JP3346338B2 - 亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents
亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法Info
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Description
品、建築物等の素材として好適な、プレス成形性に優れ
た亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法に関する。
な材料であるので自動車、家電製品、建築物等の素材と
して大量に使用されている。中でも合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板は耐食性に加えて、塗装下地としての化成処理
性、塗装性、溶接性、接着性などの諸性能が優れている
ので自動車外装材など要求性能が厳しい用途にも広く使
用されている。
溶融亜鉛めっき層であってもFe含有量が少ない亜鉛合
金相(ζ相)である場合には、めっき層表面が軟質であ
るため、亜鉛系めっき鋼板がプレス成形される際にめっ
き層とプレス金型表面と間で凝着現象が生じて鋼板の摺
動性が劣化し、めっき剥離現象(フレーキング)やプレ
ス割れが発生しやすいという問題がある。
溶融亜鉛めっき層である場合には、鋼板/めっき界面近
傍に硬質な合金相(Γ相、Γ1 相、δ1c相など)が形成
され、プレス成形される際にめっき層の粉化(パウダリ
ング)が発生しやすくなる。パウダリングが発生すると
金型にめっき剥離片が付着し押込み疵の原因となる。こ
のため、亜鉛系めっき鋼板、特に合金化溶融亜鉛めっき
鋼板をプレス成形する際にはこれらの問題が発生しない
ような改善策が求められている。
き層表面にさらに金属めっきを施したり、各種の酸化物
を付着させるなどの方法で、金型とめっき層との金属接
触を防止し、更にはプレス油と金属石鹸を形成すること
により、めっき層と金型との凝着現象を防止し、金型と
めっき層との摺動性を改善する技術が開示されている。
酸化物を亜鉛として3〜500mg/m2 、Mn酸化物
をMnとして5〜500mg/m2 、りん酸とMo酸化
物、W酸化物、V酸化物の1種または2種以上をP、M
o、WまたはVとして1000mg/m2 以下含有する
酸化物からなる皮膜を表面に備えたプレス成形性、化成
処理性、溶接性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板が開
示されている。
平4−202787号公報には、合金化溶融亜鉛めっき
層の上に鉄系合金電気めっき層を形成するめっき鋼板の
製造方法が開示されている。これらは、合金化溶融亜鉛
めっき層の上に、表面に微細な凹凸を有する電気めっき
層を中間めっき層として設け、その上に鉄系合金電気め
っきを施す方法であり、上記中間めっき層の効果によ
り、プレス成形時に生じやすいめっき層の亀裂を防止
し、電着塗装性と成形性を向上させることを目的とした
ものである。
亜鉛めっきし、合金化処理した鋼板を、過酸化水素:
0.01〜5重量%、Fe3+:0.01g/リットル以上含
有し、pHが4以下である水溶液に接触させることによ
り、めっき層表面に酸化物被膜を形成させてスポット溶
接性と化成処理性を改善する合金化溶融亜鉛めっき鋼板
の製造方法が開示されている。
系めっき層の上にFe−Ni−O系皮膜を備えた亜鉛系
めっき鋼板が開示されている。この皮膜は、その付着量
が上記皮膜中の金属元素の合計量換算で10〜1500
mg/m2 の範囲内にあり、酸素を0.5〜30%含有
する皮膜を備えるものである。
に開示されている亜鉛系めっき鋼板に潤滑性を付与する
後処理法には以下のような問題があり、必ずしも満足な
ものではなかった。
れば、硬質でプレス油との相性がよい皮膜、例えばN
i、Mn酸化物、極圧添加剤としても実績がある硫化油
