JP2013125317A - タッチパネル付き画像表示装置 - Google Patents

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JP2013125317A JP2011272288A JP2011272288A JP2013125317A JP 2013125317 A JP2013125317 A JP 2013125317A JP 2011272288 A JP2011272288 A JP 2011272288A JP 2011272288 A JP2011272288 A JP 2011272288A JP 2013125317 A JP2013125317 A JP 2013125317A
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厚志 佐伯
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Abstract

【課題】画像表示装置本体およびタッチパネルが、それぞれの対向面に微細凹凸構造を有することによって、対向面における光の反射が抑えられ、かつ微細凹凸構造が破損しにくいタッチパネル付き画像表示装置を提供する。
【解決手段】液晶パネル20(画像表示装置本体)と、液晶パネル20の画像が表示される側に配置されたタッチパネル40とを備え、液晶パネル20が、タッチパネル40に対向する表面に第1の微細凹凸構造を有し、タッチパネル40が、液晶パネル20に対向する表面に第2の微細凹凸構造を有し、第1の微細凹凸構造の表面のマルテンス硬度が、第2の微細凹凸構造の表面のマルテンス硬度の±25%以内である画像表示装置10。
【選択図】図1

Description

本発明は、タッチパネル付き画像表示装置に関する。
タッチパネル付き画像表示装置は、液晶パネル等の画像表示装置本体の画像が表示される側にタッチパネルが配置されたものである。画像表示装置本体に表示されたボタン等に相当するタッチパネルの入力面の領域を指等で押さえることで、タッチパネルおよび画像表示装置本体が接続された各種機器(パーソナルコンピュータ、携帯電話、ATM等)を操作することができる。
タッチパネル付き画像表示装置においては、画像表示装置本体を保護するために、タッチパネルと画像表示装置本体との間にわずかな隙間(空気層)が設けられる。しかし、タッチパネルと空気層との界面、および画像表示装置本体と空気層との界面において光の反射が発生し、画像表示装置本体の画像の視認性が低下するという問題がある。
なお、画像表示装置本体と、画像表示装置本体の画像が表示される側に配置された保護カバーとを備えた画像表示装置であって、画像表示装置本体および保護カバーが、それぞれの対向面に、反射を抑制するための微細凹凸構造を有するものが提案されている(特許文献1)。
しかし、この画像表示装置にあっては、保護カバーが指等で押されて画像表示装置本体と接触すると、それぞれの微細凹凸構造が破損し、その結果、画像表示装置本体および保護カバーの対向面が白っぽくなったり、微細凹凸構造の削りかすが発生したり、微細凹凸構造が破損した箇所の反射率が高くなったりすることがある。
特開2010−122481号公報
本発明は、画像表示装置本体およびタッチパネルが、それぞれの対向面に微細凹凸構造を有することによって、対向面における光の反射が抑えられ、かつ微細凹凸構造が破損しにくいタッチパネル付き画像表示装置を提供する。
本発明のタッチパネル付き画像表示装置は、画像表示装置本体と、前記画像表示装置本体の画像が表示される側に配置されたタッチパネルとを備え、前記画像表示装置本体が、前記タッチパネルに対向する表面に第1の微細凹凸構造を有し、前記タッチパネルが、前記画像表示装置本体に対向する表面に第2の微細凹凸構造を有し、前記第1の微細凹凸構造の表面のマルテンス硬度が、前記第2の微細凹凸構造の表面のマルテンス硬度の±25%以内であることを特徴とする。
前記第1の微細凹凸構造および前記第2の微細凹凸構造は、陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して形成された複数の凸部からなることが好ましい。
前記微細凹凸構造は、複数の凸部からなり、前記凸部の高さが、80〜500nmであり、前記凸部間の平均間隔が、20〜400nmであり、前記凸部のアスペクト比(高さ/平均間隔)が、0.8〜5であることが好ましい。
本発明のタッチパネル付き画像表示装置にあっては、画像表示装置本体およびタッチパネルが、それぞれの対向面に微細凹凸構造を有することによって、対向面における光の反射が抑えられ、かつ微細凹凸構造が破損しにくい。
本発明のタッチパネル付き画像表示装置の一例を示す断面図である。 本発明のタッチパネル付き画像表示装置に用いる低反射フィルムの一例を示す断面図である。 低反射フィルムの製造装置の一例を示す構成図である。 陽極酸化アルミナを表面に有するモールドの製造工程を示す断面図である。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびまたはメタクリレートを意味する。
本明細書において、「活性エネルギー線」は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。
<画像表示装置>
本発明のタッチパネル付き画像表示装置(以下、単に画像表示装置と記す。)は、画像表示装置本体と、画像表示装置本体の画像が表示される側に配置されたタッチパネルとを備え、画像表示装置本体が、タッチパネルに対向する表面に第1の微細凹凸構造を有し、タッチパネルが、画像表示装置本体に対向する表面に第2の微細凹凸構造を有するものである。
図1は、本発明の画像表示装置の一例を示す断面図である。画像表示装置10は、液晶パネル20(画像表示装置本体)と、液晶パネル20の画像が表示される側に配置されたタッチパネル40と、液晶パネル20の、タッチパネル40が配置された側とは反対側に配置されたバックライト12とを備えたものである。
(液晶パネル)
液晶パネル20は、カラーフィルタ(図示略)、透明電極(図示略)、配向膜(図示略)等が形成された第1のガラス基板21と、透明電極(図示略)、配向膜(図示略)等が形成された第2のガラス基板22と、第1のガラス基板21と第2のガラス基板22とに挟まれた液晶層23と、液晶層23とは反対側の第1のガラス基板21の表面に接着剤層(図示略)を介して貼り合わされた第1の偏光フィルム24と、液晶層23とは反対側の第2のガラス基板22の表面に接着剤層(図示略)を介して貼り合わされた第2の偏光フィルム25と、第1の偏光フィルム24の表面に接着剤層26を介して貼り合わされた第1の低反射フィルム30とを備えたものである。
