JP2931176B2 - アルミニウム材料表面に形成された着色皮膜及び電解着色法 - Google Patents

アルミニウム材料表面に形成された着色皮膜及び電解着色法

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JP2931176B2 JP5848693A JP5848693A JP2931176B2 JP 2931176 B2 JP2931176 B2 JP 2931176B2 JP 5848693 A JP5848693 A JP 5848693A JP 5848693 A JP5848693 A JP 5848693A JP 2931176 B2 JP2931176 B2 JP 2931176B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光の干渉による自然発
色を利用してアルミニウム又はアルミニウム合金(以
下、アルミニウム材料で総称する)の表面に形成した着
色皮膜及び電解着色法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム材料を電解着色する方法と
して、アルミニウム材料に陽極酸化皮膜を形成した後、
金属塩含有溶液中で陽極酸化皮膜の微細孔に金属又は金
属化合物を電解析出させ、発色させる二次電解着色法が
実用化されている。この方法で得られる色調は、褐色系
の淡色から黒色に限られている。多色が得られる方式と
して、特公昭54−13860号公報では、陽極酸化皮
膜を形成した後、リン酸を含む電解浴中で微細孔を拡大
する中間処理を行い、次いで金属塩を含む溶液中で交流
電解する三次電解着色法が提案されている。この方法で
形成された着色皮膜に入射した光は、陽極酸化皮膜とア
ルミニウム材料との界面及び電解着色析出物面上で反射
する。これら反射光の間に干渉が生じた干渉作用によっ
て発色する。しかし、出現する色相の範囲が狭く、淡色
のものしか得られていない。また、着色均一性にも劣
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】二次電解着色では、淡
色から黒色まで明度を変化させることができる。この場
合、アルミニウム材料1の表面に形成された陽極酸化皮
膜2の微細孔3に、電解析出物4が充填されている。電
解析出物4の高さは、アルミニウム材料1の不純物やバ
リヤー層5の電気抵抗のバラツキ等による影響を受け、
不揃いになっている。そのため、ここでの光の散乱及び
吸収が著しく、得られる色相が褐色系に限られる。三次
電解法では、図2(a)に示すように微細孔3の底部に
拡大部6が形成されており、拡大部6に電解析出物4が
充填されている。この場合の発色原理は、電解析出物4
の上面での反射光7と陽極酸化皮膜2とアルミニウム材
料1の界面での反射光8との間の干渉である。出現する
干渉色は、反射光7と反射光8との光路差に対応する。
電解析出物4は、微細孔3の拡大部6に析出するため、
二次電解着色の場合と比較して、個々の高さのバラツキ
が小さく、電解析出物4の上面は一つの平面を形成す
る。
【0004】しかし、中間処理によって微細孔3の底部
に形成される拡大部6が低いため、電解析出物4が拡大
部6によって高さ規制される。そのため、反射光7と反
射光8との光路差が限定されたものになり、干渉する色
相の範囲が狭くなる。また、電解析出物4の高さが小さ
く且つ光が下方に透過し易いことから、反射光7の光強
度が小さく、反射光8の光強度が大きくなる。その結
果、干渉の程度が低く、淡色の濁った色調しか得られな
い。広い範囲の色調を得ようとすると、図2(b)に示
すように電解析出物4を高く析出することが要求され
る。この場合、電解析出物4は、拡大部6を超えて小径
の微細孔3までを充填することになる。その結果、電解
析出物4それぞれの高さが不均一になり、光の干渉が生
じることなく褐色系の色調に変化する。特に、複雑な形
状をもつアルミニウム材料を電解着色する場合には、電
解槽の電位分布の影響を受け、電解析出物4の高さが均
一にならず、同一材料中に異なった色に発色する色ムラ
を生じる。
