JP2014095097A - 3価クロムめっき成形品の製造方法および3価クロムめっき成形品 - Google Patents

3価クロムめっき成形品の製造方法および3価クロムめっき成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた外観、耐食性、耐磨耗性を有する3価クロムめっき皮膜構造および工業的に使用可能な処理工程を提供すること。
【解決手段】以下の工程を包含する方法により、成形品の表面にめっきを処理する3価クロムめっき成形品の製造方法:(a)成形品の表面に、光沢硫酸銅めっきによって銅めっき皮膜を形成する工程、(b)3価クロムイオンと、錯化剤とを含有し、該錯化剤が0.1〜2モル/Lである3価クロムめっき浴を調製する工程、(c)該銅めっき皮膜の表面に、該3価クロムめっき浴を用いて3価クロムめっきを行い3価クロムめっき皮膜を形成する工程、ここで、3価クロムめっき皮膜中の炭素含有量が3at%以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種の金属およびABS、PC/ABS、ナイロンなどの樹脂素材に対して、ニッケルを使用することなく良好な外観、耐食性および耐磨耗性を有する3価クロムめっき皮膜を形成する3価クロムめっき成形品の製造方法およびその方法によって得られた3価クロムめっき成形品に関する。
ニッケルめっきは優れた色調、耐食性などの特性を有し、クロムめっきを始めとする装飾めっきの下地めっきとしても使用される重要なめっき技術である。
しかし、ニッケルめっきが施された装飾品などを身に付けた場合、汗などによってニッケルめっきが溶出することで肌にかぶれ、湿疹、炎症などを引き起こすこと(ニッケルアレルギー)が問題となっている。
携帯電話、デジタルカメラなどの携帯機器を含む電化製品では、低コストあるいは軽量化のために成形品としてABS,PC/ABS、ナイロンなどに代表される樹脂が広く使用されている。これらの樹脂よりなるめっき成形品では、最外層に外観、耐磨耗性、耐食性の点で優れた特性を有するクロムめっきが使用される場合が多い。
このような場合においても下地層であるニッケルが外部に溶出しないこと、あるいはニッケルめっきを使用しないことが要求される。
現在、ニッケル代替めっきとしては、銅40〜55%、スズ(スペキュラム)合金皮膜が検討されており、ニッケルめっきを使用しない樹脂めっき成形品の一般的な皮膜構造としては、樹脂素材/光沢硫酸銅/銅−スズ合金めっき/クロムめっきである。
しかしながら、銅−スズ合金めっきは、銅(E=+0.337V)とスズ(E=-0.136V)の析出電位の差が大きく、合金めっきを得るためには析出電位を接近させる必要がある。このために、めっき浴中に錯化剤を添加することが必要となるが、銅−スズ合金めっき浴では、有害なシアンを錯化剤に使用したものが多い。
このシアンを含有する銅−スズ合金めっき浴を樹脂めっきに使用する場合、光沢硫酸銅めっき後に銅−スズ合金めっき浴(シアン含有)に浸漬すると、成形品の表面と硫酸銅めっき皮膜の界面部分からシアンを含むめっき液のしみ込みが起こり、このことが原因となり、成形品の表面/光沢硫酸銅めっき皮膜の間で剥離が発生する場合がある。
近年では、有害なシアンを含有しない銅−スズ合金めっき浴(ピロリン酸浴など)が開発されており、この浴を使用した場合には、上記のめっき液の染み込みによる剥離に関する問題は解決される。
しかし、シアンを含有しない銅−スズ合金めっき浴においても以下に示すような問題が存在する。
(1)シアン含有のめっき浴を使用して形成した皮膜と比較すると、めっき皮膜の硬度が低いため、必要な耐磨耗性を確保するためにめっき皮膜の膜厚を厚くすることが必要である。しかし、
(2)皮膜の応力がシアン含有のめっき浴からの皮膜と比較すると高いため、充分な耐磨耗性を確保するために膜厚を増加すると、皮膜にクラックが発生する。
(3)強い錯化剤であるシアンを使用していないため、めっき液が不安定であり、浴寿命が短くなり、生産コストが上がる。
例えば、特開2008−143169号公報(特許文献1)には、版母材と、その版母材の表面に設けられかつ表面に多数のグラビアセルが形成された銅めっき皮膜と、銅めっき皮膜の表面を被覆する3価クロムめっき液から得られるクロムめっき皮膜とを含み、クロムめっき皮膜を過熱水蒸気によって加熱処理したグラビア製版ロールが開示されている。
