JP5832066B2 - 成形体とその製造方法 - Google Patents

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本発明は、視感度反射率が十分に低い成形体、例えば反射防止物品などとして好適な成
形体とその製造方法に関する。
近年、可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を表面に有する材料は、反射防止機能、Lotus効果等の機能を発現することから、その有用性が注目されている。特に、モスアイ(Moth−Eye)構造と呼ばれる微細凹凸構造は、空気の屈折率から材料の屈折率に連続的に増大していくことで有効な反射防止機能を奏することが知られている。
材料表面に微細凹凸構造を形成する方法としては、材料の表面を直接加工する方法、微細凹凸構造に対応した反転構造を有するモールドを用いて、この構造を転写する転写法などが知られており、生産性、経済性の点から、後者の方法が優れている。モールドに反転構造を形成する方法としては、高コストである電子線描画法、レーザー光干渉法等が知られている。近年、より簡便に製造できるモールドとして、陽極酸化ポーラスアルミナが注目され(例えば、特許文献1参照。)このモールドを用いて、例えば熱硬化性または光硬化性の樹脂に微細凹凸構造を転写する反射防止膜の製造技術が提案されている。陽極酸化ポーラスアルミナのモールドはその微細凹凸構造をほぼ正確に転写することができる。
このように、微細凹凸構造を正確に形成する技術は着実に進歩しており、同時に反射防止技術も向上している。例えば反射率の評価に関しては、アスペクト比(凸部の高さ/凸部の周期)を高くしたり、凸部の高さを高くしたりすることや、格子周期を150〜300nmの円錐台形状とすることで、低反射性を備えるといった見解がある(例えば、特許文献2参照。)。
特開2005−156695号公報 特開2005−173457号公報
しかしながら、特許文献2に記載のように、従来の技術では単純に反射率を下げることを目的とし、単にアスペクト比や凸部の高さを高くするだけのものが多く、反射率が例えば0.5%以下の超低反射領域での詳細な検討がなされていなかった。
また、低反射領域においては、単にアスペクト比を高くするだけでは、人間の感覚により近い視感度反射率を低下させることは十分ではなかった。
そのため、微細凹凸構造を有する材料を反射防止膜等の反射防止物品として用いる場合、反射率の値だけを下げればよいという訳ではなく、必ずしも実用的な反射防止物品が提供できてはいなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、反射率と視感度反射率がともに低い成形体の提供を課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、材料表面に形成される微細凹凸構造の形状を最適化することで、反射率と視感度反射率をともに低くすることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、本発明において「視感度反射率」とは、反射率の値より、JIS R3106に準拠して算出される反射率のことである。
すなわち、本発明の成形体は、樹脂組成物から形成された微細凹凸構造を表面に有する成形体であって、前記微細凹凸構造の凸部の周期が150nm未満であり、凸部の高さが130nm以上、200nm未満であり、かつ、凸部の底部の直径/凸部の周期で表される比(R/A)が0.87以上であり、反射率が可視光領域で1.5%以下であり、かつ視感度反射率が0.20%以下であることを特徴とする。
ここで、凸部の高さ/凸部の周期で表されるアスペクト比(B/A)が、1.1以上、2.0未満であることが好ましい。
本発明の成形体の好ましい具体例としては、反射防止膜(反射防止フィルム、反射防止シートを含む。)などの反射防止物品が挙げられる。
また、本発明の成形体の製造方法は、前記成形体の製造方法であって、モールドを用いた転写法により前記微細凹凸構造を形成することを特徴とする。
前記モールドは、陽極酸化ポーラスアルミナであることが好ましい。
本発明によれば、反射率と視感度反射率がともに低い成形体を提供できる。特に、反射率が1.5%以下、視感度反射率が0.2%以下の成形体を容易に得られる。
本発明の成形体、およびモールドの微細凹凸構造の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の成形体、およびモールドの微細凹凸構造の他の例を模式的に示す断面図である。 本発明の成形体、およびモールドの微細凹凸構造の他の例を模式的に示す断面図である。 本発明の成形体、およびモールドの微細凹凸構造の他の例を模式的に示す断面図である。 本発明の成形体の製造に使用されるモールドの製造方法の工程の一例を示す概略模式図である。
