JP2015223725A - 微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微細凹凸構造が表面に形成された物品の、物品に発生する干渉縞を抑制し、反射率ムラを低減することができる、微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の凸部からなる微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法において、金型と対向して配置されたニップ部材によって基材フィルム越しに活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を押しつける際に、ニップ部材の表面の算術平均粗さRaが15〜40μmのものを使用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法に関する。
近年、ナノメートルオーダーの周期の微細凹凸構造、例えば周期が400nm以下の微細凹凸構造を表面に有する物品は、反射防止効果、ロータス効果等を発現することが知られている。特に、略円錐形状の凸部を並べたモスアイ構造と呼ばれる凹凸構造は、空気の屈折率から物品の材料の屈折率へと連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となることが知られている。
物品の表面に微細凹凸構造を形成する方法としては、ロール状金型の周囲に長尺状の基材を配置し、ロール状金型と基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填し、基材越しに活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させ、硬化樹脂層と基材とをロール状金型から剥離して、連続的に物品を製造する方法が注目されている。
上述のような表面に微細凹凸構造を有する物品を製造する装置として、外周面に微細凹凸構造が形成されたロール状金型を用いた物品の製造装置が知られている。このような物品の製造装置は、ロール状金型と対向して配置されたニップローラと、ロール状金型とニップローラのニップ部との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給するための供給装置を備えている。該製造装置は、ニップローラとロール状金型によって挟持搬送される基材の一方の面に、供給装置によって活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給して樹脂層を形成し、この活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の樹脂層に活性エネルギー線を照射することによって活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させ、ロール状金型の外周面に形成された微細凹凸構造の形状が転写された硬化樹脂層を基材の表面に形成する。そして、微細凹凸構造の形状が転写された硬化樹脂層を表面に有する基材をロール状金型から剥離して、表面に微細凹凸構造を有する物品が連続的に製造される。
上述のような装置を用いて製造された物品を観察した際に、干渉縞が認められる場合があった。干渉縞は、隣接して積層された1層目(層1)と2層目(層2)の屈折率が、界面を境にして不連続的に変化すると、前記界面において光の反射が生じる。その結果、まず第一に、入射光に対して、界面反射光のために透過光が損失するという問題が生じる。さらに、入射光が界面で直接反射した反射光のほか、層2内の多重反射の結果の透過光も総合した界面反射光により、透過光が損失する。更に第二に、層2の表面と裏面(層1との界面)との間での多重反射する結果、表面から透過する位相差を持った透過光の干渉により、透過光が変調されて、干渉縞が発生する。
上記のような干渉縞を解消することを目的として、層と層とを、その界面近傍において、相互に溶解、浸透、或いは膨潤させて、界面近傍における屈折率の不連続性を緩和し、且つ界面近傍において光散乱性を付与する技術が開示されている( 例えば、特許文献1 ) 。
また、特開2003−75605号公報(特許文献2)では、透明基材フィルム上に、屈折率が1.5〜1.7の中屈折率層、屈折率が1.6〜1.8の高屈折率層、更に高屈折率層より低い屈折率材料よりなる低屈折率層を、この順で透明基材フィルム側から積層した反射防止ハードコートシートを使用することにより、界面反射および干渉縞等を解消することができるとの提案がなされている。
特開2005−144836号公報 特開2003−75605号公報
しかしながら、周期が数百ナノメートルの微細凹凸構造を表面に有する透明フィルムにおいては、フィルムの表面にものが接触した際に表面の微細凹凸構造が破壊されたり、突起同士が合一して表面の機能が損なわれてしまうことを抑制するために、機械特性などの表面の物性を所定の範囲に維持しなければならない。そのため、利用できる硬化性樹脂組成物の種類が限定されることから、特許文献1や特許文献2に記載されたように、基材の屈折率に併せて硬化後の樹脂の屈折率を制御することは容易ではなかった。さらに、特許文献1や特許文献2の方法では、2層目の裏面(層1との界面の反対側)においても光が反射され、この光と他の界面で反射された光との間で発生する干渉縞の発生を抑制することは困難であった。そこで、周期が数百ナノメートルの微細凹凸構造を表面に有する透明フィルムにおいて、より簡便に干渉縞が発生することを抑制できる技術の開発が望まれていた。
周期が数百ナノメートルの微細凹凸構造を表面に有する透明フィルムの製造時において、通常は金型と対向して配置されたニップローラによって、基材越しに活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を押しつけることとなる。ニップローラ表面に大きな凹凸があると、ニップローラを押し付けた際に、その凹凸形状が基材フィルムに転写されてしまい、欠陥として視認される場合があった。そのため、ニップローラとしては表面が平滑なものを用いるのが一般的であった。
しかしながら、本願発明者らが検討した結果、表面が平滑なニップローラを用いた場合に、特に干渉縞が発生してしまう場合があることを見出した。このような干渉縞の欠陥は、一般的な光学シートでは問題となる可能性は低いが、ナノメートルオーダーの周期の微細凹凸構造を表面に有する物品においては、反射防止性能が非常に優れているため、僅かな屈折率差や硬化層の厚みムラによって干渉縞が視認されてしまう傾向にある。本発明は、上記のような課題を鑑みなされたものであり、周期が数百ナノメートルの微細凹凸構造が表面に形成された物品において、物品に発生する干渉縞を抑制する、物品の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部からなる微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法であって、
(I)微細凹凸構造を表面に有する金型と基材フィルムとの間に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を配置し、前記金型と対向して配置されたニップ部材と前記金型との間に、前記基材フィルムと前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物とを挟持する工程と、
(II)前活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて前記基材フィルム上に硬化層を形成する工程と、
(III)前記基材フィルムおよび前記硬化層フィルムと、前記金型とを分離する工程と、を有し、
前記ニップ部材表面の前記基材フィルムと接触する表面の算術平均粗さRaが、15〜40μmであることを特徴とする物品の製造方法、が提供される。
本発明の一実施態様によれば、前記ニップ部材を前記金型に対して0.03MPa以上0.5MPa以下で押圧することを特徴とする。
本発明の一実施態様によれば、基材フィルムと硬化層の屈折率差が0.01〜0.2であることを特徴とする。
本発明の微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法によれば、微細凹凸構造が表面に形成された物品に発生する干渉縞を抑制し、反射率ムラを低減することができる。
微細凹凸構造を表面に有する物品の製造装置の一例を示す構成図である。 微細凹凸構造を表面に有する物品の製造装置の一例を示す構成図である。 本発明の実施形態に基づき製造された物品の断面図である。 陽極酸化アルミナを表面に有する金型の製造工程を示す断面図である。
