JP2019127597A - めっき構造体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】3価クロムめっき液を用いて、クロムめっき層と、その上の膜厚20nm以上の耐食性の高い酸化クロム層とを容易に形成できるようにする。【解決手段】3価クロムめっき液を用いて電流密度3A/dm2以上で電解処理することにより、クロムめっき層を形成した後、3価クロムめっき液を用いて電流密度0.05〜2.5A/dm2に下げて電解処理することにより、クロムめっき層の表面に膜厚20nm以上の酸化クロム層を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、クロムめっき層を含むめっき構造体の製造方法に関するものである。
特許文献1には、塩基性硫酸クロムを金属供給源として形成した膜厚0.05〜2.5μmの3価クロムめっき層と、この3価クロムめっき層の上に陰極酸性電解クロメート処理により形成した膜厚が7nm以上のクロム化合物の皮膜とを備えたクロムめっき部品が開示されている。陰極酸性電解クロメート処理は、重クロム酸塩、クロム酸塩、無水クロム酸のうち少なくともいずれか一つを20〜40g/l含有するpH1.0〜5.5、温度20〜70℃の浴中にて0.1〜1.0A/dm2の電流密度で10〜90秒間の条件にて処理するとしている。
このように、陰極酸性電解クロメート処理には、3価クロムめっき層のめっき液とは全く別の、6価クロムを含有する電解液を用いる必要があった。6価クロムには環境汚染の問題がある。
また、陰極酸性電解クロメート処理により形成されるクロム化合物の皮膜の膜厚について、特許文献1には「図2は・・・同図から明らかなように、クロム化合物皮膜7の膜厚が7nmよりも大きくなる領域、特に9nmよりも大きくなる領域において各元素の組成(at%)が安定化する傾向にある」と記載されているものの、図2に示された膜厚は12nmまでである。よって、膜厚が例えば20nm以上といった厚いものまでは想定されておらず、形成も困難と考えられる。
近年、いわゆるブルーめっきのように、金属色の色調を変化させためっきが嗜好されているが、本発明者の検討によると、前記膜厚12nm程度までのクロム化合物皮膜では、クロムめっき槽の色調を変化させることはできない。
特開2009−74168号公報
そこで、本発明の第1の目的は、既設のクロムめっき層の表面に、3価クロムめっき液を用いて膜厚20nm以上の耐食性の高い酸化クロム層を容易に形成できるようにすることにある。
第2の目的は、3価クロムめっき液を用いて、クロムめっき層と、その上の膜厚20nm以上の耐食性の高い酸化クロム層とを容易に形成できるようにすることにある。
第3の目的は、酸化クロム層によりめっき構造体の外観の色調を変化させられるようにすることにある。
(1)第1の目的のため、第1の発明のめっき構造体の製造方法は、3価クロムめっき液を用いて電流密度0.05〜2.5A/dm2で電解処理することにより、既設のクロムめっき層の表面に膜厚20nm以上の酸化クロム層を形成することを特徴とする。
(2)第1の目的のため、第2の発明のめっき構造体の製造方法は、3価クロムめっき液を用いて電流密度3A/dm2以上で電解処理することにより、クロムめっき層を形成した後、3価クロムめっき液を用いて電流密度0.05〜2.5A/dm2に下げて電解処理することにより、クロムめっき層の表面に膜厚20nm以上の酸化クロム層を形成することを特徴とする。
なお、一般に、6価クロム化成処理をクロメート処理といい、同処理により形成される酸化クロム層をクロメート層というので、本発明で3価クロム電解処理により形成される酸化クロム層をクロメート層とはいわないことにする。
[作用]
これまで、3価クロム電解処理で酸化クロム層を形成することは知られていないが、それが本発明により可能となった。3価クロムめっき液にて電流密度0.05〜2.5A/dm2で電解処理することにより、クロムめっき層の表面に酸化クロム層が形成されるメカニズムは、酸化還元電位に関係していると思われるが、詳細は不明である。
