JPS5948960B2 - アルミニウムまたはアルミニウム合金の原色系の着色方法 - Google Patents

アルミニウムまたはアルミニウム合金の原色系の着色方法

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JPS5948960B2
JPS5948960B2 JP4253077A JP4253077A JPS5948960B2 JP S5948960 B2 JPS5948960 B2 JP S5948960B2 JP 4253077 A JP4253077 A JP 4253077A JP 4253077 A JP4253077 A JP 4253077A JP S5948960 B2 JPS5948960 B2 JP S5948960B2
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【発明の詳細な説明】 本発明はアルミニウムまたはアルミニウム合金(以下「
アルミニウム」という。
)の原色系の着色方法に関し、詳しくはアルミニウムの
陽極酸化皮膜を電解着色するにあたつて、その前処理と
して陽極酸化皮膜の微細孔の一部乃至大部分を拡大する
工程ならびにバリヤー型酸化皮膜を形成する工程を設け
ることによつて、アルミニウム表面に耐候性、耐摩耗性
等にすぐれ、しかも均一かつ鮮やかな原色を示す着色を
行なう方法に関する。従来からアルミニウムの陽極酸化
皮膜に原色系の鮮明な色調を施す方法として例えば特開
昭50一47831号公報、特開昭51−1337号公
報あるいは特開昭51−13854号公報などい<つか
の技術が開発されている。しかし、これらの方法では原
色系の電解着色工程においてその着色速度が余りにも速
すぎるため゜に着色時間が短<、様々な形状のアルミニ
ウム材を特定の色調に仕上げる色合わせ作業が非常に困
難であつた。
また、陽極酸化皮膜の性状のわずかな差異あるいは処理
物の形状、位置と関連して処理物表面での電位分布の不
均一性などが敏感に着・色仕上り面に影響して色むらが
発生したりスローイング(付廻り性)が不充分であるな
どの欠点があつた。しかも、得られる着色皮膜は通常の
陽極酸化皮膜に比べて耐候性、耐摩耗性等の物性が低下
するという欠点があつた。本発明者らは、上記従来技術
の欠点を克服して、各種物性にすぐれしかも均一かつ鮮
やかな原色系の皮膜を所望の色調にてアルミニウム表面
に形成する方法を開発すべく鋭意研究を重ねた。
その結果、電解着色処理に際し、予め陽極酸化皮膜の一
部乃至大部分を溶解せしめるとともに、引き続いてバリ
ヤー型酸化皮膜を形成しておくことにより目的とするす
ぐれた原色系の着色皮膜が得られることを見出し、本発
明を完成するに至つた。すなわち本発明は、陽極酸化処
理を施したアルミニウムを金属塩溶液中で電解着色する
方法において、アルミニウムの陽極酸化皮膜の微細孔を
拡大せしめ、次いでバリヤー型酸化皮膜形成処理を行な
い、しかる後に金属塩溶液中で電解着色することを特徴
とするアルミニウムの原色系の着色方法を提供するもの
である。本発明の方法は上述の如くアルミニウムの陽極
酸化皮膜の微細孔の一部乃至大部分を拡大せしめる第一
工程、バリヤー型酸化皮膜形成処理を行なう第二工程お
よび金属塩溶液中で電解着色を行なう第三工程よりなる
本発明の方法の第一工程は、陽極酸化皮膜に存在する微
細孔の構造を変化させるために行なうものである。
この微細孔の構造変化は具体的には、孔径拡大、孔壁お
よび孔底の一部溶解、さらには孔内清浄化などの現象が
伴つて進行する。その結果、後の電解着色処理によつて
沈積する金属(または金属化合物)粒子が陽極酸化皮膜
の微細孔内においてほぱ一定の大きさにそろつた棒状あ
るいは塊状の姿で規則的に配列するようになり、鮮やか
な原色を呈するに至る。この第一工程は種々の方法によ
り行なうことができる。
たとえば陽極酸化処理を施したアルミニウムをリン酸水
溶液を電解浴として電解処理を行なつたり、あるいは酸
、アルカリ等の水溶液に陽極酸化処理を施したアルミニ
ウムを常温ないし加温下で浸漬することによつて行なう
などの代表的な方法がある。上記の第一工程終了後、直
ちに金属塩溶液中で電解着色すると、得られる着色皮膜
の均一性、スローイングおよび物性等が充分でなく所期
の目的を達成できない。
そこで、本発明の方法においては第一工程終了後、電解
着色工程の前にバリヤー型酸化皮膜形成工程である第二
工程を行なうことが必要である。さらに、この第二工程
の導入により、第一工程の処理で微細孔内に残存して第
三工程(電解着色工程)に対して有害となるイオン、た
とえばリン酸イオンなどの除去が行なわれ、第三工程の
金属析出を安定な形で行なうことが可能となる。このよ
うに第二工程を行なうことによりアルミニウム表面に厚
いバリヤー層が形成されるとともに、陽極酸化皮膜の微
細孔内が清浄化され、その結果従来法では得られない極
めて安定で堅牢かつ色抜けのない着色皮膜が得られる。
ところで、アルミニウムの陽極酸化皮膜には、多孔質成
長型の酸化皮膜と、非成長型の薄い酸化皮膜とがある。
