JP2009209419A - 色調に優れた電気Znめっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】めっき原板の表面性状に起因するめっき表面の不均一な外観が解消されており、均質性の高い美麗な明るい外観を有する電気Znめっき鋼板を提供する。
【解決手段】3価のCrイオンを含有する硫酸酸性Znめっき浴で電気めっきを施すことにより、明度L値が85以上、60°鏡面光沢度が80以上のめっき表面とした電気Znめっき鋼板。この電気Znめっき鋼板は、3価のCrイオンを10〜800ppm含有し、pH:0.5〜3.5であり、好ましくはZnイオン含有量が50〜150g/Lである硫酸酸性Znめっき浴中に鋼板を浸漬し、電流密度10〜130A/dm2にて鋼板表面に金属Znを析出させる手法により製造することができる。
【選択図】図3
【解決手段】3価のCrイオンを含有する硫酸酸性Znめっき浴で電気めっきを施すことにより、明度L値が85以上、60°鏡面光沢度が80以上のめっき表面とした電気Znめっき鋼板。この電気Znめっき鋼板は、3価のCrイオンを10〜800ppm含有し、pH:0.5〜3.5であり、好ましくはZnイオン含有量が50〜150g/Lである硫酸酸性Znめっき浴中に鋼板を浸漬し、電流密度10〜130A/dm2にて鋼板表面に金属Znを析出させる手法により製造することができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、めっき表面が均質性の高い美麗な明るい外観を呈する電気Znめっき鋼板、およびその製造方法に関する。
Znめっき鋼板は、Znめっき皮膜が素地鋼板に対して犠牲防食作用を有し、優れた耐食性を発揮することから、自動車や家庭用電器製品等の外板材あるいは建築材料等として広く使用されている。Znめっき鋼板を製造するために汎用されている方法としては、溶融Znめっき浴中に鋼板を浸漬走行させることによって鋼板表面にZnめっき層を形成する溶融Znめっき法と、Znイオンを含む酸性溶液中に鋼板を浸漬して電気化学反応により鋼板表面にZnめっき皮膜を析出させる電気Znめっき法がある。
これまで電気Znめっきは、美麗で均質性が高い塗装外観が得られるという理由で、塗装下地用のめっき鋼板に用いられてきた。ところが、Znめっき鋼板にクロムフリー化成処理や透明樹脂コーティングによる化成処理といった「後処理」を施して耐食性、耐指紋性、潤滑性等を高めた特殊化成処理Znめっき鋼板を、裸(未塗装)のままで使用したいという風潮が高まり、それに伴って電気Znめっき鋼板の表面品質に対する需要者の要求は厳しくなりつつある。従来の電気Znめっき鋼板では昨今の厳しい要求に十分対応できないのが実情である。特に家電用途では、後処理が施された裸のZnめっき鋼板を組み立て加工して、そのまま使用することが多くなっている。それに伴い外観品質への要求は益々厳しくなり、これまで見過ごされてきた微小な外観不良でも無視できないケースが増大している。
電気Znめっき鋼板は、元来、めっき表面(未塗装の状態)の外観が不均一になりやすく、特に鋼板の圧延方向に平行に発生する筋状模様は目視によって容易に認識され、不快感を与える。このため、筋状模様を目立たなくする技術、望ましくは全く発生しないようにする技術の確立が重要となっている。また、最近は、クロムフリー化成処理や透明樹脂コーティングによる化成処理など無色透明の化成処理の普及に伴い、電気Znめっき鋼板の色調は白色に近いものが要求されており、明度L値にすると85以上が良いとされる用途が多い。
筋状模様には、直線状のもの、V字状のもの、木目状のものなど様々な形態があり、1本の筋の形状についても、幅が0.1mm程度から数mm程度、長さが数mmから1mを超えるものまでと様々である。また、筋状模様の見え方にも、ぼんやりしたものから鮮明に目立つものまであり、筋の発生が激しい場合には、数mm間隔で発生することもある。このような筋状模様の内部では、周囲の正常部と比較して、電析したZn結晶が粗大化しているか、または配向性が異なっている。このため入射した光線の反射量または反射方向が筋状模様部と正常部とで異なることによって色調や光沢にむらが生じ、これが表面外観の不均一として認識される。
