図1(A)には、本発明の実施例1であるカメラアクセサリとしての交換レンズ100と、該交換レンズ100が取り外し可能に装着されたカメラ10とにより構成されたカメラシステムを示している。カメラ10と交換レンズ100はそれぞれ、カメラ10から交換レンズ100に電源を供給したり相互に通信したりするための電気的接点を備えたマウント1を有する。なお、本実施例ではカメラに装着可能なカメラアクセサリとして交換レンズについて説明するが、交換レンズ以外のカメラアクセサリも本発明の他の実施例として含まれる。
カメラ10は、交換レンズ100内の撮影レンズ101により形成された光学像としての被写体像を光電変換して電気信号を出力するイメージセンサ(撮像素子)11を有する。また、カメラ10は、イメージセンサ11から出力されたアナログ電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換部12と、該デジタル信号に対する各種画像処理を行って映像信号を生成する画像処理部13とを有する。画像処理部13にて生成された映像信号(静止画像や動画像)は、表示部14に表示されたり、記録媒体15に記録されたりする。
さらに、カメラ10は、映像信号に対する処理を行う際のバッファとしての機能を果たすとともに、後述するカメラ制御部18が用いる動作プログラムを格納するメモリ16を有する。また、カメラ10は、電源のオン/オフを行うための電源スイッチ、映像信号の記録を開始させる撮影スイッチおよび各種メニューの設定を行うための選択/設定スイッチ等を含む操作入力部17を有する。カメラ制御部18は、マイクロコンピュータを含み、操作入力部17からの信号に応じて画像処理部13を制御したり、交換レンズ100との通信を制御したりする。
一方、交換レンズ100は、撮影レンズ101に含まれる不図示のフォーカスレンズ、ズームレンズ、絞りおよび防振レンズなどの光学部材を移動または動作させるアクチュエータを駆動するレンズ駆動部102を有する。さらに、交換レンズ100は、カメラ制御部18から通信によって受け取った制御信号に応じてレンズ駆動部102を制御するマイクロコンピュータを含むレンズ制御部103を有する。
図1(B)には、カメラ10(カメラ制御部18)と交換レンズ100(レンズ制御部103)との電気的接続を行うためにマウント1に設けられた端子を示している。
LCLK端子(1−1)は、カメラ10から交換レンズ100に出力される通信クロック信号用の端子である。DCL端子(1−2)は、カメラ10から交換レンズ100に出力される通信データ用の端子である。DLC端子(1−3)は、交換レンズ100からカメラ10に出力される通信データ用の端子である。
MIF端子(1−4)は、カメラ10に交換レンズ100が装着されたことを検出するための端子である。カメラ制御部18内のマイクロコンピュータ(以下、カメラマイコンという)20は、MIF端子の電圧の変化に伴って、信号が変化して、交換レンズ100がカメラ10に装着されたことを検出する。
DTEF端子(1−5)は、カメラ10に装着された交換レンズ100の種類を検出するための端子である。カメラマイコン20は、DTEF端子の電圧信号に基づいて、カメラ10に装着された交換レンズ100の種類を検出する。すなわち、DTEF端子は、装着された交換レンズ100の種別をカメラマイコン20が判断するために利用される端子である。
VBAT端子(1−6)は、カメラ10から交換レンズ100に、通信制御を除く各種動作に用いられる駆動力としての駆動用電源(VM)を供給するための端子である。VDD端子(1−7)は、カメラ10から交換レンズ100に、通信制御に用いられる通信電力としての通信制御用電源(VDD)を供給する端子である。通信電力は、VDD端子の電圧によりカメラ10から交換レンズ100に供給する。DGND端子(1−8)は、カメラ10と交換レンズ100の通信制御系をグランドに接続する端子である。つまり、接地(GND)端子である。ここでの接地(GND)は、電池などの電源の負極側と同レベルにすることである。PGND端子(1−9)は、カメラ10と交換レンズ100に設けられたモータ等を含むメカニカル駆動系をグランドに接続するための端子である。つまり、接地(GND)端子である。
以下、カメラ10がDTEF端子の電圧に基づいて識別する交換レンズ100の種類に、第1の交換レンズと、該第1の交換レンズとは通信電圧が異なる第2の交換レンズとがある場合について説明する。通信電圧については後述する。
カメラ制御部18内に設けられたカメラ電源部21は、カメラ10に搭載された不図示のバッテリから供給されたバッテリ電圧を各回路の動作に必要な電圧に変換する。この際、電源部21は、電圧V1,V2,V3,VMを生成する。
電圧V1は、第1および第2の交換レンズの通信制御用電源(VDD)としての電圧であるとともに、第1の交換レンズの通信電圧である。電圧V2は、第2の交換レンズの通信電圧である。V3はカメラマイコン20の動作用電源としての電圧である。VMは前述したように第1および第2の交換レンズの駆動用電源としての電圧である。なお、V1とV2は互いに異なる電圧であるが、V1とV3又はVMが同じ電圧であってもよいし、V2とV3又はVMが同じ電圧であってもよい。
例えば、交換レンズがカメラマウントに装着された状態で、カメラが動作状態になると、カメラマイコン20は、CNT_VDD信号により、電源スイッチ22がオンされる。そうすると、カメラ10から交換レンズ100へ通信制御用電源(VDD)を供給することを開始する。カメラがオフ状態になると、マイコン20により、電源スイッチ22がオフされ、カメラ10から交換レンズ100への通信制御用電源(VDD)の供給を停止する。
カメラが動作状態となり、カメラ10から交換レンズ100へのVDDが供給されているとき、カメラ10と交換レンズ100との間で、通信が行われる。カメラマイコン20は、例えばフォーカス制御指示や絞り制御指示などカメラ動作に応じて、交換レンズ102のレンズ駆動部102の駆動を、レンズマイコン211へ通信により指示を行う。このとき、レンズ駆動部102を駆動させる指示に対応する信号の送信の前に、カメラマイコン20は、CNT_VBAT信号により、電源スイッチ23をオンにする。そうすると、カメラ10は、駆動用電源(VM)を交換レンズ100へ供給する。レンズ駆動部102の駆動が終了すると、当該終了に対応する情報を交換レンズ102からカメラマイコン20は受信する。そして、カメラマイコン20は、CNT_VBAT信号により、電源スイッチ23をオフにする。これにより、駆動用電源(VM)の供給を停止する。
レンズ制御部103内の通信制御用電源(VDD)と駆動用電源(VM)のそれぞれのラインには、レンズ制御の動作の安定化や静電気による電気素子の破損防止などのために、コンデンサC1、C2が接続されている。
電源スイッチ22がオンされると、カメラマイコン20は、カメラ10から交換レンズ100へのVDDとVMの供給を開始する。電源スイッチ22がオフされると、カメラマイコン20は、カメラ10から交換レンズ100へのVDDとVMの供給を停止する。
カメラマイコン20は、電圧変換部23を介して交換レンズ100との通信を行う。カメラマイコン20は、通信用クロック信号を出力するLCLK_OUT端子と、交換レンズ100への通信データを出力するDCL_OUT端子と、交換レンズ100からの通信データの入力を受けるDLC_IN端子とを有する。また、カメラマイコン20は、交換レンズ100の装着を検出するためのMIF_IN端子と、交換レンズ100の種類を識別するためのDTEF_IN端子と、電圧変換部23への通信電圧切り替え信号を出力するCNT_V_OUT端子とを有する。さらに、カメラマイコン20は、電源スイッチ22の通電信号を出力するCNT_VDD_OUT端子と、画像処理部13との接続端子と、操作入力部17との接続端子とを有する。電圧変換部23の動作については後述する。
レンズ電源部214は、カメラ10から交換レンズ100に供給されたVDD(V4)を電圧V5に変換する。レンズ制御部103内のマイクロコンピュータ(以下、レンズマイコンという)211は、上述した電圧変換部23を介してカメラマイコン20と通信を行う。レンズマイコン211は、通信用クロック信号の入力を受けるLCLK_IN端子と、カメラ10への通信データを出力するDLC_OUT端子と、カメラ10からの通信データの入力を受けるDCL_IN端子と、レンズ駆動部102との接続端子とを有する。
