JP2019173112A - 金属メッキ方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、樹脂成形体に対して密着性に優れた金属メッキ層を形成する金属メッキ方法を提供することである。【解決手段】樹脂成形体に金属メッキを施す方法であって、(A)金属ナノ粒子、(B)アミノチオフェノール及び/又はアミノフェニルジスルフィド、並びに(C)システインメチルエステルを含む第一無電解メッキ浴に、樹脂成形体を浸漬し、無電解メッキを行う第一無電解メッキ工程を含む、金属メッキ方法。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂成形体に対して密着性に優れた金属メッキ層を形成する金属メッキ方法に関する。
近年、消費者の高級志向等の高まりを受け、電子機器、電化製品、装飾品等の製品に高級感がある外観を備えさせるが重要になっている。そこで、これらの製品の筺体や構造材として使用されている樹脂成形体に、金やクロム等の金属メッキを施す技術が採用されている。
従来、樹脂成形体に対する金属メッキ方法としては、樹脂成形体に無電解メッキを行った後に置換めっきを行う方法、樹脂成形体に無電解めっきを行った後に電解メッキを行う方法が知られている。
例えば、特許文献1には、(1)金属化合物を含有する水溶液に無機系還元剤が添加されて得られた第一無電解メッキ浴を準備する準備工程、(2)被対象物と結合し得る部位と、チオール基又はジスルフィド基とを有する有機バインダーを添加した第一無電解メッキ浴中に被対象物を浸漬することにより、無電解法により被対象物表面にメッキを施すことで、一次めっき物を作製する一次メッキ工程、及び(3)前記一次メッキを第二無電解メッキ浴中に浸漬することにより、無電解法により一次めっき物表面に再メッキを施すことで、金属メッキ物を作製する二次メッキ工程を経ることにより、金属メッキ層を薄くしても、被覆状態が良好な金属メッキ物を作製できることが開示されている。
特許文献1に開示されている技術では、樹脂成形体に被覆状態が良好な金属メッキ層を形成することができるが、近年、樹脂成形体に施す金属メッキ層に対する要求性能の高まりを受け、金属メッキ層の密着性や平滑で良好な外観の更なる向上が求められている。このような従来技術を背景として、樹脂成形体に対して密着性に優れ、平滑で良好な外観の金属メッキ層を形成できる技術の開発が切望されている。
特開2013-170293号公報
本発明の目的は、樹脂成形体に対して密着性に優れた金属メッキ層を形成する金属メッキ方法を提供することである。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、金属ナノ粒子、及び特定のバインダー(即ち、アミノチオフェノール及び/又はアミノフェニルジスルフィドとシステインメチルエステルとの組み合わせ)を含む無電解メッキ浴で無電解メッキを行うことによって、密着性に優れた金属メッキ層を形成できることを見出した。また、前記無電解メッキを行った後に、更に電解メッキを行うことによって、金属メッキ層の密着性が優れることに加え、平滑で良好な外観の金属メッキ層が形成されることをも見出した。本発明は、かかる知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 樹脂成形体に金属メッキを施す方法であって、
(A)金属ナノ粒子、(B)アミノチオフェノール及び/又はアミノフェニルジスルフィド、並びに(C)システインメチルエステルを含む第一無電解メッキ浴に、樹脂成形体を浸漬し、無電解メッキを行う第一無電解メッキ工程
を含む、金属メッキ方法。
項2. 前記(B)成分が、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール、4,4’−ジアミノジフェニルジスルフィド、2,2’−ジアミノジフェニルジスルフィド、及び4,2’−ジアミノジフェニルジスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種である、項1に記載の金属メッキ方法。
項3. 前記(A)成分に含まれる金属原子が、パラジウム、金、銀、ニッケル、白金、及び銅からなる群より選択される少なくとも1種である、項1又は2に記載の金属メッキ方法。
項4. 第一無電解メッキ工程前に、樹脂成形体に対して、樹脂成形体の表面に凹凸を付与する表面粗面化処理、及び/又は樹脂成形体の表面に官能基を生成させる表面改質処理を施す、項1〜3のいずれかに記載の金属メッキ方法。
項5. 前記表面改質処理が、UVオゾン処理又はプラズマエッチング処理である、項4に記載の金属メッキ方法。
項6. 前記表面粗面化処理が、有機溶媒処理又はアルカリ処理である、項4に記載の金属メッキ方法。
項7. 前記樹脂成形体の構成樹脂がポリカーボネートである、項1〜6のいずれかに記載の金属メッキ方法。
項8. 更に、前記第一無電解メッキ工程で得られた第一メッキ物に対して、無電解メッキを行う第二無電解メッキ工程を含む、項1〜7のいずれかに記載の金属メッキ方法。
項9. 更に、前記第一無電解メッキ工程で得られた第一メッキ物に対して、熱処理を行う熱処理工程を含む、項1〜7のいずれかに記載の金属メッキ方法。
項10. 更に、前記第二無電解メッキ工程で得られた第二メッキ物に対して、熱処理を行う熱処理工程を含む、項8に記載の金属メッキ方法。
