JPH11279772A - 耐黒変性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

耐黒変性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板及びその製造方法

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JPH11279772A
JPH11279772A JP10215698A JP10215698A JPH11279772A JP H11279772 A JPH11279772 A JP H11279772A JP 10215698 A JP10215698 A JP 10215698A JP 10215698 A JP10215698 A JP 10215698A JP H11279772 A JPH11279772 A JP H11279772A
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hot
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JP10215698A
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Takayuki Urakawa
隆之 浦川
Kotaro Okamoto
幸太郎 岡本
Masaru Sagiyama
勝 鷺山
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐黒変性及び耐食性等に優れ且つ特別な条件
でクロメート処理を行うことなく製造が可能な溶融亜鉛
系めっき鋼板を提供する。 【解決手段】 溶融亜鉛系めっき表面に、pH8以上1
1未満の弱アルカリ性溶液中にNiイオン及びCoイオ
ンの1種または2種を合計で0.01〜5g/Lの割合
で添加した処理液を接触させることにより析出した金属
Ni及び金属Coの1種または2種からなる合計付着量
が0.01〜5mg/m2の析出金属層を有し、さらに
その上層にクロメート皮膜を有することを特徴とし、好
ましくは弱アルカリ性溶液としてピロリン酸ナトリウム
系溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液若しくは
これらの混合溶液を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、黒変現象を生じ
にくいクロメート処理溶融亜鉛系めっき鋼板及びその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶融亜鉛系めっき鋼板が無塗装で使用さ
れる場合、一般にめっき表面にクロメート処理が施され
る。このクロメート処理によって亜鉛系めっき鋼板の耐
食性は著しく改善されるが、高温湿潤環境下における保
管中に表面の一部または全面が灰白色または褐色に変色
する、いわゆる黒変現象を生じることがあり、商品価値
を著しく低下させる。
【0003】黒変現象は亜鉛表面の腐食現象であり、そ
の発生傾向は亜鉛表面状態に依存する。例えば、表面を
平滑化するためのスキンパスの実施により黒変の発生は
促進されるが、これはスキンパスによって部分的に表面
酸化膜が除去されて活性な亜鉛面が露出し、局部電池が
形成されて腐食が促進されるためであると考えられてい
る。また、通常めっき表面に存在するアルミニウム酸化
物はクロメート反応を阻害するため、局所的な酸化物濃
度差によりクロメート皮膜厚に差が生じ、黒変の発生が
促進されると考えられている。
【0004】このような黒変現象の発生メカニズムから
して、黒変の防止には亜鉛めっき表面をクロメート反応
が均一に生じるようにし、さらに表面の腐食性を低減さ
せることが有効であると考えられ、従来、これを実現す
るための以下のような技術が開示されている。
【0005】(1) 特公平3−49982号には、亜鉛ま
たは亜鉛合金系の溶融めっきをNiイオン、Coイオン
を含有するpH1〜4の酸性液若しくはpH11〜1
3.5のアルカリ液で処理し、めっき表面にNiまたは
Coを0.3〜15mg/m2付着させて耐黒変性を改
善させる技術が開示されている。周知のようにNi、C
oは両性金属であり、水和状態では上記の酸性液または
アルカリ液中でのみイオンとして安定に存在し得るた
め、必然的に処理液pHが限定されている。
【0006】(2) 特開平2−267279号には、亜鉛
または亜鉛合金系めっきの表面をFeイオン、Niイオ
ン、Coイオンとこれらのイオンを錯化させる有機錯化
剤とを含有する処理液で処理した後にクロメート処理す
る技術が開示されている。また、その実施例には、グル
コン酸を含有するpH5.5〜8.0の処理液を用いて
めっき表面に1.8〜18mg/m2のFe、Ni、C