なお、後述するサンプル1のとおり、ニッケルめっき層の表面に、同じく3価クロムめっき液にて電解処理をしても、電流密度にかかわらず酸化クロム層は形成されなかったため、クロムめっき層の存在は酸化クロム層の形成に必須と考えられる。
現行の6価クロム化成処理(クロメート処理)又は3価クロム化成処理では、酸化クロム層の成膜速度が遅い、膜厚を厚くすることが難しい、めっき浴とは別の化成処理浴が必要である、6価クロムの場合にはCr6+に起因する黄味が発生する、等の問題がある。
これに対して、本発明には次の利点がある。
・前記化成処理よりも、酸化クロム層の成膜速度が速く、膜厚20nm以上にすることが容易である。
・第3の目的のため、酸化クロム層の膜厚を30nm以上にして干渉色を呈するようにし、めっき構造体の外観の色調を変化させることができる。酸化クロム層の膜厚を30nm以上において変えることにより、干渉色を変えることができる。酸化クロム層を、膜厚45〜90nmで青色の干渉色を呈するものとすることにより、いわゆるブルーめっきのめっき構造体とすることができる。
・クロムめっき層と、酸化クロム層とを、1つのめっき浴(3価クロムめっき液)で続けて電解処理して形成できるようになる。
・Cr6+を使用しないため、黄味が発生しない。
請求項1に係る発明によれば、既設のクロムめっき層の表面に、3価クロムめっき液を用いて膜厚20nm以上の耐食性の高い酸化クロム層を容易に形成することができる。
請求項2に係る発明によれば、3価クロムめっき液を用いて、クロムめっき層と、その上の膜厚20nm以上の耐食性の高い酸化クロム層とを続けて容易に形成することができる。
請求項3に係る発明によれば、酸化クロム層によりめっき構造体の外観の色調を変化させることができる。
請求項4に係る発明によれば、いわゆるブルーめっきのめっき構造体とすることができる。
図1(a)はサンプル1、(b)はサンプル2、(c)は実施例1,2、(d)は実施例3でそれぞれ製造しためっき構造体の模式的な断面図である。 図2(a)はハルセル試験を示す斜視図、(b)はサンプル1、(c)はサンプル2、(d)は実施例1、(e)は実施例2のそれぞれハルセル板を用いためっき構造体の正面図である。 図3は実施例1のXPSデータを示すグラフ図である。 図4は実施例2のXPSデータを示すグラフ図である。 図5は実施例1の酸化クロム層の膜厚と反射波長との関係を示すグラフ図である。 図6は実施例1及び2の酸化クロム層(並びに比較例の6価クロメート層)の積算電流値と膜厚との関係を示すグラフ図である。 図7は比較例の走査型電子顕微鏡写真である。
1.被処理物の基材
基材の材料は、特に限定されず、金属、樹脂(表面導電化)等を例示できる。樹脂基材の場合、樹脂は熱可塑性でも熱硬化性でもよく、特に限定されないが、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、PC/ABS樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂等を例示できる。
2.下地めっき層
クロムめっき層の下の下地めっき層は、必須ではなく、特に限定されないが、ニッケルめっき層が好ましい。ニッケルめっき層は、クロムめっき層を美感保持するとともに、電気化学的に防食するからである。ニッケルめっき層の具体的構成は、特に限定されず、1層でも複数層でもよい。
基材が樹脂基材である場合、下地めっき層はニッケルめっき層の下に銅めっき層を含むものが好ましい。銅めっき層は、延性に富むため樹脂基材によく追従するからである。
3.3価クロムめっき液
3価クロムめっき液に使用する3価クロム化合物としては、特に限定されないが、硫酸クロム(Cr2(SO43)、クロムミョウバン(CrK(SO42)、硝酸クロム(Cr(NO33)、塩化クロム(CrCl3)、酢酸クロム(Cr(CH3COO)3)等を例示できる。
3価クロムめっき液は、クロムめっき層の形成時と酸化クロム層の形成時とで、同じものを続けて用いること、あるいは酸化クロム層の形成時にはクロムめっき層の形成時の組成に材料を加える程度の差異があるものを用いることが効率上好ましいが、別々に調製した3価クロムめっき液を用いてもよい。