交換レンズ100のカメラ10への装着検出について説明する。カメラマイコン20のMIF_IN端子は、抵抗R2(100KΩ)によって電源にプルアップされているので、レンズ未装着時にはH(High)となる。しかし、MIF_IN端子は、交換レンズ(第1および第2の交換レンズ)100が装着されると交換レンズ100においてGNDに接続されるため、交換レンズ100の種類にかかわらず交換レンズ100が装着された時点でL(Low)となる。このMIF端子は、電圧信号の変化の検出を利用して交換レンズ100の装着を検出ための端子である。
レンズ種類判定部213の構成例を、図13を用いて説明する。レンズ種類判定部213は、マウント1に設けられたDTEF端子とGNDとの間に設けられた抵抗RLにより構成される。抵抗RLの抵抗値は、交換レンズの種類に応じた値を予め設定しておく。例えば、図13(A)に示す第1の交換レンズに設けられた抵抗RLでは0Ωとし、図13(B)に示す第2の交換レンズに設けられた抵抗RLでは300KΩとする。
カメラ10では、マウント1のDTEF端子とカメラマイコン20の動作用電源の電圧(V3)との間に抵抗R1(例えば100KΩとする)が接続され、さらにDTEF端子がカメラマイコン20のDTEF_IN端子に接続される。カメラマイコン20のDTEF_IN端子は、AD変換機能(ここでは10BitのAD変換機能とする)を備えている。
カメラマイコン20による交換レンズの種類判定の動作について説明する。カメラマイコン20は、DTEF_IN端子に入力される電圧値に応じて、装着された交換レンズの種類判定を行う。具体的には、カメラマイコン20は、入力された電圧値をAD変換し、そのAD変換値とカメラマイコン20が予め有するレンズ種類判定基準とを比較することでレンズ種類判定を行う。
例えば、第1の交換レンズが装着された場合は、DTEF_IN端子に入力される電圧のAD変換値は、R1の100KΩとRLの0Ωとの抵抗比RL/(R1+RL)で、およそ「0x0000」と決まる。このため、カメラマイコン20は、DTEF_IN端子のAD変換値が第1のレンズ種類判定基準である「0x0000〜0x007F」の範囲内にあることを検出して、装着された交換レンズが第1の交換レンズであると判定する。一方、第2の交換レンズが装着された場合は、DTEF_IN端子に入力される電圧のAD変換値はR1の100KΩとRLの300KΩとの抵抗比RL/(R1+RL)で、およそ「0x02FF」と決まる。このため、カメラマイコン20は、DTEF_IN端子のAD変換値が第2のレンズ種類判定基準である「0x0280〜0x037F」の範囲内にあることを検出して、装着された交換レンズが第2の交換レンズであると判定する。
なお、上記説明では、第1の交換レンズにおける抵抗RLの抵抗値を0Ωとしたが、0Ωの抵抗を用いずに、直接GNDに接続する形態を採用してもよい。
電圧変換部23の構成例を図14に示す。電圧セレクタ51は、VIN1端子とVIN2端子に入力された2つの電圧からSEL端子の論理に応じて、いずれか一方の電圧をOUT端子に出力する機能を有する。具体的には、SEL端子がLのときはVIN1端子の電圧を出力し、SEL端子がHのときはVIN2端子の電圧を出力する。VIN1端子にはV1が、VIN2端子にはV2が、SEL端子にはカメラマイコン20のCNT_V_OUT端子がそれぞれ接続されている。OUT端子の出力を、以下、VSという。
レベルシフタ52,53,54は、SIN端子に入力された信号をVIN端子の電圧からVOUT端子の電圧に変換して、SOUT端子から出力する機能を有する。
レベルシフタ52のSIN端子にはカメラマイコン20のLCLK_OUT端子が接続され、SOUT端子がマウント1のLCLK端子に接続される。また、VIN端子にはカメラマイコン20の動作用電源電圧と同じV3が接続され、VOUT端子には電圧セレクタ51から出力されたVSが接続される。レベルシフタ53のSIN端子には、カメラマイコン20のDCL_OUT端子が接続され、SOUT端子がマウント1のDCL端子に接続され、VIN端子がカメラマイコン20の動作用電源電圧と同じV3が接続される。VOUT端子には、電圧セレクタ51から出力されたVSが接続される。レベルシフタ54のSIN端子にはマウント1のDLC端子が接続され、SOUT端子にはカメラマイコンのDLC_IN端子が接続され、VIN端子には電圧セレクタ51から出力されたVSが接続される。また、VOUT端子には、カメラマイコン20の動作用電源電圧と同じV3が接続される。このように、電圧セレクタ51から出力されるVS(つまりはV1又はV2)が、カメラ10と交換レンズ100間での通信電圧となる。
電圧変換部23での電圧切替動作について説明する。カメラマイコン20は、表1に示す論理表に従って、CNT_V_OUT端子を制御する。
前述したように、カメラマイコン20は、装着された交換レンズ100の種類を、DTEF_IN端子に入力される電圧値(AD変換値)に基づいて判定する。そして、該交換レンズの種類の判定結果に応じて、CNT_V_OUT端子から出力される論理を制御する。具体的には、カメラマイコン20がDTEF_IN端子の電圧値から、装着された交換レンズ100が第1の交換レンズであると判定した場合は、カメラマイコン20は、CNT_V_OUT端子からHを出力して通信電圧をV1に制御する。また、カメラマイコン20がDTEF_IN端子の電圧値から、装着された交換レンズ100が第2の交換レンズであると判定した場合は、カメラマイコン20は、CNT_V_OUT端子からLを出力して通信電圧をV2に制御する。
DTEF_IN端子の電圧値(AD変換値)として上述した第1および第2のレンズ種類判定基準外の範囲の電圧値を検出した場合は、カメラマイコン20は、カメラ10が対応していない交換レンズである「非対応レンズ」が装着されたものと判定する。または、レンズ種類判定が正常に行えないとして該判定を留保(Reserved)する。これらの場合は、カメラマイコン20は、交換レンズ100との通信を行わない。
図15には、カメラマイコン20のMIF_IN端子、DTEF_IN端子、CNT_V_OUT端子、CNT_VDD_OUT端子およびマウント1のLCLK端子の入出力タイミングの例を示している。図15(A)は第1の交換レンズが装着された場合を、同図(B)は第2の交換レンズが装着された場合をそれぞれ示している。t0はレンズ装着中におけるDTEF_IN端子への電圧入力時を、t1はレンズ装着中におけるMIF_IN端子への電圧入力時を示している。さらに、t2はカメラ起動(電源ON)時を、t3はレンズ種類判定と通信電圧設定時を、t4は装着された交換レンズ100に対する通電と通信の開始時を示している。なお、t0とt1は同時であってもよい。ここで、DTEF_IN端子とMIF_IN端子への電圧入力タイミングは上述したt0とt1であるが、カメラマイコン20での読み込みのタイミングは、MIF_IN端子がLになった後にDTEF_IN端子の電圧値を読み込むという順番になっている。
第1および第2の交換レンズのいずれが装着された場合でも、DTEF_IN端子への電圧入力の後(又はこれと同時)に、MIF_IN端子に電圧が入力される(t0,t1)。そして、カメラ起動がなされると(t2)、レンズ種類判定とその判定結果に応じた通信電圧の設定が行われ(t3)、その後、交換レンズ100に対する通電および通信が開始される(t4)。カメラ起動が行われた後に、交換レンズがカメラに装着される場合もあるが、この場合も、t0,t1とt2の順序は逆になるが、DTEF_IN端子への電圧入力後(又はこれと同時)にMIF_IN端子に電圧が入力される。
このようなレンズ装着時の動作(又は制御)を行う場合、交換レンズ100が第1および第2の交換レンズのいずれかにかかわらず、またカメラ起動のタイミングにかかわらず、マウント1にてDTEF端子がMIF端子より早く(又は同時に)接続される必要がある。これは以下の理由による。上述したように、カメラマイコン20は、MIF_IN端子がLになったらDTEF_IN端子の電圧値を読み込む。ここで、MIF_IN端子がLになったにもかかわらずDTEF端子が接続されていないと、上述のように非対応レンズの判定となり、カメラマイコン20は、交換レンズ100との通信を行わない。そのため、交換レンズ100の種類を判別して適切な通信電圧で交換レンズ100との通信を行うためには、MIF_IN端子がLになった時点でDTEF端子が確実に接続される必要がある。
<マウント端子の並び順について>
ここで、本実施例のポイントであるマウント端子の並び順について、図1(C)を用いてさらに説明する。
まず、MIF端子が一番端、図1(C)の紙面に向かって、VDD端子やVBAT端子よりも上にある理由について説明する。