このような、Zn結晶のサイズや配向性が鋼板表面の部位により異なる原因の多くは、めっき原板である鋼板の表面性状にあると考えられる。具体的には、鋼中成分であるSi、Mnなどの偏析や焼鈍後の表面濃化の不均一、酸化膜厚みの不均一などが挙げられる。しかしながら、工業的規模でめっき原板の表面性状を完全に均一化することは極めて困難である。このため、めっき方法を工夫することにより、めっき原板の影響を軽減し電気Znめっき鋼板の表面性状を改善しようという試みが種々提案されている。
例えば、特許文献1には電気Znめっきの初期の段階で高電流密度とすることなどにより、Zn結晶の核発生を均一化する方法が開示されている。特許文献2にはZnめっきを行う前にNiめっきなどの下地めっきを施す方法が開示されている。特許文献3にはめっき浴に有機化合物を添加する方法が開示されている。特許文献4にはめっき浴にSn、In、Bi、Sbなどの金属元素を添加する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1の方法は、めっき原板の影響を排除する効果が小さく、電気Znめっき鋼板の表面性状を十分に改善できるものではなかった。特許文献2の方法は、下地めっき層の厚さが非常に薄いため、めっき原板の表面性状が悪い場合には原板の影響を隠蔽しきれないという問題がある。特許文献3の方法では、表面外観を均一化する効果が小さく、めっき密着性も劣化するため、意匠性および耐久性の面でさらなる改善が望まれる。特許文献4の方法では、浴中に添加した金属元素によりめっき原板の影響を十分に排除することが難しく、表面外観を均一化する効果は満足できるレベルではない。
本発明は、通常のめっき原板を使用した場合でも、鋼板に起因するめっき表面の不均一化の影響が解消される新たな電気Znめっき技術により、均質性の高い美麗な明るい外観を有する電気Znめっき鋼板を提供しようというものである。
上記目的を達成するために、本発明では、3価のCrイオンを含有する硫酸酸性Znめっき浴で電気めっきを施すことにより、明度L値が85以上、60°鏡面光沢度が80以上のめっき表面とした電気Znめっき鋼板が提供される。また、このめっき表面の上にクロムフリー化成処理皮膜を有し、明度L値が70以上、60°鏡面光沢度が45以上の表面外観が維持されている化成処理された電気Znめっき鋼板が提供される。さらに、上記めっき表面の上に透明性の樹脂コーティングによる化成処理皮膜を有し、明度L値が70以上、60°鏡面光沢度が45以上の表面外観を呈する化成処理された電気Znめっき鋼板が提供される。
ここで、「明度L値」はJIS Z8729に記載されるCIE1976明度L*に相当するものであり、JIS Z8722に準拠した分光測光器により測定することができる。「60°鏡面光沢度」はJIS Z8741に記載される鏡面光沢度Gs(60°)に相当する指標である。
上記の電気Znめっき鋼板の製造方法として、本発明では、3価のCrイオンを10〜800ppm含有し、pH:0.5〜3.5であり、好ましくはZnイオン含有量が50〜150g/Lである硫酸酸性Znめっき浴中に鋼板を浸漬し、電流密度10〜130A/dm2にて鋼板表面に金属Znを析出させる色調に優れた電気Znめっき鋼板の製造方法が提供される。浴中には硫酸ナトリウムを50〜150g/L含有させることができる。
本発明によれば、従来一般的な汎用鋼板をめっき原板に使用しても、その鋼板の表面性状に依存することなく、めっき外観の均質性に優れた電気Znめっき鋼板を安定して得ることが可能になった。この電気Znめっき鋼板は明るい美麗なめっき外観を呈するものであり、特に家電製品や建材など意匠性が要求される分野でその表面肌を活かした無塗装での活用が期待される。
発明者らは種々検討の結果、電気Znめっきにおいて鋼板表面に析出するZn結晶の核発生数を増大させると、板状に成長する個々のZn結晶が鋼板表面を緻密に覆い、より平滑性の高いめっき層表面が得られることがわかった。また、めっき鋼板表面において、板状に析出するZn結晶の広面に相当する(0002)結晶面の配向度が高くなることも、X線回折装置を用いた配向指数算出方法(Willson式)により確かめられている。このような表面形態によって、明るいめっき外観が得られるとともに、めっき原板の表面性状の影響が隠蔽されて、欠陥が目立たない極めて均質性の高いめっき外観が得られることが確認された。さらに、核発生数の増大はZn結晶の粗大成長を抑制する上で有効であり、このことも筋状模様など不均一な外観を抑止する上で有効に機能していると考えられる。