(第1の低反射フィルム)
第1の低反射フィルム30は、図2に示すように、基材フィルム34と、基材フィルム34の表面に形成された、複数の凸部32からなる第1の微細凹凸構造を表面に有する硬化樹脂層36とを有する。
(基材フィルム)
基材フィルム34は、透明フィルムからなる。基材フィルム34の材料としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、ポリエステル、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、脂環式ポリオレフィン等が挙げられる。
(硬化樹脂層)
硬化樹脂層36は、後述の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる透明膜であり、複数の凸部32からなる第1の微細凹凸構造を表面に有する。
略円錐形状、角錐形状等の凸部32が複数並んだ微細凹凸構造(いわゆるモスアイ構造)は、空気の屈折率から材料の屈折率に連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となることが知られている。
第1の微細凹凸構造は、後述する陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して形成されたものであることが好ましい。陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して形成された微細凹凸構造は、良好な低反射性を発現できる。また、低コストで形成でき、かつ大面積化が可能である。
凸部32の高さHは、80〜500nmが好ましく、120〜400nmがより好ましく、150〜300nmが特に好ましい。凸部32の高さHが80nm以上であれば、反射率が十分に低くなり、かつ反射率の波長依存性が少ない。凸部32の高さHが500nm以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
凸部32の高さHは、電子顕微鏡観察によって、凸部32の最頂部と、凸部32間に存在する凹部の最底部との間の距離を50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部32間の平均間隔Pは、可視光線の反射率が十分に低くなる点から、可視光線の波長以下、すなわち400nm以下が好ましい。陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して凸部32を形成した場合、凸部32間の平均間隔Pは100nm程度となることから、200nm以下がより好ましく、150nm以下が特に好ましい。
凸部32間の平均間隔Pは、凸部32の形成のしやすさの点から、20nm以上が好ましい。
凸部32間の平均間隔Pは、電子顕微鏡観察によって、隣接する凸部32間の間隔(凸部32の中心から隣接する凸部32の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部32のアスペクト比(凸部32の高さH/凸部32間の平均間隔P)は、0.8〜5が好ましく、1.2〜4がより好ましく、1.5〜3が特に好ましい。凸部32のアスペクト比が0.8以上であれば、反射率が十分に低くなる。凸部32のアスペクト比が5以下であれば、凸部32の耐擦傷性が良好となる。
凸部32の形状は、高さ方向と直交する方向の凸部断面積が最表面から深さ方向に連続的に増加する形状、すなわち、凸部32の高さ方向の断面形状が、三角形、台形、釣鐘型等の形状が好ましい。
(タッチパネル)
タッチパネル40は、入力面Sに接近または接触した導電体(指、金属等)の位置を静電容量の変化として検出する静電容量方式のタッチパネルであり、入力面Sを有するカバーガラス42と、カバーガラス42を挟んで入力面Sの反対側に、接着剤層44を介して貼り合わされた電極基板50と、電極基板50の透明電極に電気的に接続し、入力面Sに導電体が接近または接触した際の静電容量の変化を検出する検出部(図示略)と、電極基板50の表面に接着剤層46を介して貼り合わされた第2の低反射フィルム60とを備えたものである。
(電極基板)
電極基板50は、基板本体52と、基板本体52の一方の表面に形成された、第1の方向に延びる複数の電極パターンからなるストライプ状の第1の透明電極54と、基板本体52の他方の表面に形成された、第1の方向に交差する第2の方向に延びる複数の電極パターンからなるストライプ状の第2の透明電極56とを備えたものである。
(基板本体)
基板本体52は、透明な板、フィルム、シート等からなる。基板本体52の材料としては、ガラス、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、ポリエステル、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、脂環式ポリオレフィン等が挙げられる。
(透明電極)
第1の透明電極54および第2の透明電極56は、光を透過でき、かつ導電性を有する薄膜である。
第1の透明電極54および第2の透明電極56としては、導電性金属酸化物薄膜等が挙げられる。導電性金属酸化物としては、スズがドープされた酸化インジウム(以下、ITOと記す。)等が挙げられる。
(検出部)
検出部は、例えば、透明電極に所定の電圧を印加しつつ、入力面に導電体が接近または接触した際の導電体と電極との間の静電容量の変化を検出し、いずれの箇所に導電体が接近または接触したかを検出するものである。
(第2の低反射フィルム)
第2の低反射フィルム60は、図2に示すように、基材フィルム64と、基材フィルム64の表面に形成された、複数の凸部62からなる第2の微細凹凸構造を表面に有する硬化樹脂層66とを有する。
(基材フィルム)
基材フィルム64は、透明フィルムからなる。基材フィルム64の材料としては、上述した基材フィルム34と同様のものが挙げられる。
(硬化樹脂層)
硬化樹脂層66は、後述の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる透明膜であり、複数の凸部62からなる第2の微細凹凸構造を表面に有する。
