JP2011012293A - マグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐食性及び製造効率が良好で、且つ、EMIの発生を良好に抑制すると共に、表面に金属光沢を有する装飾的美観を付与するマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法を提供する。
【解決手段】マグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法は、マグネシウム又はマグネシウム合金基材上に、めっきを施すに先立って、金属以外の導電性のフィラーを含む導電性樹脂層を形成する工程を備える。
【選択図】なし
【解決手段】マグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法は、マグネシウム又はマグネシウム合金基材上に、めっきを施すに先立って、金属以外の導電性のフィラーを含む導電性樹脂層を形成する工程を備える。
【選択図】なし
Description
発明は、マグネシウム又はマグネシウム合金に金属光沢のある装飾性と耐食性を付与するめっき方法に関する。
マグネシウムは、比重が約1.8g/cm3と実用金属材料の中で最も軽量であり、近年、携帯電話や家電製品の筐体部品等を中心にその用途が拡大している。しかし、マグネシウムは、実用金属の中で最も卑な金属であるため錆びやすく、磨き込んだ外観も簡単に変色してしまうことから、防錆のために表面処理を行うことが不可欠である。現在最も一般的に行われているマグネシウムの表面処理は、化成処理後の塗装であるが、金属であるマグネシウムには金属外観が似合うとの理由から、めっきに対する要求はきわめて高い。
マグネシウム又はマグネシウム合金へのめっき方法については、古くから、ジンケート処理後、シアン化銅ストライクを施す「ダウ法」や、直接無電解ニッケルめっきを施す「坂田法」など、種々の手段が提案されている。これらに加え、例えば後述する特許文献に記載されたようなめっき方法が開発されている。すなわち、特許文献1には、前処理の後、亜鉛置換膜の形成、電気分解による銅めっき、無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき、無電解金めっき、無電解銅めっき、電気分解による銅めっき、金めっき、さらに微視孔への四弗化エチレンの含浸を行う方法が開示されている。また、特許文献2には、めっき前処理として、表面脱脂、化学エッチング、フッ化物処理、及び、アルカリ中和を行い、無電解ニッケルめっきを実施する方法が開示されている。特許文献3には、パラジウム触媒を有する触媒溶液に被めっき体を浸漬させ、被めっき体の表面にパラジウムを置換させた後、無電解めっきを施す方法が開示されている。
一方、上述した方法では十分な耐食性が得られないため、特許文献4及び5には、マグネシウム又はマグネシウム合金基体にいったん塗膜を施し、その上にめっきを施す方法が検討され、開示されている。
上述したように、マグネシウム合金へのめっき方法として種々の手段が提案されているが、マグネシウム合金へめっきを施すと、マグネシウムとめっきに用いる金属との異種金属同士が接触することになる。このとき、めっき金属としてどのような金属を選択しようともマグネシウムは実用金属の中で最も卑な金属であり、異種金属同士の接触による電位差腐食を避けることができない。このため、めっき被膜に存在する、又は、使用中に生成したピンホールやクラックなどの欠陥から、電位差腐食によりマグネシウム素地が侵食されてしまい、充分な耐食性が得られないという問題が生じる。
一方、上述したように、異種金属同士の接触を避けるためにめっきの下地として塗膜を施す方法があるが、この方法にも問題がある。例えば、特許文献4に開示されているように絶縁被膜を施す場合には、その被膜上に先ず無電解めっきを施すことになるが、下層の被膜が絶縁被膜であるため、電気めっきを施すために必要な通電性が得られる厚さの無電解めっきを施す必要がある。また、マグネシウム基材とめっき被膜という導電体の間に絶縁被膜が存在し、これがコンデンサとして作用して回路に電磁的な影響を及ぼすことがあり、EMI対策上の問題がある。また、特許文献5に開示されている導電性樹脂層を施す方法においては、その導電性樹脂層の下層として基材のマグネシウムと導電性樹脂中の金属フィラーとの接触による電位差腐食を回避するために非導電性樹脂層を施す必要があることから、上記と同じ問題があると共に、樹脂層形成工程が2工程となり、生産性及びコストの観点からも問題がある。
