以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(実施形態)
(撮像装置およびカメラアクセサリの接続システム)
以下、図1〜19を参照して、本発明の実施形態について説明する。
まず、図1を用いて本発明の実施形態に係るレンズ交換方式を採用した撮像装置とカメラアクセサリとの接続例について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るカメラ本体100に対して、装着可能なカメラアクセサリの種類を例示的に説明したシステム図である。なお、本実施形態におけるカメラアクセサリとは、撮像装置に設けられたカメラマウントと結合可能なアクセサリマウントを備えた、交換レンズ、変換アダプタ、中間アクセサリなどを含む。具体的に、上述のアクセサリマウントとしては、カメラマウントにおいて光軸と略直交する円周方向に順に配された複数のカメラ爪およびカメラ凹部と係合可能な複数のアクセサリ凹部およびアクセサリ爪を備えている。そして、当該アクセサリマウントは、各マウントの爪と凹部が互いに嵌合した嵌合状態から、爪同士が光軸と平行な方向(以降は、単に光軸方向と称す)において互いに係合する係合状態へと移動可能である。なお、当該嵌合状態が後述するカメラアクセサリの装着開始状態であって、当該係合状態が後述するカメラアクセサリの装着完了状態である。
図1を参照して、カメラ本体100に接続可能なカメラアクセサリについて説明する。第1の交換レンズ200は、カメラ本体100に直接的に装着可能なカメラアクセサリの1つであって、カメラ本体100の後述するカメラマウントに直接結合できるアクセサリマウントとしてレンズマウントBを備えている。また、中間アクセサリ500は、カメラ本体100に直接的に装着可能なカメラアクセサリの1つであって、カメラ本体100に直接結合できるアクセサリマウントとしてレンズマウントBと第1の交換レンズ200に直接結合できるカメラマウントAを備える。すなわち、第1の交換レンズ200は、中間アクセサリ500を介してカメラ本体100に接続することもできる。
また、カメラ本体100には、カメラ本体100に直接的に装着可能な変換アダプタ400を間に介して、第2の交換レンズ300を間接的に装着できる。すなわち、第2の交換レンズ300に設けられたアクセサリマウントであるレンズマウントDは、カメラ本体100に設けられたカメラマウントAとは直接結合できない。そして、変換アダプタ400に設けられたカメラマウントCと第2の交換レンズ300のレンズマウントDとが直接結合(装着)可能である。
以上説明したように、カメラ本体100に対しては、第1の交換レンズ200、中間アクセサリ500を間に介した第1の交換レンズ200、変換アダプタ400を間に介した第2の交換レンズ300を装着可能である。なお、以降は、第1の交換レンズ200、及び、第2の交換レンズ300について共通する説明について、第1の交換レンズ200と第2の交換レンズ300を総称して交換レンズと称する。同様に、変換アダプタ400と中間アクセサリ500を総称してアダプタと称する。
(カメラ本体100および第1の交換レンズ200の基本構成)
次に、図2を参照してカメラ本体100と第1の交換レンズ200との基本構成について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る第1の交換レンズ200と、該第1の交換レンズ200を直接結合(着脱)できるカメラ本体100を含むカメラシステムを例示的に説明するブロック図である。図2においては、第1の交換レンズ200およびカメラ本体100に設けられたそれぞれのマウントの双方を総称してマウント部1と称す。第1の交換レンズ200およびカメラ本体100に設けられた各マウントの詳細については後述する。なお、本実施形態では、撮像装置(例えばカメラ本体100)とカメラアクセサリ(例えば第1の交換レンズ200)は互いに着脱自在である。
カメラ本体100は、デジタルカメラに代表される撮像装置である。図2に図示するように、カメラ本体100は、第1のレンズ200の内部に設けられたレンズ10によって導かれた被写体の光学像を光電変換して電気信号を出力する電荷蓄積型の固体撮像素子(以下、単に撮像センサと称す)12を有する。また、カメラ本体100は、撮像センサ12から出力されたアナログ電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換部13と、該デジタル信号に対する種々の各種画像処理を行うことで映像信号を生成する画像処理部14とを有する。画像処理部14にて生成された映像信号(静止画像や動画像)は、表示部15に表示可能、および記録媒体16に記録可能である。
また、カメラ本体100は、映像信号に対する処理を行う際のバッファとしての機能を果たすとともに、後述するカメラ制御部101が用いる動作プログラムを格納するメモリ17を有する。
また、カメラ本体100は、電源のオン/オフを行うための電源スイッチ、映像信号の記録を開始させる撮影スイッチ(レリーズスイッチ)および各種メニューの設定を行うための選択/設定スイッチ等を含むカメラ操作入力部18を有する。また、カメラ本体100は、カメラ本体100およびカメラ本体100に装着可能なカメラアクセサリの動作を統括的に制御するマイクロプロセッサ(CPU)を含むカメラ制御部101を有する。カメラ制御部101は、例えば、カメラ操作入力部18から入力された信号に基づき各種設定を行う、または、マウント部1を介して第1の交換レンズ200に備えられた第1のレンズ制御部201との通信を制御する。
一方、第1の交換レンズ200は、ズームレンズ、シフトレンズ、フォーカスレンズ等の複数のレンズ群および絞りなどの光量調節部材を備えた光学部材であるレンズ10を有する。また、第1の交換レンズ200は、当該複数のレンズ群や絞りなどの光学部材を移動または動作させるアクチュエータを備え、当該アクチュエータを駆動するレンズ駆動部11を有する。また、第1の交換レンズ200は、第1の交換レンズ200の動作を統括的に制御するレンズ用のマイクロプロセッサ(LCPU)を含む第1のレンズ制御部201を有する。第1のレンズ制御部201は、例えば、マウント部1を介してカメラ制御部101との通信を制御する、または、レンズ駆動部11を制御する。
(電気端子の基本構成)
次に、図3を参照して、カメラ本体100と第1の交換レンズ200との接続状態におけるカメラ内部構成について説明する。図3は、本発明の実施形態に係る第1のレンズ200がカメラ本体100に接続された状態の両者の内部構成を例示的に説明するブロック図である。なお、カメラマウントおよびレンズマウントは、ロック機構、マウント保持機構および複数の電気端子を含んでいる。各マウントの詳細については後述する。
図3に図示するように、マウント部1は、カメラ本体100と第1の交換レンズ200とを、互いに電気的に接続可能な複数の端子を備えている。カメラ本体100において、当該複数の端子(カメラ側端子)は、リング状のカメラマウントAにおける端子保持部に相当する接点保持部材105に設けられた複数の電気接点ピンとしてカメラ本体100の外部に露出している(図4(a))。また、第1の交換レンズ200において、当該複数の端子(アクセサリ側端子)は、リング状のレンズマウントBにおける端子保持部に相当する接点面保持部材205に設けられた複数の電気接点面として第1の交換レンズ200の外部に露出している(図4(b))。カメラ本体100側および第1の交換レンズ200側の各電気接点ピンおよび電気接点面は、カメラ本体100に第1の交換レンズ200が装着された状態で互いに対応する接点同士が電気的に接続される。
なお、本実施形態において各マウントは、後述するように、各マウントに形成された複数の端子が各マウントの光軸方向において対応する端子同士の接触位置が異なるように、光軸方向(マウントの中心軸方向)に高さが異なる段差を備えている。これらの複数の端子は単一の部品としてユニット化されたものであって、各マウントにおいてそれぞれ端子は、単一の配線部としてフレキシブルプリント基板に接続されているものとする。
図18は、本発明の実施形態に係るカメラ本体100のカメラマウントAの内部構成について例示的に説明する図である。例えば、図18に図示するように、各端子は、単一のフレキシブルプリント基板106によって電気的に接続されており、カメラ本体100の内部に設けられた内部基板(不図示)に接続されている。そして、接点保持部材105の各端子が保持される位置には、各端子が挿入可能な複数の孔部が設けられており、当該複数の孔部のそれぞれにカメラ側端子である端子1001〜1012が挿入される。この状態で、抑え板107は、各端子を光軸方向における被写体側(マウント当接面側)に抑え、ビス108a、108b、108cが抑え板107の貫通孔を挿通した状態で接点保持部材105に締結される。
なお、本実施形態では、カメラ本体100におけるカメラマウントAの単一ユニット構造について説明したが、後述する他のマウントについても、少なくとも、単一のフレキシブルプリント基板(配線)に複数の端子が電気的に接続されている点は共通する。
この構成は、例えば、各マウントの端子群を複数ユニットに分割してマウントの円周方向に点在させる場合と比較すると、各端子をまとめて、撮像センサ12の前面に設けられた露光開口から離れた位置に配することができる。したがって、例えば、カメラ本体100にカメラアクセサリが装着されている際にカメラマウント側に不要光が入射した場合に、金属部材により形成された端子によって反射された不要光が、被写体の撮影に及ぼす影響を低減することができる。また、各端子を単一のユニットとして形成することで、撮像装置およびカメラアクセサリの内部において配線が複雑化することを低減しつつ、マウント組み立て時の組立が容易となる。
以下、カメラマウントAおよびレンズマウントBの双方に共通する各端子の機能について説明する。VDD端子1001、2001は、主に通信制御に用いられる通信電力としての通信制御用電源(VDD)をカメラ本体100からカメラアクセサリ(例えば第1の交換レンズ200)に電源供給する端子である。なお、第1の交換レンズ200に対して供給する電源の電圧は5.0Vとする。
VBAT端子1002、2002は、絞りやフォーカスレンズの駆動に用いるアクチュエータの機械的な駆動部の動作に用いる駆動電力としての駆動用電源(VBAT)をカメラ側からカメラアクセサリ側に電源供給する端子である。換言すると、VBAT端子1002、2002は、前記通信電力以外の電源を供給するために用いる端子である。なお、第1の交換レンズ200に対して供給する電源の電圧は4.5Vとする。また上述したVDD端子およびVBAT端子は、カメラ本体100からカメラアクセサリに電源を供給するための電源系端子である。なお、VBAT端子に供給する電圧は、カメラ本体100に装着されるアクセサリの種類に応じて、電源回路の出力設定を変更することで変更可能な構成であってもよい。
DGND端子1012、2012は、通信制御用電源VDDに対応した接地端子(グランド端子)である。すなわち、DGND端子1012、2012は、所定の端子に対応したグランドレベル(の電圧)を示す端子である。なお、本実施形態において接地とは、グランド端子の電圧のレベルを電池などの電源の負極側と略同一のレベル(グランドレベル)にすることである。
PGND端子1004、2004は、カメラ本体100とカメラアクセサリ(例えば第1の交換レンズ200)側に設けられたモータ(アクチュエータ)等を含む機械的な駆動系の端子に対応するグラウンドレベルを示す端子である。すなわち、PGND端子は、駆動用電源VBATに対応した接地端子(グランド端子)である。以上説明したDGND端子およびPGND端子は、カメラ本体100とカメラアクセサリの各種電源系とをグランドレベルに接地するためのグランド端子である。
MIF端子1005、2005は、カメラ本体100にカメラアクセサリ(例えば第1の交換レンズ200)が装着されたことを検出する端子である。カメラ制御部101は、MIF端子が示す電圧のレベルを検出することで、カメラ本体100にカメラアクセサリが装着されたことや離脱されたことを検出する。そして、カメラ制御部101は、当該検出により、例えばカメラアクセサリの装着を検出した後に、電源系端子への電源供給を開始し、カメラ本体100とカメラアクセサリ間での通信を開始するように制御する。
TYPE端子1003、2003は、カメラ本体100に装着されたカメラアクセサリ(例えば第1の交換レンズ200)の種類を判別するための端子である。カメラ制御部101は、TYPE端子が示す信号の電圧の値を検出し、その値に基づいて、カメラ本体100に装着されたカメラアクセサリの種類を判別する。なお、第1の交換レンズ200では、TYPE端子は後述する所定の抵抗値でDGND端子にプルダウン接続される。なお、前記抵抗値はカメラアクセサリの種類に応じて異なる。
次に、カメラ本体100とカメラアクセサリとの間における各種通信用の端子について説明する。なお、マウント部1に設けられた複数の通信端子は、複数の通信系(グループ)に分かれており、各通信系は独立して通信を行うことが可能である。本実施形態では、LCLK端子1008、2008、DCL端子1006、2006、DLC端子1007、2007は、第1の通信を行う第1通信部とする。また、DLC2端子1009、2009は、第1の通信部とは独立した第2の通信を行う第2通信部とする。さらに、CS端子1011、2011、DCA端子1010、2010は、第1、第2の通信部とは独立した第3の通信を行う第3通信部とする。本実施形態では、カメラ制御部101と第1のレンズ制御部201は、上述した複数の通信用端子を介して、それぞれ第1〜3のそれぞれ独立した通信を行うことができる。
LCLK端子1008、2008は、第1通信部の端子であり、カメラ本体100からカメラアクセサリに出力される通信のクロック信号用の端子、および、アクセサリのビジー状態をカメラ本体100が監視するための端子である。
DCL端子1006、2006は、第1通信部の端子であり、カメラ本体100とカメラアクセサリとの双方向の通信を行うための通信データ用の端子である。
DLC端子1007、2007は、第1通信部の端子であり、カメラアクセサリ(例えば第1の交換レンズ200)からカメラ本体100へと出力される通信データ用の端子である。
上述した第1通信部に対応するLCLK端子、DCL端子、DLC端子は、信号の出力方式を所謂CMOS出力タイプとオープンタイプに切り替えることができる。なお、本実施形態におけるCMOS出力タイプとしては、電圧が示すH(High)とL(Low)の双方にスイッチ出力を有するものである。これに対して、オープンタイプとしては、L側のみにスイッチ出力を有するものである。なお、本実施形態におけるオープンタイプは所謂オープンドレインタイプを示すが、オープンコレクタタイプであってもよい。
DLC2端子1009、2009は、第2通信部の端子であり、カメラアクセサリ(例えば第1の交換レンズ200)からカメラ本体100へと出力される通信データ用の端子である。
DCA端子1010、2010は、第3通信部の端子であり、カメラ本体100とカメラアクセサリ(例えば第1の交換レンズ200)との双方向の通信を行うための通信データ用の端子である。
CS端子1011、2011は、第3通信部の端子であり、カメラ本体100とカメラアクセサリ(例えば、第1の交換レンズ200)との通信要求用の信号端子である。なお、本実施形態において、カメラ本体100に第1の交換レンズ200が装着された場合に、第1〜第3通信部に対応する端子における通信電圧を3.0Vとする。
(マウント部1の構造)
次に、図4、5を参照して、カメラマウントAおよびレンズマウントBを含めた、マウント部1の構造について説明する。図4は、本発明の実施形態に係るカメラマウントAおよびレンズマウントBの構成を例示的に説明する図である。図4(a)は、カメラ本体100に設けられたカメラマウントAの正面図、図4(b)は、第1の交換レンズ200に設けられたレンズマウントBの正面図を示す。図5は、本発明の実施形態に係るカメラマウントAとレンズマウントBとの相対的な回転による各端子同士の接続状態を例示的に説明する図である。図5(a)は、カメラマウントAとレンズマウントBとの装着開始状態、図5(b)はカメラマウントAとレンズマウントBとの装着遷移状態、図5(c)はカメラマウントAとレンズマウントBとの装着完了状態を示す。なお、図5の各図は、カメラマウントAおよびレンズマウントBの光軸と直交する方向から各マウントに設けられた端子を見た状態を示している。ここで、上述した光軸は、カメラマウントAおよびレンズマウントBの開口部分の中心を通る中心軸と平行である。
なお、図5(a)に図示する状態は、カメラマウントAに設けられた複数の爪がレンズマウントBに設けられた複数の凹部に挿入され、カメラマウントAに設けられた複数の凹部にレンズマウントBに設けられた複数の爪が挿入された状態である。この状態からレンズの装着方向へとカメラマウントAとレンズマウントBとを相対的に回転させることで、図5(c)に図示するような、両マウントに設けられた互いに対応する端子同士が接続された状態へと遷移する。ここで、レンズ装着方向は、カメラマウントA(およびレンズマウントB)の中心軸と直交する方向であって、本実施形態では、カメラマウントA側を基準にした交換レンズの装着方向を示している。なお、(交換レンズの)光軸とマウント中心軸が一致する場合は、レンズ装着方向と光軸とが互いに直交する。そして、図5(c)に図示する状態では、カメラマウントAとレンズマウントBの相対的な回転は、各マウントに設けられた回転規制部材であるロック機構(不図示)により、相対的な回転が規制される。
なお、図19は、本発明の実施形態に係るカメラ本体100と第1の交換レンズ200の外観斜視図を例示的に説明する図である。図19(a)は、カメラ本体100に第1の交換レンズ200が装着されている状態を示し、図19(b)は、カメラ本体100から第1の交換レンズ200が取り外された状態を示している。
図19の各図に図示するように、カメラ本体100と第1の交換レンズ200は、それぞれ光軸に対して直交する方向に平行な当接面を備えたカメラマウントAとレンズマウントBを有している。このカメラマウントAとレンズマウントBの基準面同士が互いに接触した状態で、前述した装着開始位置から装着完了位置へとカメラ本体100および第1の交換レンズ200を相対的に回転することができる。
また、図5(b)に図示する状態は、前述したカメラマウントAとレンズマウントBの装着開始状態から装着完了状態の間において、PGND端子同士のみが、他の対応する端子同士よりも先に接続を開始した状態である。この詳細については後述する。
