JP4893540B2 - ダル鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ダル鋼板及びその製造方法に関し、より具体的には黄変の発生がなく外観品質の優れたダル鋼板及びその製造方法に関する。
近年、衝突安全性の向上、省エネルギーさらには温暖化抑制による環境保全を背景に、自動車車体の構成部材用として高張力冷延鋼板が積極的に採用される。この高張力冷延鋼板は、例えば、フェンダーやドアーアウター、フードアウターさらにはルーフパネル等の、深い絞り成形を行われて製造されるアウター部品にまで拡大して適用されるようになってきた。このため、このような用途に供される高張力鋼又は普通鋼からなる冷延鋼板には、表面粗さが例えば0.05〜0.2μm程度にブライト仕上げされたブライト鋼板よりも、表面粗度が例えば0.6〜1.4μmと大きいことから潤滑剤の保持が良好であるためにプレス型に沿う材料の流れが良好な、ダル仕上げされたダル鋼板が、用いられている。
ダル鋼板には、複雑な形状に成形できる優れた加工性のみならず、塗装後におけるより一層美麗な外観を確保できる表面処理性さらにはダル鋼板そのものの優れた外観品質といった、従来にはあまり問題とされることがなかった特性も新たに要求されるようになっている。
冷延鋼板、とりわけ高張力鋼からなる冷延鋼板は、熱間圧延及び冷間圧延後、連続焼鈍設備で所定の温度に加熱した後に急冷することによる組織制御によって、所定の機械的特性を与えられる。連続焼鈍設備における急冷では、冷却速度が大きいほうが機械特性値の安定化や生産能率の向上等において有利であることから、鋼板を水冷槽へ直接浸漬する、いわゆるウォータークエンチや、水と雰囲気ガスとをミスト状に混合した冷媒を鋼板に吹き付ける、いわゆる気水冷却が採用される。これらの急冷を行うと、冷媒に水を用いることから鋼板の表面に酸化被膜が生成するので、生成した酸化被膜を除去するために連続焼鈍後に酸洗が行われる。
しかし、上述したダル鋼板では、この酸洗により、黄変と呼ばれる、表面の酸化着色現象が発生することがある。黄変は、ダル鋼板の機械的特性を何ら損なうものではないので、従来は黄変が発生しても殆ど問題になることはなかった。しかし、上述したように、ダル鋼板が、塗装後における優れた外観品質を高度に要求される自動車車体のアウター部品にまで拡大して採用されるようになってきたことに伴って、ダル鋼板の黄変を防止する必要性が高まってきた。
鋼板の変色対策として、これまでにも様々な発明が提案されている。
特許文献1には、酸化膜の状態毎に酸洗液の濃度及び温度から酸化膜の除去能力を求めておき、生成される酸化膜の状態に応じて酸洗条件を酸化膜の除去が可能な下限域に逐次変更しながら酸洗いを行い、酸洗液の濃度とライン速度との関係から変色が発生すると判断される場合には酸洗液の濃度や温度、ライン速度といった酸洗後の洗浄条件を制御して一時的に洗浄能力を高めることにより、特殊薬品を用いることなく、冷延鋼板の表面の酸化膜を完全に除去するとともに、冷延鋼板の表面の変色も防止する発明が開示されている。
特許文献2には、酸洗槽が設けられた連続焼鈍ラインにおいて、酸洗減量値が特定値となるように例えば酸洗槽への進入板温等の製造条件を制御することにより冷延鋼板の表面の変色を抑制する発明が開示されている。
しかしながら、特許文献1、2により開示された発明のように酸洗液の濃度や温度等を変更しても、ダル鋼板の黄変の発生を抑制することはできない。また、酸洗液の濃度や温度は短時間で変更できるものではないので、これらを変更している際の時間的ロスや、酸洗不足又は過酸洗等といった酸洗不良のために不良率が上昇し、生産性が低下するおそれがある。
特許文献3には、酸洗ラインの停止時に、酸洗後の水洗部で処理液に浸漬されていない部分の冷延鋼板の表面に変色防止剤を塗布することにより冷延鋼板の変色を防止する発明が開示されている。しかし、この発明では、ダル鋼板の表面における黄変の発生を防止することはできない。
特許文献4には、酸洗ラインの停止又は徐動時に、酸洗槽から搬出された冷延鋼板にキレート剤を塗布した後に水洗することにより冷延鋼板の変色を防止する発明が開示されている。しかし、この発明では、ダル鋼板の表面における黄変の発生を防止することはできない。
