JPH08188898A - 電気亜鉛めっき鋼板およびその製法 - Google Patents

電気亜鉛めっき鋼板およびその製法

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JPH08188898A
JPH08188898A JP7002939A JP293995A JPH08188898A JP H08188898 A JPH08188898 A JP H08188898A JP 7002939 A JP7002939 A JP 7002939A JP 293995 A JP293995 A JP 293995A JP H08188898 A JPH08188898 A JP H08188898A
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JP
Japan
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steel sheet
zinc
electrogalvanized
crystal
electrogalvanized steel
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JP7002939A
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English (en)
Inventor
Masatoshi Iwai
正敏 岩井
Hiroaki Nakano
博昭 中野
Kuniyasu Araga
邦康 荒賀
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 めっき層全体としての外観が均一で美麗な電
気亜鉛めっき鋼板および該鋼板を効率よく製造すること
のできる方法を提供する。 【構成】 本発明の電気亜鉛めっき鋼板は、素地鋼板表
面にCo,Ni,Cr,In,Sn,Sb,Tlおよび
Pbよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元
素が総量として0.005〜520mg/m2 の付着量
で下地層として形成されると共に、亜鉛結晶の配向性が
下記式: 2.0≦(002)面の配向指数/(103)面の配向
指数 を満足する様な亜鉛めっき層を有する。また、本発明鋼
板の製法は、上記金属イオンを総量で0.05〜520
ppm含有するアルカリ性脱脂浴中で、鋼板を陰極とし
て少なくとも1回の電解脱脂を行って下地層を形成する
工程を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、めっき表面の色調が均
一で且つ光沢に優れた外観の電気亜鉛めっき鋼板および
該鋼板を安価に効率よく製造することのできる方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】亜鉛めっき鋼板は、亜鉛めっき皮膜が素
地鋼板に対して犠牲防食作用を発揮し優れた耐食性を有
するものであるから、自動車や家庭用電気製品等の外板
材あるいは建築材料等として広く使用されている。この
様な亜鉛めっき鋼板を製造する方法として汎用されてい
るのは、溶融亜鉛めっき浴中に鋼板を浸漬走行させる
ことによって鋼板表面に亜鉛めっき皮膜を形成する溶融
亜鉛めっき法、および亜鉛イオンを含む酸性溶液中に
鋼板を浸漬し、電気化学反応によって鋼板表面に亜鉛め
っき皮膜を析出させる電気亜鉛めっき法である。
【0003】このうち溶融亜鉛めっき法では、容易に厚
目付のめっき層を形成することができ、耐食性の優れた
ものが得られ易いという利点を有している反面、溶融金
属浴中に浸漬する方法であるから、均一なめっき付着量
が得られにくく且つめっき表面にドロス等が付着するこ
とがあり、均一性と表面外観においてやや難点がある。
これに対して電気亜鉛めっき法では、均一性や表面外観
等は溶融亜鉛めっき法に比べて良好であるが、めっき付
着量に比例して電力コストが高くなるため、厚目付にな
るとコスト高になるという経済上の問題がある。
【0004】但し、従来の亜鉛めっきは殆んどの場合塗
装下地用として採用されており、亜鉛めっき層自体の外
観上の欠陥は上塗り塗装によって隠蔽されてしまうた
め、外観上の問題は余り注目されることがなく、依然と
して溶融亜鉛めっき法が主流となっているのはこうした
理由によるものと思われる。
【0005】ところが近年、需要者側から塗装工程を省
略したいとの要求が出始め、亜鉛めっき鋼板にクロメー
ト処理や透明樹脂コーティングなどの化成処理を施して
耐食性や耐指紋性、潤滑性等を高めた特殊化成処理亜鉛
めっき鋼板として裸のままで使用する風潮が高まってい
る。そうなると、亜鉛めっき鋼板製造時のめっき表面外
観がそのまま最終製品の外観に大きな影響を及ぼすの
で、亜鉛めっき鋼板そのものの表面品質に対する要求は