脂などのS化合物、塩素化パラフィンなどのCl化合
物、リン酸亜鉛カルシゥムなどのCa化合物等を含有す
る皮膜をめっき層表面に備えさせる方法がある。
は、自動車外層用途などでの使用実績が十分ではないた
め、実用化に際しては慎重な事前評価が必要とされる。
即ち、これら鋼板の実用化に際しては、化成処理性能、
接着剤による接着性能、各種環境下での耐食性能など、
広範な条件での諸性能を厳格に確認する必要があるう
え、最終評価として実車試験などが必要とされることも
ある。これ等の評価には、多大の経費を要するうえ、評
価結果を確定し実用段階に至るまでに長期間を要する。
載された鋼板は化成処理時に一部の金属酸化物が溶解
し、化成処理液を汚染するという問題がある。特開平4
−202786号公報および特開平4−202787号
公報に記載された製造方法では、溶融めっきした後さら
に電気めっき層を複数層備えさせる必要があるため製造
コストが高い。特開平3−291366号公報に記載さ
れた製造方法ではめっき皮膜から溶出するFe2+の影響
により、過酸化水素が消費され液寿命短くなり、酸化物
形成時の操業性を著しく低下させるという問題があっ
た。特開平8−158066号公報に開示されている鋼
板は、酸化剤や大気とオゾンの混合雰囲気中で加熱し
て、酸素含有量を調整して得られる物であるため、酸化
剤の補給管理や加熱処理に必要な工程数の増加などのた
めに製造コストが高くなるという問題があった。
決し、プレス加工に際してその表面の損傷が無く、成形
性、化成処理性などが総合的に優れた合金化溶融亜鉛め
っき鋼板およびその製造方法を提供することにある。
鉛酸化物は、自動車用素材としての品質評価が確立して
いる亜鉛系めっき鋼板の表面に従来から存在するもので
あり、化成処理性や接着性に悪影響を及ぼささないこと
が十分に実証されている。従ってめっき層表面に酸化亜
鉛を主体とする皮膜を備えていれば、めっき鋼板として
の性能の最終的な確認に際して実車試験などの長期試験
を簡略化できるという利点がある。
理性や接着性などプレス成形性以外の性能を低下させず
に摺動性を改善する後処理として亜鉛酸化物を主体とす
る亜鉛化合物皮膜の有用性に着目し、設備改造などを必
要とせず安価に所望の亜鉛化合物を備えさせる方法を詳
細に研究した。
るとめっき皮膜の溶出により酸化剤が還元されて固液界
面でpHが上昇し、表面に安定な酸化亜鉛を主体とする
亜鉛酸化物皮膜が形成される。しかも溶液から引き上げ
られためっき層表面に付着している液膜中には、亜鉛化
合物の形成に寄与するZnイオンが多量に含有されてい
る。このめっき層表面の液膜に炭酸ガスを含有する気体
を吹き付けることにより、液膜中のZnイオンを炭酸亜
鉛としてめっき表面に固定し、短時間の浸漬処理で所望
の付着量の皮膜を備えさせることができる。この皮膜に
は通常、水酸化亜鉛も含有される。
性、電着塗装性等が実証された良好な被膜処理が得られ
るうえ、液寿命が長く安定した生産が可能でありコスト
も安いという利点がある。
領域としてめっき層の溶解を抑制することにより、めっ
き層に含まれているFeの溶出が抑制され、溶液中の酸
化剤の消費が抑制されるので溶液の寿命を長く保つこと
ができる。
たものであり、その要旨は下記(1)に記載のプレス成
形性に優れた亜鉛系めっき鋼板ならびに(2)および
(3)に記載のその製造方法にある。
鉛および水酸化亜鉛からなる皮膜を亜鉛として合計で5
0mg/m2 以上備えたことを特徴とするプレス成形性
に優れた亜鉛系めっき鋼板。
0.5〜100g/リットル、過酸化水素:0.05%〜5
重量%を含有し、pH:4.5〜7、浴温が45℃以下
である溶液を亜鉛系めっき層に接触させた後、炭酸ガス
を含有する気体を吹き付けて、めっき層表面に、酸化亜
鉛と炭酸亜鉛および水酸化亜鉛からなる皮膜を亜鉛とし
て合計で50mg/m2 以上備えさせることを特徴とす
る亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