しかし、この特許文献1では、3価クロムめっき皮膜を過熱水蒸気によって加熱処理することが必要であるので、生産性が低下する。また、得られた3価クロムめっき皮膜は、外観、耐食性および耐磨耗性が不十分である。
また、理想的には、光沢硫酸銅めっきの表面に、直接、外観、耐食性、耐磨耗性に優れた6価クロムを成膜できることが望ましい。
しかし、その場合には、6価クロムめっき液の酸化力が非常に高いことが問題となる。6価クロムめっき液中には高濃度のクロム酸(代表的な組成:クロム酸250g/L+98%硫酸2.5g/L)が含まれており、高い酸化性を示す。このため、硫酸銅めっき皮膜上に直接6価クロムめっきを成膜しようとすると、銅めっき皮膜の表面がクロム酸により酸化され外観不良を引き起こす。
そこで、本出願人は、これらの問題を解消するため、特開2010−84224号公報において、光沢硫酸銅めっきとして、3価クロムめっきを行い、次いで、その表面に6価クロムめっきを行うことにより、ニッケルを使用することなく、外観と耐食性、耐摩耗性を有する形成品を製造する方法を提案した。
しかし、この方法では、製造工程が複雑となる欠点があり、また6価クロムを使用するため、人体や環境に与える影響が大きい。
特開2008−143169号公報 特開2010−84224号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は従来のニッケルを使用しないめっきの問題点、特に、銅−スズ合金めっきを用いることなく、優れた外観、耐食性、耐磨耗性を有するめっき皮膜構造および工業的に使用可能な処理工程を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、6価クロムを用いることなく酸化力の低い3価クロムめっき液を用いた場合でも、6価クロムめっき皮膜と同等の外観、耐食性、耐摩耗性を有する皮膜が得られる3価クロムめっき成形品の製造方法およびその3価クロムめっき成形品を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、人体や環境に与える影響が少ない3価クロメート液を用いて高い耐食性を有する3価クロメート皮膜を、銅めっき皮膜上に形成することができる3価クロムめっき成形品の製造方法およびその3価クロムめっき成形品を提供することにある。
本発明者は、上記の目的を達成するべく、鋭意研究を重ねてきた。
その結果、ニッケルめっきを使用することなく、従来の膜構造と同等の外観、耐食性、耐磨耗性を有する皮膜構造および処理工程を見出し、ここに本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下の工程を包含する方法により、成形品の表面に3価クロムめっきを処理する3価クロムめっき成形品の製造方法であり、そのことにより上記目的が達成される。
(項目1) 以下の工程を包含する方法により、成形品の表面にめっきを処理する3価クロムめっき成形品の製造方法:
(a)成形品の表面に、光沢硫酸銅めっきによって銅めっき皮膜を形成する工程、
(b)3価クロムイオンと、錯化剤とを含有し、該錯化剤が0.1〜2モル/Lである3価クロムめっき浴を調製する工程、
(c)該銅めっき皮膜の表面に、該3価クロムめっき浴を用いて3価クロムめっきを行い3価クロムめっき皮膜を形成する工程、
ここで、該3価クロムめっき皮膜中の炭素含有量が3at%以上である、3価クロムめっき成形品の製造方法。
(項目2) 前記3価クロムめっき皮膜中の炭素含有量が5〜15at%である項目1に記載の3価クロムめっき成形品の製造方法。
(項目3) 前記3価クロムめっき浴が、3価クロムイオン1モルに対し、錯化剤を0.1〜2.0モルの範囲で含有する項目1記載の3価クロムめっき成形品の製造方法。
(項目4) 前記錯化剤が有機カルボン酸である、項目1記載の3価クロムめっき成形品の製造方法。
(項目5) 前記有機カルボン酸が、ジカルボン酸、オキシカルボン酸、多価カルボン酸又はそれらの塩である、項目4記載の3価クロムめっき成形品の製造方法。
(項目6) 前記3価クロムめっきを行う際の、3価クロムめっき浴に含まれるクロム濃度が5〜35g/Lである項目1に記載の3価クロムめっき成形品の製造方法。