本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。また、活性エネルギー線は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。また、微細凹凸構造は、凸部または凹部の平均間隔がナノスケール、すなわち1μm未満1nm以上である構造を意味する。また、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物は、オキシアルキレン基を1つ有するオキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物またはオキシアルキレン基を2つ以上有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物を意味する。また、(ポリ)オキシエチレンアルキルリン酸エステル化合物は、オキシエチレン基を1つ有するオキシエチレンアルキルリン酸エステル化合物またはオキシエチレン基を2つ以上有するポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル化合物を意味する。また、円柱形状とは外形が円柱形状であるものを意味し、中空円柱状(円筒状)やその他の類似した形状も含むものとする。
<物品の製造方法>
本発明の微細凹凸構造を表面に有する透明フィルム(すなわち物品)の製造方法は、下記の工程(I)〜(III)を有する、物品の製造方法である。
(I)微細凹凸構造を表面に有する金型と基材フィルムとの間に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を配置し、前記金型と対向して配置されたニップ部材と前記金型との間に、前記基材フィルムと前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物とを挟持する工程と、
(II)前活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて前記基材フィルム上に硬化層を形成する工程と、
(III)前記基材フィルムおよび前記硬化層フィルムと、前記金型とを分離する工程と、を有し、
前記ニップ部材表面の前記基材フィルムと接触する表面の算術平均粗さRaが、15〜40μmであることを特徴とする透明フィルムの製造方法。
以下、添付の図面を参考に本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の詳細な説明に限定されるわけでは無く、本発明の精神から逸脱しない範囲で種々の変更が加えられても構わない。
先ず、図1を参考に本発明の好ましい実施形態の表面に微細凹凸構造を有する物品の製造方法を実施する物品の製造装置について説明する。
図1に示されているように、透明フィルムなどの物品の製造装置10は、長尺状の透光性基材12(すなわち基材フィルム12)が、矢印A方向に回転駆動される円柱状の金型14の外周面に巻回されながら、矢印B方向に搬送されるように構成されている。金型14の外周面には、物品1の微細凹凸構造4と相補的な形状の微細凹凸構造が形成されている。
(金型)
金型としては、微細凹凸構造が形成されているものを用いる。金型の形状は後述するニップ部材15との間に、基材フィルムと活性エネルギー線硬化性組成物とを挟持できる構成であれば特に限定されないが、円柱状のロール状金型であることが好ましい。
この金型14の外径には特に限定はない。ロールとして製作できる外径を適用することができ、100mm以上1000mm以下の外径であることが好ましい。
(ニップ部材)
金型14に対向して、硬化前の活性エネルギー線硬化性組成物18の厚さを均一にさせるためのニップ部材20(すなわち、図1のニップローラ20)が配置されている。一方の面に活性エネルギー線硬化性組成物18が塗布された透光性基材12は、活性エネルギー線硬化性組成物18が塗布された面を金型14に向けるようにする。または、活性エネルギー線硬化性組成物18を金型14と透光性基材12の間に供給するようにして、透光性基材12は金型14とニップ部材15の間に挟持されながら搬送される。透光性基材12が、金型14とニップ部材15の間に挟持される部分には、挟持によって押し出された活性エネルギー線硬化性組成物18によって樹脂だまりが形成される。
ニップ部材15としては、金型14との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物18と透光性基材12とを挟持できる構成であれば特に限定はないが、金型14として円柱状のロール金型を用いる場合、円柱状のニップローラを用いることが好ましい。円柱状のニップローラは、透光性基材12の表面における活性エネルギー線硬化性組成物12の厚さを均一にさせるため、真円度、表面粗さ等について高い精度で加工されたロールであるのが好ましい。ニップ部材15の材質は特に制限されないが、金属などに比べると弾性係数が低く、押圧時に変形する材質で表面を形成することが好ましい。具体的には、金属或いはCFRP等の材料を用いたローラ芯にゴムや樹脂を被覆したローラが好ましい。
本実施態様では、ニップ部材15のゴム硬度は、微細凹凸構造4の高さ、微細凹凸構造4のピッチ、硬化樹脂層の厚さ、活性エネルギー線硬化性組成物18の粘度及び、ライン速度に対応して適宜決定すればよく、JIS K 6253(ISO 7619−1)で規定するゴム硬度で20度以上90度以下の範囲内のものが好ましく、50〜70度が特に好ましい。このようなゴム硬度、ゴム材質のニップローラを使用することによって金型や基材フィルム裏面へのキズつきを防止し、良好な転写性を得ることができる。
また、本発明においては、ニップ部材15の基材フィルムと接触する表面は、算術平均粗さRaが15〜40μmの範囲内である凹凸構造が形成されている。従来、ニップ部材20の表面に大きな凹凸があると、ニップ部材を押し付けた際に、その凹凸形状が基材フィルムに転写されてしまい、欠陥として視認されることが懸念されていた。そのため、ニップ部材としては表面が平坦なものを用いるのが一般的であった。しかしながら、ナノメートルオーダーの周期の微細凹凸構造を表面に有する物品を製造する場合、表面が平滑なニップローラを用いた場合に、基材と硬化層との屈折率差がある場合には、干渉縞が発生するしてしまう場合がある。このような表面欠陥は、一般的な光学シートでは問題となる可能性は低いが、可視光の波長以下ナノメートルオーダーの周期の微細凹凸構造を表面に有する物品においては、反射防止性能が非常に優れているため、僅かな屈折率差や硬化層の厚みムラによって干渉縞が視認されてしまう場合がある。
干渉縞は、隣接して積層された1層目(層1)と2層目(層2)の屈折率が、界面を境にして不連続的に変化すると、前記界面において光の反射が生じる。その結果、まず第一に、入射光に対して、界面反射光のために透過光が損失するという問題が生じる。より具体的には、入射光が界面で直接反射した反射光のほか、層2内の多重反射の結果の透過光も総合した界面反射光により、透過光が損失する。更に第二に、層2の表面と裏面(層1との界面)との間での多重反射する結果、表面から透過する位相差を持った透過光の干渉により、透過光が変調されて、干渉縞が発生する。このような干渉縞は、所定の厚みの平滑な層が積層されている場合に、特に顕著に発生する。
上記のような干渉縞を解消する方法としては、層と層とを、その界面近傍において、相互に溶解、浸透、或いは膨潤させて、界面近傍における屈折率の不連続性を緩和し、且つ界面近傍において光散乱性を付与する技術がある。また、基材フィルム上に、屈折率を調整した層を複数層配置することにより、界面反射および干渉縞等を解消する技術がある。しかしながら、ナノメートルオーダーの微細凹凸構造を表面に有する透明フィルムなどの物品においては、モノが接触した際に表面の微細凹凸構造が破壊されたり、突起同士が合一して表面の機能が損なわれてしまうことを抑制するために、機械特性などの表面の物性を所定の範囲に維持しなければならない。そのため、利用できる硬化性樹脂組成物の種類が限定されることから、基材の屈折率に併せて微細凹凸構造4の屈折率を制御することが容易ではない場合がある。さらに、2層目の裏面(層1との界面の反対側)においても光が反射され、この光と他の界面との間で多重反射することで発生する干渉縞の発生を抑制することは、上述のような技術では解消することは困難である。
本発明においては、ニップ部材15の基材フィルムと接触する表面に、Raが15〜40μmの凹凸構造が形成されている。この凹凸構造を有するニップ部材15を金型14に押圧し、ニップ部材15と金型14との間に硬化性樹脂組成物18と基材フィルムとを保持すると、基材フィルム12がわずかに変位する。その結果、ニップ部材15と金型14との間に保持される硬化性樹脂組成物18の厚みをランダムに変化させることができる。その後、活性エネルギー線を照射して硬化樹脂層を得ると、厚みがランダムに変位した硬化樹脂層を得ることができる。積層体や薄膜での干渉縞の発生には、積層される層や膜の厚みが密接に関係していることが知られているが、積層する硬化樹脂の厚みをランダムに変化させることにより、上述のような干渉縞の発生を抑制することが可能となる。さらに、凹凸構造により光を分散させることも可能となるため、干渉縞が目立たなくすることができる
さらに、本発明においては、ニップ部材15を押圧することで基材フィルム12に凹凸を転写するのではなく、硬化性樹脂組成物18の厚みをランダムに変化させる。このため、プレス転写のような大きな圧力を加える必要がない。従って、基材フィルム12の裏面(ニップ部材15と接触する表面)に欠陥等が転写され、製造された物品の外観を損ねることがない。このように、本発明においては、ニップ部材20を押圧してわずかな凹凸を硬化樹脂層に転写することで干渉縞の発生を抑制できるため、従来の方法と比較してより容易に干渉縞の発生を抑制することができる。また、微細凹凸構造4の屈折率を厳密に制御する必要がないため、微細凹凸構造4の形成に用いることができる硬化性樹脂組成物の選択の幅が大きく広がる。
