JP4431623B2 - スピーカー及びスピーカーシステム - Google Patents

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本発明は、音声再生用のスピーカー及びスピーカーシステムに関する。さらに詳しくは、磁性流体を用い、エッジレス・ダンパーレス構造を有するダイナミック型のスピーカー及びスピーカーシステムに関する。
音声再生用のスピーカーとしては、磁気ギャップ中に配置されたボイスコイルに電流を流し、振動板を振動させることで音声を再生するダイナミック型スピーカーが知られている。この種のダイナミック型スピーカーは、エッジとダンパーにより振動板及びボイスコイルボビンを支える構造になっている。
ここで、ダンパーは、振動板及びボイスコイル並びにボイスコイルボビン(以下「振動系」という)が磁気回路壁と接触せずに、正確に往復運動するように支持する役割を有する。さらに、ダンパーは、ボイスコイルの振動の中心と磁気ギャップの中心を合致させ、振動系の慣性を抑える(制動・ダンプする)役割も担っている。
また、エッジは、ダンパーと同様の役割を有すると共に、振動板の表側と裏側に放射される逆相の音波が互いに干渉しないように音波を遮断する役割を有する。
エッジとダンパーは、振動方向の軸上で異なった位置に存在する。したがって、振動系は2点で支えられることになり、その動きが確実に制御される。その結果、ボイスコイルは狭小な磁気ギャップ中を磁気回路壁に接触すること無く往復運動することが可能となる。
このような役割を果たすため、ダンパー及びエッジはより強い制御力を有することが望ましい。その一方で、電気信号を忠実に音波に変換するというスピーカー本来の目的においては、その制御力が足かせとなり、再生音の歪みにつながる。さらに、エッジ及びダンパーは、それ自体が固有振動を持つため、エッジ及びダンパーが振動することにより、不要な音波、すなわち歪みが生じて再生音を濁すことがある。
そこで、従来では、エッジ部分や、ダンパー部分に磁性流体を用い、磁性流体を介して振動系を支持することで再生音の歪みを抑制することが試みられている。磁性流体を介して振動系を支持する場合には、エッジ部分とボイスコイルの設置位置のそれぞれに磁石を設け、磁石と振動系の間のギャップに磁性流体を注入している。さらに、ボイスコイルに流れる電流が大きくなり過ぎたときに、振動系が飛び出すことを防止する部材が設けられている(例えば、特許文献1参照)。この部材は、エッジ部分とダンパー部分に相当する位置のそれぞれに設けられ、一対のストッパが振動系の初期位置を挟むように設けられている。各ストッパは、振動系の振動方向に直交する系方向に突出しており、その突出量は振動系が振動方向で初期位置から離れるに従って徐々に大きくなるように設定されている。振動系が大きく移動し、ストッパの突出量が大きい領域に達すると、ストッパの存在によって磁性流体が磁束密度の高い領域から追い出される。追い出された磁性流体は再び磁束密度の大きい領域に戻ろうとし、その結果、初期位置に向けて振動系が戻される。このようなストッパを有する部材によって、振動系が突出し過ぎないように駆動制御される。
国際公開第WO96/13960号パンフレット
しかしながら、従来の構造では、エッジ部分にリング形の磁石を設ける必要であった。
また、傾斜を備えるストッパがエッジ側とボイスコイル側の両方に必要であった。このため、部品点数が多く、構造が複雑であった。さらに、製造が困難であった。特に、傾斜する一対のストッパを有する部材をエッジ部分に環状に、かつ精度良く形成することは難しかった。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で性能の良いスピーカー及びスピーカーシステムを提供することを主な目的とする。