以下本発明を詳細に説明する。
[成形体]
本発明の成形体は、表面に周期が一定の微細凹凸構造を有する。かかる規則的な微細凹凸構造は、凸部が複数並んだ、いわゆるモスアイ構造として機能し、該微細凹凸構造が形成されている面における光の反射が低減される。
なお、本明細書において「周期」とは、微細凹凸構造の凸部の中心から、これに隣接する凸部の中心までの距離のことであり、任意に選択した10点の距離を平均化した値である。
図1において、符号21で示す斜線部分は、表面に微細凹凸構造を有する本発明の成形体の一例を示す断面図である。この例の成形体21の表面には、円錐状の凸部21aが周期的に形成されている。
なお、図1中の符号11は、成形体21の微細凹凸構造の反転構造が形成されたモールドを示している。
微細凹凸構造の凸部の形状としては、図1に示す円錐状に限らず、例えば図2に示すような釣鐘状の凸部22a、図3に示すような先鋭状の凸部23a、図4に示すような鉛筆状の凸部24aなどが挙げられ、成形体22〜24の表面には、それぞれの凸部22a〜24aが周期的に形成されている。なお、図2〜4中の符号12〜14は、成形体22〜24の微細凹凸構造の反転構造が形成されたモールドである。
微細凹凸構造の断面形状は特に限定されないが、例えば図1〜3に断面を例示するように、凸部21a〜23aがその頂部から底部に向かって漸次拡径する形状、または図4に断面を例示するように、凸部24aの上部は頂部から底部に向かって漸次拡径する錘状構造部241となっており、それよりも下部は凸部24aの径が一定である柱状構造部242となっている形状が、反射率性能や耐擦傷性の点で好ましい。
成形体の微細凹凸構造の凸部の周期(図中符号Aで示す。)は、150nm未満である。
通常、周期を可視光の波長以下とすることで反射防止性を発現でき、前記周期が可視光の波長より大きいと、微細凹凸構造が形成された表面上で可視光の散乱が起こるため、反射防止物品などの光学用途には適さない。
本発明においては、周期を150nm未満とさらに限定することで、光が高入射角で入射しても反射を低く抑えることが可能となる。凸部の周期は、80〜120nmが好ましい。
また、成形体の微細凹凸構造の凸部の高さ(図中符号Bで示す。)は130nm以上、200nm未満であり、140nm以上、200nm未満であることが好ましく、150nm以上、200nm未満であることがより好ましく、170nm以上、200nm未満であることが特に好ましい。高さが130nm以上であれば最低反射率の上昇を抑制できるので、反射率を低く抑えることができ、反射防止性が向上する。一方、高さが200nm以上であると視感度反射率が上昇しやすくなるため、高さの上限値は200nm未満が好ましい。
なお、本明細書における「凸部の高さ」は、任意に選択した10個の凸部の高さの平均値である。また、図4に示すような鉛筆状の凸部24aの場合、錘状構造部241の高さをB1、柱状構造部242の高さをB2とし、その合計を凸部の高さBとする。
このように、成形体の微細凹凸構造の形状を最適化することで、すなわち微細凹凸構造の凸部の周期、および凸部の高さを上述した範囲内とすることで、低反射率であるとともに、視感度反射率が十分に低く抑えることができる。
さらに、本発明の成形体の微細凹凸構造において、凸部の高さ/凸部の周期で表されるアスペクト比(B/A)は0.5以上、3.0未満が好ましく、1.1以上、2.0未満がより好ましく、1.4以上、1.9未満が特に好ましい。アスペクト比が0.5以上であると、反射率がより低い転写面を形成でき、その入射角依存性も充分に小さくなるため、成形体が反射防止膜などの反射防止物品である場合には特に好適であるとともに、凸部の形成も比較的容易に行える。一方、アスペクト比が3.0未満であると、凸部の耐擦傷性がより優れる傾向にある。
成形体の微細凹凸構造は樹脂組成物より形成される。樹脂組成物としては特に制限はないが、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(光硬化性樹脂組成物、電子線硬化性樹脂組成物)、熱硬化性樹脂組成物など、硬化反応により硬化する樹脂組成物が好適であって、例えば重合性化合物と重合開始剤とを含有する樹脂組成物が挙げられる。
重合性化合物としては、例えば、(1)1モルの多価アルコールに対して、2モル以上の比率の(メタ)アクリル酸またはその誘導体を反応させて得られるエステル化物、(2)多価アルコールと、多価カルボン酸またはその無水物と、(メタ)アクリル酸またはその誘導体とから得られるエステル化物、などを使用できる。