硫酸浴、リン酸浴、クロム酸浴中での電解により形成さ
れる皮膜は多孔質成長型酸化皮膜に属し、一方ホウ酸浴
、酒石酸浴、グルコン酸浴などで代表される浴中で電解
により形成される酸化皮膜は非常に薄く、いわゆる14
人/1V則に従つて膜厚が律せられるバリヤー型酸化皮
膜と称せられている。また、希薄硫酸浴、希薄リン酸浴
あるいはスルホサリチル酸浴中で適当な条件にて電解す
ると、電努時に微少量の電解電流が流.れ非常にわずか
ながら皮膜の膜厚が成長する型の前記両型の中間に属す
る半バリヤーとも称すべき酸化皮膜が形成される。本明
細書においてバリヤー型酸化皮膜とは上記のバリヤー型
酸化皮膜および半バリヤー型酸化皮膜の両者を合わせた
ものである。第二工程において用いる電解浴は、上述し
たバリヤー型酸化皮膜を形成しうるものであればよく、
特に制限はない。
しかし、電解浴中にCl−、Br−、I−およびNO−
←3を含むとこれらの陰イオンは電解の際にピツト発生
の原因となるのでその混入を避けるように注意すること
が好ましい。これらバリヤー型酸化皮膜形成に有害な陰
イオン以外の酸アニオンまたは水酸イオンと陽イオンか
らなる水溶液のほとんどは第二工程の電解浴として利用
できる。この電解浴の成分としては、有機酸、無機酸、
有機アルカリ、無機アルカリおよびこれらの塩類などを
あげることができる。ここで有機酸の例としては、酒石
酸、クエン酸、マロン酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸
、シュウ酸、スルホサリチル酸、スルフアミン酸、コハ
ク酸、フタル酸、グルコン酸、イタコン酸などがあるが
、特に酒石酸、クエン酸、グルコン酸等が好ましい。
これらの有機酸の電解浴中における濃度は10gハ〜1
50gハとすることが好ましい。前記濃度範囲以外でも
ある程度の効果は認められるが、経済性あるいは電解浴
の安定性などの面からはあまり好ましくない。また、上
記無機酸の具体例としては、ホウ酸、モリブデン酸、ク
ロム酸、ピロリン酸、リン酸、硫酸などがあるが、特に
ホウ酸が好適に用いられる。
これら無機酸の電解浴中における濃度は特に限定はない
が、例えば硫酸については1g/1〜20g/11リン
酸については1g/1〜50g/1.他の無機酸につい
ては5g/l〜100gハの範囲が好適である。これら
の濃度範囲未満の場合には、ある程度の効果は認められ
るものの電解浴の安定性に難点がある。一方、前記濃度
範囲を超えると経済的に不利なものとなるのみならず、
無機酸の種類によつてはバリヤー型の酸化皮膜を形成せ
ず、成長型の皮膜を形成するようになり、本発明の所期
の効果をあげることができない。無機および有機アルカ
リとしては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸
化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物あるいは水酸
化アンモニウムおよびモノエタノールアミン、ジエタノ
ールアミン、トリエタノールアミンなどで代表されるア
ミン類などをあげることができる。
これらのアルカリ電解浴中における濃度としては、アル
カリ金属の水酸化物の場合は1g/1〜10g/1.他
のアルカリでは1g/l〜50gハの範囲が好適である
。これらの範囲未満の濃度では、電解浴の安定性に難点
があり、一方これらの濃度範囲を超えるとアルカリ性の
作用が強過ぎてアルミ−ニウム表面の溶解が激しくなり
好ましくない。なお、アンモニアや有機アミン類の場合
、上記濃度以上とすることも可能であるが経済的でない
。さらに、第二工程の電解浴成分として利用できる塩類
の具体例としては、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム
、酒石酸アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、シュウ酸ナ
トリウム、リン酸ナトリウム、モリブデン酸アンモニウ
ム、乳酸ナトリウム、ピロリン酸カリウムを始め上述し
た有機酸または無機酸と有機アルカリまたは無機アルカ
リとの中和反応によつて形成される塩類、さらには硫酸
ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸第1ナトリウム
、リン酸第2カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸リチ
ウム、硫酸ニツケル、硫酸コバルト、リン酸ニツケル、
リン酸銅、硫酸銅などをあげることができる。
これらの塩類の電解浴中における濃度は極めて低濃度か
ら飽和濃度まで効果をあげることができるが、処理の安
定性、経済性などの点から実用上10g/l〜100g
/lの範囲が好ましい。上述の如く、金属塩を主成分と
する浴が、第二工程の電解浴すなわちバリヤー型酸化皮
膜形成の電解浴として使用できることから、後述する第
三工程の金属塩電解着色浴をそのまま第二工程の電解浴
として用いることができる。
金属塩電解着色液をバリヤー型酸化皮膜形成の電解浴と