ニップ部材15の表面のRaは15μm以上40μm以下であることが好ましく、15〜35μmであることがより好ましい。Raが15μmを下回ると、干渉縞の発生を抑制することが困難になる場合がある。Raが40μmを上回ると、硬化樹脂層に転写される凹凸が大きくなりすぎ、透明フィルムの外観や光学性能が損なわれてしまう場合がある。ニップ部材表面のRaを15μm以上40μm以下とすることで、干渉縞の発生を抑制でき、表面に微細な凹凸構造を有する透明フィルム等の物品の外観は光学特性を好適にすることができる。
このニップ部材15は、活性エネルギー線硬化性組成物18の厚さを調整する目的と、ニップローラ表面の凹凸構造を、硬化樹脂層に転写する目的から、圧力調整機構17によって、金型14との間で透光性基材12を挟持する圧力を制御することができるように構成されている。
この圧力調整機構17としては、油圧シリンダー、空気圧シリンダー、各種ネジ機構等が使用できるが、機構の簡便さ等の観点から空気圧シリンダーが好ましい。空気圧は、圧力調整弁等によって制御される。ニップ部材を金型14に対して押圧する圧力は、0.03MPa以上0.5MPa以下であることが好ましく、0.05MPa以上0.4MPa以下であることがより好ましく、0.07MPa以上0.3MPa以下であることがさらに好ましい。圧力が0.03MPaを下回ると、硬化樹脂組成物の厚みが厚くなりすぎたり、ニップローラ表面の凹凸が硬化性樹脂に転写されず、干渉縞が発生してしまう場合がある。圧力が0.6MPaを上回ると、硬化樹脂組成物の厚みが薄くなりすぎ、転写抜けが発生する場合があったり、ニップ部材に付着した異物等が透光性基材12に転写されたりし、物品の外観を損ねる場合がある。
(活性エネルギー線照射装置)
また、ニップ部材15の透光性基材12搬送方向下流側の金型14の下方位置には、活性エネルギー線照射装置13が設けられている。活性エネルギー線照射装置13は、活性エネルギー線を、透光性基材12を通して活性エネルギー線硬化性組成物18に照射し、透光性基材12上で活性エネルギー線硬化性組成物18を硬化させ、硬化樹脂層19を得る。このとき、ロール金型表面の微細凹凸構造が活性エネルギー線硬化性組成物18へ転写されるので、透光性基材12の表面に金型外周面の微細凹凸構造と相補的な形状の微細凹凸構造4が形成される。その後、硬化樹脂層19と透光性基材12とを金型14から剥離し、図3に示された物品1を得る。
活性エネルギー線照射装置13としては、化学反応用ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、可視光ハロゲンランプ等を用いることができる。活性エネルギー線は、例えば、200〜600nm、好ましくは、320〜390nmの波長の波長範囲における積算エネルギが、例えば、0.1〜10J/cm2、好ましくは0.5〜8J/cm2となるように照射することが適当である。また、活性エネルギー線の照射雰囲気としては、空気 または窒素、アルゴン等の不活性ガスが挙げられる。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物供給装置)
金型14と透光性基材12の間に活性エネルギー線硬化性組成物18を供給する供給装置16が配置されている。供給装置16の構造は、特に限定されるものでなく、樹脂粘度や塗布膜厚に応じて公知の塗布方法の中から選択することができるが、透光性基材12の一方の面に活性エネルギー線硬化性組成物18を塗布するように構成されている場合は、好ましくは塗工用ダイを用いることが良い。また、図1に示された供給装置16のように、活性エネルギー線硬化性組成物18を金型14と透光性基材12の間に供給する場合は、供給ノズルを用いることが良い。
また、供給装置16には、活性エネルギー線硬化性組成物の温度を調整する温度調整装置(図示されず)が設けられても良い。活性エネルギー線硬化性組成物の温度は、摂氏40度以上摂氏80度以下の温度範囲内、好ましくは摂氏50度以上摂氏80度以下の範囲内、更に好ましくは摂氏60度以上摂氏70度以下の範囲内になるように制御することが好ましい。温度調節装置は、特に限定されるものではないが、電熱、冷媒による温度調節装置が好ましい。
なお、上記の説明においては、円柱状の金型14と、ニップ部材15とを用いた例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図2に示されるように、平板状の金型14の金型を用いる場合、表面のRaは15μm以上40μm以下である板状またはフィルム状のニップ部材15を用いても良い。板状またはフィルム状のニップ部材を用いる場合、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射する観点から、ニップ部材15は活性エネルギー線を透過する材質からなることが好ましい。
(金型の製造方法)
金型14は、微細凹凸構造を表面に有するものである。金型14の形状としては、ニップ部材15と金型との間に基材フィルム12を挟持できる構成のものであれば、特に限定されず、平板状、ロール状、ベルト状等が挙げられるが、連続的に微細凹凸構造を転写でき、生産性をより高めることができる点から、円柱状が好ましい。
金型は、金型基材の表面に微細凹凸構造を形成して作製されるたものであってもよく、該金型を原型とし、電鋳法等で作製した複製型を金型として用いてもよい。金型基材の材料としては、金属(表面に酸化皮膜が形成されたものを含む。)、石英、ガラス、樹脂、セラミックス等が挙げられる。
微細凹凸構造の形成方法としては、例えば、下記の方法(δ)または方法(ε)が挙げられ、大面積化が可能であり、かつ作製が簡便である点から、方法(ε)が好ましい。
(δ)金型基材の表面にリソグラフィ法(電子ビームリソグラフィ法、レーザ光干渉法フォトリソグラフィ法等)によって微細凹凸構造を形成する方法。
(ε)アルミニウム基材の表面に、複数の細孔(凹部)を有する陽極酸化アルミナを形成する方法。
(方法(δ)):
方法(δ)においては、金型基材の表面にフォトレジスト膜を形成し、紫外線レーザ、電子線、X線等の光で露光し、現像することによって微細凹凸構造を有する金型が得られる。前記金型をそのまま金型として用いてもよく、フォトレジスト膜を介して金型基材をドライエッチングにより選択的にエッチングした後、フォトレジスト膜を除去することで金型基材に微細凹凸構造を直接形成したものを金型として用いてもよい。
(方法(ε)):
方法(ε)としては、下記の工程(a)〜(f)を有する方法が好ましい。
(a)アルミニウム基材を電解液中、定電圧下で陽極酸化してアルミニウム基材の表面に酸化皮膜を形成する工程。
(b)酸化皮膜を除去し、アルミニウム基材の表面に陽極酸化の細孔発生点を形成する工程。
(c)アルミニウム基材を電解液中、再度陽極酸化し、細孔発生点に細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
(d)細孔の径を拡大させる工程。
(e)工程(d)の後、電解液中、再度陽極酸化する工程。
(f)工程(d)と工程(e)を繰り返し行い、複数の細孔を有する陽極酸化アルミナがアルミニウム基材の表面に形成された金型を得る工程。
工程(a):
図4に示すように、アルミニウム基材20を陽極酸化すると、細孔22を有する酸化皮膜24が形成される。アルミニウム基材の形状としては、ロール状、円管状、平板状、シート状等が挙げられる。また、アルミニウム基材は、表面状態を平滑化にするために、機械研磨、羽布研磨、化学的研磨、電解研磨処理(エッチング処理)などで研磨されることが好ましい。また、アルミニウム基材は、所定の形状に加工する際に用いた油が付着していることがあるため、陽極酸化の前にあらかじめ脱脂処理・洗浄処理されることが好ましい。
アルミニウムの純度は、99%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましく、99.8%以上が特に好ましい。アルミニウムの純度が低いと、陽極酸化した時に、不純物の偏析により可視光を散乱する大きさの凹凸構造が形成されたり、陽極酸化で得られる細孔の規則性が低下したりすることがある。
電解液としては、硫酸、シュウ酸、リン酸等が挙げられる。
シュウ酸を電解液として用いる場合:
シュウ酸の濃度は、0.7M以下が好ましい。シュウ酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて酸化皮膜の表面が粗くなることがある。
化成電圧が30〜60Vの時、平均間隔が100nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向にある。
電解液の温度は、60℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましい。電解液の温度が60℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
硫酸を電解液として用いる場合:
硫酸の濃度は0.7M以下が好ましい。硫酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて定電圧を維持できなくなることがある。
化成電圧が25〜30Vの時、平均間隔が63nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向がある。
電解液の温度は、30℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましい。電解液の温度が30℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
工程(b):
図4に示すように、酸化皮膜24を一旦除去し、これを陽極酸化の細孔発生点26にすることで細孔の規則性を向上することができる。
酸化皮膜を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、酸化皮膜を選択的に溶解する溶液に溶解させて除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。なお、工程(b)において、酸化皮膜24を全て除去する必要はなく、例えば図4に工程(b´)として示されるように、酸化皮膜24の一部を除去することで、細孔発生点26を得ることも可能である。
工程(c):
図4に示すように、酸化皮膜の少なくとも一部を除去したアルミニウム基材20を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔22を有する酸化皮膜24が形成される。
陽極酸化は、工程(a)と同様な条件で行えばよい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。
工程(d):
図4に示すように、細孔22の径を拡大させる処理(以下、細孔径拡大処理と記す。)を行う。細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。
細孔径拡大処理の時間を長くするほど、細孔径は大きくなる。
工程(e):
図4に示すように、再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔22の底部から下に延びる、直径の小さい円柱状の細孔22がさらに形成される。
陽極酸化は、工程(a)と同様な条件で行えばよい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。
工程(f):
図4に示すように、工程(d)の細孔径拡大処理と、工程(e)の陽極酸化を繰り返すと、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔22を有する酸化皮膜24が形成され、アルミニウム基材20の表面に陽極酸化アルミナ(アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト))を有する金型18が得られる。最後は工程(d)で終わることが好ましい。
繰り返し回数は、合計で3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。繰り返し回数が2回以下では、非連続的に細孔の直径が減少するため、このような細孔を有する陽極酸化アルミナを用いて形成されたモスアイ構造の反射率低減効果は不十分である。
細孔22の形状としては、略円錐形状、角錐形状、円柱形状等が挙げられ、円錐形状、角錐形状等のように、深さ方向と直交する方向の細孔断面積が最表面から深さ方向に連続的に減少する形状が好ましい。
細孔22間の平均間隔は、可視光の波長以下、すなわち400nm以下である。細孔22間の平均間隔は、20nm以上が好ましい。
細孔22間の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって隣接する細孔22間の間隔(細孔22の中心から隣接する細孔22の中心までの距離)を10点測定し、これらの値を平均したものである。
細孔22のアスペクト比(細孔の深さ/細孔間の平均間隔)は、0.8〜5.0が好ましく、1.2〜4.0がより好ましく、1.5〜3.0が特に好ましい。
細孔22の深さは、電子顕微鏡観察によって倍率30000倍で観察したときにおける、細孔22の最底部と、細孔22間に存在する凸部の最頂部との間の距離を測定した値である。
ついで、金型の微細凹凸構造が形成された側の表面を外部離型剤で処理する。
外部離型剤としては、アルミニウム基材の陽極酸化アルミナと化学結合を形成し得る官能基を有するものが好ましい。
なお、厳密には微細凹凸構造を表面に有する金型の、微細凹凸構造の表面を離型剤で処理するものであるが、以降単に「微細凹凸構造を表面に有する金型」や、「金型の表面」を処理する、と記載する場合がある。
外部離型剤としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フッ素化合物等が挙げられ、加水分解性シリル基を有するフッ素化合物が特に好ましい。
加水分解性シリル基を有するフッ素化合物の市販品としては、フルオロアルキルシラン、KBM−7803(信越化学工業社製)、MRAF(旭硝子社製)、オプツールHD1100、HD2100シリーズ(ハーベス社製)、オプツールAES4、AES6(ダイキン工業社製)、ノベックEGC−1720(住友3M社製)、FS‐2050シリーズ(フロロテクノロジー社製)等が挙げられる。
また、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の内部離型剤として利用できるフッ素含有化合物、シリコーン系化合物、リン酸エステル系化合物、長鎖アルキル基を有する化合物、ポリオキシアルキレン基を有する化合物、固形ワックス(ポリエチレンワックス、アミドワックス、ポリテトラフルオロエチレンのパウダ等)等を溶剤で希釈したものも使用できる。
外部離型剤による処理方法としては、下記の方法(ii−1)または方法(ii−2)が挙げられ、金型の微細凹凸構造が形成された側の表面をムラなく外部離型剤で処理できる点から、方法(ii−1)が特に好ましい。
(ii−1)外部離型剤の希釈溶液に金型本体を浸漬する方法。
(ii−2)外部離型剤またはその希釈溶液を、金型の微細凹凸構造が形成された側の表面に塗布する方法。
方法(ii−1)としては、下記の工程(g)〜(l)を有する方法が好ましい。
(g)金型を水洗する工程。
(h)工程(g)の後、金型にエアーを吹き付け、金型の表面に付着した水滴を除去する工程。
(i)加水分解性シリル基を有するフッ素化合物をフッ素系溶媒で希釈した希釈溶液に、金型を浸漬する工程。
(j)浸漬した金型をゆっくりと溶液から引き上げる工程。
(k)必要に応じて、工程(j)よりも後段にて金型を加熱加湿させる工程。
(l)金型本体を乾燥させる工程。
工程(g):
金型には、微細凹凸構造を形成する際に用いた薬剤(細孔径拡大処理に用いたリン酸水溶液、リソグラフィ法に用いた剥離液等)、不純物(埃等)等が付着しているため、水洗によってこれを除去する。
工程(h):
金型の表面に水滴が付着していると、工程(i)の希釈溶液が劣化するため、金型にエアーを吹き付け、目に見える水滴はほぼ除去する。
工程(i):
希釈用のフッ素系溶媒としては、ハイドロフルオロポリエーテル、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、ジクロロペンタフルオロプロパン等が挙げられる。
加水分解性シリル基を有するフッ素化合物の濃度は、希釈溶液(100質量%)中、0.01〜0.5質量%が好ましい。浸漬時間は、1〜30分が好ましい。浸漬温度は、0〜50℃が好ましい。
工程(j):
浸漬した金型を溶液から引き上げる際には、電動引き上げ機等を用いて、一定速度で引き上げ、引き上げ時の揺動を抑えることが好ましい。
これにより塗布ムラを少なくできる。引き上げ速度は、1〜10mm/secが好ましい。
工程(k):
工程(j)よりも後段にて、金型を加熱加湿させてもよい。
金型を加熱加湿下に放置することによって、フッ素化合物(離型剤)の加水分解性シリル基が加水分解されてシラノール基が生成し、該シラノール基と金型の表面の水酸基との反応が十分に進行し、フッ素化合物の定着性が向上する。
加湿方法としては、飽和塩水溶液を用いた飽和塩法、水を加熱して加湿する方法、加熱した水蒸気を金型に直接吹付ける方法等が考えられる。この工程は恒温恒湿器中で行えばよい。
加熱温度は、30〜150℃が好ましい。
加湿条件は、相対湿度60%以上が好ましい。
放置時間は、10分〜7日が好ましい。
工程(l): 金型を乾燥させる工程では、金型を風乾させてもよく、乾燥機等で強制的に加熱乾燥させてもよい。
乾燥温度は、30〜150℃が好ましい。
乾燥時間は、5〜300分が好ましい。
上記のような外部離型剤で金型の表面を処理した場合、金型の表面が外部離型剤で処理されたことは、金型の表面の水接触角を測定することによって確認できる。外部離型剤で処理された金型の表面の水接触角は、60゜以上が好ましく、90゜以上がより好ましい。水接触角が 60゜以上であれば、金型の表面が外部離型剤で十分に処理され、離型性が良好となる。