上記の課題を解決する本発明の請求項1に係る発明は、磁性材料からなるケースと磁性材料からなるフレームと磁石とヨークとポールピースを含み、前記ケースと前記フレームの間と、前記ヨークと前記ポールピースの間のそれぞれに磁気ギャップが設けられた磁気回路と、前記磁気ギャップのそれぞれに注入された磁性流体と、前記ケースに振動可能に支持される振動板と、前記振動板が固定され、電気信号が入力されるボイスコイルが巻装されたボイスコイルボビンと、前記振動板に取り付けられ、前記ケースと前記ヨークの間の磁気ギャップに保持される前記磁性流体に一部が挿入される非磁性材料からなる第1の振動制御部材と、前記ボイスコイルボビンに設けられ、前記ヨークと前記ポールピースの間の磁気ギャップに保持される前記磁性流体に一部が前記第1の振動制御部材と反対の方向から挿入される第2の振動制御部材と、を含むことを特徴とするスピーカーとした。
本発明の請求項に係る発明は、請求項1に記載のスピーカーにおいて、前記第1の振動制御部材は、前記振動板の振動方向に略直交する方向に突出して前記磁性流体による排
斥力を増大させる部分を有し、前記第2の振動制御部材は、前記ボイスコイルボビンの振動方向に略直交する方向に突出して前記磁性流体による排斥力を増大させる部分を有することを特徴とする。
本発明の請求項に係る発明は、請求項又は請求項に記載のスピーカーにおいて、前記第1、第2の振動制御部材は、前記振動板及びボイスコイルボビンの軸線を中心に環状に設けられると共に、排斥力を減少させる切り欠きが少なくとも1つ形成されていることを特徴とする。
本発明の請求項に係る発明は、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のスピーカーにおいて、前記ボイスコイルは、前記磁性流体中に配置されていることを特徴とする。
本発明の請求項に係る発明は、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のスピーカーにおいて、前記磁石として、一対のヨークに挟まれた環状の第1の磁石と、前記ヨークの一方を介して前記第1の磁石と同じ極が向き合うように配置される環状の第2の磁石とを有し、前記ケースは、前記第1、第2の磁石及び前記ボイスコイルボビンを収容可能で、前面に前記振動板を隙間を有して挿入可能な開口部が設けられ、前記第1、第2の磁石及び前記ヨーク並びに前記ケースを含んで第1の磁気回路を形成し、前記第1の磁気回路で保持する磁性流体で前記振動板を振動可能に保持し、前記第1の磁石と前記ヨークを含んで第2の磁気回路を形成し、前記第2の磁気回路で保持する磁性流体で前記ボイスコイルボビンを支持するように構成したことを特徴とする。
本発明の請求項に係る発明は、請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載のスピーカーにおいて、前記磁石として、一対のヨークに挟まれた環状の第1の磁石を有し、前記ケースは、前記第1の磁石及び前記ボイスコイルボビンを収容可能で、前面に前記振動板を隙間を有して挿入可能な開口部が設けられ、前記第1の磁石及び前記ヨーク並びに前記ケースを含んで第1の磁気回路を形成し、前記第1の磁気回路で保持する磁性流体で前記振動板を振動可能に保持し、前記第1の磁石と前記ヨークを含んで第2の磁気回路を形成し、前記第2の磁気回路で保持する磁性流体で前記ボイスコイルボビンを支持するように
構成したことを特徴とする。
本発明の請求項に係る発明は、請求項に記載のスピーカーにおいて、前記第1の振動制御部材の外周であって、前記磁性流体内に配置される部分にボイスコイルを有することを特徴とする。
本発明の請求項に係る発明は、請求項乃至請求項のいずれか一項に記載のスピーカーと、前記スピーカーの前記ケースの背面に形成された空気抜け孔に接続され、前記振動で発生した低音を増幅させるバックロードホーンとを有することを特徴とするスピーカーシステム。
本発明によれば、振動系に反対向きの排斥力が作用することで、ボイスコイルの振幅の中心と磁気ギャップの中心との調整が容易になる。また、駆動制御部材は、加工が容易であり、製造が容易になる。