仮にMIF端子がこの位置にないと仮定する。交換レンズ装着しようと回転させていく過程(図1(C)で図示した装着方向に、カメラ10に対して交換レンズ100が相対的に(回転)移動する過程)を説明する。これは、後述する第1の状態から後述する第2の状態へ移行する過程である。この場合、交換レンズ100側のMIF端子より装着方向と反対方向(図1(C)の紙面に向かって下側)にある端子と接触することになる。その接触する端子が、VDDやVMの端子であるならば、カメラ10のMIF端子が、その接触によりLOW側に移行する。これは、交換レンズ100のVDDもしくはVMのラインに接続されているコンデンサ容量に貯められている電荷によるものである。
つまり前述のように、MIF_IN端子がLOW状態になったとき、DTEF端子が確実に接続される必要があるところ、このLOW状態に移行ことにより、カメラ10は、交換レンズ100に対して通信制御用電源(VDD)の供給を始めてしまうおそれがある。これは、無用の電力を消費するばかりか、異なった通信電圧で通信を始めるため、交換レンズ100の電気回路にダメージを与える可能性も懸念されかねない。さらに、通信エラーも起こり、カメラのラッチアップや誤表示などのおそれもある。
この点、MIF端子より端の端子を通信制御用電源(VDD)や駆動用電源(VM)などコンデンサ容量のついてない端子にしたとしても、端子や配線がある限り、寄生容量があるため、MIF端子が一瞬LOWに引かれる可能性を少なくすることができる程度である。
よって、MIF端子が一番端、図1(C)の紙面に向かって、VDD端子やVBAT端子よりも上に設けている。
次にVDD端子、VM端子を第2、第3のカメラ側接点、および第2、第3のカメラアクセサリ接点にする理由を述べる。
VDD端子、VM端子は、通信制御用電源(VDD)や駆動用電源(VM)の供給の端子であり、双方とも電源の供給にかかる端子である。一般に、こうした電源端子は、通過する電流が比較的大きな電流値となる。一方で、接続される端子の接触インピーダンスが高いと電圧降下が大きくなる。したがって、交換レンズ100にとっては、電圧降下が大きい場合、電気回路の動作許容電圧範囲を下回り、誤動作する可能性が出てくる。
さらに、交換レンズ式のカメラに於いては、その交換レンズの交換回数が多くなれば多くなるほど、カメラ側の接点が交換レンズの接点ピンとこすれる回数が増え、接点が摩耗し、接触インピーダンスが上がってくることが予想される。カメラ側の端子は、後述するように接点ピンで構成され、端の方にあればあるほど、こすれる回数は減る(図3(C)参照)。つまり、第1のカメラ側のMIF端子は、1回の交換レンズ装着において、第1のカメラアクセサリ接点であるアクセサリ側のMIF端子と接触するが、他の端子と接触しない。第2のカメラ側接点であるVDD端子は、1回の交換レンズ装着操作/装着処理において、第1、第2のカメラアクセサリ接点であるアクセサリ側のMIF端子、VDD端子とこすれることとなる。第3のカメラ側接点であるVM端子は、第1、第2、第3のカメラアクセサリ接点であるアクセサリ側のMIF端子、VDD端子、VM端子と1回の交換レンズ装着操作/装着処理においてこすれます。つまり、電源を供給するカメラ側の接点は、なるべく端の方に配置した方が、接点の信頼性という観点、交換レンズの交換耐久回数において有利といえる。よって、VDD端子、VM端子を第2、第3のカメラ側接点、および第2、第3のカメラアクセサリ接点とする。
さらに、第2と第3の順番をなぜこの順番にしたのかという理由は、交換レンズの脱着の際の状況を考慮したことにある。すなわち、交換レンズカメラシステムでは、ユーザーが、すばやく交換レンズを交換することがある。そのため、電源がONされている状態など、場合によっては、レンズ駆動部102が動作している際に交換レンズの脱着がなされ得るおそれがある。もし、第2の接点をVMに第3の接点をVDDにしたと仮定すると、第2のカメラアクセサリ接点VMと第3のカメラ側接点VDDが交換レンズ脱着の過程で接触し、電気的接続がなされ得るおそれがある。第2のカメラアクセサリ接点VMの方は、レンズ駆動部102の動作がすぐに止められていない可能性があり、レンズ駆動部が動作していないときに比べて大きな電流を流しているときがある。第3のカメラ側接点VDDの方は、VMほどの大きな電流を流す必要がなく、VDD端子と接続される回路は、比較的に大きな電流が流れると回路が損傷を受けるおそれ、想定外の電流を流さないために設定してある電流ヒューズが切れるおそれがある。
したがって、本実施例では、第2の接点をVDDに第3の接点をVMとしている。これによれば、仮にレンズ駆動部102が動作している際に交換レンズの脱着がなされ得る場合があっても、第3のカメラ側接点VDDに流れる電流は、カメラ側接点VDDが流す想定の電流よりも充分に小さくすることができる。交換レンズ脱着の過程で接続される端子は、第2のカメラアクセサリ接点であるVDDと第3のカメラ側接点VMとなり、VDDに流す電流は、VMのレンズ駆動部102の駆動にかかる電流に対応して考えられる電流よりも少ないためである。
また交換レンズ脱着の過程で、第3のカメラアクセサリ接点VMは、第4のカメラ側接点PGNDに接続され。これは、交換レンズの脱着の際、レンズ駆動部102の動作がすぐに止められていない可能性があっても、供給する電源がなくなってしまうため、レンズ駆動部はただ停止するため問題ない。
よって、本実施例では、VDD端子を第2のカメラ側接点で、第2のカメラアクセサリ接点とし、VM端子を第3のカメラ側接点で、第3のカメラアクセサリ接点とにする。
さらに、VMとPGNDの間には前述のように大電流が流れるので、電流ループによる磁界の発生を最小限にするためには、ループ面積を小さくするため隣り合ったピンにすることが適している。よって、本実施例では、PGND端子を第4のカメラ側接点で、第4のカメラアクセサリ接点としている。
通信を行う信号ピンであるDCL端子、DLC端子、LCLK端子は、外来からのノイズがあると通信信号にノイズがのり通信エラーや誤動作の原因となるため、なるべくグランド信号に保護される配置する。よって、本実施例では、DCL、DLC、LCLKを第5の接点とし、DGNDを第6の接点とし、第5の接点を第4と第6のグランド信号により挟み込んでノイズを抑える。
次に、マウント1におけるカメラ側の端子を構成するカメラ側接点ピンを含むカメラ側コネクタの構成と、マウント1におけるレンズ側の端子を構成するレンズ側接点パターン(アクセサリ側接点面)を含むレンズ側コネクタの構成について説明する。
図2(A)には光軸方向前方(被写体側)から見たカメラ側マウント201を示すとともに、図3(A)には該カメラ側マウント201に設けられたカメラ側コネクタ(カメラ側接点座202およびカメラ側接点ピン202a1〜202a9)を拡大して示している。図2(B)には光軸方向後方(像面側)から見たレンズ側マウント301を示すとともに、図3(B)には該レンズ側マウント301に設けられたレンズ側コネクタ(レンズ側接点座302およびレンズ側接点パターン302a1〜302a9)を拡大して示している。また、図4には、結合完了状態でのカメラ側コネクタとレンズ側コネクタの断面を示している。
カメラ側マウント201は、不図示のカメラ本体(シャーシ)の前端部に固定されている。カメラ側マウント201は、その外周側の前端に所定のフランジバックを確保するためのリング状のマウント基準面201bを有する。そして、該マウント基準面201bより内側における周方向(以下、マウント周方向という)の3箇所にカメラ側バヨネット爪201aを有する。また、カメラ側マウント201には、レンズ側マウント301との相対回転方向での位置決めを行うためのロックピン205が、マウント基準面201bに対して突出および引込み可能に設けられている。
レンズ側マウント(アクセサリ側マウント)301は、不図示の交換レンズの後端部に固定されている。レンズ側マウント301は、その外周側の後端に光軸方向での基準面であるマウント基準面301bを有し、該マウント基準面301bより内側における周方向(マウント周方向)の3箇所にレンズ側バヨネット爪(アクセサリ側バヨネット爪)301aを有する。また、レンズ側マウント301には、カメラ側マウント201のロックピン205が挿入されるロック孔部301cがマウント基準面301bにて開口するように形成されている。ロック孔部301cは、マウント周方向(相対回転方向)ではロックピン205に対してほとんどガタなく係合する内径を有し、レンズ側マウント301の径方向(以下、マウント径方向という)ではロックピン205の外径よりある程度大きい内径を有する長孔である。これは、レンズ装着時(相対回転時)におけるロックピン205のロック穴部301cに対するスムーズな挿入を可能とするためである。