金型の微細凹凸構造が形成された側の表面を金型と化学結合を形成し得る外部離型剤で処理することで、金型の微細凹凸構造を物品の表面に転写する場合に、初期の離型性が良好となる。また、繰り返し転写した場合であっても、離型性が低下しにくくなるため、微細凹凸構造を表面に有する物品を生産性よく製造できるようになる。
<活性エネルギー線硬化性樹脂組成物>
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物18は、重合性化合物と、重合開始剤と、内部離型剤とを含む組成物である。そのうち少なくとも1種類以上アクリル系硬化性樹脂組成物を含有する。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の、25℃における回転式B型粘度計での粘度は、金型の微細凹凸構造の細部にまで活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を十分に供給する点から、10Pa・s以下が好ましく、5Pa・s以下がより好ましく、2Pa・s以下が特に好ましい。組成物の25℃における粘度が10000mPa・s以下であれば、微細凹凸構造への組成物の追随性が良好となり、微細凹凸構造を精度よく転写できる。また、金型の表面に供給する際に、あらかじめ加温して粘度を下げてもよい。
(重合性化合物)
重合性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、単官能モノマー、多官能モノマーが挙げられる。
単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等の二官能性モノマー;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の三官能モノマー;コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能以上のモノマー;二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられ、エポキシ基を有するモノマーが特に好ましい。
オリゴマーまたは反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
(活性エネルギー線重合開始剤)
活性エネルギー線重合開始剤は、活性エネルギー線を照射することでラジカルまたはカチオンを発生する化合物である。装置コストや生産性の点から、活性エネルギー線として紫外線を用いる光重合開始剤が好ましい。
光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化反応を利用する場合、熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。
重合開始剤の量は、重合性化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。重合開始剤の量が0.1質量部未満では、重合が進行しにくい。重合開始剤の量が10質量部を超えると、硬化膜が着色したり、機械強度が低下したりすることがある。
(内部離型剤)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が内部離型剤を含むことによって、連続転写性を高めることができる。内部離型剤は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物と、金型表面との離型性を向上するものであり、かつ活性エネルギー線硬化性樹脂組成物との相溶性があれば、特にその組成は制限されない。
内部離型剤としては、例えば、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物、フッ素含有化合物、シリコーン系化合物、長鎖アルキル基を有する化合物、ポリアルキレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー(テフロンは登録商標)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物を主成分とするものが好ましい。
内部離型剤として金型離型剤と同じ(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物を含むことによって、その硬化物である硬化樹脂層と金型との離型性が特に良好となる。また、離型時の負荷が極めて低いため、微細凹凸構造の破損が少なく、その結果、金型の微細凹凸構造を効率よく、かつ精度よく転写できる。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物としては、離型性の点から、下記式(1)で表わされる化合物が好ましい。
(HO)3−n(O=)P[−O−(R2O)m−R1]n ・・・(1)
R1は、アルキル基であり、R2は、アルキレン基であり、mは1〜20の整数であり、nは1〜3の整数である。
R1としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数3〜18のアルキル基がより好ましい。
R2としては、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基がより好ましい。
mは、1〜10の整数が好ましい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物は、モノエステル体(n=1)、ジエステル体(n=2)、トリエステル体(n=3)のいずれであってもよい。また、ジエステル体またはトリエステル体の場合、1分子中の複数の(ポリ)オキシアルキレンアルキル基はそれぞれ異なっていてもよい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物の市販品としては、例えば、下記のものが挙げられる。
城北化学社製:JP−506H、
アクセル社製:モールドウイズINT−1856(構造非公開)、
日光ケミカルズ社製:TDP−10、TDP−8、TDP−6、TDP−2、DDP−10、DDP−8、DDP−6、DDP−4、DDP−2、TLP−4、TCP−5、DLP−10。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物の量は、重合性化合物の100質量部に対して、0.01〜1質量部が好ましく、0.05〜0.5質量部がより好ましく、0.05〜0.1質量部がさらに好ましい。(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物の量が1質量部以下であれば、金型の表面の異物を十分に除去できる。また、基材との密着性の低下が抑えられ、その結果、金型への樹脂残りが抑えられる。(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物の量が0.01質量部以上であれば、金型の表面に十分な量の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物を移行できる。また、金型からの離型性が十分となり、金型への樹脂残りが抑えられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、離型性をさらに向上する目的で、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物以外の離型性を向上させる成分を含んでいてもよい。該成分としては、フッ素含有化合物、シリコーン系化合物、リン酸エステル系化合物、長鎖アルキル基を有する化合物、ポリオキシアルキレン基を有する化合物、固形ワックス(ポリエチレンワックス、アミドワックス、ポリテトラフルオロエチレンのパウダ等)等が挙げられる。
また、内部離型剤としては、金型との離型性を良好にする点から、外部離型剤と異なる離型剤が好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物と金型との離型性が良好となる点から、内部離型剤として(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物を含むことが好ましい。
(他の成分)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、非反応性のポリマー、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物、帯電防止剤、防汚性を向上させるためのフッ素化合物等の添加剤、微粒子、少量の溶媒を含んでいてもよい。
非反応性のポリマーとしては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン等が挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケート等が挙げられる。
(活性エネルギー線)
活性エネルギー線としては、紫外線が好ましい。紫外線を照射するランプとしては、例えば、ケミカルランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、無電極UVランプ(フュージョンUVシステムズ社製)等が挙げられる。また、熱による硬化を併用してもよい。