非常に厳格になってくる。
【0006】そしてこの様に裸で使用される用途におい
ては、あまり良好な表面外観の得られない溶融亜鉛めっ
き鋼板は不適当であり、美麗で均質性の高い電気亜鉛め
っき鋼板が用いられている。ところが、裸用途への適用
分野が拡大してくるにつれて亜鉛めっき鋼板の表面品質
に対する需要者の要求は益々厳しくなり、最近では、従
来の電気亜鉛めっき鋼板でも需要者の要求を満足できな
くなっているのが実情である。
【0007】現在、電気亜鉛めっきに指摘されている最
大の難点は、電気亜鉛めっき表面に色調や光沢の異なる
部分が不規則に存在し、表面外観を損なっている点であ
る。この原因は、電気めっき条件によって亜鉛めっき層
の結晶の規則性や結晶サイズ等が部分的に異なるものと
なり、それに伴ってめっき表面で反射される光線量に変
化が生じて色調や光沢にむらが生じるためと考えられて
いる。
【0008】そこで、電気亜鉛めっき層の表面外観を改
善するための手段として、電気めっき浴中に光沢剤を添
加する方法が開発された。亜鉛めっき浴へ添加される光
沢剤としては、チオ尿素、芳香族アルデヒド、クマロ
ン、アミン、イミノ化合物、デキストリン、グルコン酸
等の低分子化合物が知られている。また特公昭46−3
8888号公報には、光沢剤としてポリアクリルアミド
を添加する方法が、また特開昭61−12887号公報
には、ポリアクリルアミドを主成分とし、カチオン性モ
ノマーを共重合させたカチオン性基含有ポリアクリルア
ミド、あるいはポリアクリルアミドを主成分としカチオ
ン性モノマーとビニルモノマーを共重合させたカチオン
性基含有ポリアクリルアミドを光沢剤として添加する方
法等が提案されており、これらの光沢剤を添加すると、
電気亜鉛めっき層の結晶全体が微細化すると共にめっき
層が平滑化され、金属光沢のある美麗な外観を得ること
ができる。
【0009】上記の様な光沢剤を使用すると、電気亜鉛
めっき層の結晶が著しく微細化すると共にめっき層が平
滑化されるため、光沢改善という観点からすれば好まし
いものとされているが、光沢剤添加量のわずかな差によ
ってめっき外観、特に光沢が激変するという傾向があ
る。そのため、めっき浴中への光沢剤の含有率やめっき
条件が僅かに変化するだけで光沢が著しく変化し、光沢
の均一性が悪くなったりする等、その制御が非常に困難
であるという問題が生じる。この様な問題は、めっき浴
中の光沢剤の濃度分析が困難であることとも絡んで、よ
り深刻なものとなっている。
【0010】一方、光沢剤を使用しない他のめっき外観
改善法として、例えば特開昭61−166992号公報
には、亜鉛めっき層の結晶が被めっき材である鋼材表面
の結晶粒の方位や大きさによって強い影響を受け、該結
晶粒に沿ってエピタキシャルに亜鉛めっき結晶が成長す
るという現象を活用する方法が示され、該鋼材表面のフ
ェライト結晶粒の直径を10〜35μmの範囲にコント
ロールしておくことによって亜鉛めっきの結晶を微細且
つ平滑にすることができる旨述べられている。この様な
鋼材表面の結晶粒度を調整する方法では、被めっき材の
結晶粒サイズに対する光沢度の急峻かつ鋭敏な変化は見
られないが、鋼材の表面結晶粒度を全ての用途に好適な
範囲に制御することは困難であり、しかも部分的に結晶
粒度が異なる被めっき材を使用すると、亜鉛めっき層は
結果的に異なる色調・光沢を有するものになるという問
題が生じてくる。
【0011】更に、特開昭61−147894号公報や
特開平4−124295号公報には、電気亜鉛めっき浴
中に亜鉛よりも析出電位が低い鉄族イオン(Fe,Ni
及び/またはCoイオン)やSnイオンを添加すること
によって、亜鉛めっき結晶を微細且つ平滑にする方法が
開示されている。即ち、上記金属イオンを鋼板上に析出
させ、析出した金属元素が亜鉛めっき結晶の成長核とな
って亜鉛の初期析出が分散することにより、亜鉛めっき
結晶の微細化を図るものである。これらの方法によれ
ば、理論的には、亜鉛よりも析出電位の低い金属元素が
先に素地鋼板表面に析出するはずであるが、実際には、
素地鋼板の性状(即ち、不純物元素の濃化程度、酸化物
層の厚さの程度等)や、亜鉛量と金属元素量のバランス
等の影響により、実際には亜鉛の析出時期とほぼ同時に
上記金属元素の析出が進行するため、亜鉛めっき結晶の
成長核として有効に作用し得る上記金属元素を鋼板全面
にわたって均一に析出させることができず、十分な結晶
微細化効果が得られない等の問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、めっ
き層全体としての外観が均一で美麗な電気亜鉛めっき鋼
板および該鋼板を効率よく製造することのできる方法を
提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成すること
のできた本発明に係る電気亜鉛めっき鋼板の構成は、素
地鋼板表面にCo,Ni,Cr,In,Sn,Sb,T