して用いる場合、その電解浴組成として、ホウ酸、酒石
酸、タエン酸、グルコン酸などを含ませることが有効で
ある。なお、これらの成分が電解着色液中に既に存在し
ている場合は、さらに添加する必要はない。一方、第二
工程における電解処理に用いられる電流波形としては、
交流波形、直流波形またはこれらと同効の作用を有する
波形を用いることができる。
さらに具体的には、直流波形として三相全波整流波形、
三相半波整流彼形、単相全波整流波形、単相半波整流波
形あるいは不完全整流波形などがある。交流波形におい
てはその周波数に対し特別な制限はないが、通常は50
比あるいは60圧などである。しかし、交流波形を用い
る場合、電解ノ浴組成として水素イオン以外の陽イオン
を含む場合は、負成分の強い電流波形のものをバリヤー
型酸化皮膜を形成する第二工程の電解に用いることは好
ましくない。これは長時間の電解あるいは高電圧の電解
を行なつた場合に、アルカリ金属イオ・ンによる食刻あ
るいはその他の軽金属イオンの析出の作用により、均質
なバリヤー型酸化皮膜が得られないからである。負成分
を含む波形を用いた場合、電解浴の種類が例えばケイ酸
ナトリウム、酒石酸ナトリウムの場合には、電圧を低め
(25ボノルト以下)として処理時間を短くすれば(5
分以内)均質なバリヤー型酸化皮膜を得ることができる
。また、電圧または電流の負の成分を正の成分に対し低
くする波形変換装置を用いることはこの場合有効である
が、最も経済的で均質なバリヤー型酸化皮膜を安定して
得るためには、正成分のみの直流波形を用いるのが最も
妥当である。また、単相半波整流波形の利用は、その電
源供給において直流半波整流波形の場合よりも有利であ
る。これは単相半波整流波形の電源として、既存の交流
電源に、単相半波の整流回路が、全波整流の場合よりも
はるかに安価な形で供給できるからである。上述の如く
、浴組成と電流波形の相関性さえ考慮すれば、広範囲に
わたる浴組成と電解電流波形の選択が可能である。
本発明の方法においては、上記第二工程によつてバリヤ
ー型酸化皮膜を形成したアルミニウムを第三工程の電解
着色工程にて着色処理する。
本発明の第三工程は、種々の金属塩溶液中で各種方法に
より行なうことができ、従来から広く用いられている電
解着色法を適用することができる。たとえば特公昭38
−1715号公報に記載する方法、すなわち前記第二工
程で処理したアルミニウムを一方の電極とし鉱酸、有機
酸またはそれらのアンモニウム、アミ人イミノ等の塩の
溶液に金属塩(たとえばニツケル、コバルト、クロム、
銅、カドミウム、チタン、マンガン、モリブデン、カノ
レシウム、マグネシウム、バナジウム、金、銀、鉛およ
び亜鉛の硝酸、硫酸、塩酸、シユウ酸、酢酸、酒石酸、
クロム酸、リン酸等の塩)の少量を添加して電解浴とし
、炭素、スズ、鉛、鉄またはアルミニウムを他方の電極
として交流通電する方法などによつて行なう。本発明の
方法においては、第二工程で形成されたバリヤー型酸化
皮膜の状態によつて、第三工程の電解着色処理による着
色皮膜の状態が変化する。
従つて、第二工程のバリヤー型酸化皮膜形成処理条件(
以下J1という。)と第三工程の電解着色処理条件(以
下J2という。)は相互関連性を考慮して決定管理され
るべきである。これらの処理条件を詳細に検討すれば次
のごとくである。J1は主として電解電圧(1)、電解
時間(t1)、電解浴組成(n1)、濃度(c1)、浴
温(T1)、極間距離(d1)、極比(r1)などから
構成されている。また、J2についても主として電解電
圧(V2)、電解時間(T2)、電解浴組成(N2)、
濃度(C2)、浴温(T2)、極間距離(D2)、極比
(R2)などから構成されている。本発明の処理条件決
定管理にあたつては上記J1とJ2の個々の処理条件が
他の処理条件に及ぼす効果を知ることが望ましい。
しかし、実用的見地に立てばV1、t1、V2、T2以
外の処理条件は実際の製造工程において容易に変動させ
ることが一般に困難であり、原則として一定の値に固定
された条件として扱われることを考慮すれば、V1、t
1、V2、T2以外の条件は固定的に考えてよいことが
分る。従つて、本発明の場合、V1、t1とV2、T2
の間”の相関性と処理効果に及ぼす影響を理解すること
が重要であり特徴的なことであると言える。本発明の方
法において、V1、t1、V2の適切な一定の値を採用
し、他の処理条件を適切な値に固定化し、同一のアルミ
ニウム試料に対しT2を一定間隔ごとに電解浴中から引
き上げながら処理すると、T2の値に対応してアルミニ
ウム材処理物表面に紫、藍、青、緑、黄、橙、赤によつ
て代表される原色系の鮮明な色彩の着色配列が得られる
。色配列順序はT2が大になるに従つて、すなわち金属
塩電解浴中での電解時間が長くなるに対応して長波長側
の可視光色へと変化する。この変化は処理条件によつて
数回くり返し行なわれる。このように同一のアルミニウ
ム材処理物表面にT2に応じて原色素の色が一定の配列
順序をもつて着色された着色体を以下スペクトル着色体
と称すことにする。さて、他の条件を適当な値に固定し
