JP2017014606A - クロムメッキ方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な方法で長期間にわたって高い耐食性と優れた光沢と色彩を示す有彩色のクロムメッキ膜を生成する。【解決手段】クロムイオンを含有するメッキ浴に炭酸バリウムを添加して溶解させると共に、メッキ浴に添加する炭酸バリウム量を、金属表面に生成されるクロムメッキ膜が色相をもつ有彩色とする量として電気メッキする。【効果】クロムメッキ方法は、極めて簡単な方法にもかかわらず、長期間にわたって高い耐食性と優れた光沢と色彩を示す有彩色のクロムメッキ膜を生成して、装飾用などを含む種々の用途に有効に利用できる特徴がある。【選択図】図2
Description
本発明は、電気メッキして金属の表面にクロムメッキ膜を設けるクロムメッキ方法に関し、とくに、クロムメッキ膜を独特の色相とするクロムメッキ方法に関する。
電気メッキによって金属の表面に設けられるクロムメッキ膜は、通常はシルバークロムメッキであるが、独特のメッキとして黒色クロムメッキも開発されている。黒色クロムメッキは、主な薬品である無水クロム酸を酸化反応させて黒色にするメッキ方法である。黒色クロムメッキは、通常のシルバークロムメッキと同様に、耐食性、耐摩耗性、耐熱性、外観に優れているが、ムラや傷が目立ちやすく、電気メッキの工程において高度な技術が必要とされる。
黒色クロムメッキは、六価クロムを含有しているが、メッキ後に三価クロムに変換する洗浄方法が主流となっており、安全性、及びRoSH指令には殆ど影響がない。また、低温にて処理を行なうことにより、より濃黒色に、より薄く、より安全性が増すことになる。 近年、三価黒色クロムメッキも出始めているが、銀色と黒色の中間色で、濃黒色にならないことから苦情やトラブルが多い。
黒色クロムメッキは、濃黒色の低温黒色クロムメッキや硬質黒色クロムメッキ、黒色と灰色の中間色の常温黒色クロムメッキ、黒色と銀色の中間色の三価黒色クロムメッキ等が開発されているが、クロムメッキは銀色、黒、灰色、あるいはこれ等の中間色であって、色相を持たない無彩色であって、用途が制約される欠点がある。
黒色クロムメッキ方法において、メッキ浴中に硫酸イオンが存在すると、濃黒色のメッキ膜が得られにくく、微量の硫酸イオンもメッキ膜の色に大きな影響を与える。このため、硫酸イオンをメッキ浴中から除去するために、メッキ浴にバリウムイオンを添加して、硫酸イオンをバリウムと反応させて、硫酸バリウムとして沈殿させて濾過して除去する方法が開発されている。このクロムメッキ方法において、添加される炭酸バリウムは、硫酸イオンを除去して、メッキ膜を濃黒色とする量にコントロールされる。炭酸バリウムは、メッキ浴から硫酸イオンを除去するために添加されるので、メッキ浴に添加される炭酸バリウムの量は、たとえば5g/dm3とされる。(特許文献1参照)
メッキ浴に炭酸バリウムを添加して、硫酸イオンを除去して濃黒色のクロムメッキが得られる。しかしながら、この公報にも記載されるように、クロムメッキは、色相を持たない無彩色であって用途が制約される欠点を解消できない。このため、クロムメッキの表面は、色の明度と色相を示すLAB色度図においてAとBとが0となる。LAB色度図はAが赤色と緑色の度合いを示し、プラスが赤みを、マイナスが緑を示す。また、Bは黄色と青色の度合いを示し、プラスが黄色をマイナスが青の度合いを示す。クロムメッキの表面は、AとBとが0となって色相を持たない無彩色カラ−となる。このため、AとBを0としない色相をもつ有彩色の綺麗な色には着色できない。このことから、クロムメッキでは、装飾用に表面処理された色相をもつ綺麗なメッキ膜を生成できない欠点があった。
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、極めて簡単な方法にもかかわらず、長期間にわたって高い耐食性と優れた光沢と色彩を示す有彩色のクロムメッキ膜を生成し、装飾用などを含む種々の用途に有効に利用できるクロムメッキ方法を提供することにある。
本発明のクロムメッキ方法は、クロムイオンを含有するメッキ浴に炭酸バリウムを添加して溶解させると共に、メッキ浴に添加する炭酸バリウム量を、金属表面に生成されるクロムメッキ膜が色相をもつ有彩色とする量として電気メッキする。