カメラ側マウント201におけるバヨネット爪201aよりも内側の領域の一部には、マウント周方向に配置された8つのカメラ側接点ピン202a1,202a2,・・・,202a9を保持するカメラ側接点座(カメラ側接点保持部)202が形成されている。図4に示すように、カメラ側接点ピン202a1〜202a9はそれぞれ、カメラ側接点座202に形成されたピン保持孔部内に前方に突出したり後方に引込んだりすることが可能(突出引込み方向に移動可能)に挿入されている。各ピン保持孔部の底面には、フレキシブルプリント配線板206が配置されている。そして、フレキシブルプリント配線板206と各カメラ側接点ピンのフランジ部との間には、カメラ側接点ピンをカメラ側接点座202から前方に突出する方向に付勢する接点ばね(202b1,202b2,・・・,202b9)が配置されている。
カメラ側接点ピン202a1〜202a9は、この順で、図1(B)にて説明したDTEF端子,DGND端子、LCLK端子、DLC端子、DCL端子、PGND端子、VBAT端子、VDD端子およびMIF端子に接続されている。
以上のカメラ側接点座202、カメラ側接点ピン202an(n=1〜9であり、以下の説明でも同じである)、接点ばね202bnおよびフレキシブルプリント配線板206によってカメラ側コネクタが構成される。
レンズ側マウント301におけるバヨネット爪301aより内側の領域の一部には、マウント周方向に配置された8つの矩形のレンズ側接点パターン302a1,302a2,…,302a9を保持するレンズ側接点座(アクセサリ側接点保持部)302が形成されている。なお、レンズ側接点パターンの形状は、矩形以外の形状、例えば円形であってもよい。
レンズ側接点パターン302a1〜302a9は、フレキシブルプリント配線板306を介して、図1に示したL_CPU151に接続されている。レンズ側接点座302におけるレンズ側接点パターン302a1,302a2,・・・,302a9を保持する部分(以下、パターン保持部分という)に隣接する部分には、該パターン保持部分よりも前方に引っ込んだ凹部302zが形成されている。また、パターン保持部分と凹部302zとの間には斜面302wが形成されている。なお、以下の説明において、レンズ側接点座302におけるレンズ側接点パターン302a1〜302a9を保持する部分とレンズ側接点パターン302a1〜302a9を合わせてレンズ側接点座302という。
レンズ側接点パターン302a1〜302a9は、この順で、DTEF端子,DGND端子、LCLK端子、DLC端子、DCL端子、PGND端子、VBAT端子、VDD端子およびMIF端子に接続されたカメラ側接点ピン202a1〜202a9に対応する。
以上のレンズ側接点座302(凹部302zおよび斜面302wを含む)、レンズ側接点パターン302an(n=1〜9であり、以下の説明でも同じである)およびフレキシブルプリント配線板306によりレンズ側コネクタが形成される。
カメラ側接点ピン202anとレンズ側接点パターン302anは、カメラと交換レンズの結合完了状態において互いに対となる位置(接触する位置)に配置されている。レンズ装着時には、レンズ側接点座302(前述のようにレンズ側接点パターン302anを含む)がカメラ側接点ピン202anに接触することで、カメラ側接点ピン202anは接点ばね202bnをチャージしながらカメラ側接点座202に対して押し込まれる。これにより、カメラ側接点ピン202anは、これと対をなすレンズ側接点パターン302anに対して圧接し、カメラと交換レンズとの電気的接続が行われる。
図5の(1)〜(8)には、レンズ装着時においてレンズ側コネクタがカメラ側コネクタに接続される過程を示している。なお、図5の右側には、(1)〜(8)に示す状態での前述したロックピン205とロック孔部301cとの関係も示している。
図5の(1)は、各レンズ側バヨネット爪301aが2つのカメラ側バヨネット爪201aの間に挿入される手前までレンズ側マウント301がカメラ側マウント201に対して光軸方向において近づけられた状態を示している。以下、この図5(1)に示す状態を、マウント当接前状態という。図5の(2)は、レンズ側バヨネット爪301aがカメラ側バヨネット爪201aの間に挿入され、レンズ側マウント301(マウント基準面301b)がカメラ側マウント201(マウント基準面201b)に光軸方向にて当接した状態を示している。以下、この(2)に示す状態を、マウント当接状態(第1の状態)という。
図5の(3)〜(7)は、マウント当接状態から、レンズ側マウント301がカメラ側マウント201に対して結合完了状態(第2の状態)に向けて回転される途中の状態(相対回転中:以下、中間回転状態という)を段階ごとに示している。図5の(8)は、レンズ側マウント301がカメラ側マウント201に対して結合完了状態まで回転された状態を示している。
(2)のマウント当接状態では、レンズ側接点座302のパターン保持部分(レンズ接点パターン302a9又はその近傍の部分)がメラ側接点ピン202a1に当接する。これにより、カメラ側接点ピン202a1は、(1)のマウント当接前状態に比べて、カメラ側接点座202に対して押し込まれる。
以下、複数(n個)のカメラ側接点ピン202anのうち、マウント当接状態においてレンズ側接点座302に当接するDTEF端子用のカメラ側接点ピン202a1を第1のカメラ側接点ピンともいう。また、第1のカメラ側接点ピン以外の、つまりはマウント当接状態においてレンズ側接点座302に当接しないカメラ側接点ピン202a2〜202a9を第2のカメラ側接点ピンともいう。このうちMIF端子用のカメラ側接点ピン202a9は、特定の第2のカメラ側接点ピンである。
マウント当接状態では、ロックピン205はロック孔部301cから離れた位置にてレンズ側マウント301のマウント基準面301bによって押し込まれている。このため、その後のレンズ側マウント301のカメラ側マウント201に対する回転が許容される。
(2)のマウント当接状態から(3)〜(7)の中間回転状態を経て(8)の結合完了状態に至るまでに、レンズ側バヨネット爪301aとカメラ側バヨネット爪201aとの係合が完了する。この間に、レンズ側接点座302は、カメラ側接点ピン202a1〜202a9に対して摺動しながら、第2のカメラ側接点ピン202a2〜202a9もカメラ側接点座202に対して押し込む。こうして、最終的に(8)の結合完了状態では、互いに対をなすカメラ側接点ピン202anとレンズ側接点パターン302anとが接触(圧接)する。
また、結合完了状態では、ロックピン205とロック孔部301cとのマウント周方向での位置が一致するため、カメラ側マウント201のマウント基準面201bから突出したロックピン205が、レンズ側マウント301のロック孔部301c内に挿入される。これにより、不図示のロック解除機構によってロックピン205がロック孔部301cから抜かれるまで、結合完了状態が保持される。
ここで、図6を用いて、図5の(4)〜(7)に示した中間回転状態においてカメラ側接点ピン202anとレンズ側接点パターン302anとが接触していく流れについて説明する。
本実施例では、結合完了状態でのレンズ側接点パターン上におけるカメラ側接点ピンの接触位置をピン接触位置という。レンズ側接点パターンのピッチは、隣り合う接点パターン上でのピン接触位置間の距離に相当する。
また、レンズ側接点パターン302an上でのピン接触位置と当該レンズ側接点パターンanの図中左端(すなわち、レンズ側接点パターン302anがカメラ側接点ピン202anに対して移動する方向での先端)との間の距離を、Lan(La1〜La9)とする。このとき、La1〜La9は、
La1>La2,La3,La4,La5,La6,La8>La9>La7
なる関係を有するように設定されている。
この関係は、例えば、レンズ側接点パターン302a1,302a9およびカメラ側接点ピン202a1,202a9に着目して以下のように言い換えることができる。レンズ側接点パターン302a1のうち中間回転状態でカメラ側接点ピン202a1との接触を開始する部分の位置とレンズ側接点パターン302a9のうち中間回転状態でカメラ側接点ピン202a9との接触を開始する部分の位置との間のマウント周方向での距離をLAとする。「接触を開始する部分」とは、例えば接点パターンが矩形である場合には該矩形の辺を意味し、接点パターンが円形である場合には円弧の頂部を意味する。マウント周方向での距離は、角度ということもできる。また、カメラ側接点ピン202a1,202a9(の中心軸)間のマウント周方向での距離(角度)をLBとする。このとき、距離LAは距離LBより小さい(言い換えれば、距離LBは距離LAより大きい)。