【0005】このように、従来の電解着色で広範囲の色
相をもち、濃い色及び均一な着色性を得ることは困難で
あった。また、特開平54−112347号公報におい
ても、同様に光の干渉によって発色させたアルミニウム
材料が紹介されているが、得られる干渉色は、明度が高
く不自然な色調を呈するものになりがちである。また、
特開平3−33802号公報においても、光の干渉作用
によって発色させたアルミニウム材料が紹介されている
が、電解析出物の高さが小さいため、淡色のものしか得
られない。本発明は、このような問題を解消すべく案出
されたものであり、陽極酸化皮膜に形成されている微細
孔の形状及び電解析出物の高さを制御することにより、
青,緑,黄,赤等の広範囲の色相を呈し、明度が低く濃
色の皮膜をアルミニウム材料表面に形成することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に従った電解着色
法は、次の工程を経る。 第1工程:アルミニウム材料表面に陽極酸化皮膜を形成
する陽極酸化工程 第2工程:陽極酸化皮膜の微細孔底部を拡大する中間処
理工程 第3工程:形成された拡大部から更に垂直下方に延びる
下部微細孔を形成する再陽極酸化工程 第4工程:金属塩及びバリヤー型皮膜形成剤を含む溶液
中で、バリヤー層の厚さを調整するバリヤー層調整工程 第5工程:引き続き同一溶液中で電解析出物の上面が微
細孔拡大部の範囲に維持されるように、微細孔拡大部及
び下部微細孔に電解析出物を析出させる電解着色工程 以下、各工程を詳細に説明する。なお、各工程で使用さ
れる各種溶液は、建浴時にはアルミニウム及びその合金
元素を溶解していないが、操業の推移に従ってアルミニ
ウム及び合金元素が溶解した液になる。そこで、溶液中
のアルミニウム及び合金元素の溶解量をコントロールし
ながら処理することが好ましい。
【0007】第1工程:(陽極酸化処理) 脱脂,エッチング等によって表面が清浄化されたアルミ
ニウム材料に、常法どおり陽極酸化皮膜を形成する。こ
のときの電解液としては、硫酸,リン酸,クロム酸等の
無機酸、蓚酸,酒石酸等の有機酸、或いはこれらの混合
液が使用される。また、水酸化ナトリウム,炭酸ナトリ
ウム等のアルカリ性水溶液も使用可能である。陽極酸化
は、電解液中でアルミニウム材料に正の直流,正のパル
ス電圧或いは交直重畳電圧を印加することによって行わ
れる。陽極酸化によってアルミニウム材料1の表面に形
成された陽極酸化皮膜2は、図3(a)に示すように、
バリヤー層5を介して径10nm程度の微細孔3が多数
分布した構造をもっている。陽極酸化皮膜2の厚みは、
用途に応じて任意に調整される。たとえば、建材用とし
ては、耐食性も考慮して約10〜25μmの厚みがあれ
ば良い。
【0008】第2工程:(中間処理) 陽極酸処理されたアルミニウム材料1をリン酸を主成分
とする溶液に浸漬し、交流,正の直流又は正のパルス電
圧を印加するとき、図3(b)に示すように、微細孔3
の底部に拡大部6が形成される。拡大部6の深さは、発
色させようとする色調を考慮して50〜100nmの範
囲で決められる。拡大部6は、蓚酸,酒石酸等の有機酸
単独溶液又は有機酸を主体とし硫酸等の無機酸を添加し
た溶液にアルミニウム材料1を浸漬し、交流,正の直流
又は正のパルス電圧を印加しピーク電圧30V以上で1
〜19分間電解することによっても形成される。拡大部
6の径は、電解電圧に比例して大きくなる。たとえば、
2%蓚酸溶液中における電解では、電解電圧10Vで径
が約10nm,電解電圧50Vで径が約50nmとな
る。
【0009】第3工程:(再陽極酸化処理) 第3工程は、図3(c)に示すように微細孔3の底部に
第2工程で形成した拡大部6の下に、拡大部6よりも小
径の下部微細孔11を更に形成する。結果として、拡大
部6が微細孔3〜11の中間に位置した多孔質構造の陽
極酸化皮膜2となる。電解液としては、硫酸等の無機
酸,蓚酸等の有機酸,或いはこれらの混合溶液が使用さ
れ、好ましくは10〜30℃の温度に保持される。交
流,正の直流,正のパルス電圧,交直重畳等の正の電圧
部分を含むものである限り、どのような波形をもった電