上記(1)としては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記(2)としては、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、セバシン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等から選ばれる多価カルボン酸またはその無水物と、(メタ)アクリル酸またはその誘導体を反応させて得られるエステル化物等が挙げられる。
これら重合性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物が光硬化性の場合には、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイドなどが挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
電子線硬化性の場合には、電子線重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジンなどが挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
樹脂組成物が熱硬化性の場合には、熱重合開始剤としては、例えばメチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。
これらの光重合開始剤、電子線重合開始剤、熱重合開始剤は単独で使用してもよく、これらを所望に組み合わせて用いてもよい。
また、重合開始剤の量は、重合性化合物100質量部に対し0.01〜10質量部が好ましい。このような範囲であると、硬化が充分に進行するとともに、硬化物の分子量が適切となって充分な強度が得られ、また、重合開始剤の残留物等のために硬化物が着色するなどの問題も生じない。
樹脂組成物には、必要に応じて、非反応性のポリマーや活性エネルギー線ゾルゲル反応性成分が含まれてもよいし、増粘剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、溶剤、無機フィラー等の各種添加剤が含まれてもよい。
非反応性のポリマーとしては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性成分としては、特に限定されないが、例えばアルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物などが挙げられる。
アルコキシシラン化合物は、RxSi(OR’)yで表せるものが使用でき、R及びR’は炭素数1〜10のアルキル基を表し、x及びyはx+y=4の関係を満たす整数である。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシランなどが挙げられる。
アルキルシリケート化合物は、RO(SiORORO)で表せるものが使用でき、R〜Rはそれぞれ炭素数1〜5のアルキル基を示し、Zは3〜20の整数を示す。具体的にはメチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケートなどが挙げられる。
[成形体の製造方法]
本発明の成形体の製造方法には特に制限はないが、モールドを用いた転写法により微細凹凸構造を形成することが好ましい。モールドとしては、成形体の表面の微細凹凸構造に対応する反転構造が形成された転写面を有するモールドを使用するのが好ましく、特に、陽極酸化ポーラスアルミナからなるモールドを使用するのが好ましい。陽極酸化ポーラスアルミナからなるモールドを使用する方法によれば、低コストであるとともに、成形体の微細凹凸構造を大面積で形成することや連続賦型も容易となる。
なお、凸部の周期および高さが上述した範囲内となる微細凹凸構造を形成するには、モールドの微細凹凸構造の凹部(細孔)の周期が150nm未満に、細孔の深さが130nm以上、200nm未満になるように調整すればよい。モールドが陽極酸化ポーラスアルミナからなる場合、細孔の周期や深さは、陽極酸化の条件を調節することで制御できる。なお、細孔の「周期」とは、細孔の中心から、これに隣接する細孔の中心までの距離のことである。
ここで、モールドの形成方法の一例について説明する。
<モールドの形成>
