JP2013182007A - 微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法および製造装置 - Google Patents

微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法および製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】微細凹凸構造を表面に有する物品の製造時におけるモールド表面の樹脂残りを抑制することによって、外観品質の良好な微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法および製造装置を提供する。
【解決手段】活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、微細凹凸構造を表面に有するモールドと基材との間に挟み、モールドと基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層を形成し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層に対して基材を通して活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて、微細凹凸構造が転写された硬化樹脂層を基材の表面に形成する微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法であって、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層に対して基材を通して活性エネルギー線を照射しながら、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層の端部に対して、直接活性エネルギー線を照射する直接照射工程を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法および製造装置に関する。
近年、可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を表面に有する物品は、反射防止効果、ロータス効果等を発現することが知られている。特に、略円錐形状の凸部を並べたモスアイ構造と呼ばれる凹凸構造は、空気の屈折率から物品の材料の屈折率へと連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となることが知られている。
物品の表面に微細凹凸構造を形成する方法としては、ロール状モールドの周囲に長尺状の基材を配置し、ロール状モールドと基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填し、基材越しに活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して硬化させ、硬化樹脂層と基材とをロール状モールドから剥離して、連続的に物品を製造する方法が注目されている。
上述のような表面に微細凹凸構造を有する物品を製造する装置として、外周面に微細凹凸構造が形成されたロール状モールドを用いた物品の製造装置が知られている。このような物品の製造装置は、ロール状モールドと対向して配置されたニップローラと、ロール状モールドとニップローラのニップ部との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給するための供給装置を備えている。該製造装置は、ニップローラとロール状モールドによって挟持搬送される基材の一方の面に、供給装置によって活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給して樹脂層を形成し、この活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の樹脂層に活性エネルギー線を照射することによって活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させ、ロール状モールドの外周面に形成された微細凹凸構造の形状が転写された硬化樹脂層を基材の表面に形成する。そして、微細凹凸構造の形状が転写された硬化樹脂層を表面に有する基材をロール状モールドから剥離して、表面に微細凹凸構造を有する物品が連続的に製造される。
このような物品の製造時、ロール状モールドと基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給すると、ロール状モールドと基材との間に樹脂層が形成されるが、供給量によって保持される樹脂層の幅が変化する。一般的に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は酸素雰囲気化では硬化が阻害されやすい傾向にあるために、樹脂層の幅方向の端部はその他の部分と比べて樹脂の硬化度が低くなる傾向にあり、ロール状モールドの表面への樹脂残り等の問題が発生しやすい傾向にある。特に製造開始時や終了時などの樹脂層の幅が徐々変化するときには、活性エネルギー線を照射して硬化樹脂層を得ると、ロール状モールドの表面に連続的に幅が変化するような形状で、樹脂残り等の表面欠陥が発生することがある(以下、このような幅が連続的に変化するような形状の表面欠陥を「樹脂幅痕」と称する)。ロール状モールドの表面に樹脂幅痕が発生すると、次回に同じロール状モールドを用いて物品を製造した際に、樹脂幅痕に対応した形状までが物品の表面に形成されてしまう。このような表面欠陥は、一般的な光学シートでは問題となる可能性は低いが、可視光の波長以下の周期の微細凹凸構造を表面に有する物品においては、反射防止性能が非常に優れているため、樹脂幅痕に対応した形状が視認されてしまう場合があった。
この樹脂幅痕は、硬化不良の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物がロール状モールドの微細凹凸構造の内部に入り込んでしまい発生する。いったん樹脂幅痕が発生しても、連続的に製造を行っている場合や、直ぐに物品の製造を再開した場合には、硬化不良の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が硬化樹脂層と共にロール状モールドの表面から剥離されやすいため、物品に転写される樹脂幅痕は視認されにくくなる。しかし、同一箇所に繰り返し樹脂幅痕が重なった場合や、製造を中断してしばらく時間を置いた場合には、微細凹凸構造の内部に入り込んだ硬化不良の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を取り除くことが極めて困難となる。
樹脂幅痕を低減させるためには、製造装置を停止させずに連続的に動作させ続ければよいが、保守点検や基材の交換等を行わずに製造装置を連続的に動作させ続けることは現実的に困難であり、従来は製造を停止する毎にロール状モールドを交換する必要があった。
モールドの微細凹凸構造の領域に付着した異物を除去する方法としては、下記の方法が提案されている。
(1)モールドの微細凹凸構造が形成された側の表面を、基材よりもモールドに対して密着性が高い密着性部材に押し付ける方法(特許文献1)。
しかし、(1)の方法では、基材よりもモールドに対して密着性が高い密着性部材を用いるため、密着性部材がモールドに付着する(すなわち樹脂残りが発生する)おそれがある。また、物品の製造に用いるのとは別の樹脂材料や密着性材料を用い、モールドを処理する必要があり、モールドの表面の処理に時間を要するために物品の生産性が悪いという問題があった。
(2)微細凹凸構造を有するモールドに対して、メタノール、ベンジルアルコール、ギ酸、ギ酸メチルのような成分の剥離剤を使用して、アクリル系の光硬化樹脂の付着物を取り除く方法が記載されている。(特許文献2)
この方法によれば樹脂幅痕が発生しても除去が可能であるが、環境負荷の大きな薬品を使用する必要があり、また保守点検や基材の交換毎にモールドを洗浄する必要があり、洗浄に時間を要するため、物品の生産性が悪いという問題があった。
特開2009−266841号公報 特開2011−194848号公報
本発明は、微細凹凸構造が表面に形成された物品の製造の際に、ロール状モールドの表面に発生する樹脂層端部の表面欠陥が物品の表面に転写されることを抑制することができる、微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
