JP3499328B2 - アルミニウムまたはアルミニウム合金製部材の無色クロメート皮膜形成方法 - Google Patents

アルミニウムまたはアルミニウム合金製部材の無色クロメート皮膜形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウムまたはア
ルミニウム合金製部材に塗装、とくにクリヤー塗装を行
うに際し、塗装前処理として施される無色クロメート皮
膜形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車用アルミホイールにおい
ては、素材アルミニウム合金特有の金属光沢を活かした
表面外観を得るために、クリヤー塗装を施したものがあ
り、このような塗装に際しては、耐食性および塗料の密
着性を向上させるための塗装前処理として、塗装に先立
って、表面研削を施したアルミホイール素材に陰極電解
処理を施し、素材表面に無色のクロメート皮膜を形成さ
せることが知られている(例えば、特開平5−1794
86号公報参照)。
【0003】そして、このような陰極電解処理に際して
は、例えば、図1に示すような電解処理槽1と、ワーク
搬送用のコンベア2を備えた処理ラインによって、連続
的に処理されていた。
【0004】すなわち、ワークであるアルミホイール素
材3は、ワークハンガー4を介して前記コンベア2に上
下2段に吊り下げられた状態で、図中左側から電解処理
工程に搬入され、コンベア2に沿って移動しながら電解
処理槽1内に収納された6価クロムイオンを含む酸性水
溶液からなる電解液5中に浸漬され、当該電解液5中で
連続的に陰極電解処理が施されたのち電解液5から引き
上げられ、図中右方向に順次搬出されるようになってい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような連続処理ラインにより電解処理を行う場合、アル
ミホイール素材3が電解液5中に浸漬される全区間にわ
たって通電を行うと、ホイール素材3の上下位置によっ
て、あるいはワークハンガー4の上段と下段とによって
通電時間に差が生じるために、ホイール素材3の上下、
ハンガー位置の上下でクロム付着量の違いができる結
果、耐食性などにばらつきが生じ、安定した性能が得ら
れないという問題がある。
【0006】一方、ワークハンガー4の上下のホイール
素材3が電解液5中に完全に浸漬されている間(全没区
間)のみ通電を行うと、下段のホイール素材3が電解液
5中に浸漬され始めてから上段のホイール素材3が電解
液5中に完全に浸漬されるまでの間(入槽区間)および
上段のホイール素材3が電解液5から引き上げられ始め
てから下段のホイール素材3が電解液5から完全に引き
上げられるまでの間(出槽区間)、ホイール素材3が無
通電状態のまま電解液5中に浸漬されることになり、こ
の無通電浸漬時間がとくに長くなった場合には(すなわ
ち下段側ホイール素材3の場合)電解液5との間に反応
が生じる結果、ホイール素材3の表面が着色され、クリ
ヤー塗装後の色調が一定なものとならないことから、商
品価値が低下するという問題があり、これら問題点の解
消がこのようなアルミニウムあるいはアルミニウム合金
製ワークの連続電解処理における性能上および品質上の
課題となっていた。
【0007】
【発明の目的】本発明は、アルミニウムあるいはアルミ
ニウム合金製部材の連続電解処理における上記課題に着
目してなされたものであって、電解液への浸漬時間が長
くなった場合でも、クロム付着量に差が生じたり、部材
表面が着色されたりすることのない、アルミニウムある
いはアルミニウム合金製部材の無色クロメート皮膜形成
方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係わ
るアルミニウムあるいはアルミニウム合金製部材の無色
クロメート皮膜形成方法は、電解液中にてアルミニウム
またはアルミニウム合金製部材に陰極電解処理を施し、
当該部材表面に無色クロメート皮膜を形成させるに際
し、前記陰極電解処理の少なくとも前後いずれかにおい
て、陰極電解処理時の電流密度に比べて低電流密度、例
えば50分の1程度の低電流密度による微弱陰極電解処
理を施す構成としたことを特徴としており、このような