ここで、本実施形態では、カメラマウントに備えられた電気端子を接点ピン、レンズマウントに備えられた電気端子を接点面(または接片)と称して以降の説明をする。なお、カメラマウントに備られた端子を接点面とし、レンズマウントに備えられた端子を接点ピンとする構成であってもよい。
本実施形態のマウント部1は、図4、図5の各図に図示するように、光軸方向に段差が付いた2段構成のマウントとなっている。図5(a)に図示するように、カメラ本体100のカメラマウントAにおいては、被写体側に突出した段をカメラマウント上段(第2の段)、撮像素子側の段をカメラマウント下段(第1の段)と称する。すなわち、カメラマウント上段の方がカメラマウント下段よりも、光軸方向にいて被写体側(またはカメラアクセサリ側)に突出している。
また、図5(b)に図示するように、第1の交換レンズ200のレンズマウントBにおいては、被写体側に窪んだ段をレンズマウント下段(第2の段)、カメラマウントに装着された際に撮像素子側に突出した段をレンズマウント上段(第1の段)と称する。すなわち、カメラマウントにレンズマウントが装着された状態で、レンズマウント上段の方がレンズマウント下段よりも、光軸方向にいて撮像装置側に突出している。なお、カメラマウント上段の端子はレンズマウント下段の端子のみと接触可能であって、カメラマウント下段の端子はレンズマウント上段の端子とのみ接触するような構造となっている。また、カメラマウントAにおいては、レンズマウントBとの相対的な回転方向(アクセサリの装着方向)の手前側にカメラマウント下段が位置し、奥側にカメラマウント上段が位置する。また、レンズマウントBにおいては、カメラマウントAとの相対的な回転方向の手前側にレンズマウント上段が位置し、奥側にレンズマウント下段が位置する。
なお、本実施形態では、電気的な接続に用いる端子が配設される位置(マウントの中心軸と平行な方向における)を異ならせるために、カメラマウントAおよびレンズマウントBの双方に段差を設ける構成であるが、これに限定するものではない。各マウントにおいて、端子が配される位置を異ならせる構成であれば、どのようなものを採用してもよい。例えば、マウントの中心軸と平行な方向に、端子が配される位置を連続的に異ならせるような傾斜を設ける、あるいは、マウントの中心軸と平行な方向に突設する端子自体の突出量を異ならせる構成であってもよい。
また、図5(c)に示す通り、レンズマウントBは、レンズマウントBおよびカメラマウントAのそれぞれに設けられた各端子同士が摺動し接触しながら、カメラマウントAに対して相対的に回転(図中の右方向)に移動する。そして、例えば、カメラ本体100と第1の交換レンズ200との装着が完了した状態で、カメラマウントAの各接点ピンと対になる(対応する)レンズマウントBの各接点面とがそれぞれ独立して電気的に接続される。なお、以降は、説明を簡単化するため、カメラマウントAおよびレンズマウントBにおいて電気的に対となる(対応する)端子同士が電気的に導通することを接続と称し、電気的に対とならない(対応しない)端子同士が電気的に導通することを接触と称する。
なお、本実施形態では、カメラマウントA側に設けられた複数の爪群およびレンズマウントB側はそれぞれバヨネット爪であって、所謂バヨネット結合方式により光軸方向において爪群同士が係合することで、両者の装着(結合)が完了する。
以下、本実施形態に係るマウント部1の各端子の並び順について説明する。なお、本実施形体においてレンズ(アクセサリ)装着方向とは、カメラマウントAを基準としたレンズマウントBの相対的な回転(装着)方向とする。したがって、アクセサリの装着方向を基準とした場合、カメラマウントAに設けられた端子のうち、最後にレンズマウントBに設けられた端子と接触する端子(VDD端子)が位置する側がレンズ装着方向の奥側、その反対側が手前側となる。そして、レンズマウントBに設けられた端子のうち、最初にカメラマウントAに設けられた端子と接触する端子(VDD端子)が位置する側がレンズ装着方向の奥側、その反対側が手前側である。図5(a)に図示するように、カメラマウント上段には、レンズ装着方向の奥側(終端)から順に、VDD端子1001、VBAT端子1002、TYPE端子1003、PGND端子1004が配置される。なお、レンズ装着方向の奥側とは、カメラ本体100に第1の交換レンズ200を装着する際に、最後にレンズ側の端子と接触する端子が位置する側である。
カメラマウント下段には、レンズ装着方向の奥側から順に、MIF端子1005、DCL端子1006、DLC端子1007、LCLK端子1008、DLC2端子1009、DCA端子1010、CS端子1011、DGND端子1012が配置される。
同様に、レンズマウント下段には、レンズ装着方向の奥側から順に、VDD端子2001、VBAT端子2002、TYPE端子2003、PGND端子2004が配置される。レンズマウント上段には、レンズ装着方向の奥側から順に、MIF端子2005、DCL端子2006、DLC端子2007、LCLK端子2008、DLC2端子2009、DCA端子2010、CS端子2011、DGND端子2012が配置される。
すなわち、カメラマウント上段、及び、レンズマウント下段には、それぞれ4つの端子が配され、カメラマウント下段、及び、レンズマウント上段にはそれぞれ8つの端子が配されている。そして、カメラマウント上段とレンズマウント下段の方が、カメラマウント下段とレンズマウント上段よりも端子(露出している接点)の数が少なく構成されている。
バヨネット結合方式のように、カメラマウントとレンズマウントとを相対的に回転させて、撮像装置とカメラアクセサリとの着脱を行う場合、着脱の際に各マウントに設けられている端子同士が摺動する。一般的に、光軸方向における同一面では、カメラマウント側では、レンズ装着方向の最も奥側に存在する接点ピンについては、撮像装置へのカメラアクセサリの着脱の際に、対応しないアクセサリ側の接点面と摺動することはない。また、光軸方向の同一面において、レンズマウント側では、レンズ装着方向の最も手前側に存在する接点面については、撮像装置へのカメラアクセサリの着脱の際に、対応しないカメラ側の接点ピンと摺動することはない。すなわち、カメラマウントにおいて、他の接点ピン(端子)よりも奥に存在する接点ピン(端子)は、レンズマウントに設けられた接点面(端子)のうち、撮像装置へのカメラアクセサリの装着した状態で互いに接触する接点面以外の接点面とは慴動(接触)しない。また、レンズマウントにおいて、他の接点面(端子)よりも手前に存在する接点面(端子)は、カメラマウントに設けられた接点ピン(端子)のうち、撮像装置へのカメラアクセサリの装着した状態で互いに接触する接点ピン以外の接点ピンとは慴動(接触)しない。
しかしながら、これらの端子以外の他の端子については、カメラマウントに対するレンズマウントの着脱回数が増えるほど、端子が摩耗してしまう。特に、カメラマウントの端子(接点ピン)は、光軸と平行な方向に進退(突出および引き込み)が可能な可動式のピンであって、レンズマウントの端子(接点面)に対して先端の1点で摺動するので、摺動に対する接点ピンの耐久性を向上させる必要がある。
上述した問題は、光軸と直交する同一面において一列に配された端子の数が増えるほど顕著であり、接点ピンと接点面の摺動回数は増加する。そして、接点ピンおよび接点面の摩耗により、端子の接触インピーダンスが上昇するため電圧降下が大きくなり、電気回路の動作許容電圧範囲を下回ることで、例えば交換レンズの誤動作が発生する虞がある。
そこで、本実施形態では、端子同士の摺動回数を低減するために、光軸方向において端子が保持される位置を上段および下段の2段に異ならせ、上段および下段側でカメラ側の接点ピンと交換レンズ側の接点面との接触高さを異ならせる。この構成により、端子を保持する段ごとに、端子同士の摩耗を低減することができる。
さらに、本実施形態では、マウントの上段と下段とで保持する端子数をそれぞれ異ならせているため、例えば、複数の端子の中で重要度が高い端子を、端子数が少ない側に配することで、重要な端子の摩耗を低減することができる。具体的に、端子数の少ないカメラマウント上段およびレンズマウント下段に、接触インピーダンスの上昇を極力抑えたい信号の端子である電源系端子(VDD端子、VBAT端子、PGND端子)を配置する。一方、カメラマウント下段、及び、レンズマウント上段には、インピーダンス上昇による影響を受けにくい(電源系端子と比較して)、主に通信を行うための端子が配置される。この構成により、アクセサリに対して安定した電源供給が可能であって、カメラアクセサリの各動作(例えばフォーカス制御など)を安定化させることに寄与する。
なお、カメラマウントAにおけるDGND端子1012は、カメラマウント下段に位置し、且つ、レンズ装着方向の最も手前側(始端)に配されているため、カメラ側における接点ピンの摺動による耐久性に関して最も不利な場所に位置する。しかしながら、カメラアクセサリに設けられた電気回路や素子を静電気などから守ることを目的とし、DGND端子は、カメラマウントに形成された金属部分を物理的にグランド接続される必要がある。本実施形態においてDGND端子は、上記の理由による加工を容易とするために、DGND端子をレンズ装着方向の最も手前側に配置する。
また、本実施形態では、DGND端子の方がPGND端子よりも端子に流す電流値のレベルが小さいシステムを想定している。したがって、本実施形態では、端子に流す電流値のレベルが大きいPGND端子を、配する端子数が少なく接触インピーダンスの上昇を低減するのに有利なカメラマウント上段(レンズマウント下段)に配する。
次に、本実施形態のカメラマウントAでは、カメラマウント上段のレンズ装着方向の奥側から見て1番目と2番目に2つの電源系の接点ピン(VDD端子1001、VBAT端子1002を配する。また、本実施形態のカメラマウントAでは、TYPE端子1003が、電源系端子に隣接して配されている。さらに、本実施形態のレンズマウントBでは、レンズマウント下段におけるレンズ装着方向の奥側から見て1番目と2番目に2つの電源系接点面(VDD端子2001、VBAT端子2002)が配されている。また、本実施形態のレンズマウントBでは、TYPE端子2003が、電源系端子に隣接して配されている。なお、上述した端子同士の隣接している状態は、マウントにおいて各端子が隣り合っている状態を示す。
上述した構成により、本実施形態のマウント部1においては、電源系の2端子(VDD端子とVBAT端子)とPGND端子とが互いに隣接しない。したがって、電源系の2端子とPGND端子との端子間でのショート(短絡)を低減し、当該ショートによるカメラ側に設けられた電源回路の誤動作や故障を防止することができる。
なお、VBAT端子1002とPGND端子1004との間に配置されたTYPE端子1003は、TYPE端子1003の信号ラインに保護素子を備えることで、カメラ本体100の電気回路を保護することが可能である。
ここで、TYPE端子以外の端子も、TYPE端子1003と同様に保護素子を信号ラインに付加すれば、TYPE端子と同様の対策が可能ではある。しかしながら、前述したように、DCL端子、DLC端子、LCLK端子、DLC2端子、DCA端子、CS端子は、それぞれ通信用の端子であるため、保護素子を付加することで配線容量が増加してしまう。この場合、配線容量の増加に伴い通信波形の立上がりや立下りの応答性が乱れるなど、通信に影響を与えることがあるため、通信用の端子にはできるだけ保護素子を設けない構成が望ましい。
これに対して、本実施形態のマウント部1において、TYPE端子1003は信号電圧が一定であり、例えば、カメラ本体100に第1の交換レンズ200が装着されている間はこの信号値は変化しない。したがって、本実施形態のマウント部1のように、TYPE端子1003に保護素子などを付加したとしても、カメラ本体100および第1の交換レンズ200が実行する動作に与える影響は少ない。
なお、MIF端子1005についてもTYPE端子1003と同様に、信号電圧が一定であるため、TYPE端子1003と同様に保護素子を備える構成であってもよい。しかしながら、本実施形態のマウント部1では、MIF端子1005は電源系端子の隣には配置しない。この理由については後述する。
次に、図5(c)に図示するように、カメラマウントAおよびレンズマウントBでは、VDD端子とVBAT端子との端子間のピッチW2(距離)が基本ピッチW1よりも広くなるように構成されている(W2>W1)。また、カメラマウントAおよびレンズマウントBでは、MIF端子とPGND端子とは各マウントの光軸方向の異なる段に保持されており、端子間のピッチW3は基本ピッチW1およびピッチW2よりも広くなるように構成されている(W3>W2>W1)。なお、端子間のピッチとは、本実施形態においては、レンズマウントBの装着方向(回転方向)における各端子(接点ピンおよび接点面)の中心間(中心線間)の距離とするが、端子に設けられた導通部分間(金属領域間)の距離としてもよい。また、カメラマウントAにレンズマントBが装着された場合、隣接する端子同士において、対応する接点ピンと接点面との接触箇所(接続点)の間の距離を端子間のピッチとしてもよい。
なお、本実施形態では、レンズマウントBの円周方向における、VDD端子2001とVBAT端子2002の接点面の幅が後述する基本幅である場合について説明したがこれに限定されるものではない。例えば、VDD端子2001とVBAT端子2002の接点面の幅を基本幅より広い、または、基本幅より狭い構成であってもよい。この場合、基本幅に対するVDD端子2001とVBAT端子2002の幅の差異を考慮して、VDD端子とVBAT端子間のピッチを設定する必要がある。例えば、VDD端子2001とVBAT端子2002の幅がレンズ離脱方向に向けて基本幅よりも広い場合、VDD端子とVBAT端子のピッチを、前述した基本幅に対する差分の分だけ広げる必要がある。
上述した基本ピッチとしては、カメラ本体100の製造および組み立てに係るガタと公差を考慮して設定された端子同士の距離である。なお、基本ピッチが設定されたカメラマウントA側の接点ピンは、折れ曲がり等の変形や導電性の異物などが端子間に存在しない限り、後述する基本幅が設定されたレンズマウントB側の1つの接点面と複数の接点ピンとが同時に接触しない構成である。したがって、カメラマウントA側の接点ピンが、レンズマウントB側の接点面の2箇所以上と接触することで、隣接する端子同士がショートすることを防止することができる。以降の説明では、特記無き接点ピンの隣接する端子とのピッチは基本ピッチが設定されているものとする。
また、上述した基本幅とは、カメラアクセサリの製造および組み立てに係るガタと公差を考慮して設定されたレンズマウントB側の接点面の幅とする。なお、接点面の幅とは、レンズマウントBの装着方向(回転方向)における各接点面の幅である。前述したように、カメラマウントA側で基本ピッチが設定された複数の接点ピン同士が、基本幅が設定された1つの接点面と同時に接触することはない。そして、基本幅が設定されたレンズマウントB側の接点面は、カメラ側の接点ピンの変形や導電性の異物などが接点ピン間に存在しない限り、カメラアクセサリの装着状態において、撮像装置側の接点ピンがカメラアクセサリ側の接点面から脱落することはない。以降の説明では、特記無き接点面の幅は基本幅が設定されているものとする。
また、本実施形態のカメラ側のVDD端子1001とVBAT端子1002の端子間ピッチを、ユニットの小型化と電源の安全性とを考慮して、基本幅が設定されたアクセサリ側のVDD端子2001及びVBAT端子2002の幅より約3°広く設定する。この構成により、カメラ側のVDD端子やVBAT端子の変形や当該端子間に導電性の異物が存在する場合であっても、アクセサリ側のVDD端子と上述した2つの端子が同時に接触状態となることを低減できるので、隣接する端子間のショートを低減できる。
なお、本実施形態では、カメラマウントAの円周方向において、VDD端子1001とVBAT端子1002の端子間ピッチを基本ピッチに対して3°広げる場合について説明したが、これに限定されるものではない。本実施形態としては、少なくとも、カメラマウントAとレンズマウントBとの相対的な回転方向において端子間のピッチを広げる構成であればよい。
次に、本実施形態のマウント部1では、カメラマウント上段におけるレンズ装着方向の最も手前側にPGND端子1004が配され、レンズマウント下段におけるレンズ装着方向の最も手前側にPGND端子2004が配されている。
また、レンズマウントBにおけるPGND端子2004は、前述した基本幅よりも幅が広い接点面であって、レンズマウントBに設けられた複数の端子の中で、接点面の幅が最も広い端子である。なお、本実施形態では、上述した接点面の幅は、対応する端子同士の電気的に接続される箇所(接続点)を基準として、カメラマウントAにレンズマウントBの装着を解除する方向(離脱方向)に向けた接点面の幅とする。この離脱方向は、レンズマウントBの装着方向における手前側と同義である。なお、接点面の幅を、単にマウントの円周方向における接点面の中心を基準として、カメラマウントAにレンズマウントBの装着を解除する方向(離脱方向)に向けた接点面の幅とする構成であってもよい。
この構成により、PGND端子2004は、カメラ本体100に第1の交換レンズ200が装着される際に、全ての端子の中で対応する端子と最初に電気的に接続される端子である。また、PGND端子2004は、カメラ本体100に第1への交換レンズ200の装着が解除(離脱)される際に、全ての端子の中で対応する端子と最後に電気的な接続が解除される端子である。
例えば、PGND端子が電源系の端子(VDD端子、VBAT端子)よりもレンズ装着方向の奥側に配されている場合を想定する。この場合、例えば、カメラ本体100から第1の交換レンズ200を離脱させる際に、レンズマウントのPGND端子がカメラマウントの電源系端子と摺動してしまう場合がある。この場合、第1の交換レンズ200を離脱方向へと回転させる速さによっては、レンズマウントのPGND端子がカメラマウントの電源系端子と瞬間的に接触してしまう。したがって、上記の問題により、電源系端子に接続された後述するカメラ本体100のカメラ電源部103の出力がショートしてしまい、電源供給に係る誤動作や電源制御における誤動作が生じる虞がある。
また、例えばPGND端子が他の端子より先にレンズマウント側の接点面との接続が解除される構成を想定する。この場合、特にカメラマウントA側とレンズマウントB側の電源系の端子同士の接続が解除されておらず、カメラ本体100からの電源供給が維持された状態でPGND端子同士の接続が解除されてしまうと、両機器において誤動作や不具合が生じる虞がある。