項11. 更に、前記第一無電解メッキ工程で得られた第一メッキ物、前記第二無電解メッキ工程で得られた第二メッキ物、又はこれらを熱処理工程に供して得られた熱処理メッキ物に対して、電解メッキを行う電解メッキ工程を含む、項1〜10に記載の金属メッキ方法。
項12. 前記電解メッキ工程における金属メッキが、ニッケル、パラジウム、金、銀、白金、銅、及びクロムからなる群より選択される少なくとも1種の金属のメッキである、項11に記載の金属メッキ方法。
本発明によれば、樹脂成形体に対して所定条件での無電解メッキを行うことによって、密着性に優れた金属メッキ層を形成することができる。更に、本発明では、無電解メッキ後に、電解メッキを行うことによって、優れた密着性を具備できるだけでなく、平滑で良好な外観の金属メッキ層を形成することもできる。
実施例2において、前処理後のポリカーボネート板、第二無電解メッキ工程後の第二メッキ物、及び電解メッキ工程後の金属メッキ樹脂成形体について、表面状態を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を示す図である。 各種前処理後のポリカーボネート板の表面の官能基状態をFT−IR分析を行った結果を示す図である。
本発明の金属メッキ方法は、樹脂成形体に金属メッキを施す方法であって、(A)金属ナノ粒子、(B)アミノチオフェノール及び/又はアミノフェニルジスルフィド、並びに(C)システインメチルエステルを含む第一無電解メッキ浴に、樹脂成形体を浸漬し、無電解メッキを行う第一無電解メッキ工程を含むことを特徴とする。以下、本発明の金属メッキ方法について詳述する。
[被メッキ物]
本発明では、被メッキ物として樹脂成形体を使用する。樹脂成形体の構成樹脂の種類については、特に制限されないが、チオール基及び/又はジスルフィド基を有さないものであることが好ましく、具体的には、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂(ポリメタクリル酸メチル樹脂等)、ポリトリメチロールプロパントリアクリレート、ナイロン、ポリオレフィン、フェノール樹脂、セルロース樹脂、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフウタレート、ポリブチレンテレフアレート等)、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン等)等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはポリカーボネートが挙げられる。
被メッキ物として使用される樹脂成形体の形状については、特に制限されず、当該樹脂成形体の用途に応じた任意の形状であればよい。
被メッキ物として使用される樹脂成形体の用途については、特に制限されないが、例えば、カメラ、パソコン、テレビ、電話、時計等の電化製品等の筺体、構造材、内部部品等;携帯音楽再生機器、映像再生機器、印刷機器、複写機器等の筺体、構造材、内部部品等;建築材;文具等の事務機器の構造材等;自動車、電車、船舶、飛行機等の輸送機器の内装材、外装材、構造材等が挙げられる。
被メッキ物として使用される樹脂成形体は、そのまま後述する無電解メッキを行う第一無電解メッキ工程に供してもよいが、第一無電解メッキ工程に先立って、前処理として表面粗面化処理及び/又は表面改質処理を施しておくことが好ましい。このような前処理を行っておくことにより、形成される金属メッキ層の密着性をより一層向上させることができる。
本発明において、「表面粗面化処理」とは、樹脂成形体の表面に凹凸を付与する処理である。表面粗面化処理としては、具体的には、アルカリ処理、酸処理、有機溶媒処理、ブラスト処理、レーザ処理等が挙げられる。これらの表面粗面化処理は、1種の処理のみを採用してもよく、2種以上の処理を採用して順次行ってもよい。
表面粗面化処理の処理条件については、表面粗面化処理の方法、使用する樹脂成形体の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、表面粗面化処理後の樹脂成形体の表面の算術平均粗さRaが、0.8〜2.0μm、好ましくは0.87〜1.5μm、更に好ましくは0.9〜1.3μmとなるように行えばよい。
以下、アルカリ処理、酸処理、及び有溶媒処理について説明する。
アルカリ処理は、アルカリ水溶液を樹脂成形体に接触させることによって行われる。アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを含む水溶液であればよい。アルカリ水溶液中のアルカリ濃度については、特に制限されないが、例えば、アルカリとして水酸化アルカリ金属を使用する場合であれば、0.1〜20M、好ましくは1〜10M、更に好ましくは2〜5Mが挙げられる。アルカリ処理時の温度条件については、特に制限されないが、例えば、0〜100℃、好ましくは50〜100℃、更に好ましくは80〜90℃が挙げられる。アルカリ処理の処理時間については、使用するアルカリ水溶液の組成、処理温度等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.5〜60分間、好ましくは1〜20分間、更に好ましくは1〜5分間が挙げられる。また、アルカリ水溶液を樹脂成形体に接触させるには、例えば、アルカリ水溶液中に樹脂成形体を浸漬させればよい。