そこで、本発明は、耐食性及び製造効率が良好で、且つ、EMIの発生を良好に抑制すると共に、表面に金属光沢を有する装飾的美観を付与するマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法を提供することを課題とする。
一方、上述したように、異種金属同士の接触を避けるためにめっきの下地として塗膜を施す方法があるが、この方法にも問題がある。例えば、特許文献4に開示されているように絶縁被膜を施す場合には、その被膜上に先ず無電解めっきを施すことになるが、下層の被膜が絶縁被膜であるため、電気めっきを施すために必要な通電性が得られる厚さの無電解めっきを施す必要がある。また、マグネシウム基材とめっき被膜という導電体の間に絶縁被膜が存在し、これがコンデンサとして作用して回路に電磁的な影響を及ぼすことがあり、EMI対策上の問題がある。また、特許文献5に開示されている導電性樹脂層を施す方法においては、その導電性樹脂層の下層として基材のマグネシウムと導電性樹脂中の金属フィラーとの接触による電位差腐食を回避するために非導電性樹脂層を施す必要があることから、上記と同じ問題があると共に、樹脂層形成工程が2工程となり、生産性及びコストの観点からも問題がある。
そこで、本発明は、耐食性及び製造効率が良好で、且つ、EMIの発生を良好に抑制すると共に、表面に金属光沢を有する装飾的美観を付与するマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法を提供することを課題とする。
本発明の発明者らは、マグネシウム又はマグネシウム合金基材上に、めっきを施すに先立って、金属以外の導電性フィラーを含む導電性樹脂で構成された導電性樹脂層を形成することによって、マグネシウム又はマグネシウム合金基材上に直接めっきを施すときや、金属性フィラーを含む導電性樹脂を用いるときに生じる電位差腐食の発生を抑制すると共に、絶縁性の樹脂被膜を利用する際のEMIの発生を良好に抑制することを見出した。また、そのような構成によれば、めっき工程における通電性の問題点を解決し、一度の導電性樹脂層工程のみで金属光沢のある装飾性と高い耐食性を実現することができ、マグネシウム又はマグネシウム合金製品の製造効率が良好となることを見出した。
以上の知見を基礎として完成した本発明は一側面において、マグネシウム又はマグネシウム合金基材上に、めっきを施すに先立って、金属以外の導電性のフィラーを含む導電性樹脂層を形成する工程を備える。
本発明に係るマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法の一実施形態においては、前記金属以外の導電性のフィラーが、黒鉛粉末である。
本発明に係るマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法の更に別の一実施形態においては、前記導電性樹脂が、さらにカーボンブラックを含む。
本発明に係るマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法の更に別の一実施形態においては、前記導電性樹脂が、熱可塑性又は熱硬化性樹脂である。
本発明に係るマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法の更に別の一実施形態においては、前記導電性樹脂が、紫外線硬化性又は電子線硬化性樹脂である。
本発明に係るマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法の更に別の一実施形態においては、前記導電性樹脂が、導電性のフィラーとして、実質的に炭素系の導電性物質のみを含有する。
本発明に係るマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法の更に別の一実施形態においては、前記導電性樹脂が、導電性のフィラーとして、炭素系の導電性物質、及び、前記炭素系の導電性物質と重量基準で同量以下の金属粉末の導電性物質を含有する。
本発明に係るマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法の更に別の一実施形態においては、前記導電性樹脂層を予め形成するに先立って、マグネシウム又はマグネシウム合金基材上に酸化物層を形成する工程を備える。