図5の(3)に示す状態からレンズ側マウント301が回転されると、図6(A)に示すように、まずカメラ側接点ピン(DTEF端子用ピン)202a1とレンズ側接点パターン(DTEF端子用パターン)302a1とが接触を開始する。このとき、La1〜La9(言い換えれば、LAとLB)が上記の関係を有するため、他のカメラ側接点ピン202a2〜202a9とレンズ側接点パターン302a2〜302a9は接触していない。
図6(A)の状態からさらにレンズ側マウント301が回転されると、図6(B)(図5の(5))に示すように、カメラ側接点ピン202a2〜202a6および202a8とレンズ側接点パターン302a2〜302a6および302a8とが同時に接触を開始する。このとき、カメラ側接点ピン202a7,202a9とレンズ側接点パターン302a7,302a9とは接触していない。
図6(B)の状態からさらにレンズ側マウント301が回転されると、図6(C)(図5の(6))に示すように、カメラ側接点ピン(MIF端子用ピン)202a9とレンズ側接点パターン(MIF端子用パターン)302a9とが接触を開始する。このとき、
La9>La7
であるため、カメラ側接点ピン202a7とレンズ側接点パターン302a7とは接触しない。
図6(C)の状態からさらにレンズ側マウント301が回転されると、図6(D)(図5の(7))に示すように、カメラ側接点ピン(VBAT端子用ピン)202a7とレンズ側接点パターン(VBAT端子用パターン)302a7とが接触を開始する。
そして、図6(D)の状態からさらにレンズ側マウント301が回転されると、図6(E)(図5の(8))に示すように結合完了状態となる。
以上説明したように、本実施例ではカメラ側接点ピンとレンズ側接点パターンとが接触する順番は距離Lanが大きい順となり、DTEF端子を構成するカメラ側接点ピン202a1とこれに対応するレンズ側接点パターン302a1とが最初に接触を開始する。
なお、距離LAと距離LBとが同じであってもよい。この場合、DTEF端子用ピンとDTEF端子用パターンが接触するタイミングをMIF端子用ピンとMIF端子用パターンが接触するタイミングに合わせるように、距離LAを広げて距離LBに合わせる。このとき、レンズ側接点パターン302a1の周方向における幅を、カメラ側接点ピンと接触を開始する部分と反対側の部分(図6における右方向)について拡大してもよい。LAとLBとが同じ場合は、図5の(3)の状態からレンズ側マウント301が回転されると、DTEF端子およびMIF端子用のカメラ側接点ピン202a1,202a9とそれに対応するレンズ側接点パターン302a1,202a9とがそれぞれ同時に接触を開始する。
次に、第1のカメラ側接点ピン202a1に関する問題およびその解決方法について説明する。マウント当接前状態からマウント当接状態に至る際にレンズ側マウント301がカメラ側マウント201に対して勢いよく当接すると、レンズ側接点座302が第1のカメラ側接点ピン202a1に対して強く衝突する。第1のカメラ側接点ピン202a1は、カメラ側接点座202のピン保持孔部内に移動可能に(つまり移動を許容する嵌合ガタを有して)挿入されている。したがって、上記衝突による衝撃によって、第1のカメラ側接点ピン202a1が光軸方向にほぼ真っ直ぐに伸びる位置からピン保持孔部との間の嵌合ガタ量に応じて傾いたり曲がる等して変形したりするおそれがある。この場合、結合完了状態になっても、第1のカメラ側接点ピン202a1とこれと対をなすレンズ側接点パターン302a1とが正常に接触せず、カメラと交換レンズ間での通信エラーや、電源ショートを引き起こす可能性がある。
そこで本実施例では、レンズ側接点パターン302anのマウント周方向の幅とマウント径方向の高さ、レンズ側接点パターン302an間のピッチと間隔、カメラ側接点ピン202an間のピッチおよびカメラ側接点ピン202anの径を、以下のように設定している。
《レンズ側接点パターン(アクセサリ側接点面)の幅と高さについて》
第2のカメラ側接点ピン202a2〜202a9のそれぞれと対をなす(以下、該ピン「に対応する」ともいう)レンズ側接点パターン302a2〜302a9を、以下、第2のレンズ側接点パターン(第2のアクセサリ側接点面)という。MIF端子用のレンズ側接点パターン302a9は、特定の第2のアクセサリ側接点面に相当する。これらの第2のレンズ側接点パターン302a2〜302a9の幅は、図7(A)および図8(A)に示すように、L1に設定されている。図7(A)および図8(A)では、第2のカメラ側接点ピンを202axで示し、互いに隣り合う第2のカメラ側接点ピンを202ax,202ax+1で示す。また、第2のカメラ側接点ピン202axに対応する第2のレンズ側接点パターンを302axで示し、互いに隣り合う第2のレンズ側接点パターンを302ax,302ax+1で示す。
幅L1は、図8(A)に示すように、光軸方向にほぼ真っ直ぐに伸びて変形していない第2のカメラ側接点ピン202axが第2のレンズ側接点パターン302axに対して接触する範囲Wの直径Vより所定余裕量だけ大きく設定されている。なお、第2のカメラ側接点ピン202axの先端は、レンズ装着/取り外し時におけるレンズ側接点パターンに対する摺動が繰り返されることで摩耗する。このため、第2のカメラ側接点ピン202axが接触する範囲Wも、この摩耗を考慮して設定されている。Vは第2のカメラ側接点ピン202axの先端のうち第2のレンズ側接点パターン302axに対して接触する部分の幅(直径)である。
また、第2のレンズ側接点パターン302axの高さは、図7(A)に示すように、L3に設定されている。
一方、DTEF端子用の第1のカメラ側接点ピン202a1と対をなす(に対応する)レンズ側接点パターン302a1を、以下、第1のレンズ側接点パターン(第1のアクセサリ側接点面)という。この第1のレンズ側接点パターン302a1の幅は、図7(B)および図8(B)に示すように、L1より大きいL2に設定されている。図7(B)および図8(B)では、第1のカメラ側接点ピンを202ayで示し、互いに隣り合う第1および第2のカメラ側接点ピンを202ay,202ay+1で示す。また、第1のカメラ側接点ピン202ayに対応する第1のレンズ側接点パターンを302ayで示し、互いに隣り合う第1および第2のレンズ側接点パターンを302ay,302ay+1で示す。
図8(B)には、光軸方向にほぼ真っ直ぐに伸びる本来の状態から傾いたり変形したりして、その先端が変位した第1のカメラ側接点ピン202ayを示している。幅L2は、同図に示すように、この先端が変位した第1のカメラ側接点ピン202ayが第1のレンズ側接点パターン302ayに対して接触し得る範囲(以下、接触想定範囲ともいう)WWの直径VVよりも所定余裕量だけ大きく設定されている。接触想定範囲WWは、設計上想定した第1のカメラ側接点ピンの先端が変位し得る量に対応した範囲であり、例えば該接触想定範囲WWを超えて第1のカメラ側接点ピン202ayの先端が変位した場合は故障または異常と判定される範囲である。
なお、第1のカメラ側接点ピン202ayの先端も、レンズ装着/取り外し時におけるレンズ側接点パターンに対する摺動が繰り返されることで摩耗する。このため、第1のカメラ側接点ピン202ayが第1のレンズ側接点パターン302ayに接触し得る範囲(接触想定範囲)WWも、この摩耗を考慮して設定されている。VVは第1のカメラ側接点ピン202ayの先端のうち第1のレンズ側接点パターン302ayに対して接触する部分の幅(直径)である。
また、第1のレンズ側接点パターン302ayの高さは、図7(B)に示すように、第2のレンズ側接点パターン302axの高さと同じL3に設定されている。なお、本実施例では、各レンズ側接点パターンの高さL3が幅L1,L2より大きい場合を示しているが、L3はL1又はL2と同じでもよいし、L1又はL2より小さくてもよい。
なお、図7(A),(B)では、模式図としてレンズ側接点パターンの径方向および周方向のほぼ中心にピン接触位置がくるように示されているが、ピン接触位置は径方向および周方向の中心でなくてよい。本実施例では、図6(E)で示したように、各ピン接触位置は、レンズ側接点パターンの径方向における中心からずれた位置にある。