酸処理は、酸水溶液を樹脂成形体に接触させることによって行われる。酸水溶液は、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の無機酸;酢酸、ギ酸等の有機酸を含む水溶液であればよい。また、酸水溶液中の酸濃度については、特に制限されないが、例えば、10重量%以上、好ましくは20〜90重量%、更に好ましくは40〜60重量%が挙げられる。酸処理時の温度条件については、特に制限されないが、例えば、20〜100℃、好ましくは40〜90℃、更に好ましくは60〜80℃が挙げられる。酸処理の処理時間については、使用する酸の種類、処理温度等に応じて適宜設定すればよいが、例えば1〜60分間、好ましくは5〜30分間、更に好ましくは10〜20分間が挙げられる。また、酸水溶液を樹脂成形体に接触させるには、例えば、酸水溶液中に樹脂成形体を浸漬させればよい。
有機溶媒処理は、有機溶媒を樹脂成形体に接触させることによって行われる。有機溶媒の種類については、樹脂成形品の表面を粗面化できることを限度として特に制限されないが、例えば、ジメチルホルムアミド、エタノール等が挙げられる。また、有機溶媒処理において、有機溶媒は水に溶解させて水溶液の状態で使用してもよい。有機溶媒を水溶液の状態で使用する場合、当該水溶液中の有機溶媒の濃度については、特に制限されないが、例えば、10重量%以上、好ましくは40〜80重量%、更に好ましくは60〜70重量%が挙げられる。また、有機溶媒処理時の温度条件については、特に制限されないが、例えば、10〜90℃、好ましくは30〜60℃、更に好ましくは40〜50℃が挙げられる。有機溶媒処理の処理時間については、使用する有機溶媒の種類、処理温度等に応じて適宜設定すればよいが、例えば1〜60分間、好ましくは5〜30分間、更に好ましくは10〜20分間が挙げられる。また、有機溶媒を樹脂成形体に接触させるには、例えば、有機溶媒又はその水溶液中に樹脂成形体を浸漬させればよい。
本発明において、「表面改質処理」とは、樹脂成形体の表面に存在する分子鎖を切断して、水酸基、カルボキシル基、ホルミル基等の官能基を生成させる処理である。表面改質処理としては、具体的には、UVオゾン処理、ファインバブルオゾン水処理、プラズマエッチング処理、電解硫酸処理等が挙げられる。これらの表面改質処理は、1種の処理のみを採用してもよく、2種以上の処理を採用して順次行ってもよい。
表面改質処理の処理条件については、表面改質処理の方法、使用する樹脂成形体の種類等に応じて適宜設定すればよい。
以下、UVオゾン処理及びプラズマエッチング処理について説明する。
UVオゾン処理は、樹脂成形体にオゾンガスを接触させつつ紫外線照射を行う処理である。UVオゾン処理時のオゾンガス濃度については、特に制限されないが、例えば、5〜200ppm、好ましくは10〜100ppm、更に好ましくは20〜50ppmが挙げられる。また、UVオゾン処理時のUV照射量については、特に制限されないが、例えば、1〜50mW/cm2、好ましくは5〜30mW/cm2、更に好ましくは10〜20mW/cm2が挙げられる。UVオゾン処理の処理時間については、使用するオゾンガスガス濃度やUVの照射条件等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.5〜10分間、好ましくは1〜5分間、更に好ましくは2〜3分間が挙げられる。UVオゾン処理は、UVオゾン洗浄表面改質装置等の公知の装置を用いて行うことができる。
プラズマエッチング処理は、樹脂成形体にプラズマガスでエッチングを行う処理である。プラズマエッチング処理のプラズマ生成ガスの種類については、特に制限されないが、例えば、希ガス、酸素ガス、窒素ガス、及びこれらの混合ガス等が挙げられる。また、プラズマエッチング処理におけるイオン電流密度については、特に制限されないが、例えば、10〜300μA/cm2、好ましくは20〜100μA/cm2、更に好ましくは60〜80μA/cm2が挙げられる。プラズマエッチング処理は、ソフトプラズマエッチング装置等の公知の装置を用いて行うことができる。
被メッキ物として使用される樹脂成形体に前処理を行う場合、表面粗面化処理及又は表面改質処理の一方のみを行ってもよいが、これらの双方を行うことが好ましい。樹脂成形体の前処理として表面粗面化処理及び表面改質処理の双方を行うことによって、無電解メッキ工程によって形成される金属メッキ層の密着性をより一層向上させることができる。中でも、有機溶媒処理又はアルカリ処理とUVオゾン処理又はプラズマエッチング処理との組み合わせ、特に有機溶媒処理とUVオゾン処理又はプラズマエッチング処理との組み合わせ、とりわけ有機溶媒処理とUVオゾン処理との組み合わせは、樹脂成形体の表面に官能基をより効率的に生成させることができ、無電解メッキ工程によって形成される金属メッキ層の密着性を格段顕著に向上させることができる。
樹脂成形体の前処理として表面粗面化処理及び表面改質処理の双方を行う場合、これらの前処理の順番については特に制限されないが、表面粗面化処理を行った後に表面改質処理を行うことが好ましい。
[第一無電解メッキ工程]
本発明において、第一無電解メッキ工程では、(A)金属ナノ粒子、(B)アミノチオフェノール及び/又はアミノフェニルジスルフィド、並びに(C)システインメチルエステルが添加された第一無電解メッキ浴を使用する。このように、バインダーとして機能する成分として、(B)アミノチオフェノール及び/又はアミノフェニルジスルフィドと(C)システインメチルエステルを併用することによって、最終的に、樹脂成形体に対して密着性に優れた金属メッキ層を形成することが可能になる。