上述した問題に対して、本実施形態のマウント部1は、カメラ本体100に対して第1の交換レンズ200を着脱時に、レンズマウントBのPGND端子2004がカメラマウントAのPGND端子1004を除く他の端子の何れとも摺動しない(接触しない)。この構成により、カメラマウントAの電源系端子(VDD端子、VBAT端子)が瞬間的にレンズマウントBのPGND端子2004と接触しないため、両端子がショートすることを低減することができる。
また、本実施形態のマウント部1において、前述した全端子の中で、両マウントにおけるPGND端子同士は、カメラ側に対してカメラアクセサリを装着する際は最初に接続され、離脱する際は最後に接続が解除される。換言すると、カメラ側からカメラアクセサリを取り外す(離脱する)際は、マウント部1において、PGND端子を除く他の対応する端子同士の接続が解除されるまで、PGND端子はカメラ側マウントとレンズ側マウントとの端子同士で接続状態を維持する。この構成により、カメラマウントAおよびレンズマウントBにおいて、電源供給が維持された状態でPGND端子同士の接続が解除された所謂グランドのフローティングを回避し、両機器における誤動作や不具合を低減することができる。
なお、図5(c)に図示するように、カメラマウントAおよびレンズマウントBにおいて、PGND端子1004と隣接するTYPE端子1003との端子間のピッチは、前述した基本ピッチよりも広い(W2>W1)。具体的には、基本ピッチに対して、PGND端子2004のレンズマウントBの装着を解除する方向(離脱方向)に向けた接点面の幅を広くした分と略同じ分だけ、PGND端子1004とTYPE端子1003との端子間のピッチを広くする。この構成により、レンズマウントBのPGND端子2004を基本幅よりも広くしたことに起因した、PGND端子2004とPGND端子1004およびTYPE端子1003が同時に接触することを低減し、隣接端子同士のショートを低減できる。
次に、図5の各図に図示するように、本実施形態のマウント部1において、カメラマウント下段におけるレンズ装着方向の最も奥側にMIF端子1005が配され、レンズマウント上段におけるレンズ装着方向の最も奥側にMIF端子2005を配する。この構成により、カメラマウントA側に対するレンズマウントBの装着状態を検出する端子であって、カメラ、カメラアクセサリ間の通信を開始および終了する上でのトリガーとなる重要な端子であるMIF端子の摩耗を低減することができる。
さらに、レンズマウントBのMIF端子2005は、レンズマウントのBの相対回転方向において、前述した基本幅を備えた接点面よりも接点面の幅を狭くする。具体的に、本実施形態のレンズマウントBでは、製造および組み立てに係るガタや公差を考慮した場合であっても上述した端子同士の接続順が守られるように、MIF端子2005の幅を基本幅よりも約1°狭く(短く)する。この構成により、MIF端子同士は、カメラ側に対してカメラアクセサリを装着し際は、マウント部1が備える前述した全ての端子の中で最後に接続され、離脱する際は最初に接続が解除される。
したがって、本実施形態のマウント部1においては、カメラマウントAに対してレンズマウントBを完全に装着されていない状態で、カメラ側においてカメラアクセサリの装着が誤検出されることがない。この構成により、例えば、電源系の端子同士の接続がされていない状態においてカメラアクセサリの装着が誤検出されることを抑制し、カメラ側からカメラアクセサリ側に対する電源供給前におけるカメラの誤動作を低減することができる。
次に、図5の各図に図示するように、本実施形態のカメラマウントAにおいては、カメラマウント下段におけるレンズ装着方向の最も手前側にDGND端子1012が配され、DGND端子1012に隣接するようにCS端子1011が配される。また、本実施形態のレンズマウントBにおいては、レンズマウント上段におけるレンズ装着方向の最も手前側にDGND端子2012が配され、DGND端子2012に隣接するようにCS端子2011が配される。なお、CS端子の配置の詳細は後述する。また、前述したように、DGND端子は、マウントの金属部分を物理的にグランドへと接続するための加工の容易性を考慮して、レンズ装着方向の最も手前側に配される。
次に、図5の各図に図示するように、本実施形態のマウント部1においては、MIF端子に隣接して、第1通信部の端子群(LCLK端子、DCL端子、DLC端子)が配されている。また、本実施形態のマウント部1においては、第2、第3の通信部の端子群よりも、レンズ装着方向の奥側に第1の通信部に対応する端子群を配されている。
この構成により、カメラマウント下段およびレンズマウント上段においては、MIF端子1005の次に第1の通信部に対応する端子の摩耗を低減することができる。そして、上述した構成により、カメラ側およびレンズ側との間で実行される通信の中で特に重要な第1の通信を行う第1の通信部に対応する端子群の摩耗を、他の通信端子よりも低減することができる。
次に、図5の各図に図示するように、本実施形態のマウント部1においては、カメラマウント下段の第1通信部に対応する端子群に隣接するようにDLC2端子1009が配されている。また、本実施形態のマウント部1においては、レンズマウント上段の第1通信部に対応する端子群の隣接するようにDLC2端子2009が配されている。この詳細については後述する。
(変換アダプタ400の構成)
次に、図6を参照して、カメラ本体100に変換アダプタ400を介して第2の交換レンズ300を装着する場合について説明する。図6は、本実施形態に係るカメラ本体100に変換アダプタ400を介して第2の交換レンズ300を装着した状態を例示的に説明するブロック図である。なお、図6に図示するように変換アダプタ400と第2の交換レンズ300の各マウントを総称してマウント部2と称す。
変換アダプタ400は、前述した第1の交換レンズ200と同一のレンズマウントBを、カメラ本体100が結合される側に備えている。また、変換アダプタ400は、レンズマウントBとは反対側に、第2の交換レンズ300に設けられたレンズマウントDに対応するカメラマウントCを備えている。図7は、本発明の実施形態に係るカメラマウントCとレンズマウントDを例示的に説明する図である。図7(a)は、変換アダプタ400に設けられたカメラマウントCの正面図、図7(b)は、第2の交換レンズ300に設けられたレンズマウントDの正面図を示す。なお、カメラマウントCおよびレンズマウントDが備える各端子の詳細については後述する。
変換アダプタ400は、ユーザによる操作入力が可能なアダプタ操作入力部402と、変換アダプタ400用のアダプタ電源部403、変換アダプタ400の動作を統括的に制御するCPUを備えたアダプタ制御部401とを備えたカメラアクセサリである。アダプタ制御部401は、例えば、マウント部1を介してアダプタ制御部401とカメラ制御部101との通信を制御する、あるいは、アダプタ操作入力部402への操作入力を受け付ける。なお、本実施形態において、変換アダプタ400は、例えば、カメラ本体100に対応しないフランジバック長の交換レンズである第2の交換レンズ300をカメラ本体100に間接的に装着するために用いる。
一方、第2の交換レンズ300は、不図示のフォーカスレンズ、ズームレンズ、絞りおよび防振レンズなどの光学部材を有するレンズ19と、レンズ19の内部に設けられた構造物(例えば、各光学部材)を移動または動作させるアクチュエータを駆動するレンズ駆動部20を備える。また、第2の交換レンズ300は、マウント部1およびマウント部2を介して、第2のレンズ制御部301とカメラ制御部101との通信を制御する、または、レンズ駆動部20を駆動するための制御を行うCPUを備えた第2のレンズ制御部301を有する。
次に、図8を用いて、カメラ本体100と第2の交換レンズ300との変換アダプタ400を介した接続構成について説明する。図8は、本発明の実施形態に係るカメラ本体100に変換アダプタ400を介して第2の交換レンズ300を装着した場合の各マウント同士の接続状態について例示的に説明する図である。マウント部1における各端子の構成は、前述した通りなので説明は省略する。なお、本実施形態では、変換アダプタ400の第2の交換レンズ300側(カメラマウントC側)にDLC2端子が備えられていることを必須としない。
図8に図示するように、マウント部2は、変換アダプタ400と第2の交換レンズ300とを、互いに電気的に接続可能な複数の端子を備えている。当該複数の端子は、カメラマウントCにおいては、端子保持部に相当する接点保持部材405に設けられた複数の電気接点ピンとして変換アダプタ400の外部に露出している。また、当該複数の端子は、レンズマウントDにおいては、端子保持部に相当する接点面保持部材305に設けられた複数の電気接点面として第2の交換レンズ300の外部に露出している。上述した各接点ピンおよび接点面は、カメラ本体100に装着された変換アダプタ400に第2の交換レンズ300が装着された状態で、互いに対応する接点同士が電気的に接続される。
以下、カメラマウントCおよびレンズマウントDの双方に共通する各端子の機能について説明する。VDD端子3001、4001は、主に通信制御に用いられる通信電力としての通信制御用電源(VDD)をカメラ本体100から第2の交換レンズ300、変換アダプタ400に電源供給する端子である。なお、カメラ本体100から、各カメラアクセサリに対して供給する電源の電圧は5.0Vとする。
VBAT端子3002、4002は、主にモータ等のアクチュエータを含む機械的な駆動部の動作に用いる駆動電力としての駆動用電源(VBAT)をカメラ本体100から第2の交換レンズ300に電源供給する端子である。なお、カメラ本体100から、各カメラアクセサリに対して供給する電源の電圧は4.5Vとする。なお、上述したVDD端子およびVBAT端子は、カメラ本体100からカメラアクセサリに電源を供給するための電源系端子である。
DGND端子3012、4012は、通信制御用電源VDDに対応したグランド(接地端子(GND端子)である。このDGND端子3012、4012は、変換アダプタ400の内部に設けられた回路に対しても、グランド接続する構成である。
PGND端子3004、4004は、カメラ本体100と第2の交換レンズ300に設けられたモータ(アクチュエータ)等を含む機械的な駆動系とをグラウンドに接続する接地(グランド)端子である。すなわち、PGND端子は、駆動用電源VBATに対応した接地端子(GND端子)である。
MIF端子3005、4005は、カメラ本体100に第2の交換レンズ300が装着されたことを検出する端子である。カメラ制御部101は、MIF端子が示す電圧のレベルを検出することで、カメラ本体100にカメラアクセサリが装着されたことや離脱されたことを検出する。そして、カメラ制御部101は、当該検出により、例えばカメラアクセサリの装着を検出した後に、電源系端子への電源供給を開始し、変換アダプタ400を介してカメラ本体100と第2の交換レンズ300との間で通信を開始するように制御する。
次に、変換アダプタ400と第2の交換レンズ300との間における各種通信用の端子について説明する。なお、前述した第1の交換レンズ200とは異なり、第2の交換レンズ300は、独立した通信系として第1の通信部に対応する端子のみを備える。
LCLK端子3008、4008は、第1通信部の端子であり、カメラ本体100から第2の交換レンズ300に出力される通信クロック信号用の端子、および、第2の交換レンズ300のビジー状態をカメラ本体100が監視するための端子である。
DCL端子3006、4006は、第1通信部の端子であり、カメラ本体100と第2の交換レンズ300との双方向の通信を行うための通信データ用の端子であり、所謂CMOS出力タイプのインターフェースである。なお、本実施形態におけるCMOS出力タイプとしては、電圧が示すH(High)とL(Low)の双方にスイッチ出力を有するものである。これに対して、後述するオープンタイプとしては、L側のみにスイッチ出力を有するものである。
DLC端子3007、4007は、第1通信部の端子であり、第2の交換レンズ300からカメラ本体100へと出力される通信データ用の端子であり、CMOSタイプのインターフェースである。
なおVDD端子、VBAT端子、DGND端子、PGND端子、MIF端子、LCLK端子、DCL端子、DLC端子は、変換アダプタ400において、マウント部1側からマウント部2側へと電気的に接続されている。
以下、マウント部2には設けられていない各端子の変換アダプタ400内での接続構成について説明する。マウント部1に設けられたTYPE端子1003、2003は、変換アダプタ400において、後述する所定の抵抗値でDGND端子にプルダウン接続される。
DLC2端子は、前述したような第2通信部に対応する端子であるが、変換アダプタ400を介して第2の交換レンズ300をカメラ本体100に装着する場合には、通信端子としては使用されない。したがって、DLC2端子1009、2009は、終端処理として、変換アダプタ400内部で後述する所定の抵抗値でDGND端子にプルダウン接続される。
DCA端子は、前述したような第3通信部に対応する端子であって、マウント部1においては、カメラ本体100と変換アダプタ400との双方向の通信を行うための通信データ用の端子であり、所謂CMOSタイプのインターフェースである。なお、変換アダプタ400のマウントにおいてDCA端子は、マウント部1側からマウント部2側への端子同士の接続はされない。
CS端子は、前述したような第3通信部に対応する端子であって、カメラ本体100と変換アダプタ400との通信要求用の信号端子であり、オープンタイプのインターフェースである。なお、変換アダプタ400のマウントにおいてCS端子は、マウント部1側からマウント部2側への端子同士の接続はされない。
ここで、変換アダプタ400を介してカメラ本体100に第2の交換レンズ300が装着された場合は、第1通信部に対応する端子における通信電圧を、VDDと同じ電圧とする。また、第2、第3通信部に対応する端子における通信電圧を、約3.0Vとする。すなわち、変換アダプタ400を介してカメラ本体100に第2の交換レンズ300が装着された場合は、第1通信部における通信電圧と、第2、第3通信部における通信電圧とは異なる。
(中間アクセサリ500の構成)
次に、図9、10を参照して、カメラ本体100に中間アクセサリ500を介して第1の交換レンズ200を装着する場合について説明する。図9は、本実施形態に係るカメラ本体100に中間アクセサリ500を介して第1の交換レンズ200を装着した状態を例示的に説明するブロック図である。なお、図9に図示するように中間アクセサリ500と第1の交換レンズ200の各マウントを総称してマウント部3と称す。
中間アクセサリ500は、前述した第1の交換レンズ200と同一のレンズマウントBとを、カメラ本体100が結合される側に備えている。また、中間アクセサリ500は、レンズマウントBとは反対側に、カメラ本体100と同一のカメラマウントAを備えている。なお、各マウントの詳細については、前述したカメラ本体100と第1の交換レンズ200と同一なので、説明は省略する。
中間アクセサリ500は、ユーザが操作入力可能なアクセサリ操作入力部502と、中間アクセサリ500のアクセサリ電源部503、中間アクセサリ500の動作を統括的に制御するCPUを備えたアクセサリ制御部501とを備えたカメラアクセサリである。アクセサリ制御部501は、例えば、マウント部1を介してアクセサリ制御部501とカメラ制御部101との通信を制御する、あるいは、アクセサリ操作入力部502への操作入力を受け付ける。なお、本実施形態において中間アクセサリ500は、例えば、拡大変倍用の不図示のレンズ群を備えたエクステンダーや、カメラ本体100と第1の交換レンズ200の両者の動作として何らかのカメラ機能を付すことが可能なカメラアクセサリである。
次に、図10を用いて、カメラ本体100と第1の交換レンズ200との中間アクセサリ500を介した接続構成について説明する。図10は、本発明の実施形態に係るカメラ本体100に中間アクセサリ500を介して第1の交換レンズ200を装着した場合の各マウント同士の接続状態について例示的に説明する図である。マウント部1における各端子の構成は、前述した通りなので説明は省略する。
図10に図示するように、マウント部3は、中間アクセサリ500と第1の交換レンズ200とを、互いに電気的に接続可能な複数の端子を備えている。なお、各端子として、中間アクセサリ500の外部に露出する接点ピンは前述したカメラ本体100の接点ピンと同一である。
以下、前述したカメラ本体100および第1の交換レンズ200に対する中間アクセサリ500の特徴について説明する。図10に図示するように、中間アクセサリ500は、カメラ本体100と第1の交換レンズ200とのそれぞれに設けられた端子群を経由して接続することが可能である。
中間アクセサリ500のVDD端子1001、2001との間は、マウント部1からマウント部3へと端子間でスルー配線されていると共に、中間アクセサリ500の電気回路に対してもVDD(通信制御用電源)を供給することが可能である。
中間アクセサリ500のDGND端子1012、2012との間は、マウント部1からマウント部3へと端子間でスルー配線されていると共に、中間アクセサリ500の電気回路をDGND端子に接地することが可能である。
中間アクセサリ500のDCA端子1010、2010は、前述した第3通信部に対応する端子であり、カメラ本体100と第1の交換レンズ200と中間アクセサリ500との間における双方向への通信を行うための通信データ用の端子である。中間アクセサリ500のCS端子1011、2011は、前述した第3通信部に対応する端子であり、カメラ本体100と第1の交換レンズ200と中間アクセサリ500との通信要求用の信号端子である。
中間アクセサリ500のVBAT端子、PGND端子、MIF端子、TYPE端子、LCLK端子、DCL端子、DLC端子、DLC2端子については特記しないが、上記の各端子は、マウント部1からマウント部3の端子間でスルー配線されている。
ここで、中間アクセサリ500を介してカメラ本体100に第1の交換レンズ200が装着された場合、カメラ本体100に直接第1の交換レンズ200を装着した場合と同様に、第1、第2、第3通信部の各端子における通信電圧を約3.0Vとする。
(通信端子における各信号ラインの端子処理)
