JP5877006B2 - モールドの製造方法、および微細凹凸構造を表面に有する成形体の製造方法 - Google Patents

モールドの製造方法、および微細凹凸構造を表面に有する成形体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複数の細孔からなる微細凹凸構造を表面に有するモールドの製造方法、およびモールドの微細凹凸構造が転写された、微細凹凸構造を表面に有する成形体の製造方法に関する。
近年、微細加工技術の進歩により、成形体の表面にナノスケールの微細凹凸構造を付与することが可能となった。ナノスケールの微細凹凸構造は、例えばモスアイ効果と呼ばれる反射防止機能や、ロータス効果と呼ばれる撥水機能のように、構造由来の機能が発現することから、盛んに産業上の利用が図られている。
成形体の表面に微細凹凸構造を付与する技術は様々である。これらのうち、モールドの表面に形成された微細凹凸構造を、成形体本体の表面に転写する方法は、簡便かつ少ない工程で成形体の表面に微細凹凸構造を付与できるため、工業生産に適している。近年、微細凹凸構造を表面に有する大面積のモールドを簡便に製造する方法として、アルミニウム基材を陽極酸化した際に形成される多孔性の酸化皮膜(陽極酸化ポーラスアルミナ)を利用する方法が注目されている(例えば、特許文献1参照)。
なかでも、モールドとして好適な細孔の深さと、規則的な配列とを両立するために、陽極酸化を二段階に分けて実施する方法(以下、本明細書中では「二段酸化法」とも記す。)が適している。すなわち、下記の工程(1)〜工程(3)を順次行い、モールドに好適な細孔を得る。
工程(1):アルミニウム基材の表面を陽極酸化し、深さを無視して細孔を規則的に配列させる工程。
工程(2):工程(1)で形成された酸化皮膜の一部または全部を除去する工程。
工程(3):工程(2)で処理した後、アルミニウム基材を再び陽極酸化して、規則的な配列を保ったまま任意の深さの細孔を形成する工程。
陽極酸化ポーラスアルミナの細孔の間隔(ピッチ)は、陽極酸化時の印加電圧に概ね比例して大きくなることが知られている。例えば、特許文献1においては印加電圧40Vの定電圧で、細孔の間隔が100nmピッチの酸化皮膜が形成される。
また、特許文献2においては、印加電圧80Vの定電圧で、細孔の間隔が200nmピッチの酸化皮膜が形成されるとしている。
このように、陽極酸化ポーラスアルミナをモールドとして利用する場合、陽極酸化の条件により簡便かつ自由に細孔の形状や間隔を制御できるという利点もある。
特許第4658129号公報 特許第4368415号公報
ところで、二段酸化法でモールドを製造する場合、工程(1)で形成される酸化皮膜、すなわち、最初の陽極酸化によって形成される酸化皮膜(以下、「最初に形成される酸化皮膜」という。)が厚くなると、工程(2)の処理を施した際に、アルミニウム基材の結晶粒界の段差が視認できるほど顕著になる。このようなモールドを用いると、結晶粒界の段差も成形体に転写されてしまい、視認できるほどのマクロな凹凸が形成され、得られる成形体の外観不良の原因となる。従って、視認できるほど結晶粒界の段差が大きいものは、モールドとしての使用に適さない。
特許文献1には、工程(1)で形成される酸化皮膜の厚さを10μm以下になるように陽極酸化時間を調整してモールドを製造する旨が記載されている。
しかしながら、酸化皮膜の形成速度は印加電圧が高いほど増大する。従って、特許文献1に記載されているように定電圧で陽極酸化時間を調整する方法では、印加電圧が高くなるほど(例えば印加電圧が60V以上)、工程(1)で形成される酸化皮膜の厚さを10μm以下に抑えることは困難であった。
このように、陽極酸化時の印加電圧を高くすると、細孔の間隔が大きいモールドが得られる一方で、最初に形成される酸化皮膜が厚くなり、結晶粒界の段差が大きくなる。従って、細孔の間隔が大きく、かつ、結晶粒界に由来するマクロな凹凸を転写面に生じさせにくいモールドを製造することは困難であった。
一方、特許文献2では、濃度0.05mol/L、温度3℃のシュウ酸電解液を用い、印加電圧80Vで陽極酸化を実施している。特許文献2では、酸化皮膜の厚さについては記載されていないが、工程(1)に相当する工程で形成される酸化皮膜の厚さが10μm以下であったとしても、この製造条件を工業的に実現するには、電解液を3℃の低温に維持する特殊な装置が必要であり、経済的ではない。
なお、アルミニウム基材の結晶粒のサイズを小さくすれば、最初に形成される酸化皮膜の厚さが10μmを超えても、15μm程度までなら、工程(2)において酸化皮膜を除去する際に結晶粒界の段差が目立たないよう処理することは可能である。しかし、結晶粒のサイズを小さくしても、最初に形成される酸化皮膜の厚さが15μmを超えた場合には、結晶粒界の段差は視認できるほど顕著になってしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、細孔の間隔が大きいモールドを製造する場合であっても、特殊な装置を用いることなく、最初に形成される酸化皮膜を薄膜化でき、結晶粒界に由来するマクロな凹凸を転写面に生じさせにくいモールドを製造する方法、および該モールドの微細凹凸構造が転写された、微細凹凸構造を表面に有する成形体を提供する。
本発明者らは鋭意検討した結果、最初の陽極酸化の工程(工程(1))において間欠的に電流が流れるように陽極酸化し、陽極酸化で発生した熱を冷却する時間を設けることで、高電圧を印加しても酸化皮膜を薄膜化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のモールドの製造方法は、アルミニウム基材の表面に、複数の細孔を有する酸化皮膜が形成されたモールドを製造する方法であって、下記の工程(a)を有することを特徴とする。
工程(a):電解液中でアルミニウム基材に間欠的に電流を流して陽極酸化し、該アルミニウム基材の表面に複数の細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
また、前記工程(a)の後に、下記の工程(b)〜(f)を有することが好ましい。
工程(b):前記工程(a)で形成された酸化皮膜の一部または全部を除去する工程。
工程(c):前記工程(b)の後、アルミニウム基材を再び陽極酸化して、複数の細孔を有する酸化皮膜を形成または成長する工程。
工程(d):前記工程(c)または下記工程(e)の後、酸化皮膜の一部を除去し、細孔の孔径を拡大する工程。
工程(e):前記工程(d)の後、アルミニウム基材を再び陽極酸化して、さらに酸化皮膜を形成する工程。
工程(f):前記工程(d)と前記工程(e)とを交互に繰り返す工程。