以上のクロムメッキ方法は、極めて簡単な方法にもかかわらず、長期間にわたって高い耐食性と優れた光沢と色彩を示す有彩色のクロムメッキ膜を生成して、装飾用などを含む種々の用途に有効に利用できる特徴がある。それは、以上のクロムメッキ方法が、メッキ浴に炭酸バリウムを添加するという極めて簡単な方法で、色相のない無彩色のメッキ膜を、図2に示すように、綺麗な有彩色の色相に着色できるからである。また、以上のクロムメッキ方法で得られるクロムメッキ膜は、黒色クロムメッキに勝る耐食性も実現するので、装飾用のみならず耐腐食性をも要求される種々の用途に有効に利用して長期間にわたって美しいメッキ膜を保持できる特徴がある。
本発明のクロムメッキ方法は、炭酸バリウムの添加量を10g/リットル以上とすることができる。
本発明のクロムメッキ方法は、メッキされる金属表面の電流密度を、10〜80A/dm2として電気メッキすることができる。
本発明のクロムメッキ方法は、クロムメッキ膜の厚さを、1μm以上であって10μm以下とすることができる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのクロムメッキ方法を例示するものであって、本発明はクロムメッキ方法を以下の方法に特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
本発明のクロムメッキ方法は、電気メッキによって、導電性プレートの表面にクロムメッキ膜を生成する。導電性プレートは、鉄、亜鉛、銅、アルミニウム、ステンレス等、金属やこれ等の金属合金からなる金属板、無電解メッキにより導電化処理された各種のセラミックスやプラスチックス等が使用できる。
クロムメッキされる導電性プレートは、表面に付着する油成分を脱脂液に浸漬して除去した後、水洗して脱脂液を除去し、その後、さらに水洗した後、一般的な活性化処理、水洗した後、電気メッキして表面にクロムメッキ膜を成形する。
さらに、導電性プレートは、メッキ膜の下地層を設けて、下地層の上にクロムメッキ膜を設けることもできる。下地層にはニッケルメッキ層等が使用できる。
導電性プレートを電気メッキするクロムメッキ方法は、クロムイオンを含有するメッキ浴に炭酸バリウムを添加して溶解させると共に、メッキ浴に添加する炭酸バリウム量を、金属表面に生成されるクロムメッキ膜が色相をもつ有彩色となる量とする。
クロムイオンを含有させるために、メッキ浴にはクロム酸を添加する。クロム酸の添加量は、たとえば、300g/dm3 〜400g/dm3とする。炭酸バリウムの添加量は、10g/リットル以上として、メッキ浴中に存在する硫酸イオンと反応して失われない量とする。炭酸バリウムの添加量が少なすぎると、綺麗な有彩色のメッキ膜を生成できず、反対に多すぎるとメッキ膜の安定性が低下する。したがって、炭酸バリウムの添加量は、たとえば20g/リットル以下、好ましくは15g/リットル以下とする。
炭酸バリウムを添加するメッキ浴を使用し、電流密度を10〜80A/dm2として電気メッキする。好ましくは10〜60A/dm2、特に好ましくは15〜60A/dm2とする。電流密度が10A/dm2未満では、有彩色のメッキ膜を安定してできない。反対に、80A/dm2を超えると、均一に安定して密着性にすぐれたメッキ膜を生成できなくなる。また、メッキ浴の温度は、17〜23℃とすることができる。
メッキ膜の膜厚は用途に最適な厚さに設定されるが、好ましくは1μm以上であって10μm以下とすることができる。
[実施例1]
導電性プレートとして、表面を梨地状とする鉄板を使用する。導電性プレート1には、図1に示すように、縦×横を10cm×5cmとする鉄板で、リード線2を接続して表面に膜厚を約3μmとするクロムメッキ膜を生成する。以上の導電性プレートは、クロム酸を350g/dm3、炭酸バリウムを10g/dm3を含有するメッキ浴を使用し、温度を20℃、電流密度を35A/dm2とし、陽極としてグラファイト電極を用いて、表面に電気メッキにより膜厚を5μmとするクロムメッキ膜を生成する。以上の方法で導電性プレートに生成されるクロムメッキ膜は、綺麗な有彩色で、均一性、密着力も良好で、優れた耐腐食性も実現した。
導電性プレートとして、表面を梨地状とする鉄板を使用する。導電性プレート1には、図1に示すように、縦×横を10cm×5cmとする鉄板で、リード線2を接続して表面に膜厚を約3μmとするクロムメッキ膜を生成する。以上の導電性プレートは、クロム酸を350g/dm3、炭酸バリウムを10g/dm3を含有するメッキ浴を使用し、温度を20℃、電流密度を35A/dm2とし、陽極としてグラファイト電極を用いて、表面に電気メッキにより膜厚を5μmとするクロムメッキ膜を生成する。以上の方法で導電性プレートに生成されるクロムメッキ膜は、綺麗な有彩色で、均一性、密着力も良好で、優れた耐腐食性も実現した。