次に、各通信端子の信号ラインの端子処理について図3、図8、図10を参照して説明する。カメラマウントAにおいて、LCLK端子に対応する信号ラインは、カメラマウントA側において所定の抵抗値を示す抵抗器R_LCLK_C120を介して第1通信部に対応する各端子の通信電圧と同電位にプルアップ接続される。また、レンズマウントBにおいて、LCLK端子に対応する信号ラインは、レンズマウントB側において所定の抵抗値を示す抵抗器R_LCLK_L220を介して第1通信部に対応する各端子の通信電圧と同電位にプルアップ接続される。
レンズマウントBにおいて、DCL端子に対応する信号ラインは、レンズマウントB側において所定の抵抗値を示す抵抗器R_DCL_L221を介して、第1通信部の各端子の通信電圧と同電位にプルアップ接続される。
カメラマウントAにおいて、DLC端子に対応する信号ラインは、カメラマウントA側において所定の抵抗値を示す抵抗器R_DLC_C121を介して、第1通信部の各端子の通信電圧と同電位にプルアップ接続される。
カメラマウントAにおいて、DLC2端子に対応する信号ラインは、カメラマウントA側において所定の抵抗値を示す抵抗器R_DLC2_C122を介してDGND端子の信号ラインにプルダウン接続される。なお、変換アダプタ400においてDLC2端子に対応する信号ラインは、変換アダプタ400内における所定の抵抗値を示す抵抗器R_DLC2_A422を介してDGND端子の信号ラインにプルダウン接続される。
カメラマウントAにおいて、CS端子に対応する信号ラインは、カメラマウントA側において所定の抵抗値を示す抵抗器R_CS_C123を介して第3通信部の各端子の通信電圧と同電位にプルアップ接続される。また、レンズマウントBにおいて、CS端子の信号ラインは、レンズマウントB側において所定の抵抗値を示す抵抗器R_CS_L222を介して第3通信部に対応する各端子の通信電圧と同電位にプルアップ接続される。また、変換アダプタ400、中間アクセサリ500におけるCS端子の信号ラインは、各機器において所定の抵抗値を示す抵抗器R_CS_A420、抵抗器R_CS_A520を介して第3通信部に対応する各端子の通信電圧と同電位にプルアップ接続される。
カメラマウントA側において、DCA端子の信号ラインは、カメラマウントA側において所定の抵抗値を示す抵抗器R_DCA_C124を介して第3通信部に対応する端子の通信電圧と同電位にプルアップ接続される。
(カメラ本体100における通信用インターフェース部の構成)
次に、図3、図8を参照して、カメラ本体100に設けられた各通信端子とカメラ制御部101との間においてインターフェース回路としての機能する、第1通信用I/F部102a、第2・第3通信用I/F部102bの構成について説明する。
図3、図8に図示するように、カメラ本体100の内部には、第1通信用I/F部102aが設けられている。この第1通信用I/F部102aは、DCL端子、DLC端子、LCLK端子のそれぞれと接続されており、カメラ本体100と各交換レンズとの間で行われる第1の通信のインターフェース回路として機能する。
また、カメラ本体100の内部には、第2・第3の通信用I/F部102bが設けられている。この第2・第3の通信用I/F部102bは、DLC2端子、DCA端子、CS端子のそれぞれと接続されており、カメラ本体100と各交換レンズとの間で行われる第2の通信および第3の通信のインターフェース回路として機能する。以降は、第1通信用I/F部102aと第2・第3通信用I/F部102bとをまとめて、I/F部102と称する。ここで、本実施形態では、図3、図8に図示する通りカメラ制御部101が3.3Vの電圧レベルで駆動し、カメラ制御部101の電圧のレベルが3.3Vである場合について例示的に説明するが、当該電圧のレベルは他の値を採用してもよい。
I/F部102は、主な役割の1つとして、カメラマウントAに設けられた端子が示す電圧とカメラ制御部101の電圧とを互いに変換するためのレベルシフタ機能を備える。このレベルシフタ機能としては、例えば、カメラ本体100に第1の交換レンズ200が装着された場合、前述したように第1、第2、第3通信部に対応する各端子のインターフェース電圧は3.0Vとなる。これに対して、カメラ制御部101の電圧は3.3Vを示すため、両者が示す電圧に差異が生じる。I/F部102は、当該差異を調整するために、各端子が示す電圧の電圧変換を行う。
また、例えば、カメラ本体100に変換アダプタ400を介して第2の交換レンズ300が装着された場合、前述したように第1通信部に対応する端子のインターフェース電圧はVDDと同じ電圧(5.0V)である。そして、第2、第3通信部に対応する端子のインターフェース電圧は3.0Vである。この場合も、I/F部102は、両者の差異を調整するために、各端子が示す電圧の電圧変換を行う。すなわち、I/F部102は、カメラ制御部101の電圧と同じ電圧レベルを示す電源電圧(3.3V)と、各端子が示す電圧と同じ電圧レベルの電源電圧(5.0Vまたは、3.0V)が供給されることで、各端子の信号の電圧変換が実行される。
なお、第2・第3通信用I/F部102bに関しては、マウントに設けられた各端子が示す電圧レベルは常に固定値であるため、当該固定値がカメラ制御部101の電圧と同じ電圧レベルであれば、上述したレベルシフタ機能は必須ではない。
また、I/F部102は、主な役割1つとして、カメラマウントA側において、LCLK端子1008およびDCL端子1006をオープンドレインタイプの出力、あるいは、CMOS出力タイプの出力に切り替える機能がある。以下、その詳細について具体的に説明する。
例えば、カメラ本体100に第1の交換レンズ200が装着された直後の初期状態で、カメラ本体100のLCLK端子1008とDCL端子1006はオープンドレインタイプの出力を行う。なお、カメラ制御部101は、例えば図3に図示するように、カメラ制御部101のBUSY入力端子により、LCLK端子1008の電圧レベルを監視している。そして、例えば、第1の交換レンズ200と通信できない(通信不可である)場合は、レンズマウントB側のLCLK端子2008に電圧のLowレベルを出力し、通信可能である場合はLCLK端子2008を入力側に切り替える。この際、各マウントにおけるLCLK端子ラインは、プルアップ抵抗である抵抗器R_LCLK_C120、R_LCLK_L220によって電圧のHighレベルが出力される。
一方、カメラ制御部101は、例えば、LCLK端子1008の電圧レベルのHighレベルへの切り替わりを検出すると、第1の交換レンズ200が通信可能な状態になったことを認識する。その後、カメラ制御部101は、LCLK端子1008とDCL端子1006を、オープンドレインタイプまたはCMOS出力タイプのどちらを用いるかを選択し、I/F部102を用いて選択された出力タイプへと変更する。ここで、I/F部102をオープンドレインタイプで使用する際の通信をオープンドレイン通信、CMOS出力タイプで使用する際の通信をCMOS通信と称する。
カメラ制御部101は、第1の交換レンズ200の装着時にLCLK端子1008からHighレベルの電圧が検出された場合、LCLK端子1008とDCL端子1006をCMOS出力タイプに切り替え、第1の交換レンズ200側とCMOS通信を行う。また、カメラ制御部101は、第2の交換レンズ300の装着時は、LCLK端子1008とDCL端子1006をオープンドレインタイプに維持したまま第2の交換レンズ300側とオープンドレイン通信を行う。その後、第2の交換レンズ300がCMOS通信に対応した交換レンズであると判断した際に、カメラ制御部101は、I/F部102を用いてLCLK端子1008とDCL端子1006をCMOS出力タイプに切り替え、レンズ側とCMOS通信を行う。
なお、前述したオープンタイプの出力方式は、オープンドレイン出力の他に所謂オープンコレクタ出力でも良く、電圧のHighレベル出力は前述したようにプルアップ抵抗を設けることで実現すればよい。また、出力方式の切り替え方法は前述したものに限定されず、少なくとも、カメラ本体100に何れかの交換レンズが装着された際に、LCLK端子1008とDCL端子1006がオープンタイプの通信を行う構成であればよい。
また、I/F部102は、主な役割の1つとして、カメラマウントA側において、DCL端子1006およびDCA端子1010の入力および出力の方向性を切り替えるための入出力方向切り替え機能がある。前述したように、DCL端子及びDCA端子では通信データの双方向の通信を行うため、I/F部102により信号の入出力方向が切り替えられる。
ここで、本実施形態では、第1通信部に対応する通信端子が示す電圧は、カメラ本体100に装着されるカメラアクセサリの種類に応じて、VDDと同電圧または3.0Vに切り替える構成である。一方で、第2、第3通信部に対応する通信端子が示す電圧は、カメラ本体100に装着されるカメラアクセサリの種類に応じて変化するものではなく、常に一定の値(3.0V)とする。
第1通信用I/F部102aには、VDDと同電圧または3.0Vのいずれか一方の電源電圧(Vs)と、カメラ制御部101が示す電圧と同電位の電源電圧(3.3V)が、後述するカメラ電源部103から供給される。また、第2・第3通信用I/F部102bには3.0Vの電源電圧と、カメラ制御部101が示す電圧と同電位の電源電圧(3.3V)が、後述するカメラ電源部103から供給される。
(カメラ本体100におけるカメラ電源部および電源切り替え部の構成)
次に、図3、図8を参照して、カメラ本体100において各電源を生成するカメラ電源部103の構成について説明する。カメラ電源部103は、装着されたカメラアクセサリに対して、VDD端子を介して給電するための電源、または後述する電源切り替え部104を介して第1通信用I/F部102aに供給するための電源として、通信制御用電源(VDD)を生成する。また、カメラ電源部103は、装着されたカメラアクセサリに対してVBAT端子を介して給電するための電源として、駆動用電源(VBAT)を生成する。前述したように、本実施形態では、VDDの電源電圧を5.0Vとし、VBATの電源電圧を4.5Vとする。
また、カメラ電源部103は、カメラ制御部101およびI/F部102へと供給するための電源として、3.3Vの電源を生成する。また、カメラ電源部103は、後述する電源切り替え部104を介してI/F部102へ供給するための電源として、3.0Vの電源を生成する。
次に、第1通信用I/F部102aへと供給する電源(の電圧)を切り替えるための電源切り替え部104の詳細について説明する。電源切り替え部104は、カメラ電源部103と接続されている。そして電源切り替え部104は、カメラ電源部103で生成されたVDDと3.0Vの電源のうちの何れか一方のみを通信インターフェース用の電源Vsとして第1通信用I/F部102aに対して供給する。なお、電源電圧の切り替えは、カメラ制御部101からの指示に従い実行される。
ここで、カメラ制御部101は、TYPE端子1003を用いて、カメラ本体100に装着されたカメラアクセサリの種類が第1の交換レンズ200であると判別した場合、電源Vsが3.0V電源となるように電源切り替え部104を制御する。一方、カメラ制御部101は、カメラ本体100に変換アダプタ400を介して第2の交換レンズ300が装着されていると判別した場合、通信インターフェース用の電源VsがVDDと同電圧となるように電源切り替え部104を制御する。さらに、カメラ本体100においてカメラアクセサリの装着が検出されていない期間、および装着されたカメラアクセサリの種類を判別するまでの期間において、カメラ制御部101は、電源Vsが3.0V電源となるように電源切り替え部104を制御する。この構成により、例えば、カメラ本体100に第1の交換レンズ200が直接装着された場合は、3.0Vが定格電圧である第1の交換レンズ200の電気回路に3.0V以上の電圧が印加されることを防止できる。
なお、カメラ本体100においてカメラアクセサリの装着が検出されていない状態、および、装着されたカメラアクセサリの種類を判別するまでの期間においては、通信インターフェース用の電源Vsを供給しない構成であってもよい。同様に、第2・第3通信用I/F部102bへ供給する電源(3.0V)に関しても、電源Vsを供給しない構成であってもよい。この構成により、カメラ側からカメラアクセサリ側へと電源が供給されていない状態で、各端子に所定の電圧が印加されることを防止できるため、カメラアクセサリの未装着時に、対応しない端子同士における意図しない電圧の電流が流入することを低減できる。
以上説明したように、カメラ本体100においては、カメラ制御部101が、I/F部102および電源切り替え部104を制御することで、カメラ本体100に装着されたカメラアクセサリの種類に応じた適切な電圧で各通信を行うことが可能となる。
(第1の交換レンズ200における通信用インターフェース部の構成)
次に、図3を参照して、第1の交換レンズ200に設けられた各通信端子と第1のレンズ制御部201との間においてインターフェース回路としての機能する、第1のレンズ側I/F202の構成について説明する。
図3に図示するように、第1の交換レンズ200の内部には、第1の交換レンズ200における通信用のインターフェース部として、第1のレンズ側I/F部202が設けられている。この第1のレンズ側I/F部202は、カメラ本体100と第1の交換レンズ200とが、第1、第2、第3通信部のそれぞれに対応する端子を介して通信を行うためのインターフェース回路として機能する。
第1のレンズ側I/F部202は、主な役割の1つとして、レンズマウントBに設けられた端子が示す電圧と第1のレンズ制御部201が示す電圧とを互いに変換するためのレベルシフタ機能を備える。このレベルシフタ機能としては、例えば、第1のレンズ制御部201が示す電圧レベルと各端子が示す電圧レベルとが異なる場合、両者の差異に応じて、第1のレンズ側I/F部202は、当該差異を調整するために、各端子が示す電圧の電圧変換を行う。なお、図3に図示するように、第1のレンズ制御部201が示す電圧と各端子が示す電圧のレベルが同一(3.0V)である場合は、上述したレベルシフタ機能は必須ではない。
また、第1のレンズ側I/F部202の主な役割の1つとして、レンズマウントB側において、LCLK端子2008を入力、またはオープンドレインタイプの出力に切り替える機能がある。さらに、第1のレンズ側I/F部202の主な役割の1つとして、レンズマウントB側において、DLC端子2007をオープンドレインタイプの出力またはCMOS出力タイプの出力に切り替える機能がある。
なお、カメラ本体100に第1の交換レンズ200が装着された場合のLCLK端子2008およびDLC端子2007の制御については、カメラ本体100側における通信インターフェースの説明にて前述した通りである。すなわち、第1のレンズ制御部201は、第1のレンズ側I/F部202を制御することで、LCLK端子2008が出力する電圧レベルに応じてLCLK端子2008とDLC端子2007の出力タイプを切り替える。
また、第1のレンズ側I/F部202の主な役割の1つとして、レンズマウントB側において、DCL端子2006およびDCA端子2010の入力および出力の方向性を切り替えるための入出力方向切り替え機能がある。前述したように、DCL端子及びDCA端子では通信データの双方向の通信を行うため、第1のレンズ側I/F部202により信号の入出力方向が切り替えられる。
(第1の交換レンズ200におけるレンズ電源部の構成)
次に、図3を参照して、第1の交換レンズ200において各電源を生成するレンズ電源部203の構成について説明する。第1の交換レンズ200がカメラ本体100に装着された状態で、第1の交換レンズ200側のレンズ電源部203には、前述したカメラ電源部103からVDD端子を介して通信制御用電源(VDD)が供給される。この状態でレンズ電源部203は、カメラ本体100側から供給されたVDDに基づいて、第1のレンズ制御部201、及び、第1のレンズ側I/F部202へと供給するための電源電圧として3.0Vの電源を生成する。
また、第1の交換レンズ200がカメラ本体100に装着された状態で、第1の交換レンズ200側の駆動回路部204には、前述したカメラ電源部103からVBAT端子を介して駆動用電源(VBAT)が供給される。
なお、本実施形態では第1のレンズ制御部201と第1のレンズ側I/F部202の電源電圧のレベルを同一(3.0V)としているが、第1のレンズ制御部201が示す電圧レベルは3.3Vとに設定する構成であってもよい。この場合、レンズ側I/F部202に対して3.0Vと3.3Vの電圧レベルの電源を供給する必要があるため、レンズ電源部203は、3.0Vおよび3.3Vの電源を生成する。
(第2の交換レンズ300における通信用インターフェース部の構成)
次に、図8を参照して、第2の交換レンズ300に設けられた各通信端子と第2のレンズ制御部301との間においてインターフェース回路としての機能する、第2のレンズ側I/F部302の構成について説明する。
図8に図示するように、第2の交換レンズ300の内部には、第2のレンズ側I/F部302が設けられている。この第2のレンズ側I/F部302は、DCL端子3006、DLC端子3007、LCLK端子3008と接続されており、カメラ本体100と第2の交換レンズ300との間で行われる第1の通信のインターフェース回路として機能する。
第2のレンズ側I/F部302は、の主な役割の1つとして、レンズマウントDに設けられた端子が示す電圧と第2のレンズ制御部301が示す電圧を変換するためのレベルシフタ機能を備える。
このレベルシフタ機能としては、例えば、各端子が示す電圧レベルはVDDと同電圧であって、第2のレンズ制御部301が示す電圧を3.3Vとする場合を想定する。この場合、両者の差異を調整するために、第2のレンズ側I/F部302は、当該差異を調整するために、各端子が示す電圧の電圧変換を行う。なお、第2のレンズ制御部301が示す電圧と各端子が示す電圧のレベルが同一である場合は、上述したレベルシフタ機能は必須ではない。
また、第2のレンズ側I/F部302の主な役割の1つとして、レンズマウントD側において、LCLK端子3008を入力、またはオープンドレインタイプの出力に切り替える機能がある。さらに、第2のレンズ側I/F部302の主な役割の1つとして、レンズマウントD側において、DLC端子3007をオープンドレインタイプの出力またはCMOS出力タイプの出力に切り替える機能がある。
なお、カメラ本体100に変換アダプタ400を介して第2の交換レンズ300が装着された場合のLCLK端子3008およびDLC端子3007の制御については、第1の交換レンズ200に係る通信インターフェースの説明にて前述した通りである。すなわち、第2のレンズ制御部301は、第2のレンズ側I/F部302を制御することで、LCLK端子3008が出力する電圧レベルに応じてLCLK端子3008とDLC端子3007の出力タイプを切り替える。