(項目7) 前記3価クロムめっきを行う際の、3価クロムめっき浴のpHが1.5〜4.0である項目1に記載の3価クロムめっき成形品の製造方法。
(項目8) 前記3価クロムめっき皮膜の厚みが0.5〜5μmである項目1に記載の3価クロムめっき成形品の製造方法。
(項目9) 項目1〜8のいずれかの方法によって得られる3価クロムめっき成形品であって、成形品と、該成形品の表面に形成された膜厚が10〜50μmの銅めっき皮膜と、該銅めっき皮膜の表面に形成された膜厚が0.5〜5μmμmの3価クロムめっき皮膜と、を有する3価クロムめっき成形品。
(項目10) 前記成形品が携帯電話の操作用ボタンである項目9に記載の3価クロムめっき成形品。
上記したように、有害なシアンを含有する、あるいは制御の困難である銅−スズ合金めっきを行うことなく、銅めっき皮膜上に直接クロムめっきを行うことにより、簡単に、低コストで問題となるニッケルめっきアレルギー対策を行うことが可能である。
銅−スズ合金めっき皮膜は、光沢硫酸銅めっき皮膜と比較して硬度が高いため、耐磨耗性試験などでは銅−スズ合金めっき皮膜が存在することは皮膜構造としては有利である。
しかし、現状、銅−スズ合金めっき浴として安定な性能を示すものは有害なシアンを含有するシアン浴であり、排水処理、作業環境上からも好ましくない。近年では、錯化剤としてシアンを含有しないものも開発されてはいるが、実際の過酷な作業条件ではめっき浴の安定性などの点から問題がある。
光沢硫酸銅めっきは広く用いられているめっき浴であり、錯化剤を添加することで、酸化力の低い3価クロムめっき液を用いた場合でも、6価クロム皮膜に匹敵する外観、耐食性、耐摩耗性を付与することができる。
すなわち、クロム源として3価クロム塩を用い、錯化剤としてある種の錯化剤を用いることで、皮膜中に炭素を共析させたCr−C合金めっき皮膜を硫酸銅めっき皮膜上に直接成膜することができ、6価クロム皮膜に匹敵する外観、耐食性、耐摩耗性を付与することができるようになる。
本発明の方法では、酸化性の高い6価クロム(CrO)を使用しないため、めっき液中に硫酸銅めっき皮膜を浸漬した場合に、その表面に外観不良の原因となる酸化皮膜が形成され難いため、6価クロムめっきを直接成膜した場合に起こる外観不良が発生しない。また、6価クロムを使用しないため、人体や環境に与える影響も少ない。さらに、クロムめっき皮膜を1層とすることができ、工程数が低減する。
耐食性に関しては、酸化性の低い3価クロムめっき浴から得られた皮膜はめっき表面に不動態化膜(クロムの水和酸化物層)の形成が不十分であり、一般的には6価クロムめっき皮膜に劣る。しかし、6価クロムめっき皮膜はある程度の膜厚以上ではクラックが発生する。これに対して3価クロムめっき皮膜は皮膜応力が低く、クラックが発生しにくく、特に膜厚が厚い場合には、耐食性が向上する。
また、皮膜中に炭素などの不純物を含有しない3価クロムめっき皮膜の結晶構造は、6価クロムと同様の結晶質である。皮膜が結晶性を示す場合には、粒子間に存在する粒界(原子配列が不連続)部分では、その上に形成される不動態化膜も連続性が低いと考えられる。これに対して、本発明のように、皮膜中に炭素を共析させた場合、XRD測定においても結晶性の低下(アモルファス化)が確認されており、耐食性が向上する。
耐摩耗性については、炭素の共析により、皮膜硬度および耐磨耗性が向上する。
光沢硫酸銅めっきの概略工程を示す図である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する成形品は、ABS樹脂、PC/ABS樹脂、ナイロンなどの樹脂によって成形されたものがあげられる。例えば、射出成形された成形品があり、具体的には携帯電話、デジタルカメラの操作ボタンなどがある。
特に、ABS樹脂にて形成された一次成形品と、該一次成形品の内側に二色成形によって成形された二次成形品とを有する2色成形品を使用することができる。2次成形品はPC等の透明な樹脂にて形成することもできる。また、樹脂素材以外に、各種の金属を対象として本発明の方法に従ってめっきすることもできる。
この成形品の表面に以下の工程によりめっき処理が行われる。
1)光沢硫酸銅めっき
図1に光沢硫酸銅めっきの概略工程を示す。