以上の方法でクロムメッキされた導電性プレート表面のメッキ膜の局部的な反射率を、図2の曲線A、B、Cで示す。ただし、曲線Aは、図1のA点の波長に対する反射率を、曲線Bは、図1のB点の波長に対する反射率を、曲線Cは、図1のC点の波長に対する反射率を示している。
以上の方法で生成されたクロムメッキ膜が、従来の方法でメッキされたクロムメッキ膜と色相が異なることを示すために、従来のクロムメッキ膜の反射率を図2の曲線Dで示している。ただ、従来の方法で生成されたクロムメッキ膜は、メッキ浴に炭酸バリウムを添加しない以外、実施例1と同様にしてメッキしてクロムメッキ膜を生成した。
実施例1の方法で導電性プレートの表面にメッキされたクロムメッキ膜は、図2の曲線A、B、Cに示すように、波長によって反射率が異なり、色相をもつ有彩色となることが明らかである。ちなみに、従来のクロムメッキ方法で得られるメッキ膜は、曲線Dで示すように、波長に対する反射率がほぼ一定となり色相を持たない無彩色となることが明らかである。
マンセル表色系で色相はクロマといわれ、彩度0の無彩色からどれだけ離れるかによって、彩度が1、2、3と高くなるが、実施例1で得られたメッキ膜の各点のクロマをミノルタCM−3700dで測定すると以下の測定値となり、有彩色であることが確認された。比較のために、従来のクロムメッキ方法で得られるメッキ膜のクロマを測定すると、ほぼ0となり無彩色となった。
A点…2.2
B点…2.0
C点…4.0
A点…2.2
B点…2.0
C点…4.0
さらに、以上の測定でマンセルの色相を測定すると、A点の色相は紫、B点の色相は青緑、C点の色相は黄緑となった。
実施例1で得られるクロムメッキ膜は、部位によって波長に対する反射率が変化して色相も変化する。とくに、図2に示すように、導電性プレートの外周部に向かって、反射率のピーク波長が長波長に変位する。図1に示すように、導電性プレート1の上端中心部にリード線2を接続して、メッキ浴に浸漬すると、導電性プレート1の電流密度は、外周部に向かって高くなるので、メッキ膜は、電流密度が高くなるに従って、反射率のピーク波長が長波長に変化することが明らかとなる。このことから、本発明のクロムメッキ方法は、導電性プレートの電流密度をコントロールして、クロムメッキ膜の色相を大幅に変化できる。
本発明は、導電性プレートの表面に有彩色で綺麗な色のメッキ膜を設けて、装飾用など種々の用途に有効に利用できる。
1…導電性プレート
2…リード線
2…リード線
Claims (4)
- クロムイオンを含有するメッキ浴に炭酸バリウムを添加して溶解させると共に、メッキ浴に添加する炭酸バリウム量を、金属表面に生成されるクロムメッキ膜が色相をもつ有彩色とする量として電気メッキすることを特徴とするクロムメッキ方法。
- 請求項1に記載されるクロムメッキ方法であって、
前記炭酸バリウムの添加量を10g/リットル以上とすることを特徴とするクロムメッキ方法。 - 請求項1又は2に記載されるクロムメッキ方法であって、
メッキされる金属表面の電流密度を10〜80A/dm2として電気メッキすることを特徴とするクロムメッキ方法。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載されるクロムメッキ方法であって、
前記クロムメッキ膜の厚さを、1μm以上であって10μm以下とするクロムメッキ方法。
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JP2015135624A JP2017014606A (ja) | 2015-07-06 | 2015-07-06 | クロムメッキ方法 |
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Citations (2)
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JPS4832892B1 (ja) * | 1969-02-07 | 1973-10-09 | ||
JP2005126769A (ja) * | 2003-10-24 | 2005-05-19 | Yoichi Yamagishi | 黒色皮膜および黒色皮膜の形成方法 |
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