JP2931177B2 - 透明感に富む着色皮膜及び電解着色法 - Google Patents

透明感に富む着色皮膜及び電解着色法

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JP2931177B2
JP2931177B2 JP5848893A JP5848893A JP2931177B2 JP 2931177 B2 JP2931177 B2 JP 2931177B2 JP 5848893 A JP5848893 A JP 5848893A JP 5848893 A JP5848893 A JP 5848893A JP 2931177 B2 JP2931177 B2 JP 2931177B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム又はアル
ミニウム合金(以下、アルミニウム材料で総称する)の
表面に形成された透明感に富む着色皮膜及び電解着色法
に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム材料を電解着色する方法と
して、アルミニウム材料に陽極酸化皮膜を形成した後、
金属塩含有溶液中で陽極酸化皮膜の微細孔に金属又は金
属化合物を電解析出させ、発色させる二次電解着色法が
実用化されている。この方法で得られる色調は、褐色系
の淡色から黒色に限られている。多色が得られる方式と
して、特公昭54−13860号公報では、陽極酸化皮
膜を形成した後、リン酸を含む電解浴中で微細孔を拡大
する中間処理を行い、次いで金属塩を含む溶液中で交流
電解する三次電解着色法が提案されている。この方法で
形成された着色皮膜に入射した光は、陽極酸化皮膜とア
ルミニウム材料との界面及び電解着色析出物面上で反射
する。これら反射光の間に干渉が生じた干渉作用によっ
て発色する。しかし、色相の範囲が狭く、色調が鮮やか
でない。また、着色均一性にも劣る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】二次電解着色では、淡
色から黒色まで明度を変化させることができる。この場
合、図1に示すようにアルミニウム材料1の表面に形成
された陽極酸化皮膜2の微細孔3に、電解析出物4が充
填されている。電解析出物4の高さは、アルミニウム材
料1の不純物やバリヤー層5の電気抵抗のバラツキ等に
よる影響を受け、不揃いになっている。そのため、ここ
での光の散乱及び吸収が著しく、得られる色相が褐色系
に限られる。三次電解法では、図2(a)に示すように
微細孔3の底部に拡大部6が形成されており、拡大部6
に電解析出物4が充填されている。この場合の発色原理
は、電解析出物4の上面での反射光7と陽極酸化皮膜2
とアルミニウム材料1の界面での反射光8との間の干渉
である。出現する干渉色は、反射光7と反射光8との光
路差に対応する。電解析出物4は、微細孔3の拡大部6
に析出するため、二次電解着色の場合と比較して、個々
の高さのバラツキが小さく、電解析出物4の上面は一つ
の平面を形成する。
【0004】しかし、中間処理によって微細孔3の底部
に形成される拡大部6が低いため、電解析出物4が拡大
部6によって高さ規制される。そのため、反射光7と反
射光8との光路差が限定され、干渉する色相の範囲が狭
くなる。広い範囲の色調を得ようとすると、図2(b)
に示すように電解析出物4を高く析出することが要求さ
れる。この場合、電解析出物4は、拡大部6を超えて小
径の微細孔3までを充填することになる。その結果、電
解析出物4それぞれの高さが不均一になり、光の干渉が
生じることなく褐色系の色調に変化する。特に、複雑な
形状をもつアルミニウム材料を電解着色する場合には、
電解槽の電位分布の影響を受け、電解析出物4の高さが
不均一になり、同一材料中に異なった色に発色する色ム
ラを生じる。
【0005】このように、従来の電解着色で広範囲の色
相をもち、鮮やかな色及び均一な着色性を得ることは困
難であった。また、特開平3−33802号公報におい
ても、同様に光の干渉によって発色させたアルミニウム
材料が紹介されているが、任意の色調をもつ皮膜を高い
自由度で得ることができない。また、特開平3−338
