JPWO2014115203A1 - クロムめっき浴及びそれを使用したクロムめっき皮膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
クロムめっき皮膜の形成方法は、電気めっきによって被めっき物(陰極)1上にクロムめっき皮膜を形成する方法である。クロムめっき浴15は、3価クロムイオンと、3価クロムイオンの少なくとも一部と錯体を形成する有機カルボン酸と、酸化数が+VIの硫黄を含む硫黄化合物イオンとを備えるとともに、pHが0.5以上且つ2.6以下であり、酸化数が+VI以外の硫黄を含んでいない。クロムめっき浴15において(有機カルボン酸と錯体を形成した3価クロムイオンのモル濃度)/(全3価クロムイオンのモル濃度)の値は、0.5以上且つ1未満であり、陽極3が設けられている。
Description
本明細書に開示された技術は、クロムめっき用のめっき浴及びこれを用いて行われるめっき皮膜の形成方法に関する。
クロムめっきは、装飾用及び工業用として、各種分野で利用されている。クロムめっきには、クロムの酸化数が+VI(+6価)であるクロム酸を含むめっき浴が用いられてきた。しかしながら、6価クロム(以下、原則として6価クロムイオンを含む)は有害であるため環境への排出が厳しく規制されており、廃液処理等に多くの手間とコストがかかっていた。
このため、6価クロムを用いないクロムめっき方法が盛んに研究されている。特に、3価クロムの毒性が6価クロムと比べて格段に毒性が低いことから、3価クロム(以下、原則として3価クロムイオンを含む)を用いたクロムめっき方法は、6価クロムを用いるめっき方法の有力な代替技術として期待されている。
特許文献1には、3価クロム化合物と、導電性塩と、pH緩衝剤と、水溶性脂肪族カルボン酸等と、SO2基又はSO3基を有する含イオウ化合物とを含むめっき浴を用いたクロムめっき方法が示されている。
特許文献1に記載された従来の方法では、6価クロムを含むクロム化合物をめっき浴に投入しないので、調整直後のめっき浴には6価クロムが含まれない。しかしながら、本願発明者らによる独自の研究により、当該めっき浴では、種々の要因によってめっき浴中の3価クロムが6価クロムへと酸化され、6価クロムが徐々に蓄積してしまうことが分かった。
また、従来の3価クロムめっき方法では、6価クロムを含むめっき浴を用いた場合と同程度以上に良好な外観を有するめっき皮膜を形成することは難しく、めっき皮膜の均一電着性及びつきまわり性を良好にすることも難しい。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、長期間にわたり良好なめっき皮膜を形成可能で、且つ6価クロムの生成が抑えられためっき浴、及びこれを用いためっき皮膜の形成方法を提供することを目的とする。
本開示の一実施形態に係るクロムめっき皮膜の形成方法は、クロムめっき浴を用いた電気めっきによって被めっき物上にクロムめっき皮膜を形成する方法である。前記クロムめっき浴は、3価クロムイオンと、前記3価クロムイオンの少なくとも一部と錯体を形成する有機カルボン酸と、酸化数が+VIの硫黄を含む硫黄化合物イオンとを備える。また、クロムめっき浴は、そのpHが0.5以上且つ2.6以下であり、酸化数が+VI以外の硫黄を含んでおらず、前記クロムめっき浴において(前記有機カルボン酸と錯体を形成した3価クロムイオンのモル濃度)/(全3価クロムイオンのモル濃度)の値は、0.5以上且つ1未満である。陽極電極としては、酸化イリジウムを含む物質層を有する電極が用いられる。
本開示の一実施形態に係るクロムめっき皮膜の形成方法及びクロムめっき浴を用いれば、長期間にわたり良好なクロムめっき膜を形成可能で、且つクロムめっき浴での6価クロムイオンの生成を低減しうる。
本願発明者らは、クロムめっき浴(以下、単に「めっき浴」と表記する)の長期使用によって6価クロムイオンが蓄積する原因を考察した。その結果、pHが高くなると、3価クロムイオンが酸化されて6価クロムイオンが生成されやすくなること、めっき浴中に鉛が蓄積すると陽極で酸化鉛が生成し、これが電極触媒となって3価クロムイオンから6価クロムイオンへの酸化が促進されること、不溶性の陽極電極を使用した場合に酸素を発生させるための過電圧が大きいと、副反応として3価クロムイオンの6価クロムイオンへの酸化が生じることなどが考えられた。
めっき浴についての上記の課題への対策として、亜硫酸等の硫黄を含む還元剤をめっき浴に添加することが考えられる。しかし、この場合、6価クロムイオンの生成が抑えられたとしても、クロムめっき皮膜(以下、単に「めっき皮膜」と表記する)中に硫黄が共析するため、めっき皮膜の耐食性が低下してしまうと考えられる。
そこで、本願発明者らは、めっき浴のpHを所定値以下に下げた状態でめっき浴中に有機カルボン酸が存在すると、有機カルボン酸の酸化によって6価クロムイオンを還元することができることに注目した。さらに、本願発明者らが検討を重ねた結果、有機カルボン酸がクロムイオンに対して過剰に存在するとめっき皮膜の外観が悪くなることを見出し、めっき浴中の有機カルボン酸濃度を所定値以下とすることで、6価クロムイオンの生成を抑えつつ、めっき皮膜の外観を良好にすることができた。また、還元剤となりうる硫黄化合物をめっき浴に投入しないことで、めっき皮膜の耐食性を向上させることができることも分かった。
以下、本開示の実施形態に係るめっき皮膜の形成方法と、これに用いられるめっき浴について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態及び実施例に限定されるものではない。
(実施形態)
−めっき浴の組成−
本実施形態のめっき浴は、3価クロムイオンと、3価クロムイオンの少なくとも一部と錯体を形成する有機カルボン酸と、酸化数が+VIの硫黄を含む硫黄化合物イオンとを含んでいる。3価クロムイオンは、硫酸クロムや硝酸クロム等の無機クロム化合物によって供給されたものであってもよいし、あらかじめ有機カルボン酸−クロム錯体が形成された状態で供給されたものであってもよい。めっき浴中の全3価クロムイオン(錯体を形成しているものとしていないものとの合計)の濃度は、5g/L以上且つ140g/L以下、好ましくは10g/L以上且つ70g/L以下程度である。なお、めっき浴中の全クロムイオンの濃度は、ほぼ3価クロムイオンの濃度に等しい。
−めっき浴の組成−
本実施形態のめっき浴は、3価クロムイオンと、3価クロムイオンの少なくとも一部と錯体を形成する有機カルボン酸と、酸化数が+VIの硫黄を含む硫黄化合物イオンとを含んでいる。3価クロムイオンは、硫酸クロムや硝酸クロム等の無機クロム化合物によって供給されたものであってもよいし、あらかじめ有機カルボン酸−クロム錯体が形成された状態で供給されたものであってもよい。めっき浴中の全3価クロムイオン(錯体を形成しているものとしていないものとの合計)の濃度は、5g/L以上且つ140g/L以下、好ましくは10g/L以上且つ70g/L以下程度である。なお、めっき浴中の全クロムイオンの濃度は、ほぼ3価クロムイオンの濃度に等しい。
全3価クロムイオン濃度が5g/L未満の場合、めっき皮膜の光沢が無くなり、クロムの析出効率(陰極電流効率)も低くなる。一方、全3価クロムイオン濃度が140g/Lを超えると浴電圧が高くなってめっき浴の温度が上昇し、浴管理が難しくなる。
めっき皮膜を形成する際には、水の電気分解によって水素が生じるのに従って陰極界面が強アルカリ性になる。このとき、有機カルボン酸イオンは、3価クロムイオンを錯化することで、硫酸クロム又は硝酸クロムが陰極界面で加水分解する反応を抑え、共に不溶性の水酸化クロム及び塩基性硫酸クロムが生じるのを防ぐことができる。
また、めっき皮膜を形成する際に、めっき浴中に6価クロムが生じた場合でも、めっき浴中の有機カルボン酸が6価クロムによって迅速に酸化(6価クロム自身は3価クロムに還元)されるので、本実施形態のめっき浴によれば、実質的に6価クロムを発生させずにめっき皮膜を形成することができる。さらに、有機カルボン酸は、めっき浴のpH緩衝効果も有している。
有機カルボン酸イオンは、めっき浴に有機カルボン酸を投入することで供給されてもよいが、上述のように有機カルボン酸−クロム錯体(有機酸クロム錯体)の形でめっき浴に供給されてもよい。
