JP3101606B2 - アルミニウム材料の電解着色方法 - Google Patents

アルミニウム材料の電解着色方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム又はアル
ミニウム合金(以下、アルミニウム材料で総称する)の
表面に光の干渉を利用した着色皮膜を形成する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム材料を電解着色する方法と
して、アルミニウム材料に陽極酸化皮膜を形成した後、
金属塩含有溶液中で陽極酸化皮膜の微細孔に金属又は金
属化合物を電解析出させ、発色させる二次電解着色法が
実用化されている。この方法で得られる色調は、褐色系
の淡色から黒色に限られている。多色が得られる方式と
して、特公昭54−13860号公報では、陽極酸化皮
膜を形成した後、リン酸を含む電解浴中で微細孔を拡大
する中間処理を行い、次いで金属塩を含む溶液中で交流
電解する三次電解着色法が提案されている。この方法で
形成された着色皮膜に入射した光は、陽極酸化皮膜とア
ルミニウム材料との界面及び電解着色析出物面上で反射
する。これら反射光の間に干渉が生じた干渉作用によっ
て発色する。しかし、色相の範囲が狭く、淡色のものし
か得られていない。また、着色均一性にも劣る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】二次電解着色では、淡
色から黒色まで明度を変化させることができる。この場
合、図1に示すようにアルミニウム材料1の表面に形成
された陽極酸化皮膜2の微細孔3に、電解析出物4が充
填されている。電解析出物4の高さは、アルミニウム材
料1の不純物やバリヤー層5の電気抵抗のバラツキ等に
よる影響を受け、不揃いになっている。そのため、ここ
での光の散乱及び吸収が著しく、得られる色相が褐色系
に限られる。三次電解法では、図2(a)に示すように
微細孔3の底部に拡大部6が形成されており、拡大部6
に電解析出物4が充填されている。この場合の発色原理
は、電解析出物4の上面での反射光7と陽極酸化皮膜2
とアルミニウム材料1の界面での反射光8との間の干渉
である。出現する干渉色は、反射光7と反射光8との光
路差に対応する。電解析出物4は、微細孔3の拡大部6
に析出するため、二次電解着色の場合と比較して、個々
の高さのバラツキが小さく、電解析出物4の上面は一つ
の平面を形成する。
【0004】しかし、中間処理によって微細孔3の底部
に形成される拡大部6が低いため、電解析出物4が拡大
部6によって高さ規制される。そのため、反射光7と反
射光8との光路差が限定されたものになり、干渉する色
相の範囲が狭くなる。広い範囲の色調を得ようとする
と、図2(b)に示すように電解析出物4を高く析出す
ることが要求される。この場合、電解析出物4は、拡大
部6を超えて小径の微細孔3までを充填することにな
る。その結果、電解析出物4それぞれの高さが不均一に
なり、光の干渉が生じることなく褐色系の色調に変化す
る。特に、複雑な形状をもつアルミニウム材料を電解着
色する場合には、電解槽の電位分布の影響を受け、電解
析出物4の高さが均一にならず、同一材料中に異なった
色に発色する色ムラを生じる。
【0005】このように、従来の電解着色で広範囲の色
相をもち、且つ均一な着色性を得ることは困難であっ
た。また、特開平3−33802号公報においても、同
様に光の干渉によって発色させたアルミニウム材料が紹
介されているが、着色均一性が良好で任意の色調をもつ