本願発明者は、樹脂幅痕は、樹脂層の端部が空気雰囲気化で硬化されるために発生する酸素阻害による硬化度の低い樹脂残りが主要因であり、樹脂層端部の硬化度を上昇させることによって、樹脂幅痕の発生を抑制できることを見出し、本願発明をなすに至ったものである。
すなわち、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、微細凹凸構造を表面に有するモールドと基材との間に挟み、前記モールドと前記基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層を形成し、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層に対して前記基材を通して活性エネルギー線を照射して前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて、微細凹凸構造が転写された硬化樹脂層を前記基材の表面に形成する微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法であって、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層に対して前記基材を通して活性エネルギー線を照射しながら、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層の端部に対して、直接活性エネルギー線を照射する直接照射工程を有することを特徴とする。
また、本発明の一能様によれば、前記直接照射工程が、少なくとも物品の製造終了時期に行われる。
また、本発明の一能様によれば、前記直接照射工程において、前記モールドおよび前記基材の側方から、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層の端部に対して前記活性エネルギー線が照射される。
本発明の微細凹凸構造を表面に有する物品を製造する装置は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、微細凹凸構造を表面に有するモールドと基材との間に挟み、前記モールドと前記基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層を形成し、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層に対して前記基材を通して活性エネルギー線を照射して前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて、微細凹凸構造が転写された硬化樹脂層を前記基材の表面に形成する微細凹凸構造を表面に有する物品を製造する装置であって、前記モールド表面に沿った基材越しに活性エネルギー線を照射する第1の照射部と、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層の端部に対して、直接活性エネルギー線を照射する第2の照射部を備えていることを特徴とする。
また、本発明の一能様によれば、前記第2の照射部は、前記モールドおよび前記基材の側方から、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層の端部に対して前記活性エネルギー線が照射される。
本発明の微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法および製造装置によれば、モールドから転写された微細凹凸構造における欠陥を抑えることができる。
表面に陽極酸化アルミナを有するモールドの製造工程を示す断面図である。 微細凹凸構造を表面に有する物品の製造装置の一例を示す構成図である。 微細凹凸構造を表面に有する物品の製造装置のモールドおよび活性エネルギー線照射部の一例を示す構成図である。 微細凹凸構造を表面に有する物品の一例を示す断面図である。
本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。また、活性エネルギー線は、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。また、微細凹凸構造は、凸部または凹部の平均間隔が可視光波長以下、つまり400nm以下の構造を意味する。また、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物は、オキシアルキレン基を1つ有するオキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物またはオキシアルキレン基を2つ以上有するポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物を意味する。
<物品の製造方法>
本発明の、微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、微細凹凸構造を表面に有するモールドと基材との間に挟み、前記モールドと前記基材との間に前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層を形成し、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層に対して活性エネルギー線を照射して前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて、微細凹凸構造が転写された硬化樹脂層を前記基材の表面に形成する微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法であって、
前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層に対して基材越しに活性エネルギー線を照射しつつ、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層端部に対して、直接活性エネルギー線を照射する直接照射工程と、を有することを特徴とする、物品の製造方法である。以下に、本発明に係る物品の製造方法について詳細に説明する。
(モールドの作製)
まず、モールド基材の表面に微細凹凸構造を形成してモールドを作製する。
モールド基材の材料としては、金属(表面に酸化皮膜が形成されたものを含む。)、石英、ガラス、樹脂、セラミックス等が挙げられる。
モールド基材の形状としては、ロール状、円管状、平板状、シート状等が挙げられる。
モールドの作製方法としては、例えば、下記の方法(i−1)または方法(i−2)が挙げられ、大面積化が可能であり、かつ作製が簡便である点から、方法(i−1)が特に好ましい。
(i−1)アルミニウム基材の表面に、複数の細孔(凹部)を有する陽極酸化アルミナを形成する方法。
(i−2)モールド基材の表面にリソグラフィ法によって微細凹凸構造を形成する方法。
方法(i−1)としては、下記の工程(a)〜(f)を有する方法が好ましい。
(a)アルミニウム基材を電解液中で電圧を印加して陽極酸化し、アルミニウム基材の表面に酸化皮膜を形成する工程。
(b)酸化皮膜の少なくとも一部を除去し、アルミニウム基材の表面に陽極酸化の細孔発生点を形成する工程。
(c)アルミニウム基材を電解液中で再度陽極酸化し、細孔発生点に細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
(d)細孔の径を拡大させる工程。 (f)工程(c)と工程(d)を繰り返し行い、複数の細孔を有する陽極酸化アルミナがアルミニウムの表面に形成されたモールドを得る工程。
工程(a):
図1に示すように、アルミニウム基材10を陽極酸化すると、細孔12を有する酸化皮膜14が形成される。
アルミニウム基材の形状としては、ロール状、円管状、平板状、シート状等が挙げられる。
また、アルミニウム基材は、表面状態を平滑化にするために、機械研磨、羽布研磨、化学的研磨、電解研磨処理(エッチング処理)などで研磨されることが好ましい。また、アルミニウム基材は、切削等にて所定の形状に加工する際に用いた油が付着していることがあるため、陽極酸化の前にあらかじめ脱脂処理されることが好ましい。