略円錐形状、角錐形状等の凸部62が複数並んだ微細凹凸構造(いわゆるモスアイ構造)は、空気の屈折率から材料の屈折率に連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となることが知られている。
第2の微細凹凸構造は、後述する陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して形成されたものであることが好ましい。陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して形成された微細凹凸構造は、良好な低反射性を発現できる。また、低コストで形成でき、かつ大面積化が可能である。
凸部62の高さHは、80〜500nmが好ましく、120〜400nmがより好ましく、150〜300nmが特に好ましい。凸部62の高さHが80nm以上であれば、反射率が十分に低くなり、かつ反射率の波長依存性が少ない。凸部62の高さHが500nm以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
凸部62の高さHは、電子顕微鏡観察によって、凸部62の最頂部と、凸部62間に存在する凹部の最底部との間の距離を50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部62間の平均間隔Pは、可視光線の反射率が十分に低くなる点から、可視光線の波長以下、すなわち400nm以下が好ましい。陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して凸部62を形成した場合、凸部62間の平均間隔Pは100nm程度となることから、200nm以下がより好ましく、150nm以下が特に好ましい。
凸部62間の平均間隔Pは、凸部62の形成のしやすさの点から、20nm以上が好ましい。
凸部62間の平均間隔Pは、電子顕微鏡観察によって、隣接する凸部62間の間隔(凸部62の中心から隣接する凸部62の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部62のアスペクト比(凸部62の高さH/凸部62間の平均間隔P)は、0.8〜5が好ましく、1.2〜4がより好ましく、1.5〜3が特に好ましい。凸部62のアスペクト比が0.8以上であれば、反射率が十分に低くなる。凸部62のアスペクト比が5以下であれば、凸部62の耐擦傷性が良好となる。
凸部62の形状は、高さ方向と直交する方向の凸部断面積が最表面から深さ方向に連続的に増加する形状、すなわち、凸部62の高さ方向の断面形状が、三角形、台形、釣鐘型等の形状が好ましい。
(マルテンス硬度)
画像表示装置10においては、第1の微細凹凸構造の表面(すなわち、第1の低反射フィルム30の硬化樹脂層36の表面)のマルテンス硬度が、第2の微細凹凸構造の表面(すなわち、第2の低反射フィルム60の硬化樹脂層66の表面)のマルテンス硬度の±25%以内であり、±7%以内が好ましい。
第1の微細凹凸構造の表面のマルテンス硬度が、第2の微細凹凸構造の表面のマルテンス硬度の±25%以内である、すなわち第1の微細凹凸構造の表面(硬化樹脂層36の表面)と第2の微細凹凸構造の表面(硬化樹脂層66の表面)とが実質的に同じマルテンス硬度であれば、第1の微細凹凸構造と第2の微細凹凸構造とが接触した際に、一方の微細凹凸構造によって、他方の微細凹凸構造が削り取られにくくなり、微細凹凸構造が破損しにくくなる。
第1の微細凹凸構造の表面のマルテンス硬度および第2の微細凹凸構造の表面のマルテンス硬度は、破損しにくい点から、高すぎないことが好ましい。微細凹凸構造の表面のマルテンス硬度は、微細凹凸構造の耐擦傷性の点から、30〜300N/mmが好ましく、100〜200N/mmがより好ましい。
微細凹凸構造の表面(硬化樹脂層の表面)のマルテンス硬度は、JIS Z 2255:2003(超微小負荷硬さ試験方法)に準拠して、超微小硬度計(フィッシャー・インストルメンツ社製、HM2000)を用いて、荷重10mNをかけて圧子を押し込み測定する。
微細凹凸構造の表面のマルテンス硬度は、硬化樹脂層の材料、凸部の形状、寸法(高さ、ピッチ等)等を適宜選択することによって調整できる。
第1の微細凹凸構造と第2の微細凹凸構造とは、マルテンス硬度が前記条件を満たす限りは、硬化樹脂層の材料、凸部の形状、寸法等が異なっていてもよい。
(接着剤層)
各接着剤層の接着剤としては、光学用途に用いられる公知の透明接着剤、透明粘着剤等が挙げられる。
(低反射フィルムの製造方法)
第1の低反射フィルム30は、例えば、図3に示す製造装置を用いて、下記のようにして製造される。第2の低反射フィルム60も、第1の低反射フィルム30と同様にして製造される。
複数の細孔(図示略)を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたロール状のモールド70の表面と、モールド70の回転に同期してモールド70の表面に沿って移動する帯状の基材フィルム34の表面との間に、タンク72から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物74を供給する。
モールド70と、空気圧シリンダ76によってニップ圧が調整されたニップロール78との間で、基材フィルム34および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物74をニップし、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物74を、基材フィルム34とモールド70との間に均一に行き渡らせると同時に、モールド70の細孔内に充填する。
モールド70と基材フィルム34との間に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物74が挟まれた状態で、モールド70の下方に設置された活性エネルギー線照射装置80を用い、基材フィルム34側から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物74に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物74を硬化させることによって、モールド70の表面の複数の細孔が転写された、複数の凸部(図示略)からなる微細凹凸構造を表面に有する硬化樹脂層36を形成する。