めっき浴に含まれる有機カルボン酸としては、シュウ酸、ギ酸、クエン酸、マロン酸、コハク酸、乳酸などが挙げられるが、この中でもシュウ酸、ギ酸、クエン酸、酢酸がより好ましい。特に、シュウ酸及びギ酸は、これらのイオンが他の有機カルボン酸イオンに比べて3価クロムイオンと錯体を容易に形成するので最も好ましい。めっき浴中の有機カルボン酸濃度は、10g/L以上且つ400g/L以下程度とする。
有機カルボン酸と3価クロムが十分に錯体を形成した状態のめっき浴において、(有機カルボン酸と錯体を形成した3価クロムイオンのモル濃度)/(全3価クロムイオンのモル濃度)の値は、0.5以上且つ1未満であれば好ましく、0.6以上且つ0.9以下であればより好ましい。なお、有機カルボン酸の中でもシュウ酸及びギ酸は、3価クロムイオンと錯体を形成しやすいので好ましく用いられる。
また、(有機カルボン酸のイオンと錯体を形成していない3価クロムイオンのモル濃度)/(3価クロムイオンと有機カルボン酸のイオンとの錯体のモル濃度)の値は、0より大きく且つ1以下であれば好ましく、0.11以上且つ0.67以下であればさらに好ましい。なお、シュウ酸及びギ酸が3価クロムイオンに対して過剰でない範囲において、ほぼすべてのシュウ酸イオン及びギ酸イオンが3価クロムと錯体を形成すると考えられる。
(有機カルボン酸と錯体を形成した3価クロムイオンのモル濃度)/(全3価クロムイオンのモル濃度)の値が1であり、3価クロムイオンに対して有機カルボン酸が過剰であると、6価クロムイオンを添加剤として使用しない場合には外観が良好なめっき皮膜を得ることが難しくなる。
また、(有機カルボン酸と錯体を形成した3価クロムイオンのモル濃度)/(全3価クロムイオンのモル濃度)の値が0.5未満であると、硫酸クロムを用いる場合に、水の電気分解による水素発生によって、陰極が強アルカリ性になり、硫酸クロムから水酸化クロムや塩基性硫酸クロムが生成し、実用に耐えるめっき皮膜を形成することが難しくなる。
従って、(有機カルボン酸と錯体を形成した3価クロムイオンのモル濃度)/(全3価クロムイオンのモル濃度)の値を0.5以上且つ1未満にすることにより、本実施形態のめっき浴を用いて、6価クロムイオンを生じさせずに外観の良好なめっき皮膜を形成させることが可能となる。また、これにより、水酸化クロムや塩基性硫酸クロムの生成を効果的に抑えて良好なめっき皮膜を形成させることができる。
また、本実施形態のめっき浴は、酸化数が+VI以外の硫黄分を含んでいない。具体的には、めっき浴を建浴する際に、チオ尿素、1,5−ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム、サッカリンナトリウム・2水和物や、SO2基、SO3基を含む硫黄化合物を投入せず、硫酸イオンなど、硫黄(+VI)を含む硫黄化合物のみを投入する。
この構成によれば、めっき皮膜に硫黄化合物が共析するのを防ぐことができ、めっき皮膜の耐食性を従来技術に比べて大幅に向上させることができる。
硫黄(+VI)を含む硫黄化合物イオンとしては、例えば硫酸イオンが挙げられる。この硫酸イオンは、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、又は硫酸カリウム等の導電性塩によってめっき浴にもたらされるが、硫酸クロムによってももたらされうる。
硫酸イオンの濃度は、20g/L以上且つ200g/L以下程度であることが好ましく、特に、30g/L以上且つ150g/L以下であればより好ましい。
被めっき物にクロムめっき皮膜を形成する際のめっき浴のpHは、0.5以上且つ2.6以下に調整されることが好ましい。めっき浴のpHが2.6を超えると6価クロムが生じやすくなり、長期間電解めっきを行う場合に6価クロムが蓄積するおそれが出てくる。めっき浴のpHが0.5を下回るとめっき皮膜に曇りが発生しやすくなるとともに、めっき皮膜の均一電着性及びつきまわり性も低下しやすくなる。
また、めっき浴にはpH緩衝剤が含まれていてもよい。pH緩衝剤によってめっき浴のpH変動が抑えられ、より良好な外観を有するめっき皮膜を安定して形成することが可能となる。pH緩衝剤としては、ホウ酸及びその塩、硫酸アンモニウムや、クエン酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸等の有機カルボン酸から選ばれた1つ又は2つ以上の組み合わせを用いることができ、その中でもホウ酸とクエン酸とがより好ましく用いられる。
3価クロムイオンと錯体を形成させるために用いられる有機カルボン酸とは別個にこのpH緩衝剤を添加してもよい。pH緩衝剤のめっき浴中での濃度は、10g/L以上且つ200g/L以下程度であれば好ましく、20g/L以上且つ60g/L以下であればより好ましい。
pH緩衝剤の濃度が10g/L未満であると、めっき皮膜に光沢感が無くなり、コゲが発生しやすくなる。一方、pH緩衝剤の濃度が200g/Lを超えると濃度過剰となり、沈殿が発生しやすくなる。
また、めっき浴には、導電性塩が含まれていてもよい。導電性塩としては、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等、硫酸イオンを生じる塩が用いられる。導電性塩のめっき浴中での濃度は、硫酸イオンの質量濃度として、20g/L以上且つ200g/L以下であれば好ましく、30g/L以上且つ150g/L以下であればより好ましい。
導電性塩の濃度が20g/L未満であれば、めっき皮膜形成時にめっき浴に印加される電圧が低下し、均一電着性及びつきまわり性を向上させる効果も得られなくなる可能性がある。導電性塩の濃度が200g/Lを超えると、めっき皮膜の外観が不良となるおそれがある。
また、本実施形態のめっき浴は、実質的に塩化物イオンを含まないように調整することができる。ただし、原料となる薬剤に塩化物成分が不純物として含まれている場合があり、実際の塩化物イオン濃度は例えば500mg/L以下程度にするのが好ましい。めっき浴に塩化物イオンが実質的に含まれないことにより、被めっき物品における低電流密度部分での腐食を低減して高耐食性のめっき皮膜を形成することが可能となるとともに、陽極での塩素ガスの発生を抑えることができる。
また、めっき浴には、上述の成分に加えて、ピット防止剤が含まれていてもよい。ピット防止剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、又は両性の界面活性剤等が用いられる。ピット防止剤は公知の濃度でめっき浴に添加され、例えばラウリル硫酸ナトリウムの場合には0.1g/L〜0.5g/L程度の濃度で添加される。
また、後述のようにめっき浴中の鉛イオン濃度は2mg/L以下となるように管理される。この管理方法及び効果については後に詳述する。
−めっき浴の調整方法−
本実施形態のめっき浴は、例えば以下のようにして調整される。まず、硫酸クロムや硝酸クロム等、水溶性の3価クロム化合物と上記の有機カルボン酸とを所定の濃度になるよう混合する。溶液のpHは0.5以上2.6以下程度としておく。この際、3価クロム化合物、水、有機カルボン酸、導電性塩を混合する順序は任意でよい。この操作によって3価クロムイオンの一部と有機カルボン酸とで錯体を形成させる。液温は、40℃〜100℃程度とする。錯体の形成には40℃程度で5時間程度を要するが、混合液を加熱することで、錯体を形成させる時間を短縮してもよい。
本実施形態のめっき浴は、例えば以下のようにして調整される。まず、硫酸クロムや硝酸クロム等、水溶性の3価クロム化合物と上記の有機カルボン酸とを所定の濃度になるよう混合する。溶液のpHは0.5以上2.6以下程度としておく。この際、3価クロム化合物、水、有機カルボン酸、導電性塩を混合する順序は任意でよい。この操作によって3価クロムイオンの一部と有機カルボン酸とで錯体を形成させる。液温は、40℃〜100℃程度とする。錯体の形成には40℃程度で5時間程度を要するが、混合液を加熱することで、錯体を形成させる時間を短縮してもよい。
なお、pH緩衝剤としてのホウ酸や有機カルボン酸(錯体形成用とは異なる種類の有機カルボン酸)、導電性塩、ピット防止剤は、3価クロム化合物と錯体形成用の有機カルボン酸とを混合した後に加えてもよいが、混合する順番はこれに限られない。
−めっき皮膜の形成方法−
図1は、本実施形態に係るめっき皮膜の形成方法が実施されるめっき槽を概略的に示す図である。同図に示すめっき槽11は、本実施形態に係る方法を実施するために用いられるめっき槽の一例であって、電極の形状や数、めっき槽外壁の形状、電極の配置等は適宜変更されてもよい。