上述したように、本発明で用いられるモールドの転写面は、陽極酸化ポーラスアルミナからなることが好ましい。陽極酸化ポーラスアルミナとはアルミニウムの陽極酸化皮膜(アルマイト)のことであり、該酸化皮膜には多数の細孔が形成されている。酸化皮膜に形成される細孔の直径制御は、常法に従って行うことができる。例えば、高電圧で陽極酸化を行うほど細孔の直径は大きくなる。陽極酸化に使用される電解液は、酸性、アルカリ性のいずれの電解液でも差し支えない。酸性の電解液としては、主に、硫酸、シュウ酸、リン酸等が使用され、この順で高電圧を印加することが可能となり、それに伴い細孔の直径が増加する。
(アルミニウム)
モールドが陽極酸化ポーラスアルミナからなる場合、そのモールド材料には、アルミニウムが使用される。そのアルミニウムの純度は99.0%以上が好ましく、99.3%以上がより好ましく、99.8%以上が最も好ましい。99.0%より純度が低いと陽極酸化した時に、不純物の偏析により可視光を散乱する大きさの凹凸構造が形成されたり、陽極酸化で得られる細孔の規則性が低下したりするおそれがある。
アルミニウムの形状は陽極酸化により形成される酸化皮膜よりも厚ければどのような形状でも良く、例えば平板状、フィルム状、柱状、円柱状、円筒状であってよい。または少なくとも該形状の表面付近にのみアルミニウムが存在している構造であってもよい。
(陽極酸化)
モールドを形成する具体的な方法としては、まず、アルミニウム原型を電解液中、定電圧下で陽極酸化した後に、一旦酸化皮膜を除去する「一段階目の陽極酸化」を行い、その後に「二段階目の陽極酸化」を行うことが好ましい。
なお、一段階目の陽極酸化は必須ではないが、これにより規則的な陽極酸化の細孔発生点を形成して、細孔の規則性を向上することができる(例えば、益田,「応用物理」,vol.69,No.5,p558(2000年)参照。)。
(一段階目の陽極酸化)
一段階目の陽極酸化では、まず、アルミニウムを酸性またはアルカリ性の電解液中、定電圧下で陽極酸化し、アルミニウムの表面に、細孔を備えた酸化皮膜を形成する。
酸性電解液としては、例えばシュウ酸、硫酸、りん酸、それらの混合物などが挙げられる。
シュウ酸を電解液として用いた場合を例に挙げると、濃度は0.7M以下が好ましい。0.7Mより高い場合は、電流値が高くなりすぎて表面が粗くなることがある。化成電圧が30〜60Vの時、周期が100nmの規則性の高い細孔を有するポーラスアルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても細孔の規則性が低下する傾向があり、化成電圧が高くなると周期が150nm以上の凹凸構造ができることがある。陽極酸化反応時の電解液の温度は60℃以下が好ましく、45℃以下が更に好ましい。60℃より高いといわゆる「やけ」といわれる現象がおこり、凹凸構造が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
硫酸を電解液として用いた場合、濃度は0.7M以下が好ましい。0.7Mより高い場合は電流値が高くなりすぎて定電圧でなくなることがある。化成電圧が25〜30Vで周期63nmの規則性の高い細孔を得ることが可能である。化成電圧がこの範囲より高くても低くても細孔の規則性が低下する傾向がある。陽極酸化反応時の電解液の温度は30℃以下が好ましく、20℃以下が更に好ましい。30℃より高いといわゆる「やけ」といわれる現象がおこり、凹凸構造が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
一段階目の陽極酸化において、アルミニウムを前記電解液及び化成電圧下で陽極酸化して形成される酸化皮膜の厚みは、電界放出形走査電子顕微鏡で観察した時に10μm以下が好ましく、1〜5μmがより好ましく、1〜3μmが最も好ましい。厚みが10μmより厚いとアルミニウムの結晶粒界が目視でも確認できるようになり、転写した場合に転写膜の表面に結晶粒界の凹凸までもが転写されることがある。
一段階目の陽極酸化において、陽極酸化により形成した酸化皮膜を一旦除去する方法は特に限定されないが、アルミニウムを溶解せず、アルミナを選択的に溶解する溶液に溶解させて除去する方法が挙げられる。かかる溶液としては、例えばクロム酸とリン酸の混合液などが挙げられる。
(二段階目の陽極酸化)
図5は二段階目の陽極酸化を説明するための概略模式図である。
まず、図5(a)に示すアルミニウム1に対して、好ましくは上述した一段階目の陽極酸化を行って酸化皮膜の形成および除去を行った後、再度陽極酸化を行うことにより、図5(b)に示すように円柱状の細孔2aを有する酸化皮膜(アルミナ層)2が得られる。このときの陽極酸化は一段階目の陽極酸化と同じ範囲の電解液濃度、化成電圧、電解液温度で行うことができる。