発明者らの研究によれば、硫酸酸性Znめっき浴を用いた電気Znめっきにおいて、めっき浴中に3価のCrイオンを添加すると、鋼板表面に析出するZn結晶の核発生数を増大させることが可能になることがわかった。
Znの結晶形態や配向性は、一般的にめっき過電圧により変化することが知られている。Ni、Co、Mn等のイオンは、めっき過電圧にほとんど影響を及ぼさない。これらのイオンをめっき浴に添加しても、Zn結晶の核発生数は増大しない。3価のFeイオンもめっき過電圧にほとんど影響を及ぼさない。しかしZnの電析形態に影響を及ぼし、結晶形状が角状となってめっきの色調を低下させる。
一方、3価のCrイオンを硫酸酸性Znめっき浴に添加すると、Zn析出時の陰極電位が無添加浴に比べて貴側にシフトするため、めっき過電圧が小さくなり、その結果、鋼板表面でのZn結晶の核発生数が増大するものと考えられる。Zn結晶の核発生数が増大すると個々のZn結晶が鋼板表面上に緻密に形成され、めっき層表面の平滑性が高くなると考えられる。これによってめっき面に入射した光のランダムな散乱が抑制され、明るい色調のめっき外観(白色外観)が得られるものと考えられる。また、このような緻密なZn結晶の析出形態によってめっき原板の表面性状が隠蔽されやすくなり、均質性の高いめっき外観が得られるものと考えられる。
また、3価のCrイオンが浴中に存在すると、Znの電析中に非常に微量のCrがZn結晶の成長点に共析して、通常のZn成長が妨害され、Zn結晶の粗大成長が抑制される。このことも均質性の高いめっき外観の形成に寄与していると考えられる。
図1、図2に、3価のCrイオンを含有しないZnめっき浴を用いて製造した従来の電気Znめっき鋼板の、めっき層表面のSEM写真を例示する。また、図3、図4に、3価のCrイオンを含有するZnめっき浴を用いて製造した本発明例の電気Znめっき鋼板の、めっき層表面のSEM写真を例示する。
図1、図2の従来例では、個々の板状Zn結晶は、その広面(六方晶の(0002)面に対応する表面)が種々の方向を向いて、比較的ランダムに配向しており、めっき表面の凹凸が大きい状態となっている。このため、鋼板表面に入射する光が散乱されやすく、明度の低いめっき外観となる。
これに対し図3、図4の本発明例では、個々の板状Zn結晶が緻密に並んだめっき表面の形態を呈しており、めっき表面の凹凸が平滑化されていることがわかる。また、X線回折装置を用いた解析によれば、Zn結晶の広面に相当する(0002)結晶面の、めっき鋼板表面における配向度が、従来例(図1、図2)より高くなっていることが確かめられた。これによって明度が高く、光沢感にも優れた美麗なめっき外観が得られる。これらの写真のものは、明度L値が85以上、60°鏡面光沢度が80以上の表面外観を呈している。
めっき原板としては、従来から電気Znめっきの基材に使用されている一般的な鋼板が広く適用できる。例えばJIS G3313に規定される鋼帯(すなわちJIS G3101、G3113、G3131、G3134、G3135、G3134、G3141による鋼帯)が好適に使用できる。
硫酸酸性Znめっき浴は、一般的な電気めっき浴の組成をベースとして、これに3価のCrイオンを添加した組成とすればよい。3価のCrイオンは、例えば硫酸クロムによって添加することができる。種々検討の結果、硫酸酸性Znめっき浴中の3価のCrイオンの含有量を10ppm以上としたときにZn結晶の核発生数を顕著に増大させることができ、均質性の高い明るいめっき外観を得ることができる。バッチ処理の場合は、電解開始時の3価のCrイオンの含有量が10ppm以上となるようにすればよいが、微量のCrがZn結晶の成長点に共析することにより3価のCrイオンも消費されるので、例えば初期に20ppm以上となるようにして、電解終了まで10ppm以上のCrイオン含有量が維持されるようにすることがより好ましい。鋼帯を通板する連続ラインでは、3価のCrイオンを連続的または間欠的に補充することが好ましい。ただし、3価のCrイオンの含有量が高すぎるとその効果は飽和し不経済となるので、3価のCrイオンの含有量は800ppm以下の範囲とすることが望ましく、550ppm以下とすることがより好ましい。