(第1の実施の形態)
発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に本実施の形態に係るスピーカーの断面図を示す。スピーカー1は、磁性材料からなるケース2を有し、ケース2内に振動系3が振動可能に支持されている。ケース2の前面2Aには略円形の開口部4が形成されると共に、背面2Bには複数の空気抜き孔5が設けられている。さらに、ケース2内には、2つの磁石11,12と、一対のヨーク13,14とが収容されている。背面2B側の内面には、リング形の第2の磁石12がケース2の中央の空気抜き孔6の軸線m1上に中心が一致するように取り付けられている。第2の磁石12は、例えばネオジウムから製造されており、ケース2の背面2B側にS極が、反対側(前面側)にN極が配置されている。なお、空気抜き孔5,6は、本実施の形態に必須の構成要素ではない。
第2の磁石12のN極には、第2のヨーク14が取り付けられている。第2のヨーク14は、磁性材料、例えば鉄から製造されており、ポールピース15が一体に形成されている。ポールピース15は、ケース2の前面2Aに向かって延びる円筒からなり、その中心軸は軸線m1に一致させてある。また、第2のヨーク14には、リング形の第1の磁石11がポールピース15を隙間を有して囲むように取り付けられている。第1の磁石11は、例えばネオジウムから製造されており、第2の磁石12と同じ極性が向かい合うように、即ち図1の例ではケース2の背面2B側にN極が、前面2A側にS極が配置されている。第1の磁石11のS極には、第1のヨーク13が取り付けられている。第1のヨーク13は、磁性材料、例えば鉄から製造された板材からなり、中央に孔13Aが軸線m1を中心に形成されている。孔13A内には、ポールピース15が挿通されている。第1のヨーク13とポールピース15の間には所定長の磁気ギャップ16が形成されている。
また、第1のヨーク13の前面側には、フレーム17が取り付けられている。フレーム17は、前面に向かって径が増大するコーン形状を有し、その前面側の端部がケース2の前面2Aの開口部4と略面一になるように延び、開口部4の内周面との間に所定の磁気ギャップ18を形成する。フレーム17は、磁性材料、例えば鉄から製造されており、複数の空気抜き孔19が軸線m1と略平行に形成されている。なお、空気抜き孔19は、本実
施の形態に必須の構成要素ではない。
さらに、ケース2とフレーム17が形成する磁気ギャップ18には、磁性流体20Aが注入され、保持されている。これにより、このスピーカー1には、第1の磁石11のN極から第2のヨーク14を通って第2の磁石12のN極に至り、第2の磁石12のS極からケース2を通って、磁性流体20A、フレーム17、第1のヨーク13を順番に通って第1の磁石11のS極に戻る第1の磁気回路が形成される。
また、第1のヨーク13とポールピース15が形成する磁気ギャップ16には、磁性流体20Bが注入され、保持されている。これにより、このスピーカー1には、第1の磁石11のN極から第1のヨーク14、ポールピース15に至り、磁性流体20Bから第1のヨーク13を通って第1の磁石11のS極に戻る第2の磁気回路が形成される。
さらに、ケース2内には、振動系3が着脱自在に挿入されている。振動系3は、磁気ギャップ16に挿入されるボイスコイルボビン31と、ボイスコイルボビン31の前面側の先端部に取り付けられた振動板32とを有する。
ボイスコイルボビン31は、ポールピース15と同軸の円筒からなる。ボイスコイルボビン31の内周は、ポールピース15の外周より大きく、その外周は第1のヨーク13の孔13Aの径より小さい。ボイスコイルボビン21の外周には、ボイスコイル33が巻装されている。ボイスコイル33は、図示を省略するアンプに電気的に接続される。
振動板32は、軸線m1を中心にして前面に向かって径が増大するコーン形状を有し、中央の開口が前面に向かって突となるドーム状のセンターキャップ32Aで閉鎖されている。