解電流でもよい。第3工程で最も重要な条件は、図3
(c)に示す再陽極酸化皮膜10の厚さである。下部微
細孔11及び拡大部6は、後続する電解着色工程で析出
する電解析出物4の容器として機能する。
【0010】再陽極酸化処理によって形成される下部微
細孔10の孔径は、電解電圧に比例し、電解電圧を高く
するほど大きくなる。しかし、孔径の増大に伴って陽極
酸化皮膜2全体の強度が低下し、皮膜剥離や割れ等の問
題が発生する。そのため、電解電圧は、第1工程(陽極
酸化処理)で印加した電圧或いはこれ以下の電圧、具体
的には10〜17Vの範囲で設定することが好ましい。
電解時間は、再陽極酸化皮膜10が目標厚みをもつよう
に電気量計で管理し、所定の電気量に達した時点で再陽
極酸化処理を停止する。電解時間は、通常約10秒〜1
0分である。これによって、孔径約10nmの下部微細
孔10が形成される。
【0011】得られる色調に不透明感を付与するために
は、図3(d)に示すように下部微細孔11の下端に凹
凸12を形成する。凹凸12は、再陽極酸化処理終了直
前に電流密度を1/100〜1/10に低下させて電解
を行うことによって形成される。凹凸12の形成と共
に、アルミニウム材料1と陽極酸化皮膜2との界面にも
凹凸13が形成される。たとえば、電流密度0.2〜2
A/dm2 で再陽極酸化処理を行うとき、再陽極酸化処
理に終了直前に電流密度を1/100〜1/10に低下
させ、この条件下で電圧0.1〜5Vを印加し約10秒
〜5分間電解を継続させる。これにより、高さ約10〜
100nmで複雑な凹凸12が下部微細孔11の下端部
に形成される。
【0012】第4工程:(バリヤー層調整) この工程は、次の第5工程(電解着色)と密接な関係を
持っており、電解着色時に電解析出物の高さを均一化さ
せ、均一な着色を得る上で重要な工程である。第3工程
(再陽極酸化処理)で形成されるバリヤー層5は、電解
液の液抵抗が小さいことから、対極に近い部分A及び遠
い部分Bの両者共に、図4(a)に示すようにほぼ同一
の厚さになっている。この状態で電解着色すると、着色
液の液抵抗が大きいため、図4(b)に示すように対極
に近い部分Aの微細孔3に多量の電解析出物4が析出
し、対極に遠い部分Bの微細孔3に析出する電解析出物
4が少量になる。そこで、着色に先立ってバリヤー層の
調整を行うと、図4(c)に示すように対極に近い部分
Aのバリヤー層5が厚くなる。続く電解着色工程では、
液抵抗とバリヤー層抵抗を合計した抵抗がA及びBで等
しくなるため、電気量が同一となり、電解析出物4も図
4(d)に示すように揃った高さになる。
【0013】使用する電解液は、Ni,Sn,Co,F
e,Cu,Se,Pb,V,Mo,Ti,Mn等の金属
塩の1種又は2種以上、ほう酸,ほう酸アンモニウム,
酒石酸,酒石酸アンモニウム,クエン酸等の1種又は2
種以上のバリヤー型皮膜形成剤を含んでいる。電解液に
アルミニウム材料を浸漬し、正の直流又は正のパルス電
圧を印加することによってバリヤー層5の厚みが調整さ
れる。具体的な電解条件としては、調整後のバリヤー層
5の厚みが約20〜150nmとなるように、20〜1
50Vの電解電圧,10秒〜10分の電解時間及び電流
密度0.1〜1A/dm2 が採用される。電解電圧が2
0V未満になると、着色が不均一になる。逆に、150
Vを超える電解電圧は、第5工程の電解着色時に火花放
電が発生し易くなるので好ましくない。
【0014】第5工程:(電解着色) バリヤー層5の厚みが調整された陽極酸化皮膜2の微細
孔3に電解析出物4を沈着させる処理であり、第4工程
と同じ金属塩含有溶液又は同じ組成の溶液中で電解され
る。電解は、金属含有溶液に浸漬したアルミニウム材料
1に交流,矩形波交流,負の直流又は負のパルス電圧を
印加して行われる。電解電圧は、20〜50Vの範囲で
調整される。電解時間は、15〜90秒の範囲で、図3
(e)又は(f)に示すように析出物4の上面が微細孔
3の拡大部6を超えない時間に設定することが好まし
い。このとき、電解析出物4の高さが拡大部6を超えて
微細孔3にまで到達すると、図2(b)で説明したよう
に個々の微細孔3において電解析出物4の量にバラツキ
