潔さのために、基部構造を簡単にのみ説明する。
図A1を参照すると、いくつかの実施例で、本発明のデカップリング・システムが、比較的高い比弾性率の特性を有する1つ又は複数の構成要素/部分から構成されるトランスデューサ基部構造A115を備えるオーディオ・トランスデューサを有するオーディオ・デバイスに組み込まれる。トランスデューサ基部構造A115が、それが有することになるいかなる共振モードもトランスデューサのFROの範囲外で好適には発生させるような著しく高い剛性を有するように設計される。このタイプの設計の例として、磁石A102並びにポール・ピースA103及びA104で構成されるトランスデューサ基部構造A115の主部分(基部構造の質量の大部分)がある。磁石A102並びにポール・ピースA103及びA104が、好適には、トランスデューサ基部構造A115の著しく高い剛性を有する脚の短いボディを作り上げる。
後でさらに詳細に説明されるように、基部構造組立体が実質的に非拘束であるとき、基部構造が、大きい回転成分を有する動作と共に動くような質量分布を有する。例えば、トランスデューサが十分に高い周波数で作動され、その結果、デカップリング・マウンティング・システムのスティフネスを無視しても構わないか又は無視しても構わない程度にするとき、基部構造組立体が実質的に非拘束である。
基部構造A115が電磁アクチュエータ機構の部分を備え、これには、磁石体A102、並びに、磁石体A102の一方の端部のところで対向し且つ分離されるポール・ピースA103及びA104が含まれる。ポール・ピースが磁石体A102の両側に接続される。細長い接触バーA105がポール・ピースの間に形成される隙間内で磁石体に跨って横方向に延びる。接触バーA105が一方側で磁石体に接続され、反対側で振動板組立体A101に接続される。接触バーA105が、振動板組立体A101に接続される側よりも、磁石A102に接続される側でより大きい接触面積を有するように形成される。セクション4.2.1のデカップリング・システムの1対のデカップリング・ピンA107及びA108が磁石体A102の両側から側方に突出し、その場で、基部構造A105を、関連付けられたハウジングに枢動可能に接続するように構成される。基部構造A115が、ネオジム(NdFeB)の磁石A102、鋼のポール・ピースA103及びA104、鋼の接触バーA105、並びに、チタンのデカップリング・ピンA107及びA108を備えることができる。トランスデューサ基部構造A115のすべての部分が、例えばエポキシベースの接着剤などの、接着剤を使用して連結され得る。
この実例では、トランスデューサが、基部構造A115を基準としてニュートラルな回転位置まで振動板組立体A101を付勢するための、振動板組立体A101に作動可能に接続される復元/付勢機構をさらに備える。好適には、ニュートラルな位置が、往復動する振動板組立体A101の実質的に中央の位置である。この実施例の好適なコンフィギュレーションでは、トーション・バーA106の形態の振動板センタリング機構がトランスデューサ基部構造A115を振動板組立体A101にリンクし、トランスデューサ基部構造A115を基準とした平衡位置へと振動板組立体A101をセンタリングするのに十分な強さを有する復元力/付勢力を提供する。このコンフィギュレーションでは、復元力を提供するのにねじりばねが利用されるが、代替のコンフィギュレーションにおいて、回転復元力(rotational restoration force)を提供するのに、当技術分野でよく知られる他の付勢構成要素又は付勢機構が利用されてもよいことが理解されよう。
接触バーA105が端部タブA303(図A3に見られるような)のところでトーション・バーA106に連結され、強固な形でのこの連結を促進するためには、接触バーA105が、トランスデューサ基部構造の高い剛性を有する脚の短いボディを作り上げている磁石A102並びに外側ポール・ピースA103及びA104から離れて外向きに突出していなければならない。トーション・バーA106が、基部構造A115に最も近い組立体A101の端部のところ又はその付近で、振動板組立体A101の側部から側方に実質的に直角に延びる。
接触バーA105は比較的細長く、したがってそれに応じて共振しやすい。これを最小にするために、接触バーA105が先細りにされ、屈曲するときに最大に変位するところの端部タブA303の近くの質量を減少させ、また、脚の短いボディによって提供される支持の相対的な剛性を、突出部の基部に向かう方向に増大させ、ここでは、いかなる変形も端部タブのエリアの変位を最大にする。接触バーはまた、接着性物質に関連する追従性を最小にするために磁石A102に対してのその連結部のところで、多様な平面の向きにおいて、大きい表面積を有する。その理由は、接着性物質(エポキシ樹脂)が約3GPaの比較的低いヤング率を有するからである。
トランスデューサ基部構造A115が振動板の一方の端部に面するようにマウントされることから、振動板の前方主面A214及び後方主面A215の両方が障害物を有さず、それにより空気流れが最大となり、また、トランスデューサ基部構造、振動板及びハウジングA601などの、構成要素の間に含まれる多量の空気によって引き起こされる空気共鳴が最小となる。
4.4.4 回転動作ドライバと組み合わされるデカップリング
回転動作及び力伝達構成要素
回転動作トランスデューサが固有の共振を有するエンクロージャ又は他の構造に強固にマウントされる場合、これらの共振は、線形の振動板の動作を有するドライバによる共振の場合とほぼ同じような形でドライバによって励起される可能性があり、それにより望ましくないエネルギー蓄積が起こる。回転動作ドライバの場合、この蓄積されるエネルギーが、振動板組立体ヒンジ・システムを介してエンクロージャから振動板に送られる可能性がある。その理由は、ヒンジ機構が、1つの回転基本モードに関して通常は非常に高い追従性を有するにもかかわらず、並進変位に対してのそれらの固有の抵抗性によりエネルギーを伝達するからである。
このプロセスでは、振動の振幅が、相対的に重いエンクロージャ・パネル及びトランスデューサ基部構造の構成要素と軽量の振動板との間のインピーダンス不整合により機械的に増幅される可能性がある。
したがって、共振傾向のある構造(resonance-prone structure)から振動板構造への振動の伝達を低減するデカップリング・システムを備える回転動作オーディオ・デバイスを構成することには利点がある。例えば、1つの有用な実施例は、ロバスト性を有してコンパクトであるエンクロージャ内に強固にマウントされる回転動作トランスデューサを有するヘッドホンであり、ここでは、トランスデューサ/エンクロージャ全体が、共振傾向のある大きいヘッドバンドからトランスデューサ/エンクロージャ・システムを分離するためのデカップリング・システムにより、低共振システムであるか又は実質的に共振フリーである。このコンフィギュレーションは、(聴取者の耳から偶然に離れ、直接に音を発することができない)ヘッドバンドの中まで振動が通過し、内部のヘッドバンド共振モードを介して蓄積され、振動板を介して聴取者の耳の中へ解放される、のを防止する。
図A1及びA2を参照すると、いくつかの実施例で、本発明のデカップリング・システムが、回転動作トランスデューサを有するオーディオ・デバイスに組み込まれる。組み立てられた状態では、トランスデューサが、振動板A101がそこに接続されてそこを基準として回転するところの基部構造A115を備える。基部構造A115が、動作中に基部構造を基準として振動板を回転させるためのアクチュエータ機構の少なくとも一部分を有する。オーディオ・トランスデューサのこの実例では、電磁アクチュエータ機構が動作中に振動板を回転させ、基部構造A115が磁石体A102を備え、磁石体A102が、振動板A101の付近の磁石体A102の端部のところで対向し且つ分離されるポール・ピースA103及びA104を備える。電磁機構のコイルがポール・ピースA103及びA104の間に位置し、振動板A101の作動端部に接続される。
図A2を参照すると、より厚い端部である振動板A101の一方の端部がそこに取り付けられる力発生構成要素A109を有する。本明細書で説明されるデカップリング・マウンティング・システムを使用することにやはり関連する、好適な一形態では、変換機構が、望ましくない共振モードの機会を最小にするために、振動板構造A1300に直接に強固に連結される力伝達/発生構成要素(例えば、モータ・コイル巻線A109又は磁石)を備える。別法として、力伝達/発生構成要素が、1つ又は複数の中間構成要素を介して振動板構造A1300に強固に連結され、力伝達構成要素と振動板本体との間の距離が振動板本体の最大寸法の75%未満である。より好適には、この距離が、振動板本体の最大寸法の、50%未満、35%未満又は25%未満である。この近接性が構造の剛性を補助し、望ましくない共振モードの機会をやはり最小にする。
力発生構成要素に接続される振動板構造A1300が振動板組立体A101を形成する。この実例では、力発生構成要素が、2つの長辺A204及び2つの短辺A205で構成される概略の長方形の中に巻かれるコイル巻線A109である。スペーサが、振動板構造A1300のより厚い方の基部端部に対して相補的であるプロファイルを有し、したがって、オーディオ・トランスデューサ/振動板組立体の組み立てられた状態において、振動板構造の厚い端部の周辺縁部の周りを延びることになるか又はその付近で延びることになる。スペーサA110が、ヒンジ組立体A301の一部分を形成する鋼のシャフトA111に取り付けられる/固定的に接続される。振動板本体A208の基部端部/厚い端部のところに配置されるこれらの3つの構成要素の組合せが、実質的にコンパクトでロバスト性の高いジオメトリを有する振動板組立体の、高い剛性を有する振動板基部構造を形成し、それにより、振動板組立体のより軽量な方のウェッジ部分を強固に取り付けるところの頑丈で耐共振性を有するプラットホームを作る。
回転動作オーディオ・トランスデューサでは、変換機構が回転軸に比較的近いところに配置される場合、最適な効率が得られる。これは、望ましくない共振モードを最小にすることに基づく本発明の目的において良好に機能し、また具体的には、回転軸に接近させて励起機構を配置することにより、振動板組立体の回転の慣性を過度に増大させることなく、比較的重くてコンパクトな構成要素を介してのヒンジ機構への強固な連結を可能にする、という上で言及した考えにおいて、良好に機能する。この事例では、コイルの半径が約2mmであってよいか、又は振動板本体の長さA211の約13%であってよいが、効率を最適化するための他の半径も考えられる。
最大化される振動板の可動域を介して及び共振の受けやすさを低減することを介してハイファイ・オーディオ再生を実現するためのトランスデューサの能力を最大化するために、回転軸から測定される、振動板本体の長さA211に対しての、力伝達構成要素又は力発生構成要素A109の取り付け位置の半径の比が、好適には0.5未満であり、最も好適には0.4未満である。これも効率を最適化するのを補助することができる。
高い剛性を有するヒンジ(少なくとも1方向において)
好適には、振動板組立体が、少なくとも1つの並進方向において高い剛性を有するヒンジ組立体により支持され、これには、振動板の分割周波数を実質的に増大させるのに必要な高い剛性を有する支持体が提供されることになるという利点がある。本明細書のセクション3.2及び3.3において本明細書で説明される接触ヒンジ(contact hinge)組立体及びたわみヒンジ組立体が、本発明のデカップリング・システムとの組合せで使用され得るような2つのヒンジ式機構である。
ヒンジ組立体は好適にはいくつかの方向において極めて高い剛性を有し、その結果、少なくとも1つの軸に沿っての、又はより好適には実質的に直交する少なくとも2つの並進軸に沿っての、又はさらにより好適には実質的に直交する3つの並進軸に沿っての、振動板組立体と関連付けられた基部構造との間での相対的な並進が十分に防止されることになる。
また、ヒンジ組立体は好適にはいくつかの方向において極めて高い剛性を有し、その結果、組立体の意図される回転軸を除いた、少なくとも1つの軸を中心とした、又はより好適には実質的に直交する少なくとも2つの軸を中心とした、振動板組立体と関連付けられた基部構造との間での相対的な回転が十分に防止されることになる。
接触ヒンジの形態
上記のセクション4.5.1で説明されるような回転動作オーディオ・トランスデューサ及び本発明のデカップリング・システムを有するこのオーディオ・デバイスの実施例の一形態では、オーディオ・トランスデューサが、振動板組立体A101をトランスデューサ基部構造A115に枢動可能に接続する、セクション3.2で説明されるような接触ヒンジ機構をさらに備える。接触ヒンジ・システムに関連する設計原理及び設計留意点並びに例示の実施例の完全な説明が本明細書のセクション3.2で提供される。本記述に基づいて設計される任意の接触ヒンジ機構が、当業者には明白な形で、このデカップリング・システムと共に使用され得ることが理解されよう。簡潔さのため、この説明が以下で繰り返されることはなく、実施例Aのオーディオ・トランスデューサで示される1つの例示の接触ヒンジ・システムの簡単な説明のみを行う。
図A1及びA2を参照すると、一形態において、回転動作トランスデューサが、ヒンジ・システムを介してトランスデューサ基部構造A115に枢動可能に接続される振動板組立体A101を備える。ヒンジ・システムが振動板組立体A101とトランスデューサ基部構造A115との間に転動接触(rolling contact)を形成し、その結果、振動板組立体A101が基部構造A115を基準として回転することができるか又はロック/揺動することができる。この実例では、ヒンジ・システムが、接触面を有する長手方向接触バーA105(図A1fで最も良好に見られる)である接触部材に対して旋回する、長手方向ヒンジ・シャフトA111である少なくとも1つのヒンジ要素を有するヒンジ組立体A301を備える。この実例では、ヒンジ要素A111が、ヒンジ要素の一方側において接触領域A112のところに実質的に凸形に湾曲した接触面又は頂点を備え、接触領域A112のところの接触バーA105の一方側の接触面が実質的に平面又は平坦である。代替のコンフィギュレーションにおいて、ヒンジ要素A111又は接触部材A105のいずれか一方が、凸形に湾曲した接触面を一方側に備えることができ、接触バー又はヒンジ要素のもう一方の対応する表面が、平坦な表面、凹形表面、又は、より緩い凸形の表面(相対的により大きい曲率半径を有する)を備えることができ、それにより、もう一方の表面に対して一方の表面が旋回することが可能になることが理解されよう。
ヒンジ要素A111及び接触部材A105の構成要素が、ヒンジ・システムの付勢機構により一定程度の追従性を有するように加えられる力により、実質的に一定に接触する状態で保持される。付勢機構はヒンジ要素の一部であってよいか又はヒンジ要素とは別個の要素であってもよい。実施例Aのオーディオ・トランスデューサの実例では、ヒンジ式システムの付勢機構が、対向するポール・ピースA103及びA104を備える磁石A102を有する磁石ベースの構造であり、磁石A102が、所望のレベルの追従性を有するような形で接触部材に対してヒンジ要素を押圧するように機能する。この付勢機構により、ヒンジ要素A111及び接触部材A105がオーディオ・トランスデューサの動作中に物理的接触を確実に維持するようになり、また好適には接触部材とヒンジ要素との間の相対運動に対して十分な追従性を確実に有するようにもなり、その結果、ヒンジ組立体が、また具体的には動いているヒンジ要素が、接触面の製造のばらつき若しくは欠陥部分などのファクタを原因とする、及び/又は、例えばヒンジ組立体の製造中若しくは組み立て中に組立体の中に誤って導入される可能性があるダスト若しくは他の異物を原因とする、動作中に存在し得る転がり抵抗を受けにくくなる。このようにして、ヒンジ要素A111が、動作中の振動板の回転動作に有意に影響することなく接触部材に対して継続的に旋回することができ、それにより、それ以外の場合で起こり得るような音の乱れを和らげることができるか又は少なくとも部分的に軽減することができる。
付勢機構は、接触部材A105に接触させた状態でヒンジ要素A111を保持することを目的として、振動板構造の長手方向軸に実質的に平行である、及び/或いは、接触領域若しくは接触線(line of contact)A112又はヒンジ要素A111の頂点に接する平面に対して実質的に垂直である、方向に力を加えるように構成される。また、付勢機構は、抵抗を最小にして、旋回するヒンジ要素がヒンジ組立体の接触面の間に存在する欠陥部分又は異物を越えて動くのを可能にするように、少なくともこの方向において十分な追従性を有し、それにより、動作中の、接触部材上でのヒンジ要素の滑らかで十分に平静な旋回動作が可能となる。言い換えると、付勢構造の追従性が向上することで、ヒンジが、完全に滑らかで干渉を受けない接触面を有するヒンジ組立体の場合と同様に作動することが可能になる。
図A3aを参照すると、この実施例で、ヒンジ組立体A301が、接触平面に対して実質的に垂直な方向において振動板構造A101を定位置で保持するように作動可能であるリガメントA306及びA307を備える。
ヒンジ要素A111は、動作中、中央のニュートラルな回転位置の好適には両側に配置される2つの最大回転位置の間で接触部材に接触して枢動するように構成される。この実施例では、ヒンジ組立体A301が、振動板に励起力が加えられない場合にヒンジ及び振動板組立体を、その基本共振モードを基準としての所望のニュートラルな回転位置又は所望の平衡回転位置まで復元するための復元機構A106(図A1aに示される)をさらに備える。復元機構が、振動板組立体をニュートラルな回転位置に向かって付勢するための任意の形態の弾性手段を有することができる。この実施例では、トーション・バーA106が復元/センタリング機構として利用される。実施例Eに関連して本明細書で説明されるような形態などの、別の形態では、復元機構及び力の一部分又はすべてが、接触面のジオメトリにより、並びに、付勢機構によって加えられる付勢力の位置、向き及び強さにより、ヒンジ接続部内に提供される。同じ形態又は代替の形態で、復元/センタリング機構及び力のかなりの部分が磁気構造によって提供される。
可撓性ヒンジの形態
上記のセクション4.5.1で説明されるような回転動作オーディオ・トランスデューサ及び本発明のデカップリング・システムを有するこのオーディオ・デバイスの実施例の別の形態では、オーディオ・トランスデューサが、振動板組立体をトランスデューサ基部構造に枢動可能に接続するセクション3.3で説明されるような可撓性ヒンジ機構をさらに備える。可撓性ヒンジ・システムさらには例示の実施例に関連する設計原理及び設計留意点の完全な説明は本明細書のセクション3.3で行われる。本説明に従って設計される任意の接触ヒンジ機構が、当業者には明白な形で、本発明のデカップリング・システムと共に使用され得る、ことが理解されよう。簡潔さのため、この説明が以下で繰り返されることはなく、実施例Bのオーディオ・トランスデューサで示される1つの例示の可撓性ヒンジ・システムの簡単な説明のみを行う。
図B1を参照すると、本発明の例示のたわみヒンジ組立体を介してトランスデューサ基部構造B120に枢動可能に接続される振動板組立体B101を有する本発明の例示の回転動作オーディオ・トランスデューサが示される。ヒンジ組立体B107が一方側の端部においてトランスデューサ基部構造B120に強固に接続され、反対側の端部において振動板組立体B101に強固に接続される。たわみヒンジ組立体B107が、振動板組立体に取り付けられるコイル巻線B106を通して再生(play)される電気オーディオ信号に応答して、トランスデューサ基部構造B120を基準とした、おおよその回転軸B116を中心とした振動板組立体B101の回転/枢動の動き/揺動を促進する。
ヒンジ組立体B107が図B2bに示されるようなヒンジ要素B201a、B201b、B203a及びB203bを備え、これらの各々が、それらのそれぞれの平面内で受けるような引張及び/又は圧縮及び/又はせん断の力に抵抗するために極めて高いスティフネスを有するように構成されるが、各々が、回転方向におけるたわみを可能にするために回転軸に対して実質的に直角の平面に沿って十分な可撓性を有する。
図B2(a~g)が、振動板組立体B101に及びコイル巻線B106に連結されるヒンジ組立体B107を示す。分かり易いようにするために、これらの図からトランスデューサ基部構造が除かれている。図B3(a~d)に示されるように、ヒンジ組立体B107が、実質的に長手方向の基部フレームと、振動板組立体及びトランスデューサ基部構造の両側にその場で配置されるように構成される、基部フレームの両端部から側方に延びる1対の等しいヒンジ構造とを備える。基部フレームが、振動板本体のより厚い基部端部のところの幅のかなりの部分に沿って延び、その場で振動板本体をコイル巻線に接続するように構成される。基部フレームの構成は後でさらに詳細に説明される。
図3(a~d)がこの実例の可撓性ヒンジ組立体B107を詳細に示す。各ヒンジ構造B201/B203が、トランスデューサ基部構造B120の一方側に強固に接続されるように構成される連結ブロックB205/B206を備える。トランスデューサ基部構造B120が、構造の表面上に、これらの部分の接続を補助するための相補的な凹部を備えることができる。ヒンジ構造が、1対の可撓性ヒンジ要素B201及びB203をさらに備える。各対のヒンジ要素B201a/B201b及びB203a/B203bが互いに対して傾けられる。この実例では、ヒンジ要素B201a及びB201bが互いに対して実質的に直角であり、ヒンジ要素B203a及びB203bが互いに対して実質的に直角である。しかし、例えば、各1対のヒンジ要素に対して、それらの間が鋭角であるといったことを含めて、他の相対角度も考えられる。各ヒンジ要素が実質的な可撓性を有し、その結果、要素に対しての実質的に垂直な力に反応して屈曲することができるようになる。このようにして、ヒンジ要素が、回転軸B116を中心とした振動板組立体の回転/枢動の動き及び揺動を可能にする。また、各対のうちの少なくとも1つの(しかし、好適には両方の)ヒンジ要素が、好適には、その場で、及び、トランスデューサの動作中に、振動板組立体をニュートラルな位置に向かって付勢することを目的としてニュートラルな位置に向かって付勢されるような、弾性を有する。各要素が、振動板組立体がニュートラルな位置のいずれかの方向に枢動するのを可能にするように屈曲することができる。
この実例では、各ヒンジ要素B201a、B201b、B203a、B203bが、可撓性及び弾性を有する材料の実質的に平坦なセクションである。セクション3.3でさらに詳細に説明されるように、他の形状も可能であり、本発明はこの実例のみに限定されることを意図されない。
本明細書のセクション3.3のもとで詳細に説明されるように、このデカップリング・システムA500との組合せにおいて、可撓性ヒンジ機構の他の変形形態も可能である。
4.5 他の好適な組合せ及び/又は実装形態
上述したように、本発明の低共振オーディオ・デバイスはハイファイ・オーディオの用途で特に有用であり、これは、共振の問題に対処するのを補助するデカップリング・システムを組み込むコンフィギュレーションを含めた、本発明の複数の共振対処コンフィギュレーションが、ハイファイ・オーディオの配備を補助する特徴と組み合わされて有用に配備され得ることを意味する。このような特徴には、限定しないが、ステレオ再生又はマルチチャネル再生、広帯域幅又は好適には全帯域幅のオーディオ再生、並びに、個人用オーディオ・デバイスの場合の、使用者の片耳又は両耳を基準としてトランスデューサを(繰り返し且つ正確に)配置するためのマウント手段、が含まれる。
好適には、励起手段が、電気力学タイプのモータなどの、非常に線形的であり、ハイファイ・オーディオ再生に適するタイプのものである。
回転動作振動板を有する本発明のハイファイ・オーディオ・トランスデューサでは、回転軸から測定される、振動板本体の長さに対しての、力伝達構成要素の取り付け位置の半径の比が、好適には0.6未満、より好適には0.5未満、最も好適には0.4未満である場合、最大化される振動板の可動域を介して及び共振の受けやすさを低減することを介して、オーディオ再生が改善される。
4.5.1 ステレオの用途
本発明のデカップリング・マウンティング・システムを使用するラウドスピーカ・トランスデューサは、ハイファイ・オーディオの用途で特に有用である。したがって、好適には、セクション4.2で説明されるデカップリング・システム又はセクション4.3に従って設計され得るシステムが、モノラル・システムではなくステレオ・システム又は4チャネル・システムの一部分として、例えば2つ以上のオーディオ・トランスデューサ(例えば、ラウドスピーカ・トランスデューサ)のコンフィギュレーションを通る2つ以上の異なるオーディオ・チャネルを有するオーディオ・デバイスで使用される。この実例のオーディオ・トランスデューサは、好適には互いに独立する少なくとも2つの異なるオーディオ・チャネルを同時に再生するように構成される。
このような用途では、デカップリング・マウンティング・システムが、第1のトランスデューサの振動板組立体と第2のトランスデューサとの間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減するように、マウントされ得る。
4.5.2 個人用オーディオ
上で考察したように、オーディオ・トランスデューサの配備の調節の一実例が、個人用オーディオの用途においてこのようなオーディオ・トランスデューサを使用することである。その理由は、望ましくない共振が可聴範囲の範囲外に出されることによって、可能性として、ちょうど可聴帯域幅の上限までのエネルギーの蓄積が前例のない程度に低減され得るからである。したがって、セクション4.2で説明されるデカップリング・システムの別の好適な実装形態が、ヘッドホン又はイヤホンなどの使用者の耳のところに又はその近くに配置されるように構成される個人用オーディオ・デバイスの中にある。
例えば、実施例Aのトランスデューサは、ミッドレンジ/高音のラウドスピーカ・ドライバ及びバス・ラウドスピーカ・ドライバの2つの形態で構成され得る。両方のユニットが、図H3aで示されるように2ウェイ・サーカムオーラル・ヘッドホン内で、人の頭部H304の右側の定位置に実装され、ここでは、サーカムオーラルの当て物H305が耳の外側の周りを延びる。
図H3bが、頭部H304、耳H303、バス・ドライバH302、及び、高音ドライバH301を示すが、ヘッドホンの残りの部分は示していない。高音ドライバH301のこの位置決めは、振動板の先端部(音圧の大部分がここから発生する)が外耳道の近くでその正面にくるように配置される、ものである。その理由は、もう一方のドライバのバス周波数が比較的低い指向性を有するからである。
この実装形態で使用される交差周波数は300Hzであり、したがって、高音ユニットが周波数範囲の大部分を再生する(300Hzから20kHz)。バス・ドライバH302の振動板の先端部が、耳に接近するように及び高音ドライバの先端部に接近するように耳の上側部分の前に配置され、これは、外観を理由としてヘッドホン全体の幅を最小にしながら、この設計で達成され得る振動板の可動域の利用可能性を最大にするような位置である。
ヘッドホンから外した状態で高音ドライバH301及びバス・ドライバH302の両方を測定し、本発明の実質的に共振フリーの性能を示す累積スペクトル減衰(CSD:cumulative spectral decay)プロットが得られた。
高音ラウドスピーカ・ドライバH301が、共に15mmである振動板本体の幅A219及び振動板の本体の長さA211を有する。設計される最大可動域角度は+/-15度であり、これは振動板の先端部の約7.6mmのピーク間可動域距離、及び、約800mmのピーク間の空気の変位に相当する。