成形品の表面を脱脂し、水洗した後、定法に基づいてクロム酸−硫酸エッチングを行う。
好ましいエッチング条件は、次のとおりである。
クロム酸350〜450g/Lと98%硫酸350〜450g/Lと、CRPエッチング添加剤0.5〜1.0ml/Lとを含有するエッチング液を使用することができる。エッチングの温度は65℃〜70℃、エッチング時間は5〜15分である。
特に好ましいエッチング条件は図1に示したとおり、クロム酸400g/Lと98%硫酸400g/Lと、CRPエッチング添加剤0.7ml/Lとを含有するエッチング液を使用する。エッチングの温度は67℃、エッチング時間は8〜10分である。
次に、成形品を水洗した後、中和、水洗を行い、プレディップし、次いで触媒化する。
触媒化した成形品を水洗した後、定法に従って、導体化し、水洗した後、電気銅めっきを行う。
なお、上記光沢硫酸銅めっき方法は、一例であるので、その他の公知の方法に従って、実施してもよい。
なお、上記で使用したCRPクリーナーとは脱脂剤、CRPコンディショナー222とは表面電荷調整剤、CRPキャタリスト85Hとはスズ-パラジウム触媒、CRPセレクターA−Kとは導電化処理剤、CRPセレクターBとは導電化処理剤、トップルチナ2000MUとは硫酸銅めっき用光沢剤、トップルチナ2000Aとは硫酸銅めっき用光沢剤である。
2)銅めっきの浴種
装飾用に使用される銅めっきとしては、ほとんどが、硫酸銅であり、他のピロリン酸浴、シアン浴が使用されることはない。
銅めっき浴に使用される光沢剤については、特に限定的でなく、必要な光沢を得ることができれば、従来より公知のものを使用可能である。例えば、光沢剤としては、トップルチナ870、2000,3000(奥野製薬工業製)があげられる。
この段階で、光沢が不十分であれば、3価クロムめっき処理後の光沢が出ない。
3)3価クロムめっきを行う必要性
硫酸銅めっきによって形成された皮膜上に、6価クロムめっきを直接製膜することは困難である。この理由は、6価クロムめっき浴のpHや酸化力が影響しているものと思われる。すなわち、一般的な、6価クロムめっき浴(サージェント浴)は、クロム酸250g/L+98%硫酸2.5g/L程度の組成であり、pHが低く、めっき浴の酸化力が高い(酸化還元電位(ORP)が高い)ことが特徴である。このため、銅めっき皮膜が6価クロムめっき浴中に浸漬された時点で銅表面の酸化、溶解が起こるために正常に(きれいに)クロムめっきができないものと推測される。
これに対して、3価クロムめっきでは、金属塩が3価クロム塩(硫酸クロムなど)であり、金属濃度も6価クロム浴と比較すると、低く、ORP(酸化還元電位)も低い値を示す。3価クロムめっき浴は、一般にpHも3程度であり、3価クロムめっき浴中に銅めっき皮膜が浸漬された場合でも、銅めっき皮膜の酸化あるいは溶解が起こりにくいため、銅めっき皮膜上に3価クロムめっきは正常に製膜するものと思われる。
本発明においては、このようにして基体上に銅めっき皮膜を析出させた後、水洗し、3価クロムめっき液で処理を行う。
4)3価クロムめっき浴
3価クロムめっき浴は、以下(a)〜(g)を含有することができる。
(a)クロム成分としては、硫酸クロム、塩基性硫酸クロム、塩化クロム、酢酸クロムなどの水溶性3価クロム化合物を含むことができる。上記3価クロムの供給源は、1種あるいは2種以上を使用することができる。処理溶液中の3価クロムイオンの濃度として5〜35g/Lの範囲が好ましく、より好ましくは10〜30g/Lの範囲であり、さらに好ましくは15〜25g/Lの範囲である。
(b)導電性塩として硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、フッ化カリウムなどを含むことができる。これらの無機酸の含有量は任意とすることができるが、好ましくは1〜200g/Lの範囲であり、より好ましくは10〜100g/Lの範囲である。