02号公報においても、光の干渉作用により発色させた
アルミニウム材料が紹介されているが、鮮やかな着色を
得ることができない。本発明は、このような問題を解消
すべく案出されたものであり、陽極酸化皮膜に形成され
ている微細孔の形状と電解析出物の形状に工夫を加える
ことにより、青,緑,黄,赤等の広範囲の色相を呈し、
透明感に富み鮮やかな色調で且つ均一に発色する皮膜を
アルミニウム材料表面に形成することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に従った電解着色
法は、次の工程を経る。 第1工程:アルミニウム材料表面に陽極酸化皮膜を形成
する陽極酸化工程 第2工程:陽極酸化皮膜の微細孔底部を拡大する中間処
理工程 第3工程:金属塩及びバリヤー型皮膜系製剤を含む溶液
中でバリヤー層の厚みを調整する工程 第4工程:引き続き同一溶液中で電解析出物の上面が微
細孔拡大部の範囲に維持されるように、微細孔拡大部に
電解析出物を析出させる電解着色工程 第5工程:貴金属溶液中にアルミニウム材料を浸漬し、
電解析出物の一部又は全部を貴金属で置換する工程 第6工程:得ようとする色に対応する厚さのバリヤー型
陽極酸化皮膜を電解析出物の下側に形成するため、特定
された条件下で再度陽極酸化するバリヤー型陽極酸化工
【0007】以下、各工程に付いて詳細に説明する。な
お、各工程で使用される各種溶液は、建浴時にアルミニ
ウム及びその合金元素を溶解していないが、操業の推移
に従ってアルミニウム及び合金元素が溶解した液にな
る。そこで、溶液中のアルミニウム及び合金元素の溶解
量をコントロールしながら処理することが好ましい。
【0008】第1工程:(陽極酸化) 脱脂,エッチング等によって表面が清浄化されたアルミ
ニウム材料に、常法どおり陽極酸化皮膜を形成する。こ
のときの電解液としては、硫酸,リン酸,クロム酸等の
無機酸、蓚酸,酒石酸等の有機酸、或いはこれらの混合
液が使用される。また、水酸化ナトリウム,炭酸ナトリ
ウム等のアルカリ性水溶液も使用可能である。陽極酸化
は、電解液中でアルミニウム材料に正の直流,正のパル
ス電圧或いは交直重畳電圧を印加することによって行わ
れる。陽極酸化によってアルミニウム材料1の表面に形
成された陽極酸化皮膜2は、図3(a)に示すように、
バリヤー層5を介して多数の微細孔3が分布した構造を
もっている。陽極酸化皮膜2の厚みは、用途に応じて任
意に調整される。たとえば、建材用としては、耐食性も
考慮して約10〜25μmの厚みがあれば良い。
【0009】第2工程:(中間処理) 陽極酸処理されたアルミニウム材料1をリン酸又は蓚
酸,酒石酸等の有機酸を主成分とする溶液に浸漬し、交
流,正の直流又は正のパルス電圧を印加するとき、図3
(b)に示すように、微細孔3の底部に拡大部6が形成
される。 第3工程:(バリヤー層調整) この工程は、次の第4工程(電解着色)と密接な関係を
持っており、電解着色時に電解析出物の高さを均一化さ
せ、均一な着色を得る上で重要な工程である。使用する
電解液は、Ni,Sn,Co,Fe,Cu,Se,P
b,Mo,V,Ti,Mn等の金属塩の1種又は2種以
上、ほう酸,ほう酸アンモニウム,酒石酸,酒石酸アン
モニウム,クエン酸等の1種又は2種以上のバリヤー型
皮膜形成剤を含んでいる。電解液にアルミニウム材料を
浸漬し、正の直流又は正のパルス電圧を印加することに
よってバリヤー層5の厚みが調整される。具体的な電解
条件としては、調整後のバリヤー層5の厚みが約20〜
150nmとなるように、20〜150Vの電解電圧,
10秒〜10分の電解時間及び電流密度0.1〜1A/
dm2 が採用される。
【0010】第4工程:(電解着色) バリヤー層5の厚みが調整された陽極酸化皮膜2の微細
孔3に電解析出物4を沈着させる処理であり、第3工程
と同じ金属塩含有溶液又は同じ組成の溶液中で電解され
る。電解は、金属含有溶液に浸漬したアルミニウム材料
1に交流,矩形波交流,負の直流又は負のパルス電圧を
印加して行われる。電解電圧は、20〜50Vの範囲で
調整される。電解時間は、15〜90秒の範囲で、図3
(c)に示すように析出物4の上面が微細孔3の拡大部
