JP2981360B2 - スピーカ構造 - Google Patents

スピーカ構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は反発磁気回路からなる
スピーカに係り、薄型でしかも低音用もしくは大振幅振
動用に好適なスピーカ構造に関する。
【0002】
【従来技術】従来の反発磁気回路からなるスピーカ構造
を図1および図2に示す。
【0003】車載用スピーカにおけるドアマウント用ス
ピーカは、車室スペースの拡大化に伴いドアの厚みが薄
くなり、一方ではこのドアにオートロック機構や窓の自
動開閉機構等の配置が必要となって、スピーカ用のスペ
ースは小さくなっているため、一般的にドアマウント用
のスピーカは薄型化や軽量化が強く要望されている。
【0004】音響的に見てもドア内部の容積が小さくな
ることは、振動板背面側の空間が小さくなることを意味
し、スピーカから放射される音の内特に低音再生に大き
く影響して不利になっていた。
【0005】このため、低音を増強させる対策としてス
ピーカを可能な限り薄型化して、ドア内の有効スペース
をできる限り大きくすることが必要であった。
【0006】一方、スピーカユニットの薄型化には、厚
み方向に着磁されたマグネットを同極同志対向させるこ
とにより発生する反発磁気回路構造のものが有利である
ことが、特開平1−98400等に記載されている。
【0007】この特開平1−98400によれば、図6
および図7に示されているように、ボビン141の上端
部に平面状の振動板150が固着され、更に、下端部に
も平面状の振動板152が固着されている。この振動板
152は外周部が傾斜して立上り、この端部が振動板1
50の裏面に接合されている。
【0008】図6に示された反発磁界型スピーカでは、
振動板150の外周部に配置されたエッジのコルゲーシ
ョンは振動板150から突出した構造になっている。ま
た、この図によれば、ボイスコイル140またはボビン
141の上方に振動板150やエッジ(コルゲーショ
ン)が配置されると共に、ボビン141下端部にはサス
ペンション、コイルの配線材そして入力端子171等が
配置された構造になっている。
【0009】また、図7に示す反発磁界型スピーカで
は、磁気回路を構成するマグネット131、132、1
35が三重構造になっていて、ボイスコイル140、1
43が上下2段に分割され、それぞれ振動板150、1
51が固着された構造になっているので、スピーカの厚
さが厚くなっていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のスピー
カ構造は、図6に示すスピーカの場合、ボイスコイル1
40またはボビン141上部の音の放射方向に振動板1
50やコルゲーションの収納スペースが、振動時の余裕
を含めて必要であり、更に、ボイスコイル140または
ボビン141の下部(スピーカの背面部)には振動板1
52が配置され、更にこの振動板152の下にボイスコ
イル140への配線材用の収納スペースが必要で、特に
上記配線材は振動板152や担体120等に接触しない
ようなスペースが必要であった。このため、スピーカの
厚みが厚くなっていた。
【0011】上記のような構造により、振動板150の
振幅も制限され、尚且つドア内の残存スペースが少なく
なって、同じ口径のスピーカであっても低音域等が再生
されにくく、パワー能力(耐パワー特性)も非常に低く
なっていた。
【0012】また、図7に示すスピーカの場合、マグネ
ット131、132、135が三重構造で、且つボイス
コイル140、143も上下2段構造になっているた
め、スピーカの厚みが厚くなって、スピーカ背面の容積
を減少させ、更に構造的に振動板150、151の外周
部が直接外周枠122に固定されている為に、上記図6
に示すスピーカより更に低音域が再生されにくく、パワ
ー能力も非常に低くなり、ドアマウント用のスピーカと
しては実用的価値が低い。
【0013】この発明は上記した点に鑑みてなされたも
のであり、その目的とするところは従来例の欠点を解消
し、薄型化に適し、且つ大振幅振動に耐える高性能なス
ピーカ構造を提供するところにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明に係るスピーカ
構造は、厚み方向に着磁された2つのマグネット(1
a、1b)を磁性体を介して同極側が対向するように配
置し、この磁性体の外周部に発生する磁界内にボイスコ
イル(3)を配置したスピーカ構造において、上記ボイ
