JP4393349B2 - リン酸塩処理性および塗装後の耐塩温水性に優れた冷延鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車車体、家電製品、建築材料等の用途に使用される冷延鋼板に関するものであり、特にユーザにてリン酸塩処理や塗装処理を施して使用される用途に最適な冷延鋼板に関するものである。
自動車、家電、建材等の分野において、板厚が1mm程度の薄鋼板が広く使用されている。こうした薄鋼板は、そのままの状態では錆びやすく、美観や構造強度が短期間に劣化するので、亜鉛めっき処理や塗装処理を施して使用されるのが一般的である。
鋼板に塗装を施す際には、素地鋼板表面に直接に塗装を施すと塗装密着性や塗装後の耐食性が良好に発揮されず、また使用中に塗膜が剥離したり、塗膜疵の発生、端面から塗膜に膨れが発生したりするので、こうした不都合を防止するという観点から鋼板の下地処理としてリン酸塩処理を行うのが一般的である。
上記リン酸塩処理とはリン酸系の溶液中にて被処理材を浸漬して反応させ、その表面にリン酸塩系の皮膜を形成する処理方法(化成処理法)である。こうしたリン酸塩処理では、形成されるリン酸塩の種類に応じて、リン酸亜鉛処理、リン酸鉄処理、リン酸マンガン処理、リン酸カルシウム処理等が目的に応じて選択されることになるが、自動車車体等の下地用としては、通常リン酸亜鉛処理が施される。
ところで、冷延鋼板においては、その成分や表面状態によってはリン酸塩処理が正常に実施できず、リン酸塩結晶が粗大になったり、甚だしい場合には、リン酸塩結晶が鋼板表面を被覆できず部分的に素地鋼板が露出した、いわゆる「スケ」が生じることがある。そして、このようなリン酸塩処理の不良が発生すると、塗装後の特性も劣化することになる。こうしたことから、鋼板とりわけ美麗な表面が特徴である冷延鋼板においては、そのリン酸塩処理性は塗装後の特性を確保する上で重要な特性として重要視されている。
塗装後の特性としては、耐水密着性、耐塩水噴霧性、耐塩温水性などで評価されるのが通常である。このうち耐水密着性とは、塗装後の試験片を40〜50℃程度のイオン交換水に浸漬した後の塗装の密着性として評価するものであり、この試験法では塗膜を透過」した水によるリン酸塩皮膜の劣化を主として調査するものである。こうした耐水密着性は近年の浸漬型リン酸塩処理、カチオン電着塗装という自動車車体用の塗装系では不良が生じることは殆どない。
また耐塩水噴霧性とは、塗装後の試験片にカッターナイフにて素地鋼板に達するクロスカットを付けた後、塩水噴霧試験(JIS Z 2371)を実施し、クロスカットからの塗膜の膨れ幅を評価するものである。これはクロスカット部周辺の腐食反応を調査するものであるが、現在の自動車の塗装システムである浸漬型リン酸塩処理+カチオン電着塗装では、リン酸塩処理および電着塗装の改良によって、塩水噴霧試験においては膨れの発生は極めて少なく、耐塩水噴霧性で塗装後の耐食性の優劣を付けることは困難な状況になっている。
一方、耐塩温水性とは、塗装後の試験片にカッターナイフにて素地に達するクロスカットをつけた後、加温した塩水中に一定時間鋼板を浸漬した後、テーピングを行い、クロスカット周辺の塗膜剥離性を評価するものである。加温した塩水に浸漬することによる塗膜劣化とクロスカット周辺の腐食反応による塗膜密着性劣化を評価するものであるので、極めて厳しい試験であり、耐水密着性、耐塩水噴霧性の良好な試験片といえども、耐塩温水試験においては大きな塗膜剥離幅が発生することがあり、鋼の塗装後の特性を評価する上で最も有力な判定方法であるといえる。