めっき浴中のZnイオン含有量は、設備に応じて最適な範囲に調整すればよい。例えば、Znイオン含有量は50〜150g/Lの範囲とすることができ、70〜120g/Lとすることがより好ましい。めっき浴へのZnイオンの供給物質としては、例えば硫酸亜鉛(7水和物)や炭酸亜鉛が使用できる。バッチ処理の場合は、電解開始時のZnイオンの含有量が上記範囲となるようにすればよい。鋼帯を通板する連続ラインでは、Zn供給物質によって連続的または間欠的にZnイオンを補充することが好ましい。
また、めっき浴中には硫酸ナトリウム(Na2SO4)を50〜150g/Lの範囲で含有させることができる。
電解中のめっき浴のpHは0.5〜3.5の範囲に調整する。pHが低すぎると水素が活発に発生して電流効率が低下する。pHが高すぎるとめっき層にいわゆる「ヤケ」が生じやすくなり、めっき外観を損ねる。めっき浴のpHは1.0〜3.0の範囲に調整することがより好ましい。pH調整は硫酸によって行うことができる。
電解中の電流密度は10〜130A/dm2の範囲とすることができ、10〜120A/dm2とすることがより好ましい。10A/dm2未満では電流効率が低く、所定のめっき付着量を確保するのに要する時間が長くなるので好ましくない。一方、電流密度が高くなると「ヤケ」が発生しやすくなる。
電解中の液温は50〜70℃の範囲とすればよく、例えば60℃±10℃、あるいは60℃±5℃に調整するといった温度管理を行うことが有効である。電解時間は、所望のめっき付着量が得られる範囲で調整されるが、例えばZnめっき付着量10〜30g/m2のめっき鋼板を得る場合だと、2〜90secの範囲で調整すればよい。
このようにして得られる本発明の電気Znめっき鋼板は、めっき後の表面状態のままで、明度L値が85以上、60°鏡面光沢度が80以上という、明るい表面外観を有するものである。また、このめっき表面の上に、後処理としてクロムフリー化成処理を施すことによって、明度L値が70以上、60°鏡面光沢度が45以上の表面外観を維持した耐久性の高い電気Znめっき鋼板が得られる。透明性の高い樹脂コーティングによる化成処理を施した場合でも、明度L値が70以上、60°鏡面光沢度が45以上の表面外観が得られる。必要に応じてクリア塗膜を形成した場合においても、従来より明度L値および60°鏡面光沢度を向上させた明るい表面外観を維持したものを提供することが可能である。
めっき原板用の鋼板として厚さ0.8mmの冷延鋼板(B添加弱脱酸鋼)を用意した。この鋼板から、バッチ処理での電気Znめっきに供するための試験片(110mm×300mm)を切り出し、めっき面となる一部領域に深さ約2μmのクロス状(X字)のキズを付与した。その後、通常のアルカリ電解脱脂および酸洗処理により表面を清浄化した。
上記の表面を清浄化した試験片を電気Znめっきに供した。めっき浴は、硫酸酸性Znめっき浴の一般的な組成範囲でZnイオン含有量およびpHを振ったものをベースとして、一部の比較例を除き3価のCrイオンを添加した配合とした。表1中に、電解開始時における3価のCrイオン含有量、Znイオン含有量、pH、電流密度を示してある。3価のCrイオンは硫酸クロムによって供給した。Znイオンは硫酸亜鉛(ZnSO4・7H2O)によって供給した。pHは硫酸によって調整した。液中には硫酸ナトリウムを60〜100g/Lの範囲で含有させてある。電解途中における浴中への各種物質の補充は行っていない。電解中の浴温は60℃とした。めっき付着量はいずれも20g/m2とした。電解時間は2〜63秒の範囲で調整した。
得られた電気Znめっき鋼板の表面(後処理を施していないもの)について、明度L値、60°鏡面光沢度、外観均一性を以下のようにして評価した。
〔明度L値〕
JIS Z8722に準拠した分光色差計(有限会社東京電色製;TC−1800)を用いて明度L値を測定した。このL値が85以上であれば、種々の用途において意匠性の高い美麗な白色外観を呈すると判断される。そこで、L値が85以上のものを○(色調良好)、85未満のものを×(色調不良)と評価し、○評価を合格とした。
JIS Z8722に準拠した分光色差計(有限会社東京電色製;TC−1800)を用いて明度L値を測定した。このL値が85以上であれば、種々の用途において意匠性の高い美麗な白色外観を呈すると判断される。そこで、L値が85以上のものを○(色調良好)、85未満のものを×(色調不良)と評価し、○評価を合格とした。
〔60°鏡面光沢度〕