金属ナノ粒子は、第一無電解メッキ工程で形成される金属メッキ層の構成金属の供給源になる。金属ナノ粒子を構成する金属原子については、形成される金属メッキ層の構成金属の種類に応じて適宜設定すればよいが、例えば、パラジウム、金、銀、ニッケル、白金、銅等が挙げられる。
金属ナノ粒子の粒子径については、ナノスケールであることを限度として特に制限されないが、例えば1〜100nm程度、好ましくは2〜50nm程度であればよい。
第一無電解メッキ浴中の金属ナノ粒子の濃度については、被メッキ物の処理量、使用する金属化合物の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.001〜1重量%、好ましくは0.005〜0.5重量%、更に好ましくは0.005〜0.05重量%が挙げられる。
第一無電解メッキ工程で使用される金属ナノ粒子は、公知の手法で作製されたものであればよい。金属ナノ粒子は、金属化合物を含有する水溶液に還元剤を添加することにより得られるので、第一無電解メッキ工程では、当該手法で作製された金属ナノ粒子を使用することが、簡便性の観点から好ましい。前記金属化合物としては、還元されて金属ナノ粒子を生成できるものであればよく、金属ナノ粒子の構成金属の種類に応じて適宜設定すればよいが、例えば、塩化パラジウム、テトラクロロ金酸、硝酸銀、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ヘキサクロロ白金酸、硫酸銅、塩化銅等が挙げられる。前記還元剤の種類については、特に誠に制限されないが、具体的には、水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、過酸化水素水、ホルマリン、ジメチルアミンボラン、ヒドラジン、クエン酸、アスコルビン酸等が挙げられる。
金属化合物を含有する水溶液に還元剤を添加して金属ナノ粒子を生成させる際の条件については、特に制限されないが、例えば、前記金属化合物を0.001〜1重量%、好ましくは0.005〜0.5重量%、更に好ましくは0.005〜0.05重量%と、前記還元剤を0.0001〜1重量%、好ましくは0.001〜0.1重量%、更に好ましくは0.005〜0.05重量%とを水溶液中で共存させて、0.5〜24時間、好ましくは2〜24時間、更に好ましくは6〜12時間反応させればよい。
アミノチオフェノール及び/又はアミノフェニルジスルフィドは、前記金属ナノ粒子が樹脂成形体に金属メッキ層として析出する際にバインダーとしての役割を果たす。第一無電解メッキ浴中で、アミノチオフェノールは、チオール基が前記金属ナノ粒子と結合し、アミノ基が樹脂成形体の表面と結合すると考えられる。また、アミノフェニルジスルフィドは、第一無電解メッキ浴中でジスルフィド結合が切断され、生じたチオール基が前記金属ナノ粒子と結合し、アミノ基が樹脂成形体の表面と結合すると考えられる。
アミノチオフェノールとしては、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、及び4−アミノチオフェノールのいずれであってもよく、これらの中から1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらのアミノチオフェノールの中でも、好ましくは4−アミノチオフェノールが挙げられる。
アミノフェニルジスルフィドとしては、4,4’−ジアミノジフェニルジスルフィド、2,2’−ジアミノジフェニルジスルフィド、及び4,2’−ジアミノジフェニルジスルフィド等のいずれであってもよく、これらの中から1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明では、アミノチオフェノール又はアミノフェニルジスルフィドのいずれか一方を単独で使用してもよく、またこれらの双方を組み合わせて使用してもよい。
第一無電解メッキ浴中のアミノチオフェノール及び/又はアミノフェニルジスルフィドの濃度については、被メッキ物の処理量、使用する還元剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、アミノチオフェノールを使用する場合であれば、1〜1000μM、好ましくは5〜500μM、更に好ましくは50〜100μM;アミノフェニルジスルフィドを使用する場合であれば、0.5〜500μM、好ましくは2.5〜250μM、更に好ましくは25〜50μMが挙げられる。
システインメチルエステルは、アミノチオフェノール及び/又はアミノフェニルジスルフィドと同様、前記金属化合物に由来する金属イオンが樹脂成形体に金属メッキ層として析出する際にバインダーとしての役割を果たす。システインメチルエステルは、第一無電解メッキ浴中で、チオール基が前記金属化合物に由来する金属イオン金属イオンと結合し、アミノ基が樹脂成形体の表面と結合すると考えられる。
第一無電解メッキ浴中のシステインメチルエステルの濃度については、被メッキ物の処理量、使用する還元剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、1〜1000μM、好ましくは5〜500μM、更に好ましくは50〜100μMが挙げられる。
