JP5103574B2 - ニッケルを使用しないめっき成形品の製造方法およびめっき成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、各種の金属およびABS、PC/ABS、ナイロンなどの樹脂素材に対して、ニッケルを使用することなく良好な外観、耐食性および耐磨耗性を有するめっき皮膜を形成するめっき成形品の製造方法およびその方法によって得られためっき成形品に関する。
ニッケルめっきは優れた色調、耐食性などの特性を有し、クロムめっきを始めとする装飾めっきの下地めっきとしても使用される重要なめっき技術である。
しかし、ニッケルめっきが施された装飾品などを身に付けた場合、汗などによってニッケルめっきが溶出することで肌にかぶれ、湿疹、炎症などを引き起こすこと(ニッケルアレルギー)が問題となっている。
携帯電話、デジタルカメラなどの携帯機器を含む電化製品では、低コストあるいは軽量化のために成形品としてABS,PC/ABS、ナイロンなどに代表される樹脂が広く使用されている。これらの樹脂よりなるめっき成形品では、最外層に外観、耐磨耗性、耐食性の点で優れた特性を有するクロムめっきが使用される場合が多い。
このような場合においても下地層であるニッケルが外部に溶出しないこと、あるいはニッケルめっきを使用しないことが要求される。
現在、ニッケル代替めっきとしては、銅40〜55%、スズ(スペキュラム)合金皮膜が検討されており、ニッケルめっき使用しない樹脂めっき成形品の一般的な皮膜構造としては、樹脂素材/光沢硫酸銅/銅−スズ合金めっき/クロムめっきである。
しかしながら、銅−スズ合金めっきは、銅(E=+0.337V)とスズ(E=-0.136V)の析出電位の差が大きく、合金めっきを得るためには析出電位を接近させる必要がある。このために、めっき浴中に錯化剤を添加することが必要となるが、銅−スズ合金めっき浴では、有害なシアンを錯化剤に使用したものが多くある。
このシアンを含有する銅−スズ合金めっき浴を樹脂めっきに使用する場合、光沢硫酸銅めっき後に銅−スズ合金めっき浴(シアン含有)に浸漬すると、成形品表面と硫酸銅めっき皮膜の界面部分からシアンを含むめっき液のしみ込みが起こり、このことが原因となり、成形品表面/光沢硫酸銅めっき皮膜の間で剥離が発生する場合がある。
近年では、有害なシアンを含有しない銅−スズ合金めっき浴(ピロリン酸浴など)が開発されており、この浴を使用した場合には、上記のめっき液の染み込みによる剥離に関する問題は解決される。
しかし、シアンを含有しない銅−スズ合金めっき浴においても以下に示すような問題が存在する。
(1)シアン含有のめっき浴を使用して形成した皮膜と比較すると、めっき皮膜の硬度が低いため、必要な耐磨耗性を確保するためにめっき皮膜の膜厚を厚くすることが必要である。しかし、
(2)皮膜の応力がシアン含有のめっき浴からの皮膜と比較すると高いため、充分な耐磨耗性を確保するために膜厚を増加すると、皮膜にクラックが発生する。
(3)強い錯化剤であるシアンを使用していないため、めっき液が不安定であり、浴寿命が短くなり、生産コストが上がる。
例えば、特開2008−143169号公報(特許文献1)には、版母材と、その版母材の表面に設けられかつ表面に多数のグラビアセルが形成された銅めっき皮膜と、銅めっき皮膜の表面を被覆する3価クロムめっき液から得られるクロムめっき皮膜とを含み、クロムめっき皮膜を過熱水蒸気によって加熱処理したグラビア製版ロールが開示されている。
しかし、この特許文献1では、3価クロムめっき皮膜を過熱水蒸気によって加熱処理することが必要であるので、生産性が低下する。また、得られた3価クロムめっき皮膜は、外観、耐食性および耐磨耗性が不十分である。
特開2008−143169号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は従来のニッケルを使用しないめっきの問題点、特に、銅−スズ合金めっきを用いることなく、優れた外観、耐食性、耐磨耗性を有するめっき皮膜構造および工業的に使用可能な処理工程を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の目的を達成するべく、鋭意研究を重ねてきた。