ここで、図1及び図2に示すように、振動体32の前面側の外周には、環状の第1の振動制御部材41が取り付けられている。第1の振動制御部材41は、振動板32に取り付けられた端部から軸線m1に平行にケース2の背面2Bに向けて延びており、非磁性材料から製造されている。第1の振動制御部材41は、軸方向の長さや、軸方向と略直交する径方向の厚さが一定で、矢印AR1に示す第1の方向に磁性流体20Aに挿入されている。なお、第1の方向とは、軸線m1に平行で、かつケース2の前面2Aから背面2Bに向う方向である。
また、ボイスコイルボビン31の外周で、ボイスコイル33より背面側には、環状の第2の振動制御部材42が取り付けられている。第1の振動制御部材42は、軸線m1に平行にケース2の前面2A側に延びており、非磁性材料から製造されている。第2の振動制御部材42は、軸方向の長さや、軸方向と略直交する径方向の厚さが一定で、矢印AR2に示す第2の方向に磁性流体20Bに挿入されている。なお、第2の方向とは、第1の方向と反対向き、即ち軸線m1に平行でケース2の背面2Bから前面2Aに向う方向である。
第1、第2の振動制御部材41,42はその一部のみが磁性流体20A,20B内に挿入されている。第1、第2の振動制御部材41,42の挿入量は、それぞれが磁性流体20A,20Bを貫通しない量である。
なお、ボイスコイルボビン31及び第1、第2の振動制御部材41,42は、磁性流体20A,20Bに対して不活性、不溶性、非膨潤性であり、浸透性がない材料から製造することが望ましい。即ち、アルミニウム、マグネシウム、チタン等の合金を含む金属類、ポリプロピレン、ポリエチレン、PET、ポリイミド、フッ素樹脂等の樹脂、紙、不織布、グラスファイバー、カーボンファイバー、アラミド繊維等に樹脂を含浸または塗布したもの等が使用される。
次に、この実施の形態の作用について説明する。
スピーカー1をアンプに接続して音や声などの音声を発生させるときは、アンプからの電気信号がボイスコイル33に入力される。第2の磁気回路内に配置されているボイスコイル31に電気信号が流れると、電磁誘導によって力が発生する。第1、第2の磁石11,12はケース2に固定されているので、ボイスコイルボビン31及びこれに固定された振動板32を含む振動系3が軸線m1の方向に移動する。電気信号の変化に伴って振動系の移動量や移動方向が変化しながら振動する。その結果、振動板32から音声が出力される。
ここで、このスピーカー1は、第1の振動制御部材41が前面側から磁気ギャップ18の磁性流体20A中に浸漬されていることから、振動板32の裏側に発生する逆相の音波が遮断される。また、磁性流体20Aが磁気ギャップ18の磁気回路壁(ケース2の開口部4の内周壁及びフレーム17の端面)に引寄せられるため、第1の振動制御部材41と磁気回路壁との接触を防ぐ。さらに、振動系3を第1の方向、即ち背面に引き戻す排斥力が生じる。
また、ボイスコイルボビン31が磁気ギャップ16の磁性流体20B中に浸漬されていることから、磁性流体20Bが磁気ギャップ16の磁気回路壁(第1のヨーク13の内周壁及びポールピース15)に引寄せられ、ボイスコイルボビン31と磁気回路壁との接触を防ぐ。これと同時に、第2の振動制御部材42が背面側から磁性流体20B中に浸漬されていることから、振動系3を第2の方向、即ち前面に押し出す力が生じる。この力は、前記した前面側で生じる排斥力とは力の向きが反対の排斥力である。
これにより、振動系3は振動板32の外周部とボイスコイルボビン31の2か所で支持され、磁気回路壁に接触すること無く振動方向に正確な往復運動をすることが可能になる。さらに、振動系3は、前面側と背面側とで反対向きの力を常に受けるので、安定した往復運動が可能になる。また、排斥力のバランス点が振動系の初期位置(規定位置)になるので、ボイスコイル33の振幅の中心と磁気ギャップ16,18の中心とを合致させることができる。その結果、従来のように、振動系のエッジ部分を機械的に接合させたり、ダンパーを設けたりすることなく、音声を再生することが可能になる。