図1は、本実施形態に係るめっき皮膜の形成方法が実施されるめっき槽を概略的に示す図である。同図に示すめっき槽11は、本実施形態に係る方法を実施するために用いられるめっき槽の一例であって、電極の形状や数、めっき槽外壁の形状、電極の配置等は適宜変更されてもよい。
本実施形態に係る方法は、電気めっきによって被めっき物1上にクロムからなるめっき皮膜を形成する方法である。被めっき物1は、図示しない冶具に設置されていてもよい。被めっき物1は陰極として機能する。
めっき浴15は、上述の組成を有するめっき浴であり、一部が有機カルボン酸イオンと錯体を形成している3価クロムイオンを含んでいる。陽極には、酸化イリジウムを含む物質層を表面に有する陽極3が設けられている。
めっき槽11内にはめっき浴15を温めるヒーター9が設けられており、めっき皮膜を形成する際にめっき浴15の温度を所定の範囲内に保持している。ヒーター9の位置は特に限定されないが、めっき槽11に接触せず、めっき浴15中に保持されていてもよい。図1に示すように、めっき槽11の外側には、めっき槽11からあふれためっき浴15を回収するためのオーバーフロー槽13が設けられていてもよい。
電源5は、直流電源であるがパルス電源であってもよく、陽極と陰極との間に所定の電圧を印加する。
陽極3は、一例として、基材上に酸化イリジウムの単層膜が形成され、その少なくとも一部が、シリコン(Si)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)のうち少なくとも1種の元素を含む酸化物で覆われていてもよい。あるいは、基材上に酸化イリジウム膜が設けられてもよく、基材上に酸化イリジウムとSi、Ti、Ta、Zr、W、Nbのうち少なくとも1種の元素を含む酸化物との混合膜が設けられていてもよい。
いずれの場合でも、酸化イリジウムを含む膜(物質層)において、酸化イリジウム膜はクラスター(団子状になった粒子の塊)で構成されており、粒子の平均粒径は一般的な陽極電極より大きく、50μm以上且つ100μm以下となっている。酸化イリジウム膜の粒径が100μmを超えると、基材上への均一な塗布が困難となるので好ましくない。
陽極3が酸化イリジウムを含む物質層を表面に有していることにより、酸素発生過電圧が低くなり、酸化イリジウムの触媒作用によって酸素を発生させることができる。なお、Si、Ti、Ta、Zr、W、Nbのいずれかの酸化物からなる層が多孔質であれば、陽極での酸素発生が容易となり、酸素発生以外の副反応を低減することができる。また、酸化イリジウム膜の平均粒径が大きいことによっても同様の効果が得られると推考される。このため、陽極3上ではめっき浴15の構成成分(例えば3価クロム)の酸化と、酸素発生反応以外の副反応とが効果的に抑えられる。
また、鉛合金を使用した陽極電極を用いると、めっき浴中に鉛が溶け出してめっき皮膜の形成に悪影響を与えたり、鉛スライムが発生して環境汚染を生じたりするおそれがあるが、陽極3は不溶性電極であるので、このような問題を生じることはない。また、炭素からなる陽極電極を使用すると炭素の酸化や浸食が生じたり、めっき浴中に炭素からなる浮遊物が生じて被めっき物に付着したりするおそれがあるが、本実施形態の方法で用いられる陽極3ではそのようなおそれはない。
なお、酸化イリジウムの含有量は、混合膜の場合では膜全体の重量のうち20〜90重量%、より好ましくは30〜90質量%とする。物質層が酸化イリジウムのみからなる膜で構成される場合、及び上述の混合膜で構成される場合には、これらの膜の基材への塗布量はイリジウム金属に換算して0.2g/dm2以上且つ1g/dm2以下であれば好ましく、0.2g/dm2以上且つ0.6g/dm2以下であればより好ましい。
本実施形態の形成方法では、陽極3と、上述のめっき浴とを併せて用いることで、6価クロムの生成を低レベルに抑えつつ、優れた外観を有するめっき膜を形成することが可能となっている。
陽極3の周囲には、副反応による生成物が表面に付着するのを防ぐ目的でアノードバッグ7が設けられていてもよいが、必ずしも設けられている必要はない。
めっき槽11の外部には、めっき浴15中の粒子等を除去するとともに、めっき槽11からあふれためっき浴15をめっき槽11へと還流させる濾過器付きポンプ17が配置されている。めっき浴15が連続的にろ過されることで、めっき皮膜に粒子が付着するのを防ぐことができ、めっき槽11内での液温のバラツキも防ぐことができる。
上述のめっき槽11内で、めっき浴15に電流を流すことによって被めっき物の表面上にクロムからなるめっき皮膜を形成することができる。この際に、めっき浴15の温度は例えば35℃以上且つ60℃以下とするのが好ましく、40℃以上且つ50℃以下であればより好ましい。陰極電流密度は5A/dm2以上且つ60A/dm2以下であれば好ましく、6A/dm2以上且つ20A/dm2以下であればより好ましい。
陽極電流密度は3A/dm2以上且つ20A/dm2以下であれば好ましく、5A/dm2以上且つ14A/dm2以下であればより好ましい。
めっき浴15のpHは上述のように0.5以上且つ2.6以下であればよいが、pHが2.4以下であれば、6価クロムの生成をより効果的に低減させることができるので好ましく、pHが2.0以下であればさらに好ましい。
なお、被めっき物(陰極)1の処理時間は、要求されるめっき膜厚に応じて適宜設定すればよく、処理時間を長くすればよりめっき皮膜を厚くすることができる。
めっき膜の形成は、図1に示すように、ラック法によって行ってもよいが、バレル法によって行うこともできる。
図2(a)、(b)は、本実施形態に係る方法によってめっき皮膜が設けられた被めっき物の一部を示す断面図である。本実施形態のめっき方法では、例えば図2(a)に示すように、基材21上にあらかじめ公知の方法でニッケルめっき皮膜、銅めっき皮膜(図示せず)等を形成した後、半光沢ニッケルめっき皮膜23、光沢ニッケルめっき皮膜25及びマイクロポーラス(MP)ニッケルめっき膜27が形成されたものが被めっき物(陰極)1として用いられる。このように導電性の下地膜を形成しておくことで、導電性物品上だけでなく非導電性の物品上にもクロムからなるめっき皮膜29を形成することが可能となり、めっき皮膜29の耐食性も向上させることができる。このようなニッケルめっき膜の積層膜は、例えば高い耐食性が要求される自動車用の外装めっき等によく用いられる。
従来の3価クロムを用いためっき方法(特許文献1参照)では、めっき浴中にSO2基やSO3基など、さらに酸化され得る硫黄分が含まれているので、めっき皮膜中に硫黄化合物が共析する。この硫黄化合物はめっき皮膜の腐食を進行させるとともに、不動態皮膜が形成されるのを妨げて耐食性を低下させる。
また、従来のめっき方法では共析した硫黄化合物等によってめっき皮膜中にクラックが生じやすくなっている。そこで、従来の方法では、クラックの発生を抑えるために、微細孔が形成されたMPニッケルめっき皮膜27をあらかじめ形成していた。また、従来の方法において、めっき皮膜中に炭素が共析される場合、クラックの発生がある程度抑えられるにも関わらず、めっき皮膜の耐食性は悪いままであった。
これに対し、本実施形態のめっき浴15には酸化数が+VI以外の硫黄分が実質的に含まれていないので、めっき皮膜29中に硫黄化合物はほぼ共析されない(例えば、めっき皮膜29中の硫黄分は0.001wt%以下)。且つ、めっき皮膜は、1wt%以上の炭素が吸蔵または共析された金属クロムで構成されたCr−C共析めっき皮膜となっている。そのため、本実施形態のめっき方法により形成されためっき皮膜29ではμm(マイクロメーター)オーダーまで観察が可能である光学顕微鏡及び金属顕微鏡などを使用して表面を観察しても、クラックが見られず、めっき皮膜29の表面には良好な不動態皮膜が形成される。この結果、本実施形態のめっき方法によれば、図2(b)に示すように、MPニッケルめっき皮膜27を形成しなくても耐食性が良好で均一なめっき皮膜29を、外観を損なうことなく形成することが可能となる。このことから、本実施形態のめっき皮膜の形成方法によれば、外観及び耐食性を損なうことなくMPニッケルめっき皮膜の形成工程を省略できるので、めっき製品の処理時間を短縮し、製造コストを低減することが可能となる。
なお、本実施形態の方法により形成されためっき皮膜29中の硫黄分を公知の高周波燃焼法によって定量したところ、検出限界である0.001wt%以下にすることが可能であることが確認できた。