皮膜を高い自由度で得ることができない。本発明は、こ
のような問題を解消すべく案出されたものであり、陽極
酸化皮膜に形成されている微細孔の形状と電解析出物の
形状に工夫を加えることにより、青,緑,黄,赤等の広
範囲の色相を呈し、均一な色をもつ皮膜をアルミニウム
材料表面に形成することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に従った電解着色
法は、次の工程を経る。 第1工程:アルミニウム材料表面に陽極酸化皮膜を形成
する陽極酸化工程 第2工程:陽極酸化皮膜の微細孔底部を拡大する中間処
理工程 第3工程:金属塩及びバリヤー型皮膜形成剤を含む溶液
中でバリヤー層の厚みを調整する工程 第4工程:引き続き同一溶液中で電解析出物の上面が微
細孔拡大部の範囲に維持されるように、微細孔拡大部に
電解析出物を析出させる電解着色工程 第5工程:貴金属溶液中にアルミニウム材料を浸漬し、
電解析出物の一部又は全部を貴金属で置換する工程 第6工程:得ようとする色に対応する厚さの多孔質陽極
酸化皮膜を貴金属で置換した層の下側に形成するため、
無機酸,有機酸或いはこれらの混合溶液中で前記アルミ
ニウム材料に電流密度0.1〜5A/dm2 ,周波数
0.01〜100Hzで正のパルス電流又は矩形波電流
を供給して再度陽極酸化する再陽極酸化処理工程
【0007】以下、各工程について詳細に説明する。な
お、各工程で使用される各種溶液は、建浴時にはアルミ
ニウム及びその合金元素を溶解していないが、操業の推
移に伴ってアルミニウム及び合金元素が溶解した液にな
る。そこで、溶液中のアルミニウム及び合金元素の溶解
量をコントロールしながら処理することが好ましい。
【0008】第1工程:(陽極酸化) 脱脂,エッチング等によって表面が清浄化されたアルミ
ニウム材料に、常法どおり陽極酸化皮膜を形成する。こ
のときの電解液としては、硫酸,リン酸,クロム酸等の
無機酸、蓚酸,酒石酸等の有機酸、或いはこれらの混合
液が使用される。また、水酸化ナトリウム,炭酸ナトリ
ウム等のアルカリ性水溶液も使用可能である。陽極酸化
は、電解液中でアルミニウム材料に正の直流,正のパル
ス電圧或いは交直重畳電圧を印加することによって行わ
れる。陽極酸化によってアルミニウム材料1の表面に形
成された陽極酸化皮膜2は、図3(a)に示すように、
バリヤー層5を介して多数の微細孔3が分布した構造を
もっている。陽極酸化皮膜2の厚みは、用途に応じて任
意に調整される。たとえば、建材用としては、耐食性も
考慮して約10〜25μmの厚みがあれば良い。
【0009】第2工程:(中間処理) 陽極酸処理されたアルミニウム材料1をリン酸又は蓚
酸,酒石酸等の有機酸を主成分とする溶液に浸漬し、交
流,正の直流又は正のパルス電圧を印加するとき、図3
(b)に示すように、微細孔3の底部に拡大部6が形成
される。
【0010】第3工程:(バリヤー層調整) この工程は、次の第4工程(電解着色)と密接な関係を
持っており、電解着色時に電解析出物の高さを均一化さ
せ、均一な着色を得る上で重要な工程である。使用する
電解液は、Ni,Sn,Co,Fe,Cu,Se,P
b,Mo,Ti,Mn等の金属塩の1種又は2種以上、
ほう酸,ほう酸アンモニウム,酒石酸,酒石酸アンモニ
ウム,クエン酸等の1種又は2種以上のバリヤー型皮膜
形成剤を含んでいる。電解液にアルミニウム材料を浸漬
し、正の直流又は正のパルス電圧を印加することによっ
てバリヤー層5の厚みが調整される。具体的な電解条件
としては、調整後のバリヤー層5の厚みが約20〜15
0nmとなるように、20〜150Vの電解電圧,10