lおよびPbよりなる群から選択される少なくとも1種
の金属元素が総量として0.005〜520mg/m2
の付着量で下地層として形成されと共に、亜鉛結晶の配
向性が下記式: 2.0≦(002)面の配向指数/(103)面の配向
指数 を満足することに要旨を有するものである。上記下地層
の付着量が0.1〜100mg/m2 である電気亜鉛め
っき鋼板は本発明の好ましい実施態様である。
【0014】また、上記課題を達成することのできた本
発明に係る電気亜鉛めっき鋼板の製法の構成は、Co,
Ni,Cr,In,Sn,Sb,TlおよびPbよりな
る群から選択される少なくとも1種の金属イオンを総量
で0.05〜520ppm含有するアルカリ性脱脂浴中
で、鋼板を陰極として少なくとも1回の電解脱脂を行っ
て下地層を形成する工程を含むことに要旨を有するもの
である。ここで、上記電解脱脂処理を行った後、酸性液
と接触させてから電気亜鉛めっきを施す方法は本発明の
好ましい実施態様である。
【0015】
【作用】本発明者らは上記の様な状況の下で、電気亜鉛
めっき鋼板におけるめっき外観が部分的に色調・光沢変
化(ムラ)を生じる原因について追求した。その結果、
視覚に感じる色調ムラは主として光沢ムラに起因してお
り、入射光線に対する正反射光線量がめっき表面の特定
部位で変化していることによるものであることが確認さ
れた。そして、正反射光線量が変化する原因を明確にす
るため、電気亜鉛めっきにおける結晶表面の微細構造に
ついて調査したところ、光沢度の変化部位に対応して亜
鉛めっき結晶の形態変化が生じていることが確認され
た。具体的には、亜鉛めっき結晶の成長方向あるいは結
晶粒のサイズが部分的に変化し、これがめっき表面の微
細な凹凸の変化となって正反射光線量にムラを生じるこ
とが分かった。
【0016】更に、X線回折法を用いて六方稠密晶構造
を有する亜鉛めっき結晶の配向性を調べたところ、(0
02)面や(103)面が多く配向していることが観察
された。複数のサンプルを用いて更に詳細に観察したと
ころ、(103)面が多く配向している部位では光沢度
が小さくなると共に、観察する角度により周囲の色調に
比べて黒く見えたり、逆に白く見えたりするという特異
な現象を示すことが分かった。
【0017】この様な現象が生じる原因については詳細
には不明であるが、一般に亜鉛めっき結晶は素地鋼板の
表面状態の影響を強く受けており、例えば素地鋼板の表
面が活性で不純物・酸化物等による汚れが存在しない場
合、素地鋼板の結晶方位に従ってエピタキシャルに成長
することが知られている。ところが、素地鋼板表面にN
i,Si,C,Al等の不純物元素が濃化したり、酸化
物層の厚さが異なる部分が存在すると、その部分では亜
鉛の析出電圧が異なるために亜鉛めっき結晶形態が変化
し、それが色調差となって現れたものであると考えられ
る。
【0018】従って、電気亜鉛めっき生成時の結晶の成
長を全面にわたって均一に進行させると共に、亜鉛めっ
き結晶の配向性についても、該結晶中の大部分を占める
(002)面と(103)面の割合を制御することがで
きれば、光沢変化部がなくなって均一な外観を有するめ
っき層が得られると考え、その様な鋼板の構成および製
法について鋭意検討した結果、本発明を完成したのであ
る。
【0019】即ち、この様にして完成された本発明の電
気亜鉛めっき鋼板は、素地鋼板表面にCo,Ni,C
r,In,Sn,Sb,TlおよびPbよりなる群から
選択される少なくとも1種の金属元素が総量として0.
004〜520mg/m2 の付着量で下地層として形成
され、該下地層上に亜鉛めっき層が形成されると共に、
該亜鉛めっき層の亜鉛結晶の配向性が下記式: 2.0≦(002)面の配向指数/(103)面の配向
指数 の関係を満たすものである。
【0020】即ち、本発明の鋼板は、素地鋼板表面に上
記金属元素が総量として0.004〜520mg/m2
の付着量で下地層として形成される点に第1の特徴を有
する。本発明に用いられるCo,Ni,Cr,In,S
n,Sb,TlおよびPbの金属元素が鋼板表面の活性
点に吸着し、この吸着点が亜鉛の結晶核となって核生成
を促進し、亜鉛結晶の微細化且つ平滑作用を促進するこ
とは上述した通りである。本発明の鋼板は、素地鋼板表
面にこれら金属元素を含有する下地層を、本発明の範囲
内で予め薄く形成させておく点に特徴を有するものであ
り、この様な構成とすることによって、上記金属元素の
島状結晶を多数析出することができ、該金属元素による
亜鉛めっき結晶の微細化作用を有効に発揮させることが
できると考えられる。
【0021】ここで下地層の付着量は、0.005〜5
20mg/m2 とすることが必要である。この付着量が
0.005mg/m2 未満では、素地鋼板上に析出され
る上記金属元素量が非常に少ないため、亜鉛めっき結晶
の成長核としての作用を十分に発揮させることができな
い。下限値として好ましいのは0.01mg/m2 以上