4.クロムめっき層
クロムめっき層の種類は、特に限定されないが、酸化クロム層による干渉色を期待する場合には、その下の色が濃いほど干渉色が鮮明に見て取れる点で、黒色クロムめっき層であることが好ましい。
クロムめっき層の膜厚は、特に限定されないが、耐久性の点で0.1μm以上が好ましく、膜内部応力の増大を防ぐ点で2μm以下が好ましく、1.5μm以下がより好ましい。
5.酸化クロム層
酸化クロム層の膜厚の上限は、特にないが、敢えていえば、処理時間を過長にしない点で200nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましい。
6.めっき構造体の用途
めっき構造体の用途は、特に限定されないが、車両用加飾部品(ラジエータグリル、フェンダ、ガーニッシュ、ホイールキャップ、バックパネル、エアスポイラー、エンブレム等)、電気製品(携帯電話、スマートホン、携帯情報端末、ゲーム機等)用筐体部品等を例示できる。
実施例の前に、図1(a)及び図2(b)に示すハルセル板を用いためっき構造体[サンプル1]と、図1(b)及び図2(c)に示すハルセル板を用いためっき構造体[サンプル2]とを、次の方法で試験的に作製した。
[サンプル1]
(1)ハルセル板の前処理と光沢ニッケルめっき層の形成
真鍮製のハルセル板(寸法100mm×75mm×0.3mm)を前処理(脱脂、酸洗、水洗等)した。
ハルセル板の表面に、下地めっき層として光沢ニッケルめっき層を形成した。下地めっきは、ニッケルめっき槽にニッケルめっき液を入れ、ハルセル板と陽極板を平行にして浸し、電解めっきすることにより行った。
(2)新手法による酸化クロム層の形成の試み
前記光沢ニッケルめっき層の表面に、3価クロムめっき液による電解処理を低い電流密度で行うという新手法により、酸化クロム層の形成を試みた。具体的にはハルセル試験を利用することとし、図2(a)に示すように、前記ニッケルめっき槽から取り出したハルセル板1をハルセル槽4(267ml)の斜壁に陰極としてセットし、その対峙壁に陽極板2をセットし、槽内に以下の成分を配合した水溶液からなる3価クロムめっき液3(3価クロム化合物はトライクロムアジチブ中に含まれる塩基性硫酸クロムである。)を入れ、浴温35℃、電流2A、処理時間300秒の処理条件で、電解めっきすることにより行った。
ホウ酸 10g/L
アトテック社製トライクロムアジチブ 400g/L
アトテック社製トライクロムスタビライザー 90ml/L
アトテック社製トライクロムコレクター 3ml/L
アトテック社製トライクロムレギュレーター 3.5ml/L
アトテック社製トライクロムグラファイトメイキャップ 90ml/L
塩酸を用いてpH値を3.2に調整した
ハルセル試験では、陽極板との極間距離が短いハルセル板の高電部1aで電流密度が高くなり、陽極板との極間距離が長いハルセル板の低電部1bで電流密度が低くなる。図2(b)はサンプル1を示し、ハルセル板の高電部1aの縁から複数の分析箇所までの各距離(mm)を記入している。表1に、この各分析箇所における電流密度と析出物を示す。電流密度10〜3A/dm2の分析箇所も、電流密度2〜0.1A/dm2の分析箇所も、目視では下の光沢ニッケルめっき層が黒色めっきで覆われ、分析では金属クロム(黒色クロムめっき層)が析出していた。すなわち、直下の層が光沢ニッケルめっき層である場合には、新手法による酸化クロム層の形成の試みは叶わなかった。
[サンプル2]
(1)ハルセル板の前処理と光沢ニッケルめっき層の形成
サンプル1の(1)と同様である。
(2)3価クロムめっきによる黒色クロムめっき層の形成
光沢ニッケルめっき層の表面に、3価クロムめっきにより膜厚0.3μmの黒色クロムめっき層を形成した。3価クロムめっきは、クロムめっき槽に3価クロムめっき液(サンプル1の(2)で用いた液組成と同じ。)を入れ、ハルセル板と陽極板とを平行にして浸し、浴温35℃、電流2A、めっき時間150秒の処理条件で、電解めっきすることにより行った。