また、第一無電解メッキ浴は、塩酸、クエン酸、リン酸、硝酸、硫酸、アスコルビン酸等の酸が添加され、pHが2〜7程度、好ましくは4〜7程度に調整されていることが望ましい。
更に、第一無電解メッキ浴には、必要に応じて分散剤が添加されていてもよい。分散剤としては、通常の無電解メッキに使用されているものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、ポリビニルアルコール等のアルコール;ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの分散剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第一無電解メッキ浴に分散剤を添加する場合、分散剤の濃度については、特に制限されないが、例えば0.1〜1000ppm、好ましくは0.1〜100ppm、更に好ましくは1〜10ppmが挙げられる。
第一無電解メッキ浴は、金属ナノ粒子、アミノチオフェノール及び/又はアミノフェニルジスルフィド、システインメチルエステル、並びに必要に応じて使用される酸や分散剤を添加することにより調製できる。第一無電解メッキ浴の調製において、前記各成分の添加順については、特に制限されないが、金属ナノ粒子分散液に、アミノチオフェノール及び/又はアミノフェニルジスルフィド、システインメチルエステル、並びに必要に応じて使用される酸や分散剤を同時又は任意の順で添加する方法が好適である。
第一無電解メッキ工程は、第一無電解メッキ浴に樹脂成形体を浸漬し、静置又は撹拌することにより行われる。無電解メッキ時の温度条件については、特に制限されず、例えば、室温であればよい。また、第一無電解メッキ工程における無電解メッキの処理時間については、第一無電解メッキ浴の組成、形成するメッキ層の厚み等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間、更に好ましくは1〜3時間が挙げられる。
斯くして無電解メッキを行うことにより得られたメッキ物(以下、第一メッキ物と表記することもある)は、必要に応じて、洗浄や乾燥を行った後に、そのまま電解メッキの被メッキ物(即ち、樹脂成形体に対して平滑で良好な外観で密着性に優れた金属メッキ層を形成するための製造中間体)として使用される。また、第一メッキ物は、電解メッキに供する前に、後述する無電解メッキを施す第二無電解メッキ工程、及び/又は熱処理工程に供してもよい。
また、第一無電解メッキ工程で得られた第一メッキ物は、メッキ層の構成金属の種類や被メッキ物等に応じて、触媒や電極等の各種用途に利用してもよい。
[第二無電解メッキ工程]
第二無電解メッキ工程では、第一メッキ物に対して、無電解メッキを行う。
第二無電解メッキ工程で行われる無電解メッキは、一般的な無電解メッキで使用されている無電解メッキ浴を用いればよく、例えば、金属化合物及び還元剤が添加された無電解メッキ浴(以下、第二無電解メッキ浴と表記することもある)を用いて行われる。
第二無電解メッキ浴に添加される金属化合物については、第二無電解メッキで形成する金属メッキ層の構成金属の種類に応じて適宜設定すればよい。当該金属化合物として、例えば、パラジウム、金、銀、ニッケル、白金、銅等の金属原子を含むものであればよく、具体的には、塩化パラジウム、テトラクロロ金酸、硝酸銀、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、ヘキサクロロ白金酸、硫酸銅、塩化銅等が挙げられる。なお、第二無電解メッキ浴に添加される金属化合物は、前記第一無電解メッキ浴に添加される金属化合物とは、同一であってもよく、また異なっていてもよい。
第二無電解メッキ浴における金属化合物の濃度については、被メッキ物の処理量、使用する金属化合物の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%が挙げられる。
第二無電解メッキ浴に添加される還元剤については特に制限されないが、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム、過酸化水素水、ホルマリン、ジメチルアミンボラン等が挙げられる。
第二無電解メッキ浴における還元剤の濃度については、被処理物の処理量、使用する還元剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%が挙げられる。
また、第二無電解メッキ浴には、必要に応じて錯化剤が添加されていてもよい。錯化剤としては、例えば、マロン酸、クエン酸、酢酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。これらの錯化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
更に、第二無電解メッキ浴は、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリが添加され、pHが3〜11程度、好ましくは4〜7程度、更に好ましくは5〜7程度に調整されていることが望ましい。
第二無電解メッキ浴は、水に、金属化合物、還元剤、必要に応じて、錯化剤、並びにアルカリを添加することにより調製できる。