本発明に係るマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法の更に別の一実施形態においては、前記酸化物層を、化成処理又は陽極酸化処理で形成する。
本願発明によれば、1回の樹脂被覆工程のみで、マグネシウム又はマグネシウム合金とめっき層との異種金属の接触による電位差腐食を回避でき、耐食性を著しく向上できるのみでなく、金属光沢を持った装飾性の表面を得ることができる。このため、耐食性及び製造効率が良好となる。さらに、マグネシウム基材とめっき被膜という導電体の間に絶縁被膜が存在せず、EMIの発生を良好に抑制することができる。この結果、近年軽量化が望まれる電子機器類の筐体や自動車部品等としてのマグネシウム合金の使用範囲を画期的に拡大できるという効果が大きく期待できる。
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係るマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法は、少なくとも次の各工程(1)、(2)、(3)をこの順で備えている。
(1)マグネシウム又はマグネシウム合金基材表面の前処理工程
(2)導電性樹脂層形成工程
(3)めっき処理工程
ここで、上記マグネシウム又はマグネシウム合金基材表面の前処理工程(1)は必須の工程ではないが、導電性樹脂層の形成やめっき処理を良好に行うためには、備えているほうが好ましい。
本発明の実施形態1に係るマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法は、少なくとも次の各工程(1)、(2)、(3)をこの順で備えている。
(1)マグネシウム又はマグネシウム合金基材表面の前処理工程
(2)導電性樹脂層形成工程
(3)めっき処理工程
ここで、上記マグネシウム又はマグネシウム合金基材表面の前処理工程(1)は必須の工程ではないが、導電性樹脂層の形成やめっき処理を良好に行うためには、備えているほうが好ましい。
本願発明において用いられる基材としては、公知の純マグネシウム或いはマグネシウム合金が好適に用いられ、工業的に多用されているAZ31マグネシウム合金(マグネシウム96%、アルミニウム3%、亜鉛1%)、AZ91等のマグネシウム合金はもちろん、その他の合金も用いることができる。また、成形方法としても、鋳物、ダイカストはもちろん、圧延やスタンピング等の特殊な方法で成形した製品等にも適用される。
マグネシウム又はマグネシウム合金基材表面の前処理工程(1)は、金属表面に付着している油脂類、酸化物、水酸化物、ホコリなどを除去し、後続の処理を良好に行うことを目的としている。当該前処理工程としては、マグネシウム又はマグネシウム合金基材表面の研磨・脱脂・エッチング・スマット除去等が挙げられる。
導電性樹脂層形成工程(2)は、前処理工程(1)の後、導電性樹脂をマグネシウム又はマグネシウム合金基材表面に塗布し、加熱することによって行う。これにより、前処理が施されたマグネシウム又はマグネシウム合金基材表面に導電性樹脂層を形成することができる。導電性樹脂としては、金属以外の導電性のフィラーを含有する導電性樹脂を用いる。金属以外の導電性のフィラーとしては、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなどのカーボンナノ粒子や、微細炭素繊維などの導電性のある炭素系物質、あるいは金属酸化物半導体なども用いることができるが、コストの観点から黒鉛粉末が最も好適に用いられる。また、導電性樹脂には、さらにカーボンブラックを含有させることができる。
導電性樹脂中の導電性フィラーの含有量は、重量で5〜80%であるのが好ましく、5〜20%がより好ましい。導電性のフィラーの含有量が少なすぎる場合には、電気めっき工程において十分な電流を流すことができず、極端に低い電流密度を用いざるを得ず、良好なめっき被膜が得られにくい上にめっきに要する時間が長くなり生産性が低くなる。逆に、導電性のフィラーの含有量が多すぎる場合には、望ましい樹脂被膜強度が得られない、又は、平滑性に欠ける、などの被膜特性上の問題が生じる可能性がある。
通常のめっき条件を用いる場合には、上述の通り黒鉛粉末を含む導電性樹脂あるいはさらにカーボンブラックを含有させた導電性樹脂で十分な性能が得られる。即ち、導電性のフィラーとして実質的に炭素系の導電性物質のみを含有する導電性樹脂が好適に用いられる。
