JP3139838B2 - クリア塗装用表面処理アルミニウム及びアルミニウム合金材料とその製法 - Google Patents

クリア塗装用表面処理アルミニウム及びアルミニウム合金材料とその製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はクリア塗装に適した表面
処理アルミニウム材料及び表面処理アルミニウム合金材
料に関するもので、より具体的には、該表面はアルミニ
ウム素材の色調を呈し、しかも塗膜塗装に対して極めて
高い密着性と耐糸錆性を含む優れた耐食性を有する表面
処理アルミニウム材料及び表面処理アルミニウム合金材
料に関する。
【0002】
【従来技術】アルミニウム及びアルミニウム合金は輸送
機械、建築材料、並びに家電製品、その他の非常に多く
の分野で使用されている。特に、アルミニウムは金属材
料の中では比重が約2.7と小さいため、最近では低燃
比を目的とした自動車軽量化の傾向から自動車構成材料
に占めるアルミニウムの比率が大きくなりつつある。こ
れらアルミニウム及びアルミニウム合金の表面処理方法
としては、メッキ法、陽極酸化法(アルマイト)、着色
処理、並びに化学皮膜処理(クロメート法、MBV法、
ベーマイト法等)が一般に知られている。
【0003】アルミニウムは化学的に活性であるためそ
の表面は緻密な酸化皮膜で覆われており単独でも比較的
耐食性に富むが、さらに耐食性が要求されたり、意匠性
を要求される場合には塗装が施される。これら塗装に先
立つ前処理としては陽極酸化皮膜処理、ベーマイト処
理、並びにクロメート処理が一般的であるが。この時要
求される特性としては塗膜密着性、耐食性が挙げられ
る。特に耐食性についてはアルミニウム単独と塗装され
た場合では腐食形態が異なり、塗装された場合は塗膜欠
陥部を起点として塗膜が糸状に膨れる糸錆が大きな問題
となる。
【0004】既に述べた種々の塗装下地用前処理方法は
用途に応じて付着量を制御することにより、密着性や耐
糸錆性を含む耐食性の要求に答えてはいるが、アルミニ
ウム及びアルミニウム合金自身の金属光沢を活かす目的
で行われるクリア塗装に対しは十分とは言えないのが現
状である。例えば、ベーマイト処理によるアルミニウム
の水和酸化皮膜では耐食性が不足しているし。陽極酸化
皮膜では素地のツヤが失われるので外観的に適切ではな
い。一方、クロメート皮膜は優れた耐食性を有するが、
その皮膜は黄色外観を呈しているためにクリア塗装用に
無色透明外観を得るためにはクロム付着量を極めて少な
くしなければならず、クロメート本来の耐食性が得られ
なくなる。従って、アルミニウム及びアルミニウム合金
の素地表面の外観を保持し、かつ塗装後の耐食性、密着
性を両立することが可能な表面処理方法は未だ見いださ
れていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は第1に
皮膜が無色透明であること、第2にクリア塗装膜に対し
て優れた密着性と、耐糸錆性を含む優れた耐食性を有す
ることを目的としてなされたものであって、この様な品
質を有する表面処理アルミニウム材料及びアルミニウム
合金材料、及びその製法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0007】上記の問題点を解決するため、本発明者ら
はクロムメッキに着目して、クリア塗装用の表面処理ア
ルミニウム材料及びアルミニウム合金材料について検討
した。一般的に、塗装を目的としていない従来のクロム
メッキでは前処理工程(置換亜鉛メッキ、ニッケルスト
ライクメッキ)等の非常に複雑な工程を必要としたが、
本発明者らはこれらの工程を必要とせずにクロムメッキ
された特定表面状態のアルミニウム材料及びアルミニウ
ム合金材料であれば、上記の問題点を解決できることを
見いだし本発明を完成させた。
【0008】第1の本発明はアルミニウム又はアルミニ
ウム合金材料の表面に直径0.1〜15.0μmの金属