剥離ロール82により、硬化樹脂層36が表面に形成された基材フィルム34を剥離することによって、第1の低反射フィルム30を得る。
活性エネルギー線照射装置80としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が好ましい。積算光量は、100〜10000mJ/cmが好ましい。
(モールド)
モールド70は、陽極酸化アルミナを表面に有するモールドである。陽極酸化アルミナを表面に有するモールドは、大面積化が可能であり、作製が簡便である。
陽極酸化アルミナは、アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト)であり、複数の細孔を表面に有する。
陽極酸化アルミナを表面に有するモールドは、例えば、下記工程(a)〜(f)を経て製造できる。
(a)アルミニウム基材を電解液中、陽極酸化して酸化皮膜を形成する工程。
(b)酸化皮膜を除去し、陽極酸化の細孔発生点を形成する工程。
(c)アルミニウム基材を電解液中、再度陽極酸化し、細孔発生点に細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
(d)細孔の径を拡大させる工程。
(e)工程(d)の後、電解液中、再度陽極酸化する工程。
(f)前記工程(d)と工程(e)を繰り返し行う工程。
工程(a):
図4に示すように、アルミニウム基材84を陽極酸化すると、細孔86を有する酸化皮膜88が形成される。
アルミニウムの純度は、99%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましく、99.8%以上が特に好ましい。アルミニウムの純度が低いと、陽極酸化した時に、不純物の偏析により可視光線を散乱する大きさの凹凸構造が形成されたり、陽極酸化で得られる細孔の規則性が低下したりすることがある。
電解液としては、硫酸、シュウ酸水溶液、リン酸水溶液等が挙げられる。
工程(b):
図4に示すように、酸化皮膜88を一旦除去し、これを陽極酸化の細孔発生点90にすることで細孔の規則性を向上することができる。
酸化皮膜を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、酸化皮膜を選択的に溶解する溶液に溶解させて除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。
工程(c):
図4に示すように、酸化皮膜を除去したアルミニウム基材84を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔86を有する酸化皮膜88が形成される。
電解液としては、工程(a)と同様のものが挙げられる。
工程(d):
図4に示すように、細孔86の径を拡大させる処理(以下、細孔径拡大処理と記す。)を行う。細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、1mol/L程度のリン酸水溶液等が挙げられる。
工程(e):
図4に示すように、再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔86の底部から下に延びる、直径の小さい円柱状の細孔86がさらに形成される。
電解液としては、工程(a)と同様のものが挙げられる。
工程(f):
図4に示すように、工程(d)の細孔径拡大処理と、工程(e)の陽極酸化を繰り返すと、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔86を有する陽極酸化アルミナ(アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト))が形成されたモールド70が得られる。最後は工程(d)で終わることが好ましい。
繰り返し回数は、合計で3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。繰り返し回数が2回以下では、非連続的に細孔の直径が減少するため、このような細孔を有する陽極酸化アルミナを用いて形成された硬化樹脂層36の反射率低減効果は不十分である。
陽極酸化アルミナの表面は、硬化樹脂層36との分離が容易になるように、離型剤で処理されていてもよい。処理方法としては、例えば、シリコーン樹脂またはフッ素含有ポリマーをコーティングする方法、フッ素含有化合物を蒸着する方法、フッ素含有シラン化合物をコーティングする方法等が挙げられる。
細孔86の形状としては、略円錐形状、角錐形状、円柱形状等が挙げられ、円錐形状、角錐形状等のように、深さ方向と直交する方向の細孔断面積が最表面から深さ方向に連続的に減少する形状が好ましい。
細孔86の深さは、80〜500nmが好ましく、120〜400nmがより好ましく、150〜300nmが特に好ましい。
細孔86間の平均間隔は、可視光線の波長以下、すなわち400nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、150nm以下が特に好ましい。細孔86間の平均間隔は、20nm以上が好ましい。
細孔86のアスペクト比(細孔の深さ/細孔間の平均間隔)は、1.2〜5が好ましく、1.3〜4がより好ましく、1.5〜3が特に好ましい。
図4に示すような細孔86を転写して形成された硬化樹脂層36の表面は、いわゆるモスアイ構造となる。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、重合性化合物および重合開始剤を含む。
重合性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、非反応性のポリマー、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物を含んでいてもよい。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、単官能モノマー、多官能モノマーが挙げられる。
単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等の二官能性モノマー;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の三官能モノマー;コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能以上のモノマー;二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられ、エポキシ基を有するモノマーが特に好ましい。