さらに、ケース2を利用した第1の磁気回路で磁性流体20Aを保持するので、従来のように前面側に環状の磁石を設ける必要がなくなり、装置構成を簡略化できる。第1、第2の振動制御部材41,42は、環状の部材であるので、製造が簡単である。前面側と背面側とで向きの違う排斥力を生じさせる構成にしたので、従来のように磁気回路を挟む一対の傾斜したストッパに比べて、加工が容易であり、ボイスコイルの振幅の中心と磁気ギャップの中心との調整が容易である。
そして、このスピーカー1の組み立て時には、ボイスコイル33のリード線を接続し、磁気ギャップ16,18に振動系3を挿入すれば良い。従来のエッジを機械的に接合させたり、ダンパーを設けたりする場合に必要な位置合わせや接着、これらの作業に必要な治具などが要らず、短時間で容易にスピーカーを製作することができる。
ここで、本実施の形態に係るスピーカー1を作製して特性をオーディオ・サウンド・アナライザ(エタニ電気製のASA−10)で測定したところ、200Hz〜20000Hzにおける高調波歪みが最大で0.45%、概ね0.1%以下と非常に低く、優れた再生能力を有することが分かった。なお、このときのスピーカー1は、振動板32に直径80mmのマグネシウム製コーンを用いた。ボイスコイルボビン31は、内径25.4mm、厚さ0.05mmのアルミ製とし、第1の振動制御部材41に軸線方向の長さが8mmで
厚さ0.2mmのマグネシウム板を採用した。第2の振動制御部材42には、軸線方向の長さが5mmで厚さが0.8mmの樹脂テープを使用した。第1、第2の磁石11,12は、ネオジウム製とし、第1のヨーク13は鉄から製造し、その外径78mm、内径28mmとした。第2のヨーク14は、鉄から製造し、直径25mmのポールピース15を一体に成形した。ケース2は、前面に直径82mmの開口部を有するカップ形状とした。ケース2及びフレーム17並びに第1、第2のヨーク13,14のそれぞれに空気抜き孔を設け、ボイスコイル33のリード線は、第2のヨーク14とケース2に設けた空気抜き孔から後方に引き出した。磁気ギャップ16,18には、適量の磁性流体(フェローテック社製、APG−W05)を充填した。
ここで、この実施の形態の変形例を説明する。
図3に示すように、スピーカー1にバックロードホーン45を取り付けてスピーカーシステム46を形成しても良い。バックロードホーン45は、ケース2の背面2Bの空気抜き孔5,6に連通する内部空間47を有し、振動板32で発生させた低音を増幅させ、底部の開口から放出する。このスピーカーシステム46では、前記したスピーカー1の効果が得られると共に、バックロードホーン45の存在によって低音の再生特性が向上する。
図4に示すように、第1、第2の振動制御部材41,42は、その一部を径方向外側に突出させても良い。第1の振動制御部材41の拡径部分51は、振動系3が音声を再生する際の移動範囲の前面側に設けられている。第2の振動制御部材42の拡径部分52は、振動系3が音声を再生する際の移動範囲の背面側に設けられている。このため、振動系3が前面側に移動しようとしたときは、第1の振動制御部材41の拡径部分51が磁性流体20A内に進入する。これにより、磁気ギャップ18の磁性流体20Aによって振動系3に規定位置に戻るような排斥力が作用する。一方、振動系3が通常の移動範囲より背面側に移動しようとしたときは、第2の振動制御部材42の拡径部分52が磁性流体20B内に進入する。これにより、磁気ギャップ16の磁性流体20Bによって振動系3に規定位置に戻るような排斥力が作用する。
このようにして、振動系3が通常の移動範囲を越えて移動しようとすると、振動系3に常に作用する反対向きの力が、拡径部分51,52によって強められるので、振動系3が飛び出すことがなくなり、振動系3をより安定して振動させることが可能になる。なお、拡径部分51,52は、周方向に連続して設けることが好ましいが、周方向の一部のみに設けても良い。