(第2の交換レンズ300におけるレンズ電源部の構成)
次に、図8を参照して、第2の交換レンズ300において各電源を生成するレンズ電源部303の構成について説明する。第2の交換レンズ300が変換アダプタ400を介してカメラ本体100に装着された状態で、第2の交換レンズ300側のレンズ電源部303には、前述したカメラ電源部103からVDD端子を介して通信制御用電源(VDD)が供給される。この状態でレンズ電源部303は、カメラ本体100側から供給されたVDDに基づいて、第2のレンズ制御部301、及び、第2のレンズ側I/F部302へと供給するための電源電圧として3.3Vの電源を生成する。
また、第2の交換レンズ300が変換アダプタ400を介してカメラ本体100に装着された状態で、第2の交換レンズ300側の駆動回路部304には、前述したカメラ電源部103からVBAT端子を介して駆動用電源(VBAT)が供給される。
(変換アダプタ400の内部構成)
次に、図8を参照して、変換アダプタ400が備える回路の内部構成と動作について説明する。カメラ本体100に変換アダプタ400が装着された状態で、変換アダプタ400のアダプタ電源部403には、前述したカメラ電源部103からVDD端子を介して通信制御用電源(VDD)が供給される。この状態でアダプタ電源部403は、カメラ本体100側から供給されたVDDに基づいて、アダプタCPUを含むアダプタ制御部401とアダプタ操作入力部402へと供給するための電源を生成する。
アダプタ操作入力部402は、ユーザの操作入力により、マニュアルフォーカスに係る設定や絞りの開口径に係る設定などが可能であって、ユーザが手動操作可能な操作部材として、例えば変換アダプタ400の円周方向に回転可能なリング部材などを含む。
アダプタ制御部401は、Nチャネル型トランジスタで形成されたオープンインターフェース部404の制御により、変換アダプタ400のレンズマウントBに設けられたCS端子2011の通信要求のアサート/ネゲートを行う。また、アダプタ制御部401は、CS端子2011の電圧レベルが入力され、CS端子2011の電圧レベルを監視する。
アダプタ操作入力部402により入力された操作情報は、アダプタ制御部401とカメラ制御部101との間において第3通信部に対応する端子を介した第3の通信により、カメラ本体100の各種設定に反映される。具体的に、アダプタ制御部401は、アダプタ操作入力部402に入力される操作情報を検出すると、オープンインターフェース部404を制御し、第3通信部に対応するCS端子2011を用いて、カメラ制御部101へ通信要求を送信する。また、この場合、第3通信部に対応するDCA端子2010を用いて、カメラ制御部101に向けて検出した操作情報を送信する。
(中間アクセサリ500の内部構成)
次に、図10を参照して、中間アクセサリ500が備える回路の内部構成と動作について説明する。カメラ本体100に中間アクセサリ500が装着された状態で、中間アクセサリ500のアクセサリ電源部503には、前述したカメラ電源部103からVDD端子を介して通信制御用電源(VDD)が供給される。この状態で、アクセサリ電源部503は、カメラ本体100側から供給されたVDDに基づいて、アクセサリCPUを含むアクセサリ制御部501とアクセサリ操作入力部502へ供給する電源を生成する。
アクセサリ操作入力部502は、ユーザの操作入力により、マニュアルフォーカスに係る設定や絞りの開口径に係る設定が可能であって、ユーザが手動操作可能な操作部材として、例えば、中間アクセサリ500の円周方向に回転可能なリング部材などを含む。
なお、中間アクセサリ500においても、前述した変換アダプタ400と同様に、Nチャネル型トランジスタで形成されたオープンインターフェース部504を備える。このオープンインターフェース部504は、制御対象は異なるが、前述したオープンインターフェース部404と略同一の動作なので、説明は省略する。
アクセサリ操作入力部502により入力された操作情報は、アクセサリ制御部501とカメラ制御部101あるいは第1のレンズ制御部201との間において第3通信部に対応する端子を介した第3通信により、カメラ本体100の各種設定に反映される。具体的に、アクセサリ制御部501は、アクセサリ操作入力部502に入力される操作情報を検出すると、オープンインターフェース部504を制御し、第3通信部に対応するCS端子2011を用いてカメラ制御部101へ通信要求を送信する。また、この場合、第3通信部にDCA端子2010を用いて、カメラ制御部101に向けて検出した操作情報を送信する。
(カメラアクセサリの判別方法)
次に、図11および下記に示す表1を参照して、カメラ本体100側において、カメラ本体100に装着されたカメラアクセサリの種類を判別する方法について説明する。より具体的には、カメラ本体100において、TYPE端子1003が示す電圧のレベルに基づいて、カメラ制御部101がカメラ本体100に装着されたカメラアクセサリの種類を判別する方法について説明する。
上述するように、表1はカメラ本体100に各カメラアクセサリが装着された場合(エラー等を含む)のTYPE端子の入力信号と通信電圧の関係を示す表である。なお、本実施形態では、表1に示すようなTYPE_IN端子が示す電圧レベルと装着アクセサリとの関係を示す情報(テーブルデータ)を、カメラ制御部101に設けられたメモリ(不図示)に格納している。なお、当該テーブルデータは、カメラ本体100の内部に設けられた記録部であればいずれかメモリ領域に記録しておく構成であってもよい。
TYPE端子1003は、カメラ本体100に第1の交換レンズ200が装着されている場合に、抵抗器R_TYPE_C126を介して3.3Vの電圧レベルを示す電源にプルアップ接続される。また、この場合に、抵抗器R_TYPE_L224でDGND端子側にプルダウン接続される。この場合、TYPE端子1003は、3.3Vの電源を抵抗器R_TYPE_C126と抵抗器R_TYPE_L224の各抵抗値で分圧した電圧がカメラ制御部101に入力される。本実施形態では、上述した各抵抗器が示すそれぞれの抵抗値は、端子間がショート(短絡)した場合を考慮して、ショートする可能性がある端子に接続される他の抵抗器が示す抵抗値との比率に応じて設定される。
また、TYPE端子はカメラ本体100に変換アダプタ400が装着されている場合に、抵抗器R_TYPE_C126を介して3.3Vの電圧レベルを示す電源にプルアップ接続され、抵抗器R_TYPE_A421でDGND端子側にプルダウン接続される。この場合、3.3Vの電源を抵抗器R_TYPE_C126と抵抗器R_TYPE_A421の各抵抗値で分圧した電圧がカメラ制御部101に入力される。
ここで、カメラ制御部101はアナログデータ信号をデジタルデータ信号へと変換するAD変換器とその入力ポートとしてTYPE_IN端子を有している。このTYPE_IN端子にはTYPE端子1003が接続されている。また、説明のため、AD変換器の分解能は10bit(1024分割:0×0000〜0×03FF)であるとする。更に、TYPE端子1003とTYPE_IN端子の間には、TYPE_IN端子を保護するための所定の抵抗値(本実施形態では、1kΩ)を示す抵抗器が接続されている。
また、説明のために、各抵抗器が示す所定の抵抗値は例示的に以下の通りとする。カメラ本体100におけるプルアップ抵抗値を示す抵抗器R_TYPE_C126の抵抗値は100kΩである。第1の交換レンズ200におけるプルダウン抵抗値を示す抵抗器R_TYPE_L224の抵抗値は33kΩである。変換アダプタ400におけるプルダウン抵抗値を示す抵抗器R_TYPE_A421の抵抗値は300kΩである。
カメラ制御部101は、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルに応じて、カメラ本体100に装着されたカメラアクセサリの種類を判別する。具体的に、カメラ制御部101は、TYPE_IN端子に入力された電圧レベルをAD変換する。そして、カメラ制御部101は、AD変換後の電圧値とカメラ制御部101のメモリ(不図示)が予め保持するレンズの種類に応じた閾値(基準値)とを比較することでカメラアクセサリの種類を判別する。
以下、各カメラアクセサリの具体的な判別方法について説明する。図11は、本発明の実施形態に係るカメラ本体100のTYPE_IN端子と各カメラアクセサリとの接続状態を例示的に説明する図である。図11(a)は、カメラ本体100に第1の交換レンズ200が装着された場合を示し、図11(b)は、カメラ本体100に変換アダプタ400が装着された場合を示している。図11(c)は、カメラ本体100とカメラアクセサリとに設けられたTYPE端子同士が接触不良などにより正しく接触していない場合を示している。図11(d)は、端子間に導電性の異物が付着したなどの理由により、TYPE端子が隣接するVBAT端子とショートしている場合を示す。図11(e)は、端子間に導電性の異物が付着したなどの理由により、TYPE端子が隣接するPGND端子とショートしている場合を示す。
図11(a)に図示するように、カメラ本体100に第1の交換レンズ200が装着された場合、カメラ制御部101のTYPE_IN端子に入力される電圧レベル(AD変換後)は、おおよそ「0×0103」となる。なお、図11(a)に図示する場合は、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルが、カメラ本体100内のプルアップ抵抗100kΩと保護抵抗1kΩおよび第1の交換レンズ200内のプルダウン抵抗33kΩとの比率(分圧比)に基づいて決定される。
カメラ制御部101は、メモリに格納されたテーブルデータ(表1に示す)とTYPE_IN端子に入力される電圧レベルとを比較する。例えば、TYPE_IN端子に入力される電圧レベル(AD変換後)が「0×0103」である場合、表1に示したような第1の交換レンズ200が装着されていることを示す電圧レベル「0×0080〜0×017F」の範囲に含まれる。この場合、カメラ制御部101は、カメラ本体100に第1の交換レンズ200が装着されていると判定する。
また、図11(b)に図示するように、カメラ本体100に変換アダプタ400が装着された場合、カメラ制御部101のTYPE_IN端子に入力される電圧レベル(AD変換後)は、おおよそ「0×0300」となる。なお、図11(b)に図示する場合は、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルが、カメラ本体100内のプルアップ抵抗100kΩと保護抵抗1kΩおよび変換アダプタ400内のプルダウン抵抗300kΩとの比率(分圧比)に基づいて決定される。
この場合、TYPE_IN端子に入力される電圧レベル(AD変換後)が「0×0300」であるので、表1に示したような変換アダプタ400が装着されていることを示す電圧レベル「0×0280〜0×037F」の範囲に含まれる。したがって、カメラ制御部101は、カメラ本体100に変換アダプタ400が装着されていると判定する。
次に、図11(c)に図示するように、カメラ本体100とカメラアクセサリのTYPE端子同士が接触不良を起こしている場合、カメラ制御部101のTYPE_IN端子に入力される電圧レベルは、おおよそ「0×03FF」となる。この場合、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルは、カメラ本体100内のプルアップ抵抗100kΩのみで決定される。
上述した場合、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルは、第1の交換レンズ200および変換アダプタ400のいずれにも該当しない電圧である。この場合、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルは、表1に示したエラー1に該当するため、カメラ制御部101は、カメラ本体100に装着されているカメラアクセサリを判別することはできない。なお。図11(c)に図示する状態は、例えば、カメラ本体100とカメラアクセサリのMIF端子同士は適切に接続しているが、TYPE端子同士が接触していない場合などが該当する。
次に、図11(d)に図示するように、TYPE端子と隣接するVBAT端子間に導電性の異物が付着しているなどにより、TYPE端子が隣接する端子とショートしている場合、TYPE端子にVBAT端子側の信号ラインが接続されてしまう。ここで、カメラ本体100に装着されたカメラアクセサリの種類の判別を、VBAT端子への電源供給前に行う場合は、VBAT電源の状態によってカメラアクセサリの種類の判別結果が異なる。
例えば、VBAT電源がオフの場合であって、VBAT電源の信号ラインがPGND端子の信号ラインと同等電位となる場合は、TYPE端子の信号ラインはPGND端子の信号ラインと同電位になる。この場合、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルは、カメラ本体100内のプルアップ抵抗100kΩと保護抵抗1kΩとの比率(分圧比)に基づいて決定され、その値は、おおよそ「0×000A」となる。この場合、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルは、表1に示したエラー1に該当するため、カメラ制御部101は、カメラ本体100に装着されているカメラアクセサリを判別することはできない。
また、例えば、VBAT電源がオフの場合であって、VBAT電源の信号ラインがフローティングとなる場合は、TYPE端子とVBAT端子間のショートの影響はなく、前述したようにカメラアクセサリの種類を判別することができる。その後、VBAT端子同士が接続された状態で、VBAT端子にVBAT電源が供給された時点で、TYPE端子にVBATの電源電圧相当が印加される。この場合、VBAT端子は、TYPE_IN端子の電源電圧よりも高いレベルの電圧を示すため、TYPE_IN端子内に存在するダイオード(不図示)を介して、TYPE_IN端子に意図しない電圧レベルの電流が流れ込む可能性がある。
そこで本実施形態のカメラ本体100では、TYPE端子の信号ラインに直列で保護抵抗1kΩを設けている。この構成により、TYPE_IN端子(の電源)に意図しない電圧レベルの電流の流入を低減し、TYPE_IN端子に接続される各部の不具合の発生を抑制することができる。なお、保護抵抗1kΩとTYPE_IN端子との信号ラインに保護ダイオードを接続する構成であってもよい。
また、カメラ制御部101は、VBAT電源がVBAT端子に供給された時点で、改めてTYPE_IN端子に入力される電圧レベルを検出し、カメラアクセサリの種類を判別し直す構成であってもよい。この場合、図11(d)に図示するような状態では、TYPE端子にVBAT端子の電源電圧に相当する電圧が印加されるため、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルは、おおよそ「0×03FF」となる。この場合、カメラ制御部101は、カメラ本体100に装着されているカメラアクセサリを判別することはできないが、TYPE_IN端子に意図しない電圧レベルの電流が流れ込むことを防止できる。
一方、カメラアクセサリの種類判別が実行される前に、VBAT端子への電源供給が行われる場合は、TYPE端子にVBAT端子が示す電源電圧が印加された状態でTYPE_IN端子に入力される電圧レベルをAD変換することになる。この場合、TYPE_IN端子に入力される電圧レベル(AD変換後)は、おおよそ「0×03FF」となる。この場合、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルは、表1に示したエラー1に該当するため、カメラ制御部101は、カメラ本体100に装着されているカメラアクセサリを判別することはできない。
次に、図11(e)に図示するように、TYPE端子と隣接するPGND端子間に導電性の異物が付着しているなどにより、TYPE端子が隣接する端子とショートしている場合、TYPE端子がPGND端子側の信号ラインが接続されてしまう。この場合、PGND端子はグランド端子であるので、TYPE_IN端子に入力される電圧は、カメラ本体100内のプルアップ抵抗100kΩと保護抵抗1kΩとの比率(分圧比)に基づいて決定され、その値は、おおよそ「0×000A」となる。したがって、この場合も、カメラ制御部101は、カメラ本体100に装着されているカメラアクセサリを判別することはできない。
以上説明したように、TYPE端子が隣接する端子とショートしている場合、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルは、PGND端子が示す電圧レベルに近い値、または、VBAT端子が示す電源電圧のレベルに近い値となる。このような場合、カメラ制御部101は、カメラ本体100にどのようなカメラアクセサリが装着されたかを判別することができないため、カメラアクセサリごとに適切な動作を実行・指示することができない。
そこで、本実施形態のカメラ本体100は、カメラ制御部101のTYPE_IN端子にPGND端子が示す電圧レベル近傍の値が入力された場合、カメラ制御部101はカメラアクセサリとの通信を行わないように制御する。本実施形態でカメラ制御部101は、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルが「0×0000〜0×007F」の範囲に含まれる場合、TYPE端子の接続状態に異常が生じているエラー状態であると判定し、カメラアクセサリとの通信は行わない。
また、TYPE_IN端子にVBAT端子が示す電源電圧レベルの値が入力された場合、カメラ制御部101はカメラアクセサリとの通信を行わないように制御する。本実施形態でカメラ制御部101は、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルが「0×0380〜0×03FF」の範囲に含まれる場合、TYPE端子の接続状態に異常が生じているエラー状態であると判定し、カメラアクセサリとの通信は行わない。
この構成によって、本実施形態に係るカメラ本体100は、カメラ本体100に装着されたカメラアクセサリの種類が誤判別された状態で、定格電圧を超える電圧レベルがカメラアクセサリ側に印加されてしまうことを防止することができる。
(カメラ本体100にカメラアクセサリが装着された際の動作)