その結果、ニッケルめっきを使用することなく、従来の膜構造と同等の外観、耐食性、耐磨耗性を有する皮膜構造および処理工程を見出し、ここに本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の工程を包含する方法により、成形品の表面にめっきを処理するめっき成形品の製造方法であり、そのことにより上記目的が達成される。
(a)成形品表面に、光沢硫酸銅めっきによって銅めっき皮膜を形成する工程、
(b)該銅めっき皮膜の表面に3価クロムめっきを行い第1のクロムめっき皮膜を形成する工程、
(c)該第1のクロムめっき皮膜の表面に6価クロムめっきを行い、第2のクロムめっき皮膜を形成する工程。
一つの実施形態では、前記第1のクロムめっき皮膜の厚みが0.05〜0.5μmである。
一つの実施形態では、前記第2のクロムめっき皮膜の厚みが0.1〜3.0μmである。
一つの実施形態では、前記3価クロムめっきを行う際の、3価クロムめっき浴に含まれるクロム濃度が1.0〜10.0g/Lである。
一つの実施形態では、前記3価クロムめっきを行う際の、3価クロムめっき浴の酸化還元電位が100〜250mVである。
一つの実施形態では、前記3価クロムめっきを行う際の、3価クロムめっき浴のpHが2.0〜5.0である。
また、本発明のめっき成形品は、上記いずれかの方法によって得られる。
一つの実施形態では、前記成形品が携帯電話の操作用ボタンである。
上記したように、有害なシアンを含有する、あるいは制御の困難である銅−スズ合金めっきを行うことなく、銅めっき皮膜上に直接クロムめっきを行うことにより、簡単に、低コストで問題となるニッケルめっきアレルギー対策を行うことが可能である。
銅−スズ合金めっき皮膜は、光沢硫酸銅めっき皮膜と比較して硬度が高いため、耐磨耗性試験などでは銅−スズ合金めっき皮膜が存在することは皮膜構造としては有利である。
しかし、現状、銅−スズ合金めっき浴として安定な性能を示すものは有害なシアンを含有するシアン浴であり、排水処理、作業環境上からも好ましくない。近年では、錯化剤としてシアンを含有しないものも開発されてはいるが、実際の過酷な作業条件ではめっき浴の安定性などの点から問題がある。
光沢硫酸銅めっきは広く用いられているめっき浴であり、光沢剤を添加することで非常に良好な光沢外観を得ることができ、その浴管理も容易である。
耐磨耗性については、硫酸銅めっきによって形成された銅皮膜上に形成する高い硬度(1000Hv程度)を有する3価あるいは6価クロムめっき皮膜を厚く形成することで解決できる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する成形品は、ABS樹脂、PC/ABS樹脂、ナイロンなどの樹脂によって成形されたものがあげられる。例えば、射出成形された成形品があり、具体的には携帯電話、デジタルカメラの操作ボタンなどがある。
特に、ABS樹脂にて形成された一次成形品と、該一次成形品の内側に二色成形によって成形された二次成形品とを有する2色成形品を使用することができる。2次成形品2はPC等の透明な樹脂にて形成することもできる。また、樹脂素材以外に、各種の金属を対象として本発明の方法に従ってめっきすることもできる。
この成形品の表面に以下の工程によりめっき処理が行われる。
1)光沢硫酸銅めっき
図1に光沢硫酸銅めっきの概略工程を示す。
成形品表面を脱脂し、水洗した後、クロム酸ー硫酸エッチングを行う。好ましいエッチング条件は図1に示したとおりである。
次に、成形品を水洗した後、中和、水洗を行い、プレディップし、次いで触媒化する。
触媒化した成形品を水洗した後、導体化し、水洗した後、電気銅めっきを行う。
なお、上記光沢硫酸銅めっき方法は、一例であるので、その他の公知の方法に従って、実施してもよい。