クロム微粒子が該表面全体に占める面積百分率で10〜
50%存在し、該金属クロム微粒子を含む層を覆うクロ
ムに換算して30mg/m2以下のクロム水和酸化物か
らなるクロメート被覆層を有することを特徴とする表面
処理アルミニウム及びアルミニウム合金材料を提供す
る。
【0009】また、前記クロメート被覆層がポーラスで
粗いクロメート皮膜が除去された薄いクロメート皮膜の
みからなることをも特徴とする。
【0010】第2の本発明はアルミニウム又はアルミニ
ウム合金材料の表面に直径0.1〜15.0μmの金属
クロム微粒子が該表面全体に占める面積百分率で10〜
50%存在し、該金属クロム微粒子を含む層を覆うクロ
ムに換算して30mg/m2以下のクロム水和酸化物か
らなるクロメート被覆層を有する表面処理アルミニウム
及びアルミニウム合金材料の製造方法において、アルミ
ニウム又はアルミニウム合金材料の表面を、クロムとし
て3価のクロムイオンのみを2g/l以上含む電解質溶
液中にてカソード電解することにより金属クロム微粒子
及びクロメート被覆層を形成することを特徴とする前記
製造方法を提供する。
【0011】第1の本発明について説明する。本発明の
アルミニウム又はアルミニウム合金材料はアルミニウム
板、アルミニウム合金板及びアルミニウムダイキャスト
材等のアルミニウム及びアルミニウムを主成分とする金
属材料である。
【0012】クロムメッキの析出過程において、金属ク
ロムと該金属クロムを含む層を覆うクロム水和酸化物か
らなるクロメート被覆層が形成されることは、当業者に
は周知の事実である。これについては、例えば、金属表
面技術21,(9),505(1970)、永山、泉谷
にも記載されている。しかし、本発明において重要な点
は、アルミニウム又はアルミニウム合金の材料の表面に
直接クロムメッキを行うことにより金属クロム部分が微
粒子化し、同時に該表面は該金属クロム微粒子を含む層
を覆うクロム水和酸化物からなるクロメート被覆層を有
するのが本発明の特徴である。
【0013】本発明のこのような構成からなるクロムメ
ッキされたアルミニウム又はアルミニウム合金材料の表
面において、特定粒子直径(0.1〜15.0μm)の
金属クロム微粒子が該表面全体で一定面積(該表面全体
に占める面積百分率10%〜50%)存在し、かつ特定
量(クロムに換算して30mg/m2以下)のクロム水
和酸化物からなるクロメート被覆層を有することによ
り、本発明の効果を奏するものである。
【0014】先ず、アルミニウム又はアルミニウム合金
材料の表面上に存在する金属クロム微粒子について説明
する。該金属クロム微粒子の直径を0.1〜15.0μ
mの範囲としたのは次の理由による。すなわち、粒子径
がこの範囲において、アルミニウム素材の色調が保持さ
れ、塗膜塗装対して極めて高い密着性と、耐糸錆性を含
む優れた耐食性を有するからである。粒子直径が15μ
mを越える場合には、表面処理後の外観が黒色を呈し、
しかもアルミニウム素地に対する密着性が劣るために塗
装後の密着性が得られない。
【0015】また、析出金属クロム微粒子径の下限は
0.1μmであるが、原理的にはこれ未満の粒子が存在
しても問題は無いし、実際にはこの様な粒子も析出して
いると思われる。しかし、微粒子同士の凝集や使用した
走査電子顕微鏡の分解能等により、見かけ上0.1μm
以上の粒子しか観察されない。従って、下限の設定を
0.1μmとするものである。
【0016】また、このような粒子直径を有する金属ク
ロム微粒子が面積百分率で10〜50%である理由は、
色相の保持、高い密着性及び表面電位の均一化による耐
糸錆性を含む優れた耐食性を与えるためである。表面電
位の均一化を図る必要がある理由については、次のよう
に考察される。
【0017】アルミニウム材料に対する通常のクロムメ
ッキにおいては前述のようにクロムメッキ前処理として
置換亜鉛メッキ、ニッケルストライクメッキを施すが、
本発明のようにアルミニウム、及びアルミニウム合金を
直接6価クロムイオンを含有する電解質でカソード電解
