JP2001316860A - 美麗な電気亜鉛めっき鋼板とその製造方法 - Google Patents

美麗な電気亜鉛めっき鋼板とその製造方法

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Atsushi Yasui
淳 安井
Yoshihiro Kawanishi
義博 川西
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 母材に起因するめっきムラを軽減し、均一な
表面外観を呈する電気亜鉛めっき鋼板とその製造方法を
提供する。 【解決手段】 酸洗促進剤を含有する酸洗液を用いてめ
っき前酸洗することにより、粒内セメンタイト数 (結晶
粒内に存在するセメンタイト粒子の個数) が5個以下で
あり、かつ、幅方向の酸化皮膜厚のバラツキが50nm以下
とした冷延鋼板に電気亜鉛めっきを施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、均一性に優れた表
面外観を有し、特に家電製品などに用いられる表面処理
鋼板として最適な電気亜鉛めっき鋼板とその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】電気亜鉛めっき鋼板は、亜鉛のもつ犠牲
防食作用で優れた耐食性を示す。しかも亜鉛自体は鉄に
先んじて腐食されても、その錆は白色で目立ちにくく、
比較的外観が美麗である。従って、比較的目に付きやす
いところの使用が多く、近年ではこのような電気亜鉛め
っき鋼板にクロメートや有機樹脂を塗布して、家庭用電
気製品等の外板等にも多く使用されている。
【0003】このような状況の中、それに伴って外観品
質への要求が厳しくなり、これまで見過ごされてきた僅
かな外観のムラが無視できなくなりつつある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】電気亜鉛めっき鋼板の
めっき皮膜は、鋼板表面に析出した微細な亜鉛結晶を構
成単位としているが、個々の亜鉛結晶のサイズや結晶配
向が色調、特に明度 (L値) に影響を及ぼすことが知ら
れている。この、亜鉛結晶のサイズや結晶配向は、変動
しやすく部位によって色調が異なり、均一な外観が得ら
れにくいという傾向があった。
【0005】めっき母材鋼板の影響を受けずに表面外観
に優れた電気亜鉛めっき鋼板を製造する方法は、これま
でにも種々の方法が提案されている。特に、めっき母材
鋼板表面の酸洗方法を変化させることにより均一性に優
れた表面外観の電気亜鉛めっきを実現する方法について
も近年幾つかの方法が提案されてきている。
【0006】例えば、特開平7−331483号公報に開示さ
れている方法は、表面の平均結晶粒径が25μm以下の鋼
板を被めっき材として使用し,Ni、Co、Cu、Pbの1種ま
たは2種以上を100ppm以上含有する硫酸酸洗浴中に浸漬
して鋼板表面を10mg/m2 〜1g/m2溶解した後、電気亜鉛
めっきを行う方法である。この方法では、めっき母材鋼
板上の酸化膜厚みの薄い部分の酸洗は促進されるが、酸
化膜厚みの厚い部分の酸洗が促進されず、かえってムラ
の発生を助長する場合があり、特に鋼種やラインスピー
ド等の変化で酸洗条件が変化する実際の生産ラインでの
製造に適用するには不十分であった。また、酸洗は必ず
しも鋼板の全面で均一に起こるわけではないので、鋼板
表面の溶解量だけでは酸洗をコントロールできなかっ
た。
【0007】特開平8−104995号公報には、被めっき材
としての鋼板をめっき前の酸洗で酸洗減量が0.60g/m2
上となるように酸洗してからめっきすることを特徴とす
る外観の優れた電気亜鉛めっき鋼板の製造方法が開示さ
れているが、この方法でも同様に酸化膜厚みの厚い部分
の酸洗が促進されず、酸洗減量が確保できても、鋼板表
面全体で均一な酸洗減量が確保できず、かえってムラの
発生を助長する場合があり、特に鋼種やラインスピード
等の変化で酸洗条件が変化する実際の製造ライン適用す
るには不十分であった。
【0008】特開平9−59788 号公報に開示された方法
は、浴中でカチオンを形成する窒素含有有機化合物を50
〜3000ppm 含む酸洗浴を使って被処理鋼板を酸洗処理し
た後、電気亜鉛めっきを施す方法であり、この原理は、
酸洗液中にカチオンを形成する窒素含有有機化合物を含