マイクロホンを振動板組立体A101の中央先端部に近接させて(約5mmの距離)、軸上での共振を測定した。得られた累積スペクトル減衰(CSD)プロットを図H2aに示す。y軸が-60dBから0dBの範囲の音圧に対応し、x軸が約100Hzから20kHzの範囲の周波数に相当し、z軸が0msから2.07msの範囲の時間である。
約170Hzでの振動板の基本共振の幅広のピークH201が、時間の前方に延びる幅広の隆起部を有するものとして見ることができる。振動板の第1の分割周波数が約15kHzのところに位置し、これが図A13gに示されるモードと同様のねじれモードである(図A14sに示されるグラフに関連して上で説明したセンサ・プロットのピークA1417に類似する)。マイクロホンが振動板の中央部分の近くに配置されることから、発生する正味の空気圧が小さく、図H2aのCSDプロット上でこのモードを特定することは困難であるが、位置H203まで延びる小さい隆起部は、高い可能性でこの共振モードを原因とする。
周波数圧力応答(frequency pressure response)に大きく影響する第1の分割モードに相当する隆起部が約20kHzにおいてH204のところに位置する。CSDプロットを作るソフトウェアが約17kHzからグラフのその部分にフィルターをかけることを開始していることに留意されたい。
このトランスデューサに応答するこのウォーターフォール・プロットは非常に良好なものである。約5kHzの領域の「クリフ(cliff)」の高さは約50dBの低下であるが、このトランスデューサはH205によって示される帯域幅にわたって実質的に共振フリーであると考えられ、これは、実験的限界及び数学的限界が存在しない場合にはこのクリフがさらに高くなる、ことを暗に意味する。
バス・ラウドスピーカ・ドライバH302が、36mmの振動板本体の幅、及び、32mmの振動板本体の長さを有する。設計される最大可動域角度は+/-15度であり、これは、振動板の先端部の16mmのピーク間可動域距離、及び、約8900mmのピーク間の空気の変位に相当する。
マイクロホンを振動板の中央先端部に近接させて(約5mmの距離)、軸上での共振を測定した。得られたCSDプロットを図H6aに示す。y軸が-55dBから0dBの範囲の音圧に対応し、x軸が約100Hzから20kHzの範囲の周波数に相当し、z軸が0msから2.07msの範囲の時間を示す。
約40Hzでの振動板の基本共振がこのチャートの範囲の下にあり、時間の前方に延びる幅広の隆起部の要因となっており、H605がこの隆起部の一方側にある。振動板の第1の分割周波数H601が約6kHzで発生し、これが図A13gに示されるモードと同様のねじれモードである。H602のところに位置する、音圧応答に大きく影響する有意な分割モードに相当する隆起部が約7kHzのところに発生する。可能性として、このプロット上にある最も大きい分割モードライドが約11kHzのH603のところに位置する。
バス・トランスデューサの性能はミッドレンジ/高音トランスデューサの性能に類似する。約4kHzの領域の「クリフ」の高さは約45dBである。
セクション5.2.2、5.2.3及び5.2.4で説明される実施例K、W及びYは、本明細書で説明される原理に従って設計されるデカップリング・システムを利用する他の個人用オーディオ・デバイス・コンフィギュレーションである。
4.5.3 1つの構造に取り付けられる2つのトランスデューサ
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスが、セクション4.2~4.4のもとで説明される2つ以上のオーディオ・トランスデューサ(例えば、実施例Aのオーディオ・トランスデューサ、実施例Eのオーディオ・トランスデューサ、及び/又は、実施例Uのオーディオ・トランスデューサ)を備えることができる。好適には、このような実例では、1つのトランスデューサの振動板と他のオーディオ・トランスデューサとの間の振動の機械的伝達を部分的に軽減する、セクション4.2で説明される任意のシステム又はセクション4.3で確認される原理に従って設計される他のシステムに類似のデカップリング・マウンティング・システムが組み込まれ、それにより、振動板からの振動により他のトランスデューサを励起するのを防止するのを補助する。図H3aで示されるヘッドホンはこのような実施例の実例である。このデバイスは4つのラウドスピーカ・ドライバを組み込み、2つがヘッドホンの左側にあり、2つが右側にある。図H3aでは右側のみが示されており、高音ドライバH301(実施例Aのオーディオ・トランスデューサに類似する)及びバス・ドライバH302(より大きくなっていることを除いて、実施例Aのオーディオ・トランスデューサのものに類似する)の両方を組み込んでいる。両方のドライバが、それぞれのドライバH301及びH302の振動板組立体の間の振動の機械的伝達を低減するのを補助するデカップリング・システム(上記のセクション4.2.1のもとで説明されるような)を有する。この実例では、両方のドライバが別個のハウジングを有し、デカップリング・システムがオーディオ・トランスデューサと関連付けられたハウジングとの間に配置される。また、振動板組立体の間の振動の機械的伝達をさらに軽減するために、セクション4.2.2及び4.2.3で説明されるようなマウント又はセクション4.3で説明される原理に従って設計されるマウントなどの可撓性マウントを有する1つ又は複数の他のデカップリング・システムがそれぞれのドライバのハウジングの間に組み込まれてもよい。ヘッドホンの左側は右側に対しての反対のバージョンである。4つのドライバのうちの任意の1つのドライバが、そのドライバの振動板と他の3つのドライバのうちの任意の1つのドライバの振動板との間の振動の機械的伝達を低減するのを補助するデカップリング・システムを有する。
4.5.4 複数のデカップリング・システムのコンフィギュレーション
いくつかの実施例では、オーディオ・デバイスが2つ以上のデカップリング・マウンティング・システムを備えることができる。1つのオーディオ・トランスデューサが複数の層のデカップリング・マウンティング・システムを備えることができる。例えば、個人用オーディオ・ヘッドホン・デバイスが、トランスデューサを小さいバッフルにマウントするシステムと、バッフルをヘッドバンドにマウントする別のシステムとを有することができる。各システムが、各システムにより連結される部分の間の振動の機械的伝達を軽減するのに寄与する。各デカップリング・マウンティング・システムは、例えば、セクション4.2で説明されるもの又はセクション4.3で確認される原理に従って設計されるもの、のうちの任意のものと同じであっても異なっていてもよい。
例えば、図H3a及びH3bのオーディオ・デバイスの実装形態では、1対のオーディオ・トランスデューサH301及びH302がオーディオ・デバイス内に設けられ、これらが図H3aに示されるような単一のハウジングH305内で保持されることになる。この実施例では、各オーディオ・トランスデューサが、トランスデューサ基部構造と各トランスデューサの関連付けられたサブハウジングとの間に、セクション4.2.1で上述したものに類似のデカップリング・システムを備えることができる。トランスデューサH301及びH302のサブハウジングの間に、並びに/或いは、各サブハウジングと、ヘッドホン・ハウジング、又は、使用者の片耳若しくは両耳H305のところ若しくはその近くにオーディオ・トランスデューサを配置するように構成される何らかの他の構成要素との間に、別のデカップリング・システムが存在してもよい。
一般に、振動板と、音圧に相当する電子オーディオ信号及び振動板の回転動作を作動可能に変換するように構成される変換機構とを有するオーディオ・トランスデューサを備えるオーディオ・デバイスが、さらに、オーディオ・トランスデューサを組み込む少なくとも第1の部分又は組立体とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分又は組立体との間に配置されるデカップリング・マウンティング・システムを備え、それにより、第1の部分又は組立体と組立体の少なくとも1つの他の部分又は組立体との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減し、ここではこのデカップリング・システムが、第1の部分又は組立体をオーディオ・デバイスの第2の部分又は組立体に柔軟性を有するようにマウントする。第1の部分は、オーディオ・トランスデューサを収容するためのエンクロージャ又はバッフルなどの、ハウジングであってよい。デカップリング・マウンティング・システムが、オーディオ・トランスデューサと、セクション4.2で説明されるようなものなどの、エンクロージャ又はバッフルである第1の部分との間に存在してよい。第2の部分は、使用時に使用者の片耳又は両耳に近接してオーディオ・トランスデューサを配置するために使用者によって装着されるように構成されるヘッドバンドであってよい。いくつかの事例では、オーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分が第1の部分の質量より大きい若しくは少なくともそれと同じである質量を有するか、又はより好適には第1の部分の質量の少なくとも60%若しくは40%であり、又は最も好適には第1の部分の質量の少なくとも20%である。例えば、ハウジング又は周囲が、好適には、トランスデューサ基部構造より大きい質量を有する。
これらのデカップリング・システムのうちの任意の1つが、セクション4.2において既に説明された任意のものに類似してよいか、又は別の態様において、セクション4.3で概説される設計原理及び設計留意点に適合する別の設計に類似してよい。
このようなオーディオ・デバイスのデカップリング・システムが、セクション4.4.1のもとで説明されるようにオーディオ・デバイスの性能を改善するために高い剛性を有する振動板構造に組み合わされ得る。例えば、振動板が、本体の最大長さ寸法の少なくとも11%、又はより好適には少なくとも14%の最大厚さを有する本体を備えることができる。
このようなオーディオ・デバイスのデカップリング・システムは、別法として又は加えて、セクション4.4.2のもとで説明されるようにオーディオ・デバイスの性能を改善するために、振動板組立体に関して少なくとも部分的に自由周辺部を有する振動板構造の設計を有するオーディオ・トランスデューサに組み合わされ得る。例えば、オーディオ・トランスデューサの振動板が、第1の部分の内部と物理的に実質的に連結しない周辺部を有する振動板本体を備える。
さらに、オーディオ・デバイスが、2つ以上のこのようなオーディオ・トランスデューサ、及び/又は、2つ以上のこのようなデカップリング・マウンティング・システムを備えることができる。
4.5.5 デカップリングのためのオーディオ・デバイスのモジュール化
本発明の文脈では、デカップリングが、最も多くの場合、共振管理に関して非実際的である大きいオーディオ・デバイスをより小さいセクションへと分割するのに使用され、これらのより小さいセクションのうちの1つのセクションがドライバを含み、高い剛性を有する材料及びロバスト性を有するジオメトリを使用することを介して共振管理を実現可能にするのに十分な小ささを有する。
しばしば、トランスデューサがバッフル又はエンクロージャから分離されることになるが、他のコンフィギュレーションも可能であり、例えば、トランスデューサ基部構造が、「基部構造組立体」を形成するために、十分にコンパクトであるバッフル又はエンクロージャに強固に取り付けられ得、この基部構造組立体がさらにオーディオ・デバイスの残りの部分から分離される。
場合によっては、2つ以上のトランスデューサが、例えば、ヘッドホンのヘッドバンド、又は、図Z1a~dの小さいパーソナル・コンピュータ・スピーカなどの2ウェイ・スピーカのエンクロージャなどの、同一のマウンティング構造に組み込まれ得る。これらの事例では、ドライバがヒンジ動作のドライバを利用する場合、1つのトランスデューサを他のトランスデューサから分離することにより利点が得られることがある。これらの利点には、1つのトランスデューサの振動が他のトランスデューサへ容易に伝達されず且つ他のトランスデューサを励起しないこと、並びに、例えば、連結されるより低い周波数のドライバの動作によって揺動させられるより高い周波数のドライバにより、ドップラ歪みが低減され得ること、が含まれる。コンピュータ・スピーカZ100の場合、高音ユニットZ101及びバス-ミッドレンジ・ユニットZ102である各スピーカ・ドライバが共にエンクロージャZ104から分離される。一方のドライバからもう一方のドライバへと機械的振動が伝達される場合、機械的振動が、ドライバに関連付けられた両方のデカップリング・システムを通過しなければならない。加えて、エンクロージャZ104が、エンクロージャを地面又はフロアZ106から分離するゴム又は他の実質的に柔らかい脚部Z105を有する。これは、オーディオ・トランスデューサの2つのドライバのうちの任意の1つのドライバZ101又はZ102からの機械的振動がフロアに到達する前に2つのセットのデカップリング・システムを通過しなければならず、それにより、フロア並びにフロアに取り付けられた壁及び家具の共振モードの励起が低減されることを意味する。
オーディオ・デバイスのより重い部分を分離することでより高い利益が得られる。有意な利益を得るために、デカップリング・システムにより、基部構造組立体の質量より大きい質量、又は基部構造組立体の質量の少なくとも60%超、若しくは40%超、若しくは20%超の質量を有するオーディオ・デバイスの一部の部分を切り離すことが好ましい。
例えば、1つの考えられるコンフィギュレーションでは、分離されたオーディオ・トランスデューサが、強磁性流体によって支持される振動板を備える。好適には、振動板本体のコロナル平面に実質的に平行な方向においての、並進に逆らう、振動板に提供される支持のうちのかなりの割合が、強磁性流体によって提供される。このトランスデューサの設計はFROの範囲内において低レベルの又はさらにはゼロの共振を有するように作られ得ることから、トランスデューサをエンクロージャ(又は、バッフルなど)に組み合わせるのを防止してしたがって共振傾向のあるシステムを備えるようになるのを防止するトランスデューサ・デカップリング・システムと組み合わされることが有用である。
個人用オーディオ・デバイス
5.1 導入
例えば、ヘッドホン、イヤホン、電話、補聴器及び携帯電話、を含めた個人用オーディオ・デバイスは、使用者への直接の音又は使用者からの直接の音を変換するために、使用者の頭部に近接するような範囲内に配置されるか又は使用者の頭部に直接に関連するように通常設計されるオーディオ・トランスデューサを組み込む。このようなデバイスは、通常、例えば使用時に使用者の頭部、耳又は口から約10センチメートル以下の範囲内に配置されるように構成される。個人用オーディオ・デバイスは、通常、コンパクトで携帯可能であり、したがってさらに、中に組み込まれるオーディオ・トランスデューサが、例えば、ホーム・オーディオ・システム、テレビ、並びに、デスクトップ・コンピュータ及びラップトップ・コンピュータなどの、他の用途の場合よりも実質的によりコンパクトになる。組み込まれ得るオーディオ・トランスデューサの数などのファクタを考慮する必要があることを理由として、通常、このようなサイズの要求により、所望の音質を得るための柔軟性が制限される。大抵の場合例えば、デバイスの全オーディオ範囲を提供するのに1つのオーディオ・トランスデューサが必要とされる可能性が高いが、これは潜在的にデバイスの品質を制限する可能性がある。
また、個人用オーディオの用途で使用されるオーディオ・トランスデューサは、一般に、1つの折り合いのために、それらにより効果的に再生することのできるオーディオ帯域幅が制限されてしまう。この折り合いは、振動板可動域を増大すること及び基本周波数(Wn)を低減することであり、それにより、高い周波数においてロッキング及びゴングモード分割共振(gong-mode break-up resonance)を発生させる傾向のある振動板屈曲ゾーン又は他の振動板周辺部が作られる。
上述したオーディオ・トランスデューサの設計は個人用オーディオの用途で特に有利となり得る(ただし、これに限定されない)。その理由は、こうしたオーディオ・トランスデューサの設計が、耳からさらに離れて配置されるように設計されるデバイス及び比較的安価に製造され得るようなデバイスにおいて達成することが困難又は不可能であるような、特定の重要な側面においての一定レベルの性能を達成することを可能にしながら、コンパクトな設計を可能にするからである。以下で、この用途で特に有利であるような、上述のオーディオ・トランスデューサの設計の特徴の特定の組合せを参照して、いくつかの個人用オーディオの用途の実施例を説明する。
5.2 個人用オーディオの実施例
5.2.1 実施例P - イヤホン
図P1~P3を参照すると、個人用オーディオ・デバイスP100の第1の実施例がイヤホン・インターフェース・デバイスの形態で示されている。このデバイスは、使用者のそれぞれの耳のための1対のイヤホン・インターフェース・デバイスを備えるイヤホン装置の一部であってよい。以下の説明はイヤホンを参照するが、説明される同じシステム又は組立体が、ヘッドホン、携帯電話及び補聴器などを含めた(ただし、これらのみに限定されない)、任意の他の個人用オーディオ・デバイス内に実装され得ることが理解されよう。単一のイヤホンを参照して、示される図及び実施例を説明するが、この個人用オーディオ・デバイスが、使用者の耳のそれぞれの1つの耳のための、同じ又は同様の構成の1対のイヤホンを備えることができることが理解されよう。
特に図P1を参照すると、オーディオ・デバイスP100が、オーディオ・トランスデューサ組立体を中に収容するための少なくとも1つのチャンバを有する実質的に中空の基部P102を備える。基部P102は一方の端部(空洞P120の方を向く)のところで実質的に開いており、小さい通気孔又は空気漏れ流体通路P105を除いて、反対側の端部のところで実質的に閉じている。両端部で開いているハウジング又は周囲部分P103が基部の開いた端部のところに接続され、トランスデューサ組立体からの空気通路を作る。ハウジング部分の反対側の端部が、通気孔P109を有するイヤ・プラグP101などの、耳マウンティング(ear mounting)・システム又はインターフェースP101に接続される。したがって、空気通路がトランスデューサ組立体から通気孔P109まで延びる。基部P102及びハウジング部分P103が、任意適切な機構(例えば、スナップ嵌合係合、接着剤、固定具など)を介して接続される別個の構成要素であっても又は一体に形成されてもよい、ことが理解されよう。これらの部分P102及びP103が、一体に、トランスデューサ組立体のためのハウジングを形成する。同様に、ハウジング部分P103及びプラグP101は、任意適切な機構(例えば、スナップ嵌合係合、接着剤、固定具など)を介して接続される別個の構成要素であっても又は一体に形成されてもよい。デバイスP100が、好適には、使用者の甲介又は外耳道などといったように、使用者の耳の中に留まるように成形される本体を備え、その結果、デバイスP100がオーディオ・トランスデューサを使用者の外耳道に隣接するところに又はその中に配置することができるようになる。プラグP101の本体は、シリコーン又は同様のもののような、柔らかいプラスチック材料などの、快適さのための柔らかい材料で形成されてよいか又は柔らかい材料で覆われてよい。イヤ・プラグP101は、好適には、使用中、その場で、例えば外耳道に接触するか又はその中に入る形で、外耳道を実質的に封止するように構成される。基部P102が内部の周囲部を備え、その中でオーディオ・トランスデューサのトランスデューサ基部構造が強固に接続されて支持される。
基部P102が中に電子部品を収容することができ、別のデバイスからのコネクタP124を中で受けるためのチャネルを備えることができる。
次に図P1g~P1l及びP2a~dを特に参照すると、オーディオ・トランスデューサ組立体が、励起/変換機構を介して基部P102に移動可能に接続される振動板組立体P110を備える。この実施例では、励起機構が電磁機構であるが、代替的実施例において、モータなどを使用するなどの、他の機構が利用されてもよいことが理解されよう。この実施例では、オーディオ・トランスデューサが直線動作トランスデューサであり、ここでは、振動板組立体が、音を変換するための動作中に実質的に線形に往復動/揺動するように構成される。代替的実施例において、オーディオ・トランスデューサが、基部構造に対して回転可能に揺動するように構成される回転動作トランスデューサであってもよいことが理解されよう。振動板組立体P110が湾曲状又はドーム状の振動板本体P125を備える。振動板本体が、好適には、例えばチタンなどの、適切に高い剛性を有する材料から形成される。この実施例では、振動板本体が、トランスデューサの動作中に往復動するときに屈曲又は曲げに抵抗するように有意に高い剛性を有する。しかし、代替的実施例において、振動板本体が大幅に可撓性を有してもよいことが理解されよう。振動板本体が両側に極めて滑らかな主面を備える。
長手方向の振動板基部構造が振動板本体の周辺部から延び、振動板本体に強固に取り付けられ、この長手方向の振動板基部構造が、振動板基部フレームP115と、振動板基部フレームに強固に接続される力伝達構成要素P114とを備える。この実施例の力伝達構成要素P114は、励起機構(又は、変換機構)の一部分を形成する1つ又は複数のコイル巻線P114である。振動板基部フレームP115が、そこを中心としてコイルを巻くための実質的に長手方向の巻型を形成する。この実施例では、第1のコイルP114aが基部フレームのドームP125の端部の近くで巻かれ、第2のコイルP114bがもう一方の端部の近くで巻かれる。任意の数及び分布のコイル巻線が使用され得、本発明がこの実例のみに限定されることは意図されない、ことが理解されよう。この実施例では、突出ガイド部材P116a~P116cが、中の巻線を適切な位置で維持するのを補助するためにコイル巻線の両側に配置される。この実例では、基部フレームP115及びガイド部材P116が別の構成要素から形成され、任意適切な機構(例えば、スナップ嵌合、接着剤及び固定具など)を介して互いに接続されるが、これらが単一の一体構成要素として形成されてもよいことが理解されよう。基部フレームが振動板本体の周辺部から延び、振動板本体に強固に接続される。コイル巻線及びガイド部材との組合せで、これが振動板基部構造を形成する。振動板本体と組み合わされる振動板基部構造が振動板組立体を形成する。
永久磁石P112と、内側ポール・ピースP111a及びP111bと、外側ポール・ピースP111cとを各々が備える1対の磁気構造が、中央チャネル又は空気チャンバP121の両側で基部P102の内部周囲部に強固に接続され、耳マウンティング位置から離れる方を向く振動板本体の側に配置される。外側ポール・ピースP111cが、基部P102の対向する実質的に直立の内側壁を備える周囲によって境界を画定され、その周囲に強固に連結される。内側ポール・ピースP111bが基部部分P102の側方の内側壁P102a上に着座して強固に連結される。もう一方の内側ポール・ピースP111aが磁石P112上に直接に着座して取り付けられる。内側ポール・ピースP111a及びP111bが外側ポール・ピースP111cから離間され、磁石P112の動作により、それらの間に磁界を発生させ、これらの2つの円形リングの位置に磁束を集中させる。これらの隙間はコイル巻線の数に適合する。この数がコイル巻線の数に応じて異なってよいことが理解されよう。ニュートラルな位置では、各コイル巻線P114a、bが1対の隙間のうちの1つの隙間に位置合わせされる。いくつかの実施例では、数が整合しない隙間及びコイルが存在してもよいが、隙間は、少なくとも、動作中にそれらの間を1つ又は複数のコイルが横切るような形となるように、分布する。いくつかの実施例では、オーディオ信号が、例えば振動板の可動域に応じて異なるコイルへと進路を変更され得る。
内側ポール・ピース及び外側ポール・ピースがコイル巻型P115及びコイル巻線P114a、bを含めた力伝達構成要素の一方側のためのチャネルをそれらの間に作り、動作中にその場でそれらを通るように延びてその中で往復動する。基部P102の側方の内側壁の中にある凹部P102cが、動作中に力伝達構成要素を中に延在させるのを可能にするための円筒形スペーサ・リングP122と同様に、これらのチャネルに位置合わせされる。
この実施例では、振動板組立体P110の力伝達要素の支持及びアライメントが強磁性流体P113a~d(本明細書ではフェロ流体と称される)を使用して維持される。フェロ流体は、ここに集中する磁束に流体が磁気的に引き付けられることにより、内側ポール・ピースと外側ポール・ピースとの間に形成されるそれぞれの隙間の中で保持され、振動板基部構造がそこを通って延びる。それぞれの隙間の中でその場に、内側フェロ流体リング及び外側フェロ流体リングがそれぞれ内側ポール・ピース及び外側ポール・ピースの方に引き付けられて内側ポール・ピース及び外側ポール・ピースに接触するように配置される。動作中、振動板組立体P110がフェロ流体の中を及びフェロ流体を通るように往復動し、フェロ流体の動作により、ポール・ピースの間に形成される隙間に位置合わせされた状態で維持される。好適には、フェロ流体が振動板に近接し及び/又は振動板を実質的に封止し、その結果、フェロ流体がそれらの間を空気などの気体が流れるのを実質的に防止することになる。
後方通気孔又は空気漏れ流体通路P105が、振動板本体の一方側で、基部構造P102内に形成される。流体通路P105が、磁石P102の間を延びるチャネルに実質的に位置合わせされる。流体通路P105が、デバイスの中に他の異物が入るのを防止しながら、空気を含めた気体がそこを通って流れるのを可能にするための、基部P102に接続されるメッシュ又は連続気泡発泡材料又は布などの通気性又は多孔性の要素の材料P123を備えることができる。この要素又は材料P123は好ましいものであるが、任意選択である、ことが理解されよう。流体通路P118が周囲の一方側に配置され、使用者の耳のところ又はそれに隣接するところに配置されるように構成される振動板組立体の一方側の空気間隙P120に流体的に連結され、ここではこの空気間隙P121が振動板組立体の反対側(デバイスの耳マウンティング/インターフェースから離れる方を向く)に配置される。流体通路P118が、その中で起こる可能性があるいかなる望ましくない共振も減衰しながらこの通路を空気を含めた気体が流れるのを可能にするための、基部P102に接続される、メッシュ又は発泡ファブリック又は材料などの、通気性又は多孔性の要素又は材料P126を備えることができる。この要素又は材料P126は好ましいものであるが、任意選択である、ことが理解されよう。
動作中、励起機構の動作により振動板組立体が往復動するとき、音圧が発生して上側ハウジングP103のチャネルを横断してイヤ・プラグP101の通気孔P109の外に出る。いくつかの事例では、このチャネルが、耳マウンティングP101に繋がる細長いスロート又は導管を備えることができる。動作中、ハウジング部分P103のこの細長いスロート又は導管の中で、及び、空気空洞領域P121の中で、望ましくない共振が発生する可能性がある。発泡材料P127などの通気性又は多孔性の材料がスロート内に配置され得、動作中にこれらの領域の中で発生する可能性がある望ましくない空気共鳴を減衰するのを補助する。理解されるであろうが、この材料P127は好ましいものであるが、任意選択である。
自由周辺部
個人用オーディオの用途では、サイズが小さいことから、振動板組立体サスペンション・システムを設計することは非常に難しいことである。具体的には、高い高音周波数範囲あたりで振動板及びサスペンションの共振を発生させることなく、及び、必要以上の質量を追加することなく、非常に小さくて軽量な振動板構造を用いて、振動板の可動域を大きくすること及び基本の振動板共振周波数を低くすることを達成することが困難である。