次いで、アルミナを溶解する溶液に浸漬することによって、図5(c)に示すように、細孔2aの径を拡大させる細孔径拡大処理を行う。このような溶液としては、例えば5質量%程度のリン酸水溶液などが使用される。二段階目の陽極酸化および細孔径拡大処理の条件により細孔2aの形状を制御することができる。すなわち、陽極酸化時間が長いほど細孔2aは深くなり、細孔径拡大処理の時間が長いほど細孔2aの径は大きくなる。
続いて、再び陽極酸化を行うと、図5(d)に示すように、細孔2aの底部に柱状の細孔3aが形成された酸化皮膜3が得られる。このときの陽極酸化は一段階目の陽極酸化と同じ範囲の電解液濃度、化成電圧、電解液温度で行うことができる。
このように、二段目の陽極酸化では、陽極酸化を行って円柱状の細孔を形成する工程(酸化皮膜形成工程)と、細孔径拡大処理を行う工程(細孔径拡大処理工程)とを交互に繰り返すことによって、図5(e)に示すように、直径が開口部から深さ方向に向かって連続的に減少する形状の細孔4aを有する酸化皮膜(陽極酸化ポーラスアルミナ)4が得られる。
こうして得られる陽極酸化ポーラスアルミナをモールドの転写面として用いる。陽極酸化ポーラスアルミナにおける細孔形状は、得ようとする成形体の表面の微細凹凸構造に対応する反転構造となるよう制御する。細孔形状は陽極酸化時間と細孔径拡大処理時間を適宜変更することにより制御でき、例えば図2〜4に示す形状の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得ることが可能である。条件によっては、開口部から深さ方向に向かって直径が非連続的に減少する形状の細孔も形成可能である。
なお、陽極酸化ポーラスアルミナからなるモールドの表面(転写面)に、離型が容易になるように、離型剤処理を施してもよい。処理方法としては特に限定されないが、例えば、シリコーン系ポリマーやフッ素系ポリマーをコーティングしたり、フッ素化合物を蒸着したり、フッ素系またはフッ素シリコーン系のシランカップリング剤をコーティングする方法などが挙げられる。
こうして得られたモールドを用いることによって、このモールドの微細凹凸構造が転写された転写面を有する成形体を製造できる。
ついで、成形体の製造方法の一例について説明する。
<製造方法>
成形体の製造方法の具体的な方法としては、例えば、モールドと透明基材との間に、先に説明した重合性化合物と重合開始剤とを含有する樹脂組成物を配した後、この樹脂組成物を硬化するとともにモールドを剥離する。その結果、微細凹凸構造が表面に転写された樹脂層と透明基材とからなる成形体が得られる。
より具体的には、モールドと透明基材とを対向させ、これらの間に樹脂組成物を充填、配置する。この際、モールドの微細凹凸構造が形成された側の面、すなわちモールド表面が、透明基材と対向するようにする。ついで、充填された樹脂組成物に、透明基材を介して活性エネルギー線(可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、赤外線等の熱線)を例えば高圧水銀ランプやメタルハライドランプにより照射したり、加熱したりして、樹脂組成物を硬化し、その後、モールドを剥離する。この際、必要に応じて、剥離後に再度活性エネルギー線を照射したり、加熱したりしてもよい。活性エネルギー線の照射量は、硬化が進行するエネルギー量であればよいが、通常、100〜10000mJ/cmである。
あるいは、透明基材上に固体状の未硬化の樹脂組成物をコーティングしておき、この樹脂組成物に対してロール型とされたモールドを圧接して微細凹凸構造を転写した後、未硬化の樹脂組成物に活性エネルギー線を照射したり加熱したりして硬化する方法によっても、同様に成形体が得られる。
このようにして転写される微細凹凸構造は、成形体の表面全体に形成されていてもよく、表面の一部に微細凹凸構造が形成されていてもよい。
なお、上記の硬化反応とモールドの剥離の順番に関しては結果として微細凹凸構造が転写できていればどのような順番でも良く、例えば、完全に硬化させた後モールドを剥離する方法や、ある程度硬化させた段階でモールドを剥離し、さらに硬化させる方法を選択してもよい。
樹脂組成物をモールドと透明基材との間に充填、配置する際には、例えばローラーコート法、バーコート法、エアーナイフコート法等により、樹脂組成物を透明基材やモールドに塗布する方法が挙げられる。また、その際、樹脂組成物が適当な粘度となるように、増粘剤や溶剤等を添加したり、樹脂組成物の温度を調整したりしてもよい。
ここで使用される透明基材の材質は特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂等が挙げられる。