6を超えない時間に設定される。このとき、電解析出物
4の高さが拡大部6を超えて微細孔3にまで到達する
と、図2(b)で説明したように個々の微細孔3におい
て電解析出物4の量にバラツキがあるため、より径の小
さな微細孔3までに充填された場合、量のバラツキは電
解析出物4の高さの差として現れる。その結果、電解析
出物4の上面が平面にならず、光の干渉がない褐色系の
色調となる。本発明においては、電流密度,時間等の電
解条件を調整することにより、電解析出物4の高さが微
細孔3の拡大部6を超えないようにしている。
【0011】第5工程:(貴金属置換) Au,Ag,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Ir等の
貴金属塩の1種又は2種以上を含む溶液中に電解着色さ
れたアルミニウム材料を浸漬し、電解析出物4の一部又
は全部を貴金属又は貴金属塩で置換する。置換処理され
た皮膜の断面構造は、図3(d)に示すように電解析出
物4が貴金属溶液中で溶解されると同時に貴金属層9に
置換されている。貴金属層9は、後続する第6工程(バ
リヤー型陽極酸化処理)で溶解することなく、一定の高
さに維持される。図3(d)は、電解析出物4の全量を
貴金属で置換した状態を示しているが、電解析出物4の
一部のみを貴金属に置換した2層構造にすることも可能
である。2層構造にするときの各層の厚みは、第4工程
(電解着色)の電解時間及び第5工程(貴金属置換)の
浸漬時間を変えることにより制御される。また、電解析
出物4及び貴金属の種類の組合せや各層の厚さを変える
ことによって、発色する色調を微妙に変化させることが
可能である。
【0012】第6工程:(バリヤー型陽極酸化処理) 第5工程までに形成した電解析出物4及び貴金属層9の
下に、バリヤー型陽極酸化皮膜層10を成長させる工程
である。高濃度の硫酸,蓚酸,クロム酸等の溶液でアル
ミニウム材料を電解すると、通常の多孔質皮膜が安定し
て形成される。たとえば、150g/l硫酸溶液中で電
解電圧15V及び電流密度1A/dm2 で10分電解す
ると、バリヤー層5は約15nmと一定であり、多孔質
層はこれより格段に厚い3000nmに達している。す
なわち、通常の電解処理では、皮膜の大部分が多孔質層
で形成される。
【0013】他方、アルミニウム酸化物を溶解する力が
弱い溶液中でアルミニウム材料を電解すると、実質的に
微細孔のないバリヤー型陽極酸化皮膜10が形成され
る。このときの電解液としては、ほう酸,ほう酸アンモ
ニウム,リン酸アンモニウム,リン酸二水素アンモニウ
ム,アジピン酸アンモニウム,クエン酸アンモニウム,
低濃度の酒石酸,低濃度のリン酸等が使用される。アル
ミニウム酸化物に対する溶解力の相違により、形成され
るバリヤー型陽極酸化皮膜10が異なる。溶解力が非常
に弱い場合には、1.3〜1.4nm/Vの割合でバリ
ヤー型陽極酸化皮膜10のみが形成される。若干溶解力
がある電解液では、僅かに多孔質層が出現するものの、
安定的な多孔質層が成長せず、無孔部の多いバリヤー型
陽極酸化皮膜10が形成される。
【0014】干渉色の色相は、電解析出物4及びバリヤ
ー型陽極酸化皮膜10の合計厚さによって決定される。
電解析出物4の厚さは、微細孔3の底部にある拡大部6
の範囲にあることから規制される。したがって、干渉色
の色相は、主としてバリヤー型陽極酸化皮膜10の厚さ
に応じて定まる。たとえば、電解析出物4の厚さを30
nmとしたとき、バリヤー型陽極酸化皮膜10の厚さと
垂直方向に見た場合の干渉色の色相との関係を表1に示
す。バリヤー型陽極酸化皮膜10の厚さは、特に拘束さ
れるものではないが、色彩の豊かな領域は約50〜55
0nmの範囲にある。厚さがこの範囲を外れるバリヤー
型陽極酸化皮膜10では、灰色系の発色しか得られな
い。
【表1】 電解析出物の高さ:30nm
【0015】バリヤー型陽極酸化処理時に供給される電
流には、負の直流を除く全ての波形をもつ電流を使用す
ることができる。バリヤー型陽極酸化皮膜10の厚さ
は、干渉色の色相を決定する上で最も重要であり、膜厚
を正確にコントロールするために次の二通りの方式を採
用することが好ましい。第1の方式は、電流密度0.0