てV2を一定の適切な値を採用して上述のスペクトル着
色体を作ると、V1、t1の処理条件の変動によつてス
ペクトル着色体上の色配列の分布に変化が認められる。
例えば、後述する実施例3と実施例5とを比較すれば分
るように、実施例3の色の順位は淡青灰色、コールド色
、紫褐色、濃褐色、濃紫褐色であるが、実施例5の色順
位は青灰色、コールド色、紫褐色、緑色、濃緑色であり
、前者の場合紫褐色の後、無彩色系の色への移行が認め
られるが、後者の場合紫褐色の後に緑色系の原色が現わ
れている。このことはV1の上昇によつて電解着色の着
色速度が遅れることを示している。従来の原色着色法の
場合はV1=0に該当する。V1=0の場合、すなわち
バリヤー型酸化皮膜の形成処理を行なわない場合は着色
速度は非常に速く、処理条件によつては数秒ないしは長
くて数10秒でスペクトル着色体の色配列が変化する。
このことが前述の如く従来の原色着色法において色調合
わせ管理を非常に困難なものとなしている原因と考えら
れる。しかるに、本発明の方法において予めバリヤー型
酸化皮膜形成処理を行なうと、主として1の値の選択に
より任意にその後の電解着色速度を抑制することができ
るのである。かくして、実用上原色着色の色合わせがき
わめて安定度高く行なわれることが理解される。次に、
V1、t1、V2、T2がスペクトル着色体に対し如何
なる影響を与えるかについてさらに詳しく説明する。
V1の上昇は金属塩電解浴中での電解着色速度を低下せ
しめ、V2の原色着色電解電圧を高くすると同時に原色
着色電解域を狭くする傾向が認められた。t1の延長も
ほぼ同じような効果を補助的に与える。結論としてv1
(t1)の値を適当な大きさにとれば、同一色に対しT
2の範囲が広げられ上述の如く色合わせが極めて容易に
なるのである。また、1が2の値に対してどのように影
響するかについては次に示す具体例をもつて説明する。
なお、第一工程の陽極酸化皮膜の溶解は膜厚9μの陽極
酸化皮膜を形成したアルミニウムを硫酸濃度180g/
l、液温60℃の水溶液に2分間浸漬することにより行
なつた。本発明の第二工程であるバリヤー型酸化皮膜形
成の電解条件(J1)として次に示すものを使用した。
本発明の第三工程である金属塩浴中での電解原色着色条
件(J2)として次に示す条件を用いた。
)N2、C2、R2、D2などはすべてJ1の場合と同
じである。
上述の条件設定において、V1、V2以外の条件はすべ
て固定化して実験を行なつた。
V2はある値以下においては着色速度も低く、得られる
着色体も無彩色系のブロンズ色が単にT2の延長ととも
に濃くなつていく状態で配列しているにすぎない。V2
がある値(V2Lとする)よりも高くなると、スペクト
ル着色体の色配列には原色系の色が入つてくる。V2を
さらに上昇させていくと、着色体中の原色の種類は豊か
となり鮮明度も増す。しかし、2がある値以上になると
ピッチインクなどの発生が生じ着色が困難となる。好適
に着色できるV2の最大限の値を2Mとする。すなわち
、V2,と2Mとの間が鮮やかな原色着色の可能な範囲
で、これをV2の原色着色電圧範囲と称することにする
。原色着色があらゆる点で安定かつスムーズに行なわれ
るV2の値は、1/2(V2,+V2M)付近に存する
。上述のJ1、J2の条件設定の下でV1に対するV2
L及び2Mを求め図示したものが第1図に示すものであ
る。
第1図において曲線MはV1と2Mの関係を示し、V1
とV2Lの関係は曲線Lによつて示される。
すなわち、曲線Mと曲線Lとの間の電圧がV1に応じた
、V2の原色着色電圧範囲である。第1図から明らかな
様に、V1の上昇と共に原色着色電圧範囲は高電圧側へ
と移行し、その範囲は狭くなつていく。
また、V1の上昇に伴なう実際の着色状況について説明
するならば、V1の上昇により、V2の電解電圧も上昇
するのであるが、着色する色の色調は漸次青色気味の強
い色へと変化し、また、スペタトル着色体上に現われる
色の種類も漸次減少する。すなわち、1が50ボルト付
近で、V2を原色着色電圧範囲内で処理して得られるス
ペクトル着色体の色配列は青灰色系の原色から、すぐに
ブロンズ系無彩色の色へと移行し、スペクトル着色体上
の配列色の減少を示す。なお、第1図に示す曲線のあり
方は、前述の固定条件の変動によつて影響を受け変化す
る。
その主たるものは、第一工程の陽極酸化皮膜の微細孔の
拡大工程であり、これが強いほど、すなわち孔構造変化
を目的とする処理が強ければ強いほど原色着色電圧範囲
は拡大する。また、C2、T2、D2、R2の値が大き
くなれば一般に着色速度が速くなり、V2、T2は総じ
て小さい値に移行し、このV2の変化に応じた影響をV
2MとV2,に与える。上述のことを考慮して、V1、
V2の実用上適切な範囲として、5ボルト≦V1≦50
ボルト、5ボルト≦V2≦40ボルトを示すことができ
る。次に、第二工程であるバリヤー型酸化皮膜形成処理
を導入することにより、第三工程の原色着色処理におい
てスローイング性の改善される効果について説明する。
バリヤー型酸化皮膜電解処理及び金属塩電解着5色処理
において、対極の配置の仕方を両電解浴中で同じ様に、
