JP2005126769A - 黒色皮膜および黒色皮膜の形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 六価クロムを使用しないで金属等の被処理部材の表面に、均一かつ緻密で防錆効果を有する無光沢の優れた外観の黒色皮膜を得られるとともに、人体や環境へ悪影響を及ぼさず、これを安全かつ安価に形成し得るようにした、黒色皮膜および黒色皮膜の形成方法を提供すること。
【解決手段】 被処理部材の表面を被覆する黒色皮膜であること。
前記黒色皮膜が酸化物を含む酸化皮膜であること。
このようにすることで、六価クロムを使用しないで、金属性クロム皮膜に比べて柔らかで、均一かつ緻密で防錆効果を有する無光沢の優れた外観の黒色皮膜を安全かつ安価に得られる。
【選択図】図3
Description
このうち、リン酸皮膜処理法は、皮膜緻密剤として使用するフッ素イオソまたは錯フッ化物イオンが排出規制物質であるため、その処理設備を要するうえに、加温や水洗いおよび乾燥処理とそれらの設備を要して、生産コストや設備費が嵩む、という問題がある。
更に、亜鉛や亜鉛合金めっき上に使用される黒色クロメ−ト皮膜処理法は、その処理過程で有害な六価クロムを使用するため、処理液が有害であるばかりでなく、処理品から溶出する六価クロムが人体や環境へ悪影響を及ぼす、という問題がある。
同様に工業用クロムめっきの内に黒色クロムめっき浴法が知られているが、めっき浴に六価クロムを使用するため、前述と同様な問題がある。
このような要請に応ずるものとして、公害防止や電流効率の点から三価クロムの使用が注目され、この三価クロムを用いた種々の製法が提案されている。
しかし、前記従来の方法は、複数の電解槽と煩雑な処理作業を要するうえに、クロムめっき槽に三酸化クロム、つまり六価クロムを使用し、また第2の電解槽ではクロム酸、つまり六価クロムに、少量の三価クロムを含ませためっき浴を使用するため、六価クロムによる前記不安を払拭できなかった。
しかし、前記組成のめっき浴によるめっきは、金属光沢の金属クロムめっきであって所望の黒色皮膜を得られず、またその外観も光沢があって重厚さに欠け、しかもめっき処理時にめっきの色調が徐々に暗くなり、まためっき速度や被覆力が低下して、短時間のうちにめっきが付かなくなり、長期的な使用が不可能になる、という問題があった。
しかし、前記処理法は電流密度が高い場合に、高電流密度部分にヤケやコゲの外観不良が発生し、また処理時間が短いと皮膜が生成されず、長い場合は外観不良が発生し、均一な品質を得ることが難しかった。
請求項2の発明は、前記黒色皮膜が無光沢であり、従来の金属光沢状の黒色皮膜に比べて重厚な外観を呈し、品質ないし質感の向上を図れるとともに、反射を嫌う光学機器等への利用に供し得るようにしている。
請求項4の発明は、前記黒色皮膜に多数のポアまたはクラックを形成し、当該部における腐食電流を分散し、その電流密度を小さくして、優れた防錆効果を発揮するとともに、黒色皮膜上に形成する二次皮膜の密着性を向上するようにしている。
請求項6の発明は、前記錯化剤が、ギ酸アンモニウム、ギ酸カリウム、グリシン、乳酸、カルボン酸塩、ダルタシン酸の何れかを含み、確実に黒色皮膜を得られるようにしている。
請求項8の発明は、前記触媒が、炭酸バリウムまたは酢酸バリウム、フッ化バリウムまたはケイフッ酸の何れかを含み、特に炭酸バリウムによって安価で高品質の電解液を形成でき、生産性の向上を図れるようにしている。
請求項10の発明は、前記電解液がpH3以下で、三価クロムイオンの析出を旺盛にし、均一かつ緻密な黒色皮膜を得られようにしている。
請求項2の発明は、前記黒色皮膜が無光沢であるから、従来の金属光沢状の黒色皮膜に比べて重厚な外観を呈し、品質ないし質感の向上を図れるとともに、反射を嫌う光学機器等への利用に供し得る効果がある。
請求項4の発明は、前記黒色皮膜に多数のポアまたはクラックを形成したから、当該部における腐食電流を分散し、その電流密度を小さくして、優れた防錆効果を得られるとともに、黒色皮膜上に形成する二次皮膜の密着性を向上することができる。