有させることで、これらの化合物が酸洗後のめっき母材
鋼板表面の活性点に優先的に吸着し、めっき母材鋼板表
面の電析時の均一性を助長するというのである。しか
し、この方法ではめっき母材鋼板表面の酸化皮膜層を完
全に除去するわけではないので、酸化皮膜層の均一性が
著しく悪い、つまり酸化皮膜層の膜厚差が著しく大きい
場合には、ムラが発生することがあり、不十分であっ
た。
【0009】また、特開平10−152792号公報には、酸洗
浴中に酸洗減量低減剤を含有させることにより表面外観
に優れた電気亜鉛めっき鋼板を得る方法が記載されてい
る。この酸洗減量低減剤は酸洗減量を減少させる作用を
有する有機化合物である。
【0010】しかし、本発明者らの知見によれば、電気
亜鉛めっきの表面外観の均一性は、母材最表面の酸化皮
膜が存在したときに酸洗が不十分であると、充分に酸洗
されていて酸化皮膜等が完全に除去できている部分とそ
うでない部分との間で亜鉛の電析形態が異なり、この部
分がムラとなり目視で観察されるというものであり、上
述の方法のように酸洗減量を低減させてしまうと酸化皮
膜や成分の偏析層を完全に除去できない確率が増え、か
えってムラの発生頻度の増加に繋がるため好ましくない
と考えられる。
【0011】このように、従来から、酸洗量を規定した
各種方法が提案されているが、従来技術では鋼種によっ
て酸洗速度が異なり、均一な酸洗をすることが困難であ
った。
【0012】ここに、本発明の課題は、電気亜鉛めっき
のムラのない表面の美麗な電気亜鉛めっき鋼板とその製
造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】酸洗速度は、めっき母材
中のセメンタイト数に大きく影響され、セメンタイト数
が少ないと、酸洗速度が著しく減少し、かつ、局部的に
酸洗が促進される部分とされない部分が発生し、均一な
酸洗ができない。また、結晶粒界付近にセメンタイトが
大量に存在すると粒界選択エッチングが顕著になり、や
はり、マクロ的なムラを生じやすい。
【0014】先にも触れたように, 電気亜鉛めっき鋼板
に発生するムラの多くは、焼鈍以前の工程で生成しため
っき母材鋼板の最表面に生成している酸洗皮膜厚みの不
均一の影響を受け、この上の電析する亜鉛結晶の結晶形
態 (配向性) や結晶サイズが異なり、目視でムラとなっ
て観察される現象である。
【0015】従って、電気亜鉛めっきのムラをなくすた
めにはめっき母材鋼板最表層の酸化皮膜厚みの不均一性
をなくすことが効果的であるが、この不均一性を示す最
表層、つまり不均一層は主に電気亜鉛めっきラインの上
工程、つまり熱間圧延工程、(熱間圧延直後の) 酸洗工
程、冷間圧延工程、焼鈍工程等のいずれかの工程で生成
するもので、めっきして初めて目視で確認できる類のも
のも多く、極めてその発生部位の特定が難しく、従って
低減が困難である。
【0016】よって、これをなくすために最も好ましい
のは、めっき前の、具体的には焼鈍工程後の酸洗工程で
表面酸化皮膜を均一に除去するということになる。しか
しながら、電気亜鉛めっきの前処理工程の酸洗工程は本
来鋼板表面の活性化を目的としたもので、熱間圧延直後
の酸洗工程のようにスケールの除去を目的とするもので
はないため、数%の酸洗液にわずか数秒間浸漬されるに
すぎず、めっき母材鋼板最表層の酸化皮膜を充分に除去
できず、電気亜鉛めっきのムラの発生が避けられないの
が現状であった。
【0017】また、めっき母材鋼板最表層の酸化皮膜
は、一般的にめっき母材鋼板表面の鉄よりも酸との反応
性が弱いため、単に酸化皮膜の厚い部分が完全に除去で
きるまで酸洗を強化しただけでは、逆に酸化皮膜や成分
偏析層の薄い部分が過酸洗となってしまう。母材表面が
過酸洗となると鋼板表面の肌荒れや、酸焼けと呼ばれる
部分が発生してしまい、この上に電気亜鉛めっきを施す
と逆に肌荒れや、酸焼けの部分がムラとなってしまい、
好ましくなかった。
【0018】本発明者らは、かかる課題を解決すべく種
々検討を重ねた結果、電気亜鉛めっきで発生するムラの
大部分は、めっき母材鋼板最表面の酸化膜厚みの不均一
に起因し、めっきの前酸洗でこれらの除去が不十分であ
ると、電析亜鉛の結晶配向性や結晶粒度のムラとなるこ
とに着目した。亜鉛の結晶はその配向や結晶粒度により
光の反射率が異なるため、マクロ的に見るとこれをムラ
として捉えてしまう。