0.1体積%以上であることを特徴とする上記(2)に
記載の亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
に説明する。なお、化学組成を表す%表示は特に断らな
い限り重量%を意味する。
は特に限定するものではないが、公知の冷間圧延鋼板や
熱間圧延鋼板が好適である。母材の化学組成はTi、N
bなどを必要に応じて含有させた極低炭素鋼、低炭素
鋼、あるいは、さらにSi、Mn、P、Cr、Ni、C
u、Ti、Nb、Vなどを適宜含有させた合金鋼などが
適用できる。
層であればよく、めっき金属種はZnの他に、Fe、A
l、Mg、Ni、Cr、Si、Mn、Pb、Sb、Sn
およびミッシュメタルからなる群の内の1種または2種
以上を含有する亜鉛系合金めっきが適用できる。めっき
方法は任意であり、溶融めっき、電気めっき、蒸着めっ
き、無電解めっきなど公知のものでよい。中でも、安価
であるので溶融めっきが好適である。
きとする場合は、めっき層のFe含有量をめっき層の重
量に対して8〜15%とするのがよい。Fe含有量が8
%に満たない場合には、めっき層の表面近傍にζ相が残
存する可能性が高い。ζ相は粗大な柱状晶を形成しやす
く、めっき層の表面が粗くなり、めっき鋼板のプレス成
形性が損なわれることがあるので好ましくない。より好
ましくは9%以上である。Fe含有量が15%を超える
とプレス成形時にパウダリングが発生しやすくなるので
よくない。より好ましくは12%以下である。
含有させるのがよい。これは、めっき母材を溶融亜鉛め
っき浴に浸漬した際に、母材との界面に合金層が形成さ
れるのを抑制するのに有効である。
水酸化亜鉛からなる皮膜の付着量が多いほどプレス成形
性改善効果が得られる。その付着量が亜鉛としての合計
で50mg/m2 以上である場合に特に良好である。従
って本発明の亜鉛系めっき鋼板では、そのめっき層表面
に、酸化亜鉛と炭酸亜鉛および水酸化亜鉛からなる亜鉛
化合物を、亜鉛としての合計量で50mg/m2 以上備
えたものとする。好ましくは100mg/m2 以上であ
る。
合物中の炭酸亜鉛の含有量が亜鉛として5mg/m2 以
上である場合が特に良好である。水酸化亜鉛はめっき層
を酸化剤を含有する水溶液に接触させる過程で形成され
るものであり、亜鉛化合物の形成促進に有効である。炭
酸亜鉛と水酸化亜鉛の存在は薄膜X線法により確認でき
る。
で製造するのが好適である。母材には、溶融めっき法、
電気めっき法、蒸着めっき法、無電解めっき法など公知
の方法でめっきを施す。めっき面は母材の両面または片
面のみのいずれでもよい。めっきの付着量は任意である
が、付着量制御の容易さやパウダリングを抑制するなど
の観点から片面当たり30〜150g/m2 とするが好
ましい。
オンを0.5〜100g/リットル、過酸化水素を0.05
〜5重量%含有し、pHが4.5〜7である溶液(処理
液)を接触させる。
リットルに満たない場合にはめっき層表面への亜鉛化合物の
形成が不十分となり、めっき層の摺動性を十分には改善
できない。このため、Znイオン含有量は0.5g/リッ
トル以上、好ましくは2g/リットル以上とする。Znイオン
含有量が100g/リットルを超えると摺動性改善効果が飽
和するうえ、コストが高くなるので好ましくない。この
ため、Znイオン含有量は100g/リットル以下とする。
好ましくは50g/リットル以下である。
場合には、めっき層表面への亜鉛化合物の形成が不十分
となり、めっき層の摺動性を十分には改善できない。こ
のため過酸化水素の濃度は0.05%以上とする。好ま
しくは0.1%以上である。過酸化水素の濃度が5%を
超えると摺動性改善効果が飽和するうえ、コストが高く
なるので好ましくない。このため、過酸化水素の濃度は
5%以下とする。好ましくは2%以下である。
7H2 O 、ZnCl2 等のZnイオン源の処理原液へ
の添加量により容易に調整できる。
と、めっき層のFeがFe2+として溶出し、過酸化水素