アルミニウムの純度は、99%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましく、99.8%以上が特に好ましい。アルミニウムの純度が低いと、陽極酸化した時に、不純物の偏析により可視光を散乱する大きさの凹凸構造が形成されたり、陽極酸化で得られる細孔の規則性が低下したりすることがある。
電解液としては、硫酸、シュウ酸、リン酸等が挙げられる。
シュウ酸を電解液として用いる場合:
シュウ酸の濃度は、0.7M以下が好ましい。シュウ酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて酸化皮膜の表面が粗くなることがある。
化成電圧が30〜60Vの時、平均間隔が100nm程度の規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向にある。
電解液の温度は、60℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましい。電解液の温度が60℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
硫酸を電解液として用いる場合:
硫酸の濃度は0.7M以下が好ましい。硫酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて定電圧を維持できなくなることがある。
化成電圧が25〜30Vの時、平均間隔が63nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向がある。
電解液の温度は、30℃以下が好ましく、20℃以下がより好ましい。電解液の温度が30℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
工程(b):
図1に示すように、酸化皮膜14の少なくとも一部を一旦除去し、これを陽極酸化の細孔発生点16にすることで細孔の規則性を向上することができる。
酸化皮膜を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、酸化皮膜を選択的に溶解する溶液に溶解させて除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。なお、図1に示されるように、酸化皮膜14を全て除去することにより、より規則性が高く配列した細孔を得ることができるが、高い規則性が必要とされない場合、酸化皮膜14を全て除去する必要はない。
工程(c):
図1に示すように、酸化皮膜の少なくとも一部を除去したアルミニウム基材10を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔12を有する酸化皮膜14が形成される。
陽極酸化は、工程(a)と同様な条件で行うことにより、高い規則性を有する細孔を得ることができるが、陽極酸化の条件は種々に変更してもよい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。
工程(d):
図1に示すように、細孔12の径を拡大させる処理(以下、細孔径拡大処理と記す。)を行う。細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。
細孔径拡大処理の時間を長くするほど、細孔径は大きくなる。
工程(e):
図1に示すように、工程(c)の陽極酸化と、工程(d)の細孔径拡大処理とを繰り返すと、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔12を有する酸化皮膜14が形成され、アルミニウム基材10の表面に陽極酸化アルミナ(アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト))を有するモールド18が得られる。最後は工程(d)で終わることが好ましい。
繰り返し回数は、合計で3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。繰り返し回数が2回以下では、非連続的に細孔の直径が減少するため、このような細孔を有する陽極酸化アルミナを用いて形成されたモスアイ構造の反射率低減効果は不十分である。
細孔12の形状としては、略円錐形状、角錐形状、円柱形状等が挙げられ、円錐形状、角錐形状等のように、深さ方向と直交する方向の細孔断面積が最表面から深さ方向に連続的に減少する形状が好ましい。
細孔12間の平均間隔は、可視光の波長以下、すなわち400nm以下である。細孔12間の平均間隔は、20nm以上が好ましい。
細孔12間の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって隣接する細孔12間の間隔(細孔12の中心から隣接する細孔12の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
細孔12の深さは、平均間隔が100nmの場合は、80〜500nmが好ましく、120〜400nmがより好ましく、150〜300nmが特に好ましい。
細孔12の深さは、電子顕微鏡観察によって倍率30000倍で観察したときにおける、細孔12の最底部と、細孔12間に存在する凸部の最頂部との間の距離を測定した値である。
細孔12のアスペクト比(細孔の深さ/細孔間の平均間隔)は、0.8〜5.0が好ましく、1.2〜4.0がより好ましく、1.5〜3.0が特に好ましい。
ついで、モールドの微細凹凸構造が形成された側の表面を外部離型剤で処理する。
外部離型剤としては、アルミニウム基材の陽極酸化アルミナと化学結合を形成し得る官能基を有するものが好ましい。なお、厳密には微細凹凸構造を表面に有するモールドの、微細凹凸構造の表面を離型剤で処理するものであるが、以降単に「微細凹凸構造を表面に有するモールド」や、「モールドの表面」を処理する、と記載する場合がある。
外部離型剤としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フッ素化合物等が挙げられ、加水分解性シリル基を有するフッ素化合物が特に好ましい。加水分解性シリル基を有するフッ素化合物の市販品としては、フルオロアルキルシラン、KBM−7803(信越化学工業社製)、MRAF(旭硝子)、オプツールHD1100、HD2100シリーズ(ハーベス社製)、オプツールAES4、AES6(ダイキン工業社製)、ノベックEGC−1720(住友3M社製)、FS‐2050シリーズ(フロロテクノロジー社製)等が挙げられる。
また活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の内部離型剤として利用できるフッ素含有化合物、シリコーン系化合物、リン酸エステル系化合物、長鎖アルキル基を有する化合物、ポリオキシアルキレン基を有する化合物、固形ワックス(ポリエチレンワックス、アミドワックス、ポリテトラフルオロエチレンのパウダ等)等を溶剤で希釈したものも使用できる。
外部離型剤による処理方法としては、下記の方法(ii−1)または方法(ii−2)が挙げられ、モールドの微細凹凸構造が形成された側の表面をムラなく外部離型剤で処理できる点から、方法(ii−1)が特に好ましい。
(ii−1)外部離型剤の希釈溶液にモールド本体を浸漬する方法。
(ii−2)外部離型剤またはその希釈溶液を、モールドの微細凹凸構造が形成された側の表面に塗布する方法。
方法(ii−1)としては、下記の工程(g)〜(l)を有する方法が好ましい。
(g)モールドを水洗する工程。
(h)工程(g)の後、モールドにエアーを吹き付け、モールドの表面に付着した水滴を除去する工程。
(i)加水分解性シリル基を有するフッ素化合物をフッ素系溶媒で希釈した希釈溶液に、モールドを浸漬する工程。
(j)浸漬したモールドをゆっくりと溶液から引き上げる工程。
(k)必要に応じて、工程(j)よりも後段にてモールドを加熱加湿させる工程。
(l)モールド本体を乾燥させる工程。
工程(g):
モールドには、微細凹凸構造を形成する際に用いた薬剤(細孔径拡大処理に用いたリン酸水溶液、リソグラフィ法に用いた剥離液等)、不純物(埃等)等が付着しているため、水洗によってこれを除去する。
工程(h):
モールドの表面に水滴が付着していると、工程(i)の希釈溶液が劣化するため、モールドにエアーを吹き付け、目に見える水滴はほぼ除去する。
工程(i):