秒〜10分の電解時間及び電流密度0.1〜1A/dm
2 が採用される。
【0011】第4工程:(電解着色) バリヤー層5の厚みが調整された陽極酸化皮膜2の微細
孔3に電解析出物4を沈着させる処理であり、第3工程
と同じ金属塩含有溶液又は同じ組成の溶液中で電解され
る。電解は、金属含有溶液に浸漬したアルミニウム材料
1に交流,矩形波交流,負の直流又は負のパルス電圧を
印加して行われる。電解電圧は、20〜50Vの範囲で
調整される。電解時間は、15〜90秒の範囲で、図3
(c)に示すように析出物4の上面が微細孔3の拡大部
6を超えない時間に設定される。このとき、電解析出物
4の高さが拡大部6を超えて微細孔3にまで到達する
と、図2(b)で説明したように個々の微細孔3におい
て電解析出物4の量にバラツキがあるため、より径の小
さな微細孔3までに充填された場合、量のバラツキは電
解析出物4の高さの差として現れる。その結果、電解析
出物4の上面が平面にならず、光の干渉がない褐色系の
色調となる。本発明においては、電流密度,時間等の電
解条件を調整することにより、電解析出物4の高さが微
細孔3の拡大部6を超えないようにしている。
【0012】第5工程:(貴金属置換) Au,Ag,Pt,Pd,Ru,Rh,Os,Ir等の
貴金属塩の1種又は2種以上を含む溶液中に電解着色さ
れたアルミニウム材料を浸漬し、電解析出物4の一部又
は全部を貴金属又は貴金属塩で置換する。置換処理され
た皮膜の断面構造は、図3(d)に示すように電解析出
物4が貴金属溶液中で溶解されると同時に貴金属層9に
置換されている。貴金属層9は、後続する第6工程(再
陽極酸化)で溶解することなく、一定の高さに維持され
る。図3(d)は、電解析出物4の全量を貴金属で置換
した状態を示しているが、電解析出物4の一部のみを貴
金属に置換した2層構造にすることも可能である。2層
構造にするときの各層の厚みは、第4工程(電解着色)
の電解時間及び第5工程(貴金属置換)の浸漬時間を変
えることにより制御される。また、電解析出物4及び貴
金属9の種類の組合せやこれら層の厚さを変えることに
よって、発色する色調を微妙に変化させることが可能で
ある。
【0013】第6工程:(再陽極酸化処理) 第5工程までに形成した電解析出物4及び貴金属層9の
下に再陽極酸化皮膜層10を成長させる工程である。電
解液には、硫酸等の無機酸,蓚酸等の有機酸或いはこれ
らの混合溶液が使用され、10〜30℃の温度範囲に維
持される。再陽極酸化処理によって、電解析出物4又は
貴金属層9から垂直下方に延びた下部微細孔11を有す
る陽極酸化皮膜が形成される。
【0014】再陽極酸化時に印加される電流波形として
は負の直流以外の全ての波形を用いることができるが、
再陽極酸化皮膜10の厚さが干渉色の色相を決定する上
で最も重要な要因となることから、本発明では、膜厚を
正確に制御するため、電流密度0.1〜5A/dm2
周波数0.01〜100Hzで正のパルス直流又は矩形
波交流を供給している。電流密度が0.1A/dm2
満であると、再陽極酸化皮膜の成長が遅く、5A/dm
2 を超えると電解電圧の上昇によって電解槽内の電位分
布が悪化し、何れの場合も皮膜厚さのバラツキに起因す
る着色均一性が劣化する。正のパルス直流又は矩形波交
流の供給により電流のオン・オフが繰り返され、電流供
給時の温度上昇が防がれ、温度上昇に起因した再陽極酸
化皮膜の厚さにバラツキが生じることが抑制される。そ
の結果、干渉色に色ムラがなくなり、付き回り性が良く
なる。供給する電流の周波数が0.01Hz未満では、
周期が長く、電流オンの状態が長くなりすぎる。逆に、