であり、より好ましいのは0.1mg/m2 以上であ
る。一方、付着量が520mg/m2 を超えると、その
作用が飽和すると共に、該金属元素は何れも素地鋼板で
ある鉄よりも貴な金属であるため、亜鉛めっき層の腐食
速度を著しく増加させることになり、亜鉛に起因する赤
錆が早期に発生する等、耐食性の劣化を招くことにな
る。上限値として好ましいのは500mg/m2以下、
より好ましいのは450mg/m2 以下、更により好ま
しいのは400mg/m2 以下である。
【0022】上記下地層中に用いられる金属元素は、C
o,Ni,Cr,In,Sn,Sb,TlおよびPbよ
りなる群から選択されるものであり、これら金属元素を
単独で、または2種以上併用して用いることが可能であ
る。本発明の作用を有効に発揮させるには、Co,N
i,Cr,In,Sn,Sb等を単独で用いるか、また
はCo−Ni,In−Sb等の組合わせを用いることが
推奨される。本発明の電気亜鉛めっき鋼板は、亜鉛めっ
き層における亜鉛結晶の配向性が上式の関係を満たす点
に第2の特徴を有する。
【0023】上述した様に、六方稠密晶構造を有する亜
鉛めっき結晶には、(002)面や(103)面が多く
配向しているが、このうち(103)面が多く配向して
いる部位では光沢度が小さくなる等の不具合が生じる。
本発明では、この様な不具合を生じる(103)面の配
向性を、(002)面との対比によって制御しようとす
るものである。
【0024】上式における各配向指数とは、特定のミラ
ー指数面の配向性を、異方性を持たないパウダーパター
ンの配向性と比較することにより得られる数値である。
具体的には、X線回折法により(002)面および(1
03)面における回折強度を2θ=30〜85度の範囲
で測定し、下式(1)および(2)により各面の配向指
数を算出する。
【0025】まず、(002)面または(103)面か
らの回折強度をI(hkl)とし、全ピークに対する相
対強度をIF(hkl)とすると、IF(hkl)は次
式(1)で表される。 IF(hkl)=I(hkl)/ΣI(hkl) … (1) 次に、得られたIF(hkl)を、ASTMカードより
得られる異方性を持たないパウダーパターンの相対強度
IFR(hkl)で除すことにより、(hkl)面の配
向指数を得る。 配向指数=IF(hkl)/IFR(hkl) … (2)
【0026】この様にして算出された亜鉛の(103)
面の配向指数に対する(002)面の配向指数の比が
2.0未満の場合、(103)面の割合が相対的に増加
するため光沢度が低下する。上記比の下限値として好ま
しいのは2.5であり、より好ましくは3.0である。
一方、その上限については特に規定されるものではない
が、加工時におけるフレーキングを防止し、加工性を高
めるためにも15未満にすることが好ましく、より好ま
しくは10である。
【0027】更に、本発明の鋼板の外観が純亜鉛めっき
の色調を呈するためには、亜鉛めっき層は99.5重量
%以上の亜鉛を含むことが好ましく、99.9重量%以
上であることがより好ましい。即ち、亜鉛めっき層に含
有される亜鉛量が上記下限値よりも少なく、不純物とし
てNi,Co,Fe,Cr,Mn等の金属元素が含まれ
る様になると、上記金属元素を成長核として亜鉛めっき
を微細化させることにより外観の均一性を確保すること
ができたとしても、これら不純物元素の影響により亜鉛
めっき層の色調が暗くなってしまい、もはや純亜鉛めっ
きの外観を呈さなくなり、従来の純亜鉛めっき鋼板との
間に大きな色調差が生じるので製品価値が著しく低下し
てしまう。
【0028】また、亜鉛めっき付着量については何等制
限されるものではなく、その用途に応じて求められる耐
食性の程度を考慮して低付着量から高付着量に至る範囲
を決めればよいが、1g/m2 未満では、亜鉛めっき本
来の耐食性を十分に発揮することができず、一方、10
0g/m2 を超えて過度に付着量を増やしても製造時の
電力コストが上昇するだけであり無駄である。
【0029】更に、耐食性向上、表面耐疵付き性向上、
耐指紋性向上、加工性向上等の各種性能を向上させるこ
とを目的として、上述した本発明の電気亜鉛めっき鋼板
の亜鉛めっき層の表面に化成処理層を1層または2層以
上付与することも可能である。この様な化成処理層とし
ては、クロメート皮膜層、有機皮膜層、無機皮膜層、り
ん酸塩皮膜層等が挙げられる。このうちクロメート皮膜
層としては、反応型クロメート皮膜または塗布型クロメ
ート皮膜が挙げられるが、特に塗布型クロメート皮膜の
場合、耐食性を更に向上させるために、リン酸、コロイ
ダルシリカ、有機樹脂を添加することも可能である。ま
た、有機皮膜層としては、例えばポリエチレン系樹脂、
エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポ
リエステル系樹脂、フッ素系樹脂、およびこれらの混合