透明基材の形状は、シート状(フィルム状)などがあり、例えば成形体が反射防止膜などである場合には好適であるが、製造する成形体に応じて適宜選択でき、立体形状でもよい。
[成形体の用途]
このようにして製造された成形体は、光学用途成形体、特に反射防止膜や立体形状の反射防止体などの反射防止物品として好適である。
成形体が反射防止膜である場合には、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置のような画像表示装置、レンズ、ショーウィンドー、眼鏡レンズ等の対象物の表面に貼り付けて使用される。反射防止膜のヘイズは3%以下が好ましく、1%以下がより好ましく、0.8%以下がさらに好ましい。3%より高いと、例えば画像表示装置に用いた場合、画像の鮮明度が低下する可能性がある。
成形体が立体形状の反射防止体である場合には、あらかじめ用途に応じた形状の透明基材を用いて反射防止体を製造しておき、これを上記対象物の表面を構成する部材として使用することもできる。
また、対象物が画像表示装置である場合には、その表面に限らず、その前面板に対して反射防止膜を貼り付けてもよいし、前面板そのものを本発明の成形体から構成することもできる。
その他にも、このような成形体の用途としては、光導波路、レリーフホログラム、レンズ、偏光分離素子などの光学用途成形体や、細胞培養シート、超撥水性フィルム、超親水性フィルムなどが挙げられる。
また、成形体の構成としても、透明基材と樹脂層とからなるものに限定されず、透明基材を備えていないものであってもよく、用途に応じて適宜設定できる。
さらに、成形体が反射防止物品である場合、外光を散乱させるアンチグレア機能を有したものでもよく、その場合には、可視光の波長を超える周期の凹凸構造上に、可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を設けた構成としてもよい。
以上説明したように、本発明の成形体は、その表面に、周期が150nm未満であり、かつ高さが130nm以上、200nm未満である凸部を有する微細凹凸構造が形成されているので、低反射率であるとともに、視感度反射率を十分に低く抑えることができる。具体的には、成形体の微細凹凸構造の凸部の周期および高さが上述した大きさであれば、反射率が可視光領域で1.5%以下となり、かつ視感度反射率が0.20%以下となる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、各種測定は以下の方法にて行った。
(1)モールドの細孔
陽極酸化ポーラスアルミナからなるモールドの一部について、その縦断面を1分間Pt蒸着し、日本電子社製の電界放出形走査電子顕微鏡JSM−7400Fにより加速電圧3.00kVで観察した。そして、酸化皮膜の厚さ、細孔の周期p、細孔の径r、細孔全体の深さDepを測定した。それぞれ10点ずつ測定しその平均値を求め、測定値とした。
(2)成形体の微細凹凸
製造された成形体の縦断面を10分間Pt蒸着し、上記(1)の場合と同様の装置および条件にて、凸部の周期A、凸部の直径R、凸部の高さBなどを測定した。それぞれ10点ずつ測定しその平均値を求め、測定値とした。
(3)反射率の測定
製造された成形体の裏面(微細凹凸構造が形成されていない面)を艶消し黒色スプレーで塗り、これをサンプルとし、日立製作所社製の分光光度計U−4000を用いて入射角5°(5°正反射付属装置使用)、波長380〜780nmの範囲で成形体の表面(微細凹凸構造が形成された面)の相対反射率を測定した。
(4)視感度反射率の測定
(3)で測定した反射率の値を用い、JIS R3106に準拠して視感度反射率を計算した。
[モールドの製造]
<製造例1>
電解液として0.5Mシュウ酸を用い、陰極・陽極それぞれに厚さ0.5mmのアルミ板を使用して、40Vの電圧で16℃で6時間陽極酸化を行い、酸化皮膜を形成した。ついで、その陽極を70℃の6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混酸に浸漬して、酸化皮膜(アルミナ層)を溶解した(一段目の陽極酸化)。
ついで、二段目の陽極酸化を実施した。すなわち、純水で洗浄後、0.3Mシュウ酸を電解液として40Vの電圧で16℃で25秒陽極酸化を行い、酸化皮膜を形成した(酸化皮膜形成工程)。そのまま、32℃、5質量%リン酸に8分間浸漬してエッチング処理を行い、細孔を拡径した(細孔径拡大処理工程)。