と反応して過酸化水素が過度に消費され、処理液の寿命
が短くなる。処理液寿命を長くするには、めっき層を処
理液に接触させた際のめっき層の溶出を極力防止する必
要がある。従って処理液のpHは4.5以上、好ましく
はpH:5.0以上とする。pHが7を超えると過酸化
水素の酸化性が増し、自己酸化反応が生じて処理液の寿
命が短くなるので処理液のpHは7以下とする。
を避けるのがよい。強酸塩である硫酸根や塩素イオン
は、Znイオンの供給源として混入する以上には添加し
ないことが重要である。また、処理液の温度は好ましく
は45℃以下、さらに好ましくは40℃以下とするのが
よい。
限定するものではなく、処理液中にめっき層を浸漬させ
る方法(浸漬法)、めっき層に処理液をスプレーする方
法(スプレー法)あるいは処理液をロールコーターで塗
布する方法などいずれでもよい。
層表面に付着している処理液膜に炭酸ガスを含有する気
体を吹き付け、液膜中に溶解しているZnイオンにCO
2 を接触させ、酸化亜鉛と共に炭酸亜鉛を生成させる。
炭酸亜鉛の生成を促進するためには、吹き付ける気体の
炭酸ガス濃度を0.03体積%以上とするのがよい。
と、炭酸亜鉛としての固定率が上昇し、摺動性が著しく
改善されるのでなおよい。炭酸ガス濃度は100%でも
構わない。
酸ガス含有がされているので、処理液に吹き付ける気体
としては空気を使用できる。炭酸ガス濃度を大気以上に
高めるには、例えば加熱炉等から排出される燃焼排ガス
などを使用すれば効率的である。窒素ガスと炭酸ガスと
の混合気体等でも構わない。
を吹き付けた後の処理は任意におこなえばよく、例えば
その後の水洗・乾燥については、通常一般に行われてい
る方法でよい。
n:0.25%、P:0.01%、S:0.01%、T
i:0.035%を含有する厚さ0.7mmの極低炭素
Ti添加鋼板を母材とし、これに付着量が片面当たり6
0g/m2 となる溶融亜鉛めっきを施して溶融亜鉛めっ
き鋼板(GI)を作製した。また、これを500℃に加
熱し、Fe:9%、残部がZnからなる合金化溶融亜鉛
めっき鋼板(GA)も作製した。また、同一化学組成の
冷間圧延鋼板を脱脂、酸洗した後電気亜鉛めっきして、
付着量が片面当たり45g/m2 の電気亜鉛めっき鋼板
(EG)を作製した。電気めっき浴は、硫酸亜鉛:20
0g/リットル、硫酸アンモニウム30g/リットルを含有し、
pH:3、浴温度:45℃のめっき浴を使用し電気密
度:20A/dm2 でめっきした。上記電気亜鉛めっき
鋼板の一部を300℃に加熱し、Fe含有量を15%と
したZn−Fe合金めっき皮膜を有する合金化電気亜鉛
めっき鋼板(EGA)を作製した。これらのめっき鋼板
から100mm角の試験片を多数採取した。
々の割合で有する水溶液を1リットルずつ作成した。処理液
のZnイオン含有量は硫酸亜鉛と塩化亜鉛を使用して調
整した。過酸化水素濃度は、過酸化水素を30%含有す
る市販の水溶液を所定量添加して調整した。比較例とし
て処理液のpHを4.5未満に下げる場合には98%硫
酸を用いてpHを調整した。試験片を処理液に15秒間
浸漬して引き上げ、圧力0.05kg/cm2 の気体を
吹き付けた。気体としては炭酸ガス濃度を変更した大気
や炭酸ガスを含有しない窒素ガスを用いた。気体を吹き
付けた後、水道水を用いて30秒間水洗し、大気中で乾
燥させた。
化亜鉛からなる皮膜の付着量は、試験片をBr2 −CH
3 OHを0.5重量%含有する水溶液(温度は室温)に
浸漬し、めっき層を溶解し、残査を分離し、それを塩酸
で再溶解し、これをICP分光分析法により分析して得
た。上記付着量が亜鉛として50mg/m2 以上であっ
た場合を良好と判断した。
た。表面粗度がめっき鋼板と同レベルである冷間圧延鋼
板に、炭酸亜鉛濃度が種々異なる水溶液をバーコーター
法で塗布し、乾燥させ、種々の範囲の炭酸亜鉛が付着し
た鋼板試料を作製した。試料表面の付着物を、インヒビ
ターを含有する10%塩酸溶液に溶解し、得られた溶液
をICP分光分析法で分析してZn付着量を測定した。