しかしながら、次の工程で用いるめっき浴の必要電流密度が高いなど、やむを得ない場合には、さらに導電性フィラーとして少量の金属粉末を含めることも可能である。ただし、異種金属腐食の観点から金属粉末の添加は望ましくないので、添加量は最小限度に留めることが望ましい。即ち、導電性のフィラーとしての金属粉末の導電性物質の添加量は、重量基準で炭素系の導電性物質と同量以下に限定する。金属粉末の導電性物質と炭素系の導電性物質との比重は大きく異なるため、同量という金属の添加量は体積として考えた場合は極めて少量に過ぎない。
本発明において好適に用いられる導電性樹脂としては、公知の熱可塑性又は熱硬化性の樹脂が用いられる。また、熱硬化性の樹脂以外に紫外線硬化性又は電子線硬化性の樹脂も用いることもできる。さらにはこれらの樹脂の混合物も用いることができる。公知の樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイミド樹脂、及び、シリコン樹脂等を挙げることができる。
本発明のめっき処理工程(3)で行うめっき処理は、電気めっき、無電解めっき、及び、化成処理等の湿式めっきであってもよく、さらに真空蒸着、物理蒸着、及び、化学蒸着等の乾式めっきであってもよく、その他どのようなめっき処理であっても良い。また、当該工程で形成されるめっき層としても、どのようなものであってもよく、例えば、金、銀、銅、白金、ロジウム、パラジウム、ニッケル、クロム、スズ、亜鉛等の各種金属およびそれらの合金等で形成されていてもよい。さらに、めっき層は、単層に限らず、多層の金属層の組み合わせで構成してもよい。
さらに、上記第1段のめっき処理工程(3)の後に、めっき処理面に対して、ホーニング処理(サンドブラスト処理)やヘアライン加工を行い、第2段のめっき処理をすることにより、デザイン性のある金属表面を得るなどの二次的な加工も可能である。
(実施形態1の作用効果)
上述のように、マグネシウム又はマグネシウム合金基材に対し、めっき処理の前に、導電性樹脂層を形成すると、マグネシウムとめっきに用いる金属との異種金属同士が直接接触しないため、異種金属同士の接触による電位差腐食を回避することができる。このため、めっき被膜の耐食性が良好となり、金属光沢による美観の良好なめっき被膜を得ることができる。
また、上記良好な耐食性を得るために、導電性樹脂層を形成するのみでよく、製造効率及び製造コストが良好となる。
さらに、マグネシウム又はマグネシウム合金基材とめっき被膜という導電体の間に絶縁被膜を存在させないため、EMIの発生を良好に抑制することができる。
上述のように、マグネシウム又はマグネシウム合金基材に対し、めっき処理の前に、導電性樹脂層を形成すると、マグネシウムとめっきに用いる金属との異種金属同士が直接接触しないため、異種金属同士の接触による電位差腐食を回避することができる。このため、めっき被膜の耐食性が良好となり、金属光沢による美観の良好なめっき被膜を得ることができる。
また、上記良好な耐食性を得るために、導電性樹脂層を形成するのみでよく、製造効率及び製造コストが良好となる。
さらに、マグネシウム又はマグネシウム合金基材とめっき被膜という導電体の間に絶縁被膜を存在させないため、EMIの発生を良好に抑制することができる。
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係るマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法は、少なくとも次の各工程(1)、(1B)、(2)、(3)をこの順で備えている。
(1)マグネシウム又はマグネシウム合金基材表面の前処理工程
(1B)酸化物層形成工程
(2)導電性樹脂層形成工程
(3)めっき処理工程
実施形態2が上述の実施形態1と大きく異なるのは、実施形態2のめっき方法が、マグネシウム又はマグネシウム合金基材表面の前処理工程と導電性樹脂層形成工程との間に、酸化物層形成工程をさらに備えている点である。
また、上記マグネシウム又はマグネシウム合金基材表面の前処理工程(1)は必須の工程ではないが、酸化物層の形成やめっき処理を良好に行うためには、備えているほうが好ましい。
本発明の実施形態2に係るマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法は、少なくとも次の各工程(1)、(1B)、(2)、(3)をこの順で備えている。
(1)マグネシウム又はマグネシウム合金基材表面の前処理工程
(1B)酸化物層形成工程
(2)導電性樹脂層形成工程