があるため、より径の小さな微細孔3までに充填された
場合、量のバラツキは電解析出物4の高さの差として現
れる。その結果、電解析出物4の上面が平面にならず、
光の干渉がない褐色系の色調となる。
【0015】本発明においては、電流密度,時間等の電
解条件を調整することにより、電解析出物4の高さが微
細孔3の拡大部6を超えないように、具体的には電解析
出物4の上面が拡大部6内にあるようにしている。電解
析出物4の高さが図3(g)に示すように微細孔3の拡
大部6を超えるて微細孔3の小径部に到達するとき、各
微細孔3における電解析出物4の高さが不揃になり、光
の干渉が生じ難く、褐色に近い色調の皮膜しか得られな
い。このようにして処理された皮膜の色相は、着色終了
時の状態である図3(e)及び(f)に示した皮膜の断
面構造において、陽極酸化皮膜2とアルミニウム材料1
との界面から拡大部6の中にある電解析出物4の上面ま
での干渉面間距離Tにより決定される。干渉面間距離T
の大部分は、図3(c)に示した再陽極酸化皮膜10が
占めている。したがって、再陽極酸化皮膜10の厚さを
任意に制御することにより、従来の電解着色では困難で
あった広範囲の色相をもつ干渉色を得ることが可能にな
る。
【0016】色相は、表1に示すように干渉面間距離T
で決定されるが、距離Tの中にはバリヤー層5の厚さも
含まれている。そのため、第5工程(電解着色)で充填
される電解析出物4の高さt4 は、(干渉面間距離T)
− (バリヤー層5の厚さt3)分になる。このことは、バ
リヤー層5の厚さt3 を変化させることによって、同一
色相、すなわち同一干渉面間距離Tであっても電解析出
物4の高さt4 を変動できることを意味する。
【表1】
【0017】第1〜5工程を経たアルミニウム材料1に
は、図5に示す断面構造をもつ皮膜が形成されている。
このような断面構造にするには、第1工程から順次全工
程を実施することが不可欠である。この断面構造によっ
て出現する干渉色は、広範囲の色相をもち、且つ着色均
一性に優れたアルミニウム材料が提供される。第2工程
(中間処理)で形成された拡大部6の高さをt1 ,第3
工程で(再陽極酸化処理)形成された再陽極酸化皮膜1
0の高さをt2 ,バリヤー層5の高さをt3 ,電解析出
物4の高さをt4 及び干渉面間距離をTとするとき、こ
れらの間に次の関係が成立している。 T=t3 +t4 (t3 +t4 )<(t1 +t2
【0018】陽極酸化皮膜2とアルミニウム材料1の界
面で反射する光は、入射時に電解析出物4を通過する。
そのため、電解析出物4の高さt4 を変えることにより
反射光の強度が制御され、干渉色の明度,濃度等を調節
することが可能となる。また、色調は、電解析出物4の
高さt4 が小さいほど、バリヤー層5が厚いほど鮮やか
になる。再陽極酸化皮膜10の厚さは、明度が低く濃い
色調の発色を行わせる上で60〜600nmの範囲にあ
ることが好ましい。再陽極酸化皮膜10の厚さが60n
m未満では、淡い発色になる。逆に、600nmを超え
ると、発色することが可能であるものの、光の干渉が複
数段階で行われ、また下部微細孔11及び拡大部6に析
出する電解析出物4が多量になるため、濁った色調にな
る。電解着色されたアルミニウム材料は、煮沸,高圧水
蒸気接触,吹付け塗装,電着塗装等によって封孔処理さ
れる。
【0019】
【実施例】
実施例1〜5:板厚2mmのA1100P−H14板材か
ら切り出された縦100mm及び横200mmの試験片
を使用した。試験片20を、図6に示すように、横L=
350mm,縦W=120mm及び深さD=120mm
の電解槽21に挿入し、黒鉛製の対極22と直交する位
置関係で配置した。そして、電源23を介して試験片2
0と対極22とを結線し、次の条件で試験片20を電解
着色した。 第1工程:温度20℃に保持された150g/lの硫酸
電解浴中で、電流密度1.5A/dm2 の正の直流を4
5分間供給し、厚さ20μmの陽極酸化皮膜を試験片2
0の表面に形成した。このときの最終電圧は、17Vで
あった。 第2工程:25℃に保持された100g/lのリン酸浴
中で、陽極酸化された試験片20に正の直流電圧20V