前記工程(a)において、電解液の温度が6℃以上であることが好ましい。
前記工程(a)で形成される酸化皮膜の厚さが15μm以下であることが好ましい。
また、本発明の微細凹凸構造を表面に有する成形体は、本発明のモールドの製造方法で得られたモールドの表面に形成された複数の細孔からなる微細凹凸構造が転写されたことを特徴とする。
本発明によれば、細孔の間隔が大きいモールドを製造する場合であっても、特殊な装置を用いることなく、最初に形成される酸化皮膜を薄膜化でき、結晶粒界に由来するマクロな凹凸を転写面に生じさせにくいモールドを製造する方法、および該モールドの微細凹凸構造が転写された、微細凹凸構造を表面に有する成形体を提供できる。
アルミニウム基材の表面に複数の細孔を有する酸化皮膜が形成されたモールドの製造工程を示す断面図である。 微細凹凸構造を表面に有する成形体の製造装置の一例を示す構成図である。 微細凹凸構造を表面に有する成形体の一例を示す断面図である。
本明細書において、「細孔」とは、アルミニウム基材の表面の酸化皮膜に形成された微細凹凸構造の凹部のことをいう。
また、「細孔の間隔」は、隣接する細孔同士の中心間距離を意味する。
また、「突起」とは、成形体の表面に形成された微細凹凸構造の凸部のことをいう。
また、「微細凹凸構造」は、凸部または凹部の平均間隔がナノスケールであるの構造を意味する。
また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。
また、「活性エネルギー線」は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。
[モールドの製造方法]
本発明のモールドの製造方法は、下記の工程(a)を有する方法である。また、工程(a)の後に、下記の工程(b)〜工程(f)を有することが好ましい。
工程(a):電解液中でアルミニウム基材に間欠的に電流を流して陽極酸化し、該アルミニウム基材の表面に複数の細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
工程(b):前記工程(a)で形成された酸化皮膜の一部または全部を除去する工程。
工程(c):前記工程(b)の後、アルミニウム基材を再び陽極酸化して、複数の細孔を有する酸化皮膜を形成または成長する工程。
工程(d):前記工程(c)または下記工程(e)の後、酸化皮膜の一部を除去し、細孔の孔径を拡大する工程。
工程(e):前記工程(d)の後、アルミニウム基材を再び陽極酸化して、さらに酸化皮膜を形成する工程。
工程(f):前記工程(d)と前記工程(e)とを交互に繰り返す工程。
以下、各工程について詳細に説明する。
<工程(a)>
工程(a)は、電解液中でアルミニウム基材に間欠的に電流を流して陽極酸化し、アルミニウム基材の表面に複数の細孔を有する酸化皮膜(陽極酸化ポーラスアルミナ)を形成する第一の酸化皮膜形成工程である。
アルミニウム基材の表面の一部または全部を電解液に浸漬して陽極酸化することによって、電解液に浸漬した部分に酸化皮膜を形成できる。陽極酸化の初期に形成される酸化皮膜は、細孔の位置や大きさが不均一で規則性は皆無であるが、酸化皮膜が厚くなるとともに、徐々に細孔の配列の規則性が増していく。
アルミニウム基材の形状は、特に限定されず、板状、円柱状、円筒状等、モールドとして使用可能な形状であればどのような形状であってもよい。
アルミニウム基材の純度は、99.0質量%超が好ましく、99.5質量%以上がより好ましく、99.9質量%以上がもっとも好ましい。アルミニウム基材の純度が99.0質量%超であれば、モールドの製造過程において、不純物の金属間化合物が脱落して発生するマクロな凹凸が多くなりすぎない。
アルミニウム基材の平均結晶粒径は、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、1μm以上60μm以下がさらに好ましい。平均結晶粒径が100μmを超えると、二段酸化法を採用した場合に、第一の酸化皮膜を除去した際に生じるマクロな凹凸構造が視認しやすく、モールドとしての使用の制限が生じる場合がある。
アルミニウム基材の平均結晶粒径は、アルミニウム基材の被加工面における任意に選ばれた100個以上の結晶粒について算出された円換算直径の平均値である。被加工面の結晶粒の観察は光学顕微鏡などで行うことができ、円換算直径の平均値は、例えば、日本ローパー社製の「Image−Pro PLUS」等の画像解析ソフトウエアを用いることで求められる。
アルミニウム基材としては、公知の研磨方法(機械研磨、羽布研磨、化学研磨、電解研磨等)によって表面が研磨され、少なくとも陽極酸化する部分が鏡面化されたものが好ましい。
工程(a)では、電解液中でアルミニウム基材に間欠的に電流を流して陽極酸化する。
ここで、「間欠的に電流を流す」とは、工程(a)において電流を流す操作と電流を止める操作を交互に繰り返すことを指す。
電流を止める間隔は特に限定されないが、60秒に一回以上の間隔で電流を止めることが好ましく、より好ましくは20秒に一回以上であり、さらに好ましくは8秒に一回以上である。電流を止める間隔が60秒よりも長いと、酸化皮膜が十分に薄膜化しにくくなることがある。
陽極酸化によりアルミニウム基材は発熱するが、電流が途切れると発熱も中断する。電流が流れていない間、アルミニウム基材に蓄積された熱の一部が電解液に拡散して解消される。その結果、酸化皮膜の形成速度が遅くなり、工程(a)において形成される酸化皮膜が厚くなりにくくなる。よって、細孔の間隔が大きいモールドを製造するために高電圧を印加して場合であっても、特殊な装置を用いることなく、最初に形成される酸化皮膜を薄膜化でき、結晶粒界に由来するマクロな凹凸を転写面に生じさせにくいモールドを製造できる。
以下、本明細書において、電流が流れている間を「通電時」、電流が流れている時間を「通電時間」、電流を止めている間を「冷却時」、電流を止めている時間を「冷却時間」とも記す。
間欠的に電流を流す方法としては特に制限されず、電源のON/OFFを制御する方法、回路の接続/遮断を制御する方法、アルミニウム基材の電解液への浸漬/引上げにより制御する方法などが挙げられる。
また、印加電圧を上げたり下げたりすることによっても間欠的に電流を流すことは可能である。陽極酸化で形成された酸化皮膜の底部(バリア層と呼ばれる)は電圧に比例して厚さが決まる。陽極酸化の途中で印加電圧を急速に下げると、下げた後の印加電圧に対応する厚さまでバリア層が化学溶解するまで電流が流れない。化学溶解の速度は電解液の濃度や温度に依存するので、印加電圧の上げ下げの振幅は一概に規定できないが、40V以上が好ましく、50V以上がより好ましく、60V以上がさらに好ましい。