(3)めっき処理工程
実施形態2が上述の実施形態1と大きく異なるのは、実施形態2のめっき方法が、マグネシウム又はマグネシウム合金基材表面の前処理工程と導電性樹脂層形成工程との間に、酸化物層形成工程をさらに備えている点である。
また、上記マグネシウム又はマグネシウム合金基材表面の前処理工程(1)は必須の工程ではないが、酸化物層の形成やめっき処理を良好に行うためには、備えているほうが好ましい。
実施形態2に係るマグネシウム又はマグネシウム合金基材表面の前処理工程(1)、導電性樹脂層形成工程(2)、及び、めっき処理工程(3)は、それぞれ実施形態1で示した各工程と同様に行われる。
酸化物層形成工程(1B)は、前処理工程を行ったマグネシウム又はマグネシウム合金基材表面に、陽極酸化処理又は化成処理を施すことにより行う。陽極酸化処理では、電気化学反応によりマグネシウムを主体とする酸化物の被膜をマグネシウム又はマグネシウム合金基材表面に形成している。化成処理では、化学反応によりリン酸塩を主体とする酸化物の被膜をマグネシウム又はマグネシウム合金基材表面に形成している。このような酸化物の被膜の形成により、マグネシウム又はマグネシウム合金基材の表面に、耐食性や塗料との親和性等を付与することができる。
酸化物層形成工程(1B)は、前処理工程を行ったマグネシウム又はマグネシウム合金基材表面に、陽極酸化処理又は化成処理を施すことにより行う。陽極酸化処理では、電気化学反応によりマグネシウムを主体とする酸化物の被膜をマグネシウム又はマグネシウム合金基材表面に形成している。化成処理では、化学反応によりリン酸塩を主体とする酸化物の被膜をマグネシウム又はマグネシウム合金基材表面に形成している。このような酸化物の被膜の形成により、マグネシウム又はマグネシウム合金基材の表面に、耐食性や塗料との親和性等を付与することができる。
(実施形態2の作用効果)
上述のように、導電性樹脂層形成工程の前に、酸化物層を形成することにより、マグネシウム又はマグネシウム合金基材と導電性樹脂層との密着性が一層向上するとともに、めっきを含めた製品の耐食性を更に向上させることが可能となる。
上述のように、導電性樹脂層形成工程の前に、酸化物層を形成することにより、マグネシウム又はマグネシウム合金基材と導電性樹脂層との密着性が一層向上するとともに、めっきを含めた製品の耐食性を更に向上させることが可能となる。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意の変形をなし得るものである。
(実施例1)
AZ31マグネシウム合金基材を準備し、当該基材表面をアルカリ脱脂剤(グランダファイナーMG−15SX;ミリオン化学社製)にて清浄にした。次に重量で10%の黒鉛粉末を混合したエポキシ系導電性樹脂を塗布し、約30μm厚の導電性樹脂層を形成した。その後、導電性樹脂層の上に5μm厚の光沢ニッケルめっきを形成した。
AZ31マグネシウム合金基材を準備し、当該基材表面をアルカリ脱脂剤(グランダファイナーMG−15SX;ミリオン化学社製)にて清浄にした。次に重量で10%の黒鉛粉末を混合したエポキシ系導電性樹脂を塗布し、約30μm厚の導電性樹脂層を形成した。その後、導電性樹脂層の上に5μm厚の光沢ニッケルめっきを形成した。
(実施例2)
AZ31マグネシウム合金基材を準備し、当該基材表面をグランダーMC−1000処理プロセス(ミリオン化学社製)にて、化成処理を施し、当該基材表面に酸化物層を形成した。次に重量で10%の黒鉛粉末を混合したウレタン系導電性樹脂を塗布し、約30μm厚の導電性樹脂層を形成した。その後、導電性樹脂層の上に5μm厚の光沢ニッケルめっきを形成した。
AZ31マグネシウム合金基材を準備し、当該基材表面をグランダーMC−1000処理プロセス(ミリオン化学社製)にて、化成処理を施し、当該基材表面に酸化物層を形成した。次に重量で10%の黒鉛粉末を混合したウレタン系導電性樹脂を塗布し、約30μm厚の導電性樹脂層を形成した。その後、導電性樹脂層の上に5μm厚の光沢ニッケルめっきを形成した。
(実施例3)
AZ31マグネシウム合金基材を準備し、当該基材表面を陽極酸化処理し、当該基材表面に約10μmの酸化物層を形成した。次に重量で10%の黒鉛粉末を混合したフェノール系導電性樹脂を塗布し、約30μm厚の導電性樹脂層を形成した。その後、導電性樹脂層の上に5μm厚の光沢ニッケルめっきを形成した。