物、共重合体、変性樹脂等を適宜選択して使用すること
も可能である。更に耐食性向上を目的として、該有機皮
膜中にシリカゲル、コロイダルシリカ等を添加したり、
塗膜付与後の加工性向上を目的として、各種ワックス成
分を微量添加したり、あるいは塗膜密着性向上を目的と
して、シランカップリング剤を添加することも可能であ
る。また上記無機皮膜層としては、珪酸塩等が挙げられ
る。
【0030】上記クロメート皮膜層の付着量は特に規定
されるものではないが、耐食性の観点から5mg/m2
以上とすることが好ましい。しかしながら300mg/
2を超えると耐食性の改善効果が飽和すると共に、製
造コストが上昇するだけで無駄である。上記有機皮膜層
および無機皮膜層の付着量についても、上記クロメート
皮膜層と同様の理由により、0.5g/m2 以上20g
/m2 以下であることが好ましい。
【0031】次に、本発明の電気亜鉛めっき鋼板を製造
する方法について説明する。本発明の製造方法は、C
o,Ni,Cr,In,Sn,Sb,TlおよびPbよ
りなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンを
総量で0.05〜500ppm含有するアルカリ性脱脂
浴中で電解脱脂処理を行うと共に、この電解脱脂中、
少なくとも1回は鋼板を陰極として電解脱脂を行う点に
特徴を有するものである。
【0032】即ち、アルカリ性脱脂浴中で電解処理を行
うことにより、素地鋼板表面の洗浄効果が得られると共
に、上記の如き素地鋼板を少なくとも1回は陰極とす
ることにより、アルカリ性脱脂浴中に添加されている金
属元素が素地鋼板表面にめっきされることになり、下地
付与効果も同時に得ることができるのである。従って、
既存の電気亜鉛めっき設備(以下の記載において、電気
亜鉛めっき設備とは、脱脂設備および酸洗設備の両方を
含めた設備を指す)に新規な設備を加えたり改良する必
要がないので、低コストで製造できると共に、高速で安
定して製造することができ、非常に有用な方法であると
言える。
【0033】本発明の製造方法において、上記の如き
アルカリ性脱脂浴中に添加される上記金属イオンの添加
量は総量として0.05〜500ppmであることが必
要である。この添加量が0.05ppm未満では、亜鉛
めっき層の外観を美麗にするための下地層が十分に形成
されない。好ましい下限値は0.1ppmである。一
方、500ppmを超えて添加しても、下地層の形成効
果が飽和することからコスト面でも無駄である。更に、
該金属イオンの水酸化物または酸化物が形成され易くな
り、脱脂浴中に浮遊したこれらの凝固物が素地鋼板に付
着し、亜鉛めっき処理後に押し疵、ぶつ等が生じて外観
不良を招くという問題がある。好ましい上限値は400
ppmであり、より好ましくは300ppmである。
【0034】更に、電解脱脂処理においては、上記の
如き、電解脱脂中少なくとも1回は鋼板を陰極とするこ
とが必要である。具体的には、例えば素地鋼板を繰り返
し陰極および陽極にして電解を行うPR電解法の場合、
素地鋼板が陰極となった時点で金属元素がプレめっきさ
れ、陽極となった時点でこれら析出した金属元素の溶解
反応が起こるので、本発明の場合には、陽極電解総時間
に対して陰極電解総時間を長くするか、あるいは電解脱
脂の最終ステップで素地鋼板を陰極としておくことが好
ましい。
【0035】ここで、アルカリ性脱脂浴中に添加される
金属イオンの形態は特に規定されず、塩化物、酸化物、
硫酸塩または金属塩等として用いることが可能である。
また、アルカリ性脱脂浴については何等制限されるもの
ではなく、通常使用されている水酸化ナトリウム、炭酸
ナトリウム、第三リン酸ナトリウム、オルト珪酸ナトリ
ウム、メタ珪酸ナトリウム、およびそれらの混合物が使
用可能である。更に、乳化、分散、浸透、潤滑等を目的
として上記脱脂浴中に非イオン系界面活性剤または陰イ
オン界面活性剤を添加しても良い。
【0036】アルカリ性脱脂浴の濃度は、5〜100g
/リットルの範囲とすることが好ましい。5g/リット
ル未満の場合は、脱脂能力が低下すると共に、該アルカ
リ性脱脂浴の電導度が低下するために電解脱脂時の消費
電力が増加したり、必要な電流値が得られない場合があ
る。一方、100g/リットルを超えると脱脂能力が飽
和すると共に、素地鋼板表面にアルカリ液が残存する可
能性があり、そのために亜鉛めっき処理後の汚れや疵を
誘発する原因となったり、めっき密着性が不良となる等
の問題がある。
【0037】また、アルカリ性脱脂浴の温度は、20〜
80℃であることが好ましい。20℃未満の場合、脱脂
能力の低下や、液が析出して配管等が詰まる恐れがある
等の問題が生じる。一方、80℃を超えると、脱脂後の
乾燥ムラが生じ易くなり、亜鉛めっき後の外観不良を招
く恐れがある。
【0038】電解脱脂時の電流密度についても特に限定
されないが、好ましくは1〜60A/dm2 とするのが