【0019】従って、このムラをなくすためには、めっ
き母材鋼板最表面の酸化皮膜厚みの不均一を、めっきの
前酸洗で十分に除去することが不可欠であるという結論
に至った。しかし、酸洗に要する時間が例えば30秒以内
という連続酸洗を考えると酸化皮膜の完全除去は困難で
あるそこで、本発明者らは、これの酸化皮膜層をいかに
均一にするかという方法について, また、どこまで均一
にすれば電気亜鉛めっきの表面外観に影響を与えないか
を種々検討した結果、電析亜鉛の結晶配向性に影響を与
えない母材冷延鋼板の表面構造と電気めっき前の酸化物
皮膜の厚みのバラツキとに臨海性が存在することを見い
出し、酸化皮膜を均一に酸洗する方法についても知見を
得、極めて効果的に電気亜鉛めっき鋼板の表面外観不良
を防止することが可能であることを見いだし、本発明を
成すに至った。
【0020】すなわち、本発明は、少なくとも一方の面
に電気亜鉛めっきが施された電気亜鉛めっき鋼板におい
て、電気めっきを施される冷延鋼板の粒内セメンタイト
数が5個以下であり、かつ冷延鋼板の幅方向の酸化皮膜
厚のバラツキが50nm以下の冷延鋼板の直上に電気亜鉛め
っきが施されている美麗な電気亜鉛めっき鋼板である。
【0021】別の面からは、本発明は、電気亜鉛めっき
の前酸洗処理において酸化皮膜に対して還元作用を有
し、酸化皮膜が溶解除去可能な酸洗促進剤を含有する酸
洗液を用いてめっき前酸洗することを特徴とする電気め
っきを施される冷延鋼板の粒内セメンタイト数が5個以
下であり、かつ冷延鋼板の幅方向の酸化皮膜厚のバラツ
キが50nm以下の冷延鋼板の直上に電気亜鉛めっきが施さ
れている美麗な電気亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【0022】また、酸化皮膜に対して、還元作用を有す
る酸洗促進剤としてエチレングリコールジチオグリコレ
ートおよび 1,4−ブタンジオールジチオプロピネートの
1種または2種の混合物を添加した酸洗液にて、めっき
前酸洗を実施することが望ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。電気亜鉛めっきで発生するムラの大
部分は、めっき母材鋼板最表面の酸化膜厚みの不均一に
起因し、めっきの前酸洗でこれらの除去が不十分である
と電析亜鉛の結晶配向性や結晶粒度のムラとなる。亜鉛
の結晶はその配向や結晶粒度により光の反射率が異なる
ため、マクロ的に見るとこれをムラとして捉えてしま
う。
【0024】従って、このムラをなくすためにはめっき
結晶の配向性や結晶粒度のムラを可能な限りなくすこと
が不可欠であり、従来は、可及的速やかにめっき母材鋼
板最表面の酸化皮膜を除去することを考えていた。しか
し、本発明にあっては、酸化皮膜の厚みの不均一だけを
めっきの前酸洗で十分に解消することでムラの除去を図
ろうとするのである。
【0025】通常これらの酸化皮膜は薄いところで100
nm、厚いところでは500 nm程度付着している。この部分
を通常の電気亜鉛めっきラインのめっき前酸洗と同じ条
件 (例えば50℃の5%硫酸で10秒) で酸洗すると、酸化
皮膜が除去できた部分と、除去できなかった酸化皮膜部
分との間で亜鉛配向性の比率が変化し表面ムラになる。
【0026】したがって、従来のように単に酸洗を強化
しただけでは酸化皮膜の薄い部分で過酸洗による肌荒れ
や酸焼けといった現象が発生し、ムラを助長してしまう
ことに繋がる。
【0027】そこで、本発明では、セメンタイト数が少
ないと、酸洗速度が著しく減少し、かつ、局部的に酸洗
が促進される部分とされない部分とが発生し、均一な酸
洗ができないという問題があるが、むしろ粒内セメンタ
イト数を5個以下と低限するとかえって酸化皮膜の厚さ
の小さい部分の酸洗が抑制され均一化が促進する。
【0028】さらに、酸化皮膜を溶解除去できる酸洗促
進剤を使用することでそのような作用は強化される。本
発明者らは鋼板の酸化皮膜の厚さのバラツキがどの部位
でも50nm以下であれば、電析亜鉛の結晶配向性や結晶粒
度のムラは発生せず、電気亜鉛めっき鋼板のムラは発生
しないという知見を得た。酸化皮膜のバラツキが50nmを
越えると、析出電析亜鉛の結晶配向性や結晶粒度が異な
る理由は、詳細には不明であるが、鋼板表面の電気抵抗
が異なることにより、析出電析亜鉛の形態が変わるため
でないかと推定される。