希釈用のフッ素系溶媒としては、ハイドロフルオロポリエーテル、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、ジクロロペンタフルオロプロパン等が挙げられる。
加水分解性シリル基を有するフッ素化合物の濃度は、希釈溶液(100質量%)中、0.01〜0.5質量%が好ましい。
浸漬時間は、1〜30分が好ましい。
浸漬温度は、0〜50℃が好ましい。
工程(j):
浸漬したモールドを溶液から引き上げる際には、電動引き上げ機等を用いて、一定速度で引き上げ、引き上げ時の揺動を抑えることが好ましい。これにより塗布ムラを少なくできる。
引き上げ速度は、1〜10mm/secが好ましい。
工程(k):
工程(j)よりも後段にて、モールドを加熱加湿させてもよい。モールドを加熱加湿下に放置することによって、フッ素化合物(離型剤)の加水分解性シリル基が加水分解されてシラノール基が生成し、該シラノール基とモールドの表面の水酸基との反応が十分に進行し、フッ素化合物の定着性が向上する。加湿方法としては、飽和塩水溶液を用いた飽和塩法、水を加熱して加湿する方法、加熱した水蒸気をモールドに直接吹付ける方法等が考えられる。この工程は恒温恒湿器中で行えばよい。
加熱温度は、30〜150℃が好ましい。
加湿条件は、相対湿度60%以上が好ましい。
放置時間は、10分〜7日が好ましい。
工程(l):
モールドを乾燥させる工程では、モールドを風乾させてもよく、乾燥機等で強制的に加熱乾燥させてもよい。
乾燥温度は、30〜150℃が好ましい。
乾燥時間は、5〜300分が好ましい。
上記のような外部離型剤でモールド表面を処理した場合、モールドの表面が外部離型剤で処理されたことは、モールドの表面の水接触角を測定することによって確認できる。外部離型剤で処理されたモールドの表面の水接触角は、60゜以上が好ましく、90゜以上がより好ましい。水接触角が 60゜以上であれば、モールドの表面が外部離型剤で十分に処理され、離型性が良好となる。
モールドの微細凹凸構造が形成された側の表面をモールドと化学結合を形成し得る外部離型剤で処理することで、モールドの微細凹凸構造を物品の表面に転写する場合に、初期の離型性が良好となる。また、繰り返し転写した場合であっても、離型性が低下しにくくなるため、微細凹凸構造を表面に有する物品を生産性よく製造できるようになる。
(物品の作製)
ついで、製造されたモールドを用いて、微細凹凸構造を表面に有する物品の製造を行う。物品の製造においては、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をモールドと基材との間に挟み、モールドと基材との間に形成される活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層(以下、単に樹脂層と称する場合がある)に活性エネルギー線を照射してこれを硬化させて、微細凹凸構造が転写された硬化樹脂層を基材の表面に形成する。その後、硬化樹脂層と基材とをロール状モールドから剥離して、微細凹凸構造を表面に有する物品を得ることができる。
上述の物品の製造には、図2に記載されるような、外周面に微細凹凸構造が形成されたロール状モールドを用いた物品の製造装置を用いることができる。このような物品の製造装置は、ロール状モールドと対向して配置されたニップローラと、ロール状モールドとニップローラのニップ部との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給するための供給装置を備えている。該製造装置は、ニップローラとロール状モールドによって挟持搬送される基材の一方の面に、供給装置によって活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給してロール状モールドと基材との間に樹脂層を形成し、この活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の樹脂層に活性エネルギー線を照射することによって活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させ、ロール状モールドの外周面に形成された微細凹凸構造の形状が転写された硬化樹脂層を基材の表面に形成する。そして、微細凹凸構造の形状が転写された硬化樹脂層を表面に有する基材をロール状モールドから剥離して、表面に微細凹凸構造を有する物品が連続的に製造される。また、該製造装置は、樹脂層の側端部に活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射装置をさらに備えている。
このような物品の製造時、ロール状モールドと基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給すると、供給量によって保持される樹脂層の幅が変化し、形成される樹脂層には端部が存在する。一般的に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は酸素雰囲気化では硬化が阻害されやすい傾向にあるために、樹脂層の幅方向の端部はその他の部分と比べて樹脂の硬化度が低くなる傾向にあり、樹脂残り等の問題が発生しやすい傾向にある。製造時にはこのような樹脂層端部が存在し、特に製造開始時や終了時などの樹脂層の幅が徐々変化するときには、活性エネルギー線を照射して硬化樹脂層を得ると、ロール状モールドの表面に連続的に幅が変化するような形状で、樹脂残り等の表面欠陥、いわゆる樹脂幅痕が発生することがある。
樹脂幅痕は、樹脂層の端部が空気雰囲気下で硬化されるために発生する酸素阻害による硬化度の低い樹脂残りが主要因であり、硬化度を上昇させることによって抑制することができる。本発明に係る製造装置は、樹脂層の側端部に活性エネルギー線を照射する活性エネルギー線照射装置を備えており、硬化が阻害されやすい樹脂層の側端部に活性エネルギー線を直接照射することができる。したがって、樹脂層の側端部の硬化度が低下することを抑制することができ、樹脂幅痕が発生することを抑制することができる。なお、硬化度を上げる方法として、モールドの温度を局所的に上げる方法や、窒素または二酸化炭素雰囲気下で硬化する方法、モールドに壁を設けることにより密閉空間で硬化して樹脂層端部を無くす方法、酸素阻害の受けない活性エネルギー線重合開始剤を添加する方法等種々の方法が挙げられるが、本発明においては、より簡便に樹脂層端部での硬化度を上昇させる方法として、樹脂層端部に照射される活性エネルギー線の積算光量を上げる方法を用いる。樹脂層端部に照射される活性エネルギー線の積算光量を上げる方法としては、樹脂層の側方から基材を介せず直接樹脂層端部に直接活性エネルギー線を照射する方法、基材越しに樹脂層端部に照射される活性エネルギー線の光量を上げる方法等が挙げられる。しかし、基材に活性エネルギー線吸収剤が混入されている場合等もあり、より効率的に樹脂層端部に活性エネルギー線を照射できる観点から、基材を介さず樹脂層に直接活性エネルギー線を照射する方法を用いることが好ましい。
本発明においては、樹脂層端部への活性エネルギー線の積算光量を上げることで、樹脂幅痕の発生を抑制することができるため、物品の製造終了後に特殊な薬剤を用いてロール状金型を洗浄したり、粘着力の高い物品を用いてロール状モールドの表面から異物を除去したりする必要がない。従って、本発明によれば、樹脂幅痕の発生を抑制しつつ効率的に物品を製造することが可能となる。
基材の形状としては、フィルム、シート、射出成形品、プレス成形品等が挙げられる。
基材の材質としては、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、ガラス等が挙げられる。
硬化性樹脂としては、後述する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、内部離型剤を添加したものが挙げられる。すなわち、硬化性樹脂としては、重合性化合物と、重合開始剤と、内部離型剤とを含むものが挙げられる。
内部離型剤としては、硬化性樹脂からモールドの表面へと移行し、モールドと硬化性樹脂の硬化物との離型性を改善する化合物群の中から選べばよい。
内部離型剤としては、フッ素含有化合物、シリコーン系化合物、リン酸エステル系化合物、長鎖アルキル基を有する化合物、ポリオキシアルキレン基を有する化合物、固形ワックス(ポリエチレンワックス、アミドワックス、ポリテトラフルオロエチレンのパウダ等)等が挙げられる。