(c)クロムの錯化剤として、好ましくは有機カルボン酸である。また、有機カルボン酸の中でも、蟻酸、酢酸などのモノカルボン酸またはその塩、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸などのジカルボン酸、クエン酸、リンゴ酸、グリコール酸などのヒドロキシカルボン酸、またはそれらの塩を含有することができる。錯化剤は、1種又は2種以上を使用することができる。処理溶液中の錯化剤の濃度は、3価クロムイオン1モルに対し、0.1〜2モルの範囲が好ましく、さらに好ましくは0.2〜1.0モルの範囲である。錯化剤を所定量含有することにより、3価クロム化成処理皮膜の加熱による皮膜硬度の低下を防止し、耐摩耗性などを向上することができる。
また、付き回り性を向上させる目的でFe、Niなどを添加してもよい。
また、皮膜中の炭素含有量は3at%以上が好ましく、さらに好ましくは5〜15at%である。このように、炭素を共析させることにより、皮膜硬度および耐磨耗性を向上させることができる。皮膜中の炭素含有量が3at%未満の場合には、硬度が低下し、また耐摩擦性が低下する傾向にある。
さらに、(d)pH緩衝剤として、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、硫酸アルミニウムなどを含んでもよい。
また、3価クロムめっき浴の酸化還元電位は、100〜250mVが好ましい。さらに好ましくは、140〜200mVである。
3価クロムめっき浴のpHは、1.5〜5.0が好ましい。さらに好ましくは、2.0〜3.5である。
市販品としては、奥野製薬工業製の「トップファインクロムSP」を使用することができる。
本発明のめっき方法において、3価クロムめっきの条件としては、例えば25〜50℃の液温で2〜10分めっきするのが好ましく、より好ましくは3〜8分めっきする。
この3価クロムめっきによって形成される皮膜(クロムめっき皮膜)の厚みは0.5〜5.0μmが好ましい。さらに好ましくは、1.0〜3.0μmである。
5)3価クロムめっきの構造が必要である理由
ニッケルめっきが要求される部品は、人が触れる部分(携帯電話、デジタルカメラの操作ボタンなど)に用いられるため、ある程度の耐磨耗性が要求される。
一般的に3価クロムめっきの皮膜硬度は6価クロムめっきの皮膜硬度とほぼ同程度の900〜1000Hv程度を示す。
本発明の方法における、ニッケルめっきを使用しない工程では、銅−スズ合金めっきを行わないため、耐磨耗性を維持するために、クロムめっき皮膜の膜厚を1μm以上製膜することが望ましい。
6)基本的なめっき皮膜構造(膜厚など)
ABS樹脂などで成形品を製造する場合には、光沢外観を得るために光沢硫酸銅めっき皮膜は、10〜50μm程度の膜厚が好ましい。さらに好ましくは20〜40μmである。
3価クロムの膜厚は厚くする必要はなく、0.5〜5μmであれば十分である。特に好ましい3価クロムの膜厚は、1〜3μmである。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。
比較例1および実施例1〜4については、素材にPC/ABS樹脂の2色成形品を使用した。
この成形品についてクロム酸−硫酸エッチング処理を行い、成形品の表面に親水性および微細孔を形成した後、直接硫酸銅めっきプロセス(奥野製薬工業製 トップCRPプロセス)を用いて、触媒付与、導電化処理、直接硫酸銅めっきを行ったものを使用した。
(実施例1)
光沢硫酸銅めっき(膜厚30μm)を行ったPC/ABS樹脂よりなる成形品を用いて、銅−スズ合金めっきを行わずに、表1に示す組成のめっき液を用い、表1に示す条件で、直接成形品の表面に3価クロムめっきを行い、2.1μm製膜した。
(実施例2)
光沢硫酸銅めっき(膜厚30μm)を行ったPC/ABS樹脂よりなる成形品を用いて、銅−スズ合金めっきを行わずに、表1に示す組成のめっき液を用い、表1に示す条件で、直接3価クロムめっきを行い、2.3μm製膜した。
(実施例3)
光沢硫酸銅めっき(膜厚30μm)を行ったPC/ABS樹脂よりなる成形品を用いて、銅−スズ合金めっきを行わずに、表1に示す組成のめっき液を用い、表1に示す条件で、直接3価クロムめっきを行い、2.0μm製膜した。
(実施例4)
光沢硫酸銅めっき(膜厚30μm)を行ったPC/ABS樹脂よりなる成形品を用いて、銅−スズ合金めっきを行わずに、表1に示す組成のめっき液を用い、表1に示す条件で、直接3価クロムめっきを行い、2.3μm製膜した。
(比較例1)
光沢硫酸銅めっき(膜厚30μm)を行ったPC/ABS樹脂よりなる成形品を用いて、銅−スズ合金めっきを行わずに、表1に示す組成のめっき液を用い、表1に示す条件で、直接3価クロムめっきを行い、2.1μm製膜した。