(3)新手法による酸化クロム層の形成
前記黒色クロムめっき層の表面に、3価クロムめっき液による電解処理を低い電流密度で行うという新手法により、酸化クロム層を形成した。具体的にはハルセル試験を利用することとし、図2(a)に示すように、前記クロムめっき槽から取り出したハルセル板1を、ハルセル槽4(267ml)の斜壁に陰極としてセットし、その対峙壁に陽極板2をセットし、槽内に3価クロムめっき液3(サンプル1の(2)で用いた液組成と同じ。)を入れ、浴温35℃、電流2A、処理時間300秒の処理条件で、電解めっきすることにより行った。
図2(c)はサンプル2を示し、ハルセル板の高電部1aの縁から複数の分析箇所までの各距離(mm)を記入している。表2に、この各分析箇所における電流密度と析出物を示す。電流密度10〜3A/dm2の分析箇所は、目視では下の黒色クロムめっき層の色調に変化がなく、分析では金属クロム(黒色クロムめっき層)が析出していた。電流密度2〜0.1A/dm2の分析箇所は、目視では下の黒色クロムめっき層の色調が変化し、分析では酸化クロムが析出していた。
[実施例1,2]
次に、図1(c)及び図2(d)に示すハルセル板を用いためっき構造体[実施例1]と、図1(c)及び図2(e)に示すハルセル板を用いためっき構造体[実施例2]を、次の方法で作製した。
(1)ハルセル板の前処理と光沢ニッケルめっき層の形成
サンプル1の(1)と同様である。
(2)3価クロムめっきによる黒色クロムめっき層の形成
サンプル2の(2)と同様である。
(3)新手法による酸化クロム層の形成
実施例1は、電流0.5A、処理時間120秒と処理条件を変えた点においてサンプル2と相違し、その他はサンプル2と同様に行った。図2(d)は実施例1を示し、ハルセル板の高電部1aの縁から複数の分析箇所までの各距離(mm)を記入している。
実施例2は、電流0.5A、処理時間30秒と処理条件を変えた点においてサンプル2と相違し、その他はサンプル2と同様に行った。図2(e)は実施例2を示し、ハルセル板の高電部1aの縁から複数の分析箇所までの各距離(mm)を記入している。
次の表3に、実施例1,2の各分析箇所における電流密度を示す。
実施例1,2の各分析箇所に存在する元素(特にOとCrとC)を、XPS(X線光電分光法)により分析した。詳しくは、X線スポットサイズ400μm、エッチングレート0.09nm/秒×60秒にて深さ5.4nmのエッチングをする毎に元素の分析を行い、トータルで約160nm(5.4nm×30回)のエッチングをした。図3に実施例1の各分析箇所のXPSデータを示し、図4に実施例2の各分析箇所のXPSデータを示す。このXPSデータから、実施例1,2の各分析箇所には酸化クロムが析出し、図1(a)に示すようなめっき構造体ができたこと、各分析箇所の酸化クロム層の膜厚は表3に記載した程度であることが分かる。
また、析出した酸化クロム層自体は透明であり、表3に示すとおり、膜厚が20nmでは下の黒色クロムめっき層の色調に変化はなかった。しかし、膜厚が30→50→60→110→140nmと変わるに伴い、めっき構造体の外観の色調が褐色→青→薄青→黄→赤と変化して見えるようになったことから、酸化クロム層の両面での反射光の干渉により発色していると考えられる。
この観察される色調のLab色度を色差計を用いて測定した。さらに、大塚電子社製の分光光度計MCPD3700を用いて、反射波長を測定した(リファレンス:AL、垂直入射(入射角θ=0°))。これらの測定結果を表3に示す。また、図5に実施例1の酸化クロム層の膜厚と反射波長との関係を示す。この結果から、電流密度を2.5〜0.05A/dm2の範囲で制御して酸化クロム層の膜厚を変えることにより、任意の干渉色を容易に得られること、特に近年嗜好されているいわゆるブルーめっきを容易に実現できることが分かる。
また、ブラッグの反射式
λpeak=2d(neff 2-sin2θ)0.5
(θ:入射角、λpeak:反射波長、d:面間隔、neff:屈折率)
と、垂直入射(θ=0°)の測定結果より、