試料に対して1面のみに対向させて対極を配置する片側
対極配置の場合を考える。
なお、対極と向かい合つている側の試料面を表面、その
反対側の面を裏面と称することにする。この;様な対極
配置の下で従来法に従つた原色着色を施すと、表面の着
色は裏面よりもはるかに速い着色速度となり、また、得
られた試料がスペクトル着色体の場合は、表面と裏面と
で色配列が異なる。このことは片側対極配置の結果、試
料の表裏両面町での電位分布が異なるためである。スロ
ーイング性不良の原因は、一般的には試料の形状が原因
して対極との距離差または表面活性度の差異などのため
に試料表面の電位分布に差が生ずることによる場合が多
い。この電位分布の差異によるスロ一5インク性劣化は
次に示す理由で、バリヤー型酸化皮膜形成処理の導入に
より解消または緩和される。すなわち、該処理でバリヤ
ー型酸化皮膜の膜厚が厚くなるにつれて、その部分の金
属塩電解着色速度はそれだけ遅くなるという現象と、電
解着色時において着色速度の遅いところ(片側対極配置
の場合は裏面)は、バリヤー型酸化皮膜形成処理におい
ても酸化皮膜形成速度が遅くバリヤー膜厚が薄いという
現象とを考え合わせることにより理解される。バリヤー
型酸化皮膜が厚く形成されやすい部分(片側対極配置の
場合は表面)は本来は電解着色速度の速い部分であるが
、バリヤー型酸化皮膜が厚く形成されているために着色
速度が遅くなる。一方、バリヤー型酸化皮膜の薄くつい
ているところ(裏面)は電解着色速度の遅れる効果は現
われない。
このように金属塩電解浴中での電解着色速度が表裏で同
じ程度となり、その結果前述の電位分布の差異によるス
ローイング性不良が解決されることになる。この場合、
バリヤー型酸化皮膜形成の電解時間t1が余り短いと、
バリヤー型酸化皮膜のスローイング性の充分な改善効果
は認められない。また、余り長く行なうと、試料表裏両
面でのバリヤー膜厚が同じ程度のものとなり、この場合
もスローイング性の改善効果が充分に認められない。従
つて、スローイング性改善の効果を最も良くする電解時
間t1は、ある一定の範囲内とすることが好ましい。こ
のことは次に示す実験によつても認められた。すなわち
、前述の原色着色電圧範囲を求めたときの実験条件、J
1、J2とほとんど同じ条件で、ただ、V2の条件を一
定値に固定して、t1の変化でスローイング性がどのよ
うに変化するかについて調べ、第1表に示す結果を得た
。この実験例では、t1の適正範囲が約5〜10秒の二
間にあることが分る。
更に実験を進めた結果、固定化した条件を変動させると
t1の適正値に対し次に示す傾向の影響を示すことが認
められた。すなわち、t1の適正範囲を広めるためには
、電解電圧V1ならびに電解浴濃度C2を低くし、極間
距離d1を大きくとり、極比r1を小さくすると良い.
ことが分る。実用上の作業条件においては、t1の最適
範囲として、3秒≦t1≦5分を呈示することができる
。t1がこれ以上の値でもスローイング改善効果は認め
られるが、前述の理由によりその効果は低くなる。さら
に本発明の第二工程において、バリヤー型酸化皮膜形成
処理を導入することにより、従来の原色系の着色法では
得られないすぐれた表面物性を原色系の着色表面に付与
することが可能である。
従来の原色系の着色法では、そのいずれの方法において
も前述の如く原色系の着色のための陽極酸化皮膜の孔の
構造変化を目的とする溶解処理の影響により陽極酸化皮
膜の物性は劣化する。とりわけ、その耐食性の劣化は原
色系の着色法に付随する致命的欠陥とさえ言える。本発
明の処理方法によるバリヤー型酸化皮膜形成処理の導入
により、原色着色面の耐食性、耐候性などの物性は改善
され、通常の陽極酸化皮膜と同じかまたはそれ以上のす
ぐれた物性値を示すのである。このことは、硫酸浴など
における成長型酸化皮膜形成時に伴なつて形成されるバ
リヤー型酸化皮膜よりも、本発明において使用する前述
の種々の電解浴組成で形成されるバリヤー型酸化皮膜の
方が緻密で硬いものであり、化学的・物理的性質などに
おいて極めて良質のものであることを示している。本発
明のバリヤー型酸化皮膜形成時におけるバリヤー型酸化
皮膜の厚さは、かなり薄いものと考えられるが、電解時
の電圧値とともに直線的に増大し、その割合は14人/
1の関係で概算できる。また、その耐食性などの物性に
及ぱすバリヤー型酸化皮膜の厚さは、厚ければ厚いほど
良い効果を示すのも当然の帰結である。
しかし、後続の金属塩浴中での電解原色着色処理との関
連を考慮する場合、いたずらにその厚さを厚くすること
は好ましくない。この場合は、前述のV1とV2の相関
性を考慮して適性なV1値を決めれば良い。通常の硫酸
電解浴による無色の陽極酸化皮膜と同程度の物性を得る
のが目的であれば、この陽極酸化皮膜形成の電解電圧に
合わせれば良い。また、前記、孔構造変化のための溶解
処理により皮膜劣化が激しいと考えられる場合は、少し
高めの電解電圧でバリヤー型酸化皮膜形成処理を行なえ
ば良い。従つて、バリヤー型酸化皮膜形成の電解電圧1
は高いほど耐食性などの物性はすぐれたものとなる。し
かし、前述の如く、V2との関連性を考慮した場合のV