このように本実施例では、傾きや変形が生じ得る第1のカメラ側接点ピン202ayに対応する第1のレンズ側接点パターン302ayの幅を、そのおそれがない第2のカメラ側接点ピン202axに対応する第2のレンズ側接点パターン302axの幅より大きく設定している。これにより、レンズ側接点座302の当接(衝突)によって第1のカメラ側接点ピン202ax(202a1)に傾きや変形が生じても、これらと第1のレンズ側接点パターン302ax(302a1)との正常な接触(電気的接続)を確保することができる。したがって、カメラと交換レンズ間での通信エラーや、電源ショートの発生を回避することができる。
図3(B)には、幅L1,L2を、レンズ側マウント301に円弧状に形成されたレンズ側接点座302上での角度範囲θL1,θL2として示している。
《レンズ側接点パターン間(アクセサリ側接点面間)のピッチと間隔およびカメラ側接点ピン間のピッチについて》
第2のレンズ側接点パターン302ax,302ax+1(302a2〜302a9)間のピッチと間隔はそれぞれ、図7(A)および図8(A)に示すように、P1とQ1に設定されている。ここにいうレンズ側接点パターンのピッチは、隣り合う接点パターン上でのピン接触位置間の距離に相当する。また、レンズ側接点パターンの間隔は、マウント周方向における1つのレンズ側接点パターンとこれに隣り合うレンズ側接点パターンとの間(接点パターンが矩形である場合の辺の間)の距離である。このレンズ側接点パターンの間隔は、該レンズ側接点パターンとカメラ側接点ピンとの接触において重要な意味を持つ。また、第2のレンズ側接点パターン302ax,302ax+1のピッチP1に合わせて、第2のカメラ側接点ピン202ax,202ax+1間のピッチ(ピン中心軸間の距離)もP1に設定されている。
ピッチP1と間隔Q1は、第2のカメラ側接点ピン202axの第2のレンズ側接点パターン302axに対して接触する範囲(以下、接触範囲という)がWであることを前提として、さらに以下の条件をも満足するように決定される。
第1の条件として、図9(A)に示すように、レンズ装着/取り外し時における交換レンズの回転中に、1つの第2のカメラ側接点ピン202axが互いに隣り合う2つの第2のレンズ側接点パターン302ax,302ax+1に同時に接触しないこと。つまり、間隔Q1は、接触範囲Wの幅Vより大きく設定する(Q1>V)。
第2の条件として、1つの第2のレンズ側接点パターン302ax+1が、互いに隣り合う第2のカメラ側接点ピン202ax,202ax+1に同時に接触しないこと。
さらに第3の条件として、それぞれの第2のレンズ側接点パターン302axの位置誤差によってこれらの間の距離が狭くなっても、上記第1および第2の条件を満足すること。
第1から第3の条件を満足することで、隣り合う第2のレンズ側接点パターン302ax,302ax+1や隣り合う第2のカメラ側接点ピン202ax,202ax+1が同時に導通して電源ショート等の不具合が発生することを回避できる。
一方、第1のレンズ側接点パターン302ay(302a1)と第2のレンズ側接点パターン302ay+1(302a2)間のピッチと間隔はそれぞれ、図7(B)および図8(B)に示すように、P1とQ1よりも大きいP2とQ2に設定されている。第1および第2のレンズ側接点パターン302ay,302ay+1間のピッチP2に合わせて、第1および第2のカメラ側接点ピン202ay,202ay+1間のピッチ(ピン中心軸間の距離)もP2に設定されている。
ピッチP2と間隔Q2の決定は、まず第1のカメラ側接点ピン202ayの第1のレンズ側接点パターン302ayに対して接触し得る範囲(接触想定範囲)がWより大きいWWとなることを前提とする。また、これに伴い第1のレンズ側接点パターン302ayの幅がL1より大きいL2になることも前提とする。そして、ピッチP2と間隔Q2は、以下の条件をも満足するように決定される。
第1の条件として、図9(B)に示すように、レンズ装着/取り外し時における交換レンズの回転中に、第1のカメラ側接点ピン202ayが互いに隣り合う第1および第2のレンズ側接点パターン302ay,302ay+1に同時に接触しないこと。つまり、間隔Q2は、接触想定範囲WWの幅VVより大きく設定する(Q2>VV)。なお、P2>VVである。
図9(C)には、互いに隣り合う第1および第2のレンズ側接点パターン302ay,302ay+1間のピッチと間隔がP1,Q1に設定された場合を示している。この場合、第1のカメラ側接点ピン202ayが、第1および第2のレンズ側接点パターン302ay,302ay+1に同時に接触してしまう。
上述したように、カメラ側接点ピン202a1は、レンズ側接点座302の当接(衝突)により傾きや変形が生じ得る。ここで、第1のレンズ側接点パターン302a1であるDTEF端子用パターンとそれに隣接する第2のレンズ側接点パターンDGND端子用パターン302a2にカメラ側接点ピン202a1が同時に接触すると、次のような不具合が生じる。上述したように、カメラマイコン20は、DTEF_IN端子の電圧値に基づいて装着された交換レンズ100の種類を判定する。もしDTEF端子用パターンとDGND端子用パターンにカメラ側接点ピン202a1が同時に接触すると、DTEF端子用パターンとDGND端子用パターンとが導通した状態になり、カメラマイコン20がレンズの種類を誤判定するおそれがある。カメラマイコン20は、ここでの判定結果に基づいて交換レンズ100との通信電圧を設定するため、実際に装着された交換レンズと異なる種類のレンズと判定すると、適切な通信電圧が設定されず、正しく通信を行うことができなくなる。そのため、本実施例では、カメラ側接点ピン202a1の傾きや変形を考慮して、第1のレンズ側接点パターン302a1と、それに隣接する第2のレンズ側パターン302a2との間隔を広げている。
第2の条件として、1つの第1のレンズ側接点パターン302ay+1が、互いに隣り合う第1および第2のカメラ側接点ピン202ay,202ay+1に同時に接触しないこと。
そして、第3の条件として、第1のレンズ側接点パターン302ayの位置誤差によってこれらの間の距離が狭くなっても、上記第1および第2の条件を満足すること。
第1から第3の条件を満足することで、隣り合う第1および第2のレンズ側接点パターン302ay,302ay+1や隣り合う第1および第2のカメラ側接点ピン202ay,202ay+1が同時に導通して電源ショート等の不具合が発生することを回避できる。
図3(A),(B)には、ピッチP1,P2を、カメラ側およびレンズ側マウント201,301に円弧状に形成されたカメラ側およびレンズ側接点座202,302上での角度範囲θP1,θP2として示している。また、図3(B)には、間隔Q1,Q2を、レンズ側マウント301に円弧状に形成されたレンズ側接点座302上での角度範囲θQ1,θQ2として示している。
本来、バヨネット結合時の回転量を考慮すると、回転量が大きくならないように、カメラ側接点ピン間のピッチは上記のような電源ショート等が起こらない範囲でできるだけ詰めるのが好ましい。但し、第1のカメラ側接点ピン202a1とそれに隣接する第2のカメラ側接点ピン202a2間のピッチについては、上述したように、レンズ側接点座302の当接(衝突)によって第1のカメラ側接点ピン202a1に傾きや変形が生じることを考慮する必要がある。そのため、本実施例では、第1のカメラ側接点ピン202a1とそれに隣接する第2のカメラ側接点ピン202a2間のピッチを、他の第2のカメラ側接点ピン間のピッチより広げている。
なお、本実施例では、1つの第1のレンズ側接点パターンが設けられている場合について説明しているが、第1のレンズ側接点パターンを第1のカメラ側接点ピンとともに複数設けてもよい。この場合、図10に示すように、第1のレンズ側接点パターン302ayとこれに隣り合う他の第1のレンズ側接点パターン302ay+1との間のピッチと間隔もそれぞれ、P2とQ2に設定するとよい。また、互いに隣り合う第1および第2のレンズ側接点パターンに対応する第1および第2のカメラ側接点ピン間のピッチもP2に設定する。ただし、互いに隣り合う第1および第2のレンズ側接点パターン間のピッチと間隔は、互いに隣り合う2つの第1のレンズ側接点パターン間のピッチと間隔と必ずしも同じでなくてもよい。つまり、前者のピッチと間隔をP2aとQ2aとし、後者のピッチと間隔をP2bとQ2bとするとき、
P2a≠P2b (ただし、P1<P2a)
Q2a≠Q2b (ただし、Q1<Q2a)
であってもよい。この場合、互いに隣り合う第1のレンズ側接点パターン間のピッチと、互いに隣り合う第1および第2のカメラ側接点ピン間のピッチはそれぞれ、P2aとP2bに設定される。
以上のように本実施例では、以下の条件(1)〜(3)を満足する第1および第2のレンズ側接点パターンと第1および第2のカメラ側接点ピンを用いている。なお、前述したように、P2,Q2には、前述したP2a,P2b,Q2a,Q2bを含む。