第二無電解メッキ工程は、第二無電解メッキ浴に第一メッキ物を浸漬し、静置又は撹拌することにより行われる。無電解メッキ時の温度条件については、特に制限されず、例えば、室温であればよい。また、第二無電解メッキ工程における無電解メッキの処理時間については、第二無電解メッキ浴の組成、形成するメッキ層の厚み等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1〜5時間、好ましくは0.1〜2時間、更に好ましくは0.1〜1時間が挙げられる。
斯くして第二無電解メッキ工程を行うことにより得られたメッキ物(以下、第二メッキ物と表記することもある)は、必要に応じて、洗浄や乾燥を行った後に、そのまま電解メッキの被メッキ物(即ち、樹脂成形体に対して平滑で良好な外観で密着性に優れた金属メッキ層を形成するための製造中間体)として使用される。また、第二メッキ物は、電解メッキに供する前に、後述する熱処理工程に供してもよい。
また、第二無電解メッキ工程で得られた第一メッキ物は、メッキ層の構成金属の種類や被メッキ物等に応じて、触媒や電極等の各種用途に利用してもよい。
[熱処理工程]
熱処理工程では、第一メッキ物又は第二メッキ物に対して、熱処理を行う。
熱処理を行う雰囲気は、空気中でもよいが、金属被覆の酸化による変化を防止するために窒素やアルゴン等の不活性雰囲気中であることが好ましい。
熱処理の温度条件としては、120以上の範囲で、熱処理工程に供される第一メッキ物又は第二メッキ物の樹脂成形品の変形を生じない範囲で適宜設定すればよいが、例えば、80〜300℃、好ましくは100〜200℃、更に好ましくは100〜150℃が挙げられる。
また、熱処理時間としては、例えば、1〜120分間、好ましくは5〜60分間、更に好ましくは10〜30分間が挙げられる。
斯くして熱処理工程を行うことにより得られた熱処理メッキ物は、電解メッキの被メッキ物(即ち、樹脂成形体に対して平滑で良好な外観で密着性に優れた金属メッキ層を形成するための製造中間体)として使用される。
[電解メッキ工程]
前記で得られた第一メッキ物、第二メッキ物、又は熱処理メッキ物は、被電解メッキ物として更に電解メッキ工程に供することによって、樹脂成形体に対して平滑で良好な外観で密着性に優れた金属メッキ層が形成される。
電解メッキ工程で施されるメッキ金属の構成金属としては、特に制限されないが、例えば、パラジウム、金、銀、ニッケル、白金、銅等が挙げられる。
電解メッキ工程は、公知の電解メッキの条件で行うことができ、具体的には、前記で得られた第一メッキ物、第二メッキ物、又は熱処理メッキ物を、前記構成金属イオンを含む電解液を入れた電解メッキ浴に浸漬し、電圧を印加して、所望の圧みの金属メッキ層を形成すればよい。電解メッキ工程において、電解液の組成、印加条件等については、被電解メッキ物の大きさ、形成する金属メッキ層の厚み等に応じて適宜設定すればよい。
また、電解メッキ工程は、1回のみ行ってもよいが、必要に応じて2回以上実施してもよい。電解メッキ工程を2回以上実施する場合、同一組成の電解液を使用してもよく、2以上の異なる組成の電解液を使用してもよい。
斯くして電解メッキ工程を行うことによって、樹脂成形体に対して平滑で良好な外観で密着性に優れた金属メッキ層が形成される。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例によって限定的に解釈されるものではない。
1.金属メッキ樹脂成形体の製造
実施例1
ポリカーボネート板(縦5cm、横10cm、厚さ0.2cm)に対して、以下に示す条件で、第一無電解メッキ工程、第二無電解メッキ工程、熱処理工程、及び電解メッキ処理を行うことにより、金属メッキ樹脂成形体を製造した。
(1)第一無電解メッキ工程
先ず、300mlの超純水に、4.23mlの塩化パラジウム(田中貴金属工業社製)1重量%水溶液を添加した。次いで、この水溶液をマグネチックスターラで攪拌(500rpm)しながら、3mlの水素化ホウ素ナトリウム(和光純薬社製)2重量%水溶液を加え、さらに12時間マグネチックスターラで攪拌(500rpm)することにより、パラジウム粒子水溶液を得た。
得られたパラジウム粒子水溶液300mlに、1M塩酸(和光純薬社製)水溶液600μLと、10mM 4−アミノチオフェノール(和光純薬社製)エタノール溶液2mLと、10mML−システインメチルエステル塩酸塩(和光純薬社製)水溶液2mLを添加し、第一無電解メッキ浴(pH約4)を調製した。この第一無電解メッキ浴にポリカーボネート板を投入して、室温で3時間ミックスロータ(MIX-ROTAR VMR-5 アズワン社製)で攪拌(100rpm)した。その後、ポリカーボネート板を回収して充分水洗いした後、自然乾燥を行い、第一メッキ物を得た。
(2)第二無電解メッキ工程
1000mlの水に、39.4gの硫酸ニッケル六水和物(和光純薬社製)と40.3gの次亜リン酸ナトリウム一水和物(和光純薬工業社製)と31.2gのマロン酸(和光純薬工業社製)を加え、アンモニア水(和光純薬工業社製)でpH5.5に調整し、第二無電解メッキ浴を調製した。調製した第二無電解メッキ浴を60℃に加熱し、第一メッキ物を投入し、10分間静置した。その後、めっき物を回収して充分水洗いした後、自然乾燥を行い、第二メッキ物を得た。
(3)熱処理工程
第二メッキ物を卓上マッフル炉(デンケン社製、商品名「KDF P70」)で100℃、10分間加熱することにより、熱処理メッキ物を得た。