オリゴマーまたは反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
非反応性のポリマーとしては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、下記式(1)の化合物が挙げられる。
11 Si(OR12 ・・・(1)。
ただし、R11、R12は、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基を表し、x、yは、x+y=4の関係を満たす整数を表す。
アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン等が挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、下記式(2)の化合物が挙げられる。
21O[Si(OR23)(OR24)O]22 ・・・(2)。
ただし、R21〜R24は、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基を表し、zは、3〜20の整数を表す。
アルキルシリケート化合物としては、メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケート等が挙げられる。
光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化反応を利用する場合、熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、帯電防止剤、離型剤、防汚性を向上させるためのフッ素化合物等の添加剤;微粒子、少量の溶剤を含んでいてもよい。
(疎水性材料)
微細凹凸構造の表面に、撥水性(具体的には水の接触角が90°以上であること)が求められる場合には、疎水性の材料を形成しうる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、フッ素含有化合物またはシリコーン系化合物を含む組成物を用いることが好ましい。
フッ素含有化合物:
フッ素含有化合物としては、下記式(3)で表されるフルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。
−(CF−X ・・・(3)。
ただし、Xは、フッ素原子または水素原子を表し、nは、1以上の整数を表し、1〜20が好ましく、3〜10がより好ましく、4〜8が特に好ましい。
フッ素含有化合物としては、フッ素含有モノマー、フッ素含有シラン化合物、フッ素含有界面活性剤、フッ素含有ポリマー等が挙げられる。
フッ素含有モノマーとしては、フルオロアルキル基置換ビニルモノマー、フルオロアルキル基置換開環重合性モノマー等が挙げられる。
フルオロアルキル基置換ビニルモノマーとしては、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリレート、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリルアミド、フルオロアルキル基置換ビニルエーテル、フルオロアルキル基置換スチレン等が挙げられる。
フルオロアルキル基置換開環重合性モノマーとしては、フルオロアルキル基置換エポキシ化合物、フルオロアルキル基置換オキセタン化合物、フルオロアルキル基置換オキサゾリン化合物等が挙げられる。
フッ素含有モノマーとしては、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリレートが好ましく、下記式(4)の化合物が特に好ましい。
CH=C(R41)C(O)O−(CH−(CF−X ・・・(4)。
ただし、R41は、水素原子またはメチル基を表し、Xは、水素原子またはフッ素原子を表し、mは、1〜6の整数を表し、1〜3が好ましく、1または2がより好ましく、nは、1〜20の整数を表し、3〜10が好ましく、4〜8がより好ましい。
フッ素含有シラン化合物としては、フルオロアルキル基置換シラン化合物が好ましく、下記式(5)の化合物が特に好ましい。
(R51 SiY ・・・(5)。
は、エーテル結合またはエステル結合を1個以上含んでいてもよい炭素数1〜20のフッ素置換アルキル基を表す。Rとしては、3,3,3−トリフルオロプロピル基、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル基、3−トリフルオロメトキシプロピル基、3−トリフルオロアセトキシプロピル基等が挙げられる。
51は、炭素数1〜10のアルキル基を表す。R51としては、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
Yは、水酸基または加水分解性基を表す。
加水分解性基としては、アルコキシ基、ハロゲン原子、R52C(O)O(ただし、R52は、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を表す。)等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、Cl、Br、I等が挙げられる。
52C(O)Oとしては、CHC(O)O、CC(O)O等が挙げられる。
a、b、cは、a+b+c=4であり、かつa≧1、c≧1を満たす整数を表し、a=1、b=0、c=3が好ましい。
フッ素含有シランカップリング剤としては、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリアセトキシシラン、ジメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
フッ素含有界面活性剤としては、フルオロアルキル基含有アニオン系界面活性剤、フルオロアルキル基含有カチオン系界面活性剤等が挙げられる。