また、めっき浴15に含まれる塩化物イオンの濃度が500mgl/L以下である場合には、耐食性をさらに向上させることができる。
−めっき浴の管理方法−
(a)3価クロム量の管理
本実施形態の方法では、不溶性陽極を用いるので、電析によってめっき浴中の3価クロムイオンは減少する。従って、めっき浴に3価クロムイオンを適時に補給する必要がある。
(a)3価クロム量の管理
本実施形態の方法では、不溶性陽極を用いるので、電析によってめっき浴中の3価クロムイオンは減少する。従って、めっき浴に3価クロムイオンを適時に補給する必要がある。
補給方法としては、例えば、有機カルボン酸−クロム錯体溶液と無機クロム化合物とをそれぞれ所定の比率でめっき浴に供給してもよいし、有機カルボン酸−クロム錯体溶液のみを補給してもよい。硫酸クロム等の無機クロム化合物を多く使用すると、めっき浴中に硫酸イオンが蓄積して初期状態からずれるので、適宜有機カルボン酸−クロム錯体溶液を補給する。硫酸イオンは10g/L以上且つ200g/L以下となるように調整すればよい。無機クロム化合物としてクロム酸塩を用いることも可能であるが、下記の方法で6価クロムイオン濃度が高くならないように管理する。
(b)6価クロム化合物の管理
めっき浴中の6価クロムは、0.5g/L以下にするのが好ましい。6価クロムの濃度が0.5g/Lを超えると、めっき外観の一部に異常が発生しやすくなる上、被めっき物(陰極)1を洗浄した水等に含まれる6価クロム濃度を排出基準値以下にするための排水処理に手間がかかる。
(b)6価クロム化合物の管理
めっき浴中の6価クロムは、0.5g/L以下にするのが好ましい。6価クロムの濃度が0.5g/Lを超えると、めっき外観の一部に異常が発生しやすくなる上、被めっき物(陰極)1を洗浄した水等に含まれる6価クロム濃度を排出基準値以下にするための排水処理に手間がかかる。
めっき浴15を入れ替えることなく長期間電解処理すると、6価クロムイオン濃度が上昇してくる場合がある。
例えば、6価クロムイオン濃度が所定の基準値に達した場合、めっき皮膜の形成工程を中断し、pHを2以下、より好ましくは1.5以下(ただし0.5以上)にする。ここで、めっき浴のpHを下げるために、硫酸等の強酸を用いることができる。次いで、通電を停止したまま、めっき浴に有機カルボン酸イオンを加える。このようにpHを下げることで、3価クロムと有機カルボン酸イオンとの錯体が分解され、有機カルボン酸イオンの還元効果が発揮され、6価クロムイオンが3価クロムイオンへと還元される。なお、pHが2.2以下になると有機カルボン酸イオンの還元効果が発揮され始める。本工程では、めっき浴に有機カルボン酸を追加した後でpHを1.5以下にしてもよい。
(c)有機カルボン酸の管理
有機カルボン酸は、めっき皮膜に共析するため基本的には蓄積しないが、めっき浴のpHが低く、6価クロムの還元に消費される有機カルボン酸量が少ない場合等に蓄積する場合がある。この場合、めっき浴のpHを2.0以下にしてクロム酸を適量添加する。これにより、蓄積した有機カルボン酸をクロム酸で酸化分解することができる。
(d)鉛の管理
同じめっき槽内で長期間めっき形成工程を行う場合、原料となる薬剤や水等に含まれる鉛がめっき浴中に蓄積してくる。めっき浴中の鉛イオン濃度が2mg/Lを超えると陽極電極表面に酸化鉛が付着し、酸化鉛の触媒効果により6価クロムイオンが生成する。そのため、めっき浴中の鉛濃度が所定の濃度(例えば2mg/L)を超える場合には、空電解や選択的に鉛を除去できるイオン交換樹脂によって鉛を除去する。これにより、めっき浴中の鉛イオン濃度は2mg/L以下に維持される。なお、鉛濃度の測定や上述の6価クロムイオン濃度の測定等は、適宜めっき浴をサンプリングして行ってもよいが、めっき浴中にセンサーを設けて自動的且つ連続的に測定できるようにしてもよい。また、めっき浴の管理をするための制御装置をセンサー等と共に設けてめっき浴の組成を所定の範囲内に保持することも可能である。
(c)有機カルボン酸の管理
有機カルボン酸は、めっき皮膜に共析するため基本的には蓄積しないが、めっき浴のpHが低く、6価クロムの還元に消費される有機カルボン酸量が少ない場合等に蓄積する場合がある。この場合、めっき浴のpHを2.0以下にしてクロム酸を適量添加する。これにより、蓄積した有機カルボン酸をクロム酸で酸化分解することができる。
(d)鉛の管理
同じめっき槽内で長期間めっき形成工程を行う場合、原料となる薬剤や水等に含まれる鉛がめっき浴中に蓄積してくる。めっき浴中の鉛イオン濃度が2mg/Lを超えると陽極電極表面に酸化鉛が付着し、酸化鉛の触媒効果により6価クロムイオンが生成する。そのため、めっき浴中の鉛濃度が所定の濃度(例えば2mg/L)を超える場合には、空電解や選択的に鉛を除去できるイオン交換樹脂によって鉛を除去する。これにより、めっき浴中の鉛イオン濃度は2mg/L以下に維持される。なお、鉛濃度の測定や上述の6価クロムイオン濃度の測定等は、適宜めっき浴をサンプリングして行ってもよいが、めっき浴中にセンサーを設けて自動的且つ連続的に測定できるようにしてもよい。また、めっき浴の管理をするための制御装置をセンサー等と共に設けてめっき浴の組成を所定の範囲内に保持することも可能である。
−めっき皮膜の形成方法の効果−
以上で説明したように、本実施形態のめっき皮膜の形成方法によれば、以下の効果を得ることができる。
(a)めっき浴が、3価クロムイオンと、3価クロムイオンの少なくとも一部と錯体を形成する有機カルボン酸と、酸化数が+VIの硫黄を含む硫黄化合物イオンとを備えるとともに、(有機カルボン酸と錯体を形成した3価クロムイオンのモル濃度)/(全3価クロムイオンのモル濃度)の値が0.5以上且つ1未満となっていることにより、6価クロムイオンが存在しなくても、外観の良好なめっき皮膜を形成させることが可能となる。有機カルボン酸がめっき浴中に適量存在することで、水酸化クロム等の不溶性クロム化合物の生成を抑えつつ、6価クロムイオンを還元することも可能になっている。
(b)また、めっき浴のpHを0.5以上且つ2.6以下とすることで、6価クロムイオンを生成させにくくすることができる。仮に、めっき浴中で6価クロムイオンが蓄積した場合でも、めっき浴のpHを0.5以上且つ2.0以下としつつ有機カルボン酸を加えることで、6価クロムイオンを3価クロムイオンへと還元することができる。
(c)めっき皮膜は、1wt%以上の炭素が吸蔵または共析された金属クロムで構成されたCr−C共析めっき皮膜となり、クラックの発生が抑制されること、及びめっき浴に、酸化数が+VI以外の硫黄が含まれていないことの相乗効果により、クラックの生成が抑えられ、従来よりも耐食性が大幅に向上されためっき皮膜を形成することが可能となる。
(d)陽極に、酸化イリジウムを含む物質層を有する陽極電極が設けられていることにより、陽極における酸素生成反応以外の副反応が抑えられるので、めっき皮膜の外観を良好に保ちながら、6価クロムの生成を低レベルに抑えることが可能となる。特に、物質層に含まれる酸化イリジウムの平均粒子径が50μm以上且つ100μm以下である場合、物質層自体が多孔質である場合、又は物質層上に多孔質層が設けられている場合には、より効果的に6価クロムの生成を抑えることが可能となる。
(e)めっき浴中の塩化物イオンの濃度が500mg/L以下、言い換えれば、実質的にハロゲンフリーである場合には、被めっき物の低電流密度部分での腐食を低減することができ、めっき皮膜の耐食性をより向上させることができる。
(f)めっき浴にホウ酸等のpH緩衝材が含まれていれば、めっき皮膜に光沢感を出すことができ、めっき皮膜の外観を良好に仕上げることができる。
以上で説明したように、本実施形態のめっき皮膜の形成方法によれば、以下の効果を得ることができる。
(a)めっき浴が、3価クロムイオンと、3価クロムイオンの少なくとも一部と錯体を形成する有機カルボン酸と、酸化数が+VIの硫黄を含む硫黄化合物イオンとを備えるとともに、(有機カルボン酸と錯体を形成した3価クロムイオンのモル濃度)/(全3価クロムイオンのモル濃度)の値が0.5以上且つ1未満となっていることにより、6価クロムイオンが存在しなくても、外観の良好なめっき皮膜を形成させることが可能となる。有機カルボン酸がめっき浴中に適量存在することで、水酸化クロム等の不溶性クロム化合物の生成を抑えつつ、6価クロムイオンを還元することも可能になっている。