(4)電解メッキ工程
熱処理メッキ物を酸活性処理(7.4重量%塩酸水溶液中で20秒間浸漬)した後に、以下に示す電解メッキ(1)、電解メッキ(2)、及び電解メッキ(3)をこの順で実施し、金属メッキ樹脂成形体を得た。
<電解メッキ(1)(ニッケルストライクメッキ)>
・電解液組成
硫酸ニッケル:280g/L
塩化ニッケル:45g/L
ホウ酸:40g/L
・温度:55℃
・電流密度:1A/dm2
・時間:1分
<電解メッキ(2)(硫酸銅メッキ)>
・電解液組成
硫酸銅:230g/L
硫酸:40g/L
塩素イオン:70mg/L
安定剤(TOP DuNC Cu 奥野製薬工業株式会社製):0.25g/L
・温度:25℃
・電流密度:3A/dm2
・時間:16分
<電解メッキ(3)(光沢ニッケルメッキ)>
・電解液組成
硫酸ニッケル:280g/L
塩化ニッケル:45g/L
ホウ酸:40g/L
安定剤(TOP DuNC Cu 奥野製薬工業株式会社製):10mL/L
・温度:55℃
・電流密度:3A/dm2
・時間:8分
実施例2
第一無電解メッキ工程の前に、以下に示す条件で、ポリカーボネート板にUVオゾン処理による表面改質処理を行ったこと以外は、実施例1と同条件で金属メッキ樹脂成形体を製造した。
<UVオゾン処理>
UVオゾン洗浄表面改質装置(ASM2003N あすみ技研社製)を用い、照射距離30mm、ランプ冷却Air流量0.4MPaで3分間、ポリカーボネート板を処理した。
実施例3
第一無電解メッキ工程の前に、以下に示す条件で、ポリカーボネート板にアルカリ処理による表面粗面化処理を行った後にUVオゾン処理による表面改質処理を行ったこと以外は、実施例1と同条件で金属メッキ樹脂成形体を製造した。
<アルカリ処理>
5Mの水酸化ナトリウム水溶液200mLを90℃に加熱し、ポリカーボネート板を投入した。その後、超純水で充分水洗いした後、自然乾燥を行った。
<UVオゾン処理>
実施例2で採用したUVオゾン処理と同条件で、アルカリ処理後のポリカーボネート板にUVオゾン処理を行った。
実施例4
第一無電解メッキ工程の前に、以下に示す条件で、ポリカーボネート板に有機溶媒処理による表面粗面化処理を行った後にUVオゾン処理による表面改質処理を行ったこと以外は、実施例1と同条件で金属メッキ樹脂成形体を製造した。
<有機溶媒処理>
60重量%のジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製)水溶液200mLを40℃に加熱し、ポリカーボネート板を投入して10分間静置した。その後、超純水で充分水洗いした後、50重量%の硫酸(和光純薬工業社製)水溶液200mLを70℃に加熱し、ポリカーボネート板を投入し、10分間静置した。その後、超純水で充分水洗いした後、自然乾燥を行った。
<UVオゾン処理>
実施例2で採用したUVオゾン処理と同条件で、アルカリ処理後のポリカーボネート板にUVオゾン処理を行った
実施例5
第一無電解メッキ工程の前に、以下に示す条件で、ポリカーボネート板にプラズマエッチング処理による表面改質処理を行ったこと以外は、実施例1と同条件で金属メッキ樹脂成形体を製造した。
<プラズマエッチング処理>
ソフトエッチング装置(SEDEメイワフォーシス社製)を用い10mAで3分間、ポリカーボネート板を処理した。
比較例1
第一無電解メッキ浴の調製において、4−アミノチオフェノール10mMエタノール溶液を添加しなかったこと以外は、実施例2と同条件で金属メッキ樹脂成形体を製造した。
比較例2
10mM 4−アミノチオフェノールのエタノール溶液及び10mM L−システインメチルエステル塩酸塩水溶液を添加せずに、10mM アミノエタンチオールのエタノール溶液3mLを添加して第一無電解メッキ浴を調製したこと以外は、実施例2と同条件で金属メッキ樹脂成形体を製造した。
比較例3
10mM 4−アミノチオフェノールのエタノール溶液及び10mM L−システインメチルエステル塩酸塩水溶液を添加せずに、10mM メルカプトフェノールのエタノール溶液3mLを添加して第一無電解メッキ浴を調製したこと以外は、実施例2と同条件で金属メッキ樹脂成形体を製造した。
2.評価方法
(1)金属メッキ層の剥離強度の測定
得られた各金属メッキ樹脂成形体における金属メッキ層の剥離強度を以下の方法で測定した。
先ず、金属メッキ樹脂成形体エポキシ接着剤付Alスタッドピン(7.1mm Quad Group社製)を張り付け90℃で6時間加熱し、接着させた。次いで、接着したスタッドピンを垂直に引張り、ピンが剥離した時の強度をデジタルフォースゲージ(FGJN−50 日本シンポ社製)で測定した。
(2)表面粗さの測定
前処理前のポリカーボネート板、第二無電解メッキ工程後の第二メッキ物、及び電解メッキ工程後の金属メッキ樹脂成形体の算術平均粗さ(Ra)を、以下の方法で測定した。
想定対象物を走査型電子顕微鏡(TM3030 日立ハイテクノロジーズ社製)の3次元画像表示・計測機能(3D-VIEW)を用いて1000倍で観察した。得られた断面プロファイルによる算術平均粗さ(Ra)を計測し、40点の平均値を算術平均粗さ(Ra)とした。
(3)金属メッキ樹脂成形体の外観評価
第二無電解メッキ工程後の第二メッキ物、及び電解メッキ工程後の金属メッキ樹脂成形体について、金属メッキ層の外観を目視にて観察し、以下の判定基準に従って評価した。
<判定基準>
○:表面が平滑で金属光沢がある。