oを析出させた後、クロメート処理を施して得られた溶
融亜鉛めっき鋼板が優れた耐黒変性を有することが示さ
れている。
【0007】(3) 特開昭61−110777号には、溶
融亜鉛めっき鋼板をpH9〜12のアルカリ溶液で洗浄
して表面のAlを溶解し、次いでNiを1〜5mg/m
2の付着量で析出させた後にクロメート処理を行う方法
(第一の方法)、NiイオンとNa2CO3及びNH4
lを含有するpH12の処理液で表面のAl除去とNi
析出とを同時に行った後にクロメート処理を行う方法
(第二の方法)が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の従来技
術には以下のような問題がある。上記(1)の従来技術で
は、処理液pHや処理液成分によりNi、Coの析出状
態が支配され、その状態により耐黒変性の改善効果が大
きく変化するという問題がある。本発明者等はこの従来
技術の方法に従い、酸性液及びアルカリ液を用いて溶融
亜鉛めっき表面にNiを析出させる試験を行った。その
結果、酸性液を用いて処理した場合にはめっき表面への
Niの析出は認められたが、耐黒変性の改善効果は不十
分であり、耐食性も劣った。この処理材についてめっき
表面のNi、Co析出状態を調査した結果からして、こ
のように耐黒変性や耐食性が劣るのは、めっき表面に析
出したNi、Coの分布が不均一であり、これらが部分
的に偏析しているためクロメート皮膜の形成が不均一と
なり、黒変現象を含めた腐食反応が進行しやすくなった
ためであると考えられる。一方、アルカリ液、例えばp
H13.2の水酸化ナトリウム系溶液を用いて処理した
場合には、十分な量のNi析出は得られなかった。
【0009】上記(2)の従来技術は、処理液にグルコン
酸やその他の有機添加剤を比較的多量に含有し、且つ処
理液中のZnイオンが安定な錯体を形成しているため、
廃液処理に大きな問題がある。上記(3)の従来技術のう
ちの第一の方法は、処理工程が2工程であるために設備
費や設備スペースの面で問題がある。また、第二の方法
ではそのような問題は生じないものの、本発明者らがこ
の方法に従い試験を行なった結果では、十分な量のNi
析出は得られなかった。
【0010】したがって本発明の目的は、耐黒変性に優
れるとともに、耐食性等の他の性能にも優れ、しかも特
別な条件でクロメート処理を行うことなく製造が可能な
溶融亜鉛系めっき鋼板及びその製造方法を提供すること
にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、溶融亜鉛
系めっき表面にNi,Coを析出させ、黒変現象を効果
的に抑制できる方法に関して鋭意検討を重ねた結果、p
H8以上11未満の弱アルカリ性溶液中にNiイオン,
Coイオンを適量添加した処理液によるNi,Coの析
出処理が黒変防止に極めて有効であること、また、この
ようなNi,Coの析出処理に用いる弱アルカリ性溶液
としてピロリン酸ナトリウム系溶液およびトリポリリン
酸ナトリウム系溶液若しくはこれらの混合溶液が極めて
好適であることを見い出した。
【0012】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴は以下の通りである。 [1] 溶融亜鉛系めっき表面に、pH8以上11未満の弱
アルカリ性溶液中にNiイオン及びCoイオンの1種ま
たは2種を合計で0.01〜5g/Lの割合で添加した
処理液を接触させることにより析出した金属Ni及び金
属Coの1種または2種からなる合計付着量が0.01
〜5mg/m2の析出金属層を有し、さらにその上層に
クロメート皮膜を有することを特徴とする耐黒変性に優
れた溶融亜鉛系めっき鋼板。
【0013】[2] 溶融亜鉛系めっきを施した鋼板を、p
H8以上11未満の弱アルカリ性溶液中にNiイオン及
びCoイオンの1種または2種を合計で0.01〜5g
/Lの割合で添加した処理液と接触させることにより、
めっき表面に金属Ni及び金属Coの1種または2種を
合計で0.01〜5mg/m2析出させ、しかる後、ク
ロメート処理を施すことを特徴とする耐黒変性に優れた
溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
【0014】[3] 上記[2]の製造方法において、弱アル
カリ性溶液がピロリン酸ナトリウム系溶液またはトリポ
リリン酸ナトリウム系溶液若しくはこれらの混合溶液か
らなることを特徴とする耐黒変性に優れた溶融亜鉛系め
っき鋼板の製造方法。 [4] 上記[2]または[3]の製造方法において、弱アルカリ
性溶液中にNiイオン及びCoイオンの1種または2種
を合計で0.01〜0.25g/Lの割合で添加したこ
とを特徴とする耐黒変性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板
の製造方法。 [5] 上記[2]〜[4]のいずれかの製造方法において、めっ