λpeak(nm)=5.9149×膜厚(nm)
酸化クロム層の屈折率neff=2.96
と算出される。
また、図6に、実施例1,2の各分析箇所の酸化クロム層の積算電流値と膜厚との関係を示すとともに、比較例として現行の6価クロム化成処理によりクロメート層を形成する際の積算電流値と膜厚との関係(例)を示す。また、図7にクロメート層を形成した比較例の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す。これらから、現行の6価クロメート処理では、成膜速度が遅く、クロメート層が薄いのに対して、実施例の新手法では、成膜速度が速く、酸化クロム層が厚いことが分かる。
[実施例3]
図1(d)に示す樹脂基材を用いためっき構造体[実施例3]を、次の方法で作製した。
(1)樹脂基材の前処理と光沢ニッケルめっき層の形成
ABS樹脂製の板状の樹脂基材を前処理(脱脂、酸処理、水洗等)した。
樹脂基材の表面に、無電解ニッケルめっき層を形成した。
無電解ニッケルめっき層の上に、下地めっき層として、銅めっき層、半光沢ニッケルめっき層、光沢ニッケルめっき層、及びマイクロポーラス構造をもつ腐食分散ニッケルめっき層をこの順で形成した。下地めっきは、各めっき槽に各金属めっき液を入れ、樹脂基材と陽極板を平行にして浸し、電解めっきすることにより行った。
(2)3価クロムめっきによる黒色クロムめっき層の形成
腐食分散ニッケルめっき層の表面に、3価クロムめっきにより膜厚0.3μmの黒色クロムめっき層を形成した。3価クロムめっきは、クロムめっき槽に3価クロムめっき液(サンプル1の(2)で用いた液組成と同じ。)を入れ、樹脂基材と陽極板とを平行にして浸し、浴温35℃、電流2A、めっき時間150秒の処理条件で、電解めっきすることにより行った。
(3)新手法による酸化クロム層の形成
続いて、黒色クロムめっき層の表面に、電解処理により膜厚70nmの酸化クロム槽を形成した。電解処理は、上記(2)のクロムめっき槽の3価クロムめっき液に樹脂基材と陽極板とを平行にして浸したまま、浴温35℃、電流0.5Aに下げ、めっき時間120秒の処理条件で、前記電解めっきと同様の電解処理を続行することにより行った。
作製した実施例3のめっき構造体の耐食性を評価するため、CASS試験(JIS H 8502)を次の条件で行った。
試験液:塩化ナトリウム40g/L、塩化第二銅0.205g/L、pH値3.0
飽和器温度 63℃
試験槽温度 50℃
噴霧量 1.5ml/80cm2/h
圧縮空気圧力 0.98MPa
試料設置角度 30°
試験時間 80時間
CASS試験終了後、レイティングナンバーは8以上であり、目視による腐食はみられなかった。
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することができる。
1 ハルセル板
2 陽極板
3 3価クロムめっき液
4 ハルセル槽

Claims (6)

  1. 3価クロムめっき液を用いて電流密度0.05〜2.5A/dm2で電解処理することにより、既設のクロムめっき層の表面に膜厚20nm以上の酸化クロム層を形成するめっき構造体の製造方法。
  2. 3価クロムめっき液を用いて電流密度3A/dm2以上で電解処理することにより、クロムめっき層を形成した後、3価クロムめっき液を用いて電流密度0.05〜2.5A/dm2に下げて電解処理することにより、クロムめっき層の表面に膜厚20nm以上の酸化クロム層を形成するめっき構造体の製造方法。
  3. 酸化クロム層は、膜厚30nm以上である請求項1又は2記載のめっき構造体の製造方法。
  4. 酸化クロム層は、膜厚45〜90nmで青色の干渉色を呈するものである請求項1又は2記載のめっき構造体の製造方法。
  5. クロムめっき層は黒色クロムめっき層である請求項1〜4のいずれか一項に記載のめっき構造体の製造方法。
  6. クロムめっき層の膜厚は0.1〜2μmである請求項1〜5のいずれか一項に記載のめっき構造体の製造方法。
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