よい。この電流密度が1A/dm2 未満では、十分な脱
脂効果が得られないばかりか、本発明に用いられる上記
金属元素を所定量析出させるために多くの時間を要する
ので効率的でない。一方、60A/dm2 を超えると、
脱脂能力が飽和すると共に、多量の水素ガスや酸素ガス
等の気泡が著しく発生する等の弊害を招く。
【0039】上述した電解脱脂処理を行う場合の素地鋼
板への給電方法についても何等限定されるものではな
く、素地鋼板に直接給電する方法および間接的に給電す
る方法のいずれもが用いられる。
【0040】更に、上述したアルカリ性脱脂浴による電
解脱脂を行う前に、素地鋼板の洗浄を目的として、アル
カリ浸漬、スプレー、スクラバー脱脂を行うことは、本
発明の作用を高めるために有用な方法である。
【0041】以上、本発明の電気亜鉛めっき鋼板を製造
する方法について、その特徴となる工程について詳述し
たが、本発明による亜鉛めっき結晶の微細化作用を有効
に発揮させるために、更に以下の様な工程を設けること
も可能である。
【0042】(i )下地層を付与した後、酸洗処理を行
ってから電気亜鉛めっき処理を行う。 この様に酸洗処理を行うことにより、更に優れた亜鉛め
っき結晶の微細化作用が得られるのは、以下の様な理由
によると考えられる。
【0043】即ち、本発明に用いられる金属元素はいず
れも素地鋼板である鉄よりも貴な金属であるため、下地
層を付与した後、酸洗処理を行うと金属元素と素地鋼板
との間でガルバニ電池が形成され、該金属自身は溶解す
ることなく、素地鋼板表面の溶解を助長する効果があ
る。この様な素地鋼板溶解作用は、上記金属元素が島状
に析出している全ての部分で生じることから、素地鋼板
表面の酸化物皮膜等が積極的に除去されると共に、亜鉛
が鋼板表面に吸着することのできる活性点がさらに多く
出現することになる。この様に、素地鋼板表面には上記
金属元素が島状に析出している部分、素地鋼板の活性点
が露出している部分等が多数存在し、それらが亜鉛めっ
き結晶の成長核となって有効に作用する結果、亜鉛めっ
き結晶を微細化させると考えられる。
【0044】ここで上記酸洗処理とは、鋼板を酸性液と
接触させること、代表的には酸性液の散布や酸性浴中へ
の浸漬を意味するものであり、用いられる酸性浴として
は、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸等、およびこれら
の混合酸が用いられ、更に、該酸性浴に腐食抑制剤や酸
洗促進剤を添加することも勿論可能である。このなかで
も、本発明の作用を有効に発揮させるためには、塩酸、
硫酸を用いることが好ましい。
【0045】これら酸洗浴の濃度については、1〜30
重量%であることが好ましい。1重量%未満の場合に
は、素地鋼板表面に形成される亜鉛めっき結晶の成長核
が少なくなり、一方、30重量%を超えると、素地鋼板
の溶解力が過剰になって素地荒れ(過酸洗)を招いたり
する。例えば硫酸浴の場合には、多量に存在すると逆に
酸化剤として作用するため素地鋼板表面のスケール除去
能力が抑制される等の問題が生じる。また、温度につい
ては特に限定されないが、脱錆、脱スケール能力、発煙
等の観点から、使用する酸洗浴に適した温度に制御する
ことが好ましい。例えば、塩酸浴を使用する場合には、
塩酸は揮発性のため20〜30℃で使用することが好ま
しいが、硫酸浴の場合には、硫酸は不揮発性であるか
ら、脱錆・脱スケール能力を有効に発揮させることがで
きる温度(20〜70℃)で使用することが好ましい。
また、酸洗時間に関しては、素地鋼板表面の不純物元素
の濃化程度または酸化物層の厚さに応じて、2〜60秒
間の範囲で適宜変化させることが可能である。酸洗時間
が2秒未満の場合には、亜鉛めっき結晶の成長核たる金
属元素の析出が不十分であり、一方60秒を超えると素
地荒れ(過酸洗)が生じる可能性が高くなる。
【0046】(ii)酸性めっき浴中で電気亜鉛めっき処
理を行う。 これは、上述した酸洗処理と同様の効果を、酸性めっき
浴中での電気亜鉛めっき処理の際に得ようとするもので
ある。即ち、酸性めっき浴中に鋼板を浸漬してから通電
するまでの間に上述した酸洗処理が得られるのである。
従って、酸性めっき浴中に無通電浸漬してから電気亜鉛
めっきを行う方法は本発明の好ましい実施態様であり、
好ましい無通電時間は2秒以上である。用いられる酸性
めっき浴としては何等限定されるものではなく、硫酸
浴、塩化アンモニウム浴、塩化カリウム浴等の使用が可
能である。
【0047】本発明の方法は、上述した様に下地層の形
成手段として、上記金属イオンを含有するアルカリ性脱
脂浴中で電解処理を行う方法を採用するものであるが、
その他の方法を排除するものではない。従って下地層形
成方法として、その他の電気めっき手段を用いたり、あ
るいは無電解めっき法等を用いることも勿論可能であ
る。下地層の形成に当たっては、例えば鋼板等のコイル
に連続して亜鉛めっきを行う場合には、連続焼鈍ライン