5〜1A/dm2 で正の直流を供給しながら電解する方
法である。このとき、電流密度が0.05A/dm2
満であると、バリヤー型陽極酸化皮膜10の成長が遅
く、生産性が悪い。逆に、1A/dm2 を超えると、電
解槽内の電位分布が悪化し、着色均一性を劣化させる原
因である皮膜厚さのバラツキが大きくなる。
【0016】バリヤー型陽極酸化皮膜10の厚さは電解
電圧に比例することから、定電圧法或いは定電流で電解
し所定の電圧に達したとき定電圧法に切り換える方式が
好ましい。電圧とバリヤー型陽極酸化皮膜10の厚さと
の関係は、電解液の種類,液温等によっても異なるが、
成長割合が1.0〜1.4nm/Vであることを考慮
し、所定の厚さになるように電解電圧を60〜600V
の範囲で設定する。電解電圧60〜600Vの範囲で
は、青,緑,黄,赤,紫等の種々の色相をもつ発色が得
られる。電解電圧が60V未満では、灰色一色しか得ら
れない。逆に、600Vを超える電解電圧では、アルミ
ニウム材料1の表面に発生する火花放電により皮膜破壊
が生じるので好ましくない。
【0017】第2の方式は、電流密度0.05〜1A/
dm2 及び電解電圧60〜600Vで周波数0.01〜
100Hzの正の直流或いは矩形波電流を加える方法で
ある。この場合、電流のオン・オフを繰り返すことによ
り、電流供給時の温度上昇を抑制し、温度分布の不均一
に起因してバリヤー型陽極酸化皮膜10の厚さにバラツ
キが発生することが防止される。周波数が0.01Hz
未満では、周期が長くなり、電流オン時の時間が短いた
め、長時間の電解が必要になる。逆に、100Hzを超
える周波数では、周期が短く電流オフ時の冷却効果が少
ないために好ましくない。電流密度及び電解時間に関し
ても、同様の理由によってそれぞれ0.05〜1A/d
2 及び60〜600Vの範囲に維持することが好まし
い。
【0018】本発明は、第6工程でバリヤー型陽極酸化
皮膜10が形成されることに特徴がある。第6工程で形
成される層が一般に用いられている硫酸溶液中で形成さ
れる多孔質型或いは本発明に従ったバリヤー型陽極酸化
皮膜10の何れであっても、干渉を生じさせる光学的光
路差が同一であれば、同一の色相をもった干渉色が得ら
れる。しかし、多孔質型の陽極酸化皮膜を第6工程で形
成すると、陽極酸化皮膜2とアルミニウム材料1との界
面からの反射光は、微細孔3を通過するとき、微細孔3
の壁における反射や散乱があるため、均一な光束になら
ない。そのため、干渉が弱く、出現する色が濁った色調
になる。他方、本発明に従ったバリヤー型陽極酸化皮膜
10は、実質的に無孔の緻密な層になっており、微細孔
3の壁における反射や散乱がない。そのため、得られる
干渉が強く、鮮やかな澄んだ色調の発色が得られる。
【0019】このように第1〜6工程を経るとき、透明
感に富んだ干渉色を呈する皮膜が形成され、最終的には
図3の(e)に示した新規な断面構造をもつ皮膜が形成
される。このような断面構造にするには、第1工程から
順次全工程を実施することが不可欠である。この断面構
造によって出現する干渉色は、広範囲の色相をもち、且
つ着色均一性に優れたアルミニウム材料が提供される。
電解着色されたアルミニウム材料は、煮沸,高圧水蒸気
接触,吹付け塗装,電着塗装等によって封孔処理され
る。
【0020】
【実施例】 実施例1〜2:板厚2mmのA1100P−H14板材か
ら切り出された縦100mm及び横200mmの試験片
を使用した。試験片20を、図4に示すように、横L=
350mm,縦W=120mm及び深さD=120mm
の電解槽21に挿入し、黒鉛製の対極22と直交する位
置関係で配置した。そして、電源23を介して試験片2
0と対極22とを結線し、次の条件で試験片20を電解
着色した。 第1工程:温度20℃に保持された150g/lの硫酸
電解浴中で、電流密度1.5A/dm2 の正の直流を4
5分間供給し、厚さ20μmの陽極酸化皮膜を試験片2
0の表面に形成した。 第2工程:25℃に保持された100g/lのリン酸浴
中で、陽極酸化された試験片20に正の直流電圧20V
を10分間印加した。
【0021】第3工程:次の金属塩及びバリヤー型皮膜
形成剤を含む溶液中で、試験片20に正の直流電流0.