無色クロメート皮膜形成方法の構成を前述した従来の課
題を解決するための手段としている。
【0009】また、本発明に係わるアルミニウムあるい
はアルミニウム合金製部材の無色クロメート皮膜形成方
法の実施態様として請求項2に係わる皮膜形成方法は、
陰極電解処理時の電流密度が0.5〜15A/dm2
微弱陰極電解処理時の電流密度が0.01〜0.3A/
dm2 である構成とし、同じく実施態様として請求項3
に係わる皮膜形成方法は、電解液が、6価クロムイオン
2g/L以上、硫酸イオン20〜2000ppm、ふっ
素あるいは錯ふっ化物5〜400ppmを含有するpH
0.6〜1.7の酸性水溶液である構成とし、請求項4
に係わる皮膜形成方法は、微弱陰極電解処理に際して、
アルミニウムまたはアルミニウム合金製部材が電解液中
に全没したときに所定の低電流密度となる電圧にて定電
圧電解する構成としたことを特徴としている。
【0010】
【発明の作用】本発明の請求項1に係わるアルミニウム
あるいはアルミニウム合金製部材の無色クロメート皮膜
形成方法においては、陰極電解処理の前後、あるいは前
後のいずれかにおいて、陰極電解処理時の電流密度に比
べて、例えば50分の1程度の低電流密度による微弱陰
極電解処理を施すようにしていることから、当該部材が
電解液中に長時間浸漬されていたとしても、この間の部
材と電解液との反応が抑えられるので、部材表面の着色
が防止されることになる。
【0011】また、本発明に係わるアルミニウムあるい
はアルミニウム合金製部材の無色クロメート皮膜形成方
法の実施態様として請求項2に係わる皮膜形成方法にお
いては、陰極電解処理時の電流密度を0.5〜15A/
dm2 、微弱陰極電解処理時の電流密度を0.01〜
0.3A/dm2 としているので、微弱陰極電解処理に
おいて電解処理皮膜をほとんど形成させることなく、電
解液による酸化反応が有効に抑えられると共に、陰極電
解処理において安定した無色クロメート皮膜が得られる
ことになる。 なお、陰極電解処理時の電流密度が0.
5A/dm2 よりも低いときには、クロメート皮膜が形
成され難く、逆に15A/dm2 よりも高いときには、
皮膜が着色し、目的とする無色のクロメート皮膜が得ら
れない。また、微弱陰極電解処理における電流密度が
0.01A/dm2 より低い場合には部材と電解液との
反応を有効に抑えることができず、0.3A/dm2
りも高いときにはクロメート皮膜が形成されてしまうた
めに、微弱陰極電解処理時間の違いによってクロム付着
量に差が生じることから安定した性能が得られない。
【0012】本発明に係わるアルミニウムあるいはアル
ミニウム合金製部材の無色クロメート皮膜形成方法の実
施態様として請求項3に係わる皮膜形成方法において
は、電解液として、6価クロムイオン2g/L以上、硫
酸イオン20〜2000ppm、ふっ素あるいは錯ふっ
化物5〜400ppmを含有するpH0.6〜1.7の
酸性水溶液を用いるようにしているので、所期の耐食性
を備えた無色クロメート皮膜が安定に形成される。
【0013】ここで、電解液に用いられる6価クロムイ
オンは、クロメート皮膜を形成するクロム源であって、
無水クロム酸,重クロム酸、あるいは重クロム酸のアル
カリ金属塩などを使用することができ、十分な耐食性を
備えたクロメート皮膜を得るためには6価クロムイオン
として2g/L以上が必要となる。 なお、6価クロム
イオンの上限についてはとくに設定する必要はないが、
排水処理などを考慮すれば、50g/L以下とすること
が望ましい。
【0014】また、硫酸イオンとしては、硫酸あるいは
硫酸のアルカリ金属塩などを使用することができ、その
濃度が20ppm未満の場合には無色のクロメート皮膜
が形成されず、2000ppmを超えるとクロム付着量
が減少して皮膜の耐食性が低下する。
【0015】ふっ素あるいは錯ふっ化物としては、ふっ
化水素酸,けいふっ化水素酸,ジルコンふっ化水素酸,
ほうふっ化水素酸などを使用することができ、その濃度
が5ppm未満の場合には、塗装後の耐食性に優れたク
ロメート皮膜が形成されず、400ppmを超えると、
クロメート皮膜形成が抑制され、所期のクロム付着量が
得られず、比較的少ないクロム付着量でも皮膜が着色さ
れてしまう。
【0016】上記各成分を含有する水溶液は、例えばア