の出側、箱焼鈍後等のオフラインで下地層を付与しても
よいし、或いは電気亜鉛めっきラインのインラインで下
地層を付与しても良い。
【0048】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の構成および作
用効果をより具体的に説明するが、本発明はもとより下
記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記
の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施する
ことも勿論可能であり、それらは何れも本発明の技術的
範囲に包含される。
【0049】実施例1 素地鋼板としてAlキルド冷延鋼板を使用し、下地層と
して表1および表2に示す金属元素および付着量(mg
/m2 )を予め電気めっき法または無電解めっき法によ
り付与した後、引き続きアルカリスプレー脱脂、アルカ
リ電解脱脂および酸洗処理により表面を清浄化した後、
電気亜鉛めっきを行なった。以下に、上述した一連の電
気亜鉛めっき処理条件を示す。
【0050】(アルカリスプレー脱脂条件) 溶液 :水酸化ナトリウム(20g/リットル) 温度 :60℃ (アルカリ電解脱脂条件) 溶液 :オルト珪酸ナトリウム(30g/リット
ル) 温度 :60℃ 電流密度 :10A/dm2 素地鋼板極性:常に陰極 (酸洗処理条件) 溶液 :硫酸10% 温度 :55℃ (電気亜鉛めっき処理条件) 溶液 :ZnSO4 ・7H2 O(350g/リッ
トル)Na2 SO4 (70g/リットル) pH :2.0 電流密度 :50〜150A/dm2 温度 :50〜70℃ 流速 :1.2m/sec めっき付着量:20g/m2 (Zn含有率:99.9%
以上) この様にして作製された電気亜鉛めっき鋼板について、
めっき層の結晶形態、光沢度、外観均一性および耐食性
を下記の基準で調べた。結果を表1〜2に併記する。
【0051】(めっき結晶形態)めっき表面のSEM観
察によって亜鉛めっきの結晶形態を調べ、亜鉛結晶の微
細化状況を下地層を付与していない場合と比較して下記
のランク付けで判断した。 ◎:下地層を付与していない場合に比べて、顕著な微細
化効果が認められる ○:下地層を付与していない場合に比べて、微細化効果
が認められる △:下地層を付与していない場合に比べて、やや微細化
効果が認められる ×:下地層を付与していない場合に比べて、微細化効果
が認められない (光沢度)JIS Z 8741に記載のGs60により
亜鉛めっき表面の光沢度を測定し、下地層を付与してい
ない場合と比較して下記の基準で評価した。 ◎:下地層を付与していない場合の光沢度の2倍以上 ○:下地層を付与していない場合の光沢度の1.2倍以
上2倍未満 △:下地層を付与していない場合の光沢度の1倍以上
1.2倍未満 ×:下地層を付与していない場合と全く変化なし、また
は低下
【0052】(外観均一性)亜鉛めっき後の表面外観
(光沢ムラ)を目視判断した。 ◎:光沢ムラが全くなし ○:光沢ムラが僅かに発生 △:光沢ムラが少し発生 ×:光沢ムラが著しく発生 (耐食性)JIS Z 2731に記載の塩水噴霧試験に
準じて平板部の赤錆発生時間を測定することにより、耐
食性を評価した。 ○:赤錆発生時間 12時間以上 △:赤錆発生時間 6時間以上12時間未満 ×:赤錆発生時間 6時間未満
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】表1および2より次の様に考察できる。N
o.1〜27は本発明の規定要件を全て満足する実施例
であり、得られる亜鉛めっき層の結晶は極めて均一且つ
微細化されており、亜鉛めっき後の光沢度も下地層を付
与しない場合に比べて増加していることが分かる。これ
らの効果により、亜鉛めっき後の外観は非常に均一なも
のとなり、光沢度の部分的な変化(光沢ムラ)等はほと
んど認められなかった。更に、耐食性についても下地層
を付与していない場合とほぼ同等の結果が得られた。
【0056】これに対して、No.28〜46は下地層
の付着量が本発明の規定範囲外である比較例であり、下
地層の付着量が本発明の下限値を下回っている場合に
は、亜鉛めっき結晶の微細効果が十分に認められず、光
沢度および外観均一性の改善効果に乏しかった。一方、
下地層の付着量が本発明の上限値を超える場合、亜鉛め
っき結晶の微細化効果や光沢度の向上効果、外観の均一
化効果は認められるものの、耐食性が著しく劣化した。
【0057】また、No.47〜48は(002)面と
(003)面の配向指数の比が本発明の規定範囲外であ
る比較例であり、この配向指数の比が本発明の下限値を
下回っている場合には、光沢度が低下した。
【0058】実施例2 素地鋼板としてAlキルド冷延鋼板を使用し、アルカリ
スプレー脱脂、本発明に用いられる金属イオン添加アル
カリ性脱脂浴を用いた電解脱脂、および酸洗処理を行っ