5A/dm2 を80秒間供給し、バリヤー層を調整し
た。 電解液組成:硫酸ニッケル NiSO4・6H2 O 50g/l 硫酸マグネシウム MgSO4・7H2 O 50g/l ほう酸 H3 BO3 30g/l 水 残部 第4工程:第3工程と同じ組成の電解浴中で、次の矩形
波交流を試験片に供給し、電解着色した。 周波数 10Hz アノード/カソード時間比 1/5 アノード電流密度 0.4A/dm2 カソード電流密度 0.4A/dm2 電解時間 15秒間
【0022】第5工程:H2 PtCl6・6H2 O:5g
/l及びH2 SO4 :20g/lを含む溶液中に試験片
20を2分間浸漬し、貴金属置換処理を行った。 第6工程:実施例1では、20℃に保持した3g/lの
酒石酸電解浴に試験片20を浸漬した。実施例2では、
20℃に保持したほう酸30g/l及びほう酸ナトリウ
ム10g/lを含む電解浴に試験片20を浸漬した。実
施例1及び2共に、電流密度0.2A/dm2 で正の直
流を試験片20に8分間供給し、電解電圧が200Vに
達するまで電解した。実施例1では、僅かな多孔質層
(厚さ20nm)と厚いバリヤー型陽極酸化皮膜10
(厚さ260nm)が形成されていた。実施例2では、
全てバリヤー型陽極酸化皮膜10からなる厚さ280n
mの皮膜が形成されていた。何れの実施例においても、
試験片20は、鮮やかな透明感に富む黄色に着色され
た。また、着色皮膜は、均一性に優れた色調をもつもの
であった。
【0023】比較例1:実施例1〜2と同じ電解槽21
及び試験片20を使用し、次の処理を施した。 第1〜5工程:実施例1〜2と同じ条件 第6工程:試験片20を150g/lの硫酸溶液に浸漬
し、電流密度0.2A/dm2 で4分40秒電解した。
このとき、電圧の上昇は見られず、一定値15Vに維持
されていた。形成された皮膜は、通常の多孔質皮膜であ
り、多孔質層の厚さが265nmと大部分を占め、バリ
ヤー層は15nmと僅かであった。得られた皮膜は、実
施例1及び2と同じ黄色の色相を呈したが、濁った色調
であった。第6工程の電解条件が着色皮膜の性状に与え
る影響を、実施例1及び2と比較例1とを対比して表2
に示す。
【表2】 比較例2〜5:実施例1,2と同じ電解槽21及び試験
片20を使用し、次の処理を施した。 第1〜5工程:実施例1,2と同じ条件 第6工程:実施例1と同じ温度20℃の3g/l酒石酸
溶液中で、表3に示す条件下で試験片を電解した。比較
例2では、低い電流密度0.01A/dm2 で30分間
電解したが、電圧の上昇が遅く、不均一な灰褐色の色調
しか得られなかった。比較例3では、高い電流密度5A
/dm2 で20秒間電解したところ、着色均一性が悪
く、緑,黄,紫が混在した斑模様が出現した。比較例4
では、低電圧20Vで電解したが、明るい褐色と暗い褐
色が混在した不均一な色調を呈した。比較例5では、高
電圧700Vで電解したところ、皮膜破壊が生じた。こ
のように、最適条件から外れた比較例2〜5では、実施
例1と比較して何れも色調,均一性及び安定性が不十分
であった。
【表3】
【0024】実施例3:実施例1と同じ電解槽21及び
試験片20を使用し、次の処理を施した。 第1〜4工程: 実施例1と同じ条件 第5工程:PdSO4 :5g/l及びH2 SO4 :10
g/lを含む溶液に、試験片20を10分間浸漬した。 第6工程:温度20℃の30g/lほう酸+10g/l
ほう酸ナトリウム溶液に試験片20を浸漬し、次の条件
下で正のパルス電圧を印加して電解した。 電流密度 0.2A/dm2 周波数 2Hz オン/オフ時間比 1/1 電解時間 5分 最終電圧 160V 電解された試験片20の表面は、表4に示すように鮮や
かな黄色で均一に着色された。
【0025】比較例6〜9:実施例3と同じ電解槽21