2)銅めっきの浴種
装飾用に使用される銅めっきとしては、ほとんどが、硫酸銅であり、他のピロリン酸浴、シアン浴が使用されることはない。
銅めっき浴に使用される光沢剤については、特に限定的でなく、必要な光沢を得ることができれば、従来より公知のものを使用可能である。
この段階で、光沢が不十分であれば、3価あるいは6価クロム処理後の光沢が出ない。
3)3価クロムめっきを行う必要性
硫酸銅めっきによって形成された皮膜上に、6価クロムめっきを直接製膜することは困難である。この理由は、6価クロムめっき浴のpHや酸化力が影響しているものと思われる。すなわち、一般的な、6価クロムめっき浴(サージェント浴)は、クロム酸250g/L+98%硫酸2.5g/L程度の組成であり、pHが低く、めっき浴の酸化力が高い(酸化還元電位が高い)ことが特徴である。このため、銅めっき皮膜が6価クロムめっき浴中に浸漬された時点で銅表面の酸化、溶解が起こるために正常に(きれいに)クロムめっきができないものと推測される。
これに対して、3価クロムめっきでは、金属塩が3価クロム塩(硫酸クロムなど)であり、金属濃度も6価クロム浴と比較すると、低く、ORP(酸化還元電位)も低い値を示す。3価クロムめっき浴は、一般にpHも3程度であり、3価クロムめっき浴中に銅めっき皮膜が浸漬された場合でも、銅めっき皮膜の酸化あるいは溶解が起こりにくいため、銅めっき皮膜上に3価クロムめっきは正常に製膜するものと思われる。
4)3価クロムめっき浴
3価クロムめっき浴は、以下(a)〜(g)を含有することができる。
(a)クロム成分としては、硫酸クロム、塩基性硫酸クロム、塩化クロム、酢酸クロムなどの水溶性3価クロム化合物を含み、(b)導電性塩として硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウムなどを含み、(c)クロムの酢化剤として、蟻酸、酢酸などのモノカルボン酸またはその塩、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸などのジカルボン酸、クエン酸、リンゴ酸、グリコール酸などのヒドロキシカルボン酸、またはそれらの塩を含有することができる。
さらに、(d)pH緩衝剤として、ホウ酸、ホウ酸ナトリウムなどを含んでもよい。
また、3価クロムめっき浴に含まれるクロム濃度は、1.0〜10.0g/Lが好ましい。さらに好ましくは、2.5〜4.0g/Lである。
さらに、3価クロムめっき浴の酸化還元電位は、100〜250mVが好ましい。さらに好ましくは、140〜200mVである。
3価クロムめっき浴のpHは、2.0〜5.0が好ましい。さらに好ましくは、3.3〜3.8である。
市販品としては、奥野製薬工業製の「トップファインクロム」を使用することができる。
このめっき浴は、浴中の金属濃度が、3.5g/Lと低く、浴のpHが3.5程度と高いため、浴のORPが低い(酸化力が弱い)ものである。さらに、めっき浴中の錯化剤量が少ないため、キレート効果による銅めっき皮膜溶解量も他社の3価クロムめっき浴と比較して低いことが確認されている。
この3価クロムめっきによって形成される皮膜(クロムめっき皮膜)の厚みは0.05〜0.5μmが好ましい。さらに好ましくは、0.1〜0.3μmである。
なお、ORP(酸化還元電位)は次のようにして測定した。
ORP測定には、アズワン株式会社製のラコムテスターORP計を使用した。
測定結果は、以下に示す。
上記の3価クロムめっき浴はいずれもクロム酸塩に硫酸クロム(3価)を使用するタイプである。
他社品の詳細な組成は不明であるが、トップファインクロムは、金属濃度およびORPが低いと思われる。
5)3価クロムめっき/6価クロムめっきの構造が必要である理由
ニッケルめっきが要求される部品は、人が触れる部分(携帯電話、デジタルカメラの操作ボタンなど)に用いられるため、ある程度の耐磨耗性が要求される。
一般的に3価クロムめっきの皮膜硬度は6価クロムめっきの皮膜硬度とほぼ同程度の900〜1000Hv程度を示す。