すると、初期の金属クロムは微粒子状に析出する(図1
参照)。さらに電解時間を長く取るとアルミニウム表面
全体が金属クロム粒子に覆われ連続膜となるが、皮膜を
構成する金属クロムの最小単位は粒状であるために、黒
色外観を呈し、しかも指で擦ると容易に除去されるよう
な脆弱な皮膜となる。
【0018】何故金属クロムが微粒子状に析出するかは
色々考えられるが、次のこともその理由の一つと考えら
れる。すなわち、アルミニウムの表面の頑固な酸化物皮
膜、又はアルミニウム合金における添加元素であるシリ
コン、マグネシウム等の表面偏析物が存在すること、或
いはアルミニウムとメッキ金属のクロムとの境界接合の
相性が悪いことである。前者の酸化物皮膜又は表面偏析
物の存在によりアルミニウム表面は電気化学的に極めて
不均一な表面が形成されることが予想される。事実、後
述する実施例2の皮膜において本発明における表面処理
アルミニウム合金材料表面の自然電位分布に及ぼす効果
を10-3%NaCl中にて走査振動電極法を用いて測定
すると、未処理の状態では場所により電位分布が不均一
であるのに対して、本発明における表面処理形態を有す
る皮膜では極めてそれが均一となることがわかる。図1
は6価クロム浴から得られた表面処理アルミニウム材料
の表面SEM写真である。
【0019】即ち、アルミニウム表面に直接クロムメッ
キを行うと、金属クロムの初期析出がそれに応じて選択
的に起こり、それが微粒子となって表面の電気化学的な
不均一を緩和する方向に働くことが予想される。しか
も、この表面電位の平滑化は、腐食環境において腐食発
生の起因となる局部電池形成を阻害し、塗装後の耐食性
に対して大きく寄与することになる。
【0020】本発明では、前記したアルミニウム材料、
またはアルミニウム合金材料表面上の析出金属クロム微
粒子による材料表面の被覆率が10%未満では、表面電
位の均一化が図られず、その結果耐食性、特に耐糸錆性
を満足しない。さらに、被覆率が50%を越える場合
は、既に述べたように表面処理後の外観が黒色を呈し、
しかもアルミニウム素地に対する密着性が劣るために塗
装後の密着性も得られない。
【0021】次にクロメート被覆層がクロムに換算して
30mg/m2以下のクロム水和酸化物からなる理由に
ついて説明する。6価クロムメッキの成膜メカニズムか
らもわかるようにクロム電着においては金属クロムはそ
の上層に同時形成されるクロメート皮膜を伴って成長す
る。さらに詳細な検討によってはこのクロメート皮膜は
緻密で薄い皮膜とポーラスで粗い皮膜の2層構造を取る
ことが判明している。前者の緻密で薄いクロメート皮膜
は通常のクロメート処理の場合と同様に塗膜密着性に寄
与することが期待されるため好ましいが、後者のポーラ
スで粗いクロメート皮膜は黄色の外観を呈しているため
にクリア塗装下地としては好ましくない。このようにア
ルミニウム素地の色調を保持する意味でアルミニウム材
料、またはアルミニウム合金材料表面上のクロメート皮
膜はクロム換算で30mg/m2以下にしなければなら
ない。
【0022】この最上層のポーラスで粗いクロメート皮
膜を除去するためには電解後、通電を止めた状態で電解
液中で1秒以上保持するか、連続コンベアラインなどで
これが不可能な場合は6価クロムイオンを2g/l以上
含有するクロム酸水溶液で別途洗浄しなければならな
い。一方、これらの溶解除去処理においてかなり濃厚な
クロム酸水溶液(例えば無水クロム酸250g/l、硫
酸2.5g/lの混酸)を用いても、都合の良いことに
緻密なクロメート皮膜は完全には除去できないことがわ
かっている。これはEPMA、XPS等による分析から
その存在は確認されているものの、その厚みは約30A
(オングストローム)程度と予測され、極薄膜であるた
めに定量が困難である。従って、クロメート皮膜付着量
の下限は限定はされない。
【0023】次に、以上の皮膜を形成するための電解
液、及び電解条件について述べる。使用する電解液は6
価クロムを含有する通常のクロムメッキ浴を用いればよ