また、同一試料について、その表面を傾斜角度を2°と
する薄膜X線法で調査し、炭酸亜鉛の(104)面のピ
ーク強度を測定した。両者の測定値から薄膜X線法によ
る(104)面ピーク強度からZn付着量を推定する検
量線を作製した。前記試験片表面の薄膜X線法による
(104)面ピーク強度を測定し、上記検量線を用いて
それぞれの試験片表面の炭酸亜鉛付着量を求めた。
圧U成形試験装置を用いて鋼板をU成形する際のめっき
鋼板と金型との間の摩擦係数で評価した。
ポンチ、4はビード、6はしわ押さえである。試験片1
をダイス2面上に置き、しわ押さえ6の下面に設けられ
たビード4を介して試験片1に種々のしわ押さえ力を作
用させて試験片1をダイス面に押し付け、ポンチ5を下
降させて試験片1をダイス溝3内に押込むことにより試
験片1をU型に成形する。試験片1の両面には市販の防
錆油を2g/m2 の割合で塗布し、ポンチ5の押込み速
度は60mm/分とし、しわ押さえ力(P)を750〜
1500kgfの範囲で種々変更してU成形した際のポ
ンチ5に作用させた成形力(F)を測定し、しわ押さえ
力の変化に伴う成形力の変化から鋼板表面と工具間の摩
擦係数(μ)を求め、その大小でめっき層の摺動性を評
価した。摩擦係数が0.23以下の場合を良好と判断し
た。
片(1枚目)と建浴後200枚に浸漬した試験片の亜鉛
酸化物の合計量を測定し、200枚目の付着量が1枚目
の付着量の90%以上であった場合を良好と判断した。
よび処理液の寿命測定結果を示す。
件を満たす鋼板は摩擦係数が低く良好な摺動性を示し
た。また、本発明が規定する条件範囲で処理した鋼板の
亜鉛酸化物の合計付着量は200枚の処理対象全体にお
いて所望の量の炭酸亜鉛を含む亜鉛酸化物を有してお
り、処理液の寿命もいずれも良好であった。これに対
し、亜鉛酸化物の付着量が50mg/m2 に満たなかっ
た試験番号1、9、19および20では摩擦係数が高か
った。試験番号1および9は処理液のZnイオン濃度ま
たは過酸化水素濃度が低すぎたものであり、試験番号1
9は気体を吹き付けなかったものであり、試験番号20
は炭酸ガスを含有しない窒素ガスを吹き付けたものであ
る。試験番号14および15では処理液のpHが4.5
に満たなかったために液寿命が短かった。試験番号16
は処理液のpHが7を超えた場合であるが、過酸化水素
の自己酸化現象により液寿命が短かった。
亜鉛に加えて炭酸亜鉛もしくは炭酸亜鉛と水酸化亜鉛を
含有する十分な量の亜鉛酸化物を有しているので良好な
摺動性を備えており、プレス加工性が優れる。本発明の
亜鉛酸化物を有する鋼板は、特定組成の処理液と炭酸ガ
スを含有する気体とを用いることにより容易、かつ、安
価に製造できる。処理液寿命が長く操業性も良好であ
り、低コストで製造できるので、自動車、家電製品、建
築物などの素材として好適である。
を示す斜視図である。
5:ポンチ、6:しわ押さえ。
Claims (3)
- 【請求項1】 めっき層表面に、酸化亜鉛と炭酸亜鉛お
よび水酸化亜鉛からなる皮膜を、亜鉛として合計で50
mg/m2 以上備えたことを特徴とするプレス成形性に
優れた亜鉛系めっき鋼板。 - 【請求項2】 亜鉛系めっき層に、Znイオン:0.5
〜100g/リットル、過酸化水素:0.05%〜5重量%
を含有し、pHが4.5〜7の範囲にある溶液を接触さ
せ、炭酸ガスを含有する気体を吹き付けて、めっき層表
面に、酸化亜鉛と炭酸酸化および水酸化亜鉛からなる皮
膜を、亜鉛として合計で50mg/m2 以上備えさせる
ことを特徴とするプレス成形性に優れた亜鉛系めっき鋼
板の製造方法。 - 【請求項3】 吹き付ける気体の炭酸ガス含有量が0.
1体積%以上であることを特徴とする請求項2に記載の
プレス成形性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
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