硬化性樹脂の硬化物とモールドとの離型性が良好となる点から、内部離型剤として(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物を含むことが好ましい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物としては、離型性の点から、下記式(1)で表わされる化合物が好ましい。
(HO)3−n(O=)P[−O−(CHCHO)−R ・・・(1)
は、アルキル基であり、mは1〜20の整数であり、nは1〜3の整数である。
としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数3〜18のアルキル基がより好ましい。
mは、1〜10の整数が好ましい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物は、モノエステル体(n=1)、ジエステル体(n=2)、トリエステル体(n=3)のいずれであってもよい。また、ジエステル体またはトリエステル体の場合、1分子中の複数の(ポリ)オキシアルキレンアルキル基はそれぞれ異なっていてもよい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物の市販品としては、下記のものが挙げられる。
城北化学社製:JP−506H、
アクセル社製:モールドウイズINT−1856
日光ケミカル社製:TDP−10、TDP−8、TDP−6、TDP−2、DDP−10、DDP−8、DDP−6、DDP−4、DDP−2、TLP−4、TCP−5、DLP−10。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物の量は、重合性化合物の100質量部に対して、0.01〜1質量部が好ましく、0.05〜0.5質量部がより好ましく、0.05〜0.1質量部がさらに好ましい。(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物の量が1質量部以下であれば、モールドの表面からの離型性を十分に有し、基材との密着性の低下が抑えられ、その結果、モールドへの樹脂残りが抑えられる。(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物の量が0.01質量部以上であれば、モールドの表面に十分な量の(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物を移行できる。また、モールドからの離型性が十分となり、モールドへの樹脂残りが抑えられる。
ロール状モールド20と、空気圧シリンダ24によってニップ圧が調整されたニップロール26との間で、基材フィルム42および硬化性樹脂38をニップし、硬化性樹脂38を、基材フィルム42とロール状モールド20との間に均一に行き渡らせると同時に、ロール状モールド20の微細凹凸構造の凹部内に充填する。
ロール状モールド20の下方に設置された第1の活性エネルギー線照射装置28から、基材フィルム42を通して硬化性樹脂38に活性エネルギー線を照射し、さらにロール状モールド20の表面に対して水平方向に設置された第2の活性エネルギー線照射装置29から、硬化性樹脂層端部に直接活性エネルギー線を照射して硬化性樹脂38を硬化させることによって、ロール状モールド20の表面の微細凹凸構造が転写された硬化樹脂層44を形成する。
剥離ロール30により、表面に硬化樹脂層44が形成された基材フィルム42をロール状モールド20から剥離する。
第1の活性エネルギー線照射装置28および第2の活性エネルギー線照射装置29からの硬化性樹脂への照射は、同時に行ってもよく、第1から第2、第2から第1と順次照射してもよい。なお、硬化樹脂層44を一旦ロール状モールド20から剥離すると、硬化樹脂層44が酸素雰囲気下に曝されるため、モールドから剥離する前の間に第1の活性エネルギー線照射装置28および第2の活性エネルギー線照射装置29より活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化樹脂組成物38の硬化度を十分に高めてから、ロール状モールド20から剥離することが好ましい。また、水平方向に設置された第2の活性エネルギー線照射装置29から、硬化性樹脂層端部に直接活性エネルギー線を照射することによって、フィルムに活性エネルギー線の一部が吸収されることなく、酸素による硬化阻害を受けやすい樹脂層端部の硬化度を上げ、樹脂幅痕の発生を抑制しつつ物品を製造することができる。また、樹脂幅痕の発生が特に問題となる、物品の製造開始および製造終了の時期のみ、第2の活性エネルギー線照射装置29から、物品の製造中常に活性エネルギー線を照射してもよい。特に、物品の製造終了の際に形成される樹脂幅痕は、幅方向に広さが徐々に減少する形状となる場合が多く、次回の物品の製造に悪影響を与える恐れが高いことから、少なくとも物品の製造終了の時期に、第2の活性エネルギー線照射装置29から樹脂層端部に向けて活性エネルギー線を照射することが好ましい。
第1の活性エネルギー線照射装置28としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、フュージョンランプ等が好ましく、この場合の光照射エネルギー量は、100〜10000mJ/cmが好ましい。
第2の活性エネルギー線照射装置29としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、フュージョンランプ等が好ましく、この場合の光照射エネルギー量は、100〜10000mJ/cmが好ましい。第2の活性エネルギー線照射装置29は第1の活性エネルギー線照射装置28と別途設けてもよく、光ファイバーや光学フィルター、ミラー反射、導光体等を使用することによって、第1の活性エネルギー線照射装置28から照射される活性エネルギー線を硬化性樹脂層端部に伝達して照射するものであってもよい。
硬化性樹脂を硬化させて製造する微細凹凸構造を表面に有する物品には、親水性や疎水性の材料を形成し得る硬化性樹脂がその用途に応じて適宜用いることができる。
重合性化合物としては、後述する重合性化合物が挙げられる。
重合開始剤としては、後述する重合開始剤が挙げられる。
硬化性樹脂は、必要に応じて、内部離型剤等の添加剤を含んでいてもよい。
(物品)
図3は、微細凹凸構造を表面に有する物品40の一例を示す断面図である。
基材フィルム42は、光透過性フィルムである。フィルムの材料としては、ポリカーボネート、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル系樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテルケトン、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、脂環式ポリオレフィン等が挙げられる。
硬化樹脂層44は、硬化性樹脂39の硬化物からなる膜であり、表面に微細凹凸構造を有する。
陽極酸化アルミナのモールドを用いた場合の物品40の表面の微細凹凸構造は、陽極酸化アルミナの表面の微細凹凸構造を転写して形成されたものであり、硬化性樹脂39の硬化物からなる複数の凸部46を有する。
微細凹凸構造としては、略円錐形状、角錐形状等の突起(凸部)が複数並んだ、いわゆるモスアイ構造が好ましい。突起間の間隔が可視光の波長以下であるモスアイ構造は、空気の屈折率から材料の屈折率へと連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となることが知られている。
凸部間の平均間隔は、可視光の波長以下、すなわち400nm以下である。陽極酸化アルミナのモールドを用いて凸部を形成した場合、凸部間の平均間隔は100から200nm程度となることから、250nm以下が特に好ましい。
凸部間の平均間隔は、凸部の形成のしやすさの点から、20nm以上が好ましい。
凸部間の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって隣接する凸部間の間隔(凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部の高さは、平均間隔が100nmの場合は、80〜500nmが好ましく、120〜400nmがより好ましく、150〜300nmが特に好ましい。凸部の高さが80nm以上であれば、反射率が十分低くなり、かつ反射率の波長依存性が少ない。凸部の高さが500nm以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