L1<L2 (θL1<θL2) ・・・(1)
P1<P2 (θP1<θP2) ・・・(2)
Q1<Q2 (θQ1<θQ2) ・・・(3)
これにより、第1のカメラ側接点ピンにレンズ側接点座が強く当接することで第1のカメラ側接点ピンが傾いたり変形したりしても、該第1のカメラ側接点ピンとこれに接触すべき第1のレンズ側接点パターンとの正常な接触(電気的接続)を確保することができる。したがって、そのような正常な接触が行われないことによるカメラと交換レンズ間での通信エラーの発生や、電源ショートによるカメラや交換レンズの不具合の発生を防止することができる。
さらに、カメラに対する交換レンズの装着時における動作上(又は制御上)の条件として、前述した距離LAが距離LBより小さい又は同じという第4の条件を満足することが望ましい。すなわち、MIF端子よりも早く又はこれと同時にDTEF端子が接続されるように幅L2,ピッチP2および間隔Q2のうち少なくとも1つが設定されることが望ましい。
《カメラ側接点ピンの径について》
前述したように、第1のカメラ側接点ピン202ay(202a1)は、マウント当接状態にてレンズ側接点座302に強く衝突することで曲がる等、変形するおそれがある。このような変形は、図12(A),(B)に示すように、第1のカメラ側接点ピン202ayの径φD2を第2のカメラ側接点ピン202ay+1(202a2〜202a9)の径φD1より大きくして第1のカメラ側接点ピン202a1の剛性を高めることで抑制できる。
つまり、第1のカメラ側接点ピンの径φD2と第2のカメラ側接点ピンの径φD1とを、以下の条件(4)を満足するように設定してもよい。
φD1<φD2 ・・・(4)
これにより、第1のカメラ側接点ピン202ayの変形に起因する通信エラーや電源ショートをより発生しにくくすることができる。
以上説明した条件(1)〜(4)は、必ずしも全てが満足されなくてもよく、条件(1),(2)および(4)のうち少なくとも1つが満足されればよい。条件(1),(2)および(4)のうち少なくとも1つが満足されれば、傾いたり変形したりした第1のカメラ側接点ピンと第1のレンズ側接点パターンとの正常な接触を確保することが可能である。そして、条件(3)を満足すれば、上述した電源ショートの問題を回避できる。
しかも、前述した距離LAが距離LBより小さい(LBがLAより大きい)又は同じであるという条件も満足されることで、カメラに装着された交換レンズの種類に対して適切な通信電圧を該カメラと交換レンズ間の通信が開始される前に設定することができる。したがって、不適切な通信電圧の設定による通信エラーの発生を回避することができる。
《ピンの配置について》
図16、図17および図18には、モールドマウントを使用したカメラ側マウント201の構成を示している。図16はカメラ10を正面から見たときのカメラ側マウント201およびカメラ10の内部構成を示している。図17はカメラ10を背面から見たときの該カメラ10の内部構成を示している。さらに、図18には、カメラ側マウント201を分解して示している。
図16〜図18に示す構成は、基本的には図2〜図4に示した構成と同様のものであり、図2〜図4に示した部材と共通する部材については、図2〜図4と同符号を付して説明に代える。ただし、図16〜図18では、カメラ側マウント201において、特に、マウント基準面201bとカメラ側バヨネット爪201a1〜201a3(図2(A)では201aで示した)を有するリング形状の部材をモールドマウント201Aと称する。モールドマウント201Aは、ガラス繊維入りポリカーボネート等の樹脂によるモールド成形により形成されている。
図16〜図18では、カメラ側マウント201は、モールドマウント201A、マウント地板208、マウントばね222およびロックピン205等により構成した場合を示している。
また、図18には、図4に示したコイルばねとしての接点ばね202b1〜202b9に代えて用いられる、板ばねとしての接点ばね220を示している。さらに、図18には、カメラ側接点ピン202a1〜202a9の基端部が、図4に示したフレキシブルプリント配線板206に代えて用いられるフレキシブルプリント配線板221の9本の配線部の先端に固定され、かつ電気的に接続されている場合を示している。
フレキシブルプリント配線板221と接点ばね220は、2本のビス223によってマウント地板208の裏面に、この順で重なるように固定される。マウント地板208には、前述したカメラ側接点座202が形成されている。
フレキシブルプリント配線板221には、後述する最下位置の締結ビス204aが貫通する穴部221cが形成されている。そして、マウント周方向における穴部221cを挟んだ両側には、第1の引き出し部221aと第2の引き出し部221bとが設けられている。第1の引き出し部221aには、カメラ側接点ピン202a4〜202a9用の6本の配線部が設けられている。また、第2の引き出し部221bには、カメラ側接点ピン202a1〜202a3用の3本の配線部が設けられている。
接点ばね220は、カメラ側マウント201(マウント地板208)とカメラ本体209との間に配置されて、その9本のばね腕部のそれぞれによってカメラ側接点ピン202a1〜202a9をカメラ側接点座202から突出する方向に付勢する。この接点ばね220にも、最下位置の締結ビス204aが貫通する穴部220cが形成されている。そして、マウント周方向における穴部220cを挟んだ両側に、カメラ側接点ピン202a4〜202a9用の6本のばね腕部と、カメラ側接点ピン202a1〜202a3用の3本のばね腕部とが設けられている。
前述したように樹脂によるモールド成形により製作されたモールドマウント201Aをカメラ側マウント201に用いることで、金属製のマウントを用いる場合に比べて強度が不足するおそれがある。図19にて説明したカメラの落下時には、モールドマウント201Aに形成された3つのカメラ側バヨネット爪201a1〜201a3のうち、モールドマウント201Aの最下位置を含む角度範囲に形成されたカメラ側バヨネット爪201a2に最大の外力が作用する。
ここで、図16に示すようなカメラ10の横長の姿勢を、正姿勢(または横姿勢)という。モールドマウント201A(つまりはカメラ側マウント201)の最下位置は、モールドマウント201Aにおけるマウント周方向での位置のうち、カメラ10が正姿勢にあるときにカメラ側マウント201の中心Oから真下に延ばした一点鎖線Bが通る位置である。言い換えれば、モールドマウント201Aにおけるマウント周方向での位置のうち、カメラ10が正姿勢にあるときに最も下になる位置が、モールドマウント201Aの最下位置である。また、同様に、カメラ側接点座202におけるマウント周方向での位置のうち、カメラ10が正姿勢にあるときに最も下になる位置が、カメラ側接点座202の最下位置である。
図16から明らかなように、カメラ10の正姿勢において、穴部220cが円形に設けられるのに対し、シャッタ開口226bが長方形の形状をしている。したがって、シャッタ開口226bを通過する不要な光(レンズ装置の内部の反射光や、カメラ側接点座202を設けることによる突起部など)がシャッタ開口226bを通過することを防止したい。この点、カメラ側接点座202を、できるだけシャッタ開226bから離すことで、当該不要な光のシャッタ開口226bを通過することを防止、軽減することができる。
204a〜20fは、モールドマウント201Aを、図18に示すカメラ本体209に固定するための締結ビスであり、モールドマウント201Aの周方向6箇所に均等間隔で配置されている。これら6つの締結ビス204a〜20fのうち、締結ビス204aは、その中心がモールドマウント201Aにおける最下位置に位置するように配置されている。このように、カメラ側バヨネット爪201a2と締結ビス204aとが、交換レンズ100が装着されたカメラ10の落下時に最大の外力が作用する最下位置に配置されることで、落下時の衝撃に対して十分な強度を確保することができる。
モールドマウント201Aには、前述したロックピン205が貫通可能な穴部が形成されており、この穴部を通してロックピン205がモールドマウント201Aに対して突出したり引っ込んだりする。
また、カメラ10の内部には、シャッタユニット226が配置されている。シャッタユニット226は、カメラ側アクチュエータであるシャッタチャージモータ226aの回転動作によって閉状態にチャージされるシャッタ幕(図示せず)を有する。シャッタ幕は、チャージが解放されることによってシャッタ開口226bに対して開方向に移動し、その後、再び閉方向にチャージされながら移動することで、図1に示したイメージセンサ11の露光量を制御する。シャッタチャージモータ226aは、シャッタ幕をチャージするために回転動作する際にノイズを発生する。シャッタチャージモータ226aは、図16において、モールドマウント201A(カメラ側マウント201)の中心Oよりも右側(一方の側)に設けられている。