冷延鋼板の化成処理性を改善するための手段として、予め鋼板表面に極微量のNiを付着させること(以下、これを「Niフラッシュめっき」と呼ぶことがある)が一般的に行なわれている。こうした技術はかなり以前から行われており、例えば特許文献1には、「酸洗、連続焼鈍、研磨の少なくとも一工程を経由した後鋼板表面に、Mn,Ni,Co,Cu,Mo,Wの金属塩を1種または2種以上含む水溶液で短時間陰極電解処理を施し、上記金属を鋼板表面に0.001〜0.5mg/m2程度析出させた、リン酸処理性に優れた冷延鋼板の製造方法。」が開示されている。この方法では、NiSO4・6H2O:3g/L,(NH42SO4:15g/L、pH:4.7、浴温:40℃、陰極電流密度:2A/dm2のめっき条件でNiフラッシュめっきを実施することが開示されている。またこの技術では、Niフラッシュめっきの特性は、Niめっき付着量によって管理されており、化成処理性および塩水噴霧性の観点からして、実施例には2〜20mg/m2のものが良好な特性を発揮するものとして示されている。
特公昭58−37391号公報 特許請求の範囲、実施例1等
しかしながら、Niフラッシュめっきされた鋼板では、上記の付着量の範囲内であっても、リン酸塩処理性および塗装後の特性(特に、耐塩温水性)が必ずしも良好になるとは限らず、その処理条件によってはバラツキが生じ、めっきの付着量だけでその特性を管理することができない。
本発明は、こうした状況の下でなされたものであって、その目的は、表面に所定量のNiフラッシュめっきを有する冷延鋼板において、リン酸塩処理性と塗装後の耐塩温水性が優れた冷延鋼板を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の冷延鋼板とは、表面に2〜20mg/mのNiフラッシュめっき層を有する冷延鋼板において、下記(1)式で規定される浸漬電位差Voが5〜30mVである点に要旨を有するものである。本発明で用いる素地鋼板としては、極低炭素系IF鋼板または高張力鋼板であることが好ましい。
Vo=E−Eo …(1)
但し、E:Niフラッシュめっき層を有する冷延鋼板を、ホウ酸ナトリウム:0.05M+塩酸:0.1M、pH:6.4、温度:43℃で、窒素脱酸した緩衝溶液に浸漬し、飽和カロメル電極を参照電極としたときの電位
Eo:Niフラッシュめっき層を、5%硝酸溶液中に浸漬して溶解除去した後の冷延鋼板を、上記緩衝溶液に浸漬し、飽和カロメル電極を参照電極としたときの電位
本発明は、所定の付着量のNiフラッシュめっきを有する冷延鋼板において、Niフラッシュめっき層を有する冷延鋼板を溶液に浸漬したときの電位と、Niフラッシュめっき層を除去した後の冷延鋼板を溶液に浸漬したときの電位との差を浸漬電位差として捉え、この浸漬電位差が所定の範囲内となるように制御することによって、リン酸塩処理性と塗装後の耐塩温水性が優れた冷延鋼板が実現できた。
本発明者らは、種々の冷延鋼板を素地鋼板として用い、様々な条件でNiフラッシュめっきを実施し、冷延鋼板におけるリン酸塩処理性、耐塩温水性について検討したところ、Ni付着量が2〜20mg/m2の範囲内にあっても、その条件によっては特性にバラツキが生じ、Ni付着量だけでは必ずしも耐塩温水性を良好に制御できないことが分かった。そこで、所定量のNiフラッシュめっきを有する冷延鋼板における特性改善を図るべく、様々な角度から検討した。
その結果、耐塩温水性に差のあるNiフラッシュめっき鋼板については、Niフラッシュめっきの有無、即ちNiフラッシュめっき有りの状態と、Niフラッシュめっきを除去した後の状態の夫々について、これらの浸漬電位の差が耐塩温水性に大いに影響しており、浸漬電位差が大き過ぎても小さ過ぎても耐塩温水性が悪くなることが把握できた。そして、この浸漬電位差が3〜30mVの範囲内にあるときに冷延鋼板の耐塩温水性が極めて良好になることを見出し、本発明を完成した。
本発明において上記「浸漬電位」とは、ホウ酸ナトリウム:0.05M+塩酸:0.1M、pH:6.4、温度:43℃で、窒素脱酸した緩衝溶液に鋼板を浸漬したときの電位を意味する。鋼板はその表面に極薄い酸化皮膜若しくは水酸化皮膜が形成されているのが通常である。そのため、上記緩衝溶液に鋼板を浸漬した場合には、図1(浸漬電位の時間的変化を示すグラフ)に示すように、浸漬直後ではこれら酸化皮膜の影響を受けて貴な電位を示すが、その後この酸化皮膜が溶解することによって鋼板本来の電位となる。本発明における浸漬電位Eとは、鋼板を溶液に浸漬した後表面酸化皮膜が溶解して電位が安定した状態でのものである。