フルオロアルキル基含有アニオン系界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸またはその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C〜C11)オキシ]−1−アルキル(C〜C)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C〜C)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸またはその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C〜C13)またはその金属塩、パーフルオロアルキル(C〜C12)スルホン酸またはその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
フルオロアルキル基含有カチオン系界面活性剤としては、フルオロアルキル基含有脂肪族一級、二級または三級アミン酸、パーフルオロアルキル(C〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
フッ素含有ポリマーとしては、フルオロアルキル基含有モノマーの重合体、フルオロアルキル基含有モノマーとポリ(オキシアルキレン)基含有モノマーとの共重合体、フルオロアルキル基含有モノマーと架橋反応性基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。フッ素含有ポリマーは、共重合可能な他のモノマーとの共重合体であってもよい。
フッ素含有ポリマーとしては、フルオロアルキル基含有モノマーとポリ(オキシアルキレン)基含有モノマーとの共重合体が好ましい。
ポリ(オキシアルキレン)基としては、下記式(6)で表される基が好ましい。
−(OR61− ・・・(6)。
ただし、R61は、炭素数2〜4のアルキレン基を表し、pは、2以上の整数を表す。R61としては、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−等が挙げられる。
ポリ(オキシアルキレン)基は、同一のオキシアルキレン単位(OR61)からなるものであってもよく、2種以上のオキシアルキレン単位(OR61)からなるものであってもよい。2種以上のオキシアルキレン単位(OR61)の配列は、ブロックであってもよく、ランダムであってもよい。
シリコーン系化合物:
シリコーン系化合物としては、(メタ)アクリル酸変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコーン系シランカップリング剤等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸変性シリコーンとしては、X−22−1602(信越化学工業社製)等のシリコーン(ジ)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(親水性材料)
微細凹凸構造の表面に、親水性(具体的には水の接触角が25°以下であること)が求められる場合には、親水性の材料を形成しうる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、4官能以上の多官能(メタ)アクリレート、2官能以上の親水性(メタ)アクリレート、必要に応じて単官能モノマーを含む組成物を用いることが好ましい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物、ウレタンアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL220、EBECRYL1290、EBECRYL1290K、EBECRYL5129、EBECRYL8210、EBECRYL8301、KRM8200)、ポリエーテルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL81)、変性エポキシアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL3416)、ポリエステルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL450、EBECRYL657、EBECRYL800、EBECRYL810、EBECRYL811、EBECRYL812、EBECRYL1830、EBECRYL845、EBECRYL846、EBECRYL1870)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、5官能以上の多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。
2官能以上の親水性(メタ)アクリレートとしては、アロニックスM−240、アロニックスM260(東亞合成社製)、NKエステルAT−20E、NKエステルATM−35E(新中村化学社製)等の長鎖ポリエチレングリコールを有する多官能アクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエチレングリコールジメタクリレートにおいて、一分子内に存在するポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位の合計は、6〜40が好ましく、9〜30がより好ましく、12〜20が特に好ましい。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が6以上であれば、親水性が十分となり、防汚性が向上する。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が40以下であれば、4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとの相溶性が良好となり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が分離しにくい。
単官能モノマーとしては、親水性単官能モノマーが好ましい。
親水性単官能モノマーとしては、M−20G、M−90G、M−230G(新中村化学社製)等のエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等のエステル基に水酸基を有する単官能(メタ)アクリレート、単官能アクリルアミド類、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート等のカチオン性モノマー類等が挙げられる。
また、単官能モノマーとして、アクリロイルモルホリン、ビニルピロリドン等の粘度調整剤、基材への密着性を向上させるアクリロイルイソシアネート類等の密着性向上剤等を用いてもよい。