請求項6の発明は、前記錯化剤が、ギ酸アンモニウム、ギ酸カリウム、グリシン、乳酸、カルボン酸塩、ダルタシン酸の何れかを含むから、確実に黒色皮膜を得ることができる
請求項8の発明は、前記触媒が炭酸バリウムまたは酢酸バリウム、フッ化バリウムまたはケイフッ酸であるから、特に炭酸バリウムによって安価で高品質の電解液を形成でき、生産性の向上を図ることができる。
請求項10の発明は、前記電解液がpH3以下であるから、三価クロムイオンの析出を旺盛にし、三価クロムによる均一かつ緻密な黒色皮膜を得られる効果がある。
前記電解液は、三価クロムイオンの供給源である三価クロム塩、実施形態では塩化クロムCrCL3、つまり三価クロムと、該金属の析出を助ける錯化剤と、電解作用を促進する触媒と、これに適当な導電塩や添加剤を含ませている。
この場合、六価クロムを含む電解液によって金属性クロム皮膜を形成する従来の方法に比べて、前記塩化クロムと錯化剤とを略2〜3倍程度増量し、それらを高濃度に調製した なお、浴温を前述のように維持するため、適当な冷凍機を使用した。
この黒色皮膜は、図1乃至図4のように被処理部材の素地が全く見えない程の完全な黒色で光沢がなく、その硬度は従来の金属クロムのような硬度はなく、その表面に図5のように多数のポアないしクラックが形成された。
すなわち、電解液に含ませた錯化剤によって、金属クロムの析出が促され、析出した金属クロムが不動態膜を形成する、と考えられる。
それゆえ、前記黒色皮膜は優れた防錆効果を奏するとともに、マット状を呈して光沢がなく、従来のクロム皮膜に比べて重厚で優れた外観を呈し、品質ないし質感の向上を図れ、反射を嫌う光学機器等への利用に好適なものとなる。
次に、その具体的な実施例を示す。
裏面はクロムイオンの供給が表面に比べて僅少なため、図2のように黒色皮膜が形成されなかった。
この実施例では処理時間が1.5分と短いため、黒色皮膜があまり厚く成長することはなかったが、剥落することはなく、所定の密着性を得られた。
この実施例では、塩化クロムとギ酸アンモニウムの添加量を実施例1よりも3倍に増量し、処理時間を実施例1よりも3倍強に長くしため、略目的の皮膜を得られた。
前記黒色皮膜は、完全な黒色で光沢がなく重厚な外観を呈するから、品質ないし質感の向上と外観の向上を図れ、装飾効果を奏する。
しかも、前記黒色皮膜は酸化皮膜で、従来の金属クロムメッキに比べて柔らかで、異質の質感を得られ、新たな使用を図れる。
その際、黒色皮膜表面に多数のポアないしクラックが形成されているから、前記二次皮膜の密着性が向上し、優れた二次皮膜を得られる。
Claims (10)
- 被処理部材の表面を被覆する黒色皮膜において、前記黒色皮膜が酸化物を含む酸化皮膜であることを特徴とする黒色皮膜。
- 前記黒色皮膜が無光沢である請求項1記載の黒色皮膜。
- 前記黒色皮膜の硬度が、金属性クロム皮膜の硬度よりも低い請求項1記載の黒色皮膜。
- 前記黒色皮膜に多数のポアまたはクラックが形成された請求項1記載の黒色皮膜。
- 三価クロムを含む電解液によって、被処理部材の表面に黒色皮膜を析出する黒色皮膜の形成方法において、前記電解液に高濃度の錯化剤と三価クロム塩とを含ませることを特徴とする黒色皮膜の形成方法。
- 前記錯化剤が、ギ酸アンモニウム、ギ酸カリウム、グリシン、乳酸、カルボン酸塩、ダルタシン酸の何れかを含む請求項5記載の黒色皮膜の形成方法。
- 前記電解液に触媒を含ませる請求項5記載の黒色皮膜の形成方法。
- 前記触媒が、炭酸バリウムまたは酢酸バリウム、フッ化バリウムまたはケイフッ酸の何れかを含む請求項7記載の黒色皮膜の形成方法。
- 前記三価クロムを含む電解液のボ−メ度が約10度以上である請求項5記載の黒色皮膜の形成方法。
- 前記電解液が、pH3以下である請求項5記載の黒色皮膜の形成方法。
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