紫外線の照射量は、活性エネルギー線重合開始剤の吸収波長や含有量に応じて決定すればよい。通常、紫外線の積算光量は、100〜10000mJ/cm2であり、100〜8000mJ/cm2が好ましく、400〜6000mJ/cm2がより好ましい。紫外線の積算光量が100mJ/cm2以上であれば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を十分に硬化できる。紫外線の積算光量が10000mJ/cm2以下であれば、基材の劣化を抑えることができる。紫外線の照射強度も、基材の劣化等を招かない程度の出力に抑えることが好ましい。
(物品)
図3は、微細凹凸構造を表面に有する物品1の一例を示す断面図である。以上のようにして得られる物品1は、透光性基材12(基材フィルム12)の表面に、金型の微細凹凸構造が鍵と鍵穴の関係で転写された微細凹凸構造4(反転構造)を有する硬化樹脂層19が形成されたものである。
基材フィルム12は、光透過性フィルムである。フィルムの材料としては、ポリカーボネート、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン、アクリル系樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、脂環式ポリオレフィン、ガラス等が挙げられる。基材の表面には、密着性、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の特性の改良を目的として、コーティング、コロナ処理等が施されていてもよい。
硬化樹脂層19は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物18の硬化物からなる膜であり、表面に微細凹凸構造4を有する。硬化樹脂層19は、上述したニップ部材が押圧された際に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物18の層の厚みがランダムに変位させられ、その後に該組成物を硬化して得られたものである。このようにして得られた硬化樹脂層は、図3に示すように、その厚みがランダムに変化している。陽極酸化アルミナの金型を用いた場合の物品1の表面の微細凹凸構造4は、陽極酸化アルミナの表面の微細凹凸構造を転写して形成されたものであり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物18の硬化物からなる複数の凸部を有する。
微細凹凸構造4としては、略円錐形状、角錐形状等の突起(凸部)が複数並んだ、いわゆるモスアイ構造が好ましい。突起間の間隔が可視光の波長以下であるモスアイ構造は、空気の屈折率から材料の屈折率へと連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となることが知られている。
凸部間の平均間隔は、可視光の波長以下、すなわち400nm以下であることが好ましい。陽極酸化アルミナの金型を用いて突起を形成した場合、凸部間の平均間隔は100から300nm程度となることから、250nm以下が特に好ましい。
凸部間の平均間隔は、凸部の形成のしやすさの点から、20nm以上が好ましい。なお、凸部間の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって隣接する凸部間の間隔(凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離)を10点または50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部の高さは、平均間隔が100nmの場合は、80〜500nmが好ましく、120〜400nmがより好ましく、150〜300nmが特に好ましい。突起の高さが80nm以上であれば、反射率が十分低くなり、かつ反射率の波長依存性が少ない。凸部の高さが500nm以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。なお、凸部の高さは、電子顕微鏡によって倍率30000倍で観察したときにおける、凸部の最頂部と、凸部間に存在する凹部の最底部との間の距離を測定した値である。
凸部のアスペクト比(凸部の高さ/凸部間の平均間隔)は、0.8〜5.0が好ましく、1.2〜4.0がより好ましく、1.5〜3.0が特に好ましい。凸部のアスペクト比が1.0以上であれば、反射率が十分に低くなくなり、かつ反射率の波長依存性が少ない。凸部のアスペクト比が5.0以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
凸部の形状は、高さ方向と直交する方向の凸部断面積が最表面から深さ方向に連続的に増加する形状、すなわち、凸部の高さ方向の断面形状が、三角形、台形、釣鐘型等の形状が好ましい。
硬化樹脂層19の屈折率とフィルム12の屈折率との差は、0.2以下が好ましく、0.1以下がより好ましく、0.05以下が特に好ましい。屈折率差が0.2以下であれば、硬化樹脂層19とフィルム12との界面における反射が抑えられる。
表面に微細凹凸構造を有する場合、その表面が疎水性の材料から形成されていればロータス効果により超撥水性が得られ、その表面が親水性の材料から形成されていれば超親水性が得られることが知られている。
硬化樹脂層19の材料が疎水性の場合の微細凹凸構造の表面の水接触角は、90゜以上が好ましく、110゜以上がより好ましく、120゜以上が特に好ましい。水接触角が90゜以上であれば、水汚れが付着しにくくなるため、十分な防汚性が発揮される。また、水が付着しにくいため、着氷防止を期待できる。
硬化樹脂層19の材料が親水性の場合の微細凹凸構造の表面の水接触角は、25゜以下が好ましく、23゜以下がより好ましく、21゜以下が特に好ましい。水接触角が25゜以下であれば、表面に付着した汚れが水で洗い流され、また油汚れが付着しにくくなるため、十分な防汚性が発揮される。前記水接触角は、硬化樹脂層19の吸水による微細凹凸構造の変形、それに伴う反射率の上昇を抑える点から、3゜以上が好ましい。
(疎水性材料)
硬化樹脂層19の微細凹凸構造の表面の水接触角を90°以上にするためには、疎水性の材料を形成し得る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、フッ素含有化合物またはシリコーン系化合物を含む組成物を用いることが好ましい。
フッ素含有化合物:
フッ素含有化合物としては、フッ素含有モノマー、フッ素含有シランカップリング剤、フッ素含有界面活性剤、フッ素含有ポリマー等が挙げられる。
フッ素含有モノマーとしては、フルオロアルキル基置換ビニルモノマー、フルオロアルキル基置換開環重合性モノマー等が挙げられる。フルオロアルキル基置換ビニルモノマーとしては、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリレート、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリルアミド、フルオロアルキル基置換ビニルエーテル、フルオロアルキル基置換スチレン等が挙げられる。
フルオロアルキル基置換開環重合性モノマーとしては、フルオロアルキル基置換エポキシ化合物、フルオロアルキル基置換オキセタン化合物、フルオロアルキル基置換オキサゾリン化合物等が挙げられる。
フッ素含有シランカップリング剤としては、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリアセトキシシラン、ジメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
フッ素含有界面活性剤としては、フルオロアルキル基含有アニオン系界面活性剤、フルオロアルキル基含有カチオン系界面活性剤等が挙げられる。
フッ素含有ポリマーとしては、フルオロアルキル基含有モノマーの重合体、フルオロアルキル基含有モノマーとポリ(オキシアルキレン)基含有モノマーとの共重合体、フルオロアルキル基含有モノマーと架橋反応性基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。フッ素含有ポリマーは、共重合可能な他のモノマーとの共重合体であってもよい。
シリコーン系化合物:
シリコーン系化合物としては、(メタ)アクリル酸変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコーン系シランカップリング剤等が挙げられる。(メタ)アクリル酸変性シリコーンとしては、シリコーン(ジ)(メタ)アクリレート等が挙げられ、例えば、信越化学工業社製のシリコーンジアクリレート「x−22−164」「x−22−1602」等が好ましく用いられる。
(親水性材料)
硬化樹脂層の微細凹凸構造の表面の水接触角を25°以下にするためには、親水性の材料を形成し得る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、少なくとも親水性モノマーを含む組成物を用いることが好ましい。また、耐擦傷性や耐水性付与の観点からは、架橋可能な多官能モノマーを含むものがより好ましい。なお、親水性モノマーと架橋可能な多官能モノマーは、同一(すなわち、親水性多官能モノマー)であってもよい。さらに、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、その他のモノマーを含んでいてもよい。