ンモニア水,水酸化アンモニウム,アルカリ金属水酸化
物,アルカリ金属炭酸化物,クロム酸,硫酸,硝酸など
によって、そのpH値が0.6〜1.7の範囲となるよ
うに調整されたのち、電解液として使用される。 電解
液のpHが1.7を超えるとクロメート皮膜付着量が急
激に減少し、適正なクロム付着量を得るのが困難とな
る。 また、電解液としては、そのpHが0.6未満で
もとくに性能上問題はないが、陰極電解処理を続けるこ
とにより電解液のpHが上昇するため、常時pH調整が
必要となってコントロールが困難となる。
【0017】本発明に係わるアルミニウムあるいはアル
ミニウム合金製部材の無色クロメート皮膜形成方法の実
施態様として請求項4に係わる皮膜形成方法において
は、微弱陰極電解処理に際して、アルミニウムまたはア
ルミニウム合金製部材が電解液中に全没したときに所定
の低電流密度となる電圧にて定電圧電解するようにして
いるので、電流密度の制御が容易なものとなる。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。
【0019】従来例 Al−Si−Mg系アルミニウム合金(JIS AC4
C相当)からなる鋳造材を機械切削すると共に、研削加
工することにより70×150×7mmの寸法に仕上げ
た試験板を用意し、無水クロム酸により6価クロムイオ
ンを20g/L、硫酸により硫酸イオンを400pp
m、ジルコニウムふっ化水素酸を100ppm添加した
水溶液のpHをアンモニア水を用いてpH1に調整して
電解液とすると共に、当該電解液の液温を40℃に保持
した。
【0020】そして、上記試験板をアルカリ脱脂液によ
り洗浄して水洗したのち、ワークハンガー4の上段側に
支持されたアルミホイール素材3(図1参照)の処理条
件を想定して、入槽区間に相当する10秒間、無通電の
まま電解液に浸漬したのち、2A/dm2 の電流密度で
30秒間、陰極電解処理を行うと共に、出槽区間に相当
する10秒間、やはり無通電状態で浸漬したのち、試験
板を水洗および脱イオン水洗し、100℃の乾燥炉中で
5分間乾燥した。 次いで、当該試験板に、熱硬化型ア
クリル樹脂クリヤー塗料を膜厚30μmとなるように塗
装し、140℃に保持したオーブン中で30分間焼付け
乾燥したのち、後述する要領により、外観判定,クロム
付着量測定,耐食性試験(糸錆試験および塩水噴霧試
験)を実施した(従来例1)。
【0021】また、ワークハンガー4の下段側に支持さ
れたアルミホイール素材3の処理条件を想定して、入槽
区間および出槽区間に相当する無通電浸漬時間を240
秒に設定して、同様の陰極電解処理を行うと共に、同様
にクリヤー塗装を行ったのち、同様の要領で外観,クロ
ム付着量,耐食性を調査した(従来例2)。 これら結
果を表1に示す。
【0022】本発明例 上記従来例と同一試験板をアルカリ脱脂液により洗浄し
て水洗したのち、ワークハンガー4の上段側または下段
側アルミホイール素材3の入槽区間に相当する10秒間
または240秒間、無水クロム酸により6価クロムイオ
ンを20g/L、硫酸により硫酸イオンを400pp
m、ジルコニウムふっ化水素酸を100ppm添加した
水溶液のpHをアンモニア水を用いてpH1に調整し、
液温を40℃に保持した電解液に浸漬すると共に、下段
側に相当する長時間(240秒)浸漬の場合には、この
間低電流密度による微弱陰極電解処理を施したのち、2
A/dm2 の電流密度で30秒間、陰極電解処理を行っ
た。 そして陰極電解終了後も出槽区間に相当する10
秒間および240秒間電解液中に浸漬すると共に、長時
間(240秒)浸漬の場合には、同様に低電流密度によ
る微弱陰極電解処理を施した。 次いで、試験板を水洗
および脱イオン水洗し、上記同様にクリヤー塗装を行っ
たのち、同様の要領で外観,クロム付着量,耐食性を調
査した。 これら結果を表1に併せて示す。
【0023】なお、上記発明例のうち、発明例7,8,
9においては、下段側アルミホイール素材3の入槽区間
および出槽区間に相当する240秒間の微弱陰極電解処
理に定電圧電解を適用したものであって、試験板が電解
液中に全没したときに、それぞれ0.01A/dm2
0.1A/dm2 および0.3A/dm2 の電流密度が
得られるようにそれぞれ0.1V,0.5Vおよび1.