及び試験片20を使用し、次の処理を施した。 第1〜5工程: 実施例3と同じ 第6工程:実施例3と同じ電解浴を使用し、表4に示す
ように、実施例3と異なる電流密度及び周波数で正のパ
ルス電圧を試験片20に印加する電解を行った。比較例
6では、高電流密度5A/dm2 で電解したところ、緑
と紫が混在し着色均一性に劣る色調であった。比較例7
では、高周波数200Hzで電解したところ、緑と紫が
混在し着色均一性に劣る色調であった。比較例8では、
低電圧20Vで電解したところ、不均一な灰褐色が出現
した。比較例9では、高電圧700Vで電解したとこ
ろ、皮膜破壊が生じた。このように、最適条件から外れ
た比較例6〜9では、実施例3と比較して何れも色調,
均一性及び安定性が不十分であった。
【表4】
【0026】実施例4:実施例1と同じ電解槽21及び
試験片20を使用し、次の処理を施した。 第1〜4工程:実施例1と同じ条件 第5工程:Ag2 SO4 :10g/l及びH2 SO4
10g/lを含む溶液に、試験片20を10分間浸漬し
た。 第6工程:実施例1と同じ3g/l酒石酸溶液に試験片
20を浸漬し、次の条件下で矩形波電流を使用して電解
した。 電流密度 0.2A/dm2 周波数 20Hz アノード/カソード比 1/1 電解時間 24分 電解電圧 300V 電解処理された試験片20の表面は、表5に示すように
鮮やかな緑色で均一に着色された。
【0027】比較例10〜13: 第1〜5工程:実施例4と同じ条件 第6工程:実施例4と同じ電解液に試験片20を浸漬
し、実施例4と異なる電流密度及び周波数で表5に示す
矩形波交流を供給する電解を行った。比較例10では、
高電流密度5A/dm2 で電解したところ、黄,青色が
混在した着色均一性に劣る色調であった。比較例11で
は、高周波数200Hzで電解したところ、黄,青色が
混在した着色均一性に劣る色調であった。比較例12で
は、低電圧20Vで電解したところ、不均一な灰褐色が
出現した。比較例13では、高電圧700Vで電解した
ところ、皮膜破壊が発生した。比較例14では、低周波
数0.005Hzで電解したところ、黄,青色が混在し
た着色均一性に劣る色調であった。このように、最適条
件から外れた比較例10〜14では、実施例4と比較し
て何れも着色均一性等が不十分であった。
【表5】
【0028】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、陽極酸化皮膜中を垂直方向に延びる微細孔の底部を
拡大し、拡大部に析出させた電解析出物の一部又は全部
を貴金属で置換した後、電解析出物又は貴金属層の底部
にバリヤー型陽極酸化皮膜を形成している。バリヤー型
陽極酸化皮膜は、実質的に無孔であり、アルミニウム材
料と陽極酸化皮膜との界面で反射した光を電解析出物又
は貴金属層の壁で散乱や反射を起こすことなく。均一な
光束として外部に出射させる。そのため、干渉する光の
強度が大きく、鮮やかで透明感に富む発色が得られる。
バリヤー型陽極酸化皮膜の厚さは自在に調節することが
でき、厚さに応じて必要とする広範囲の色調をもつ干渉
色が得られる。また、アルミニウム材料表面の全域にわ
たって均一な発色が得られ、内装材,外装材,表層材等
として広範な分野で使用される着色材料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 二次電解着色法で生成した皮膜の断面構造
【図2】 干渉色が発現する皮膜(a)と干渉色が発現
しない皮膜(b)
【図3】 本発明に従って着色皮膜が形成される過程
【図4】 実施例で使用した電解槽
【符号の説明】
1:アルミニウム材料 2:陽極酸化皮膜 3:微
細孔 4:電解析出物 5:バリヤー層 6:拡大部 7:電解析出物上面
での反射光 8:アルミニウム材料と陽極酸化皮膜の