間欠的に陽極酸化する際の、経時に伴い印加電圧が描く波形は、冷却時間を確保できるのであればいかなる形状でもよく、例えば矩形波、三角波、正弦波(交流電圧印加を含む。)、鋸波などが挙げられる。
冷却時の印加電圧は、電流が流れないのであればいかなる値でもよく、毎回一定である必要もない。また、冷却時は電圧を印加しなくてもよい。
一方、通電時の印加電圧は60V以上の一定値であることが好ましく、70V以上の一定値であることがより好ましく、80V以上の一定値であることがもっとも好ましい。細孔の間隔は印加電圧に依存しやすいため、通電時の印加電圧を一定値とすることで、細孔の配列が規則化しやすい。なお、通電時の印加電圧が60V未満であると、形成される酸化皮膜が薄膜化しにくくなる傾向にある。
工程(a)で用いる電解液としては、酸性水溶液またはアルカリ性水溶液が挙げられ、酸性水溶液が好ましい。酸性水溶液としては、無機酸類(硫酸、リン酸等)、有機酸類(シュウ酸、マロン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸等)が挙げられ、硫酸、シュウ酸、リン酸が特に好ましい。これらの酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電解液の濃度は、酸の種類によって好適な範囲が異なるので一概に規定できないが、例えばシュウ酸を電解液として用いる場合、0.1〜1.5Mが好ましく、0.2〜1.5Mがより好ましく、0.3〜1.5Mがさらに好ましい。シュウ酸電解液の濃度が0.1M未満であると、細孔の配列の規則性が著しく低下し、モールドとして使用する際に転写不良の原因となるおそれがある。一方、シュウ酸電解液の濃度が1.5Mを超えると、陽極酸化にて流れる電流の密度が著しく高くなるため、「ヤケ」と呼ばれる現象が起こり、微細凹凸構造が部分的に破壊されるおそれがある。
なお、電解液の温度が低くなるほど、形成される酸化皮膜の厚さは薄くなる傾向にある。
しかし、本発明であれば、間欠的に陽極酸化して冷却時間を設けることで、特殊な装置を用いて電解液の温度を冷やさなくても、最初に形成される酸化皮膜を薄膜化することができる。ただし、最初に形成される酸化皮膜をより薄膜化する点で、電解液の温度は6℃以上が好ましい。電解液の温度が6℃以上であれば、電解液を低温で維持する特殊な装置を用いることなく、かつより薄膜な酸化皮膜を形成できる。なお、電解液の温度の下限値は、最初に形成される酸化皮膜を薄膜化しつつ、かつ、電解液の温度を容易に調整・維持できる点で、10℃以上が好ましく、15℃以上がさらに好ましい。
一方、電解液の温度の上限値は40℃以下が好ましい。電解液の温度が40℃を超えると、陽極酸化により発生するジュール熱の解消が遅くなり、電解液の温度が上がり続ける「熱暴走」が起こるおそれがある。電解液の温度を維持することができないと、初期条件が同じでも得られるモールドごとに酸化皮膜の厚みが5μm以上異なるなど、精密な制御が困難となる。
工程(a)において形成される酸化皮膜の厚さは、15μm以下が好ましい。酸化皮膜の厚さが15μmよりも厚くなると、この酸化皮膜を除去した際に(後述の工程(b)において)、アルミニウム基材の結晶粒界の段差が視認できるほど大きくなる。このようなモールドを用いると、結晶粒界の段差も転写されてしまい、視認できるほどのマクロな凹凸が形成され、得られる成形体の外観不良の原因となるおそれがある。
酸化皮膜の厚さは、電解液の濃度、通電時間の合計など陽極酸化の条件を適宜設定することによって調整される。
間欠的に陽極酸化する際の通電時間や冷却時間などの条件は、製造設備の能力、電解液の濃度や温度、印加電圧といった製造条件に大きく左右されるため一概に規定できないが、具体的な一例を以下に示す。
例えば、15℃に調整した4.6Lの0.3Mシュウ酸電解液を使用し、横幅8cm、縦幅1.5cmの半月状撹拌翼にて電解液を150rpmで撹拌しながら、10cmのアルミニウム基材に80Vの電圧を印加する場合、1回あたりの通電時間は10秒以下が好ましく、5秒以下がより好ましく、2秒以下がさらに好ましい。1回あたりの通電時間が10秒を超えると、酸化皮膜が十分に薄膜化しにくくなるおそれがある。
一方、1回あたりの冷却時間は20秒以上が好ましく、30秒以上がより好ましい。冷却時間が20秒未満であると、酸化皮膜が十分に薄膜化しにくくなるおそれがある。
また、間欠的に陽極酸化する際の通電時間の合計は、形成される酸化皮膜が15μmを超えない範囲であれば長いほど好ましい。電解液の濃度や印加電圧によっても異なるが、具体的には、1分以上が好ましく、3分以上がより好ましく、5分以上がさらに好ましい。通電時間の合計が1分未満であると、細孔の配列の規則性が著しく低くなる傾向にあり、転写不良を起こしやすくなるため、モールドとしての使用に適さなくなる場合がある。
工程(a)を行うと、例えば図1に示すように、アルミニウム基材10の表面に複数の細孔12を有する酸化皮膜14が形成される。
<工程(b)>
工程(b)は、工程(a)で形成された酸化皮膜の一部または全部を除去する酸化皮膜除去工程である。なお、図1は、酸化皮膜14の全部を除去した図である。
酸化皮膜14の一部または全部を除去することによって、酸化皮膜14の底部(バリア層)またはバリア層の形状に対応した窪み16がアルミニウム基材10の表面に露出する。工程(a)で形成された、細孔12が規則的に配列した酸化皮膜14の一部または全部を除去すると、バリア層または規則的に配列した窪み16が得られる。
酸化皮膜14の一部または全部を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、アルミナを選択的に溶解する溶液に浸漬する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。
<工程(c)>
工程(c)は、図1に示すように、工程(b)の後、アルミニウム基材10を電解液に浸漬して再び陽極酸化し、複数の細孔12を有する酸化皮膜14を再び形成する第二の酸化皮膜形成工程である。
アルミニウム基材10の表面に、バリア層または窪み16が形成された状態で再度陽極酸化すると、バリア層または窪み16が細孔発生点として作用し、新たな酸化皮膜14の細孔12は、バリア層または窪み16に対応した位置に発生する。特に、窪み16が規則的に配列している場合、陽極酸化の初期、すなわち新たに形成される酸化皮膜14が薄い状態でも、規則的に配列した細孔12が得られるため、細孔12の深さをサブミクロンオーダーで調整することが可能となる。