振動板組立体を線形に往復動させるように構成するような、従来の直線動作タイプの個人用オーディオ・トランスデューサでは、比較的広い帯域幅が必要であり、これは、例えば同様のサイズのホーム・オーディオの高音ドライバの場合とは異なり、振動板の有意な可動域が必要とされること及びサスペンションの高い追従性が必要とされること、を意味する。これは、大きい可動域を達成するために屈曲に関与する有意な面積の周囲ゾーンが存在しなければならないこと、及び、一般的なヘッドホン・ドライバ又はイヤホン・ドライバの場合においては、約1/10の周波数である振動板のための基本共振周波数を実現するために、この広いゾーンが一般的な高音ドライバ(例えば、Wn=1000Hzの共振周波数を達成する)の周囲の約100倍の追従性(例えば、例としてはWn=100Hzの共振周波数を達成するために1/100のスティフネスを有する)をさらに有さなければならないこと、を暗に意味する。
そのため、ほとんどのヘッドホン及びイヤホンは、ホーム・オーディオで許容されるものよりもはるかに高い基本の振動板共振周波数を有し、約90Hz未満で概してロール・オフするように応答し、一方で、同等のホーム・オーディオの高音ドライバよりも大きい共振を受ける高音性能をも有する。
例えば、ホーム・オーディオ・ステレオ・システムでは、バス・レスポンスが通常35~40Hz未満まで減少するが、フラッグシップ・モデルのダイナミック・ヘッドホンは、通常、約100Hzの基本の振動板共振周波数を有し、バス・レスポンスは通常は約80Hz未満まで減少する。また、ハイ・エンドのホーム・オーディオ高音ドライバとフラッグシップのヘッドホンとのウォーターフォール・プロットを比較すると、通常、特には高音周波数において、ホーム・オーディオ高音ドライバには、エネルギー蓄積の歪みの問題が発生することは有意に少ないことが示される。
したがって、個人用オーディオの用途では振動板サスペンションが重要な設計上の特徴である。例えば本明細書のセクション2.3のもとで定義されるような、少なくとも部分的に自由周辺部を有するオーディオ・トランスデューサ組立体を使用することにより、動きに対して比較的高い追従性を有するサスペンションを必要とする個人用オーディオ・デバイスの作動を潜在的に改善することができる。例えば、個人用オーディオ・デバイスP100が、振動板本体と、使用時に音を発生させるために電気信号に応答して本体を動かすように振動体本体に作用するように構成される励起機構とを備える振動板組立体P110を有するオーディオ・トランスデューサを備える。オーディオ・デバイスが、基部P102及びさらにはハウジング部分P103によって部分的に形成されるハウジングをさらに備え、このハウジングがオーディオ・トランスデューサを収容する。図P1hに示されるように、振動板本体/構造が、内部周辺部及び/又は基部構造P102などの周囲の構造と物理的に連結しない外周部を備える。この実施例では、振動板本体の周辺部が、周辺部のほぼ全体に沿って物理的に連結しない。この実施例では、振動板本体を有する振動板組立体P110が、励起機構の内側ポール・ピースP111a、b及び外側ポール・ピースP111cと物理的に連結しない。これらの部分P111a~cがハウジングの内部(内側ポール・ピースP111aが、磁石112及び内側ポール・ピースP111bを介して連結される)に強固に連結されることから、これらの部分が、振動板組立体が物理的に連結しない内部の一部分を形成する。
振動板本体/構造及び振動板組立体P110が、ハウジング部分P103の内部及び基部構造部分P102の内部と物理的に連結しない。振動板本体及び振動板基部構造を含めた振動板組立体P110のすべての可動部分が、完全に、ハウジング又は基部構造の内部と物理的に連結しない。本明細書で使用される完全に物理的に連結しないとは、少なくともほぼ完全に物理的に連結しないことを意味することを意図される、ことが理解されよう。いくつかの事例では、例えば、コイルに繋がるワイヤが周囲の構造に強固に連結されることを必要とする可能性があるが、これが、完全に又は実質的に物理的に連結しないというフレーズに関連することを意図される場合においては、振動板組立体のための支持体又はサスペンションを形成せず、またそのような支持体又はサスペンションを形成することを意図されないことが当業者には理解されよう。
部分的に自由周辺部を有する設計が採用されるような場合でも、屈曲に関与するサスペンション構成要素のエリアが著しく縮小され、これらの構成要素は、実現される追従性及び可動域との関連で比較すると、内部共振に対して幾何学的により高いロバスト性を有する。これは、従来のサスペンションによって課されるような、振動板の可動域と、振動板の基本共振周波数と、高周波数共振との間での3項目での折り合い(3-way compromise)を解決するのを補助する。代替的実施例において、振動板本体/構造及び/又は振動板組立体が、例えば、外周部の長さの少なくとも20パーセント又は少なくとも30%に沿って、少なくとも部分的に、及び、実質的に、物理的に連結しなくてもよいことを理解されたい。より好適には、振動板本体/構造及び/又は組立体が、例えば、長さの少なくとも50パーセントに沿って及び最も好適には長さの少なくとも80パーセントに沿って、実質的に物理的に連結しない。
また、この実施例は、使用者の耳の甲介又は外耳道入口又は外耳道の中に配置されるように構成されるイヤ・プラグを備えるイヤホン・デバイスを示している。上述したような及びこの実施例で示されるような、完全に、実質的に、又は、部分的に、自由周辺部を有する振動板の設計の利益はイヤホンの用途においては、いくつかの点で、増大することになる。それは、デバイスのトランスデューサ部分が通常は耳の甲介若しくは外耳道の実質的に内部にフィットするのに十分な小ささでなければならないか又は少なくともヘッドバンドなしで保持され得るのに十分な小ささでなければならないということを理由として、低質量の振動板により、基本共振周波数を下げることが特に困難となるからである。また、小さい振動板組立体が必要であるということは、大きい可動域が特に有用であることを意味する。
この場合、トランスデューサは、可聴帯域幅の範囲内で発生する望ましくない共振を有さないか又はほぼ有さない。イヤホンの用途での、完全に、実質的に、又は、部分的に、自由周辺部を有する振動板のさらに別の利点は、サイズが小さいことにより、従来のサスペンションによって課される制約が緩和されるか又は排除され、それにより、振動板組立体、ドライバ、及び、デバイス全体が、望ましくない有意な共振モードをほぼ有さないか又はまったく有さないようになり得る、ことである。上述したように、ラウドスピーカ内での望ましくない共振モードは蓄積する傾向があり、遅延後、振動板の振動エネルギーを解放し、これがさらに再生されるオーディオを主観的には不鮮明にして濁らせる傾向がある。
フェロ流体の支持
この実施例では、ハウジングと物理的に連結しないすべての外周部領域を含めた、振動板組立体P110及び/又は構造が、流体により、また最も好適にはフェロ流体により、基部構造の励起機構を基準とした及びハウジング内部を基準とした作動位置で支持される。
周囲の本体と物理的に連結しないが、励起機構及び/又はトランスデューサ基部構造を基準として振動板組立体を浮遊状態にするように強磁性流体を使用して支持される振動板組立体及び/又は構造は、個人用オーディオの用途でも非常に効果的となり得る。その理由は、サスペンションの共振が実際的に排除されても、振動板の大きい可動域及び高い帯域幅が依然として実現され得るからである。加えて、可撓性である振動板領域及び/又は可撓性の周囲を取り除くことで、限定しないが、線形性を増すこと、高調波歪みを低減すること、及び、線形位相応答を増すことを含めた、改善がなされ得る。
フェロ流体は、好適には、例えば振動板組立体の周辺部のところにおいての、トランスデューサ基部構造又は励起機構に対しての接触又は摩擦を防止するような程度で振動板組立体を支持する。
代替的実施例において、オーディオ・トランスデューサの振動板本体が、ハウジングの内部と、完全に、実質的に、又は、少なくとも部分的に(例えば、例としては縁部の長さの少なくとも20パーセントに沿って)、物理的に連結しない外周部を備えることができること、並びに、ハウジングの内部と物理的に連結しない振動板本体のセクション及び/又は振動板組立体の任意の他のセクションが、比較的小さい空気間隙又は比較的狭い空気間隙によりハウジングの内部から隔てられ得ること、が理解されよう。
振動板組立体が周長のところに取り付けられるモータ・コイルを有するタイプの振動板組立体であり、ここでは、振動板組立体が自己支持タイプであり、振動板本体を支持するのに周囲に一切依存しない。振動板サスペンションが磁気回路の隙間の中にあるモータ・コイルのサスペンションで構成され、これは、上記隙間に入れられている強磁性流体を介する。強磁性流体がモータ・コイルにセンタリング力を加え、モータ・コイルが振動板を適切な位置で浮遊状態にする。
上から突き出るモータのレイアウトが使用される場合、コイル巻線P114a及びP114bの各々が、それぞれ、ポール・ピースP111a及びP111bに隣接するそれらの磁界の隙間より幅広である。しかし、代替的実施例では、下から突き出る又は他のモータ・コイルのレイアウトが使用されてもよい。コイル巻線P114a及びP114bが、振動板の可動域の範囲を越える実質的に安定したモータ強さを維持するために磁界の隙間を越えて延びる。その理由は、振動板がいずれかの方向に動くとき、ポール・ピースP111a及びP111bに隣接する磁界の隙間の中に実質的に安定した数のコイル巻線が配置されることになるからである。
周長のところにモータ・コイルを備えるドームの振動板形態が、全体として極めて厚く共振に対して比較的高いロバスト性を有するような、膜ではあるが3次元のジオメトリを提供する。例えば従来の円錐形の振動板スピーカ・ドライバの場合のようには、ゴムの振動板周囲からの支持を必要とする支持されない膜縁部が存在しない。
振動板組立体
振動板組立体P110の振動板本体が実質的に高い剛性を有する。振動板組立体P110の振動板本体が、例えば、硬質プラスチック、高密度発泡体、金属材料、又は、補強構造などの、実質的に高い剛性を有する構成から形成される。いくつかの形態では、振動板組立体が、本明細書のセクション2.2で説明されるコンフィギュレーションR1~R4の振動板構造のうちの任意の1つを備えることができることが理解されよう。また、本明細書のセクション2.3で説明されるコンフィギュレーションR5~R7のオーディオ・トランスデューサのうちの任意のオーディオ・トランスデューサがこの実施例のいくつかの変形形態で使用されてもよいことが理解されよう。例えば、振動板本体が、1つ又は複数の主面と、主面のうちの少なくとも1つに隣接して接続されて、動作中に本体の面のところ又はその近傍で受ける圧縮-引張応力に抵抗するための、垂直応力補強材と、本体に埋め込まれ、主面のうちの少なくとも1つに対してある角度で向けられ、動作中に本体が受けるせん断変形に抵抗し、及び/又はそれを実質的に軽減する、任意選択の少なくとも1つの内部補強部材と、を備えることができる。しかし、代替的実施例において、振動板本体が実質的に高い可撓性を有することができることが理解されよう。
この実施例では、振動板本体が、薄いドーム状の膜又は何らかの他のタイプの比較的薄い振動板本体を備え、振動板全体の主要な曲げモードに対して実質的に高い剛性を有するジオメトリを有し、その結果、振動板本体が、オーディオ・トランスデューサの意図される作動帯域幅/FROを超えて実質的に柔軟性のない挙動を維持するようになる。振動板は薄くてよく、さらには、励起機構に関連付けられた構成要素を排除した、主面に対して垂直な方向での全体寸法(例えば、ドームP204の深さ)を、主面に跨る最大距離(例えば、ドームP203の直径)の少なくとも15%とするように、湾曲していてよい。これにより、振動板が厚くないか又は少なくとも湾曲していないようなより平坦なタイプの振動板の設計と少なくとも比較して、相対的に自己支持タイプであるような、この場合では3次元ドーム形状の曲面である3次元ジオメトリの実現が促進される。また、好適には、励起機構に関連付けられた構成要素を含めた振動板組立体全体の全体寸法が、主面に対して垂直な方向の主面に跨る最大距離の少なくとも25%である。これは、3次元において有意な寸法を有する振動板組立体が共振モードに対してより高い構造的完全性を有する傾向があることを理由とする。
力伝達構成要素などの振動板組立体の残りの構成要素が、動作中の振動板本体の剛性を維持するのを補助することができる。
デカップリング・マウンティング・システム
さらに、本明細書のセクション4で説明されるような、本発明のデカップリング・マウンティング・システムが、オーディオ・トランスデューサのトランスデューサ基部構造とハウジング部分P103などのオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間に組み込まれ得、それにより、振動板とオーディオ・デバイスの少なくとも1つの他の部分との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する。デカップリング・マウンティング・システムが、セクション4で説明されるように、第1の構成要素をオーディオ・デバイスの第2の構成要素に柔軟性を有するようにマウントするように機能する。セクション4.2で説明される実施例のうちの任意の1つの実施例又はセクション4.3の考察に従って設計されるデカップリング・システムが例えば使用され得る。
空気漏れ流体通路
上述したように、個人用オーディオ・デバイスP100が、振動板組立体を有するオーディオ・トランスデューサと、トランスデューサP100を収容するためのエンクロージャ又はバッフルとを備える。振動板組立体が、振動板と、使用時に音を発生させるために電気信号に応答して振動板組立体に作用するように構成される励起機構とを備える。振動板が、例えば、周辺部の長さの少なくとも20パーセントに沿って、しかし最も好適には、周辺部のほぼ全体の部分に沿って、エンクロージャ又はバッフルの内部に実質的に(又は、少なくとも部分的に)物理的に連結しない外周部を備える。
イヤ・プラグ/インターフェースP101が、使用時に使用者の外耳道又は甲介のところ又はその近傍に配置されるデバイスの内部の前方空洞P120内の空気とデバイスの外部の空気(周囲の外気)との間に十分なシールを生み出すように構成される。イヤ・プラグに使用されるジオメトリ及び/又は材料が例えばシールの十分性に影響することができる。上で言及したように、プラグP101が、使用者の外耳道入口に接触するといったような形などで、使用者の耳の中にぴったりと留まるように成形される本体を有することができ、その結果、プラグP101がオーディオ・トランスデューサを使用者の外耳道に隣接するところに配置してこの位置を封止することができるようになる。本体が、シリコーン又は同様のもののような、柔らかいプラスチック材料などの、快適さのための及び十分な封止のための柔らかい材料で形成されてよいか又は柔らかい材料で覆われてよい。別法として、当業者には明らかであるような他のタイプのジオメトリ及び材料が十分な封止のために使用されてもよいことが理解されよう。
好適な実施例では、イヤ・プラグP101が、デバイスの外耳道側の前方空洞P120とデバイスの外部の空気との間をその場で十分に又は実質的に封止するように構成される。実質的なシールは、例えば、動作中の少なくとも低いバス周波数での音圧を改善する(すなわち、バス・ブーストを提供する)ように構成されるシールである。例えば、イヤ・プラグは、動作中に外耳道の内部で生じる音圧を増大させるように(少なくとも、低いバス周波数のところで)その場で使用者の耳を実質的に封止するように構成され得る。いくつかの実装形態では、音圧が、例えば、その場でオーディオ・デバイスにより十分なシールを作らない場合に生じる音圧を基準として、平均で、少なくとも2dB、又はより好適には少なくとも4dB、又は最も好適には6dB増大することができる(等しい電気入力が印加される場合)。前方空洞P120内に封入される空気は、動作中にバス・ブーストを提供するのも補助するために十分に小さくてよい。
オーディオ・デバイスP100が、空気共鳴を減衰すること及び/又はバス・ブーストを抑えることを補助するために、動作中に第1の空洞から別の空気までの限定的な気体流れ経路を提供するように構成される少なくとも1つの流体通路P118をさらに備える。例えば、デバイスP100が、デバイス・ハウジング部分P103内に含まれ、使用時に使用者の外耳道又は甲介のところに又はそれに隣接するように配置されるように構成される振動板組立体の側に配置される、第1の前方空気空洞P120を備える。デバイスP100が、デバイス基部P102内に含まれ、使用時に使用者の外耳道又は甲介の反対側を向くか又はそこから離れるように振動板の反対側に配置される、第2の後方空気空洞P121をさらに備える。流体通路P118が前方空気空洞P120及び後方空気空洞P121を流体的に連結し、その結果、それ以外の場合では空洞P120内で封止可能に保持されるような空気が外部まで限定的に流れることができるようになり、それにより使用時に内部共振を減衰する及び/又はバス・ブーストを抑える。限定的な気体流れ経路を提供するための通路のために別個の流れ制限要素が使用されることは必須ではなく、通路は閉塞的なバリアを用いずに実質的に開放されていてよく、それでも、縮小されたサイズ、直径又は幅を有することから限定的である。後でさらに詳細に説明されるように、流体通路P118は、前方空洞P120との若しくは他の隣接する空洞との連結部分のところで縮小された直径若しくは幅を有することによるか、又は、流れ制限要素(当業界では抵抗体として知られる場合もある)を他の形で組み込むことによるかのいずれか、或いはその両方により、空気流れを制限するように構成される。この実施例では、流体通路P118が両方を備える。
別法として又は加えて、デバイスの流体通路P105が、流体通路P118及び後方空洞P121を介して、前方空気空洞P120をデバイスの外部の空気に流体的に連結することができ、例えば外部環境に流体的に連結することができる。この流体通路P105は、出力通気孔P109の通常は実質的に封止されている周辺部内で、実際に存在する可能性があるいかなる漏れ通路からも隔てられている。この実施例では、エア・ベント又はアパーチャP105が前方空洞P120に対してハウジングの反対側の端部のところに設けられ(後方空洞P121の近く)、それにより、流体通路P118及び後方空洞P121を介して前方空洞P120からデバイスP100の外部の空気まで空気が通過するのを可能にする。流体通路P105が、前方空洞P120若しくは他の隣接する空洞P121との連結部分のところで縮小された直径若しくは幅を有することによるか、又は、流れ制限要素を他の形で組み込むことによるかのいずれか、或いはその両方により、空気流れを制限するように構成される。この実施例では、流体通路P105が、後方空洞P121から外部の空気までの限定的な流れ経路を提供する。
代替的実施例において、通常は封止されている空洞P120から空気が漏れるのを可能にするために、任意の数の1つ又は複数の流体通路が組み込まれ得る、ことが理解されよう。この実施例では、両方の通路P118及びP105が設けられ、これを達成するように集合的に仕事をする。しかし、代替の変形形態では、1つ又は複数のエア・ベントが例えば空洞P120のところに又はその近くに配置され得(例えば、空洞P120と同じ、振動板組立体の側)、外部環境などの、デバイスの外部の空気まで繋がる。
一般には、一定程度の空気の漏れを可能にするようなパッド又はプラグを作ることより、多様な耳形状及び頭部形状並びに多様な配置に対しても常に封止することができるようなイヤ・パッド又はイヤ・プラグを作る方がより単純である。そのため、本発明の個人用オーディオ・デバイスのこの実施例では、イヤ・パッド又はイヤ・プラグが実質的に封止することを可能にするように設計され、空気の漏れがデバイスに導入され、それにより共振の減衰が可能となる。漏れは、好適には、使用者の耳又は頭部とデバイスとの間のインターフェースから離れるように位置決めされ、その結果、位置及び抵抗さらには任意のリアクタンスなどの特性が、耳の形状及びデバイスの配置の多様性から実質的に独立することになる。
各流体通路が、動作中に、使用者の頭部とオーディオ・デバイスとの間を通過することなく使用者の耳又は頭部に隣接する第1の空洞P120から空気が流出するのを可能にし、それによりシールに影響する。
各流体通路P118又はP105が好適には流体流れ制限器を備える。流体流れ制限器が、例えば、縮小されたサイズ、幅若しくは直径を有する隣接する空洞からの入口若しくは流入口、及び/又は、多孔性若しくは通気性の材料などの、入口のところにあるか若しくは通路内にある流体流れ制限要素若しくはバリア、の任意の組合せを備えることができる。例えば、流体通路は、縮小された直径又は幅の入口を有する完全に開放された通路であってよい。別法として又は加えて、流体通路が、入口のところに又は通路内に、そこを通過する気体にいくらかの抵抗を受けさせるための、発泡体バリア又はメッシュ布バリアなどの流体流れ制限要素を備えてもよい。流体通路が1つ又は複数の小さいアパーチャを備えることができる。
好適には、流体通路P118及びP105が、動作中に外耳道内の音圧を有意に低下させるようにするための、十分な非制限性を有する。音圧の有意な低下は、例えば、20Hzから80Hzの周波数範囲にわたってのデバイスの動作中の音圧の、少なくとも10%、又はより好適には少なくとも25%、又は最も好適には少なくとも50%の低下であってよい。この音の減少は、流体通路を一切有さずしたがって動作中に生じる音圧の漏れが無視できる程度であるような同様のオーディオ・デバイスを基準としたものである。音圧の有意な低下は、好適には、標準的な測定デバイス内にオーディオ・デバイスが装着されている時間の少なくとも50%で観測される。しかし、それ以外の音圧の低下も考えられ、本発明はこれらの実例に限定されることを意図されない。
この実施例では、流体通路P118が、前方空洞P120(さらには、後方空洞P121)との連結部分のところに縮小された直径を有する。直径は通路の長さに沿って実質的に一様であるが、いくつかの代替形態においてこの直径が変化するものであってもよいことが理解されよう。流体通路P118が、そこを通る流れの圧力又は流量を制限しながら、空気を含めた気体がこの通路を通って流れるのを可能にもするための、メッシュ又は発泡ファブリックなどの、すなわち通路の内部にある、通気性又は多孔性の流れ制限要素又は材料P126をさらに備え、それにより、外耳道と、空気空洞P120と、流体通路P118と、空気空洞P121と、流体通路P105とを備える空気空洞システム内でそれ以外の場合において発生する可能性があるいかなる望ましくない共振も低減する。流れ制限材料はこの実施例では流体通路P118の入口/流入口のところに配置されるが、通路の流出口に及び/又は通路の中に配置されてもよいことが理解されよう。
さらに、流体通路P105が、後方空洞P121との連結部分のところに縮小された直径を有する。流体通路P105が、そこを通る流れの圧力又は流量を制限しながら、空気を含めた気体が通路を通って流れるのを可能にもするように構成されるメッシュ又は発泡材料P123の形態の流れ制限要素をさらに備え、それにより、上で言及した空気空洞システム内でそれ以外の場合において発生する可能性があるいかなる望ましくない共振も低減する。流れ制限材料はこの実施例では流体通路P105の流出口のところに配置されるが、入口/流入口に及び/又は通路の中に配置されてもよいことが理解されよう。
各流体通路は振動板組立体及び/若しくはオーディオ・トランスデューサ組立体の周辺部の近くなど、又はさらには、振動板組立体及び/若しくはオーディオ・トランスデューサ組立体内のアパーチャを通るといったように、デバイス内の任意の場所を延びていてよい。
この実施例では、流体通路の空気の漏れにより行われる減衰により、空気共鳴の制御が改善される。また、共振制御、さらには、バス・レベルの抑制(bass level moderation)が、多様な聴取者/使用者に対してさらには多様なデバイスの配置に対しても比較的一定なものとなり得る。
いくつかの実施例では、使用者の外耳道及び/又は甲介に直接に隣接するように配置されるように又はその内部に配置されるように構成されるオーディオ・デバイスのチャネルが細長い導管又はスロートを備えることができる。また、この設計は空気共鳴を受けやすい可能性がある。したがって、いくつかの実装形態では、音吸収材P127及び/又は流れ制限器がこの導管内に配置され、動作中の内部共振をさらに減衰する。
例えば、通気孔P109のスロート内に配置される発泡体挿入物P127が、空洞P120と外耳道との間を動く空気を含めた共振の減衰を達成することができる。発泡体はまた、周波数応答に影響することができる。その理由は、抵抗が高周波数と低周波数とで異なる形で影響するからである。別法として、デバイスのスロート内で共振を減衰するのに、空気流れを制限するように構成される他の多孔性又は通気性の要素が使用されてもよい。
イヤホンは耳の固有共振特性を修正することができ、これは、可能性として、外耳道及び甲介の系統の周波数応答に合わせるように脳を修正することがないようにするために、外耳道及び甲介の系統の周波数特性及び/又は共振特性を修正することができる。例えば、図P3を参照すると、(イヤホンの挿入後に)外耳道入口の位置P305のところでイヤ・プラグP101(及び、イヤホンP100)により外耳道P301を実質的に封止するようなイヤホンの場合、これにより、外耳道の共振を開口管タイプの共振から閉管タイプの共振へと変化させることができる。加えて、共振がエネルギーを蓄積して幾分か遅れてエネルギーを解放し、これにより傾向として音が不鮮明となる。これらを理由として、このような共振の減衰を介することを含めて、耳/イヤホン・システムの共振を軽減することが有利である可能性がある。したがって、この実施例などのようなイヤホンの用途では、共振を減衰するために、使用者の耳をマウントするように構成される領域に隣接する振動板組立体の側に配置される空気空洞から、振動板組立体の反対側の別の空気空洞への及び/又はデバイスの外部の空気への、空気の漏れのための少なくとも1つの流体通路を導入することが特に有利である。この通路を通る限定的な流れ経路を提供することが、共振減衰及び/又はバス・ブーストの抑制を達成するのを補助することになる。しかし、セクション5.2.2で後でさらに詳細に説明されるような、ヘッドホンの用途でも、さらには補聴器の用途でも、これらの利点が見られ得ることが理解されよう。
したがって、この実施例では、流体通路P118及びP105が以下のことを含めた利点を提供する:振動板組立体を通過し、通気孔P105を介する漏れが、外耳道の共振(固有状態から修正される)、及び、外耳道と、空気空洞P120と、流体通路P118と、空気空洞P121と、流体通路P105とを備える空気空洞システムの他の共振モードを減衰すること;並びに、高い製造公差に依拠することなく多様な聴取者に対して、耳シールを通過する(すなわち、振動板組立体を通過し、通路を介する)漏れがデバイス内の漏れより少ないことを理由として、耳に対しての封止の程度が変化する場合でも、漏れの量、位置、及び、任意の固有リアクタンスが使用者間で一定となること。
この実施例では、上のセクションで説明したように、オーディオ・トランスデューサが、周囲/エンクロージャP102と実質的に物理的に連結しない周辺部を備える振動板本体を備える。これは、個人用オーディオの用途でしばしば必要となるような、大きく可動域する高い追従性を有する周囲に関連する望ましくない高周波数共振を低減しながら、強化される低音の拡張のための振動板の基本共振周波数を下げることを達成するのも促進する。