スコイル(3)の垂直方向の巻幅の範囲内で振動板
(4)を漸次薄くし、この振動板(4)の外周でかつ、
前記ボイスコイル(3)の巻幅の中央部を横切る水平面
上に振動板(4)とサスペンション(5)の貼りしろ部
設けたものである。
【0015】
【0016】また、前記振動板(4)を前記ボイスコイ
ル(3)に直接接続したものである。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【作用】この発明によれば、上記の反発磁界型スピーカ
において、上記ボイスコイル3の上端から下端部の範囲
内に振動板4とこの振動板の外周部に設けられたサスペ
ンション5を配置し、放音部7a、8aを備えこのスピ
ーカの外郭部を構成するフレーム7、8によってマグネ
ット1a、1bを保持し、且つサスペンションの外周部
を保持するよう構成したので、振動板とサスペンション
が振動するスペースは、ボイスコイルの振動範囲内とな
り、スピーカは薄型にすることができる。
【0025】また、上記振動板4とボイスコイル3を接
合するネック部と、この振動板の外周部と、サスペンシ
ョン5の外周部とが、ボイスコイルの巻幅の略中央部に
位置しているので、スピーカユニットの表側と裏側が対
称となり、同形状にすることができる。
【0026】また、振動板4の断面形状を、ネック部近
傍から外周部のサスペンション5に向って漸次薄くした
ので、フレームも外周部に向って漸次薄くすることがで
きる。
【0027】また、振動板4の表面かもしくは裏面側の
内少なくとも何れか一方の面に波形形状部をボイスコイ
ル3と同心円状に設け、または絞り構造によるリブを振
動板の内周部からボイスコイル中心を基点にして放射状
に形成したので、振動板の剛性が高くなる。
【0028】また、振動板4は少なくとも2枚の振動板
を貼り合せることにより構成し、この複数の振動板の貼
り合せ部に空隙を設け、この空隙に発泡体等からなるコ
ア材4cを配置するかもしくはハニカム構造を形成した
ので、振動板の剛性は一層高くなる。
【0029】また、上記2つのフレーム7、8の形状は
同一としたので金型を共通にできる。
【0030】更に、この2つのフレームの保持部7e、
8eは内周部に設けた内側への突出部7e、8eとした
ので、この突出部によりマグネット1a、1bとプレー
ト2で構成された磁気回路を保持すると共に位置決めを
行うことができるため、専用のマグネット支持部材は不
要となりスピーカの薄型化、軽量化が図れる。
【0031】また、両フレーム7、8の放音部7a、8
aの内、少なくとも一方がパンチング孔7b、8b構造
になっているので、このパンチング孔構造により、高域
特性のよいスピーカにすることができる。
【0032】また、ボイスコイル3の入力端子11をサ
スペンション5の外周部近傍で且つフレーム7、8の全
厚さ寸法からは突出しない範囲内に配設したので、スピ
ーカの設置スペースはフレームの厚み範囲内とすること
ができる。
【0033】
【実施例】この発明に係るスピーカ構造の実施例を図1
乃至図5に基づき説明する。
【0034】図1は本発明を示す断面図である。図2は
本発明においてフレームから取り出した振動板ユニット
を示す図で(A)は正面図であり、(B)は側面図で入
力端子を示す図である。図3は本発明におけるボイスコ
イルと振動板の一部を示す斜視図である。図4は本発明
におけるフレームの放音部を示す図であり、(A)はパ
ンチング孔構造を示す図、(B)は多数の円孔を示す
図、(C)は扇形の孔を示す図である。図5は一般的な
ボイスコイルを示す断面図である。
【0035】図において、1a、1bはネオジウム材に
よるリング状をなした同形状のマグネットであり、厚み
方向に着磁され同極同志を向い合せ、この両マグネット
1a、1b間に磁性材である鉄等の軟磁性材のセンター
プレート2(以下プレート2と記す)を挟持することに
より、反発磁気回路を構成している。
【0036】この反発磁気回路の構造を詳述すると、マ
グネット1a、1bは外径29mm、内径12mm、厚さ7
mm、の寸法を有し、外径30mm、内径11mm、厚さ4mm
のプレート2を挟んで互いにN極が向い合うように接着
剤等で固着されている。この磁気回路は、フレーム7の
中心部に設けられた突出部7b(外径11.78mm 、高さ2
mm)に接着剤を塗布し、これにマグネット1aの内径部
を嵌め込むことにより、フレーム7に接着固定されてい
る。
【0037】3はボビンレスのボイスコイルであり、線
材はエッジワイズ(断面長方形)構造のアルミ材による