【0029】また、本発明によれば、めっき前の酸洗工
程において、酸化皮膜厚のバラツキがどの部位でも50nm
以下の酸化皮膜の鋼板を製造する方法として、酸化皮膜
を還元し、溶解除去可能な酸洗促進剤を含有する酸洗液
を用いて酸洗する。
【0030】酸化皮膜を還元し、溶解除去可能な酸洗促
進剤を含有する酸洗液で酸洗しためっき母材鋼板は、酸
化皮膜の厚い部位が優先的に酸洗されるため、どの部位
でも50nm以下の均一な厚みの酸化皮膜が得られ、酸化皮
膜の薄い部分で過酸洗による肌荒れや酸焼けといった現
象も発生しない。
【0031】従って、この上に電気亜鉛めっきが施され
てもムラが発生せず、表面外観の均一な電気亜鉛めっき
鋼板が得られる。さらに、この効果は酸洗速度が遅く不
均一な酸洗ムラを生じやすい、粒内セメンタイト数が5
個以下である材料に対し有効である。ここでいう粒内セ
メンタイト数は結晶粒内のセメンタイトの個数と定義さ
れる。粒内セメンタイト数が5個を越える場合には、本
来酸洗速度が速く、粒界選択エッチチングが顕著にな
り、やはり、マクロ的なムラを生じやすいため5個を上
限とする。
【0032】ここに、粒内セメンタイト数の測定法は特
に制限されないが、例えば酸エッチング等の手段によ
り、結晶粒界および結晶粒内セメンタイトの確認を可能
にした状態の鋼板を鋼板の圧延板面に垂直な方向からみ
た際の表層研磨面を光学顕微鏡により500 倍程度の倍率
で観察して計測すればよい。
【0033】従って、本発明において酸洗液に含有され
る酸化皮膜に対する酸洗促進剤は、酸化皮膜の優先的な
除去を目的とするもので、この目的が達せられさえすれ
ば良く、酸洗減量については特に規定されず、酸化皮膜
を還元し、溶解除去可能な酸洗促進剤を添加していない
酸洗液に比べ同一条件での酸洗で酸洗減量は増加しても
減少しても良い。
【0034】酸化皮膜を還元し、溶解除去可能な酸洗促
進剤としては、還元性を有する有機物、無機物に関わら
ずどのようなものでも良く、特に限定されないが、熱延
鋼板のミルスケールを溶解除去する際に適用される酸洗
促進剤が、めっき前の酸洗液中に添加しても非常に効果
的であることを見い出した。特に、特開平5−255874号
公報に記載のもので、エチレングリコールジチオグリコ
レートもしくは1,4 ブタンジオールジチオプロピネート
あるいはこれらの混合物が最も効果的であり、好まし
い。
【0035】また酸洗液中に酸化皮膜に対する酸洗促進
剤の酸化皮膜の局所的過酸洗を抑制する助剤として適当
な有機酸類、チオ尿素類等を含有していても良い。さら
に、この酸洗液で酸洗後は直ちに水洗した後、電気亜鉛
めっきが施されるが、この水洗は通常の電気亜鉛めっき
時に施されるもので良く、何ら限定されるものではな
い。
【0036】酸洗が施される工程は電気めっきの直前が
好ましいが、焼鈍後であれば良く、特に限定されない。
ただし、酸洗後は直ちに水洗を施す。電気亜鉛めっきに
関しても公知の方法でよく限定されない。
【0037】この方法で得られた電気亜鉛めっき鋼板を
このまま使用することも可能であるが、その上層には使
用の目的に応じてクロメート処理やリン酸亜鉛処理等の
処理を施しても良いし、さらにその上層に有機樹脂皮膜
や無機潤滑皮膜等の皮膜を設ける処理をしても良い。
【0038】酸洗液の主成分として用いられる酸成分
は、特に限定されず、常用のものを用いることができ
る。硫酸、塩酸、硝酸等が挙げられる。酸洗液中の酸濃
度、温度は限定されず、特に通常の電気めっき前酸洗と
して使用されている酸濃度 (5〜500 g/l)、温度 (常温
〜80℃) の範囲内なら良い。酸洗時の電解の有無にも特
に限定されず、無通電でも良いし、直接および間接通電
でも良い。
【0039】酸洗処理の時間も限定されないが、通常の
電気亜鉛めっきラインであれば、ラインスピードで一義
的に決まるため、通常 0.5〜30秒の範囲である。また、
酸洗液は酸洗により鋼板表面からの鉄や不純物等が溶出
するが、これらを含有していても良く、その量は特に限
定されない。
【0040】酸洗液中へ、過剰の酸洗を抑制するため
に、インヒビターを添加したり、電気亜鉛めっき鋼板の
結晶析出サイトを多くするために、金属イオンを添加も
しくは置換析出させてもよい。
【0041】
【実施例】めっき用母材には、連続焼鈍を施した冷延鋼
板 (コイルを半裁して、片方を実際の生産ラインで電気