従来のダイナミック・ドライバ及びアーマチュア・ドライバに基づくイヤホンでは、このようなトレードオフは複数のドライバを使用することによって一般に解決されるが、これは、クロスオーバー回路に関連する歪みを導入することになり、デバイスの複雑さ、コスト及びサイズを増大させる可能性がある。
振動板周辺部が少なくとも部分的に物理的に連結しないことにより上記のように促進され得るような、下げられる基本の振動板共振周波数によりバスに対して種々の改善が達成され得、これには、限定しないが、バス・レベルが増すこと、可能性として位相応答が改善されること、ボリュームの変更に関しての線形性が増すこと、及び、高調波歪みを低減すること、が含まれる。しかし、バス・レスポンスのこれらの改善は、実装形態ごとに異なる形で見られ、これは特には、エンクロージャのジオメトリなどのファクタが応答に有意に影響する可能性を有するような、個人用オーディオ・デバイスにおいてである。これに留意して、流体通路が、バス・レスポンスを改善するように設計されたオーディオ・トランスデューサのコンフィギュレーションが実装される場合のデバイスのバス・レスポンスを制御、抑制又は微調整するのに使用され得る。
したがって、空気の漏れのための少なくとも1つの流体通路との組合せで、振動板が実質的に(又は、少なくとも部分的に)物理的に連結しないような、オーディオ・トランスデューサの設計が、エネルギー蓄積を低減する(例えば、過度応答及び累積スペクトル減衰のプロットで測定される)オーディオ・デバイスを提供することになる。その理由は、ドライバ及び空気空洞システムの共振が対処されて、従来の設計に対して周波数レスポンス特性が改善されるからである。
上述したように、この実施例のオーディオ・トランスデューサP100が、フェロ流体により、組立体の周辺部のところで、基部構造P102に対して適切なアライメントで支持される振動板組立体P110を備える。振動板組立体の周辺部以外の場所に配置されるような空気通路を導入することにも利点がある。しかし、本発明はこのような実施例に限定されることを意図されない。この実施例などの、イヤホンの用途では、空気空洞のサイズが小さいことを部分的に理由として、及び、甲介内に配置されるのに十分なコンパクトさの非常に小さいトランスデューサを使用することを理由として、空気の漏れの小さい変化が大きな影響を有し得る。これは、空気の漏れの許容誤差及び一貫性を維持することが困難となり得ることを意味する。振動板組立体が、第1の空洞P120と別の空洞又は外部環境との間に流体空気漏れ通路を作るような空気間隙を周辺部の周りに有する場合、この間隙が、言及したようにデバイスの動作に大きく影響する可能性があるような、製造のばらつき、振動板マウンティングの変化、又は、使用時の振動板の動き、を原因とする、サイズ又は形状の非一貫性を有するように形成される可能性がある。空気間隙のサイズのこのような非一貫性は、例えば一貫しない及び/又は過剰な空気の漏れの原因となる可能性がある。これは個人用オーディオ・デバイスのいくつかの実装形態において不利である可能性があり、これは例えば、バス・レスポンスを増大させるのに十分な封止を必要とするコンパクトなトランスデューサが必要とされる場合などであるが、コンパクトなトランスデューサは、このような過度に大きい空気間隙又は一貫しない空気間隙の影響を有意に受ける。空気間隙ではなくフェロ流体を用いて周辺部を支持することにより、このような非一貫性が低減され得る。代わりに、例えば流体通路のサイズを制御することがより容易となり得るような振動板組立体の周辺部以外の位置に、カスタマイズされる空気漏れ流体通路が組み込まれてもよい。この実施例で示されるように、流体通路P118及びP105は振動板組立体及び励起/変換機構に隣接するように配置されるが、これらの組立体の周辺部のところには配置されない。代替的実施例では、振動板組立体の内部を通る流体通路が提供され得る。このような手法の各流体通路のサイズはより容易にカスタマイズされ得、所望のレスポンスを達成するように構成され得る。
作動周波数範囲
好適には、オーディオ・デバイスP100が、160Hzから6kHzの周波数帯を含む、又はより好適には120Hzから8kHzの周波数帯を含む、又はより好適には100Hzから10kHzの周波数帯を含む、又はさらに好適には80Hzから12kHzの周波数帯を含む、又は最も好適には60Hzから14kHzの周波数帯を含む、FROを有する。
いくつかの変形形態
この実施例のオーディオ・トランスデューサは直線動作トランスデューサである。しかし、代替的実施例(例えば、実施例Xのところで説明される)において、個人用オーディオ・デバイス内で別法として回転動作トランスデューサが使用されてもよいことが理解されよう。
別法として、ヘッドホン・デバイス内で(例えば、実施例Yのところで説明されるような)、又は、例えば携帯電話又は補聴器などの他の個人用オーディオ・デバイス内で、インターナル・オーディオ・トランスデューサ機構が実装されてもよいことが理解されよう。
オーディオ・デバイスP100が、他の実施例を参照して後でさらに詳細に説明されるように、複数のトランスデューサを備えることができる。
この実施例の振動板組立体は、フェロ流体以外の手法で、トランスデューサ基部構造及び周囲に対して浮遊状態にされ得、基部構造及び/又は周囲に連結されない周辺部の領域において空気間隙(フェロ流体の代わり)によって隔てられ得る。例えば、代替的実施例では、振動板周辺部が、コンパクトな板ばねにより、又は、発泡体の切り離されたセグメントにより、支持され得る。
5.2.2 実施例K - ヘッドホン
次に図K1~K5を参照すると、ヘッドホン装置K203の形態の個人用オーディオ・デバイスの別の実施例(本明細書では、実施例Kのオーディオ・デバイスと称される)が、左側のヘッドホン・インターフェース・デバイスK204及び右側のヘッドホン・インターフェース・デバイスK205と(以下では、ヘッドホン・カップK204及びK205とも称される)、ブリッジ・ヘッドバンド(bridging headband)K206(図K2)とを備えるものとして示されている。各ヘッドホン・インターフェース・デバイスが、カップ・ハウジングK204(図K3及びK4)の内部にマウントされるオーディオ・トランスデューサK100(図K1)を備える。この実施例はヘッドホンのコンフィギュレーションを示すが、本発明の範囲から逸脱することなく、別法として、オーディオ・デバイスの種々の設計上の特徴が、例えばイヤホン又は携帯電話デバイスなどの、任意の他の個人用オーディオ・デバイスに組み込まれてもよいことが理解されよう。次に、左側のヘッドホン・カップK204の特徴をさらに詳細に説明する。右側のヘッドホン・カップK205が同じ又は同様のコンフィギュレーションを有し、したがって、簡潔さのためにその特徴が説明されない、ことが理解されよう。
図K1を参照すると、この実施例では、オーディオ・トランスデューサが、動作中に関連付けられた回転軸K119を中心として振動板を回転させるように構成されるヒンジ・システムを介してトランスデューサ基部構造K118に回転可能に接続される振動板組立体K101を備える回転動作トランスデューサである。振動板組立体が、好適には、極めて厚い振動板本体K120を備え、例えばここでは、振動板本体の最大厚さK127が振動板本体の長さK126の少なくとも15%であり、又は、本体の長さK126の少なくとも20%である。例えば示される実施例では、振動板本体の最大厚さK127が、19mmである振動板本体の長さK126の30%である5.7mmであってよい。また、この厚さは、振動板本体に跨る対角線の長さなどの、最大寸法の少なくとも約11%、又はより好適には少なくとも約14%であってもよい。例えば示される実施例では、振動板本体の最大厚さK127は、27.5mmである振動板本体の長さK139の21%である5.7mmであってよい。しかし、代替的実施例において、振動板本体がそれほど厚くなくてもよい。トランスデューサが、使用時に振動板本体に実質的な回転動作を加えることにより音を変換するための、電磁機構などの励起機構をさらに備える。関連付けられた振動板本体に連結されるオーディオ・トランスデューサの励起/変換機構の部分は、好適には強固に連結される。
高い剛性を有する振動板組立体
この実施例では、振動板構造が、音響による分割に抵抗するのに適するジオメトリを有する。
振動板組立体が、動作中に極めて高い剛性を有する振動板構造を備える。振動板構造は、好適には、本明細書のセクション2.2のもとで説明されるコンフィギュレーションR1~R4の振動板構造のうちの任意の1つである。この実施例では、振動板構造が、セクション2.2の実施例Aのオーディオ・トランスデューサに関連して説明される振動板構造A1500と構成が類似し、本体の反対側にある主面K132上にあるか又はそれに隣接する外側垂直応力補強材K111/K112と、垂直応力補強材に対して実質的に垂直の向きの内側せん断応力補強材K121とにより補強される振動板本体K120を備える。外側応力補強材が一連の長手方向の支柱を備え、それらの一連の長手方向の支柱のうちの第1のグループK112が関連付けられた主面K132に沿って長手方向に方向づけられ、第2のグループK111が第1のグループに対して及び互いに対してある角度で向けられ、それにより交差する支柱の形を形成する。外側応力補強材K111/K112が、振動板組立体K101の質量中心位置から遠位である領域の質量を低減する(例えば、支柱の幅又は厚さを縮小させることにより)。
また、振動板本体K120が、質量中心位置から遠位である領域の質量を低減する(ウェッジ形状の構造を形成するようにその長さに沿って先細りになることにより)。振動板本体K120が極めて厚く、例えば、振動板本体の長さK126の少なくとも約15%、又はより好適には長さの少なくとも20%の振動板本体の最大厚さK127を有する。振動板本体の長さK126は、厚さ寸法に対して実質的に垂直の方向における(又は、例えば、回転軸K119に対して垂直な方向に沿う)、回転軸K119から振動板構造の最も遠位の周辺部までの総距離によって画定され得る。傾斜連結タブK122が振動板本体K120の基部端部のところに配置され、振動板基部を振動板組立体K101の他の構成要素に強固に連結するのを可能にする。別法として、本記述のセクション2.2のもとで定義されるコンフィギュレーションR1~R4に従って構成される任意の他の振動板構造がこの実施例で採用されてもよいことが理解されよう。
振動板組立体K101が、使用時に振動板を動かすために、振動板構造の基部に、ヒンジ組立体の一部分に、及び励起機構の力伝達構成要素に強固に連結される振動板基部フレームK107をさらに備える。図K1l及びK1nに示されるように、振動板基部フレームK107が第1の垂直プレートK107a及び第2の傾斜プレートK107bを備え、これらの両方が実質的に平坦であり、振動板本体の主面K132のうちの1つの主面と振動板本体の基部面との間の相対角度に一致するように互いに対して傾けられる。これらの第1及び第2のプレートが、それぞれ、基部面及び上で言及した主面K132のところで、振動板本体に強固に連結される。主面K132に連結されるように構成される第2の傾斜プレートK107bが、1対の離間されるアパーチャK107e(図K1g、n及びmに示される)をさらに備え、これらの1対の離間されるアパーチャK107eが、トランスデューサ基部構造の基部ブロックK105から延びる接触部材K138に位置合わせされるように、さらには、振動板本体の基部端部のところに形成される凹部K120aに位置合わせされるように、構成される。このようにして、オーディオ・トランスデューサの組み立てられた状態において、接触部材K138が基部フレームK107の対応するアパーチャを通って延びるようになり、さらには振動板本体K120の凹部K120aの中まで延びるようになる。
振動板基部フレームK107が第1の実質的に垂直のプレートK107aから延びる第3の弓形プレートK107cをさらに備え、第3の弓側プレートK107cが、第2のプレートK107bの反対の方向に延びる基部フレームの第4の傾斜した実質的に平坦なプレートK107dに連結される。弓形プレートK107cが、組み立てられた状態において、コイルK130などの力伝達構成要素に連結されるように構成される。コイルK130が弓形プレートK107cの外側面に強固に連結される。プレートの円弧が、トランスデューサ基部構造によって形成される変換機構の磁界の隙間K140a及びK140bの円弧に対応するように構成される。1つ又は複数の弓形プレートK136が、フレームK107の第1、第3及び第4のプレートによって形成される振動板基部フレーム空洞の中に挿入され得る。好適には、3つのプレートがこの空洞内で保持され、2つの内側空洞K107eを形成し、その中で、変換機構の内側ポールK113がコイルK130と作動可能に協働するように延びる。
図K1l及びK1mに示されるように、組み立てられた状態において、基部フレームK107の第2のプレートK107bが、振動板本体/構造の関連付けられた主面をわずかに通過するように延びる。これにより、長手方向のコネクタK117を強固に連結するところの縁部が得られる。さらに、コネクタK117が基部端部のところで振動板本体の対応する面に強固に連結される。コネクタが、基部フレームK107の第2のプレートK107bのアパーチャK107eに位置合わせされる凹部を備える。コネクタの反対側(振動板本体に連結される側に対して)が、その長さに沿うコネクタの中央領域に、実質的に凹形に湾曲した表面(少なくとも、断面が)を備える。凹形に湾曲した表面が、ヒンジ・システム付勢機構(後でさらに詳細に説明される)の接触ピンを受けて収容するように構成される。基部フレームK107の第2のプレートK107bに連結されるコネクタの部分から傾斜部分が延びており、この傾斜部分が、振動板基部フレームK107の第4のプレートK107dに強固に連結されるように構成される。このようにして、コネクタK117がその長さに沿って基部フレームK107に強固に連結される。この部分が実質的に凹形に湾曲した表面(少なくとも、断面が)をさらに備え、この実質的に凹形に湾曲した表面がコネクタK117の長さのかなりの部分に沿って延び、ヒンジ・システム(後でさらに詳細に説明される)のヒンジ要素K108に接触して固定的に接続されるように構成される。ヒンジ要素K108が、後でさらに詳細に説明されるように、ヒンジ・システムの接触ブロックK138に係合されるようにコネクタの凹部に跨って延びるヒンジ要素K108のセクションにおいて少なくとも、実質的に凸形に湾曲した表面(少なくとも、断面が)を備える。
このようにして、組み立てられた状態において、振動板基部構造が基部フレームK107に及びコネクタK117に強固に連結される。次いで、基部フレームがさらに変換機構のコイルK130に強固に及び固定的に接続される。コネクタK117が、ヒンジ要素K108に及びヒンジ組立体の接触ピンK109に固定的に接続される。これらの構成要素が組合せで振動板組立体K101を形成する。
図K1f、K1j及びK1kを参照すると、基部フレームK107、ヒンジ要素K108及びコネクタK117が、好適には、構造の基部面に跨る振動板構造の全幅にわたって延びる。これらの構成要素のいずれかの端部が、好適には、実質的に弾性の連結部材K125及びスペーサ・ディスク又はワッシャK135を介してトランスデューサ基部構造側部ブロックK115に連結される。各側部ブロックK115が極めて高い剛性を有してよく、例えば、極めて高い剛性を有するプラスチック材料などから形成される。連結部材K125及び/又はワッシャK135が、関連付けられた側部ブロックK115の内側壁に強固に連結される。この構成は、トランスデューサ基部構造の基部構成要素K105に合わせて振動板基部フレーム組立体(コネクタK117及びヒンジ要素K118を含む)を追従的に位置決めする。この機構がヒンジ組立体の全体に寄与する。2つの連結部材K125が振動板組立体に復元力を提供し、この復元力が:
1)ニュートラルな位置又は静止位置へと振動板を位置決めすることに寄与し、したがって、最終的な振動板基本周波数Wnの実質的な決定的ファクタとなり;
2)接触部材K138に対してヒンジ要素K108を位置決めすることに寄与し、その結果、衝突、ノッキング、又は、他に見られるような外力による異常時に、これらの部分がニュートラルな位置に再位置合わせされ、ここでは、振動板組立体の部分が周囲の部分に接触せず、それと摩擦しない。
したがって、この機構は、ヒンジ式組立体の全体に寄与することに加えて、振動板復元機構としても機能する。
自由周辺部
振動板構造が、周囲K301などの周囲の構造と物理的に連結しない外周部を備える。振動板構造に関連する自由周辺部は本明細書のセクション2.3で詳細に説明されており、これがこの実施例にも適用される。要するに、振動板構造周辺部が、いくつかの実施例では例えば周辺部の少なくとも20パーセントに沿って、周囲と少なくとも部分的に物理的に連結しなくてよい。この実施例では、振動板構造が、周囲及びトランスデューサ基部構造を含む周囲構造とほぼ完全に物理的に連結しない(ヒンジ接続部を除く)。振動板構造の周辺部の連結されない自由な部分が、比較的小さい空気間隙K321及びK320により周囲から隔てられる。周辺部が、それ以外の方法によって、例えば、外周部の長さ又は周長の少なくとも50%又は少なくとも80%に沿って、実質的に物理的に連結されなくてもよい、ことが理解されよう。
好適には、振動板本体の外周部とハウジング/周囲K301との間の距離によって画定される空気間隙K321及びK320の幅が、振動板本体の長さK126の1/10未満、またより好適には1/20未満である。例えば、振動板本体の外周部と周囲との間の距離によって画定される各空気間隙の幅は、1.5mm未満、又はより好適には1mm未満、又はさらに好適には0.5mm未満である。これらの値は例示であり、この範囲の外にある他の値も適し得る。
ヒンジ・システム
回転動作オーディオ・トランスデューサが個人用オーディオ・デバイスに良好に適し得る。その理由は、振動板の大きい可動域及び低い基本の振動板共振周波数を介して、回転動作トランスデューサが、高周波数帯域幅を拡張することさらにはバスを拡張することの要求を満たす潜在能力を有するからである。
耳と振動板組立体との間の空気を完全に又は少なくとも部分的に封止するオーディオ・デバイス・インターフェースの設計と、回転動作オーディオ・トランスデューサとの組合せである、この実施例では、封止により、バスの拡張を強化することを促進することが補助され、それによりオーディオ・トランスデューサの体積可動域能力に対する要求が軽減され、より良質な高音再生を達成することがより容易になる、ことを理由として、性能が向上する。
ヒンジタイプの振動板サスペンションが、低周波数共振モードを排除するか又は少なくとも軽減するのを補助する。
このヒンジ・システムは、本明細書のセクション3.2.1で説明される設計原理及び設計留意点に従って構成される接触ヒンジ・システムである。したがって、代替的実施例において、このヒンジ・システムが、例えば、実施例Aのオーディオ・トランスデューサに関連してセクション3.2.2で説明されるものなどの、本セクションで説明される原理に従って設計される任意の代替の機構に置き換えられてもよい、ことが理解されよう。例えば、少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサが、1つ又は複数のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を有するヒンジ・システムを備えることができ、各ヒンジ接続部がヒンジ要素及び接触部材を有し、接触部材が接触面を提供し、ヒンジ接続部が、使用時に、接触面との安定した物理的な接触を維持しながら接触部材に対してヒンジ要素を動かすのを可能にするように構成される。例えば、ヒンジは、実施例Aのオーディオ・トランスデューサA100のところで説明したヒンジ又は実施例Eのオーディオ・トランスデューサのヒンジに類似してよい。さらに、別の代替的なコンフィギュレーションでは、ヒンジ組立体が、実施例B及びDのオーディオ・トランスデューサのヒンジ組立体などの、本明細書のセクション3.3のもとで説明される可撓性ヒンジ組立体に置き換えられてもよく、又は、例えば、使用時に振動板を作動可能に支持する1つ若しくは複数の(好適には、薄い壁の)可撓性要素を備えるような、図C1からC13を参照して説明されるコンフィギュレーションの可撓性ヒンジ組立体に置き換えられてもよい。このヒンジ・システムは、低い基本の振動板共振モードと、高周波数の振動板共振モードを低減するための、単純な並進に対しての低い追従性と、振動板の大きい可動域とを同時に実現する。これらはすべてが個人用オーディオの用途で必要なものである。
この実施例に関連するヒンジ・システムの完全な説明は本明細書のセクション3.2.5で行われる。以下は実施例Kのトランスデューサのヒンジ・システムの簡単な概説である。図K1g~K1nを参照すると、この実施例では、ヒンジ・システムが、組立体の両側にある1対のヒンジ接続部を有するヒンジ組立体を備える。各ヒンジ接続部が、接触面を提供する接触部材と、接触面に当接して旋回するように構成されるヒンジ要素とを備える。各ヒンジ接続部が、接触面との安定した物理的な接触を維持しながら接触部材に対してヒンジ要素を動かすのを可能にするように構成され、ヒンジ要素が接触面に向かって付勢される。
ヒンジ・シャフトK108の形態であるヒンジ要素が振動板基部フレームK107に強固に接続される。反対側で、ヒンジ・シャフトK108が接触部材K138に旋回可能に又は枢動可能に接続される。図K1iに示されるように、各接触部材が凹形に湾曲した接触面K137を備え、この接触面K137がシャフトK108の自由側をそれに接触させて旋回させるのを可能にする。凹形表面K137がシャフトK108の曲率半径より大きい曲率半径を有する。1対の接触部材K138が基部構成要素K105の両側から延び、シャフトK108の両端部に旋回可能に又は枢動可能に接続され、それにより2つの別個のヒンジ接続部を形成する。これらのヒンジ接続部が、好適には、振動板構造及びトランスデューサ基部構造の両方にしっかりと結合される。
図K1l~K1mを参照すると、ヒンジ・シャフトK108が、ヒンジ・システムの付勢機構により、弾性的に及び/又は追従的に、基部ブロックK138の接触面K137に接触して定位置で保持される。付勢機構が、圧縮ばねの形態の実質的に弾性の部材K110と、接触ピンK109とを有する。ばねK110が一方の端部のところで基部構造K105に強固に接続され、接触位置K116のところの反対の端部のところで接触ピンK109に係合される。弾性接触ばねK110が接触ピンK109に向かって付勢され、その場で少なくともわずかに圧縮した状態で保持される。この構成は、基部フレームK107と、コネクタK117と、ヒンジ接続部の接触基部ブロックK138に接触するヒンジ・シャフトK108とを含めた振動板基部構造を追従的に引く。追従性及び/又は弾性の程度は本明細書のセクション3.2.2のもとで説明した通りである。
トランスデューサ基部構造及び変換機構
好適には、振動板構造が、追従的に取り付けられる場合とは異なり、又は、特には他の構成要素のジオメトリが細長い場合において別の構成要素を介して取り付けられる場合とは異なり、力伝達構成要素K106に強固に取り付けられる。力伝達構成要素は、好適には、使用時に極めて高い剛性を維持するようなタイプのものであり、その理由は、それにより共振を最小にすることが補助されるからである。
電気力学タイプのモータが好ましい。その理由は、振動板の広範囲の可動域にわたってその挙動が非常に線形的であるからである。励起機構が、導電性の構成要素の形態の、好適にはコイルK106である力伝達構成要素を備えることができ、この力伝達構成要素が、オーディオ信号を表す電流を受け取る。好適には、導電性の構成要素が磁界内に配置され、磁界が好適には永久磁石によって提供される。
この実施例では、トランスデューサ基部構造K118が、極めて厚くて脚の短いジオメトリを有し、電磁励起機構の磁気組立体を有する。基部構造が、基部構成要素K105と、永久磁石K102と、振動板組立体の振動板基部フレームK107の空洞内に配置される対向する内側ポール・ピースK113から離間される、磁石K102に接続される外側ポール・ピースK103及びK104と、を備える。対向する外側ポール・ピース及び内側ポール・ピースが、それらの間に実質的に湾曲したチャネル又は弓形のチャネルを作るような対向する表面を有する。振動板基部フレームの弓形プレートが、この弓形の磁界チャネルに形状が対応する表面を備える。1つ又は複数のコイル巻線K106が振動板基部フレームの弓形プレートに接続され、その場でチャネルの中を延びる。好適には、ニュートラルな位置において、コイルが対応する内側ポール及び外側ポールの位置に位置合わせされ、それによりこれらの構成要素の間の協働を向上させる。動作中、各コイル巻線K106及び基部フレームK107の一部がこのチャネル内で往復動し、このとき、振動板組立体の残りの部分が回転軸K119を中心として揺動及び枢動する。
ハウジング
図K3を参照すると、オーディオ・トランスデューサが周囲K301内に収容されて示されている。周囲K301が外側キャップK302によって囲まれる。これらの2つの部分がトランスデューサのためのハウジングK204を形成する。周囲及び外側キャップが、例えば、スナップ嵌合係合、接着剤、又は、固定具K316を介するなどの、任意適切な方法を介して、互いに固定的に及び強固に接続され得る。周囲K301が、周囲K301(及び、ハウジングK204)へのトランスデューサのマウンティング並びに周囲K301(及び、ハウジングK204)からのトランスデューサのデカップリングを実現するのを補助するために、オーディオ・トランスデューサの一部分の近くでその上で延びている内側キャップK303を有する。内側キャップK303が周囲K301と一体に形成され得るか、又は、他の方法で別個に形成されて、例えば、スナップ嵌合係合、接着剤、若しくは、固定具K317を介するなどの、任意適切な方法を介して、周囲K301に固定的に及び強固に接続され得る。周囲がトランスデューサをその中で保持するための空洞を備え、空洞の両側のところで開いている。一方側で、開口部がアウトプット・アパーチャK325を形成し、動作中、音がこのアウトプット・アパーチャK325を通ってトランスデューサ組立体から伝播する。図K4を参照すると、アウトプット・アパーチャが、デバイスの使用時に使用者の耳K410のところに又はそれに隣接するところに配置されるように構成される。柔らかいイヤ・パッドK309が、外側キャップK302の反対側で周囲K301の周辺部の周りを及びアウトプット・アパーチャK325の周りを延びている。柔らかいイヤ・パッドK309が、使用者にとって快適である発泡材料などの当技術分野でよく知られる任意適切な材料から形成されてよい追従性を有するインナーK310を備える。インナーK310が非通気性のファブリック外側層K311さらには通気性のファブリック又はメッシュ内側層K312で裏打ちされていてよい。また、オープン・メッシュ・ファブリックK318がアウトプット・アパーチャK325の上を延びていてよい。
この実施例では、オーディオ・デバイスが、サーカムオーラル・ヘッドホンの場合では一般的であるように、人の頭部K408に圧力を加えるように、及び、耳K410の外側部分を越えるところにある位置K409を実質的に封止するように、構成される。頭部K408の1つ又は複数の他の部分及び耳K410に圧力を加えることもできる。限定しないがスープラオーラル・コンフィギュレーションなどの、他のパッドのコンフィギュレーションも可能である。柔らかいイヤ・パッドK309が、好適には、使用者の耳の周りに有意なシールを形成し、それにより、その場でデバイスの外部の空気K414からデバイスの内部の空気を実質的に封止する。イヤ・パッドK309が、使用時に使用者の耳K410のところに又はそれに隣接するところに配置される、デバイスの内部の前方空洞K406内の空気と、デバイスの外部の空気(周囲の外気)K414との間に十分なシールを提供するように構成される。パッド・インナーK310及び外側ファブリックK311に使用されるジオメトリ及び/又は材料が例えばシールK409の十分性に影響することができる。