ポータブル表面光沢度計(株式会社村上色彩研究所製)を用いて、JIS Z8741に準拠した60°鏡面光沢度を測定した。この60°鏡面光沢度が80以上であれば、通常、目視での外観評価においてめっき面は光沢を有すると判断することができる。そこで、60°鏡面光沢度が80以上であるものを○(光沢良好)、80未満であるものを×(光沢不良)と評価し、○評価を合格とした。
ポータブル表面光沢度計(株式会社村上色彩研究所製)を用いて、JIS Z8741に準拠した60°鏡面光沢度を測定した。この60°鏡面光沢度が80以上であれば、通常、目視での外観評価においてめっき面は光沢を有すると判断することができる。そこで、60°鏡面光沢度が80以上であるものを○(光沢良好)、80未満であるものを×(光沢不良)と評価し、○評価を合格とした。
〔外観均一性〕
目視観察により、めっき原板に付与したクロス状(X字)のキズがめっき表面において認識できるかどうかを調べた。クロス状のキズ跡が認識できないものを○(外観均一性良好)、認識できるものを△(外観均一性やや不良)、目立つものを×(外観均一性不良)と評価し、○評価を合格とした。
これらの結果を表1に示す。
目視観察により、めっき原板に付与したクロス状(X字)のキズがめっき表面において認識できるかどうかを調べた。クロス状のキズ跡が認識できないものを○(外観均一性良好)、認識できるものを△(外観均一性やや不良)、目立つものを×(外観均一性不良)と評価し、○評価を合格とした。
これらの結果を表1に示す。
表1からわかるように、3価のCrイオンを10ppm以上含有するめっき浴を使用した本発明例のものは、色調(明度)、光沢、外観均一性とも、良好な結果が得られた。これに対し、比較例のNo.21は3価のCrイオンを含有しない従来一般的なZnめっき浴を使用したものであり、色調(明度)、光沢、外観均一性ともに劣っていた。No.22は電流密度が高すぎたことによりめっき層表面に著しい「ヤケ」が発生し、表面外観を損ねた。No.23はpHが高すぎたことにより「ヤケ」が発生し、光沢および外観均一性に劣った。
実施例1で得られた本発明例の電気Znめっき鋼板のめっき面に、一般的なクロムフリー処理により化成処理皮膜を形成させたもの作製した。これらの化成処理された電気Znめっき鋼板について、実施例1と同様に明度L値および60°鏡面光沢度を調べた。その結果、いずれも明度L値が85以上、60°鏡面光沢度が80以上の表面外観を呈することが確認された。
また、実施例1で得られた本発明例の電気Znめっき鋼板のめっき面に、透明性の高い樹脂(シリカゾルを含有したウレタン樹脂)をコーティングすることにより化成処理皮膜を形成させたものを作製した。これらの化成処理された電気Znめっき鋼板について、実施例1と同様に明度L値および60°鏡面光沢度を調べた。その結果、いずれも明度L値が70以上、60°鏡面光沢度が45以上の表面外観を呈することが確認された。なお、従来の電気Znめっき鋼板(表1のNo.21)に同様の化成処理皮膜を形成させたものでは、明度L値が65、60°鏡面光沢度が30であった。
Claims (6)
- 3価のCrイオンを含有する硫酸酸性Znめっき浴で電気めっきを施すことにより、明度L値が85以上、60°鏡面光沢度が80以上のめっき表面とした電気Znめっき鋼板。
- 請求項1に記載のめっき鋼板の表面にクロムフリー化成処理皮膜を有し、明度L値が70以上、60°鏡面光沢度が45以上の表面外観を呈する化成処理された電気Znめっき鋼板。
- 請求項1に記載のめっき鋼板の表面に樹脂コーティングによる化成処理皮膜を有し、明度L値が70以上、60°鏡面光沢度が45以上の表面外観を呈する化成処理された電気Znめっき鋼板。
- 3価のCrイオンを10〜800ppm含有するpH:0.5〜3.5の硫酸酸性Znめっき浴中に鋼板を浸漬し、電流密度10〜130A/dm2にて鋼板表面に金属Znを析出させる色調に優れた電気Znめっき鋼板の製造方法。
- 前記硫酸酸性Znめっき浴は、Znイオン含有量が50〜150g/Lである請求項4に記載の電気Znめっき鋼板の製造方法。
- 前記硫酸酸性Znめっき浴は、硫酸ナトリウムを50〜150g/L含有するものである請求項4または5に記載の電気Znめっき鋼板の製造方法。
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