(b)また、めっき浴のpHを0.5以上且つ2.6以下とすることで、6価クロムイオンを生成させにくくすることができる。仮に、めっき浴中で6価クロムイオンが蓄積した場合でも、めっき浴のpHを0.5以上且つ2.0以下としつつ有機カルボン酸を加えることで、6価クロムイオンを3価クロムイオンへと還元することができる。
(c)めっき皮膜は、1wt%以上の炭素が吸蔵または共析された金属クロムで構成されたCr−C共析めっき皮膜となり、クラックの発生が抑制されること、及びめっき浴に、酸化数が+VI以外の硫黄が含まれていないことの相乗効果により、クラックの生成が抑えられ、従来よりも耐食性が大幅に向上されためっき皮膜を形成することが可能となる。
(d)陽極に、酸化イリジウムを含む物質層を有する陽極電極が設けられていることにより、陽極における酸素生成反応以外の副反応が抑えられるので、めっき皮膜の外観を良好に保ちながら、6価クロムの生成を低レベルに抑えることが可能となる。特に、物質層に含まれる酸化イリジウムの平均粒子径が50μm以上且つ100μm以下である場合、物質層自体が多孔質である場合、又は物質層上に多孔質層が設けられている場合には、より効果的に6価クロムの生成を抑えることが可能となる。
(e)めっき浴中の塩化物イオンの濃度が500mg/L以下、言い換えれば、実質的にハロゲンフリーである場合には、被めっき物の低電流密度部分での腐食を低減することができ、めっき皮膜の耐食性をより向上させることができる。
(f)めっき浴にホウ酸等のpH緩衝材が含まれていれば、めっき皮膜に光沢感を出すことができ、めっき皮膜の外観を良好に仕上げることができる。
以下に示す実施例、比較例に係るめっき皮膜の形成方法を行い、各種評価を行った。
−めっき浴の調整/めっき皮膜の形成−
<実施例1>(ビーカーワーク)
(a)めっき浴
以下の手順でめっき浴を作製した。すなわち、60℃に加温した0.5Lの脱イオン水に、シュウ酸・2水和塩を94.5g添加して溶解させた。次いで、3価クロムとして34.4gを含有する硫酸クロム、40gのホウ酸を順次シュウ酸溶液に添加して溶解させた。この溶液に80gの硫酸アンモニウムを加えた後、脱イオン水を加えて溶解させ、液量を1Lにした。このめっき浴では、Cr2(C2O4)3(3シュウ酸2クロム塩;以下シュウ酸クロムと表記)が形成される。作製されためっき浴の組成は、以下の通りである。
<実施例1>(ビーカーワーク)
(a)めっき浴
以下の手順でめっき浴を作製した。すなわち、60℃に加温した0.5Lの脱イオン水に、シュウ酸・2水和塩を94.5g添加して溶解させた。次いで、3価クロムとして34.4gを含有する硫酸クロム、40gのホウ酸を順次シュウ酸溶液に添加して溶解させた。この溶液に80gの硫酸アンモニウムを加えた後、脱イオン水を加えて溶解させ、液量を1Lにした。このめっき浴では、Cr2(C2O4)3(3シュウ酸2クロム塩;以下シュウ酸クロムと表記)が形成される。作製されためっき浴の組成は、以下の通りである。
硫酸クロム:Cr3+として34.4g/L(=0.66mol/L=1.98規定;24%の硫酸クロムが未錯化で残存)
シュウ酸・2水塩:94.5g/L(=0.75mol/L=1.5規定;全3価クロムのうちシュウ酸クロムへと錯化されているクロムの割合は76%)
ホウ酸:40g/L
硫酸アンモニウム:80g/L
pH:2.0
鉛(Pb):0.5mg/L(建浴時混入分)
(b)陽極電極
陽極電極は、以下のように作製した。まず、チタン板に酸化タンタルを金属換算で30mol%の割合で混合した酸化イリジウムを、金属に換算して0.5g/dm2の割合で塗布して酸化イリジウム複合陽極を形成する。この複合陽極の表面に、トリエトキシビニルシランと5酸化リンなどとが混合されてなる液を塗布し、厚みが5μmのSiO2多孔質層を形成した。酸化イリジウム膜を構成する粒子の平均粒径は50μm以上100μm以下程度であった。
(c)被めっき物(陰極)
ABS樹脂品の表面上に下記の条件のめっき処理により、膜厚が30μmの下地光沢銅膜、膜厚が15μmの半光沢ニッケルめっき皮膜、膜厚が15μmの光沢ニッケルめっき皮膜、及び膜厚が1μmのMPニッケルめっき皮膜を順に形成する。
シュウ酸・2水塩:94.5g/L(=0.75mol/L=1.5規定;全3価クロムのうちシュウ酸クロムへと錯化されているクロムの割合は76%)
ホウ酸:40g/L
硫酸アンモニウム:80g/L
pH:2.0
鉛(Pb):0.5mg/L(建浴時混入分)
(b)陽極電極
陽極電極は、以下のように作製した。まず、チタン板に酸化タンタルを金属換算で30mol%の割合で混合した酸化イリジウムを、金属に換算して0.5g/dm2の割合で塗布して酸化イリジウム複合陽極を形成する。この複合陽極の表面に、トリエトキシビニルシランと5酸化リンなどとが混合されてなる液を塗布し、厚みが5μmのSiO2多孔質層を形成した。酸化イリジウム膜を構成する粒子の平均粒径は50μm以上100μm以下程度であった。
(c)被めっき物(陰極)
ABS樹脂品の表面上に下記の条件のめっき処理により、膜厚が30μmの下地光沢銅膜、膜厚が15μmの半光沢ニッケルめっき皮膜、膜厚が15μmの光沢ニッケルめっき皮膜、及び膜厚が1μmのMPニッケルめっき皮膜を順に形成する。
下地光沢銅膜の形成:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュEAB」使用、陰極電流密度3A/dm2、25℃、25分間
半光沢ニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュASB」使用、陰極電流密度4A/dm2、53℃、20分間
光沢ニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュANN」使用、陰極電流密度4A/dm2、53℃、13分間
MPニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュAMC」使用、陰極電流密度4A/dm2、53℃、3分間
(d)めっき皮膜の形成条件
ポリプロピレンフィルターを装着した濾過器を用いてめっき浴を濾過循環しながら、陰極電流密度10A/dm2、陽極電流密度6A/dm2の条件で10分間クロムからなるめっき皮膜の形成を行った。
半光沢ニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュASB」使用、陰極電流密度4A/dm2、53℃、20分間
光沢ニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュANN」使用、陰極電流密度4A/dm2、53℃、13分間
MPニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュAMC」使用、陰極電流密度4A/dm2、53℃、3分間
(d)めっき皮膜の形成条件
ポリプロピレンフィルターを装着した濾過器を用いてめっき浴を濾過循環しながら、陰極電流密度10A/dm2、陽極電流密度6A/dm2の条件で10分間クロムからなるめっき皮膜の形成を行った。
この結果、平均膜厚が0.5μmのクロムめっき皮膜を形成することができた。このめっき皮膜の外観を視覚によって評価し、めっき皮膜の耐食性を評価するために後述のCASS試験及び耐融雪剤性試験を行った。
<実施例2>
まず、陽極電極として、SiO2多孔質層を形成していない酸化イリジウム電極を使用した以外は実施例1と同様の方法でめっき皮膜の形成を行った。そのまま、長時間(時刻t1まで)電解を継続し、めっき浴中の6価クロムイオン濃度を測定した。
まず、陽極電極として、SiO2多孔質層を形成していない酸化イリジウム電極を使用した以外は実施例1と同様の方法でめっき皮膜の形成を行った。そのまま、長時間(時刻t1まで)電解を継続し、めっき浴中の6価クロムイオン濃度を測定した。
その結果、60AH/Lで6価クロムイオンが0.5g/L生成した。また、めっき皮膜の外観に一部異常が生じ、めっき電流効率がめっき浴の開始時と比較して約50%になったので、電解を中止した。通電を停止した状態でめっき浴に硫酸を加えてめっき浴のpHを1.5にしてからシュウ酸・2水和物を、濃度が4g/Lになるように加えた。その結果、めっき浴中の6価クロムは消滅した。