次に、図12を参照して、カメラ本体100にカメラアクセサリが装着された際の動作として、前述した第1の通信が開始されるまでの処理を示す通信選択処理について説明する。図12は、カメラ本体100に何れかのカメラアクセサリが装着された際の、第1の通信が開始されるまでの動作について例示的に説明するフローチャートである。なお、本実施形態では、図12に図示するフローチャートに対応するプログラムをカメラ制御部101に設けられたメモリ(不図示)に格納しておき、当該メモリから読み出した当該プログラムをカメラ制御部101が実行する構成である。したがって、以降に説明する各ステップの動作はカメラ制御部101によって実行されるものとする。なお、所定のプログラムに従った動作ではなく、カメラ本体100およびカメラアクセサリを構成する各部が、対応する各ステップの動作を指示、実行する構成であってもよい。なお、本実施形態におけるカメラ制御部101は、各端子が示す電圧レベルを検出する検出手段、および、各通信端子による通信を制御する制御手段として機能する。
まず、カメラ本体100に設けられた電源スイッチ(不図示)などの操作により、カメラ本体100の電源オンが指示されたことに応じて、通信選択処理が開始される。そして、ステップS601でカメラ制御部101は、MIF_IN端子の電圧レベルを読み込み、前述したメモリにおける不図示のRAM領域に、読み込んだ電圧レベルに基づくMIF_IN端子の状態に関する情報を記憶する。
次に、ステップS602では、RAM領域に記憶されたMIF_IN端子の状態に関する情報に基づき、MIF_IN端子がHighを示す場合は、カメラ本体100にカメラアクセサリは装着されていないと判定し、ステップS601に戻る。また、MIF_IN端子がLowを示す場合は、カメラ本体100にカメラアクセサリが装着されている判定する。
次に、ステップS603では、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルをAD変換して読み込み、読み込んだ電圧レベルに基づくTYPE_IN端子の状態に関する情報を前述したRAM領域に記憶する。
次に、ステップS604では、RAM領域から読みだしたTYPE_IN端子の状態として、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルが「0×0080」以上であって「0×017F」以下であるか否かを判定する。そして、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルが「0×0080」以上であって「0×017F」以下であると判定された場合はステップS605に進み、上記条件を満たさない場合はステップS608に進む。
次に、ステップS605では、カメラ本体100に装着されたカメラアクセサリが第1の交換レンズ200(レンズタイプ1)であると判定し、電源切り替え部104を制御して、通信インターフェース用の電源Vsを3.0Vに設定する。
次に、ステップS606では、カメラ電源部103からVDD端子への電源供給を開始する。
次に、ステップS607では、3.0Vの通信電圧を設定して、第1通信部に対応する端子を用いた第1通信を開始し、ステップS614に進む。
ステップS608では、RAM領域から読みだしたTYPE_IN端子の状態として、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルが「0×0280」以上であって「0×037F」以下であるか否かを判定する。そして、TYPE_IN端子に入力される電圧レベルが「0×0280」以上であって「0×037F」以下であると判定された場合はステップS609に進み、上記条件を満たさない場合はステップS612に進む。
次に、ステップS609では、カメラ本体100に装着されたカメラアクセサリが、変換アダプタ400を介した第2の交換レンズ300(レンズタイプ2)であると判定し、電源切り替え部104を制御し電源VsをVDD(5.0V)に設定する。
次に、ステップS610では、カメラ電源部103からVDD端子への電源供給を開始する。
次に、ステップS611では、5.0Vの通信電圧を設定して、第1の通信部に対応する端子を用いた第1通信を開始し、ステップS614に進む。
次に、ステップS612では、カメラ本体100に装着されたカメラアクセサリが、カメラ本体100に対応しないカメラアクセサリである(Reserved)、または、所定の端子が異常を示している(エラー)と判定する。
そして、ステップS613では、カメラアクセサリ側との通信を開始せず、表示部15にエラー等に関する警告表示を行うための処理を実行するようにカメラ本体100の各部を制御し、ステップ614に進む。
ステップS614では、例えば電源スイッチ(不図示)などの操作により、カメラ本体100の電源オフが指示されたか否かを判定する。ステップS614の判定において、電源スイッチオフが指示されたと判定された場合は、ステップS619に進みカメラ本体100の電源をオフして、通信選択処理を終了する。また、ステップS614の判定において、電源スイッチオフが指示されていないと判定された場合は、ステップS615に進む。
次に、ステップS615では、MIF_IN端子の電圧レベルを再度読み込み、前述したRAM領域に、読み込んだ電圧レベルに基づくMIF_IN端子の状態に関する情報を記憶する。なお、S615の処理では、前述したS601の処理で読み込んだMIF_IN端子の状態に関する情報を更新(上書き)してもよいし、別の記憶領域に別個記憶する構成であってもよい。
次に、ステップS616では、RAM領域に記憶されたMIF_IN端子の状態に関する情報に基づき、MIF_IN端子がHighを示すか否かを判定する。ステップS616の判定で、MIF_IN端子がHighを示すと判定された場合は、カメラ本体100に対するカメラアクセサリの装着が解除されたと判定して、ステップS617に進む。ステップS616の判定で、MIF_IN端子がHighを示さない(すなわちLowを示す)と判定された場合は、カメラ本体100にカメラアクセサリが装着されたままである判定して、ステップS614の処理に戻る。
ステップS617では、カメラアクセサリ側との通信を停止する。そして、ステップS618では、カメラ電源部103からVDD端子への電源供給を停止し、ステップS601の処理に戻る。以降は、上述した各処理を繰り返し実行する。
なお、図12においては不図示であるが、所定のタイミングにおいてカメラ本体100側からカメラアクセサリに対してVBAT端子を用いた駆動電源(VBAT)の供給有無を判定し、判定結果に基づいてVBATの供給を行うものとする。
(第1、第2、第3の通信の詳細)
次に、カメラ本体100とカメラ本体100に装着されたカメラアクセサリとの間で実行される各通信について説明する。まず、第1の通信について説明する。前述したように、第1の通信は、カメラ本体100とカメラ本体100に装着されたカメラアクセサリとの間で行われる通信系の1つである。そして、第1の通信部は、第1通信部に対応するLCLK端子、DCL端子、DLC端子を用いて行われるクロック同期式または調歩同期式の通信系である。
本実施形態においては、第1の交換レンズ200および第2の交換レンズ300の双方が、第1の通信に対応している。しかしながら、前述したように、第1の通信に係る通信電圧は、第1の交換レンズ200と第2の交換レンズ300とで異なる。
第1の通信としては、例えは、カメラアクセサリに対する、フォーカスレンズの駆動、ズームレンズの駆動、絞り駆動などの駆動命令の送信に用いられる。当該駆動命令を受信したカメラアクセサリでは、当該駆動命令に応じた動作が実行される。また、第1の通信としては、カメラアクセサリ側からカメラ本体100に対して、フォーカスレンズの位置、焦点距離、絞り開口径(絞り値)など、カメラアクセサリ自身の状態に関する情報(状態情報)をカメラ本体100へと送信する際に用いられる。
次に、第2の通信について説明する。前述したように、第2の通信は、カメラ本体100と第1の交換レンズ200との間で行われる通信系の1つであり、第2通信部に対応するDLC2端子を用いて行われる非同期式の通信である。なお、第2の交換レンズ300は、DLC2端子などの第2の通信部に対応する端子を備えていないので、カメラ本体100と第2の交換レンズ300との間では第2の通信は行われない。
第2の通信では、第1の交換レンズ200が通信の親機(マスター)となり、第1の交換レンズ200におけるフォーカスレンズの位置、ズームレンズの位置、絞り値、防振レンズの状態等を含む所定量の光学データをカメラ本体100側に送信する。そして、第2の通信では、カメラ本体100が通信の子機(スレーブ)となる。なお、第1の交換レンズ200からカメラ本体100に送信するデータの種類および順番は、前述した第1の通信によってカメラ本体100側から第1の交換レンズ200側へと指示される。
ここで、図13を参照して、第2の通信を行う際のカメラ側およびカメラアクセサリ側での動作について説明する。図13は、本発明の実施形態に係る第2の通信に関する各動を例示的に説明するフローチャートである。なお、本実施形態では、図13に図示するフローチャートに対応するプログラムをメモリ(不図示)に格納しておき、当該メモリから読み出した当該プログラムをカメラ制御部101および第1のレンズ制御部201が実行する構成である。したがって、以降に説明する各ステップの動作はカメラ制御部101または第1のレンズ制御部201によって実行されるものとする。なお、所定のプログラムに従った動作ではなく、カメラ本体100および第1の交換レンズ200を構成する各部が、対応する各ステップの動作を指示、実行する構成であってもよい。
図13に図示する第2の通信は、カメラ本体100における被写体の撮像制御が開始されたタイミングから開始される。まず、ステップS1301では、カメラ本体100において第2の通信の開始要求を第1の通信によって第1の交換レンズ200側に送信する。なお、ステップS1301で送信される開始要求としては、第2の通信により第1の交換レンズ200側から取得を意図する種々のデータの種類と、これらのデータを受信する順番が予め設定された登録通信コマンドを含んでいる。
次に、ステップS1311では、第1の交換レンズ200において、カメラ本体100側から送信された開始要求を受信し、ステップS1312に進む。そして、ステップS1312では、第1の交換レンズ200において、開始要求に含まれる登録通信コマンドに基づく種々のデータを指定された順番で生成する。
次に、ステップS1313では、第1の交換レンズ200において生成した種々のデータを、第2の通信を用いてカメラ本体100側に送信する。すなわち、ステップS1313では、第1の交換レンズ200のDLC2端子は2009およびカメラ本体100のDLC2端子1009を用いて、第1の交換レンズ200側で生成された種々のデータがカメラ本体100側に向けて送信される。
次に、カメラ本体100において、ステップS13032処理において第1の交換レンズ200側から第2の通信を用いて送信された種々のデータを順に受信し、指定された各データの受信が完了したことに応じて、第2の通信を終了する。なお、本実施形態においては、被写体の撮像制御が開始されるごとに、図13に図示するフローを繰り返し実行する。
このように、第2の通信を実行する場合は、開始要求は第1の通信を用いて送信されるが、第1の通信部に対応する端子とは異なる第2の通信部に対応する端子を用いて、前述した第1の通信とは異なる独立した通信系統の通信が可能である。この構成により、カメラ本体100と第1の交換レンズ200との間においては、第1の通信で行う通信(例えば、アクチュエータへの制御要求など)を妨げることなく、第2の通信として種々のデータ(例えば、光学データ)の通信を行うことができる。なお、前述したように、第2の通信の開始要求は第1の通信を用いてカメラ本体100側から第1の交換レンズ200側へと送信されるため、第1の通信が成立していることが第2の通信を行うための必要条件である。
次に、第3の通信について説明する。前述したように第3の通信は、カメラ本体100と第1の交換レンズ200および変換アダプタ400および中間アクセサリ500との間で行われる通信系の1つである。なお、第3の通信は、第3通信部に対応するDCA端子およびCS端子を用いて行われる非同期式の通信である。また、前述のように、第2の交換レンズ300は第3通信部に対応する端子を備えていないので、カメラ本体100に第2の交換レンズ300との間では第3の通信は行われない。
第3の通信では、カメラ本体100が通信の親機(マスター)となり、カメラ本体100に直接的および間接的に装着された、第1の交換レンズ200、変換アダプタ400、中間アクセサリ500が通信の子機(スレーブ)となる。
なお、前述した例では、図6、図9に図示したように、カメラ本体100と所定の交換レンズの間に1つの変換アダプタ400または1つの中間アクセサリ500を備える場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、カメラ本体100と所定の交換レンズの間に変換アダプタ400および中間アクセサリ500を計2つ以上備える構成であってもよい。したがって、第3の通信では、通信に係る1つのマスターに対して複数のスレーブが直列で接続される場合がある。このため、第3の通信では、カメラ本体100から複数のカメラアクセサリ(スレーブ)に対して一斉に信号を送信するブロードキャスト通信モードと、特定のカメラアクセサリを指定して通信を行うP2P(Peer−to−Peer)モードとを切り替え可能である。
第3の通信におけるブロードキャスト通信モードとP2Pモードとして、DCA端子は双方向の通信が可能な通信データ用の端子として機能する。これに対して、CS端子は、ブロードキャスト通信モードとP2Pモードでその機能が異なる。この詳細について、まずは、図14を参照してブロードキャスト通信について説明する。図14は、本発明の実施形態に係る第3の通信におけるブロードキャスト通信を例示的に説明するタイミング図である。なお、図14は、カメラ本体100に中間アクセサリ500を介して第1の交換レンズ200が装着された場合を示している。
なお、図14の図中では、第3の通信におけるブロードキャスト通信においては、CS端子を用いた通信信号を、「CS(カメラ)」、「CS(レンズ)」、「CS(アクセサリ)」と図示する。また、DCA端子を用いた通信信号を、「DCA(カメラ)」、「DCA(レンズ)」、「DCA(アクセサリ)」と図示する。また、図中における「CS」および「DCA」は、所定の通信制御タイミングにおける、カメラ本体100と中間アクセサリ500と第1の交換レンズ200の各CS端子およびDCA端子が示す信号波形を示している。以降は、カメラ制御部101から第1のレンズ制御部201およびアクセサリ制御部501へのブロードキャスト通信に応じて、アクセサリ制御部501からカメラ制御部101と第1のレンズ制御部201にブロードキャスト通信を行う場合について説明する。
以降の説明では、CS端子に接続される信号線を信号線CSと称し、DCA端子に接続される信号線を信号線DCAと称す。図14に示す〈1〉のタイミングで、カメラ制御部101から信号線CSにLow出力が開始される。この動作は、ブロードキャスト通信を開始することを通信マスターであるカメラ制御部101から通信スレーブである第1のレンズ制御部201およびアクセサリ制御部501に通知するための動作である。
次に、図14に示す〈2〉のタイミングで、カメラ制御部101は、送信対象のデータを信号線DCAに出力する。そして、図14に示す〈3〉のタイミングで、第1のレンズ制御部201とアクセサリ制御部501は、信号線DCAに入力されたスタートビットSTを検出し、信号線CSへのLow出力を開始する。なお、既に〈1〉のタイミングでカメラ制御部101により信号線CSへのLow出力が行われているので、このタイミングでは、カメラ側における信号線CSの信号レベルは変化しない。
次に、図14に示す〈4〉のタイミングで、送信するデータにおけるストップビットSPまでの出力が完了したら、〈5〉のタイミングで、カメラ制御部101は、信号線CSへのLow出力を解除する。一方、第1のレンズ制御部201とアクセサリ制御部501は、ストップビットSPまでのデータを受信したら、受信したデータの解析および受信したデータに関する内部処理を行う。当該内部処理が完了し、次のデータを受信するための準備が整った場合、第1のレンズ制御部201およびアクセサリ制御部501は、図14に示す〈6〉、〈7〉のタイミングで、信号線CSへのLow出力を解除する。
なお、受信したデータの解析および受信したデータに関する内部処理に要する時間は各制御部に設けられたCPUの処理能力に依って異なる。したがって、連続的に通信を行うために、各制御部は、他の制御部において、受信したデータに関する内部処理が完了したタイミングを把握する必要がある。
本実施形態では、前述のとおりCS端子はオープンドレインタイプの出力を行う。このため、信号線CSの信号レベルは、カメラ制御部101、第1のレンズ制御部201、アクセサリ制御部501の全てが信号線CSへのLow出力を解除した場合にHigh出力となる。すなわち、ブロードキャスト通信に関与する各制御部(CPU)は、信号線CSの信号レベルがHigh出力となったことを確認することで、他の制御部(CPU)において次の通信を行うための準備が整ったことを判断する。この構成により、本実施形態のカメラ本体100および所定のカメラアクセサリは、連続的に適切な通信を行うことができる。
次に、図14に示す〈8〉のタイミングで、アクセサリ制御部501は信号線CSのHigh出力が解除されたことを確認する。その後、アクセサリ制御部501は、ブロードキャスト通信の開始をカメラ制御部101および第1のレンズ制御部201に通知するために、信号線CSへのLow出力を開始する。
次に、図14に示す〈9〉のタイミングで、アクセサリ制御部501は、送信対象のデータを信号線DCAに出力する。
一方、カメラ制御部101と第1のレンズ制御部201は、信号線DCAから入力されたスタートビットSTを検出し、図14に示す〈10〉のタイミングで、信号線CSへのLow出力を開始する。なお、既に〈8〉のタイミングでアクセサリ制御部501により信号線CSへのLow出力が行われているので、このタイミングでは、アクセサリ側における信号線CSの信号レベルは変化しない。