電解液の濃度は、酸の種類によって好適な範囲が異なる。例えば、シュウ酸の場合、電解液の濃度は、0.05〜0.3Mが好ましい。電解液の濃度が0.05M未満では、濃度が薄すぎて酸性電解液として作用せず、多孔質な酸化皮膜14ではなく平坦な酸化皮膜が形成されるおそれがある。平坦な酸化皮膜は微細凹凸構造を転写するモールドとしての役割を果たし得ない。一方、電解液の濃度が0.3Mを超えると、酸化皮膜14の形成速度が速くなり、細孔12の深さを調整することが困難となる。
電解液の温度は、25℃以下が好ましく、17℃以下がより好ましい。電解液の温度が25℃を超えると、酸化皮膜14の形成速度が速くなり、細孔12の深さを調整することが困難となる。電解液の温度の下限値については、電解液を低温で維持する特殊な装置を用いる必要がない点で、6℃以上が好ましい。
工程(c)の陽極酸化における電圧は、工程(a)の陽極酸化における通電時の印加電圧と同じことが好ましい。
また、陽極酸化の時間は、3〜60秒が好ましい。陽極酸化の時間が3秒未満では、最終的に得られる酸化皮膜14の厚さが後述する0.01μmに満たない可能性がある。そのような酸化皮膜14では、細孔12の深さも0.01μmに満たず、モールドとして用いた場合、得られる成形体が十分な反射防止性能を示さないおそれがある。陽極酸化の時間が60秒を超えると、最終的に得られる酸化皮膜14の厚さが後述する0.8μmを超えてしまう可能性がある。そのような場合、酸化皮膜14が厚くなる分だけ細孔12も深くなるため、モールドとして用いた場合、離型不良を起こしやすくなるおそれがある。
<工程(d)>
工程(d)は、図1に示すように、工程(c)または後述する工程(e)によって形成された酸化皮膜14の一部を除去して、細孔12の孔径を拡大する孔径拡大処理工程である。
孔径拡大処理の具体的方法としては、アルミナを溶解する溶液に浸漬して、酸化皮膜14に形成されている細孔12の径をエッチングにより拡大させる方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、5.0質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。浸漬する時間を長くするほど、細孔12の径は大きくなる。
<工程(e)>
工程(e)は、図1に示すように、工程(d)の後、アルミニウム基材10を再び陽極酸化して、さらに酸化皮膜14を形成し、細孔12を延長する工程である。
細孔12の孔径を拡大した後に再度陽極酸化すると、孔径が拡大された細孔12の底部から下に延びる、孔径の小さい細孔12がさらに形成される。
工程(e)の陽極酸化における電圧や陽極酸化時間などの条件は、工程(c)と同様の条件であることが好ましい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔12を得ることができる。
なお、工程(e)は、工程(c)と同じ条件で陽極酸化を行うことが好ましいが、電圧や陽極酸化時間などは完全に同じである必要はない。これらの条件を変更することで、細孔12の形状を種々に変更できる場合がある。
<工程(f)>
工程(f)は、図1に示すように、工程(d)と工程(e)とを交互に繰り返して細孔の深さと形状を調整する繰り返し工程である。
工程(d)と工程(e)とを交互に繰り返すことによって、細孔12の形状を図1に示すように、開口部から深さ方向に徐々に径が縮小するテーパー形状にでき、その結果、周期的な複数の細孔12からなる酸化皮膜が表面に形成されたモールドを得ることができる。また、工程(d)および工程(e)の条件、例えば、孔径拡大処理の時間、孔径拡大処理に利用する溶液の温度や濃度を適宜設定することにより、様々な形状の細孔12を形成する酸化皮膜14を形成できる。モールドから生産する成形体の用途等に応じて、これら条件を適宜設定すればよい。
工程(d)の回数は、回数が多いほど滑らかなテーパー形状にすることができる点から、工程(f)の前に行った工程(d)も含めて少なくとも3回が好ましい。同じく、工程(e)の回数も、回数が多いほど滑らかなテーパー形状にすることができる点から、工程(f)の前に行った工程(c)および工程(e)も含めて少なくとも3回が好ましい。それぞれの回数が2回以下の場合、非連続的に細孔径が減少する傾向にあり、このようなモールドから反射防止物品(反射防止膜等)を製造した場合、その反射率低減効果が劣る可能性がある。
工程(f)は、工程(d)で終了してもよく、工程(e)で終了してもよい。
工程(c)および工程(e)における陽極酸化を長時間施すほど深い細孔12を得ることができるが、微細凹凸構造を転写するためのモールドとして用いる場合、工程(f)を経て最終的に得られる酸化皮膜14の厚さは、0.01〜0.8μm程度でよい。工程(c)および工程(e)における電圧以外の陽極酸化の条件(電解液の種類、濃度、温度等)も必ずしも工程(a)と一致させる必要はなく、酸化皮膜14の厚さを調整しやすい条件に適宜変更してもよい。
<モールド>
本発明の製造方法によれば、アルミニウム基材10の表面に、開口部から深さ方向に徐々に径が縮小するテーパー形状の細孔12が規則的に配列して形成され、その結果、微細凹凸構造を有する酸化皮膜(陽極酸化ポーラスアルミナ)が表面に形成されたモールドを製造できる。
また、本発明の製造方法によれば、細孔の間隔が大きいモールドを製造する場合であっても、特殊な装置を用いることなく、最初に形成される酸化皮膜を薄膜化でき、結晶粒界に由来するマクロな凹凸を転写面に生じさせにくいモールドを製造できる。
モールドにおける隣接する細孔の平均間隔は、150nm以上かつ600nm以下(すなわち可視光の波長以下)が好ましい。細孔の平均間隔が150nm以上であれば、モールドの表面の転写によって得られた成形体の反射防止性能が損なわれることなく耐擦傷性能が向上し、かつ突起(凸部)同士の合一に起因する成形体の白化を抑制することができる。一方、細孔の平均間隔が600nm以下であれば、モールドの表面の転写によって得られた成形体の表面(転写面)において可視光の散乱が起こりにくくなり、十分な反射防止機能が発現するため、反射防止膜等の反射防止物品の製造に適する。
また、モールドを反射防止物品(反射防止膜等)の製造に用いる場合、細孔の平均間隔が600nm以下であるとともに、細孔の深さが100nm以上であることが好ましく、150nm以上であることがより好ましい。細孔の深さが100nm未満のモールドを用いた場合、反射防止物品の反射防止性能が十分ではなくなるおそれがある。
また、モールドの細孔のアスペクト比(=深さ/平均間隔)は、0.5以上が好ましく、1以上がもっとも好ましい。アスペクト比が0.5以上であれば、反射率が低い表面を形成でき、その入射角依存性も十分に小さくなる。