再度、実施例1と同様の方法でめっき皮膜の形成を行ったところ、6価クロムが生成されたので、めっき浴に硫酸を加えてめっき浴のpHを1.5とし、シュウ酸・2水和物を、濃度が4g/Lになるように加えた。これにより、めっき浴中の6価クロムは再度消失した。なお、めっき形成工程で得られためっき皮膜の耐食性を、実施例1と同様にCASS試験及び耐融雪剤性試験によって確認した。
<実施例3>
有機カルボン酸として、シュウ酸に代えてギ酸を使用した以外は実施例1と同様の条件でめっき皮膜の形成工程を行った。めっき浴中のギ酸濃度は69g/Lとした。得られためっき皮膜の外観を視覚によって評価し、実施例1と同様にCASS試験及び耐融雪剤性試験を行った。
有機カルボン酸として、シュウ酸に代えてギ酸を使用した以外は実施例1と同様の条件でめっき皮膜の形成工程を行った。めっき浴中のギ酸濃度は69g/Lとした。得られためっき皮膜の外観を視覚によって評価し、実施例1と同様にCASS試験及び耐融雪剤性試験を行った。
<実施例4>(めっきラインテスト)
(a)被めっき物(陰極)
基材としてABS樹脂板を用い、この表面に以下の処理を順に施したものを被めっき物とした。基材のめっき面積は400dm2とした。
(a)被めっき物(陰極)
基材としてABS樹脂板を用い、この表面に以下の処理を順に施したものを被めっき物とした。基材のめっき面積は400dm2とした。
クロム酸エッチング:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュCNN」使用、65℃、10分間
無電解ニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュNFF」使用、40℃、8分間、めっき膜厚200μm
硫酸銅めっき処理(下地光沢銅膜の形成):上村工業株式会社製、商品名「ラクシュEAB」使用、陰極電流密度3A/dm2、25℃、25分間、めっき膜厚15μm
半光沢ニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュASB」使用、陰極電流密度4A/dm2、53℃、20分間、めっき膜厚15μm
光沢ニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュANN」使用、陰極電流密度4A/dm2、53℃、13分間、めっき膜厚10μm
MPニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュAMC」使用、陰極電流密度4A/dm2、53℃、3分間、めっき膜厚2μm
(a)めっき皮膜の形成方法
ポリ塩化ビニルで被覆されためっき槽に、実施例1と同様の構成を有する酸化イリジウム陽極を設置し、実施例1と同じ組成のクロムめっき浴1000L中に、基材として、上記の被めっき物を入れ、48℃に加温した。この状態で、陰極電流密度を10A/dm2として、8.5分間クロムめっき処理を行い、膜厚0.4μmのクロムからなるめっき皮膜を形成した。めっき皮膜の形成後にめっき浴の6価クロムイオン濃度を測定したところ、6価クロムイオンは検出されなかった。
無電解ニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュNFF」使用、40℃、8分間、めっき膜厚200μm
硫酸銅めっき処理(下地光沢銅膜の形成):上村工業株式会社製、商品名「ラクシュEAB」使用、陰極電流密度3A/dm2、25℃、25分間、めっき膜厚15μm
半光沢ニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュASB」使用、陰極電流密度4A/dm2、53℃、20分間、めっき膜厚15μm
光沢ニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュANN」使用、陰極電流密度4A/dm2、53℃、13分間、めっき膜厚10μm
MPニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュAMC」使用、陰極電流密度4A/dm2、53℃、3分間、めっき膜厚2μm
(a)めっき皮膜の形成方法
ポリ塩化ビニルで被覆されためっき槽に、実施例1と同様の構成を有する酸化イリジウム陽極を設置し、実施例1と同じ組成のクロムめっき浴1000L中に、基材として、上記の被めっき物を入れ、48℃に加温した。この状態で、陰極電流密度を10A/dm2として、8.5分間クロムめっき処理を行い、膜厚0.4μmのクロムからなるめっき皮膜を形成した。めっき皮膜の形成後にめっき浴の6価クロムイオン濃度を測定したところ、6価クロムイオンは検出されなかった。
得られためっき皮膜の外観を視覚によって評価し、実施例1と同様にCASS試験及び耐融雪剤性試験を行った。
<実施例5>
被めっき物にMPニッケルめっき皮膜を施さなかったものとした以外は、実施例4と同様の方法で、クロムからなるめっき皮膜を形成した。めっき皮膜形成後のめっき浴に含まれる6価クロムイオン濃度を測定したところ、6価クロムイオンは検出されなかった。
被めっき物にMPニッケルめっき皮膜を施さなかったものとした以外は、実施例4と同様の方法で、クロムからなるめっき皮膜を形成した。めっき皮膜形成後のめっき浴に含まれる6価クロムイオン濃度を測定したところ、6価クロムイオンは検出されなかった。
また、得られためっき皮膜の外観を視覚によって評価し、実施例1と同様にCASS試験及び耐融雪剤性試験を行った。
<実施例6>
被めっき物を下記のものに変更した以外は、実施例4と同様の方法で、クロムからなるめっき皮膜を形成した。
被めっき物を下記のものに変更した以外は、実施例4と同様の方法で、クロムからなるめっき皮膜を形成した。
基材として軟鋼板を用い、この表面に以下の処理を順に施したものを被めっき物とした。
半光沢ニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュASB」を使用、陰極電流密度4A/dm2、53℃、20分間、めっき膜厚15μm
光沢ニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュANN」を使用、陰極電流密度4A/dm2、53℃、13分間、めっき膜厚10μm
MPニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュAMC」を使用、陰極電流密度4A/dm2、53℃、3分間、めっき膜厚2μm
めっき皮膜形成後のめっき浴に含まれる6価クロムイオン濃度を測定したところ、6価クロムイオンは検出されなかった。
光沢ニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュANN」を使用、陰極電流密度4A/dm2、53℃、13分間、めっき膜厚10μm
MPニッケルめっき処理:上村工業株式会社製、商品名「ラクシュAMC」を使用、陰極電流密度4A/dm2、53℃、3分間、めっき膜厚2μm
めっき皮膜形成後のめっき浴に含まれる6価クロムイオン濃度を測定したところ、6価クロムイオンは検出されなかった。
また、得られためっき皮膜の外観を視覚によって評価し、実施例1と同様にCASS試験及び耐融雪剤性試験を行った。
<実施例7>
被めっき物にMPニッケルめっきを施さなかったものとした以外は、実施例6と同様の方法で、クロムからなるめっき皮膜を形成した。めっき皮膜形成後のめっき浴に含まれる6価クロムイオン濃度を測定したところ、6価クロムイオンは検出されなかった。
被めっき物にMPニッケルめっきを施さなかったものとした以外は、実施例6と同様の方法で、クロムからなるめっき皮膜を形成した。めっき皮膜形成後のめっき浴に含まれる6価クロムイオン濃度を測定したところ、6価クロムイオンは検出されなかった。
また、得られためっき皮膜の外観を視覚によって評価し、実施例1と同様にCASS試験及び耐融雪剤性試験を行った。
<実施例8>
ポリ塩化ビニルで被覆されためっき槽に、酸化イリジウム陽極を設置し、実施例1と同じ組成のクロムめっき浴1000L中に、基材として、400dm2のめっき面積を有する装身具用金属素材を被めっき物としてめっき浴に入れ、48℃に加温した。この状態で、陰極電流密度を10A/dm2として20分間クロムめっき処理を行い、膜厚1μmのクロムからなるめっき皮膜を形成した。