次に、図14に示す〈11〉のタイミングで、アクセサリ制御部501は、ストップビットSPまで出力を終了した後、〈12〉のタイミングで信号線CSへのLow出力を解除する。一方、カメラ制御部101と第1のレンズ制御部201は、信号線DCAから入力されたストップビットSPまでのデータを受信する。その後、カメラ制御部101と第1のレンズ制御部201は、受信したデータの解析および受信したデータに紐づけられた内部処理を行い、次のデータを受信するための準備が整った〈13〉、〈14〉のタイミングで、信号線CSへのLow出力を解除する。
以上のように、本実施形態の第3通信のうち、ブロードキャスト通信モードでは、信号線CSがブロードキャスト通信の開始および通信中(処理中)であることを示す信号を通知するための信号線として機能する。
次に、図15を参照して、第3の通信におけるP2PモードにおけるCS端子の機能を説明する。図15は、本発明の実施形態に係る第3の通信におけるP2P通信を例示的に説明するタイミング図である。なお、図15は、カメラ本体100に中間アクセサリ500を介して第1の交換レンズ200が装着された場合を示している。また、図15の図中で示す各信号線および信号波形については、図14を用いて説明したブロードキャスト通信モードと略同一なので説明は省略する。
以降は、カメラ制御部101から第1のレンズ制御部201に対して1バイトのデータを送信し、当該1バイトのデータに応答するように、第1のレンズ制御部201からカメラ制御部101に対して2バイトのデータを送信する場合について説明する。
以降の説明では、CS端子に接続される信号線を信号線CSと称し、DCA端子に接続される信号線を信号線DCAと称す。図15に示す〈15〉のタイミングで、カメラ制御部101は、信号線DCAを用いて特定のデータを送信させるための命令を第1のレンズ制御部201に送信する。
次に、図15に示した〈16〉のタイミングで、カメラ側の信号線DCAにおけるストップビットSPの出力まで完了した後、〈17〉のタイミングで、カメラ制御部101は信号線CSへのLow出力を開始する。そして、カメラ制御部101は、信号線CSにLowを出力している間にデータを受信する準備を行い、当該準備が整った〈18〉のタイミングで、信号線CSへのLow出力を解除する。
一方、第1のレンズ制御部201は、カメラ制御部101が出力した信号線CSのLow信号を検出した後、カメラ制御部101から受信した命令を解析し、該命令に関する内部処理を行う。その後第1のレンズ制御部201は、カメラ側における信号線CSのLow出力解除を確認した後、図15に示した〈19〉のタイミングで、第1のレンズ制御部201はカメラ制御部101から受信した命令に応じたデータを、信号線DCAを用いて送信する。
次に、図15に示した〈20〉のタイミングで、第1のレンズ制御部201は、2バイト目のストップビットSPまでの出力を終了したのち、〈21〉のタイミングで、レンズ側の信号線CSへのLow出力を開始する。その後、第1のレンズ制御部201は、次のデータの受信準備が整った後、図15に示す〈22〉のタイミングで、信号線CSへのLow出力を解除する。なお、図15に図示する説明において、P2P通信の通信相手として選択されていないアクセサリ制御部501は、信号線CSおよび信号線DCAにおける各種動作には関与しない。
以上のように、本実施形態の第3通信のうち、P2Pモードでは、信号線CSがデータの送信側の送信終了、および、で0田送信に係る待機要求を通知するための信号線として機能する。
以上説明したように、本実施形態に係る第3の通信では、ブロードキャスト通信モードとP2PモードでCS端子の機能を異ならせている。この構成により、CS端子およびDCA端子に係る信号線CSと信号線DCAの計2つの信号線のみを用いて、ブロードキャスト通信モードおよびP2Pモード双方の通信を実現できる。
さらに、第3の通信を用いた種々のデータの送受信は、出力タイプがCMOS出力タイプであるDCA端子を用いて行われる。この構成により、CS端子の出力タイプをオープンドレインタイプで構成したとしても、高速通信を実現することが可能である。
(各端子の並び順)
以上までに説明したカメラ本体100および各カメラアクセサリの回路構成および動作に基づき、以降は、本実施形態に係るカメラマウントAおよびレンズマウントBに配された各端子の配置に関する詳細を説明する。
まず、MIF端子の配置に関する説明をする。ここで、仮にカメラ側マウントのMIF端子1005が、レンズマウントBに配されたMIF端子2005を除く他の端子(接点面)と摺動する位置に配されている、あるいは、MIF端子がDGND端子やPGND端子よりも先に接続完了する場合を想定する。この場合、カメラマウントAに対してレンズマウントBが完全に装着されていない状態では、カメラ本体100側からカメラアクセサリ側に電源の供給はされていない。したがって、レンズマウントBに設けられた各端子がカメラマウントA側の各端子と摺動することで、MIF端子1005がMIF端子2005以外の端子と接触してしまうこと、MIF端子1005が示す電圧レベルが瞬間的にLowとなる虞がある。
この場合、両マウント同士で対応する端子同士の接続が完了していない状態であるにも関わらず、カメラ本体100側においてカメラアクセサリが装着されたことを誤検出されてしまう。したがって、カメラ本体100にカメラアクセサリが完全に装着されていない状態で電源の供給が開始されてしまう場合があり、電源供給およびグランド接続が電気的に安定せずに、カメラ本体100およびカメラアクセサリの誤動作や不具合が生じる虞がある。この問題は、MIF端子同士の接続が各グラウンド端子同士よりも先に接続される場合も同様である。
以上説明した問題に対して本実施形態では、カメラマウントAおよびレンズマウントBにおいて、MIF端子1005、2005は、それぞれカメラマウント下段およびレンズマウント上段におけるレンズ装着方向の奥側に配されている。すなわち、本実施形態では、マウント同士の着脱に際して、カメラマウントA側のMIF端子1005がレンズマウントB側のMIF端子2005を除く他の端子の何れとも摺動しない位置に各端子が配される。この構成により、カメラ本体100側において、カメラアクセサリの装着が誤検出されることを防止できる。また、この構成により、電源系端子同士、およびグランド端子同士が確実に接続された状態で、カメラ本体100側からカメラアクセサリ側に対して電源の供給が行われる。したがって、本実施形態のカメラ本体100および各カメラアクセサリは、カメラ本体100およびカメラアクセサリの誤動作や不具合を低減することができる。
次に、第1通信部に対応するDLC端子、DCL端子、LCLK端子の配置に関して説明する。上述したように、カメラ本体100と第1の交換レンズ200および第2の交換レンズ300などとの間における駆動制御や状態情報の取得は、第1の通信を用いて行われる。換言すると、カメラ本体100を用いた被写体の撮影動作に必要な主要なデータの送受信は第1の通信を用いて行われる。仮に、端子同士の摺動によって第2、第3通信部に対応する端子が摩耗し、第2、第3通信部に対応する端子同士の電気的な接続が不安定であっても、第1通信が正確に行われるのであれば、撮影動作に係るカメラアクセサリの主要な駆動制御が可能である。したがって、第1通信部に対応する端子は、第2、第3通信部に対応する端子と比較して、撮像動作を行う上でより重要な端子である。
そこで、本実施形態のカメラマウントAにおいては、第1通信部に対応する各端子を、第2、第3通信部に対応する端子よりも、端子同士の摺動回数(接触回数)が少ない位置に配する。具体的に、本実施形態のカメラマウントAにおいて、第1通信部に対応するDLC端子、DCL端子、LCLK端子は、DLC2端子、CS端子、DCA端子よりも、レンズ装着方向の奥側に配する。また、カメラマウントAにおいて、第1通信部に対応するDLC端子、DCL端子、LCLK端子は、MIF端子の次に、端子同士の摺動(接触)回数が少ない位置に配する。したがって、レンズマウントBにおける各端子の配置は、カメラマウントAにおける各端子の配置とは逆転した位置となる。
この構成により、カメラ本体100に対するカメラアクセサリの着脱に回数に応じた端子同士の摺動(接触)に対する耐久性を、第1通信部に対応する各端子群の方が第2、第3通信部に対応する端子よりも高耐久にすることができる。したがって、本実施形態のカメラ本体100およびカメラアクセサリは、第1通信部に対応するDCL端子、DLC端子、LCLK端子に対応する接点ピンおよび接点面の摩擦に起因する通信不良を低減し、両者の通信信頼性を向上させることができる。
次に、図16を参照して、DGND端子およびCS端子の配置に関して説明する。図16は、本発明の実施形態に係るカメラマウントAおよびレンズマウントBにおけるCS端子、DCA端子、DGND端子の内部構成を例示的に説明する図である。図16(a)は、本実施形態で説明した端子の配設順とは異なり、仮にDGND端子に隣接してDCA端子が配された場合を示し、図16(b)は、本実施形態における端子の配設順を示した図である。
前述したように、DCA端子はCMOS出力タイプの端子なので、図16(a)に図示するように、DCA端子とDGND端子との端子間でショートが生じると、図中の矢印で示す向きに比較的大きい電流が流れてしまう。具体的に、DCA端子とDGND端子との端子間に導電性の異物などが付着した状態でDCA端子が示す電圧レベルをHigh出力にすると、CMOS出力タイプのDCA端子がDGND端子とショートしてしまう。この場合、図16(a)で示す矢印の経路に沿って、カメラ側のDGND端子側に意図しない大電流が流れる虞がある。そして、この場合、カメラ本体100の電気回路に不具合が生じてしまう虞がある。
これに対して、本実施形態では、図16(b)に図示するように、DGND端子をCS端子に隣接させている。前述した通り、CS端子はオープンタイプの出力を行う端子である。したがって、例えば、DGND端子とCS端子との間に導電性の異物などが付着するなどして、DGND端子とCS端子とがショートした場合でも、図16(b)で示す矢印の経路に沿って、微小な電流がDGND端子側に流れるだけである。具体的に、CS端子はオープンタイプの出力を示す端子なので、DGND端子とCS端子とがショートした場合であっても、カメラ側の電源からプルアップ抵抗を通じて電圧レベルが低い微小な電流がカメラ側のDGND端子側に流れるだけである。したがって、本実施形態のカメラ本体100およびカメラアクセサリは、上述の構成を採用することで、カメラ側のDGND端子を介したグランド側に大電流が流れることに起因して、カメラ本体100の電気回路に不具合が生じることを防止することができる。
次に、図17を参照して、DLC2端子とLCLK端子の配置に関して説明する。図17は、本発明の実施形態に係るLCLK端子に隣接させる端子の違いに応じて電気回路に生じる影響について例示的に説明する図である。図17(a)は、仮に、LCLK端子にCS端子を隣接させた場合を示す。図17(b)は、仮に、LCLK端子にDCA端子を隣接させた場合を示す。図17(c)は、LCLK端子にDLC2を隣接させた際に、両端子の間に異物が存在する場合について示す。図17(d)は、LCLK端子にDLC2を隣接させた際に、曲がった端子が隣接する端子と接触する場合について示す。なお、図17に示す各図は、カメラ本体100に変換アダプタ400を介して第2の交換レンズ300が装着された場合を示している。
図17(a)に図示するように、例えば、カメラ本体100と変換アダプタ400において、LCLK端子にCS端子が隣接して配された場合を想定する。なお、図17(a)では、変換アダプタ400のLCLK端子とCS端子との間に導電性の異物90が存在する場合であって、両端子間の導通がされることで端子間がショートする場合を示している。
変換アダプタ400を介してカメラ本体100に第2の交換レンズ300が装着された場合を想定する。この場合、図示するように、LCLK端子の信号ラインはカメラ本体100内の抵抗器R_LCLK_C120、及び第2の交換レンズ300内の抵抗器R_LCLK_L320を介してVDD(5.0V)にプルアップ接続される。一方、CS端子はカメラ本体100の内部に設けられた抵抗(抵抗器)、及び変換アダプタ400の内部に設けられた抵抗(抵抗器)を介して3.0Vの電圧レベルにプルアップ接続されるものとする。
この場合、LCLK端子とCS端子がショートすることで、LCLK端子の信号ライン側からCS端子の信号ライン側に、抵抗器R_LCLK_C120およびR_LCLK_L320を介して3.0V以上の電圧が印加されることになる。通常、第2・第3通信用I/F部102b及びアダプタ制御部401は、ともに電源電圧3.0Vの電源で動作している。しかしながら、上述したように、両端子がショートした場合は、第2・第3通信用I/F部102b及びアダプタ制御部401などの素子に上限電圧以上の電圧が印加されるため、変換アダプタ400およびカメラ本体100の電気回路に不具合が生じる虞がある。
ここで、上限電圧とは定格電圧であって、それぞれの端子に接続された電気回路に不具合が生じないような電圧を示す。あるいは、上限電圧とは動作電圧のことであって、それぞれの端子に接続された電気回路が正常に動作可能となる電圧を示す。
次に、図17(b)に図示するように、例えば、カメラ本体100と変換アダプタ400において、LCLK端子にDCA端子が隣接して配された場合を想定する。なお、図17(b)では、変換アダプタ400のLCLK端子とDCA端子との間に導電性の異物90が存在する場合であって、両端子間の導通がされることで端子間がショートする場合を示している。
変換アダプタ400を介してカメラ本体100に第2の交換レンズ300が装着された場合を想定する。この場合、図示するように、LCLK端子の信号ラインはカメラ本体100内の抵抗器R_LCLK_C120、及び第2の交換レンズ300内の抵抗器R_LCLK_L320を介してVDD(5.0V)にプルアップ接続される。一方、DCA端子はカメラ本体100の内部に設けられた抵抗(抵抗器)、及び変換アダプタ400の内部に設けられた抵抗(抵抗器)を介して3.0Vの電圧レベルにプルアップ接続されるものとする。
この場合、LCLK端子とDCA端子がショートすることで、LCLK端子の信号ライン側からDCA端子の信号ライン側に、抵抗器R_LCLK_C120およびR_LCLK_L320を介して3.0V以上の電圧が印加されることになる。通常、第2・第3通信用I/F部102b及びアダプタ制御部401は、ともに電源電圧3.0Vの電源で動作している。しかしながら、上述したように、両端子がショートした場合は、第2・第3通信用I/F部102b及びアダプタ制御部401などの素子に上限電圧以上の電圧が印加されるため、変換アダプタ400およびカメラ本体100の電気回路に不具合が生じる虞がある。
以上説明した理由により、レンズ装着方向の手前側において第1通信部に対応するLCLK端子に隣接する第2、第3通信部に対応する端子として、CS端子およびDCA端子を設定するのは望ましくない。
以降は、本実施形態の構成としてLCLK端子にDLC2端子を隣接させる場合について説明する。図17(c)に図示するように、LCLK端子とDLC2端子とが隣接して配置された場合、導電性の異物90が存在することで端子間がショートした場合を想定する。この場合、前述したように、第2の交換レンズ300は第2通信部に対応する端子(DLC2端子)を備えていないので、変換アダプタ400を介してカメラ本体100に第2の交換レンズ300が装着されたとしても第2の通信は行われない。すなわち、カメラ本体100に変換アダプタ400を介して第2の交換レンズ300を装着した場合、カメラ本体100と第2の交換レンズ300との間では、第2通信部に対応するDLC2端子は使用されない。
したがって、カメラ本体100に変換アダプタ400を介して第2の交換レンズ300が装着された場合は、仮に、LCLK端子とDLC2端子がショートしても、アダプタ制御部401など変換アダプタ400の電気回路に不具合が生じることはない。また、仮に、LCLK端子とDLC2端子がショートしても、第2の交換レンズ300、変換アダプタ400、カメラ本体100のそれぞれに設けられた抵抗器に基づく抵抗の分圧により、両端子に印加される電圧をそれぞれの上限電圧以下に抑制できる。この詳細については後述する。すなわち、第1通信部に対応する端子には、第2通信部に対応する端子(DLC2端子)を隣接して配置するのが好ましい。この構成により、本実施形態に係るカメラ本体100および変換アダプタ400は、変換アダプタ400およびカメラ本体100が備える各電気回路の不具合を防止できる。
なお、カメラ本体100に第1の交換レンズ200が装着される場合、第1通信部と第2通信部の通信電圧は同一(3.0V)である。この場合、LCLK端子とDLC2端子がショートしても、上述したように、カメラ本体100のI/F部102などの素子に上限電圧以上の電圧が印加されることはない。
また、カメラ本体100に第1の交換レンズ200が装着される場合、第2通信と第3通信が互いに独立して同時に使用される場合がある。この場合、第2通信部に対応するDLC2端子が第3通信部に対応するDCA端子とショートしても、第2通信部と第3通信部の通信電圧は同一(3.0V)であるので、第2、第3通信用I/F部102bに動作電圧以上の電圧が印加されることはない。
以上説明したように、第1通信部に対応する端子の隣りには第2通信部に対応する端子(DLC2端子)を配し、第2通信部に対応する端子の逆隣には第3通信部に対応する端子(CS端子またはDCA端子)を配するのが望ましい。すなわち、第3通信部に対応する端子は、第2通信部に対応するDLC2端子を挟んで、当該DLC2端子の一方で隣接した第1通信部に対応するLCLK端子の反対側において、当該DLC2端子と隣接するように配されるのが望ましい。この構成により、何れの交換レンズが直接的および間接的にカメラ本体100に装着された場合であっても、カメラ本体100および変換アダプタ400の電気回路に不具合が生じることを防止できる。
ここで、カメラ本体100の内部における各インターフェース部に印加される電圧について詳細を説明する。なお、ここでは、変換アダプタ400を介してカメラ本体100に第2の交換レンズ300が装着された場合を想定する。この場合、LCLK端子の信号ラインはカメラ本体100内の抵抗器R_LCLK_C120、及び第2の交換レンズ300内の抵抗器R_LCLK_L320を介してVDD(5.0V)にプルアップ接続される。一方、DLC2端子は、カメラ本体100の内部に設けられた抵抗器R_DLC2_C122、及び変換アダプタ400の内部に設けられた抵抗器R_DLC2_A422を介してDGND端子の信号ラインにプルダウン接続される。