実質的なシールとは、例えば、動作中の少なくとも低いバス周波数での音圧を改善する(すなわち、バス・ブーストを提供する)ように構成されるシールである。例えば、イヤ・パッドは、動作中に(少なくとも、低いバス周波数において)耳の内部で生じる音圧を増大させるようにその場で使用者の耳/頭部を実質的に封止するように構成され得る。いくつかの実装形態では、音圧が、例えば、その場でオーディオ・デバイスにより十分なシールを作らない場合に生じる音圧を基準として、平均で、少なくとも2dB、又はより好適には少なくとも4dB、又は最も好適には少なくとも6dB増大することができる。前方空洞K406内に封入される空気は、動作中にバス・ブーストを提供するのも補助するために十分に小さくてよい。
言及したように、この実施例のデバイスは、耳の周りの空気をデバイスの周りの空気から実質的に封止することによりバス・ブーストを提供する。いくつかの変形形態では、イヤ・パッドK309が、低弾性のポリウレタン・フォーム又はポリエーテル・フォームなどの例えば連続気泡発泡体といったような、発泡体などの材料から作られる多孔性の圧縮可能なインナーK310で構成され、インナーK310が、パッドK301の外部周辺部(例えば、外側を向いており、その複数の部分が使用中に使用者の頭部/耳に接触するように構成される)のところにある実質的に非多孔性の外側ファブリックK311によって覆われる。デバイスの内部の方を向くイヤ・パッドK309の内部部分は、覆われないままであるか、又は、多孔性である内側ファブリックK312で覆われ、その結果、耳の周りの音波が多孔性発泡体の内部で伝播することができるようになり、ここでは、それらのエネルギーが、内部の空気共鳴を制御するのを補助するために消散し得る。
これはまた、空気空洞K406が、多孔性のイヤ・パッド・インナーK310の容積に連結され、したがってその容積を含むようにそこまで延びている、ことを意味する。これにより、周囲騒音のパッシブ減衰の改善を含めた別の利点を得られる。その理由は、例えばイヤ・パッドK309と装着者の頭部K408との間での漏れを介して又は他には空気通路K320、321、322及び324を介して、周囲空気K414から空気空洞K406まで移動する音圧が、容積K310に連結されるより大きい空気体積K406のところに広がるにはより長時間かかるからである。
この変形形態は、減衰を介して内部の空気共鳴に対処しながら同時に、トランスデューサの、特には振動板及び周囲の、望ましくない機械的共振に対処し、振動板の可動域及び基本の振動板共振周波数を改善するのを可能にする。内部の空気共鳴は、前方空洞K406、後方空洞K405、並びに、デバイス及び/若しくは使用者の頭部の中に含まれる任意の他の空洞又はデバイス及び/若しくは使用者の頭部による任意の他の空洞、の中で対処され得る。
好適には、追従性を有するインターフェース/イヤ・パッドK309が、アウトプット・アパーチャK325を覆う通気性のファブリックK318を備える。通気コットン・ベロア又はポリエステル・メッシュが、適する材料の例である。
外側キャップK302が、好適には、ヘッドバンドK206のそれぞれの端部に枢動可能に接続される。例えば、外側キャップK302が、ヘッドバンドK206のそれぞれの端部のピボット・ナットK401に回転可能に接続されるピボットねじK308を備えることができる。これにより、ヘッドバンド位置が快適となるように使用者によって調整されることが可能となる。任意適切なヒンジ式機構が使用され得る。別法として、ヘッドバンドがヘッドバンドに固定的に接続されてもよい。
デカップリング・マウンティング・システム
この実施例では、オーディオ・トランスデューサが、デカップリング・マウンティング・システムを介して周囲K301内にマウントされる。デカップリング・マウンティング・システムは、本明細書のセクション4で説明されるデカップリング・マウンティング・システムのうちの任意の1つであってよい。例えば、デカップリング・マウンティング・システムが、本明細書のセクション4.2で説明されるシステムのうちの任意の1つであってよいか、又は、本明細書のセクション4.3に記載される設計原理及び設計留意点に従って設計される別のデカップリング・マウンティング・システムであってもよい。この実施例では、実施例Aのオーディオ・トランスデューサに関連して本明細書のセクション4.2.1で説明されるものに類似するデカップリング・マウンティング・システムが使用される。デカップリング・マウンティング・システムが、オーディオ・トランスデューサ基部構造K118を周囲K301に追従的にマウントするように構成され、その結果、構成要素が、関連付けられたトランスデューサの動作中、少なくとも1つの並進軸に沿って、しかし好適には直交する3つの並進軸に沿って、互いに対して動くことができる。別法として、しかしより好適にはこの相対的な並進運動に加えて、デカップリング・システムが、関連付けられたトランスデューサの動作中、少なくとも1つの回転軸を中心として、しかし好適には直交する3つの回転軸を中心として、2つの構成要素を互いに対して枢動させるのを可能にするように、2つの構成要素を追従的にマウントする。このようにして、デカップリング・マウンティング・システムが、振動板及び周囲K301と、内側キャップK303及び外側キャップK302との間の振動の機械的伝達を少なくとも部分的に軽減する。
図K3d~fに示されるように、マウンティング・システムが、トランスデューサ基部構造の両側から側方に延びる1対のデカップリング・ピンK133を備える。デカップリング・ピンK133が、それらの長手方向軸をトランスデューサ組立体のノード軸の位置に実質的に一致させるように、配置される。ノード軸は、振動板の揺動中に見られる反力及び/又は共振力によりトランスデューサ基部構造が回転するときの中心となる軸であり、本明細書のセクション4でさらに詳細に説明される。この実施例では、ノード軸が基部構造要素K105のところ又はその近くに配置される。デカップリング・ピンK133が、基部構造K118の上側主面と下側主面との間で側部からトランスデューサ組立体の長手方向軸に対して実質的に垂直に延びており、基部構造K118に強固に接続され、及び/又は、一体化される。ブシュK304が各ピンK133の周りにマウントされる。さらに、いくつかのコンフィギュレーションでは、ワッシャがブシュとトランスデューサ基部構造の関連付けられた側との間に接続され得る。ブシュ及びワッシャは本明細書では「ノード軸マウント」と称される。ノード軸マウントが、例えば、セクション4.2.1のもとで説明される方法又は接着剤を介する方法などの、任意適切な方法を介して、周囲K301の対応する内側側面に接続されるように構成される。
デカップリング・マウンティング・システムが、トランスデューサ基部構造K118の対向する面上に配置される1つ又は複数のデカップリング・パッドK305及びK306をさらに備える。パッドK305及びK306が、構成要素を分離するのを補助するために、関連付けられた基部構造面と周囲K301(内部キャップK303を含む)の対応する内部壁/内側面との間にインターフェースを提供する。デカップリング・パッドが、好適には、ノード軸位置から遠位であるトランスデューサ基部構造の領域のところに配置される。例えば、デカップリング・パッドが、振動板の回転軸に接近してノード軸が配置されるときにこの実施例では振動板組立体K101から遠位である基部構造K118の縁部、側部又は端部のところに又はそれに隣接するように配置される。各パッドが好適には縦長の形状である。好適な形態では、各パッドK305、K306が、本体の深さ方向に沿う先細りの幅を有するピラミッド形状の本体を備える。好適には、ピラミッドの頂点がトランスデューサ基部構造K118の関連付けられた面に接続され、ピラミッドの反対側の基部がトランスデューサの周囲の関連付けられた面にその場で接続されるように構成される。しかし、いくつかの実装形態ではこの向きは反転されてもよい。代替的実施例において、デカップリング・マウンティング・システムが、トランスデューサ基部構造の面のうちの1つ又は複数の面の周りに分布する複数のパッドを備えることもできる、ことが理解されよう。このようなマウントは本明細書では「遠位マウント」と称される。
ノード軸マウント及び遠位マウントが、それらの各々を取り付けているところの2つの構成要素の間での相対運動に対して十分に追従的である。例えば、ノード軸マウント及び遠位マウントは、それらを取り付けているところの2つの構成要素の間での相対運動を可能にするのに十分にフレキシブルとなり得る。ノード軸マウント及び遠位マウントは、追従性を得るための可撓性又は弾性の部材又は材料を備えることができる。これらのマウントは、好適には、それらを取り付けているところの少なくとも一方のしかし好適には両方の構成要素を基準として(例えば、トランスデューサ基部構造及びオーディオ・デバイスのハウジングを基準として)低いヤング率を有する。また、これらのマウントは好適には十分な減衰性を有する。例えば、ノード軸マウントがシリコーン・ゴムなどの実質的にフレキシブルなプラスチック材料から作られてよく、バッドもシリコーン・ゴムなどの実質的にフレキシブルな材料から作られてよい。好適にはパッドは、シリコーン・ゴムなどの、又はより好適には例えば粘弾性ウレタン重合体などの、衝撃及び振動吸収材料から形成される。別法として、ノード軸マウント及び/又は遠位マウントが、金属のデカップリングばねなどの可撓性及び/又は弾性の部材から形成されてもよい。トランスデューサを浮遊状態にするために動きに対して十分な程度の追従性を有するような、実質的に高い追従性を有する他の部材、要素、又は、磁気浮揚などの機構が代替のコンフィギュレーションにおいて使用されてもまたよい。
この実施例では、ノード軸マウントのところで、デカップリング・システムが、遠位マウントのところのデカップリング・システムを基準としてより低い追従性を有する(すなわち、より高いスティフネスを有するか、又は、関連付けられた部分の間により高いスティフネスの連結部を形成する)。これは多様な材料を使用して達成され得、並びに/又は、この実施例の場合では、これは遠位マウントを基準としてノード軸マウントのジオメトリ(形状、形態及び/若しくはプロファイルなど)を変えることにより達成される。ジオメトリのこの差異は、遠位マウントを基準としてノード軸マウントが基部構造及び周囲とのより大きい接触面積を有し、それによりこれらの部分の間の接続部の追従性を低下させることを意味する。
トランスデューサが周囲の中に組み付けられるとき、狭くて実質的に一様である隙間/スペースK322が、トランスデューサ基部構造K118と周囲K301/内側キャップK303との間に形成される。いくつかの実施例では、隙間は一様でなくてもよい。この狭い隙間K322は基部構造K118の周長の少なくともかなりの部分(好適には、全周長)の周りを延びていてよい。トランスデューサ基部構造K118の外周部と周囲K301/内側キャップK303との間の距離によって画定される各空気間隙の幅は、1.5mm未満、又はより好適には1mm未満、又はさらにより好適には0.5mm未満である。これらの値は例示であり、この範囲の外にある他の値も適し得る。
狭い隙間/スペースK321が、振動板組立体K101の一部分又は全周長と周囲K301との間に存在する。
オーディオ・デバイスが、周囲K301又は内側キャップK303にやはり連結される振動板可動域ストッパーK323をさらに備える。1つ又は複数のこのようなストッパーが存在してよい。組立体K301の振動板構造の近位の領域において各面に沿って概して一様に離間される、長手方向に延びる1つ又は複数のストッパーK323がその場で存在し得る(この実例では3つ)。これらのストッパーK323が、デバイスが落下する又は非常に大きいオーディオ信号が提供されるなどの、振動板を過度に可動域させる可能性があるような任意の異常事象時に振動板に接触するように位置決めされる傾斜表面を有する。傾斜表面は、このポイントまで誤って振動板が回転させられる場合の振動板本体の角度に適合するように、振動板本体の付近にその場で配置されるように構成される。ストッパーK323が、振動板に損傷を与えるのを回避するための発泡ポリスチレンフォームなどの実質的に柔らかい材料から作られる。この材料は、好適には、損傷を軽減するために、例えば振動板本体の材料より相対的に柔らかい(例えば、振動板本体のポリスチレンより相対的に低い密度の材料であってよい)。ストッパーK323が、振動板を効果的に減速させるための、しかし、過剰な空気流れを阻止するような及び/又は共振する傾向のある閉鎖された空気空洞を作るような大きさではない、大きい表面積を有する。
空気漏れ流体通路
各ヘッドホン・カップK204が、共振を減衰すること及び/又はバス・ブーストを抑えることを補助するために、動作中に第1の空洞から別の空気までの限定的な気体流れ経路を提供するように構成される任意の形態の流体通路をさらに備えることができる。例えば、図K3d、K3e及びK4aを参照すると、このデバイスが、その場で使用者の耳に隣接するように配置されるように構成される第1の前方空気空洞K406を、その場で使用者の耳の遠位に配置されるように構成される第2の後方空気空洞K405に、又は、デバイスの外部の空気K414に、流体的に連結する少なくとも1つの流体通路を備える。前方空気空洞K406が、グリル・メッシュK318/アウトプット・アパーチャK325の両側に2つの空洞K406a及びK406bを備えることができる。この実施例では、デバイスが、周囲K301のアウトプット・アパーチャK325に隣接するように及び/又はアウトプット・アパーチャK325の方を向くように配置されるように構成される振動板組立体の側にある前方空気空洞K406を、周囲K301のアウトプット・アパーチャK325から離れる方を向く及び/又はアウトプット・アパーチャK325の遠位に配置される振動板組立体の反対の側にある後方空洞K405に流体的に連結する流体通路K320、K321及びK322を備える。周囲の外側キャップK302が、後方空洞K405から外部の空気K414までの空気通路K324を作る2つの小さいホールを有する。これらの空気通路が、流体通路K320/K321/K322との組み合わせで、前方空気空洞K406、後方空気空洞K405及び外部空気空洞K414を流体的に連結し、その結果、それ以外の場合では前方空洞K406内で封止的に保持されるような空気が後方空洞K406の中まで限定的に流れて、さらには後方空洞から外部の空気K414まで流れることができるようになり、それにより、使用時に内部の空気共鳴を減衰する及び/又はバス・ブーストを抑える。限定的な気体流れ経路を提供するための通路K320及びK324のために別個の流れ制限要素が使用されることは必須ではなく、通路は閉塞的なバリアを用いずに実質的に開放されていてよく、それでも、縮小されたサイズ、直径及び/又は幅を有することで限定的である。後でさらに詳細に説明されるように、少なくとも1つの流体通路K320/K321/K322は、前方空洞K406との連結部分のところで縮小された直径若しくは幅を有することによるか、又は、流れ制限要素を他の形で組み込むことによるかのいずれかで、或いはその両方により、空気流れを制限するように構成される。
この実施例のいくつかの変形形態では、前方空洞を外部の空気に流体的に連結するための、代替の又は追加の流体通路が提供される(例えば、実施例Pの通路P105に類似する)。
少なくとも1つの流体通路K320/K321/K322/K324が、好適には、流体流れ制限器を備える。流体流れ制限器が、例えば、縮小されたサイズ、幅若しくは直径を有する隣接する空洞からの入口若しくは流入口、及び/又は、多孔性若しくは通気性の材料などの、入口のところにあるか若しくは通路内にある流体流れ制限要素若しくはバリア、の任意の組み合わせを備えることができる。例えば、流体通路は、縮小された直径又は幅の入口を有する完全に開放された通路であってよい。別法として又は加えて、流体通路が、入口のところ又は通路内に、そこを通過する気体にいくらかの抵抗を受けさせるための、発泡体バリア又はメッシュ・ファブリック・バリアなどの流体流れ制限要素を備えてもよい。流体通路が1つ又は複数の小さいアパーチャを備えることができる。
好適には、さらに、流体通路K320/K321/K322/K324が、集合的に、動作中に外耳道内の音圧を有意に低下させるようにするために、十分な程度でガスがそこを通って流れるのを可能にする。音圧の有意な低下は、例えば、20Hzから80Hzの周波数範囲にわたってのデバイスの動作中の音圧の、少なくとも10%、又はより好適には少なくとも25%、又は最も好適には少なくとも50%の低下であってよい。この音の減少は、流体通路を一切有さずしたがって動作中に生じる音圧の漏れが無視できる程度であるような同様のオーディオ・デバイスを基準としたものである。音圧の有意な低下は、好適には、標準的な測定デバイス内にオーディオ・デバイスが装着されている時間の少なくとも50%で観測される。しかし、それ以外の音圧の低下も考えられ、本発明はこれらの実例のみに限定されることを意図されない。
この実施例では、流体通路K320、K321及びK322が、前方空洞K406(さらには、後方空洞K405)との連結部分のところに縮小された幅を有する。通路の幅は等しくても異なっていてもよい。各流体通路K320/K321/K322は実質的に開放されているが、前方空洞を基準としてサイズが縮小されており、それにより、それ以外の場合で空気空洞K406及び/又は空気空洞K405内で発生する可能性があるいかなる望ましくない共振も低減する。
各流体通路は、振動板組立体及び/若しくはオーディオ・トランスデューサ組立体の周辺部の近くなど、又はさらには、振動板組立体及び/若しくはオーディオ・トランスデューサ組立体及び/若しくはイヤ・パッドK309内のアパーチャを通るといったように、デバイス内の任意の場所を延びていてよい。この実施例では、通路K321が振動板組立体の周辺部の周りを延びており、また具体的には、振動板構造の側面及び終端面/終端縁部の周りを延びている。
この実施例では、流体通路の空気の漏れにより行われる減衰により、空気共鳴の制御が改善される。また、共振制御、さらには、バス・レベルの抑制が、多様な聴取者/使用者に対してさらには多様なデバイスの配置に対しても比較的一定なものとなり得、これは、具体的には、イヤ・パッドK309と使用者の頭部との間で起こり得る流体の漏れと比較して、デバイス内で実現される流体通路の漏れが有意である場合である。
K405又はK406などの空洞内の固有の空気共鳴を減衰するために、空気漏れ流体通路が、好適には、それ以外の場合において空洞を別の空気空洞又は周囲の空気K414に効果的に連結することができるような通路を通る高い空気流量を回避することなどを目的として、空気流れに対しての十分な抵抗を提供しなければならない。その理由は、このような状況が望ましくない新たな有意な共振モードを作り出す可能性が高いからである。多量の空気流れが発生する場合、好適には、流れ経路が、関連する共振を迅速に減衰させるための、発泡体プラグなどの抵抗体を含むことになってしまう。このような新たな共振モードの例は、空気流体通路内での空気の動きを伴うHelmholtzタイプの共振である可能性があり、このシナリオでは、これが、連結された空洞内に含まれる空気によって提供される復元力に逆らって通路内での質量の往復動を構成し、これが追従性として働く。
さらに、K405又はK406などの空洞内の固有の望ましくない空気共鳴を減衰するために、空気漏れ流体通路が、対象のモードに関連して、好適には、流体通路入口のところで空気圧の有意な低下を引き起こすような十分な空気流体流れを可能にする。一般に、これを行うために、通路が、好適には、対象のモードに関連付けられる圧力ノードのところに配置されず、そうしない場合、このモードが流体通路を通して空気を移動させることがなく、共振が影響を受けない。好適には、低減を最大にするために、空気通路が、望ましくない空気共鳴モードの圧力アンチノードのところに又はそれに接近するところに配置される。
空気空洞K406内の広範囲のスペクトルの望ましくない空気共鳴モードを低減するために、好適には、K320、K321及びK322などの空気漏れ流体通路が空気空洞K406の容積に跨って広く分布する。これにより、K406などの空洞内での所与の望ましくない空気共鳴に対して、圧力ノードから離れて、また好適には圧力アンチノードに接近して、空気漏れ流体通路が配置されることになる可能性が上がる。例えば、空気漏れ流体通路K320、K321及びK322が、集合的に、周囲構成要素K301に跨る最大寸法に近い距離にわたって延びる(分布する)。好適には、空気漏れ流体通路K320、K321及びK322が、集合的に、振動板本体の主面K132に跨る最小距離よりも大きい距離に沿って延び、又はより好適には、振動板本体の主面K132に跨る最小距離より50%大きい距離に沿って延び、又は最も好適には、振動板の主面K132に跨る最小距離より2倍大きい距離に沿って延びる。これが、より明瞭な内部空気共鳴をより徹底的に減衰するのを達成するのを補助する。
代替的実施例では、通気性又は多孔性のファブリックを介する、空洞K406から外側の空気K414までの空気流体通路が提供される。しかし、本発明のコンフィギュレーションの利点は、耳に隣接する空洞K406内の共振を減衰する流体通路が、外側の空気K414ではなく、後方空洞K405に通じていることであり、これは、周囲騒音が外側の空気K414から空洞K406a内の耳まで移動するためには後方空洞K405を通過しなければならないことを理由として、パッシブ騒音減衰が改善されることを意味する。
空気漏れ流体通路K320、K321、K322及びK324は、実質的に、後方空気空洞K405の容積の全体にわたって分布する。これにより、前方空洞K406の場合と同様の形で、空洞K405内での所与の望ましくない空気共鳴に対して、圧力ノードから離れた、また好適には圧力アンチノードに接近した、空気漏れ流体通路が存在することになる可能性が上がる。
5.2.3 実施例W
図W1~W3を参照すると、ヘッドホン装置W101の形態の本発明の個人用オーディオ・デバイスの別の実施例(本明細書では、実施例Wと称される)が、ヘッドバンドW104によって連結される、左側のヘッドホン・インターフェース・デバイス(以下では、ヘッドホン・カップとも称される)W102及び右側のヘッドホン・インターフェース・デバイス(以下では、ヘッドホン・カップとも称される)W103を備えるものとして示されている。
オーディオ・トランスデューサ
この実施例に組み込まれるオーディオ・トランスデューサは、実施例Kのデバイスの場合のセクション5.2.2で説明されるオーディオ・トランスデューサK100に類似する。上のセクションでの、振動板組立体、ヒンジ組立体、デカップリング・マウンティング・システム、並びに、トランスデューサ基部構造及び励起/変換機構に関連する説明は、このセクション及び実施例にも適用されることから、簡潔さのために繰り返されない。
ハウジング
オーディオ・トランスデューサが周囲W201内に収容されて示されている。周囲W201が外側キャップW202によって実質的に囲まれる。これらの2つの部分がトランスデューサK100のためのハウジングを形成する。周囲及び外側キャップが、例えば、スナップ嵌合係合、接着剤、又は、固定具W216を介するなどの、任意適切な方法を介して、互いに固定的に及び強固に接続され得る。周囲がトランスデューサK100を中で保持するための空洞W225を備え、空洞の両側のところで開いている。一方側で、開口部がアウトプット・アパーチャW224を形成し、動作中、音がこのアウトプット・アパーチャW224を通ってトランスデューサ組立体から伝播する。アウトプット・アパーチャW224が、デバイスの使用時に使用者の耳W310のところに又はそれに隣接するところに配置されるように構成される。周囲の空洞が、好適には、トランスデューサK100の外周部の形状に対して実質的に又は概して相補的である内側壁を備える。柔らかいイヤ・パッドW210が、外側キャップ202の反対側で周囲W201の周辺部の周りを、及び、アウトプット・アパーチャW224の周りを、延びている。柔らかいイヤ・パッドが、使用者にとって快適である発泡材料などの当技術分野でよく知られる任意適切な材料から形成され得る。パッドW210が、耳W308及び外側の空気W314の方を向く非通気性のファブリック層W211と、空洞W306の方を向く通気ファブリック層W212とで裏打ちされていてよい。また、オープン・メッシュ・ファブリックがアウトプット・アパーチャW224の上を延びていてよい。
この実施例では、オーディオ・デバイスが、耳の外側部分に、及び/又は、耳W310を越えるところにある頭部W308の1つ若しくは複数の部分に、圧力を加えるように構成される。加えて、オーディオ・デバイスが、耳W310を越えるところにある、及び/又は、耳W310の周りにある、頭部W308の1つ又は複数の部分に圧力を加えるように構成される。柔らかいイヤ・パッドW210が、好適には、使用者の耳の周りに実質的なシールを形成し、それにより、その場でデバイスの外部の空気W314からデバイスの内部の空気を実質的に封止する。イヤ・パッドW210が、使用時に使用者の耳W310のところに又はそれに隣接するところに配置される、デバイスの内部の前方空洞W306内の空気と、デバイスの外部の空気W314(周囲の外気)との間に十分なシールを提供するように構成される。パッドW210が、使用者の耳の上及びその周りでタイトに留まってこの位置を封止するように成形される本体を備えることができる。示される好適な実装形態では、デバイスは、その場で耳を完全に囲んで閉じ込めるように構成されるサーカムオーラル・ヘッドホンである。
この好適な実施例では、その場で、イヤ・パッドW210が、デバイスの耳側の前方空洞W306とデバイスの外部の空気W314との間を十分に又は実質的に封止するように構成される。実施例Kに関連して上で言及したように、実質的なシールとは、例えば、動作中の少なくとも低いバス周波数での音圧を増強する(すなわち、バス・ブーストを提供する)ように構成されるシールである。
周囲W210が、好適には、ヘッドバンドW104のそれぞれの端部に枢動可能に接続される。例えば、各ヘッドホン・カップW102及びW103の周囲W201が、枢動アームW107を介してヘッドバンドW104のそれぞれの端部に接続され得る。これにより、ヘッドバンド位置が快適となるように使用者によって調整されることが可能となる。任意適切なヒンジ式機構が使用され得る。別法として、ヘッドバンドがヘッドバンドに固定的に接続されてもよい。快適さのために、柔らかい内側パッドW108がヘッドバンドW104の内部面上に設けられてよい。
組み立てられた状態において、各ヘッドホン・カップが、使用時に使用者の耳W310に隣接するように配置されるように構成される振動板組立体の側に、アウトプット・アパーチャW224のところに又はそれに隣接するように配置される第1の前方空気空洞W306を備える。ヘッドホン・カップが、アウトプット・アパーチャW224の反対側にあり、また使用時に使用者の耳の反対側にある、振動板組立体の側に配置されるように構成される第2の後方空洞W305をさらに備える。外側キャップW202が、オーディオ・トランスデューサK100及び後方空洞W305に隣接するように配置されるように構成される開口部W208又はグリルW226を備える。好適には、デバイスが、使用時に前方空洞から使用者の耳W310に向かって音圧が通過するのを可能にするための、並びに、さらには、デバイスの内部をダスト及び他の異物から保護するための、前方空洞W306に隣接するアウトプット・アパーチャW224を覆う通気性のファブリック・カバーW207をさらに備える。好適には、デバイスが、使用時に後方空洞から外部の空気W314に向かって音圧が通過するのを可能にするための、並びに、さらには、デバイスの内部をダスト及び他の異物から保護するための、後方空洞W305に隣接する後方開口部/グリルW226を覆う通気性のファブリック・カバーW208をさらに備える。通気コットン・ベロア又はポリエステル・メッシュが両方のファブリック・カバーW208及びW207に適する材料の例であるが、当技術分野で知られるような他の材料も適し得ることが理解されよう。W208及びW207のいずれの場合も、カバーが好適には高い通気性を有し、空気流れに対して非常にわずかな抵抗のみを提供する。空洞W305は、好適には、周囲の外側の空気W314に対して上記空洞が実質的に開いている場合に高周波数において内部共振を発生させるのに十分な小ささ及びコンパクトさを有するように設計され、その結果、カバーW208を抵抗性にすることにより得られる、共振管理に関する利点が最小となる。空洞W306bが空洞W306aに効果的に組み合わされる。したがって、これらの開口部W224及びW226が実質的に限定的な流体通路を形成することはない。