モールドの微細凹凸構造が形成された表面は、離型が容易になるように、離型処理が施されていてもよい。離型処理の方法としては、例えば、シリコーン系ポリマーやフッ素ポリマーをコーティングする方法、フッ素化合物を蒸着する方法、フッ素系表面処理剤またはフッ素シリコーン系表面処理剤をコーティングする方法等が挙げられる。
<作用効果>
以上説明した本発明のモールドの製造方法にあっては、最初に形成される酸化皮膜を、アルミニウム基材に間欠的に電流を流して陽極酸化することで形成するので、細孔の間隔が大きい(例えば150nm以上の)モールドを製造するために高電圧(例えば60V以上)を印加しても、最初に形成される酸化皮膜が厚くなりにくく、この酸化皮膜を除去した際に結晶粒界の段差が目立ちにくい。
従って、本発明の製造方法であれば、細孔の間隔が大きいモールドを製造する場合であっても、特殊な装置を用いることなく、最初に形成される酸化皮膜を薄膜化でき、結晶粒界に由来するマクロな凹凸を転写面に生じさせにくいモールドを製造できる。
[成形体]
本発明の成形体は、本発明のモールドの製造方法で得られたモールドの表面に形成された複数の細孔からなる微細凹凸構造が転写されたものである。
本発明の成形体は、例えばモールドの微細凹凸構造を成形体本体の表面に転写することで製造できる。
モールドの微細凹凸構造(細孔)を転写して製造された成形体は、その表面にモールドの微細凹凸構造の反転構造(凸部)が、鍵と鍵穴の関係で転写される。
モールドの微細凹凸構造を成形体本体の表面に転写する方法としては、例えば、モールドと透明基材(成形体本体)の間に未硬化の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填し、モールドの微細凹凸構造に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が接触した状態で、活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させた後にモールドを離型する方法が好ましい。これによって、透明基材の表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸構造が形成された成形体を製造できる。得られた成形体の微細凹凸構造は、モールドの微細凹凸構造の反転構造となる。
<成形体本体>
透明基材としては、活性エネルギー線の照射を、該透明基材を介して行うため、活性エネルギー線の照射を著しく阻害しないものが好ましい。透明基材の材料としては、例えば、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ガラス等が挙げられる。
<活性エネルギー線硬化性樹脂組成物>
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いる方法は、熱硬化性樹脂組成物を用いる方法に比べて加熱や硬化後の冷却を必要としないため、短時間で微細凹凸構造を転写することができ、量産に好適である。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の充填方法としては、モールドと透明基材の間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給した後に圧延して充填する方法、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布したモールド上に透明基材をラミネートする方法、あらかじめ透明基材上に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗布してモールドにラミネートする方法等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、重合反応性化合物と、活性エネルギー線重合開始剤とを含有する。上記の他に、用途に応じて非反応性のポリマーや活性エネルギー線ゾルゲル反応性成分が含まれていてもよく、増粘剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、溶剤、無機フィラー等の各種添加剤が含まれていてもよい。
重合反応性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、単官能モノマー、多官能モノマーが挙げられる。
ラジカル重合性結合を有する単官能モノマーとしては、(メタ)アクリレート誘導体(メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等)、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、スチレン誘導体(スチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリルアミド誘導体((メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合性結合を有する多官能モノマーとしては、二官能性モノマー(エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等)、三官能モノマー(ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等)、四官能以上のモノマー(コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等)、二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられ、エポキシ基を有するモノマーが特に好ましい。
分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するオリゴマーまたは反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
活性エネルギー線重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることができ、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させる際に用いる活性エネルギー線の種類に応じて適宜選択することが好ましい。