1の最適範囲は10ボルト≦V1≦50ボルトである。
また、電解時間t1は、長ければ長いほど安定したバリ
ヤー型酸化皮膜が形成され、それだけ物性改善の効果は
より多く発揮される。
前述の如く、t1は、後続の第三工程である電解原色着
色処理を考慮した場合、着色のスローイング性と関連し
ている。アルミニウム材の形状をはじめとする諸々の条
件、着色のスローイング性に対して良好な場合は、目的
とする物性に応じた電圧V1でt1を充分長くとれる。
また、上記、諸々の条件が、着色のスローイング性に対
して余り良好でない場合は、目的とする物性に対応した
バリヤー型酸化皮膜形5成の電解電圧V1値よりもやや
高めの電圧に電解電圧を設定しておき、t1を短めとし
、スローイング改善効果をかね合わせる方式をとると良
い。バ1ヤ一型酸化皮膜形成の電解においては、電解電
圧が一定の場合、電解時間の経過とともに電解電流が減
少し、一定時間経過後の電解電流は非常に小さな値とな
りその小さな値で定常化する。この電解電流が小さな値
で定常化するまでの時間は一般に数十秒から数分の間で
ある。これ以後、電解を余り長く続けても物性向上はそ
れに応じた目立つた効果は一般に認められない。従つて
、大きなスローイング性改善を望む場合は、上述の如き
電圧に選択し、t1は、上記の電流値定常化までの時間
内までとすることが好ましい。なお、ある程度のスロー
イング性改善が図れればよい場合には、上記電流値定常
化後数分の処理時間をとれば充分である。従つて、t1
の適切な範囲としては次のように呈示できる。すなわち
、大きなスローイング改善を要する場合、3秒≦t1≦
5分とし、ある程度のスローイング改善を図れれば良い
場合は、1分≦t1≦10分とする。t1が10分以上
でも良いが、それに見合つた物性改善は期待できない。
なお、バリヤー型酸化皮膜形成による耐食性、耐侯性な
どの物性改善を行なつて、従来法と比較した場合の1例
を第2表にまとめて示す。
上記表中処理工程の記号は次に示す内容である。
本発明の方法において、バリヤー型酸化皮膜形成の電解
電圧V1および電解着色の電圧2の設分は以下のように
行なうことが好ましい。
従来、電解処理法においては、一般に電圧(または電流
)の設定は、ラツキングされた処理物を電解浴中に装入
してから、電源スイツチを入れ−目的とする電圧(また
は電流)値に設定する方Jがとられている。
しかし、本発明の方法においYは、J1におけるt1が
非常に短い場合もあり、J2においてもスペクトル着色
体において見られるが如く、T2と着色される原色の種
類とは不連続な関係において考えるべきである。すなわ
ち、通常の無彩色系の電解着色においては、電解時間の
延長に応じて連続的に着色体の色調(主として色の種類
でなく、同一系統の色でその濃淡のみ)が変化するので
あるが、原色系着色においては、色の濃淡のみの連続的
に変化する電解時間はかなり短く、電解時間の延長に応
じて、不連続的に着色体の色の種類の変化する場合が多
い。上述の如く、電解時間の延長とその処理効果が不連
続的に変化する傾向が強いために、あらかじめ無負荷の
状態で(回路を開いた状態)暫定的な電圧V″1、V″
2に電解条件を設定しておき、その後スイツチを入れ回
路を閉じて、電解時の電圧を目的とするV1またはV2
とする方法が非常に有益で安定した処理効果を得るのに
適している。
この場合、″1、″2はJ1、J2の個々の条件を考慮
した上′で各々V1とV2に対応するように実験的に求
めておけば良いのである。また、V1、V2などが高い
場合、余り急激な昇圧法を用いると、電圧による皮膜破
壊現象が発生し、ピッチインク焼けなどの現象を招き好
ましく・ないため、この現象を防ぐ目的で段階的昇圧法
が好適に用いられる。
従来の原色系着色法においては、スズ以外の電解着色液
における着色は色抜けが目立つとされているが、本発明
の方法に従えば、ニツケル、コバ9ルトなどの電解着色
液中で着色処理を施しても色抜けは認められない。
これは第二工程による陽極酸化皮膜の微細孔中の有害イ
オンの除去効果ならびにV1とV2の関係からV2の電
圧が従来法に比べて高い値とすることができるなどの理
由から金属5ないし金属塩の析出がより安定な形で行な
われるためである。以上説明した如く、本発明の方法を
用いることにより、従来法では得られない、安定した処
理効果とすぐれた物性を有し、かつ、赤、橙、黄、0緑
、青、藍、紫および黒で代表される極めて美しい色調の
原色系着色をアルミニウム表面に施すことが可能となり
、アルミニウムサツシをはじめとする建材、家庭用器具
、電気製品、光学機器などに使用されるアルミ製品の装
飾効果を如何なく発揮できる。
本発明の方法によつて具現化される、耐食性などの物性
向上および処理方法の顕著な安定化は、その経済性に及
ぼす効果が非常に大きいものである。次に、本発明の方
法を実施例により、さらに詳しく説明する。
以下の実施例および比較例において、共通な処理条件は
次に示す通りである。
1 陽極酸化皮膜形成処理(以下、A処理と称す)2微
細孔拡大のための処理(下記の条件で行なうものをM処