AZ31マグネシウム合金基材を準備し、当該基材表面を陽極酸化処理し、当該基材表面に約10μmの酸化物層を形成した。次に重量で10%の黒鉛粉末を混合したフェノール系導電性樹脂を塗布し、約30μm厚の導電性樹脂層を形成した。その後、導電性樹脂層の上に5μm厚の光沢ニッケルめっきを形成した。
(比較例1)
AZ31マグネシウム合金基材を準備し、当該基材表面にダウ法に従い5μm厚の銅めっきを形成した。その後、銅めっき層の上に5μm厚の光沢ニッケルめっきを形成した。
AZ31マグネシウム合金基材を準備し、当該基材表面にダウ法に従い5μm厚の銅めっきを形成した。その後、銅めっき層の上に5μm厚の光沢ニッケルめっきを形成した。
(比較例2)
AZ31マグネシウム合金基材を準備し、当該基材表面に坂田法に従い2μm厚の無電解ニッケルめっきを形成した。その後、無電解ニッケルめっき層の上に5μm厚の光沢ニッケルめっきを形成した。
AZ31マグネシウム合金基材を準備し、当該基材表面に坂田法に従い2μm厚の無電解ニッケルめっきを形成した。その後、無電解ニッケルめっき層の上に5μm厚の光沢ニッケルめっきを形成した。
(比較例3)
AZ31マグネシウム合金基材を準備し、当該基材表面をグランダーMC−1000処理プロセス(ミリオン化学社製)にて、化成処理を施し、当該基材表面に化成処理皮膜を形成した。次に銀粉末を混合したエポキシ系導電性樹脂を塗布し、約30μm厚の導電性樹脂層を形成した。その後、導電性樹脂層の上に5μm厚の光沢ニッケルめっきを形成した。
AZ31マグネシウム合金基材を準備し、当該基材表面をグランダーMC−1000処理プロセス(ミリオン化学社製)にて、化成処理を施し、当該基材表面に化成処理皮膜を形成した。次に銀粉末を混合したエポキシ系導電性樹脂を塗布し、約30μm厚の導電性樹脂層を形成した。その後、導電性樹脂層の上に5μm厚の光沢ニッケルめっきを形成した。
上述の実施例1〜3および比較例1〜3で得られた試料について、JISZ2371に従った塩水噴霧試験を実施した結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1〜3のいずれの試料においても良好な耐食性を示す結果を得ることができた。一方、比較例1〜3のいずれの試料においても、めっき被膜に4〜8時間で腐食が観察された。
Claims (9)
- マグネシウム又はマグネシウム合金基材上に、めっきを施すに先立って、金属以外の導電性のフィラーを含む導電性樹脂層を形成する工程を備えるマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法。
- 前記金属以外の導電性のフィラーが、黒鉛粉末である請求項1に記載のマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法。
- 前記導電性樹脂が、さらにカーボンブラックを含む請求項1又は2に記載のマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法。
- 前記導電性樹脂が、熱可塑性又は熱硬化性樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法。
- 前記導電性樹脂が、紫外線硬化性又は電子線硬化性樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法。
- 前記導電性樹脂が、導電性のフィラーとして、実質的に炭素系の導電性物質のみを含有する請求項1〜5のいずれかに記載のマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法。
- 前記導電性樹脂が、導電性のフィラーとして、炭素系の導電性物質、及び、前記炭素系の導電性物質と重量基準で同量以下の金属粉末の導電性物質を含有する請求項1〜5のいずれかに記載のマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法。
- 前記導電性樹脂層を予め形成するに先立って、マグネシウム又はマグネシウム合金基材上に酸化物層を形成する工程を備える請求項1〜7のいずれかに記載のマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法。
- 前記酸化物層を、化成処理又は陽極酸化処理で形成する請求項8に記載のマグネシウム又はマグネシウム合金のめっき方法。
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