周囲W201が放射状に離間される複数のグリル・アームW201aを有し、これらのグリル・アームW201aが周囲の中においてそれらの間に開口部を形成する。外側キャップW202が対応するセットの放射状に離間されるグリル・アームW202aを有し、周囲の開口部に対応するような開口部を各グリル・アームの両側に有する。キャップの組み立てられた状態において、グリル・アームW201a及びW202a並びに開口部が、ハウジングの周りに分布する複数の開口部を有するグリルを形成するように位置合わせされる。具体的には、これらの開口部は、オーディオ・トランスデューサの空洞W225の周辺部の周りに分布する。これらの開口部の面積及び/又は体積は、キャップのサイズを基準として、及び/又は、その場で耳に直接に隣接するように含まれる空気W306aを基準として、実質的に大きい。その理由を次のセクションで説明する。
メッシュ・ファブリックW209が外側キャップW202と周囲W201との間に挟まれ、トランスデューサK100の周りに分布する開口部を覆う。この実施例では、メッシュW209がステンレス鋼のクロス・ウィーブのファブリックである。メッシュW209が実質的に限定的であり、前方空洞W306からデバイスの外部の空気W314までの限定的な気体流れ経路を形成するように実質的に低い通気性を有する。グリル及びメッシュ内のアパーチャの材料特性及びジオメトリを調整することにより、例えばバス・レスポンスを最適化するために及び空気共鳴を減衰するために、といったように、オーディオ性能を最適化するために、空気流れの制限が変更され得る。他のタイプの流体通路の制限が置き換えられ得、例えば、通気コットン・ベロア、紙、ポリエステル・メッシュ、又は、ポリカーボネートの中実の有孔シートが使用され得るが、当技術分野で知られる他の通気性の材料が利用されてもよいことが理解されよう。次のセクションでさらに詳細に説明されるように、好適には、メッシュのこの面積が、その場で耳に隣接するように含まれる空気W306aを基準として、比較的大きい。前方空洞W306bを外部の空気W314から分割する限定的なメッシュW209の面積は例えば約10~20cmであってよいが、実装形態に応じて他のサイズも考えられる。メッシュW209の面積がシステムの特性に寄与する。
外側キャップW202に対して反対の周囲W201の側に配置される薄い層の当て物W213が、その場で耳W310に直接に隣接するように及び/又は接触するように配置されるように構成される。パッドW213が、コットン・ファブリックによって覆われる連続気泡ポリウレタン・フォームなどの、任意適切な通気性材料から形成され得る。これにより、プラスチックの周囲W201の部分が耳に触れるのを防止してそれにより使用者の快適さを向上させるのを、補助する。やはり、代替的実施例において、当技術分野で知られるような当て物のための他の形態及び材料も適し得、利用され得る、ことが理解されよう。
空気漏れ流体通路
実施例Kのところで言及したように、各ヘッドホン・カップが、共振を減衰すること及び/又はバス・ブーストを抑えることを補助するために、動作中に第1の空洞W306から別の空気までの限定的な気体流れ経路を提供するように構成される1つ又は複数の流体通路をさらに備えることができる。例えば、図W2g及びW3aを参照すると、このデバイスが、その場で使用者の耳W310に隣接するように配置されるように構成される第1の前方空気空洞W306を、その場で使用者の耳の遠位に配置されるように構成される第2の後方空気空洞W305に、又は、デバイスの外部の空気に、流体的に連結する少なくとも2つの流体通路W221及びW209を備える。この実施例では、デバイスが、周囲W201のアウトプット・アパーチャW224に隣接するように及び/又はアウトプット・アパーチャW224の方を向くように配置されるように構成される振動板組立体の側にある前方空気空洞W306を、周囲W201のアウトプット・アパーチャW224から離れる方を向く及び/又はアウトプット・アパーチャW224の遠位に配置される振動板組立体の反対の側にある後方空洞W305に流体的に連結する流体通路W221を、振動板組立体の周辺部の周りに備える。流体通路W221が前方空気空洞W306b及び後方空気空洞W305を流体的に連結し、その結果、それ以外では前方空洞W306内に封止可能に含まれるような空気が外部まで限定的に流れることができるようになり、それにより、使用時の、内部共振を減衰し、及び/又は、バス・ブーストを抑える。
限定的な気体流れ経路を提供するための通路のために別個の流れ制限要素が使用されることは必須ではなく、通路は閉塞的なバリアを用いずに実質的に開放されていてよく、それでも、縮小されたサイズ、直径及び/又は幅を有することにより限定的である。
流体流れ制限器が、例えば、縮小されたサイズ、幅若しくは直径を有する隣接する空洞からの入口若しくは流入口、及び/又は、多孔性若しくは通気性の材料などの、入口のところにあるか若しくは通路内にある流体流れ制限要素若しくはバリア、の任意の組み合わせを備えることができる。例えば、流体通路は、縮小された直径又は幅の入口を有する完全に開放された通路であってよい。別法として又は加えて、流体通路が、入口のところ又は通路内に、そこを通過する気体にいくらかの抵抗を受けさせるための、発泡体バリア又はメッシュ・ファブリック・バリアなどの流体流れ制限要素を備えることができ、これは例えば、グリル流体通路W209内に配置されるメッシュW209などである。流体通路が1つ又は複数の小さいアパーチャを備えることができる。この実施例では、流体通路W221が、前方空洞W306b(さらには、後方空洞W305)との連結部分のところに縮小された幅を有する。通路の幅は等しくても異なっていてもよい。流体通路W221は実質的に開放されているが、前方空洞W306を基準としてサイズが縮小されており、したがって、それ以外の場合においてこの空気空洞内で発生する可能性があるいかなる望ましくない共振も低減するように機能する。
加えて、デバイスのメッシュW209によって覆われる、グリル・アームW201a及びW202aの両側にある流体通路が、前方空気空洞W306a/W306bを、例えば外部環境といったように、デバイスW314の外部の空気に流体的に連結することができる。この流体通路は、境界部分W309のところでイヤ・パッド・カバーW211と装着者の頭部W308との間に実際に存在する可能性があるいかなる漏れ通路からも隔てられている。この実施例では、グリル又は開口部が前方空洞W306aに対してハウジングの反対側の端部のところに設けられ(後方空洞W305の近く)、それにより、前方空洞W306aからデバイスの外部の空気W314まで空気が通過するのを可能にする。流体通路が、流れ制限要素W209を組み込むことにより空気流れを制限するように構成される。この実施例では、流体通路が、前方空洞W306から外部の空気までの非常に限定的な流れ経路を提供する。加えて、この気体経路の断面積が、特には、振動板のサイズ及び/又は空洞W306aのところで耳に直接に隣接するように含まれる空気のサイズを基準として、極めて大きい。この構成により、音圧をある程度下げること及び望ましくない共振を減衰することを可能にすることを目的として空気の漏れを可能にしながらなお、デバイスのバス・レスポンスを有意に改善するのを可能にする。実施例Kのところで説明されるように、限定的な気体流れ通路のこの面積及び分布により、W306などの空洞内での所与の望ましくない空気共鳴に対して、圧力ノードから離れるように、また好適には圧力アンチノードに接近するように、配置される空気漏れ流体通路が存在することになる可能性が上がる。好適には、空気空洞W306内の広範囲のスペクトルの望ましくない空気共鳴モードを低減するために、空気漏れ流れ通路が空気空洞306の容積に跨って広く分布することが好ましい。やはり、流体通路W221及びW209が、集合的に、周囲構成要素W201に跨る最大寸法に近い距離にわたって延びる(分布する)。これが、より明瞭な内部空気共鳴をより徹底的に減衰するのを達成するのを補助する。
好適には、空気漏れ流体通路W221及びW209が振動板本体の周りに分布し、有意な距離に沿って延びる。例えば、空気漏れ流体通路W221及びW209が、振動板本体の主面K132に跨る最小距離より大きい距離にわたって分布し、又はより好適には、振動板本体の主面K132に跨る最小距離より50%大きい距離に沿って分布し、又は最も好適には、振動板の主面K132に跨る最小距離より2倍大きい距離に沿って分布する。空洞W306の容積にわたって流体通路がこのように広範囲に分布することにより、空洞W306のより明瞭な内部空気共鳴をより徹底的に減衰するのを達成することが補助される。
いくつかの実施例では、それ以外の場合では封止されるような空洞W306から空気が漏れるのを可能にするために、流体通路W221又はグリル流体通路W209のうちのいずれか1つが組み込まれ得ることが理解されよう。
好適には、流体通路W208、W209、W221が、やはり、集合的に、動作中に外耳道の空洞内での音圧を有意に低減するのに十分な程度でそこを通って気体が流れるのを可能にする。音圧の有意な低下は、例えば、20Hzから80Hzの周波数範囲にわたってのデバイスの動作中の音圧の、少なくとも10%、又はより好適には少なくとも25%、又は最も好適には少なくとも50%の低下であってよい。この音の減少は、流体通路を一切有さずしたがって動作中に生じる音圧の漏れが無視できる程度であるような同様のオーディオ・デバイスを基準としたものである。音圧の有意な低下は、好適には、標準的な測定デバイス内にオーディオ・デバイスが装着されている時間の少なくとも50%で観測される。しかし、それ以外の音圧の低下も考えられ、本発明はこれらの実例に限定されることを意図されない。
この実施例は、実質的に支持されない振動板周辺部及び他のトランスデューサの特徴を使用することを介して、トランスデューサの、特には振動板及び振動板サスペンションの、望ましくない機械的共振に対処する。振動板可動域及び基本の振動板共振周波数も改善され得る。連結されない振動板周辺部の設計によって実現される大きい振動板可動域及び低い基本の振動板共振周波数は、十分なバス・レスポンスを維持しながら適切な程度の空気の漏れが実現され得ることを意味する。抵抗性の空気漏れ流体通路W221及びW209が、減衰を介して、前方空洞W306、後方空洞W305、並びに、デバイス及び/若しくは使用者の頭部の中に含まれる任意の他の空洞又はデバイス及び/若しくは使用者の頭部による任意の他の空洞、の内部の空気共鳴に対処する。また、共振制御、さらには、バス・レベルの抑制が、多様な聴取者/使用者に対してさらには多様なデバイスの配置に対しても比較的一定なものとなり得る。さらに、連結されない振動板周辺部の設計が、振動板周辺部及び関連の共振が存在しないことにより正確なオーディオ再生応答を促進するのを補助する。最終的に、バッフル/ヘッドホン・カップ及びヘッドホンのヘッドバンドの機械的共振が、デカップリング・マウンティング・システムによって対処される。
5.2.4 実施例X
図X1及びX2を参照すると、イヤホン装置X100のインターフェース・デバイスの形態の本発明の個人用オーディオ・デバイスの別の実施例が、イヤホン・ハウジングX101~X103内に収容されるオーディオ・トランスデューサ組立体K100を備えるものとして示されている。イヤホン装置が、使用者のそれぞれの耳のための1対のこのようなインターフェース・デバイスを備えることができる。オーディオ・トランスデューサK100は、セクション5.2.2の実施例Kに関連して説明されるものと同じであるか又は同様の回転動作トランスデューサであるが、例えばより小さくてもよい。簡潔さのためにさらに詳細には説明しない。上のセクションでの、振動板組立体、ヒンジ組立体及び励起機構に関連する説明は、このセクション及び実施例にも適用される。デカップリング・マウンティング・システム及びトランスデューサ基部構造に関連する説明は、X100のコンフィギュレーションに対しての代替のコンフィギュレーションに適用され得る。しかし、この実施例では、トランスデューサ基部構造がイヤホンのハウジング/本体X101に強固に接続される。したがって、このコンフィギュレーションでは、イヤホンの本体X101がトランスデューサ基部構造の一部を形成する。
この実施例は回転動作トランスデューサに基づくイヤホンである。外耳道の入口に挿入されて外耳道の入口を封止する、例えばシリコン又はゴム又は柔らかい発泡体の、可撓性を有するプラグX104が存在する。空気が2つの経路を介して外耳道と外側の空気との間を動くことができ、最初に振動板周辺部空気間隙X109を通り、次に専用の(例えば、2mmの直径)通気孔X114bを通る。ドライバの後方に大きいグリルが存在し、したがって、実質的に、後方チャンバが存在しなくなるか又は非常に小さくなり、振動板を通過する空気の漏れが外部に到達することになる。通気孔が、管内の空気流れに対して抵抗を提供する小さい連続気泡発泡体のスラグX107で構成されるダンパを含む。管及び管内の発泡体が存在することが、空気空洞システムの音響共振モードを減衰するように機能する。さらに好適には、バス性能を向上させるために、追従性を有するインターフェースが、デバイスの外耳道側の空気とデバイスの外部側の空気との間にシールを作る。これらの特徴は後でさらに詳細に説明される。
オーディオ・デバイスX100が、オーディオ・トランスデューサを中で保持するために、オーディオ・トランスデューサK100のプロファイルに対してそのプロファイルが実質的に相補的である空洞X112を有する周囲X102を備える。周囲X102が振動板組立体の主面の両側で開いている。ハウジングの中間カバー部分X101が、空洞及びオーディオ・トランスデューサをその中で実質的に囲むために周囲の上に接続されるように構成される。オーディオ・トランスデューサが、例えばセクション5.2.2で説明されるものと同様のデカップリング・マウンティング・システムを介して、周囲カバーX101に接続され得る。この実施例では、オーディオ・トランスデューサK100が周囲カバーX101及び周囲X102の両方に強固に接続される。
周囲カバーがトランスデューサ基部構造の一部を形成する。カバー部分X101が、トランスデューサによって生じる音圧をデバイスの出力通気孔に向かって通過させるのを可能にするための開口部又はグリルX115を備える。デバイスが、開口部又はグリルの周りで又はそれに隣接するところでカバー部分X101の上に連結されるように構成される第3のハウジング部分X103をさらに備える。ハウジング部分X103は実質的に中空であり、終端部出力通気孔又は開口部X113に繋がる実質的に細長いスロート空洞X110を備える。多孔性及び/又は通気性の挿入物X106の形態の音吸収材が、動作中にこの領域内で発生する共振を減衰するために出力通気孔X113に隣接するところでスロート内に配置され得る。挿入物が例えば連続気泡発泡材料から作られ得る。使用者の甲介X203b内に配置されるように又は外耳道X201の入口に接触するように配置されるように又は外耳道X201の内部に配置されるように構成されるイヤ・プラグX104の形態のインターフェースが、ハウジング部分X103の出力通気孔X113に接続される。イヤ・プラグX104が、例えば位置X204のところで、図X2に示されるように使用時に使用者の外耳道内に封止的にフィットすることができるように、実質的に高い可撓性を有する本体を備えることができる。また、プラグX104は、好適には、使用者に快適さを提供するために非常に柔らかい。例えば、本体は、シリコーンなどの、柔らかくて高い可撓性を有するプラスチック材料から形成され得る。
組み立てられた状態において、デバイスX100が、出力通気孔X113の方を向く振動板組立体K101の側にある第1の前方空気空洞X110と、出力通気孔から離れる方を向く振動板組立体の反対側にある第2の後方空洞X111とを備える。周囲X102内で後方空洞X111に隣接する開口部X117が第1の流体通路を形成し、デバイスの動作中、空気がこの第1の流体通路を通って漏れることができる。開口部X117が、空気を含めた気体のそこを通っての流れ/漏れを制限するために、多孔性又は通気性のカバーX105によって覆われてよいか、又はそのようなカバーX105を備えることができるが、この実施例では、カバーX105が主としてダスト・カバーとして機能するように高い通気性を有し、音響抵抗をほとんど実現しない。カバーX105は、例えば、高い通気性を有するメッシュ又は発泡材料から形成され得る。ハウジング部分X103が、出力開口部X113に隣接して延びている第2の流体通路X114をさらに備える。プラグX104が第2の流体通路X114の上に接続され得る。第2の流体通路が、開口部X114aのところにある外耳道空洞X201を、開口部X114bのところにある外部の空気X207(外部環境など)に連結する2つの開口部X114a及びX114bを有する。第2の流体通路が、空気の漏れのための第2の経路を提供するために、第1の空気空洞X110を外部環境などの外部の空気X207に流体的に連結するのに寄与する。多孔性及び/又は通気性の挿入物X107が、そこを通る流れ/漏れを制限するためにこの流体通路内に配置され得る。挿入物X107が例えば連続気泡発泡材料から形成され得る。この挿入物X107は、好適には、内部共振を減衰するために十分に及び有意に限定的なガス流れ経路を形成するように、比較的低い多孔性/通気性を有する。
セクション5.2.2で言及したように、オーディオ・トランスデューサが、構造の周辺部のかなりの部分の周りで周囲の内部に実質的に物理的に連結しない振動板構造を備える。この領域内では、振動板組立体K101と周囲X102との間に隙間X109が存在する。隙間がデバイスの前方空洞X110と後方空洞X111との間に流体通路を形成し、前方空洞X110から後方空洞X111まで空気が漏れるのを可能にする。
上述したように、ハウジング又はバッフル又はエンクロージャなどと実質的に物理的に連結しないような振動板周辺部の少なくともある程度の部分を有することにより、振動板の可動域と、基本の振動板共振周波数と、振動板及びサスペンションの共振を含めた、トランスデューサの共振と、の間での3項目でのトレードオフ(three-way trade-off)が改善される。
空気漏れ流体通路X114及びX109が存在することにより、外耳道の音響共振挙動をより自然なものとすることができ、イヤホンによって外耳道を封止しない場合の開口管タイプの共振特性に近づけることができる。これは、外耳道/トランスデューサの音響系の空気共鳴を減衰するように機能する通路X114及びX109によるものであってよく、並びに/又は、この音響系によって示される1つ若しくは複数の共振周波数の変化を介するものであってよい。外耳道/トランスデューサの音響系の共振挙動の変化は、デバイス及びシステムの周波数応答を不利に及び著しく変化させる可能性があり、さらには、例えばウォーターフォール・プロットで測定されるような望ましくない共振特性を不利に及び著しく変化させる可能性がある。流体通路X114及びX109が、「閉塞効果(occlusion effect)」を抑制することも補助することができる。
多くのイヤホン設計は、外耳道を塞いで封止し、それにより特にはバス周波数においてボリュームを上げるが、この封止は外耳道の音響特性も変化させ、それにより効果的に、脳がその耳に対応しなくなるようになり、主観的なオーディオ品質に悪影響を及ぼす。さらに、この設計は、不快となり得、また、多様な耳の形状に対応して環境音を遮断することが困難である可能性があり、また、外耳道内に新しい共振を発生させる可能性があり、また、耳ごとにさらにはフィッティングごとに変化するような、ある大きさの外耳道の内部の空気に振動板を接続するように作用し得る。
図H4bに示される実施例の自由な振動板縁部は外耳道を部分的にのみ塞ぎ、代わりに、十分な振動板可動域及び十分に低い基本の振動板共振周波数を提供することによりバス・レスポンスを改善し、これが自由縁部を有する振動板(free-edge diaphragm)によって促進される。これが、低周波数のドライバ特性と組み合わされて、広範囲の帯域幅のハイファイ・オーディオ再生を可能にする快適な非封止装着のオーディオ・デバイスを提供する。
実施例Kのところで言及したように、実施例Xの振動板組立体が、コンフィギュレーションR1からR4の振動板構造に対してセクション2.2のもとで説明された有意な厚さ及び剛性を有するコンフィギュレーションの振動板構造を備える、ことが好ましい。
周囲X102、周囲カバーX101及びハウジング部分X103のすべてが、集合的に、ハウジング本体を形成することができる。実施例Xにはドライバ・デカップリング・マウンティング・システムが存在しないことから、これらの構成要素がトランスデューサ基部構造の一部分も含む。これらの部分が互いに別個に形成され、当技術分野でよく知られるような、接着剤、スナップ嵌合係合、及び/又は、固定具を使用するなどの、任意適切な固定機構を介してそれらの周辺部のところで互いに強固に接続され得る、ことが理解されよう。別法として、これらの部分の一部又はすべてが一体に形成されてもよい。
図X2に示されるように、イヤ・プラグX104が、使用者の甲介X203b及び/若しくは外耳道X201の入口内で、並びに/又は外耳道X201内で、ぴったりと留まるように構成され、それにより、使用時に領域X204のところで甲介又は外耳道の壁を実質的に封止する。イヤ・プラグX104が、使用時に使用者の外耳道又は甲介のところに又はその近傍に配置されるデバイスの内部の前方空洞X110内の空気とデバイスの外部の空気(周囲の外気など)との間に十分なシールを生み出すように構成され、それにより、その場で外耳道の壁X204に隣接するところから空気が漏れるのを実質的に防止する。イヤ・プラグX104に使用されるジオメトリ及び/又は材料が例えばシールの十分性に影響することができる。実質的なシールとは、上のセクションで既に言及したように、例えば、動作中の少なくとも低いバス周波数での音圧を増強する(すなわち、バス・ブーストを提供する)ように構成されるシールである。
オーディオ・デバイスX100が、共振を減衰すること及び/又はバス・ブーストを抑えることを補助するために、動作中に第1の空洞X110から別の空気までの実質的に限定的な気体流れ経路を提供するように構成される少なくとも1つの流体通路をさらに備える。この実施例では、デバイスが2つのこのような流体通路を備えるが、代替のコンフィギュレーションにおいて、任意の1つ又は複数のこれらの通路が組み込まれてもよいことが理解されよう。流体通路X109が前方空気空洞X110及び後方空気空洞X111を流体的に連結し、その結果、それ以外の場合では空洞X110内で封止的に保持されるような空気が外部まで限定的に流れることができるようになり、それにより使用時に内部共振を減衰する及び/又はバス・ブーストを抑える。限定的な気体流れ経路を提供するための通路のために別個の流れ制限要素が使用されることは必須ではなく、通路は閉塞的なバリアを用いずに実質的に開放されていてよく、それでも、縮小されたサイズ、直径又は幅を有することから限定的である。この流体通路X109は、前方空洞X110との連結部分のところで縮小された幅を有することにより、空気流れを制限するように構成される。
流体通路X114が前方空気空洞X110を外部環境などの外部の空気X207に流体的に連結し、デバイスの出力通気孔X113に隣接するように配置される。流体通路が、縮小された直径又は幅を有することにより、及び、そこを通る気体にいくらかの抵抗を受けさせるための発泡体挿入物などの流れ制限要素X107を組み込むことにより、空気流れを実質的に制限するように構成される。この挿入物は好適には実質的に低い通気性を有する。
各流体通路が、動作中に、使用者の外耳道の壁X204とオーディオ・デバイスとの間を通過することなく使用者の耳又は頭部に隣接する第1の空洞X110から空気が流出するのを可能にし、それによりシールに影響する。これは、流体通路が存在しないか又は非常に小さい空気流体通路が存在する場合を基準として(このような場合、位置X204のところでのデバイスの封止の程度、及び、ひいては性能が、多様な使用者及びデバイスの多様なフィッティングの間で大きく変化する可能性がある)、流体通路の抵抗及び流体通路の位置が比較的一定となることを意味する。
上のセクションで既に言及したように、好適には、トランスデューサの流体通路X114、X109及びX105が、集合的に、動作中に外耳道の空洞内での音圧を有意に低減するのに十分な程度でそこを通って気体が流れるのを可能にする。音圧の有意な低下は、例えば、20Hzから80Hzの周波数範囲にわたってのデバイスの動作中の音圧の、少なくとも10%、又はより好適には少なくとも25%、又は最も好適には少なくとも50%の低下であってよい。この音の減少は、流体通路を一切有さずしたがって動作中に生じる音圧の漏れが無視できる程度であるような同様のオーディオ・デバイスを基準としたものである。音圧の有意な低下は、好適には、標準的な測定デバイス内にオーディオ・デバイスが装着されている時間の少なくとも50%で観測される。しかし、それ以外の音圧の低下も考えられ、本発明はこれらの実例に限定されることを意図されない。
この実施例では、流体通路の空気の漏れにより行われる減衰により、空気共鳴の制御が改善される。また、共振制御、さらには、バス・レベルの抑制が、多様な聴取者/使用者に対してさらには多様なデバイスの配置に対しても比較的一定なものとなり得る。例えばヒンジ機構から離れるように配置される振動板構造の3つの側部などの、有意に動く縁部がハウジング/周囲に取り付けられない。この振動板サスペンションが低い基本の振動板共振周波数及び大きい振動板可動域を可能にし、一方で、ヒンジ機構が並進変位に効果的に抵抗するこことが、良好な高周波数の性能を促進するのを補助する。
この実施例のオーディオ・トランスデューサはエネルギー累積を低減することを実現し、その結果、実施例Aのオーディオ・トランスデューサ(例えば、図H2aを参照されたい)に関連して説明したものと同様のウォーターフォール・プロットが得られる。
5.2.5 実施例Y
図Y1~Y4を参照すると、ヘッドホンY101の形態の本発明の個人用オーディオ・デバイスの別の実施例(本明細書では、実施例Yと称される)が、ヘッドバンドY104によって連結される、左側のインターフェース・デバイス(以下、ヘッドホン・カップとも称される)Y102及び右側のインターフェース・デバイス(以下、ヘッドホン・カップとも称される)Y103を備えるものとして示されている。
オーディオ・トランスデューサ