10Vの定電圧を印加した。 また、このとき対極とし
て70×150×1.0mmのステンレス鋼(SUS3
04)製電極を用い、極間距離は150mmとした。
【0024】比較例 上記従来例と同一試験板をアルカリ脱脂液により洗浄し
て水洗したのち、ワークハンガー4の上段側および下段
側アルミホイール素材3の入槽区間に相当する10秒間
および240秒間、無水クロム酸により6価クロムイオ
ンを20g/L、硫酸により硫酸イオンを400pp
m、ジルコニウムふっ化水素酸を100ppm添加した
水溶液のpHをアンモニア水を用いてpH1に調整し、
液温を40℃に保持した電解液に無通電のまま浸漬、あ
るいは比較的高い低電流密度、さらに低い低電流密度に
よる微弱陰極電解処理を施しつつ浸漬したのち、2A/
dm2 の電流密度で30秒間、陰極電解処理を行った。
そして陰極電解終了後も出槽区間に相当する10秒間
および240秒間、無通電のまま、あるいは比較的高い
低電流密度、さらに低い低電流密度による微弱陰極電解
処理を施しつつ浸漬したのち、試験板を水洗および脱イ
オン水洗し、上記同様にクリヤー塗装を行ったのち、同
様の要領で外観,クロム付着量,耐食性を調査した。
これら結果を表1に併せて示す。
【0025】なお、外観判定,クロム付着量測定,耐食
性試験(糸錆試験,塩水噴霧試験)の実施要領および判
定基準については、それぞれ以下のとおりである。
【0026】1)外観判定 目視、および無処理サンプルを基準として分光式色差計
により色差dEを測定(JIS Z 8730準拠)
して評価した。 なお、目視に際しては、無処理サンプ
ルと比較して変色が確認できないものを◎、無処理サン
プルと比較してわずかに変色が認められるものを○、無
処理サンプルと比較して明らかに変色が認められるもの
を△、無処理サンプルと比較して極度の変色が認められ
るものを×とそれぞれ評価した。
【0027】2)クロム付着量 蛍光X線分析装置によりクロム量を測定した。 また、
クロム付着量のばらつきについては、従来例1のクロム
付着量との差の絶対値をもって表した。
【0028】3)糸錆試験 塗装した試験板の表面に、事務用のカッターナイフによ
り素地まで達するカット傷をつけ、該試験板を1規定塩
酸と5%過酸化水素水の混合液に1分間浸漬したのち、
水洗することなく24時間室温に放置して乾燥したの
ち、温度50℃,湿度80%の湿潤試験を1000時間
行い、このときのカット傷からの糸錆の進展長さを測定
した。 そして、最大糸錆長さが2mm未満のものを
◎、2mm以上3mm未満のものを○、3mm以上5m
m未満のものを△、5mm以上のものを×とそれぞれ評
価した。
【0029】4)塩水噴霧試験 糸錆試験と同様に、塗装した試験板の表面に事務用のカ
ッターナイフにより素地まで達するカット傷をつけたの
ち、JIS Z 2371に規定された方法に基づい
て、当該試験板を塩水噴霧室内に1000時間暴露し、
このときのカット傷から発生した錆やふくれの最大幅を
測定した。 そして、最大ふくれ錆幅が1mm未満のも
のを◎、1mm以上2mm未満のものを○、2mm以上
3mm未満のものを△、3mm以上のものを×とそれぞ
れ評価した。
【0030】
【表1】
【0031】表1の結果から明らかなように、ワークハ
ンガーの上段側に支持されたアルミホイール素材を想定
した従来例1の場合には、陰極電解処理前後に無通電の
まま電解液に浸漬される時間が短いため、試験板の着色
が認められず、ワークハンガーの下段側に支持されたア
ルミホイール素材を想定した従来例2の場合には、陰極
電解処理前後に無通電のまま電解液に浸漬される時間が
長いため、試験板に顕著な着色が認められ、従来技術の
問題点の再現が確認された。
【0032】また、微弱陰極電解処理を行うことなく長
時間電解液中に無通電のまま浸漬した比較例1および
2、および微弱陰極電解処理時の電流密度が低すぎる比
較例3の場合には、試験板に着色が認められると共に、
微弱陰極電解処理時の電流密度が高すぎる比較例4の場
合には、着色はさほど顕著ではないものの、微弱陰極電
解処理によってもクロメート皮膜形成されることによ
り、クロム付着量のばらつきが大きくなることが判明し
た。
【0033】これに対し、陰極電解処理の前後において
電解液中に長時間浸漬されているときに、試験板に0.