その後、二段目の陽極酸化における、酸化皮膜形成工程と、細孔径拡大処理工程を1セットとして合計5セット繰り返して行い、酸化皮膜の厚さ:200nm、細孔の周期p:100nm、細孔の径r:95nm、細孔全体の深さDep:180nmとなる、図5(e)に示すような略円錐状の細孔を有するモールドを得た。そして、モールド表面をKP−801M(フルオロアルキルシリコーン)で処理するフッ素化処理を行った。
<製造例2>
二段目の陽極酸化における、酸化皮膜形成工程の陽極酸化時間を28秒とした以外は、製造例1と同様にして、酸化皮膜の厚さ:220nm、細孔の周期p:100nm、細孔の径r:95nm、細孔全体の深さDep:190nmとなる、図5(e)に示すような略円錐状の細孔を有するモールドを得た。そして、モールド表面について、製造例1と同様にしてフッ素化処理を行った。
<製造例3>
電解液として0.3M硫酸を用い、陰極・陽極それぞれに厚さ0.5mmのアルミ板を使用して、27Vの電圧で16℃で6時間陽極酸化を行い、酸化皮膜を形成した。ついで、その陽極を70℃の6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混酸に浸漬して、酸化皮膜(アルミナ層)を溶解した(一段目の陽極酸化)。
ついで、二段目の陽極酸化を実施した。すなわち、純水で洗浄後、0.3M硫酸を電解液として27Vの電圧で10℃で30秒陽極酸化を行い、酸化皮膜を形成した(酸化皮膜形成工程)。そのまま、32℃、5質量%リン酸に3分間浸漬してエッチング処理を行い、細孔を拡径した(細孔径拡大処理工程)。
その後、以下の繰り返し工程を合計4回繰り返して行い、酸化皮膜の厚さ:210nm、細孔の周期p:63nm、細孔の径r:55nm、細孔全体の深さDep:180nmとなる、図5(e)に示すような略円錐状の細孔を有するモールドを得た。そして、モールド表面について、製造例1と同様にしてフッ素化処理を行った。
繰り返し工程:0.3M硫酸を電解液として、27Vの電圧で10℃で30秒陽極酸化し、そのまま32℃、5質量%リン酸に3分間浸漬してエッチング処理を行って拡径する工程。
<製造例4>
二段目の陽極酸化における、酸化皮膜形成工程の陽極酸化時間を30秒とした以外は、製造例1と同様にして、酸化皮膜の厚さ:250nm、細孔の周期p:100nm、細孔の径r:95nm、細孔全体の深さDep:230nmとなる、図5(e)に示すような略円錐状の細孔を有するモールドを得た。そして、モールド表面について、製造例1と同様にしてフッ素化処理を行った。
<製造例5>
二段目の陽極酸化における、酸化皮膜形成工程の陽極酸化時間を15秒とした以外は、製造例1と同様にして、酸化皮膜の厚さ:130nm、細孔の周期p:100nm、細孔の径r:95nm、細孔全体の深さDep:110nmとなる、図5(e)に示すような略円錐状の細孔を有するモールドを得た。そして、モールド表面について、製造例1と同様にしてフッ素化処理を行った。
<製造例6>
二段目の陽極酸化における、酸化皮膜形成工程の陽極酸化時間を20秒とした以外は、製造例1と同様にして、酸化皮膜の厚さ:180nm、細孔の周期p:100nm、細孔の径r:95nm、細孔全体の深さDep:11nmとなる、図5(e)に示すような略円錐状の細孔を有するモールドを得た。そして、モールド表面について、製造例1と同様にしてフッ素化処理を行った。
[実施例1]
製造例1で得られたモールドのモールド表面に、以下の組成の液状の樹脂組成物Aを流し込み、その上に透明基材としてPETフィルムを被せた後、UV照射機(高圧水銀ランプ:積算光量3600mJ/cm、ピーク照度180mW/cm)によりUV照射して、樹脂組成物Aを硬化した。ついで、モールドを剥離することにより、図1に示すような略円錐状の凸部21aを備えた微細凹凸構造を表面に有する樹脂層と、透明基材とからなる成形体21を得た。
得られた成形体の凸部の周期A、凸部の直径R、凸部全体の高さBを表1に示す。
また、この成形体の微細凹凸構造が形成された面について、反射率を測定したところ、380〜780nmの範囲全てで1.0%以下であり、かつ視感度反射率が0.19%であった。
(樹脂組成物A)
コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物;50質量部、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学(株)製);50質量部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュア184」);3質量部。
[実施例2]
実施例1において使用した樹脂組成物Aの代わりに、樹脂組成物AにV−70(2,2’−アゾビス(4−メトキシー2,4−ジメチルバレロニトリル))0.1質量部を追加した樹脂組成物Bを使用するとともに、実施例1と同様の条件のUV照射後にさらに70℃×10分間の加熱処理を行った以外は、実施例1と同様にして成形体を得て、同様に微細凹凸を測定した。表1に結果を示す。