この実施例に組み込まれるオーディオ・トランスデューサY200は、実施例Pの個人用オーディオ・デバイスに関連してセクション5.2.1で説明されるものと同様の直線動作オーディオ・トランスデューサである。図Y2e~Y2hを参照すると、オーディオ・トランスデューサY200が、実施例Pのオーディオ・デバイスの組立体P110と同じであるか又は同様の振動板組立体Y217を備え、振動板組立体Y217が、本体の周辺部から延在する巻型Y222を備える振動板基部フレームを備える有意に高い剛性を有するドーム状の振動板本体を有する。振動板基部フレームが、巻型に接続されるセンタリング・ガイドY223a、Y223b及びY223cをさらに備える。振動板組立体Y217が、強磁性流体Y220a~dにより、磁気構造を基準とした定位置で支持される。2つの力伝達構成要素が変換機構の一部分を形成し、コイル巻線Y221a及びY221bを備える。センタリング・ガイドY223a~cが、実施例Pのところで説明される手法に等しい手法でコイルY221a及びY221bの長手方向位置を維持するのを補助するために、巻型に接続される。磁気構造が励起機構の残りの部分を形成し、磁石の各ポールに接続される内側ポール・ピースY218a及びY218bと、それらから離間される外側ポール・ピースY218cとを備える永久磁石Y219を有する。振動板組立体の力伝達構成要素Y221a及びY221bが、磁気構造の外側ポール・ピースと内側ポール・ピースとの間に形成される隙間を通って延びており、振動板組立体がニュートラルな位置又は静止位置にあるとき、これらの力伝達構成要素Y221a及びY221bが隙間に一致する。外側ポール・ピースと内側ポール・ピースとの間の隙間又はスペースが、その中で力伝達構成要素を支持及びセンタリングする強磁性流体を備える。磁気構造がトランスデューサ基部構造の一部分を形成し、振動板組立体及び励起機構を囲むように構成されるトランスデューサ基部構造の主本体/周囲Y224に強固に接続される。周囲Y224が、動作中に力伝達構成要素が往復動するときにそこを通って延びるための、外側ポール・ピースと内側ポール・ピースとの間に形成されるチャネルに位置合わせされるチャネルを備えることができる。振動板組立体が、トランスデューサ基部構造を含めた任意の周囲構造と実質的に物理的に連結しない外周部を備える。
デカップリング・マウンティング・システム
各オーディオ・トランスデューサY200がそれぞれのカップY102/Y103の基部Y202に接続される。オーディオ・トランスデューサY200が、デカップリング・マウンティング・システムを介して基部Y202に追従的に連結されて基部Y202を基準として浮遊状態とされ得る。本明細書のセクション4.2のもとで説明される任意のデカップリング・マウンティング・システムが使用され得るか(例えば、実施例Uのオーディオ・トランスデューサに関連して説明したシステムなど)、又は別の方法にて、セクション4.3の設計留意点及び設計原理に従って設計される任意のマウンティング・システムが使用され得る、ことが理解されよう。
例えば、この実施例では、オーディオ・トランスデューサY200が、実質的に高い可撓性を有する環状のデカップリング・リングY204及びデカップリング・ブロックY203を介して、基部に接続される。デカップリング・リングY204の内側壁がトランスデューサY200の周囲Y224の外周壁の周りに配置されて強固に接続され、デカップリング・リングY204の外側壁が、基部Y202内に形成される相補的な空洞又はアパーチャY211の内側壁のところに配置されて強固に接続される。デカップリング・リングY204が極めて高い追従性を有し、したがって、実質的に可撓性及び/若しくは弾性を有する材料から形成され、並びに/又は、実質的に高い可撓性及び/若しくは弾性を有するジオメトリを有する。この実施例では、リングY204の内側壁が、トランスデューサの周囲に接触するように接続されるように構成される可撓性の先細りにされたセクションを備える。代替的実施例では、先細りにされたセクションが代わりに基部Y202に接続されてもよい、ことが理解されよう。デカップリング・リングY204が、接着剤を使用するなどの、任意適切な機構を介して、周囲Y224及び基部Y202に強固に接続される。
デカップリング・ブロックY203が、やはり、追従性を有し、実質的な可撓性を有する材料から形成される。デカップリング・ブロックY203が、周囲Y224をそれぞれのカップのキャップY201に追従的に接続する。デカップリング・ブロックY203が、両方の端部において、端部内に形成されるそれぞれのアパーチャ内で、周囲Y224の外側面及びキャップY201の内側面に接続され得る。デカップリング・ブロックY203が、両方の端部において、例えば接着剤を使用するなどの、任意適切な機構を介して周囲及びキャップに強固に接続される。
この実施例では、デカップリング・リングY204及びデカップリング・ブロックY203がシリコーン・ゴムから作られ、例えば、約2MPaのヤング率を有する。代替の多くの他の材料及びジオメトリも許容され得、これは例えば、弾性を有する鋼の板バネ及び発泡体などである。
ハウジング
ヘッドホン・カップのハウジングが基部Y202及びキャップY201を備える。これらが、一体に、中空内部を形成し、その中空内部の中で、上述のデカップリング・マウンティング・システムを介してトランスデューサY200が接続される。基部Y202及びキャップY201が、任意適切な固定機構を介してそれらの周辺部のところで固定的に接続され、この場合では、ねじ固定具Y216を介するが、別法として、スナップ嵌合係合及び/又は接着剤が利用されてもよい。基部Y202が、組み立てられた状態においてオーディオ・トランスデューサの振動板組立体に位置合わせされるように構成される中央アパーチャY211を備え、それによりアウトプット・アパーチャY226を提供し、動作中、音がこのアウトプット・アパーチャY226を通ってトランスデューサ組立体から伝播する。柔らかいイヤ・パッドY109が、外側キャップY201の反対側において基部Y202の周辺部の周りを延びており、さらに、中央アウトプット・アパーチャY226の周りを延びている。柔らかいイヤ・パッドが、使用者にとって快適であるフォーム材料などの、当技術分野で良く知られる任意適切な材料から形成され得る。パッドY109が、非通気性のファブリック層Y109bで裏打ちされていてよい。また、オープン・メッシュ・ファブリックY109cがアウトプット・アパーチャの上を延びていてよい。流体抵抗を増大させるような他の材料層及び/又はファブリック層が適用されてもよく、例えば、イヤ・パッドY109の内側面が、多孔性又は通気性の材料Y109cで裏打ちされてもよく、コンフォート・パッドY213が耳Y403の方を向くように配置されてもよい。これらの一部が任意選択であってよく、所望の実装形態に応じるものであってよい、ことが理解されよう。
図Y4を参照すると、この実施例では、オーディオ・デバイスのヘッドホン・カップが、耳Y403の外側部分に、並びに/又は、耳を超えるところにある頭部の1つ若しくは複数の部分に、圧力を加えるように構成される。柔らかいイヤ・パッド・インナーY109a及び周囲のファブリック層Y109bを含めた、インターフェースが、好適には、使用者の耳の周りにシールを作り、それにより、その場で、デバイスの外部の空気Y408から、デバイスの内部の空気を実質的に封止する。インターフェース/イヤ・パッドY109が、使用時に使用者の耳のところに又はそれに隣接するところに配置される、デバイスの内部の前方空洞Y205内の空気と、デバイスの外部の空気Y408(周囲の外気)との間に十分なシールを提供するように構成される。パッドY109が、使用者の耳又は耳介Y403の上及びその周りでタイトに留まってこの位置を封止するように成形される本体を備えることができる。例えば、ヘッドホン・カップ及びインターフェース・パッドが、使用時に使用者の耳を押圧するように構成されるスープラオーラル・タイプであってよい。
実施例Kに関連して上で言及したように、有意なシールとは、例えば、動作中の少なくとも低いバス周波数での音圧を増強する(すなわち、バス・ブーストを提供する)ように構成されるシールである。
組み立てられた状態において、各ヘッドホン・カップが、使用時に使用者の耳に隣接するように配置されるように構成される振動板組立体の側に、アウトプット・アパーチャのところに又はそれに隣接するように配置される第1の前方空気空洞Y205を備える。ヘッドホン・カップが、アウトプット・アパーチャの反対側にあり、また使用時に使用者の耳の反対側にある、振動板組立体の側に配置されるように構成される第2の後方空洞Y206をさらに備える。外側キャップY201が、動作中にそこを通って空気が漏れるための、後方空洞Y206に隣接するように配置される1つ又は複数のアパーチャ又はスリットY215を備える。好適には、デバイスが、使用時に前方空洞から使用者の耳に向かって音圧が通過するのを可能にするために前方空洞Y205に隣接するアウトプット・アパーチャを覆う多孔性のファブリック・カバーY207をさらに備える。別の多孔性のファブリック・カバーY209が、中央アウトプット・アパーチャの周りの環状開口部又は放射状に分布する一連の開口部Y210の上を延びる。多孔性のファブリック・カバーY207が、好適には、そこを通る気体の流れを有意に制限しないようにするための相当に高い程度の通気性を有する。一方で、ファブリック・カバーY209が、好適には、そこを通る気体の流れを十分に制限するようにするための比較的低い程度の通気性を有する。両方のカバーY207及びY209では、目の細かいスチール・メッシュ、通気コットン・ベロア又はポリエステル・メッシュが、必要に応じて選択されるか又は調整される程度の通気性を有する適切な材料の例である。別法として当技術分野で知られる他の材料が使用されてもよいことが理解されよう。
放射状に分布する開口部Y210及び対応するメッシュY209の面積及び/又は体積は、キャップのサイズを基準として、及び/又は、その場で耳に直接に隣接するように含まれる空気W306aを基準として、著しく大きい。
図Y1を参照すると、外側キャップ、及び/又は、各カップの基部が、好適には、ヘッドバンドY104のそれぞれの端部に枢動可能に接続される。例えば、各カップY102、Y103の外側キャップY201が、枢動アームY107を介してヘッドバンドY104のそれぞれの端部に接続され得る。これにより、ヘッドバンド位置が快適となるように使用者によって調整されることが可能となる。任意適切なヒンジ式機構が使用され得る。別法として、ヘッドバンドがヘッドバンドに固定的に接続されてもよい。快適さのために、柔らかい内側パッドがヘッドバンドの内部面上に設けられてよい。
空気漏れ流体通路
実施例Kのところで言及したように、各ヘッドホン・カップが、共振を減衰すること及び/又はバス・ブーストを抑えることを補助するために、動作中に前方空気空洞Y405から別の空気までの限定的な気体流れ経路を提供するように構成される1つ又は複数の流体通路をさらに備えることができる。例えば、図Y4aを参照すると、このデバイスが、その場で使用者の耳に隣接するように配置されるように構成される第1の前方空気空洞Y405を、デバイスの外部の空気Y408に流体的に連結する少なくとも1つの流体通路を備える。流体通路が、限定的な流れ経路を介して、前方空洞Y405を後方空洞Y406に流体的に連結し、さらに、後方空洞Y406をデバイスの外部の空気Y408に流体的に連結する。この実施例では、デバイスが、前方空洞Y205aから、高い多孔性のファブリック層Y207及びアウトプット・アパーチャY226を通り、耳Y403の隣の前方空洞Y205bまで、通る流体通路を備える。前方空洞部分Y205bが、開口部Y210のところで極めて高い抵抗性を有する要素Y209を介して後方空洞Y206に流体的に連結される。さらに、後方空洞Y206が、比較的狭くて高い抵抗性を有する1つ又は複数の開口部Y215を通して外部の空気Y408の中へと流体的に連結される。大部分が流体通路さらには狭い開口部Y215の中に配置される多孔性のファブリック層Y209が、流体流れ制限器として機能する。任意の1つ又は複数のこれらの要素が、前方空洞Y205から外部の空気Y408までの限定的な流体通路を提供するために流体通路内に存在してよいことが理解されよう。
好適には、空気漏れ流体通路Y210が振動板本体の周りに分布し、有意な距離に沿って延びる。例えば、空気漏れ流体通路Y210が、振動板本体の主面に跨る最小距離より大きい距離に沿って延びており、又はより好適には、振動板本体の主面に跨る最小距離より50%大きい距離に沿って延びており、又は最も好適には、振動板の主面に跨る最小距離より2倍大きい距離に沿って延びている。上で言及したように、また、放射状に分布する開口部Y210が、好適には、その場で、使用者の耳に隣接する前方空洞部分Y205b内の空気を基準として極めて大きい断面積を有する。これが、より明瞭な内部空気共鳴をより徹底的に減衰するのを達成するのを補助する。
この実施例では、流体通路Y215が、後方空洞Y206との連結部分のところで縮小された幅を有する。流体通路Y210が、例えば、空気を含めた気体が通路を通って流れるのを可能にするように構成されるがそれでも十分な程度の抵抗性を有するような、目の細かいスチール・メッシュY209の形態の流れ制限要素をさらに備える。
好適には、限定的な要素Y209を通る通路及びアパーチャY215を通る通路を含めた、流体通路が、集合的に、動作中に外耳道の空洞内での音圧を有意に低減するのに十分な程度でそこを通って気体が流れるのを可能にする。音圧の有意な低下は、例えば、20Hzから80Hzの周波数範囲にわたってのデバイスの動作中の音圧の、少なくとも10%、又はより好適には少なくとも25%、又は最も好適には少なくとも50%の低下であってよい。この音の減少は、流体通路を一切有さずしたがって動作中に生じる音圧の漏れが無視できる程度であるような同様のオーディオ・デバイスを基準としたものである。音圧の有意な低下は、好適には、標準的な測定デバイス内にオーディオ・デバイスが装着されている時間の少なくとも50%で観測される。しかし、それ以外の音圧の低下も考えられ、本発明はこれらの実例に限定されることを意図されない。
この変形形態は、実質的に支持されない振動板周辺部及び他のトランスデューサの特徴を使用することを介して、トランスデューサの、特には振動板及び振動板サスペンションの、望ましくない機械的共振に対処する。振動板可動域及び基本の振動板共振周波数も改善され得る。バッフル/イヤ・カップ及びヘッドホンのヘッドバンドの機械的共振が、デカップリング・マウンティング・システムによって対処される。限定的な流体通路が、前方空洞Y205、後方空洞Y206、並びに、デバイス及び/若しくは使用者の頭部の中に含まれる任意の他の空洞又はデバイス及び/若しくは使用者の頭部による任意の他の空洞、の内部の空気共鳴に対処する。
前方空洞Y205及び後方空洞Y206の共振の場合では大きい流体通路の空気の漏れY210により、また、後方空洞Y206の場合では狭い流体通路Y215により、行われる減衰により、空気共鳴の制御が改善される。前方空洞Y205及び後方空洞Y206の両方の容積にわたって広範囲に大きい流体通路Y210が分散することにより、両方の空洞の広範囲の多様な内部空気共鳴モードを低減することが補助される。また、共振制御、さらには、バス・レベルの抑制が、多様な聴取者/使用者に対してさらには多様なデバイスの配置に対しても比較的一定なものとなり得る。
加えて、デバイスの内部の方を向くイヤ・パッドY109aの内部部分は、覆われないままであるか、又は、多孔性である内側ファブリック109cで覆われ、その結果、空洞Y205内の耳の周りの音波が多孔性発泡体の内部で伝播することができるようになり、ここでは、それらのエネルギーが、空洞Y205の内部の空気共鳴を低減するのを補助するために、発泡体内の細かい開口部を通る空気の動きにより消散し得る。
これはまた、空気空洞Y205が、多孔性のイヤ・パッド・インナーY109aの容積に連結され、したがってその容積を含むようにそこまで延びている、ことを意味する。これにより、周囲騒音のパッシブ減衰の改善を含めた別の利点を得られる。その理由は、例えば位置Y407のところでのイヤ・パッドY109と装着者の耳Y403との間での流体の漏れを介して又は他には流体通路Y215及びY210を介して、周囲の空気Y408から空気空洞Y205まで移動する音圧が、容積Y109aに連結されるより大きい容積Y205のところに広がるにはより長時間かかるからである。
5.2.6 実施例G9
1対のインターフェース・デバイスを備えるヘッドホン・システムなどの、個人用オーディオ・デバイスの一実施例では、各インターフェース・デバイスが、本明細書のセクション2.3で説明される実施例G9によるオーディオ・トランスデューサを組み込む。このヘッドホン・システムは、例えば実施例K、W又はYと同じであるか又は同様の構成を有することができるが、オーディオ・トランスデューサが実施例G9のオーディオ・トランスデューサに取って代わる。
トランスデューサの機械的特性に関しては:
・厚くて高い剛性の設計アプローチの振動板がコンパクトであり、良好な高周波数の拡張を実現する;
・振動板サスペンションが、全周長の周りに分布するのではなく、ばねに集中していることは、ばねが内部共振に対して比較的高いロバスト性を有しており、ここでは、それに相応するような、振動板の基本共振周波数又は振動板可動域における犠牲を払うことがない、ことを意味する;
・内部のサスペンション共振が結果として生じる場合、ばねが最小の表面積を有することで、ディストーションが聴取者まで容易には広がらない。
5.2.7 実施例H
図H3a及びH3bが、コンパクトな2ウェイ・サーカムオーラル・ヘッドホン装置の各側に配備される高音及びバス・オーディオ・トランスデューサである本発明の別の実施例を示す。図H3bが、右耳の前方の定位置にある両方のオーディオ・トランスデューサH301及びH302を示しており、ここではヘッドホン・インターフェース・デバイスの残りの部分が隠れており、図H3aがヘッドホン・インターフェース・デバイスの全体を示している。
この実施例では、実施例Aのオーディオ・トランスデューサがヘッドホン内に配備されている。代替のコンフィギュレーションにおいて、本明細書で説明される他のオーディオ・トランスデューサの実施例のうちの任意の1つのオーディオ・トランスデューサがこのヘッドホンに組み込まれてもよいことが理解されよう。
この実施例では、バスを改善するために、耳の近傍の空気が外側の空気から封止されず、代わりに、2つのドライバが、直接に外耳道に向かって放射される「正圧」の音圧を、外部に向かって放射される「負圧」の音圧から隔てる小さいバッフル内にマウントされる。耳から離れる方を向くバッフルの側から放射される負圧の空気圧は、外側への放射時にある程度の準半球のパターンを有することを理由として、空気体積を増大させるように膨張することができる。これは、それに相応して、波の伝播時に音圧が低下することを意味する。このような低下は、低いバス周波数においても、負圧の音圧がバッフルの周りを移動して鼓膜に到達するまでに、圧力が、耳の方を向くバッフルの側から放射される「正圧」の音圧を大きく相殺することがないように十分に低減されることを意味する。
本発明の実施例では振動板の大きい体積可動域が可能であるということを理由として、耳の周りにシールが存在しなくても、比較的高いバス・レスポンスが可能となる。例えば、ヘッドホンなどの個人用オーディオ・デバイスの用途では、デバイスのサイズに有意に影響することなく、約15~25mmのピーク間の振動板可動域が達成され得る。また、実施例Aに関連して上で説明したように、低い基本共振周波数も可能である。ドライバのウォーターフォール・プロットの測定が図H2aに示される。
5.2.8 可能な実装形態、修正形態又は変形形態
オーディオ・トランスデューサ
セクション5.2.1~5.2.7で説明されるオーディオ・デバイスの実施例の各々において、任意の1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサが、例えば、実施例A、B、D、E、G、S、T及びUのオーディオ・トランスデューサを含めた、本明細書で説明される任意の1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサに、又は、本明細書で説明される特徴に従って設計される任意の他のオーディオ・トランスデューサに、取って代わることができる。
マウンティング・システム
本発明の低共振オーディオ・デバイスの実施例はハイファイ・オーディオの用途で有用である。使用者の耳の近傍に届けられるハイファイ・オーディオは、好適には、良好に設計された一定の位置から届けられる。したがって、オーディオ・デバイスが、上記の実施例で説明されるパッド及びイヤ・プラグなどの、ユーザ・インターフェース・マウンティング・システムを備えれば有利であり、このユーザ・インターフェース・マウンティング・システムがオーディオ・トランスデューサを使用者の片耳又は両耳のところに又はその近くに配置する。オーディオ・デバイスがイヤホン装置である場合、インターフェース・マウンティング・システムが使用者の外耳道を基準としてオーディオ・トランスデューサを配置することがさらに好適である。
複数のチャネル
また、ハイファイ・オーディオ再生の場合、オリジナルのオーディオを表す一定程度の空間情報を聴取者に提供することを目的として、少なくとも2つ以上のオーディオ・チャネルが再生されることが好ましい(ステレオ又はマルチチャネル)。これらのチャネルは、好適には、異なるオーディオ・トランスデューサを介して独立して再生されるべきであるが、チャネルが完全には独立せず、それでもこのような空間情報を提供するような、他の形態のオーディオ再生も存在する。例えば、上述の実施例のうちの任意の実施例においてチャネルの間に「クロストーク」が導入されてよい。しかし、好適には、実施例H、P、K、W、Y及びXのオーディオ・デバイスが、異なる(それでも、関連している)オーディオ・マテリアルを再生する少なくとも2つの異なるオーディオ・トランスデューサを備え、より好適には、チャネルが独立する。例えば、それぞれの耳に関連付けられたオーディオ・トランスデューサが異なるチャネルを再生することができる。
FRO及びトランスデューサの数
ハイファイ・オーディオ再生により十分な帯域幅が与えられる。好適には、実施例H3、H4、G9、P、K、W、Y及びXのうちの任意の実施例のオーディオ・デバイスが、160Hzから6kHzの周波数帯を含む、又はより好適には120Hzから8kHzの周波数帯を含む、又はより好適には100Hzから10kHzの周波数帯を含む、又はさらにより好適には80Hzから12kHzの周波数帯を含む、又は最も好適には60Hzから14kHzの周波数帯を含む、FROを有する少なくとも1つのオーディオ・トランスデューサを備える。
オーディオ信号が、異なる帯域幅で作動する複数のオーディオ・トランスデューサによって再生される場合、好適には、オーディオ信号を、異なるトランスデューサによって再生されることになるサブ・バンドへと分けるための電気的クロスオーバー又は等価の手段がさらに組み込まれる。このようなオーディオ・セパレーションはオーディオ再生の品質にとって有害である可能性があることから、オーディオ・デバイスがそれぞれの耳に対してせいぜい3つのオーディオ・トランスデューサを備えることが好適であり、これらが集合的に、160Hzから6kHzの周波数帯を含む、又はさらに好適には120Hzから8kHzの周波数帯を含む、又はさらに好適には100Hzから10kHzの周波数帯を含む、又はさらにより好適には80Hzから12kHzの周波数帯を含む、又は最も好適には60Hzから14kHzの周波数帯を含む、FROを有する。より好適には、オーディオ・デバイスがそれぞれの耳に対してせいぜい2つのオーディオ・トランスデューサを備え、これらが集合的に、160Hzから6kHzの周波数帯を含む、又はさらに好適には120Hzから8kHzの周波数帯を含む、又はさらに好適には100Hzから10kHzの周波数帯を含む、又はさらにより好適には80Hzから12kHzの周波数帯を含む、又は最も好適には60Hzから14kHzの周波数帯を含む、FROを有する。最も好適には、オーディオ・デバイスがそれぞれの耳に対してわずかに1つのオーディオ・トランスデューサを有する。
上述したように、このように広範囲の帯域幅にわたっての高品質のオーディオ再生を達成するのに、実質的に又は十分に、周囲の内部に物理的に連結しない振動板組立体を組み込むオーディオ・デバイスが良好に適する。
加えて、オーディオ再生の品質の補助のために、好適には、Hammershoi and Moller in 2008によって提案される「Diffuse Field」を基準として(これは、この基準と比較して、多くの個人用オーディオ・デバイスが相対的に低減される出力を有することになるような2~4kHzの周波数範囲ではない)、20dBを超えるような、又はより好適には14dBを超えるような、又はさらにより好適には10dBを超えるような、又は最も好適には6dBを超えるような、音圧の継続的な低下なしで、FROが再生されることが好ましい。
また、Hammershoi and Moller in 2008によって提案される「Diffuse Field」を基準として、20dBを超えるような、又はより好適には14dBを超えるような、又はさらにより好適には10dBを超えるような、又は最も好適には6dBを超えるような、帯域幅の極値での音圧の低下なしで、作動周波数帯が再生されることが好ましい。
オーディオ・デバイスが複数のオーディオ・トランスデューサを備える場合、好適には少なくとも1つのトランスデューサが、また最も好適にはすべてのトランスデューサが、実施例H3、H4、G9、K、P、W、Y及びXのオーディオ・デバイスに関連して上述したものと同じであるか又は類似するものである、ことが理解されよう。別法として又は加えて、例えば、実施例A、B、E、D、G、S、T及びUのオーディオ・トランスデューサのうちの任意の1つ又は複数のオーディオ・トランスデューサを含めた、本明細書で説明される他のオーディオ・トランスデューサが使用されてもよい。言い換えると、上記の実施例で説明されるオーディオ・デバイスのうちの任意の1つのオーディオ・デバイスが、1つの耳のコンフィギュレーションに対して、複数のトランスデューサの中に、中に組み込まれる任意の他のタイプのオーディオ・トランスデューサを備えることができる。
非封止の変形形態
セクション5.2.2~5.2.7の上述の実施例では、オーディオ・デバイスが、その場で、使用者の片耳又は両耳のところを又はその周りを実質的に封止するように設計される。これらの実施例のいくつかの変形形態では、例えば、図H3及びH4に示される実施例の場合において、オーディオ・デバイスが、その場で、使用者の片耳又は両耳のところ又はその周りを実質的には封止しないように、設計される。実質的には封止しないような設計では、耳の音響特性及び/又は共振特性が変化しにくい。また、非封止の設計は使用者にとってより快適となり得る。これは、特には、実施例P及びXのオーディオ・デバイスなどの、イヤホンの用途の場合に当てはまり、イヤホンの用途では、インターフェースが外耳道の中に又は外耳道に直接に隣接するところに留まるように構成される。
非封止の設計を用いる場合、一般に、上述のオーディオ・デバイスのコンフィギュレーションによって達成される振動板可動域及び低い基本共振周波数に対する要求が大きくなる。
したがって、別法として、オーディオ・デバイスが、使用時に、外耳道内に含まれる空気と外耳道の外部の空気との間に部分的なシールを備えてもよく、これは、その場で、使用者の耳介、頭部又は外耳道の開口部の周辺部の周りに実質的に継続的なシールを提供しない。例えば、インターフェースが、その場で、使用者の外耳道の、又は耳介又は頭部の、開口部の周辺部に対して実質的に継続的な圧力を加えなくてよい。
封止の程度は、好適には、バス・レスポンスを不十分にしてしまうくらいに過度に小さいものではない。例えば、デバイスの少なくとも1つのインターフェースが、70ヘルツにおける周囲音のパッシブ減衰を、1デシベル(dB)未満、又は2dB未満、又は3dB未満、又は6dB未満とするように、その場で部分的な封止を行ってよい。別法として又は加えて、少なくとも1つのインターフェースが、120ヘルツにおける周囲音のパッシブ減衰を、1デシベル(dB)未満、又は2dB未満、又は3dB未満、又は6dB未満にするように、その場で部分的な封止を行ってよい。別法として又は加えて、少なくとも1つのインターフェースが、400ヘルツにおける周囲音のパッシブ減衰を、1デシベル(dB)未満、又は2dB未満、又は3dB未満、又は6dB未満にするように、その場で部分的な封止を行ってよい。