特許文献5には、表面光沢に優れた冷延鋼板を得るために、連続焼鈍後の表面清浄工程中にブラシロールを用いて、表面に付着しているSi,Alの付着物を除去することによりブライト鋼板を製造する発明が開示されている。しかし、この発明では、表面に付着しているSi、Alの付着物を除去してブライト鋼板を製造することは確かに可能になるものの、ダル鋼板の表面における黄変の発生を抑制することはできない。
さらに、特許文献6には、例えば、連続焼鈍、酸洗、変色防止剤塗布、スプレー及び侵漬リンスを経て鋼板を製造するというように、酸洗工程における変色を防止するために、酸洗、変色防止剤及び水洗を用いる発明が開示されている。この発明によれば、水洗工程までに生じる黄変を確実に防止することができる。
特開平6−212462号公報 特開平7−258873号公報 特開昭61−253389号公報 特開昭61−195983号公報 特許第3252553号公報 特開2005−314725
しかし、本発明者がさらに検討を重ねた結果、黄変は、連続焼鈍後に行われる、酸洗、水洗、Niフラッシュメッキ及び水洗をこの順で行う後処理により新たに発生することがわかった。このため、変色防止剤を塗布した後に水洗等を行う特許文献6により開示された発明に基づいても、後工程である水洗工程を経た後に黄変が発生するため、ダル鋼板における黄変の発生を防止することはできない。
また、仮にNiフラッシュメッキ工程後やその後のリンス工程において鋼板に変色防止剤としてキレート剤を塗布すると、キレート剤の有効成分がダル鋼板の表面に残存し、自動車車体の塗装における脱脂性や化成処性が低下することがある。
ダル鋼板の表面は、酸洗において酸化被膜を生成することに加え、酸洗工程等で溶出した鉄が汚れとして存在するので、非常に汚れている。この汚れは非常に強固に付着するため、通常の侵漬リンスやリンススプレーでは殆ど除去することができずに、その後に調質圧延等を行ってみてもダル鋼板の表面に残存する。そして、この汚れが空気中の酸素等と反応して錆となり、ダル鋼板の表面を変色させて黄変となり、外観品質を著しく劣化させる。
本発明の目的は、連続焼鈍を行ってからさらに酸洗、水洗、Niフラッシュメッキ及び水洗をこの順で行う後処理を行われて製造されるダル鋼板の後処理により発生してその表面に付着する汚れを除去することにより、黄変の発生がなく外観品質に優れたダル鋼板を製造することである。
本発明は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、
(a)ダル鋼板の表面には梨地状の凸凹が存在するので、ダル鋼板はブライト鋼板よりも表面積が大きい。このため、ダル鋼板は、ブライト鋼板よりも、表面に水酸化鉄を主体とする汚れが生成して黄変が起こり易い。このダル鋼板の表面を単に洗浄するだけでは、表面の凹部に付着する汚れを完全に除去することは難しい。そこで、ダル鋼板の表面にNiフラッシュメッキを施すことにより、表面の活性を抑制した状態を維持し、水酸化鉄を主体とする汚れの生成自体を抑制できること、
(b)Niフラッシュメッキにより表面の活性を抑制した後に引き続いてウェットな状態を保持したまま、かつ、pH6以上の環境下に保つことにより、汚れ(水酸化鉄)の生成、固着を抑制し、pH6以上の環境下で汚れを、例えば機械的に除去することにより、黄変の発生を事実上解消できること、及び
(c)Niフラッシュメッキから洗浄までの間では表面を乾燥せずに、かつ、pH6以上の環境で洗浄することにより、付着した汚れが強く固着することを防止できること
という知見(a)〜(c)を得て、本発明を完成した。
本発明は、冷間圧延を終了したダル仕上げの鋼板に、連続焼鈍を行ってからさらに酸洗、水洗、Niフラッシュメッキ及び水洗をこの順で行う後処理を行った後に、引き続いてこの鋼板の表面が乾燥する前に、この表面のpHが6以上である部位に存在する汚れを除去することにより黄変の発生を抑制することを特徴とするダル鋼板の製造方法である。