ここで、R_LCLK_C120とR_LCLK_L320との合成抵抗をR_LCLK、R_DLC2_C122とR_DLC2_A422との合成抵抗をR_DLC2とする。また、上述したように端子間がショートした場合に、LCLK端子とDLC2端子の信号ラインに印加される電圧をV_ST1とする。合成抵抗R_LCLK、合成抵抗R_DLC2、印加電圧V_ST1はそれぞれ以下の式(1)、(2)、(3)で算出される。
R_LCLK=1/((1/R_LCLK_C120)+(1/R_LCLK_L320))・・(1)
R_DLC2=1/((1/R_DLC2_C122)+(1/R_DLC2_A422))・・(2)
V_ST1=5.0×(R_DLC2/(R_LCLK+R_DLC2))・・(3)
例えば、R_LCLKが10kΩ、R_DLC2が100kΩに設定した場合、式(1)、(2)、(3)に基づいて、印加電圧V_ST1≒4.5Vとなるため、第2・第3通信用I/F部102bの上限電圧(3.0V)を超えた電圧が印加されてしまう。
そこで、本実施形態では、例えば、R_LCLKが10kΩ、R_DLC2が10kΩと設定することで、印加電圧V_ST1=2.5Vが、第2・第3通信用I/F部102bの上限電圧(3.0V)以下となるように調整する。印加電圧を第2・第3通信用I/F部102bの上限電圧以下とするには、以下の式(4)を満たせばよい。
(R_DLC2/(R_LCLK+R_DLC2))≦(3.0/VDD)・・(4)
上述した式(4)を満たすように、R_LCLK_C120、R_LCLK_L320、R_DLC2_C122、及び、R_DLC2_A422の抵抗値を設定することで、第2・第3通信用I/F部102bを過電圧から保護することが可能となる。
ここで、本実施形態においてカメラ制御部101は、前述したように、所定の交換レンズが装着された直後にLCLK端子がLowレベルからHiレベルへ切り替わったことを検出する。また、交換レンズが第2の交換レンズ300である場合は、カメラ制御部101は第2の交換レンズ300側とオープンドレイン出力タイプの通信を行い、当該通信により第2の交換レンズ300がCMOS出力タイプの通信に対応しているか否かを判定する。そして、第2の交換レンズ300がCMOS出力タイプの通信に対応していると判定された場合に、LCLK端子及びDCL端子の出力方式をCMOS出力タイプに切り替える。ここで、LCLK端子とDCL端子の出力タイプをCMOS出力タイプに切り替えた場合、LCLK端子1008が示す電圧は、R_LCLK_C120を介することなく第1通信用I/F部102aから出力される電源電圧(5.0V)となる。
第1通信用I/F部102aのLCLK信号の入力端子のLowレベル入力閾値(VIL_LCLK)が0.5Vであり、また、R_LCLK=10kΩ、R_DLC2_A422=470Ω、R_DLC2_C122=10kΩであると仮定する。この場合、式(2)、(3)に基づいて、印加電圧V_ST1≒0.2Vは、第1通信用I/F部102aのLowレベル入力閾値よりも小さいので、カメラ制御部101は交換レンズとの通信不可と判断し、レンズ側との通信を開始しないように制御する。
この構成により、カメラ本体100側において、LCLK端子の出力タイプがCMOS出力タイプに切り替わることはないため、第2・第3通信用I/F部102bなどの素子に上限電圧以上の電圧が印加されることを防止できる。カメラ本体100側において、LCLK端子の出力タイプがCMOS出力タイプに切り替わるのを防止するには、以下の式(5)を満たせばよい。
(R_DLC2/(R_LCLK+R_DLC2))≦VIL_LCLK・・(5)
上述した式(5)を満たすように、R_LCLK_C120、R_LCLK_L320、R_DLC2_C122、及び、R_DLC2_A422の抵抗値を設定することで、第2・第3通信用I/F部102bを過電圧から保護することが可能となる。
ただし、上述した式(5)を満たす場合であっても、R_DLC2_C122の抵抗値が小さいと、DLC2端子を用いた第2通信の際に、レンズ側I/F部202の端子電流を大きい値に設定しなければならない。例えば、R_DLC2_A422が10kΩ、R_DLC2_C122が470Ωとする場合が該当する。これに対して本実施形態では、第2通信を考慮して、R_DLC2_C122=10kΩよりもR_DLC2_A422が470Ωの抵抗値が小さくなるように各抵抗の値を設定する。
次に、図17(d)に図示するように、LCLK端子とDLC2端子とが隣接して配置された場合、カメラ本体100側に設けられたDLC2端子1009の接点ピンが曲がり、隣接するLCLK端子との間でショートした場合を想定する。なお、LCLK端子、及び、DLC2端子の端子処理については、前述した通りなので説明は省略する。
ここで、図10(d)に図示するような場合に、カメラ本体100側のLCLK端子およびDLC2端子1009に印加される電圧をV_ST2とする。この場合、印加電圧V_ST2は式(6)で算出される。
V_ST2=5.0×R_DLC2_C122/(R_LCLK+R_DLC2_C122)・・(6)
例えば、R_LCLKが10kΩ、R_DLC2_C122が100kΩであるとすると、式(1)、(6)に基づいて、V_ST2≒4.5Vとなるため、第2・第3通信用I/F部102bの上限電圧(3.0V)を超えた電圧が印加されてしまう。この場合、前述したように、第2・第3通信用I/F部102bを含むカメラ本体100の電気回路に不具合が生じる虞がある。
そこで、本実施形態では、例えば、R_LCLK=10kΩ、R_DLC2_C122=10kΩと設定することで、印加電圧V_ST2=2.5Vが、第2・第3通信用I/F部102bの上限電圧(3.0)以下となるように調整する。印加電圧が第2・第3通信用I/F部102bの上限電圧以下となるには以下の式(7)を満たせばよい。なお、第2、第3通信用I/F部102bのDLC2信号の入力端子のHighレベル入力閾値をVIH_DLC2とする。
VIH_DLC2≦R_DLC2/(R_LCLK+R_DLC2)≦(3.0/VDD)・・(7)
上述した式(7)を満たすように、R_LCLK_C120、R_LCLK_L320、R_DLC2_C122の抵抗値を設定することで、第2・第3通信用I/F部102bを過電圧から保護することが可能となる。
ここで、変換アダプタ400を介してカメラ本体100に第2の交換レンズ300が装着されている場合、DLC2端子は変換アダプタ400内部に設けられた抵抗(抵抗器)R_DLC2_A422を介してDGND信号ラインにプルダウン接続される。この場合、カメラ制御部101に設けられたDLC2入力端子(DLC2_IN)には、Lowレベルの電圧が入力されることが期待される。
DLC2信号の入力端子のHighレベル入力閾値をVIH_DLC2が2.3Vであり、R_LCLKが10kΩ、R_DLC2_C122が10kΩであると仮定する。この場合、式(6)に基づいて、印加電圧V_ST2=2.5Vが、閾値VIH_DLC2の電圧レベルを上回るため、カメラ制御部101はDLC2端子がHighレベルの電圧出力であると判断されてしまう。したがって、DLC2入力端子(DLC2_IN)には、入力が期待されるLowレベルではなくHighレベルの電圧が入力されるため、この場合は、端子に異常がある旨を検出することができる(エラー検出)。なお、この場合、LCLK端子1008はオープンドレインタイプの出力状態を維持したままであって、さらにユーザに対して各マウントに設けられた端子の状態を確認する旨の警告表示を行う(エラー処理)。
この構成により、端子の折れによりLCLK端子とDLC2端子がショートした場合であっても、カメラ本体100のLCLK端子1008がCMOS出力タイプの端子に切り替わることはなく、第2・第3通信用I/F部102bを過電圧から保護できる。
なお、第2、第3通信部の通信電圧についても、第1通信部と同電圧となるように、装着される交換レンズに応じて切り替える構成であれば、端子間がショートした際の電気回路の不具合を防ぐことができる。しかしながら、通信に係る消費電力を少なくし、また、通信を高速化するために、第2、第3通信部の通信電圧は、第1通信部の通信電圧の中で最も低い電圧に合わせて設定する。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。例えば、前述した実施形態では、撮像装置であるカメラ本体100の一例としてデジタルカメラを採用した場合について説明したが、デジタルビデオカメラやセキュリティカメラなど、デジタルカメラ以外の撮像装置を採用する構成であってもよい。
また、前述した実施形態では、本発明を実施するカメラアクセサリの一例として交換レンズ、変換アダプタ、中間アクセサリを採用した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、カメラアクセサリとしては、カメラ本体100のカメラマウントAに直接的および間接的に結合(装着)可能なものであれば、上述した以外の機器を採用してもよい。
また、前述した実施形態では、図4(a)、(b)に図示するように、カメラ本体100を撮影時に被写体が面する側から見た際に、カメラマウントAに対してレンズマウントBを右周りに相対回転する方向を装着方向としたが、これに限定されるものではない。例えば、カメラ本体100を撮影時に被写体が面する側から見た際に、カメラマウントAに対してレンズマウントBを左周りに相対回転する方向を装着方向としてもよい。この場合、少なくとも、前述した各マウントに配された各端子の配列を逆転すればよい。
また、前述した実施形態では、カメラマウントAを基準としてレンズ装着方向(アクセサリ装着方向)を定義し、各マウントにおける端子の配置について説明したが、レンズマントBを基準とした場合は、端子の配置関係は逆転する。例えば、レンズマウントBを基準とした場合は、VDD端子2001がカメラマウントAに配された何れかの端子と最初に接触するため、VDD端子2001が配された側を、レンズ装着方向の手前側とする。あるいは、カメラマウントAおよびレンズマウントBの相対的な装着方向(回転方向)で各端子の配置を定義してもよい。この場合、カメラマウントAの端子のうち、最後にレンズマウントBに設けられた端子と接触するVDD端子が位置する側が奥側、レンズマウントBの端子のうち、最初にカメラマウントAに設けられた端子と接触するVDD端子が位置する側が手前側となる。また、カメラマウントAの端子のうち、最初にレンズマウントBに設けられた端子と接触するDGND端子が位置する側が手前側、レンズマウントBの端子のうち、最後にカメラマウントAに設けられた端子と接触するDGND端子が位置する側が奥側となる。
なお、上述したレンズマウントの装着方向の最も奥側および手前側とは、カメラ本体100にカメラアクセサリを装着した際に、カメラ・レンズマウントの双方に対応する端子が存在する範囲の中における位置を示している。したがって、例えば、カメラ本体100に装着可能なカメラアクセサリのマウントにおいて、カメラ本体100側が備えない端子が存在する場合、当該端子が配される位置については問わない。なお、前述した実施形態で説明した各カメラアクセサリを装着可能な撮像装置においても同様に、カメラアクセサリ側が備えない端子が存在する場合、当該端子が配される位置については問わない。
また、前述した実施形態では、撮像装置側のマウントに設けられた端子が接点ピンであって、アクセサリ側のマウントに設けられた端子が接点面である場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、撮像装置側のマウントに接点面を設け、アクセサリ側のマウントに当該接点面に対応する接点ピンを設け、それぞれ対応する接点面と接点ピンとが電気的に接続可能となる構成であってもよい。この場合、上述した実施形態において説明したカメラマウントおよびアクセサリマウントそれぞれの特徴は、対応するアクセサリマウントおよびレンズマウントにおいても実施可能である。
前述した実施形態に係る撮像装置およびアクセサリとしては、例えば、カメラマウントに設けられた端子を接点面とする場合、カメラマウントに設けられた各接点面のマウントの円周方向の幅を適宜調整する構成であってもよい。また、アクセサリマウントに設けられた端子を接点ピンとする場合、アクセサリマウントに設けられた各接点ピンのピン間のピッチを適宜調整する構成であってもよい。
また、前述した実施形態では、図12、図13に図示したフローに従ったコンピュータプログラムを予めメモリ(不図示)に格納し、カメラ制御部101が該プログラムを実行する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、該プログラムは、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。また、プログラムを供給するためのメモリに該当する記録媒体としては、例えば、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、光/光磁気記録媒体でもあってもよい。
また、前述した実施形態では、カメラマウントAとレンズマウント(アクセサリマウント)Bの何れかを備えた機器を他方のマウントを備えた機器に対して実際に回転させることで、双方の機器同士をバヨネット結合する構成について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、カメラマウントAとレンズマウントB同士を相対的に回転させる構成を採用して、双方のバヨネット結合を可能とする構成であってもよい。以下、図20〜22を参照して、この構成を採用した本発明の変形例について具体的に説明する。
図20は、本発明の変形例に係るマウント機構5000の分解斜視図である。図21は、本発明の変形例に係るマウント機構5000の非結合状態について例示的に説明する図である。図22は、本発明の変形例に係るマウント機構5000の結合状態について例示的に説明する図である。なお、図20〜22においては、説明のために、マウント機構5000の可動マウント部5010とバヨネット結合が可能なレンズマウントBを同時に図示している。また、前述した実施形態と同一の部材については説明を省略し同一の符号を付す。
図20に図示するように、本変形例のマウント機構5000は、光軸3000を中心軸として、レンズマウントBが取り付けられる側から順に、操作部5030、固定マウント部5020、可動マウント部5010、接点保持部材105の順に各部材が配されている。操作部材5030は、中心軸を中心に回転可能なリング状の操作手段であって、腕部5040により、可動マウント部5010とビスで固定されている。なお、本変形例では、中心軸に対して直交方向に配された2つの腕部5040を用いて、操作部材5030と可動マウント部5010とが計2箇所で固定されている。この構成により、操作部材5030が回転操作されることに応じて、可動マウント部5010も一体的に中心軸を中心として回転する。
可動マウント部5010には、レンズマウントBに設けられた複数の爪(バヨネット爪)のそれぞれとバヨネット結合が可能な可動マウント爪部5011a、5011b、5011cが設けられている。また、可動マウント部5010には、中心軸回りにねじ切りされたねじ部5012が設けられており、可動マウント部5010の中心軸回りの回転に伴って、後述する固定マウント部5020のねじ部5022との螺合状態が変化する。
固定マウント部5020には、レンズマウントBのマウント面と当接するカメラマウント面5021と、前述した可動マウント部5010のねじ部5012と螺合するねじ部5022が備えられている。固定マウント部5020は、前述した可動マウント部5010とは異なり、操作部材5030の回転操作に応じて、中心軸回りに回転することはない。
次に、図21、22を参照して、本変形例に係るマウント機構のバヨネット結合方法について説明する。なお、レンズマウントBに設けられた各爪は、操作部材5030の開口部分および固定マウント部5020の開口部分を挿通した状態で、可動マウント5010の可動マウント爪部5011a〜cと係合可能な状態となる。図21(a)−(c)に図示する状態は、操作部材5030が非ロック位置に位置する状態である。この状態では、レンズマウントBのマウント当接面と固定マウント部5020のカメラマウント面(マウント当接面)5021とが当接するが、中心軸方向から見て、レンズマウント301および可動マウント5010のそれぞれの爪部同士が互いに係合しない(重ならない)。図21(c)は、図21(b)に図示するC−C断面の断面図を示す。この状態から、操作部材5030を回転操作した状態のマウント機構5000を例示するのが図22である。
図22に図示する状態は、操作部材5030がロック位置に位置する状態である。この状態では、中心軸方向から見て、レンズマウントBおよび可動マウント5010のそれぞれの爪同士が、マウント中心軸と平行な方向において互いに重なり係合する。そして、この状態では、操作部材5030の回転操作に伴って、固定マウント部5020のねじ部5022と可動マウント部5010のねじ部との螺合状態が変化し、可動マウント部5010がマウントの中心軸と平行な方向において、撮像装置側へと移動する。図22(c)は、図22(b)に図示するC−C断面の断面図を示す。図21(c)および図22(c)に図示するように、マウント機構5000の非ロック状態がロック状態に変化することに応じて、マウント中心軸(すなわち光軸)と平行な方向において、可動マウント部5010が固定マウント部5020から離れる方向に移動する。この構成により、レンズマウントBに設けられたバヨネット爪と係合した状態の可動マウント爪部5011a〜5011cのそれぞれが、撮像装置側へと移動する。
以上説明したように、本変形例のマウント機構5000は、レンズマウント側の爪と係合可能な爪を備えた可動マウント部がマウントの中心軸回りに回転することで、可動マウント部が固定マウント部に対してマウントの中心軸と平行な方向に移動できる。この構成により、本変形例のマウント機構5000は、レンズマウントとカメラ側のマウントとの結合状態において、両者の間に生じる隙間(ガタ)の発生を低減することが出来る。
なお、上述した変形例では、撮像装置側にマウント機構5000を設ける構成について説明したが、例えば、交換レンズなどのカメラアクセサリ側にマウント機構5000を備える構成に適用可能である。
(その他の実施形態)
また本発明は、上述の実施形態の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現できる。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現できる。