凸部の高さは、電子顕微鏡によって倍率30000倍で観察したときにおける、凸部の最頂部と、凸部間に存在する凹部の最底部との間の距離を測定した値である。
凸部のアスペクト比(凸部の高さ/凸部間の平均間隔)は、0.8〜5.0が好ましく、1.2〜4.0がより好ましく、1.5〜3.0が特に好ましい。凸部のアスペクト比が1.0以上であれば、反射率が十分に低くなる。凸部のアスペクト比が5.0以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
凸部の形状は、高さ方向と直交する方向の凸部断面積が最表面から深さ方向に連続的に増加する形状、すなわち、凸部の高さ方向の断面形状が、三角形、台形、釣鐘型等の形状が好ましい。
硬化樹脂層44の屈折率と基材フィルム42の屈折率との差は、0.2以下が好ましく、0.1以下がより好ましく、0.05以下が特に好ましい。屈折率差が0.2以下であれば、硬化樹脂層44と基材フィルム42との界面における反射が抑えられる。
表面に微細凹凸構造を有する場合、その表面が疎水性の材料から形成されていればロータス効果により超撥水性が得られ、その表面が親水性の材料から形成されていれば超親水性が得られることが知られている。
硬化樹脂層44の材料が疎水性の場合の微細凹凸構造の表面の水接触角は、90゜以上が好ましく、110゜以上がより好ましく、120゜以上が特に好ましい。水接触角が90゜以上であれば、水汚れが付着しにくくなるため、十分な防汚性が発揮される。また、水が付着しにくいため、着氷防止を期待できる。
硬化樹脂層44の材料が親水性の場合の微細凹凸構造の表面の水接触角は、25゜以下が好ましく、23゜以下がより好ましく、21゜以下が特に好ましい。水接触角が25゜以下であれば、表面に付着した汚れが水で洗い流され、また油汚れが付着しにくくなるため、十分な防汚性が発揮される。該水接触角は、硬化樹脂層44の吸水による微細凹凸構造の変形、それに伴う反射率の上昇を抑える点から、3゜以上が好ましい。
(用途)
物品40の用途としては、反射防止物品、防曇性物品、防汚性物品、撥水性物品、より具体的には、ディスプレー用反射防止、自動車窓、有機または無機エレクトロルミネッセンスの光取り出し効率向上部材、太陽電池部材等が挙げられる。
(作用効果)
以上説明した本発明の微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法にあっては、微細凹凸構造を表面に有するモールドを作成し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、微細凹凸構造を表面に有するモールドと基材との間に挟み、モールドと基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層を形成し、前記硬化性樹脂組成物層に対して活性エネルギー線を照射して硬化させる際、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に対して基材越しに活性エネルギー線を照射しつつ、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の樹脂層端部に対して、直接活性エネルギー線を照射し、モールド表面の樹脂残りを抑制することによって、外観品質の良好な微細凹凸構造を表面に有する物品を製造することができる。
<活性エネルギー線硬化性樹脂組成物>
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、少なくとも重合性化合物と重合開始剤とを含む。
(重合性化合物)
重合性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、単官能モノマー、多官能モノマーが挙げられる。
単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等の二官能性モノマー;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の三官能モノマー;コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能以上のモノマー;二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられ、エポキシ基を有するモノマーが特に好ましい。
オリゴマーまたは反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
(重合開始剤)
光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシフォスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化反応を利用する場合、熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。
重合開始剤の量は、重合性化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。重合開始剤の量が0.1質量部未満では、重合が進行しにくい。重合開始剤の量が10質量部を超えると、硬化膜が着色したり、機械強度が低下したりすることがある。
(他の成分)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、非反応性のポリマー、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物、帯電防止剤、防汚性を向上させるためのフッ素化合物等の添加剤、微粒子、少量の溶媒を含んでいてもよい。
非反応性のポリマーとしては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン等が挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケート等が挙げられる。
前述の通り硬化性樹脂を硬化させて製造する微細凹凸構造を表面に有する物品には、親水性や疎水性の材料を形成し得る硬化性樹脂がその用途に応じて適宜用いることができる。
(疎水性材料)
硬化樹脂層の微細凹凸構造の表面の水接触角を90°以上にするためには、疎水性の材料を形成し得る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、フッ素含有化合物またはシリコーン系化合物を含む組成物を用いることが好ましい。
フッ素含有化合物:
フッ素含有化合物としては、フッ素含有モノマー、フッ素含有シランカップリング剤、フッ素含有界面活性剤、フッ素含有ポリマー等が挙げられる。
フッ素含有モノマーとしては、フルオロアルキル基置換ビニルモノマー、フルオロアルキル基置換開環重合性モノマー等が挙げられる。
フルオロアルキル基置換ビニルモノマーとしては、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリレート、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリルアミド、フルオロアルキル基置換ビニルエーテル、フルオロアルキル基置換スチレン等が挙げられる。
フルオロアルキル基置換開環重合性モノマーとしては、フルオロアルキル基置換エポキシ化合物、フルオロアルキル基置換オキセタン化合物、フルオロアルキル基置換オキサゾリン化合物等が挙げられる。
フッ素含有シランカップリング剤としては、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリアセトキシシラン、ジメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
フッ素含有界面活性剤としては、フルオロアルキル基含有アニオン系界面活性剤、フルオロアルキル基含有カチオン系界面活性剤等が挙げられる。
フッ素含有ポリマーとしては、フルオロアルキル基含有モノマーの重合体、フルオロアルキル基含有モノマーとポリ(オキシアルキレン)基含有モノマーとの共重合体、フルオロアルキル基含有モノマーと架橋反応性基含有モノマーとの共重合体等が挙げられる。フッ素含有ポリマーは、共重合可能な他のモノマーとの共重合体であってもよい。