100Hz以上では、周期が短く、電流オフによる冷却
効果が少なくなる。
【0015】再陽極酸化処理終了直前に電流密度を規定
量低下させると、下部微細孔11の下端に凹凸12が形
成されると共に、アルミニウム材料1と陽極酸化皮膜2
との界面にも凹凸13が形成される。これら凹凸12,
13は、干渉色に不透明感を付与する上で有効である。
具体的には、再陽極酸化処理の終了直前に、1/100
〜1/10に電流密度を低下させると、図3(f)に示
すように、下部微細孔11の下端に凹凸12が形成さ
れ、陽極酸化皮膜2とアルミニウム材料1との界面に凹
凸13が発生した皮膜構造となる。凹凸12,13の形
成によって、界面における光の散乱が多くなる。そのた
め、干渉色が不透明調となり、新規な色調が得られる。
たとえば、図4に示すように、時刻T1 で電流Iを急激
に1/100〜1/10に低下させると、電圧Vは、時
刻T2 までの間に徐々に低下し、時刻T2 以降で一定電
圧になる。時間(T1 〜T2 )は、使用する電解液の組
成によっても異なるが、通常10秒〜10分間である。
時間(T1 〜T2 )では、図3(f)に示すように、一
部の下部微細孔11の底部が木の根状に広がり、陽極酸
化皮膜2とアルミニウム材料1との界面は凹凸が激しく
なる。この現象を利用することにより、不透明調の色調
が得られる。
【0016】着色処理されたアルミニウム材料は、電解
析出物4又は貴金属層9と再陽極酸化皮膜10の合計厚
さによって定まる色相の干渉色を呈する。ここで、電解
析出物4又は貴金属層9は、微細孔3の底部にある拡大
部6の範囲内であるため、限定された厚さをもってい
る。したがって、干渉色の色相は、主として再陽極酸化
皮膜10の厚さによって決定される。たとえば、厚さ3
0nmの電解析出物4を形成したとき、着色処理された
アルミニウム材料の表面に垂直な方向からみた場合の干
渉色と再陽極酸化皮膜10との関係を表1に示す。再陽
極酸化皮膜10の厚さは特に限定されるものではない
が、色彩の豊かな領域は約50〜500nmである。厚
みがこの範囲を外れる再陽極酸化皮膜10では、灰色系
の発色になりがちである。
【0017】
【0018】第1〜6工程を経るとき、最終的には図3
の(e)又は(f)に示した新規な断面構造をもつ皮膜
が形成される。このような断面構造にするには、第1工
程から順次全工程を実施することが不可欠である。この
断面構造によって出現する干渉色は、広範囲の色相をも
ち、且つ着色均一性に優れたアルミニウム材料が提供さ
れる。電解着色されたアルミニウム材料は、煮沸,高圧
水蒸気接触,吹付け塗装,電着塗装等によって封孔処理
される。
【0019】
【実施例】
実施例1:板厚2mmのA1100P−H14板材から
切り出された縦100mm及び横200mmの試験片を
使用した。試験片20を、図5に示すように、横L=3
50mm,縦W=120mm及び深さD=120mmの
電解槽21に挿入し、黒鉛製の対極22と直交する位置
関係で配置した。そして、電源23を介して試験片20
と対極22とを結線し、次の条件で試験片20を電解着
色した。 第1工程:温度20℃に保持された150g/lの硫酸
電解浴中で、電流密度1.5A/dm2 の正の直流を4
5分間供給し、厚さ20μmの陽極酸化皮膜を試験片2
0の表面に形成した。 第2工程:25℃に保持された100g/lのリン酸浴
中で、陽極酸化された試験片20に正の直流電圧20V
を10分間印加した。
【0020】第3工程:次の金属塩及びバリヤー型皮膜
形成剤を含む溶液中で、試験片20に正の直流電流0.