また、図5に示すように、第1、第2の振動制御部材の周方向の少なくとも一部を波形状に成形しても良い。第1の振動制御部材55は、背面側の端部に切り欠き56が周方向に複数形成されることで全体として波形状になっている。第2の駆動制御部57は、前面側の端部に切り欠き58が周方向に複数形成されることで全体として波形状になっている。波状部分59,60は、振動系3が音声を再生する際の移動範囲にあるときに磁性流体20A,20bに浸漬される位置及び大きさに設けられている。なお、この振動制御部材55,57も磁性流体を貫通しないように配置されている。
音声再生時、波状部分59,60の先端側では、磁性流体20A,20B内に浸漬される面積及び体積が少ないので、振動系3に与えられる排斥力は小さい。これに対し、波状部分59,60の基端側では、磁性流体20A,20B内に浸漬される面積及び体積が大きいので、振動系3に与えられる排斥力が大きい。第1、第2の振動制御部材55,57において波状部分59,60は反対向きに配置されているので、移動方向がどちらの方向であっても振動系3が振動の中心から離れるにつれて排斥力が大きくなる。このため、振動系3の動作が安定する。さらに、振動系3が移動範囲を越えて移動しようとすると、波状部分59,60の基端を越えて周方向に連続する部分61,62が磁性流体20A,2
0Bに浸漬され、より大きな排斥力を発生させるので、振動系3の飛び出しが防止される。
なお、切り欠き56によって形成する形状は、波状に限定されない。例えば、鋸刃状であっても良いし、三角波形でも良い。
また、図2、図4及び図5のそれぞれに示す振動制御部材41,42,55,57は、径方向の厚さは一定であるが、初期位置から離れるにつれて厚さが徐々に増大するように形成しても良い。径方向の厚さに勾配を持たせることで、排斥力を徐々に増大させることが可能になる。このような構成の一例を図6に示す。この振動制御部材41,42は、軸線m1に対して傾斜する拡径部分54,54を設けて径方向の厚さに勾配を持たせている。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について詳細に説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構成には同じ符号を付してある。また、重複する説明は省略する。
図7に示すように、このスピーカー71は、ケース2の背面2Bの内側に、第1の磁石11のN極が取り付けられている。第1の磁石11のS極には第1のヨーク13が取り付けられている。また、ケース2の背面2Bの内側には、ポールピース15が固定されている。
これにより、このスピーカー71には、第1の磁石11のN極から、ケース2を通り、磁性流体20Aを介してフレーム17から第1のヨーク13を通って第1の磁石11のS極に戻る第1の磁気回路が形成される。また、第1の磁石11のN極からケース2、ポールピース15を通り、磁性流体20Bを介して第1のヨーク13から第1の磁石11のS極に戻る第2の磁気回路が形成される。
ここで、振動系3の構造及び磁性流体は、第1の実施の形態と同様の構成になっている。しかしながら、このスピーカー71では、第1の磁気回路と第2の磁気回路とに磁束が二分される。したがって、ボイスコイルボビン31のボイスコイル33Aに加えて、第1の振動制御部材41の外周にもボイスコイル33Bを配置して、効率良く磁気回路の磁力を利用するように構成している。なお、ボイスコイル33Bを配置せずに、ボイスコイル33Aのみを使用して音声を再生しても良い。
このスピーカー71では、アンプからの音声信号が2つのボイスコイル33A,33Bに同時に入力され、振動系3が振動させられる。第1、第2の振動制御部材41,42と磁性流体20A,20Bとが協働し、互いに向きが逆で、振動系3を駆動範囲内に戻すような排斥力を発生させることで、振動系3の移動を安定させ、高品質な音声を再生する。また、このスピーカー71は磁石が1つ済むので、小型化及び軽量化が図れる。さらに、部品点数が少ないので安価に、かつ簡単に製造できる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について詳細に説明する。なお、第1、第2の実施の形態と同じ構成には同じ符号を付してある。また、重複する説明は省略する。