亜鉛めっきを実施して、実際に全長、全幅に渡るスジ状
や水玉状のムラが発生するのを確認した鋼板、板幅は10
00mm) を使用した。
【0042】この鋼板で幅方向に幅100mm のサイズに10
等分し、アルカリ脱脂、酸洗、および電気亜鉛めっきを
行った。酸洗は、所定の酸化皮膜に対して還元作用を有
し、酸化皮膜が溶解除去可能な酸洗促進剤を含有する酸
洗液を使って行った。酸洗後の酸化皮膜の厚さは10〜20
0nm の範囲にあった電気亜鉛めっきは、酸洗後、Znイオ
ン80g/l 、Feイオン2g/l 、ボウ硝80g/lを含む硫酸酸
性めっき浴 (pH=1.8)にて、電流密度50A/dm2 、浴温50
℃±5℃、付着量20g/m2で行った。
【0043】めっきは各条件で100 枚めっきし、目視で
ムラが確認できたサンプルの個数を算出し、ムラ発生率
として記録し、ムラ発生率10%以下を評価良好 (○) 、
5%以下を非常に良好 (◎) 、11%以上を不芳 (×) と
した。
【0044】粒内セメンタイトの計測は光学顕微鏡によ
り行った。酸化皮膜厚の分析は酸洗後の鋼板を適当なサ
イズに切断し、鋼板表層よりX線光電子分光法(XPS) に
よる分析で、鋼板表面をスパッタリングしながら酸素と
鉄の原子%を分析し、酸素の原子%が1%以下となるま
でスパッタリング時間を求め、スパッタリング速度より
酸化皮膜厚を測定した。
【0045】幅方向の酸化皮膜厚のバラツキは幅方向に
幅100mm のサイズに10等分したそれぞれの板の酸化皮膜
厚を分析し、最大値と最小値の差を幅方向の酸化皮膜厚
のバラツキとした。
【0046】結果は表1にまとめて示す。酸化皮膜厚バ
ラツキとムラ発生率との関係を図1にグラフで示す。こ
れらの結果から明らかなように、本発明にかかる電気亜
鉛めっき鋼板はいずれも表面外観に優れるものである。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、簡便
な手段でもって美麗な電気亜鉛めっき鋼板を得ることが
でき、本発明は工業的に極めて価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】幅方向の酸化皮膜厚バラツキとムラ発生率の関
係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C22C 38/00 301 C22C 38/00 301T Fターム(参考) 4K024 AA05 BA03 BB18 BC01 DA03 GA02 4K053 PA02 PA12 QA01 RA15 RA16 RA19 RA31 RA40 RA63 RA69 TA03 TA04 TA09 TA12 TA16 TA18

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶粒内に存在するセメンタイト粒子の
    個数が5個以下であり、かつ、幅方向の酸化皮膜厚のバ
    ラツキが50nm以下の冷延鋼板に電気亜鉛めっきが施され
    て成る美麗な電気亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 電気亜鉛めっきの前酸洗処理において、
    酸化皮膜に対して還元作用を有し、酸化皮膜が溶解除去
    可能な酸洗促進剤を含有する酸洗液を用いてめっき前酸
    洗することを特徴とする請求項1記載の美麗な電気亜鉛
    めっき鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 結晶粒内に存在するセメンタイト粒子の
    個数が5個以下である冷延鋼板に対して、酸洗促進剤を
    含有する酸洗液を用いてめっき前酸洗することを特徴と
    する請求項1記載の美麗な電気亜鉛めっき鋼板の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記酸洗促進剤が、エチレングリコール
    ジチオグリコレートおよび 1,4−ブタンジオールジチオ
    プロピネートの1種または2種の混合物である請求項2
    または3記載の美麗な電気亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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