単官能モノマーは、1種または2種以上を(共)重合した低重合度の重合体として活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に配合してもよい。低重合度の重合体としては、M−230G(新中村化学社製)等のエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート類と、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェートとの40/60共重合オリゴマー(MRCユニテック社製、MGポリマー)等が挙げられる。
(電極基板の製造方法)
電極基板50は、例えば、ITO等を基板本体54の表面に蒸着させて透明導電膜を形成した後、所望の電極パターンにパターニングして第1の透明電極54および第2の透明電極56とすることによって製造できる。
(作用効果)
以上説明した画像表示装置10にあっては、液晶パネル20(画像表示装置本体)が、タッチパネル40に対向する表面に第1の微細凹凸構造を有し、タッチパネル40が、液晶パネル20(画像表示装置本体)に対向する表面に第2の微細凹凸構造を有するため、液晶パネル20およびタッチパネル40の対向面における光の反射が抑えられる。
また、以上説明した画像表示装置10にあっては、第1の微細凹凸構造の表面のマルテンス硬度が、第2の微細凹凸構造の表面のマルテンス硬度の±25%以内であるため、液晶パネル20とタッチパネル40とが接触しても、微細凹凸構造が破損しにくい。その結果、液晶パネル20およびタッチパネル40の対向面が白っぽくなったり、微細凹凸構造の削りかすが発生したり、微細凹凸構造が破損した箇所の反射率が高くなったりすることが抑えられる。
(他の形態)
なお、本発明の画像表示装置は、図示例の画像表示装置10に限定はされない。
例えば、画像表示装置本体は、液晶パネルに限定はされず、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル、CRT等であってもよい。
また、液晶パネルは、図示例の液晶パネル20に限定されず、液晶パネル20以外の公知の液晶パネルであってもよい。
また、タッチパネルは、静電容量方式のタッチパネルに限定されず、抵抗膜方式のタッチパネル等であってもよい。
また、静電容量方式のタッチパネルは、図示例のタッチパネル40に限定されず、タッチパネル40以外の公知の静電容量方式のタッチパネルであってもよい。
また、低反射フィルムをタッチパネル40の入力面に貼り合わせる等によって、タッチパネル40の入力面に微細凹凸構造を設けてもよい。
また、微細凹凸構造は、図示例においては、低反射フィルムの硬化樹脂層の表面に形成されているが、硬化樹脂層を設けることなく基材フィルムの表面に直接形成されていてもよく、低反射フィルムを貼着することなく液晶パネル20(第1の偏光フィルム24)やタッチパネル40の表面に形成されていてもよい。ただし、ロール状のモールド70を用いて効率よく微細凹凸構造を形成できる点、および微細凹凸構造が破損した際に低反射フィルムを貼りなおすことができる点から、低反射フィルムの硬化樹脂層の表面に微細凹凸構造が形成されていることが好ましい。
また、低反射フィルムを貼着することなく液晶パネル20(第1の偏光フィルム24)やタッチパネル40の表面に微細凹凸構造を形成する場合、液晶パネル20(第1の偏光フィルム24)やタッチパネル40の表面に微細凹凸構造を有する硬化樹脂層を形成してもよく、タッチパネル40の第2の透明電極の表面形状を微細凹凸構造にしてもよく、液晶パネル20の第1の偏光フィルム24の表面形状を微細凹凸構造にしてもよい。
また、低反射フィルムは、上述した製造方法で得られたものに限定はされず、公知の方法(ナノインプリント、切削加工、エッチング等)によって基材フィルムの表面に微細凹凸構造を形成することによって製造されたものであってもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(陽極酸化アルミナの細孔)
陽極酸化アルミナの一部を削り、断面にプラチナを1分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用いて、加速電圧3.00kVの条件にて、断面を観察し、細孔間の間隔、細孔の深さを測定した。各測定は、それぞれ50点について行い、平均値を求めた。
(硬化樹脂層の凸部)
硬化樹脂層の破断面にプラチナを10分間蒸着し、陽極酸化アルミナと同様に断面を観察し、凸部間の間隔、凸部の高さを測定した。各測定は、それぞれ50点について行い、平均値を求めた。
(マルテンス硬度)
微細凹凸構造の表面(硬化樹脂層の表面)のマルテンス硬度は、JIS Z 2255:2003(超微小負荷硬さ試験方法)に準拠して、超微小硬度計(フィッシャー・インストルメンツ社製、HM2000)を用いて、荷重10mNをかけて圧子を押し込み測定した。
〔実施例1〕
(モールドaの製造)
上述した工程(a)〜(f)を行い、平均間隔100nm、深さ190nmの略円錐形状の複数の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成された板状のモールドaを得た。
モールドaを、オプツールDSX(ダイキン工業社製)の0.1質量%希釈溶液に浸漬し、一晩風乾して、陽極酸化アルミナの表面を離型剤で処理した。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aの調製)
コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物の45質量部、
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業社製)の45質量部、
ラジカル重合性シリコーンオイル(信越化学工業社製、X−22−1602)の10質量部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)184)の3質量部、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)819)の0.2質量部
を混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aを得た。
(低反射フィルムXの製造)