ポリ塩化ビニルで被覆されためっき槽に、酸化イリジウム陽極を設置し、実施例1と同じ組成のクロムめっき浴1000L中に、基材として、400dm2のめっき面積を有する装身具用金属素材を被めっき物としてめっき浴に入れ、48℃に加温した。この状態で、陰極電流密度を10A/dm2として20分間クロムめっき処理を行い、膜厚1μmのクロムからなるめっき皮膜を形成した。
次に、形成されためっき皮膜上に、以下の処理によってめっき皮膜を形成した。
電気金めっき処理:上村工業株式会社製、商品名「オールナ535」使用、陰極電流密度0.5A/dm2、25℃、5分間、めっき膜厚1μm
また、得られためっき皮膜の外観を視覚によって評価し、実施例1と同様にCASS試験及び耐融雪剤性試験を行った。
また、得られためっき皮膜の外観を視覚によって評価し、実施例1と同様にCASS試験及び耐融雪剤性試験を行った。
<実施例9>
実施例1で使用したクロムめっき浴を用い、バレルめっき装置に金属素材(ニッケルめっきを施したボルト)を入れ、平均電流密度4A/dm2として、48℃で、60分間、金属素材上にバレルめっき処理にてクロムからなるめっき皮膜を形成した。得られためっき皮膜の外観を視覚によって評価し、実施例1と同様にCASS試験及び耐融雪剤性試験を行った。
実施例1で使用したクロムめっき浴を用い、バレルめっき装置に金属素材(ニッケルめっきを施したボルト)を入れ、平均電流密度4A/dm2として、48℃で、60分間、金属素材上にバレルめっき処理にてクロムからなるめっき皮膜を形成した。得られためっき皮膜の外観を視覚によって評価し、実施例1と同様にCASS試験及び耐融雪剤性試験を行った。
<比較例1>
めっき浴中の(シュウ酸クロムのモル濃度)/(全3価クロムイオンのモル濃度)の値を1(=100%)、言い換えれば、(シュウ酸クロム錯体を形成していない3価クロムイオンのモル濃度)/(全3価クロムイオンのモル濃度)の値を0とした以外は、実施例1と同様の方法でめっき皮膜を形成した。めっき皮膜形成後のめっき浴に含まれる6価クロムイオン濃度を測定したところ、6価クロムイオンは検出されなかった。得られためっき皮膜の外観を視覚によって評価し、実施例1と同様にCASS試験及び耐融雪剤性試験を行った。
めっき浴中の(シュウ酸クロムのモル濃度)/(全3価クロムイオンのモル濃度)の値を1(=100%)、言い換えれば、(シュウ酸クロム錯体を形成していない3価クロムイオンのモル濃度)/(全3価クロムイオンのモル濃度)の値を0とした以外は、実施例1と同様の方法でめっき皮膜を形成した。めっき皮膜形成後のめっき浴に含まれる6価クロムイオン濃度を測定したところ、6価クロムイオンは検出されなかった。得られためっき皮膜の外観を視覚によって評価し、実施例1と同様にCASS試験及び耐融雪剤性試験を行った。
<比較例2>
めっき浴中に、濃度が20mg/Lとなるように鉛を加え、実施例1と同様の方法でめっき皮膜を形成した。そのまま長時間電解処理を行ってめっき浴中の6価クロムイオン濃度を測定した。陽極電流密度の条件(2〜20A/dm2)によって測定値は変動するが、電解量を50AH/Lとした時のめっき皮膜形成後のめっき浴中の6価クロムイオン濃度は、0.05〜0.5g/Lであった。
めっき浴中に、濃度が20mg/Lとなるように鉛を加え、実施例1と同様の方法でめっき皮膜を形成した。そのまま長時間電解処理を行ってめっき浴中の6価クロムイオン濃度を測定した。陽極電流密度の条件(2〜20A/dm2)によって測定値は変動するが、電解量を50AH/Lとした時のめっき皮膜形成後のめっき浴中の6価クロムイオン濃度は、0.05〜0.5g/Lであった。
<比較例3>
実施例1の組成を有するめっき浴のpHを水酸化ナトリウム等によって3.0に調整し、実施例1と同様の方法でクロムからなるめっき皮膜の形成を行った。そのまま長時間電解処理を行い、めっき浴中の6価クロムイオン濃度を測定した。陽極電流密度の条件(2〜20A/dm2)によって測定値は変動するが、電解量を550AH/Lとした時のめっき皮膜形成後のめっき浴中の6価クロムイオン濃度は、0.05〜0.5g/Lであった。
実施例1の組成を有するめっき浴のpHを水酸化ナトリウム等によって3.0に調整し、実施例1と同様の方法でクロムからなるめっき皮膜の形成を行った。そのまま長時間電解処理を行い、めっき浴中の6価クロムイオン濃度を測定した。陽極電流密度の条件(2〜20A/dm2)によって測定値は変動するが、電解量を550AH/Lとした時のめっき皮膜形成後のめっき浴中の6価クロムイオン濃度は、0.05〜0.5g/Lであった。
<比較例4>
実施例1で用いたクロムめっき浴に無水クロム酸を加え、6価クロムイオン濃度を2g/Lにした状態で、実施例1と同様の方法によってめっき皮膜を形成した。得られためっき皮膜の外観を視覚によって評価し、実施例1と同様にCASS試験及び耐融雪剤性試験を行った。
実施例1で用いたクロムめっき浴に無水クロム酸を加え、6価クロムイオン濃度を2g/Lにした状態で、実施例1と同様の方法によってめっき皮膜を形成した。得られためっき皮膜の外観を視覚によって評価し、実施例1と同様にCASS試験及び耐融雪剤性試験を行った。
−耐食試験−
(a)CASS試験
CASS試験として、JIS H 8502に準拠した試験を行った。
(b)耐融雪剤性試験
各実施例及び比較例の方法で形成されためっき皮膜に対して、塩化カルシウムとカオリンとの混合物(5mLの飽和塩化カルシウム水溶液に3gのカオリンを混合したもの)を塗布し、1週間放置した。耐融雪剤性の良否は、めっき皮膜の腐食の度合いを目視によって確認することで判断した。具体的には、本試験及びCASS試験共に、10〜0までの間の14段階のレイティングナンバー(RN)を用いて評価し、RNが9以上の場合を「良好」、9未満の場合を「不良」と判定した。なお、試験片において全腐食面積率が0%の場合、RN=10であり、全腐食面積率が0.07%を超え0.10%以下である場合、RN=9である。RNが小さいことは、全腐食面積率が大きいことを示す。
(a)CASS試験
CASS試験として、JIS H 8502に準拠した試験を行った。
(b)耐融雪剤性試験
各実施例及び比較例の方法で形成されためっき皮膜に対して、塩化カルシウムとカオリンとの混合物(5mLの飽和塩化カルシウム水溶液に3gのカオリンを混合したもの)を塗布し、1週間放置した。耐融雪剤性の良否は、めっき皮膜の腐食の度合いを目視によって確認することで判断した。具体的には、本試験及びCASS試験共に、10〜0までの間の14段階のレイティングナンバー(RN)を用いて評価し、RNが9以上の場合を「良好」、9未満の場合を「不良」と判定した。なお、試験片において全腐食面積率が0%の場合、RN=10であり、全腐食面積率が0.07%を超え0.10%以下である場合、RN=9である。RNが小さいことは、全腐食面積率が大きいことを示す。
−評価結果−
各実施例及び比較例についての評価結果を図3及び図4にまとめた。図3は実施例1〜6の結果を示し、図4は実施例7〜9及び比較例1〜4の結果を示している。
各実施例及び比較例についての評価結果を図3及び図4にまとめた。図3は実施例1〜6の結果を示し、図4は実施例7〜9及び比較例1〜4の結果を示している。
図3に示すように、実施例1の方法によれば、良好な外観を有するとともに、耐食性にも優れるめっき皮膜を形成できることが確認できた。また、十分な膜厚(0.5μm)のめっき皮膜を形成できることも確認できた。また、実施例1の結果より、本実施形態の方法によれば、めっき浴中にほとんど6価クロムイオンを生じさせないことが確認できた。
これに対し、比較例1の方法では、めっき皮膜の外観が全体的に緻密で均一な光沢外観とはならず、無光沢でコゲが発生したようなめっき外観に悪化した。実施例1と比較例1との比較から、有機カルボン酸クロム錯体と全3価クロムイオンのモル濃度比を1未満にすることで、めっき皮膜の外観を良好にできることが確認できた。
また、実施例1と実施例2の比較から、本実施形態に係るめっき浴は、粒子の大きい酸化イリジウムを有する陽極電極と併用することで、6価クロムイオンの生成をより効果的に抑えることが確認できた。ただし、6価クロムイオンが低濃度で生成しても、電解を停止させた状態でpHを下げて有機カルボン酸を追加することによって、6価クロムを還元することができ、その後めっき浴を継続的に使用できることが確認できた。めっき皮膜の外観についても、6価クロムイオン濃度を低濃度にするよう管理すれば、良好にすることができると考えられた。