スリット線を使用している。このボイスコイル3は、コ
イル内径30.5mm、巻幅約5mm、直流抵抗は3.4 Ωであり
ボビンの無いコイル巻線部3bから成り、更に、ボイス
コイル3外周部に絶縁紙テープ3dを貼り、この絶縁紙
テープ3dの表面に銅箔3cを隣り合せて2枚貼り付
け、この銅箔3cにコイル線の始端部と終端部をそれぞ
れ半田付けしている。
【0038】4は振動板であり、表面部振動板4aと裏
面部振動板4b間にコア材4cとして木製で気泡が多く
て軽いバルサを所定の形状に成形し、このバルサの表面
と裏面にこのバルサの外形に合せてパルプをプレス成型
したものを貼り合せて配置することにより、剛性を高め
且つ部分共振を抑えている。断面形状は図1に示すよう
に内周部厚さ約4mmで外周に向けて漸次薄くなり上下対
称な形をしていて、外形は直径約110mm の円盤状になっ
ている。
【0039】この振動板4の厚みはボイスコイル3の幅
の範囲内となっており、且つ振動板4の内周部(ネック
部)はボイスコイル3外周部の中央部に固着している。
【0040】5はサスペンションとして作用するエッジ
であり、内周部は振動板4の外周部に接合され、外周部
は厚さ1.5mm の絶縁性ベークリング9を介してフレーム
7のフランジ7fに固定されている。
【0041】6はボイスコイル3のコイル端末部と入力
端子11を接続する線材であり、柔らかで絶縁性を有し
た織布等(エッジ部材)の上に導電材で可撓性を有した
平編錦糸線が、ボイスコイル3外周部に設けた銅箔3c
の間隔に合せて略平行に2本縫い付けられ、これを振動
板4およびエッジ5に沿った形状に熱プレス等で成型
し、トリミングの際、図2(A)に示すように、平編錦
糸線の幅より少し広く織布部をトリミングして振動板4
およびエッジ5の表面に張り合せる。また、ダイナミッ
クバランスを採るため入力端子11の無い反対側へも線
材6を張り合せる。
【0042】そして、振動板4の内周部ではこの2本の
線材6とコイル巻線部3bの始端部および終端部をそれ
ぞれ半田付けし、且つ外周部では図2(B)に示す入力
端子11である2つのラグ板に半田付けして電気的に接
続している。
【0043】振動板4とボイスコイル3を組立てる場合
は、組み立て治具(図示せず)の中にボイスコイル3を
セットし、振動板4の内周孔部をボイスコイル3外周部
に嵌め込み、コイル端末が半田付けされたボイスコイル
3外周部の2つの銅箔3cと、振動板4内周部に及んだ
平編錦糸線による2本の線材6の端部とをそれぞれ半田
付けする。更に振動板4内周部の表裏両面にはC面を取
ってあるので、このC面部に接着剤を塗布してボイスコ
イル3と振動板4を接着し、振動板として完成する。
【0044】上記の状態の振動系を磁気回路部が固着さ
れた前記フレーム7に取付け、このフレーム7の上から
フレーム7と同形状のフレーム8を取付けてスピーカと
して完成する。
【0045】このときエッジ5はフレーム7のフランジ
7fのベークリング9上に、ボイスコイル3の幅の中央
部と略同じ高さに固定される。
【0046】このようにして組立てられたスピーカは、
ボイスコイル3の中央部を含む平面上に振動系の質量が
全部集中するので、この重心位置が駆動点の基準とな
り、従来のダンパ等の内周サスペンションを設けなくて
も、エッジ5等の外周サスペンションのみで十分中心保
持能力があり、大振幅振動時におけるローリングも少な
い。
【0047】フレーム7とフレーム8は同一形状なので
同金型で安価に作製でき、且つ図4に示す放音部7a、
8aの窓の抜き形状を図4(A)(B)(C)に示す小
さい角孔や円孔で構成されたパンチング孔7b、8b構
造や円孔7b、8bまたは扇形孔7c、8cにしたり、
もしくは表裏の孔形状を異なるものに変えることによ
り、音響的なフィルター特性を変化させることができ、
特にパンチング孔7b、8b構造を適宜用いることによ
って、このスピーカの高域を所望の特性にコントロール
できる。
【0048】本発明方式の16cmスピーカでは、共振周
波数(f0 )が60HZ となって十分低域限界が低い周
波数に移動すると共に、約12.5mmの振動板ストローク
(振幅)を確保し、フレームを含むスピーカの全厚みを
20mm以内にでき、またこのように内周サスペンション
(ダンパ)の無い場合でも公称耐パワー入力50〜70
Wの範囲を確保できた。
【0049】本実施例ではボイスコイル3はボビンの無
い構造としたが、本発明はこれに限らず、図5に示すよ
うにボビン3aを設けてもよい。
【0050】本実施例では振動板4は断面形状が内周部