図8に示すように、このスピーカー81は、ケース2の前面2Aと第1のヨーク13との間には、振動系3のみが設けられている。このため、ケース2の前面2Aの開口部4の内周部分は、第2の磁石12によってS極に帯磁され、これにより磁性流体20Aが保持される。
振動系3は、前面側に第1の振動制御部材41を有し、背面側に第2の振動制御部材42を有する。第1の振動制御部材41は、振動板3に取り付けられた端部から軸方向にケ
ース2の前面2A側に延びる円筒形状を有する。第1の振動制御部材41は、少なくとも一部が背面側から第2の方向に向けて磁性流体20A内に挿入される。なお、第1の振動制御部材41が磁性流体20Aを貫通することはない。
第2の振動制御部材42は、ボイスコイルボビン31の外周面で、ボイスコイル33より前面側の位置に固定されている。第2の振動制御部材42は、少なくとも一部が前面側、つまり第1の方向に向けて磁性流体20B内に挿入されている。第2の振動制御部材42が磁性流体20Bを貫通することはない。なお、第1、第2の振動制御部材41,42の形状及び材料は、第1の実施の形態と同様である。
このスピーカー81では、アンプからの音声信号がボイスコイル33に入力され、振動系3が振動させられる。第1、第2の振動制御部材41,42と磁性流体20A,20Bとが協働し、互いに向きが逆で、振動系3を駆動範囲内に戻すような排斥力を発生させる。より詳細には、第1の振動制御部材41が振動系3に対して背面に向う排斥力を作用させる。第2の振動制御部材42が振動系3に対して前面に向う排斥力を作用させる。このような逆向きの排斥力によって振動系3の移動が安定し、高品質な音声を再生する。第1の実施の形態のようにフレームが不要になるので、部品点数が少なく、製造が容易になる。
なお、本発明は、各実施の形態に限定されずに広く応用することができる。
例えば、スピーカー71,81において、図3に示すバックロードホーン45を取り付けてスピーカーシステム46を構築しても良い。また、図4又は図5に示すような拡径部分51,52や、振動制御部材55,57を採用しても良い。拡径部分51,52のような径方向の形状変化や、径方向の厚さの勾配、波状部分59,60のような周方向の勾配は、第1、第2の振動制御部材41,42,55,57のいずれか一方のみに設けても良い。また、第1、第2の振動制御部材41,42,55,57で異なる形状勾配や、厚さの勾配、周方向の勾配を設けても良い。
また、第1の振動制御部材41,55は、振動板32と一体に成型しても良い。
本発明の実施の形態に係るスピーカーの構成を示す断面図である。 振動系の外観を示す側面図である。 スピーカーにバックロードホーンを取り付けたスピーカーシステムの構成の概略を示す断面図である。 駆動制御部の一部を径方向に拡径させた変形例を示す図である。 駆動制御部の一部を波形にした変形例を示す図である。 駆動制御部の一部を径方向に徐々に拡径させた変形例を示す図である。 本発明の実施の形態に係るスピーカーの構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係るスピーカーの構成を示す断面図である。
符号の説明
1,71,81 スピーカー
2 ケース
3 振動系
4 開口部
5,6 空気抜き孔
11 第1の磁石
12 第2の磁石
13 第1のヨーク
14 第2のヨーク
16,18 磁気ギャップ
20A,20B 磁性流体
31 ボイスコイルボビン
32 振動板
33,33A,33B ボイスコイル
41,55 第1の振動制御部材
42,57 第2の振動制御部材
45 バックロードホーン
46 スピーカーシステム