また、この成形体の微細凹凸構造が形成された面について、反射率を測定したところ、380〜780nmの範囲全てで1.0%以下であり、かつ視感度反射率が0.19%であった。
[実施例3]
PETフィルムをアクリルフィルムに変更した以外は、実施例1と同様にして成形体を得て、同様に微細凹凸を測定した。表1に結果を示す。
また、この成形体の微細凹凸構造が形成された面について、反射率を測定したところ、380〜780nmの範囲全てで0.7%以下であり、かつ視感度反射率が0.14%であった。
[実施例4]
製造例2で得られたモールドを使用した以外は、実施例1と同様にして成形体を得て、同様に微細凹凸を測定した。表1に結果を示す。
また、この成形体の微細凹凸構造が形成された面について、反射率を測定したところ、380〜780nmの範囲全てで0.9%以下であり、かつ視感度反射率が0.18%であった。
[実施例5]
製造例2で得られたモールドを使用し、樹脂組成物Aの代わりに樹脂組成物Bを使用した以外は、実施例1と同様にして成形体を得て、同様に微細凹凸を測定した。表1に結果を示す。
また、この成形体の微細凹凸構造が形成された面について、反射率を測定したところ、380〜780nmの範囲全てで0.9%以下であり、かつ視感度反射率が0.18%であった。
[実施例6]
PETフィルムをアクリルフィルムに変更し、製造例2で得られたモールドを使用した以外は、実施例1と同様にして成形体を得て、同様に微細凹凸を測定した。表1に結果を示す。
また、この成形体の微細凹凸構造が形成された面について、反射率を測定したところ、380〜780nmの範囲全てで0.7%以下であり、かつ視感度反射率が0.13%であった。
[実施例7]
製造例3で得られたモールドを使用した以外は、実施例1と同様にして成形体を得て、同様に微細凹凸を測定した。表1に結果を示す。
また、この成形体の微細凹凸構造が形成された面について、反射率を測定したところ、380〜780nmの範囲全てで0.9%以下であり、かつ視感度反射率が0.18%であった。
[実施例8]
PETフィルムをアクリルフィルムに変更し、製造例6で得られたモールドを使用した以外は、実施例1と同様にして成形体を得て、同様に微細凹凸を測定した。表1に結果を示す。
また、この成形体の微細凹凸構造が形成された面について、反射率を測定したところ、380〜780nmの範囲全てで0.8%以下であり、かつ視感度反射率が0.11%であった。
[比較例1]
製造例4で得られたモールドを使用した以外は、実施例1と同様にして成形体を得て、同様に微細凹凸を測定した。表2に結果を示す。
また、この成形体の微細凹凸構造が形成された面について、反射率を測定したところ、380〜780nmの範囲全てで0.7%以下であったが、視感度反射率は0.22%であった。
[比較例2]
製造例5で得られたモールドを使用した以外は、実施例1と同様にして成形体を得て、同様に微細凹凸を測定した。表2に結果を示す。
また、この成形体の微細凹凸構造が形成された面について、反射率を測定したところ、380〜780nmの範囲で最大1.8%となり、視感度反射率も0.78%であった。
1:アルミニウム、
2a、3a、4a:細孔、
2、3、4:酸化皮膜、
11、12、13、14:モールド、
21、22、23、24:成形体、
21a、22a、23a、24a:凸部。

Claims (4)

  1. 樹脂組成物から形成された微細凹凸構造を表面に有する成形体であって、
    前記微細凹凸構造の凸部の周期が150nm未満であり、凸部の高さが130nm以上、200nm未満であり、かつ、凸部の底部の直径/凸部の周期で表される比(R/A)が0.87以上であり、
    反射率が可視光領域で1.5%以下であり、かつ視感度反射率が0.20%以下であることを特徴とする成形体。
  2. 凸部の高さ/凸部の周期で表されるアスペクト比(B/A)が、1.1以上、2.0未満であることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  3. 請求項1または2に記載の成形体の製造方法であって、モールドを用いた転写法により前記微細凹凸構造を形成することを特徴とする成形体の製造方法。
  4. 前記モールドは、陽極酸化ポーラスアルミナであることを特徴とする請求項3に記載の成形体の製造方法。
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