Niフラッシュめっきの除去は、酸によって容易に実施できる。本発明では、5%の硝酸中で室温にて30秒間鋼板を浸漬して表面のNiフラッシュめっきを除去した後、水洗、乾燥を行い、その後Niめっき有りの場合と同一の方法様によって浸漬電位Eoを測定した。尚、酸によってNiフラッシュめっきを含む最表層を溶解後、水洗、乾燥を実施すると、水洗、乾燥の工程において、水酸化鉄を主成分とする皮膜が鋼板表面に形成されるこことになる。こうした現象によって、水酸化物の皮膜の厚さが変化するので、上記緩衝溶液に浸漬したときに初期の電位から鋼板の電位に至るまでの時間は変化することになるのであるが、最終的に安定した後の電位は変動することはない。
尚、本発明は上記浸漬電位E、Eoの差で冷延鋼板の特性を評価するものであり、これら浸漬電位E、Eoは参照電極の種類や溶液によってもその値は変わるのであるが、その差(浸漬電位差Vo)として捉えた場合には、測定を同一の条件で行う限り変動しないものである。
本発明で対象とする冷延鋼板は、素地鋼板表面に付着量が2〜20mg/m2のNiフラッシュめっきを有するものであるが、こうした極微量のNiフラッシュめっきを有する冷延鋼板では、めっき条件、即ち(a)めっき浴の種類、(b)めっき浴pH、(c)めっき前に実施する酸洗からNiフラッシュめっきまでの時間、等の要因によってめっき有無での電位差(浸漬電位差Vo)が変化することになる。
こうした変化が生じる原因は、例えばNiの表面の被覆状態(即ちNiが鋼板表面にどの程度被覆しているか)、或いは析出したNiの化学結合状態(即ち水溶液中で析出したNiはその最表面は当然一部水酸化物となっているが、金属NiとNi水酸化物との比率が様々となる)、等によってNiめっき有りの場合の緩衝液中での電位が異なることになる。換言すれば、特性に影響を与えるNiフラッシュめっきの形態の違いが、浸漬電位差Voに反映することになり、この浸漬電位差を5〜30mVの範囲内に制御することによって、良好な特性が発揮できるためのNiの表面被覆状態や化学結合状態が達成できるのである。
発明で対象とする冷延鋼板は、Niフラッシュめっきの付着量が2〜20mg/m2のものであるが、Niフラッシュめっきの付着量が2mg/m2未満では、めっき条件に関わりなく電位差が5mVに満たないので、リン酸処理性がめっき無しの場合と変わらず、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときのリン酸塩結晶が不均一で結晶サイズが不揃いとなったり、リン酸塩結晶が表面を覆いきれず、スケが発生したりすることになる。このようなスケが発生すると、リン酸塩処理後の鋼板表面に、黄錆が発生することになる。また、リン酸塩結晶の不均一、スケや黄錆が発生すると、耐塩温水性も劣化することになる。
一方、Niフラッシュめっきの付着量が20mg/m2を超えると、めっき条件に関わりなく電位差が30mVを超えるようになり、耐塩温水性も劣化することになる。こうした耐塩温水性が劣化する原因については、次のように考えることができた。
塗装後の冷延鋼板について、塩温水試験を行う場合には、塗装上に素地鋼板までに達する疵を入れることになるのであるが、この疵部では断面V字状に鋼板が疵付くことになるため、塩温水に浸漬される部分はNiめっき層がなく鋼が露出することになる。そして、この部分では塩温水に浸漬時に、腐食反応のアノード部となり、下記の反応が進行して鋼が溶解することになる。
Fe→Fe2++2e-(eは電子を表す)
また、疵部周辺の塗膜下の鋼板上は、腐食反応のカソード部となり、塗膜中および塗膜下を透過した水と酸素によって下記の反応が進行し、水酸基が生成してアルカリ性となる。
2O+1/2O2+2e-→2OH-
このカソード反応は、鋼板表面の電位が貴であるほど促進されることになる。即ち、冷延鋼板を緩衝液に浸漬したときの電位差が大きくなるほど、塗膜下のNiめっきが付いた表面の電位は貴となり、カソード反応が促進されることになる。そして、周囲がアルカリ性となることによって、塗膜と鋼板の密着性が劣化するので、塩温水浸漬後に疵部周辺をテーピングすると、塗膜が剥離することになると考えられる。