別の観点からは、本発明は、冷間圧延を終了したダル仕上げの鋼板に、連続焼鈍を行ってからさらに酸洗、水洗、Niフラッシュメッキ及び水洗をこの順で行う後処理を行った後に、引き続いてこの鋼板の表面が乾燥する前に、この表面のpHが6以上である部位に存在する汚れを除去することにより製造され、表面に存在するNiフラッシュメッキ被膜の付着量が3〜20mg/mであることを特徴とするダル鋼板である。
これらの本発明における「Niフラッシュメッキ」とは、極めて短時間で行われ、付着量が1g/m以下の極薄いNiメッキを意味する。また、本発明における「ダル鋼板」とは、表面粗さが0.5μmRa以上である鋼板を言う。表面粗さの上限は、1.3μmRa以下が望ましく、さらに望ましくは0.8μmRa以下である。1.3μmRaを超えると製造管理上および効果の観点から好ましくない。表面の光沢度の観点から言えば、Gs20°において150%以下であることが望ましい。また、ダル鋼板を製造するためには、例えば調質圧延機のワークロールの粗度を0.5μmRa以上とすることが望ましい。
これらの本発明では、鋼板の表面の汚れを、機械式洗浄装置を用いて除去することが望ましく、また、この汚れが、後処理により発生して鋼板の表面に付着する水酸化鉄を主体とする汚れであることが例示される。
すなわち、本発明は、『表面に梨地状の凹凸が存在するために表面積が大きいことに起因してブライト鋼板よりも汚れが表面に付着し易いことから黄変が発生し易いダル鋼板に、連続焼鈍を行ってからさらに酸洗、水洗、Niフラッシュメッキ及び水洗をこの順で行う後処理を行うことによって、Niフラッシュメッキにより表面の活性を抑制して汚れの生成自体を抑制し、引き続いて、表面が乾燥して汚れが固着する前に、この表面のpHが6以上である部位に存在する汚れを完全に除去することによって、表面にNiフラッシュメッキ被膜が付着量3〜20mg/mで残存し、凹部に付着して汚れが完全に除去されて黄変の発生が確実に抑制されたダル鋼板を製造できる』という技術思想に基づく発明である。
本発明により、連続焼鈍を行ってからさらに酸洗、水洗、Niフラッシュメッキ及び水洗をこの順で行う後処理を行われて製造されるダル鋼板の酸洗工程で発生して表面に付着する、水酸化鉄を主体とする汚れを除去することにより、黄変の発生がなく外観品質に優れたダル鋼板を製造することができる。
以下、本発明に係る冷延鋼板の製造方法を実施するための最良の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
はじめに本発明の原理を簡単に説明する。
連続焼鈍を行ってからさらに酸洗、水洗、Niフラッシュメッキ及び水洗をこの順で行う後処理を行われて製造されるダル鋼板の表面の汚れをどの程度まで除去すれば、黄変の発生を防止することができるかを説明する。ダル鋼板の表面に残存する汚れは、ダル鋼板の表面の色調を劣化させることであり、これは逆にダル鋼板の表面の色調がある一定以上のものであれば、残存する汚れが少ないとも考えられる。
このように黄変にはならないダル鋼板の表面の色調を、色差計を用いてJIS Z 8729に規定されるL*値により定量的に示すと、ダル鋼板の表面の色調がL*値で50以上であり、これを満足することにより、ダル鋼板の表面の汚れに起因した黄変の発生を抑制することができる。L*値の下限は、好ましくは80以上であり、さらに好ましくは90以上である。その理由は、L*値が高いほどダル鋼板の表面の黄変が少なくなるためである。
また、ダル鋼板の表面の色調に関しては、別の評価基準を用いることもでき、色差計を用いてJIS Z 8729に規定されるb*値により定量的に示すと、ダル鋼板の表面の色調がb*値で2.0以下であり、これを満足することにより、ダル鋼板の表面の汚れに起因した黄変の発生を抑制することができる。前記L*値とあわせて、評価するならば、ダル鋼板の表面の色調は、b*値で2.0以下、かつL*値で50以上が好ましく、これを満足すれば、ダル鋼板の表面の汚れに起因した黄変の発生を防止できる。