を10分間印加した。 第3工程:
【0020】温度20℃に保持された150g/lの硫
酸電解浴中で試験片20に正の直流電圧15Vを印加
し、表2に示す条件下で各電気量を供給することにより
再陽極酸化皮膜を成長させた。 第4工程:次の金属塩及びバリヤー型皮膜形成剤を含む
溶液中で、試験片20に正の直流電流0.5A/dm2
を10秒間供給し、バリヤー層を調整した。 電解液組成:硫酸ニッケル NiSO4・6H2 O 50g/l 硫酸マグネシウム MgSO4・7H2 O 50g/l ほう酸 H3 BO3 30g/l 水 残部
【0021】第5工程:第4工程と同じ組成の電解浴中
で、次の矩形波交流を試験片20に供給し、電解着色し
た。 周波数 10Hz アノード/カソード時間比 1/10 アノード電流密度 0.4A/dm2 カソード電流密度 0.4A/dm 電解時間 表2に示す時間 第3工程での電気量及び第5工程での電解時間を変動さ
せることによって、表2に示すように種々の色相をもつ
発色が得られた。このときの断面構造寸法は、(t
+t4 )<(t1 +t2 )の関係にあり、電解析出物の
高さは微細孔底部の拡大部を超えることはなかった。着
色された試験片は、表面全域にわたり均一な色調を呈し
た。
【0022】比較例1:実施例1〜5と同じ電解槽21
及び試験片20を使用し、次の処理を施した。 第1〜4工程:実施例1〜5と同じ条件 第5工程: 通電時間が120秒である他は、実施例1
〜5と同じ 得られた皮膜の断面構造は、(t3 +t4 )>(t1
2 )の寸法関係にあり、電解析出物は微細孔底部の拡
大部を超えて析出しており、その高さも300〜600
nmと不揃であった。その結果、出現した色調は、不均
一な褐色系であった。
【表2】
【0023】実施例6〜7:実施例1〜5と同じ電解槽
21及び試験片20を使用し、次の処理を施した。 第1工程:実施例1〜5と同じ条件 第2工程:温度20℃に保持した50g/lの酒石酸溶
液中で、実施例6では正の直流電圧60Vで5分間電解
し、実施例7では正の直流電圧80Vで5分間電解し
た。 第3〜5工程:実施例1〜5と同じ条件 実施例6及び7で得られた色調は、表3に示すように均
一な青色であった。
【0024】比較例2:実施例1〜5と同じ電解槽21
及び試験片20を使用し、次の処理を施した。 第1工程:実施例1〜5と同じ条件 第2工程:実施例6及び7と同じ酒石酸溶液を使用し、
正の直流電圧20Vで5分間電解した。 第3〜5工程:実施例1〜5と同じ条件 得られた皮膜の断面構造をみると、微細孔の底部が拡大
されておらず、(t3+t4 )の厚さも100〜400
nmと不揃いであり、出現した色調は不均一な褐色系で
あった。
【表3】
【0025】実施例8:実施例1〜5と同じ電解槽21
及び試験片20を使用し、次の処理を施した。 第1工程:実施例1〜5と同じ条件で陽極酸化処理し、
最終電解電圧を17Vにした。 第2工程:実施例1〜5と同じ条件 第3工程:温度20℃に保持した150g/lの硫酸電
解浴中で、第1工程の最終電圧と同じ正の直流電圧17
Vを印加し、55クーロン/dm2 を供給した。なお、
このときの直流電圧が第1工程の最終電圧よりも低い場
合は、実施例1〜5に相当する。 第4〜5工程:実施例1〜5と同じ条件 得られた皮膜は、青色を呈し、試験片の表面全域が均一
に着色されていた。また、皮膜の剥離も検出されなかっ
た。
【0026】比較例3: 第1〜2工程:実施例1〜5と同じ条件 第3工程:実施例8と同じ硫酸電解浴中で、第1工程の
最終電圧17Vよりも高い正の直流電圧20Vを印加
し、55クーロン/dm2 の電気量を供給した。 第4〜5工程:実施例1〜5と同じ条件 得られた皮膜は、実施例8と同じ青色の色相をもってい
たが、皮膜強度が弱く、試験片を直角に折り曲げたとき
に下地のアルミニウムから剥離した。このときの処理条
件及び皮膜の性状を、表4に示す。
【表4】
【0027】実施例9:実施例1〜5と同じ電解槽21
及び試験片20を使用し、次の処理を施した。 第1〜2工程:実施例1〜5と同じ条件 第3工程:温度20℃に保持した10g/lの硫酸電解