モールドaの表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aを塗布し、この上に厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを被せた。
紫外線照射機(フュージョンランプDバルブ)を用いて、積算光量1000mJ/cmでフィルム越しに紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aの硬化を行った後、モールドaから分離し、円錐台形状の複数の凸部からなる微細凹凸構造を表面に有する厚さ7μmの硬化樹脂層が表面に形成された低反射フィルムXを得た。
凸部間の平均間隔は100nmであり、凸部の高さは180nmであり、凸部の底部の幅は100nmであり、凸部の頭頂部の曲率半径は40nmであった。
微細凹凸構造の表面のマルテンス硬度は、130N/mmであった。
(電極基板の製造)
アルゴンガスの98体積%および酸化スズの2体積%からなる0.4Paの雰囲気中で酸化インジウム97質量%および酸化スズ3質量%の焼結体材料を用いた反応性スパッタリング法によって、厚さ1mmのガラス板の両面に厚さ30nmのITO膜を形成した。
次いで、ストライプ状にパターン化されているフォトレジストをITO膜の表面に塗布し、乾燥、硬化した後、25℃、5質量%の塩酸に1分間浸漬して両面のITO膜のエッチングを行い、ITO膜をパターン化した透明電極を形成した。
(画像表示装置の製造)
低反射フィルムX、電極基板、および厚さ3mmのカバーガラス用のガラス板の順に積層し、透明電極に検出部を接続し、静電容量方式のタッチパネルを組み立てた。
次いで、低反射フィルムXを、液晶パネルの画像が表示される側の表面に貼り合わせた。
次いで、静電容量方式のタッチパネルを、バックライト付きの液晶パネルの画像が表示される側に配置し、画像表示装置を組み立てた。
〔比較例1〕
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Bの調製)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業社製)の25質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(第一工業製薬社製)の25質量部、エチレンオキサイド 変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製)の25質量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業社製)の25質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)184)の1質量部、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア(登録商標)819)の0.5質量部を混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Bを得た。
(低反射フィルムYの製造)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aの代わりに活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Bを用いた以外は、低反射フィルムXと同様にして、低反射フィルムYを得た。
凸部間の平均間隔は100nmであり、凸部の高さは190nmであり、凸部の底部の幅は100nmであり、凸部の頭頂部の曲率半径は40nmであった。
微細凹凸構造の表面のマルテンス硬度は、170N/mmであった。
(画像表示装置の製造)
低反射フィルムX、電極基板、および厚さ3mmのカバーガラス用のガラス板の順に積層し、透明電極に検出部を接続し、静電容量方式のタッチパネルを組み立てた。
次いで、低反射フィルYを、液晶パネルの画像が表示される側の表面に貼り合わせた。
次いで、静電容量方式のタッチパネルを、バックライト付きの液晶パネルの画像が表示される側に配置し、画像表示装置を組み立てた。
〔評価〕
液晶パネルの輝度、入力面における室内光源からの照度、入力面に対する室内光源からの入射角が同一である条件にて、実施例1および比較例1の画像表示装置の入力面を目視比較した。その結果、実施例1の画像表示装置、比較例1の画像表示装置ともに、液晶パネルおよびタッチパネルの対向面における光の反射が少なく、画像の視認性が良好であった。
また、実施例1および比較例1の画像表示装置の入力面を指で10回強く押し、液晶パネルとタッチパネルとを繰り返し接触させた。実施例1の画像表示装置では、接触前後で画像の視認性に変化はなかった。一方、比較例1の画像表示装置では、液晶パネルとタッチパネルとを繰り返し接触させた後では、画像の視認性が低下した。
本発明の画像表示装置は、前面にタッチパネルを配置した画像表示装置として有用である。
10 画像表示装置(タッチパネル付き画像表示装置)
20 液晶パネル(画像表示装置本体)
32 凸部(微細凹凸構造)
40 タッチパネル
62 凸部(微細凹凸構造)
86 細孔
88 酸化皮膜(陽極酸化アルミナ)
H 高さ
P 平均間隔

Claims (3)

  1. 画像表示装置本体と、
    前記画像表示装置本体の画像が表示される側に配置されたタッチパネルと
    を備え、
    前記画像表示装置本体が、前記タッチパネルに対向する表面に第1の微細凹凸構造を有し、
    前記タッチパネルが、前記画像表示装置本体に対向する表面に第2の微細凹凸構造を有し、
    前記第1の微細凹凸構造の表面のマルテンス硬度が、前記第2の微細凹凸構造の表面のマルテンス硬度の±25%以内である、タッチパネル付き画像表示装置。
  2. 前記第1の微細凹凸構造および前記第2の微細凹凸構造が、陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して形成された複数の凸部からなる、請求項1に記載のタッチパネル付き画像表示装置。
  3. 前記微細凹凸構造が、複数の凸部からなり、
    前記凸部の高さが、80〜500nmであり、
    前記凸部間の平均間隔が、20〜400nmであり、
    前記凸部のアスペクト比(高さ/平均間隔)が、0.8〜5である、請求項1または2に記載のタッチパネル付き画像表示装置。
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