ここで、ダル鋼板の表面の汚れは、主に連続焼鈍後に行われる後処理において発生する場合が多い。特に後処理の中に酸洗が存在する場合、酸洗によりダル鋼板が溶解するために水酸化鉄Fe(OH)がダル鋼板の表面に残存したり、酸洗後のリンス等において発生する水酸化鉄がダル鋼板の表面の凹凸部に残存するため、表面にこの水酸化鉄が汚れとして付着する。一方、連続焼鈍において冷却速度を上昇するために水冷却や気水冷却を行うと、ダル鋼板の表面には酸化層が生成される。したがって、ダル鋼板の表面の汚れの除去は、連続焼鈍後に行うことが有効である。
このように、ダル鋼板の表面の汚れの除去を連続焼鈍後に行うことは、黄変の発生を抑制するためには有効であるが、酸洗やリンス等の後処理を行った後はできるだけ早く汚れを除去することが望ましい。ダル鋼板の表面に汚れとして付着するものは水酸化鉄が主体であるので、付着後の時間の経過とともにダル鋼板の表面と反応(酸化)して汚れの状態が進行するためである。
汚れの進行は、ダル鋼板の色調の劣化や錆の発生という表面欠陥として現れる場合もあり、温度や外気温、外気の湿度、あるいは連続焼鈍工程での防錆処理(防錆油の塗布等)等にも影響される。したがって、ダル鋼板の表面の汚れの除去は、酸洗等の後処理後のできるだけ早い時期に行うことが望ましい。
このため、連続焼鈍工程内にダル鋼板の表面の汚れを除去する工程を有することが最も望ましい。さらに具体的には、ダル鋼板の表面の汚れの除去は、連続焼鈍においても、ダル鋼板のpHが6以上である部位に対して行うことが望ましい。上述したように、汚れの主体は水酸化鉄であり、これは後処理により溶解した鉄が水中の溶存酸素や空気中の酸素と反応して生成されるが、この水酸化鉄は、ダル鋼板の表面のpHが4〜5である環境において生成し易いと考えられるからである。pHが4未満の段階で汚れを除去しても、その後のリンス等でpHが4〜5に上昇すると水酸化鉄が再び生成し、ダル鋼板の表面に残存してしまうからである。このため、ダル鋼板の表面におけるpHが6以上となってこの後に水酸化鉄の新たな生成が発生しない領域に達した後に、それまでにダル鋼板の表面に残存する汚れを除去することが、黄変の発生を防止するためには最も有効である。
ダル鋼板の表面に残存する汚れを除去するための装置としては、スプレー洗浄装置が一般的であるが、さらに汚れの除去効果を高めるためには、機械的に洗浄することが望ましい。ダル鋼板の表面に残存する汚れは非常に強固に付着している場合があり、スプレー洗浄を行うだけでは十分に除去できないことがあるからである。
機械的に洗浄する手段としては、例えば、少なくともダル鋼板と接触する部分がナイロン製の毛又は布製の被覆物により覆われたロールを用いて汚れを除去することが好ましい。特に、ナイロン製の毛で覆われたロールは、優れた汚れの除去性のみならず、表面に擦り傷状の研削疵を生じてダル鋼板の外観品質を損なうことがないとともに優れた耐久性の観点からも、望ましい。
ダル鋼板の表面における汚れをさらに確実に除去するには、このロールの単位時間あたりの回転数や押し込み量を適宜調節することが有効であることはいうまでもない。
このロールの回転数は、ダル鋼板の処理速度に応じた適正値に設定すればよい。例えば、ダル鋼板の処理速度が高い場合にはロールの回転速度も高く設定することにより十分な除去効果を得ることができる。また、高張力鋼のようなSi含有鋼と普通鋼で比較すると、Si含有鋼のほうが酸洗時における鉄の溶出が多く、その分だけ表面に付着する汚れが増加する傾向がある。このため、Si含有鋼は普通鋼と比較して、通板速度が同じ場合には単位時間当たりのロールの回転数を高く設定し、逆に、ロールの単位時間当たりの回転数が同じ場合には通板速度を低く設定することが望ましい。
なお、このロールの回転方向は、ダル鋼板の進行方向に対して反対方向とするほうが、順転方向とするよりも汚れの除去効果が高いことはいうまでもない。
このロールの直径は、上述した回転速度を得るために必要な回転数や、設置するスペースやモータ容量等といった設備レイアウトや経済的な観点から適宜決定すればよい。
このロールの押し込み量は、一般的には1.5mm以上15mm以下とすることが望ましいが、装置レイアウト上は好ましくは3mm以上5mm以下である。押し込み量が不足すると十分なブラッシング効果を得ることができず、逆に、押し込み量が過多になると毛材の摩耗の進行促進や折れ等による弊害が発生するからである。