浴中で、正の直流電圧15Vを4分間印加した後、正の
直流電圧60Vを1分間印加し、合計で95クーロン/
dm2 の電気量を供給した。 第4工程:実施例1〜5と同じ条件
【0028】第5工程:第4工程と同じ組成の電解浴中
で、次の矩形波電流を試験片に供給し、電解着色した。 周波数 10Hz アノード/カソード時間比 1/10 アノード電流密度 0.4A/dm2 カソード電流密度 0.4A/dm2 電解時間 97秒間 形成された皮膜は、鮮やかな濃い青色の色調を呈した。
皮膜の断面構造は、バリヤー層の高さt3 が60nm,
電解析出物の高さt4 が340nmであり、干渉面間距
離Tが400nmであった。
【0029】比較例4〜5:実施例9と同じ電解槽21
及び試験片20を使用し、次の処理を施した。 第1〜2工程:実施例1〜5と同じ条件 第3工程:実施例9と同一の硫酸電解浴中で電解した。
比較例4では、正の直流電圧15Vを4分間印加した
後、正の直流電圧20Vを3分間印加し、合計で95ク
ーロン/dm2 の電気量を供給した。比較例5では、正
の直流電圧15Vを4分間印加した後、正の直流電圧2
00Vを20秒間印加し、合計で95クーロン/dm2
の電気量を供給した。
【0030】第4工程:実施例1〜5と同じ条件 第5工程:比較例4で着色時間を109秒とする他は、
実施例9とほぼ同じ条件で電解着色した。比較例5で
は、皮膜破壊が生じたため、電解着色を中止した。比較
例4で形成された皮膜は、濃い青色に着色されていた
が、鮮やかさにおいて実施例9よりも著しく劣ってい
た。皮膜の断面構造は、バリヤー層の高さt3が20n
m,電解析出物の高さt4 が380nmであり、干渉面
間距離Tが400nmであった。すなわち、干渉面間距
離Tは実施例9と同一であるものの、バリヤー層が薄く
なっていた。なお、比較例5では、第4工程の電解中に
皮膜破壊が生じたため、着色はみられなかった。実施例
9及び比較例4〜5を、表5に対比して示す。
【表5】
【0031】実施例10:実施例1〜5と同じ電解槽2
1及び試験片20を使用し、次の処理を施した。 第1〜2工程:実施例1〜5と同じ条件 第3工程:温度20℃に保持した30g/lの蓚酸電解
浴中で、定電流密度1A/dm2で正の直流電流を52
秒間供給した後、直ちに電流を下げ、電流密度0.05
A/dm2 で60秒間電解を続行した。このときの電流
密度の降下割合は、1/20であった。 第4工程:実施例1〜5と同じ条件
【0032】第5工程:第4工程と同じ組成の電解浴中
で、次の矩形波電流を試験片に供給し、電解着色した。 周波数 10Hz アノード/カソード時間比 1/10 アノード電流密度 0.4A/dm2 カソード電流密度 0.4A/dm2 電解時間 63秒間 形成された皮膜は、不透明な青色を呈した。
【0033】比較例6〜7:実施例9と同じ電解槽21
及び試験片20を使用し、次の処理を施した。 第1〜2工程:実施例1〜5と同じ条件 第3工程:実施例10と同一の硫酸電解浴中で電解し
た。比較例6では、電流密度1A/dm2 で正の直流を
52秒間供給した後、直ちに電流密度を1/2に当る
0.5A/dm2 に下げ、6秒間電解を継続した。比較
例7では、電流密度1A/dm2 で正の直流を52秒間
供給した後、直ちに電流密度を1/200に当る0.0
05A/dm2 に下げ、600秒間電解を継続した。 第4〜5工程:実施例1〜5と同じ条件 形成された皮膜は、比較例6及び7共に透明感のある青
色に着色されていたが、実施例10のような不透明調の
青色は得られなかった。実施例10及び比較例6〜7
を、表6に対比して示す。
【表6】
【0034】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、陽極酸化皮膜中を垂直方向に延びる微細孔の底部を
拡大した後、拡大部から垂直下方に延びる下部微細孔を
形成し、途中に拡大部がある状態の微細孔に電解析出物
を析出させている。電解析出物の下方に延びる陽極酸化
皮膜の厚みは再陽極酸化処理によって自在に調節するこ
とができ、陽極酸化皮膜の厚みに応じて必要とする広範
囲の色調をもつ干渉色が得られる。また、アルミニウム