界面での反射光 9:貴金属層 10:バリヤー型
陽極酸化皮膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮坂 禧輝 東京都港区三田3丁目13番12号 日本軽 金属株式会社内 (72)発明者 若杉 邦男 富山県高岡市本郷2丁目5番8号 新日 軽株式会社北陸製造所内 (56)参考文献 特開 平6−49688(JP,A) 特開 平5−331688(JP,A) 特開 平4−6297(JP,A) 特開 平3−219097(JP,A) 特開 昭63−206499(JP,A) 特開 昭54−112347(JP,A) 特開 平6−116789(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C25D 11/22

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の工程(1)〜(6)を経るアルミニ
    ウム材料の電解着色法。 (1)アルミニウム材料に、多数の微細孔が垂直方向に
    延びた陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化処理工程 (2)リン酸又は有機酸を主体とする溶液中で前記アル
    ミニウム材料に交流,正の直流又は正のパルス電圧を印
    加し、前記微細孔の底部を拡大する中間処理工程 (3)Ni,Sn,Co,Fe,Cu,Se,Pb,M
    o,V,Ti,Mn等の金属塩の1種又は2種以上及び
    バリヤー型皮膜形成剤を含む溶液中で前記アルミニウム
    材料に正の直流又は正のパルス電圧を印加し、バリヤー
    層の厚さを調整するバリヤー層調整工程 (4)引き続き同じ組成の溶液中で前記アルミニウム材
    料に交流,負の直流或いは負のパルス電圧を印加し、前
    記微細孔底部の拡大部の範囲内に電解析出物を析出させ
    る電解着色工程 (5)Au,Ag,Pt,Pd等の貴金属塩の1種又は
    2種以上を含む溶液に前記アルミニウム材料を浸漬し、
    前記電解析出物の一部又は全部を貴金属又は貴金属塩で
    置換する貴金属置換工程 (6)バリヤー型皮膜形成剤を含む溶液中で前記アルミ
    ニウム材料に正の直流又は正のパルス電圧を印加し、目
    標干渉色に対応する厚さ50〜550nmのバリヤー型
    陽極酸化皮膜を前記電解析出物又は析出貴金属の下方に
    成長させるバリヤー型陽極酸化処理工程
  2. 【請求項2】 請求項1記載のバリヤー型陽極酸化処理
    工程は、電圧60〜600V及び電流密度0.05〜1
    A/dm2 で正の直流をアルミニウム材料に供給する電
    解着色法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のバリヤー型陽極酸化処理
    工程は、電圧60〜600V及び電流密度0.05〜1
    A/dm2 で周波数0.01〜100Hzの正のパルス
    直流又は矩形波交流をアルミニウム材料に供給する電解
    着色法。
  4. 【請求項4】 拡大部が底部に形成された多数の微細孔
    が表面まで延びた陽極酸化皮膜と、前記微細孔の拡大さ
    れた底部に析出した電解析出物の一部又は全部を置換す
    る貴金属層と、前記拡大部の下方にあるバリヤー層を備
    え、アルミニウム材料と前記バリヤー層との界面及び前
    記電解析出物の上面が入射光に対する反射面となってお
    り、前記バリヤー層は、目標干渉色に応じて長さ調節さ
    れているアルミニウム材料の表面に形成された透明感に
    富む着色皮膜。
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