光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、カルボニル化合物(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等)、硫黄化合物(テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、チオキサントン(2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等)、アセトフェノン(ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等)、ベンゾインエーテル(ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等)、アシルホスフィンオキサイド(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等)、メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における活性エネルギー線重合開始剤の含有量は、重合性化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。活性エネルギー線重合開始剤が0.1質量部未満では、重合が進行しにくい。一方、活性エネルギー線重合開始剤が10質量部を超えると、硬化樹脂が着色したり、機械強度が低下したりすることがある。
非反応性のポリマーとしては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、例えば、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、RSi(OR’)で表されるものが挙げられる。RおよびR’は炭素数1〜10のアルキル基を表し、xおよびyはx+y=4の関係を満たす整数である。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン等が挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、RO[Si(OR)(OR)O]で表されるものが挙げられる。R〜Rはそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を表し、zは3〜20の整数を表す。具体的にはメチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケート等が挙げられる。
<製造装置>
微細凹凸構造を表面に有する成形体は、例えば、図2に示す製造装置を用いて、下記のようにして製造される。
表面に微細凹凸構造(図示略)を有するロール状モールド20と、ロール状モールド20の表面に沿って移動する帯状のフィルム42(透明基材)との間に、タンク22から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物38を供給する。
ロール状モールド20と、空気圧シリンダ24によってニップ圧が調整されたニップロール26との間で、フィルム42および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物38をニップし、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物38を、フィルム42とロール状モールド20との間に均一に行き渡らせると同時に、ロール状モールド20の微細凹凸構造の凹部内に充填する。
ロール状モールド20の下方に設置された活性エネルギー線照射装置28から、フィルム42を通して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物38に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物38を硬化させることによって、ロール状モールド20の表面の微細凹凸構造が転写された硬化樹脂層44を形成する。
剥離ロール30により、表面に硬化樹脂層44が形成されたフィルム42をロール状モールド20から剥離することによって、図3に示すような成形体40を得る。
活性エネルギー線照射装置28としては、例えば、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が挙げられる。
活性エネルギー線の照射量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化が進行するエネルギー量であればよく、通常、100〜10000mJ/cm程度である。
このようにして製造された成形体40は、図3に示すように、フィルム42(透明基材)の表面に硬化樹脂層44が形成されたものである。
硬化樹脂層44は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる膜であり、表面に微細凹凸構造を有する。
本発明におけるモールドを用いた場合の成形体40の表面の微細凹凸構造は、酸化皮膜の表面の微細凹凸構造を転写して形成されたものであり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる複数の凸部46を有する。
微細凹凸構造としては、略円錐形状、角錐形状等の突起(凸部)が複数並んだ、いわゆるモスアイ構造が好ましい。突起間の間隔が可視光の波長以下であるモスアイ構造は、空気の屈折率から材料の屈折率へと連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となることが知られている。
<用途>
本発明の成形体は、表面の微細凹凸構造によって、反射防止性能、撥水性能等の種々の性能を発揮する。
微細凹凸構造を表面に有する成形体がシート状またはフィルム状の場合には、反射防止膜として、例えば、画像表示装置(テレビ、携帯電話のディスプレイ等)、展示パネル、メーターパネル等の対象物の表面に貼り付けたり、インサート成形したりして用いることができる。また、撥水性能を活かして、風呂場の窓や鏡、太陽電池部材、自動車のミラー、看板、メガネのレンズ等、雨、水、蒸気等にさらされるおそれのある対象物の部材としても用いることができる。
微細凹凸構造を表面に有する成形体が立体形状の場合には、用途に応じた形状の透明基材を用いて反射防止物品を製造しておき、これを上記対象物の表面を構成する部材として用いることもできる。
また、対象物が画像表示装置である場合には、その表面に限らず、その前面板に対して、微細凹凸構造を表面に有する成形体を貼り付けてもよいし、前面板そのものを、微細凹凸構造を表面に有する成形体から構成することもできる。例えば、イメージを読み取るセンサーアレイに取り付けられたロッドレンズアレイの表面、FAX、複写機、スキャナ等のイメージセンサーのカバーガラス、複写機の原稿を置くコンタクトガラス等に、微細凹凸構造を表面に有する成形体を用いても構わない。また、可視光通信等の光通信機器の光受光部分等に、微細凹凸構造を表面に有する成形体を用いることによって、信号の受信感度を向上させることもできる。