51,52,53,54 拡径部分
56,58 切り欠き
59,60 波状部分
m1 軸線

Claims (8)

  1. 磁性材料からなるケースと磁性材料からなるフレームと磁石とヨークとポールピースを含み、前記ケースと前記フレームの間と、前記ヨークと前記ポールピースの間のそれぞれに磁気ギャップが設けられた磁気回路と、
    前記磁気ギャップのそれぞれに注入された磁性流体と、
    前記ケースに振動可能に支持される振動板と、
    前記振動板が固定され、電気信号が入力されるボイスコイルが巻装されたボイスコイルボビンと、
    前記振動板に取り付けられ、前記ケースと前記ヨークの間の磁気ギャップに保持される前記磁性流体に一部が挿入される非磁性材料からなる第1の振動制御部材と、
    前記ボイスコイルボビンに設けられ、前記ヨークと前記ポールピースの間の磁気ギャップに保持される前記磁性流体に一部が前記第1の振動制御部材と反対の方向から挿入される第2の振動制御部材と、
    を含むことを特徴とするスピーカー。
  2. 前記第1の振動制御部材は、前記振動板の振動方向に略直交する方向に突出して前記磁性流体による排斥力を増大させる部分を有し、前記第2の振動制御部材は、前記ボイスコイルボビンの振動方向に略直交する方向に突出して前記磁性流体による排斥力を増大させる部分を有することを特徴とする請求項1に記載のスピーカー。
  3. 前記第1、第2の振動制御部材は、前記振動板及びボイスコイルボビンの軸線を中心に環状に設けられると共に、排斥力を減少させる切り欠きが少なくとも1つ形成されていることを特徴とする請求項2に記載のスピーカー。
  4. 前記ボイスコイルは、前記磁性流体中に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のスピーカー。
  5. 前記磁石として、一対のヨークに挟まれた環状の第1の磁石と、前記ヨークの一方を介して前記第1の磁石と同じ極が向き合うように配置される環状の第2の磁石とを有し、
    前記ケースは、前記第1、第2の磁石及び前記ボイスコイルボビンを収容可能で、前面
    に前記振動板を隙間を有して挿入可能な開口部が設けられ、
    前記第1、第2の磁石及び前記ヨーク並びに前記ケースを含んで第1の磁気回路を形成し、前記第1の磁気回路で保持する磁性流体で前記振動板を振動可能に保持し、
    前記第1の磁石と前記ヨークを含んで第2の磁気回路を形成し、前記第2の磁気回路で保持する磁性流体で前記ボイスコイルボビンを支持するように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のスピーカー。
  6. 前記磁石として、一対のヨークに挟まれた環状の第1の磁石を有し、
    前記ケースは、前記第1の磁石及び前記ボイスコイルボビンを収容可能で、前面に前記振動板を隙間を有して挿入可能な開口部が設けられ、
    前記第1の磁石及び前記ヨーク並びに前記ケースを含んで第1の磁気回路を形成し、前記第1の磁気回路で保持する磁性流体で前記振動板を振動可能に保持し、
    前記第1の磁石と前記ヨークを含んで第2の磁気回路を形成し、前記第2の磁気回路で保持する磁性流体で前記ボイスコイルボビンを支持するように構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のスピーカー。
  7. 前記第1の振動制御部材の外周であって、前記磁性流体内に配置される部分にボイスコイルを有することを特徴とする請求項6に記載のスピーカー。
  8. 請求項5乃至請求項7のいずれか一項に記載のスピーカーと、前記スピーカーの前記ケースの背面に形成された空気抜け孔に接続され、前記振動板で発生した低音を増幅させるバックロードホーンとを有することを特徴とするスピーカーシステム。
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