(評価方法)
(皮膜外観)
処理外観については、目視により曇りなどの外観不良について評価を行った。
(膜厚測定)
クロムめっき皮膜の膜厚は、蛍光X線膜厚計(セイコーインスツルメンツ製SEA5120)により測定した。
(皮膜中の炭素含有率)
得られたクロムめっき皮膜中の炭素含有率は、XPS(光電子分光分析装置、アルバック・ファイ社製ESCA−5800)を用いて測定した。
スパッタ速度3nm/min(SiO換算)のArイオン銃を用い、最表面から1分間スパッタを行い、Cr2p、O1s、C1s、C2p光電子スペクトルについて測定を行い、付属の定量ソフトを用いて皮膜中に存在する各元素の存在比率を計算した。
(ビッカース硬度測定)
得られた皮膜について、荷重100gでビッカース硬度を測定した。
(耐摩耗性の評価)
スガ磨耗試験器(NVS−ISO−3)を用い、荷重550g、研磨紙#320、摩耗回数300回の条件で皮膜の磨耗減量を測定した。
消しゴム磨耗試験は、市販の砂消しゴムを用い、荷重500gで1分間に30往復させる条件で300回往復させた場合に、下地である銅めっき皮膜の露出で判定した。
上記実施例および比較例で得られた各めっき成形品について、上記試験項目を評価し、その結果を表1に示した。
Figure 2014095097
以上の結果から次のことがわかる。
実施例1〜4で示した光沢硫酸銅めっき上に直接3価クロムめっきを行った場合では、耐食性、耐磨耗性を満足させるための膜厚を厚くすることが必要であるが、外観、耐食性、耐磨耗性を満足することが可能である。加えて、比較的浴寿命が短く、管理が難しい銅−スズ合金めっきを使用することなく、ニッケルめっきを使用しない簡単な皮膜構造により生産コストも低減できる。
また、皮膜中に炭素を共析させることができるので、皮膜硬度および耐磨耗性が向上した。

Claims (10)

  1. 以下の工程を包含する方法により、成形品の表面にめっきを処理する3価クロムめっき成形品の製造方法:
    (a)成形品の表面に、光沢硫酸銅めっきによって銅めっき皮膜を形成する工程、
    (b)3価クロムイオンと、錯化剤とを含有し、該錯化剤が0.1〜2モル/Lである3価クロムめっき浴を調製する工程、
    (c)該銅めっき皮膜の表面に、該3価クロムめっき浴を用いて3価クロムめっきを行い3価クロムめっき皮膜を形成する工程、
    ここで、該3価クロムめっき皮膜中の炭素含有量が3at%以上である、3価クロムめっき成形品の製造方法。
  2. 前記3価クロムめっき皮膜中の炭素含有量が5〜15at%である請求項1に記載の3価クロムめっき成形品の製造方法。
  3. 前記3価クロムめっき浴が、3価クロムイオン1モルに対し、錯化剤を0.1〜2.0モルの範囲で含有する請求項1記載の3価クロムめっき成形品の製造方法。
  4. 前記錯化剤が有機カルボン酸である、請求項1記載の3価クロムめっき成形品の製造方法。
  5. 前記有機カルボン酸が、ジカルボン酸、オキシカルボン酸、多価カルボン酸又はそれらの塩である、請求項4記載の3価クロムめっき成形品の製造方法。
  6. 前記3価クロムめっきを行う際の、3価クロムめっき浴に含まれるクロム濃度が5〜35g/Lである請求項1に記載の3価クロムめっき成形品の製造方法。
  7. 前記3価クロムめっきを行う際の、3価クロムめっき浴のpHが1.5〜4.0である請求項1に記載の3価クロムめっき成形品の製造方法。
  8. 前記3価クロムめっき皮膜の厚みが0.5〜5μmである請求項1に記載の3価クロムめっき成形品の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかの方法によって得られる3価クロムめっき成形品であって、成形品と、該成形品の表面に形成された膜厚が10〜50μmの銅めっき皮膜と、該銅めっき皮膜の表面に形成された膜厚が0.5〜5μmμmの3価クロムめっき皮膜と、を有する3価クロムめっき成形品。
  10. 前記成形品が携帯電話の操作用ボタンである請求項9に記載の3価クロムめっき成形品。
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