た後、酸性浴である塩化亜鉛浴を用いて電気亜鉛めっき
を行なった。以下に、上述した一連の電気亜鉛めっき処
理条件を示す。
【0059】(アルカリスプレー脱脂条件) 実施例1と同じ (アルカリ電解脱脂条件) 溶 液 :オルト珪酸ナトリウム(30g/リッ
トル) 温 度 :60℃ 電流密度 :10A/dm2 添加金属イオン:Co,Ni,Cr,In,Sn,S
b,Tl,Pbのうち少なくとも1種以上 添加量 :表3および4に記載 素地鋼板極性 :表3および4に記載 (酸洗処理条件)実施例1と同じ (電気亜鉛めっき処理条件) 溶 液 :ZnCl2 (250g/リットル)NH
4 Cl(70g/リットル) pH :2.0 電流密度 :100A/dm2 温 度 :60℃ 流 速 :1.2m/sec めっき付着量:20g/m2 (Zn含有率:99.9
%)
【0060】上述しためっき処理工程において、アルカ
リ電解脱脂浴の安定性を次の様にして評価すると共に、
更に作製された電気亜鉛めっき鋼板について、めっき層
の結晶形態および外観均一性を実施例1と同様にして調
べた。 (アルカリ電解脱脂浴の安定性)上記金属イオンを添加
した場合のアルカリ電解脱脂浴の安定性を目視観察し、
下記のランク付けで評価した。 ◎:沈殿物が全く生じない ○:沈殿物が僅かに発生する △:沈殿物が少し発生 ×:沈殿物が著しく発生 得られた結果を表3〜4に併記する。
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】表3および4より次の様に考察できる。N
o.49〜72は、本発明の規定要件を全て満足する実
施例であり、アルカリ電解脱脂浴の安定性に優れると共
に、電解脱脂時の素地鋼板極性を陰極とした場合に得ら
れる亜鉛めっきの結晶は微細であり、外観の均一性にも
優れていた。
【0064】これに対して、No.73〜77は、アル
カリ性脱脂浴への金属イオンの添加量は本発明の範囲内
であるが、電解脱脂時の素地鋼板極性が常に陽極である
比較例であり、亜鉛めっき結晶の微細効果は全く認めら
れず、外観についても光沢ムラが生じた。
【0065】また、No.78〜95は、電解脱脂時の
素地鋼板極性を少なくとも一回は陰極とするものの、ア
ルカリ性脱脂浴への金属イオンの添加量が本発明の規定
要件外である比較例である。このうち、上記金属イオン
の添加量が本発明の下限値を下回る場合には、アルカリ
性脱脂浴の安定性には優れるものの、亜鉛めっき結晶の
微細化効果およびめっき後の外観均一性に劣る。また、
アルカリ性脱脂浴への金属イオンの添加量が本発明の上
限値を超える場合には、添加された金属イオンが水酸化
物、酸化物等の固体となって該樹脂浴中に沈殿するとい
う現象が認められた。
【0066】
【発明の効果】本発明の電気亜鉛めっき鋼板は以上の様
に構成されており、亜鉛めっきの結晶を均一に微細化す
ることができるので、めっき表面の部分的な色調変化を
著しく抑制し、均一な外観を有する鋼板が得られる。更
に、本発明の製造方法を用いることにより、従来の電気
亜鉛めっき設備をほとんど改良することなく、安価で且
つ簡便に、外観に優れた電気亜鉛めっき鋼板を製造し得
る様になった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気亜鉛めっき鋼板において、素地鋼板
    表面にCo,Ni,Cr,In,Sn,Sb,Tlおよ
    びPbよりなる群から選択される少なくとも1種の金属
    元素が総量として0.005〜520mg/m2 の付着
    量で下地層として形成されると共に、亜鉛結晶の配向性
    が下記式: 2.0≦(002)面の配向指数/(103)面の配向
    指数 を満足する様な亜鉛めっき層を有することを特徴とする
    電気亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 前記下地層の付着量が0.1〜100m
    g/m2 である請求項1に記載の電気亜鉛めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 Co,Ni,Cr,In,Sn,Sb,
    TlおよびPbよりなる群から選択される少なくとも1
    種の金属イオンを総量で0.05〜520ppm含有す
    るアルカリ性脱脂浴中で、鋼板を陰極として少なくとも
    1回の電解脱脂を行って下地層を形成する工程を経るこ
    とによって請求項1または2に記載の電気亜鉛めっき鋼
    板を得ることを特徴とする電気亜鉛めっき鋼板の製法。
  4. 【請求項4】 前記電解脱脂処理を行った後、いったん
    酸性液と接触させてから電気亜鉛めっきを施すものであ
    る請求項3に記載の電気亜鉛めっき鋼板の製法。
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