5A/dm2 を80秒間供給し、バリヤー層を調整し
た。 電解液組成:硫酸ニッケル NiSO4・6H2 O 50g/l 硫酸マグネシウム MgSO4・7H2 O 50g/l ほう酸 H3 BO3 30g/l 水 残部
【0021】第4工程:第3工程と同じ組成の電解浴中
で、次の矩形波交流を試験片に供給し、電解着色した。 周波数 10Hz アノード/カソード時間比 1/10 アノード電流密度 0.4A/dm2 カソード電流密度 0.4A/dm2 電解時間 15秒間
【0022】第5工程:PdSO4 :5g/l及びH2
SO4 :10g/lを含む溶液に、試験片20を10分
間浸漬し、貴金属置換処理を行った。 第6工程:温度20℃に保持した150g/lの硫酸電
解浴中で、表2に示す正のパルス電流又は矩形波電流を
正の電気量100クーロン/dm2 で供給した。再陽極
酸化処理された試験片は、表面全域にわたり均一な緑色
の着色が施されていた。得られた色相は、表2に示すよ
うに電気量、換言すれば再陽極酸化皮膜の厚さに応じて
変化していた。また、対極22から試験片20までの距
離に拘らず、均一な同一色調の皮膜が試験片20の表面
に形成されていた。
【0023】比較例1:実施例1と同じ電解槽21及び
試験片20を使用し、次の処理を施した。 第1〜5工程:実施例1と同じ条件 第6工程:表2に示す条件で正のパルス直流(試験番号
3)及び矩形波交流(試験番号4)を供給した。処理後
の試験片には、試験番号3及び4共に種々の色調に着色
され、着色均一性が非常に悪いものであった。これは、
同様なパルス直流又は矩形波交流を供給しても、本発明
で規定した条件が満足されないと着色均一性の良好な色
調が得られないことを示す。
【0024】
【0025】実施例2:実施例1と同じ電解槽21及び
試験片20を使用し、次の処理を施した。 第1〜4工程:実施例1と同じ条件 第5工程:Ag2 SO4 :10g/l及びH2 SO4
10g/lを含む溶液中に、試験片20を10分間浸漬
した。 第6工程:温度20℃に保持した150g/lの硫酸溶
液に試験片20を浸漬し、定電流密度1A/dm2 で正
の直流を供給し、55秒間再陽極酸化処理した。形成さ
れた再陽極酸化皮膜は、220nmの厚みをもってい
た。再陽極酸化処理終了直前に、電流密度を1/20の
0.05A/dm2 まで低下させ、この状態で30秒間
電解した。得られた着色皮膜の色調を、再陽極酸化処理
の条件と対応させて表3に示す。なお、表3では、L*
** 表色系で測定した明度L* の値を示している。
明度L* は、値が大きいほど明るい色であることを表
す。試験番号5の皮膜では、電流降下を行わない試験番
号6と比較すると明度が低くなっており、不透明感のあ
る青色が得られている。なお、本例では、正の直流を供
給する再陽極酸化処理を採用しているが、正のパルス直
流及び矩形波交流を供給する再陽極酸化処理でも同様に
不透明感が付与された色調になった。
【0026】比較例2:実施例2と同じ電解槽21及び
試験片20を使用し、次の処理を施した。 第1〜5工程:実施例1と同じ条件 第6工程:温度20℃に保持した150g/lの硫酸溶
液に試験片を浸漬し、定電流密度1A/dm2 で正の直
流を供給し、55秒間再陽極酸化処理した。再陽極酸化
処理の終了直前に、1/2の電流密度0.5A/dm2
まで低下させた状態で3秒間電解(試験番号7)及び1
/200の電流密度0.005A/dm2 まで低下させ
た状態で300秒間電解(試験番号8)した。この場
合、試験番号7及び8共に、表3に示すように明度L*
の低下が小さく、透明感のある色しか得られなかった。
【0027】
【0028】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、陽極酸化皮膜中を垂直方向に延びる微細孔の底部を
拡大し、拡大部に析出させた電解析出物の一部又は全部
を貴金属で置換した後、電解析出物又は貴金属層の底部
に延びる下部微細孔を再陽極酸化処理によって形成して
いる。再陽極酸化処理時に電流密度0.1〜5A/dm
2 ,周波数0.01〜100Hzの正のパルス直流又は