材料表面の全域にわたって均一な発色が得られ、内装
材,外装材,表層材等として広範な分野で使用される着
色材料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 二次電解着色法で生成した皮膜の断面構造
【図2】 干渉色が発現する皮膜(a)と干渉色が発現
しない皮膜(b)
【図3】 本発明に従って着色皮膜が形成される過程
【図4】 バリヤー層の調整による作用を説明する図
【図5】 形成された皮膜の断面構造
【図6】 実施例で使用した電解槽
【符号の説明】
1:アルミニウム材料 2:陽極酸化皮膜 3:微
細孔 4:電解析出物 5:バリヤー層 6:拡大部 7:電解析出物上面
での反射光 8:アルミニウム材料と陽極酸化皮膜の
界面での反射光 10:再陽極酸化皮膜層 11:下部微細孔 12,13:凹凸 T:干渉面間距離 t1 :拡大部の高さ t2 :再
陽極酸化皮膜の高さ t3 :バリヤー層の高さ t4 :電解析出物の高さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮坂 禧輝 東京都港区三田3丁目13番12号 日本軽 金属株式会社内 (72)発明者 若杉 邦男 富山県高岡市本郷2丁目5番8号 新日 軽株式会社北陸製造所内 (56)参考文献 特開 平6−49688(JP,A) 特開 平5−331688(JP,A) 特開 平4−6297(JP,A) 特開 平3−219097(JP,A) 特開 昭63−206499(JP,A) 特開 昭54−112347(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C25D 11/12 C25D 11/22

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 拡大部が中間に形成された複数の微細孔
    が垂直方向に延びた陽極酸化皮膜と、前記拡大部の範囲
    内に上面が位置するように前記微細孔に析出させた電解
    析出物とを備え、アルミニウム材料と前記陽極酸化皮膜
    との界面及び前記電解析出物の上面が入射光に対する反
    射面となっているアルミニウム材料表面に形成された暗
    濃色感に富む着色皮膜。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の微細孔の下端に凹凸が形
    成されているアルミニウム材料表面に形成された着色皮
    膜。
  3. 【請求項3】 次の工程(1)〜(5)を経るアルミニ
    ウム材料の電解着色法。 (1)アルミニウム材料に、複数の微細孔が垂直方向に
    延びた陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化処理工程 (2)リン酸を主成分とする溶液中で前記アルミニウム
    材料に交流,正の直流又は正のパルス電圧を印加し、前
    記微細孔の底部を拡大する中間処理工程 (3)前記アルミニウム材料を無機酸,有機酸或いはこ
    れらの混合溶液に浸漬し、交流,正の直流又は正のパル
    ス電圧を印加することにより、前記微細孔底部の拡大部
    から更に垂直下方に延びた下部微細孔を有する再陽極酸
    化皮膜を形成する再陽極酸化処理工程 (4)金属塩及びバリヤー型皮膜形成剤を含む溶液中で
    前記アルミニウム材料に正の直流又は正のパルス電圧を
    印加し、バリヤー層の厚さを調整するバリヤー層調整工
    程 (5)引き続き同じ組成の溶液中で前記アルミニウム材
    料に交流,負の直流,負のパルス電圧を印加し、前記下
    部微細孔から前記拡大部の範囲内に電解析出物を析出さ
    せる電解着色工程
  4. 【請求項4】 請求項3記載の再陽極酸化処理工程にお
    いて、再陽極酸化処理の終了直前に電流密度を1/10
    0〜1/10に低下させて電解を継続するアルミニウム
    材料の電解着色法。
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