く、特に限定条件はない。最も代表的なクロムメッキ浴
にはサージェント浴(無水クロム酸:200〜300g
/l、硫酸:2〜3g/l)やサージェント浴の硫酸を
一部硅フッ酸に置き換えた硅フッ化浴等があるが、本発
明では通常のクロムメッキのように素材表面を完全に金
属クロムで被覆するわけではないので、通常のクロムメ
ッキ浴のように高濃度のものを用いる必要はない。経験
上、無水クロム酸を用いて6価クロム換算で2g/l以
上あれば充分で、特に、6価クロムの排水処理の問題を
考慮すると希薄な溶液を用いた方が工業的にも有利であ
ろう。但し、サージェント浴においては無水クロム酸/
硫酸の比率が100/lとなっているが、希釈された溶
液においてもこの比率で硫酸を添加した方が作業効率上
好ましい結果となっている。
【0024】一方、電解条件についても特に大きな制約
はなく、温度については常温でも可能であるが、電解条
件を一定にする意味でも40℃程度で管理するのが好ま
しい。電流密度については0.5〜60A/dm2と広
い範囲で可能であるが、金属クロム微粒子の粒径やそれ
による被覆率は電流密度と電解時間によって決まるの
で、それらを限定範囲内にするためには電流密度は1〜
2A/dm2程度、電解時間は30〜100秒程度で充
分である。この様な低電流密度、かつ短時間の電解は通
常のクロムメッキやアルマイト処理と比較して電源設備
コスト、ランニングコストの点でも非常に有利と思われ
る。また、使用するアノード(対電極)は鉛、酸化鉛
(触媒電極)、あるいは炭素の様な不溶性電極が好まし
いが、鉄やステンレスでも可能でこの場合溶出する鉄・
ニッケル等のイオンは数g/lまでは許容可能である。
【0025】ステンレスをアノードとして用いた場合は
クロム(3価)の溶出も起こり得るが、3価のクロムイ
オンはカソードにおいて金属クロムが析出する過程でも
生成し浴中に蓄積する。従って、6価クロム浴といって
も実際の稼働状態においては3価クロムとの共存状態に
ある。経験的には3価クロムイオンも数g/lまで許容
可能である。ただし、アニオンとして酸化性である硝酸
イオンや、3価クロムイオンとの溶解度積の小さいりん
酸イオンなどは皮膜の生成効率を低下させるために、不
純物としての混入を避けるべきである。
【0026】次に第二の本発明であるクロム供給源とし
て3価クロムイオンのみを含有する電解液を用いた場合
について述べる。3価クロムイオンは比較的安定なアコ
錯体を形成するために6価クロム浴に比べてクロム電析
が困難で、6価クロム浴に比べてやや新しい技術である
が、排水処理等に有利であるため種々のタイプの浴が提
唱されている。基本的には硫酸クロム(Cr2(SO4
3)や塩化クロム(CrCl3)をクロム供給源として、
それらを蓚酸・ギ酸・グリシン・オキシカルボン酸等の
有機錯化剤を用いて錯化した浴を用いればよい。電解電
流密度と電解時間を適当に制御することにより、6価ク
ロム浴と同様に微粒子状の金属クロムが析出可能である
が、本発明のようにアルミニウムを対象とした場合は6
価クロム浴に比べて析出効率が劣るために、同じ電流密
度で行う場合には長い電解時間を必要とする。また、3
価クロム浴の場合、アノードとして鉛や酸化鉛を用いる
と、それらの触媒性によって浴中3価クロムが6価クロ
ムに酸化してしまうので、カーボン電極を用いるべきで
ある。ところで、6価クロム浴においては電解時に同時
生成するポーラスなクロメート皮膜を電解後に除去する
ことが必要であった。これは電解中にカソード近傍のp
Hが上昇するために金属クロム析出の中間生成物である
3価クロムイオンが溶解できずにゲル化することによる
ものである。しかし、3価クロム浴においてはもともと
3価クロムイオンが安定に存在できるような設計になっ
ているため(錯体形成などによる)この問題は生じな
い。従って、電解後に敢えて除去処理を施す必要はな
い。図2は3価クロム浴から得られた本発明による表面
処理アルミニウム材料の表面SEM写真である。