また、微細凹凸構造を表面に有する成形体は、上述した用途以外にも、光導波路、レリーフホログラム、光学レンズ、偏光分離素子等の光学用途や、細胞培養シートとしての用途に展開できる。
<作用効果>
以上説明した本発明の、微細凹凸構造を表面に有する成形体にあっては、本発明のモールドの製造方法で得られたモールドの微細凹凸構造が転写されている。このモールドは、最初に形成される酸化皮膜が薄いため、細孔の間隔が大きくても結晶粒界の段差が生じにくい。従って、本発明の成形体は、凸部の間隔が大きい(例えば150nm以上)のものであっても、モールドの結晶粒界の段差が転写されて生じるマクロな凹凸が目立たないため、視認性に優れる。
また、本発明によれば、本発明のモールドの製造方法で得られたモールドを用いることによって、このモールドの微細凹凸構造の反転構造を表面に有する成形体を一工程で簡便に製造できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
各種測定・評価は以下の方法にて行った。
(工程(a)で形成される酸化皮膜の厚さの測定)
工程(a)を行った後、アルミニウム基材の酸化面の一部を異なる二箇所から切り取って、その縦断面に白金を1分間蒸着し、電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、「JSM−7400F」)を用いて、加速電圧3.00kVで観察した。各断面サンプルを2000倍に拡大して二点ずつ観察し、それぞれの観察範囲で酸化皮膜の厚さを測定し、その平均値を求め、酸化皮膜の厚さとした。
(モールドの細孔の測定)
酸化皮膜が表面に形成されたモールドの一部を切り取って、表面に白金を1分間蒸着し、電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、「JSM−7400F」)を用いて、加速電圧3.00kVで1万倍に拡大して観察した。細孔の平均間隔(ピッチ)は一直線上に並んだ6個の細孔の中心間距離を平均して求めた。
また、モールドの一部を異なる二箇所から切り取って、その縦断面に白金を1分間蒸着し、同じく電解放出型走査電子顕微鏡を用いて加速電圧3.00kVで観察した。各断面サンプルを5万倍に拡大して二点ずつ観察し、それぞれの観察範囲で10個の細孔の深さを平均して細孔の平均深さを求めた。
(成形体の微細凹凸構造の測定)
モールドの微細凹凸構造を転写した成形体(フィルム)の表面および縦断面に白金を10分間蒸着し、電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製、「JSM−7400F」)を用いて、加速電圧3.00kVの条件で成形体の表面および断面を観察した。
成形体の表面を1万倍に拡大して観察し、一直線上に並んだ6個の突起(凸部)の中心間距離を平均して突起の平均間隔(ピッチ)を求めた。また、成形体の断面を5万倍で観察し、10本の突起の高さを平均して突起の平均高さを求めた。
(成形体の外観評価)
成形体(フィルム)の外観を目視で観察し、モールドの結晶粒界の段差が転写されることで生じるマクロな凹凸が目視で確認できた場合を「×」、確認できない場合を「○」と評価した。
[実施例1]
<モールドの製造>
純度99.99質量%、厚さ0.3mmのアルミニウム板を30mm×90mmの大きさに切断し、過塩素酸/エタノール混液(体積比=1/4)中で電解研磨し、これをアルミニウム基材として用いた。
(工程(a))
0.3Mシュウ酸水溶液を15℃に調整し、アルミニウム基材を浸漬して、以下の条件にて陽極酸化した。
シュウ酸水溶液を半月状撹拌翼にて150rpmで撹拌しながら、直流安定化装置の電源のON/OFFを繰り返すことでアルミニウム基材に間欠的に電流を流して陽極酸化した。通電時の印加電圧は80V、一回あたりの通電時間は5秒、冷却時の印加電圧は0V、一回あたりの冷却時間は30秒として、通電を60回繰り返して細孔を有する酸化皮膜を形成した。
工程(a)の陽極酸化条件、および形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
(工程(b))
酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、6質量%のリン酸と1.8質量%クロム酸を混合した70℃の水溶液中に6時間浸漬して、酸化皮膜を溶解除去して、陽極酸化の細孔発生点となる窪みを露出させた。
(工程(c))
細孔発生点を露出させたアルミニウム基材を、16℃に調整した0.05Mのシュウ酸水溶液に浸漬し、80Vで7秒間陽極酸化して、酸化皮膜をアルミニウム基材の表面に再び形成した。
(工程(d))
酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、32℃に調整した5質量%リン酸水溶液中に19分間浸漬して、酸化皮膜の細孔を拡大する孔径拡大処理を施した。
(工程(e))
酸化皮膜の細孔を拡大したアルミニウム基材を、16℃に調整した0.05Mのシュウ酸水溶液に浸漬し、80Vで7秒間陽極酸化して、酸化皮膜をさらに形成した。
(工程(f))
前記工程(d)と前記工程(e)をさらに交互に3回繰り返し、最後に工程(d)を行った。すなわち、工程(c)および工程(e)を合計で5回行い、工程(d)を5回行った。
その後、脱イオン水で洗浄した後、表面の水分をエアーブローで除去し、平均間隔180nm、平均深さ約190nmの略円錐形状の細孔を有する酸化皮膜からなるモールドを得た。
このようにして得られたモールドを、オプツールDSX(ダイキン工業株式会社製)をデュラサーフHD−ZV(ダイキン工業株式会社製)で0.1質量%に希釈した液に、10分間浸漬して、一晩風乾することによって離型処理した。
<成形体の製造>
離型処理したモールドと、透明基材であるアクリルフィルム(三菱レイヨン株式会社製、「アクリプレン HBS010」)との間に、下記の組成の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填して、高圧水銀ランプで積算光量1000mJ/cmの紫外線を照射することによって、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させた。その後、モールドを剥離し、透明基材と硬化組成物の硬化物からなる成形体(フィルム)を得た。
このようにして製造した成形体の表面には微細凹凸構造が形成されており、突起の平均間隔(ピッチ)は180nm、突起の平均高さは180nmであった。
成形体の外観評価の結果を表2に示す。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