△:表面に僅かな凸凹があるが、全体として平滑で金属光沢がある。
×:表面が凸凹で金属光沢がない。
(4)前処理後のポリカーボネート板の表面の官能基状態の分析
前処理前後のポリカーボネート板の表面の官能基の状態をフーリエ変換赤外分光光度計(Agilent Cary 660/620 FastImage IRアジレント・テクノロジー社製)を用いて測定した。一回反射ATR法にて、表面処理を行ったポリカーボネート板をダイヤモンドプリズムに密着させ測定した。
なお、本分析は、前処理前、実施例2で採用した前処理後(UVオゾン処理後)、実施例3で採用した前処理後(アルカリ処理及びUVオゾン処理後)、実施例5で採用した前処理後(プラズマエッチング処理後)のものを用いて行った。
(5)走査型電子顕微鏡による表面観察
実施例2において、前処理後のポリカーボネート板、第二無電解メッキ工程後の第二メッキ物、及び電解メッキ工程後の金属メッキ樹脂成形体について、表面状態を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
3.評価結果
得られた結果を表1及び2に示す。また、SEMにて表面状態を観察した結果を図1、前処理後のポリカーボネート板の表面の官能基状態をFT−IR分析を行った結果を図2に示す。
表1及び2、並びに図2から明らかなように、第一無電解メッキ工程において、バインダーとして4−アミノチオフェノールとL−システインメチルエステルを併用している場合には、金属メッキ層の剥離硬度が高くなっており、しかも電解メッキ後には平滑で良好な外観の金属メッキ層が形成されていることが確認された。特に、表面改質処理(UVオゾン処理、プラズマエッチング処理)を前処理として施しておくことにより、良好な外観の金属メッキ層の形成と、高い剥離硬度を、高レベルで両立できていた。また、図2に示されているように、表面改質処理(UVオゾン処理、プラズマエッチング処理)によってポリカーボネート板の表面に官能基(水酸基及びカルボキシル基)が生成していた。このような表面改質処理が金属メッキ層の剥離硬度を格段に向上させる一因になっていると考えられる。
これに対して、第一無電解メッキ工程において、バインダーとして、4−アミノチオフェノール又はL−システインメチルエステルを単独で使用したり、他の化合物を使用した場合では、金属メッキ層に対して高い剥離強度を具備させることはできなかった。

Claims (12)

  1. 樹脂成形体に金属メッキを施す方法であって、
    (A)金属ナノ粒子、(B)アミノチオフェノール及び/又はアミノフェニルジスルフィド、並びに(C)システインメチルエステルを含む第一無電解メッキ浴に、樹脂成形体を浸漬し、無電解メッキを行う第一無電解メッキ工程
    を含む、金属メッキ方法。
  2. 前記(B)成分が、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール、4,4’−ジアミノジフェニルジスルフィド、2,2’−ジアミノジフェニルジスルフィド、及び4,2’−ジアミノジフェニルジスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の金属メッキ方法。
  3. 前記(A)成分に含まれる金属原子が、パラジウム、金、銀、ニッケル、白金、及び銅からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の金属メッキ方法。
  4. 第一無電解メッキ工程前に、樹脂成形体に対して、樹脂成形体の表面に凹凸を付与する表面粗面化処理、及び/又は樹脂成形体の表面に官能基を生成させる表面改質処理を施す、請求項1〜3のいずれかに記載の金属メッキ方法。
  5. 前記表面改質処理が、UVオゾン処理又はプラズマエッチング処理である、請求項4に記載の金属メッキ方法。
  6. 前記表面粗面化処理が、有機溶媒処理又はアルカリ処理である、請求項4に記載の金属メッキ方法。
  7. 前記樹脂成形体の構成樹脂がポリカーボネートである、請求項1〜6のいずれかに記載の金属メッキ方法。
  8. 更に、前記第一無電解メッキ工程で得られた第一メッキ物に対して、無電解メッキを行う第二無電解メッキ工程を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の金属メッキ方法。
  9. 更に、前記第一無電解メッキ工程で得られた第一メッキ物に対して、熱処理を行う熱処理工程を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の金属メッキ方法。
  10. 更に、前記第二無電解メッキ工程で得られた第二メッキ物に対して、熱処理を行う熱処理工程を含む、請求項8に記載の金属メッキ方法。
  11. 更に、前記第一無電解メッキ工程で得られた第一メッキ物、前記第二無電解メッキ工程で得られた第二メッキ物、又はこれらを熱処理工程に供して得られた熱処理メッキ物に対して、電解メッキを行う電解メッキ工程を含む、請求項1〜10に記載の金属メッキ方法。
  12. 前記電解メッキ工程における金属メッキが、ニッケル、パラジウム、金、銀、白金、銅、及びクロムからなる群より選択される少なくとも1種の金属のメッキである、請求項11に記載の金属メッキ方法。
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