理と称す)3孔構造変化のための溶解処理(下記の条件
で行なうものをD処理と称す)4金属塩電解原色着色処
理(下記の条件で行なうものをC1処理と称す)5金属
塩電解原色着色処理(下記の条件で行なうものをq処理
と称す)こ施例 1 A−6063T5なるアルミニウムをA処理後、水丸し
てM処理を行ない、さらに酒石酸20g/1.谷温18
℃の電解浴中で直流25ボルトの無負荷設定入にてアノ
ード電解を行ない、バリヤー型酸化皮之を形成した。
その後、V2=13ボルトにてq処11を行ない、スペ
クトル着色体を形成した。qへ理の電解時間にしたがつ
てスペクトル着色体の″・、配列の順序は第3表の如く
であつた。ヒ較例 1実施例1において、バリヤー型酸
化皮膜の形成へ理を行なわなかつたこと以外は、実施例
1と同?の操作を行なつた。
形成したスペクトル着色体)色配列の順序を第3表に示
す。上記第3表から明らかなように、実施例1の着色配
列が比較例1のそれに比べて、約1分程度遅れているこ
とがわかる。
すなわち、従来の原色着,色法に比べて、本発明の方法
は、バリヤー型酸化皮膜を形成するため着色速度が抑制
されることがわかる。実施例 2 A−6063T5なるアルミニウムをA処理後、水洗し
てD処理を行ない、さらにホウ酸ナトリウム20g/1
.浴温18℃の電解浴中で直流20ボルトの無負荷設定
法にてアノード電解を2分間行ない、バリヤー型酸化皮
膜を形成した。
その後V2=14ボルトにてC1処理を行ないスペクト
ル着色体を形成した。C1処理の電解時間にしたがつて
スペクトル着色体の色配列の順序は第4表の如くであつ
た。比較例 2 実施例2において、バリヤー型酸化皮膜の形成処理を行
なわなかつたこと以外は、実施例2と同様の操作を行な
つた。
形成したスペクトル着色体の色配列の順序を第4人に示
す。上記第4表から明らかなように、実施例2の着色配
列が比較例2のそれに比べて、少し遅れていることがわ
かる。
すなわち、従来の原色系着色法に比べて本発明の方法は
、バリヤー型酸化皮膜を形成するため着色速度が抑制さ
れることがわかる。実施例 3 A−6063T5なるアルミニウムをA処理後、D処理
を行ない、さらにC1浴を用い浴温18℃、V1=20
ボルト (無負荷設定電圧)で2分間アノード電解を行
ない、バリヤー型酸化皮膜を形成した。
その後、同じC1浴中にて、V2=15ボルトでC1処
理を行ない、スペクトル着色体を得た。C1処理の電解
時間にしたがつてスペクトル着色体の色配列の順序を第
5表に示す。実施例 4 実施例3において、V1=20ボルトをV1=30ボル
トに代え、また、V2=15ボルトをV2=18ボルト
に代えたこと以外は、実施例3と同様の操作を行なつて
、スペクトル着色体を得た。
C1処理の電解時間にしたがつてスペクトル着色体の色
配列の順序を第5表に示す。上記第5表かられかるよう
に、1の電解電圧の高い方が、C1処理の着色効果が抑
制される。
また、一般にV1が高くなるにつれて着色は淡色化し青
味を帯びてくる。実施例 5 A−6063T5なるアルミニウムをA処理後水洗して
M処理を行ない、水洗後C浴を用いて、浴温18℃、V
1=25ボルトの無負荷設定電圧法で1分間のバリヤー
型酸化皮膜形成電解処理を行なつた。
その後、同じくC浴中でV2=12ボルト (無負荷設
定電圧)で交流電解を行なつた。q処理の電解時間にし
たがつて、スペクトル着色体の色配列は次の如くであつ
た。青灰色(T2=1分)、コールド色(T2=2分)
、紫褐色(T2=3分)、緑色(T2=4分)、濃緑色
(T2=5分)実施例 6 A−6063T5なるアルミニウムをA処理後、水洗し
てD処理を行ない、さらに水洗して酒石酸ナトリウム2
5gハを含む水溶液を電解浴として、浴温18℃、1=
30ボルト(無負荷設定電圧)にて直流アノード電解を
t1=5秒間バリヤー型酸化皮膜の形成処理を行なつた
その後、C1処理をV2=13ボルト (無負荷設定電
圧)で交流電解を行ない、スペクトル着色体を得た。こ
こでバリヤー型酸化皮膜形成処理およびC1処理の対極
配置は、片側対極配置を採用し、極比として、 (対極
面積):(アルミニウム試料表面積)=1:3を用いた
。なお、C1処理の電解時間にしたがつて得られたスペ
クトル着色体の色配列の順序を第6表に示す。実施例
7 実施例6において、バリヤー型酸化皮膜を形成する電解
浴として酒石酸ナトリウム浴の代わりに、C1浴を用い
たこと以外は、実施例6と同様の操作を行なつた。
C1処理の電解時間にしたがつて、スペクトル着色体の
色配列の順序を第6表に示す。比較例 3 実施例6において、バリヤー型酸化皮膜の形成処理を行
なわなかつたことおよびV2=9ボルト(無負荷設定電
圧)以外は、実施例6と同様の操作を行なつた。
形成したスペクトル着色体の色配列の順序を第6表に示
す。上表の結果から次のことがわかる。
1実施例6と実施例7の処理効果は同じであり、金属塩
着色浴をバリヤー型酸化皮膜形成浴として使うことがで
きる。
2従来法による比較例3の色配列は、表面と裏面とで差
があり、スローイング性が悪い。
裏面の方が着色速度が遅い。3本発明の方法による実施