本発明の方法における、ニッケルめっきを使用しない工程では、銅−スズ合金めっきを行わないため、耐磨耗性を維持するために、クロムめっき皮膜の膜厚を1μm以上製膜することが望ましい。
現在、市販されている3価クロムめっき(硫酸クロムを使用するタイプ)は装飾用であり、厚く製膜すると外観不良(クモリなど)が発生する。
また、3価クロムめっき皮膜の製膜速度も6価クロムめっき皮膜と比較すると小さく(1/10程度)、良好な光沢外観、耐摩耗性、耐食性、生産性を考慮すると、最外層には6価クロムめっき皮膜を用いることが好ましい。
6)基本的なめっき皮膜構造(膜厚など)
ABS樹脂などで成形品を製造する場合には、光沢外観を得るために光沢硫酸銅めっき皮膜は、10〜50μm程度の膜厚が好ましい。さらに好ましくは20〜40μmである。
3価クロムの膜厚は厚くする必要はなく、6価クロムめっきを正常に析出させるためのものであり、0.05〜0.5μmであれば十分である。特に好ましい3価クロムの膜厚は、0.1〜0.3μmである。
この段階で皮膜表面にクモリなどが発生すると6価クロムめっき皮膜の外観にも影響するため、実際には必要最小限の膜厚にとどめることが望ましい。
6価クロムめっき皮膜の膜厚は品物に要求される耐磨耗性との兼ね合いで決定される。耐磨耗性試験が厳しい場合には、厚く製膜(2μm以上など)することが必要となる。
一般的には、6価クロムめっき皮膜の膜厚は0.1〜3.0μmであり、特に好ましい膜厚は1.5〜2.5μmである。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。
比較例1,2および実施例1〜3については、素材にPC/ABS樹脂の
2色成形品を使用した。
この成形品についてクロム酸−硫酸エッチング処理を行い、成形品表面に親水性および微細孔を形成した後、直接硫酸銅めっきプロセス(奥野製薬工業製 トップCRPプロセス)を用いて、触媒付与、導電化処理、直接硫酸銅めっきを行ったものを使用した。
実施例4については、SPCC鋼板を素材として使用した。
(比較例1)
光沢硫酸銅めっき(膜厚30μm)を行ったPC/ABS樹脂よりなる2色成形品を用いて、銅−スズ合金めっき(シアン含有)浴を用いて、銅−スズ合金めっき皮膜(膜厚5μm)を形成した。その後、成形品表面に3価クロムめっきを行い、0.1μm製膜した後、さらに6価クロムめっき(サージェント浴)を0.3μm製膜した。
(比較例2)
光沢硫酸銅めっき(膜厚20μm)を行ったPC/ABS樹脂よりなる2色成形品を用いて、銅−スズ合金めっき(ピロリン酸含有)浴を用いて、銅−スズ合金めっき皮膜(膜厚10μm)を形成した。その後、成形品表面に3価クロムめっきを行い、0.1μm製膜した後、続いて6価クロムめっき(サージェント浴)を0.3μm製膜した。
(実施例1)
光沢硫酸銅めっき(膜厚30μm)を行ったPC/ABS樹脂よりなる成形品を用いて、銅−スズ合金めっきを行わずに、直接成形品表面に3価クロムめっきを行い、0.1μm製膜した。その後、耐食性、耐摩耗性を確保するため、さらに成形品表面に6価クロムめっき(サージェント浴)を2μm製膜した。
(実施例2)
光沢硫酸銅めっき(膜厚30μm)を行ったPC/ABS樹脂よりなる成形品を用いて、銅−スズ合金めっきを行わずに、直接3価クロムめっきを行い、0.3μm製膜した。その後、耐食性、耐摩耗性を確保するために、成形品表面に6価クロムめっき(サージェント浴)を2.5μm製膜した。
(実施例3)
光沢硫酸銅めっき(膜厚30μm)を行ったPC/ABS樹脂よりなる成形品を用いて、銅−スズ合金めっきを行わずに、直接3価クロムめっきを行い、1.0μm製膜した。その後、水洗を行い、成形品表面に6価クロムめっき(サージェント浴)を1.5μm製膜した。
(実施例4)
SPCC鋼板に光沢硫酸銅めっき(膜厚20μm)を行った後、3価クロムめっき浴を用いて、膜厚0.3μmのクロムめっき皮膜を形成した。その後、水洗を行い、6価クロムめっき(サージェント浴)を1.5μm製膜した。