Niフラッシュめっきの付着量を2〜20mg/m2とした状態で、前記(1)式で規定される浸漬電位差Voを5〜30mVの範囲内に制御するための条件としては、特に限定するものではないが、例えば(1)アンモニア水中和によってめっき浴中にニッケルのアンミン塩を生成する、(2)酸洗後Niめっきするまでの水洗時間を5秒以上あけることによって表面活性度を調整する、等の方法によって達成することができる。
本発明で適用する素地鋼板の種類については、特に限定されるものではなく、Niフラッシュめっきした後リン酸塩処理され、その後塗装して用いられる冷延鋼板(例えば、軟鋼板)であればいずれも採用できるが、Niめっきなしでは化成処理性が不良となる極低炭素系IF鋼板や、Si,Mn,Cr,Mo等を比較的多く含有する高張力鋼板は、本発明による効果がより顕著に現われるので、素地鋼板として最適である。
以下、本発明の効果を実施例によって更に具体的に示すが、下記実施例は本発明を限定するものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
下記表1に示す化学成分組成を有する極低炭素系IF鋼板、高張力鋼板、および軟鋼板を連続焼鈍した後、以下の条件にて酸洗、水洗、Niフラッシュめっき(条件:A〜C)を実施して、供試材を作製した。このとき各供試材のNiフラッシュめっきの付着量を蛍光X線によって測定した。
[酸洗条件]
溶液:5%塩酸
温度:65℃
酸洗時間:10秒
[水洗条件]
温度:25℃
時間:1〜30秒で変化させた
[Niフラッシュめっき条件]
(条件A)
めっき浴:硫酸ニッケル[NiSO4・6H2O] 15g/L、
硫酸アンモニウム[(NH42SO4] 20g/L
pH:6.5(アンモニアにて中和)
温度:40℃
電流密度:1〜10A/dm2
通電時間:0.2〜5秒
*めっき付着量は電流密度および通電時間にて調整
(条件B)
めっき浴:塩化ニッケル[NiCl2] 20g/L、
ホウ酸 20g/L
pH:3.0
温度:25℃
電流密度:1〜3A/dm2
通電時間:0.5〜1秒
*めっき付着量は電流密度および通電時間にて調整
(条件C)
めっき浴:硫酸ニッケル[NiSO4・6H2O] 100g/L、
硫酸ナトリウム[Na2SO4] 30g/L
pH:3.5
温度:30℃
電流密度:5A/dm2
通電時間:0.2〜0.3秒
*めっき付着量は通電時間にて調整
Figure 0004393349
Niフラッシュめっきしたサンプルについて、下記の方法によって浸漬電位E、Eoを測定し、前記浸漬電位差Voを算出した。
[浸漬電位の測定]
浸漬電位の測定は、前述した方法に従った。即ち、ホウ酸ナトリウム:0.05M+塩酸:0.1M、pH:6.4、温度:43℃で、窒素脱酸した緩衝溶液に冷延鋼板(Niフラッシュめっきをしたもの)を浸漬し、飽和カロメル電極(標準電極:SCE)を参照電極としてその浸漬電位を測定し、電位が安定した時点の電位を浸漬電位Eとした。また、試験片を5%硝酸溶液中に浸漬して表面のNiフラッシュめっき層を溶解した後、上記の方法で浸漬電位を測定したものを、Niフラッシュめっき層を除去した後の該鋼板を溶液に浸漬したときの浸漬電位Eoとした。そして、浸漬電位EとEoの差(E−Eo)を浸漬電位差Voとした。
一方、Niフラッシュめっき後のサンプルは、引き続き水洗、乾燥を行い、防錆油を塗布して供試材とした。また、作製した供試材は、下記の条件にてリン酸塩処理および電着塗装を施した。
[リン酸塩処理条件]
リン酸塩処理液の種類:PB−L3020
(浸漬型リン酸亜鉛系処理液:日本パーカライジング社製)
FA(遊離酸度):0.9ポイント
TA(全酸度):22.5ポイント
促進剤濃度:3.1ポイント
温度:42℃
処理時間:2分
尚、上記FA(遊離酸度)、TA(全酸度)および促進剤濃度は、夫々下記の意味である。
(a)FA(遊離酸度):リン酸塩処理液10mLを、指示薬にブロモフェノールブルー、滴定液に0.1規定水酸化ナトリウム溶液を使用して滴定したときに、液が黄色から青黄色に変色するまでに要した滴定液のmL数をポイントとする。