から外周のエッジ5に向って漸次薄くなる楔状とし、内
周部とエッジ5をボイスコイル3巻幅の中央部に固着し
たが、中央部でなくても振動板4とエッジ5の表裏がボ
イスコイル3の幅寸法内に位置していればよい。
【0051】本実施例では振動板4は内部にコア材4c
を配置したサンドイッチ構造としたが、使用目的に応じ
て振動板形状を変えてもよく、例えばコア材4cとして
ハニカム(構造)を設けてもよく、また、コア材4cが
無くとも構わないし、貼り合せる両面の表面部振動板4
aと裏面部振動板4bの形状が異ってもよい。更に、振
動板4を1枚で構成しても勿論よい。
【0052】本実施例では平編錦糸線による線材6を2
本平行に配置したが、2つのラグ端子をそれぞれボイス
コイル3の軸中心に対して対称位置に配置し、線材6を
1本としてもよい。また、必要に応じて線材6を複数本
配置してもよい。
【0053】本発明ではマグネット1a、1bを保持す
る突出部7e、8eはフレーム7、8の内側へ突出させ
たが、これをフレームの外側へ突出させ、マグネット1
a、1bの外径部を嵌め込んで保持するようにしてもよ
い。
【0054】
【発明の効果】この発明に係るスピーカ構造によれば、
次記の効果を奏する。 (1)フレーム7,8の内周部で反発磁気回路部を保持
し、且つ外周部フランジ7fで振動板4の外周部に設け
たエッジ5を保持すると共に、ボイスコイル3への配線
材6を振動板4とエッジ5上に配置しているため、ボイ
スコイル3の巻幅寸法内に振動板4とエッジ5を配置す
ると共に配線材6の処理までもすることが可能となり、
振動時にはボイスコイル3の振幅範囲内に磁気回路およ
び入力端子11等の部品を設置収納することが可能とな
って、ムービングコイル型スピーカにおいて、理論的に
最も薄型のスピーカに適した構造を提供することができ
る。 (2)上記構造の薄型スピーカは大振幅に耐え、尚且つ
耐久力パワー能力も非常に高くなる。 (3)エッジ5をコイル巻線部3bの中央部に配置する
ことにより、振動系のローリングが起こりにくい構造と
なり、薄型スピーカでありながら一層低音再生能力に優
れた構造を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスピーカ構造を示す断面図である。
【図2】本発明においてフレームを取り外した状態を示
す振動板ユニットの図であり、(A)は正面図、(B)
は要部の側面図である。
【図3】本発明におけるボイスコイルと振動板の一部を
示す斜視図である。
【図4】本発明における放音部の孔形状を示す図であ
り、(A)はパンチング孔構造の正面図、(B)は円孔
の正面図、(C)は扇形の孔の正面図である。
【図5】一般的なボイスコイルを示す断面図である。
【図6】従来例のスピーカ構造を示す断面図である。
【図7】従来の他の例のスピーカ構造を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1a、1b:マグネット 2 :プレート 3 :ボイスコイル 3a:ボビン 3b:コイル巻線部 4 :振動板 4a:表面部振動板 4b:裏面部振動板 5 :エッジ(サスペンション) 6 :線材(平編錦糸線) 7、8 :フレーム 7a、8a:放音部 7b、8b:パンチング孔 7c、8c:円孔 7d、8d:扇形の孔 7e、8e:凸部 7f、8f:フランジ 9 :ベークリング 11:入力端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H04R 9/04,9/02 H04R 7/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚み方向に着磁された2つのマグネット
    (1a、1b)を磁性体を介して同極側が対向するよう
    に配置し、この磁性体の外周部に発生する磁界内にボイ
    スコイル(3)を配置したスピーカ構造において、上記
    ボイスコイル(3)の垂直方向の巻幅の範囲内で振動板
    (4)を漸次薄くし、この振動板(4)の外周でかつ、
    前記ボイスコイル(3)の巻幅の中央部を横切る水平面
    上に振動板(4)とサスペンション(5)の貼りしろ部
    設けたことを特徴とするスピーカ構造。
  2. 【請求項2】 前記振動板(4)を前記ボイスコイル
    (3)に直接接続したことを特徴とする請求項1記載の
    スピーカ構造。
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