なお、このロールの押し込み量とは、このロールが鋼板の最表面の位置にあるロールを基準位置とし、この基準位置からダル鋼板の表面に直交する方向に関してロールを鋼板の表面へ接近する距離を意味する。
このロールの配置は、このロールとバックアップアップロールを組み合わせてもよいし、あるいはこのロールを二つ組み合わせることとしてもよい。また、ロールの設置段数は、ダル鋼板の表面の汚れの程度と単位時間当たりの回転数に基づいて適正な段数に選定すればよい。一定時間における回転数においてはロールの設置段数が多いほど汚れの除去効果は高まるが、必要とする除去効果を勘案して必要とする段数を選定することが経済的にも有効である。
このロールの設置位置は、冷間圧延→連続焼鈍→後処理工程というダル鋼板の製造工程における後処理工程の最終パスより下流側がよい。ここで、後処理工程とは、酸洗→リンス(温水によるスプレーや侵漬)→Niフラッシュメッキ→リンス(温水によるスプレーや侵漬)であるので、最終パスとは、この後処理の最も最後の処理であるNiフラッシュメッキ後のリンスが終了した後である。つまり、本実施の形態におけるロールによる汚れ除去を行った後に、さらに酸洗やリンス、Niフラッシュメッキといった処理を行うと、この処理により新たな汚れが発生して黄変が発生するおそれがあるので、このロールは後処理工程の最終パスに設置することが望ましい。
このロールを一段又は二段以上設置する場合には、各ロールの直上流、具体的にはダル鋼板の搬送速度で2秒以内の移動距離にダル鋼板へ向けて冷却水を噴射するための乾き防止スプレーを設け、ダル鋼板の表面の乾きを防止することが望ましい。乾き防止スプレーからの噴水量は経験的に10L/min以上であることが望ましい。ロールの回転数や設置段数を増やせば、当然のことながら汚れの除去効果が増加するので、要求される汚れの除去効果に応じて適宜決定すればよい。
また、このロールによる汚れの除去と、スプレーによる汚れの除去とを併用することにより、汚れの除去効果をさらに高めることができる。このため、経済的にも物理的にも可能であれば、このロールとスプレー噴射装置とを併設することが望ましい。
さらに、このロールが巾方向へ均等に摩耗するように、このロール全体を板巾方向に一定速度で移動させながら汚れを除去することができるオシレーション機能を有することがより望ましい。
この汚れの除去により、表面にNiフラッシュメッキ被膜が付着量3〜20mg/mで残存するダル鋼板が得られる。このダル鋼板は、表面の凹部から汚れが充分に除去されており、黄変の発生が確実に抑制される。このNiフラッシュメッキ被膜の付着量の下限は、好ましくは5mg/m以上、さらに好ましくは8mg/m以上である。その理由は、汚れを除去した後、表面に残存するNiフラッシュメッキ被膜の付着量が少ないと、空気中の水分と鋼板の表面が反応し、鋼板の表面に水酸化鉄が生成することで黄変を誘発するからである。一方、上限は、好ましくは、15mg/m以下である。その理由は、Niは親油性を有するので、防錆油を脱脂する際に防錆油が十分に除去されず、脱脂不良が発生するおそれがあるからである。
このようにして、本実施の形態により、連続焼鈍を行ってからさらに酸洗、水洗、Niフラッシュメッキ及び水洗をこの順で行う後処理を行われて製造されるダル鋼板の後処理により発生してダル鋼板の表面に付着する、水酸化鉄を主体とする汚れを除去することにより、ダル鋼板を、黄変の発生がなく外観品質に優れた状態で確実に製造することができる。
さらに、本発明を、実施例を参照しながらより具体的に説明する。
加熱−均熱−冷却−過時効という熱処理を連続焼鈍炉で行い、酸洗−酸洗リンス−Niフラッシュメッキ−Niフラッシュリンスを行って製造されたダル鋼板から、No.1〜3のテストピースを切り出し、図1に示す試験用の機械式洗浄装置1を用いてこれらのテストピース2の表面の汚れを除去し、黄変の発生状況を確認した。