また、モールドマウント201A(カメラ側マウント201)の中心Oよりも左側(他方の側)には、電池227が配置されている。図16に示す正面視において、モールドマウント201Aの左側の部分が電池227と重なっている。しかし、モールドマウント201Aの左側部分に設けられた2つの締結ビス204b,204cを電池227との干渉を避ける位置に配置している。このため、電池227をモールドマウント201A(カメラ側マウント201)の中心Oに近づけることができ、カメラ10の小型化を図ることができる。
カメラ側接点座202には、図2(A)および図3(A)にも示したように、マウント周方向にカメラ側接点ピン202a1〜202a9が配置されている。
図18において、222はマウントばねであり、その周方向3箇所にはばね片部222a1,222a2,222a3が設けられている。ばね片部222a1〜222a3はそれぞれ、カメラ側バヨネット爪201a1〜201a3に係合したレンズ側バヨネット爪301a(図2(B)参照)をカメラ本体209側に引き込む。
カメラ側バヨネット爪201a1〜201a3の裏側には、静圧受け部201dが設けられている。静圧受け部201dは、カメラ本体209側とは反対側への所定値以上の荷重がマウントばね222(ばね片部222a1〜222a3)に作用したときにレンズ側バヨネット爪301aに当接し、マウントばね222を介さずに交換レンズを保持する機能を有する。モールドマウント201Aにおける最下位置を含む角度範囲に形成されたカメラ側バヨネット爪201a2において、静圧受け部203dは、最下位置に形成されている。
このように構成されたカメラ側マウント201では、前述したように締結ビス204aがモールドマウント201Aの最下位置に配置されているため、接点ばね220は、この締結ビス204aを避けるように配置される。具体的には、カメラ側マウント201(マウント地板208)とカメラ本体209との間におけるマウント周方向での締結ビス204aの両側から、接点ばね220の9本のばね腕部がカメラ側接点ピン202a1〜202a9に向かって延びるように配置される。
この場合において、接点ばね220の9本のばね腕部にて発生する付勢力を、カメラ側接点ピン202a1〜202a9のレンズ側接点パターン302a1〜302a9との接触を維持するのに十分で、かつ均一とすることが好ましい。しかも、カメラ側接点ピン202a1〜202a9(フレキシブルプリント配線板221)および接点ばね220を含む接点ユニットをできるだけ小型に構成する必要がある。このためには、接点ばね220の9本のばね腕部のそれぞれの幅、長さおよび変形量を同じにする必要がある。
仮にカメラ側接点座202のうち締結ビス204aの直上となる最下位置にカメラ側接点ピンを設け、接点ばね220の9本のばね腕部の幅や長さを同じにすると、締結ビス204aの側方から該カメラ側接点ピンまで延びるばね腕部の傾きを大きくする必要がある。この結果、接点ばね220の9本のばね腕部のピッチとともにカメラ側接点ピン202a1〜202a9のピッチを、前述した該ピッチに求められる条件を超えて広げなければならなくなる。そして、これにより、マウント周方向においてカメラ側接点ピン202a1〜202a9が占める角度範囲(占有角度範囲)が増大する。
また、カメラ10の落下時に最大荷重を受けるカメラ側マウント201の最下位置では、仮に締結ビス204aで強固に固定していたとしても、カメラ側接点座202における最下位置に配置されたカメラ側接点ピンに最大の衝撃が加わる。このような衝撃によるカメラ側接点ピンの曲がりや折れ等の不具合を回避するためにも、カメラ側接点座202のうち最下位置には、カメラ側接点ピンを設けない方がよい。
そこで、本実施例では、カメラ側接点ピン202a1〜202a9を、カメラ側接点座202におけるマウント周方向での位置のうち、カメラ10が正姿勢にあるときの最下位置を除いた位置に配置している。これにより、カメラ側接点ピン202a1〜202a9の占有角度範囲を小さくしつつ、カメラ側接点ピン202a1〜202a9の十分かつ均一な突出方向への付勢を可能とし、さらにカメラ落下時の耐衝撃性を向上させることができる。
また、図17において、224は回路基板であり、225は回路基板224上に設けられた電源回路ブロックである。また、図17中に破線で示された226は、電池227の端子と接続されるコネクタである。コネクタ226は、+極226a、−極226bおよび情報端子226cを介して電池227と接続され、電源回路ブロック225に電源を供給する。
回路基板224上において、224aはフレキシブルプリント配線板221の第1の引き出し部221aに接続される第1のコネクタであり、224bはフレキシブルプリント配線板221の第2の引き出し部221bに接続される第2のコネクタである。
カメラ側接点ピン202a1〜202a9のうち電源供給用接点ピンであるVBAT端子用ピン202a7は、PGND端子用ピン202a6とともにカメラ側マウント201の中心Oよりも電源回路ブロック225の側(以下、電源回路側という)に配置されている。つまり、大きな電流が流れるVBAT端子用ピン202a7を、カメラ側マウント201の中心Oよりもシャッタチャージモータ226aの側(カメラ用アクチュエータ側:以下、モータ側という)に配置する場合に比べて、電源回路ブロック225に近づけている。これにより、電源回路ブロック225からVBAT端子用ピン202a7に電源供給用の電流が流れる際の回路基板224やフレキシブルプリント配線板221の配線抵抗によるロスが抑えられる。
また、フレキシブルプリント配線板221のうち6つのカメラ側接点ピン202a4〜202a9に接続された第1の引き出し部221aが、カメラ側マウント201の中心Oよりも電源回路側に配置されている。一方、フレキシブルプリント配線板221のうち3つのカメラ側接点ピン202a1〜202a3に接続された第2の引き出し部221bが、中心Oよりもモータ側に配置されている。つまり、中心Oよりも電源回路側に配置されたカメラ側接点ピン202a4〜202a9の数が、中心Oよりもモータ側に配置されたカメラ側接点ピン202a1〜202a3の数よりも多い。これにより、カメラ10と交換レンズ100との信号のやり取り等に関して、シャッタチャージモータ226aからのノイズの影響を受けにくい構成を実現している。
なお、図16〜図18では、カメラ10側の構成を示し、交換レンズ100側の構成は特に図示していない。しかし、正姿勢のカメラ10に対して結合完了状態にある交換レンズ100でのレンズ側接点パターン302a1〜302a3の配置は、図16〜図18を用いて説明したカメラ10が正姿勢にあるときのカメラ側接点ピン202a1〜202a3の配置に準ずる。
つまり、レンズ側接点パターン302a1〜302a9を、レンズ側接点座302におけるマウント周方向での位置のうち、カメラ10が正姿勢にあるときに結合完了状態にて最も下になる最下位置を除いた位置に配置している。
また結合完了状態において、レンズ側接点パターン302a1〜302a9のうち電源供給用接点面であるVBAT端子用パターン302a7は、PGND端子用パターン302a6とともにレンズ側マウント301の中心よりカメラ10の電源回路側に配置されている。さらに、レンズ側マウント301の中心よりも電源回路側に配置されたレンズ側接点パターン302a4〜202a9の数が、該中心よりもモータ側に配置されたレンズ側接点パターン302a1〜302a3の数よりも多い。
以上のように、本実施例ではカメラ側接点ピン202a1〜202a9とレンズ側接点パターン302a1〜302a9を接点座202,302のうちカメラ10が正姿勢にあるとき(かつ完全結合状態にあるとき)に最下部となる位置を除いた位置に配置した。このため、それぞれのマウントにおける接点ピン/接点パターンの占有角度範囲を小さくすることができる。このため、カメラ10および交換レンズ100を小型化することができる。また、本実施例では、カメラ側およびレンズ側の電源供給用の接点ピン202a7および接点パターン302a7をカメラ10の電源回路側に配置し、さらにマウントの中心Oよりも電源回路側に配置される接点数を、モータ側に配置される接点数よりも多くした。これにより、配線抵抗による損失が少なく、かつノイズにも強い構成を実現することができる。