き表面に金属Ni及び金属Coの1種または2種を析出
させる処理を、クロメート処理の前処理として行われる
表面調整処理と同時に行うことを特徴とする耐黒変性に
優れた溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】黒変現象は亜鉛めっき表面の酸化
現象であると考えられるため、その抑制には亜鉛めっき
表面の改質が有効であろうことが比較的容易に予測さ
れ、また、めっき表面にNi,Coが存在することによ
り耐黒変性が改善されることから、亜鉛めっき表面にN
i,Coを析出させることにより耐黒変性が改善できる
であろうことが予測される。このため従来技術において
は、処理方法は問わず亜鉛めっきの表面にNi,Coを
析出させさえすれば耐黒変性は改善されるものと考えら
れてきたが、本発明者らによる検討の結果、実際には以
下に述べるような極く限られた処理条件でNi,Coの
析出処理を行った場合にのみ耐黒変性の改善が可能であ
ることが判った。
【0016】先に述べたようにNi,Coは両性金属で
あるため、NiイオンやCoイオンは酸性液または強ア
ルカリ液中でより大きい溶解度を持つ。このため従来の
Ni,Coの析出処理では、酸性溶液または強アルカリ
性溶液を用いて処理を行うのが常法となっている。しか
し、先に述べたように本発明者らが酸性溶液と強アルカ
リ性溶液をそれぞれ用いて溶融亜鉛めっき表面にNi,
Coを析出させる実験を行った結果では、酸性溶液で処
理を行った場合にはNi,Coの析出が確認されるもの
の、Ni,Coの析出が不均一であるために耐黒変性の
改善効果が不十分であり、また耐食性も劣ることが判っ
た。一方、強アルカリ性溶液(例えば、水酸化ナトリウ
ム系溶液)で処理を行った場合には、十分な量のNi析
出は得られなかった。
【0017】そこで、本発明者らは中性ないし弱アルカ
リ性処理液を用いてNi,Coを析出させる検討を行っ
た。従来、このようなpH領域ではNiイオン等はほと
んど溶解できないと考えられており、したがって、従来
においてはこのようなpH領域の処理液を用いたNi,
Coの析出処理は検討対象とされていなかった。これに
対して本発明者らは、pH8以上11未満の弱アルカリ
性溶液中にNiイオン,Coイオンを適量添加した処理
液を用いてNi,Coの析出処理を行うことが黒変防止
に極めて有効であり、且つ耐食性の向上にも有効である
こと、また、このようなNi,Coの析出処理に用いる
弱アルカリ性溶液としてピロリン酸ナトリウム系溶液ま
たはトリポリリン酸ナトリウム系溶液若しくはこれらの
混合溶液が好適であり、これらの溶液中にはNiイオ
ン,Coイオンが高濃度に溶解でき、めっき表面に十分
な量のNi,Coを析出させることができることを見い
出した。
【0018】以下、本発明の詳細とその限定理由を説明
する。本発明では、溶融亜鉛系めっきを施した鋼板のめ
っき表面に対して、Niイオン及びCoイオンの1種ま
たは2種が所定の濃度で添加され且つ弱アルカリ性の特
定のpHに調整された処理液を接触させる処理(以下、
“Ni,Co析出処理”という)を施すことにより、め
っき表面に特定の付着量で金属Ni及び金属Coの1種
または2種を析出させ、しかる後クロメート処理を行っ
てクロメート皮膜を形成させる。
【0019】本発明が対象とする溶融亜鉛系めっき鋼板
には亜鉛めっきまた亜鉛合金めっき系の溶融めっき鋼板
が含まれ、このようなめっき鋼板としては、溶融亜鉛め
っき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛−アル
ミニウム合金めっき鋼板(例えば、溶融Zn−5%Al
合金めっき鋼板)等が挙げられる。
【0020】クロメート処理に先立って、Ni,Co析
出処理を行うための処理液は、pHが8以上11未満の
弱アルカリ性であることが必要である。処理液のpHが
8未満ではNiやCoの析出は起るものの、これらの析
出が不均一になるため耐黒変性は改善されず、耐食性も
劣る。一方、処理液のpHが11以上では、事実上めっ
き表面にNiやCoを析出させることができない。この
ようなpH11以上の領域ではNi、Coが処理液中に
安定に存在し、亜鉛との置換めっき反応が生じにくいた
め、Ni、Coが析出しないものと考えられる。
【0021】このような弱アルカリ性処理液のベースと
なる溶液(水溶液)としては、ピロリン酸ナトリウム系
溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液若しくはこ
れらの混合溶液を用いることが好ましく、このような溶
液を用いることにより、上記のpHの領域を確保しつ
つ、下記するような所望の濃度のNiイオン、Coイオ
ンを溶解させることができる。処理液はピロリン酸ナト
リウム及びトリポリリン酸ナトリウムの1種または2種
を合計で5〜30g/L程度の割合で含むことが好まし