(評価方法)
1)皮膜外観:目視によりめっき成形品の表面にクモリなどの不良がないこと。
2)クラック:実体顕微鏡観察によりめっき成形品の皮膜にクラックが認められないこと。
3)皮膜の剥離:めっき成形品表面の界面部分においてめっき皮膜の剥離やふくれが発生していないこと。
4)塩水噴霧試験:めっき成形品を72時間放置した後、めっき成形品表面にサビが発生していないこと。
5)消しゴム磨耗試験:市販の消しゴムを用いた磨耗試験によりめっき成形品の下地のめっき皮膜が露出しないこと。
6)打鍵試験:人工爪におる打撃試験で皮膜の剥離、磨耗のないこと。
上記実施例および比較例で得られた各めっき成形品について、上記試験項目を評価し、その結果を表1に示した。
Figure 0005103574
以上の結果から次のことがわかる。
ニッケル代替めっきである銅−スズ合金めっきを樹脂めっきに適応した場合、比較例1で示すように、シアン浴を使用した場合には、樹脂/硫酸銅めっき皮膜界面へのめっき液の染み込みが原因と思われる剥離が観察された。
また、実施例2に示したように、シアンを使用しない銅−スズ合金めっき浴を使用した場合には、皮膜硬度がシアン浴を使用して形成した皮膜と比較して低いため膜厚を2倍程度にすることが必要である。この場合には、膜厚が増加することで高い皮膜応力によりクラックが発生した。
このように、樹脂めっきにおいて、ニッケルめっきの代替として銅−スズ合金めっきを使用した場合、外観、耐食性、耐摩耗性の全てを満足することは困難である。
これに対して、実施例1〜4で示した光沢硫酸銅めっき上に直接3価クロムめっきを行い、続いて6価クロムめっきを行った場合では、耐食性、耐磨耗性を満足させるための膜厚を厚くすることが必要であるが、外観、耐食性、耐磨耗性を満足することが可能である。
加えて、比較的浴寿命が短く、管理が難しい銅−スズ合金めっきを使用することなく、ニッケルめっきを使用しない簡単な皮膜構造により生産コストも低減できる。
光沢硫酸銅めっきの概略工程を示す図である。

Claims (9)

  1. 以下の工程を包含する方法により、成形品の表面にめっきを処理するめっき成形品の製造方法:
    (a)成形品表面に、光沢硫酸銅めっきによって銅めっき皮膜を形成する工程、
    (b)該銅めっき皮膜の表面に3価クロムめっきを行い第1のクロムめっき皮膜を形成する工程、
    (c)該第1のクロムめっき皮膜の表面に6価クロムめっきを行い、第2のクロムめっき皮膜を形成する工程。
  2. 前記第1のクロムめっき皮膜の厚みが0.05〜0.5μmである請求項1に記載のめっき成形品の製造方法。
  3. 前記第2のクロムめっき皮膜の厚みが0.1〜3.0μmである請求項1に記載のめっき成形品の製造方法。
  4. 前記3価クロムめっきを行う際の、3価クロムめっき浴に含まれるクロム濃度が1.0〜10.0g/Lである請求項1に記載のめっき成形品の製造方法。
  5. 前記3価クロムめっきを行う際の、3価クロムめっき浴の酸化還元電位が100〜250mVである請求項1に記載のめっき成形品の製造方法。
  6. 前記3価クロムめっきを行う際の、3価クロムめっき浴のpHが2.0〜5.0である請求項1に記載のめっき成形品の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかの方法によって得られるめっき成形品。
  8. 前記成形品が携帯電話の操作用ボタンである請求項7に記載のめっき成形品。
  9. 成形品と、該成形品表面に形成された膜厚が10〜50μmの銅めっき皮膜と、該銅めっき皮膜の表面に形成された膜厚が0.05〜0.5μmの3価クロムめっき皮膜と、該3価クロムめっき皮膜の表面に形成された膜厚が0.1〜3.0μmの6価クロムめっき皮膜とを有するめっき成形品。
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