自由周辺部の変形形態
上述の実施例H3、H4、X、W及びKの個人用オーディオ・デバイスでは、回転動作オーディオ・トランスデューサが、その周辺部において、周囲又はエンクロージャに物理的に連結しない振動板組立体を備える。これらの実施例の各々に組み込まれ得るこのコンフィギュレーションの1つの変形形態は、振動板組立体の周辺部のところに取り付けられるが振動板本体の終端部領域には連結されない従来のタイプのサスペンション(可撓性スパイダ又は他の同様の支持体など)を介して支持体に対して浮遊状態にされる振動板組立体を有するオーディオ・トランスデューサであり、振動板本体の終端部領域では、動作中の振動板の揺動時に振動板本体の変位が最大となる。それでも、終端部領域の長さは、例えば、振動板組立体の外周部の組合せの合計の長さの少なくとも20%であってよい(又はいくつかの実装形態では、それ未満であってもよい)。
従来のサスペンションは、振動板可動域及び基本の共振周波数をいくらかの程度で制限するが、バス・レスポンスを向上させるために封止の程度を改善することができる。
最大の変位を受けるところの終端縁部領域にサスペンションが存在しないことにより、一定程度の空気の漏れが可能となり、これが、特定のコンフィギュレーションのための最適なバス・レスポンスを実現する。好適には、従来の周囲が、十分なバス・レスポンスの提供を受けるところの振動板周辺部の絶対最小値の長さのところにのみ存在し、この場合、周囲サスペンションが、動作中に最小に動くところの振動板組立体の周辺部領域のところに取り付けられる。
動く周辺部の一部分のところに、また特には、最大の変位を受けるところの部分に、サスペンションが存在しないことにより、周辺部のところに配置される残りのサスペンションのスティフネスを増大させることが可能となり、さらにそれにより、3つの項目での折り合いのうちの残りの、振動板可動域及び周囲の共振を改善することが可能となる。
セルラー・フォンの実装形態
上述の個人用オーディオ・デバイスの実施例は、携帯電話又は他の携帯情報端末タイプのデバイス内に実装され得る。
このタイプの実装形態では、このオーディオ・トランスデューサのコンフィギュレーションによって提供されるバス領域の帯域幅拡大能力が、オーディオ再生以外の、例えば振動警報といったような、他のデバイス機能にも同じオーディオ・トランスデューサが使用され得ることがあることをまた意味する。
6.好適なトランスデューサ基部構造の設計
本明細書で説明されるオーディオ・トランスデューサの実施例の各々で、それらに相対的な低エネルギー蓄積性能を提供するためには、振動板組立体をそこから支持して励起させるところである構成要素又は組立体であるトランスデューサ基部構造が、好適には、それ自体では、トランスデューサのFROの範囲内において、共振モードをほとんど有さず、又はより好適には共振モードを一切有さない。
トランスデューサ基部構造が、好適には、構造の任意の他の寸法より有意に大きいような寸法が存在しないことを意味する、比較的脚の短いコンパクトなジオメトリを有する高い剛性を有する材料から構成される。細長いジオメトリはよりコンパクトであるが、共振も起こりやすいことから、本発明の実施例では好適ではない。しかし、これらは本発明の範囲から排除されない。
トランスデューサ基部構造が、例えば、バッフル、エンクロージャ、ハウジング又は任意の他の周囲などの、他の構成要素に強固に取り付けられる場合、好適には、構造全体(本明細書では、「トランスデューサ基部構造組立体」とも称される)が、やはり、高い剛性を有する材料から構成されなければならず、脚の短いコンパクトなジオメトリを有さなければならない。
また、好適には、可能な限り、基部構造組立体が振動板の両側の空気流れを妨害せず、また、空気共鳴モードを発生させる可能性がある空気を含むことに寄与しない。
また、好適には、トランスデューサ基部構造が振動板組立体と比較して大きい質量を有し、その結果、トランスデューサ基部構造の変位と比較して振動板の変位が大きくなる。好適には、トランスデューサ基部構造の質量は、振動板組立体の質量より10倍超大きく、又はより好適には20倍超大きい。
好適には、共振の受けやすさを最小にするために、任意の磁石以外の、基部構造組立体の少なくとも1つの重要な構造構成要素が高い比弾性率を有する材料から作られ、例えば、限定しないがアルミニウム若しくはマグネシウムなどの、金属から作られるか、又は、ガラスなどのセラミックから作られる。
基部構造組立体をなす構成要素が、エポキシなどの接着剤により、又は、溶接により、又は、固定具を使用するクランピングにより、又は、多くの他の方法により、一体に連結され得る。溶接及びはんだ付けは広いエリアにわたって丈夫で高い剛性の連結部を提供することから、特にジオメトリがより細長くしたがって共振しやすい場合には、溶接及びはんだ付けが好適である。
例えば、図A1が、高い剛性を有するトランスデューサ基部構造A115に回転可能に接続される、高い剛性を有し、比較的軽量である複合振動板組立体A101を有する、本明細書では実施例Aと称されるオーディオ・トランスデューサの実施例を示す。
トランスデューサ基部構造A115が、永久磁石A102と、ポール・ピースA103及びA104と、接触バーA105と、デカップリング・ピンA107及びA108とを備える。トランスデューサ基部構造A115のすべての部分が、例えばエポキシ接着剤などの、接着剤を使用して、又は別法として、溶接、クランピング及び/若しくは固定具などを介する、高い剛性の任意の接続機構を介して、連結され得る。
トランスデューサ基部構造A115は、それが有するいかなる共振モードもトランスデューサのFROの範囲の外で好適には発生させるように、高い剛性を有するように設計される。トランスデューサ基部構造A115の、厚くて脚の短いコンパクトなジオメトリにより、この実施例に、磁石及びポール・ピースに取り付けられるバスケットで構成されるトランスデューサ基部構造を有する従来のトランスデューサに対しての利点がもたらされる。
図J1d及びJ1eに示されるような、従来のオーディオ・トランスデューサでは、バスケットJ113が、可撓性の振動板サスペンションを支持するバスケットの部分(周囲J105)に対して、比較的重い質量の、磁石J116、上部ポール・ピースJ118及びT-yoke J117をリンクする必要がある。周囲が磁石J116及びスパイダJ119から離れた有意な距離のところに位置しなければならないことにより、トランスデューサのジオメトリが限定され、それにより、所与のサイズの振動板の円錐体J101に対して、コンパクトで脚の短いジオメトリのトランスデューサ基部構造を提供することが困難となる。薄く、コンパクトではなく、脚の長いジオメトリ及びロケーションを有するような従来のバスケットの設計では、バスケットが共振しやすくなる。
また、従来の周囲は、しばしば、振動板とエンクロージャ又はバッフルとの間に1つ又は複数のエア・ポケットを含み、それにより、空気共鳴モードを発生させる。
本明細書の他のオーディオ・トランスデューサの実施例でも、同じ又は同様のトランスデューサ基部構造又は基部構造組立体が利用される。
7.変換機構
本明細書で説明されるオーディオ・トランスデューサの実施例の各々で、オーディオ・トランスデューサが変換機構を組み込む。好適な電気音響学の実装形態では(例えば、ラウドスピーカ)、各実施例の関連の変換機構が、電気オーディオ信号を受信し、その信号に応答して力伝達構成要素の動作により振動板組立体に励起作用力を加えるように、構成される。動作中、通常、関連付けられたトランスデューサ基部構造により、関連の反力がさらに示される。代替の音響電気学の実装形態の場合(例えば、マイクロホン)、各実施例の変換機構が、音波に反応して動く振動板組立体により生じる力を受けるように構成され、力伝達構成要素の動作により、この動きが電気オーディオ信号へと変換される。
したがって、変換機構が力伝達構成要素を備える。最も好適には、トランスデューサのこの部分が振動板構造又は組立体に強固に連結される。その理由は、傾向としては、このコンフィギュレーションが、より正確な1自由度のシステムを作りそれにより望ましくない共振モードを最小にするのに、より適しているからである。
別法として、力伝達構成要素が1つ又は複数の中間構成要素を介して振動板に強固に連結され、力伝達構成要素が振動板本体又は構造に接近し、それにより組み合わされる構造の剛性を向上させ、その結果として、これらのカップリングに関連する不利な共振モードの周波数がより上へと移行させられる。好適には、上記の実施例のうちの任意の1つの実施例における力伝達構成要素と振動板構造又は本体との間の距離が、振動板構造又は本体の主面の最大寸法(長さなどであるが、別法として幅であってもよい)の75%未満である。より好適には、この距離が、振動板本体又は構造の最大寸法の、50%未満、又はより好適には35%未満、又はさらに好適には25%未満である。
好適には、やはり、構造の高い剛性が確実に得られるようにするのを補助するために、連結構造が、8GPaを超える、又はより好適には約20GPaを超えるヤング率を有する。
磁界発生構造及び導電性コイル又は要素を備える電磁励起機構は非常に線形的である。したがって、このような電磁励起機構は、本発明の上述の実施例の各々の実施例と共に使用されるのに好適な形態の変換/励起機構である。このような電磁励起機構は、本発明の共振制御の特徴との組合せで使用される場合、実質的に共振フリーの構造と組み合わされるリニア・モータを介してオーディオ再生の品質が最大化されるという利点を提供する。好適には、コイルが振動板側で固定される。その理由は、コイルを軽量にすることができ、したがって、振動板分割共振に対してコイルをより有害ではないものとすることができるからである。コイル及び磁石ベースのモータは、さらに、高出力での取り扱いを可能にすることから、ロバストに作ることができる。
用途に応じて、例えば圧電式変換機構又は磁歪変換機構などの、他の励起機構も良好に機能することができ、別法としてこられが本発明の実施例のうちの任意の1つの実施例に組み込まれてもよい。圧電モータは、例えば、本発明による単純なヒンジ・システム及び/又は高い剛性を有する振動板の特徴と組み合わされて使用される場合に、効果的となり得る。実施例A、B、D、E、K、S、T、W及びXに関連して説明されるものなどの、回転動作トランスデューサでは、このような変換機構が回転軸の近くに配置され得る。ここでは、基部の近くの小さい可動域により、振動板の遠位の周辺部又は先端部に向かうにつれて大きい可動域が得られることを理由として、圧電デバイスの一般的には可動域が小さいという欠点が軽減される。加えて、圧電モータは高い程度で本質的に共振フリーとなり得、また、軽量となり得、これは、それ以外の場合では振動板の共振モードを強める可能性があるような振動板上の荷重が低減されることを意味する。
8.オーディオ・トランスデューサの用途
本明細書で説明されるオーディオ・トランスデューサの実施例は、多種多様なオーディオ・デバイスに実装されるように構成され得る。個人用オーディオ・デバイス内での本発明のオーディオ・トランスデューサの実装形態の例のためのセクション5でいくつかの実例が与えられている。これは本発明の実施例のうちのいくつかの実施例に関連して好適な実装形態であるが、それが唯一の実装形態ではなく、多くの他の実装形態も適用可能である。
オーディオ・トランスデューサの実施例の各々が、所望の機能を実行するようなサイズへと拡大・縮小され得る。例えば、本発明のオーディオ・トランスデューサの実施例は、本発明の範囲から逸脱することなく、以下のオーディオ・デバイスのうちの任意の1つのオーディオ・デバイスに組み込まれ得る:
・ヘッドホン、イヤホン、補聴器、携帯電話、及び、携帯情報端末、などを含む個人用オーディオ・デバイス;
・パーソナル・デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、及び、タブレット、などを含む計算デバイス;
・コンピュータ・モニタ及びスピーカ、などを含むコンピュータ・インターフェース・デバイス;
・フロア・スタンディング・スピーカ、及び、テレビ・スピーカ、などを含むホーム・オーディオ・デバイス;
・カー・オーディオ・システム、並びに、
・他の専用のオーディオ・デバイス。
さらに、所望の結果を得るために所与の設計に従って、オーディオ・トランスデューサの周波数範囲が操作され得る。例えば、上記の実施例のうちの任意の1つの実施例のオーディオ・トランスデューサが、所望の用途に応じて、バス・ドライバ、ミッドレンジ-高音ドライバ、ツイーター、又は、フルレンジ・ドライバとして使用され得る。
種々の用途のために実施例Aのオーディオ・トランスデューサの実施例が如何にして構成され得るかの簡単な実例を以下で与えるが、これが限定的であることは意図されておらず、この実施例に対してさらには本明細書で説明される他のすべての実施例に対して、他の多くの可能なコンフィギュレーション、用途及び実装形態が考えられる、ことが当業者には理解されよう。
一実装形態で、例えば、実施例Aのオーディオ・トランスデューサが、図H3bに示されるツーウェイ・ヘッドホン(ラウドスピーカ・オーディオ・トランスデューサH301)において、300Hzから20kHzのミッドレンジ及び高音の周波数を再生するように設計される例えば約15mmの振動板本体の長さを有することができる。同じトランスデューサが、例えば700Hzからそれ以上の周波数までの間の周波数バンドを再生する、ホーム・オーディオ・フロアスタンディング・スピーカのためのミッドレンジ-高音ラウドスピーカ・オーディオ・トランスデューサとしても配備され得、又は、同じトランスデューサが、1ウェイ・ヘッドホン内のフルレンジ・ドライバとして機能するようにも最適化され得る。
実施例Aのオーディオ・トランスデューサが多様な用途に適合するようにそのサイズを拡大・縮小され得る。例えば、図H3bがバス・ラウドスピーカ・オーディオ・トランスデューサH302を示しており、これは、ミッドレンジ及び高音ドライバH301に関連する拡大された(すべての寸法の)実施例Aのオーディオ・トランスデューサである。拡大されたオーディオ・トランスデューサが、例えば約32mmの振動板の長さを有することができる。このような事例では、トランスデューサH302が、約40Hzのより低い基本周波数においてより多くの空気を動かすことが可能となり得る。トランスデューサH302が最大約4000Hzの周波数を再生するのに適し得る。このドライバは、例えば100Hzから4000Hzの間の周波数バンドを再生する、ホーム・オーディオ・フロア・スタンディング・スピーカのミッドレンジ・ドライバにも適する。さらに、例えば約200mmの振動板の長さへと概略的に拡大・縮小することで(すべての寸法に)、20Hzから約1000Hzの又はいくつかの事例ではそれ以上の、実質的に共振フリーの帯域幅を有するドライバを得ることができ、これがハイ・ボリュームの可動域能力を有する。このコンフィギュレーションが、例えば、ホーム・オーディオ・フロアスタンダーのためのサブウーファーに適する。
実施例Aのオーディオ・トランスデューサの振動板の長さを例えば約8mmとするようにドライバ寸法が縮小される場合、トランスデューサが、図H4に示されるものに類似する1ウェイ・バッド・イヤホン内に配備され得る。
図Z1を参照すると、実施例Aのオーディオ・トランスデューサのさらに別の実装形態が、例えば、パーソナル・コンピュータ・スピーカ・ユニットであってよいラウドスピーカ・システムZ100であってよい。このオーディオ・デバイスの実施例では、2つ以上のオーディオ・トランスデューサが同じエンクロージャZ104に組み込まれる。実施例AのトランスデューサZ101の第1の相対的により小さいバージョンが高音ドライバとして提供され、第2の相対的により大きいオーディオ・トランスデューサZ102がバス-ミッドレンジ・ドライバとして提供される。これらのユニットが、共に、本明細書のセクション4.2のもとで説明されるようなデカップリング・システムを介して、エンクロージャから分離され得る。エンクロージャZ104が、エンクロージャを支持表面Z106からさらに分離するためにエンクロージャの基部の周りに分布する複数のゴム又は他の実質的に柔らかい脚部Z105を備えることができる。
実施例Zのオーディオ・デバイスの代替のコンフィギュレーションでは、より大きいトランスデューサZ102が分離されず、エンクロージャZ104に完全に及び強固に連結される。これが、例えばより重いトランスデューサ基部構造の1つ又は複数(好適には、複数)の側部上の接着剤を介するといったようなことを含めて、本明細書で考察されるような任意適切な方法を介して、行われ得る。加えて、エンクロージャ壁Z104が、例えば5mm超の又は8mm超の十分な大きさの壁の厚さを有する、例えば金属材料(例えば、アルミニウム又は他の同様のもの)などの、十分に厚くて高い剛性を有する材料から作られる。これは著しく重くて高い剛性を有する構成である。柔らかい脚部が、エンクロージャと支持表面との間にデカップリング・マウンティング・システムを提供する。また、より小さいドライバZ101に関連付けられる第2のデカップリング・システムが実施例Aのところで説明されるように提供され、ドライバとエンクロージャZ104との間に配置され得る。自由周辺部タイプのドライバZ101及びZ102と組み合わされるこれらのデカップリング・システムは、強固にマウントされるより大きいトランスデューサがより小さいドライバの比較的コンパクトなエンクロージャと組み合わされて単一の実質的に低共振のシステムを形成し、これが、ユニットに接近している他の共振傾向のあるシステム(例えば、スピーカをその上に着座させることができるところの家具)から切り離されることを意味する。このシステムは、他のドライバのデカップリング・システムを介して、振動傾向のある他のシステム(この事例では、より小さいドライバ)からも切り離される。
振動遮断マウンティング(すなわち、脚部)は、例えば、下部に取り付けられる追従性を有するゴム又はシリコンのマウンティング・パッド、可撓性を有する金属ばね、可撓性アーム、などを含んでよい。
上記は本発明の実施例の多様性の例を提供するものであり、実施例Aに対して、又は、本明細書で説明されるか若しくは本明細書で提供される説明に由来し得る任意の他のオーディオ・トランスデューサの実施例に対して、他の実装形態も可能であることが当業者には容易に明らかとなろう。
本発明の上記の説明は、好適な実施例のオーディオ・トランスデューサ及びオーディオ・デバイスの実施例を含む。この説明はまた、オーディオ・トランスデューサに関連する、他のシステム、組立体、構造、デバイス、方法及び機構の、種々の実施例、実例並びに設計及び構成の原理を含む。添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、オーディオ・トランスデューサの実施例に対して、並びに、本明細書で開示される他の関連のシステム、組立体、構造、デバイス、方法及び機構に対して、当業者には明らかであるような多くの修正形態が作られ得る。

Claims (20)

  1. 振動板と、ヒンジと、トランスデューサ基部構造とを備えるオーディオ・トランスデューサであって、
    前記振動板は、使用時に前記ヒンジによって、回転軸を中心に前記トランスデューサ基部構造に対して回転可能に支持され、
    前記ヒンジは、少なくとも1つのヒンジ接続部を備え、各ヒンジ接続部が、第1のフレキシブル弾性ヒンジ要素及び第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素を有し、
    前記第1のフレキシブル弾性ヒンジ要素は、一方の端部で前記トランスデューサ基部構造に強固に接続され、対向する端部で前記振動板に強固に接続され、
    前記第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素は、一方の端部で前記トランスデューサ基部構造に強固に接続され、対向する端部で前記振動板に強固に接続され、
    前記第1及び第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素の各々は、前記トランスデューサ基部構造と前記振動板との間の前記第1及び第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素のそれぞれの長手方向の長さと比較して実質的に小さい厚さを有し、前記厚さは、前記回転軸に対して実質的に垂直であって、前記回転軸を中心にする前記振動板の追従的な回転運動を容易にする寸法であり、
    各ヒンジ接続部の前記第1のフレキシブル弾性ヒンジ要素が延びる、前記回転軸に対して垂直である第1の方向が、前記第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素が延びる、前記回転軸に対して垂直である第2の方向に対して少なくとも30度の角度にあり、前記第1及び第2の方向は両方とも、前記第1及び第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素のそれぞれに沿って前記振動板から前記トランスデューサ基部構造まで延びて、前記第1の方向と前記第2の方向との両方における前記トランスデューサ基部構造に対する前記振動板の並進変位に関して剛性の向上を容易にする、オーディオ・トランスデューサ。
  2. 前記第1の方向は、前記第2の方向に対して45度より大きい角度にある、請求項1に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  3. 前記第1の方向は、前記第2の方向に対して60度より大きい角度にある、請求項1に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  4. 前記第1の方向は、前記第2の方向に対して実質的に直交する、請求項1に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  5. 前記振動板から各ヒンジ接続部までの最短距離は、前記回転軸から前記振動板の最遠位周辺部までの最大距離の半分未満である、請求項1~4の何れか一項に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  6. 前記振動板から各ヒンジ接続部までの最短距離は、前記回転軸から前記振動板の最遠位周辺部までの最大距離の1/3未満である、請求項1~5の何れか一項に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  7. 各ヒンジ接続部は、前記振動板に直接取り付けられている、請求項1~6の何れか一項に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  8. 各ヒンジ接続部の前記第1のフレキシブル弾性ヒンジ要素及び前記第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素の各々は、実質的に平面のプロファイルを有する、請求項1~7の何れか一項に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  9. 各ヒンジ接続部の前記第1及び第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素は、共通の縁部に沿って連結され又は交差して、おおよそL形の断面を形成している、請求項1~8の何れか一項に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  10. 各ヒンジ接続部の前記第1及び第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素は、中央領域に沿って交差して、おおよそX形の断面を形成している、請求項1~8の何れか一項に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  11. 前記回転軸は、各ヒンジ接続部の前記第1及び第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素の間の交点とおおよそ同一直線上にある、請求項1~10の何れか一項に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  12. 各ヒンジ接続部の前記第1及び第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素は隔てられている、請求項1~11の何れか一項に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  13. 各ヒンジ接続部の前記第1及び第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素の各々は、一様でない厚さ及び/又は幅を有し、前記第1又は第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素のそれぞれの前記厚さ及び/又は幅は、前記振動板及び前記トランスデューサ基部構造に隣接する一方の端部領域又は両方の端部領域においてより大きい、請求項1~12の何れか一項に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  14. 各ヒンジ接続部の前記第1及び第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素の各々の厚さは、前記第1又は第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素のそれぞれの長さの約1/4未満である、請求項1~13の何れか一項に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  15. 各ヒンジ接続部は、前記振動板の正中矢状面から前記振動板の幅の少なくとも0.2倍である距離のところに配置されている、請求項1~14の何れか一項に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  16. 前記ヒンジは、前記振動板の矢状面の反対側に配置された一対のヒンジ接続部を備える、請求項1~15の何れか一項に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  17. 各ヒンジ接続部の前記第1及び第2のフレキシブル弾性ヒンジ要素の各々は、おおよそ8GPaより大きいヤング率を有する材料から形成されている、請求項1~16の何れか一項に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  18. 前記振動板を取り囲む構造を更に備え、前記振動板は、前記取り囲む構造と物理的に連結しない1つ以上の周辺領域を有する外周部を備える、請求項1~17の何れか一項に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  19. 各振動板は実質的に厚い、請求項1~18の何れか一項に記載のオーディオ・トランスデューサ。
  20. 個人用オーディオ用途で使用する個人用オーディオ・デバイスであって、前記デバイスは、通常、使用時に使用者の頭部のおおよそ10cm以内に配置され、前記オーディオ・デバイスは、請求項1~19の何れか一項に記載のオーディオ・トランスデューサを1つ以上有する、オーディオ・デバイス。
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