い。これらの添加量が5g/l未満では本来の表面調整
効果が不十分となり、クロメート処理のムラを生じやす
くなる。また、Znの溶解速度が遅くなり、所定量のN
i、Coを析出させるのに必要な時間が長くなる。一
方、添加量が30g/lを超えるとZnの溶解速度が速
くなるためZnが過剰に溶解し、表面調整液の廃棄量が
増加してコスト高となる。
【0022】処理液中のNiイオン及びCoイオンの濃
度は、それらの1種または2種の合計で0.01〜5g
/Lとする。Niイオン及びCoイオンの1種または2
種の濃度の合計が0.01g/L未満では、これら金属
の所望の析出量を確保することができず、一方、5g/
Lを超えるとクロメートの付着量が大きく低下して所定
の耐食性を発揮できなくなる。また、特に耐食性を重視
する場合にはNiイオン及びCoイオンの1種または2
種の濃度の合計は0.25g/L以下とすることが好ま
しい。通常、処理液中へのNiイオン、Coイオンの供
給は、これら元素を含む硫酸塩を処理液に溶解させるこ
とにより行なうが、他の塩類を用いてもよい。
【0023】以上のようなNi,Co析出処理によって
めっき表面に金属Ni及び金属Coの1種または2種を
析出させるが、その析出量は金属Ni及び金属Coの1
種または2種の合計で0.01〜5mg/m2とする。
析出量が0.01mg/m2未満では優れた耐黒変性が
得られず、一方、5mg/m2を超えると耐食性が劣化
してしまう。また、析出量が0.01〜5mg/m2
範囲でも、析出量が0.25mg/m2を超えると耐食
性がやや低下する傾向があり、したがって、特に耐食性
を重視する場合には析出量を0.25mg/m2以下に
することが好ましい。めっき表面に処理液を接触させる
方法としては、浸漬処理、スプレー処理等が好適であ
る。
【0024】一般にクロメート処理亜鉛めっき鋼板を製
造する場合には、クロメート処理の前処理としてめっき
表面を弱アルカリ性溶液(通常、ピロリン酸ナトリウム
系溶液)に接触させ、めっき液残渣の中和とクロメート
皮膜を均一に生成させるために表面の酸化物を除去する
ことを目的とした表面調整処理が行われるが、上記のN
i、Co析出処理はこの表面調整処理と同時に行うこと
ができる。具体的には、亜鉛系めっき鋼板が表面調整液
に接触すると表面のZn酸化物が溶解するが、同時にZ
nも溶解し(Zn→Znイオン+2e)、このZnの溶
解により生じた電子によりNi、Coが置換析出(Ni
イオン+2e→Ni)する。このように表面調整処理を
行いながら同時にNi、Co析出処理を行う方法は、N
i、Coを析出させるための特別な処理槽や処理装置を
必要としない点で極めて有利な処理方法である。
【0025】以上のようなNi,Co析出処理を行なっ
た後、クロメート処理を行ない、めっき表面に析出した
析出金属層(Ni,Co)の上層にクロメート皮膜を形
成させる。このクロメート処理条件に特別な制約はな
く、従来行なわれている一般な条件でよい。
【0026】
【実施例】下記(1)に示す(A)または(B)の溶融亜
鉛系めっき鋼板に対して、表1及び表2に示す処理液を
用いてNi,Co析出処理を行った後、下記(2)に示す
(X)または(Y)の条件でクロメート処理を行い、処
理後の溶融亜鉛系めっき鋼板について下記(3)及び(4)の
試験条件で耐黒変性と耐食性を評価した。その結果をN
i,Co析出処理およびクロメート処理条件とともに表
1及び表2に示す。
【0027】(1) 溶融亜鉛系めっき鋼板 (A):溶融亜鉛めっき鋼板(ミニマイズドスパングル
ノンクロメート材) めっき目付量(g/m2):90/90(表/裏) スキンパス伸長率:1.5% (B):溶融Zn−5%Al合金めっき鋼板(ガルファ
ン) めっき目付量(g/m2):90/90(表/裏) スキンパス伸長率:1.5%
【0028】(2) クロメート処理条件 (X):シリカ含有塗布型クロメート処理 SiO2/Cr=3〜4(固形分重量比) (Y):反応型クロメート処理
【0029】(3) 耐黒変性(黒変試験) 試料となるめっき鋼板を積み重ねた状態で50℃、95
%RHの湿潤試験を60日間行い、この湿潤試験前後の
試料表面の白色度をJIS Z 8730に準拠したLa
b系で測定し、湿潤試験前後での白色度の変化量(Δ
L)を求め、以下の評価基準により評価した。 ○:ΔL≧−2(優れる) ×:ΔL<−2(劣る)
【0030】(4) 耐食性 JIS Z 2371に準拠したSSTを実施し、白錆発
生までの時間で評価した。その評価基準は以下の通りで
ある。 ・シリカ含有塗布型クロメート処理材; ◎:120時間以上(優れる) ○:72時間以上、120時間未満(許容範囲内) ×:72時間未満(劣る) ・反応型クロメート処理材; ◎:12時間以上(優れる) ○:8時間以上、12時間未満(許容範囲内) ×:8時間未満(劣る)
【0031】表1及び表2によれば、本発明例1〜21