親水性の材料を形成し得る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、4官能以上の多官能(メタ)アクリレート、2官能以上の親水性(メタ)アクリレート、必要に応じて単官能モノマーを含む組成物を用いることがより好ましい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物、ウレタンアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL220、EBECRYL1290、EBECRYL1290K、EBECRYL5129、EBECRYL8210、EBECRYL8301、KRM8200)、ポリエーテルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL81)、変性エポキシアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL3416)、ポリエステルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL450、EBECRYL657、EBECRYL800、EBECRYL810、EBECRYL811、EBECRYL812、EBECRYL1830、EBECRYL845、EBECRYL846、EBECRYL1870)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、5官能以上の多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートの割合は、10〜50質量%が好ましく、耐水性、耐薬品性の点から、20〜50質量%がより好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。4官能以上の多官能(メタ)アクリレートの割合が10質量%以上であれば、弾性率が高くなって耐擦傷性が向上する。4官能以上の多官能(メタ)アクリレートの割合が50質量%以下であれば、表面に小さな亀裂が入りにくく、外観不良となりにくい。
2官能以上の親水性(メタ)アクリレートとしては、アロニックスM−240、アロニックスM260(東亞合成社製)、NKエステルAT−20E、NKエステルATM−35E(新中村化学社製)等の長鎖ポリエチレングリコールを有する多官能アクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ポリエチレングリコールジメタクリレートにおいて、一分子内に存在するポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位の合計は、6〜40が好ましく、9〜30がより好ましく、12〜20が特に好ましい。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が6以上であれば、親水性が十分となり、防汚性が向上する。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が40以下であれば、4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとの相溶性が良好となり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が分離しにくい。
2官能以上の親水性(メタ)アクリレートの割合は、30〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。2官能以上の親水性(メタ)アクリレートの割合が30質量%以上であれば、親水性が十分となり、防汚性が向上する。2官能以上の親水性(メタ)アクリレートの割合が80質量%以下であれば、弾性率が高くなって耐擦傷性が向上する。
単官能モノマーとしては、親水性単官能モノマーが好ましい。親水性単官能モノマーとしては、M−20G、M−90G、M−230G(新中村化学社製)等のエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等のエステル基に水酸基を有する単官能(メタ)アクリレート、単官能アクリルアミド類、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート等のカチオン性モノマー類等が挙げられる。また、単官能モノマーとして、アクリロイルモルホリン、ビニルピロリドン等の粘度調整剤、物品本体への密着性を向上させるアクリロイルイソシアネート類等の密着性向上剤等を用いてもよい。
単官能モノマーの割合は、0〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。単官能モノマーを用いることにより、基材と硬化樹脂層との密着性が向上する。単官能モノマーの割合が20質量%以下であれば、4官能以上の多官能(メタ)アクリレートまたは2官能以上の親水性(メタ)アクリレートが不足することなく、防汚性または耐擦傷性が十分に発現する。
単官能モノマーは、1種または2種以上を(共)重合した低重合度の重合体として活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に0〜35質量部配合してもよい。低重合度の重合体としては、M−230G(新中村化学社製)等のエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート類と、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェートとの40/60共重合オリゴマー(MRCユニテック社製、MGポリマー)等が挙げられる。
(用途)
物品1の用途としては、反射防止物品、防曇性物品、防汚性物品、撥水性物品、より具体的には、ディスプレー用反射防止、自動車メーターカバー、自動車ミラー、自動車窓、有機または無機エレクトロルミネッセンスの光取り出し効率向上部材、太陽電池部材等が挙げられる。微細凹凸構造を表面に有する物品を、反射防止フィルムとして用いる場合は、例えば、画像表示装置(液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置等)、レンズ、ショーウィンドー、眼鏡レンズ等の対象物の表面に、微細凹凸構造を表面に有する物品を貼り付けて用いる。
微細凹凸構造を表面に有する物品を貼り付ける部分が立体形状である場合は、あらかじめそれに応じた形状の基材を用いて微細凹凸構造を表面に有する物品を製造しておき、これを対象物の所定部分に貼り付ければよい。また、対象物が画像表示装置である場合は、その表面に限らず、その前面板に対して微細凹凸構造を表面に有する物品を貼り付けてもよいし、前面板そのものを、微細凹凸構造を表面に有する物品から構成してもよい。
また、微細凹凸構造を表面に有する物品は、上述した用途以外にも、例えば、光導波路、レリーフホログラム、太陽電池、レンズ、偏光分離素子、有機エレクトロルミネッセンスの光取り出し率向上部材等の光学用途や、細胞培養シートの用途にも適用できる。また、微細凹凸構造を表面に有する物品は、ロータス効果を発現することから、防曇性物品、防汚性物品、撥水性物品として用いることもできる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(陽極酸化アルミナの細孔)
陽極酸化アルミナの一部を削り、表面および断面にプラチナを1分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用いて、加速電圧3.00kVの条件にて、表面および断面をそれぞれ観察し、細孔の間隔、細孔の深さ、凹凸形状を測定した。
〔製造例〕
以下に示す方法で、アルミニウムを処理し、陽極酸化アルミナ金型aおよびbを製造した。
〔製造例1〕
純度99.99%の5cm角アルミニウム板を、羽布研磨し、ついで過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨して鏡面化した。
工程(a):
前記アルミニウム板について、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で30分間陽極酸化を行った。
工程(b):
酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜を除去した。
工程(c):
前記アルミニウム板について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒陽極酸化を行った。
工程(d):
酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
工程(e):
前記アルミニウム板について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒間陽極酸化を行った。
工程(f):
前記工程(d)および工程(f)を合計で4回繰り返し、最後に工程(d)を行い、平均間隔:100nm、深さ:180nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成された5cm角金型を得た。