シリコーン系化合物:
シリコーン系化合物としては、(メタ)アクリル酸変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコーン系シランカップリング剤等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸変性シリコーンとしては、シリコーン(ジ)(メタ)アクリレート等が挙げられ、例えば、信越化学工業社製のシリコーンジアクリレート「x−22−164」「x−22−1602」等が好ましく用いられる。
(親水性材料)
硬化樹脂層の微細凹凸構造の表面の水接触角を25°以下にするためには、親水性の材料を形成し得る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、少なくとも親水性モノマーを含む組成物を用いることが好ましい。また、耐擦傷性や耐水性付与の観点からは、架橋可能な多官能モノマーを含むものがより好ましい。なお、親水性モノマーと架橋可能な多官能モノマーは、同一(すなわち、親水性多官能モノマー)であってもよい。さらに、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、その他のモノマーを含んでいてもよい。
親水性の材料を形成し得る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、4官能以上の多官能(メタ)アクリレート、2官能以上の親水性(メタ)アクリレート、必要に応じて単官能モノマーを含む組成物を用いることがより好ましい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物、ウレタンアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL220、EBECRYL1290、EBECRYL1290K、EBECRYL5129、EBECRYL8210、EBECRYL8301、KRM8200)、ポリエーテルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL81)、変性エポキシアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL3416)、ポリエステルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL450、EBECRYL657、EBECRYL800、EBECRYL810、EBECRYL811、EBECRYL812、EBECRYL1830、EBECRYL845、EBECRYL846、EBECRYL1870)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、5官能以上の多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。
2官能以上の親水性(メタ)アクリレートとしては、アロニックスM−240、アロニックスM260(東亞合成社製)、NKエステルAT−20E、NKエステルATM−35E(新中村化学社製)等の長鎖ポリエチレングリコールを有する多官能アクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエチレングリコールジメタクリレートにおいて、一分子内に存在するポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位の合計は、6〜40が好ましく、9〜30がより好ましく、12〜20が特に好ましい。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が6以上であれば、親水性が十分となり、防汚性が向上する。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が40以下であれば、4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとの相溶性が良好となり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が分離しにくい。
単官能モノマーとしては、親水性単官能モノマーが好ましい。
親水性単官能モノマーとしては、M−20G、M−90G、M−230G(新中村化学社製)等のエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等のエステル基に水酸基を有する単官能(メタ)アクリレート、単官能アクリルアミド類、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート等のカチオン性モノマー類等が挙げられる。
また、単官能モノマーとして、アクリロイルモルホリン、ビニルピロリドン等の粘度調整剤、物品本体への密着性を向上させるアクリロイルイソシアネート類等の密着性向上剤等を用いてもよい。
単官能モノマーは、1種または2種以上を(共)重合した低重合度の重合体として活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に0〜35質量部配合してもよい。低重合度の重合体としては、M−230G(新中村化学社製)等のエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート類と、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェートとの40/60共重合オリゴマー(MRCユニテック社製、MGポリマー)等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(陽極酸化アルミナの細孔)
陽極酸化アルミナの一部を削り、断面にプラチナを1分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用いて、加速電圧3.00kVの条件にて、断面を観察し、細孔の間隔、細孔の深さを測定した。
(外観評価)
外観評価は、LEDライト(朝日電機社製、DOP−XRE301)を使用し、暗室で目視確認することにより行った。
モールドについては、200mのフィルム製造終了後、全域にわたって樹脂幅痕の有無を評価した。フィルムについては、連続品の200m地点の1m分を目視確認し、樹脂幅痕の有無を評価した。
〔調製例〕
以下に示す割合で各成分を混合し、硬化性樹脂Aを調製した。
(硬化性樹脂A) コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物(大阪有機化学工業社製、TAS)の82質量部、
ポリエチレングリコールジアクリレート(東亞合成社製、アロニックスM260)の6質量部、
2−ヒドロキシエチルアクリレートの4質量部、
メチルアクリレートの8質量部、
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物(アクセル社製、INT−1856)の0.3質量部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、イルガキュア184)の1質量部、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、イルガキュア819)の0.1質量部。
〔モールドの作製〕
ロール状のアルミニウム基材(純度:99.99%)を用意した。
工程(a):
該アルミニウム基材について、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で6時間陽極酸化を行った
工程(b):
酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜を除去した。
工程(c):
該アルミニウム基材について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で20秒間陽極酸化を行った。
工程(d):
酸化皮膜が形成されたアルミニウム基材を、32℃の5質量%リン酸水溶液に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
工程(e):