01〜0.3A/dm2 の低電流密度の電流を流し、微
弱陰極電解処理を施すようにした本発明例1ないし9の
場合には、塗装後の耐食性にも問題がなく、クロム付着
量のばらつきや試験板の着色についてもほとんど認めら
れないことが確認された。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
に係わるアルミニウムあるいはアルミニウム合金製部材
の無色クロメート皮膜形成方法においては、陰極電解処
理の前後、あるいは前後のいずれかにおいて、陰極電解
処理時の電流密度に比べて低電流密度による微弱陰極電
解処理を施すようにしていることから、当該部材が電解
液中に長時間浸漬されていたとしても、この間の部材と
電解液との反応を抑えることができ、もって部材表面の
着色を有効に防止して商品価値を高めることができると
いう極めて優れた効果がもたらされる。
【0035】また、本発明に係わるアルミニウムあるい
はアルミニウム合金製部材の無色クロメート皮膜形成方
法の実施態様として請求項2に係わる皮膜形成方法にお
いては、陰極電解処理時の電流密度を0.5〜15A/
dm2 、微弱陰極電解処理時の電流密度を0.01〜
0.3A/dm2 としているので、微弱陰極電解処理に
おいては電解処理皮膜をほとんど形成させることなく、
電解液による酸化反応を有効に抑えることができ、陰極
電解処理においては安定した無色クロメート皮膜を得る
ことができ、同じく実施態様として請求項3に係わる皮
膜形成方法においては、電解液として、6価クロムイオ
ン2g/L以上、硫酸イオン20〜2000ppm、ふ
っ素あるいは錯ふっ化物5〜400ppmを含有するp
H0.6〜1.7の酸性水溶液が用いられるので、所期
の耐食性を備えた無色クロメート皮膜を安定に形成させ
ることができる。 さらに請求項4に係わる皮膜形成方
法においては、微弱陰極電解処理に際して、アルミニウ
ムまたはアルミニウム合金製部材が電解液中に全没した
ときに所定の低電流密度となる電圧にて定電圧電解する
ようにしているので、微弱陰極電解処理における電流密
度の制御を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミホイールに無色クロメート皮膜を形成さ
せるための連続陰極電解処理ラインを示す概略図であ
る。
【符号の説明】
3 ワーク(アルミホイール素材) 5 電解液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川 口 純 東京都中央区日本橋1丁目15番1号 日 本パーカライジング株式会社 内 (56)参考文献 特開 平7−18492(JP,A) 特開 平5−179486(JP,A) 特開 平6−346289(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 11/38

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解液中にてアルミニウムまたはアルミ
    ニウム合金製部材に陰極電解処理を施し、当該部材表面
    に無色クロメート皮膜を形成させるに際し、前記陰極電
    解処理の少なくとも前後いずれかにおいて、陰極電解処
    理時の電流密度に比べて低電流密度による微弱陰極電解
    処理を施すことを特徴とするアルミニウムまたはアルミ
    ニウム合金製部材の無色クロメート皮膜形成方法。
  2. 【請求項2】 陰極電解処理時の電流密度が0.5〜1
    5A/dm2 、微弱陰極電解処理時の電流密度が0.0
    1〜0.3A/dm2 であることを特徴とする請求項1
    記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金製部材の無
    色クロメート皮膜形成方法。
  3. 【請求項3】 電解液は、6価クロムイオン2g/L以
    上、硫酸イオン20〜2000ppm、ふっ素あるいは
    錯ふっ化物5〜400ppmを含有するpH0.6〜
    1.7の酸性水溶液であることを特徴とする請求項1ま
    たは請求項2記載のアルミニウムまたはアルミニウム合
    金製部材の無色クロメート皮膜形成方法。
  4. 【請求項4】 微弱陰極電解処理に際して、アルミニウ
    ムまたはアルミニウム合金製部材が電解液中に全没した
    ときに所定の低電流密度となる電圧にて定電圧電解する
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに
    記載のアルミニウムまたはアルミニウム合金製部材の無
    色クロメート皮膜形成方法。
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