(b)TA(全酸度):リン酸塩処理液10mLを、指示薬にフェノールフタレイン、滴定液に0.1規定水酸化ナトリウム溶液を使用して滴定したときに、液がピンク色に着色するまでに要した滴定液のmL数をポイントとする。
(c)促進剤濃度:リン酸塩処理液をサッカロメーター(50mL)に満たし、これにスルファミン酸を2〜5g加えて放置したときに発生したガスの量をサッカロメーターの目盛りにて読み取り、目盛り数をポイントとする。
[電着塗装条件]
電着塗料の種類:カチオン型電着塗料(関西ペイント社製)
塗膜厚さ:23μm
焼付け温度:175℃
焼付け時間:20分
得られた各冷延鋼板について、リン酸処理性を外観観察およびSEM観察によって、下記の基準にて判断すると共に、下記の方法で耐塩温水性を評価した。
[リン酸塩処理性の外観観察]
リン酸塩処理後のサンプルの外観を観察し、「均一」、「ムラ」、「黄錆」と評価した。これらの意味は、下記の通りである。
均一:鋼板の反応性(リン酸処理性)が良好であれば、灰色で均一な外観に仕上がる。
ムラ:鋼板の反応性(リン酸処理性)が劣化すると最初はリン酸塩処理後の表面に色調の
ムラを生じる。
黄錆:更に、反応性が劣化するとリン酸塩処理後の表面に黄錆が発生する。
[リン酸塩処理性のSEM観察]
リン酸処理後の表面をSEMにて倍率1500倍で観察した。リン酸処理性が良好な場合には、鋼板表面は粒径3〜6μmのフォスフォフェライト[Zn2Fe(PO42・4H2O]のブロック状の結晶で覆われることになる。こうした状態を、「良好」と評価した。リン酸塩処理性が劣化すると、フォスフォフェライトの粒径が不均一となり、部分的に粒径7μm以上の粗大粒が生成することになる。こうした状態を「粗大結晶」と評価した。更に、リン酸塩処理性が劣化すると、鋼板表面に部分的にフォスフォフェライトに覆われず、フォスフォフェライト結晶がスケたところが出現する。こうした状態を「スケ」と評価した。
[耐塩温水性の評価]
塗装後の試験片にカッターナイフで素地に達するクロスカットを入れた後、55℃の5%塩化ナトリウム溶液に240時間浸漬し、その後塩水より取り出し、クロスカット周辺をテーピングし、クロスカットからの塗膜剥離幅によって耐塩温水性を評価した。
これらの結果を、製造条件と共に一括して下記表2に示すが、この結果から次のように考察できる。浸漬電位差Voが5〜30mVの範囲内にある冷延鋼板(No.2〜4,6,12〜15,19,20)では、リン酸処理後の外観、SEM結晶が良好であると共に、耐塩温水性においてもクロスカットからの剥離幅が2.0mm以下と少なく良好な結果となっている。
これに対して、浸漬電位差Voが5〜30mVの範囲を外れる冷延鋼板(No.1,5,7〜11,16〜18,21,22)では、リン酸処理後の外観、SEM結晶の少なくともいずれかでリン酸処理性が劣化していると共に、クロスカットからの剥離幅が2.5mm以上となっており、本発明で規定する要件を満足する冷延鋼板と比べて耐塩温水性が劣る結果となっている。
Figure 0004393349
浸漬電位の時間的変化を示すグラフである。

Claims (2)

  1. 素地鋼板表面に2〜20mg/mのNiフラッシュめっき層を有する冷延鋼板において、下記(1)式で規定される浸漬電位差Voが5〜30mVであることを特徴とするリン酸塩処理性および塗装後の耐塩温水性に優れた冷延鋼板。
    Vo=E−Eo …(1)
    但し、E:Niフラッシュめっき層を有する冷延鋼板を、ホウ酸ナトリウム:0.05M+塩酸:0.1M、pH:6.4、温度:43℃で、窒素脱酸した緩衝溶液に浸漬し、飽和カロメル電極を参照電極としたときの電位
    Eo:Niフラッシュめっき層を、5%硝酸溶液中に浸漬して溶解除去した後の冷延鋼板を、上記緩衝溶液に浸漬し、飽和カロメル電極を参照電極としたときの電位
  2. 前記素地鋼板は、極低炭素系IF鋼板または高張力鋼板である請求項1に記載の冷延鋼板。
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