実施例3の結果から、有機カルボン酸としてギ酸を用いた場合でも、シュウ酸を用いた場合と同様に良好な外観を有し、耐食性に優れためっき皮膜を形成できることが確認できた。また、ギ酸を用いてもめっき浴中での6価クロムイオンの生成を効果的に抑えることができることが確認できた。
また、実施例4の方法によって形成されためっき皮膜は、実施例1の方法によって形成されためっき皮膜と同様に、良好な外観を有するとともに、優れた耐食性を示した。めっき浴中での6価クロムの蓄積も見られなかった。この結果から、本実施形態の方法は、工業的規模で行った場合でも、小規模で実施した場合と同様に、耐食性の良好なめっき皮膜を形成することが可能であることが分かった。
実施例5の方法によって形成されためっき皮膜は、実施例4の方法によって形成されためっき皮膜と同様に、良好な外観を有するとともに、優れた耐食性を示した。この結果から、本実施形態の方法によれば、MPニッケル膜を形成しなくても良好な外観を有し、優れた耐食性を示すめっき皮膜を形成できることが確認できた。
実施例6の方法によって形成されためっき皮膜は、実施例4の方法によって形成されためっき皮膜と同様に、良好な外観を有するとともに、優れた耐食性を示した。この結果から、本実施形態の方法は、鉄等の金属用のめっき方法としても有用であることが確認できた。
実施例7の方法によって形成されためっき皮膜は、実施例6の方法によって形成されためっき皮膜と同様に、良好な外観を有するとともに、優れた耐食性を示した。このことから、金属上にクロムめっきを施す場合にも、MPニッケル膜の形成を省略することが可能であることが確認できた。
実施例8について、めっき皮膜が形成された被めっき物に対するCASS試験及び耐融雪剤性試験の結果、素地金属の腐食は認められず、めっき皮膜の耐食性は良好であることが分かった。本実施形態に係る方法で形成されためっき皮膜は、ニッケルアレルギー対策用のめっきとして好適であることが確認できた。
実施例9の方法によって形成されためっき皮膜も、良好な外観を有するとともに、優れた耐食性を示した。この結果から、本実施形態のめっき浴及びめっき方法は、バレルめっき法にも適用できることが確認できた。
また、比較例2における6価クロムイオン濃度の測定結果から、粒子の大きい酸化イリジウムを有する陽極電極を用いた場合でも、不純物としての鉛(Pb)濃度が高くなると、長期電解において、6価クロムイオンが生成してめっき浴中に蓄積することが確認できた。めっき皮膜の外観は不良となり、めっき電流効率は著しく低下した。ただし、耐食性試験の結果は良好であった。
比較例3において、めっき浴の6価クロムイオン濃度の測定結果から、pHが3.0であると、長期電解において6価クロムイオンが生成し、めっき浴中に蓄積することが確認できた。比較例3で得られためっき皮膜の外観は不良であり、耐食性試験の結果は良好であった。なお、比較例2と比較例3との比較から、同じ濃度の6価クロムイオンが蓄積するまでの積算電流値は、pHを3.0に上げた場合の方が大きいことが分かった。このことから、めっき浴の鉛濃度が6価クロムイオンの生成に与える影響はpHを3.0程度まで上げることに比べて大きいと推察される。
また、比較例5の結果から、めっき浴中に6価クロムイオンが蓄積して高濃度(2g/L程度)になると、めっき外観は問題無いが、めっき膜厚が著しく低下することが分かった。
以上説明したように、本開示の一例に係るめっき浴及びめっき皮膜の形成方法は、例えば6価クロムを用いためっきの代替技術として、装飾用、工業用を問わず種々の被めっき物に適用されうる。
1 被めっき物(陰極)
3 陽極
5 電源
9 ヒーター
11 めっき槽
13 オーバーフロー槽
15 めっき浴
17 濾過器付きポンプ
21 基材
23 半光沢ニッケルめっき皮膜
25 光沢ニッケルめっき皮膜
27 MPニッケルめっき皮膜
29 クロムめっき皮膜
3 陽極
5 電源
9 ヒーター
11 めっき槽
13 オーバーフロー槽
15 めっき浴
17 濾過器付きポンプ
21 基材
23 半光沢ニッケルめっき皮膜
25 光沢ニッケルめっき皮膜
27 MPニッケルめっき皮膜
29 クロムめっき皮膜
Claims (13)
- クロムめっき浴を用いた電気めっきによって被めっき物上にクロムめっき皮膜を形成する方法であって、
前記クロムめっき浴は、3価クロムイオンと、前記3価クロムイオンの少なくとも一部と錯体を形成する有機カルボン酸と、酸化数が+VIの硫黄を含む硫黄化合物イオンとを備えるとともに、pHが0.5以上且つ2.6以下であり、酸化数が+VI以外の硫黄を含んでおらず、
前記クロムめっき浴において(前記有機カルボン酸と錯体を形成した3価クロムイオンのモル濃度)/(全3価クロムイオンのモル濃度)の値は、0.5以上且つ1未満であり、
陽極電極として、酸化イリジウムを含む物質層を有する電極が用いられるクロムめっき皮膜の形成方法。 - 前記めっき膜を形成する際の前記クロムめっき浴において、(前記有機カルボン酸と錯体を形成した3価クロムイオンのモル濃度)/(全3価クロムイオンのモル濃度)の値は、0.6以上且つ0.9以下であることを特徴とする請求項1に記載のクロムめっき皮膜の形成方法。
- 前記陽極電極の前記物質層は酸化イリジウムを含む粒子を含んでおり、
前記粒子の平均粒径は50μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のクロムめっき皮膜の形成方法。 - 前記クロムめっき浴中の6価クロムイオン濃度が所定濃度に達した場合には、前記クロムめっき浴のpHを0.5以上1.5以下にして6価クロムイオンを還元することで、前記クロムめっき浴中の6価クロムイオン濃度を0.5g/L以下に維持することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のクロムめっき皮膜の形成方法。
- 前記クロムめっき浴中の鉛イオンの濃度が所定の濃度を超えた場合には、前記クロムめっき浴中の鉛を除去することで、前記クロムめっき浴中の鉛イオンの濃度を2mg/L以下に維持することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のクロムめっき皮膜の形成方法。
- 前記クロムめっき浴中の塩化物イオンの濃度が500mg/L以下であることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載のクロムめっき皮膜の形成方法。
- 前記クロムめっき浴には、pH緩衝剤がさらに含まれていることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載のクロムめっき皮膜の形成方法。
- 前記クロムめっき皮膜中の硫黄分は0.001wt%以下であり、
前記クロムめっき皮膜は、1wt%以上の炭素が吸蔵または共析された金属クロムで構成されていることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項に記載のクロムめっき皮膜の形成方法。 - 3価クロムイオンと、
前記3価クロムイオンの少なくとも一部と錯体を形成する有機カルボン酸と、
酸化数が+VIの硫黄を含む硫黄化合物イオンとを備えたクロムめっき浴であって、
pHが0.5以上且つ2.6以下であり、
(前記有機カルボン酸と錯体を形成した3価クロムイオンのモル濃度)/(全3価クロムイオンのモル濃度)の値は、0.5以上且つ1未満であり、
酸化数が+VI以外の硫黄を含んでいないクロムめっき浴。 - (前記有機カルボン酸と錯体を形成した3価クロムイオンのモル濃度)/(全3価クロムイオンのモル濃度)の値は、0.6以上且つ0.9以下であることを特徴とする請求項9に記載のクロムめっき浴。
- 鉛イオンの濃度が2mg/L以下であることを特徴とする請求項9又は10に記載のクロムめっき浴。
- 塩化物イオン濃度が500mg/L以下であることを特徴とする請求項9〜11のうちいずれか1項に記載のクロムめっき浴。
- pH緩衝剤がさらに含まれていることを特徴とする請求項9〜12のうちいずれか1項に記載のクロムめっき浴。
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JP2013012559 | 2013-01-25 | ||
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