【0027】
【実施例】本発明について実施例と比較例を挙げてさら
に具体的に説明するが、本発明は何らこれらに限定され
るものではない。以下に、試験片の作製方法について説
明する。各々の実施例、比較例における試験片は下記の
(1)〜(7)の工程で作製したが、比較例5、10、
15及び17については塗装の前処理を脱脂のみとし、
従って(4)〜(5)の工程を省略した。一方、比較例
6、11、16及び18についてはカソード電解処理の
代わりに反応型クロメート処理を行ったため、(4)の
代わりに(4’)の工程を採用した。
【0028】(1)供試試験材 JIS規格に規定された下記の材料を試験片として用い
た。 ・アルミ鋳造合金(AC4C)フライス研削材 ・A1050板材 ・A5052板材 ・A6061板材 (2)アルカリ脱脂 ノンエッチングタイプのアルカリ脱脂剤(日本パーカラ
イジング製、ファインクリーナー4327)の2%水溶
液を用い、温度60℃・1分間スプレー脱脂を行った。 (3)洗浄 脱イオン水を用いて20秒間スプレー洗浄を行った。 (4)カソード電解 表1に示した所定のクロム含有電解液を用い、表2に示
した電解条件によりカソード電解を行った。ただし、表
1において、6価クロム浴(No.1〜2)の場合はア
ノードとしてステンレス電極(SUS304)を、3価
クロム浴(No.3〜4)の場合は炭素電極を用いた。 (4’)反応型クロメート処理 日本パーカライジング製アルクロム3703の1%水溶
液を用いて、温度40℃にて30秒間スプレー処理し、
反応型クロメート皮膜を生成した。 (5)洗浄 脱イオン水を用いて20秒間スプレー洗浄を行った。 (6)乾燥 100℃に設定したオーブン中にて2分間水切り乾燥を
行った。 (7)塗装 アクリル系クリア塗料を用いて、目標膜厚20μmでス
プレー塗装を行った。塗装後の焼付け条件は140℃・
30分間とした。
【0029】以下に、試験片の評価方法について説明す
る。 (1)皮膜形態観察 作製された試験片表面を走査電子顕微鏡にて観察し、析
出した金属クロム微粒子の粒径を測定し、視野全体に占
めるそれらの面積割合を算出し被覆率として示した。
【0030】(2)クロム付着量 蛍光X線分析装置を用いて試験片表面に存在する総クロ
ム付着量を測定した。さらに、クロメート付着量は同一
試験片を無水クロム酸250g/l、硫酸2.5g/l
含有する水溶液に50℃で5分間浸漬してクロメート皮
膜を除去後、同様に蛍光X線分析を行いクロム付着量を
測定し、総クロム付着量との差から求めた。ただし、実
際にはこの様な除去処理によっても微量のクロメートは
残存するが、XPS等による分析ではたかだか30A
(オングストローム)程度の極薄膜となり、蛍光X線分
析では定量できないレベルとなるためこの方法を採用し
た。
【0031】(3)皮膜外観観察 無処理サンプルを基準として色差計により、JIS−Z
8730に規定されている色差を測定し、下記のランク
に分けて評価した。 ◎:色差 0〜3.2 (目視にて変色無し) ○:色差 3.2〜6.5 (僅かに変色) △:色差 6.5〜13 (明らかに変色) ×:色差 13超過 (強く変色)
【0032】(4)碁盤目密着性試験 塗装面にNTカッターで素地に達するように1mm四方
の碁盤目を100個描き、セロテープで剥離する。テー
プ剥離後の残存碁盤目数により下記のランクに分けて評
価した。 ◎:異状無し ○:残存碁盤目数95/100以上 △:残存碁盤目数80/100以上 ×:残存碁盤目数80/100未満
【0033】(5)耐糸錆試験 塗装面にNTカッターを用いて素地まで達するカット傷
をつけた後、腐食液(1規定塩酸と5%過酸化水素水の
混液)に1分間浸漬し、常温にて24時間乾燥経時させ
る。さらに、湿潤環境(温度50℃・湿度80%)にて
1000時間保持した後、カット傷より発生した糸錆の
長さを測定する。 ◎:最大糸錆長さ2mm以内 ○:最大糸錆長さ3mm以内 △:最大糸錆長さ5mm以内 ×:最大糸錆長さ5mm超過