トリメチロールエタン・アクリル酸・無水コハク酸縮合エステル:45質量部、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:45質量部、
信越化学工業社製x−22−1602(商品名):10質量部、
BASF社製イルガキュア184(商品名):2.7質量部、
BASF社製イルガキュア819(商品名):0.18質量部。
[実施例2]
工程(a)にて、一回あたりの通電時間を2秒とした以外は、実施例1と同様の方法でモールドを製造した。得られたモールドの細孔の平均間隔および平均深さは、実施例1で得られたモールドと同じであった。工程(a)にて形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
[実施例3]
工程(a)にて、一回あたりの通電時間を10秒とした以外は、実施例1と同様の方法でモールドを製造した。得られたモールドの細孔の平均間隔および平均深さは、実施例1で得られたモールドと同じであった。工程(a)にて形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
[実施例4]
工程(a)にて、一回あたりの冷却時間を20秒とした以外は、実施例1と同様の方法でモールドを製造した。得られたモールドの細孔の平均間隔および平均深さは、実施例1で得られたモールドと同じであった。工程(a)にて形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
[実施例5]
工程(a)にて、一回あたりの冷却時間を60秒とした以外は、実施例1と同様の方法でモールドを製造した。得られたモールドの細孔の平均間隔および平均深さは、実施例1で得られたモールドと同じであった。工程(a)にて形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
[実施例6]
工程(a)にて、電解液の温度を6℃とした以外は、実施例1と同様の方法でモールドを製造した。得られたモールドの細孔の平均間隔および平均深さは、実施例1で得られたモールドと同じであった。工程(a)にて形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
[実施例7]
工程(a)にて、電解液の温度を10℃とした以外は、実施例1と同様の方法でモールドを製造した。得られたモールドの細孔の平均間隔および平均深さは、実施例1で得られたモールドと同じであった。工程(a)にて形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
[実施例8]
工程(a)にて、電解液の撹拌速度を350rpmとした以外は、実施例1と同様の方法でモールドを製造した。得られたモールドの細孔の平均間隔および平均深さは、実施例1で得られたモールドと同じであった。工程(a)にて形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
[比較例1]
工程(a)にて、間欠的に電流を流して陽極酸化する代わりに、80Vで300秒間、連続的に電流を流して陽極酸化した以外は、実施例1と同様にしてモールドを製造した。得られたモールドの細孔の平均間隔および平均深さは、実施例1で得られたモールドと同じであった。工程(a)にて形成された酸化皮膜の厚さを表1に示す。
また、得られたモールドを用いた以外は、実施例1と同様にして成形体を製造した。得られた成形体の突起の平均間隔および平均高さは、実施例1で得られた成形体と同じであった。成形体の外観評価の結果を表2に示す。
表1、2から明らかなように、工程(a)において間欠的に電流を流して陽極酸化することで、最初に形成される酸化皮膜を薄膜化することができた。特に、通電時間が短くなるほど、冷却時間が長くなるほど、あるいは電解液の初期温度が低くなるほど、最初に形成される酸化皮膜の厚さは薄くなる傾向にあった。
また、実施例1で得られたモールドを用いて製造した成形体(フィルム)は、モールドの結晶粒界の段差に起因する外観不良が抑制されていた。
なお、実施例2〜8についても、各例で得られたモールドを用いて実施例1と同様にして成形体を製造したところ、得られた各成形体の突起の平均間隔および平均高さは、実施例1で得られた成形体と同じであった。また、得られた各成形体は、モールドの結晶粒界の段差に起因する外観不良が抑制されていた。
一方、工程(a)において連続的に電流を流して陽極酸化した比較例1の場合、最初に形成された酸化皮膜の厚さは20μmであり、実施例1〜8と比べて厚かった。
また、比較例1で得られたモールドを用いて製造した成形体は、モールドの結晶粒界の段差に由来するマクロな凹凸が確認された。
本発明のモールドの製造方法は、反射防止物品、防曇性物品、防汚性物品、撥水性物品の効率的な量産にとって有用である。また、本発明の微細凹凸構造を表面に有する成形体は、反射防止物品、防曇性物品、防汚性物品、撥水性物品として好適である。
10 アルミニウム基材
12 細孔
14 酸化皮膜
18 モールド
20 ロール状モールド
40 成形体
42 フィルム
46 凸部

Claims (4)

  1. アルミニウム基材の表面に、複数の細孔を有する酸化皮膜が形成されたモールドを製造する方法であって、
    下記の工程(a)、工程(b)および工程(f’)を有する、モールドの製造方法。
    工程(a):電解液中でアルミニウム基材に間欠的に電流を流して陽極酸化し、該アルミニウム基材の表面に複数の細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
    工程(b):前記工程(a)で形成された酸化皮膜の一部または全部を除去する工程。
    工程(f’):前記工程(b)の後、下記工程(c’)と下記工程(d’)とを交互に繰り返し行う工程。
    工程(c’):アルミニウム基材に連続的に電流を流し、アルミニウム基材を再び陽極酸化する工程。
    工程(d’):前記工程(c’)の後、酸化皮膜の一部を除去し、細孔の孔径を拡大する工程。
  2. 前記工程(a)において、電解液の温度が6℃以上である、請求項1に記載のモールドの製造方法。
  3. 前記工程(a)で形成される酸化皮膜の厚さが15μm以下である、請求項1または2に記載のモールドの製造方法。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載のモールドの製造方法で得られたモールドの表面に形成された複数の細孔からなる微細凹凸構造転写する、微細凹凸構造を表面に有する成形体の製造方法
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