得られた金型を脱イオン水で洗浄した後、表面の水分をエアーブローで除去した。
工程(g):
金型を、オプツールAES4(ダイキン工業社製)の希釈溶液に10分間浸漬し、金型を一晩風乾して、離型剤で処理された5cm角金型aを得た。
〔調製例〕
以下に示す割合で各成分を混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物AおよびBを調製した。
〔調製例1〕
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物A)
トリメチロールエタン/アクリル酸/無水コハク酸の縮合反応物の70質量部、
ポリエチレングリコールジアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM260)の20質量部、
2−ヒドロキシエチルアクリレートの3質量部、
メチルアクリレートの7質量部、
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物(日光ケミカル社製、TDP−2)の0.3質量部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、イルガキュア184)の1質量部、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製、イルガキュア819)の0.1質量部。
〔調製例2〕
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物B)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、カヤラッドDPHA) 20質量部、
ペンタエリスリトールトリアクリレート(第一工業製薬社製、PET−3) 20質量部、
EO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、カヤラッドDPEA−12) 30質量部、
ポリエチレングリコールジアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM260) 30質量部、
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物(日光ケミカルズ社製、NIKKOL TDP−2)の0.5質量部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン社製、イルガキュア184)の1質量部、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン社製、イルガキュア819)の0.5質量部。
(干渉縞の評価)
干渉縞の評価は、微細凹凸構造が形成された透明フィルムを、ノンキャリアフィルム(リンテック社製、OPTERIA MOシリーズ)を介して5cm角の黒アクリル板(三菱レイヨン社製、アクリライトEX502)に貼付けし、蛍光灯下で目視確認することにより行った。
干渉縞の評価の基準は以下のとおりとした。
○:干渉縞模様が観察されない。
△:干渉縞模様がわずかに観察される。
×:干渉縞欠陥がはっきり見える。
(外観の評価)
上述のようにして黒アクリルに貼付けした物品を、蛍光灯化で目視確認し、物品全体の外観を評価した。
外観の評価の基準は以下の通りとした。
○:特に目立つ欠陥がない。
△:わずかに欠陥が観察される。
×:欠陥がはっきりと観察される。
(屈折率測定)
屈折率は、デジタルアッベ屈折計(アタゴ社製、DR−A1)を使用して25.0℃で測定した。
(算術平均粗さRaの測定)
ニップ部材の表面の算術平均粗さRaは、JIS B0601(2001)、(ISO4287(1997)に相当)に準拠し、形状測定レーザマイクロスコープ(KEYENCE社製、VK−X100)を使用して倍率10倍で、全エリアの平均として算出した。
(物品の製造)
〔実施例1〕
バッチ用の金型は、前記の方法で5cm角金型aを使用した。バッチでの転写は、5cm角金型aに硬化性樹脂Aを滴下し、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製、A−4300)を被せ、さらにシート(基材側の表面の算術平均粗さRa:31.0μm:ニップ部材)を挟み込みながら0.1MPa(0.1N/mm)で押圧しつけて被覆した。フィルム側から無電極UVランプ(フュージョンUVシステムズ社製、ライトハンマー6)を用いて積算光量1000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aを硬化させることによって、フィルムの表面に硬化樹脂層を形成した。フィルムと金型を剥離し、微細凹凸構造を表面に有する物品を得た。
得られた物品を、ノンキャリアフィルムを介して5cm角の黒アクリル板に貼付けし蛍光灯下でを目視で観察し、干渉縞模様、外観を評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例2〜4、比較例1〜3〕
表1に示した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、ニップ圧力、ニップ部材のRaおよび基材フィルムに変更した以外は、実施例1と同様にして微細凹凸構造を表面に有する物品を得た。実施例1と同様に、黒アクリル板に貼付けし蛍光灯下で目視観察した。その結果を表1に示す。
表中の略号は、下記の通りである。
PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製、コスモシャインA−4300、厚さ188μm)。
TAC:トリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム株式会社製、TACフィルムTD80ULM(商品名)、厚さ80μm)
表1の結果から明らかなように、実施例1〜4においては、表面の算術平均粗さRaが15〜40μmであるニップ部材を用いている。これにより、基材フィルムと硬化層との屈折率差があり、干渉縞模様が発生する恐れのある場合においても、干渉縞模様の発生が抑制されていることがわかる。
実施例3ではうっすらと干渉縞が観察されたが、これはニップ圧力が低いため、ニップ部材の表面の構造が硬化樹脂層に十分に転写されなかったためと考えられる。また、実施例4においては、干渉縞の発生は抑制されていたものの、ニップ圧力が大きいためか、一部に構造転写の抜け等の欠陥が観察された。
比較例1、2においては、ニップローラの算術平均Raが低いために、干渉縞の発生を抑制することができず、基材フィルムと硬化層の屈折率差による干渉縞模様がはっきりと視認された。また比較例3においては、ニップローラの算術平均粗さRaが40μm以上のため、干渉縞模様は視認されなかったが、表面の凸凹がはっきりと視認されてしまい、物品の表面全体の外観が損なわれていた。
本発明の、微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法は、反射防止物品、防曇性物品、防汚性物品、撥水性物品、細胞培養シート等の効率的な量産にとって有用である。
1 物品
4 微細凹凸構造
10 製造装置
12 透光性基材
13 活性エネルギー線照射装置
14 金型
15 ニップ部材
16 供給装置
17 圧力調整機構
18 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
19 硬化樹脂層
20 アルミニウム基材
22 細孔
24 酸化皮膜
26 細孔発生点

Claims (3)

  1. 可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部からなる微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法であって、
    (I)微細凹凸構造を表面に有する金型と基材フィルムとの間に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を配置し、前記金型と対向して配置されたニップ部材と前記金型との間に、前記基材フィルムと前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物とを挟持する工程と、
    (II)前活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて前記基材フィルム上に硬化層を形成する工程と、
    (III)前記基材フィルムおよび前記硬化層と、前記金型とを分離する工程と、を有し、
    前記ニップ部材表面の前記基材フィルムと接触する表面の算術平均粗さRaが、15〜40μmであることを特徴とする物品の製造方法。
  2. 前記ニップ部材を前記金型に対して0.03MPa以上0.5MPa以下で押圧することを特徴とする、請求項1に記載の物品の製造方法。
  3. 基材フィルムと硬化層の屈折率差が0.01〜0.2である請求項1または2記載の物品の製造方法。
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