例6および実施例7は、表裏とも同じ着色速度に抑制さ
れており、スローイング性が良い。
4比較例3においては均一着色でなく水分によると思わ
れる脱色が見られた。
実施例 8 A−6063T5なるアルミニウムをA処理後、D処理
として浴組成硫酸120g/1.浴温62℃、3分間の
浸漬処理を施し、その後、バリヤー型酸化皮膜形成処理
として、V1=30ボルト (無負荷設定電圧)で7秒
間のアノード電解を施し、その後水洗してC1処理を行
なつた。
C1処理において、V2=12ボルト (無負荷設定電
圧)でT2=5分の着色処理を行なつた。その結果、試
料表面・裏面とも緑色に着色された均一着色体を得た。
なお、バリヤー型酸化皮膜形成処理、着色処理とも対極
配置は、片側対極配置法を用い、その極比は1:3とし
た。
片側対極配置法では、従来の原色着色法を用いるならば
、表裏両面の色を同一にすることは不可.能である。
実施例 9 A−6063T5なるアルミニウムをA処理後、水洗し
てM処理を行ない、水洗後、C2処理浴を用い、段階昇
圧法(5ボルト/10秒の割合)で20ボ,ルトまで昇
圧し、昇圧後、2分間アノード電解を継続してバリヤー
型酸化皮膜の形成を行なつた。
その後、水洗してC2処理を行なつた。C2処理は、交
流電解法により行ない、電圧設定は、電解時電圧V2二
16ボルトで5分間の電解着色を行なつた。得られた試
料表面色は、黒色であつた。従来の着色法では、黒色を
得るのに5分間位で得ようとすると、電解電圧が高くな
リピツト発生をきたすか、またはそれ以下の電圧では、
10分以上の処理時間を要する。本発明の方法に従えば
、黒色もより短時間で安定し、かつ、表面物性のすぐれ
た製品が得られる。この場合、2=16ボルトを1分間
で13ボルト、2分目に16ボルトという2段段階昇圧
法を用いることも、ピツト発生防止に有効である。
実施例 10A−6063T5なるアルミニウムをA処
理後、M処理を施し、酒石酸ナトリウム20gハの電解
浴、浴温18℃で、20ボルト (無負荷設定電圧)に
より1分間バリヤー型酸化皮膜の形成を行ない、C2処
理で、V2二13ボルトの無負荷設定電圧法により1分
間隔のスペクトル着色体処理を施し、これに仮封孔(水
和封孔90℃、10分)の後、浸漬塗装を施し、耐食性
のすぐれた皮膜を得た。
色配列は次のようであつた。
黄緑色(T2=1分)、青紫色(T2=2分)、緑褐色
(T2=3分)、緑色(T2=4分)、濃褐色(T2=
5分)実施例 11 A−6063T5なるアルミニウムをA処理後、水洗し
てM処理を行ない、さらに酒石酸20g/l、浴温25
℃の電解浴中で直流25ボルトの無負荷設定法にて、5
分間アノード電解を行ない、バリヤー型酸化皮膜を形成
した。
その後、硫酸コバルト30g/1.硫酸マグネシウム1
5g/I、ホウ酸15g/1を含み、Ilf[5.5の
金属塩電解着色液を電解浴として、V2=12ボルトで
交流電解を行ない、スペクトル着色体を形成した。着色
処理時間にしたがつてスペクトル着色体の色配列は次の
ようであつた。薄青灰色(T2=1分)、コールド色(
T2=2分)、濃コールド色(T2=3分)、緑色(T
2=4分)、緑褐色(T2−5分)
【図面の簡単な説明】
第1図は1とV2の関係を示すグラフである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 陽極酸化処理を施したアルミニウムまたはアルミニ
    ウム合金を金属塩溶液中で電解着色する方法において、
    アルミニウムまたはアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の
    微細孔を拡大せしめ、次いでバリヤー型酸化皮膜形成処
    理を行ない、しかる後に金属塩溶液中で電解着色するこ
    とを特徴とするアルミニウムまたはアルミニウム合金の
    原色系の着色方法。 2 バリヤー型酸化皮膜形成処理の電解電圧が、1〜1
    00ボルトである特許請求の範囲第1項記載の方法。 3 金属塩溶液中における電解着色の電解電圧が、3〜
    50ボルトである特許請求の範囲第1項記載の方法。 4 バリヤー型酸化皮膜形成処理の電解電圧が5〜50
    ボルトであり、かつ金属塩溶液中における電解着色の電
    解電圧が5〜40ボルトである特許請求の範囲第1項記
    載の方法。 5 バリヤー型酸化皮膜形成処理の電解電圧V_1と金
    属塩溶液中における電解着色の電解電圧V_2との関係
    が、第1図の曲線Lと曲線Mの間の領域内で成立する特
    許請求の範囲第1項記載の方法。6 バリヤー型酸化皮
    膜形成処理の電解時間が3秒〜5分である特許請求の範
    囲第1項記載の方法。 7 バリヤー型酸化皮膜形成処理の電解時間が1分〜1
    0分である特許請求の範囲第1項記載の方法。 8 バリヤー型酸化皮膜形成処理を、金属塩電解着色浴
    にて行なう特許請求の範囲第1項記載の方法。
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