矩形波交流を供給することにより、電解析出物又は貴金
属層の下方に延びる陽極酸化皮膜の厚みが自在に且つ適
正に調節され、陽極酸化皮膜の厚みに応じて必要とする
広範囲の色調をもつ干渉色が得られる。更には、再陽極
酸化処理終了直前に電流密度を低下させると、不透明感
が付与された色調が得られる。このようにして、アルミ
ニウム材料表面の全域にわたって均一な発色が得られ、
内装材,外装材,表層材等として広範な分野で使用され
る着色材料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 二次電解着色法で生成した皮膜の断面構造
【図2】 干渉色が発現する皮膜(a)と干渉色が発現
しない皮膜(b)
【図3】 本発明に従って着色皮膜が形成される過程
【図4】 電流及び電圧の経時変化
【図5】 実施例で使用した電解槽
【符号の説明】
1:アルミニウム材料 2:陽極酸化皮膜 3:微
細孔 4:電解析出物 5:バリヤー層 6:拡大部 7:電解析出物上面
での反射光 8:アルミニウム材料と陽極酸化皮膜の界面での反射光
9:貴金属層 10:再陽極酸化皮膜層 11:下部微細孔 1
2,13:凹凸
フロントページの続き (72)発明者 田中 義朗 東京都品川区東品川二丁目2番20号 日 本軽金属株式会社内 (72)発明者 宮坂 禧輝 東京都品川区東品川二丁目2番20号 日 本軽金属株式会社内 (72)発明者 若杉 邦男 富山県高岡市本郷二丁目5番8号 新日 軽株式会社北陸製造所内 (72)発明者 木下 俊久 富山県高岡市本郷二丁目5番8号 新日 軽株式会社北陸製造所内 (56)参考文献 特開 平6−116789(JP,A) 国際公開92/19796(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 11/00 - 11/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の工程(1)〜(6)を経るアルミニ
    ウム材料の電解着色法。 (1)アルミニウム材料に、多数の微細孔が垂直方向に
    延びた陽極酸化皮膜を形成する陽極酸化処理工程 (2)リン酸又は有機酸を主体とする溶液中で前記アル
    ミニウム材料に交流,正の直流又は正のパルス電圧を印
    加し、前記微細孔の底部を拡大する中間処理工程 (3)Ni,Sn,Co,Fe,Cu,Se,Pb,M
    o,Ti,Mn等の金属塩の1種又は2種以上及びバリ
    ヤー型皮膜形成剤を含む溶液中で前記アルミニウム材料
    に正の直流又は正のパルス電圧を印加し、バリヤー層の
    厚さを調整するバリヤー層調整工程 (4)引き続き同じ組成の溶液中で前記アルミニウム材
    料に交流,負の直流或いは負のパルス電圧を印加し、前
    記微細孔底部の拡大部の範囲内に電解析出物を析出させ
    る電解着色工程 (5)Au,Ag,Pt,Pd等の貴金属塩の1種又は
    2種以上を含む溶液に前記アルミニウム材料を浸漬し、
    前記電解析出物の一部又は全部を貴金属又は貴金属塩で
    置換する貴金属置換工程 (6)無機酸,有機酸或いはこれらの混合溶液中で前記
    アルミニウム材料に電流密度0.1〜5A/dm2 ,周
    波数0.01〜100Hzで正のパルス電流又は矩形波
    電流を供給して再陽極酸化処理し、目標干渉色に対応す
    る厚さの多孔質陽極酸化皮膜を前記貴金属で置換した層
    の下方に成長させる再陽極酸化処理工程
  2. 【請求項2】 請求項1記載の再陽極酸化処理工程で、
    再陽極酸化処理の終了直前に電流密度を1/100〜1
    /10に低下させた状態を持続させるアルミニウム材料
    の電解着色方法。
JP10166732A 1998-06-15 1998-06-15 アルミニウム材料の電解着色方法 Expired - Fee Related JP3101606B2 (ja)

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