前記工程(c)および工程(d)を合計で4回繰り返し、最後に工程(d)を行い、平均間隔:100nm、深さ:220nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたロール状モールドを得た。
工程(i):
モールドを、オプツールDSX(ダイキン化成品販売社製)の0.1質量%希釈溶液に浸漬した。
工程(j):
モールドを一晩風乾して、離型剤で処理されたロール状モールドaを得た。
[実施例1]
図1に示す製造装置を用いて微細凹凸構造を表面に有する物品の製造を行った。
なお、モールド20としては、先に作製した、離型剤で処理されたロール状のモールドを用いた。
また、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物としては、前記の樹脂組成物Aを用いた。
また、基材フィルム42としては、アクリルフィルム(三菱レイヨン社製、商品名:アクリプレン(登録商標)HBK003、厚さ:100μm、屈折率:1.49、動的粘弾性の損失係数tanδ:104℃、全光線透過率:92.6%、ヘイズ:0.63%、波長365nmの光の透過率:91%)を用いた。
帯状の基材フィルム42を、ロール状モールド20の回転に同期させてロール状モールド20の表面に沿って移動させつつ、ロール状モールド20と基材フィルム42との間に、タンク22から硬化性樹脂38を供給した。ついで、ロール状モールド20とニップロール14との間で、基材フィルム42および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をニップし、基材フィルム42とロール状モールド20との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物38を均一に行渡らせると同時に、ロール状モールド20の表面の微細凹凸構造の凹部内に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物38を充填した。
さらに、第1の活性エネルギー線照射装置28より、基材フィルム42側から積算光量1100mJ/cmの紫外線を、硬化性樹脂38に照射し、引き続き、フィルムの両側に取り付けられた第2の活性エネルギー線照射装置29より、硬化性樹脂38に対して直接積算光量550mJ/cmの紫外線を照射し、硬化性樹脂38を硬化させることによって、基材フィルム42の表面に硬化樹脂層44を形成した。次いで、剥離ロール30により、表面に硬化樹脂層が形成されたフィルムをロール状モールド20から剥離した。
200mの基材フィルム42の表面に硬化樹脂層44を形成した後、タンク22からの硬化性樹脂38の供給を停止し、その後第1の活性エネルギー線照射装置28および第2の活性エネルギー線照射装置29による紫外線の照射を停止した。こうして、図2に示すように、モールドの表面構造が転写された、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物38の硬化物からなる硬化樹脂層44が基材フィルム42上に連続して形成されたフィルム40を得た。
このようにして得られたフィルムの表面を目視にて観察したところ、製造時に樹脂層端部となっていた箇所に樹脂幅痕は認められなかった。また、製造開始時と終了時の、樹脂層幅が連続的に変化するような形状の樹脂幅痕も確認されなかった。
また、フィルム製造後のモールド表面について目視にて観察したところ、樹脂幅痕は確認されなかった。
[比較例1]
第2の活性エネルギー線照射装置29を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様方法でフィルム40を得た。
フィルム作製後の硬化樹脂層44の表面を目視で観察したところ、製造開始時と終了時の、樹脂層幅が連続的に変化するような形状の樹脂幅痕は確認されなかったが、製造時に樹脂層端部となっていた箇所に樹脂幅痕が認められた。
また、フィルム製造後のモールド表面について目視にて観察したところ、製造終了時にあたる樹脂層幅が連続的に変化するような筋状の樹脂幅痕が確認され、更に製造時に樹脂層端部となっていた箇所にも樹脂幅痕が認められた。
本発明の、微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法は、反射防止物品、防曇性物品、防汚性物品、撥水性物品の効率的な量産にとって有用である。
10 アルミニウム基材
12 細孔(微細凹凸構造)
14 酸化皮膜
16 細孔発生点
18 モールド
20 ロール状モールド
24 空気圧シリンダ
26 ニップロール
28 第1の活性エネルギー線照射装置
29 第2の活性エネルギー線照射装置
30 剥離ロール
38 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物
40 物品
42 基材フィルム
44 硬化樹脂層
46 凸部(微細凹凸構造)

Claims (5)

  1. 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、微細凹凸構造を表面に有するモールドと基材との間に挟み、前記モールドと前記基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層を形成し、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層に対して前記基材を通して活性エネルギー線を照射して前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて、微細凹凸構造が転写された硬化樹脂層を前記基材の表面に形成する微細凹凸構造を表面に有する物品の製造方法であって、
    前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層に対して前記基材を通して活性エネルギー線を照射しながら、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層の端部に対して、直接活性エネルギー線を照射する直接照射工程を有する物品の製造方法。
  2. 前記直接照射工程が、少なくとも物品の製造終了時期に行われることを特徴とする、請求項1に記載の物品の製造方法。
  3. 前記直接照射工程において、前記モールドおよび前記基材の側方から、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層の端部に対して前記活性エネルギー線が照射されることを特徴とする、請求項1または2に記載の物品の製造方法。
  4. 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、微細凹凸構造を表面に有するモールドと基材との間に挟み、前記モールドと前記基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層を形成し、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層に対して前記基材を通して活性エネルギー線を照射して前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させて、微細凹凸構造が転写された硬化樹脂層を前記基材の表面に形成する微細凹凸構造を表面に有する物品を製造する装置であって、
    前記モールド表面に沿った基材越しに活性エネルギー線を照射する第1の照射部と、
    前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層の端部に対して、直接活性エネルギー線を照射する第2の照射部を備えた、物品の製造装置。
  5. 前記第2の照射部は、前記モールドおよび前記基材の側方から、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物層の端部に対して前記活性エネルギー線が照射する、請求項4に記載の物品の製造方法。
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JP7407654B2 (ja) 2020-05-07 2024-01-04 信越ポリマー株式会社 光制御フィルターの製造方法

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