【0034】(6)塩水噴霧試験 塗装した試験片にNTカッターを用いて素地まで達する
カット傷をつけた後、JIS−Z2371に基づいて塩
水噴霧を1000時間行った時に発生するカット傷から
の錆や膨れの最大幅を測定する。 ◎:最大錆及び膨れ幅1mm以内 ○:最大錆及び膨れ幅2mm以内 △:最大錆及び膨れ幅3mm以内 ×:最大錆及び膨れ幅3mm超過
【0035】各々の実施例、並びに比較例における試験
結果を、AC4C材については表3に、A1050材に
ついては表4に、A5052材については表5に、及び
A6061材については表6にそれぞれ示した。
【0036】本実施例及び比較例から次のことが考察さ
れる。本発明の表面処理アルミニウム材料、及び表面処
理アルミニウム合金材料は、実施例1〜28に示したよ
うに素材の外観上の変化がなく、塗装後の密着性、並び
に耐食性(耐糸錆性、耐塩水噴霧性)を向上させること
ができる。しかも、電解電流密度及び電解時間とも通常
のクロムメッキやアルマイト処理に比較して極めて少な
くてすむため、設備コスト・ランニングコストが低く工
業的にも非常に有利な方法と言える。これに対して、同
じくカソード電解処理を行っても、比較例1、7及び1
2に示すように、金属クロムの粒子径が小さく、被覆率
が低すぎたりすると、外観はもちろん問題はないが耐食
性が得られなくなる。逆に、比較例2、3、8及び13
に示すように被覆率が高すぎる場合には耐食性は問題な
いが、外観が黒色化し金属素地の美観を損なう結果とな
る。
【0037】さらに、比較例4、9及び14に示すよう
に、電解後試験片を通電したまま引き上げたものはポー
ラスなクロメート皮膜が溶解されずに残るため黄色外観
を呈し、同様に金属素地の美観を阻害する。一方、比較
例5、10、15及び17に示した脱脂のみの処理で
は、当然ながら外観的には問題ないが、耐食性が得られ
なくなる。また、比較例6、11、16及び18では、
従来技術の例として反応型クロメート処理を外観を優先
して変色しない上限である総クロム付着量10g/m2
を目標に行ったが、これらも脱脂のみと同様に耐食性が
得られない結果となった。本発明において3価クロム浴
による処理も6価クロム浴による処理と同様の効果が得
られる。
【0038】
【発明の効果】本発明の表面処理アルミニウムおよびア
ルミニウム合金材料はアルミニウム素地の色調を呈し、
かつ塗装塗膜に対して高い密着性と耐糸錆性を含む優れ
た耐食性を有する。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−32577(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 11/38

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム又はアルミニウム合金材料の
    表面に直径0.1〜15.0μmの金属クロム微粒子が
    該表面全体に占める面積百分率で10〜50%存在し、
    該金属クロム微粒子を含む層を覆うクロムに換算して3
    0mg/m2以下のクロム水和酸化物からなるクロメー
    ト被覆層を有することを特徴とする表面処理アルミニウ
    ム及びアルミニウム合金材料。
  2. 【請求項2】前記クロメート被覆層がポーラスで粗いク
    ロメート皮膜が除去された薄いクロメート皮膜のみから
    なる請求項1記載のアルミニウム及びアルミニウム合金
    材料。
  3. 【請求項3】アルミニウム又はアルミニウム合金材料の
    表面を、クロムとして3価のクロムイオンのみを2g/
    l以上含む電解質溶液中にてカソード電解することによ
    り金属クロム微粒子及びクロメート被覆層を形成するこ
    とを特徴とする請求項1記載の表面処理アルミニウム及
    びアルミニウム合金材料の製造方法。
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