はいずれも良好な耐黒変性が得られている。これに対し
て比較例1〜5はいずれも耐黒変性が劣っている。これ
ら比較例のうち、比較例1はpH12のアルカリ性処理
液で処理を行ったものであり、めっき表面にNiが析出
していない。このpH領域ではNiはHNiO2イオン
の形で安定に存在していると考えられることから、亜鉛
との実質的な置換めっき反応が起こらなかったものと考
えられる。
【0032】比較例2,3は弱酸性液で処理を行った場
合であり、NiやCoの析出は生じてはいるものの、耐
黒変性、耐食性ともに劣っている。このように十分なN
i,Co析出量が得られているにも拘らず耐黒変性、耐
食性が劣っているのは、上述したようにNi、Coが不
均一に析出しているためであると考えられる。比較例4
はNi、Coを析出させない場合であり、通常の処理に
相当するが、耐黒変性は劣っている。また、比較例5は
処理液中へのNiイオンの添加量が0.01g/L未満
の例であり、Ni析出量が少ないために耐黒変性が十分
に改善されていない。
【0033】また、本発明例1〜22の耐食性はいずれ
も許容範囲内にあるが、耐食性はNi,Co析出量が少
ないほど良好である。すなわち、Ni,Co析出量が
0.25mg/m2以下ではNi,Coが析出しない場
合と同等の耐食性が得られるが、Ni,Co析出量が
0.25mg/m2を超えると耐食性はやや低下してい
る。したがって、特に耐食性を重視する場合には、N
i,Co析出量を0.25mg/m2以下にすることが
好ましいことが判る。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、特別
な条件でクロメート処理を行うことなく、耐黒変性に優
れ、且つ耐食性等の他の性能にも優れた溶融亜鉛系めっ
き鋼板を得ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融亜鉛系めっき表面に、pH8以上1
    1未満の弱アルカリ性溶液中にNiイオン及びCoイオ
    ンの1種または2種を合計で0.01〜5g/Lの割合
    で添加した処理液を接触させることにより析出した金属
    Ni及び金属Coの1種または2種からなる合計付着量
    が0.01〜5mg/m2の析出金属層を有し、さらに
    その上層にクロメート皮膜を有することを特徴とする耐
    黒変性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 溶融亜鉛系めっきを施した鋼板を、pH
    8以上11未満の弱アルカリ性溶液中にNiイオン及び
    Coイオンの1種または2種を合計で0.01〜5g/
    Lの割合で添加した処理液と接触させることにより、め
    っき表面に金属Ni及び金属Coの1種または2種を合
    計で0.01〜5mg/m2析出させ、しかる後、クロ
    メート処理を施すことを特徴とする耐黒変性に優れた溶
    融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 弱アルカリ性溶液がピロリン酸ナトリウ
    ム系溶液またはトリポリリン酸ナトリウム系溶液若しく
    はこれらの混合溶液からなることを特徴とする請求項2
    に記載の耐黒変性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 弱アルカリ性溶液中にNiイオン及びC
    oイオンの1種または2種を合計で0.01〜0.25
    g/Lの割合で添加したことを特徴とする請求項2また
    は3に記載の耐黒変性に優れた溶融亜鉛系めっき鋼板の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 めっき表面に金属Ni及び金属Coの1
    種または2種を析出させる処理を、クロメート処理の前
    処理として行われる表面調整処理と同時に行うことを特
    徴とする請求項2、3または4に記載の耐黒変性に優れ
    た溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100361044B1 (ko) * 2000-06-07 2002-11-18 신용 신규 금속관의 청정제 및 그 제조방법
KR100361045B1 (ko) * 2000-06-07 2002-11-18 신용 규산염을 주성분으로 하는 액체형태의 금속관의 청정제 및그 제조방법

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KR100361044B1 (ko) * 2000-06-07 2002-11-18 신용 신규 금속관의 청정제 및 그 제조방법
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