表1には、本実施例で用いた試験用の機械式洗浄装置のロールの仕様(ブラシ材質、ブラシ素線径及び本数、ロール径及び毛足)を示す。本実施例で使用したブラシは、素線径0.2mmのナイロン線(ポリアミド6)を14本束ねて1本した毛と、素線径0.02mmのナイロン線(ポリアミド6)を1000本束ねて1本にした毛を混ぜて植毛したブラシである。ただし、ブラシの素線の材質や径、束ねる本数は例示であり、本例に限られるものでないことはいうまでもない。
表2にはテストピース2の仕様(鋼種、寸法等)を示す。
図1に示すように、この試験用の機械式洗浄装置1では、入側にセットされたテストピース2は一定速度で進行方向(白矢印方向)へ向けて搬送され、プレスプレー機3によりpH6以上で40℃の水をスプレーされた後、濡れたまま、一定回転で回転するロール4、5を通過する。
このロール4、5は進行方法に対して逆転方向に回転する。このロール4、5とテストピース2の接触部はpH6以上でかつ濡れたままの環境下に保持した。このロール4、5は押し付け量を任意に調整可能であり、電流値を一定制御可能なモータにより回転駆動される。
ロール4、5の下流には、スプレー装置6、7が設置され、元圧100kg/cm、流量40m/hrの水量でpH6以上で40℃の温水をスプレーした。
この後、テストピース2は、オフラインに取り出され、水道水で流水洗浄されてからドライヤーにより乾燥される。
表3には、停止しているダル鋼板の表面に直径30cmの円を描くようにろ紙を用いて表面の汚れを拭き取り、市販の色差計(コニカミノルタセンシング株式会社製、型番;CM−2500d)によりろ紙に付着した汚れの色調L*を測定し、色差計に表示されたL*値の3回の測定値の平均値を示す。なお、この計測方式で計測することで、バラツキが少なくかつ定量的に色調の計測ができる。表3における通板速度とは、単位時間当たりにテストピース2が搬送される速度を表し、単位はmpm(m/min)である。なお、ダル鋼板から端板を切り出し、この端板の表面の汚れを拭き取ることにより、L*値を求めるようにしてもよい。また、ロール回転数は単位時間当たりの回転数を示し、単位はrpmである。さらにロール押付量とは、ブラシがテストピース2に接触した位置からどの程度押し付けたかを示し、単位はmmである。
なお、色差計の測定条件としては、
測定計:φ8mm
正反射光処理:正反射光除去
UV設定:UV成分を100%含んだ光源
光源:D65(紫外線を含む昼光、CIE/ISOの基準光源、色温度6504K)
観察者視野:10°視野
である。
表3より、本発明の要件を満足する例は、黄変の発生を抑制できたのに対し、本発明の要件を満足しない例は黄変が発生していた。
Figure 0004893540
Figure 0004893540
Figure 0004893540
実施例の試験用の機械式洗浄装置を示す説明図である。
符号の説明
1 機械式洗浄装置
2 テストピース
3 プレスプレー機
4、5 ブラシロール
6、7 スプレー装置

Claims (4)

  1. 冷間圧延を終了したダル仕上げの鋼板に、連続焼鈍を行ってからさらに酸洗、水洗、Niフラッシュメッキ及び水洗をこの順で行う後処理を行った後に、引き続いて該鋼板の表面が乾燥する前に、該表面のpHが6以上である部位に存在する汚れを除去することにより黄変の発生を抑制することを特徴とするダル鋼板の製造方法。
  2. 前記鋼板の表面の汚れを、機械式洗浄装置を用いて除去する請求項1に記載されたダル鋼板の製造方法。
  3. 前記汚れは、前記後処理により発生して前記鋼板の表面に付着する水酸化鉄を主体とする汚れである請求項1又は請求項2に記載されたダル鋼板の製造方法。
  4. 冷間圧延を終了したダル仕上げの鋼板に、連続焼鈍を行ってからさらに酸洗、水洗、Niフラッシュメッキ及び水洗をこの順で行う後処理を行った後に、引き続いて該鋼板の表面が乾燥する前に、該表面のpHが6以上である部位に存在する汚れを除去することにより製造され、表面に存在するNiフラッシュメッキ被膜の付着量が3〜20mg/mであることを特徴とするダル鋼板。
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